初等中等教育分科会(第139回)議事録

1.日時

令和5年3月8日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 各部会等における審議状況について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆様、おはようございます。
 定刻となりましたので、ただいまから第139回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。よろしくお願いいたします。
 本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議形式にて開催させていただいております。
 ウェブ会議を円滑に行います観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含め会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 画面に表示させていただいていますけれども、本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から資料6-2まで、参考資料が1から3までとなっております。参考資料1と2につきましては、第11期初等中等教育分科会の機構図及び各分科会の委員名簿になっております。
 また、参考資料3につきましては、堀田分科会長代理が座長を務めておられます、GIGAスクール構想の下での校務の情報化に関する専門家会議の最終まとめとなっております。
 内容につきまして後ほど堀田分科会長代理からより御紹介があるかと思いますので、配付資料とさせていただいております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、第11期中央教育審議会としての初等中等教育分科会最後の開催となることを踏まえまして、議題を二つ設定させていただいております。
 まず議題1といたしまして、各部会等における審議状況について。第11期における各部会等の審議状況について、事務局から簡単に御説明いただきたいと思います。その後、議題2といたしまして、委員の皆様から、2分程度ということで大変短くて恐縮ですが、第11期を振り返ってのコメントを頂戴できればと思っております。
 よろしくお願いいたします。
 なお、本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をユーチューブで配信しておりますので、御承知おきいただきますようお願いいたします。
 それでは、議題1に入りたいと思います。各部会等から、審議の状況について御報告をいただきたいと思います。
 まず、昨年1月に設置いたしました、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会と、その下に設置されております教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ、義務教育の在り方ワーキンググループ、高等学校教育の在り方ワーキンググループ、この三つのワーキンググループについて、事務局から御説明をお願いいたします。
 前田教育制度改革室長、よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 ありがとうございます。
 資料1を御覧いただければと思います。
令和3年1月に中央教育審議会において取りまとめられました、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の答申におきましては、これからの学校教育が目指す姿として個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実が掲げられました。
 この答申を受けまして、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について検討するため、昨年1月に本分科会においてお認めいただきましたとおり、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会が設置されました。
 特別部会では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実のため、一人一台端末等を円滑に活用した児童生徒への学習指導、生徒指導等の在り方、教科書・教材・関連ソフトウェアの在り方、学校内外の環境整備の在り方を主な検討課題として掲げているところでございます。
 各検討課題につきまして専門的な検討を進めるに当たり、本分科会の下に、昨年2月に教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ、昨年10月に義務教育の在り方ワーキンググループと高等学校教育の在り方ワーキンググループを設置し、議論を進めていただいているところでございます。
 教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループにおいては、令和6年度からのデジタル教科書の段階的な導入の在り方や、デジタル教材・学習支援ソフトウェアの活用促進に向けた環境整備の在り方について検討を進めていただきまして、本年2月に審議経過報告をおまとめいただいております。
 審議経過報告の内容につきましては、資料2-1を御覧いただければと思います。この10ページにございますように、学習用デジタル教科書につきましては、当面の間は紙の教科書との併用を前提とした上で、令和6年度から段階的に導入する方針をお示しいただきました。
 具体的には、令和6年度から小学校5年生から中学校3年生までを対象として英語を導入することとし、次に、学校現場の環境整備や活用状況等を踏まえながら算数・数学を段階的に導入することとしてまいります。
 加えまして、11ページにございますとおり、デジタル教材・学習支援ソフトウェアの在り方についても議論をいただいたところでございます。
 自立した学習者として児童生徒一人一人が学びをデザインし、学びを深めていくためのツールとして、デジタル教材・学習支援ソフトウェアの活用を促進するため、アクセシビリティーやユニバーサルデザインを含めた機能の充実とか、児童生徒に応じた多様な提供の在り方、教材間の連携の在り方について方向性をお示しいただいております。
 文部科学省としましては、これらの方向性に沿って、児童生徒一人一人に応じた多様な学びの手段を適切に組み合わせていくことを通じ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を更に進めてまいりたいと考えております。
