初等中等教育分科会(第147回)議事録

1.日時

令和7年1月28日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
  2. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)
  3. 保育所・幼稚園等の職員による虐待に対する通報義務規定等の創設について
  4. 幼稚園設置基準の見直しについて
  5. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】  皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第147回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 議題に入ります前に、前回の開催以降、事務局に人事異動があったということでありますので、御紹介をお願いしたいと思います。

【渡邉教育制度改革室長】  前回の会議以降、1月1日付で大臣官房学習基盤審議官に日向が、大臣官房審議官(初等中等教育担当)に今井が着任しておりますけれども、本日は用務の関係で遅れての出席と予定させていただいております。
 また、同じく1月1日付で、文部科学戦略官に松坂が着任しておりますけれども、本日は用務の関係で欠席の予定としております。
 事務局から以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。それでは続いて、本日の会議の開催方式及び資料につきまして御説明をよろしくお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  本会議は、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。
 会議を円滑に行う観点から、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 次に、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1-1から資料4まで、加えて参考資料1-1から参考資料2-2までとなっております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  渡邉教育制度改革室長、ありがとうございました。
 今、御紹介いただきましたように、本日は次第に記されているとおり議題が4つございます。
 時間の都合で御発言いただける委員に限りが生じてしまう場合があるかもしれません。その場合は大変恐縮ですが、後ほどメール等で事務局に御連絡いただければ議事録に掲載したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、議題に入ります。議題1であります。「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」であります。
 本件につきましては、先月25日に開催されました中央教育審議会総会において、諮問が行われました。
 それでは事務局、武藤教育課程課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【武藤教育課程課長】  失礼いたします。教育課程課長の武藤です。資料1-2に基づいて、概要に基づきまして御説明させていただきます。昨年12月25日の諮問の内容でございます。
 まず1枚目の左上、子供たちを取り巻くこれからの社会の状況ということで、不確実性、激しい変化、あるいはマルチステージの人生モデルなどで、自らの人生を舵取りする力を身につけることの重要性、また、内なるグローバル化、デジタル化の負の側面、社会の分断の芽への指摘という中で、多様な他者と、当事者意識を持った対話で問題を発見・解決できる「持続可能な社会の創り手」を育てる必要性、またテクノロジー、変化に伴う困難だけではなく多様な個人の思いを具現化するチャンスも生み出すということで、生産年齢人口も減っていく中、様々な資源を動員して子供たちに豊かな可能性を開花させるんだと、こういうことが必要である認識が左上に書いてございます。
 一方、右上、現在の学校現場の状況ということで、現行の学習指導要領のサマリーを4行ぐらいで示した上で、コロナの制約に苦しみながらGIGAスクール構想による1人1台端末環境も活用し、各学校現場で精力的に改善を行っていただいている。そうした中、全国学力・学習状況調査、あるいはPISA調査等々で改善も見られているということをサマリーしております。
 その一方で中ほど、顕在化している課題ということで、主体的に学びに向かえていない子供が増えています。不登校、特別支援、あるいは外国人、特定分野に特異な才能がある子供、こうした子供たちを包摂して可能性を開花させる教育の実現が喫緊の課題であると。それから、その包摂に向き合うということは、正解主義とか同調圧力への偏りから脱却するとともに、民主的かつ公正な社会の基盤として学校を機能させると、共生社会実現という観点からも大事ではないか。
 また、中ほど、丸2です。学習指導要領の理念や趣旨の浸透が道半ばということで、習得した知識を現実の事象と関連づけて理解することとか、概念習得とか深い意味理解とか、あるいは自分の考えを持って他者に説明する、自律的に学ぶ、この辺りが課題になっております。また、社会参画の意識、夢を持っている子供の割合も、これは改善傾向が見られておりますけど、まだ低い状況にあります。
 最後3点目、デジタル学習基盤の効果的な活用ということで、大きな可能性は秘めておりますが、まだ緒に就いたばかりということ、デジタル競争力が低くてデジタル人材育成の強化が喫緊の課題であること、デジタルの力でリアルな学びを支えるという基本的な考え方に立ちバランス感覚を持って取り組む必要があるんだということが書いてございます。
 左下、こうした中、2040年代を展望すると初等中等教育が果たす役割は大きいと。よい部分を継承して課題を乗り越えていく必要がある。ただ、その課題を乗り越える意味で、その右側ですけれども、先生方の努力と熱意に過度な依存はできないということで、昨年8月の中教審答申と整合させつつ、「令和の日本型学校教育」を持続可能な形で継承、発展させる必要があるんだということを書いてございます。
 こういう前提の中で次の時代にふさわしい学習指導要領を検討していくということで、具体的な審議事項が2枚目に書いてございます。大きく4点、1つ目が、質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方ということで、先ほども出てきた知識の概念習得とか深い意味理解、あるいは、そもそも学ぶ意義、あるいは社会とのつながり、この辺りが重要になる中で、そうした授業改善に直結する学習指導要領にしていくための方策ということで、とりわけそれぞれの教科で、中核的な概念を中心に目標と内容を構造化できるのではないかということ。あるいはデジタル技術を活用して学習指導要領、作っていく中で、もっと分かりやすく、もっと使いやすいやり方が考えられるのではないか等々のことが書いてございます。
 右上です。多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方ということで、興味・関心、あるいは能力・特性に応じて子供が学びを自己調整する、あるいは教材や方法を選択できる学習環境デザインの重要性、あるいはデジタル学習基盤を前提とした新たな時代にふさわしい学び、あるいは教師の指導性の在り方といったことが書いてございます。
 さらに2つ目です。教師に余白を生んで、教育の質の向上に資する可能性も含めた、子供たちの可能性が輝く柔軟な教育課程編成の促進の在り方ということでございます。各種特例校制度を活用しやすくする、標準授業時数の柔軟性、学年区分の弾力性、あるいは単位授業時間、最低授業週数の示し方、こういったことを議論していくということでございます。今、各種特例校でしかできないようなことを一定程度、教育委員会あるいは学校の判断でやれるようにする中で、相当の余白を生み出せる可能性というのをどのように考えるかと、こういうことでございます。
 3つ目、高校については、これも多様性に応える柔軟な教育課程の実現ということで、全日制・定時制・通信制含めた諸制度の改善の在り方について書いてございます。さらに最後の丸ですけれども、不登校あるいは特異な才能のある子供たちに対しては、今は教育課程上の特例がございません。これをどのように考えていくべきなのかという論点でございます。
 左下、各教科等やその目標・内容の在り方ということで、まず1つ目が小中高を通じた情報活用能力の抜本的な向上を図る方策ということで、生成AI、あるいは情報モラル、あるいは昨今、話題になっていますメディアリテラシーの育成の強化ということは特出ししつつ、これをどのように考えていくのかということで、諸外国の状況とか、現状、課題を踏まえて、どのように考えていくかということが最初の論点になっております。
 また、質の高い探究的な学びを実現するための総合学習あるいは総合的な探究の時間の改善の在り方、これを情報活用能力の育成と一体的に考えていく必要があるのではないか。さらに今、高等教育段階でデジタル・理数分野への学部転換とか、3,000億円基金を使ってやっておりますけれども、大分定員も増える予定でございますが、初等中等から志望する子たちが増えなければ、定員割れということにもなりかねないわけでございます。初等中等段階における文理の横断、あるいは文理融合の観点の改善の在り方、また、外国語についてはAIの活用も含めた在り方ですとか、あるいは手軽に翻訳も可能になる中で、そもそも外国語を学ぶ意義についてどのように考えるか。
 また、教育基本法、学校教育法に加えて、こども基本法も成立しました。この趣旨も踏まえて、主体的に社会参画するための教育の改善の在り方について書いてございます。高校では、多くの教科・科目の構成の改善が行われました。その定着が当然、必要なわけでございますが、それも含めて今後の改善の在り方ということでございます。
 また、特別支援教育の学級あるいは通級指導、あるいは自立活動の充実、障害のある子供の教育的なニーズに応じた特別支援教育の在り方、また、幼児教育と小学校の円滑な接続ということで、設置者あるいは施設類型を問わずに幼児教育の質の向上を図る共通的な方策というのを考えていくということでございます。
 4点目、右下になります。教育課程の実施に伴う負担への指摘に真摯に向き合うことを含む、学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策ということでございます。過度な負担や、負担感が生じにくい在り方ということで、学習指導要領と解説のみならず教科書、入学者選抜、あるいは教師用指導書、これらも含めて考えていくということでございます。
 学習指導要領そのものの内容が増えてきていることに加えて、この間、相当教科書のページ数が増えてきているということであります。小学校は50年前と比べると3倍、それから中学校も1.5倍という状況になっております。そして、全体的に指導することを前提として教師用の指導書というのが売られ、また購入され、活用され、さらに教科書に載っている内容というのが入学者選抜の出題範囲になるという認識も強い中で負担、負担感が生じている側面も大きいのではないかということを思っております。
 その辺りをトータルで解像度高く御議論をいただきながらソリューションを見いだしていく。その際、年間の標準授業時数、これは現在以上に増加させないことを前提で、キャップをはめた上で議論をしていただくということ、さらに現代的な諸課題等、踏まえた教育ということで、いろんな各省庁所管から、また、時代の変化に伴って、これも大事だ、あれも大事だということでいろんな御指摘、御要望あるところでございます。それぞれに理由もあるし、意味もあるわけですけれども、全体の先生方の御負担にも留意しながら、このことについてもしっかり考えていくということでございます。
 1点目の丸と関係しますけれども、新たな学びにふさわしい教科書の内容と分量、それからデジタル教科書の在り方につきましては今、デジタル学習基盤特別委員会でワーキンググループを設けて議論いただいておりますけれども、よく連携をしながら、このことについても議論をしていくということでございます。
 それから4つ目の丸、情報技術など変化の激しい分野において教師の負担軽減を図りつつ、最新の教育内容を扱うことを可能にする方策ということでございまして、学習指導要領、おおむね10年に1回大きな改訂をしております。教科書の様々なプロセス等、あるいは学校現場のキャパシティーの問題なんかもあって、ある程度これはやむを得ない部分があるものの、一方で例えばAIとかプログラミングとか、かなり速いスピードで動いているものについて、どのようにアップデートを図っていく方策がありうるのかということを御議論いただくテーマでございます。
 こうしたことを進めていく上で、とりわけ丸2の2つ目の柔軟な教育課程であったり、あるいは教科書をベースにしながらも必ずしも教科書にとらわれないような、様々な柔軟な、あるいはクリエイティブな教育課程、あるいは指導をやっていくということであれば、4番目の5番目になります。こういったことを促進していく上では、教育委員会への御支援を強化していくことや、あるいは指導主事の資質・能力の向上の在り方についても記載してございます。
 次の丸です。コミュニティ・スクールあるいは地域、家庭との連携・協働に加えて、過度な負担を生じさせずにカリキュラム・マネジメントを実質化する方策についてです。この辺りも大事でしょうし、大きく改訂していくということであれば趣旨内容について社会全体と共有すると、あるいは各学校種を超えて一人一人の教師に浸透を促す方法も一段の工夫が必要ではないかということでございます。
 全体、今4点、御説明を申し上げましたけれども、1枚目の一番下に戻ります。これから教育人材政策課から御説明があると思いますが、別途、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策ということを諮問して、議論を開始していただいておりますけれども、そことよく連携しながら車の両輪で御検討をいただく。
 さらに言うと2枚目に戻れば、この審議事項、ここで主なものは書いているわけですけれども、これ以外、これに付帯する事項ですとか、あるいは様々ここで提言することに伴って必要な支援ですとか条件ですとか、こういったことも含めて御議論いただく設計になっております。
 全体としていうと、この4番目の負担への指摘という軸を踏まえて見ていけば、例えば負担、負担感が生じにくい在り方ということを踏まえた上で、例えば丸1の使いやすさとか、先生たちの負担が生じにくいような、あるいは使いやすいような学習指導要領の検討ということにもなるでしょうし、あるいは4番目、デジタル学習基盤の活用を前提としたということにも関わるでしょうし、さらに1の最後の丸ですけれども、評価についてもこういった負担にも留意しながら検討していくということになるでしょうし、様々とにかく「令和の日本型学校教育」のよい部分は残し、課題は乗り越え、そしてその際、これ、持続可能なものにしていくと、一本筋を通しながら今回御議論をお願いしたということでございます。
 私からの説明は以上です。

