第1 |
学校教育法の一部を改正する法律(平成17年法律第83号) |
(1) |
改正の趣旨
今回の改正のうち、「大学等の教員組織の整備」に係る改正規定は、大学及び高等専門学校における教育研究の活性化を図るため、大学に置かなければならない職として、助教授に代えて「准教授」を設け、その職務内容について規定するとともに、「助教」を新設してその職務内容について規定し、あわせて教授及び助手の職務内容についても規定の整備を行うものである。
なお、この改正規定は平成19年4月1日から施行されることとなるが、今回の改正のうち「短期大学卒業者への学位授与」に係る改正規定は、既に平成17年10月1日から施行されていることに留意されたい。
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(2) |
改正の概要
大学に置かなければならない職として、助教授に代えて准教授を設けるとともに、助教を新設したこと。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができることとしたこと。(第58条第1項関係)
准教授の職務内容について、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事することとしたこと。(第58条第7項関係)
助教の職務内容について、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事することとしたこと。(第58条第8項関係)
これらの改正に伴い、教授及び助手の職務内容に関する規定の整備を行ったこと。(第58条第6項及び第9項関係)
また、高等専門学校に置かなければならない職として、助教授に代えて准教授を設けるとともに、助教を新設したこと。ただし、教育上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができることとしたこと。(第70条の7第1項関係)
准教授の職務内容について、専攻分野について、教育上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授することとしたこと。(第70条の7第5項関係)
助教の職務内容について、専攻分野について、教育上又は実務上の知識及び能力を有する者であって、学生を教授することとしたこと。(第70条の7第6項関係)
これらの改正に伴い、教授及び助手の職務内容に関する規定の整備を行ったこと。(第70条の7第4項及び第7項関係)
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(3) |
留意事項 |
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大学の教授、准教授及び助教の職務内容については、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事することとして共通に規定しているが、各職が有するべき知識及び能力等に区別を設けており、各大学において、教員の具体的な職務内容を定める際には、このような各職の位置付けを踏まえ、役割の分担と連携の下で組織的に職務が遂行されるように留意すること。
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大学の講師は、教育研究を主たる職務とする職として、基本的に大学に置かなければならないことした教授、准教授及び助教とは別に、各大学の判断により置くことができることとしたものであり、その基本的な性格は改正前と変わらないが、今回の改正により、教授及び「助教授」でなく、教授及び「准教授」に準ずる職務に従事することとしたこと。
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大学の助手は、教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事することとし、教授、准教授及び助教とは職務内容が明確に異なる職として位置付けることとしたこと。
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高等専門学校の教授、准教授及び助教の職務内容については、学生を教授することとして共通に規定しているが、各職が有するべき知識及び能力等に区別を設けており、各高等専門学校において、教員の具体的な職務内容を定める際には、このような各職の位置付けを踏まえ、役割の分担と連携の下で組織的に職務が遂行されるように留意すること。
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高等専門学校の講師は、教育を主たる職務とする職として、基本的に高等専門学校に置かなければならないことした教授、准教授及び助教とは別に、各高等専門学校の判断により置くことができることとしたものであり、その基本的な性格は改正前と変わらないが、今回の改正により、教授及び「助教授」でなく、教授及び「准教授」に準ずる職務に従事することとしたこと。
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高等専門学校の助手は、教育の円滑な実施に必要な業務に従事することとし、教授、准教授及び助教とは職務内容が明確に異なる職として位置付けることとしたこと。
