初等中等教育分科会(第151回) 議事録

1.日時

令和7年7月25日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 初等中等教育における教育課程の基準等の在り方に関する審議状況について
  2. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する審議状況について
  3. 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律について
  4. いわゆる高校無償化をめぐる動向について
  5. その他

4.議事録

【貞広分科会長】  では、定刻となりましたので、ただいまから第151回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、そして猛暑の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 3月26日に正委員の皆様に御出席いただき開催されました第149回の初等中等教育分科会において、分科会長に選任されました貞広でございます。改めまして、お世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 本日は、新たに臨時委員に任命された方々も含めた初めての会議となります。委員の皆様からは後ほど意見交換の際に御発言をいただくこととし、初めに事務局の御紹介をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  事務局の教育制度改革室長、草野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。前回の会議以降、4月1日付で、私、教育制度改革室長に就任してございます。
 本日出席しております事務局の紹介をさせていただきます。
 学習基盤審議官の堀野でございます。

【堀野学習基盤審議官】  よろしくお願いします。

【草野教育制度改革室長】  文部科学戦略官の今村でございます。

【今村文部科学戦略官】  よろしくお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  初等中等教育企画課長の黄地でございます。

【黄地初等中等教育企画課長】  黄地です。よろしくお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  なお、初等中等教育局長の望月と審議官の今井は途中の参加とさせていただきますので、一応事前に御報告でございます。
 事務局からは以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。
 続きまして、本日の会議開催方式及び資料につきまして、こちらも事務局より御説明をお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  引き続き草野でございます。
 本会議は、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催をさせていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐縮ではございますが委員の皆様におかれましては、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言のとき以外も含めて、会議中はオンにしていただくようにお願いします。なお、本日、冒頭御説明申し上げましたが、報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 続きまして、会議の資料の確認でございます。本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から4まで、加えて参考資料としまして、1から12までとなってございます。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。
 議題に入ります前に、先日書面審議を行いましたので、私からまず、その内容について御報告を申し上げます。
 令和7年7月1日付の書面審議におきまして、参考資料1のとおり、質の高い教師の確保特別部会の名称を、教師を取り巻く環境整備特別部会と変更することをお諮りさせていただき、案のとおりとすることで御了承をいただいたところでございます。教師を取り巻く環境整備特別部会につきましては、先日初回の会議を開催し、本日この後、御報告をいただくことになっております。給特法の改正などを踏まえて、さらに議論を進めることとしております。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は次第に記載のとおり、議題が大変重い、盛りだくさんな感じで、四つございます。時間の都合で御発言いただける委員に限りが生じてしまう場合もあるかと思います。その場合は、会議の後に事務局宛てにメールをいただければ議事録に掲載することとしたいと思いますので、あらかじめ御了承いただければと存じます。
 では、議題1です。議題1は初等中等教育における教育課程の基準等の在り方に関する審議状況について、議題2は多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する審議状況についてです。この二つは、昨年12月の諮問を受けて、これまで教育課程部会、教員養成部会においてそれぞれ議論が重ねられていますが、諮問においても二つの諮問事項について連携して、議論することとなっておりますので、こちらにつきましても、まとめて議論できればと考えております。
 また、本日は臨時委員の方々も含めて初めての会議となりますので、質疑については、名簿順にて全ての委員から御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず、事務局より御説明をお願いいたします。

【武藤教育課程課長】  失礼いたします。教育課程課長の武藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、教育課程企画特別部会における審議の状況についてということでございます。昨年12月25日に中教審の総会で諮問をいただきました。この諮問を受けまして、大きく四つの審議事項、質の高い深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい指導要領、それから多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程、各教科等やその目標、内容の在り方、そして、負担への指摘に真摯に向き合うことを含めた指導要領の趣旨の着実な実現と、こういう四つの大きな審議事項をお願いしているところでございます。
 その後、初等中等教育分科会の下の教育課程部会の下に教育課程企画特別部会というのを設けまして、まさに貞広先生に部会長をお務めいただきながら、この間、10回にわたる議論を進めてきたところでございます。議論の過程では、委員からの御発表、それから学校現場からの御発表、こういったものを踏まえながら、事務局からの論点資料を基に精力的に御議論いただいてまいりました。毎回、かなり濃密な御議論をいただいてきたところでございますが、今日は時間の関係上、特に大きなところについて御紹介を申し上げたいと思います。
 まず、一つ目が学習指導要領の構造化ということでございまして、生きて働く知識・技能、これについて、また、思考力・判断力・表現力等について、今、学習指導要領の記述がべたっと整理をしてあるわけですけれども、例えば知識・技能につきましては、個別の知識・技能と、それから教科の主要な概念の深い理解、この縦の関係がもっと分かりやすくなるように、また、思考力・判断力・表現力等についても、個別のものと複雑な課題の解決で、2層構造でより学校現場にとって分かりやすいような整理をしていきたいと思っておりまして、こういった方向でいけば、学習指導要領そのものが一定のスリム化が図られ、それを踏まえた教科書であったり、あるいは指導書であったり、こういったことが可能になるのではないかと思っております。
 二つ目が大事な論点でございます。柔軟な教育課程の論点ということであります。現行は教科A、教科B、それぞれ標準時数が割り当てられておりますけれども、新たな仕組みにおいては、例えば教科B、Cから一定程度授業時数を減じたものを教科Aに上乗せしたり、あるいは特に必要な教科に充てたり、さらには学校の裁量で使えるような時間に充てると、こういう御提案を申し上げ、議論をしていただきました。とりわけ裁量的な時間というところについては、様々な外部のプログラムを学校に導入するということに加えて、例えばこれを授業研究や教員研修や、さらには教材研究や、こういったところに充てるかどうか、このことの適否、充てるとすればどの程度の時間を充てることができるか、その辺りの制度設計についても御議論いただいたところでございました。
 また、今、申し上げたものが下段です。学校として編成する教育課程を一層柔軟なものにしていくことに加えて、一番右側、プラスとありますけど、学習指導要領に示す内容項目の学年区分の取扱いの柔軟化、それから週当たりの授業時数の柔軟化、こういったところで学校の教育課程全体をフレキシブルなものにしていくということに加えて、上段になりますけれども、個々の子供たちに着目した特例の新設・拡充ということで、例えば、日本語指導が必要な子供たちへの特例の拡充、それから不登校の子供たちに関わる教育課程の特例、今これございません。これを新たにつくっていく。さらに特定分野に特異な才能を有する、そして、その才能がゆえに様々な困難を抱えている子供たちを一定程度、外部の機関等々のサポートも受けながら教育課程を組んでいくと、こういうような特例の新設も御提案申し上げ、そして御議論をいただいたところでございました。
 また、特に情報活用能力の抜本的な向上というのが大きな課題になっておりました。情報技術の活用、それから適切な取扱い、特性の理解、三つに要素分解されるわけでございますけれども、とりわけ活用のところ、小学校で特に明確な位置付けがなく差が大きい、探究でICTが使われていない、適切な取扱いについてはメディアリテラシーが弱い、負の側面への対応が不十分である。さらに、特性の理解については小学校で扱われておりませんし、中学校では、技術家庭の技術分野のごく一部になっている。生成AIについては全く扱われていないと、こういうような状況がある中で、とりわけ小学校は全く今、扱いがないところでございますので、中ほど、総合的な学習の時間に情報の領域を新たに付け加えるという議論、また、そういうことも含めて、その基盤の上に立って、中学校で新しく技術分野というのを家庭科から分離するという議論、そして、さらに充実させた上に高校の情報化をさらに深めていくと、こういう御提案をしたところでございました。
 今申し上げたようなことも含めて、左上、指導要領を構造化し、右上、標準授業時数を弾力化するということを踏まえると、それを踏まえた教科書の重点化と内容の精選というのを行っていこう、そのことに関わって入試も改善を検討していこうと、こういうことになっているところでございます。
 最後、評価でございますけれども、知識・技能、思考・判断・表現、それから主体的に学習に取り組む態度、これらは、いずれも目標準拠評価で評定につなげておりましたが、今後は学びに向かう力、人間性を個人内評価にし、評定はつけないということにしながら、特にポジティブな状況が表出した場合は、思考・判断・表現の項目に丸をつけると、こういうような新たな仕組みというのを御提案し、御議論をいただいたところでございました。
 以上でございます。ありがとうございます。