【荒瀬分科会長】  武藤課長、ありがとうございました。大変丁寧な御説明で最後、全体をまとめた形で今後の議論についての注意点といいますか、留意点を御説明いただきました。ありがとうございました。
 今も最後にはもう一つの諮問とも両輪でということでありましたけれども、ここからの議論は一旦、この教育課程の基準等の在り方についてに絞ってお願いしたいと思っております。今後の展開の中で初等中等教育分科会において、両方の話を議論していかなければならない場面というのは必ず出てくると思いますが、本日は第1回目ということもありますので、まずは教育課程の基準と、この在り方についての御議論をお願いしたいと思います。
 会場にいらっしゃる方も、それからオンラインの方も、いずれも御発言の意思表示はパソコン上でやっていただけると順番がよく分かってありがたいですので、お願いいたします。
 それから毎回のお願いで大変恐縮ですけれども、できるだけ多くの皆様から御発言をいただきたいと思いますので今、私が手元に持っておりますメモではお一人1分とありますけれども、ちょっとこれはあまりにも難しいですので、可能な限りまとめてお話をいただくようにお願いしたいと思います。私も進行を淡々と進めてまいります。
 それでは、御発言のおありの方、どうぞ挙手ボタンを押していただきたいと思います。
 では村岡委員、まず、お願いいたします。

【村岡委員】  ありがとうございます。山口県知事の村岡でございます。できるだけコンパクトに2点ほどお話をさせていただきます。
 まず、ICT関係について、山口県におきましては、これまでの教育実践とICT環境を効果的に組み合わせて、個別最適な学び、そして協働的な学びを一体的に充実させていこうとする取組を、やまぐちスマートスクール構想と位置づけ総合的に取組を進めています。
 様々な取組をしていますが、その中で今年度から、生成AIが、生徒の投げかけに対して直接答えを言うのではなく、ヒントであったり、考える新しい視点を導くような、そうしたサポートをしていく生成AI・学習アシスタントアプリを中学校のモデル校7校に導入して今、いろいろと取り組んでいるところです。
 先日、私もモデル校で実際にそのアプリを使った授業を見たのですが、グループ学習をする際にそれぞれの生徒が自分の考えていることを投げかけて、それに対してAIが別の視点や、考えるヒントを与えてくれて、それを基にしてグループで議論することで非常に深まった議論をされていると感じました。生徒の思考がどんどん深まっており、また何より良かったのは生徒自身が、自分が考えていることに対して別の視点が加わることで考えが深まっていく過程を楽しんでいる様子が伺えたので、非常に意義があると感じたところです。
 学校の校長先生にもお話を聞きましたが、一人一人に対してAIが対応しますので、一人一人のニーズやペースに応じた学習を行なうことができたり、あるいは、不登校の生徒がAIを使って様々なやり取りをする中で学校に来やすくなったり、いろんなことが効果として生まれてきていますので、教育分野での生成AIの可能性を感じました。うまく工夫して使っていくと、生徒が学習や、思考を深めていく過程を楽しむことにつながっていくと思います。
 このようなことをぜひ進めていただきたいと思います。一方で、これからの時代、子供たちが受け取った情報の確かさや、有用性を正しく判断していくこと、また、情報を発信することの責任を自覚させることも重要だと思います。このため次期学習指導要領におきましては、デジタル学習基盤を前提とした教育課程が編成されるように盛り込んでいただきたいし、各教科等だけではなく学校の教育活動全体を通じて、情報活用能力の育成や情報モラルの大切さがより一層、重視されるものとなるように求めたいと思います。
 それから2点目は、定時制、通信制教育の充実についてなんですけれども、山口県におきまして令和4年度に定時制と通信制を併置した山口松風館高校という学校をつくりました。かなり人気が高くて志望倍率も高い状況が、続いています。定時制や通信制といった柔軟な教育課程を持つ高校は不登校を経験した生徒や、学校生活に困難を抱えながらも特定分野に特異な才能がある生徒などの受皿ともなっています。今後もこうした高校の果たす役割は大きくなっていくと思います。
 その一方で、この定時制とか通信制に入学する生徒の中には中学校段階までの基礎学力が不足していたり、学習の習慣が身についていなかったりする者も比較的多くいますので、こうした生徒たちにこそ、より充実した高校教育を提供する必要があると思います。特に通信制は、生徒の自学自習を基本としていますが、現状、添削の指導の回数や、面接指導の時間数の標準が定められているものの、今の基準では高校での教育内容の理解・定着が困難であるとの声を多く聞いております。学力保障の面からも、指導の回数等の基準を増やす方向での見直しが必要ではないかと思います。
 最後に、次期学習指導要領の改訂に向けましては教育委員会、また、学校現場の声も聞きながら、ぜひ進めていただきたいと思っています。教育を取り巻く環境は厳しい状況でございますが、引き続き教育委員会、また、関係団体と連携して次代を担う子供たちの育成のために山口県としても、特色ある教育活動を進めていきたいと思っているところです。
 以上です。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  日本学校保健会副会長、日本医師会常任理事の渡辺でございます。4点、簡単に意見を述べさせていただきます。
 まず、学習指導要領の改訂に当たりましては、現在の学習指導要領の進捗や達成度を十分検証した上で新たな課題を設定し、改訂に臨んでいただきたいと思います。部会やワーキングなど、今後検討される場でそれらの詳細な資料が示されるものと思いますが、この分科会でも情報を共有していただきたいと思います。
 次に、多様な個性や特質、背景などに応じた個別最適な指導を行うには個性や特性を判断するだけでなく、個々の状況に適切な指導ができる知識と能力を教師が身につける必要があるように思います。個性や特性の判断を間違えば適正な指導はできません。そういう能力は一朝一夕には身につきませんので、大学の教職課程や就業後の研修会の充実をお願いしたいと思います。
 3点目、生成AIの出現によりまして今後の教育の在り方が大きく変わる可能性があると思います。子供たち自らが変化する環境や課題に対応できる能力、つまり柔軟性を持った自己調整能力や自己判断能力を育む教育が必要となり、また、それを指導できる教員の養成が必要と思います。同時に、そのためには教員負担を削減する必要がありますが、授業関係以外の業務のタスクシフトを強力に推進する必要もありますので、学習指導要領だけでなく根本的な部分も検証し直す必要があると思います。
 最後でございますけれども、健康教育に関しまして、さきの中央教育審議会の総会で保健体育と各他教科のカリキュラム・マネジメントが必須と申し上げました。子供たちがせっかく学習したことを教科の縦割りで終わらせずに、人生100年時代に生きる力としてもらうために大変重要なテーマと思いますので御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 私の申し上げようが不十分で申し訳ありませんでした。あくまでも2つに分けて議論いたしますけれども、当然のことながら関連していることがありますので、そこのところはどうぞ御遠慮なく。ただし今現在、10人ぐらいの方が手を挙げてくださっていますので、御発言はできるだけ短くよろしくお願いいたします。
 では、続きまして市川委員、お願いいたします。

【市川委員】  全国特別支援学校の市川でございます。主な審議事項の3番の各教科等やその目標・内容の在り方のところの項目ですが、特別支援教育のことについても記載していただいてありがとうございます。ただし、少しこの文言を読みますと、特別支援学校の教育課程のことも審議していただくことが少し見えないかなと思っています。本文を見ますと特別支援学校のことが書いてありますので、それも含んでいただけるということだと考えておりますが、ここの文言だけだと特別支援学校がはっきりしなくなるので、そこら辺も御注意いただければ幸いです。
 なお、本文も見させていただきましたが、特別支援学校の中でも知的障害の教育課程もここに含まれるんだということも御確認していただければと思っています。現行の学習指導要領の改訂のポイントは小中学校等の教育課程との連続性ということですので、知的障害のある児童生徒のための教育課程も当然、教科の授業の改善ということが大きなテーマになると思いますので、そのこともよろしくお願いいたします。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。重要な御指摘ありがとうございました。
 それでは吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】  全国市長会副会長を務めております、埼玉県本庄市長の吉田でございます。私は、この資料1-2の初等中等教育における教育課程の基準等の在り方についての概要、この中で少し感じたことを2点だけお話をさせていただきます。
 顕在化している課題の中で主体的に学びに向かうことができていない子供の存在、また、学習指導要領の理念や趣旨の浸透が道半ばと書いてありますが、私、感じますのに例えば子供の社会参画の意義、将来に夢を持つ子供の割合についても改善傾向に見られるも国際的に見て低い状況等々あります。
 私、最近、非常に社会的というか、日本が置かれている非常に大きな問題が少子化の問題で、昨年の生まれた赤ちゃんの数が70万人を切ってしまった、一昨年は80万人を切っている状況で、非常にこれは憂慮すべき状況であると思います。簡単にこの少子化というのは解決できません。
 ただ私は、であるならば教育の場において、まさに先ほどから言っているように学校教育というのは憲法、そして教育基本法と、このたびできた、こども基本法、この理念も大事にしながら進めましょうということを大きくうたわれているのであれば、このこども基本法の第3条の6にこう書いてあるんです。家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備することと、このように書いてあるんですね。
 学校教育において家庭を持つこと、子育てをすることの尊さというもの、これはもちろん今の社会で多様性というのが求められることが第一義ではございますけれども、子供を産み育てたいと思うお子さん方に子育てはどうあるべきか、家庭教育ってのは大事だよと、家庭を持つということは大事なんだよという、そういったことをしっかりと教えていくことを大きくこれ、打ち立てていくべきではないか。まさに、こども基本法の第3条の6に書いてあるわけでございますので、こういったことをしっかりとこの教育の理念に盛り込んでいただいて、初等中等教育においてやっていくことが大事ではないかということを1点指摘させていただきます。
 もう1点はデジタル学習基盤の効果的な活用ということで、これ、しっかりうたわれていることは大事だと思っておりまして、基礎自治体が財源不足からその整備に遅れや差があっては、私はならないと思っているところでございまして、ぜひ、この整備は更新のときの費用も含めて、国の責任においてしっかりと進めることを強く打ち出していっていただきたいなと考えております。
 現在、更新を迎えている各自治体、非常に基礎自治体、財政的に大変だという声も聞いておりますので、これはせっかく始めたことでございますから、これは国の責任においてしっかりやっていくということを強く打ち出していくべきであると、このことを指摘させていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】  大阪教育大学の藤田です。私からは、主な審議事項の4の学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策の中の最後の2つの項目、コミュニティ・スクールを含む地域や家庭との連携、協働を促進しつつ、過度の負担を生じさせず、カリキュラム・マネジメントを実質化する方策と、学習指導要領の趣旨・内容について、保護者をはじめ社会全体と共有するとともに、学校種を越えて一人一人の教師に浸透を促す方法の在り方の中で、学校保健安全法第27条の学校安全計画に記載されている学校における安全点検の実施や、通学路を含む学校生活の子供たちの安全、さらに教職員の研修において、例えば学校の管理下での事故や登下校中の交通事故、不審者による犯罪被害、自然災害など、過去の事件、事故、災害等の被害を繰り返さず子供たちの安全を確保し、学びを保障していくために、学校運営協議会や地域学校協働活動の仕組み、また、セーフティプロモーションスクールの活動などを参考に、教職員だけでなく保護者や地域の人材の参加と協働を活性化し、外部の視点を取り入れた連携を通じて、子供たちが生涯にわたって安全でウェルビーイングな生活を送るための基礎を培うとともに、進んで安全で安心な社会づくりに参加し、貢献できるような資質、能力を持った人材へと育成されることを目指した取組の充実。 併せて、次期の学習指導要領の総則や特別活動の中で児童生徒が学校の安全点検に参加することを促す安全教育や安全管理の取組を、教科横断的に充実していくための方策になどについても、ぜひ検討いただきたいと考えております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】  ありがとうございます。今回、主な審議事項だけでも非常に重要な論点が24個と幅広く入っている。これから審議を進めていくに当たって、本当に質の高い深い対話を実現しながら分かりやすく議論だとか、審議を進めていく必要があるのかなと思います。
 そのときに中身というよりも進め方で一つ、お願いというか、になるんですけれども、今後これ、2年間でどのように審議を進めていくのかという、そのプロセスというのか、全体の地図みたいなものをできる範囲で見える化したり、共有化しながら、それは当然、修正していくという、議論の中で変わっていく前提の中でも、全く見えない中でそれぞれの観点だけでばっと話す場だけではなくて、どのワーキングや部会では主にこういった論点を取り扱うと。これ多分、議論も順番があると思います。
 まず、これについて集中的に議論しながら、いつ中間まとめとかで共有して、その後にとかという、いつ頃、どの部分を主に議論していくのか、みたいなところって多分あるかと思いますので、何か全体がそういったところで見えた中で、今日の場は特にこの論点について主に皆さんで知恵を出し合うとかとやると、質の高い深い対話がよりできるようになるのかなと思いますので。今後、第1回目、第2回目と進んでいく中で、どこかでできる範囲でそういった見える化というか、していただけると議論が国民にも進め方も含めて分かりやすくなっていくかなと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。当然のことながら中心的には教育課程部会で議論を進めていただくということで、教育課程部会を軸にして議論が展開していくものと考えられますが、武藤課長、それについて何かございましたらお願いします。