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新設する准教授と助教の公定の英文名称は定めないが、各大学等において英文名称を定める際は、米国において、プロフェッサー(professor)の次にアソシエイト・プロフェッサー(associate professor)が位置付けられ、さらにその次の段階にアシスタント・プロフェッサー(assistant professor)が位置付けられていることも参考にされたい。
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第2 |
学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(平成18年文部科学省令第11号) |
1. |
大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)の一部改正 |
(1) |
教員組織
大学は、その教育研究上の目的を達成するため、教育研究組織の規模並びに授与する学位の種類及び分野に応じ、必要な教員を置くものとしたこと。(第7条第1項関係)
また、大学は、教育研究の実施に当たり、教員の適切な役割分担の下で、組織的な連携体制を確保し、教育研究に係る責任の所在が明確になるように教員組織を編制するものとしたこと。(第7条第2項関係)
教員組織に関する規定のうち、講座制及び学科目制に関するものについては削除することとしたこと。(改正前の第7条から第9条まで関係)
なお、この改正は、教員の適切な役割分担の下での組織的な連携体制の確保や教育研究に係る責任の所在の明確化を図るものとして、講座制や学科目制を採ることを否定するものではなく、各大学において、硬直的・閉鎖的な運用に陥らないよう必要な工夫や配慮を行った上で、引き続きこれらを採ることも可能であること。
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(2) |
授業科目の担当
大学は、主要授業科目については原則として専任の教授又は准教授に、主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく専任の教授、准教授、講師又は助教に担当させるものとしたこと。(第10条第1項関係)
また、大学は、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとしたこと。(第10条第2項関係)
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(3) |
専任教員
教員は、一の大学に限り専任教員となるものとし、専任教員は専ら当該大学における教育研究に従事するものとしたこと。ただし、教育研究上特に必要があり、当該大学における教育研究の遂行に支障がないと認められる場合には、当該大学における教育研究以外の業務に従事する者を専任教員とすることができることとしたこと。(第12条各項関係)
大学における専任教員の数は、当該大学に置く学部の種類及び規模並びに大学全体の収容定員に応じ定める教授、准教授、講師又は助教の数を合計した数以上とするとともに、大学設置基準第11条に規定する「授業を担当しない教員」は専任教員の数に含まないことを明確にしたこと。(第13条及び別表第1関係)
なお、第12条第2項の「専ら」とは、専任教員が、当該大学における教育研究活動を本務とし、これに従事する時間などの割合が、他に従事する業務などと比べて著しく高いことを想定していること。
また、同条第3項の「当該大学における教育研究に支障がない」とは、教員本人の勤務形態とともに、当該大学の教員組織全体の状況などに照らし、当該大学における教育研究の遂行に支障がないことを想定している。したがって、専任教員全体のうち同項による専任教員の占める割合が過度に高くなることにより、当該大学における教育研究の遂行に支障が生じる場合も想定され、かつ、同項は、あくまでも同条第2項で規定する専任教員の例外を定めるものであることから、同条第3項による専任教員の割合は、この趣旨を踏まえて適正なものとなるように留意すること。
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(4) |
教員の資格
准教授となることのできる者については、法改正前の助教授となることのできる者と同様の資格を定めたこと。(第15条関係)
助教となることのできる者については、少なくとも修士の学位又は専門職学位以上の学位を有する者であって、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者であること等を資格として定めたこと。(第16条の2関係)
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(5) |
その他所要の規定の整備を行ったこと。
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2. |
高等専門学校設置基準(昭和36年文部省令第23号)の一部改正 |
(1) |
教員組織
高等専門学校は、教育の実施に当たり、教員の適切な役割分担の下で、組織的な連携体制を確保し、教育に係る責任の所在が明確になるように教員組織を編制するものとしたこと。(第6条第5項関係)
また、高等専門学校は、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとしたこと。(第7条関係)
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(2) |
専任教員の要件
