令和6年6月17日(月曜日)16時00分~18時00分
文部科学省(※対面・WEB会議の併用)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【荒瀬分科会長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第144回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
議題に入ります前に、前回の開催以降、初等中等教育分科会に新たに御参画いただいた委員がいらっしゃいますので、また、事務局にも人事異動があったということですので、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。
【小畑教育制度改革室長】 事務局でございます。私、教育制度改革室長の小畑と申します。
まず、前回以降、新たに本分科会に御参画いただきました委員を御紹介いたします。お名前をお呼びしますので、適宜、ミュートを解除いただきまして簡単に御挨拶いただければ幸いです。なお、本日の参考資料1として最新の委員名簿をお配りしてございますので、併せて御覧いただければと思います。
それでは、まず、青海正委員でいらっしゃいます。青海委員から簡単に御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。大変失礼しました。青海先生、今、オンラインの関係でうまく接続がつながっていないということでございますので、恐縮でございますけれども続きまして内田隆志委員、お願いいたします。
【内田委員】 都立三田高校の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【小畑教育制度改革室長】 ありがとうございます。そうしましたら、青海委員におかれましては、また接続がつながったところで改めて御紹介させていただければと思います。また、事務局におきましても人事異動がございまして、4月1日付で大臣官房審議官(初等中等教育局担当)に森が、また、初等中等教育局初等中等教育企画課長に常盤木がそれぞれ着任をしてございますので、併せて御紹介をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。青海委員それから内田委員、どうぞよろしくお願いいたします。また、森大臣官房審議官、常盤木初等中等教育企画課長におかれましても、どうぞよろしくお願いいたします。
では続きまして、本日の会議の開催方式及び資料につきまして、引き続き小畑教育制度改革室長からよろしくお願いいたします。
【小畑教育制度改革室長】 事務局でございます。本会議は、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催をさせていただきます。
会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いをいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いをいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒御理解のほどよろしくお願いをいたします。
なお、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
次に、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1-1から資料3までに加えて参考資料1、参考資料2となっております。
参考資料2は、本年1月に実施をいたしました、京都市立洛風中学校の視察についての報告となります。報告内容につきましては、既に委員の皆様に御確認いただいておりますので、追って文部科学省のホームページで公表させていただく予定となってございます。
事務局からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。洛風中学校の訪問を含め、前回は京都で初中分科会を開催させていただきました。委員の皆様は遠路、お集まりいただきましてありがとうございました。文化庁の京都庁舎の会議室をお借りして大変荘厳な雰囲気の中で、機材の関係とかでなかなか制約があったりもいたしましたけれども、ありがとうございました。
洛風中学校に伺って本当にいろいろと学びの多かったことでございますけれども、とりわけ、こういう学校がどんどん増えていって、全ての学校で学びの多様化学校のようなものになることについて、あなたはどう思いますかということを中学生に聞いたところ、1人の中学生が、自分にとってはこの学校は居心地がいいけれども、全ての人にとって、これがいいかどうかは分からないと、だから選択できることがとても大事だと思うということを大変きちんと話をしてくれたのが印象的でございました。
子供たちを主役にした、主語を子供においた、そういう学校教育をやっていくことは、私たちがこうなったらいいだろうと、勝手に思っていくんじゃなくって、子供に実際に声を出してもらって、それをしっかりと受け止めながら進めていくことが大事だなということを改めて思った次第でございます。本当にありがとうございました。
また、事務局では文科省以外で開催ということで、大変御苦労いただきました。ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。今日は3つの議題がございます。議題1といたしまして、「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」につきまして、議題2といたしまして、教育人材確保に関する取組につきまして、そして議題3といたしまして、「博士人材活躍プラン~博士をとろう」についてとなっております。
本日は議題1、議題2ついては続けて御説明いただきまして、その後、まとめて1時間程度、質疑や議論の時間とさせていただきたいと思っております。時間の都合で御発言いただける委員に限りが生じてしまう場合もあるかと思います。その場合は、大変恐れ入りますが会議の後に事務局宛てにメール等を頂ければ議事録に掲載したいと思いますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
では、議題1でございます。「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)についてでございます。
事務局から審議のまとめの内容について御説明をいただきまして、その後、この特別部会の部会長をお務めいただきまして、議論を取りまとめていただいた貞広委員から御発言をいただきたいと思います。
では。まず事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【安井財務課長】 財務課長の安井でございます。それでは、事務局から御説明をさせていただきます。
質の高い教師の確保特別部会におきましては、昨年、諮問をいただきましてから13回にわたって審議を重ねていただいてまいりました。このたび5月に審議のまとめをいただきましたので、事務局からその概要について御報告をさせていただきます。資料1-2の4枚の概要資料に基づいて、まず御説明をさせていただきたいと存じます。
まず、第1章におきましては、審議のまとめ全体を通じました問題意識について整理をしてございます。日本の学校教育は、知・徳・体にわたる全人的な教育が国際的にも高く評価されておりますけれども、これらは教師の方々の献身的な努力の成果であるところでございます。その上で現在、学習指導要領に掲げてございます主体的、対話的で深い学びの実現に向けまして個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実に向けた取組が行われているところでございます。こういった新たな学びの実現に向けましては、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保し続ける環境整備が必要不可欠でございます。
一方、学校が対応すべき課題の複雑化、困難化の中で、学校・教師の負担も増大してきた実態がございます。これまで働き方改革の推進や、教職員定数の改善等に教育行政、学校ともに取り組んできたところでございまして、時間外在校等時間につきましては、平成28年の前回の勤務実態調査から6年後の令和4年度の今回の調査結果におきましては約3割減少しており、一定の成果が上がっているところでございますけれども、依然として時間外在校等時間の長い教師が多数存在をしておりますし、また、教師不足の状況についても大変憂慮すべき状態にあるということでございまして、現在の教師を取り巻く環境について、国の未来を左右しかねない危機的状況にあるところでございます。こういったことから、教師を取り巻く環境の抜本的な改革が必要だという御指摘をいただいてございます。
第2章におきましては、こういった課題意識に基づいた教師を取り巻く環境整備の目的についてでございます。まず、教師の健康を守る、そして教師のウェルビーイングを向上させていくこと、こういったことが何よりでございますが、そこから更に進みまして教師の方々が教育に対する意欲と能力を存分に発揮でき、高い専門性を専門職として発揮できる勤務環境を整備することによりまして、全ての子供たちによりよい教育を実現していくことが、この取組の最終的な目的であろうということでございます。また、同時に働きやすさと働きがいが両立できる職場環境を実現することによって、抜本的に教職の魅力を向上させ、教職志望の人材を確保していくということでございます。
こういった目的を実現していく上で、教師を取り巻く環境整備につきましては学校における働き方改革の実効性の向上、そして教職員定数の改善や支援スタッフの充実によります学校の指導・運営体制の充実、そして教師の処遇改善、この3つの取組を一体的、総合的に進めていく必要があるという御指摘を頂戴したところでございます。
資料、続きまして2ページ目でございます。具体的な取組の施策に関してでございますが、まず、業務負担や長時間勤務の縮減については、学校における働き方改革の実効性を更に向上させていくということでございます。教師が教師でなければできないことに集中できるようにして、学校教育の質を向上させていくために、教師が担う業務の適正化を一層推進していくことが必要でございます。その際、地域、保護者と学校の役割分担ですとか、あるいは学校内における教師と他の職員との業務分担、こういったことも検討しながら業務の適正化を徹底していくことが必要でございます。
また、特別部会から昨年の夏も緊急提言で御指摘を頂戴いたしましたが、国が定める標準授業時数を大きく上回って編成されている各学校の授業時数の見直しということについても御指摘を頂戴してございます。それぞれの学校の教育課程は校長が編成をいただくものでございますけれども、国が定めている標準授業時数よりも年間70コマを超えて授業時数を計画されている学校が約4割弱であった調査結果もございます。こういったことから、授業時数の見直しについても御指摘頂戴してございます。また、調査の精選、校務DXの加速化についても御指摘を頂いているところでございます。
また、先ほど申し上げましたように、これまでの取組の結果、月当たりの平均時間外在校等時間も約3割減少したところでございますが、一方で教育委員会、学校における取組状況の差があることも課題として指摘をされているところでございます。全ての教育委員会における働き方改革をさらに進めていく上で在校等時間の現状、あるいは、その改善に向けた取組の進捗状況につきまして、自治体ごとに教育委員会が公表いただく仕組みも検討する必要があるという御指摘を頂戴してございます。
また、定量的な目標設定という点でございますけれども、時間外在校等時間が月80時間を超える教師の方々をゼロにすることを優先で目指していくこと、そしてまた全ての教師が時間外の在校等時間、月45時間以内になることを目標といたしまして、将来的に平均値として月20時間程度への縮減を目指していくという御指摘も頂戴してございます。
また、こういった働き方改革の取組を進めていく上で、校長等の管理職のマネジメントの重要性についても非常に強く指摘を頂いたところでございます。法律に基づいて校長の育成指標を国が定めるということになってございますけれども、この育成指標の中に管理職の働き方改革に向けたマネジメント能力の重要性ということを明確に位置づけしていく、そしてまた、それに基づいて管理職研修におきましてもマネジメント能力を具体的に高めていくと、こういった取組が必要であるという御指摘も頂戴したところでございます。