【武藤教育課程課長】  大変重要な御指摘だと思います。また部会長とも御相談の中で、できる限り見通しが分かりやすくなるように、限界はあると思いますけど、できる限りやりたいと私たちとしても思っています。そうしたほうが恐らく委員の皆さんだけではなくてマスメディアの方々にも取材していただきやすいし、あるいは教育委員会とか学校現場の方々にも見ていただきやすいと。こういうことで、この審議のプロセス全体を通じて今、何が議論され、何が大事で、もしかしたら、その中には今の教育課程の改善に資するものもあるかもしれないと、こういう視点も多分あると思うんですね。
 なので、大変重要な御指摘なので、また相談してできる限りのことをしていきたいと思います。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。ということでありますので、よろしくお願いいたします。ですから役割分担ということで言うならば、初等中等教育分科会は教育課程部会や教員養成部会での議論が両方とも、こちらに届けられてくるので、私たちはそれらを全体、見通した上で議論を重ねてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
 では、白井委員、お願いいたします。

【白井委員】  大丈夫ですか。ありがとうございます。私からは、2番の多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方というところについて述べさせていただきます。
 今、不登校の子供たちが34万人、小中学生だけでもいる状況の中で、これについてしっかり御議論いただくことは非常に重要なことだと思います。その中で一つ強調しておきたいのが、例えば不登校特例制度の活用とかいうような、活用をしやすくというようなお話がありましたけれども、今まで不登校の子供たち、フリースクールで何千人か対応してきた観点で申しますと、今の現状の不登校特例制度で、多く見積もっても私たちが対応してきた5分の1ぐらいの子供さんぐらいしか対応ができないかなというような形なんですよね。今、すごく多様な子供たちがいる中で、今の制度を活用するというだけではどうしても救い切れない層がいるところについて、不登校特例校の制度そのもののアップデートであるとか、そこの内容の教育課程のアップデートというところも含めて御議論いただけるとありがたいというところ。
 それから、4点目の多様な子供を包摂するシステムの構築に向けた教育課程上の特例等の在り方ということに関しても、これ今、学校に行けているとかいうような子供たちだけじゃなくて、例えばフリースクールに通っているであるとか、あるいは自宅学習というのも成績の評価の対象になったというような状況の中で、そういう自宅学習しているとかというような子供さんも視野に入れた、教育過程の特例等の在り方というところにしっかり御議論いただければというところを強調してお願いをしておけたらと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田喜代美です。本日は、2点の意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 1点目は、先ほどお話がありましたように教育基本法、それから学校教育法だけではなく、今回、こども基本法にも基づくということが述べられておりますが、実は今、文部科学省とこども家庭庁では既に、「こども若者★いけんぷらす」において、小学生から高等学校の生徒たちにどんな学校をつくりたいか、学習指導要領に関して子供たちからの意見の収集というのを1月31日まで行っているところであります。
 このような形で子供の意見を聴取していただくことが重要であると同時に、御参加の委員の先生方にも知っていただき、いろいろな地域やいろいろな関係者のお子さんたちの意見が寄せられることが大事だと思います。と同時に、これで意見を聞いたということで終わりにしていただいては困るわけで、今後も学習指導要領が子供の視点からもどのように見えているのかということを、引き続き検討をしていただくことが重要だと思っています。
 これは単に主権者教育とか社会的参画というだけではなく、子供の声を聴くことは全ての教科の授業等でも根幹になることでございますので、こうしたことも含めて、学習指導要領の中で議論いただくことが重要だろうと考えております。
 また、2点目としては、デジタル学習基盤に関してでございます。現在、総合教育政策局では公立図書館、学校図書館の運営の在り方に関する委員会が立ち上っております。そちらの委員を私や奈須委員が引き受けさせていただいておりますが、デジタル学習基盤というのがICT端末だけではなく、今後電子書籍や、そしてそうしたデジタル書籍や資料も利用することによって、電子図書等も利用することによって、子供たちがデジタル教科書だけではなく相互に図書等でも電子化をしていく、そうしたことが子供のデジタルリテラシーの育成の点からも重要であろうと思います。
 ただし、実際には地域間の格差という自治体間の格差の問題もなされているところです。ぜひデジタル学習基盤ということを1台端末や教科書の問題だけではなく、幅広く学校の中のデジタルの問題として捉えていただくことが重要ではないかと思いましたので、以上2点の意見を述べさせていただきます。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。今おっしゃった1月31日までに収集されるところの子供さんの声、これ、ぜひ教育課程部会ももちろんのことながら、教員養成部会や、あるいは初等中等教育分科会で御紹介いただけるとありがたいと思います。ありがとうございました。
 それでは田島委員、お願いいたします。

【田島委員】  発言の機会、ありがとうございます。全国町村会副会長を務めております、佐賀県白石町長の田島でございます。
 諮問の理由にもありますとおり、深刻な少子化、人口減少、子供たちの多様化や社会の複雑化、困難化による諸課題が学校現場を取り巻いておりまして、教師の負担を軽減しつつ、子供たち一人一人の個性を踏まえたきめ細かな支援、指導は、「令和の日本型学校教育」の継承、発展において今後さらに重要になってくるものと思います。
 当町は、このような諸課題を地域全体で解決しながら子供たちを育てていくことを重要視しておりまして、これまでコミュニティ・スクールで目標や課題を共有しながら地域、学校、家庭が一体となって子供たちを見守ってきました。
 これに加えて新たな試みとして、令和7年度から町内の小学校2校をチーム担任制のモデル校として実践研究を行い、令和8年度から町内全ての小学校に導入することを目指しております。導入によって担任教師の負担軽減や、複数の目で子供たちを見守りながら支援、指導ができることを期待しているところでございます。
 一方で、小規模学校であることから限られた教師数で調整することに困難があること、そもそも地域に教師の成り手がおらず、定年延長される方を含めても教師不足が深刻な状況であり、引き受ける人材がいるのかといったことも懸念しております。当町の例を申し上げましたけれども、町村では複雑化、困難化する課題と新たな学びへの対応とともに、持続可能かつ子供たちの能力、可能性を引き出し、たくましく成長できる教育を目指し、懸命に取り組んでおります。
 そして全ての子供たちに質の高い教育を実践するには人材確保と財政支援が必要となりますので、国におかれましては引き続き支援をお願いいたします。また今後、本諮問が様々な立場から検討いただき、よりよい初等中等教育の在り方が示されることを期待いたします。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは神野委員、お願いいたします。

【神野委員】  よろしくお願いいたします。私からは専門ぽいと思いますので、生成AIぽい話をしてみようかなと思っております。
 うちの学校では、実は先にAIを使った授業というのを結構やっています。その中の事例、皆さんにも共有させていただきたいなと思っているんですが、AIを使って作文を書くような授業やっているんですけれども、一番最初、まずAIを渡して、子供たちに、さあ、作文書けと、そのときのテーマ、戦争についてみたいなだったと思うんですが、そのとき、みんな戸惑っちゃうんですよ、何か。
 なぜかというと、生成AIにぽんと戦争についての作文、書いてください、300字程度でっていったら、ぱっと出てきちゃうじゃないですか。これでいいのかって皆さん、みんな、思うわけですね。あれって。それでみんな子供たち、どういう顔をするかというと先生のほうを見るんですよ。先生、出てきたよ、これでいいの? みたいに。
 この姿が、実は生成AIというものを使うことにおいての人間のAIとの向き合い方において私、最も根幹的に間違っていることだと思っているんです。どういう意味かというと、その後どうしたかというと私たち、子供たちに、あなたの思いやアイデアが最も大切なんだよと。だから君の価値観ということをどんどん、どんどんアレンジしていっていいんだということをずっと声、かけ続けたんですね。
 そうしたら子供たちはAIとの対応を始めたし、AIが出力したものを自分で書き直しもし始めたし、自分で、こういうことかな、こういうことかなって考え始めて、どんどん、どんどん自分自身の在り方みたいな、自分自身が表現したいことをやるようになっていたんですね。そのときに子供たちの表情もどんどん明るくなっていて自己肯定感、高まっていっているんだなということも感じたんです。
 つまり、どういうことかというと、今の学校って多くの、何でしょうね、先生たちが自主性と主体性の違いということをあまり把握しないまま、自主性を教えちゃっているわけですよね。つまり正解というのは大体あるとか、こういうものはこうしなければいけないということを暗にもう秘めていて、子供たちはそれを、空気を読むように問題が出たら多分、先生は答えを知っているはずだ、その唯一の答えを探さなければいけないと感じてしまったりだとか、先生が言ったことは必ずやらなければいけない。そういう中でAIを渡されたら唯一、先生が望みそうなものは何なんだろうと考えてしまうわけですよね。
 その使い方をすると、子供たちにとってみれば何かもう30秒とか1分ぐらいで出てきたAIの答えというものでいいのかということを、ひたすら確認する作業しかしなくなっちゃうわけです。そういうことではなく君自身がどう思うのか、君自身がどういう思いを持っているのか、君自身の価値観は何なのかを表現するための補助装置だよと。それをちゃんと伝えていくことが、AIと向き合う意味で最も大切なことなんじゃないかなと思いながら今、私たちは教育活動を取り組んでいます。
 そういった意味において、前学習指導要領にも対話的で主体的という、この主体という言葉がありました。この後の時代、より主体性という言葉の意味を本当の意味で私たち、もう1回取り直した上で、そしてまた現場に対しても子供たちがやる、やらないは自己決定できる、自分たちの価値観を出していける、そういうような教育の姿に変えなければいけないんだということをしていかなければいけないと思っています。
 そのためには授業だけではなく、本当、その学校の在り方そのものの中で大人が理不尽に何かを伝えるんじゃなくて、子供たちの自己決定ということをちゃんと伝えていけるような在り方に変えていかなければいけませんし、それが変えられた暁には、実はこの生成AIを使いこなす方法や、授業自体が主体的になっていることと、あとは不登校が増えているという、こういうような諸問題の実は共通の処方箋になり得ると私は思っていて。
 だからこそ諸問題、様々あるんですが、共通でこういう形で処方箋を打てるところもありますから、そういう形で今後の議論というのは進めていけるといいんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。生成AIを使っていく上では、人間の教師がどれだけ力を発揮できるかということが問われていくということなのかなと思って聞いておりました。ありがとうございました。
 それでは柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】  柿沼です。私は幼児教育の立場から、主な審議事項の3のところの幼児教育と小学校の接続等のところです。主体的に学びに向かうことができていない子供の存在、不登校であったり、また前回の会議でありましたように、問題行動の低年齢化みたいなところがありますけど、ここは全て幼児期のところとつながっている大きな課題になっていると思います。
 どれだけ初等中等教育の質をどんどん上げたとしても、その前の幼児教育や家庭教育の段階のところで子供の育ちの質が悪かったり、または、なかなか難しい状況で育っている子供が多くなると、小学校以降の教育の質が高くても、その子たちが受けるレベルに達していないことが出てくるんだと思います。その辺りの課題が問題行動という形で表出したり、この主体的に学ぶことができない子供の存在につながっているんだと思っています。
 それなので小学校教育との接続はものすごく重要なもので、これは積極的に行っていかなくてはいけないんですけど、つながる側の幼児教育の内容や質がどのようなものなのかということが非常に重要になってくると思います。子どもの発達段階に応じた質の高い幼児教育と小学校以降の初等中等教育等の質が合わさっていくと問題行動の低年齢化等の課題は解決に向かっていく可能性があると思います。
より低年齢のときから、また、家庭の段階から、どんな子供をこの国で育てていきたいのか、どういった社会につながっていくような教育が必要なのか学校はもちろん社会全体で考える必要がありますし、そこで目指す子どもの姿は学校と幼児教育施設や学校と地域社会等の関係の接続で共有される必要があります。そしてただ接続するだけではなくて、その幼児教育と初等中等教育の内容の質を合わせていくようなことが重要だと思いますので、教育要領や保育指針と学習指導要領が繋がるようなものとなり、子どもの発達に合わせた幼児期の教育内容が社会全体に広がるよう、1点だけお願いしたいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では、内田委員、お願いいたします。どうぞ。

