資料3 パートタイム学生(仮称)の受入れについて/論点を反映した骨子(案)

多様な履修形態の現状

  • 現在、通学制の大学(大学院、大学(学部)、短期大学を指す。以下区別して表記する場合を除き同様。)においては、学生が多様な履修形態で卒業・修了要件を満たし学位等を取得できるよう、昼夜開講制や夜間大学院、通信制大学等が開設されている。
     (参考)
    • <昼夜開講制(12年度)>大学(学部)68校、大学院196校
    • <夜間大学院(12年度)>20校
    • <通信制  (13年度)>大学院7校、大学(学部)23校、短期大学10校
  • 一方、学生が自ら希望する科目等を希望する時に履修して単位を修得できる制度として、科目等履修生制度が設けられている。科目等履修生は非正規の学生であり、大学が提供するあらゆる科目を個人の希望に応じて適宜選択し履修していくものである。
    • (注)科目等履修制度においては、必ずしも学位に結びつくような系統的な学修が行われないことから、たとえ卒業に必要な単位数を修得したとしても、学位を取得することはできないこととされている。ただし、短期大学や高等専門学校を卒業する等の基礎資格を有し、科目等履修生として大学等で必要な単位を修得し、大学評価・学位授与機構に申請して系統的な学習がなされたか等の審査に合格すれば、学士の学位を取得することは可能。

個人の事情に応じて柔軟に修業年限を超えて履修し学位等を取得する仕組みについて

1.必要性

  • 昨今、職業能力の開発・向上や自己啓発等を目的として、職業等を有しながら大学で学ぶことを希望する人々が増えており、各大学では、これらの人々が学びやすいよう、様々な履修形態上の工夫が行われている。
  • しかしながら、現状では、正規の学生として卒業・修了要件を満たし学位等を取得するためには、大学が編制する教育課程を修業年限に応じて履修することが必要であり、個人の事情に応じて修業年限を超えて履修を行う場合は、一般的に留年や休学として取り扱われている。
  • 学生が留年や休学として取り扱われることなく、個人の事情に応じて柔軟に修業年限を超えて履修し学位等を取得できるようにすることは、職業や家事等を有することにより日常的に様々な制約を抱える人々の学習を容易にし、各大学におけるこれらの人々の受入れを一層活発化すると考えられる。
  • また、通常の修業年限で卒業・修了することを予定していたものの、在学中に起きた何らかの事情で勉学意欲がありながら予定していた学習が困難となった学生が、留年、休学、退学をすることなく、学習を継続することも可能となると考えられる。
  • さらに、昨今、非正規労働者として、自らの進むべき道を模索する若年層が増加しつつあるが、これらの人々が学問を通じて教養を身に付けたり専門性に触れたりする機会を拡大し、自らの社会的な役割を認識する契機の一つとなるとも考えられる。
  • これらのことを踏まえ、職業や家事等を有しながら大学で学ぶことを希望する人々の学習機会を一層拡大する観点から、個人の事情に応じて柔軟に修業年限を超えて履修を行い学位等を取得できる新たな仕組みを、各大学が各々の判断で導入できることとしてはどうか。

2.考え方

1.基本的な考え方

 個人の事情に応じて、できる限り柔軟な履修を可能とする観点から、弾力的な仕組みとすることが必要ではないか。

2.対象となる学生の定義

 職業や家事等との兼ね合いにより、通常の修業年限在学する学生よりも1年間または1学期間に履修する単位数が少なく、修業年限を超えて在学することが予定され、それを各大学にあらかじめ認められた上で在学する正規の学生であり、各大学の定める要件を満たして卒業・修了することにより、学位等を取得することができる者、ということでよいか。

3.在学年限

 大学は、本来、学生が計画的に履修を行い学位等の取得を目指す場であることにかんがみ、各学生の希望を考慮しつつ、各大学において、あらかじめ学生が在学できる最長年限を学則等で定めることとしてよいか。
 その際、期限を定めないで在学し履修することを希望する学生については、学位等の取得よりも学ぶこと自体を重視していると考えられることから、科目等履修生として受け入れることが適切であると考えてよいか。
 (注)現行制度上、大学院修士課程には「長期在学コース」を設置することが可能であるが、これは、大学が2年以上の修業年限の教育課程を編成し、学生は当該修業年限に応じて在学することが前提となっているものであり、現在検討している仕組みとは異なるものである。

4.年間修得単位数

 より柔軟に履修できるようにする観点から、年間修得単位数は、各大学が必要に応じて定める範囲内において、学生が毎年自由に登録できることとし、年によって修得単位数に大きな相違が出てもよいこととしてよいか。

5.学生の名称

 米国においては「Part-time Student」や「Special Student」の名称が使用されている。「パートタイム学生」、「社会人学生」、「長期在学生」、「特別学生」などの名称が考えられるが、どのような名称がふさわしいか。

6.仕組みを導入する学校種

 大学院、大学(学部)、短期大学に導入することが考えられるのではないか。ただし、導入の判断は、各学校が、各々の教育課程の目的や教育方法・内容を考慮して行うべきではないか。
 高等専門学校は学年制であることから、単位制を取らない限り、現状のままでは導入は困難と考えられるのではないか。

7.定員の扱い

 設置基準の適用や私学助成の算定上の取扱い方として、学生を定員外の扱いとする、または、定員内の扱いとすることが考えられるが、正規の学生として受け入れる以上、定員内の扱いとすることが適切と考えられるのではないか。
 定員内の扱いとする場合には、1.在学年限をふまえて、一定係数を掛けて控除する、2.通常の修業年限にあたる初期の在学年限分を計上する方法などが考えられるが、どのような方法が適切か。また、学生募集の際に、通常の修業年限在学する学生とは別の枠を設けることについて、どのように考えるか。

8.教員、施設

 7を踏まえ、設置基準を満たした上で、各大学が各々の実状に応じて判断し、適切な配慮を行うことでよいか。

9.授業料

 修業年限を超えて在学することにかんがみ、各設置者は、学生の負担軽減への配慮をした上で、各々の判断により適切な方法で徴収することとしてよいか。
 その際、徴収総額については、通常の修業年限在学する学生との均衡の観点を考慮する必要があると思われるがどうか。

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