 資料1にお戻りいただきまして、義務教育の在り方ワーキンググループについてでございます。Society 5.0時代に向けた社会変化の加速度的な進展や、それに伴う今後の新たな教育の可能性を見据え、大きく義務教育の意義と学びの多様性という観点から、子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割など、学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方、それと、一人一台端末等の活用を含めた多様で柔軟な学びの具体化について検討を進めていただいているところでございます。
 続きまして、高等学校教育の在り方ワーキンググループについてでございます。
 高等学校教育においては、既に進学率が約99%に達しておりまして、様々な背景を持つ生徒が在籍しており、高等学校の実態も多様化しているところでございます。
 選挙権年齢や成年年齢の18歳への引下げや更なる少子化の進行など、急激に変化する高等学校教育を取り巻く状況を踏まえ、高等学校教育の在り方について、共通性と多様性の観点からの検討、少子化が加速化する地域における高等学校教育の在り方、全日制・定時制・通信制の望ましい在り方、最後に社会に開かれた教育課程の探究・文理横断・実践的な学びの推進などについて検討を進めていただいております。
 義務教育の在り方ワーキンググループと高等学校教育の在り方ワーキンググループにつきましては、共に本年3月に論点整理を取りまとめていただいておりまして、論点整理の内容につきましては、それぞれ資料2-2、資料2-4のとおりとなっておりますので、御覧いただければと思います。
 文部科学省としましては、おまとめいただいた審議経過報告や論点整理の内容について、来年度以降もしっかりと引き継ぎながら、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 先ほど申しそびれましたが、各部会等では議論が重ねられ、最終的に今日御報告いただいていますものも、部会の委員の先生方皆様に確認をした上で事務局の方から説明をいただくということで、質疑の時間は設けません。その点、御了解をよろしくお願いいたします。
 では続きまして、教育課程部会につきまして、常盤木教育課程課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【常盤木教育課程課長】 皆様、おはようございます。教育課程課長の常盤木でございます。
 資料3に沿いまして、御報告申し上げます。資料3を御覧ください。
 昨年の4月から、全ての学校段階におきまして、新しい学習指導要領が実施されました。今期第11期でございますが、教育課程部会では、この学習指導要領をしっかりとフォローアップする観点から御議論をいただいたところでございます。
 この間委員の皆様から頂いた主な御意見をまとめたものがこの資料3になります。
表紙をめくっていただいて、目次を御覧ください。目次にございますように、この資料では、主な御意見を御覧の四つの観点から整理してお示ししておるところでございます。
 以下、意見の概略を御紹介しながら御説明したいと思います。
 4ページ目になります。先ほど御覧いただいた柱の一つ目になりますが、「1.GIGAスクール構想のもとでの学習指導要領の推進について」ということでございます。括弧で小テーマごとに小見出しを付けているところでございますが、一番上側にある括弧、GIGAスクール構想の施策推進の方向性に関しましては、その下の丸、「情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力と位置付けられたことを踏まえることが重要」である、「情報活用能力が全ての学校で適切に育成されるよう、教育課程の保障が必要」であるとの御意見。
 下の方に行きまして、その下の括弧、指導の在り方というところでございます。その下、一つ目と二つ目の丸、「デジタル一辺倒にならずに、これまでの学校の取組とのつながりの中で学習を深めるという観点から、ICT端末を捉えていくかが重要」である、「これまでできなかったことをできるようにする、可能性を広げていくものとして捉えることも大切」であるとの御意見を頂いたところでございます。
 5ページ中ほどになりますが、国、教育委員会、学校等の関係者の役割や連携の在り方に関しまして、その下二つ目と三つ目の丸の辺りになります。 
 教育委員会は、「学校の挑戦や試行錯誤を励ますとともに、学校の挑戦や試行錯誤から学ぶこと」や「学校が安心して取り組めるよう、設置者として学校にきちんと情報発信すること」が重要といった御意見を頂きました。
 6ページでございます。「2.STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」でございます。その下の括弧でございます、施策推進の方向性に関しまして、その下の丸、学校の教育課程全体で教科等横断的な学習を進めることは、教科・科目ごとに閉じがちな学習経験を統合し、人間的成長を展望する観点や、目指す児童生徒像を、教職員がチームとして実現する取組を促す観点から重要」であるという御意見を頂きました。
 7ページに行きます。一番上の括弧、人的・物的体制の整備に関しまして、その下の丸と、また、三つ目辺りの丸の辺りでございます。
 STEAM教育の推進に当たっては、「多様な場の設定により、多様性を確保すると同時に、格差解消を図る」ことにつながるのではないか、「教師の働き方改革を念頭に置いた体制の整備が必要」との御意見、真ん中ほどに行きまして、教師の指導の在り方に関しまして、その下の一つ目と二つ目の丸の辺り、「生徒の学びからカリキュラムをつなぐ伴走者的な教師の指導性」や、「カリキュラム・メーカーとしての教師の力量形成に対する支援」が重要であるといった御意見を頂いたところでございます。
 8ページに参ります。「3.社会に開かれた教育課程の実現について」でございます。その下の括弧、社会に開かれた教育課程の施策推進の方向性に関しまして、二つほど下の丸、学校が目指すビジョンを家庭や地域などと共有し続けていく」こと、また、「学校・地域・保護者がウィン・ウィンとなる関係のもとで教育課程を組み立てること」が重要といった御意見。
 下ほどに行きまして、二つ目の括弧、学校と社会の連携の在り方に関しまして、その下の丸の辺りです。「様々な専門性を持った人が集まり、学校が多様な目で子供たちの個別の事情を見守る場となることが望ましい」といった御意見。
 9ページに行きまして、ページ下ほどになります。小見出しでいうと学校と家庭との連携の在り方に関しまして、その下の丸、学校が新たに外部と連携する場合には、「負担感の増加や前提の違いを乗り越える工夫が必要」との御意見。
