令和6年8月9日(金曜日)14時00分~16時00分
文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【荒瀬分科会長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第145回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
議題に入ります前に、前回の開催以降、事務局に人事異動があったということでございますので、御紹介をお願いいたします。
【秦教育制度改革室室長補佐】 教育制度改革室室長補佐の秦でございます。本日は、室長の小畑が欠席しておりますので、私から御紹介をさせていただきます。
前回の会議以降、7月11日付で初等中等教育局長に望月が、大臣官房学習基盤審議官に森が、大臣官房審議官初等中等教育担当に日向が着任をしてございます。なお、本日8月9日付で文部科学戦略官に今井が着任してございますけれども、本日は用務の関係で欠席してございます。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
続きまして、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、御説明をお願いいたします。
【秦教育制度改革室室長補佐】 続きまして、御説明させていただきます。
本会議はウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催しております。会議を円滑に行う観点から、恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、会議の模様をYouTubeで配信しておりますので、御承知おきください。
次に、資料の確認でございます。本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から資料4-4まで、加えて、参考資料1-1から4までとなってございます。参考資料1-1及び1-2は、初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の下に設置されております、次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ、こちらにおける議論の取りまとめの関係資料となってございます。また、参考資料4につきましては、本日御欠席の戸ヶ﨑委員より事前に御提出いただいた意見でございます。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
今日は8月9日ということでありますけれども、昨日、8月8日午後4時43分頃、宮崎県の東南東、日向灘を震源とする地震がありました。気象庁は南海トラフ地震臨時情報、巨大地震注意を発表して、今後1週間は巨大地震に注意するよう呼びかけています。今日、私は京都からこちらに参りましたが、乗りました新幹線も、いわゆるフォッサマグナの地域かと思いますけれども、そこで徐行運転をしておりました。そのような状況である中での開催でございます。
また、今日は8月9日ということで、長崎の祈りの日であります。自然と人為、そして社会について考える中で、学校教育、とりわけ私たちの関わっている初等中等教育が、多様な子供一人一人がどう生きていくのかというところに視点を置いて考えていく必要のあることに改めて気づかされたと感じております。
学校教育の課題は、生きるための力とは何か、それを養うためにどうするかというシンプルなものであると私は考えています。一人一人が複雑な社会の中で、自分の役割について考え、自分らしく生きていくためにどのような力をつけていくのか。その多様性への対応と共通性の確保について、議論を重ね、実践につないでいくということが、私たちにとって大変重要であるということを改めて思ったということを冒頭申し上げまして、議事に入りたいと思います。
本日は次第に記載のとおり議題が4つございます。時間の関係で御発言いただける委員に限りが生じてしまう可能性があります。私の進行がまずくて、いつも最後、時間がなくなってしまって本当に申し訳ありません。その場合は、あらかじめお願いをしておきますけれども、会議の後に事務局宛てにメールを頂戴できれば、議事録に掲載したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題の1であります。不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果の成績評価に係る法令改正についてであります。では、事務局、千々岩児童生徒課長から御説明をよろしくお願いいたします。
【千々岩児童生徒課長】 失礼いたします。児童生徒課長でございます。お手元の資料1に沿いまして、このたび、不登校児童生徒が欠席中に行う学習の成果の成績評価、これにつきまして、法令上の位置づけの明確化を行わせていただきたいと考えておりまして、この点について御説明申し上げます。
まず、一枚おめくりいただいて、1ページ目御覧いただければと存じます。こちら、今の不登校の状況でございます。小中学校における不登校の児童生徒数は近年急増しておりまして、令和4年度、約30万人となっておるという状況でございます。
次に、2ページ目を御覧いただければと存じます。こちら、不登校の児童生徒につきましても、後ほど御説明申し上げますように、一定の要件の下、学校外の機関で相談、指導を受けた場合、あるいは自宅において、ICTなどを活用して学習した場合、指導要録上、出席扱いをすることができることとされておりまして、こちらの資料にございますように、学校外の機関等での相談、指導、あるいは自宅における学習、それぞれ出席扱いとされた児童生徒数は増加傾向にあるといった状況がございます。
一枚おめくりいただきまして、3ページ目、御覧いただければと思います。こちら、先ほど御説明しました出席扱い、それから成績の評価につきましては、こちらございます令和元年に発出されました初等中等教育局長通知、こちらにおきまして、その内容を周知しております。
具体的には資料の下半分でございますが、左側が学校外の公的機関や民間施設における指導・相談、右側が自宅においてICTなどを活用した学習となりますが、それぞれ、こちらの資料にございます一定の要件の下、出席扱い、あるいは、黄色マーカーにございますように成績評価が行うことができると通知で示してきておりまして、これを踏まえまして、出席扱い、成績評価が行われてきているといったところでございます。
4ページ目、御覧いただければと思います。この成績評価につきましては、こちら、昨年3月に文部科学省のほうで取りまとめましたCOCOLOプランにおきましても、資料の下部、黄色マーカー部分でございますが、自宅などでの学習の成績への反映を進めていくという趣旨について記載をさせていただいているところでございます。
以上を踏まえまして、次の5ページ目、御覧いただければと思います。こちらが本日の御説明の中心となります。以上、御説明申し上げてきました経緯を踏まえまして、これまで通知を踏まえて行われてきた成績評価につきまして、法令上の位置づけを明確化したいということの御説明の紙になります。
法令改正の趣旨でございますが、箱の中にございますが、不登校の児童生徒の努力を評価して、社会的自立を後押しするということ、これは極めて重要であるという考えの下、先ほど御説明しましたCOCOLOプランであったり、あるいは昨年の骨太の方針においても、学校外の学習成果の成績反映を促すための法令上の措置を行うとされております。このことを踏まえまして、不登校児童生徒の努力の成果の適切な評価を促進する、このために令和元年通知の内容を法令上、明確化したいと思ってございます。
具体的には、こちら左下のほうございますが、学校教育法施行規則を一部改正しまして、義務教育段階の不登校児童生徒について、成績評価を行うに当たっては、文科大臣の定める要件の下で、欠席中に行った学習の成果を考慮することができるといったことを規定したいと思っております。また、成績評価に当たって、文科大臣が定める要件として、こちら告示において、学習の計画・内容が学校の教育課程に照らして適切と認められること、学校と保護者、教育支援センター、民間団体等との間に十分な連絡協力関係が保たれるとともに、学校において児童生徒の状況を、保護者等を通じて定期的、かつ継続的に把握していること。3点目は、学校が訪問による対面指導等により、不登校児童生徒の状況を定期的かつ継続的に把握するとともに、児童生徒と学校との適切な関わりを維持するよう留意していること、そういったことを示させていただきたいと思っております。具体の取組例は資料の右に書かせていただいてございます。
こちらの改正案につきましては、現在、パブリックコメントを行わせていただいておるところでございまして、本日の御議論も踏まえまして、今月中をめどに公布、施行を行いたいと考えております。
なお、資料の次の6ページ目、7ページ目におきましては、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、昨年の11月に発出させていただいております初中局長通知を参考につけさせていただいております。
ポイントのみ申させていただければ、こちら6ページ目の資料、最下部にございますが、学校教育の役割は極めて大きく、学校教育の一層の充実を図るための取組が重要であるといったこと、それから、次の7ページ目でございますが、7ページ目の2ポツにございますように、誰もが安心して学べる魅力ある学校づくりに取り組んでいただきたいといったこと。その上で、3ポツでございますが、不登校の児童生徒に対しては、一人一人に応じた多様な支援を行っていくことが重要であること、こういったことを全国の教育委員会等に示させていただいております。
この考え方も踏まえつつ、文部科学省としては、引き続き不登校の児童生徒への支援に当たっていく、その一環として、今回の法令改正も行わせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
私からの説明は以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、質疑応答、意見交換を行いたいと思います。御意見、御質問おありの方は挙手をお願いいたしますが、会場にいらっしゃる方は名札を私が見えるように立てていただくということでお願いいたします。それから、オンラインで御参加の方は挙手ボタンを押してお知らせいただきたいと思います。こちらから御指名申し上げますので、ミュートを外して御発言をいただきまして、御発言が終わりましたら、挙手を取り下げていただいて、ミュートを入れていただくということでよろしくお願いします。
ただ、毎回申し上げていることでございますが、時間が十分に取れませんので、できる限り簡潔に御発言いただきますように、よろしくお願いいたします。なお、冒頭事務局から御紹介がありましたとおり、議題の1につきましては、戸ヶ﨑委員から事前に書面で御意見をいただいておりますので、御参照いただければと思います。
では、今から10分程度ということでお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。では、渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会、日本学校保健会の渡辺でございます。
今回の御提案とは、社会的に自立することを目指す必要があるというお考えで同意できることだと考えております。ただ、学習環境や指導環境が異なる中で成績評価を行うということを考えますと、今の学習指導要領と同じようなものを使って評価していいかどうか、疑問を感じます。
また、行った成績評価が本人にどのように反映されるかを具体的に示していただけると大変ありがたい。できれば、その成績評価が本人の進学等に益するような、社会的評価につながることを期待したいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、吉田委員お願いいたします。
【吉田(晋)委員】 ありがとうございます。私、不登校の生徒児童に対しての処理としては、もう全く問題ないし、これでやっていただきたいと思うのですが、そういう中で、不登校の子供たちに対する教育施設というか、支援する民間団体等というものの中に、通信制高校のやっている、通信制の中等部という名前でテレビで宣伝までして、プログレッシブスクールとかということを言ったり、それから、今の教育であなたは満足していますかというような形で、逆に義務教育の学校に通うという教育の目的に反するようなことをやっているケースがあるわけです。
ただ、そこもある23区の区では、不登校の子たちの受皿として、しっかりそこが相談窓口に指定されて、全て電話応対から始めているというようなこともあって、私は不登校ということと、学校に行くことというか学習の仕方、その辺について考えたときに、公教育機関というものをどういう部分で言うのか、それを1回はっきりしていただいたほうがいいのではないかなという思いがあって、御質問させていただきました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。今のは御質問ということで。