【大江教育人材政策課長】  続きまして、教員養成部会の審議状況について御報告させていただきたいと思います。教育人材政策課長の大江でございます。
 本日、資料2-1から2-4まで御用意させていただいておりますけれども、時間の関係がございますので、資料2-1のほうで御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目の下の段でございますけれども、昨年12月の諮問におきまして、三つの柱で諮問させていただいたところでございます。秋田部会長の下で、3本の諮問の柱に沿ってこれまで有識者のヒアリング、それから様々な委員同士の御議論ということで、7回にわたり御審議をいただいたところでございます。本日、時間の関係ございますので、三つの諮問の柱に沿ってどんな議論がされたかというのを、かいつまんで御説明を差し上げたいと思います。
 次のページでございますけれども、まず、一つ目の柱でございます。社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方についての御議論でございますけれども、幾つかピックアップをさせていただきますと、まず、(1)の教職課程の在り方でございますが、三つ目の矢印のところでございます。教職課程には概念と実践の融合が求められることから、オンデマンド教材を活用する際は対面の授業において、オンデマンド教材などにより、学習した内容を活用して対話し、実践に結びつける学びのトータルデザインが必要ではないかといった御議論。それから一つ下でございますけれども、教職に関する基礎的な法令や指導方法等の知識について、デジタルを活用して習得・確認できるシステムを構築できれば、教師を目指す学生の学び方を柔軟にし、教職課程の在り方を含めた大学における教師養成の仕組みを、質を落とさずに再構築することにつながるのではないか。また、学生の学びの成果をこれまで以上に実質的に保障する意味でも効果的ではないかといった御議論をいただいたところでございます。
 それから、右に移りまして、(2)の教員免許制度の在り方でございますけれども、二つ目の矢印でございます。現状、教員免許を取得するために単位数を多く取らなければならない授業という形になっておりますけれども、自ら選択、判断をし、意思決定するようなカリキュラムとなっていないのではないかと。1人でも多くの優秀な人が教職を目指してくれるよう単位数の見直しも含めて検討することが必要ではないかといった御議論。二つ下になりますけれども、教職生涯を見据えて自ら課題を設定し、その課題解決に向けて研究開発できる探究力、研究力を身につけるため、教育臨床研究を充実すべきではないかといった御議論。さらに一つ下でございます。現在の教員免許制度の中で、短大、学部段階の教師養成について担保している質を落とさないことを前提として、教員免許取得に至る学びを再構築の上、改めて標準的な教員免許状としての位置付け、その上でより高い専門性は教職大学院で確保するというような仕組みづくりが必要ではないかといった御議論。
 次のページでございます。二つ目の柱でございます教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方でございますが、まず、採用の在り方について、二つ目の矢印でございます。就職氷河期の世代の採用等を鑑みて、教師の中途採用の拡大や民間企業に在籍しながら学校に勤務するというような形態も視野に入れていく必要があるのではないかといった御議論。一番下でございますけれども、採用選考の第一次試験の共同実施により、各都道府県において単独で実施している現状と比べて、複数の自治体が問題作成に参画することによる試験内容の質の向上、それから第一次選考の問題作成に係る負担軽減、第二次選考における人物・実践重視の定例な選考の実施、教員採用試験選考に係る教師や教育委員会事務局の作業の合理化、経費の削減による児童生徒への対応や学校運営などの業務への注力などの点においてメリットがあるのではないかといった御議論。
 それから右に移りまして、現職教師の能力向上ということで、二つ目でございます。養成段階を超えて、現職教師や教職志望の社会人等が学びたいときに学べる環境づくりが必要であり、そのため、経済的負担の軽減、研修等定数の拡充、有給研究休暇制度等を検討する必要があるのではないかと御議論ございました。
 次のページでございます。3本目の柱でございます、教職へ参入しやすくなるような制度の在り方について、まさに今、御議論していただいているところでございまして、主に四つのテーマごとに御議論いただいております。テーマのみ御紹介させていただきたいと思いますけれども、一つは教員資格認定試験の在り方、大学院での教職等に関する学習によって教員免許取得可能な仕組みの在り方、それから特別免許状等の更なる活用促進、企業等に在籍しながら教師として勤務する際の任用形態の在り方について御議論いただいておるところでございまして、8月7日の次回議論も含めまして、引き続き御議論いただく予定になってございます。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの二つの審議状況の御説明を受けまして、委員の皆様の質疑応答、意見交換に入ります。先ほど申し上げましたとおり、名簿順にこちらから御指名させていただきますので、順に御発言いただければと思います。なお、全ての委員から御発言をいただくため、お一人2分以内をめどに御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 名簿順で一番最初、秋田喜代美委員でございますけれども、秋田委員は目下移動中で、公的な場で御発言が難しいということで、事務局に発言内容をお預けいただいていますので、こちら事務局より代読をお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  事務局から秋田委員の代読でございます。
 学習院大学の秋田喜代美です。本日は出張の関係で車内からの参加になりますため、発声で周りの迷惑はかけられないために、出席しながらも代読をお願いさせていただくことになりますことをまず、おわび申し上げます。
 第13期の始まりに際しましては、個人の意見を2点述べさせていただきます。第1点は、令和6年12月の大臣諮問を受けての教育課程部会、教員養成部会の検討の大きな方向性が各々見えてきたところです。各々に新たな変革が求められる中で、教育課程部会の委員と教員養成部会の委員を兼任する者の1人としては、まず、一つは、新たな学習指導要領を全国100万人の先生方が理解し、実施していくための方策の検討が必要と考えます。いわゆる伝達ゲームで、国から都道府県教育委員会、基礎自治体教育委員会へ周知普及される形式のみならず、デジタルの普及によって、直接何が求められるかを同時に一斉に分かりやすく届け、また、現在の先生方の行っている実践に敬意の意を持ちながら、さらにどうしていくとよいかを教師が自分事として参画しながら考えていけるような学習指導要領や、それに伴う学習評価の在り方の理解、共有の方策をぜひ検討いただきたいと考えます。
 現在のYouTube配信も一つですが、より簡便にと考えます。デザイン段階の現在から実施、インプリメンテーションの段階を見通しながら御議論、検討いただきたいと考えます。各教員が自身の学校種、教科関連内容の理解を深めることの必要性は言うまでもありませんが、何が今回の改訂で一層大事にしたいのかの哲学や原理が分かるように届け、また、それに対する教師たちの生の声がもらえ、対話ができるような機会も重要と考えます。今回の改訂では、教科書の在り方もカリキュラムマネジメントの在り方とともに大きく問われますので、この点の議論も丁寧に大事にしたいと考えます。
 次に、第二点として、新学習指導要領や情報活用を深く理解する教員を養成していくためには、教員養成のカリキュラムの在り方が連動して見直しを図ること。また、児童生徒と併せて、教師の学びのためのデジタル学習基盤や教員養成大学での学習のデジタル学習基盤の一層の充実と発展のための整備が喫緊に必要になると考えられます。また、余白を持つことは、学校の教師、生徒だけではなく、教員の養成においても重要なことです。この点でも教員志望の減少の中で、これからの学校の教師の仕事への魅力化を教職観や研修観の転換をともに図り、多様な人材が教員になるための裾野を広げる、高校生へのアプローチや博士課程人材や社会人からの教師へのキャリアルートの保障を確保すること。また、一定の質の高い教員人材を確保するための採用試験の在り方の全国的検討、さらに、現職になってからの学びの専門家として、教師が専門的な仕事に専念できるためのサポートスタッフの拡充やサプライティーチャー等の制度の導入、研究休暇制度等での大学院をはじめとする場での自己選択による学びを深め、学び直しができる制度をつくっていく必要があると考えます。この意味では、13期は初等中等教育部会において、新たな公教育への希望と信頼を制度的に確かなものにしていく重要な時期と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、名簿順に御指名をさせていただきます。続きまして、オンラインから今村久美委員、お願いいたします。

【今村委員】  今村です。よろしくお願いいたします。
 私は教育課程企画特別部会に参加させていただいておりますので、そちらのほうで、詳細の議論については把握させていただきつつ、述べさせていただいているところなんですけれども、昨今の政治や社会情勢を踏まえて、改めて、公教育の意義の大きさというところをどのように捉え直していくのかということに、すごくその大きさを痛感しているところです。
 不登校の子供の数が増加している中で、個別最適な学び、そして特別な教育課程もさらに運用していくということが今、議論されているわけなんですけれども、それと同時に、公教育の中で出会う人との折り合わないということの学び、折り合っていく、妥協点を見つけていくという集団の中での学び、多様性を認め合いながら差別をせず、どんな人でもそこで楽しく過ごしていける権利を持っているということを前提に共生していくということの作法を、どのように個別最適な学びを実現し、個別最適な学校環境をどんな人たちでも見つけていきながら、そして、不登校の子供たちに対する支援を届けながらも、みんなで集団性の中で学んでいくということも実現していくことの必要性も同時にやっていかなきゃいけない、そういったことを突きつけられているという今回の教育課程の改定の中で、その両面をさらに踏み込んで、さらにAIを使いながら、どのように学校が子供たちに大切なことを届けていける場所に改めてなっていくのか、ここのところが大きく問われているところだと思っています。
 不登校はきっとまた今年も増えているという数字が出てしまうのではないかなとは思うんですけれども、どうか、とにかく社会をつくる基盤としての公教育であるということを再認識して、どんな経済的な家庭環境で生まれた子たちも格差なく、身につけていけるものを届けていける公教育に改めてブラッシュアップしていくということに貢献していきたいと思います。
 以上です。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、続きまして、岩本悠委員、お願いいたします。岩本委員は資料も提出してくださっていますが、これは画面共有は、事務局の方でしていただけるんでしょうか。岩本委員がされますか。

【岩本委員】  私、口頭で話させていただきます。議題の一つ目について3点、特に議論に関して意見を述べさせていただけたらと思います。
 資料ありますので、本当にポイントだけお伝えさせていただけたらと思うんですけども、一つ目が、これまでの審議の積み重ねを踏まえて、改めて次期学習指導要領における育成を目指す子供の姿だとか教育理念というところを言語化、明確化するタイミングではないかと思います。ここまでの審議を踏まえると、次期学習指導要領において目指す方向性というのは、これまでありました多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越えて、幸せな人生と持続可能な社会の創り手となれるようにしていくといったような方向性が、ある程度、合意というか、その中で議論がされてきたのではないかと思います。また、特に初等中等教育段階においては、子供たちが多様な他者との対話や協働を通じながら、自らの学びの創り手となっていけるようにしていくというような話だったのではないかと思います。つまり、子供たちが人生、社会、そして学校段階では学びの創り手と位置付けていくというような、一貫した指針みたいなところを改めて言語化というか、共有した上で個別の議論に入っていければいいのではないかと思います。
 2点目が、先ほど今村委員からもありました、多様な他者との対話と協働による協働的な学びというものを、改めて、こういった学びこそが学校に通う意義だったりとか集団や社会の中で学ぶというところの本当に本質、根幹をなす学びの在り方でありますので、個別最適だとか自己調整といった、そういったところの学びを深めていく上でも、もう一方の協働的な学びの現代的意義と価値というところ、改めて見つめ直し、見直し、しっかりと学習指導要領上も、こうした学びの価値を位置付けていくというところはぜひお願いしたいと思います。
 最後、3点目は、「社会に開かれた教育課程」ということが現行の学習指導要領の表現で理念、語られてきたわけですけども、今後、次期学習指導要領においては、この理念の中身はしっかりと維持させつつも、さらに一歩推し進める形で、子供を主語にしたときには「社会に開かれた」ということではなく、子供自身が「社会とつながる」というところにまで今回の指導要領の理念としてしっかりと表現していけることが大事ではないかと思いますので、社会とつながる教育課程とか社会とつながる教育環境みたいな形で子供を主語に、そして社会的に包摂されていくというようなイメージだとか意味合いも分かりやすいような形で用語の変更というか転換、進化というようなところも御検討いただけたらと思います。
 以上です。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、桑原悠委員、お願いいたします。