 10ページに行きます。学校と企業との連携に関しまして、「教育委員会や学校が外部からの提案を歓迎する土壌」、「学校と企業が語り合う場を重ね、相互理解、目的共有を行うこと」が重要といった御意見を頂いたところでございます。
 11ページに参ります。「4.学習指導要領の趣旨の実現に向けた取組についてということでございます。一番上の括弧、学習指導要領の趣旨の周知と実現に向けた取組の重要性に関しまして、三つ目と四つ目の丸になります。「実践がうまくいっている学校では、自分たちの言葉で再定義し、納得して取り組んでいる」様子が見られる、学習指導要領の趣旨の実現に向けては、「正確に趣旨を伝えると同時に、指導の実践は多様な方法が共存できる状態が良い」という御意見。
 12ページに参ります。やや下ほどになりますが、主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善に関しまして、一つ目と二つ目の丸、「探究型学習」などは、「何を目的として実施するかを明確にすることが必要」、「小学校と中学校の教師が集まり、9年間の学びをつなぐ視点でカリキュラムを再設計」することが必要。
 13ページに参りまして、指導と評価の一体化に関しまして、一つ目の丸、指導と評価の一体化が「日々の事業の中でも行われている認識を教師が持つこと、『比べる評価』から『育ちの評価』へと転換することが大切」であるといった御意見を頂きました。
 以上、部分的な御紹介となりましたが、委員の皆様から多様な視点で今後に向けて大変重要な視点からの御意見を頂いたと思っております。
 学習指導要領の円滑・確実な実施を図るため、引き続き、教育委員会・学校における取組について適切にフォローアップするとともに、今期の教育課程部会における御意見を文科省における施策の展開にもしっかりと生かしてまいりたいと思っております。
 報告は以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。続きまして、教員養成部会について、後藤教育人材政策課長から御説明をいただきます。お願いいたします。

【後藤教育人材政策課長】 ありがとうございます。教育人材政策課長の後藤でございます。
 教師の養成・採用・研修等に関しましては、令和3年3月の大臣諮問に基づきまして、教師の特別部会を中心として25回にわたって御議論いただきましたが、この特別部会には、教員養成部会の全委員にも御参画をいただきました。
 昨年の12月に「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」ということで答申を取りまとめていただきました。
 本日の資料4-1を御覧いただければと思います。こちらが答申の概要でございます。今映していただいている1ページ目が総論でございます。
 総論の1ポツから3ポツのところでは、令和3年答申や、昨今の子供たちの多様化や社会の変化、教師の養成・免許・採用・研修に関しての制度や実態を俯瞰しておりまして、一番下の4ポツのところで全体を通しての改革の方向性を三つお示しいただきました。
 一つ目が、「新たな教師の学びの姿」の実現であります。教師の学びを子供の相似形として捉えて、教師自身の学びを転換するということ、それから、教師の養成段階も含め、理論と実践の往還の実現を目指すということでございます。
 二つ目が、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成であります。教師一人一人の専門性を高めるということに加えまして、多様な専門性を有する人材が教職員集団の中に入ることで組織のレジリエンスを高めるということや、組織マネジメントの重要性、また、働き方改革を一層進めることなどについてお示しいただいております。
 三つ目が、教職志望者の多様化や、教師のライフサイクルの変化を踏まえた育成と、安定的な確保という点でございます。
 大学の教職課程においても、多様な教職志望者へ対応するための柔軟性を高めることや、教育委員会におきましても、教師のライフサイクルの変化を踏まえた柔軟な対応が必要であるという点をお示しいただいております。
 2ページ目に進んでいただきまして、こちらは各論の方でございます。諮問いただい5点に対応する形で具体策を御提言いただいたものでございます。5本あります。
 一つ目がまず「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる資質能力であります。1ポツのところ、記載のとおり、教師に求められる資質能力を五つに構造的に再整理するとともに、教職課程に関しては、理論と実践の往還を重視するという観点から、教育実習の在り方を見直して、例えば全ての学生が一律に教職課程の終盤に教育実習を実施するという形式を改めて、早い段階から学校体験活動を活用して学校現場に入って、大学における理論に関する学びと現場での実践に関する学びを反復しながら学ぶようなスタイルなどが提言されたところでございます。
 二つ目が、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成であります。こちらでは、データ活用や、心理・語学力等の強みや専門性を身に付ける活動と教職課程の両立、また、小学校の教科担任制推進に対応した新たな教職課程の開設を進めることなどが示されております。
 また、教員採用選考の在り方として、早期化・複数回実施とか、多面的な採用選考の実施について、また、多様な人材を取り入れるための方策については、特別免許状の運用の見直し、あるいは教員資格認定試験の高校「情報」への拡大などが示されているところでございます。さらに、校長の育成指標の策定や学びの支援といった点も提言を頂いております。
 三つ目が、教員免許の在り方についてでございます。教員免許更新制については、令和3年11月に審議まとめを取りまとめいただいて、国会における法改正を経て、これまでの教員免許更新講習における成果を継承しつつ、新たな研修制度の実施へと発展的に解消するということになりました。各教師の研修履歴を記録するとともに、その記録を手掛かりとして学校管理職が資質向上に関する指導・助言を行う仕組みが令和5年4月1日から開始されます。
 この仕組みを支えるために、国は教職員支援機構とも連携しながら、研修コンテンツを一元的に収集・整理・提供する機能を備えたプラットフォームと研修履歴記録システムの一体的な構築を行うことが必要であると指摘をいただいております。
 また、4点目ですが、教員養成大学・学部、教職大学院の在り方でございます。
学部と教育大学院の連携・接続について、教職大学院への進学希望者対象コースの設定や、先取り履修を踏まえた在学年限短縮等の提言を頂いております。
 また、言わば横の連携として、教育委員会と大学との人事交流とか、実務家教員の積極的な登用といった、理論と実践の往還を重視した養成についてもお示しいただいております。こうした取組を通じて、教員就職率の向上、組織体制の見直しを図ることも言及をいただいております。