【吉田(晋)委員】 そうですね。
【荒瀬分科会長】 では、後ほど、千々岩課長にお答えいただくということで、ほかにもあるかもしれません。
では、阿部委員に会場から御発言いただいた後、オンラインで八並委員、宮原委員、今村委員の順でお願いしたいと思います。ひょっとしたら、もう今村委員でこの件、一旦区切りをさせていただくことになるかもしれません。よろしくお願いいたします。では、阿部委員お願いいたします。
【阿部委員】 全事研の阿部でございます。お世話になります。
どこの場でお話ししていいのか分からないので、もしかしたらここじゃないのかもしれないのですが、内容について異論があるとかそういうことではなくて、例えば自宅において、ICTを活用した学習を行った場合だったりとか、それから教育支援センター等から授業にオンラインで参加ということで、児童生徒がインターネットを使わなければならないような状況のときに、各家庭でのインターネット、Wi-Fi等の環境が十分にできているかというところは少し心配しております。
そういったところの就学支援の拡充というところを私からお願いしたと思ってお話しさせていただきました。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それらもまとめて、後から千々岩課長のほうからコメントがございましたらお願いしたいと思います。では、八並委員お願いいたします。
【八並委員】 日本生徒指導学会の八並です。今回の法令改正に関しては、いわゆる教育機会確保法の観点から望ましいと思っています。ただ、現状の不登校児童生徒の中には、いわゆるいじめ防止対策推進法でのいじめ被害児童生徒、あるいは不登校重大事態に該当するケースが含まれます。
その場合は、教育機会確保法第3条にあるように、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が求められます。状況把握のプロセスで一番大事なのは、アセスメントです。それに係わるケース会議でのアセスメント情報、あるいはいじめ防止対策委員会でのアセスメント情報、学習支援のモニタリング情報、成績判定等に関わる記録や会議等の議事録の保存が大切だと思っています。また、アセスメントに基づく支援に関しても、児童生徒本人と保護者との合意形成も大切だと思っています。したがって、これらの点も法改正の周知の際に、少し留意していただければと思います。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、宮原委員お願いいたします。
【宮原委員】 ありがとうございます。宮原です。法改正の内容については、大変いい方向性だなと思って賛同いたします。
一つだけ、不登校の児童生徒というくくりの中で、今、様々な事情を抱えている生徒さん、児童が増えていて、例えば外国籍につながりがあるなど、なかなか一つの考え方で捉え切れない多様な生徒児童さんがいらっしゃるというのは、皆さん御承知かと思うんですが、そういった方たちに対してどういうふうにお伝えをしていくかということも、十分に多様性を持って対応できるような、そういった形の法改正にしていただきたいということと、社会の情勢が変わっていく中で、不登校という名前で呼ぶべきかということも含めまして、そういう多様な生徒や児童をどのように学習、あるいは学校教育のほうに導いていくかという観点で、ぜひとも法改正のほうを進めていただきたいなということでコメントまでです。よろしくお願いします。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御指摘も、また後から千々岩課長からコメントがあればお願いしたいと思います。
では、今村委員お願いいたします。
【今村委員】 ありがとうございます。今回の法令改正は本当に大きな前進をしたと思っていまして、その御努力に大きな敬意を示します。
ただ、学習内容が適切と判断できることとされているんですけれども、不登校の結果として学習内容に大きな遅れがあったり、学習内容の進度が合わないから不登校の原因になっていたりするというケースが非常に多いので、できれば指導要録上の評価に対して、努力の認め方というのは、どうすれば公的に認めてあげる方法があるのか、それは、現成績のつけ方を基準にして、そこに届いたか届いていないかみたいな形だけじゃなくて、どうすれば、例えば次の進学先にも提出できるような公的な本人の立ち位置からの伸びとか、本人の立ち位置からの努力も公的な別紙を作るとか、そういった在り方というのを、できれば自治体とか学校に丸投げするのではなくて、政府がワーキンググループを作って、今回取り組もうとしていることの思想をどう実装していけるのかということに対して、国が主導して開発を促進していく必要があると思います。
なので、今回の法令改正がすばらしいので、より実行できるものにするためのワーキンググループの設置を求めたいというのが私の発言です。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。皆さんの御協力いただきまして、大変簡潔にお話いただいてありがとうございました。白井委員、御発言をお願いいたします。
【白井委員】 白井でございます。遅参しまして、失礼いたしました。今回の法令改正、皆さんもおっしゃっているように、教育機会確保法の精神に照らしても本当に必要なものであると考えております。
是非ここで、いいきっかけとしてお願いしたいのが、この法令改正についても、それから、教育機会確保法の精神、中身についても、あまねくどのお子さんにも、それから、どの保護者にも届くように、しっかり、これは本当に文部科学省に頑張っていただきたい。今、私も保護者として感じているのが、不登校になったときの対応というところで親ガチャの世界、親がそういう情報に敏感で、いろいろな選択肢を提示することができるという親御さんだと、すぐに教育の場所が見つかるんだけれども、それがないお子さんというのが本当にどこも行く場所がない。
でも、この間も児童生徒課で確認をしたら、どうしてもそのクラスに合わないという場合、例えば隣のクラスだったりとか、あるいは、転校するというような選択肢というのもあり得るわけですけれども、そういうことを知っている親というのがまず、少ないですし、もっと言うと、子供は全然知らないというところで、行きたくても行けないクラスに行くか行かないかという選択肢しかないと思っている方々というのが、まだ圧倒的に多いというところで、せっかくこういうすばらしい法令改正をしていただくので、こういうことができますということ、それを本当にあまねく全ての子供たちに、そして保護者たちに知らせることができたら、不登校の数というのはぐんと減ると考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。皆さん基本的にすばらしいとおっしゃっていただいているわけですが、その上で、いろいろと御質問や、さらに御指摘がございました。千々岩課長、いかがでしょうか。
【千々岩児童生徒課長】 皆さん、大変コメントいただきまして、ありがとうございます。
まず、評価のことにつきましては、渡辺委員、それから今村委員から、それぞれ評価の在り方について御質問いただきました。現在、成績評価につきましては、実例として行われてきている例の蓄積もございます。我々としては、今回、省令改正を行わせていただくわけですが、今、行われている実例がどういうものであるかといったことを提供していく。さらに、これから取組が進んでいくものの実例というものを、我々としてもしっかり集積して、その上で、こういうやり方があるといった形を現場に提示していくといったこと、こちら、考えていきたいと思っております。
それから、渡辺委員から成績が本人にどう反映されるのかという御質問がありました。こちらは指導要録上、記載されたものは通知表で子供たちに示されるといったことがございますので、そういう取組が行われていくものだと思っております。
それから、吉田委員から、連携先の民間施設の考え方について御質問いただきました。こちらは若干細かくなるんですが、連携先の相談、指導を受ける民間施設についての考え方を示しているガイドラインというものをこれまでも示しております。その中で、例えば、不登校児童生徒に対する相談・指導を主たる目的としていること等、いろいろな要件を示しているガイドラインが現状ございます。こういうガイドラインを踏まえながら、各自治体が判断するという形に今なっているというところでございますが、現状どういう仕組みになっているかという形で申せば、ガイドラインがあって、そのガイドラインの中で、教育委員会、学校が連携先を適切かどうか判断しているという形となってございます。
それから、阿部委員から御指摘いただきましたインターネット環境につきましては、担当課ともしっかり問題意識を共有してやっていきたいと思っております。
八並委員からいただきました、評価の在り方、チーム、ケースでやっていくといったこと、こちらの考え方は重要であると思っています。こちら、今回、施行させていただき、その上で、いろいろ我々も教育委員会とコミュニケーションを取っていかなければならないところがございます。こういった考え方につきましても踏まえながら、周知を図っていきたいと思います。
それから、宮原委員から外国籍の方についての御指摘ございました。実際、外国籍の子供たちの出席日数についても課題になっているところがございます。こちら不登校支援に当たって、広い意味での外国籍のようなお子さん、あるいは多様な背景を持ったお子さんの支援についても、しっかり考えていきたいと思っております。
それから、白井委員から御指摘いただきました、子供にも届くようにといった点につきましては、こちら正におっしゃるとおりだと思いますので、いろいろな形の周知の在り方というものは我々も考えていきたいと思っております。
今村委員からいただいた御質問については、渡辺委員との回答に重複してまいりますが、指導方法についての今までの例をしっかり示していくと、それからこれからの例も蓄積していくと、そういう積み重ねをまずやっていきたいと思っております。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。吉田委員、どうぞ。
【吉田(晋)委員】 すいません、今の施設の問題なんですけど、実際にガイドラインがあることも存じ上げていますけれども、学校にとっては、そういったところは、毎月報告が出され、何日、自分のところへ通ってきたかも出しまして、中学校の先生に、そういった意味では全部報告をしているのです。ですから、あたかも学校の代わりに教育しているような部分がある。ただ、基本的にガイドラインでそこがどうなっているのか分からないのですけれど、円滑な学校復帰というのが本来の目的だと思うのですが、そういう通信制高校のやっている中等部という名前の中学校は、戻そうということではなくて通信制高校に採ろうということ。だから、そこを文科省がしっかりと御指導いただくべきではないかと。
中学校と名前がついていないから通信教育でもいいんだではなくて、中等部という名前だったら逃げられてしまうのか、そこも私はしっかりと御指導いただきたいと思ってお話ししています。
【千々岩児童生徒課長】 ありがとうございます。個別の施設についてのコメントは若干、置かせていただいた上で、まず、基本的な考え方につきましては、先ほども御説明させていただきました、不登校児童生徒に対する基本的な考え方、今日の資料で言えば、6ページ目、7ページ目でございます。こちら、あくまで学校教育の重要性、魅力ある学校づくりを進めていくという義務教育制度の前提の上で、不登校のお子さんに対する支援をしていくという考え方でございます。
それから、今回、省令改正をさせていただくわけですが、その際も、今回の対応によって、必要な程度を超えて不登校の期間が長期化するような形になっては、そこはよくないところもあります。吉田委員のおっしゃる学校との関係というところも、そこの関連があると思いますので、今回の省令での考え方というものはどういうことなのかということ、義務教育制度の下でこれをやっていく考え方といったことはしっかりと示してまいりたいと考えております。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。よろしいですか。それでは、もう1人、神野委員、聞こえますでしょうか。
【神野委員】 すみません、よろしくお願いします。
【荒瀬分科会長】 どうぞ御発言ください。
【神野委員】 昨日、宮崎市にいまして、いろいろあって公共交通機関が止まって、今は車で移動中でして、ビデオを切らせていただいて話をさせていただければと思っております。
【荒瀬分科会長】 どうぞ。
【神野委員】 今回の法改正、本当にすばらしい方向性だなと思っていて、ぜひ進めていただきたいと思っているんですが、学校の校長という立場でやらせていただいている中で、御自宅にいて不登校であったとしても成績評価ができるような在り方が示されたときに、学校現場全体として、自宅にいてもいいじゃない、それで評価したらいいんだねという雰囲気にはどうしてもしたくないというのがあって、それこそ不登校という子供たちにしっかり学校現場が向き合っていくというスタンスは絶対忘れないでいたいと、そこをしっかりしていきたいと思いは強くあったりするんです。
