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高等教育機関のランキングについて
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国際協調により、高等教育機関ランキングの革新的な原則を発表
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ベルリン−十数カ国からの専門家による革新的な会合により、高等教育機関のランキングのための初めての国際的な原則が生み出された。大学ランキングの世界的な現象のなかで、「ランキングを生み出す人々が、自らのデータ収集・手法および普及にあたっての質に対して、自ら説明責任を保持する」ことを保証するための国際的な原則の確立が必要とされていると、高等教育機関のランキングに関するベルリン原則という文書は述べている。
この会合には、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(UNESCO European Centre for Higher Education: UNESCO-CEPES、ルーマニア、ブカレスト)と高等教育政策研究所(Institute for Higher Education Policy、米国、ワシントンDC)の召集により、いくつかの指導的なランキング団体と、学術的な指導者、ランキング分野のその他の専門家が参加した。参加者たちは、多様な国々でのランキングの発展の最新動向について議論した。現在、少なくとも20カ国で定期的にランキングが行われており、同時に、国を越えた、あるいはグローバルなランキングが出現しつつある。会合は、高等教育開発センター(Centre for Higher Education Development:ドイツの週刊誌ツァイトDie Zeit上で大学ランキングを発表し、現在は他の国々のランキングも開発)がホストを務めた。
ベルリン原則は、継続的にランキング・システムの改善と評価を行う上で役に立つグッド・プラクティス(良い実践)を中心としたものである。この原則では、ランキングの目的・目標、指標のデザインと重み付け、データの収集と処理、そして、ランキング結果の呈示などについての原則が示されている。
16の原則によって、ランキングが目指すべきグッド・プラクティスの重要な基準や勧告が明示されている。
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高等教育機関の多様性を認識し、各高等教育機関の多様なミッション・目標を考慮すること。 |
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ランキング作成に用いる手法に関して透明性をもつこと。 |
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インプットよりもアウトカム(事後的な効果)を優先して測定すること。 |
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可能であるときはいつも、監査され、検証可能なデータを使用すべきである。 |
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ランキングの開発に用いられるすべての要素について、消費者が明確に理解できるようにすること。また、ランキングをどのように表示するかを消費者が選択できるようにすること。 |
過去20年間に、高等教育ランキングは世界中に出現した。1980年代に始まったUSニューズ・アンド・ワールド・レポート(US News and World Report)による大学ランキングが通常この分野の最初のものと考えられており、それに続いて他の雑誌、新聞、個人、および政府さえもが、他の数カ国で自分たちのランキング始めた。高等教育界で時折論議を呼びながら、これらのランキング・システムは、地方や国、そして国際レベルで消費者のための情報ツールとして役割を増している。
会合の参加者は、(各々が所属する機関の公的な関与としてではなく)このベルリン原則に合意した。そして、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センターと高等教育政策研究所は、この原則の普及と国際的な対話を継続的に招集する責任を担うことにした。
高等教育政策研究所(詳しくはwww.ihep.org)(※THE INSTITUTE FOR HIGHER EDUCATION POLICYホームページへリンク)とユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(詳しくはwww.cepes.ro)(※UNESCOホームページへリンク)と高等教育機関とその教育プログラムのランキング現象に関しての有識者による国際的な議論の必要性に応えている。このプロジェクトは、2002年にワルシャワでユネスコ・ヨーロッパ高等教育センターが開催した史上初のランキングについての国際会議が始まりである。第2回の会合は、2004年後半にワシントンDCで開かれ、この場において、非公式ではあるが、継続的な国際ランキング専門家グループ(International Rankings Expert Group)が作られた。次の専門家グループ会合は、2007年秋に上海で行うことが計画されている。その場では、ベルリン原則で形作られた作業を継続するための、より公式の、審議機能をもつ団体を設立することについての議論も行われることになるだろう。