 5点目が、教師を支える環境整備についてでございます。
 まず、先ほど御紹介した研修履歴記録システムとプラットフォームの一体的構築の必要性や、新たな研修制度においては研修履歴の記録管理を自己目的化しない意識が必要だという点を御指摘いただいております。
さらに、失効・休眠免許保持者の円滑な入職支援や働き方改革の一層の促進、処遇の在り方の検討などについても御指摘をいただいております。
 答申の大まかな内容は以上でございます。
 このほか、教員養成部会におきましては、特別免許状の授与指針の改正や、教職課程の自己点検・評価に関するガイドラインの策定とか、教職課程においてICT活用指導力を身に付けるための方策について御議論いただいたり、また、大学からの教職課程の設置申請の審査について御対応いただいたところでございます。
 文部科学省といたしましては、今期中教審で取りまとめていただいた答申を踏まえまして、様々御提言いただいた改革についてスピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。
 また、本日の資料4-3の方では、改革工程表案として具体的な取組をスケジュールもまとめてお示しさせていただいていることも御報告させていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では続きまして、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会について、藤岡幼児教育課長から御説明いただきたいと思います。

【藤岡幼児教育課長】 失礼いたします。文部科学省の幼児教育課長をしております藤岡でございます。
 資料6-1を基に御説明をさせていただきます。
 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会につきましては、令和3年7月に設置され、これまで12回にわたり熱心に御議論をいただいたところでございます。1年前の令和4年3月に審議経過報告を出していただき、先月2月にこれまでの御議論いただいたことを、資料6-1にありますとおり、「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について」として取りまとめをいただいたところでございます。
 この審議まとめの内容について、簡単に御説明をいたします。
 資料6-1の上の部分の四角の中を御覧ください。理念として、5歳児から小学校1年生の2年間を架け橋期と焦点を当て、0歳から18歳までの学びの連続性に配慮してこの架け橋期の教育の充実を図ること、また、教育行政を所管する文部科学省は、こども家庭庁などと連携を図りながら、架け橋期の教育の質の保障を行っていくことが必要などとなっております。
 その下に参りまして、推進する方策として、大きく六つに分けて記載されております。
 1番と2番がいわゆる教育活動、教育内容に関わるものでございます。1ポツとしましては、先ほど申し上げた架け橋期の教育の充実として、幼稚園、保育所、認定こども園、そういった施設類型にとらわれずに、幼児教育施設と小学校がしっかりと協働して、幼児教育施設においては小学校教育を見通して資質・能力を育み、一方で小学校においては、幼児教育施設で育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施することとなっております。
 2番といたしましては、幼児期の遊びを通した学びの特性について、社会や特に小学校などとしっかりと共通認識を図ることなどが記載されております。
 3ポツ、4ポツにつきましては、子供、特にやはり支援を必要とする子供たちや、また、御家庭に対する内容となっております。3ポツといたしましては、障害のある子供や外国籍の子供など特別な配慮を要する子供への支援のため、関係機関との連携強化や研修の充実などが記載されております。4ポツといたしましては、全ての子供が格差なく学べるようにするための支援として、未就園児の家庭も含めて学びの機会を推進することや、また、全ての子供のウェルビーイングを保障することなどが記載されています。
 5ポツ、6ポツにつきましては、いわゆる行政での対応ということといたしまして、5ポツは主に地方自治体におきます幼児教育施設における教育の質を保障するために体制整備を行ったり、また、幼児教育アドバイザーなどの人材育成を推進することとなっております。6ポツは、主に国の内容といたしまして、教育の質を保障するために必要な調査研究などとして国内外の研究ネットワークを構築することや、幼児期の教育がその後の子供の成長にどのような影響があるのかを明らかにし、質の高い幼児教育を実現するための大規模な長期縦断調査の実施などが記載されているところでございます。
 文部科学省といたしましては、昨年まとめていただきました審議経過報告を踏まえまして、既に幼保小架け橋期におきます教育の質の向上のため、19の自治体でモデル事業を実施することなどを進めております。引き続き当事業を進めるとともに、OECDなどと連携をして、諸外国の動向なども踏まえて、幼児期、そして、幼保小接続期の教育の質の向上を進めてまいりたいと考えております。
 また、令和5年度からは、先ほど6ポツのところで申し上げました大規模な長期縦断調査を国として初めて実施いたしまして、幼児期の教育の長期的な影響について調査研究を推進したいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大変失礼いたしました。さらには、順番もひっくり返してしまって申し訳ありませんでした。
 それでは、学校安全部会につきまして、西條室長から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【西條安全教育推進室長】 ありがとうございます。
 それでは、資料5を御覧ください。第3次学校安全の推進に関する計画(概要)でございます。
 こちらにつきましては、上の四角囲みの二つ目の丸になりますけれども、「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について」ということで令和4年2月7日に中教審の方から答申を頂いたところでございました。審議の経過といたしましては、9回にわたる御審議を経て、答申を頂いたところでございました。
 その答申を踏まえ、第3次学校安全の推進に関する計画を策定いたしまして、昨年の3月に閣議決定をされたというところでございます。
 こちらにつきましては、一つ目の丸に戻っていただきますと、学校安全の推進に関する計画については、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため国が策定する計画ということで、学校保健安全法の第3条に規定されているというところでございます。