また、働き方改革の取組は、保護者、地域の方々の御理解をいただかないと学校だけで進めていくことも困難な問題でございます。学校における働き方改革を学校運営協議会、あるいは総合教育会議で積極的に議題といたしまして、社会的な理解と協働関係を形成していくこと、また、保護者等からの過剰な苦情につきましては学校ではなく行政が対応していく仕組みでございますとか、また、スクールロイヤーを活用した体制の整備も御指摘を頂戴しているところでございます。
教師の健康、福祉確保につきましてはメンタルヘルス対策に関する事例の創出を行っていくこと、また今、公務部門におきましても勤務間インターバルの導入が進められてございますけれども、学校の特性も踏まえながら学校においても進めることが必要という御指摘を頂いてございます。
資料、続きまして3ページ目、御覧いただければと思います。こういった働き方改革を推進していった上で、教職員定数等の改善による指導・運営体制の充実も不可欠な取組でございます。小学校におきましては、学級担任制との関係の中で持ち授業時数が他校種と比べても特に多い課題が指摘をされております。これまでも文部科学省におきまして学びの質の向上と教師の持ち授業時数の軽減のため、高学年において教科担任制を推進する定数の改善を取り組んできたところでございますが、今般、小学校の中学年についてもこの教科担任制を推進するとの提言を頂戴してございます。
また、若手教師が現在、非常に増加をしてございますけれども、教師の職務の特性として担任業務は新卒の教師もベテランと同様の責任を有するということが挙げられようかと思います。こういったことから新卒の教師につきまして、例えば学級担任ではなく初年度は教科担任としたり、あるいは学級担任の場合も持ち授業時数を軽減したりすることができるように教科担任制の充実に向けた定数改善を行いまして、円滑な職能成長の支援を行うことも御指摘を頂戴してございます。
また、急増する不登校児童生徒の課題ということにつきましては、学びの多様化学校への教員配置の充実でございますとか、また、不登校生徒への支援等に対応する生徒指導の担当教師につきまして、全中学校への配置ができるような改善が必要であるという御指摘も頂戴してございます。
また、高等学校におきましては、探求的な学びを基軸といたしまして教育改革が進められてございますので、こういったことを推進する教員を中核とした改善でございますとか、特別支援教育の関係ですと特別支援学校のセンター的機能の充実、あるいは通級指導を充実させていく体制整備についても御指摘を頂戴してございます。
また、35人学級につきましては小学校の効果検証も踏まえつつ、中学校も含め望ましい教育環境を構築していくことが必要ということでございます。
また、養護教諭、栄養教諭の配置基準の改善につきましても御指摘頂戴いたしました。
さらに現在、学校が組織的に取り組むべき課題が増加している中、学校内外との連携・コーディネートを行っていく業務、あるいは先ほど申し上げましたような若手教師の増加に対応した若手教師への支援ということを、学校の組織的ミッションとして明確に位置づけて取組を行っていく体制を構築する観点から、新たな職を創設いたしまして、こういった業務を担当いただくことについての御提言も頂戴してございます。
また、学校の組織的教育力向上のための副校長、教頭の配置の充実、主幹教諭の配置充実、また、事務職員の校務運営のより積極的な参画と配置充実ということについても御指摘、頂戴をしたところでございます。
それから支援スタッフの配置、協働ということに関しましては、今年度予算で教員業務支援員の全小中学校への配置に必要な予算が計上されたところでございますが、更に副校長・教頭マネジメント支援員の制度の創設もされたところでございます。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員との協働関係の充実、配置充実ということも必要な課題でございます。
また、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成に向けまして、社会人の学校への参入促進ですとか、教職課程の活用の中で様々な強み、専門性を持った教師の養成ということも必要という御指摘を頂戴してございます。
資料4ページでございます。教師の処遇改善でございます。教師の給与につきましては、人材確保法により一般の公務員よりも優遇することが定められてございます。制定当初は一般行政職と比べて7%の優遇措置が確保されてございましたが、現在は0.35%と僅かな状況であるところでございます。人材育成という複雑困難な職務を担う高度専門職である教師の職務の重要性を踏まえて、処遇改善が必要であるという御指摘を頂戴してございます。
処遇改善の方法といたしましては、教師の専門性を発揮して質の高い指導を行っていただく業務遂行を可能とする仕組みが必要だということで、御検討が行われてきたところでございます。現行の教職調整額あるいは時間外勤務手当制度、双方について検討議論が行われたところでございます。
その上で教職の特性といたしまして、日々変化をする子供たちの状況に応じて、どのような指導をどのように、どの程度行うのかということにつきましては、子供たちを直接御指導されていない管理職の方による逐一指示に基づいて行うというよりも、一人一人の教師の自律的な判断に委ねることが必要ではないかという御議論がございました。また、授業準備や教材研究がどこまでが職務でどこからが職務でないのか、精緻な切り分けも困難というところも御指摘ございました。
こうした教師の職務の特性から時間外勤務命令を前提とした勤務時間管理は適さず、勤務時間の内外を包括的に評価して教職調整額を支給する仕組みは、現在においても合理性を有するという御指摘を頂戴したところでございまして、現在本給の4%を教職調整額ということで上乗せして支給されてございますが、今後教師の処遇改善の方策といたしまして人材確保法制定当初の優遇措置分を超える水準を確保するために、この教職調整額の率を少なくとも10%以上に引き上げることが必要であるということでございます。
また、この処遇改善と併せまして働き方改革のさらなる推進、指導運営体制の充実、これを併せて進めることが時間外在校等時間の縮減に重要であるという御指摘でございます。また、処遇の改善につきましては、職務や勤務の状況に応じた処遇の改善の必要性も御指摘を頂戴してございます。
先ほど申し上げました新たな職の設置に対応いたしまして、教育職給料表の本給といたしまして教諭と主幹教諭の間に新しい級を創設すること、また、学級担任につきましては、在校等時間あるいは保護者対応等という業務の質的にも負荷が高い状況が指摘されてございますので、学級担任の負荷に対して義務特手当の加算ということについて頂戴してございます。また、こういった管理職の業務の責任の重要性も鑑みまして、管理職手当等の改善についても御提言を頂戴してございます。
最後、第6章でございますが、国におきまして教師を取り巻く環境整備の取組の進捗状況につきまして、毎年度、全国の状況も客観的にフォローアップをすること、また、次期学習指導要領における標準授業時数の在り方ですとか、教員免許、教員養成の在り方等につきまして、今後また更に専門的検討を踏まえて改革されることが期待されるということでございます。
また、資料1-1でございますが、今、御説明申し上げました3つの取組を一体的に進めていくという必要性につきまして、審議のまとめの考え方をより端的に分かりやすく説明した説明資料も作成をしてございますので、御覧をいただければ幸いでございます。
以上、事務局から御説明、以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、続きまして貞広委員から御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広です。発言の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
今、御説明いただきました審議のまとめでございますけれども、へとへとではない先生方に高度専門職として存分に専門性を発揮していただき、子供たちの育ちに伴走していただけるよう、現時点で実現可能性と実効性が見込まれる多様な手だてが盛り込まれたものでございます。また、何より一体的、総合的な改革が必要である点も強調しております。審議のまとめを大臣に手交させていただきましてから一月ほどがたちました。この間、様々な多様な媒体を通じて、多様な様々な御意見も頂戴しています。
今回御議論いただきました事柄、とりわけ処遇改善に関しましては人確法以降、50年ぶりに本格的な議論の俎上に乗ったわけですけれども、実際には部会内外に様々な御意見があり、全ての方々の合意と納得性を調達することは難しかったと理解をしております。
また、残念ながら全ての物事を反転させるような、劇的な万能薬があるというわけではありません。であるからこそ、一見遠回りに見えるかもしれませんけれども、学校における働き方改革、学校の指導運営体制の充実に全ての関係者、すなわち教育委員会、学校管理職、首長の方々もそうですし、保護者、地域の方々、更に学校に関連する諸施策に関わる様々な方々と全ての関係者が当事者となり、取り組むことを、また、更にその先に時間外在校等時間平均20時間への縮減も見据えながらお願いしたいと考えております。
また、提言の中には法律改正や予算措置を伴う施策が多く含まれております。これからが正に正念場なのかとも存じますけれども、文部科学省におかれましては、審議のまとめに盛り込まれた各施策の確実な実現に向け、引き続き御尽力いただきますよう心よりお願い申し上げます。
まとまりませんが、私からのコメントとさせていただきます。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 貞広委員、大変ありがとうございました。安井課長からのご説明を含め、伺っておりまして、劇的な万能薬があるわけではないけれども、全ての関係者が力を尽くして子供たちが学び、育っていく大切な場である学校教育がきちんと機能するようにしていく、そのためには先生方が疲れ果てた状態でない、そういう学校にしていかなければならないんだということであります。
いろんなお考えがあるというのも事実でありますので、これが唯一の方法かというと、ほかにも方法があるという御指摘は当然おありだと思うのですけれども、貞広委員がおっしゃいました実現可能性、そして実効性ということで、まず、ここから手をつけていただく、そのためにも文部科学省にぜひとも頑張っていただくことをよろしくお願いしたいと思います。
審議のまとめの最後につけられました「おわりに」のところには、実際に学校現場で一生懸命やっていらっしゃる先生方にしっかりと心を重ね合わせていこうという、そういう議論の意思というようなものが含まれているのではないかと思っております。貞広先生、ありがとうございました。
では、この議題1でございますけれども、議題2とまとめて議論をしたいと思いますので、続きまして議題2に入りたいと思います。御意見いただきますのは、この後からまとめてということでよろしくお願いいたします。
議題2は、教育人材確保に関する取組についてでございます。教師不足に対する取組の調査結果や、優れた教師人材の確保に向けた奨学金返還支援の在り方についての議論のまとめと、教育人材確保に関する文部科学省の取組と昨今の教員養成部会での議論について御説明をいただきたいと思います。事務局から御説明いただきました後で、教員養成部会を取りまとめてくださっておられる秋田委員から御発言をいただきたいと思っております。
では、まず事務局、後藤教育人材政策課長から御説明をよろしくお願いいたします。
【後藤教育人材政策課長】 ありがとうございます。教育人材政策課長の後藤でございます。議題1に加えまして、教師人材確保のための取組について最近の教員養成部会での御議論の状況を中心に御説明をいたします。
まず、今、映していただいております資料2-1、教師不足解消に向けた取組事例についてでございます。優れた教師人材の安定的な確保のためには、教師を取り巻く環境を魅力的にしていくことが重要でありますけれども、喫緊の課題といたしまして、今現在の子供たちの指導体制を整えることは不可欠なことでありまして、そのための先導的な取組の事例を4月の教員養成部会で御紹介をさせていただき、各教育委員会にも周知をしているものでございます。
まず、この資料の3ページ目を見ていただければと思います。現職以外の免許保有者向けの研修の取組についてでございます。毎年の免許授与者数に鑑みますと、現職以外で免許を保有している方というのはかなりの数、存在をしておりますけれども、しかし、その免許を取得した頃とのカリキュラムとか、あるいは学習環境が変化していると、そういった違いが不安で、すぐに学校現場に入ることには応じてはいただけないけれども、まず研修ということなら参加希望者が相当数集まってくるようなお話、実態を複数の教育委員会から文部科学省として把握をいたしまして、文科省といたしましても、この1年間、喫緊の教師不足対応のポイントの一つと見まして、予算支援なども通じまして各教育委員会に取組を呼びかけてまいりました。