【桑原委員】  私は就任来、次のまちをつくる人材育成に力を入れてきました。30代・40代の農業法人は10法人以上増え、町立病院では20代の医師が経営に参画し、今後はリゾート施設の再生により観光をリードする女性、若手の育成に向かうところです。学校現場と産業の連携も、加速しつつあります。
これまでの審議により、教育手法に関して、かなり充実した議論がなされていると受け止めました。一方、「何を教えるか、何を学ぶのか」という教育コンテンツの議論が同時に重要と思い、それについて言及します。
そもそも教育は、人間として文化的な豊かさを得るための基盤であり、産業を根底から支える機能であると考えております。過去の時代においては、産業の大規模化を求めての、標準化・量産が非常に重要視されてきており、底上げを重視して教育制度は作られてきたと理解しています。また、その制度は、自動車産業をはじめとする日本の製造業の礎となっていました。一方で、時代が移ろう中で、昨今は、IT技術の発達と、グローバリズムやダイバーシティ・インクルージョンの進展によって、情報の刷新と多様化・複雑化・高度化が非常に進展しています。また、AIの発展により、知性のアシスト機能が登場してきており、人とAIを組み合わせて考えた時に人に求められる知性の在り方というものも変化しつつあるように感じます。このような環境変化の中で、才能ある若手の活躍にも焦点が当たることもあれば、人生を通じての継続的な学びの必要性も増しており、「教育」というものがカバーする範囲は、広くなり、複雑になり、構造変化も著しいように感じます。
 そのようななかで、産業を根底から支える機能として、人々のパフォーマンスを最大化し、国力とするには、国がどういう方向に行こうとしているから、どういう人材が、どれくらい必要であるかということを曖昧にせず、十分に分解する必要があるのではないかと考えます。産業ごとにどう育成するかは、それぞれの産業ごとにあって、経産省などでは議論もされているかと思います。企業活動においては、大企業と中小企業で格差はありますが、成人後の育成に頭を悩ませ取り組まれているのがほとんどかと思います。そこと、文科省施策がもっとうまく連動する必要があり、それぞれの地域や産業の特性を踏まえて、理想とする教育像を持つとともに、その拡充に向けた取り組みを行わなければならないと考えております。将来関与する仕事や社会によって、必要な知識の種類や総量は異なるため、そこに応じた選択的な学びができるような教育コンテンツの準備と選択・提供のプロセスを構築することが必要と感じます。
これは、中央で画一的にコンテンツを定義するのではなく、都道府県・市区町村、さらには、各地域における産業とも整合する形で、解像度を上げた整理と、それぞれの単位への選択権限の委譲、教育コンテンツ作成に対する補助が望まれると考えます。これは、地方は地方で、しっかりとした注力を行う意思を込める必要があると認識しています。成人を目安に教育を終えて、あとは自分の問題・企業活動に委ねる、とするところから一歩踏み出る形で、しかしながら若年層における過剰教育とならないようそれを薄く延ばす形にしながら、学び直しやリスキリングといった、人生を通じて学び続けるという形へと、教育システムを再構成させていくことが望ましいと感じております。産業・企業が主な役割を担っている成人後の各種育成と連動できる検討体の形成も望まれるものと考えます。これは、国主導で検討頂きつつも、産業とも大きく連動する話であるため、地方もしっかりと追随する形で議論を行う必要があると感じています。
 以上です。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、戸ヶ﨑勤委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  戸ヶ﨑です。先ほど武藤課長からも御説明がありましたとおり、教育課程企画特別部会はこれまで10回開催されて、週明けには11回目が開催されることになっています。その都度、3時間程開催されることも多く、大変熱く濃密な議論が繰り返されております。膨大な議論が積み重なって、今まさに湯気が出ているように思っています。事務局の資料も完成度が高く、教育的価値の高い書物になってきています。
 これまでの中教審や文科省の会議では、出来上がった審議のまとめや答申を教育関係者が目にするという構図でしたが、最近の会議は全面公開されて、この特別部会はアーカイブ動画も期間限定で学校現場に公開されています。会議の傍聴も毎回、1,000人を超えたり、学校での校内研修で会議資料や動画が活用されたりと、会議のプロセスにもこれまでにない強い関心が寄せられています。ぜひ論点整理においても、学校現場に刺さるような動画配信などもお願いしたいと思っています。
 資料や議論の中にある新たな教育課程の仕組みの実現に向けては、学校が果たす役割や義務教育の意義などの立体的な理解に基づく改革を進めていく必要があると思います。学習指導要領が目指す質の高い授業や学びには、学びの高度専門職である質の高い教師の確保が不可欠となります。今、まさに教員養成部会で濃密に議論されている、専門性を有する質の高い教師を確保する手段を迅速に講じていく必要があります。
また、教室の中にある多様性や包摂性に丁寧に対応する新たな学習指導要領の実現には、教職員定数改善等の指導体制整備、また、教育委員会の指導、助言、生徒指導、特別支援教育、ICT学習基盤、幼児教育、さらには教科書など多くの領域を強固に組み合わせた立体的な施策が必要です。真の働き方改革との一体的な実現も不可欠です。家庭や地域との連携協力も重要となります。
 大変僭越ながら申し上げますと、文科省には改訂のモメンタムをぜひ生かして、教育課程課を中心として、望月局長の下、初中局が総力を挙げて、さらに教育人材政策課を中心にした総合政策局も車の両輪として強固に関わって、矢野文科審の陣頭指揮の下で、オール文科省で総力を挙げて、全国の教育委員会や学校が三つの気、勇気、元気、覇気、これが湧き出るように、イニシアチブをとっていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、奈須正裕委員、お願いいたします。

【奈須分科会長代理】  よろしくお願いします。上智大学の奈須です。前半の教育課程のほう、ずっと関わってきました。先ほど課長から御説明あったように、いろいろな改革が進むわけですけども、概して言うと、学習指導要領の基準性をいい形で緩めていくというか裁量拡大を行う、余白という言い方もしていますけれども、それが一つ大きな流れじゃないかと思っています。このことはいろいろな報道とか現場の反応でもとても歓迎されていると思うし、それでいいと思うんですけども、この先よくよく考えると、この余白、あるいは裁量権をどうやって各地方、各学校現場が生かしていけるかが、実は問いとしては起こってくるんだろうと思うんです。まだまだ時間があるので、それがどういうことかをそれぞれでしっかりとお考えいただくようなことをどう推進していくかが案外大事だなと思っています。
 日本の学習指導要領は規定性が高いということをよく言われました。もっと自由度を上げてくれと。このところ、少し思うんですけど、籠の鳥という言い方がありましたが、籠の鳥は扉を開けたらすぐ飛び立つのでしょうか。これが今、私は改訂作業を進めている中で、先のことではありますが考えなきゃいけないことだと思うんです。自由にそれぞれの鳥が自分の求めるところへ向けて飛び立っていけるようなものとなることを、一方でどこか考えなきゃいけない。これは制度をつくるとかという話とはまた全然違ってくる。制度をつくるというところでは、今進んでいることで私はいいと思うんですが、特に各地方教育委員会とか各地方自治体ですよね。戸ヶ﨑先生のところのように、どんどんやりたいことを見つけて自由闊達にやっていただけるといいんですけれども、自分たちがやりたい教育をしっかり見据えていく、こういう動きが下から起こってくることを今後どうやって実現していくか、少し気が早いようですけども、このことを併せて考えていく。また、そこを信じていくということが大事で、そこを信じていくから、委ねることができるんだろうと、そんなことをこの段階で今、考えております。
 以上です。

【貞広分科会長】  では、会場から藤田大輔委員、お願いいたします。

【藤田委員】  大阪教育大学の藤田です。私は24年前の池田小学校で事件後、6年目から4年間、学校長を経験したことから、子供たちの命を守る学校安全の視点について、2点、今後の審議についてお願いしたいと思っております。
 まず、1点目は、現在も児童、生徒、教職員が学校内のみならず、登下校中に被害を受ける事件、事故が、また、災害の発生、これらを限りなくゼロに近づけるとともに、たとえ事件、事故が発生したとしても、被害の程度を最小限にとどめる。そのために、児童、生徒、教職員にとって安心して学び、活動できる場としての学校を持続可能な観点から保障していく多面的な取組が必要であると考えております。そのため、児童、生徒に対しましては、次期学習指導要領の策定に向けて、教科横断的な視点に基づきつつも、さらに家庭や地域と協働する安全教育の実施方法や、また、実施時数の確保、充実を促すような検討を進めていただければと思っております。
 また、第2点としましては、教職員の働き方改革も含めまして、学校における安全推進に関わる教育と管理、さらに地域との連携、これらを担う学校の中核人材となる教職員の育成制度の充実と、できれば校務分掌への位置づけについて検討を進めていただきたいと思っております。
 以上、私のほうからの要望です。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、堀田龍也委員、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  東京学芸大学の堀田でございます。よろしくお願いいたします。私も教育課程企画特別部会の委員に任命していただきましたので、一つ目に御説明いただいた件につきまして、次期学習指導要領に向けた、特にデジタルの観点で関わってまいりました。大臣諮問には三つの検討事項がありますが、そのうちの特に三つ目の部分について関わってきたということになります。具体的には、学習指導要領をデジタルで表現し、各教科や項目間の関係をもっと理解しやすくし、それがデジタルの教科書や教材とうまくつながるようなことになれば、学びの質保証ができる可能性が高まるんじゃないかみたいなことや、あるいは、GIGA端末を用いて探究的に学びを進めていく子供たちにとっての基礎的な能力である情報活用能力をどのように抜本的な向上につなげていくかという教育課程の在り方等について、意見を申し上げてまいりました。こういう議論に関わってきた者として、二つ申し上げておきたいと思います。
 一つは、我が国が迎えている人口減少とか給料がなかなか上がらないとか、あるいは生成AIが出てきて、職業の新陳代謝みたいなことがこれからもっと激しくなる、そういう時代を迎えたときに、教育内容、各教科等の教育内容が真にこれからの社会に役に立つ内容になっているのかどうか、あるいは、直接的に小学生に社会の出来事を教えても無理なんだけども、それぞれ学んでいる基礎的なことがどのように社会とつながっているのかということをもっと明示的に表すような、それによって学ぶ価値が理解できながら学んでいけるような、そういう教科の内容改訂を進めていただければと思うというのが一つ目でございます。
 また、二つ目ですが、これは教員養成についてですけども、学校現場では今、1人1台の端末があり、3種類のOSのいずれかの端末から様々なクラウドツールを使って、子供たちができるだけ探究的な学びになるように学習を進めていく、そのような授業改善に先生方は御努力されているわけですけど、そういうところに着任する人材を育てている教員養成大学における学生の学びが、果たしてGIGA対応できているのかということについては非常に心もとない状況があります。これは教員養成におけるデジタル学習基盤の整備については秋田委員もおっしゃいましたけども、例えばそれはもう必ず義務づけるとか予算措置をしっかりしていただくとかということも僕は重要だと思いますし、また、そういう基盤の下で、学生自体の学びが探究的になり、自己決定的になるような、そういう学び方が保障されるような教員養成であるかどうかのチェック、そういうようなことについて進めていただく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、吉田晋委員、お願いいたします。

【吉田委員】  ありがとうございます。日本私立中学高等学校連合会の吉田でございます。私も今回の教育課程のこと、そして教員免許状のことでいろいろ皆さんに御労苦いただいていることに改めて感謝するところでございます。
 そういう中で、まず、教育課程につきましては、今日の武藤課長の御説明にもあったように、今回、ある意味、縦の関係と横の関係の質をより重要視して良い教育にする、そして柔軟な教育課程を築いていこうということでしたが、本当に大賛成です。そして、それが生かされて、今回の裁量的な時間という画期的なものも出てきていますので、それが実際にどのように我々がつくっていけるのかということが今回の課題なのではないかと思っています。
 そういう中で、ぜひ御理解いただきたいのは、縦横の関係って教育課程だけではなくて、私は大学との関係、それから高校同士、中学同士、横の関係というのも大きいと思っています。例えばの話、高校以下の教育課程というのは、はっきり言って大学入試によって大きく左右されます。大学入試が一緒に変わってくれない限りは、今の教育課程を維持しないと、特にリケジョを育成する云々ということでいった場合に、理科の科目、数学の科目、ああやって細かくやらない限りはそういう大学が受けられないわけですから、なかなか高校2年生で黒白じゃないですけど、理数系か、文系かを判断させなくてはいけないという部分を変えない限りは無理なのではないでしょうか。
 それからまた、高校同士でも、例えば地方から転勤でお子さんが転編入する時に、何々の単位を取っていないから、それがないために転学ができないなどということをよく聞きます。これも、高校以下では校長が判断すればできることなので、認定してあげて、そういうことも自由にできるようにしなくてはいけないですし、そういう縦横の意味での合理性というものもこれから必要なのではないかなと。そして、それが一人一人の子供の将来につながるということを理解していただきたいと思っております。
 それから、教員の採用の問題では、1点だけお願いをしたいのは、今日の資料の4ページで、採用の在り方の中で、一番最後の矢印で、公立学校の教員採用の話が書かれています。これはあくまでも公立学校の話なのです。私立学校も教員採用が厳しいのは事実なのです。そのことがどこにも書かれていない。ただ、その一方で、特別免許状のさらなる活用促進と、いい意味で、大学で50単位からの教職課程を取らなくても教員になれる制度ができている。でも、それが都道府県で消極的であるというのも事実だと思います。特に私立学校が出せるところではなくて、これは教育委員会が発行できる教員免許状ですので、教育委員会がそういう方向性を出せるかどうか。ただ、そのときに本当に教職課程を全く学んでいないでいいものなのかどうなのか。じゃあ、社会に3年以上出て、いろいろな意味で教育と関わっていた人ならいい先生になれるのか、これも、また疑問だと思います。そういう意味では、この辺のところの統一性というか、先生ってすばらしい仕事で、なりたいなという人がなれるための、そういう道を開けるような教職課程を、教員養成をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