そういった意味で、どういうようなやり方をしていきたいと思っているかで言えば、多様な学校がどんどん増えていく、いろいろな学校が増えていくからこそ、多様な子供たちを受け止められるというような在り方をつくっていく必要があると思っていて、そういった意味では、例えば、この後控えている学習指導要領はどうなっていくのか、標準授業時数をどうするのか、そういう中でもって、より学校現場自体が子供たち、地域に合わせたような学校展開できるような在り方ということも同時に検討していきたいなと心から思っております。
そういった意味で、先ほど今村委員がおっしゃられていたワーキンググループみたいな中で、そのような議論もさせていただきつつ、よりこの国においてしっかり誰1人取り残さない教育というものをどのように実現していくのかということを一緒になって議論させていただきたく思っております。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。大変な状況で御参加いただいてありがとうございます。千々岩課長、何かおっしゃいますか。
【千々岩児童生徒課長】 ありがとうございます。指導のスタンスといったところだと思います。こちらは、また繰り返しになって恐縮でございますが、まさに先生から御指摘あったような考え方も持ちながら、資料の6ページ目、7ページ目にある不登校児童生徒の基本的な考え方を示しております。
まずは学校教育の充実を図っていくと、魅力ある学校づくりをしていくと、その上での不登校の子供たちの支援という形ですので、先ほど御指摘いただいた考え方と、それに沿いながら我々も通知も出させていただいておりますし、そのメッセージは引き続き、出していきたいと思っております。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。宮原委員からは、先ほど不登校という名で呼ぶべきかというようなお話がありました。それもいろいろと議論する必要があるかと思うんですが、少なくとも問題行動とセットの不登校というのはどう考えていくべきなのかというあたりも、ぜひ御検討いただければと思いますし、お二人の委員からワーキンググループというお話も出ました。そういったこともまた、ぜひ御検討いただければと思います。ありがとうございました。
それでは、次の議題に進みたいと思います。議題2は学校安全の推進に関する有識者会議における議論についてであります。こちら、中園男女共同参画共生社会学習・安全課長から御説明をお願いいたします。
【中園男女共同参画共生社会学習・安全課長】 男女共同参画共生社会学習・安全課長の中園でございます。
議題資料の2-1、2-2の関連でございます。資料2-1、概要資料を御覧いただければと思います。
文部科学省に設置しております学校安全の推進に関する有識者会議におきまして、今年度、学校安全の取組の実効性を高めるための論点といたしまして、組織体制の在り方について検討を進めているところでございます。このたび、7月31日付で中間的な取りまとめを行ったところでございまして、そのことについて御報告をさせていただきます。
まず、資料上段、これまでの議論についてでございます。自然災害や不審者侵入事案、その他学校教育活動中の事故が顕在化し、学校の努力だけでは防止できない事案も発生しているところでございます。学校だけでなく、地域や関係機関等と連携して組織的に実効性のある持続可能な学校安全の取組を進めることが求められているところでございます。
こうした問題意識の下、資料の中段となりますが、学校安全を推進するための組織体制の充実に必要となる視点として、3つのポイントで整理してございます。
1つ目が、地域や関係機関等との連携でございます。学校安全の専門的な知見や子供の視点を活用するとともに、地域や関係機関等と連携を図り、学校安全の実効性を向上させることが必要であるということが記されてございます。また、その際、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の仕組みを最大限活用することが効果的であると指摘されてございます。
2つ目が校内の組織体制整備です。地域との連携協働を実質化していくためには、校長のリーダーシップの下、校内の組織体制の整備を行うことが重要とされてございます。また、学校安全の中核を担う教職員について、その位置づけや果たすべき役割等について、今後整理する必要があることが示されてございます。
3つ目が実効性を高めるための留意点です。コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の活用により、教職員の負担軽減と安全強化の両立を目指す形で進めていく必要があることが示されてございます。
以上を踏まえまして、中間まとめの時点における組織体制の在り方に関する提言といたしまして、まず、子供たちの安全確保や安全教育について、学校運営協議会の場で積極的に議題として取り扱うこと等により、学校安全の取組の充実、持続化が期待されるということ。コミュニティ・スクールの仕組みを活用した学校安全の取組の実質化には、学校安全に関わる教職員の学校運営協議会の参画など体制の工夫が必要であるということ。組織的かつ効果的に学校安全の取組を推進するためには、学校安全の中核を担う教職員の配置やその資質能力向上の機会確保が重要であるということが示されてございます。
今後、本学校安全の推進に関する有識者会議におきまして、組織的に学校安全を推進していくための校内体制、及びその中心となる学校安全の中核を担う教職員について検討をさらに深めてまいりまして、中間まとめの内容も含む形で、今後全体の議論を取りまとめていきたいと考えてございます。
私からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問がございます方は、また、札を上げていただく、挙手ボタンを押していただくということでお願いします。渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会、日本学校保健会の渡辺でございます。御説明ありがとうございます。おっしゃられるように、学校安全の推進は非常に重要なことだと思います。地域との連携も非常に重要だと思いますが、コミュニティ・スクールは必須ではなくて、活用するというような形にしないと、コミュニティ・スクールは、まだ全国に100%配置されているわけではないので、まず、学校安全の推進を優先していただくとありがたいです。
それから、学校安全の中核を担う教職員、今後、そういう立ち位置を決められるそうですが、職責を与える以上はインセンティブが必要だと思います。それから、その人に任せればいいとなって学校の中で孤立することがないように、きちんと配置を考えていただきたいと思います。
また、中核を担う教職員の質の担保については、国が設置を推奨する以上、国が責任を持って研修体制を作っていただきたいです。これは要望でございます。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】 全事研の阿部でございます。私のほうも、学校安全の中核を担う教職員のところについて触れたいと思いますけれども、学校がより良い教育活動を展開していくためには、子供と先生だけがいるということではなくて、教材、教具だったり、学校の安全、施設管理などの安全性というのは本当に高めていかなければならないと考えています。
その上で、学校事務職員は、共同学校事務室も含めて、学校の安全安心のために、施設設備の環境整備を整える役割だったり、それから学校予算執行の担当者として、予算面からそういったものを支えていくという職務を担っております。また、安全点検だったり危機管理マニュアルの作成であったり、それから避難所として指定されている場合には、平常時においては備品管理だったり、災害時においては避難所の運営等に当たっている事務職員もいます。
そういった上で、各学校で安全の中核を担う職を指定していくという場合には、先生方には、子供と向き合う時間を確保していただきたいと思いますので、事務職員のそういった役割についても広く周知していただいて、役割を考える上での一つのキーマンとして入れていっていただければいいのではないかなと思っているところです。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。全高長の内田でございます。
こちらの内容につきましては、幼稚園であるとか高等学校、特別支援学校の扱いというところが気になっておりまして、なかなかコミュニティ・スクールという側面では厳しいところがございます。
先ほど渡辺委員からもございましたように、学校安全については非常に重要でございまして、外部収入については、若齢の幼稚園であるとか、高等学校においても十分そういったことがあり得る。あるいは特別支援学校でも、そういった場合に非常に危険な状況になったりするというところがありますので、人的、予算的な措置も含めて、そういったところも網羅するような方法を御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。幾つか御質問とか御指摘もありますので、後ほど中園課長からコメントがあればお願いしたいと思います。
では、吉田信解委員と、今のところ手を挙げていらっしゃる方、最後、柿沼委員ということでよろしいでしょうか。では、先ほどから吉田委員、吉田委員と申し上げてすみませんでした。吉田信解委員、お願いいたします。
【吉田(信)委員】 お世話になります。私自身、この議論自体に関わってきておりませんので、今これを見た中での所感ということで御容赦いただきたいんですけども、どういうところからどういう課題があって、こういう議論になってきたのかということです。
安全という言葉はいろいろなことに関わる話なんですが、それぞれ別々だと思うんです。自然災害なのか、人的なものに対する安全なのか、安全という言葉で一くくりにしても、実際は、非常に内容は多種多様、多岐にわたるわけでございます。それを安全という言葉でくくってしまうと、実は本当の意味でそれぞれの危機管理というものに対する対応というよりも、何か屋上屋を架すような議論になってしまいがちな部分も、私はあるのではないかなあというのを、これ全体を見て感じたところです。
特に学校安全の中核を担う教職員という言葉……。
【荒瀬分科会長】 吉田委員お声が聞こえなくなってしまいました。フリーズしていますね。吉田信解委員、聞こえますでしょうか。ちょっと声が聞こえなくなってしまいましたので、また回線がつながったら、御発言の続きをお願いすることにしたいと思います。すいません。
それでは、柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】 柿沼です。よろしくお願いします。1点だけなんですけど、学校安全ということで、学校を中心にして今回のものを考えていくと、このような図で関係機関連携みたいな、関係機関とかと連携をきちっとしていくということが出てくると思うんですけど、子供を中心に考えていった場合、保護者とか、例えば先ほど幼稚園、保育園といったことがありますけども、ここに通っている兄弟だとか、放課後児童クラブだとか、いろいろな子供の関係、家族の関係があるので、特に災害時、自然災害なんかのときにはかなり連携を取らないと、兄弟ばらばらな動きをしてしまったり、安否ということだったり、お迎えだったりそういったことがあるので、ここを一言で、地域だとか関係者間みたいなことではなく、子供を中心と考えていったときに、必ず関わるところと連携をきちんと取って、話合いの場にも関係者が入っていくような流れをしていただかないと、多分、学校だけではないところの子供の生活ということがつながらないかなと思いますので、その1点だけ述べさせていただきたいと思います。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。吉田信解委員は、入り直しはまだできていらっしゃらないですかね。それでは、金田委員お願いいたします。そして、今村委員の順でお願いいたします。金田委員、どうぞ。
【金田委員】 ありがとうございます。金田です。よろしくお願いします。
吉田委員にすごく近いんですが、学校安全ということに関して、少し場合分けが必要なんだろうと思っています。地震などの自然災害や不審者の事件、これは学校安全の中核を担う教職員の方を設置するというようなことと、CS、コミュニティ・スクールなどと連携協力しながらということで、問題ないのかなと思いますが保護者として気になるのは活動中の事故というところに関しては、学校安全の中核を担う教職員がやるというよりは、学校全体で意識の向上というものをしっかりしていかないと防げないかなと思っています。
ちょっとした気の緩みであったり、普段の活動の中で、不審なものや少し違和感があったことに対してきちんと細かく全員が注意していくというような体制を取っていくということが重要になってくるのかと考えていますので、このところを2つ分けたほうがいいのではないかと考えています。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、今村委員お願いいたします。