昨年5月時点では、全国の取組は半数に満たない状況でありましたけれども、今年度では8割以上の教育委員会で取組をいただく状況ということになっております。例えば、下にありますように埼玉県の事例では226名の参加者を得て、その中から今年度当初で53名の実際の任用につながっている状況でありまして、また次の4ページ目のところ、その他の自治体でも高い実績を上げている自治体もあるところでございます。
また、次の5ページ目でございますけれども、広報、PR関係に係る取組として千葉県ではイメージ戦略といたしまして、民間企業と連携をしてメディアを駆使した効果的な情報発信や、それから次の6ページ目でございますけれども、大阪府の取組でございますが、テレビのドラマとのコラボによる教師のなり手、志願者の募集PRの事例、こういったことで紹介をさせていただいております。
続きまして7ページ目ですが、7ページ目の鹿児島県では商業施設を活用して教師の魅力発信イベントを行ったりしているほか、現職以外の免許保有者向けの学び直しのプログラムを鹿児島大学の履修証明プログラムとして実施をして、その費用を県教委が全額負担するという、大学との連携で教師としてのスタートアップを支援する取組を展開しているものでございます。
このほかにも、この資料には8ページ目に各地で現職の若手の教師が大学生や高校生に教師の仕事の実像をそのまま伝えると、こういった事例なども掲載をさせていただいております。また、後ほど御参考にしていただければと思っております。
続きまして2つ目、資料2-2として配付をしております、特別免許状の運用見直しについてでございます。令和の新しい学校教育を展開していくために、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築が必要という認識のもとに、それを推進するツールの一つとして文部科学省といたしましても特別免許状の活用を促進しているところでございます。令和3年5月にはその授与指針の見直しも行ったところでございますけれども、その運用状況ですとか、また令和4年12月の答申も踏まえまして、4月の教員養成部会で御議論をいただいたものでございます。
まず、1ページ目を御覧になっていただきたいと思います。1ページ目には授与件数のデータを掲載しております。右肩上がりで年間授与件数も伸びて順調に推移しているように見えますが、実態を分析すると課題が散見されると考えております。
次の、1ページ飛びまして3ページ目を御覧になっていただきたいと思いますが、3ページ目は令和3年度と令和4年度の授与の内訳を載せております。334件から500件に授与件数が伸びましたが、その中で令和4年の公立高校の情報が90件となっています。前年は2件でありまして、ここが急増しました。これは令和4年度から必修化されました情報1への対応のためと考えられまして、今回のその意味では増加は特需的な要素が大きいと思われます。
また、更に4ページ目と5ページ目には都道府県別の授与状況を載せておりますが、例えば東京都95件、茨城県で37件、次のページでは広島県で63件といった状況がある一方で、西日本にしても東日本にしても0件とか1件といった件も散見されるところでありまして、自治体間での運用の状況の違いが大きくなっております。同じ免許法に基づく仕組みでありながら、かつ義務教育も含めた子供への指導体制の確保に係るものであることを考えますと、こうした状況は課題があると考えております。今般、そういうことで2ページ目にまとめたような、この赤字で記載した内容の指針の改訂を行ったところでございます。
ポイントだけ御説明をさせていただきますけれども、この2ページ目の中段の部分でございますけれども、授業に関して例えばアスリートや、あるいは博士号を取得した方などのケースで授与候補者の専門性ということについて、それは授与対象となる教科の全般にわたっていないと駄目だと、例えば理科であれば物理、化学、生物、地学と全部にわたっていないのではないかとか、また、授業の指導技術ですとか生徒指導ですとか保護者対応などについても、特別免許状を授与しようという段階で普通免許状を持っておられる方と同じ程度の対応力を求めて、そんなことの中で授与申請を取り下げられると、そういった実態をお伺いしておりますので、そもそも特別免許状は特別な知識や技能を教育に生かすための制度だという、そういう趣旨を踏まえて、こうした状況に対する考え方を指針において明確化をしたものでございます。
そのほかにも特別免許状は任期つきの任用ですとか、また非常勤職での活用も可能であること、また任用後のスキルアップの重要性などについても追記をいたしました。今後とも各地で多様な専門性を有する教職員集団の形成に資するように、特別免許状の円滑な活用を促してまいりたいと思います。
3点目でございます。資料2-3の優れた教師人材確保に向けた奨学金返還支援についてでございます。昨年6月の政府の骨太の方針や8月の中教審特別部会の緊急提言を踏まえまして、優れた教師人材確保の観点から教員養成部会において御議論をいただきまして今年3月に議論を取りまとめていただいたものでございます。学校現場が抱えております高度化、多様化している教育課題の現状と、それから現在と今後の教師人材の状況を踏まえた上で過去に返還免除が創設をされました。その背景状況と、その後、廃止になった理由、経緯などを振り返って、現在において改めて教師になった者に対しての奨学金返還支援を実施する意義、目的について多角的に御議論いただきました。
この資料の右下の部分に対応の方向性として、教職の高度化と教師志願者の拡大という質的量的、いずれの意義目的も重要であって、かつ相互に関連し合うものだということで、いずれの観点からも可能性を追求していくことが重要とおまとめいただいております。また、現在の教師人材の状況に鑑みてスピード感ある実行が必要で、できることは速やかに具体化を進めるべきという基本的な考え方をお示しいただきまして、その考え方のもと、現行の大学院生を対象とした返還免除の制度を活用して速やかな実行、教師に求められる高度の専門性の観点から大学院段階、まずは教職大学院を修了し、教師となった者を中心に大学院における奨学金返還免除を適用する。これによって教職志願者を大学院レベルの学習へいざない、教師の指導の質向上や社会的地位向上を期待するものでございます。
具体的には、今年度実施の教員採用選考の受験者から適用すること、さらに学部段階も含めた、さらなる充実については過去の経緯、各教育委員会での人材確保の状況や高等教育の修学支援の動向の観点も踏まえつつ、引き続きこれを検討する方向性を整理いただきました。この議論のまとめを踏まえまして、文部科学省では本年5月に各大学、教育委員会に対しまして、まずは大学院段階の奨学金返還免除の実施を通知したところでございます。円滑な実施と状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは今、御説明いただきました内容の議論を進めていただきました教員養成部会長の秋田委員から御発言をお願いしたいと思います。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田喜代美でございます。このような発言の機会を賜りましたこと、御礼申し上げます。ただいま後藤課長からお話がありましたように、教員の不足に対しまして質量ともに現在の体制の充実、今後の一層の充実を目指しまして、可能な限り迅速な対応をしてきたところでございます。令和4年12月の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方答申を踏まえまして、教員養成部会で多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築、先ほど貞広委員長のもとでもこれが出ておりましたけれど、そこについて議論を進めてまいりました。
その中で教師の人材の裾野を広げ、そして幅広い人材が学校教育に参加しやすくするという観点から、ただいま資料の2-2で御説明がありました特別免許状の授与の指針の改定を行いましたほか、また昨年9月に心理や福祉などの強みや専門性を特に習得する学科等で、2種免許状の取得を念頭に置いた教職課程の特例制度を設けたところでございます。また複数講習、複数教科免許状のこういう併有を促進するために、昨年8月に教職課程として規定されている教科に関する専門的事項に関する科目の受講が多い教科につきまして見直しも行ってまいりました。
教育課題の高度化、多様化に対応するという観点からは、教師を志す方々の学びを先ほどありましたように大学院レベルの学びへとつなげる、質の一層の高度化を図るような観点から奨学金返還支援のほか、昨年6月には学部、教職大学院の5年一貫コースを設置可能というような形にしてきたところでもございます。教師の数を確保するという量の確保と併せまして、より進化した学習環境を活用した新たな学びを実現できる質の高い教師を養成し、そして確保していくことが不可欠、喫緊の課題であると考えております。教員養成部会としましては、優れた多様な人材を教師に確保していく観点から、今後も必要な仕組みの見直しも含めて検討を進めてまいる予定でございます。
そして優れた教師人材の確保は、教師の育成支援だけでかなうものではございません。学校における先ほどの御説明にありました、働き方の改革でありましたり、処遇改善、そして指導、運営体制の充実といった取組と、正に一体的に協働し合いながら進めていく中で、教職の魅力の向上を図り、そして好循環、よい循環のサイクルをつくり出すことが最も重要なことだと考えてございます。中教審のその意味でも他の部会との議論との連携も意識しながら、今後も議論していきたいと考えているところでございます。
私からは以上になります。ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。秋田先生からのご説明につきましても、いろんなことが一体的に行われていくことが非常に大事であることを改めて思いながらお聞きした次第でございます。おっしゃるように好循環のサイクルが回っていくようにということのために、それぞれ学校教育に関わる人たちが何をしていけばよいのかというのを、ぜひとも考えて具体化していければいいなと思っております。ありがとうございました。
それでは今、議題1と議題2、御説明いただきましたので御議論いただきたいんですが、その前に先ほどから大変お待たせしました。失礼いたしました。青海正委員がお入りいただいていますので、御挨拶をいただければと思います。
【青海委員】 皆様、こんにちは。御迷惑かけてすいません。電波の具合悪かったものですから。私、大田区立志茂田中学校の青海でございます。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは質疑応答、意見交換に入りたいと思います。議題1、議題2、両方に関しまして、いずれも深く関わっているところ、関係するところでございますが、御意見、御質問がございます方は挙手をお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる方は名札を立てていただいて、私にお名前を見せていただけると幸いです。オンラインで御参加の方は、挙手のボタンを押していただけますとありがたいと思っております。御指名をいたしましたら、ミュートを解除して御発言いただきますようにお願いいたします。
なお、毎回お願いしておりますが、委員の方たくさんいらっしゃって御発言なさるおつもりの方もたくさんいらっしゃいますので、できるだけ短く御発言くださいますようによろしくお願いいたします。
それでは、まず会場から大関委員、阿部委員、そして柿沼委員の順でまずお願いしたいと思います。
【大関委員】 ありがとうございます。品川区立第一日野小学校校長の大関でございます。全特協の立場ということで、特別支援教育の部分、1点にだけ絞って発言させていただきます。
まず、初めの質の高い教師の確保のためのまとめ、ありがとうございます。報告書の38ページ、一番上にも示していただいたように、通級による指導の対象となる児童生徒等が年々増加していることに対しての対応という部分を、しっかりと今後検討することを明記していただき、ありがとうございます。非常に増えている実態の部分が、これはインクルーシブ教育システム構築の観点だけではなくて、結果的に不登校ですとか、学校不適応に関係のある課題になっていくと思いますので、ここにしっかりと載せていただいたことで議論が継続していくこと、さらなる改善充実が図られることを強く願うものです。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは阿部委員、お願いいたします。