【貞広分科会長】  では、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  日本学校保健会の渡辺でございます。私は資料1で1点、資料2で2点、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、資料1ですけれども、3ページに多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方に関して記述がございます。誰が教育課程の柔軟な編成の責任を持って行うのかを明確にする必要があるのではないかと思います。学校単位か、教育委員会単位かどちらか。また、自由な教育課程編成の効果やそれに対する評価をどのようにするかも、あらかじめ検討しておく必要があるのではないかと思います。学校や教育委員会間における教育課程の変化の差が児童、生徒の学力等にどのような影響があるのか。教諭などにどのような効果があるのかを検証しつつ、進める必要があると思います。学校側がよかれと思って授業編制を改定した結果、もしマイナスに働いた場合のことも考慮し、効果よりも弊害が多いと判断した場合には、すぐに修正できる体制を構築しておく必要があると思います。
 資料2-1の3ページに教員免許制度の在り方についての記述がございます。所得単位数が多過ぎて負担になっているから単位数を見直して優秀な人が教職を目指せるように、という意見には慎重に対応していただきたいと思います。単位を減らせば、優秀な人が教員を目指すようになるというのは短絡的な考えのように思われます。むしろ単位数ではなくて単位の内訳、質を吟味するべきではないかと思います。本当に教員になるため必要な単位は何かを検証するべきであり、必然と思われない科目は削除するなどの検討が必要ではないか。よって、単位数、つまり量だけを減らせばよいという意見には賛同しかねます。また、教育臨床研究を充実させることが必要と考えますけれども、研究に対する職務上の評価を併せて検討する必要があると思います。医療職は、患者という評価対象者があり、治療の結果で評価を判断しやすいですが、教員の能力を評価するのは容易ではないと思います。しかし、より客観的な評価法を検討し、採用する必要があると考えます。能力の向上を単に研修回数のみで評価することは避けていただきたいと思います。
 資料2-1の8ページに習得すべき単位についての記載がございますけども、小学校、中学校ともに、幼児、児童及び生徒の心身の発達や特別支援が必要な子供の理解についてという科目が入っていることは大変ありがたいと思います。教える知識、技能とそれを受ける子供の状態の理解は同じように重要でありますので、この科目の質と量の充実をしっかりと形にしていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、オンラインから青海正委員、お願いいたします。

【青海委員】  全日中の青海でございます。顕在化している様々な教育課題に取り組む上で、教師の努力と熱意に、いつまでも過度に依存することはできず、カリキュラムの実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合う必要性があります。令和6年夏の中教審答申に基づく教師の勤務環境整備と整合性を持たせ、令和の日本型学校教育を持続可能な形で継承、発展させることを前提とした、今後の学習指導要領の在り方について、分科会長、また、事務局の皆さんの御尽力で、丁寧かつ迅速に議論を進めていただいていることを感謝しております。
 学習指導要領を分かりやすく、使いやすくするために、内容の重点化や、目標や内容を大きく一つにまとめて構造化すること。教育活動の質的向上の好循環・学習効果の最大化を目指すカリキュラムマネジメントや、学校が生徒の多様な個性や特性、背景に対応できるよう、柔軟な教育課程を促進すること、主体的に学習に取り組む態度の評価を前に進めること、情報活用能力を抜本的に向上させることなど、いずれのテーマも必要不可欠であり、大変重要だと感じます。この改訂、この機会を逃してはいけない、今しかないと思います。また、各部会の同時公開により、検討の進捗状況を即座に教育関係者の皆様にお伝えしていること、これは大変好評であり、反応もあります。今後とも審議状況やタイムリーにお伝えすることが大切だと思います。
 以上です。

【貞広分科会長】  では、阿部貴子委員、お願いいたします。

【阿部委員】  全国公立小中学校事務職員研究会の阿部と申します。よろしくお願いいたします。
 私は学校現場で実際に仕事をしている事務職員ですので、私の役割としては、現場の様子をお伝えしながら、事務職員の立場で見る学校教育について、貢献できればと思っているところです。そういったことから、今の議題のところでは簡単でありますが、2点についてお話をさせていただきます。
 一つ目、情報活用能力のところで感じたところなんですけれども、子供たちの情報活用能力を高めていくためには、教師自体の活用能力を高めていくことが重要なのではないかなと現場から見ていて思っています。教科や授業内容、活動内容の関係で、使い方というか使用頻度だったり、内容の深さというものは様々違ってくるとは思うんですけれども、その違いはあったとしても、教師自身が活用できなければ子供たちに教えていくことはまず難しいということで、ぜひ先生方の研修の機会というものをもっと充実させるようなことも検討していただけたらと思っているところです。
 もう1点は、カリキュラムマネジメントについてです。カリキュラムマネジメントについては、人、物、金というような教育資源も一体的に考えていくことが重要だと思っています。私も事務職員という立場からよりよい教育の実現には、教育資源を充実していくことが必要だという考え方で業務を行っておりますが、マネジメント力の不足によって教育資源を有効に活用することができなかったり、自治体の財政力の関係で授業内容が左右されたり、お金をかけなくても教育資源を調達する様々な方法もあるかとは思いますが、そういう点でもマネジメント力は重要となってきますので、子供たちの学ぶ環境の充実のために、財源確保とマネジメント力の向上というところでカリキュラムマネジメントの議論も深まっていけばいいと思っているところです。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【貞広分科会長】  石川悦子委員、お願いいたします。

【石川委員】  石川でございます。こども教育宝仙大学で幼児教育、あるいは心理職の立場です。よろしくお願いします。
 私もこの春から教員養成部会に出させていただいて、皆様の議論を伺っているところです。それで、先ほどからも出ていますけれども、裾野を広げるということで単位数を減らして、教員を広く採用していこうというところなんですけれども、私なども不登校とかいじめの問題に関わることが多くて、子供たちの多様化というのはすごく進んでおります。また、保護者対応に非常に苦労する教員という姿を目の当たりに見ておりますと、そういったいろいろなことを養成課程で勉強して、そして、生活指導とかそういうところの力をつけて教員にならないと、本当に現場に出たときに苦労して早く辞めてしまうとか、また、そういった循環になってはいけないなと思っておりますので、科目を精査していくというお話も先ほど出ていたり、あるいは養成の段階でデジタルなどを使って、いろいろな教材などをみんなが一緒に勉強できたり、また共同実習を、採用試験の共同実施をしていくとかということで、また、その質の担保をするとか、いろいろなことが議論されていますので、そういうことが統合的に働いて、力をつけて教員になるというような、そういった構造化を図ることが非常に大切であろうと。
 また、現場はいろいろなスタッフが必要なんです。ですから、今、特別免許状のことなんかも出ておりましたし、社会人の方が途中から採用されるとかそういったこと、でも採用された方たちをどのようにバックアップしたりしていくかということがすごく大事だと思いますので、かえって学校現場が混乱してもいけませんので、そういったバックアップ体制や一貫した研修体制とか、そういうことを視野に入れつつ、ここのところが整理されていくとすごくいいなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。

【貞広分科会長】  では、植阪友理委員、お願いいたします。

【植阪委員】  東京大学の植阪と申します。よろしくお願いいたします。
 私自身はもともと教育心理を理論的背景として持っておりまして、ここ20年ほど、学校の先生と心理学を生かした授業づくりみたいなことに関わらせていただいています。現在、デジタル学習基盤特別委員会と企画特別部会の二つに参加させていただいています。
 世界的に見ると、多分2000年代以降、大きく世界で目標が変更されてきている、ゴールポストが動いているという印象を持っています。昔は教科の内容を教えるところが学校という場でしたけれども、社会に出てから生きる力、そういうことを学校教育で保障するのだということがキーコンピテンシーであったりとか、21世紀型スキルという話が出てきて、世界的にそれが広がってきたという、その初めが2000年代ぐらいだっただろうと思っています。
 もちろんゴールが示されても、各国のカリキュラムに入ってくるのには時間がかかりますので、いろいろな国がいろいろな速度で取り入れているかと思うんですが、前回の学習指導要領が出てきたときに、私は当時は部外者でしたが、日本がキャッチアップし始めた、日本は20年ぐらいでキャッチアップしてきた、すごいな、日本やるなと思ったところがあります。社会に出ていってから生きる力ということは意識してつけないと、どうしてもなかなか学校では教科の内容を教えるところに頭が行きがちです。でも教科の学びであるとか探究の学びのプロセスを踏まえて得た学び方であるとか、協働の仕方であるとか、対話の仕方、いろいろな学び方のスキルであったりとか考え方であったりとか、試行錯誤ということが、子供たちが将来社会で生きていく上で非常に大事になるんだろうと思います。
 様々な言葉で議論されていますが、例えば前回の指導要領では、「自らの学びを調整する側面」という言葉で、自己調整的な態度であったり、こういった社会に出てからも直結するような力というのを日本でも育成しようという機運にきちんとなっていますので、ぜひこの傾向は今後とも続いてほしい。それが学校現場に実際入っていくというところまで、ぜひ生きている間に見届けたいと思っております。
 ただ、ゴールはすばらしくて、かなり日本にも取り入れられつつあるとは認識していますが、その難しさも同時に感じています。ですので、最初に一つ、企画特別部会では議論の内容をデジタルで、ほかの先生方がお話ししてくださったように配信して、1か月ほど見られるようになっています。書面だけでは難しいので、ぜひ議論を分かりやすい形で実践報告などもあったりしますので、そういった、ここの機会でもぜひ配信していただければなと思っています。
 難しさのほうに戻りたいと思うんですけれども、旗を振っただけでは学校現場が動けないということ、すばらしいゴールだけでは具体的に動けないというのを本当にひしひしと感じています。それは、日本がある程度大きな国、小さな国では国が直接学校の先生に働きかけますので、それがある程度可能になる部分もありますが、教育委員会などを挟まざるを得ない、挟むことができるぐらい大きな国であるというスケールメリットのために、伝言ゲームになったりして難しい部分もあるかなと思っています。例えば、研発を取っている目黒区で自己調整学習を抱えるある小学校に、こちらは体育で実践されている学校なんですが、入っていてお話をしていますと、自己調整学習という捉え方でも区内で大きな違いがあるということを聞いています。ただ、どのような子供像を目指しているのかということを先生方と共有してみますと、非常に具体的で、非常に多様で膨らみのある様々な子供の姿や、先生方が手だてを考えられるということを、ワークショップなどを通じて感じています。これは日本の先生のすばらしい力を示していて、日本の将来の可能性を示すもので、大変うれしいものだなと思っています。
 ある先生が教職大学院ではなくて本学、東京大学で学びたいと考えましたが、現在はフルタイムで働きながら本学に所属して、博士課程まで取るということがなかなか難しくて、ほかの大学で勉強されるということになったんですけれども、ぜひ学校の先生についても、学校の先生の地位を十分に持ちながら、教職大学院以外の大学で勉強するという道を模索できるようにしたいと思っておりまして、ぜひそういった議論にも参加できればなと思っています。
 学校現場での臨床研究ということは、先生方のメリットだけではなく研究にとっても大いにメリットがあります。心理学にとってもそうですが、当然ほかの研究でも大きく意味があります。ただ単に知見が出されて、10年後、20年後、誰かが使ってくださいというのではなくて、明日きちんと使える知見が社会と共有されていることは、社会にとっても大きな意味があると思いますので、学校の先生と研究者が両者対等に、互恵的に、そして社会ともメリットを共有しながら働ける社会の実現になったらいいなと思って貢献したいと思っています。
 長くなりました。失礼いたします。ありがとうございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。オンラインから内田隆志委員、御発言できますでしょうか。