【内田委員】  よろしくお願いします。武藤課長から冒頭、標準時数についても御説明がありました。また、教員の指導に関わる余白を生み出すことについてもお話がありました。
 余白というところにつきましては、学びをする上では児童生徒に関しても同様に大切ではないかなと思います。様々学ぶ中で同意する、される、協調する、される、そして協力する、されるという関係が、まず児童生徒の間でも非常に大切で、一方的に受けるだけでなく、また発信するだけでなく、その考えをまとめる、あるいは考えを発信するに当たって、そしゃくするための時間というのが非常に重要ではないかなと思います。
 教育課程編成の上でも、こういった時間を確保するために考えなければいけないと思いますし、特に高等学校においては小学校、中学校の学ばなければいけない教科科目というところもあるかと思いますけれども、高校特有の中身、例えば教科間、基礎科目と発展科目の関係、科目間における組合せなど、標準時数を柔軟に対応することによって余白を生み出すことが十分可能だと思いますので、改めてこの視点で考えていただきたいなと思いますし、コミュニケーションのそしゃくという部分については、同情する、される体験も含めて不登校生徒が一番求めているところではないかなと思います。不登校に至らないまでもコロナ後、コミュニケーションについて様々な課題が出てきているところもあるかと思いますので、御配慮いただければと思っている次第です。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは堀田委員、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  堀田でございます。諮問の御説明ありがとうございました。
 概要の1枚目に顕在化している課題として丸3番にデジタル学習基盤のところ、さまざまな可能性はあるんだけれども、効果的な活用はまだ緒に就いたばかりであるという御指摘がございます。私、この分野の推進をしてまいりましたが実際、全国学力・学習状況調査の結果などを見ても、主体的・対話的で深い学びを一生懸命実現しようとしている学校ほどICTの利活用の割合が高いことが分かっていて、そして、そういう学校ほど学力調査のスコアも高いことが傾向ですけど分かっておりまして。
 恐らくこれは一人一人に応じようとするために、学習リソースを様々な形で子供たちに無理なく提供するときに、ICT、あるいはクラウドが非常に役に立ち、それを子供たちが自分で選んで学ぶときに情報活用能力が必要になっていて、情報活用能力が育っているがために、そういう傾向が出ているのかなと解釈しております。
 一方で、まだ十分にこれらの端末を使って授業改善が行われていない地域、学校もありまして、ネットワーク速度などが非常に不十分であるような、そういう整備上の課題もありますけれども、少し使ってみたけど子供たちがうまく使えないんだと、このままだと教科の内容をしっかりと身につけさせることが難しいんだということで、ちゅうちょしている例もあります。
 こういう例の場合は、確かにそのとおりなんですけど、これは活用頻度が少なく子供たちに情報活用能力が十分に身についていないがために、せっかくの端末をうまく使えない現実があると。したがって、この情報活用能力の抜本的な向上というのは非常に重要な視点となると思っております。
 この情報活用能力は学習の基盤となる資質・能力として、学習指導要領で言えば総則に書かれているわけです。しかしながら、各教科等の学習内容に明確に位置づいていない部分も結構あって、その結果、教え損なってしまう傾向もありました。
 したがって今度の学習指導要領の改訂の議論においては、各教科等の内容を見直すときに、情報活用能力のうち各教科等でうまくやりやすいところは積極的に取り込んでいただくような、そういうことをしていただきたいのと同時に、各教科等の内容として読みきれないような部分、それは当然あると思うんですけど、そういうものを指導する何らかの時間みたいなことが定められるといいなと思います。
 そして、これを小学校、中学校、高校全体にとって大事なことと思いつつ、中学や高校においては、学習体験だけでなく、さらにビッグデータとか、生成AIとか、メディアリテラシーとかをしっかりと専門的な学びとしてしっかり学習内容に入れていくことも大事かと思いますし、それをどの教科で、どのようにやるのかということについては小学校、中学校あるいは高校、大学入試、そして大学の教育との接続という観点で、一気通貫で検討していただければと思う次第です。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】  ありがとうございます。私、これを読ませていただいて、最初、2番のところに教師に余白を生むという余白という言葉にとても感じまして、もちろん教師が忙しいということで働き方改革をしたり、いろいろな施策があるんですが、実際に子供のほうが余白がないのかもしれないということをいつも感じながら。それは私が幼稚園で先生、遊んでいい? という子供の声を聞いたときに、子供というのはもう全てが遊びのはずで、そんなにびりびりやっているわけでもなく、大人の目から見れば遊んでいるのに、遊んでいい? って言われたときには、子供というのは自分たちが考えたことを自分たちの思いどおりにして遊ぶというのが、遊びという表現をするんだなということで、非常に反省させられた言葉だったんですけれども。
 その余白を子供たちに与えることを、この改革でしていただければありがたいなということで。本来であれば子供というのが点と点で、それぞれが点で、自分で生きてきて、それが友達とつながって線の世界ができて、それが社会というところで面の世界ができている、そのはずなんですけれども、最近は社会という面のほうが大き過ぎて点が十分に育っていないんじゃないかなと思うところがあることがございます。余白を子供たちなりにも大いに育つ時間の保障をしてあげられるような、あまりにも詰め込まない方法で何かできないかなということを日頃から考えていることと、もう一つはデジタル化の負の部分ということも忘れずに議論をしていきたいものだなと常々思っております。
 デジタル化がどうしても子供たちにとって、何かいいほうにつながればいいなということで、今、いいことだけが挙がっていますけれども、デジタル化の負の部分もぜひ御議論いただきまして、それが、バランスがとれていくようなものでありたいと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 では、奈須委員、お願いいたします。