【阿部委員】 全国公立小中学校事務職員研究会顧問をしております、阿部と申します。よろしくお願いいたします。私からは学校のマネジメント体制の充実の部分について、事務職員の視点からお話をさせていただきたいと思いますが、まずは特別部会におかれましては短期間で多くの審議を重ねてこられました、これまでの御労苦に敬意を表したいと思います。
審議のまとめにもありますように、学校で先生方は複雑化、困難化する学校課題に直面しながらも子供たちの状況を的確に把握し、学習指導のみならず、生徒指導や保護者対応などに献身的に業務に当たっておられます。一方で、様々な要因によって心身ともに疲弊し、病気休暇や休職を余儀なくされている先生方が多くなってきている現状、学校で勤務している、私も職員としても実感しているところであります。先生方が心身ともに健康で元気に自信と誇りを持って子供たちの前で授業を行い、子供たちからの信頼と尊敬のもとに魅力ある存在であるように、学校の働き方改革はより一層の取組とその成果が求められているところであり、学校のマネジメント強化は喫緊の課題と考えております。
そういった中で、審議のまとめの41ページにもありますように、事務職員の役割や配置の充実について言及いただきましたことに改めて感謝申し上げます。平成29年の事務職員の職務規定がつかさどるとなりまして、令和2年には文科省から標準的な職務の参考例が示されたことによって、事務職員としての専門性を発揮して学校運営に参画する事務職員が大変増えております。
例えば学校運営協議会に参画し、マネジメント機能を発揮することで地域、それから保護者、行政、学校の橋渡しを行って、自校の児童生徒の課題解決に取り組んでいる事務職員もおりますし、より専門性を発揮するために社会教育士の称号を取得する事務職員も増えております。また、共同学校事務室を生かして校務支援システムを活用した先生方が行う業務の改善を行ったり、それからGIGAスクール構想で導入された機器の管理や活用のための先生方向けの研修会を企画したり、自ら行ったりということで、事務職員個々の強みを組織の強みと変革させて、学校教育への貢献度を高めている事務職員の取組も増えております。
今後は支援スタッフ等の増加が見込まれておりますので、その方々と先生方との連絡調整を行ったり、人事管理を行ったりしていく業務も増えていくと思いますし、そういったところでの総務や財務を担う学校事務職員の役割は、ますます増大していくことと思います。また、学校の働き方改革を含めまして複雑化、困難化している学校の諸課題を解決するためには、事務職員の法的知識等が必要になってくる場面も多いと思いますし、様々な施策を実現するための行政と学校をつないでいく役割は、教育行政職員である事務職員の役割と考えているところです。
これからの学校は、マネジメント部門を強化していくために学校運営を担う組織体制の強化が重要ですし、教育環境の条件整備を担う人材が重要になってくると思います。事務職員をどう生かしていくのか、それがよりよい学校づくりのキーになっていくことは間違いないと考えているところです。この41ページにあります、共同学校事務室への原則加配、それから複数配置基準の引下げ等の実現を是非とも期待したいところでありますし、事務職員を大いに活用していただきたいと思っているところです。
最後に24ページで、校長等の管理職によるマネジメントの重要性について書かれている部分がありますが、丸2つ目の2段落目に副校長、教頭の次に、是非事務長と加えていただきたいと思います。事務職員の自覚を促し、モチベーションを上げることにつながっていくのではないかなと思っております。是非ともよろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】 学校法人柿沼学園の柿沼です。本日は取りまとめ、御説明と本当にありがとうございます。
まず、最初に資料をいろいろ拝見させていただきまして、まず、学校の先生方や学校関係者、行政の皆様の御努力に深い敬意を表したいと思います。本当にありがとうございます。その上で今回第1号、第2号議案を御説明いただきましたけれども、予算措置も含めてしっかりと前に進めていただいて、教師の皆様がより明るく、そして子供たちとの時間を充実した時間になるように、それから、そういった教師を目指す方が増えるような環境を整備していくことは本当に必要かなと思いますので、前に進めていっていただければと思います。
その上で、私自身が乳幼児の保育や幼児教育施設、子育て支援といった入学前の施設を行っていたり、また、放課後の学習支援や学童クラブ、また、養育支援といって、要保護家庭への支援を行っている立場で2点ほど話させていただきます。
今回、まず第1章、最初の議案1の総合的な方策についての第1章を見ていくと、ここに学校が抱えている社会課題が書いてありますが、この課題というのは特に学校の入学で始まった話ではなくて、入学前からの課題や学校だけでない生活が深く関係している課題ですので、全てを学校だからといって先生たちで解決していくのは不可能だと思っています。
だから、横軸の学校と地域との連携が図られたりとか、幼保小の架け橋のような、縦軸の関係性を深めていって就学前の生活を安定させたり、また学校生活終わった放課後にも家庭や地域で子どもの生活を安定させていって、学校生活では教育課程の内容をしっかりと子供たちが受けられるようにすることが大切だと思います。幼保小の連携や地域連携だけでなくこどもを中心にあらゆる横の連携や縦の連携をしっかり深めていって、家庭などで命を授かったときから子供や保護者が安心で安定した環境を作ることによって、義務教育課程の教育活動も充実してくるんだということを認識していただいて、教育委員会はじめ関係省庁の皆様、省庁またいでになりますけれども連携をしっかりするような形をつくり、我々のような事業者も学校関係と手を取り合って、地域の子供たちをしっかり育てていくような環境整備も併せてしていただけたらうれしいなと思っています。
2点目ですけれども、現状これだけ福祉的な役割が必要になってくるということなので、今すぐということじゃなくて長期的な話になると思うんですけれども、こども基本法もできたことですし、学校という役割や学校の目的、学校教育の役割というものを社会にきちんと知らしめる時期じゃないかなと思っています。その部分を多くの国民がどうしても認識してないので、社会があたかも教育は学校が行うもののような認識をしていて子どもに関する多くの課題を学校の先生に押しつけているような面もあります。教育は学校だけでなく地域や家庭、社会がそれぞれ地域の社会資源として役割を果たし育て上げていくものだと国民が今のこの学校や学校教育の目的をしっかりと認識する時期に来たんじゃないかなと思っています。
また課題を抱え大変な思いをしている子供たちと接していると、学校だけが居場所になっているという事実もあります。不登校は様々で自分から進んで学校にいかない子や行きたいけど行けなかったり多様な背景がありますが、ヤングケアラーのような家庭の子と接していると学校だけが安全な場所だったり、友人関係を育む場所になっていたり、学校だけが食事ができる場所になっていたり、学校外で勉強はできない唯一の学習の場であるのに学校に通えないケースもあります。また家にいるとヤングケアラーの子供は兄弟や家族の世話をしたりとか、そういったことがありますので学校だけが唯一の教育の場であり、生活の場になっている子供たちもいます。だからこそ、学校はこのような子たちが安心して通える場である必要があるし、普通教育といった内容が定義されているんであれば、本来、学校というのは誰のためのものであって、そしてその教育の質というのはどういったものがいいのか、どうしたらそういった子たちが学校で教育が受けられるのかということも再度考えていかなくちゃいけないかなと思っています。教育の質というところも少し問い直して、学校の目的を社会全体で考える必要があると思います。そしてそのためには社会全体が学校の先生たちとサポートしあって子供たちを育てていくような仕組みができたらいいかなと思っています。
以上の2点です。ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。たくさんの方が挙手ボタンを押してくださっています。ありがとうございます。ただ、白井委員が御退室の時間が少し早いということで、次には白井委員に御発言いただきたいと思います。今から私、順番を申し上げますけれども、実は私の画面は手を挙げてくださった方の順番に画面が構成されているのでなくて、順番がおかしくなるかもしれませんが御容赦願いたいと思います。白井委員の後、戸ヶ﨑委員、渡辺委員、奈須委員、八並委員、市川委員、村岡委員、内田委員、今村委員、そして堀田委員という、この順番でお願いしたいと思います。
では、白井委員です。お願いいたします。
【白井委員】 行列の中、御配慮いただきありがとうございます。私から1点申し上げます。
本当に重要な取りまとめをいただきましてありがとうございます。何度も、できるだけ早くにこれを実現というようなお言葉が出ましたように、本当に喫緊の非常に必要とされている改革だと思いますし、あとまた、この内容を非常に裏づけているものと考えているのが、3月に文部科学省からの委託で出た不登校の要因調査というものがございます。こちらが、ただ単に不登校の施策立案というような形だけではなく、本当に今の学校の教員の環境も含めて、あらゆる学校の課題を網羅した内容になっていまして、それこそ荒瀬会長が今回の洛風中学校からの学びとしておっしゃいましたように、それこそ今までは不登校の要因というのを先生からの聞き取りでまとめていたので、半分ぐらいが無気力、不安というのが原因ってなっていまして、いきなり無気力はならないよねというところからだったんですけれども。
今回、医療関係者が保護者とか、あとはすごく重要なのが子供自身に聞き取りをした結果というのが不登校の要因としてちゃんと出てくると、学校原因だったとか、あるいは学校の風土が問題だったこととかというような話というのがすごく上位に上がってきていて、皆さん、御承知のとおり、それは学校の先生の責めに帰するようなものではない。学校の先生方の働き方だったりとか、あるいは環境だったりとかというものに、正にひもづけられているものというところで、本当に内容をちゃんと政策立案だったりとか、あるいは政策の優先順位というのを決めるのに活用していただけると非常にいいんじゃないかと思っているところです。
あと、同時に今回のまとめを読んでいても、それから不登校の要因調査の内容を見ていても感じることですけれども、今おっしゃった御意見とも通じますけれども、すぐにはできることではないと。今、行けない子の選択肢というのが、それですぐに拡充できるものではないところですね。それこそ私も保護者として地域の学校と話をするときも、明らかに加配をつけたほうがいい環境ですよねというときにも、いや、募集しても来ないんですという、そういう状況の中で、本当に先生方、日々闘っていらっしゃる状況の中で今、行けない子の選択肢を整備していくことというのが非常に重要だということをあらゆるこういう調査を見ていても感じるところです。
それも有償のフリースクールとかというだけではなくて、29.9万人、不登校の子供たちがいる中で誰にでも手が届く選択肢があるというようなことを早急にやっていかないと、誰も取り残さないというのはなかなか実現できないんじゃないかということを、この取りまとめを読んでも感じるところでございました。ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
では、村岡委員、お願いいたします。
【村岡委員】 山口県知事の村岡でございます。今回の御検討と取りまとめの御尽力に心から敬意と感謝申し上げたいと思います。
「審議のまとめ」については、全て評価させていただいているところでありまして、教員確保に向けて大変重要なものばかりだと思います。これを早期に具体化して、十分な予算をしっかり確保してもらうことが特に重要だと思います。
その中で特に重要だと思う点を申し上げます。教員の方々が授業その準備等に集中してもらって、やりがいを持って働いてもらうこと、それを通じて子供たちに対する教育の質を高めていくこと、そのためには教職員の定数の改善、それと教員業務支援員などの支援スタッフの配置による運営体制の充実を図ることが特に重要だと思います。本県におきましても、国の支援を頂きながら教員業務支援員の配置を進めています。その結果、配置校で時間外在校等時間の削減率は、県全体と比べて高くなっております。そういった意味で非常に効果が高いと思っています。