教員は、一の高等専門学校に限り専任教員となるものとし、専任教員は専ら当該高等専門学校における教育に従事するものとしたこと。ただし、教育上特に必要があり、当該高等専門学校における教育の遂行に支障がないと認められる場合には、当該高等専門学校における教育以外の業務に従事する者を専任教員とすることができることとしたこと。(第9条各項関係)
なお、第9条第2項の「専ら」とは、専任教員が、当該高等専門学校における教育活動を本務とし、これに従事する時間などの割合が、他に従事する業務などと比べて著しく高いことを想定していること。
また、同条第3項の「当該高等専門学校における教育研究に支障がない」とは、教員本人の勤務形態とともに、当該高等専門学校の教員組織全体の状況などに照らし、当該高等専門学校における教育研究の遂行に支障がないことを想定している。したがって、専任教員全体のうち同項による専任教員の割合が過度に高くなることにより、当該高等専門学校における教育研究の遂行に支障が生じる場合も想定され、かつ、同項は、あくまでも同条第2項で規定する専任教員の例外を定めるものであることから、同条第3項による専任教員の割合は、この趣旨を踏まえて適正なものとなるように留意すること。
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(3) |
教員の資格
准教授となることのできる者については、法改正前の助教授となることのできる者と同様の資格を定めたこと。(第12条関係)
助教となることのできる者については、少なくとも修士の学位又は専門職学位以上の学位を有する者であって、高等専門学校における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者であること等を資格として定めたこと。(第13条の2関係)
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(4) |
その他所要の規定の整備を行ったこと。
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3. |
大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)の一部改正 |
(1) |
教育研究上の目的の明確化
大学院は、研究科又は専攻ごとに、人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等に定め、公表するものとしたこと。(第1条の2関係)
なお、目的の策定にあたっては、各大学院のそれぞれの人材養成上の目的と学生に修得させるべき能力等の教育目標を明確にし、これらに即して、体系的な教育の課程を提供するとともに、責任ある実践のための人的、組織的体制、物的環境を整えることに資するよう留意すること。また、組織として目的を共有するため、学則や研究科規則などの適切な形式により定めるとともに、大学のホームページ等を活用し、これを広く社会に公表することに留意すること。
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(2) |
教員組織
大学院には、その教育研究上の目的を達成するため、研究科及び専攻の規模並びに授与する学位の種類及び分野に応じ、必要な教員を置くとともに、大学院は、教員の適切な役割分担及び連携体制を確保し、組織的な教育が行われるよう特に留意するものとしたこと。(第8条第1項及び第2項関係)
博士課程を担当する教員は、教育研究上支障を生じない場合には、一個の専攻に限り、修士課程を担当する教員のうち博士課程を担当できる資格を有する者がこれを兼ねることができることとしたこと。(第9条第2項関係)
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(3) |
教育課程の編成方針
大学院は、その教育上の目的を達成するために必要な授業科目を開設するとともに研究指導の計画を策定し、体系的に教育課程を編成するものとしたこと。また、教育課程の編成に当たっては、大学院は、専攻分野に関する高度の専門的知識及び能力を修得させるとともに、当該専攻分野に関連する分野の基礎的素養を涵養するよう適切に配慮しなければならないこととしたこと。(第10条の2関係)
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(4) |
一の授業科目について二以上の方法の併用により行う場合の単位数の計算基準
大学院が、一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合の単位数を計算するに当たっては、その組み合わせに応じ、大学設置基準第21条第2項各号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもって1単位とすることとしたこと。(第12条の2関係)
大学院における単位数の計算方法については、従来は、大学設置基準の規定を準用してきたが、大学院の教育機能の実質化やその多様な展開を促すため、大学院独自のコースワークを充実させ、活性化する趣旨から、一の授業科目について、講義と実習などの複数の授業の方法を組み合わせた授業科目の導入が容易にできるよう、大学院設置基準に規定を設け、その取扱いを明確化したものであること。
