以下、各領域における科目の内容を示したものである。
【扱う内容】は、補論中「具体的内容例」として示した、科目の設定にあたり念頭に置くべき、教員が直面する場面・内容をもとに、基本的内容を項目として例示したものである。各大学の科目設定に当たっては、当該科目の履修により養成すべき資質能力の検討・明確化が必要となるが、この扱う内容は、その前提とされる当該科目の履修により養成する教員が直面する場面や必要とする行為の内容を例示したものである。
【一般目標】【到達目標】は、当該科目の履修により修得させるべき資質能力を目標として明示したものである。このうち【一般目標】は当該科目による全般的な教育内容を示しており、他方【到達目標】は一般目標により記載された項目について、学生が具体的にどの程度のレベルまで修得しなければならないかの指標である。
【対象とする課題例】は、当該科目による内容を、学校現場における具体的課題をもとに検討するなどにより修得させる場合、設定される具体的課題の例である。
【科目例】は、当該領域における科目の具体例である。各教職大学院においてはこれら科目例を参考にしつつ、当該科目において修得させるべき知識・技能と、当該教職大学院の特色、得意領域、教育目標等の関係を考慮し、具体的科目を設定することとなる。
【その他テーマ例】は、その他各科目の内容として含めることが考えられるテーマ・内容の例である。各教職大学院において、当該科目において修得させるべき知識・技能の一般性と、学校教育が直面している今日的課題を見通しつつ、適切なテーマ設定を検討することが期待される。
教科等の内容を、学校における教育課程及び学校教育全体の中で俯瞰する内容とする。
a)各学校種を通じての教育課程の編成方法及び構成要素相互間の関連の在り方等について理解するとともに、カリキュラムマネジメント(教育課程及び個々の児童生徒等の学びの履歴の管理)の在り方について理解する。
b)各学校の実状(児童生徒等の状況、教職員集団の力量、地域との関係等)を見据え、当該校の教育課程全体の編成について複数の計画を立て、それぞれに予想される効果等を検証した上で最善の計画の選択を行い、教職員集団をリードしてその実施に当たることができる力量を身に付ける。
児童生徒の確かな成長・発達と創造的な学力を保証する教科等の実践的指導力に関する内容とする。
本領域においては、学生は自らの学校種・担当教科等における指導方法に関する内容を念頭に履修することとなるが、本領域の履修により修得される資質能力は当該特定教科における指導方法にとどまるものではなく、汎化を図ることにより広く教科領域一般における指導方法開発に係る内容であることに留意する必要がある。(3.「1.共通科目(基本科目)のねらい・目的」参照)
a)全教科・各学校種に共通する「教科等の授業」の在り方(「教科」の全体構成、基本的な授業技術、他教科・教科外活動との関係、教科の授業と学問の関係、多様な教育方法、知識と技能との関係、情報機器の利用等)について、体系的に理解する。
b)他教科・他学年の授業との関連を踏まえて、ある特定の授業の構成・立案に関して他の教員に指導・助言が出来、かつ、その授業の評価を適切に行うことができる。
児童生徒等の社会的・情緒的発達についての理解を深め、児童生徒等が教育領域の諸活動を通して発達課題の達成と社会的自立を図ることを促進するとともに、社会的・情緒的発達の課題や問題の把握と適切な対処のできる実践的指導力を修得する内容とする。
a)各学校種における児童生徒等の生徒指導・進路指導上の諸課題を総合的に理解するとともに、その代表的な指導方法(生徒指導、カウンセリング、集団づくり、保護者・関係機関との連携等)について熟知する。
b)各児童生徒等の生徒指導上の諸課題に関して、適切な指導方法を選択して実施するとともに、生徒指導・教育相談に当たる他の教員に対して適切な助言・指導ができる。
c)児童生徒等が自らの生き方・在り方を考えることを適切に指導・援助するとともに、主体的に進路を選択し、進路先で適応できる力を伸長するための指導・援助について習熟する。
児童生徒に充実した学校・学級生活を保障する学校・学級経営とともに、その課題の分析と解決の方策に関する内容とする。
a)組織としての学校やその基本単位としての学級という組織の在り方について、地域や保護者・他機関等の対外的な関係も含めて総合的に理解することができる。
b)学校において、その実状や特性の把握の上に立って、適切な経営を行う計画を立て、その実施に当たって指導的な役割を果たすことができる。
上記(1)から(4)までを総覧し、現在の社会における学校教育の位置付けを理解し、教員としての役割や使命を考える内容とする。
a)社会の中における学校の役割を的確に認識し、教員としてふさわしい社会的役割を理解し、果たすことができる。
b)「よき教育実践を行う教員」の在り方と、教員の資質向上に関する手立てについて具体的に理解する。
c)教育実践者としての自己を反省的に捉えるとともに、様々な考え方を持つ多様な他者とのコミュニケーションを保つ力量を備えるとともに、他の教員をリードする形で教員の資質の改善に資することができる。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
-- 登録:平成21年以前 --