 中身でございますけれども、頂きました答申を踏襲するという形で作られてございます。
 まずローマ数字1の総論でございます。向かって左手、第3次計画の策定に向けた課題認識というところでございます。学校が作成する計画・マニュアルに基づく取組の実効性に課題、学校安全の取組内容や意識の差がある、東日本大震災の記憶を風化させることなく、今後発生が懸念される大規模災害に備えた実践的な防災教育を全国的に進めていく必要性などについて課題認識がなされたところです。
 それに対して、施策の基本的な方向性ということで、御覧いただいているとおり、6本の項目について方向性をお示しいただきました。それを踏まえて、今後目指す姿といたしましては三つ丸がございます。
 全ての児童生徒等が自ら適切に判断し、主体的に行動できるよう、安全に関する資質・能力を身に付けること、学校管理下における児童生徒等の死亡事故の発生件数について限りなくゼロにすること、学校管理下における児童生徒等の負傷・疾病の発生率について、障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させることを目指す姿としたところでございます。
 そういったことをどのように進めるかというところで、ローマ数字2の推進方策、五つの推進方策にまとめてございます。
 それでは、2ページ目を御覧ください。その五つの推進方策の具体的な内容が書かれております。例えば推進方策1でございます。学校安全に関する組織的取組の推進というところで五つの柱を更にぶら下げている形で、学校経営における学校安全の明確な位置付け、セーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れた学校安全計画を見直すサイクルの確立等を書かせていただいているというところでございます。
 以上、簡単ではございますが、御報告とさせていただきます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 特別部会、それから、三つの部会、さらには特別委員会、初等中等教育分科会の下に設置されております各部会等からの御説明をいただきました。ただいま御説明いただきました各部会等の審議状況も踏まえつつ、この後、委員の皆様からお言葉を頂きたいと思っています。
 議題2ということでございますが、冒頭申し上げましたように、大変恐縮ですが、お一人2分程度ずつとさせていただきまして、この11期の2年間の振り返りとともに、今後の中央教育審議会に期待するといったようなこととか、あるいは議論を引き継いでいきたいといったことにつきましてお話をいただければと思っておりますが、委員の皆様に中身はもちろんお任せしますので、よろしくお願いいたします。
 参考資料2があるかと思います。委員の皆様の名簿になっております。その参考資料2、2ページにわたっておりますけれども、この名簿順に御指名をさせていただきます。その中で、堀田分科会長代理につきましては最後に御発言をお願いしたいと思います。
 それからまた、御都合で早くに退出していただかなければならないとか、あるいはまた、逆に途中から来られるということを承っている委員の方もいらっしゃいます。ともかく名簿順にお示しをいたしますので、いらっしゃらない場合は、またその場面場面で考えたいと思います。
 それでは最初に、井坂委員、よろしくお願いいたします。

【井坂委員】 お願いします。今のお話があった内容に合致するかどうか分かりませんけれども、最初にお話しさせてもらいます。
 昨日、実は横浜地方は、早春の暖かな日差しの下、本校では卒業式を行いました。御案内のとおり、今年の卒業生は、緊急事態宣言の下、入学式を行いましたが、登校はままならず、分散登校、その後も時差登校、オンライン授業等を繰り返すなど、大変苦労した学年でございました。
 しかし、子供たちは大変晴れやかな表情で卒業していってくれました。
 また、4年ぶりにこういう式典において保護者や来賓の方をお迎えして、大変盛り上がった式になりました。そして、式は昼前に終わったのですが、夕方まで保護者や子供たちは、写真を撮ったり、マスクを着けていますが、語り合ったりしながら学校で過ごしておりました。
 また、教員の方も、今までの苦労が何事もなかったように、生徒や保護者、そして、同僚と、心から生徒の卒業のお祝いを語り合っておりました。
 私は今回中教審委員を務めさせていただきまして、最後に、教育に関するリスペクトという言葉をお話ししたいと思います。
 これは何も教員に対して尊敬の念を持てということではなくて、やっぱり教育という行為に対して、いわゆる内在する貴さとか崇高さというものを改めて考えたいなと思っています。
 卒業式の喜びは、教員はそれぞれ成就感や達成感、保護者の方は我が子の成長に対する安堵感や感動、また、地域や関係者の方々は生徒を見守ったという晴れやかさなどがあるのしょうが、そこには教員や保護者、地域の方、立場を超えた、生徒の成長に対する無償のといいましょうか、無限の喜びがあって、卒業式においてはその思いがまさに一体化されて、独特の雰囲気を持つものだと思っています。
 長くなりましたが、今、OECDが掲げるコンピテンシーの中には、新たな価値を創造する力、対立したジレンマを克服する力、責任ある行動を取る力とありますけれども、この考え方が、まさに人、さらに様々な組織として学校が、家庭が、文科省が、県教委が、あるいは企業などがそういう立場を超えてやっぱり改めて、今年、学制発布150周年ということになりましたけれども、教育というものが非常に崇高なものだという、そういう意識を国民全体が空気感を持つことがやっぱり教育の根底にあるのではないかと思います。
 その意味で、今回の答申の、非常にたくさん答申がありましたけれども、「令和の日本型学校教育」を支える教員の養成・研修においては、これも何回か触れましたけれども、「おわりに」の部分で、教師が創造的な魅力ある仕事であることの再認識という言葉がありましたけれども、これはまさに教師がそういう創造的な仕事であるためのバックボーンには、教育という行為そのものが崇高であるということがないとなかなか難しいと思っております。
 最後になりますけれども、来年、新採用で来る学生と何人か会いました。本校に来る、来年4月から教員になる者と会いましたけれども、いわゆる教員養成系の国立大学に行っていても、教員養成系ではない学部・学科出身であるという学生たちも何人かと会いました。
 いずれも非常に高い意識を持っています。様々なこの景気動向の中で教員という職業を選んでくれた、教育に対して崇高な念を持った子供たちが、子供たちと言っては失礼ですけれども、教員を選んでくれたんです。大変そういう意味では、私は今後の学校教育については安心感を持って、未来は明るいものと思っております。