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高等教育機関のランキングに関するベルリン原則
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高等教育機関とその教育プログラムのランキングは、世界的な現象である。ランキングは、多様な役割を果たしている。ランキングは、それぞれの高等教育機関の位置付けについて、容易に解釈できる情報を求める消費者からの要求に応える。ランキングは、高等教育機関間の競争を促す。ランキングは、財政配分に対して幾らかの根拠を与える。そして、ランキングは、異なる種類の高等教育機関・プログラム、そして専門分野間の識別を行う助けとなる。さらに、ランキングは、正しく理解され解釈されれば、ある国の中での高等教育機関の「質」の定義に貢献することがある。このことを通じて、ランキングは、公的ないし独立したアクレディテーション(高等教育の基準認定)機関によって実施される質の評価の厳格な作業を補完する役割を果たす。以上は、高等教育機関のランキングが国のアカウンタビリティ(説明責任)及び質保証プロセスの枠組みの一部となり、また、より多くの国がランキングの開発を将来的に検討する方向にある理由である。この趨勢を考えると、ランキングを生み出す人々が、自らのデータ収集・手法および普及にあたっての質に対して、自ら説明責任を保持することが重要である。
上記の観点から、ユネスコ・ヨーロッパ高等教育センター(UNESCO European Centre for Higher Education: UNESCO-CEPES、ブカレスト)と、高等教育政策研究所(Institute for Higher Education Policy、ワシントン)によって、2004年に国際ランキング専門家グループ(International Ranking Expert Group:IREG)が結成された。このイニシアチブのもと、IREGの第2回会合(2006年5月18-20日於ベルリン)が召集され、高等教育機関のランキングにおける質とグッド・プラクティス(良い実践)についての諸原則−高等教育機関のランキングに関するベルリン原則-が検討されたのである。
これらのランキングが、国、地域、あるいはグローバルな視野をもつもののいずれであっても、このイニシアチブは、ランキングの精緻化と普及のための枠組みを設定し、この枠組みによって、最終的には、これらのランキングを行うのに用いられる手法の継続的な改善と洗練のためのシステムへとつながることが期待される。ランキングの手法は多種多様であり、それ故にランキングのグッド・プラクティスのためのこれらの原則が、ランキングの改善と評価に役立つことだろう。
ランキングは、以下のようなものでなければならない:
A) |
ランキングの目的・目標 |
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1. |
高等教育のインプット、プロセス、アウトプットの多様な評価手法のひとつであること。ランキングは、高等教育についての比較可能な情報を与え、理解を高めるが、高等教育がどのようなものであり、どのようなことを行うかについて評価をするための主要な手法となるべきではない。ランキングは、市場に基盤をおく見方を示し、そのことによって、政府、アクレディテーション団体、そして独立した評価機関の業務を補完することができる。
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2. |
ランキングの目的及び、誰を対象としたランキングであるかを、明確にすること。ランキングはその目的に適切に沿うように設計されなければならない。ある特定の目的を満たしたり、ある特定のグループに対して情報を与えるように設計された諸指標は、他の目的やグループに対しては、適切ではないかもしれない。
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3. |
高等教育機関の多様性を認識し、各高等教育機関の多様なミッション・目標を考慮すること。例えば、研究志向の高等教育機関の質を測る方法は、高等教育が行き渡っていないコミュニティに対して広範なアクセスを提供する高等教育機関の質を測る方法とは、非常に異なったものになる。ランク付けされる高等教育機関と、ランキングのプロセスに対して情報を提供している専門家に対しては、頻繁に相談がなされるべきである。
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4. |
ランキングに用いた情報源の範囲及びそれぞれの情報源が発しているメッセージを明確に提示すること。ランキングの結果が適切かどうかは、その情報を享受する相手と、その情報の出所(例えば、データベース、学生、教授、雇用者など)によって決まる。良い実践のあり方としては、ランキングに含まれる高等教育機関に対してより完全な理解を得るために、これらの情報源から提供される様々な見方を組み合わせることが考えられる。
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5. |
ランキングが行われている各教育システムについての、言語・文化・経済及び歴史的な文脈を特定すること。特に国際ランキングは、偏った見方となる可能性を意識し、ランキングの目的を明示すべきである。全ての国や教育システムが、何が高等教育機関の「質」を構成するのかに関して同じ価値や信念を共有しているわけではないし、そのような比較を強制するためのランキングを考案すべきではない。 |
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B) |