【今村委員】 今村です。自然災害の被災地における学校安全の観点に絞って発言させていただきます。
災害が起きたときに、今回の能登もそうなんですけれども、学校機能が停止してしまって、教職員の方々も被災者になってしまうということが起きるわけなんですけれども、そこに今、文科省さんの中で検討されているといううわさも、ちらほら聞いているんですけれども、コミュニティ・スクールベースにしたものはもちろんすばらしいんですが、皆さんが当事者になってしまったときに、地域の力だけではなかなか学校の再開も、避難所運営も、居場所の設置もできないということが、今回の能登においては起きました。
そのときに、できれば災害医療派遣チームのような、DMATのような形で、今、兵庫の教育委員会から始まったアースという取組があると思うんですけど、他県の教職員の方々が学校支援チームとして入るという自主的な取組と聞いているんですけれども、ぜひこういったものを他県の教職員、または被災地支援に関してもそうなんですけど、経験のあるNPOなどが、他県からおせっかいに支援に行くということを、できれば国として応援してあげないと、各自治体では判断ができなくて、例えば今回の輪島市のように避難所運営も学校再開も、全部を教育委員会が担うということにしてしまうと、学校の再開がとにかく遅れるし、分からないということが起きてしまうというような形で、災害後の復旧復興、そして子供の日常的な安全管理を他県からも応援に行くということも、何らか、絵の中に描くのか、別のところなのか、検討していただきたいなと思いまして、発言させていただきました。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。いろいろと御指摘、御質問等ありました。中園課長、いかがでしょうか。
【中園男女共同参画共生社会学習・安全課長】 担当課長の中園でございます。御指摘、御質問をいただきまして、ありがとうございます。
まず、渡辺委員からの御指摘でございます。まず、今回の中間取りまとめの主眼といたしましては、学校安全の取組に地域が組織的かつ継続的に関わっていただく、それによりまして、持続可能な学校安全の取組を続けていくということでございます。
手法の一つとして、コミュニティ・スクールという手法があるであろうというものでございます。そうした中で、コミュニティ・スクールが必須で関わらなければならないという捉え方ではなく、まず、地域が学校安全に関わっていただく、その際の手法としてはコミュニティ・スクールがあるということだと認識してございます。
そうした中で、中間取りまとめの中にも、中段の下のところにございますが、本項目の視点というものは、学校運営協議会の未設置校、あるいは、国立私立学校においても、地域が関わるという観点で重要な考え方ではないかということを付言させていただいているところでございます。
また、中核を担う教職員の在り方や、あるいはインセンティブについての御質問、御指摘もございました。今後、中核を担う教職員の在り方については、その役割でありますとか、その担い方、そういったものについて、今後、さらに深掘りして議論を深めてまいりたいと考えてございます。
現状の学校安全を担う教職員の実態といたしましても、いわゆる安全主事のような形の肩書きで担っているケースもあれば、あるいは、他の校務分掌の先生が兼務をしているケース、あるいは、学校安全の3分野、生活安全、災害安全、交通安全とございますが、その3分野の関わりも1人の先生が3つ全て担うというよりかは、いろいろ兼務が混ざり合いながら各地域、学校において担われているというケースがあると聞いてございます。こういった実態などもさらに把握していきながら議論を深めてまいりたいと思いますし、インセンティブにつきましても、まずは、この中核を担う教職員の役割でありますとか、そういった先生方の負担、業務量、そういったものを勘案した上で検討していくものと考えてございます。
また、内田委員から御指摘ございました、特別支援学校でありますとか幼稚園に対してコミュニティ・スクールの関わり方というのは少し遠いところがあるのではないかとの御指摘でございました。先ほどの御回答と重複いたしますが、今回まとめさせていただいたものとしては、地域との関わりの中でコミュニティ・スクールという手法があるであろうとしてお出ししているものでございます。特別支援学校、幼稚園なども含めた学校安全、あるいは、教育現場の安全を高めていく取組、これについては、私ども学校安全計画でありますとか危機管理マニュアル、あるいは、様々なポータルサイトでの情報発信、そういったものをお示ししてございますので、当然ながら、幼稚園も特別支援学校なども含めた形で、学校安全という取組を相対的に高めていく。これは別途しっかりとやっていく必要があると考えてございます。
金田委員からも御指摘ございました、1人の中核を担う教職員だけに学校安全の取組を任せるというのではなくて、各先生方においても考えていただく必要があるのではないかと、そういった御指摘だったと受け止めてございます。御指摘、そのとおりでございます。学校安全を主担当として担う先生の役割といったものを検討していきつつ、個々の先生方が学校安全に関わっていただくこと、そういう取組も大事でございます。
昨年度末、3月に学校の安全点検をする際の標準的な方法などを示したマニュアルなどを、お示ししているところでございます。場面ごとに応じた形でのチェックリストでありますとか、そういったものを示してございます。これらを是非御活用いただきまして、個々の先生方も学校の安全点検の作業に加わっていただけるような、そういった取組を引き続き行っていきたいと考えてございます。
また、今村委員からも御指摘ございました。自治体を超えた形で学校安全の取組の研修を図っていく、この視点も大変重要だと考えてございます。今回の能登半島地震における実態などもとらまえた上で、防災安全の考え方に反映させていきたいと考えてございます。
全体を通じた御質問、御指摘に対する御回答として以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。吉田信解委員、聞こえますでしょうか。
【吉田(信)委員】 先ほどは失礼いたしました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。すいません、途中から聞こえなくなりまして。
【吉田(信)委員】 手短に申し上げます。今、チャットのほうには書かせていただいたんですが、大変多様な事象の危機管理に対して、安全担当という形で何か済まそうとするということは、かえっていろいろな事象に対する対応というのが、私は不透明になってしまうのではないかな、特に学校の中において、そういう担当を置くということ自体、非常に怖い感じがいたしました。校長先生をはじめとする今の管理職の体制の中で、今行っている安全対策というものに何かどういう不具合があるのか。不具合があるのであれば、それをもう少し丁寧に対応していくということが個々の事象において大事であって、何か一元的に、この方が担当だということになってしまうことについては、非常に危惧を覚えたものですから発言をさせていただいたということでございます。
大変先ほどは失礼いたしました。御迷惑をおかけしました。
※会議中にチャット機能で頂戴した御意見
【吉田(信)委員】 吉田信解です。先ほどは当方の通信環境の不具合で音声と画面が切れてしまい大変失礼いたしました。私の意図としては、安全という言葉で多くの事象をカバーすることはかえって個別の安全対策に有効か?ということです。そして安全担当という役目をつくることで、多様な事象に対応すること自体、いろいろと無理が出てくるのではということです。
もとより安全対策は個々の事象に対して非常に大事ではありますが、これらの問題は新たな担当者をつくるようなやり方では対応できない。自然災害に対してはどうする、犯罪に対してはどうする、と、危機管理のそれぞれの事象にどう対応するか、という丁寧な議論が必要と考えます。
【荒瀬分科会長】 とんでもありません。ありがとうございました。大変重要な御指摘かと思います。必ず両面出てくるということであるかと思います。
では、この件、最後ではなく、岩本委員、そして内田委員で最後にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【岩本委員】 学校安全の話なんですけども、学校安全を学校や教職員だけに背負わせないというのは非常に重要な話だと思いました。その一つの手法としてのコミュニティ・スクールというのも、とても適切な視点だと思います。コミュニティ・スクールに限らずやっていくというときに、今後の議論の中で、この観点も併せて議論していただけるといいのではないかということがあります。
一つは、先ほど発言もありましたけども、保護者とかPTAとか、子供を中心に考えたときに保護者の役割とかPTAといったところに、どういったことを期待したいのかとか、そういった視点は何なのかという保護者目線というところが一つと、あと、地域といって広く漠としても、なかなか主体が見えないので、市町村が果たすべき役割、学校安全に関して市町村は一体どういう責任だとか役割をしっかりと担うべきなのかということと、先ほど今村委員からもありましたけど、市町村だけではできなくなるようなこともありますので、都道府県は学校安全においてどういった役割を担っていくのかというようなところ、もしかしたら義務教育の話と、例えば高校の安全といったときにも、都道府県立だから都道府県がやればいいというだけではなくて、もしかしたら、そのときに市町村の側との連携だとか役割もあるかもしれないというところで、地域をもう少し分解して、少なくとも市町村や都道府県の果たすべき役割というところなんかは今後の議論の中ではっきりとさせて、合わせて徹底していくというようなことが、学校任せにしないというところは重要かなと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、内田委員お願いいたします。
【内田委員】 すいません、再度失礼いたします。緊急時は学校は何でもやるのですけれども、後ほど審議のまとめを基にした答申にも関わってくるところなのですけど、学校の負担というところは、非常に個々の学校安全についても大きいものと思われます。先ほども申しましたけれども、人的予算的な支援というのが必須だと思いますので、是非中間まとめの中には、そういった側面の取組も盛り込んでいただきたいなというところです。国公私立問わずに、ここは重要になろうかと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。中園課長、何かございますか。
【中園男女共同参画共生社会学習・安全課長】 御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
いずれもいただいた御指摘、まさに検討の視点として重要な御指摘だと思っております。地域を分解して、具体的な取組事例を把握し、それをまとめていくこと、また、学校の先生方の負担を軽減する視点で、さらに学校安全の取組や組織体制の検討を深めていくこと、いただいた御指摘を踏まえて、しっかりと検討していきたいと思っております。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、3番目の議題に移りたいと思います。議題の3番目は、令和6年度全国学力・学習状況調査の結果についてであります。相原学力調査室長から御説明をお願いいたします。
【相原学力調査室長】 本年4月18日に実施されました、令和6年度全国学力・学習状況調査の結果につきまして、資料3-1が大変大部でございますので、資料3-2によりポイントを絞って御説明したいと思います。
1ページ中段にありますように、今年度は小6、中3を対象として、国語、算数・数学を実施いたしました。また、初めて、児童生徒への質問調査を全面的にオンライン方式で実施いたしました。
下段のほうに平均正答率がございます。これに関連して2点、補足をさせていただきます。まず、地域別の状況についてです。各教科の調査報告書冊子には毎年記載しておるんですけれども、公立学校のほうにつきましては、都道府県平均は全て全国平均の前後10ポイント、設問にして一、二問の範囲内に収まっておりまして、大きな差はないという認識でございます。
次に、今年度、中学校国語で、昨年度より11ポイント正答率が低くなったこと、他方、ほかの3教科はほぼ昨年並みということ、これの見方についてです。本調査は難易度を調整しておらず、出題の内容というのも異なりますことから、過年度との単純比較というものを学力変化として捉えることは困難であると認識しております。各年度の調査結果の受け止めといたしましては、各設問の問う資質能力の育成に係る課題について、回答類型や質問調査の分析と併せて向き合い、指導の充実に生かすことが求められると考えております。
2ページから教科調査の結果を御説明いたします。まず、国語でございます。上にございますように、本結果から、事実と感想、意見との区別が明確でないなど、自分の考えを伝えるための書き表し方の工夫に課題が見られました。また、自分の考えなどを記述していても、必要な情報を取り出すことや表現の効果を考えることなどに課題が見られました。