 今後とも中教審におきまして、是非高い理念の下、教育に対するリスペクトというものを根底にしながら議論をお続けいただきたいと思います。
 長くなりました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは続きまして、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 今村です。分科会長の荒瀬先生、堀田先生、そして、文部科学省の皆さん、本当に丁寧な場づくりをしていただきまして、ありがとうございました。
 私はこの2年間、本当に大きな宿題を子供たちから課されたまま、この2年を今終わろうとしているような感覚を持ちながらこのタイミングを迎えています。今、多くの学校で少しずつ、マスクをしなくてもいいよという声掛けが学校の中で始まって、特に4月からはマスクをしなくてもいいというような、これはまた学校ごとの判断で、卒業式で歌うときだってマスクをしなくてもいいという呼び掛けをされた学校もあると聞いています。
 そんな中で子供たちから一方、私たちが運営しているところに来ている、放課後支援施設があるんですけれども、そこで会う子供たちから聞こえてくるのは、SNSに載せる写真もデジタル端末では素顔なんてもう載せない、フィルターを掛けた自分しか友達には見せていないと。
 デジタル端末、SNSとかでも、学校でも街の中でもマスクをしていられるから、逆にそこでもリアルで会ったときも素顔を見せなくても済む、この期間に慣れたという中で、今、マスクを取るということは物すごく怖いと。普通の自分の、例えば歯を矯正している子がその歯を見せるということが怖いとか、子供たち同士の声掛けも、マスクをしているから、傷付いた顔を見せなくても隠していられたけれども、隠せなくなってしまうということも怖いというような声を聞いていました。
 私たちはこの2年間で本当に、個別最適という言葉とか、いろいろな学校の中で今までなし得なかったことが確実に前に進む期間を子供たちと共に過ごしてきたんですけれども、ただ、何かそれによって子供たちから奪っていったものというか、機会として子供たちに経験させてあげられなかった、もっと人と人とが一緒に過ごすということは、いろいろなぶつかりもあるし、そこでどのようにレジリエンスを獲得していくのかというところもあるしというような、個別最適で心地よいだけじゃない中から得られるもの、素顔の自分をみんなに見せ合って、悩みも含めてぶつけ合うということの価値みたいなもの、そういったことがやっぱりAIとかChatGPTみたいなものが出てくる社会の中で、学校で学ぶことのとても大きな部分は、むしろそういった部分なのではないかということを感じています。
 もう一度、みんな子供たちが自信を持って人前で素顔を見せられると。その中で得られるものを学校という場でどのように届けていくのかということが残された大きな課題なのではないかなと感じています。
 感想になってしまいましたが、以上です。皆さん、どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、加治佐委員、お願いいたします。

【加治佐委員】 それでは、私は簡単に3点ほど申し上げたいと思います。
 先ほど後藤課長から御紹介がありましたように、教師の養成・採用・研修の在り方に関する答申が出ました。これの具体化はこれからになります。その工程表も示されておりますので、是非本当に実現いただきたいと思います。
 特に新しい教師の学びの姿、こちらは本当にこれまでの教師の研修を大きく変えると。理論と実践を融合させる、あるいは教師の探究型の学びということが、養成だけじゃなくて研修でも行われるということで、大いに期待しているところです。
 2点目は、これはもう私が改めて言うまでのことではないのですけれども、やっぱり教職の魅力化を絶対に図っていただきたいということです。
 働き方改革、待遇改善、文科省にも調査研究会が設けられたり、あるいは自民党も特命委員会をつくって鋭意審議されておりますけれども、本当にこれを是非実現していただきたいと思います。大げさに言うと、教師に人材が確保されないと、あえて言いますけれども、国の存亡にも関わりますので、是非お願いしたいということです。明確な一定の方向性を出していただきたいと思います。
 最後は、今申し上げましたように、今は教師不足等ではあるのですけれども、ただ、教員需要は減少します。少子化が著しいですので。
 是非養成する側の在り方ですね。教員養成大学・学部があるわけですけれども、こちらも今後これをどうしていくのかということにも、答申にも書かれているんですけれども、やはり明確に一定の方向性を出して実現をしていただきたいと思います。
 積極的にそれには協力してまいりたいと思います。
 以上です。本当にどうもお世話になりました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。とりわけ、教員養成部会で大変ありがとうございました。
 それでは、清原委員、お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授、前三鷹市長の清原慶子です。
 今期においては、分科会での審議に加えて、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」をはじめ、各部会及び特別委員会での熱心な審議が重ねられてきました。極めて多様な課題の解決に向けて取り組む本分科会の運営をリードしていただきました荒瀬分科会長、堀田分科会長代理、そして、委員の皆様、事務局の皆様に心から感謝いたします。
私も分科会の一員として、これだけ多くの提案をできたことを誇りに思います。
 ここで、今期の本分科会の取組の中で特に印象に残っておりますことについて申し上げます。
 1点目は、昨年2月に取りまとめられました令和4年度からの5年間を計画期間とする「第3次学校安全の推進に関する計画」の策定に向けた提案です。長引くコロナ禍や児童生徒をめぐる安全を脅かす事案が続く中にあって、この学校安全に関する内容には、学校安全に限定したというよりも、あるいは「学校の安全教育の充実」に加えたものの内容だけではなくて、特に「家庭、地域、関係機関との連携・協働による学校安全の推進」が明記されました。通学路の安全をはじめ防犯・防災の観点から、学校における内部の安全管理の取組の充実に加えて、「学校を含む地域社会全体の安全文化の醸成」が発信されたということは極めて重要と考えます。「学校、家庭、地域、そして、関係機関等との連携・協働」は、学校安全のみならず、コミュニティ・スクールをはじめとして初等中等教育において共通する重要な要素であると思います。
