第2節 家庭や地域社会の教育力の再生・向上
1 生涯学習振興施策や働き方の見直し等による家庭や地域社会の教育力の再生・向上
家庭・地域社会の教育力を高めるためには,家庭・地域社会において,生涯学習振興施策等を推進することや,企業における働き方の見直し等を進めることが重要である。
(1)生涯学習振興施策等の推進
- 生涯学習振興施策の一環である家庭教育に関する学習機会・情報の提供や相談体制の整備等を推進する。今後一層,一人でも多くの親に対するきめ細かな家庭教育支援や地域の大人たちの教育力を結集した子どもの活動拠点の整備など,家庭や地域社会の教育力の再生・向上を図る取組を充実する必要がある。
その際,家庭教育支援を行うにあたっては,子育て中の親のニーズを直接把握しやすい地域の子育て支援団体(NPO団体やボランティアなど)等との十分な連携に留意する必要がある。
- 「つどいの広場」事業等の福祉関連施策についても,「親と子がともに育つ」という教育的視点を踏まえた上で有効に活用していくことが求められる。
(2)企業における働き方の見直し等
- 幼児教育の充実を考える上で,育児休業制度など雇用施策等の活用も重要である。その際,企業においては,次世代育成支援の視点に加え,「親と子がともに育つ」視点に立って,より一層子育て家庭に対する理解を深め働き方の見直しを進めることが望まれる。
例えば,雇用の継続等,育児休業制度等の制度・対策の定着・取得率の増加に向けた取組を推進するとともに,働き続けながら子育てを行う労働者に対し,子どもとかかわる時間を増やすことを可能とするためにも,労働時間の短縮,短時間勤務制度,在宅勤務等が期待される。また,仕事と生活の調和を図ることが求められてきている中,幼児教育の充実の観点からも仕事と家庭生活の両立を図るための取組が期待される。
その際,男性の幼児教育への参加についても十分に留意すべきである。
- 各企業に雇用される労働者は,同時に地域社会の構成員であるため,企業においては,地域の子育て支援活動等に参加しやすくするために,例えば労働者にボランティア休暇の取得を促進するなどの取組により,地域の教育力の再生・向上に貢献することが望まれる。
2 幼稚園等施設による家庭や地域社会の教育力の再生・向上
上記に加え,前節で述べたように,幼稚園等施設における子育て支援等の取組を通じて,家庭・地域社会の教育力の再生・向上を図ることも重要である。