それからもう一つは、いじめとか不登校ですとか増加している中で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの支援等も強く求められています。こうしたスタッフの更なる充実について、まとめの中でも盛り込んでいただいておりまして大変心強く思っています。何より子供たちの教育環境を、充実していくために、申し上げました支援スタッフの配置の充実等、今後取りまとめられる方策を少しでも早く具体化をしていただいて、予算を着実に確保いただきたいと思っています。
特に支援スタッフにつきましては自治体の財政力によって配置に差がつかないように、現行の補助金に代えて将来的な定数化についても検討が必要ではないかと考えております。そうした取組を総合的に推進して教職の魅力の向上、優秀な人材の確保、このことにつながるように、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。本県としても関係機関しっかり連携しながら質の高い教員の確保、また特色ある教育活動を推進していきたいと思っております。よろしくお願いします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それではお待たせいたしました。戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。この審議のまとめをこれから実働していくに当たって、私なりに必要なキーワードが3つあるのかなと感じているところです。それは、一つはメディアリテラシーと、それからもう一つがオーナーシップ、そして訴求・見届けという、この3つです。
1つ目のメディアリテラシーですけれども、このまとめの処遇改善のところにだけ特化した報道が今日までたくさんありました。その情報を鵜呑みにしていた教師等が少なくなかったのかなと感じています。情報の正に原典である、このまとめに目をしっかりと通した教師等は、どれほどいたんだろうかと思っております。
その気になれば、このまとめは一般的なスピードでいうと90分程度で読むことができます。ただ忙しい、難しいということであれば概要版と今日の1-1にもあります、この資料1-1を校内研修等で読み込んでいくことで少しでも正しい理解につながっていくと思います。情報を鵜呑みにしないで自らしっかりと吟味して真実を探っていくというメディアリテラシーは大切だと子供に言っているわけですから、教師にこそ、まずは育成していく必要性を感じているところであります。
2つ目にオーナーシップについてです。様々な教育施策をこれから実働させていくためには、国がしっかりと先頭に立ち、都道府県、市町村、学校においては、教育にかかる権限を有する各主体であるという自覚をしっかりと持って、国や他者任せにせず、それぞれの裁量を精一杯生かすことが必要です。今こそ、このまとめの実働に向けて、それぞれの主体がオーナーシップを持って取り組み、一致団結して進むべき状況下であると強く思います。
最後に3つ目の訴求・見届けです。思い返してみますと昨年8月の緊急提言は既に、忘却のかなたとなっていないでしょうか。今回のこの審議のまとめも本当に学校現場に届いているのでしょうか。文科省は、その主体のトップとして資料1の1を早速発出していただき、また、全国の各種団体等で、行政説明などの様々な手段で訴求に努められていますが、正直なところ、市町村教育委員会や学校現場にはまだまだ十分に届いていないのが実態だと思います。
行政説明をしてもらったから終わりではなく、都道府県教育委員会は、改めて魂を込め直し、さらに市町村教育委員会の熱いメッセージを加えるなどして、学校に届けていくべきであると思い、今後の「戦略的広報」に期待してやみません。また、教育は「見届け」が重要であり、届くべきところにしっかりと届くようなインサイトを刺激する必要があろうと考えます。今後はテクノロジー等も駆使し、教育委員会等が情報を確実に受け取り何らかのアクションを起こしているのかなどを可視化・定量化して見届けていく必要もあると考えます。
最後に、この審議のまとめは、教師を取り巻く環境を整備するための具体策として、働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導運営体制の充実の一体的な推進を提言しています。そこに議題2の「教育人材確保に関する取組」において奨学金制度や特別免許の促進など、教師の育成支援に加えて教職の高度化や教師志願者の拡大などの取組が加わっています。
これは先ほど秋田委員からもございましたけれども、取組の一体的総合的な推進というものを通じて教師の魅力向上を図って、優れた教師人材を確保する好循環を作り出すという、国の強い決意が先週の11日の骨太方針の原案の中に感じます。こうした国の決意が教育関係者や教師を目指す人々、そして更には国民の心にもぜひ深く刺さるように、何らかのムーブメントを起こしていく必要があると感じています。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会常任理事、かつ日本学校保健会副会長の渡辺でございます。まず、このたびの審議のまとめは、特別部会において真剣な議論の上でまとめられたものと思います。大変難しいテーマに切り込んでいただいて敬意を表するところであります。
ただ、まず資料1-2の1章にあります働き方改革には時間外労働の削減というのがあって、それが重要だと思うんですけども、今回のまとめに関しては記載がないんですけれども、例えば退勤後に自宅で仕事を続けるといったことが本当にないのかどうか、現状を見据えて潜在化している時間外労働に施策を講じていただくように強く要望したいと思います。
さて、このたびの文部科学省さんの対応ですけれども、教師を取り巻く環境整備の基本的な方向性、これを資料1-1で示されております。教職調整額の10%以上への増額が教師の処遇改善に関してのみだという説明は非常に理解できます。しかし教職が専門職であり、一般行政職ではないという認識から給特法や人材確保法が設定されているので、現行制度内ではこの増額で十分ではないかという考え方には賛同しかねます。
医師の立場から申し上げますと、御存じのように医師の働き方改革というのが厚生労働省で進められております。医療機関における勤務時間に関しては、業務内容が研さんとされる技術の向上の見学などと労働時間とされる本来の医療業務との区別が困難であるという点が課題となっておりまして、研さんと労働時間にメリハリをつけるために業務内容に関して医療機関内でルールを定めたり、労働時間については労働時間の把握をしたり、一定時間を超えた場合は面接指導を行うなどの対応をしております。
教職も教員免許を有する専門職であり、また個別最適な学びに対応した授業を行うにはかなりの研究や準備が必要であろうということから、公私の時間の区別が困難だという点で医師と近似している点が多いと思います。教職員にもこうした医師の働き方改革に関する個々の業務を評価しようという視点が必要であり、今後ぜひ検討していただきたいと思います。それに伴い、給特法や人材確保法にこだわらない教職の給与体系を創設するぐらいの抜本的な議論が必要ではないかと思います。
また、個人の業務評価をし、現場の教員のモチベーションを向上するために、文部科学省も厚生労働省が進めている医師の働き方改革を参考に教職の職務と勤務状況に見合った処遇改善と長時間勤務に対する対策を講じていただきたいと考えます。
また、働き方改革のアウトカムは、時間外在校時間の縮減に加えて精神疾患罹患率の低下であるべきだと思います。教師が子供の成長に寄与しているというモチベーションを高めることが大事であります。そのためには時間や給与だけでなく、チームとしての学校というタスクシェアやタスクシフトを通じてチームとして子供を見守り、チームとしてモチベーションを共有することが必要だと思います。ただ、その際に非常勤職員の配置による数だけのタスクシフトではなくて、精神的負担や責任が生じないような常勤職員の配置、人材配置を含めた手厚い組織的バックアップが必要だと思います。
財政的な問題があるとは思いますが、今後の日本を支える人材の育成に必要な教育のためには、それに応じた財政投資が求められると思います。教職員定数を抜本的に改善して常勤の教員を増やし、教員1人当たりのタスクを削減してこそ、初めて教職調整額10%以上の意味が出てくるのであり、文科省には果敢に財務当局と戦い、教職員定数の抜本的改善に向けて引き続き取り組んでいただくことを強く期待をいたします。
最後に、日本学校保健会の関係ですけれども、養護教諭、栄養教諭に関して配置基準の見直しを要望しております。審議のまとめの37ページに記載していただいたことを大変ありがたく存じておりますけれども、養護教諭は感染症とか、栄養教諭はアレルギー対策とか仕事が多いので、ぜひ教職員の働き方改革にも養護教諭と栄養教諭の抜本的な改善を踏まえていただきたいと思います。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では奈須委員、お願いいたします。
【奈須分科会長代理】 上智大学の奈須でございます。議題1、2に関して御報告をいただいたことは抜本的、また網羅的なことばかりで、これまでの状態から一歩も二歩も前進する方向性だなと思っています。
それに関わって幾つかお話し申し上げたいんですが、まず教員不足というのは日本だけの問題ではないんだというのは、まず共通認識としたいと思います。ヨーロッパでは、もっともっと深刻な状況に今はなっています。これをどう捉えるかということは国立教育政策研究所、シンクタンクですので、そういったところのお力も借りて調査をして長期的な展望をまた持ちたいなと思っておりますが、一つには、つまりもう学校教育という業界自体が、斜陽産業という言い方はよくないのかもしれませんが、これまであったような状況では、もう全世界的になくなりつつあるということなんじゃないかなと個人的には思っています。そういったことをどこか踏まえないと、教師の成り手というのは何か潜在的にたくさんいるんだという前提で考えていくと、うまくいかないだろうなと思っています。もちろん待遇改善、条件整備というのがまず何よりも大事ですけれども、少し違うところを考えていく必要もあるのかなと思っています。
一つは高度専門性、先ほどから教師は専門職だという話が出てきました。そのとおりです。それは報告の中にもうたわれていますけれども、すると、どうでしょう。今、学校で先生方が自分たちがやりたい授業、やりたいような教育を存分にできるような条件になっているかを問う必要がある。これは教員養成とか教員確保の問題と同時に、日本の教育課程や教育課程の基準をめぐる問題と私は関わりがあるんじゃないかと思っています。大学生、今、就職活動をやっていますけど、もちろん給与、待遇ということもとても気にしますが、それ以上にやりたいことが存分にやれるか、自分を発揮できるかということを今の若者は求めています。そういう場所に学校がなっているか。
私などが教員養成学部を出た40年前は、もうみんな間違いなくそうだと思っていた。私は学生時代に先輩に、おまえは何のために教師になるんだと言われて、おまえは、おまえにしかできない授業をするために教師になるんだと教わりました。もうこんな古くさいことを言う人はいないと思いますけれども、そういう、ある種の職人的気概といいますか、それでもって教師というのはやってきた。そこに日本の教師の強さもありますし、手弁当で研修をする、必ずしもいいことではないですけれども、そういう自己研さんへの強い意識もあったように思うんですが、どうもそういうことができないような状況になってはいないか。
不登校の子供にね、かつて、何で学校に行かないのって聞いたら、だって、あそこにはやらなきゃいけないこととやっちゃいけないことしかないからと言ったんですね。つまり自分のやりたいことがない場所には子供も行きたくない。ひょっとしたら今の若者も、自分のやりたい授業ができそうにないから教師にならないということがあるのではないかと危惧をしております。
これは本当に学校の教育課程とか教育方法とか、使用する教材の自由度を上げる、先生方の裁量を拡大する、そして何よりも大事なのは社会的にもっと尊敬される仕事にしていくということなんだろうと思います。その意味で、今日は教員養成、教員確保という文脈でのお話でしたけれども、同時に学校という職場全体の問題として考えると、これはもう教育課程の問題なんじゃないかなと。
折よくGIGAスクール構想もあって、ICTという武器も入ってきました。授業のベースがデジタル学習基盤と呼んでおりますけれども、大きく変わる、これはきっと若い人たちにとってとっても魅力的であり、自分たちの裁量を独自に発揮できる機会にもなるんだろうと思っています。厳しいこともありますが、そういったチャンスの芽もたくさんあるんだろうなと思います。
初等中等教育分科会は、大きくは教員養成部会と教育課程部会という2本柱の構造でずっときていますけれども、本当はもっと、今日の話を聞いていると両方が行き来しながら一つ一つの問題を複眼的に扱いながらやっていく必要があるんだなということを今日、感じました。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは八並委員、お願いいたします。