【奈須分科会長代理】  よろしくお願いいたします。諮問内容の詳細については、また、この先の会議体でいろんな議論があると思いますので、少し大枠の考え方といいますか、お話し申し上げておきます。
 日本という国は、同じような政治経済、社会文化体制を持つ先進国の中では、とっても人口規模の大きい国だと思うんですね。ヨーロッパに1億を超えるような国ってないですよね。米国を除けば多分、日本が一番大きいのだと私は思いますけど。欧米は一般的に教育政策というのは地方政府で詳細を検討、実施していて、連邦政府の関与っていうのは必ずしも大きくないと思うんですね。
 日本は1億を超える大きな国であるにもかかわらず、大げさに言えば、箸の上げ下ろしまで中央政府が指示しているような教育政策をとってきたなと思うんですね。これが今、いろんな問題になっていて、余白であるとか裁量権を拡大するとかいう話も、そのことと関係があるのかなと思っています。
 このところ、よく教育について先進的な改革を進めてきた国として話題になる国、例えばフィンランドとかニュージーランドという国を考えてみるんですけど、両方とも550万です、人口。550万というと、日本だと例えば福岡県の規模ですよね。だから福岡県を改革するイメージと、この1億を超える日本という国を動かすというのでは、かなり具体的に作業イメージが変わってくる。法制度整備もそうですし、具体的な行政施策もそうですし、先ほど指導主事をどう育てるかなんて話も全く桁が違ってくると思うんですね。
 さすがに、この段階に来て、いろんな政策立案を進めていくのにどこまでを連邦政府、中央政府でやって、どこからは地方政府に委ねていくのか。その地方政府が都道府県でいいのかどうかってのは、また微妙な線で、都道府県だと地域によっては小さ過ぎるという話もこの国の場合あると思いますけど、大げさな話のようですが、ほかの政策以上に教育政策というのは本当にその地域、地域で小回りを効かせながら、独自な要求に沿って行っていくものだと思うんですね。
 現に例えば幾つかの地域、例えば広島県であったり名古屋市であったり、このところ独自政策を打ち出して頑張ってくださっていますけれども、そういう状況との関係で、今回もこれは教育課程の基準ですよね。教育課程は各学校、各地域でつくるわけで、その基準を国で決めるわけですけれども、その基準というのがどこまでのことを決定し、指示するのかということは今回慎重に考えていくというか。ここにおいても少し新しい在り方を模索する必要があるのかなというようなことを、個人的意見として持っております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 手を挙げていらっしゃらないんですが、よろしいでしょうか。大変ありがとうございます。進行表どおりに今、動いておりまして、大変御協力いただきましてありがとうございます。
 この件は先ほどからも出ていますように今後、奈須先生が部会長を務めていらっしゃる教育課程部会を中心に議論が進められていくことになっています。その際、先ほど岩本委員からも御指摘がありましたけれども、審議を進めていく上での審議の在り方についても検討いただくことが重要かと思います。また、この後御説明いただいて議論をしていただく教師の在り方に関する議論とも深く関与するものでありますので、本分科会でも、それら両部会での御議論を見ていく中で、大いにまた深く議論をしていきたいと思っております。
 では、議題2に進ませていただきます。議題2は、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について、これも諮問でございます。
 本件につきましても、議題1と同様、先月25日に開催されました総会で諮問があったわけでありますが、まさに初等中等教育に関する2つの大きな諮問がなされて、今後本当に両輪となって議論が展開していくことになります。
 では、この2つ目の「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について」(諮問)につきまして、後藤教育人材政策課長から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【後藤教育人材政策課長】  失礼いたします。資料2-1から2-3がございますけれども、概要資料の資料2-2というのがございます。こちらを主に使いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 この資料の上段の部分でございますけれども、これまでの経緯を整理しております。近年の中央教育審議会においての答申の経緯を記載させていただいておりまして、教師に関わるものとして、累次にわたりまして方向性をお示しいただいております。令和3年の答申においては、2020年代を通じて実現を目指す「令和の日本型学校教育」の姿をお示しいただいております。
 その中で併せて、それを担う教師、教職員集団の在り方というのもお示しをいただいているところでありまして、これを受ける形で令和4年12月の答申でございますけれども、そうした教師、教職員集団が目指すべき姿を実現するために、令和4年答申では教師に共通的に求められる資質能力の再整理を行うとともに、新たな教師の学びの姿の実現、また、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成といった改革の方向性をお示しいただいております。
 これを踏まえまして、この資料には書いておりませんけれども、例えば特定分野に強みや専門性を持った教員の養成のために、4年制の大学でも特例的に二種免許状の教職課程を設置することができますよという、こういった制度改正を行っておったり、また、全国教員研修プラットフォーム、Plantと名づけておりますけれども、こちらを構築して研修履歴をとりながら、それを活用しながら対話に基づく受講奨励を推進するようなこと、様々な改革を現在、進めているところがございます。
 また、その下でございますけれども、令和6年8月の答申におきましては働き方改革のさらなる加速化、また、指導・運営体制の充実、また、教師の処遇改善を一体的・総合的に推進するということで方策がお示しいただきました。この答申の中でも実は教師を取り巻く環境整備に深く関わる事項として、教員免許や教員養成の在り方等について専門的な検討を行うことに対しての期待感、答申の中で併せてお示しをいただいているところでございました。
 このように、令和3年答申でお示しいただいた「令和の日本型学校教育」の実現という目標に向かって各種改革を進めているところではありますけれども、生産年齢人口の減少、これが加速化していると。また、先ほどの学習指導要領の議論でも出てまいりましたけれども、生成AIはじめ、技術革新というようなところを踏まえる、そういう社会変革の中で、子供一人一人の能力を我が国社会にとって、これを最大化していくことの意義がますます高まっていて、そこに関わる教育の重要性が増しているという認識を文部科学省として持っているというところでございます。
 そして、その中で教師の役割というのも変わってくるだろうと捉えておりまして、これは令和4年答申でもお示しいただきましたが、これからは子供たちの主体的な学びへの支援とか伴走というところが非常に重要になってくるということになりますが、これはなかなか簡単に転換できるということではなくて、なかなか高度なことでもあり、そのためには、質の高い人材こそ教師に十分に確保していくべきという必要があるだろうという認識でおります。
 今、教師不足ということが言われている状況があります。そこを出発点にして考えなければいけないということがあり、そしてその教師不足の背景には、教員の年齢構成に起因いたします大量退職という状況があって、大量退職に対して大量採用しているということがあって、その中で倍率も低くなっているという状況があります。そういう時期的な問題がありますが、その時期が過ぎれば、おのずと質の高い人材が教師に勝手に集まってくるかというと、そうはならないだろう。生産年齢人口全体が減少しているので、ここは一手打つ必要があるのではないかと、こういった問題意識でございます。
 決して拙速に取組を進めようという認識ではありませんけれども、令和4年答申でお示しいただいた改革、これを戦略的にこの課題を解決するも意図を持って立ち向かわなければ、制度の根本に立ち返った検討を改めて行う必要があるのではないかという問題意識の下で、教師人材の質の向上と、それから入職経路の拡幅という方向性を持って、その方向性、2つの方向性が結節するのが、この多様な専門性を有する質の高い教職員集団だと思っておりますので、これを実現する取組を丁寧に、しかし加速をさせていくという必要があるという認識で、まさに縦と横の改革を併せ持ってやっていく必要があるだろうという認識の諮問をさせていただいたところでございました。
 具体的に審議をいただきたい事項というのは、資料の下段の3点に整理をさせていただいております。1つは、大学での教職課程の在り方、2つ目は、採用や研修の仕組みの在り方、3つ目が、多様な分野から社会人等がもっと教職に参入しやすくなるということで考えるべきという観点でございます。
 1つ目の教職課程の在り方についてでありますけれども、現在、4つの大学を指定して、教員養成フラッグシップ大学といった取組もありますけれども、こういった教職課程の改革に向けた、そういった取組も勘案しながら、今後の、先ほどの学習指導要領の議論も十分踏まえながら、教職課程の学習内容であるとか、あるいは子供の学びを転換していくということに立脚しながら、教職課程における学生の学びもどうあるべきかというような観点での検討が必要ではないかということ。
 また、併せてその際、例えば学生の中に、教職課程を履修したけれども、実は免許の取得まで至らなかったという学生がいます。そういった方の声として、必要な単位数が多くて、なかなか全部の単位取得が実際難しかったといった声もあるようなことも踏まえて検討が必要ではないかという考えでございまして、より多くの学生が免許取得を目指したり、また、それだけでなくて、現職の先生も含めて、教職生涯を通じて学び続けるという姿を実現する、能力向上に意欲を喚起するような、そういった免許制度の在り方といった観点での御議論もぜひいただきたいというものでございます。
 また、文部科学省では、今、地域教員希望枠のようなものを教員養成大学との関係で、そういったものの設定を通じて、大学と教育委員会が一体的に教師人材の確保につなげるような取組を進めておりますが、これの今後の在り方についても御議論いただきたいと思いますし、加えて、少子化の中で、特に地方において大学の在り方というところも論点になってまいりますが、そういった中でも、地域地域で確実に不可欠な教師人材、免許を持った人材が安定的に輩出されるために、教職課程が継続的に開設・実施できるようにするための柔軟な方策といった点での御議論もお願いしたいというものでございます。
 2本目の採用・研修の観点でございますが、こちらは採用につきましては、例えば採用選考の早期化でありますとか、あるいは複数回の実施といった取組が、現在多くの教育委員会で取り組んでいただいておるところでございますが、それに加えて、さらに採用選考の第一次試験の共同実施といったことに向けまして、教育委員会の御協力もいただきながら、別途具体的な検討も進めております。こういった動きも勘案しながら、優れた人材の確保に必要な方策について御検討をいただきたいというものであります。
 また、現職の先生への目線ということで言いますと、繰返しになりますが、昨今の大量退職や大量採用を背景として採用倍率が低くなってしまっているという状況の中で、実は、全国の公立学校教員の中で、20代30代が占める割合が非常に今高くなってきているという実態がございます。そして、これら若い世代の先生方が今後、先ほどの学習指導要領の議論にもありましたが、ああいう新しい学びの中核を担っていただくということになりますので、中長期的な視点を持ちながら、現職の先生方の学び直しをどう応援していくかという視点での御議論もお願いしたいということでございます。
 具体的には、働き方改革を通じて研修や学ぶ時間の十分な確保によって、自己の資質・能力を高められるような環境整備、研修履歴を活用した対話に基づく研修の受講奨励の進捗状況の検証、また管理職のマネジメント強化、また教職大学院での学び、その教職大学院での指導の質を確保するための方策などについても御検討をお願いしたいというものでございます。
 3本目の柱は、多様な専門性や背景を有する社会人等が教職に参入しやすくなるような制度の在り方についてでございまして、令和4年答申でも、多様な人材の教職員集団への取り込みの重要性を示していただいておりますが、実は、例えば令和4年度の全国の公立の教員の採用者に占める民間企業経験者の割合は約4%というのが実情でございます。これまでの間、例えば特別免許状の指針の改訂とか、あるいは、先ほど申し上げた教職課程の特例の創設などをやっておりますけれども、さらにこの入職経路の拡幅という観点の議論が重要ではないかという認識でございます。
 例えば、今回の諮問では、教職課程を取らなかった方にも教職への道を開くことを目的として、現在、教員資格認定試験、これは教職員支援機構において実施していただいておりますけれども、この在り方について、試験の実施方法も含めて御検討をお願いしたいというもの。
 また、2つ目でございますが、学部段階で教職課程を取らなかったというだけで、もう教師の道がないということではなくて、例えばそういった社会人の方が、大学を出ているので大学院で学び直す。大学院で学び直す中で教員の免許が取れるという仕組みが、簡単に取れるという仕組みが今ありませんので、そういった新しい仕組みの構築の可能性についても、外国の事例も参考にしながら御検討いただきたいというものでございます。
 加えて、特別免許状のさらなる活用、また民間人材が、民間企業の方が企業に在籍をしながら公立学校教育に関わる、教師として勤務するような、そういった柔軟な任用形態の在り方についても御検討をお願いさせていただきたいといった、そういったものでございます。
 以上が諮問の主なポイントでございます。先ほどの指導要領についての初等中等教育における教育課程の基準等の在り方についての議論と連動させながら御審議をいただきたいと考えているものでございます。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  後藤課長、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問をまたお願いしたいと思います。おありの方は「手を挙げる」のボタンをよろしくお願いいたします。では渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  渡辺でございます。多様な専門性を要する質の高い教員、教職員集団の形成を加速するための方策について1点だけ述べさせていただきます。
 多様な専門性・背景を有する社会人が教職に参入される方針には賛同させていただきます。しかし、大学で教職課程をじっくりと学んでこられた方、大学院での学習によって教員免許を取られた方、特別免許状を取られた社会人の方々などを同等に教育の場で活用されるかどうかなどに関しましては、できれば経時的に効果を検証しつつ慎重に進めていただくことを希望いたします。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では内田委員、お願いいたします。

【内田委員】  ありがとうございます。2番について発言させていただければと思います。
 教員にとっての余白というのは、遊ぶためということではなくて学ぶため、学び続けるために我々は必要であると考えております。先ほど、御説明の中でPlantという仕組みについても話をいただきましたけれども、我々教員集団がそれぞれ専門性で深めて学んでいくためには、学会であるとか、教育研究・研修団体の役割というのは非常に重要ではないかと考えている次第です。
 そういった意味でも、そういった研修団体が教育委員会や大学と連携しながら、独自に研修を進めることができる仕組み、あるいはそういったことが文言として盛り込まれるということが非常に重要だと思っております。全国ネットワークを持ち、全国大会などを実施することができる団体が、地域の教育だけでなく、全体の教科教育、あるいは専門性のある教育の進化につながると考えておりますので、検討の中で盛り込んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは阿部委員、お願いします。

【阿部委員】  全国公立小中学校事務職員研究会、阿部です。よろしくお願いします。
 資料の概要の主な検討事項の丸2のところに関連してお話しさせていただきたいと思いますが、私は学校で共同事務職員として、共同学校事務室の室長として学校を訪問して、校長先生方や事務職員と面談をしながら学校や学校事務の課題を共有して、その解決策を検討する業務を日常としております。これまでの研究会の活動を通して、全国の学校の状況に触れる中で、学校のマネジメント部門の強化と、それからそれを担う人材の育成が喫緊の課題だと感じております。
 よりよい教育を推進するためには、ICT環境整備を含む教材・教具の整備だったり、安全で快適な学校施設・設備の確保、それから様々なスタッフ職などの運用管理や調整、学校と地域の連携・協働の推進、様々な情報管理と提供、それから適正な学校予算の執行や会計など、ヒト、モノ、カネ、情報などをつないでいくことが必要です。こうした学校の学校教育活動の諸条件整備を担っているのが学校の事務職員です。ぜひ、人材育成も含めた、こうした事務職員や学校事務の在り方についても御議論に加えていただければと思ったところです。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、続いて今村委員、お願いいたします。

【今村委員】  発言させていただきます。私はNPO法人を運営しながら、教育活動に従事する人たちをNPOの立場から年間を通じてたくさん採用する立場です。大体年間20人から30人ほどの方を採用するんですけれども、昨今、学校の先生とか、また教育行政で仕事をしていたような方々からの転職希望者が非常に増えているような感覚があります。
 その方々がおっしゃることとして、多様な経験をしたいということをおっしゃっていて、非常に熱意があって、また、人によっては給与水準を下げてまで来る方もいらっしゃるんですけれども、その方々がまた教員に戻っていくかというと、職位を下げて戻らなければいけないとか、今、学校教員をこのまま続けているままのほうが職位が維持できる、もしくは上がっていけるから、一度転職したらまた戻るかというと非常に戻りづらいというようなことをおっしゃる方も、これは自治体によるのかもしれないですけれども、そんな声も聞いています。
 できるだけ、多様な経験をした方々が、まさに学校や教育行政をよりよくしていくということに戻っていくことも推奨していきたいことだと思って、これは検討事項1、2、3全ての意味で重要なことだと思いますので、入ってくる人の質を多様にしていくだけではなくて、一度出た人たちが戻っていくような仕組みのところも推奨していけるような、奨励していけるような仕組みもともに検討していただけたらいいと思いました。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございます。とても重要なことかと思います。
 それでは石川委員、お願いいたします。

