別紙1 高等専門学校における単位計算の在り方について〔改訂版〕(案)
現在の単位計算
- 30単位時間(1単位時間=標準50分)の履修を1単位として計算する。
(高等専門学校設置基準第17条第3項)
大学の単位計算
- 1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。
- 講義及び演習については、15時間から30時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて1単位とする。
- 実験、実習及び実技については、30時間から45時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて1単位とする。
(大学設置基準第21条第2項)
高等専門学校の単位計算方法を大学と同様に変更することについて
意義
- (a)他の高等教育機関との互換性を高めることによる学生の円滑な移動の確保
- (b)各高等専門学校の創意工夫に基づく柔軟なカリキュラム編成の実現 等
留意点
- (a)教室外での学修(自学自習)を確保するための各高専における指導上の配慮・工夫
- (b)講義・演習の授業時間数減に対し、実務者養成という高専本来の目的を達成するたに必要なトータルの授業時間数の維持・確保
- (c)実験系科目の授業時間数増に伴う実験系担当教員の負担増への配慮
- (d)高専の単位時間(50分)と大学の実時間(60分)の違いについての検証・調整 等
高等専門学校における単位計算方法見直しにあたっての区分の例
例1:「1・2・3年と4・5年で分ける」場合
メリット
- 特定の年次で切り分けて考えることができる為、時間割編成上の問題が生じない。
- 3年次以下について、高等学校との互換性が明確となる。(編入学が容易になる等)
- JABEEのアクレディテーション(学科4・5年+専攻科の計4年間が対象)と同様となるので分かりやすい。
デメリット
- 同じ科目(教育内容)であっても、学校毎に単位計算方法が異なるケースが発生する。
- 現在、高等専門学校において5年一貫教育が行われてる実態を踏まえると、ある特定の段階(学年)で、教育内容を切り分けて考えにくい。設置基準上、現在の「一般科目」「専門科目」の区分に加えて、「低学年」「高学年」の区分を新たに持ち込むことは整理が困難。
例2:「一般科目と専門科目で分ける」場合
メリット
- 実態として、「一般科目」は概ね「高等学校教育に相応する」ものであり、一方、「専門科目」は概ね「大学教育に相応する」ものであることから、大枠ではあるが教育内容による区分がなされることとなり、対外的に分かりやすい。
デメリット
- 「一般科目」と「専門科目」の区分は、必ずしも「高等学校教育」と「大学教育」の区分に合致するものではない為、例えば、「大学教育相応の一般科目」については、大学教育相応と見なされないといった問題が継続する可能性がある。
- 現行のカリキュラムが、早期から専門教育を配した、いわゆる「くさび型」で編成されていることを勘案すると、5年次までの各々の学年において新旧の単位計算方法が混在することとなり、例えば、50分授業と60分授業の二通りの設定が必要となるなど、時間割編成が困難になると考えられる。(ただし時間割編成の工夫により対応は可能と考えられる)
例3:一定の範囲内(例えば60単位)において、各高等専門学校の判断により大学と同様の単位計算方法を行う授業科目を設定
メリット
- 「一定の範囲内」ではあるが、「1・2・3年」「4・5年」及び「一般科目」「専門科目」の区分に捉われることなく、各高専の判断で、より柔軟なカリキュラム編成が可能となる。
デメリット
- 各高専の判断により対象となる科目が決定されるため、同じ科目(教育内容)であっても、学校毎に単位計算方法が異なるケースが発生する。(例1に同じ)