なお、第12条の2の規定により単位数を計算する場合においても、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とするものであること。また、「大学設置基準第21条第2項各号に規定する基準を考慮して大学が定める時間」を定めるに当たっては、例えば、講義と実験とを組み合わせて行う授業科目の場合は、講義及び実験の授業時間数をそれぞれx、yとすると、ax by a 1単位の授業科目を構成する内容の学修に必要とされる時間数の標準である45時間を同項第1号の規定により講義について15時間から30時間の範囲で大学が定める時間数で除して得た数値、b 同じく45時間を同項第2号の規定により実験について30時間から45時間の範囲で大学が定める時間数で除して得た数値 が45となるようにx及びyの値を定めること。
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(5) |
成績評価基準等の明示等
大学院は、学生に対して、授業及び研究指導の方法及び内容並びに一年間の授業及び研究指導の計画をあらかじめ明示するものとしたこと。また、学修の成果及び学位論文に係る評価並びに修了の認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがって適切に行うものとしたこと。(第14条の2関係)
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(6) |
教育内容の改善のための組織的な研修等
大学院は、当該大学院の授業及び研究指導の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとしたこと。(第14条の3関係)
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(7) |
修士課程の修了要件の見直し
修士課程の目的に応じ、修士論文の審査又は特定の課題についての研究の成果の審査及び試験に合格することを修士課程の修了要件とすることができることとしたこと。(第16条関係)
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(8) |
その他所要の規定の整備を行ったこと。
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4. |
短期大学設置基準(昭和50年文部省令第21号)の一部改正 |
(1) |
教員組織
短期大学は、その教育研究上の目的を達成するため、学科の規模及び授与する学位の分野に応じ、必要な教員を置くものとしたこと。(第20条第1項関係)
また、教育研究の実施に当たり、教員の適切な役割分担の下で、組織的な連携体制を確保し、教育研究に係る責任の所在が明確になるように教員組織を編制するものとしたこと。(第20条第2項関係)
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(2) |
専任教員
教員は、一の短期大学に限り専任教員となるものとし、専任教員は専ら当該短期大学における教育研究に従事するものとしたこと。ただし、教育研究上特に必要があり、かつ、当該短期大学における教育研究の遂行に支障がないと認められる場合には、当該短期大学における教育研究以外の業務に従事する者を専任教員とすることができることとしたこと(第21条の2各項関係)
短期大学における専任教員の数は、別表に定める教授、准教授、講師又は助教の数以上とするとともに、短期大学設置基準第21条に規定する「授業を担当しない教員」は専任教員の数に含まないことを明確にしたこと。(第22条及び別表第1関係)
なお、第21条の2第2項の「専ら」とは、専任教員が、当該短期大学における教育研究活動を本務とし、これに従事する時間などの割合が、他に従事する業務などと比べて著しく高いことを想定していること。
また、同条第3項の「当該短期大学における教育研究に支障がない」とは、教員本人の勤務形態とともに、当該短期大学の教員組織全体の状況などに照らし、当該短期大学における教育研究の遂行に支障がないことを想定している。したがって、専任教員全体のうち同項による専任教員の割合が過度に高くなることにより、当該短期大学における教育研究の遂行に支障が生じる場合も想定され、かつ、同項は、あくまでも同条第2項で規定する専任教員の例外を定めるものであることから、同条第3項による専任教員の割合は、この趣旨を踏まえて適正なものとなるように留意すること。
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(3) |
教員の資格
准教授となることのできる者については、法改正前の助教授となることのできる者と同様の資格を定めたこと。(第24条関係)
助教となることのできる者については、少なくとも修士の学位又は専門職学位以上の学位を有する者であって、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者であること等を資格として定めたこと。(第25条の2関係)
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5. |
その他所要の省令の規定の整備を行ったこと。
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第3 |
施行期日
本施行通知に係る法律及び省令については、平成19年4月1日から施行することとしたこと。
なお、平成18年度中に行われる平成19年4月の大学等の開設に向けた設置審査は、これらの法律及び省令の施行を前提として行われることに留意すること。
また、公私立大学等において、これらの法律及び省令の施行に合わせて学則の変更をしようとする場合は、本年12月31日までに文部科学大臣に届出を行うことが必要であることに留意すること。 |