【石川委員】  お願いします。石川です。こども教育宝仙大学の教員で、それで日本公認心理師協会、心理職の立場から発言させていただきます。スクールカウンセラー等をやっております。
 この1のところの学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方のところですけれども、いじめ重大事態が1,300件になったなどということで、皆さんも御周知のことと思いますけれども、教員になってから、このいじめの問題や保護者対応とか、そういったことで本当に現場の先生方が非常に苦労されていて、この大量退職というところもございますけれども、本当に、もちろん教科指導や、もちろんデジタル化とかAI化という、こういう先鋭的なこともすごく大切ですけれども、そういった対人とか、そういった生活指導とか、そういうところで非常に教員が苦労しているという現状があるわけです。
 ですので、教育相談という科目は教職課程の中で必修ですけれども、ぜひ、児童相談所との連携とか、そういったこともそうですが、事例なども入れて、自殺予防教育とか、いじめ対応とか、そういうことを、もちろん現職教育だけじゃなくて、本当に教職の課程の中で、こういったことを、本当に事例を交えながらやっていく、そして少し実務者を講師に呼んでやっていくというような、そういうことをしながら教員を育てていくということがすごく大事だと思いますので、教職課程にそういうことを入れていく。
 また、先ほどの審議事項でも発言しようかなと思ったんですけども、また、教育課程の中にも、そういった自殺予防教育や子供の心の教育というものも教育課程の中に位置づけられたらいいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】  柿沼です。私のほうは、主な検討事項1の教職課程の在り方のところで1点だけ述べさせていただければと思います。
 私自身、教員養成に少し携わっている立場もありまして、小学校の先生になられる方々が、幼児教育の内容であったり、幼児の発達だったりというのはあまり理解されないまま学校の先生になっていくというようなものを見ています。その際、そこで丁寧に幼児期の発達や教育要領や保育指針等を説明をしてあげると、接続の大事さだったりとか幼児教育の理解が深まった中で小学校の先生になっていく形をとっています。そこでの経験から養成課程の場にて今回言われているような接続期の大切さだったりとか、必要性であったりということを理解した上で小学校の教員になっていくことが理想ではないかと思っています。
 また、幼児教育の場の実習であったりとか、なかなか難しいと思いますが、協議の時間を確保して、接続の場みたいなものが体験できるようなことがあれば、教育のつながりであったり、または目指すべき子供の育ちの共有であったり、そして仮に、可能であれば幼児教育の現場のほうも、小学校以降の学習指導要領であったり、教員の課程だったりということが理解されていくと、双方にとっていいのかなと思いますので、なかなか難しいとは思いますけれども、この辺りが入っていくと、接続期というのもスムーズになっていくのかなと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。大事な御指摘をありがとうございました。
 岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】  ありがとうございます。3点あります。
 1つ目が全体に関わるところですけど、デジタル学習基盤の効果的な活用という観点を含めて検討されていくというのが大事かと思います。特に教職課程の在り方だとか、ここら辺をより多くの若者がというか、学生とか院生も含めて、教員に興味を持ったりとか、教員免許を取ろうというようにできるような仕組みは、このデジタル学習基盤だとかを活用する中で、結構できる部分はまだまだあるかと思います。
 要は、全ての学生、大学院生が、どの大学・学部に行っていても、教員免許が取りたいなと思えば、デジタルで、自分にさらに必要な部分を個別最適にどんどん学習を進めていく、リアルな教育実習をプラスして、そこでやりながら、みたいな形で、取ろうと思えば取れるというようなインフラをつくっていくとか。
 これは社会人もそうで、先ほどもお話がありましたけども、自分の大学時代に取っていた単位と、あと何が必要なのかというのが分かって、それをさらにデジタルも含めて、やりながら、実習だとかをプラスして、免許もすぐ、すぐではないですね、取れるとか。採用された後に研修を受けて教員になっていくとか、そういった制度・仕組みも含めて、大胆な設計というようなところも、これからの時代を見据えて検討していくというのもあるのではないかというのが1点目です。
 2点目は、この多様な専門性を有する人材とか、特に意欲ある若者に選ばれる教職になっていくための制度の在り方というところで、2つほどキーワードはあるかなと思います。1つ目が先ほど今村委員が言っていたところとも同じで、意欲ある教育学部とかの学生が教員にならないと。ほかの職を選んでいくというのを教育学部の先生たちからよく聞くんですけれども、その一つの要因が、教員というものがキャリアのデッドエンドになっていると。行き止まり、袋小路とかで、一回教員になったら、そこからほかに行くとかが厳しい、できるイメージがないと。
 民間に行けば、教員にはその後でもなれるような形なので、まずは民間にというような形に流れていく。特にチャレンジ精神があるような学生ほど行くという中で、一つ参考になるのは、官民での人材交流、よく言われるリボルビングドアという回転ドア方式と。一度教員になっても、その後民間で働きたいと思ったら、外に出て、何年かやって、戻りたいと思ったらまた戻ってこられるという、こういう回転ドアだとか、その逆もしかりで、企業で働いている人の中で教員免許を持っている人がいる中で、やはり教員で、とやっていて、万が一戻りたいと思ったら、また民間のほうに行くみたいな、こういう流動性の担保ができるような制度の設計、検討というのもあるのではないかというところと。
 あわせて、もう一つは今、多くの、働く20代の半数以上は兼業・副業したいとか、そこに興味関心を示しているというデータなんかもある中で、今、地方公務員の兼業・副業の弾力化という話なんかも出てきていますけども、今後は、教員、教育公務員も兼業・副業の弾力化みたいな形で多様な働き方ができる場所だという。昭和型の終身雇用でずっとここというような時代では、意欲ある若者に選ばれなくなってしまいますので、そこら辺も含めた検討というか、制度設計なんかは大事なのかなというのが2点目です。
 最後3点目は、教師の質の向上とか研修の在り方みたいなところでいくと、キーワードとして、これからの社会に開かれた教育課程とか、社会とつながる教育を実践、推進していくというところでいけば、社会教育士の学びと、かなりそういった教職員の育成のところの親和性が高いなというのは、私も社会教育士の育成に関わらせていただく中ですごく感じるところがあります。
 学校教育と社会教育のかけ橋とか、学校と地域の協働とかコーディネートをしていけるような教職員の養成とか育成というところで、場合によっては、社会教育士とか社会教育の学びをどう、うまく活用していけるのか、相互に取りやすくするとか、両方を持っているほうが採用のときに、加点されるのか分からないですけど、こういうようなところで、学校教育の教員というだけではなくて、せっかくある社会教育という仕組みなんかも学びの中にうまく取り入れていくような、そういった研修とか育成の在り方というところも一つの観点として今後検討もあるのかなと思ったところです。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では白井委員、お願いいたします。

【白井委員】  ありがとうございます。学校外にいる立場でも、本当に教員の大量退職というのがすごく喫緊の課題だということはもう肌身で感じる状況でございます。というのも、もうとにかく辞めたい、フリースクールに就職したい、あるいはフリースクールをつくりたいというような御相談というのが本当に定期的に来るというような状況でございまして。
 一方で、今、不登校34万人というところで、いろんな企業からフリースクールをつくりたいという相談が来ていると。もう皆さんにとってブルーオーシャンに見えているわけです。参入したいというような御相談もあるんですけれども、そちらのほうで拠点を例えば任せられるような人材がいるかといったときに、そちらの育成も全く間に合っていないというところで、なかなかフリースクール側も採用ができないというところ。かなり多くの教員の方々が来られるんですけれども、残念ながら即戦力にならないんですね。
 先ほどもお話がありましたけれども、教育相談であったりとか、自殺予防だったりとか、そういうところを発揮しなければいけない場面というのが、非常にフリースクールの場合は多いわけですが、理論を学んできているけれども実際の経験がないというところで、皆さん結構、来られてから悩むというようなところで。本当にフリースクールで子供たちを教えることができたら、これはどこでも通用するよと、ユニバーサルデザインだよということを先生方には励ましているんですけれども。そういった人材の育成というのが丸々間に合っていないなというような感じがいたします。
 先ほどもお話が出ましたけれども、例えば教員養成課程の中で、フリースクールでの実習ができるようにするということだったりとか、本当に実体験をちゃんとしてから先生になっていただくというようなことというのは、どうしても、学級運営とかという上でも、もう今、必須のプロセスになっているのかなというところと、先ほど来お話が出ていますように、人事の流動性を高めるというところで、閉塞感を打破していくというようなことが必要なのかなと感じております。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では吉田晋委員、お願いいたします。

【吉田(晋)委員】  ありがとうございます。今日は先に失礼しますので、これで失礼させていただきます。
 私は今、基本的に、いろんなことが書かれているわけですけれども、教員というのはまず楽しいんだよということをもっと教えてあげてほしい。教員採用に関わる部分で下の丸2のところにあるように、一次選考の共同実施とかあるんですけど、公立学校の場合はそういう考えがあるのかもしれないですけど、私立学校自体も今、教員採用は非常に苦労しています。特に今、給特法の問題とかで、年々1%ということは言っていますが、例えば手当を増やすとか、公立学校が非常によくなってきますよ的な要素が増えているわけですけれど、私立学校でそれを保障できる部分というのはありません。
 ただ、現実に私立学校はみんなそれぞれの学校が働き方改革を考えて、そしてその上に、私は何といっても先生という仕事の楽しさ、それを教えてあげることが大事じゃないか。フリースクールとかいろんな問題もあるんですけども、その前にまずもって今までの通常の義務教育の小中学校、そして高等学校で、子供たちが生活していく上が基本であるという、その基本を学ばせてあげる先生、その先生というのはすごく楽しい仕事だ。だからみんななってよ。教職課程が厳しかったら特免とかいろんな方法もあるよと、もう少しシンプルにして、教員を増やしていただける方策をぜひ考えていただきたいという思いであえて発言させていただきました。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では植村委員、お願いいたします。

【植村委員】  全連小の植村でございます。貴重な時間をいただきます。ありがとうございます。まず、重要な諮問内容だと思います。本当にありがとうございます。今回、内容ではなくて、日頃感じていることを申し上げたいと思います。
 それは言葉という視点ですが、言葉の整理というのをお願いできるとありがたいなと思っています。例えば今回の諮問で言うと、「教職員集団の形成」という言葉がありますが、これまで我々現場としては「チーム学校」という言葉があります。これとどういう関係にあるんだろうとか、そういった感覚的なところです。
 学校現場としては、とにかく分かりやすい言葉、共通理解しやすい言葉、平たく言うと、すっと入ってくるような言葉がありがたいなと思っておりまして。例としては「チーム学校」、また直近で言えば「学びの専門職」、または「働きやすさ」と「働きがい」、こういった言葉を整理していただいていることによって、教職員、または全国の校長にも非常に説明がしやすいですし、保護者や地域、また社会全般にも非常に説明しやすいというようなことを感じております。
 この諮問がどうこうということではないと思うんですけれども、これからは大事な諮問を社会全体にいかに浸透させていくかということが、私なりには意識を持っているところでございまして、そういった意味で、余計な視点ではありますが、言葉の整理という視点もどこかに入れていただけるとありがたいなと思い、発言させていただきました。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。言葉については、教育課程のほうでもいろいろと議論があるかと思います。では青海委員、お願いいたします。

【青海委員】  御説明ありがとうございました。先ほど前段の武藤課長がお話しされた前半の内容にもありました教師の余白の部分と、今回この2番目の教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方は、大変関連が深いと思っています。
 研修履歴などを活用して、若手教員、特に若手研修3年次を終わった頃、教員から、授業力向上ですとかICTの活用などの研修、これは自治体でも、区市町村でもかなりいろいろな研修制度があるんですけれども、受講したくてもなかなか学校を出られない。つまり、例えば英語や数学などの少人数指導をしている場合などもそうですし、時間割などもかなり複雑に組まれていると、自分だけが研修に行くというのがなかなか難しかったり、時間をつくるのが難しいというのがあったりする。そんなこともあるので、併せて検討する内容なのかなと思ったものですからお話ししました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では堀田委員、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】  堀田です。私は、この諮問の方向性は大変素晴らしいことだと思っております。多様な先生方が働く学校現場になることは、多様な子供たちにとっても大変いいことだと思いますが、先ほど出た意見にも関係しますけど、多様な先生たちが一様な処遇で働くということの難しさというのはあろうかと思いますので、働き方の柔軟さは大事かと思います。
 2つ述べようと思うんですけど、1つ目は、多くの先生は子供たちに寄り添いたくて、しっかり教えたくて、育てたくて、そばにいたくて教師になるんだと思うので、それを中心的なお仕事だと考えたときに、そうでない部分はもう大幅に仕事を減らすような形を積極的に取っていく必要があると思います。それは国ができることももちろんありますけど、各教育委員会や、あるいは管理職のほうで、DXも含めてやれることは結構あると思うし、それで効果を出している自治体もあると思うので、こういうところを、これは諮問そのものの内容ではないですけれど、こうやって多様な人が入った学校の仕事の在り方、働きやすさは、魅力の向上という意味でも大事かと思います。
 もう一つだけ。様々な形で教員免許が取れるようにするときに、デジタル学習基盤が役に立つようにすることは非常に今日的なことだと思います。これは岩本委員がおっしゃったことですけど。同時に、教員になった人が働いている仕事の合間にいろいろ学べる、そしてそれが例えば単位になる、こういうような取組を各教員養成大学等が取っていくような、そういうことに対する積極的な後押しとか、制度改革みたいなことがさらに進むといいなと思います。
 恐らく教員免許を取りやすくするために、取得すべき科目数が減るのかもしれませんけど、残った科目が、単なる内容の羅列ではなくて、今日的な学び、令和の学びを教師になる人自体が、自身が体験できるような、そういう授業科目、授業の方法であってほしいと思います。オンライン授業を取り入れるとか、クラウドで情報を共有するとか、ある人は在宅だけど、ある人は対面だとか、そういうようなことが大学の授業の中でも行われることで、学校現場との相似形を体験して、それから学校現場に出る。それこそ多様性への対応かと思っております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございましたし、御発言の「手を挙げる」ボタンを押してくださっている方がいらっしゃらないですが、よろしいですか。
 それでは、いろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。後藤課長から、今出ました御意見を踏まえて御発言がございましたらお願いしたいと思います。

