資料1 理科教育設備基準の改訂について(報告概要)
平成14年3月15日
理科教育等設備基準改訂のための検討会
改訂の基本方針
- 新学習指導要領の趣旨を各学校に十分生かし,理科好きな児童生徒が増えるよう、設備基準の改訂を行う。
- 対象品目の全面的な見直しを行い、現代化を図る。
基準の作成に当たっての具体策
- 補助基準という性格上、新学習指導要領の実施に通常必要な物で取得価格が、小学校(小学部)にあっては1個又は1組1万円以上、中学校(中学部)にあっては同じく2万円以上を補助対象として計上した。
- コンピュータの本体及び基本ソフトは、教育の情報化「ミレニアムプロジェクト」で対応する。ただし、備品として管理できる周辺機器及びアプリケーションソフトは基準として導入した。
- 理科教育設備の充実を最優先させるため、理科教育設備以外で整備可能な物(共通教材等)は基準の対象外とした。
- 基準の構造等は、現行基準と同様に、品目、数量、例示品名の3区分とし、品目名の大綱化,学校の実体等に応じた数量等の見直しを行うことにより,その裁量の幅を拡充した。
- (1)品目名は、教育内容に着目した総合名称とした。
- (2)数量を算出する際の考え方として、標準的な学級編成及び実験グループ編成の人数に応じて算出し、次のように想定して積算した。
(盲・聾・養護学校の学級編成の標準変更:7→6人)
想定実験グループ
|
小・中学校 |
小・中学部 |
学級の人数 |
40人 |
7人→6人 |
実験グループ |
4人→10個+1個 |
3人→2個+1個 |
2人→20個+1個 |
2人→3個+1個 |
個人→40個+1個 |
個人→6個+1個 |
注:プラス1個は教師用か予備用 |
想定学校規模等
|
学校規模 |
基準金額 |
理科 |
算数・数学 |
小学校 |
1学年3クラス |
14,736 |
2,034 |
中学校 |
1学年6クラス |
27,445 |
4,037 |
盲学校小学部 |
1学年1クラス |
5,774 |
1,114 |
盲学校中学部 |
1学年1クラス |
13,377 |
1,332 |
聾学校小学部 |
1学年1クラス |
5,728 |
909 |
聾学校中学部 |
1学年1クラス |
12,459 |
1,003 |
養護学校小学部 |
1学年2クラス |
5,922 |
1,194 |
養護学校中学部 |
1学年2クラス |
12,562 |
1,290 |
知的障害養護学校中学部 |
1学年2クラス |
8,670 |
- |
※ 想定学校規模を越える学校の基準金額は、2倍とする。
(3)例示品名は、品目の概念を、より分かり易くする観点から、例示的に具体的品名を掲げた。
部会報告
小学校理科部会
改訂の主な具体例
(1)情報学習・環境学習の充実、実験の安全等,理科教育上配慮が必要なものは新規又は拡充して基準に計上した。
- 情報学習対・・・応データロガー、総合気象測定装置
- 環境学習用具・・・風力発電実験器、簡易大気汚染測定器、データロガー、総合気象測定器、
- 安全への対応・・・安全めがね、遮光プレート、耐熱手袋
(2)教員の指導方法の工夫に柔軟に対応できるよう数量の見直しを行った。
- 実験方法の工夫・改善への対応(同時測定可能)とするために2個組とした。
検流計,検知管式気体濃度測定器
(3)課題選択にも配慮
- 児童がどちらの学習内容を選択しても対応できるようにした。
- 5年 メダカの発生と成長・・・双眼実体顕微鏡、メダカの雌雄模型 など
ヒトの母体内での成長・・・胎児の発育模型 など
- 5年 物の運動・・・衝突実験器 など
振り子の学習・・・振り子実験器 など
- 6年 土地の変化(火山)・・・火山地形模型、画像資料 など
土地の変化(地震)・・・地震発生説明器、画像資料 など
中学校理科部会
改訂の主な具体例
- (1)問題解決能力の育成に向け整備を図ったもの
〔例〕
- (2)自然に対する総合的な見方の育成に向け整備を図ったもの
〔例〕
- 映像資料(コンピュータソフト)
- データロガー
- 総合気象測定装置
- (3)情報機器を有効に活用した観察・実験への対応を図ったもの
〔例〕
- パソコン計測システム
- デジタルカメラ
