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対象となる学生の位置付け
上記のような新たな仕組みの導入を各大学等において積極的に推進していくに当たっては,対象となる学生の位置付けを明確にしておく必要がある。
当該学生は,職業や家事等との兼ね合いにより,通常の修業年限在学する学生よりも1年間または1学期間に履修する単位数が少なく,修業年限を越えて在学することが予定され,それを各大学等にあらかじめ認められた上で在学し,各大学等の定める単位の取得等の要件を満たして卒業・修了することにより,学位等を取得する正規の学生(以下,「パートタイム学生長期履修学生(仮称)」という。)と定義することができる。
(当該学生の名称については,本審議会において更に検討することとしている。)
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パートタイム学生長期履修学生(仮称)を受け入れる学校種
パートタイム学生長期履修学生(仮称)の多様な学習需要に対応し,大学における学習機会をできるだけ拡大する観点から,当該学生は,大学院,大学(学部)及び短期大学のいずれにおいても,それぞれの学校の判断により受け入れることができることとすべきである。
例えば、短期大学において、社会人を含めた地域の学習需要に応えるために、多様な教育を総合的に提供する学科等を設け、長期履修学生(仮称)を積極的に受け入れることも一つの方法である。
また,高等専門学校の専攻科についても,大学と同様に単位制を採用していることから,パートタイム学生長期履修学生(仮称)を受け入れることが可能であると考えられる。さらに,社会人の学習需要の高い専門学校についても,より柔軟な履修が可能となるようにすべきである。
とりわけ,短期大学については,例えば,地域に密着したコミュニティ形成に資する教育研究の場として,「地域総合科学科(仮称)」を設置するなど,社会人の様々な学習需要に的確に対応しつつ,パートタイム学生(仮称)の積極的受入れを図っていくことが望まれる。
さらに、専門学校においても、その自由で弾力的な制度によって、数多くの社会人を受け入れているところであるが、多様な学習需要に対応できるという利点を活かして、長期履修学生(仮称)も積極的に受け入れることが期待される。
また,職業上必要な高度専門的知識・能力を修得することを目的として大学院への入学を希望する社会人のうち,学習時間等の制約により修業年限を越えて学習することを求める者が今後一層増大することが考えられることから,大学院においてもこのような需要に適切に対応してパートタイム学生長期履修学生(仮称)を受け入れていくことが必要である望まれる。
大学院修士課程においては,社会人の多様な学習需要に応えるため,予め長期の教育課程を編成し,標準修業年限を2年を越えるものとすることができることとされている(いわゆる長期在学コース)。一方,パートタイム学生長期履修学生(仮称)は,学生個人の事情により,大学等が標準修業年限に従って編成する教育課程の期間を越えて在学するものであり,いわゆる長期在学コースとは趣旨を異にするものである。
なお,パートタイム学生長期履修学生(仮称)を受け入れるか否かの判断は,各学校が,各々の教育課程の目的や教育方法・内容等を考慮して自主的に行うことは当然である。
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在学年限及び年間修得単位数
大学等は,本来,学生が計画的に履修を行い学位等の取得を目指す場であることに鑑みれば,パートタイム学生長期履修学生(仮称)が在学できる最長年限については,各大学等において学則等で定める範囲内で,学生の希望を考慮しつつ定めることが適当である。
その際,なお、期限を定めないで在学し履修することを希望する学生については,学位等の取得よりも学ぶこと自体を重視していると考えられることから,科目等履修生として受け入れることが適切である。
また,パートタイム学生長期履修学生(仮称)の年間修得単位数については,より柔軟に履修できるようにする観点から,各大学等が定める上限の範囲内において学生が毎年自由に登録できることとすることが適当である。
その際,実験・実習を行う課程においてはある程度継続的な学習が必要であること等を踏まえ,各大学等においては,その教育内容や学生の要望等を考慮して適切な履修が行われるよう配慮することが必要である。
さらに,通常の修業年限在学することを予定していた学生が,仕事や家事等の都合で在学中にパートタイムより長期の履修への切替を希望することや,その逆の場合もあると考えられる。したがって,これらの状況に対応できるよう,学生の希望に応じて,通常の修業年限在学することを予定する学生とパートタイム学生長期履修学生(仮称)の履修形態の切替を可能とすべきである。ただし,怠学者等履修形態の変更に当たって相応の理由がないと判断される場合については,まで、この取扱いは認めないこととすることが適当である。を認める必要はない。
もとより、学生の卒業時における質の確保を図ることは、大学等の社会的責任であり、長期履修学生(仮称)に対しても、厳格な成績評価を実施するなど、安易な単位認定や卒業を抑制することにより、教育水準の維持向上を図ることが必要である。
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配慮事項
パートタイム学生長期履修学生(仮称)は修業年限を越えて在学することから,その授業料については,通常の修業年限在学する学生との均衡の観点から,に配慮しつつ、学生の負担軽減を図る観点から、修業年限分の授業料総額を学生が在学を希望する年限で分割して納めることができるようにしたり,単位制授業料制度を導入するなど,学生の負担軽減について配慮しつつ,設置者の判断により適切な方法で徴収することが求められる。
設置基準の適用上や私学助成の算定上の収容定員の取扱いについては,パートタイム学生長期履修学生(仮称)は正規の学生として受け入れる以上,定員内の扱いとすることが適当であるが,パートタイム学生長期履修学生(仮称)の受入れを促進する観点から,その在学年限に応じて当該学生の実員に一定係数を掛けての算定方法を工夫するなど,その適切な取扱いについて検討すること対応が必要である。
その際,パートタイム学生(仮称)と通常の修業年限在学する学生とを区別するために,パートタイム学生(仮称)については,別枠での入学制又は入学時の申告制等により,その人数を把握できることが前提となる。
なお,パートタイム学生(仮称)を入学定員の枠内において受け入れる限り,教員の負担や必要な校地,校舎等の施設及び設備は増加しないと考えられることから,これらについては,現行設置基準を満たした上で,職業や家事等を有しながら大学等で学ぶ長期履修学生(仮称)に対しては、通常の修業年限在学することを予定する学生とは異なる、よりきめの細かい履修上の指導が必要となると考えられることから、各大学等が各々の実状に応じて、アドバイザーを配置するなど適切な配慮を行うことが適当である。 |