【八並委員】 日本生徒指導学会会長、八並です。今回の審議のまとめでも生徒指導という言葉が出てきています。生徒指導は、働き方改革に関しても、あるいは学生が教員になりたくないという要因とも関連していると私は思っています。
指摘事項は、4点です。
第一は、現状の生徒指導の困難性や複雑性、さらには、働き方改革の観点から、生徒指導専任教諭あるいは生徒指導専門の教師の創設というのは重要だと思います。学校教育法施行規則では中学校・高校には、生徒指導主事がいますが、現実的には複数の業務をかかえて生徒指導を行うことは無理です。生徒指導や特別支援教育に精通し、なおかつ、コーディネーション能力の高い生徒指導の教員が充当されないと、生徒指導の改善は図れません。その意味では生徒指導専任教諭の創設は、すぐにでも始めていただければなと思います。
第二は、スクールカウンセラーの専任化の議論がないのは、学校現場の多忙性の観点や生徒指導の困難性の観点から不十分だと思います。生徒指導専任教諭や非常勤のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員しても、対処療法だと思います。例えば、現状の日本の生徒指導は、私が92年にアメリカ、インディアナ大学で留学していた時期と似ています。特定の問題をもつ子どもの個別対応をしていましたが、2000年代以降はスクールカウンセリングに移行して全ての子どもの生徒指導にシフトします。ただし、早くから分業化しており、スクールカウンセラーは、日本でいう生徒指導や進路指導を担っていました。つまり、生徒指導や働き方改革では、教員とスクールカウンセラーの専門的分業制度の議論は、避けて通れないということです。
理想的には、名古屋市の子ども応援委員会が参考になります。名古屋市の中学校では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールポリス、スクールセクレタリーの4種の専門家を常勤化しています。このように分業体制ができれば、教員は授業に集中できるし、子供と向き合う時間もできます。そういう点で、私は今後はスクールカウンセラーの常勤化を議論すべきではないかと思います。
第三は、スクールロイヤーを活用した法務相談体制の確立です。学校における法化現象は、急速に進んでいます。法化現象とは、法による調整や解決です。生徒指導では、教育委員会の顧問弁護士や校内のスクールロイヤーが、対応するケースが多くなっています。その点で、法務相談体制は、強調されていいと思います。
第四は、コンプライアンス(法令遵守)の徹底です。令和3年には教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が公布されましたが、ネットニュース等では、頻繁に教員のわいせつ行為が報道されています。これでは、専門職としての教員の信用は、失墜します。子どもたちの安全・安心な学校生活も、保障されません。
また、文部科学省が毎年実施している児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、教職員による体罰、不適切指導で、令和4年度は2名が自死しています。そういう点では、教員の専門性や高度化以前に、コンプライアンスや服務の徹底をきちんと明記していただきたいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では市川委員、お願いします。
【市川委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。ありがとうございます。よろしくお願いします。
短く3点お話をいたします。一つは、学校における働き方を進めるためには保護者の方の御理解が一番大切なので、ぜひ文部科学省とか教育委員会から保護者の方への理解をしていただけるような何か通知なり、これ、アナウンスをしていただけるとありがたいなと思っています。
2点目なんですが、特別支援学校のセンター的機能は非常に幅が出ております。指導運営体制の充実の検討を書いてくれたらとてもうれしいので、実際に進めていただければと思います。今、私の学校は知的障害の特別支援学校と聴覚障害の特別支援学校を併置している学校なんですが、在籍している児童だけでなく、聴覚障害は乳幼児相談ということで学校ではない、まず1歳児から相談が始まっていますので、非常に幅があるという御理解をしていただいて、ここにある指導運営体制の検討をしていただけると幸いです。
3番目になりますが、教師の処遇改善のところで担任の先生、学級担任の教師について義務教育等教員特別手当額の加算ということで明記されてありますが、これ、学校によってもいろいろと違うと思いますが、本校の場合、知的障害の学校とか、四肢体不自由のお子さんを指導している学校の場合は全ての教員が学級担任をやっている場合があります。ですから普通の小学校、中学校みたいに学級担任と教科担任という形ではない場合もありますので、ここは学校の事情等に応じて設置してある教育委員会等がうまく対応していただけると有難いのかなと思っています。
また、学級担任ではなくて学年付の担任をうちの学校では配置していますが、どっちが大変かというと学級担任よりも学年付のほうが大変なこともあります。若手を学級担任にして、ベテランを学年付につけるときもあります。それは学年全体を見れる力がある先生をベテランとしてつけますので、学級担任だけが、何というんでしょう、職務が大変なんだみたいなヒエラルキーができるのも、また困るかなと思っております。
端的に3つでございました。以上、よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。審議のまとめにつきましては、非常によくまとめていただきまして本当にありがとうございます。全国高等学校長協会で最近話題になっておりますのは教育に対するリスペクトを取り戻そうということで、正にまとめにおきましては、そのリスペクトがうたわれているものだと考えておりますし、本日配られました1-1の資料はよく分かる内容かと思います。
特に、「おわりに」のところについてはそういった思いが非常に盛り込まれておりまして、生徒にとっても保護者にとっても、また教育に携わらない方々にとっても訴えかけるものがあるのではないかなと思っております。実際に生徒で、昔ですと教員になりたいという気持ちを持つ生徒が多くいましたけれども、教育実習生であるとか教員になりたいと思う生徒は実際に働く先生たちの姿を見て教員を目指す、あるいは教職に就きたいと思っている生徒がほとんどであると考えておりますし、いまだにそういった生徒は多いものと思います。
先ほど一部委員から出ましたけれども、心ない行為によって教育の信頼は失われることがありますけれども、それはごく一部であって、ほとんどの教員が自分の専門や学習活動に熱心に取り組むというところが現在までの日本型教育の成果につながっているものと思います。その上で、いかに働き方改革を進めるか、また様々な処遇を改善するか、そして定数を増やしていくかというところが、国にとっても財政的にとっても将来にとっても大切なものだと考えております。
また、専門性をより高いものにするために、例えば生徒が参加するコンテストやコンクールを運営し、また教員の研修に関わる様々な研究団体の果たした役割というものは非常に大きいものと考えております。大学や自治体による研修だけでなく、こういった教員の組織による研究団体についても教員養成であるとか、教員の育成にとっては将来につながる有意義なもので教員の育成にとっては大切なものであることを念頭に置いて、盛り込んでいただけると大変助かります。
私からは以上となります。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは今村委員、お願いいたします。
【今村委員】 発言させていただきます。大変なお取りまとめをどうもありがとうございました。拝見させていただいて、私も非常に先生方を大切にしたいという思いがたくさん込められた御提案が盛り込まれているなと感じました。
先ほどの先生から、教員不足のお話は日本だけじゃなくて世界で起きているというお話があったんですけれども、同時に国内においても人が足りないのは教師だけではなくて、例えば自衛隊も、学校の先生だけじゃない行政職も、また福祉の仕事もどこもかしこも熾烈な若者争奪戦が起きていて、それは私たち、NPOの職員も含めてなんですけれども、もうとにかく若者に選ばれること自体がどんな職種においても非常に難しいと。特に地方においては、それが非常に深刻だということは、もう日本国内だけのことであっても、まず前提にする必要があると思います。
その上で、先ほどの先生からやりがいが最も大切だというお話があったんですけれども、若い人たちと付き合っている中で私も最も大切だと思うのは、若い人たちに選ばれる仕事を作るには、まず裁量権があることと時間が自由に使えることの2点が最も大切だと思います。今、もう非常に高いコンプライアンス意識を先生方、これはパブリックの仕事の人全てにですけれども、それは文部科学省の職員の方々もそうだと思うんですが過剰なぐらいのコンプライアンス意識が求められているし、またリスク管理の仕事も確かに大切なんですけれども、そういった危機管理対応ばかりしているうちに1日が終わってしまって、本当に何のために先生になったんだろうということを確認しないままに次の日を迎えるということを、ずっと繰り返してしまうと。
保護者にも、先ほど保護者への発信も大切という話があったんですけれども、本当に先生方に対して、何というか、私の昔の地元の印象とは全然違う、とにかく尊敬されてない。保護者からクレーム、保護者からとにかく何でもかんでも先生にクレームを言うこと、そこに一旦謝るということみたいな対応を求められてしまっているという、その保護者側の、先生を大切にしないと学校が成り立たなくなるよということを保護者も理解しなきゃいけないけど、これもまた、なかなかもう難しい時代になってしまっている中で、これ、悩ましいんですけれども、裁量権と時間の確保のために教師を増やすこと、また、その待遇を改善するとか大切なんですけれども、もう私は明確に、先生がやらなくてもいい仕事をはっきりとつくるということなんじゃないかと思っています。
先生を増員しても、また、その先生分の丁寧な仕事が増えて、また、その先生が思いを持って仕事をするので、また、先生という仕事は多忙化が続いていってしまうので、先生がやらなくてもいい仕事をつくるためにプロの先生以外の仕事、新しい職種をつくるという話もありましたけれども、そういった職種をまともな待遇で雇うこと、また、1ポジションを複数名体制で学校の中に配置すること、ここもセットで考える必要があると思います。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーがその最たる存在だと思うんですけれども、先ほどの八並先生のお話にもあったんですが、スクールカウンセラーの配置は確かにされているんですけれども、スクールカウンセラーが週に3時間しか来ないとか、少ないところだと1年間で45時間しか来ないとか、そんな学校もたくさんある中で、まず、そういったポジションの人が学校に配置されていたとしても、先生方はその方々を使ってどういうふうに頼ったらいいのかも分からないし、また、配置された方々にとっても不幸な状況が起きてしまっていると。
何よりもいい人材、一生懸命働こうとする臨床心理士の方々含めて、そんな過疎地に移動で3時間かけて行って、3時間仕事して、また3時間、帰らなきゃいけないようなことを繰り返しているうちに1年が終わるぐらいだったら、フルタイムで雇ってもらえる病院のカウンセラーをやろうみたいな声は地方だとよく聞く選択肢になります。常に人材が競争になっていることを踏まえたときに、とにかく、どうしたら教職以外の人をきちんとした、まともな体制で複数名配置できるかということが今後、具体化していくときに重要視して検討いただきたいなと思っていることです。
その際に、とはいえ人が足りないということは前提だと思うので、オンラインでどこまで全国でリソースをシェアできるか。学校ごとに本当にその職種に人を配置する必要があるのかということも、教師なり、スクールカウンセラーなり、それ以外の仕事もそうですけれども、オンライン人材もカウントできるような、リモートワークというお話もありましたけれども、スクールカウンセラーの多くが1校1人じゃない状況にはなっているんですけれども、その学校の生徒たちから見たら24時間対応できるんだけれども、その方は複数働いているみたいな形をとるとか、リソースをシェアすることに、ここもチャレンジが必要だと思います。