 2点目は、昨年12月の「教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申」です。これは今、加治佐先生も言われたように、本当に重要な内容を含む答申がなされたことを心強く思います。内容はこれから実施段階に入るわけですが、今日、工程表がもう既にまとめられているということは、単に答申をして、それを受けていただいただけではなくて、もうこれからアクションを起こすという工程表を作っていただいているわけですので、是非それを推進していただきたいと思います。
 個人的なことで恐縮ですが、私は(初等中等教育段階において)幼稚園でも小学校でも中学校でも高等学校でも、本当に人生に寄り添ってくださる教員と出会うことができました。加えて、私は、実は大学院で教員養成課程を大学生と一緒に受講したのですけれども、そのとき、私立の高校で教育実習をしました。そのときの担当の教員もすばらしい方で、大学院生の私は改めて大学教員しかないという将来の選択肢ではなくて、大学教員になろうと思えたんです。だから、いい教員と出会うこと、それが教師を志願する人を増やすことになるのではないかなと痛感しています。
 教育実習も大切に、大切にしていただければありがたいと思います。
 そして、私は現在、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議において、教育委員会の機能強化、活性化のための方策、教育委員会と首長部局の効果的な連携の在り方、小規模自治体への対応、そして、学校運営支援のための教育委員会が果たすべき役割などについて検討させていただいておりますので、初等中等教育分科会での推進力に地方教育行政がなりますように、引き続き検討を推進していきたいと思います。
 3点目は、本日詳細な御報告をいただいた「教科書・教材・ソフトウェアの在り方」について、GIGAスクールが定着しつつある中、社会全体もデジタル化やデジタルトランスフォーメーションが進んでまいりますので、このテーマは極めて重要になってくると思います。
 リアルとデジタルの調和、対面とオンラインの調和を図る上でも、教科書・教材・ソフトウェアについても今後の検討の推進を心から願っています。
 最後に申し上げます。4月1日から「こども基本法」が施行されます。その第3条には、基本理念の6項目が定められています。全てを紹介しませんが、第2項にはこのようにあります。「全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること」と定められています。
 もちろんその後には、こども子供が意見表明をする権利や、何よりもこどもの最善の利益が優先されることも書かれています。初等中等教育分科会の今後の審議が是非これまでの経過を踏まえつつ、「こども基本法」が施行されることにもなりますので、今まで以上に初等中等教育段階でこどもたちの最善の利益が保障され、こどもたちの生き生きとした学びと成長が、生き生きとした教師と共に、保護者と共に、地域と共に推進されますことを心から願っています。本当に皆様どうもありがとうございました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では続きまして、小林委員、お願いします。

【小林委員】 お願いします。
 皆様おっしゃられたように、本当にコロナによるいろいろな制限が解かれ始めまして、令和5年度は本当に大きな変革のときを迎えるのではないかなと思っています。この3年間を思い出してみると、本当にコロナ禍によって実施できなかったことが多かった半面、ICTの活用などこの間に飛躍的に進歩したこともたくさんあったなと思っています。
 今、現場へ時々行かせていただくと、本当に働き方改革の観点も含めて、改めてこれから本当に必要なことは何なのか、この期に削るべきことは何なのかということを議論し始めています。このコロナの経験があったからこそと言えるようにするためにも、次の令和5年度は本当に重要な意味を持つと思っています。
 個人的には、令和4年度のこの答申の内容はすごく大事だなと思っています。特に学び続ける教師という観点から、先生方一人一人が、本当に教員という仕事は単に生計を立てるための仕事ではなくて、まさに子供たちの学びと同様に自分の成長を含めた学びの過程として教員生活を捉えられるといいのではないかなと思っています。そのために、何度か提案させていただきましたけれども、研修の受講履歴なんかも、先生自身が自分のリフレクションを促すというようなポートフォリオ的なものにして、最終的に40年近くの歩みを自分自身でたどっていけるような形にできるといいのではないかなと思っています。また是非この会でも御検討いただければなと思います。
 私自身は、この初中分科会で学ばせていただいたこと、本当にたくさんいろいろ勉強させていただきましたので、私自身もこれを自分の糧にして、これから子供たちとか先生方のためにどうやって支えていくことが自分にできるだろうかということを考えながら、自分にできることを精一杯いやっていきたいと思います。皆様、本当にありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では続きまして、清水委員、お願いいたします。

【清水委員】 この3年間のコロナ禍の中で、学校現場のところでもそうでしょうけれども、私たちPTAも本当にいろいろと苦労しました。初年度はもう全く何もやれないという状況の中から、2年目、3年目というところでそれぞれ各地のPTAも工夫をしながら活動をしてまいりました。
 今回この初等中等教育分科会の中で様々な部会に参加をさせていただきました。その中でも教育課程部会の中で、今日の資料3の中にもありましたとおり、学校と家庭との連携の在り方というところが改めてやっぱり重要だなというところに本当に尽きると思っています。
 先ほど各委員の方々からもお話があったように、これから先に向けて改めて、やはり私たち保護者の立場からしますと、どこまで行っても先生との出会いというのは本当に大切だと思いますし、特に小学校の段階でお世話になる先生というのは、人生への影響力が本当に大きいと思うんです。そういった意味でも、これから先々、教員の待遇の改善に向けた議論というのは引き続きやっぱりやっていただきたいと思っております。
 大変、この2年間いろいろと本当に私も学ばせていただきました。本当に皆様方にはお世話になりました。本当にありがとうございました。
 簡単ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、竹中委員、お願いいたします。

【竹中委員】 竹中です。お世話になっております。
 このたび、6年間在籍させていただきましたけれども、この分科会あるいは中教審の方を退任させていただくことになりました。この6年間のうち3年間がコロナ禍ということでしたけれども、本当にいろいろな意味で深い勉強をさせていただいたなと思っています。とりわけ現場で教育に携わられる皆様方の御苦労とか、あるいは逆に喜びとかそういうものもしみじみと痛感させていただくことができました。