左側に小学校の問題、こちらではたてわり遊びの良さに関する文章を条件に合わせて完成させるという問題です。赤線が付された、自分が考えたことを書くという条件、それから黄色線が付された、下級生に聞いたことを取り上げて書くという条件、これの両方を満たせば正答となりますが、下級生に聞いたことを自分の考えのように書き、赤線の条件を満たせなかった、そういう児童が見られました。
右側、中学校の問題です。自分の好む情報ばかりに囲まれ、多様な意見から隔離されるというフィルターバブル現象に関する話合いを受けまして、自分の考えを述べる発言を回答する問題です。これについても、議論の中心であるフィルターバブル現象の特徴を取り上げるという赤線の条件を満たせなかった生徒が見られました。これらを受けた課題としては、上の3行目に示しておりますが、小中学校を通じた効果的な資質能力の育成のため、話合い等の言語活動の工夫が重要であると考えております。
3ページをお願いします。算数・数学についてです。調査結果からは、図形や速さなどについて、深い理解を伴う知識の習得や活用に課題が見られました。また、複数のデータの分布傾向を比較し、判断の理由を数学的に説明することに課題が見られました。
左側の小学校算数の上の問題は、直径22センチの球の形をしたボールがぴったり入る立方体の箱の体積を求める、その式を書く問題でありますが、この長さの関係性、あるいは体積の理解というようなところで課題が見られました。
下の問題は、最初に分速200メートルで3分間、次に、分速200メートルで2分間移動したときに、全体での速さを求めるという問題です。この問題は、計算をせずとも、分速200メートルという解答ができる問題でございますが、速さの意味を理解できていない解答というのが目立ちました。
次に、右側の中学校数学では、学習指導要領改訂による統計教育の充実に伴いまして、中学校で新たに指導することになった箱ひげ図に関する問題を連続して出題しております。箱ひげ図は、車型ロボットの速度ごとにオーバーランした距離の分布というのを示しております。速度を上げるにつれて、オーバーランする距離が長くなる傾向にあるということを説明する問題です。しかし、箱ひげ図の比較や説明というのが不十分な生徒が多く見られました。
これを受けて、上の3行目でございますが、日常生活と関連づけた学習、そのほか、特にデータの活用については、小学校からデータを言葉や数で表現する力を身につけさせるということが重要であると考えております。
4ページをお願いします。ここからは質問調査の結果でございます。左側は主体的・対話的で深い学びに関するデータです。上のグラフのとおり、こうした学びに取り組んだ自覚のある児童生徒ほど、各教科の正答率が高く、また、下のグラフのように、そうした児童生徒ほど自分には良いところがあるなどと捉えている傾向が見られております。
中ほどです。SES、家庭の状況の厳しさというところになりますが、そういったSESが低いほど正答率が低いという傾向は以前から確認されておりますけれども、中央のグラフにありますとおり、低いSESにおきましても、主体的・対話的で深い学びに取り組めたグループ、ここでは箱ひげ図に赤い枠をつけております。そのグループは、高いSESだけれども、学びに取り組めていないグループ、これが青い枠の部分です。よりも正答率が上回っておりまして、学びを通じた格差改善の可能性というのが確認されております。
右側になります。令和3年1月の中教審答申を踏まえた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実につきまして、今年度初めて分析をいたしたものです。この両方に取り組んだと考える児童生徒のグループは、それ以外の他のグループに比べまして、正答率が高いということのほか、授業の理解度、自己有用感等も高いというようなことが明らかとなっております。
5ページをお願いします。次に、ICT機器の活用についてです。左上にありますとおり、ほぼ毎日、週3回以上、ICT機器を活用する学校がさらに増え、小学校は93%、中学校は91%となりました。また、課題解決に取り組む学習活動を取り入れて授業改善を進めている学校ほど、そのような学習場面でICT機器をよく活用しており、そして、その両方に取り組んだ学校グループの児童生徒、このグラフでは丸1番のところでありますが、そうした児童生徒のグループは、それ以外のグループよりも各教科の正答率が高いというような状況も明らかになっております。学びの充実を図る上で、ICT機器を日常的に使うことに加えて、目的意識を持って効果的に活用する重要性が示唆されております。
続いて、右上、ICT機器を活用した不登校児童生徒の学習活動等の支援、これも着実に進みつつあるということを確認しております。
その下になります。今年度、初めて質問いたしましたのが、ICT機器活用の効力感でございます。約9割の児童生徒が分からないことがあったときにすぐ調べることができる、考えを共有したり、比べたりしやすいなどと評価しておりました。また、そのような効力感の高い児童生徒ほど、自己有用感等も高いという状況も見受けられました。
続いて、左下の黄土色の部分です。挑戦心等の分析では、今回、地域や社会を良くするために何かしたいと考える児童生徒が前年より大きく増えておりました。総合的な学習の時間、学級活動等との相関も高くありまして、新型コロナウイルスの影響というのが薄れ、学校の活動が活発に戻ってきたということが伺えるかと思います。
最後に、右下の青い部分、学校外の過ごし方です。授業以外の勉強、時間というのは、小中学校ともに、近年、減少傾向が続いてきております。また、テレビゲーム等をする時間は小中とも横ばい、SNS、動画視聴の時間は小学生で横ばい、中学生で微増というデータでございます。
なお、勉強時間と正答率の相関、ゲームやSNS等の時間と正答率の逆相関というのも例年どおり見られておりますが、これらを含めた学力の状況というのは、単年度の調査ではなく、私どもで言えば抽出で実施しております経年変化分析調査、あるいは、国際的な学力調査などから総合的に捉える必要があると考えております。
最後の6ページは、文部科学省の主な取組一覧となっております。駆け足でございましたが、ポイントの御報告です。よろしくお願いします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見や御質問を頂戴したいと思います。では、堀田分科会長代理、お願いいたします。
【堀田分科会長代理】 堀田でございます。御報告ありがとうございました。
GIGAスクール構想で義務教育段階の児童生徒には、1人1台の情報端末が配布されているわけですけど、今日の参考資料の1-1や1-2にありますように、実はもう次のリプレイスに向けて、そのときに周辺のICT機器をどうすればいいかという考え方や方針を検討したワーキングの報告資料が入っています。
次の整備に向けた議論が動いていると同時に、文部科学省ではGIGAスクール構想で入った端末の活用を推進するために、リーディングDXスクール事業という事業を始めて、もう2年目になっています。これは好事例を横展開していく普及のためのプロジェクトですが、実際に指定された学校を見に行きますと、まさに端末をうまく使って個別最適な学びと協働的な学びにチャレンジをなさっている学校をたくさん見ます。そうすると、端末を用いて、子供の個別のタイミングで任意の学習リソースに当たるみたいなことをするわけで、これを支えているのは、まさに情報活用能力と言われる能力だと思う次第です。
今日、今、室長の御報告にもありましたが、全国学力・学習状況調査の結果でも、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学びや協働的な学びを実現しようとする学校ほど、GIGA端末の利活用が多いということが分かっておりますし、その結果、学力調査のスコアも高いということがデータで出ています。これは、GIGA端末を使い慣れることによって、一人一人の子供たちに情報活用能力が身につき、それを駆使して学びに向かっているという結果かなと私は理解しています。
今日発言したいのは、学力調査とは別に、文部科学省では情報活用能力調査という抽出調査をやっています。これまで2回行われていて、3回目が今年度に実施されると聞いています。せっかくこれを今年度にやるのであれば、先ほど申し上げた、リーディングDXスクールのようにGIGA端末の活用を推進している学校に、同時に情報活用能力調査を受けていただき、GIGA端末の活用によってどれぐらい情報活用能力が上がるのかということを示す意味でも御協力いただけるよう、文部科学省のほうでぜひ検討いただきたいというお願いをしたく発言しました。
情報活用能力の向上が学力調査で測る学力の向上とどのように関係するかまでは今回の調査では言い切れないとは思いますけども、少しずついろいろなことをはっきりさせていくということが大事かなと思っております。以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御指摘につきましては、後ほどまた相原室長からコメントがあればお願いしたいと思います。
それでは、この後、貞広委員、それから神野委員、そして奈須分科会長代理の順でお願いしたいと思います。では、貞広委員、お願いいたします。
【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広と申します。
毎年、この調査結果を拝見していますけれども、今年の調査は、特に学校での手だての講じ方であるとか政策的な介入について、かなり良好な結果を出していただいていると思います。学力調査室の方々の御尽力のおかげだと思っております。ありがとうございます。その上で、そうした良質なデータとなっているからこそ、幾つか留意をしたいと思って、文部科学省に適切な周知をお願いしたい点がございます。
まず、1つ目は、相原室長も先ほどおっしゃった、経年分析という観点です。今回の調査は、3年ごとに行っている、いわゆるIRTによって難易度を調整した調査ではありません。ですから、経年的に上がった、下がったという議論ができるデータではありませんので、そういう調査は3年ごとにしっかりされていますし、国際調査もありますので、誤解のないように、そうした適切なデータで、適切に経年変化は分析をしていただきたい。ここは誤解のないように皆さんにしっかり周知をしていただきたいということです。
もう一つは、相関と因果の関係です。先ほど来、相関とか傾向という言葉を、恐らく慎重に選ばれて室長、発言をされているんですけれども、2つの物ごとに相関のような関係性があるということは、特定の因果の矢印や因果の構造を示しているわけではありません。さらに、相関しているように一見見えても、実際には別の要因の偽相関だったり、または、それを調査側が分かった上で、あらかじめ、あえて別の要因の代替指標として用いている場合もあります。この点についても、誤読が発生されやすいので、しっかりと適切に周知をしていただきたいということです。
それと、3番目でございます。資料で言いますと、3枚目ということになるんでしょうか。今回、一つ、とても注目できる結果として、3枚目の一番右側の個別最適な学びと協働的な学びの両方に取り組んだグループの正答率が高いという結果がありましたけれども、これは、両方に取り組んだというところが結果の肝になってくるんだと思います。どちらか一方だけやればいいということではないというような浸透ができるようにということをリクエストとしてお願いをしたいと思います。
最後に、一番最後から2番目のページ、右下ですけれども、学校外での過ごし方について、学習時間が減少しているというのも、これも日本の子供たちが勉強しなくなっているんじゃないかというハレーションになりかねないところですが、実際には、先ほど堀田先生も御発言されましたけれども、1人1台端末が配布をされて、そうした学びが浸透することによって、今までの知識集約型の学びは、ぎゅっと凝縮されて時間が短縮してもできるようになったという成果である可能性もかなり高いと思います。
この点もしっかり検証をして、今後の手だてを講じるためにも、しっかりとどういう構造なのかということを慎重に把握、発信をしていただきたいということでございます。
少し長くなりましたが、以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、神野委員お願いいたします。
【神野委員】 今回の分析、ありがとうございます。一つ、私が学調を使うときにいつも見ている点ということで、皆さんに触れさせていただきたいんですが、質問紙の中にある、自分には良いところがあると思いますかだとか、先生はあなたの良いところを認めてくれていると思いますかとか、あとは学校に行くのは楽しいと思いますかみたいな質問紙があると思うんですが、この質問紙自体が、これまで過去と比べてどういうような変化を及ぼしているのかというのは、実は学校を評価する上で、私はすごく大事だと思っていたりします。