【内田委員】  内田でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。

【内田委員】  現在、台湾の教育部の招待で、台湾の高校の先生と国際教育研修を実施しております。様々、教育課題、高校においてもございますけれども、そういった中で、様々な課題を高校現場としても解決することが今回、必要であると考えております。特に台湾の感じているところは、先ほど奈須委員がおっしゃいましたけれども、鳥かごが開いても羽ばたかないのではないかという話もありました。私ども羽ばたく準備をしております。
 一方で、現場で様々な課題があるからできないという部分もございます。高大接続も吉田委員が言われたように大きく問題が山積しております。そういった具体的な課題を私ども発信しながら、この解決に向けて、また、文部科学省とともに、この委員会とともに、問題の焦点化をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。例えば台湾ですと、35人学級が高校でも実現しております。条件整備というところも非常に大事だと考えております。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、緒方直彦委員、お願いいたします。

【緒方委員】  全国特別支援学校長会の緒方でございます。よろしくお願いします。私からは資料1の関係する事項についてお話をさせていただきます。
 まず、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程においてですが、特異な才能のある児童生徒、その中には、高機能の発達障害で特異な才能を持つ児童生徒も含まれると考えますが、そのことについて検討されることは、これまで学習要領で示してきた特別な配慮を必要とする児童生徒の対象の拡大だけではなくて、指導の充実にもつながると考えます。ただし、全ての審議事項にも関係することですが、特別支援学校や特別支援学校に在籍する障害のある児童生徒だけでなく、通常の学級においても学習上の困難を有する児童生徒は存在しており、また、発達障害や知的障害とも違う境界知能に該当する児童生徒も含め、指導や支援の在り方、また、合理的配慮の提供についても明確にすることで、誰1人取り残さないという理念を十分に学習指導要領に反映してほしいと考えております。
 次に、特別支援教育の立場でいうと、まだまだ理解啓発が課題でございます。そこで、障害のある子供に対する教育課程についてですが、特別支援学校の課題として自立活動、自立活動といっても皆さんぴんとこないと思うんです。自立活動の指導の時間と、各教科等の指導の関連が十分でないという指摘、これは今後、特別支援学校において教科指導の一層の充実を図っていくためには極めて重要な課題だと考えます。そこで、このことは小中学校における通級による指導、今回、大胆な提案がされておりますが、必要により各教科の指導を行う場合、留意しなければならない同様の課題であると思っております。十分な根拠を基に内容を構造化し、小中学校の教員が理解しやすくまとめることが重要だと考えております。
 私からは以上です。

【貞広分科会長】  では、岡本潤子委員、お願いいたします。

【岡本委員】  青森県にございます千葉幼稚園の岡本と申します。養成部会にも入れさせていただいておりまして、幼稚園教諭の養成についても深く考えさせられるところが毎回ございます。幼稚園の先生といいますのは、教科を超えて、そういう枠を超えて、生活そのものが子供の学びでありまして、それが大切な要素となるのですけれども、それは教員にとっても日常の生活がとても大切になってまいります。しかし、この生活、暮らしがこれまでの時代とは大きく変わっていて、手を動かさなくても、いとも簡単にできるようになったり、大変便利ではありますけれども、手を使って考えるという機会が減少していることが、子供たちの学びの機会が減っているということとイコールであるな、これは子供たちだけに言えることではなく、教員の養成にも大きく影響しているのではないかと、日頃からそのように考えております。
 教育というのは不便なほうがよいのだと思いますけれども、この点につきまして、今後の教員養成にどう反映できるか考えていきたいと、そのように日々思いながら参加させていただいております。

【貞広分科会長】  では、澤田真由美委員、お願いいたします。

【澤田委員】  先生の幸せ研究所の澤田と申します。私は小学校の教員の経験がありまして、現在は働き方改革や学びの改革の支援を、年間数百校を10年間ほど続けてきています。なので、学校の資本である先生たちの本音を多く聞いている立場です。教育課程企画特別部会と教師を取り巻く環境整備特別部会にも参画させていただいています。その立場から改めて子供にも教員にも安心できる学校ということを思いました。
 まず、学校の資本である先生たちが働きやすいことの重要性を改めて確認したいと思います。質の高い教師であるべきではありますが、網羅的にできるようになるというのはどこまで求めるべきなのか悩ましいなといつも思っています。1人で資質の全てを網羅できればもちろん理想的なんですが、教職員も人間なので、凸凹や苦手や不得意があるということを、ある意味正面から認めていくということも同時に重要ではと考えています。その上で、教職員がそれぞれの強み、弱みを補い合って、メンバー全体として学校で子供たちを育てるということ、学校内外の多様な人材も含めたチーム学校ということはよく言われますが、教員免許を持っているメンバー内同士でも専門性や凸凹を補うということももっと促進されるべきだと考えています。だからといって、一定レベルに至らない人材ではいけないのでバランスが難しいところではありますが、網羅的に質の高い人しかできないという職業に教師をしないという視点も必要かなと考えています。
 次に、子供の学びを最大限に引き出すとか、主体的な学びを支援する伴走者としての教師の質の高さという必要性には心から賛同しますし、そうあるべきだと考えます。ただ、こういう子供をよりよく伸ばせるというプラス面と同時に、子供をつぶさないとか学校嫌いにさせないというマイナスを生み出さないということも重要な資質かなと考えます。最低限のことではとも思います。
 不登校が増え続けているということからも、よりよく子供を伸ばすというプラス面が確実に実現されるためにも、まずは安心して行けると、子供にとってこの学級なら行ってもいいと思えるような子供集団の居心地をつくれる先生であることこそ必要かなと思います。学級経営力やカウンセリング力がそれに当たるのかもしれませんが、私は仕事柄、保護者と話すことも多いです。お子さんの不登校で悩んでいる保護者の方たちはまず、何よりも安心して我が子が通えるようになってくれさえすればいいということもおっしゃいます。そうした切実な現状をしっかり見つめて学ぶ権利を保障していければと思いました。
 以上です。

【貞広分科会長】  では、神野元基委員、お願いいたします。

【神野委員】  よろしくお願いします。教育課程企画特別部会のほうに参加させていただいています。
 この教育課程企画特別部会でも今、話し合っている次期学習指導要領の話ですけれども、生成AIを含めた新しいテクノロジーというものがどのような社会をつくっていくのか、そこに子供たちをどのように未来に向けて育てていけるのか、そんな話も非常に大切なのかなと思いながら参加させていただいています。私の思いといたしましては、まず、インターネットが登場する前と登場した後で、世の中で求められる人材の層が圧倒的に変わり、それに伴って我々の学習指導要領も変わってきたという歴史があるということです。インターネット登場前で言えば、知識というものが求められる社会、何か物を知っている人が偉いとされている社会から、どうもインターネットというものの登場によっていつでも知識は調べられる、そういったときに知識ではなく能力というものが大切なのではないか、そういうものが、認知能力が大切とされてきた学習観から、非認知能力が大切なんじゃないかと変換してきた歴史だと思っています。それに伴って、大学受験もまた一般受験からAO入試、総合型選抜のような非認知能力を図るような試験が増えてきた、そのように思います。その次の議論をしなければいけないというのが現在地点なのかなと思います。
 AIの話というものは、今度は能力を持っているというだけというような、人間の技能というものからさらに転換を果たしていて、ある意味で言うと、社会に対するスタンスみたいなものを人間が求められる、そういうような社会なんじゃないかなと思っています。どういうことかといえば、AI自体は少なくとも現在地点においても、デジタル生成物でいえば、我々が指示したとおりにものすごい速度でつくってくると。そう考えますと、今、我々がデジタル上でつくれるものを人間に頼んでいるような行為はなくなっていく、それはまず、予測されます。一方で、自分自身が社会に対して何かインパクトを出したい、社会課題というものを解決したいと思った人は、今までで言えば数百人規模の企業をつくらなければいけなかったところから、10人程度、かつAIを多数使用するということでもって、できていくというような社会になっていくことです。これは何も社会課題への解決というものを企業的に行うような活動だけでなく、恐らく民主主義というものに関しても、今後の人たちがいかに社会というものに対して主体的に関わっていくのかということが大切になっていく、そういうことが求められる社会になるんじゃないかなとも考えています。その文脈においても、教育課程部会で話し合われていることは非常に先進的な議論がされているなと思いますし、また、その実現に関して、逆に今度は現場に対してものすごく負担がかかってくるものだろうなとも考えています。
 最後に、教員養成のほうで学習観、指導観の転換というところにも触れられておりますが、学習観、指導観が転換する際には、現誰にものすごくストレスや、すごく恐れみたいなものも出てくると思います。その文脈の中で、現場の先生方が学習観や指導観を転換していく様をどう応援できるのかという評価軸や、それを評価するであろう校長先生、管理職の養成、そしてまた、管理職の選び方、そういうものまで議論が及ぶといいなと思っております。
 以上であります。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。では、田名部智之委員、お願いいたします。

【田名部委員】  全国高等学校PTA連合会会長の田名部でございます。私はこの委員会も含めてですけれども、生涯学習委員会のほうにも属させていただいております。委員会においては、先生方が主委員として多いわけですけども、私は保護者の立場、そして、地域の中小企業の経営者の立場として御意見させていただければなと思っております。
 私は先ほど発表でありました、岡本潤子先生が園長をされている千葉幼稚園からPTAでずっと関わって、高校のPTAまで今終わって、長き約20年にわたってPTA活動をしております。合わせて、地域の活動にも多く参加させていただいております。今、国が進めているコミュニティ・スクールだとかGIGAスクール、AIを使ったものだとか、あと、また学習指導要領の変更だとか教育課程の基準の変更というところにも大きく関わってくるかと思いますが、多様な専門性などが大きく今、お話しになっているんじゃないのかなと思いますけど、最近の若い者はという言葉がよくありますけども、昔は最近の若い者はというと駄目だなあというところで使ってきましたが、今は最近の若い者は、スポーツ選手なんかは特に分かりやすいんですが、世界で活躍するような子供たちがどんどん出てきていると。これは十数年前からの国の方針が今、花開いているものなんじゃないのかなと感じております。
 さきに決めていただきました先生方の働き方改革であったり、高校無償化というのは、我々保護者、そして、地域においてもとても受入れやすい事例だなあと思ってございます。これからまだまだコミュニティ・スクールというところは伸びていっているんだなと、伸びていかなければいけないんだなということを感じておりますけども、コミュニティ・スクールにおいては、先生方の働き方改革などがもっと進むことによって、先生方が学校だけではなくて、先生方が住んでいる地域で、先生方が地域の良いおじさん、良いおばさんとして、また、地域で子供たちの育成にも関わっていくというところにもつながってくるんじゃないのかなと思っております。
 また、先ほど保護者の対応がとても先生方において、取り巻く環境の中で問題視されておりますが、我々PTAは保護者の集まり、いまだ先生方との集まりですので、大いにPTAを使っていただければいいんじゃないのかなと思ってございます。これからますます良い法律だとかルールの改正をしていけば、ますます環境がよくなっていくんじゃないのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【貞広分科会長】  田村知子委員、お願いいたします。