指標のデザインと重み付け |
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6. |
ランキング作成に用いる手法に関して透明性をもつこと。ランキング作成に用いる手法の選択は、明確で、曖昧さをもたないものであるべきである。ここでは、データの出所だけではなく、諸指標の算定の仕方についても透明性を確保すべきである。
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7. |
指標は、関連性と妥当性を考慮して、選ぶこと。データの選択は、そのデータが利用可能かどうかではなく、それぞれの尺度がもつ、高等教育の質及び学術上や機関の強さを表す能力があるかの判断に基づいて行うべきである。それぞれの尺度がなぜ採用されたのか、また、それらの尺度を何に表そうとしているのかを明確にしなければならない。
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8. |
可能であるときは常に、インプットよりもアウトカム(事後的な効果)を優先して測定すること。インプットに関するデータは、すでに定められた体制や秩序の全般的状況を反映するのに適しており、利用可能であることが多い。アウトカムについての尺度は、高等教育機関やその教育プログラムの位置づけや質についてのより正確な評価を示す。ランキングの編集者は、適切なバランスを確実にとるようにすべきである。
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9. |
(使用される)多様な指標に対しての重み付けを明示し、変更を制限すること。重み付けを変更すると、高等教育機関やそのプログラムの位置付けが変化したときに、それが本当の違いを表しているのか、ランキングの手法が変更されたために起きた変化なのかを消費者が見分けることが難しくなる。 |
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C) |
データの収集と処理 |
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10. |
この「原則」に示された倫理基準とグッド・プラクティスの勧告に対して適切な注意を払うこと。各ランキングの信頼性を保証するため、データの収集・使用や実地訪問を行う責任者は、可能な限り客観的で公平であるべきである。
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11. |
可能であるときはいつも、監査され、検証可能なデータを使用すべきである。このようなデータは、高等教育機関によって実際受け入れられてきたし、高等教育機関の間での比較が可能であり、互換性もあるなどの利点がある。
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12. |
科学的なデータ収集としての適切な手続きを通じて収集されたデータを含むこと。データの収集源である学生・教員その他のパートナーが代表性をもたなかったり歪曲されたサンプルであった場合、そのデータが高等教育機関やその教育プログラムを正確に代表していない危険があり、そのようなデータは取り除かれるべきである。
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13. |
質保証の評価基準をランキングのプロセス自体に適用すること。ランキングのプロセスは、高等教育機関の評価に用いられる専門的技術に留意すべきであり、また、ランキング自体の評価にこの知識を用いるべきである。ランキングは、手法の開発にあたって絶え間なくこの専門的技術を利用する、ラーニング(学習する)・システムであるべきである。
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14. |
ランキングの信頼性を高める組織分析の手法(organizational measures)を適用すること。この手法の実施にあたっては、望ましくは国際的な、アドバイスや指導を行う組織を関与させることが可能である。 |
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D) |
ランキング結果の呈示
15. |
ランキングの開発に用いられるすべての要素について、消費者が明確に理解できるようにすること。また、ランキングをどのように表示するかを消費者が選択できるようにすること。これにより、ランキングの利用者は、高等教育機関やその教育プログラムのランキングに用いられる諸指標についての理解が深まるだろう。さらに、利用者がこれらの指標の重み付けを自分で決める、何らかの機会があるべきである。
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16. |
オリジナル・データの誤りを除去するか、または減少させる方法を集積すること、また、誤り・過失を修正する方法を組織化し、公表すること。高等教育機関と社会は、発生した誤りについて知らされるべきである。 |
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2006年5月 ベルリン
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(和訳:大学評価・学位授与機構評価研究部助教授 米澤 彰純) |
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