今回の調査結果というものも、一つの学力がどのような要因だったのか、もしくは下がったのかということを軸に分析されていると思うんですが、例えばICT機器をちゃんと使っているのは、学校にいる子供たちは、法律の、ある意味、ウェルビーイングにつながるような項目において、どのような指標が変化があるのかというところを分析していくことも非常に価値あることなんじゃないかなと提案したいと思っています。
特に中教審でもそうですけれども、教育委員会の議論でもそうですが、分析していく先にどのような取組があったからこそ学力が上がったというような分析結果を出せば出すほど、やはり現場は学力至上主義だよねと。学力を上げるために結局全てやっているんだよねとなっていくと思うんですけれども、学力が上がったから子供たちがウェルビーイングになるという関係性なのか、はたまた、心的安全性、ウェルビーイングで子供たちが結果として学力上がっていくというような形になっているのかという話で言えば、今、様々言っているのは、心的安全性、ウェルビーイングみたいなものを高めていった学習環境の中で、子供たちの学力が上がっていくというようなことをし始めていると思っています。
そういった意味での分析みたいなものを、どのような順序で、もしくは、どのような発表の仕方をしていくのかということに関して、もう一度巧妙に考えてみてもいいのかなと思いました。以上になります。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、奈須分科会長代理、お願いします。
【奈須分科会長代理】 よろしくお願いします。この全国学テというのは、第1回からずっとそうですが、学力という概念を刷新する、その意味の注意喚起をして、その後に出る資料等も含めて、授業の在り方の質を大きく変える、重心の移動を進めてきたということだと思います。
今回もとても良問が多いなと思いました。一番感心したのは、小学校算数の大問4-4で、これ、このまま書けばいいのが結構書けないというのは大事だなと。算数で言うと、問題が解けるということと、概念的な意味理解が構造的にできていることが必ずしも同じではないと。このことを広く現場、そして教育関係者に分かっていただくということでとてもいい問題だと思います。
過去に、果汁を足場にして、量と割合が違うということを扱った問題がありましたが、あれは確かに絶対量と割合の概念なので難しいだろうなということもあったんですが、今回はとてもストレートで、こういう問題で正答率が半分少ししかないという辺り、この辺にまだまだ日本の学力の構造的な問題があるというところです。とても今回もいい問題で御指摘をいただいたと思います。
ただ、一方でこうなってくると現場の授業をどうすればいいのかと、そこに行くと、これ、現場の先生、これを分からせるのにはどんな授業をすればいいんだろうと、つまり問題を解かせるという授業ではないですよね。また、その辺りについて、調査官の先生方のお力も借りながら、いい形で学力の重心を移動させると同時に、授業の在り方、質を刷新していくということ。今回の学習指導要領は、内容ベースから資質能力ベースということに転換を図ってきたわけですけども、まだまだ道半ばだなという思いもありますけども、今回も学力テストで、また一押ししていただいたなということで、本当にありがたいなと思っております。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
ほかにはよろしいですか。それでは、今、出ました、大変いずれも重要な御指摘かと思いますが、相原室長、コメントがございましたらお願いいたします。
【相原学力調査室長】 ありがとうございます。堀田委員から情報活用能力との関係について、大変示唆のある御意見をいただきました。また、情報活用能力の向上が学力調査で測る学力の向上とどのように関係するかまでは、先生は今回の調査からは分からないとおっしゃられていましたけれども、情報活用能力というのも含めて、学力全体、概念というのも広がってきていると私どもは捉えております。
その上で、学力調査で測れるもの、また、ICTを使ったCBT化によってさらに測りやすくなる部分というのも含め、私どもも工夫していくとともに、御指摘いただいたような情報活用能力調査との連携というのも、また考えていきたいと思っております。また、実際、推進校、リーディングスクールの成果というのも、先生から御指摘いただきましたが、まさにそのような取組というのを、今後は特に教科の中でどのように落とし込んでいくのかというのも、私どももまた深めていきたいと思っております。ありがとうございます。
続けて、貞広委員から御指摘いただきました点、私どもも慎重に発信のほうをしていく必要があると改めて思いました。まず、経年の分析につきましては、やはり学力が上がった、あるいは下がったというところは、どのようなデータに基づいて言う必要があるのかというところ、これは私どもも、しっかり発信する必要があると痛感いたしました。特に今回は、特に中学校国語が下がったというところ、これは読解力や国語力が下がってきているかのように誤解されている面も少しあるというように私どもも懸念はしておりまして、こういったあたり、発信不足を言われましたが、まさに私たち、そのとおりでございまして、しっかりとその辺りの周知というのもいたしたいと思っております。
次の御指摘もありましたような相関、あるいは因果といった部分、その辺も全く同じでございますが、先ほどの経年、あるいは相関、因果といった部分も含めまして、私どもも国立教育政策研究所のほうにおきまして、教科を中心とした指導方法の改善というところでの説明というのを主に、毎年度やってきておりますところ、今年度、8月の説明会におきましては、質問調査の部分であるとか、こういった全体としての学力の変化というのをどのように捉えればよいのか。あるいは、SESといった部分の着目、そういったところも幅広く、地方に向けて私たちも発信をしたいと考えております。
学習時間の減少につきましては、貞広委員と同様の指摘を私どもで担当しております全国的な学力調査に関する専門家会議の耳塚座長からもちょうど同じように御意見を頂戴しておりますところです。資料3-1のほうには、実は学習時間の減少の捉え方としては、可能性として、端末の成果である可能性もあるということは注書きにも入れておりますが、そういった部分も今後しっかり総合的に分析して、また慎重に発信をしたいと考えております。
神野委員から御指摘いただきました。良いところ、あるいは先生が認めてくれる、学校が楽しいといった軸の質問調査の内容につきまして、これも私どもも、当初から学力のみならず、広い意味で、学力・学習状況調査全体として、大切にしてきておる項目でございます。私ども、質問の内容については、御指摘のウェルビーイングという視点も最近、取り入れて、さらに、先生方の状況、教員組織の風土といったことも取ったりということで質問の拡充というのを現在しております。
実は中央教育審議会の総会におきまして、先日、学力調査の昨年度の質問調査の結果を活用しました、ウェルビーイングの分析というのを有識者の先生にやっていただいた結果というのを御報告したばかりでございます。私どもも、必ずしも学力を上げるために全て結果を活用していることではなく、質問調査、教科調査を絡めて、子供たちの広い意味での力というのを伸ばしていくために、この調査を活用していきたいと思っておるところでございます。ありがとうございます。
最後に、奈須委員から御指摘をいただきました。どういう授業の改善が今後、求められるのかという部分でございます。今回、御紹介したような問題というのは、かなり高次元の資質・能力について課題が提示されているとも受け止められるかと思っております。今回、例えば、50枚ものの資料3-1のほうには、実は国語科、あるいは算数・数学科という教科で、小中学校を通じた捉えというのを、コラムとして初めて資料に挿入させていただきましたが、どのように一歩進んで、この力を身につけていってもらうか。そのための授業の在り方というのも、今回は例えば、言語活動というのを一層、高めていくための工夫、あるいは、データの領域で、活用の領域で、小学校、中学校を通じて説明というのを鍛えていく。このような大きな考え方というのも進めさせていただきましたが、そこに、さらに堀田先生も御指摘いただいたようなICTの活用というのも、さらにうまく絡めていきながら、今後の授業の在り方というところを提示していけるように、国立教育政策研究所等ともしっかり連携して進めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。今、相原室長がおっしゃっていた総会での話ですけども、京都大学の内田由紀子委員が、とても教師がうれしくなるといいますか、というか、逆に言うと教師が本当に面白く、楽しく、豊かに学び、仕事をしているということが大事なんだなということを改めて分かる、そういう御説明をいただいたところでありました。ぜひまた、議事録を御確認いただければと思います。
あと、これは貞広委員からのお話があった勉強時間の減少ということなんですけども、本当に個人的な話で申し訳ありませんが、うちの孫はヨーロッパにいるんですけど、この子たちは、いわゆる学校以外では勉強しません。学校以外で勉強するというのは、私たちは当たり前だと思っていて、家庭学習とか言っていますけれども、必ずしも世界的に見て一般的かどうかというのは、これはなかなか難しい問題です。
ただ、彼らは勉強しているとは思えないですけれども、しかし、少なくとも学びはずっと続けていると。それはICT機器を使うといったこともあれば、あるいは一生懸命、物をつくるとか、議論するとか、そういったことをやっていますので、私たちの学習観の転換を今回、学習指導要領で図ろうとしているわけですけども、さっき奈須先生もおっしゃっていますが、そういったところの本当に大切な議論というのも、これからまた次の学習指導要領に生かしていくような形で展開していく必要があるかなと思いながらお聞きしておりました。ありがとうございました。
それでは、最後の議題に入りたいと思います。議題の4でありますが、令和の日本型学校教育を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、答申案となるまで議論が重ねられてまいりました。この答申案につきまして、事務局から御説明をいただき、その後、本答申を取りまとめていただいた質の高い教師の確保特別部会の部会長でいらっしゃる貞広委員から御発言をいただきたいと思っております。
では、まず、安井財務課長、よろしくお願いいたします。
【安井財務課長】 財務課長でございます。よろしくお願いいたします。
質の高い教師の確保特別部会におきましては、去る5月13日に審議のまとめを、取りまとめをいただいたところでございます。こちらの内容につきまして、先日の分科会におきましても、報告をさせていただいたところでございますけれども、本日は審議まとめに関する意見募集の結果の概要を御報告させていただき、また、特別部会におきまして、7月26日の審議で答申案がまとめられたところでございますので、そちらのお諮りをさせていただくというものでございます。
まず、資料4-1を御覧いただければと思います。6月14日から28日まで意見募集の実施をさせていただきまして、結果1万8,354件と非常に多数の御意見を頂戴いたしたところでございまして、大変感謝を申し上げる次第でございます。これだけの意見をいただいたということで、審議事項の課題に関する社会的な問題意識の高さということ、重要性ということの表れだと重く受け止めているところでございます。
資料4-1は、いただいた御意見の全体像が御覧いただけるように整理をさせていただいたものでございます。審議まとめ全般に関する御意見、また、各章ごとに御意見を記入いただいてございますので、そのような形で整理をさせていただいてございます。時間の関係もございますので、簡潔に全体の概要を御説明させていただきます。
資料の1ページから3ページにおきましては、審議のまとめ全般についての御意見でございます。教育の充実、あるいは教師を取り巻く環境整備の重要性に関する御指摘をいただいたところでございます。審議のまとめにおきまして、働き方改革の加速化、指導運営体制の充実、処遇改善の3つの柱で一体的改革を進めるということを評価する御意見を頂戴してございます。また、一方で、審議のまとめ以上の抜本的改善を求めるというような御意見も頂戴したところでございます。
資料4ページから5ページにかけましては、審議のまとめの第1章、学校教育と教師を取り巻く環境の現状というところについての御意見でございます。全般的に教育投資の充実の必要性ということについての御意見を多く頂戴したところでございます。また、子供に関することは全て学校が対応するというような社会の認識が、学校の本来的役割を超えた役割を担って過重な勤務につながっているという御指摘なども頂戴をいたしました。
資料6ページから7ページが第2章、教師を取り巻く環境整備の基本的考え方についての御意見でございます。教師が教職生涯を通じて学び続けることが必要であると、あるいは、そのための学びの時間を確保するための学校業務の見直し、削減が必要であるというような御意見を頂戴してございます。