【田村委員】  ありがとうございます。大阪教育大学の田村知子と申します。カリキュラムマネジメントを専門としており、現在、教育課程企画特別部会の議論に参加させていただいています。四つの主な審議事項のどれも現在の児童生徒の多様な実態を踏まえ、将来の社会を見据えて、学校現場の先生方が目の前の子供たちに最適な学習経験を実現するための教育課程編成実施のために必要な前提条件を議論していると認識しています。
 現行の学習指導要領はかなり大きな改訂でありました。その方針そのものは時代にかなったものであり、様々な学術研究の成果を踏まえたものだと理解しております。ただ、新しく挑戦的な内容であっただけに、学習指導要領やその解説の分量が多く、さらに内容の質も高度であり、全ての先生方がこれを十分に理解し、実践として展開するためにはかなりの労力を要するものであると認識しております。そのため、現行の学習指導要領の大枠は踏襲しながらも、概念や様式をより分かりやすく使いやすいようにという議論をさらに深めていくことが必要だと考えています。今後開催される各教科等の部会において、具体的な議論を進める際、部会間の連絡や連携を密にしていただき、各教科等の固有性を大切にしながらも、教科を横断した共通性も含めて御議論いただけるよう期待しております。
 また、全国の先生方の御努力にもかかわらず、授業が変わりにくいと言われている要因として、進学に関する保護者の皆様の期待や要望が挙げられております。したがいまして、一つには、高校入試や大学入試の在り方について、既に改革改善に着手されているところではありますが、一層の改革が必要と考えております。全国の大学や都道府県教育委員会等が議論、あるいは連携しながら入試の改革を進めていただきたいと考えています。二つには、学習指導要領の理念、目指す学習の在り方を社会全体で共有するべく、積極的に教育界だけではなく、御家庭だけではなく、産業界等を含めて社会全体への発信について、学習指導要領の検討と並行して積極的に取り組んでいただきたいと願っております。
 最後に、教員に求められる資質能力や役割はどうしても増加する一方のように思われます。学習指導だけではなく生活指導を含め、記録や報告等が必要な事項も多くございます。デジタルによって効率することも一定程度は可能だと思いますが、可能な限り必要最小限のものへと一層精選するということも国、都道府県、基礎自治体の教育行政が同時に進める必要があると考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【貞広分科会長】  では、続きまして、野口晃菜委員、お願いいたします。

【野口委員】  一般社団法人UNIVAの野口晃菜です。現在、様々な自治体とともにインクルーシブな学校づくりをしております。私も教育課程企画特別部会、また、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議のほうにも参加をさせていただいています。私自身、中高とアメリカで過ごした帰国子女です。インクルーシブ教育の視点から意見をお伝えします。
 教育課程企画部会ではいつもお伝えしていることではありますが、改めて諮問文にもあるとおり、学校教育の重要な機能として、多様な背景や事情も他者とともに生きるにはどうしたらいいのかというのを学ぶという機能があります。一方で、年々特別支援学級や特別支援学校の在籍者数、また、不登校状態にある子供の数は増加していて、そもそも多様な他者と出会う機会が減っているのではないかということを懸念しています。さらに、外国にルーツのある子供もどんどんどんどん増加しています。今村委員や岩本委員の御発言にあったとおり、自分と異なる事情や背景を持つ人とどう折り合いをつけてともに生きていくのか、どうやって互いの自由を相互承認しながら生きていくのかということを学ぶ機会が確実に確保されるということが重要であると思っています。このような視点が、改めて学習指導要領においても、教職員集団の在り方という点においても重要であるということをこの場で共通認識できると非常にうれしく思います。
 もう1点、教員養成部会の審議状況について御共有いただきまして、ありがとうございました。教職員も多様性について学ぶ機会、知る機会というのは重要だと思います。どの学級にも障害のある子供も外国にルーツのある子供もいる可能性があります。教員養成段階、採用後においても知る機会が重要です。その際、多様性について新たに科目を付け足すというよりも、多様性をOSとして土台に据えていくという視点での養成カリキュラムの検討が必要なのではないかと思います。
 また、澤田委員からもあったように、全ての領域において質の高い専門性を1人の教員が有するのは難しいです。全員がオールマイティーの教員を目指すというよりは、教職員も多様な専門性を持つ者同士、多様な背景を持つ者同士が共同していくという視点が重要なのではないでしょうか。例えば障害のある教職員はどれぐらいいるか、皆さん御存じでしょうか。令和6年における障害者雇用率、教育委員会において合計2.4%になっています。法定雇用率を達成していない状況です。既に現在、様々な取組をしていただいているところではあると思いますが、もっと障害のある教職員を採用することを加速させるべきではないでしょうか。障害のある人が当たり前に学校で働いているということは、子供たちにとって大きな意味があるのではないかと思います。御検討いただけたらと思います。

【貞広分科会長】  松原修委員、お願いいたします。

【松原委員】  全国連合小学校長会の松原と申します。私も複数の会議に参加させていただいておりますけれども、大切な議論が今、同時進行で進んでおりますので、それぞれの議論がしっかりかみ合って、豊かな未来の教育の姿を描いていく必要があると感じております。その際には、青海委員もおっしゃっていましたけれども、昨年8月に取りまとめられました令和の日本型学校教育を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、この答申との整合性をしっかりと図っていただきたいと考えております。
 また、全国連合小学校長会では、学校を元気にするということを大切にしております。そのためには、子供にとっては学びたくなるような学習指導要領、教師にとっては働きやすさと働きがいの両立、そして、学校にとってはカリキュラムをデザインするモチベーションが高まるような学習指導要領の実現が必要だと考えます。各学校や教育委員会の裁量の拡大、そして、それを支える余白、そういったものもしっかり実現したいと考えております。
 今、良い方向で議論が進んでいると感じておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【貞広分科会長】  では、宮原京子委員、お願いいたします。

【宮原委員】  ファイザーの宮原でございます。よろしくお願いいたします。私のほうは民間企業の立場からということで、教育課程と企画特別部会の臨時委員として参加させていただいております。
 その中の議論で大変重要なキーワードだなというように毎回感じておりますのは、できるだけ子供たちの学びを「自由」に「柔軟」にしていくということ、あるいは、学び方を子供たち自身が「選択」して、自身で選び取りながら設計できるようにしていくということが今後の学びの在り方の方向性ということで、こちらの方向性については常に賛同しているところです。
 このためには、これまでの慣例による当たり前や通例ということからの脱却、打破というマインドセットの大きな変更ということも共にやっていかないと、なかなかチャレンジだなとも感じております。こういった方向性を実現するために、積極的なデジタルの活用も期待されるところではありますが、一方で、それを取り巻く地域社会や保護者からの理解、それから当事者ももちろん大きな意識変革が重要だなと感じています。特に、こういった新しい教育課程ということになりますと、教師の役割、あるいは求められるコンピテンシーが大きく変化するだろうということが容易に想定されます。その中で、教師になるルートをどれだけ多様につくって門戸を開放するかというような御議論をされているということで、こちらの方向性にも賛同いたします。
 また、これからの世代の方たちが教師という職業をいかに魅力的に感じていただき、キャリアの選択肢として考えていただけるか、そういったこと、また、教師としてのキャリアを積んでいくために、続けていくために必要な支援プログラムは何かということについて御検討いただいているということで、実はこれらは全て企業においても共通する課題でありまして、これからの日本の社会を活性化していくためにも、こういった知恵を民間との交流などを通じて、ぜひとも一緒につくり上げてまいりたいと思っております。
 最後に、一部委員の方もおっしゃっておりましたが、学びの先にある大学の受験の在り方、あるいは、その先にあります、多くの場合、私の場合は企業なんですけれども、企業での人材の採用の在り方ということが、教育の在り方ということでフィードバックされていくと思いますので、社会に出た後の生涯にわたる学びの姿勢ということをこのタイミングでつくり上げるためにも、企業の在り方も含めまして、幅広い社会での議論が必要だなと感じております。
 以上です。

【貞広分科会長】  では、八並光俊委員、お願いいたします。

【八並委員】  よろしくお願いします。学術団体日本生徒指導学会会長の八並と申します。私のほうからは、資料1の教育課程企画特別部会の審議状況に関しての今後の要望です。
 現行学習指導要領の第一章「総則」において、児童・生徒の発達の支援が新設されています。そこでは、「2 児童・生徒の発達を支える指導の充実」、「2 特別な配慮を必要とする児童・生徒への指導」が明記されています。
 前者では学級・ホームルーム経営の充実・生徒指導の充実・キャリア教育の充実が、明記されました。後者では、障害のある児童生徒などへの指導、海外から帰国した児童生徒などの学校生活への適応や日本語の習得に困難のある児童生徒に対する日本語指導、不登校児童生徒への配慮が、明記されました。これは、学習指導要領の根幹にかかわる理念、あるいはキーコンセプトだと思います。
 この点は、議論をされたのでしょうか。資料を拝見した限りでは、児童・生徒の発達の支援の文言が見られません。次期学習指導要領でも、中核理念として残して、さらにブラッシュアップするよう議論していただければと思います。
 要望としては、教育振興基本計画において、共生社会の実現に向けた教育の方向性・豊かな心の育成で明記されましたが、令和4年に刊行された『生徒指導提要』で示された[発達支持的生徒指導の推進]を児童生徒の発達の支援で記載していただければと思います。
 また、学校教育では、学力だけでなく、学びに向かう力・人間性、言い換えると社会情緒的能力(非認知的能力)の獲得が重要だと思います。その意味では、発達支持的生徒指導の実践の要である、道徳科・特別活動・総合的な(探求的な)学習の時間が、重要だと思います。学習指導と生徒指導の一体性を議論していただき、強調をしていただければと思います。
 なお、委員の皆様には、ぜひ文部科学省『生徒指導提要』をご一読ください。デジタルテキストですので、すぐにダウンロードできます。生徒指導に関する委員の皆様の基礎知識と共通理解が不足していると、議論がかたよってしまうのではと危惧しております。ぜひご検討のほど、よろしくお願いします。
以上です。
 
