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1.高等学校教育の現状

(1)高等学校教育の目的・目標

○ 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育や専門教育を施すことを目的としている(学校教育法第50条)。また、その目標は、

  • 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと
  • 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること
  • 個性の確立に努めるとともに、社会について広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと

とされている(学校教育法第51条)。

○ また、その卒業は、大学等の高等教育機関への入学に必要な基礎資格となるとともに、様々な職業分野における資格試験において受検に必要な基礎資格となっている。

○ 高等学校においては、上記のような目的・目標を踏まえ、各学校における各教科・ 科目に関する教育活動や特別活動、総合的な学習の時間、学校外活動などを通じて、その実現を目指している。

(2)高等学校の現状等(中学校卒業者の現状を含む)

(高等学校の現状)

○ 今日の高等学校は、それぞれの学校ごとに入学者選抜が実施されているものの、全体としては中学校卒業後の生徒の約98%が進学しており、その結果、生徒の興味・関心、能力・適性、進路等は極めて多様となっている。

○ 例えば、学力面については、極めて高い能力を有している者がいる反面、小学校及び中学校での学習内容を十分に修得していない生徒も少なからず見られる状態となっている。

○ また、高等学校を中途退学する生徒は少しずつ減少してきてはいるものの、依然として5万人を超えている。

○ こうした状況の中で、特に普通科の高等学校は、大多数の保護者や生徒の進路希望が大学進学であるため、大学入試に大きな影響を受け、その準備のための教育に偏りがちとなり、学校教育法に規定する高等学校教育の目標の達成等を軽んじる嫌いがあるとの指摘がある。

○ 他方、職業学科の高等学校は、将来の職業に対する目的意識を持たせる教育を通じて、主体性や自立心が育まれ、卒業者に対する産業界からの評価が比較的高くなっているとの声がある。

(いわゆる「適格者主義」について)

○ 高等学校におけるいわゆる「適格者主義」については、高等学校進学率が約67%であった昭和38年の「公立高等学校入学者選抜要項」(初等中等教育局長通知)において、「高等学校の教育課程を履修できる見込みのない者をも入学させることは適当ではない」とした上で、「高等学校の入学者の選抜は、……高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定して行なうものとする」とする考え方を採っていた。

○ しかしながら、その後、進学率が94%に達した昭和59年の「公立高等学校の入学者選抜について」(初等中等教育局長通知)においては、「高等学校の入学者選抜は、各高等学校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行う」として、高等学校の入学者選抜は、飽くまで設置者及び学校の責任と判断で行うものであることを明確にし、一律に高等学校教育を受けるに足る能力・適性を有することを前提とする考え方を採らないことを明らかにした。

○ これを踏まえ、平成11年の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」においては、「今後、このような趣旨が更に徹底され、後期中等教育機関への進学希望者を盲・聾・養護学校高等部も含めた後期中等教育機関全体で受け入れられるよう適切な受験機会の提供や、高等学校の整備、盲・聾・養護学校の高等部の整備などの条件整備に努める必要がある。」と指摘されている。

○ また、平成22年度から公立高等学校の授業料無償化及び就学支援金制度が創設されたが、この制度は、高等学校への進学者が98%に達し、国民的な教育機関として位置付けられていることにかんがみ、その教育に係る費用について、社会全体で負担することにより、家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある生徒の後期中等教育段階の学びを支援することを目的として実施されている。

(これまでの改革と成果)

○ 高等学校は、所定の教育課程を履修し、目標に関して一定の成果を上げて必要な単位を修得することにより卒業を認める単位制を採用しつつ、各学年の課程の修了認定を行う学年制を併用している。昭和62年の臨時教育審議会答申「教育改革に関する第四次答申」において、「学習者の希望、学習歴、生活環境などに応じて高等学校の教育が容易に受けられるようにするため、個別的な教科・科目の単位取得の認定、単位の累積加算により卒業資格の認定を行う新しいタイプの高等学校(単位制高等学校)を設置できるようにする」と提言されたことを受け、昭和63年に学年制によらない単位制高等学校制度が創設され、定時制・通信制課程に導入された。

○ 更に、平成3年の中央教育審議会答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」においては、「生徒の実態に対応し、できる限り幅広く柔軟な教育を実施することが必要」との基本的な考え方に基づいて、総合学科の創設や学校間連携、学校外学修の単位認定制度の拡充、学年制によらない単位制高等学校を全日制課程にも拡大することなどが提言され、こうした提言が着実に実現されるとともに、中高一貫教育校制度の導入等、生徒の多様化に対応するための様々な施策が推進されてきた。

○ また、各都道府県では、高校教育改革のための計画を策定し、地域の実情に応じた独自の取組がなされ、例えば、学力向上のための取組や不登校・中退経験のある生徒に対する重点的な支援、基礎・基本の定着のための取組等を始めとして、多様な生徒の実情に応じた特色ある改革が推進されている。

○ その結果、総合学科を設置する学校数や中高一貫教育校の数は年々増加し、学校外学修の単位認定も多くの学校において活用されている。生徒がそれぞれの興味・関心、能力・適性、進路等に応じて、新しいタイプの高等学校など多様な内容・方法で学ぶことができる取組を進めてきており、生徒が自らの学びを進めるに当たって選択の機会が拡大してきている。

○ ただし、総合学科については、生徒の個性を生かした主体的な選択による学習を可能とするために多様な科目を設置しているものの、生徒が目的意識や将来の進路への自覚を持っていないため主体的な科目選択を行わせることが難しい、教員数が十分ではないため、多様な教科・科目を開設することが難しいといった課題も指摘されている。

○ このほか、教育内容については、完全学校週5日制の実施等に伴い、平成11年改訂により卒業までに修得すべき単位数を減じるとともに、必履修教科・科目の単位数を削減し、選択教科・科目の割合を高めるといった弾力化が図られてきている。また、特に通信制課程においては、学校外の場所を活用した面接指導の実施など、多様な学習形態による教育が行われている。
 これらにより、生徒の多様な学習ニーズに応えることが可能となったが、生徒の多様化への対応が進むことで、生徒の発達段階や学校教育体系の中での小・中学校教育との関係等も踏まえ、高等学校教育として共通に求められるものは何かという視点が弱くなっているとの指摘がある。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室義務教育改革係

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室義務教育改革係)

-- 登録:平成24年09月 --