また、7ページから12ページが第3章、働き方改革のさらなる加速化ということについての御意見でございます。行政が業務適正化に向けた3分類、これをしっかりと周知をしていく必要があるという御意見、また、プールの管理でございますとか、学校施設の管理が負担になっているのでこういったことの外部委託の必要性の御指摘、また、部活動、特に土日の活動の地域移行を求める御意見でございますとか、多々御意見を頂戴してございます。
また、13ページから17ページにかけましては、第4章の学校の指導運営体制の充実についての御意見でございまして、教職員の定数の改善を求めるという意見も多々いただいてございます。授業時数の削減の必要性、また、小学校の教科担任制を求める御意見、基礎定数の改善についての必要性の御指摘、また、不登校増加に伴って、不登校対応が担任の過度な負担にならないように、専任の担当教師の配置が必要であるというような御意見、また、外国にルーツを持つ児童生徒の増への対応についての必要性の御指摘等々をいただいてございます。
また、17ページから21ページにかけましては、教師の処遇改善についての御意見でございまして、教師の仕事内容と責任の重さに鑑みて処遇改善が必要であるというような御意見、また、その具体的な方策といたしまして、教師の職務の在り方を踏まえて教職調整額の引上げをすべきというような御意見、頂戴してございます。また、一方で、教職調整額ではなく、時間外勤務手当の支給を求める御意見も頂戴をしてございます。
21ページが第6章でございまして、実効性のあるフォローアップの必要性などについても御指摘を頂戴したところでございます。
続いて、資料4-3を御覧いただければと思います。こちらが前回、御報告申し上げた審議のまとめから、特別部会における更なる御審議を踏まえまして、まとめられた答申案の修正箇所について、整理をしたものでございます。
まず、表題のところで、副題をつけるという御指摘がございまして、全ての子供たちのよりよい教育の実現を目指した学びの専門職としての働きやすさと働きがいの両立に向けてというサブタイトルが今回、付されているところでございます。
また、2ページ、3ページ、「はじめに」のところでございますが、審議まとめ以降の意見募集の状況、また、政府における骨太の方針の策定等について追記をいたしまして、また、答申案における法律改正、予算措置を伴う施策も含めて、提言の実行に向けた政府に対する実現の期待ということを記載してございます。
続いて、資料12ページでございます。こちらの分科会における御議論の御指摘を受けまして、教師の研さんということでございますけれども、学校内外においてということで、他校の教師も含めた研修の重要性ということで整理を、修正をしてございます。
続きまして、資料19ページでございますが、こちらは意見募集の中でも御指摘ございましたが、学校教師が担う業務の適正化の御議論の中で、学校施設の管理、特にプールの管理業務についての負担の軽減ということでございます。近年、学校プールの管理を外部委託するような自治体も増えているところでございますけれども、こういった教師の負担軽減、さらには学校施設全般の管理につきましても、負担軽減の観点から引き続き有効な方策についても検討を行っていく必要があるということの追記でございます。
続いて、21ページでございます。こちらは教育課程の編成の見直しにつきまして、標準授業時数よりも大きく上回って教育課程編成されている学校に、見直しを求める御意見を以前から頂戴していたものでございますが、学校現場におきまして、週当たり29単位時間の授業実施ということについての意識が強いという御指摘、頂戴してございましたが、その点についての改革の一つの在り方として、夏季休業期間の短縮によりまして、授業日数を増加させて、学期中の例えば6時間目の授業を減少させるというような負担の軽減化を図っているというような例も追記をしてございます。
続いて、資料22ページでございますが、勤務時間管理の責務につきまして、服務監督教育委員会に求められた責務ということで記載がございますが、実際に学校現場において現実に実施をいただく主体として、校長ということを明記してございます。また、安全配慮義務についての判例についても、より丁寧に整理をしているところでございます。
また、23ページにおきましては、給特法の令和元年の改正によりまして、勤務時間管理等の指針を法律に基づいて、国が定めるということになってございますが、そのことについても記載をしてございます。
また、25ページにおきましては、教育委員会における取組の目標設定に関する御議論で、御指摘を頂戴いたしました在校等時間の縮減のみならず、メンタルヘルスの状況など、多面的な目的設定が重要であるという御指摘を反映させた。
26ページは、校長のマネジメントを行っていく際に副校長、教頭、主幹教諭が校長補佐をしていくという記述がございましたが、事務長の補佐ということについても御指摘いただいて明記をしたものでございます。
27ページにつきましては、実際の時間管理、職員の時間の管理を行っていく中で、長時間の勤務をしている職員の業務分担の改善など、具体的な実効ある改善を校長、そしてまた、服務監督教育委員会が行っていくということについて、具体的に、更に整理をしたものでございます。
続いて、資料36ページでございますが、指導運営体制の充実の関係でございまして、小学校における教科担任制の推進について、これまでの取組についてより詳しく記載をしてございます。
また、40ページにおきましては、日本語指導が必要な児童生徒の増加とその指導のための体制整備につきましても記載を追記しているところでございます。
また、58ページにおきましては、意見募集におきましても、部活動の在り方の改善についての御指摘も頂戴していたところでございますが、このたび、スポーツ庁等におきまして、部活動の改革について新たな検討の会議も設けるという方針でございまして、この問題についても、引き続き専門的な検討を継続していくということを追記してございます。
そして、最後に、57ページ本文にも記載ございますが、委員のほうから御指摘頂戴しまして、取組の工程表作成を新たにしているところでございます。答申案におけます御提言されている働き方改革、指導運営体制の充実、教師の処遇改善、それぞれの政策につきまして、青は国が中心になって行っていく取組、緑の部分がそれを受けた自治体における取組ということでございますが、時間軸も踏まえながら整理をさせていただいたところでございます。
事務局からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、先ほど申しましたように、議論を取りまとめていただき、最終的に答申案という形で、初等中等教育分科会で今、皆さんに御覧いただく形をまとめてくださった特別部会の部会長でいらっしゃった貞広委員から御発言をお願いしたいと思います。
【貞広委員】 貞広でございます。発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
まずは、審議まとめの後、多くの御意見をいただきました方々に心よりお礼を申し上げたいと思います。また、それに先立ちまして、意見を取りまとめた上、お寄せくださいました各団体の方々にも心よりお礼を申し上げたいと思います。
今、安井財務課長から御説明ありましたので、内容については踏み込みませんけれども、本特別部会は、教師を学びの専門職として捉えて、そうした先生方を取り囲む環境をいかによくできるかということを出発点として、皆さんのお知恵を頂戴しながら議論をしてきたところでございます。そのベースとなる考え方が副題となり、また、答申案の「おわりに」のところにも書き込まれておりますので、よろしければお目通しをいただければと思っているところです。
今回、部会の議論にはめどがつきましたけれども、むしろここからが本番であろうと考えております。予算の問題ももちろんです。制度改正の問題ももちろんですけれども、制度ができたとしても、それが実際に起動するか否かは、関わりのある全ての方々が当事者となれるか否かということにかかっていると思います。どうせ変わらない、どうせ変わりっこない、変わってもらっちゃ困るではなくて、みんなで少しずつでも変え、変化を実感、体感し、次は更に良くできるという考え方ができるように、全ての方々のお力添えをいただきたいと心から思っているところでございます。
こちらにいらっしゃる委員の皆様におかれましても、答申の案が取れる日が来るのかもしれませんけれども、誤解のない周知と制度政策の実装、駆動にそれぞれの立場から御協力を賜ればと存じます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。貞広先生、本当に十何回ですか、すごい回数の……。
【貞広委員】 14回。
【荒瀬分科会長】 14回にわたる会議と、それからそのための事前のいろいろな調整も含めて、本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。事務局の皆さんも本当に大変な、膨大な資料を集めていただいて、いろいろと検討のための材料を整えていただいてありがとうございました。
今、貞広委員から、ここからが本番だということで、大変力強いお話がございました。これを我々共有して取り組んでまいりたいと思います。初等中等教育分科会といたしましては、前回144回、6月17日に開催した会議で、審議のまとめについて御意見を賜りました。それもまたパブコメと重ねて、反映されたものが7月26日の特別部会で答申案という形でまとめられたところでございます。
今後、総会で、この答申案の案が取れて、文部科学大臣に答申したいと思いますが、今日、この機会、これについて御議論、御意見いただく最後の機会でありますので、皆様から御発言をいただければと思います。時間があまりなくて大変申し訳ありませんが、いかがでしょうか。
では、植村委員、内田委員、渡辺委員の順でお願いしたいと思います。
【植村委員】 全連小の植村でございます。貴重な時間ですが、お時間いただきまして、ありがとうございます。私のほうからは、改めて、全連小としてのスタンスと、そして直近の動きについて話します。よろしいでしょうか。
まず、基本スタンスですけれども、答申案を肯定的に受け止め、資料にあります工程表案に基づいて確実な実現を目指すということを大事にしております。そのためには、教育関係者が一枚岩になることが大事だと考えております。その具体的な動きとして、今週の月曜日なんですけれども、8月5日月曜日の夕方、教育関係23団体を代表して6団体、6団体というのが日本PTA、全連小、全日中、全事研、日教組、全日教連でございますが、23団体の総意として、教育予算拡充を求める研究アピールを盛山文科大臣に手交してまいりました
これからも前向きに、力強く、そして粘り強く訴えていきたいなと考えておりますので、皆様には御支援いただきたいなと思っております。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。内田委員、渡辺委員、阿部委員、柿沼委員、それからオンラインで御参加の青海委員、澤田委員、八並委員の順で御発言をお願いしたいと思います。すいません。残りの時間があと10分程度となってまいりました。大変申し訳ありませんが、簡潔に御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
では、内田委員お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。今回、非常に具体的な事例も含めていただいて、取りまとめていただき、非常に中身の濃いものであると感じております。
今週初めに、実は東京で私が所属する生物の全国研究団体の全国大会が実施され、探究ということをテーマにして、熱心な先生方の意見交換、発表がなされたところです。学び続ける教員というのは、良い学びを生徒に提供できるという側面もあると考えておりまして、今回の答申の中に、公的な研修機関や大学だけでなく、認定研究団体も含めて学校内外での学びを取り入れるということも含まれるということで、非常に意味のあることだと考えております。
実践を共有するということは、時間のないところでは非常に難しいところでありますけれども、働き方改革や処遇改善、そして時間を生み出すというところで、生徒に対する指導の余白、研修の余白を生み出すということが改めて重要であると感じている次第です。
ぜひ、国公私立を通して、工程表を基に予算措置を確実なものにしていただいて、実効性のある取組を実現して、処遇改善をお願いしたいと思います。公立だけでなく、国立、私立学校とも非常に厳しい状況がありまして、そういったところについて、国民、あるいは、財政当局の理解を得るというところが非常に大切だと思いますので、引き続き、文部科学省を含め、よろしくお願いしたい次第でございます。ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、渡辺委員お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会、日本学校保健会の渡辺でございます。まずは、このような非常に多くの課題や議論がある中で、きれいに方策をまとめていただいた貞広部会長に感謝いたします。また、総合的な方策の評価の指標として、教師のメンタルヘルスの項目を加えていただいたことにも感謝をいたします。