手前みそなんですけれども、石川県の加賀市でカタリバが昨年行ってきた、加賀市にある24校の学校に10人のスクールカウンセラーが配置されているそうなんですけれども、ここも人材を集めるのに非常に苦労されてたんですが、オンラインで相談に乗れる人にGIGAスクール端末から相談できるよという体制を組んで当たったところ、実証を始めて5か月で学校が把握できていない要配慮案件が71件でした。それはいじめも、中には希死念慮を訴えるようなものもありました。その後に学校の対面で関われるカウンセラーさんにつなぐとかという対応ができるので、全部をそこにいる人だけでやらないことも含めて、この教員働き方改革を進めていく必要があると思いますが、とにかく教員以外の方々をちゃんと配置するということで、やっと先生方が自分の仕事に集中できる体制がとれると思います。
長くなりました。私からは以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ほかに御発言を希望なさる方、いらっしゃいますでしょうか。時間の関係がありまして、今のところ、澤田委員と岩本委員も手を挙げていただいておりますので、最後に堀田委員から御発言いただいて、この件、閉じたいと思いますが、ほかにいらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。最後、もう一つ議題がございまして。どういったらいいですか。もう一度確認します。澤田委員、岩本委員、堀田委員以外に手を挙げていらっしゃる方、田島委員ですね。分かりました。そうしましたら、あと15分という時間です。大変恐れ入りますが、もう一つ議題もございますので端的に御発言くださいますようお願いいたします。堀田委員は最初から御発言の意思をお聞きしておりまして、ずっと待っていただいておりますので、堀田委員は時間をある程度、お取りしないと申し訳ありませんので後から手を挙げられた方、大変申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
では澤田委員、どうぞ。
【澤田委員】 先生の幸せ研究所の澤田です。教員不足解消の中でも、今回の配付資料の中にある短期的な対応策として教員免許保持者の入職促進ということがあったので、そこについてお伝えします。
教師の採用配置は任命権者である教育委員会の責任ではありますが、臨時講師といった人材の掘り起こしを効果的に行えるのは、実は小中学校においてはむしろ職務監督である市町村教委であり、国や都道府県が広域で働きかける以上に、地域に根差した市町村教委の動きを促して支援することが効果的であると考えています。
というのは奈良県の生駒市の例なんですが、昨年度途中から講師募集を工夫して今年度欠員ゼロでスタートできています。現在、多くの都道府県でペーパーティーチャー説明会が実施されていると思いますが、生駒市は人口約12万、小中学校が19校という規模でありながら、昨年度2回の実施において103名を集めて、今年度6月時点で160名の登録者があるということです。
なぜ県域ではなくって市町村単位が有効かというと、講師として働く人の属性がこれまでとは変わってきていることが重要なポイントだと考えます。臨時講師は、かつては教員採用試験を受験して合格に至らなかった二、三十代が多かったわけですが、昨今は倍率の低下で不合格者数がそもそも減っていることなどがあって、その年代での登録者はどの都道府県でも減っているというのは資料2-1でもあったとおりです。全国的に、この世代で常勤が可能な方は登録すれば待機することなく定数内の講師として勤務できている状況だと思います。
こういった方々に代わって、生駒市で今の時代に臨時講師で入ってくれた人の多くというのは30代から50代の女性だそうです。その方々は教員免許を持っている専業主婦の人、あるいはパートタイムの仕事をする子育て中の人や子育てが一旦落ち着いてきたという人たちで、これまでは講師という仕事は考えていなかったけれども、県内どこに配置されるのか分からないのは無理だけど、近所の学校でならと考えてくれた人たちだということです。生駒市では、この層の掘り起こしに成功していますが、この傾向は生駒市だけではないのではと思っています。
また生駒市では、こうした30代から50代の女性に対して学校で働くことへの不安や働き方について丁寧にヒアリングして、学校とマッチングしていったそうです。これが功を奏して欠員ゼロを達成できたわけですが、こうしたきめ細やかな動きというのは都道府県単位といった広域では難しくって、地域や小中の実情をよく知る市町村単位でこそ、可能ではないかなと考えています。ですので、教員不足の危機的な現状をスピード感を持って解消するには、国や都道府県は広域で働きかける以上に、地域に根差した市町村教委の動きを促して支援することが効果的であると考えています。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 岩本です。簡潔に3点だけ。1点目は先ほど今村委員も言われたことなので省きますが、教員が教員としてしっかりと充実したプロフェッショナルとしての仕事をできるように、教員以外の人材の適切な配置というところは今回の教員の話がいったん一段落、定員含めて終わったときには今後の検討事項として、次はそちらの議論をしっかりとできるようにというのが1点目です。
2点目は、教師不足の解消に向けた各教育委員会における取組事例なんかも今回御紹介、出していただいたりとかして、ああいったものを本当に教育委員会にいる者としては、ありがたいなと思うところですが、もし今後できればというところで、例えば広報やPR、マッチング等の取組事例なんかも出ていますけれども、ああいうところに今後は費用対効果というか、何をやったか、やっているかは分かるんですが、それ、どれぐらいの予算を使って、どのくらいの効果が出てきているのかというようなことが、それぞれ様々な施策で、これに限らないんですけれども、そういうものがちゃんと見えると、限られた予算を一体何に取り組む、振り分けることで効果が出せるのかというEBPMというか。それを教育委員会としても推進するためには、そういったところまで表に出せるかどうかはあれですけれども、教育委員会にもそういった情報があると、次の政策や、こういったいい取組の横展開には必要な情報だと思いますので、そういったところ、今後の取組事例、出す際に御配慮いただけると大変有難いというのが2点目です。
3点目は、次の議題にも入っていたかと思うんですが、博士人材の活用というところと教員確保、場合によっては特別免許状の活用と、ここら辺の政策間連携というか、を進めていただけるといいのかなと思っています。博士人材の目指すビジョンというところでも教員というのが活躍先の一つに明確に入っていましたが、教育委員会とか、もしくは博士を取った人材にしても、この博士を取った人間が教員をやることにどんな意義やメリットやよさがあるのかというのが、すぐにイメージできない方も多いんじゃないかなと思いますし、教育委員会もなぜ博士を教員としてというところも、すぐには分かりにくい場合もあるかと思いますので。
これは博士をとった人材が教員として活躍するときにどんなメリットやよさがあるのか、どんなふうに博士の知見というか、を生かせるのか、どんな働き方やキャリアみたいなことが描けるのかみたいな事例だとか、好事例というか、そういったものなんかも併せて出していただけると活用しやすくなりますし、産業界に対して活用のお願いというのも発出されていますけれども、そういった事例なんかも踏まえて教育委員会に関しても博士人材の活用だとか、場合によっては、それと教員の確保の一体的な推進というか、そういったところも発出して取組を推進することも考えられるのではないかと思います。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では田島委員、お願いいたします。
【田島委員】 ありがとうございます。全国町村会副会長を務めております、佐賀県白石町長の田島でございます。
まず、学校教育を取り巻く諸課題を踏まえ、教師の働き方改革をはじめとする今後の学校教育の在り方について取りまとめいただいた中教審特別部会の委員の皆さん方に感謝を申し上げたいと思います。当町でも少子化が予想を上回る状況で進行しておりまして、今後、複数の小学校で複式学級の出現が見込まれることや、個別の支援を必要とする児童が増加傾向にございまして、きめ細かな指導や支援を充実させる必要など、速やかな対応、対策が求められております。
そのようなこともありまして昨年6月には当町の小学校4校を1校に再編し、令和12年4月1日に白石地区に小学校を新設することを決定いたしました。小学校の開校に向けましては、白石町の地域性を踏まえました上で社会的な情勢、学校環境の変化に対応可能な学校を目指しております。このたびの審議のまとめにおいて、新たな学びの実現に向けた教師確保の環境整備に関する様々な方策が示されておりますけれども、私どもの新しい学校には教職員同士が情報や知識を共用できる共有スペースや、児童の相談を受けやすくするコミュニティースペース、教職員もリラックスができるリフレッシュスペース、テスト採点やレポート作成といった個別の作業ができる集中作業ブースなど、多様な執務空間を検討しているところでございます。
また、当町は学校、家庭、地域が連携して子供たちを見守ることに力を入れております。コミュニティースクールのさらなる推進と充実を目指し、コミュニティースクールの交流、共創拠点としての利用もできる多目的教室や工作室の設置も検討しております。
最後になりますけれども、次世代を担う子供たちの創造性を高める教育活動を実践するには、教師が心身ともに健康でやりがいを持って生き生きと働ける環境であることが重要だと考えます。今後、教師の勤務体制、処遇、教職員定数に関わる仕組みの見直しなど、学校における働き方改革をはじめ、令和の学校教育を担う教師確保に関する総合的な取組が推進されるとともに、地域の未来を担う子供たちへの質の高い教育が確保されることを期待いたします。
以上でございます。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、最後に堀田委員からお願いいたします。
【堀田分科会長代理】 堀田でございます。まず、この特別部会の資料1-2、1-3をまとめいただきましたこと、本当にお疲れさまでございました。私は何度もこれ、拝読しましたが、全体性を持った提言になっているにもかかわらず、マスコミ等では期待が大きかったからだと思うんですけども、5章のところに非常に多くの意見と誤解があったなと思います。
4章も、これは文部科学省が頑張り続けていただかなければならないことでたくさん書いてありますし、しかしながら本当は3章のところ、つまり現場でできることがまだたくさんあるんじゃないかと思います。これはもちろん国は国で頑張る前提ですけれども、任命権者ができることがあると思うし、任命権者が任命した後、できることだけじゃなくて、これから任命しようとしている人に対してできることもあると思います。また、設置者にも働きやすくする様々なことができると思うんです。今までの学校の枠組みを何か脱却する努力というか、自分たちで問題を解決する、そういうマインドみたいなことを、万能薬がない以上、各レイヤーで努力することがこれからは重要なのかと思います。
こんなことを申し上げたのは、それを認めていくためには運用の柔軟性とか裁量権の拡大とかということが大事だと思っておりまして、それをやるために、特に1-3には何か所も書いてありますけど、ICTやDXが不可欠だと思うからでございます。
実際に、例えば保護者との連絡のデジタル化とか、オンライン研修とか、テレワークをある程度認めているとかいろいろあります。これらが日常的に運用できている学校って幾つあるのか、それが認められるような運用支援をしている教育委員会がどれぐらいあるのか、設置者としてですね。さらに言うと、その運用を認めてくれる校長先生はどれぐらいいるのか、あるいは、そんなことをやろうと思っても実はできないようなシステムを入れて、でもICTを入れていますよということになっている自治体もたくさんあります。
例えば、民間ではビジネスチャットとかで情報をいつでも共有できるというのは普通ですけれども、ビジネスチャットどころか、メールアドレスもないみたいな自治体の状況が地域によってはあります。こういうことを考えたときに、自治体が御努力いただかなきゃいけない、このDXで、本当に先生方を働きやすくするのだという強い意志をちゃんと示していただくような、そういうことを示せている自治体とそうでない自治体が可視化されるような、そういうことも僕はやるべきではないかと思います。