【貞広分科会長】  では、髙島崚輔委員、御発言できますでしょうか。

【髙島委員】  できます。すみません、遅くなりました。聞こえますか。

【貞広分科会長】  とんでもありません。聞こえます。

【髙島委員】  こんにちは。兵庫県芦屋市の髙島です。よろしくお願いいたします。教育課程企画特別部会にも参加しています。今回は、というか今日は、市長の代表というよりも、私の考え方ということでぜひ理解していただければと思います。
 私は10年前に高校を卒業しました。今、28歳です。改めて感じるのは、教育というのは一人ひとりの可能性を拓く最も大事な分野の一つだということです。私たち芦屋市も今、本当に教育を良くしよう、特に公立の学校教育を良くしようということで取り組んでいます。学校を見ていると、そろそろ学校の存在意義が問われる、そんな時代になってくるなと思います。知識や技術を身につけるということであれば、悪いけど、家でAIで1人で勉強したほうが早いという時代が訪れるかもしれないというか、もうすぐそこまで来ていると。
 となると、学校の存在意義というのは、学び合うということにある。もっと言うと、民主主義を学ぶというところに学校の存在意義があるのではないかなと思っています。特に公立の小中学校は、同じ場所に住んでいるというだけで一緒に学ぶということです。芦屋市は「ちょうどの学び」というのを掲げているんですが、子供が自分で一人ひとりにとってちょうど良い学びの環境をつくろうと思うと、当然、他者とのコミュニケーションが大事になってきます。お互いの自由を相互承認しつつ、お互いに学校という最も身近な社会をよりよくするにはどうしたらいいかということを議論する、対話をする。そんな経験を積むのが学校という場であってほしいなと思います。
 まさにどんどん不安定化する社会状況の中ですけれども、今だからこそ学校という場が我が国の民主主義のとりでとして、異なる他者から学び合う包摂的な場であることを期待したいなと思います。そう考えると、まさに学校という場、教育の中身をどうしていくかということが本当に大事だと思いますし、このタイミングで教育課程企画特別部会に参加できていることは大変ありがたく思っているんですが、1点、現在のいろいろな教育にまつわる議論を見ていると、少し不安だなあと思っているところがあります。何かというと無償化の議論です。
 今回も高校無償化の議論の報告がなされると聞いています。もちろん子育て世帯の経済的な負担軽減は重要だと思います。ただ、その議論の中に子供の視点があるのか。子供にとって何が最もよいかを考えて政策を詰めるということがなされているのかということは少し不安視しています。まさに政治で決まっている話なので、政治の分野の人が言わないと多分駄目だと思うので、言わせていただきたいと思います。
 負担軽減の手段として、果たして教育が最適なのかというのはもう1回熟慮したほうがいいのではないかと思います。なぜなら教育というのは中身が何よりも重要ですし、逆のベクトルが働いてしまうと、中身や質を下げるということになってしまいかねないというところを危惧します。特に我々、基礎自治体において重要なのは給食費の無償化の議論です。今回、高校の話でしたが、給食費の話も避けて通れないかなと思います。私たちは各自治体において、いかに質を担保する裁量を確保できるかというところをぜひ考えていただきたいと思っています。なぜなら給食というのは費用負担もさることながら、質が非常に重要な分野だと考えているからです。少し議論が給食の話にいってしまうんですが、給食というのは子供たちにとって健全な発達の土台で、中には3食で唯一給食だけがバランスのよい食事だという子もいると思うんです。子供の立場に立って考えたとき、単に無償になればいいよねというのは、給食の重要な役割の一端を見落としているのではないかと思います。今後、様々な議論が進むと思うんですが、全国で仮に無償化が実現した場合、恐らく基準額を決められることになると思います。その場合に、保護者負担を追加で求めることができないと、もしなると、自治体によっては質を下げて無償化を担保しようとすることは論理的にあり得るのではないかと思います。特に物価上昇が著しい昨今の情勢では、その懸念が高まっているのではないかと思います。
 子育て世帯の経済的負担の軽減というのは、改めて言いますと重要だと思うんですが、一方で、子供たちの健全な発達に我々、基礎自治体は責任を負っていますので、単に無償になったからいいよねということは言えないなと思っています。文科省は教育に責任を有する立場だと思いますので、様々な無償化の議論の中で、ぜひ質を大切にする、中身を大切にする、そして何より子供の立場に立って、目線に立って考えるというメッセージをぜひ発信していただければなと思っております。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。本当に委員の方々から大変貴重な御意見を頂戴しましたので、屋上屋を架す形になりますけれども、私からごく短く、私からも意見を述べさせていただければと思います。
 今の二つの諮問についての審議状況についての議論をいただいたところでございますけれども、二つの諮問、どちらも子供の教育を受ける権利の保障をいかにするかということが目的としてなされていると思います。委員の皆様の御意見を反映して少し言葉を換えると、多様な未来を選び取ることができる権利の保障をいかに実現するのかということを、我々見据えて議論をしているのかなと思っております。その点からすると、どちらの部会も、どちらの議論も非常に濃密で、妥当で評価できるものだと考えておりますけれども、だからこそ、実装プロセスと条件整備のスコープをしっかりと見据え続けることもすごく大事だと思っています。
 今まで先生方、降ってきた新しい学習指導要領がやらされている感ではなく、主体的にそれに取り組んでいただけること、実装プロセスですね。やりたい、工夫をしたいと思ったときにしっかりと工夫ができるような条件整備があるかということ、今、髙島委員からもしっかりと質の高い教育を実現するにはどうしたらいいのかという資源配分のお話もありましたけれども、ここを手薄にせずしっかりと実装と条件整備についても併せてしっかりと議論をできればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 本日の二つの諮問事項につきましては、委員の皆様からの御発言も踏まえまして、引き続き教育課程部会、教員養成部会の両部会を中心に審議を進めていただければと思います。
 それでは、次の議題に進みたいと思います。議題3は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律について、議題4は、いわゆる高校無償化をめぐる動向についてです。いずれも今年の国会において大きく動きのあった重要な事項となりますが、時間も限られますので、まずは2件まとめて、この間の動きについて御報告をいただき、委員の皆様から御質問などをいただきたいと思います。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【山田財務課長】  資料3を御覧ください。昨年8月に中教審答申をいただきまして、国会に法律を提出いたしました。いわゆる給特法についてでございます。先月、改正法が成立をいたしました。教員に優れた人材を確保するということ、働き方改革の一層の推進ということ、教員の処遇改善といったことを趣旨といたしておりまして、具体的な内容は、概要の1のところが、まず一つ目の柱でございますけれども、教育委員会が業務量管理・健康確保措置実施計画というものを文部科学大臣が定める指針、これは今、特別部会で御議論いただいておりますけれども、指針に即してつくって公表しなければいけないという義務づけをし、また、その後、総合教育会議に義務づけると、こういうような規定になってございます。右側(2)のところは、その実施を確保するために学校にしていただくことが規定をされております。
 柱二つ目、組織的な学校運営と指導の促進のために、教職員間の総合的な調整を行う主務教諭というものを置くことができることとなってございます。
 三つ目の柱が、教員の処遇の改善ということで、教職調整額を4%から毎年1%ずつ増加しまして、10%まで引き上げるということを内容としてございます。また、右側(2)のところで、例えば学級担任への加算を想定しておりますけれども、手当を実現するということを内容としております。
 施行につきましては、一つ目、二つ目の柱については来年4月から、三つ目については来年1月から施行されるということになっております。
 次のページをおめくりください。この国会におけます法案の審議の過程で修正がなされております。これは、主に文部科学大臣と財務大臣の合意を踏まえた修正であると理解をしておりますけれども、一つ目のところで、令和11年度までに1か月の時間外在校等時間を平均30時間程度に削減しましょうということで、具体的な措置として丸1から丸7まで書いてございますが、授業時数を削減する、教育課程の編成の在り方について検討する、教職員定数の標準を改定する、教育活動の支援人材を増員する、不当な要求等を行う保護者への対応について支援をする、部活動の地域展開を図るということが追加をされております。また、二のところでございますけれども、公立の中学校の学級編制への標準を来年度から35人に引き下げるということを修正法案で追加をされております。
 次のページでございますけれども、また、さらに成立において、委員会において附帯決議がなされております。例えば、1番目、一のところでございますけれども、附則で追加された部分の実現のために工程表をつくりなさいとか、様々な主に附則で追加された部分について、決議がなされております。
 その決議に基づきまして、つくりましたのが2ページ先のところの工程表でございます。給特法改正を円滑に実施していこうというところでつくったものでございます。一番上が全体のところでございまして、今年度中、1月に給与関係の規定が施行されると。来年度から働き方関係の規定が施行されるので、どういうところに留意する必要があるかというような通知を出すということを想定しております。そのほか、直近で我々がしなければならないと思っておりますのはその下にございます、先ほど少し申し上げましたけれども、地方公共団体に計画をつくっていただくための指針の改定を今、特別部会で御議論いただいておりますので、計画のひな形と併せて秋頃までに提示をしたいと思っています。
 最後、次のページを御覧ください。また、附則でも規定をされておりますけれども、上の4分の1ぐらいのところに赤く書いておりますが、中学校で35人学級を実現するための義務標準法の改正案の提出、こういうものが近いところでは必要になってくると理解をしております。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  では、続けてお願いします。

【橋田参事官】  高校担当参事官の橋田でございます。
 続きまして、資料4、いわゆる高校無償化をめぐる動向について御説明いたします。1ページ目を御覧ください。こちらのほうは高等学校等就学支援金の現行制度でございます。高校生等の授業料に充てるため、年収910万円未満世帯の生徒を対象に就学支援金を支給するものでございます。図にございますように、910万円未満世帯については、国公私立について11万8,800円を支給するというものでございます。併せて、590万円未満世帯については、私立高校加算と言っておりますけども、39万6,000円を支給上限にする仕組みでございます。
 その上で、2ページ目でございますけども、さきの国会では、令和7年度予算案の国会通過が重要な課題となる中で、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党の合意で、高校の償還に関する合意がなされてきたところでございます。丸1のいわゆる高校無償化のところにございますように、「骨太方針2025」の策定までに大枠を示した上で、令和8年度予算編成過程において、成案を得て実現する。令和8年度から収入要件を撤廃し、私立加算額を45.7万円に引き上げる。低中所得者層への高校生等奨学金給付金の拡充や公立高校などへの支援の拡充を行うということが盛り込まれております。併せて、この先行措置として、令和7年度分について、全世帯を対象とする支援金11万8,800円の支給について、収入要件を事実上撤廃する。高校生等奨学給付金や公立の専門高校の施設整備に対する支援の拡充を行うという内容が盛り込まれたところでございます。
 一方、右側にございますように、論点といたしましては、いわゆる高校無償化について、義務教育との関係、専門高校を含む公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保、また、支援対象者の範囲の考え方などについて十分な検討を行うこと、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保することなどの内容が盛り込まれているところでございます。
 こうした内容を踏まえまして、3ページ目でございますけども、令和7年度の予算修正におきましては、収入要件の事実上の撤廃といたしまして、赤囲みにあるとおり、国公私立共通の基準額910万円以上世帯を対象に11万8,800円を支給するという形での予算修正がなされたところです。
 続いて、4ページでございますけれども、こちらのほうは奨学給付金、いわゆる生活保護世帯や非課税世帯の授業料以外の教育費負担の軽減を図るための支援でございます。これについては、非課税世帯について、国公私立を通じて全日制の第一子と第二子の給付額の増額を実現したところでございます。
 その上で、続いて5ページ目でございますけども、これは専門高校における産業教育のための実験実習施設の整備で、現状、公立学校施設整備の中に全体は含まれており、追加で10億円の計上がなされたところでございます。
 その上で、6ページ目以降のところは「骨太方針2025」でございますけれども、DXハイスクール事業の推進、さらに7ページ目でございますけども、高校教育改革等への国の支援の抜本強化を図るということ、また、いわゆる高校無償化については、これまで積み重ねてきた各般の議論に基づき具体化を行い、令和8年度予算の編成過程において成案を得て実現するとされています。各般の議論という中で注釈にございますように、先ほどの3党の合意と合わせて、3党の検討チームにおいて論点の大枠整理がなされているところでございます。
 これについては、参考資料の2を御覧いただければと思いますけども、3党の検討チームで関係団体や有識者のヒアリングを踏まえてまとめられたものでございます。特に2ページ目のところにございますように、国が示す高校教育改革に関するグランドデザインを踏まえて、都道府県が作成する計画に基づく高校教育改革、それに基づく教育環境の整備を計画的かつ円滑に実施できるよう、交付金等の新たな財政支援の仕組みづくりについても盛り込まれているところでございます。3党の協議は今後も続く状況ではございますけども、そうした状況も踏まえながら、文科省としても必要な検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明について御質問、御意見を承りますが、議題1、2に関わる委員の皆様の意見に私、聞き入ってしまいまして、タイムマネジメントがなっておらず、恐らくお一方か、お二方ぐらいしか御意見伺えないかと思います。冒頭申し上げましたとおり、会議の後に事務局宛てにメールをいただければ、議事録に掲載することができると思います。この場で、御発言されたい方、ぜひZoomの機能を使って挙手をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。プレッシャーをかけるとなかなか挙げられないですよね。いかがでしょうか。お二人ぐらいは発言できるかと思いますが、では、岩本委員、どうぞ。