この中にも書いてありますし、貞広部会長もおっしゃったように、これからが問題だということは全くそのとおりだと思います。PDCAサイクルを回すということも何度も書いてありますが、工程表はあくまでPDまでで、CAが一番大事だと思います。最初のエンドポイントは、教師のモチベーションを下げることなく、心身の負担が軽減し、精神疾患罹患率や休職率が下がり、円滑に学校教育を進めていただくことだと思います。ぜひCAを進めていただきたい。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】 ありがとうございます。特別部会の皆様、並びに事務局の皆様、本当にお疲れさまでございました。感想めいたことで時間のない中、大変恐縮でありますが、少しお話しさせていただきます。
学校は課題が山積しておりますけれども、この答申案に掲げられている施策が一つ一つ実現されていくその先には、明るい未来が待っているというような思いを抱きながら、拝読させていただきました。是非とも一つも取りこぼすことなく実現させてほしいと思うところですので、そのためにも財源の確保、それから国民一人一人に正しく浸透するような、周知されるような取組を今後も引き続き行っていくことが重要だと感じているところです。そして、それぞれの主体が、日本の未来のためにしっかりと責任を果たしていかなければならないのではないかと思っています。
そのために私たち事務職員も、学校で働く一人として、これからの若い方たちが魅力ある職場として、その職を目指したいと思うような学校になるように、働き方改革などをより一層進めてまいりたいと思っておりますし、社会人の一人として責任を果たしていきたいと改めて心にとめたところです。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】 取りまとめ、どうも本当にありがとうございます。ぜひ財源確保も含めて、前にしっかり進めていただいて、子供たち、また教職員の皆さんが明るく学校生活が送れるようなものにしていただきたいなと思います。
その上でなんですけれども、第1号議案にあったように、不登校のほうで、答申案の最初にあるように、全ての子供たちのよりよい教育実現を目指したと書いてありますので、不登校だとか、そういった子供の居場所であったりフリースクールであったり、そういったところの職員の皆様、また、そこに関わる皆様の環境整備もぜひ次の段階には一緒に進めていただきたいなと思います。
そこで生活する子供たちも学校から取り残されてしまうような子供たちですので、そこにはきちんとした、そこに関わる処遇であったりとか環境整備、また、内容に関しても学習指導要領の共有であったりとか、普通教育と言われたものの学力以外の普通教育の部分をどう担保していくかということもしっかりと考えて、学校と、また、それ以外で過ごす子供たちの場所の両輪もしっかりと進めていっていただきたいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、青海委員、お願いいたします。
【青海委員】 特別部会の皆様、ありがとうございました。安井財務課長、ありがとうございました。
先ほど全連小の植村会長からありましたけれども、協議会の総意として、全ての子供たちへのより良い教育の実現のための教育予算拡充を求める緊急アピールをまとめて、大臣のほうにお渡しした次第でございます。
審議のまとめとか骨太の方針で示されました内容を一体的に推進すること、これが教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保するためには必要不可欠なことだと考えております。今日、議題にありました不登校の問題、これを丁寧にやっていくこと、また、学校安全を推進するために中核になる教員、そういったお話もございました。また、全国学力・学習状況調査の経過も丁寧にまとめていただきましたけども、そういった報告書を丁寧に、現場の教員一人一人が見た上で、自分の授業改善をしっかりしていく、こういうことがすごく大事なことなんだと思っています。
教員定数の改善ですとか、支援スタッフの充実などを含めて、全ての子供たちへのより良い教育を実現するためには、教育予算を拡充して、教育環境を充実することが必要だと思います。文科省の皆様、実現に向けて全力で取り組んで、私たちも行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】 澤田です。取りまとめについては、私も部会のほうで御一緒させていただいて、貞広部会長を中心にやっていただいてありがとうございました。
これで終わりではなくて、引き続きということを改めてと思いました。行動検証していきたいですし、振り返りの機会もつくっていただけたらなと思っています。今日、この機会に、審議会に参加させていただいて、様々な論点で話をしていた中で改めて思ったのは、各学校の具体的な業務改善という部分においては、例えば今日出ていた学力は何なのかとか、不登校だとか、学校とはというような役割の捉え直しということと業務改善って重なることが多いなということを改めて感じました。
学校を見ていると、回っていると、先生方が教科書を全てこなすこととか、指導書の時数どおりにするべきというように信じてしまっているということもまだまだ多いなと思っていて、だから、休み時間も子供たちを休ませずにずっと練習問題を解かせてしまい、それが負担に感じて、不登校の引き金になっているなんていうことも、いまだに見かけることもあります。
今日、議論の中で、事務局からも広い意味での力を伸ばしていくという言葉もあったと思うので、そもそも学力とは何なのかとか、学校の役割の捉え直しということ、そういった視点も持って振り返りをしていきたいなということをお伝えしたいなと思いました。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、八並委員、お願いいたします。
【八並委員】 私から2点質問いたします。今回、具体的な政策提言していただいてありがとうございました。その中で、全中学校に生徒指導担当教師を配置する、と提起されています。そこで、第1の質問は、生徒指導担当教師の業務形態を教えてください。つまり、当該教師は、授業を全く持たずに生徒指導に専念するのか、それとも授業を減数して業務に当たるのかということです。第2の質問は、当該教師は、不登校生徒の「支援等」となっていますが、この「等」の具体的内容を幾つか教えてください。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。最後に岩本委員から御発言をいただきます。その後、安井課長から今の御質問についてお答えいただければと思います。では、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 すいません、簡潔に1点だけ、工程表を付けていただいて非常に分かりやすいなと思って見させてもらっていました。指導運営体制の充実のところで、小学校、中学校の教職員等の配置だとか、そこら辺は書かれているんですけど、高校段階の話ってここの工程表には全く出てはいなくて、これだけ見ると高校の教職員、ちょっとがっかりしてしまうかなというような中で、本文の中には、今後、高校段階でも、より専門的な検討を行う必要があるというように明記されていますので、指導体制の専門的な検討がこの辺りから始まって、ちゃんと検討するよというようなところが出ていると、高校は置いてきぼりじゃなくて、ちゃんとこの後、終わっていないんだというところも、高校の教員のモチベーションを考えても、そういったところも工程表で少し見えると、何か安心して、まず小学校、次に中学校、次、高校の検討が来るなというようなところも分かると良いのではないかというところで、御検討いただけたらと思います。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、安井課長、よろしいですか。
【安井財務課長】 ありがとうございます。様々御指摘頂戴いたしまして、ありがとうございました。答申案の今後の実行について、重要性も御指摘も頂戴したところでございまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
また、先ほど御質問いただきました生徒指導担当教員のところでございますけれども、こちらにつきましては、定数の算定の考え方といたしましては、通常の授業を担当していただく教員の定数につきましては、措置した上で生徒指導の業務を専任的にやっていただける教師の配置を行っていくという趣旨でございます。
一方で、実際に配置をされた場合に、どのような業務を御担当いただくかということにつきましては、適宜、学校現場においても、様々な現場の状況に応じた活用、工夫ということももちろん可能であろうと考えてございます。
また、不登校等ということでございますけれども、不登校、あるいは、いじめの問題もございますと思いますし、また、幅広く生徒指導関係につきまして、現在、学校現場で取り組まれております課題、幅広く御対応をいただけると、こういうことを考えているところでございます。
【荒瀬分科会長】 八並委員、よろしいでしょうか。
【八並委員】 どうもありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。それでは、よろしいでしょうか。
岩本委員から高等学校の先生のモチベーションについてお話がございましたが、当然のことながら、高等学校も同じくやっていくという順番があって、高校は最後に回っているというんじゃなくて、高校も同時にやっていかなければならないことであるということは間違いないことと思います。
そういたしましたら、答申案につきまして、初等中等教育分科会の委員の皆様には御了承いただけたと理解してよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。それでは、これから後の中央教育審議会総会におきまして、御審議いただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
そうしましたら、今日もまた、ちょっと時間が延びてしまいました。申し訳ございません。また、御発言を短くしていただくということで、大変これも申し訳ございませんでした。
時間が参りましたので、この辺りにしたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。
【望月初等中等教育局長】 本日の分科会、荒瀬分科会長をはじめ、皆様どうもありがとうございました。事務局を代表して一言だけ、御礼と御挨拶をさせていただこうと思っております。
本日の4つのそれぞれの議題、教育関係というのはどれがイエスで、どれがノーか、あるいは、どれが1で、どれがゼロかということでは割り切れないものもあるし、それからこれまでの政策の積み上げの中で、改善を一歩ずつでも進めていかなきゃいけないものもあります。ですので、今回のそれぞれの議題についても、これまでの皆様方の本当に、本日も濃密な、我々も気がつかない貴重な大事な点をいろいろと出していただきましたけども、こうして取っていく政策の議論についても、これまでの政策の積み上げ、あるいは課題を総合的に全体考える中で、一歩ずつ進んでいかなきゃいけないものと考えてございます。
これは貞広特別部会の部会長からもございましたけども、文科省はもとより頑張りますけれども、これは一言で言えば、教育関係者、あるいは教育行政を担う者だけでできるものでは本当にないなと考えてございます。学校のありようを変えていく、あるいは、教師が働きやすい形、働きがいのある形の状況のある学校を生み出していくというのは、それは日本全体が教育のありようというのを少しずつ変えていく中で、ICTの導入なんかもそうですけど、それをみんなでやっていこうというものでございますので、我々は周知にもちろん努めてまいりますけれども、それぞれの立場で、また、この分科会を熱心に御覧いただいている皆様方におかれましても、それぞれの持ち場の中で、共有できる部分を是非していただきまして、社会全体として進めていきたいと考えてございます。
どうぞ今後とも、御指導、それからいろいろな意味での我々についての御支援もいただきますようお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 望月局長、ありがとうございました。
それでは、この辺りにしたいと思います。
最後に次回の予定につきまして、お願いいたします。
【秦教育制度改革室室長補佐】 次回の会議日程につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
もう一度繰り返しますが、貞広先生がおっしゃった、これからが本番というのをいつまでも言い続けていては、これは駄目なので、もう既に遅きに失しているという認識を持って、もう本番は始まっているという意識で取組を進めてまいりたいと思います。
今日は4件、御議論いただきました。ありがとうございました。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室