たくさんありますが、ここまでにします。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。皆さん、6時にはまだなってないんですが、もう一つ議題がございます。それと、本日は初等中等教育局の矢野局長にも来ていただいておりますので、今、非常に多様な御意見頂戴いたしましたし、最後に矢野局長にも御発言いただきたいと思います。それで大変申し訳ありませんが、少し時間を延長させていただきたいと思います。
では、3つ目の議題に先に入りたいと思います。3点目の議題「博士人材活躍プラン~博士をとろう」、これにつきましてであります。それでは、人材政策課人材政策推進室長の髙見室長からよろしくお願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます、お時間を頂きまして。なるべく端的に御説明申し上げます。
文部科学省におきまして、今年の3月にこちら、博士人材活躍プランということで取りまとめをいたしまして、その中に初等中等教育に係ることもかなり盛り込まれておりますことから、本日御報告をさせていただきます。
2ページを御覧ください。文部科学大臣メッセージとございますけれども、本プランは盛山大臣のもとに博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォースというものを昨年11月に設置をいたしまして、矢野局長にも御参加をいただきまして議論を行ってまいりました。本年3月に取りまとめを行いましたけれども、盛山大臣自身が法学と商学の博士号取得者でございます。
次に、3ページを御覧ください。意義・目的としておりますけれども、博士人材は深い専門知識に加えまして、課題発見、解決能力などの汎用的能力を有する人材であると考えております。研究者としてだけでなく、社会の多様な場での活躍を進めていくべき存在であると認識をしております。
4ページを御覧ください。このため目指す姿といたしまして、博士人材がアカデミアのみならず多様なフィールドで活躍する社会の実現を掲げておりまして、その中には教員としての活躍も見据えていく必要があると考えています。
五、六ページは、解決すべき課題ですとか、現状についてお示しをしておりますけれども、5ページ左側のグラフのみ御紹介いたします。主要国における博士号取得者数の推移でございますが、人口100万人当たりの博士号取得者数を示しており、英国やドイツが直近で340人、338人となっているのに対しまして、日本は123人ということで非常に少ない人数となっております。そのほか、こちらに掲げましたデータで示される課題への対応を対策として本プランにまとめてございます。
8ページを御覧ください。具体的取組ということで、大きく3つの柱に分類をしております。1つ目は、社会における博士人材の多様なキャリアパスの構築になります。これは博士課程に進学すると、修了後の就職が心配であるという学生の声に応えるような内容としておりまして、特に産業界での活躍促進を掲げながら、9ページの右下の部分でございますけれども、社会の様々な分野での活躍促進ということでスーパーサイエンスハイスクールでの博士人材の積極的採用ですとか、博士教諭としての活躍促進というものを掲げてございます。
10ページでございます。2つ目の柱といたしまして、大学院改革と学生等への主に経済的な支援についてまとめてございます。
そして12ページですが、学生本人への動機づけといたしまして丸1番、博士人材の魅力の対外的な発信というところでは、先ほど同様なんですけれどもスーパーサイエンスハイスクールでの博士人材の積極的な採用、博士教諭としての活躍促進、これを掲げることで生徒の身近なところで教員として活躍をいただくことを掲げておりますことと、丸2番としまして早期からの取組、特定の分野に優れた意欲、能力を持つ児童生徒の能力を伸ばす取組の推進ですとか、高等学校段階における理数系教育の推進、探求学習の充実、体系的、系統的なキャリア教育の推進といった施策を掲げてございます。
初等中等教育段階で、博士号取得した教員が博士教諭といたしまして児童生徒の身近で活躍をして、例えば探求の意義ですとか、面白さみたいなものを分かりやすく伝えたり、あるいはキャリア教育の中で博士号を取得した経緯ですとか、どんな研究をしていたのか、あるいは博士号を取得する醍醐味などについて伝えたりしていくことも考えられると思っております。
最後に、13ページを御紹介したいと思います。文部科学省からはじめます、としておりますが、こうした博士人材の活躍に向けて博士人材の採用目標の設定ですとか、働きながら修士、博士の学位を取得する文部科学省職員への支援制度のさらなる活用促進などを掲げております。こうした博士人材の活躍促進に向けましては、高等教育段階だけでなくて初等中等教育段階からの継続的な取組が大変重要であると認識をしておりまして、本日御報告をさせていただきました。今後の取組に向けまして、御意見頂けたらありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間の関係でこの件、お一人か、お二人か、御意見ございましたらお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
どうぞ。秋田委員、お願いいたします。
【秋田委員】 学習院大学の秋田です。私は、現在も、また前の大学でも博士人材の養成に関わってまいりました。一番のネックは、ここに書かれているように、就職後の見通しが大学教員以外にも多様な道があるようなことを広く広げていただくことが重要であろうと思います。特に特別免許状等で、中等教育で先端の内容をじかに中高校生に伝えていくことが、今後の高等教育を強くしていくためにも極めて重要であろうと考えております。正に探究のプロでございますので、その人たちを高校レベルでうまく活用していただくことが重要だと思います。
また、博士人材は現在、社会人で、それこそ省庁の方もお入りいただいたり、様々な第2の学びとして博士課程にお入りくださっている方が私の大学院などでもおられます。ぜひ、そうした形で新たな人材が活躍できるように、文科省だけではなく様々な省庁と手を組んでいろいろなポストを御準備いただきたいと思うところでございます。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、時間の関係でこの件、ここまでとさせていただきたいと思います。今おっしゃいましたことも含めて、そうだと思うんですけれども、もう一つあれですね。最初の1つ目、2つ目の議題との関わりでいうと、採用された後で学び続けるということで、これは教員養成部会でもたしか前、出たと思うんですけれども、具体的に大学院等に行って学ぶことができるような、そういう時間的な配慮であるとか、人的な余裕であるとか、そういったことを確保していくことも非常に大事かなと思いながら承りました。ありがとうございました。
それでは、今日は本当にたくさんの方からいろいろ御意見頂いたんですけれども、皆さん、短くしてくださったと思います。申し訳ありませんでした。最後に、先ほど申しましたように矢野局長にお越しいただいていますので、局長から御発言いただきたいと思います。お願いいたします。
【矢野初等中等教育局長】 初等中等教育局長の矢野でございます。今日は本当に貴重な御意見ありがとうございました。いずれも本当に、やや厳しい御意見もありましたが、納得感のある、非常に建設的な御意見を頂戴したと考えております。
貞広先生からや戸ヶ﨑委員からも御指摘ございました。最初、少なくとも10%以上と、10%という数字にかなりインパクトがあったものですから、そこがかなりプレイアップされまして、その10%では働き方改革、時短につながらないというような、ややミスリードな議論があったわけですが、貞広先生から先ほど御指摘頂いたとおり、働き方改革のさらなる推進、それと教職員定数の改善などの指導運営体制の充実、そして教員を志望する方々の母数を増やす努力、それが例えば処遇改善になるわけですが、これを一体的、総合的に推進することしか、この問題は解決しない、解決の解はないと考えておりまして、これも一気に解決できるものではない。今回審議のまとめに書かれた内容を愚直にやるしかない、しかも、それもそう簡単ではないことと認識しております。
ただ、これから政府、今週末にも来年度の方針である骨太の方針というものがまとまりますけれども、ここでもそれなりの我々としてのメッセージを出したいと考えております。また、これから、さらにそれから概算要求、年末の予算編成という、短期的にはそういう節目がございます。ここでも、それなりの我々の決意とメッセージをしっかりと出していきたいと考えております。御注目いただければと思いますが、正に戦略的にこの問題は取り組まないといけないと考えておりますので、先生方におかれましても、ぜひ指導をお願いできたらと思います。
また、堀田先生から最後に御指摘のあったとおり、第3章も実は非常に重要で、今朝も地方のある学校の先生とやり取りをしておりましたけれども、唖然とするような、現行法で十分、それは対処可能だよねというようなことですが、何というんでしょうか、正に唖然とするような学校、市町村の実態を知らされたようなこともございました。3章についても、さらにもうちょっと丁寧に見ていきたいと。
それは国レベルじゃなくて現場、市町村レベルでの見直しというのが不可欠でございます。これ、働き方改革は文科省が躍起になってやったら、それで終わりというものではございません。現場、地域社会全体が、何度も申しますけれども自分事として取り組んでいただく必要がある。それが学校のサステナビリティというか、社会のサステナビリティにつながっていくだろう、そういうふうに考えておりまして、引き続き我々は我々の理解を求めたいと、努力をしていきたいと考えております。
ということで荒瀬先生、ありがとうございました。発言の機会を頂きましてありがとうございました。以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間を大分オーバーしました。大変失礼いたしました。私もいろいろと思うことがたくさんあった今日の会議でありました。一つだけ最後に短く。さっき奈須先生が、初等中等教育分科会では教育課程部会と教員養成部会がいつも常設されているということをおっしゃいました。正にそうでありまして、今回特にこの件に関しまして特別部会と教員養成部会が、同時に違った角度からいろいろと議論して、それが今日、一つの会議の中で御紹介いただいたということであります。
私はずっと今、皆さんの御発言を承りながら、中央教育審議会というのは何をするところなのかということを改めて考える、非常に貴重な時間になったと思っております。
しかし、本当に時間が延びてしまって失礼いたしました。本日これで終了したいと思いますが、最後、次回以降の予定につきまして、小畑さん、よろしくお願いいたします。
【小畑教育制度改革室長】 事務局でございます。次回の会議日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきたいと思います。
事務局からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】 それでは終了いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
■会議終了後に頂戴した御意見
【植村委員】
◎「審議のまとめ」について
○「3本柱の一体的・総合的な推進」の趣旨を大事にしたい。そのことについて、社会全体の理解が必要である。
○全連小としては、「審議のまとめ」の確実な実現を切にお願いしたい。
・今を逃したら当分改革は実現しないという危機感があり、瀬戸際である。改革の実現は、今しかないと考えている。
・全連小として、現在の学校や教職員を取り巻く厳しい状況を鑑み、「3本柱の一体的・総合的な推進」を核に、処遇改善・定数改善を実現するとともに、校長として、自ら更なる学校の働き方改革を加速化することが大事であると、校長会の大小様々な場で繰り返し訴えている。
・「学校を元気にする」ために、確実な実現を切にお願いしたい。
【岡本委員】 丁寧におまとめいただき、ありがとうございます。
委員の皆様方からのご意見のとおり、「学校教育」「質の高さ」「教師の確保」「働き方」は個別に取り組む課題ではなく、一体的に取り組まねば改善することが難しいことのほかに、大きく「少子時代」であることと、乳幼児期からの子どもたちを取り巻く「情報過多」という社会状況が大きな問題であるように思います。専門職を配置したとしても、特別支援担当教員の数は毎年度増員が求められるように、抜本的な解決には至らないように、もう一つの側面である社会状況を変えることに対し、議論が必要に思います。成人に満たない子どもたちに必要のない情報が湯水のように流されている現状が招く弊害が学校に集中している現状を直視すべき時ではないかと考えております。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室