- データロガー
- (4)環境教育や自然環境の保全に関する態度の育成に向けて充実を図ったもの
〔例〕
- 水質検査器(規格向上)
- 酸性雨測定装置(数量1→3、規格向上)
- 粉塵検知器(数量1→11)
- UVチェッカー
- 総合気象測定装置
- 風力発電実験器
- データロガー
- (5)発展的学習など個に応じた指導への対応を図ったもの
〔例〕
- 電磁力リニアモーターカー
- 超伝導実験セット
- デジタル顕微鏡
- デジタルカメラ
- (6)継続的、体験的学習の充実を図ったもの
〔例〕
- 酸性雨測定装置(数量1→3、規格向上)
- デジタルカメラ
- 総合気象測定装置
- (7)内容が高等学校に移行したため削除したもの
〔例〕
- (8)設備整備の面で安全性に配慮したもの
〔例〕
- 簡易焼却装置(削除)
- 簡易廃液処理装置(規格向上)
- 簡易ドラフトチャンバー
盲・聾・養護学校(小・中学部)理科部会
第1 盲・聾・養護学校(知的障害者のみを教育する養護学校を除く)
改訂の主な具体例
(1)盲学校
- ア 視覚に障害のある児童生徒が、自らの感覚を活用して実験ができるように、
- 触覚や聴覚による表示のある計測器具
盲人用ノギス、盲人用上皿ばかり、音声つき温度計、盲人用電流計、盲人用電圧計、盲人用磁針など
- パソコンに接続して音声表示ができる計測器具
電子てんびんなど
- 大型で目盛りの見やすい計測機器
- イ 光の反射や屈折、色の変化など、光を音に変換して認知する器具
盲人用感光器
- ウ 弱視児童生徒にとって顕微鏡による観察は困難であるため、
顕微鏡の数は1台、かわりにビデオマイクロスコープを加えた。
- エ 盲児童生徒にとっても、弱視児童生徒にとっても、理解しやすい模型を充実
(2)聾学校
- ア 小学部、中学部ともに、聴覚による情報不足を補うため「画像資料」の充実
(3)養護学校(知的障害者のみを教育する養護学校を除く)
- ア 易感染症では、生物に直接触れることができないので、「デジタルカメラ」と「実験用手袋」を導入した。
- イ 呼吸器の疾患に配慮し、小学部にも「簡易ドラフトチャンバー」を追加した。
- ウ 車椅子使用者や上肢機能が十分でない場合に対応するため、及び学習上の安全性に配慮し、以下の設備を配した。
「フレキシブル教材提示装置」「ラボプロテクタ」「フレキシブルスタンド」
- エ 訪問指導における実験を可能とするために、携帯可能な「実験器具運搬箱」を追加した。
第2 養護学校(知的障害者のみを教育する養護学校)
改訂の主な具体例
(1)日常生活の中での基礎的な体験を重視した品名を計上した。
- 力の実験用具として 簡易製本器 等
- 光の実験用具として ミラーボール、大型三面鏡、めがねセット 等
- 日常生活音学習用具としてFAX兼用電話器、携帯電話器 等
- 日常生活電気学習用具としてテレビインターフォン、電気布団乾燥機 等
- 身近な機械の仕組み学習用具として 原動機付き自転車、自転車、リヤカー、裁断機、さおり織り機 等
- 日常環境学習用具として除湿器、加湿器 等
- 野外観察用具として野外観察用テント、野外観察用タープ、移動簡易トイレ 等
- 乗り物模型として船舶模型 等
小学校、中学校、盲・聾・養護学校(小・中学部)算数・数学部会
改訂の主な具体例
- (1)算数・数学的活動の充実及び問題解決学習や課題学習の充実のための整備
〔例〕「ブロック」、「十面体さいころ」、「計算練習カード」などの品目を「数と計算実習用具」として総合名称でくくり、数と計算の学習に関する多様な実習用具を整備できるようにし、児童・生徒の多様な活動や学習形態に対応できるようにした。
- (2)基礎的・基本的な内容の習熟のための整備
〔例〕「実験実習器具」の中に、新たに「算数技能習熟用具」及び「数学技能習熟用具」を加えた。
補助金執行上の留意事項
個に応じた指導等に柔軟に対応する必要から、補助金の執行にあたり、次のような観点に配慮していただきたい。
- 変更した品目・数量等が各学校ごとに定める基準金額の範囲内であれば、補助対象とすること。
- 障害に応じた特注品は補助の対象とすること。
- 設備として管理できる物を自作する場合の材料費について、補助の対象とすること。