第3節 幼児教育の振興に係るこれまでの取組

幼児教育の振興に係る取組の実施

  • 幼児期における教育は,子どもの心身の発達を助長し,健やかな成長を促す上で大切なものである。このため,文部科学省では,これまで幼稚園の量的拡大に係る取組からはじまり,幼児教育の質的向上に係る取組へと展開してきた。
  • 特に,中央教育審議会「少子化と教育について(報告)」(平成12年4月17日)では,「幼児教育の全体についての施策を総合的に展開することが,少子化への対応の観点からも効果的である」とされ,幼児教育の専門施設である幼稚園を中核に,家庭・地域社会における幼児の教育をも視野に入れた総合的な施策の展開を図ることが求められた。

幼児教育振興プログラムの推進

  • これを受けて,文部科学省では,「幼児教育振興プログラム」(平成13年3月29日)を策定し,幼稚園の教育活動及び教育環境の充実,幼稚園における子育て支援の充実,幼稚園と小学校の連携の推進,幼稚園と保育所の連携の推進といった幼稚園教育の条件整備を中心としつつも,併せて,家庭教育や地域社会における子育て支援の施策の充実を図る方向性を示した。
     これらの取組も踏まえながら,各地域においては,創意工夫を生かし,地域の実情に応じた様々な幼児教育の振興に関する取組が行われている。

幼児教育の今日的な課題

  • このように,これまでの幼児教育の振興に係る取組を通じて,幼稚園教育の機会が地域的に偏在している(現在,1,000近い市町村で幼稚園が設置されていない)などという個別の課題は残しながらも,総じて,幼児教育の普及・充実が図られてきたものといえる。
  • 一方で,現状は,従来に比べて子どもの育ちが何かおかしいのではないか,子どもを取り巻く環境が悪化しているのではないかなど,子どもの成長に関する懸念が多く聞かれるようになっている。
     このような子どもの成長に関する懸念に対して,幼児教育を担う家庭・地域社会・幼稚園等施設は,その責任と役割を十分に果たしてきたかどうか,それぞれが当事者意識を持って考えることが必要である。
     特に,幼児の発達や生活には,家庭・地域社会・幼稚園等施設の中での連続性があるにもかかわらず,幼児教育において三者の連携や補完が十分ではなかったのではないか。また,幼稚園等施設の中には,社会の変化等に対応していこうとする意識が必ずしも十分になく,家庭・地域社会あるいは小学校等との連携や支援に取り組まなかったものもあったのではないか。
     これらの問題意識を踏まえ,幼児教育の原点に立ち返って,子どもの育ちの現状と背景を検証し,幼児の健やかな成長を保障するために必要となる対応策を講ずることが,今日の幼児教育に与えられた課題である。

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

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