【岩本委員】  じゃあ、簡潔にですけど、いわゆる高校無償化に関してですけども、まさに髙島委員が言われたものに私、本当に賛同します。これを単なる負担軽減論の策にとどめるのではなくて、多様で質の高い高校教育の実現、その上で、大学や大学院等の改革を見据えた高校教育改革の起爆剤というような形で、今回の合意を高校教育にしっかりとひもづく形で、質の話として捉えて進めていけるようにすべきだと思います。
 そのためにも、先ほど説明の中でもありましたけども、継続性、もしくは計画性を持って高校改革の支援を進めていけるように、年1,000億円を超える交付金を、しっかりと創設をして、この機会に日本の地域や社会、そして産業界の持続成長に資する人材育成を抜本的に高校教育改革で進めていけるように、国としても、そして社会としても、これを応援しながら実現に向かっていくべきではないかと考えますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

【貞広分科会長】  ありがとうございます。もうお一方ほど、御発言時間ありますが、いかがでしょうか。では、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  すいません、資料3の給特法に関して意見を述べたいと思います。長時間労働となっても一定額しか支払われないため様々な表現で批判されてきた給特法の枠組みは、結局そのまま残った、修正されなかったわけであります。若干増やしたとしても。
 一方、施行に関して、追加された附則が第3条、7つの項目が先ほど示されております。これらの追加された条項が効果的に実行されなければ、給特法の制度はそのままで、給付を微増させただけということになってしまいがちです。このたびの給特法改正の目的は教師の魅力向上であり、職場改善による負担軽減と給付増とはペアで考えるべきじゃないかと思います。給特法の改正自体には全く異論ございませんけれども、条項の実施状況と効果を厳しく検証していただきたいと要望いたします。よろしくお願いいたします。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。では、ほかにも御意見あろうかと思いますけれども、本日、この場で御意見を頂戴するのは以上と……、あ、すみません、髙島委員、どうぞ。

【髙島委員】  いいですか。10秒で終わります。

【貞広分科会長】  大丈夫です。10秒じゃなくてももう少しあります。

【髙島委員】  ありがとうございます。これ何でこういう議論になってしまうかというと、私は文科省が考えている本質的な議論が伝わっていないということに帰着すると思うんです。これ、教育委員会を見ていても思うんですけれども、基本的に教育委員会や文科省がニュースになるのって悪いニュースだと思うんです。謝っている姿しか、基本的に学校教育に関わっていない人には見えていない。となると、中身についてどんなふうに良い議論をしているかというのはほぼ伝わっていない。だったらせめてお金が安くなったらいいかなという議論になってしまうと思うんです。
 今どういう中身にお金を使うべきだと文科省は考えているか、今後の教育はこうあるべきなので、こういうふうにしていきたい等々、発信がとても重要だと思います。私も微力ながら貢献できればと思いますので、ぜひそこの発信は頑張っていければなと思っております。
 以上です。

【貞広分科会長】  ありがとうございました。最後にとても力強い応援をいただいたように思います。
 今日この場で御意見をいただくのは髙島委員までということになりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、事務局にメールで御意見をお寄せいただければ議事録に掲載していただけますので、追加の御意見がありましたらお寄せいただければと思います。ありがとうございます。
 また、給特法の改正を踏まえた対応につきましては、教師を取り巻く環境整備特別部会において、さらに議論を深めてまいりたいと考えております。また、いわゆる高校無償化につきましても、今後の動きを本分科会に御報告いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、本日も大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。残念ながら時間が参りましたので、本日はこの辺りにさせていただきます。
 最後に次回の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

【草野教育制度改革室長】  室長、草野でございます。
 次回の会議日程につきましては、また追って事務局から御連絡させていただきます。
 以上でございます。

【貞広分科会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
■会議終了後に頂戴した御意見
 
【戸ヶ﨑委員】
 議事(3)と(4)について次のように議事録に掲載をお願いいたします。
 給特法については、この時期に教育委員会として、また学校として、他人事から自分事として「準備しておくべきことは何か?」を理解しておく必要があると考えております。
 高校無償化についても言いたいことはいろいろありますが、要点だけ簡潔に述べさせていただきます。高校無償化のねらいとして、「教育機会の均等化」や「子育て支援」などの大義を掲げていますが、現実的には私立シフトや富裕層を優遇する施策ともなっている気がしてなりません。穿った見方をすると、高校無償化を推進することで、私学の集まる都市部への生徒の流出や公立高校の統廃合が一層進む可能性を危惧しています。私立と公立の競争で教育の質が上がると述べられている方もおられるようですが、トータルで見て高校教育の質低下につながらないことを強く願ってやみません。
 
【青海委員】
 議題(4)高校の無償化をめぐる動向についてですが、高校無償化が、進路選択の幅を広げるという大きな意義をもつ一方で、一部地域においては、公立高校の入学者数が減少し結果として入試倍率の低下や、それに伴う生徒の受験に対する危機感の低下が懸念される現状があります。 
 地域の産業を担う人材育成に重要な役割を果たしている専門高校の多くが公立高校であることから、公立高校離れは地域の産業にも大きな影響を及ぼすものと考えられます。このような状況を踏まえ、公立高校がこれまで培ってきた地域社会への貢献や、多様な生徒のニーズに応える教育を提供し続けるためには、予算を確保し、専門高校を含む公立高校の魅力を向上させるための施策を講じる必要があります。
 中学校の進路指導においては、生徒の学力だけでなく、文化・スポーツ、ものづくり等産業教育における才能も重要な要素として捉え、生徒の可能性を最大限に引き出すための進路指導を行っております。特色ある高等学校づくりは、生徒の多様な興味・関心に対応し、進路選択の魅力を高めます。
 
【阿部委員】
 議題(3)公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律についてに関していくつか述べさせていただきます。
 まず、学校の働き方改革をより一層進めていくためにも、令和6年9月の働き方改革の取組状況結果から、市区町村教育委員会の取組が進んでいない現状分析を確実に行い、その要因を明らかにしていかなければならないと思っています。市区町村教育員会も人員が不足しており、多忙化極まりない状況と思われますが、どのようなことをプラスすれば取組が進むのか、明確にする必要があると思いました。
 そして、学校現場での働き方改革をより一層実効性のあるものとするためには、学校のマネジメント力の強化が必須と考えます。学校は、よく、プラン(P)を立て、実行(D)するが、チェック(C)とアクション(A)が弱いといわれています。評価し、改善へつなげていく、または、プランを立てる前のリサーチ(R)が不十分なために、計画自体が適切でなかったという場合もあると思います。働き方改革の推進が十分に進まない要因がどこにあるのかをさらに検証し、実効性ある働き方改革のためにも、学校のマネジメント力強化を図っていくことが重要と考えます。
 それから、学校の働き方改革を推進するためにもチーム学校の観点から、教師ではない事務職員が、その専門性を活かして教員と協働し、業務を遂行することが重要と考えます。全国の事務職員には、法令やICT等の知識を活用して教育的視点と行政的視点から業務改善に取り組んだり、地教委と連携協働して課題解決に向けて取り組んだりしている実践があります。また、学校運営協議会や地域学校協働活動に参画し、学校と地域を結ぶ役割を果たしている実践もあります。そうした今はまだ一部の取り組みを全国展開されるためにも、共同学校事務室をより活用して広めていくことが必要と思いますし、室長が室内の事務職員の力量形成に尽力できるようすべての共同学校事務室への加配について検討していただきたいと思います。また、多忙化は教員だけではありません。事務職員の定数改善や配置基準の見直し等についても検討していく必要を感じますし、病気休職者も増えている現状から、事務職員の働き方改革に関する検討も加えていただきたいと考えています。
 最後に、今後、給特法第7条第1項に基づいて策定されている指針が改訂される予定ですが、各教育委員会が策定する「業務管理・健康確保措置実施計画」において、事務職員がチーム学校の一員として専門性をより発揮して教員と協働し業務遂行することが必要である、という観点が盛り込まれるよう、指針の中でも明記していただければと思っています。よろしくお願いいたします。
 
【松原委員】
 約50年ぶりとなる給特法の改正は、昨年8月に取りまとめられた『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)』において示された、教師を取り巻く環境整備の一環として、極めて意義深い一歩であったと受け止めております。実現に向けてご尽力いただいた関係の皆様に、心より感謝申し上げます。
 今回、新たに「令和11年度までに、1箇月の時間外在校等時間を平均30時間程度に削減する」という目標が掲げられました。この目標の達成に向けて、7つの具体的な措置が提示されておりますが、現在の学校現場の状況を踏まえると、実現には相当の困難が伴うものと受け止めております。保護者や地域、そして各自治体の教育委員会の一層の理解と協力なくしては、現場だけの努力では到底実現し得ない課題です。
 言うまでもなく、答申で示された「全ての子供たちへのよりよい教育の実現を目指した、学びの専門職としての『働きやすさ』と『働きがい』の両立」という理念には、深く共感するところです。
 今後は、資料3に示された「教師を取り巻く環境整備に関する総合的な方策工程表」に基づく取組を着実に進めていただくとともに、現場の実情にも丁寧に寄り添いながら、「働きやすさ」と「働きがい」の実現に向けて、さらなる前進を心よりお願い申し上げます。
 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)