【後藤教育人材政策課長】  ありがとうございます。非常に多様な御意見をいただいたと思っております。特にDXとの関係で、養成段階もそうですし、採用や研修のフェーズもそうですし、その視点は改めて非常に大事だと思っておりましたけれども、そのことを主に今後、部会のほうでの議論の中でも御審議いただけるように、文部科学省としても意を用いてまいりたいと思います。
 そのほか、今回の諮問は、免許制度であるとか、教員の養成であるとか、採用研修という話ですが、あるいは先ほどの学習指導要領の議論もそうですけど、その前提として、教師の余白というところが、非常に何人か複数の先生方から御指摘がありまして。そのことは継続的に、処遇の改善とか働き方改革について道筋、定数改善については道筋がついておりますけども、これを着実に成果に結びつけていくということが大事だろうと思いますので、養成部会の議論の中でもそういった状況というのも併せて考えながら御議論いただけるように工夫させていただきたいなと考えております。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。子供の学びと、それから教職員の学びと両方が丁寧に関わり合っていくということが大変重要かと思います。では今後、この「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)」に関しましては、秋田委員が部会長を務めてくださっております教員養成部会を中心に御議論をいただきます。先ほどと同じですけれども、それらの議論をこの初等中等教育分科会でもまた議論していきたいと思っています。
 では、次の議題に移りたいと思います。議題の3と議題の4につきましては、最初、事務局から2件続けて御説明いただきまして、その後、まとめて質疑や議論の時間としたいと思います。では、まず議題3の「保育所・幼稚園等の職員による虐待に対する通報義務規定等の創設の検討について」、続いて議題4の「幼稚園設置基準の見直しに係る検討状況ついて」、前田幼児教育課長から御説明よろしくお願いいたします。

【前田幼児教育課長】  ありがとうございます。幼児教育課長の前田でございます。
 まず資料3でございます。現在、こども家庭庁を中心に制度改正の検討を行っている、保育所・幼稚園等の職員による虐待に対する通報義務規定等の創設でございます。
 現在、児童養護施設ですとか高齢者施設につきましては既に通報義務がかかっておりますけれども、保育所、認定こども園、それから幼稚園につきましては、そういった規定がない状況でございます。今回、こども家庭庁を中心に、保育所や幼稚園等の職員による虐待について、虐待発見時の通報義務、それから都道府県等による事実確認、幼児の安全確保、こういった規定を創設する方向で検討が進められているところでございます。
 2ポツの対象となる施設でございますけれども、保育所のほかに幼稚園、認定こども園、それから特別支援学校幼稚部、一時預かり事業等々、様々な幼児を預かっている施設について対象になるという整理をしているところでございます。
 また、3の規定内容の方向性でございますけれども、まず虐待の定義につきましては、4つ示しておりまして、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、それから心理的虐待でございます。また、虐待を受けたと思われる幼児を発見した者の通報義務が課せられるということでございます。
 通報を受けた都道府県等は、もちろんそれが本当なのかどうかということも含めて事実確認をして、その上で、幼児の安全な生活環境を確保するための措置、また、こういった都道府県等が行う措置について有識者等からの意見も聞くということ、そして当然、虐待等の状況については公表を行うということ、また、国による虐待に関する未然防止等々の調査研究、そういったことも実施するということで、現在こども家庭庁を中心に、こういった中身について検討が進められているということが資料3でございます。
 続きまして、資料4でございますけれども、幼稚園設置基準の見直しに係る検討状況ということで御説明したいと思います。幼稚園設置基準につきましては、平成7年に一度、1学級の幼児数を40人から35人に引き下げております。したがいまして、現在、1学級の幼児数は原則35人以下とされているわけでございますけれども、一方で、幼稚園の学級規模は、少子化の影響もございまして、徐々に縮小してきており、既に幼稚園における1学級の幼児数が30人以下の割合は95.7%という数字になっております。
 こういった実態も踏まえまして、特別な配慮を必要とする幼児でございますとか、より一人一人の置かれた状況、発達の特性に応じてきめ細かな教育ということが当然に必要になっているところでございます。
 また、保育所の職員配置基準につきましては、既に4・5歳児、それから3歳児、これらの職員配置の最低基準を引き下げております。公立小学校につきましても、計画的に35に引き下げるということでございますので、幼稚園を取り巻く教育・保育施設における学級編制、職員配置の基準においてこういった改善が図られていることも踏まえまして、幼稚園における学級編制の基準を原則35人以下から原則30人以下に引き下げる方向で検討を進めたいと考えております。
 3ポツの、仮に学級編制基準を引き下げた場合、様々な園でどういった影響があるかということでございますけれども、引き下げるということにつきましては、園舎及び運動場に必要な面積を学級数に基づいて算出するということが規定されておりますので、新たに教員の人材確保ですとか、園舎の増築・改築といったことが必要になる園が存在する可能性もございます。
 私どもも調査をいたしまして、次の資料でございますけれども、参考1として、幼稚園の学級規模の現状でございますが、この赤枠で囲っているところが30人以下でございます。31人以上かそれ以上ということでございますけども、この幼稚園の方々にお聞きしたのが、参考2の「影響がある」と回答した園の割合でございます。棒グラフの一番下、全体を御覧いただきますと、何らかの影響があると回答したのは3.8%でございます。なお、アスタリスクの1つ目、影響があると回答した園の意味でございますけれども、新たな教員の人材確保が必要になる、あるいは園舎の改修の対応が必要になると、そういった回答をされた園が3.8%あったという状況でございます。
 したがいまして、私どもとしましても、必要な予算措置とか制度周知の期間も十分取りまして、各園に対して過度な負担を課すことのないよう、経過措置についても併せて検討を行いたいと思っております。
 以上が資料3及び資料4の御説明でございます。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。ただいま御説明いただきました資料3と4に関しまして、御質問、御意見を頂戴したいと思います。また挙手ボタンをお願いいたします。では渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】  渡辺でございます。議題3に関してお願いになります。
 規定の創設に関しましては賛成させていただきますし、よいことだと思います。ただ、この制度が効果的に施行されるためには、報告しやすい文化を醸成していただく必要があろうかと思います。そのための環境整備といたしましては、報告先を明確にすること。つまり、報告者がどこに報告したらいいかよく分かるような状況にしていただくこと。それから報告手段が電話やSNSなど複数媒体の選択肢があるようにして、できるだけいろいろな方法で報告できるようにしていただくこと。それから、通報者の保護を保障していただくことなどに対して御配慮いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  ありがとうございます。今の渡辺委員と重なりますけれども、報告しやすい通報義務ということに関連して、教員や保育士に対する研修を広くしていただくということが、規定の制定だけではなくてその周知が極めて重要であると思います。
 また、2点目の35人から30人へということで、これで実は保育所やこども園と同じになったわけでございます。ぜひその中で、幼稚園ならではで、園舎と同時に運動場等の基準というのが学級等で決まっておりますので、その辺りについて、今後、これについて減らすというのではなく、維持を考えていただくということも重要なのではないかと思うところであります。
 また、35人を30人にするということで、減ったということで、お困りの園への対応を移行措置として取っていただくということと、30人に減ったということで、減ったからいいではないかと思われがちでございますが、OECDの幼児教育のこの3歳から5歳の標準というのは、18人から20人が1クラスというのが通常の国際平均でございます。まだまだ日本はそれに比べると多いのだということも改めて補足をさせていただきたいと思います。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では岡本委員、お願いいたします。

【岡本委員】  ありがとうございます。最初のことにつきましては、現場でそのようなことがあるということは大変悲しいですし、これが創設しなければならない時代だということも悲しく思いますが、1番の最初に議論していただきました、教育課程の基準等の在り方についてにありますように、幼児教育の質の向上に向けて、先ほど秋田先生におっしゃっていただいたように、質の向上の研修ということを幼稚園団体としても組織としても大いに考えて、方策をつくっていきたいと考えております。
 もう一つの基準でございますけれども、これは以前からずっと課題でございまして、おっしゃっていただいたように国際的にはまだまだということにはなりますけれども、改善していただくことで歓迎すべきことだということと、この改善が保育の実践のプロセスの質にどうつながっていくかということにつきましても、しっかりと考えていきたいということを思っております。
 私の住んでいる八戸市という小さな町ですけれども、私立幼稚園は20ございます。そのうち園児数の全体が35人以下ということが9園もございまして、本当に今の世の中にしてみれば、合っているような合わないようなというような気持ちもいたしますけれども、その辺りも考えながら、保育の実践のプロセスや質に関して、しっかりと取り組んでいきたいなと思った次第です。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。間もなく12時になりますが、本日は12時30分までの予定でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  それでは、議題の4に関して意見を述べさせていただきます。
 令和7年度における小学校35人学級の推進等に加えて、令和8年度からは約40年ぶりとなる中学校35人学級への定数改善が行われる計画となり、小学校と接続する幼稚園の学級編制基準の引下げに関しては、時宜を得たものであると考えております。幼稚園における教育環境の改善にも資するものであって、ぜひ進めていただきたいと思っています。
 このような教育環境の改善は、幼稚園教諭等がその専門性を発揮して、幼児一人一人の興味・関心等を捉えて「環境を通した教育」を十分に実現するために必要なものであろうと思っています。これによって、幼児教育における資質・能力が育まれ、自立心や協同性、また思考力の芽生えなどの「幼児期の終わりまでに育ってほしいという姿」が表れてくることにつながっていくと考えております。
 このような幼児期において育まれた学びの芽生えは、小学校以降の生活や学習の基盤となるものであって、幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図るための幼保小の架け橋プログラム、これも一層の推進が必要だろうと思います。接続を進めることで幼児教育と小学校教育の双方の質が向上して、子供たちの学びがより豊かになっていくものと考えています。
一方で幼稚園側が幼保小の接続に意欲的であったとしても、教育委員会や学校側がそれに応え切れていないという課題も現在あるのではないかと思っています。
 これは小学校側において、幼児期に育まれた資質・能力を認識しないで1年生がゼロからのスタートになっているといったことや、教育委員会側において、幼児教育について指導できる人材が不足しているといった課題も背景にあるものと思っています。まずは、幼児教育と小学校以降の教育の学びは連続しているということと、乳幼児期の頃からの質の高い教育がその後の人生において長期にわたって学業の達成などよい効果をもたらすという、幼児教育の重要性が関係者全てにおいて十分に認識されることが必要だろうと思っています。
 つい3日前の土曜日に、本市でプレゼンテーション大会を実施したところ、中学生が「小学校への進学をスムーズに」というテーマでプレゼンテーションを行いました。中学生が小学校への進学について幼児が心配や不安をもっているという課題を肌で感じて、自主的・主体的にその課題を解決するために、幼児に寄り添って一緒に活動しながら、小学校に進学することへの不安や心配を解消するために活動したという内容で、大変に感動このことはまさに「こどもまんなか」の取組であるとも感じました。
 今後は教師主導だけではなくて、こうした子供発の幼保小の連携や取組にも目を向けていくことも大切だと思いました。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。中学生のその取組はすごいですね。ありがとうございました。
 では内田委員、お願いいたします。

【内田委員】  ありがとうございます。4番について質問をさせていただきます。
 幼稚園教育というのは非常に重要であると考えておりまして、学級の幼児数の30人にするということは非常に意味があるということに感じております。一方で、私立学校さんであるとか、あるいは都心の学校におきましては、ということで経営の部分で影響が出ると考えておりまして。そういった部分での課題はどうやって解決するのかということをお伺いしたいのと。
 施設・設備の面で、都市部にある園舎におきましては、住宅と併置されているようなところも多いかと思います。こういったところについては、新しく教室を作ろうと思ってもなかなか難しい状況があろうかと思うんですけれども、こういった募集人員が減ることによって、人数を多く受け入れているところについては、近隣の保育園等への移行等、周りへの影響も出ると思いますし、保育園の受入れ数というのは都市部において相変わらず低い状況がございまして、そういった影響も含めてどうお考えかというところをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。前田課長、お答え、今いいですか。

【前田幼児教育課長】  先生、ありがとうございます。今御質問いただきました件でございますけれども、今回、学級編制基準を引き下げるに当たりまして、3.8%の園が何らかの対応が発生するということでございます。これは都市部が中心でございます。東京とか、神奈川とか、福岡とか、大阪とか、こういった園が何らかの影響を受けるということでございます。
 その際に、まず都市部ですと、なかなか隣の土地との関係から、園舎でございますとか運動場の拡張、これは困難な場合もあろうかと思っております。現在、もちろん園舎や運動場につきましても、算定基準を設けておりますけれども、こういった3.8%の園が、そこについてなかなか難しいということであれば、私ももう少しヒアリングしながら、何らかの特例というのを設けることができるかどうか、それを考えていきたいと思っております。
 また、施設の改修でございますけれども、私立幼稚園につきましては施設整備の補助金、公立幼稚園につきましては学校施設環境改善交付金というのがございます。また、施設型給付を受ける園、つまり子ども・子育て支援制度に移行している幼稚園、認定こども園でございますけれども、これは既に公定価格の算定で30人以下の学級を編成するために必要な職員を確保するだけの公定価格の反映、補助がされております。私学助成園につきましては、私学助成の単価の中で一般補助の拡充というのをこれからも進めていきたいと考えております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。内田委員、よろしいでしょうか。

【内田委員】  ありがとうございました。大丈夫です。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。それでは柿沼委員、お願いいたします。

【柿沼委員】  まず1点目の保育所・幼稚園等の職員に対する虐待の通報義務の規定の創設ですけども、これは前に進めなくてはいけない案件だと思っています。ただ一方で、渡辺委員や秋田委員がおっしゃったように、通報しやすくというか、現場で通報しやすいか環境をつくっていくということが、窓口の創設も含めて大事だと思っています。
 特に学校法人や社会福祉法人といった、理事会等が中心となって動いているところであれば、設置者等や管理者側の意向というのが間に挟まってきますので、現場職員のほうから速やかにそういうものが発見したときには通報できるような仕組みが絶対に重要かなとまずは思っています。
 また、保育士養成、教員養成の中でも、虐待というものをもう一回考え直して、そこできちんと伝えていくということが重要になってくるかなと思います。例えば保育現場では長く勤めている職員であれば当たり前になっているような子どもへの対応が不適切だったり虐待につながっているというケースがあります。そこで、それは虐待じゃないかということが気づいた時点で職員がすぐに通報して、そこで市町村等の指導が入るというような形にしていかなくてはいけないのかなとまずは思っています。
 2点目の学級編制ですが、学級編成は30人ということで引き下げていく方向でよろしいかと思っていますけれども、一方で、学級編制だけではなくて配置の問題もありますので、子供1人に対する保育士・幼稚園教諭が何人かということが重要になってくると思いますので、できる限りチーム保育だとかを使いながら、20対1を目指すような形を進めていくことが大切だと思います。
 また、これは配置職員に含めても学級編制にしても、少なくすれば教員の数が足りなくなってきます。今、地方では幼稚園や保育士の養成校が閉鎖していったり、学校を封鎖したりとかということが出てきていますので、安定して保育の質や幼児教育の質を担保するのであれば、教員養成も併せて考えていただかないとならないのかなと思いますので、その点をお願いしたいと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございましたし、ほかにはよろしいでしょうか。
 では前田課長、どうぞ。

【前田幼児教育課長】  先生方、様々な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。渡辺先生をはじめいろんな先生方から、報告しやすい文化でございますとか、報告先を明確に、また報告方法、いろんな手段を用いた方法も必要でありますし、確実に速やかに通報できるようにというような御指摘もございました。大変重要な御指摘だと思っております。
 また、加えまして、今回この虐待の通報を創設する場合に、現場の先生方が萎縮しないようにするということも一つ大事なことかと思っております。先生方が、これも虐待なのか、虐待じゃないのかどうなのか分からないというようなこと、どこまでやったらどうなのかということを、教育上の観点からの指導ということもあろうかと思いますけれども、萎縮されないように、また同時に幼児の安全を確保するということの両方を進めていくことが必要だと考えております。
 また、秋田先生からは、OECDの標準を踏まえると幼稚園の学級編制基準、これが30人以下ではまだまだという御指摘がございました。もちろんこれが最終着地点だとは考えておりませんが、ただ今回、仮に25人とした場合には、私どもの調査では2割以上の園が直ちに影響を受けるということがございますので、まずは30人ということで進めていきたいと考えております。
 また、戸ヶ﨑先生から幼児教育と接続の話をいただきまして、ありがとうございました。これは先ほど柿沼先生からも、指導要領の改訂のところで幼児教育の重要性について触れていただきまして、小学校との接続、どんな子供を育てていくのかというような御指摘がございました。幼稚園教育要領の改訂の議論もこれから始まってまいりますけれども、併せて、保育所保育指針、それから幼保連携型認定こども園教育・保育要領もございまして、これはこども家庭庁と共に必要な改訂を進めていくことになろうかと思っておりますけれども、いずれにしましても、全ての子供に就学義務がかかっておりますので、保育所であろうとも、幼稚園であろうとも、認定こども園であろうとも、全ての子供がその後小学校に行くという建て付けになってございます。したがいまして、どの幼児教育施設であっても質が保障されているように、そういった質がまさに幼児教育と小学校以降の教育との連続性、学びは連続しているという観点から担保されたものであることが必要であろうと思っていますので、教育要領の改訂につきまして、そういった視点も大事にしていきたいと思っております。
 また、柿沼先生から、速やかに通報できるようにということに加えて、研修という話もございましたので、こちらもこども家庭庁と連携しながら、そういった視点も留意しながら進めていきたいと考えております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。この件よろしいでしょうか。
 そういたしましたら、少し時間が残っております。もし全体を通じまして何かございましたら、「手を挙げる」のボタンを押していただきましたらと思いますが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。では森田委員、どうぞ。

【森田委員】  ありがとうございます。せっかくの機会ですので、大学における教員養成の立場から一言だけ発言させていただきたいと思います。
 教師に求められる資質・能力が非常に多様化しており、また、指導要領の改訂の中でも、学校においても、様々なことが変わっていくという時代背景も、十分理解しております。その上でということになりますが、新しいものが求められれば、その都度、求められるものを全部、教員養成の中で実現しようと考えますと、それこそ大学の教員養成も、実際には、カリキュラム・オーバーロード的なことが起こっていますから、先ほど後藤課長からの御説明にもありましたとおり、教員免許がより取りにくくなってしまいます。
 そういった状況が実際にある中で、今後、大学自体も改革が進んでいき、学生の教育をどう充実していくのかを検討することがさらに求められていきますから、そこにプラスして教職があることのあり方を検討したり、大学もどんどん新しい学問分野にチャレンジしていく時代に入ってきていると思いますので、新しい学問分野と教職課程のあり方を検討したりすることも必要だと思います。この辺りを勘案しながら、教員の養成ではどこまでを担うべきであって、その先は研修なり、OJTのようなところで教師は成長していくのだという議論と合わせていかないと、より一層、教職課程が履修しにくくなってしまったり、逆に大学側からすると教職課程を設置しにくくなるということが起こってしまうと思います。学部改革を進めるほど教職課程が置きにくくなるという、本末転倒のようなことになってもいけませんので、このあたりの議論も含めて今後、教員養成のあり方について御検討いただくことが必要ではないかと思います。
 それは、免許取得や課程設置のハードルが下がるから質が下がるということになるべきではなく、一定の教員養成としての質を維持しながらも、持続可能な形での教師教育、教員養成を行っていくことができる方策を、なかなか難しい問題ではあると思いますけども、探っていくというような議論が必要ではないかと感じております。以上でございます。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。柿沼委員、どうぞ。

【柿沼委員】  少し時間があるので、1点だけお願いしたいことがありまして、お話しさせていただきます。
 議案1のところの初等中等教育における教育課程の基準の在り方のところの2ページ目の丸3の資料のところで、幼児教育と接続だったり質の向上ですけど、「設置者や施設類型を問わず」となっていますけど、現在今、認定こども園になっていたり、幼稚園であっても市町村が、福祉部局が担当になっていることによって、教育委員会と離れたり、教育部局とかなり離れてしまって、接続が公立のみであったりとか、こども園だったら接続の部分がなかなか難しくなっている案件がかなりありますので、この設置者や施設類型を問わず、接続をきちんと小学校移行とすると。幼児教育の質の向上も、設置者や施設類型を問わずというところをきちんと各市区町村のほうに伝えていただけたらありがたいなと思います。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。そうしましたら少し時間が余りましたが、ここまでとしたいと思います。
 最後に御発言いただいた接続の話もそうでありますけれども、その意味では、森田委員がおっしゃった養成と、それから研修の接続、そこのところの望ましい在り方をどう構築していくのかということも非常に重要なポイントではないかと思ってお聞きしました。ありがとうございました。では本日はここまでとしたいと思います。
 では、次回の予定につきまして、渡邉室長、よろしくお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  ありがとうございました。次回の会議日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきます。以上です。

【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日これで終了いたします。お疲れさまでございました。
 
―― 了 ――

 
■会議終了後に頂戴した御意見
 
【村岡委員】
 諮問の二つ目の柱の中にある「採用に係る方策」について一点申し上げます。
 全国的に、教員採用試験の志願者が減少傾向にある中、本県でも様々な志願者が教員を志していただけるよう工夫をしながら教員採用に取り組んでいるところです。
 まず、本県における教員採用試験制度の取組を紹介する と、昨年度から、教員免許を所有していない方でも受験できる特別選考を導入し、合格後2年間をかけて、免許取得や、採用に向けた研修を行っており、まさに多様な専門性を有する質の高い人材を教壇に送り込む仕組みの一つが動き始めたところです。
 また、採用試験に関しては、県外会場を増やすなど、毎年様々な改善を行っている一方で、志願者数や志願倍率など、量的な側面では思うように改善が見られず、苦しい状況が続いています。
 こうした中、本県でも文部科学省の示した教員採用試験早期化の方針を踏まえ、来年度実施の第一次試験を、標準日に合わせた令和7年5月に実施する予定としています。
 しかしながら、試験の早期化については、近隣自治体と日程が大きくずれることにより、併願受験することが容易になっており、大量の辞退者が出てしまうという弊害もあると認識しています。
 このたび国が標準日を示した趣旨に基づけば、試験の早期化は全国で足並みをそろえることにより真に効果を発揮する仕組みであると考えており、今後国は、試験スケジュールの早期化だけでなく、各自治体間の第一次試験日程の統一についても、一層のリーダーシップをもって進めるべきであると考えています。
 これに関連して、諮問では第一次選考の共同実施について触れられていますが、参考資料にある統一試験方式の仕組みが実現すれば、作問から開催までを第三者機関が一括して処理するなど、各自治体の負担が軽減されると考えています。
 さらに、教員を志望する者にとっても、受験地の選択や試験 問題が一本化されるなど、より受験に臨みやすい環境が整えられ、志願者の全体数が底上げされる期待もあります。
 先に述べた通り、教師人材の確保は、質的な要素も含め広い 視野で検討すべきものであり、この共同実施の仕組みづくりを、日程の統一と合せ、一層のスピード感をもって進めていただくことが「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」につながるものと考えています。
 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)