 そして、コロナ禍においては、情報通信技術を使って新たな教育の方法も模索されたということで、30年間、情報通信技術を使って障害のある方々の就労支援の活動をしてきた者としても、そういうふうに共に手を携えて障害のある方とない方が情報通信技術でまた働いたり、学んだり一緒にすることができるんだなと、悪いことばかりではなかったなと、そういうふうにも思っています。
 まだまだこれから、教育というのは非常に壮大で重要な分野ですので、もっと議論を深められなければいけないこととか、新たな課題とかが出てくるかとは思いますが、委員を退任しましても、そういった教育というものに対して関心を持ち続け、また、皆様方の意見に真摯に耳を傾けながら、自分自身これからも深く勉強していきたいなと思いました。
 それから、個人的なことになりますけれども、自分の娘が重度の障害ということで、コロナで会うこともなかなかかなわず抱っこもできなかったという状態ですが、少し落ち着きまして、先日3年ぶりに娘の病院に伺って抱き締めてやることができたというようなこともありました。一人一人の方がこのコロナ禍にいろいろな思いと経験を持たれたことと思いますけれども、またこれから御一緒に乗り越えていきたいと思います。
 最後に、ずっと仲よくしていただき、そして、私に様々な示唆を下さった清原慶子さん、本当にありがとうございました。
 長年、お力添えとか友達をしていただき、これからもますます活躍してくださいますように。
 いつも慶子さんのすてきな声で発言されるのを聞きながら一杯励まされました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 そして、事務局の皆さんには大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。
皆さん、どうも本当にありがとうございました。失礼いたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。お嬢様にお会いになれたということ、本当によかったと思います。ありがとうございました。

【竹中委員】 ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 それでは、吉田委員、お願いいたします。

【吉田(晋)委員】 もう今、本当にコロナでこの2年間完全に止まってしまいました。そういう中でも初中教育は、やっぱり対面式を重んじて、いい教育をやってきたと思っています。ただ、ここに来て、やはり働き方改革、そういったものも加わって、これから先、先生という職業への魅力、それから、先生になってブラック企業のように思われて、それで単位数はたくさん取らなければいけないしということで、いい人材が来なくなってしまうということが今度、初中教育には非常に大きく問題となってくるのではないかなと考えております。
 そういう意味でも、やはり一人でも多くの今いる生徒たち、子供たちが、先生になって、自分たちが将来、自分たちみたいな子を育てたいという、そういう思いをつくれる初中教育にしていただきたいなと願っております。
 何か漠然としてしまって申し訳ないですけれども、そういう思いでこれからもやっていきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 学校保健会また日本医師会のほうから参りました、渡辺でございます。
各部会、ワーキンググループにおかれましては、大変すばらしい答申や報告書を作成されたと思います。
 危惧いたしますのは、これらの答申や報告書の内容を現在の教職員が実行できるかという点であります。現在、教職員採用試験倍率が低下し、教員の資質が懸念される中、教職就任後、教員がすべき非常に多くの課題や業務をこなしていけるのかということを疑問に感じるわけです。
 特にGIGAスクール構想においては、個別最適な学びを推奨されていますが、1人の教師が35名以上のクラスの個々に対応することは非常に難しいと思っております。教員1人で対応が難しいからといって、それを非常勤職員で賄うには、習熟度や技能などから対応し難いと考えます。これらに対応するためには、公務員定数を増やし教職員の実数を増やすことと、優秀な人員を増やすための給与の増額が必要だと思います。文部科学省におかれては、財源が必要なことですので、すぐに対応できることではないと思いますが、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 最後に、会議の運営に際してお願いがございます。各委員の発言時間を何らかの形で制限していただきたいと思います。各委員ともいろいろ発言されることはおありと思います。
 しかし、委員の数も多い中、御出席の皆さんが会議において発言されたいと思っているはずでありますので、会議終了後に座長が、発言時間が足りなくなってしまい御発言できなくなった委員は後日メールでと言われておりましたことを振り返りますと、せめて1回の発言は3分以内というようなルールを示していただければと思います。
 例を挙げますと、内閣府、文科省、厚労省が主催されている子ども・子育て会議は30名以上委員がございますけれども、1人2分のルールを全員遵守されておられます。文部科学省におかれましては、このような例を参考にしていただき、今後の運営に関して御検討いただければ幸いでございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。重要な御指摘も頂戴いたしました。ありがとうございました。
 それでは、渡邉正樹委員、お願いいたします。

【渡邉(正)委員】 東京学芸大学の渡邉正樹です。
 私は今回で中教審の仕事は終わりということになるんですが、ほぼ10年、携わらせていただきました。
 今回の第11期では、学校安全部会のほうの部会長として、第3次学校安全の推進に関する計画の取りまとめに携わらせていただきました。学校安全は、生活安全、交通安全、災害安全と多岐にわたって非常に大きな問題を扱っております。
 そのため、様々な学校安全活動が学校、地域で行われているわけなのですけれども、ここ何年かの状況を見ますと、例えば、学校管理下の死亡件数などは、20年、30年ぐらい前からかなり近年減少しているということもありまして、学校安全の取組というのは非常に進んでいるという印象を持っています。ですが、しかし御存じのように、この第3次計画が出た後も、昨年は通園バスの問題とか、また、つい先日は、これも痛ましい事件でしたけれども、学校への不審者侵入が起きております。
 このような問題というのは、新しい問題というよりは、過去にも起きているようなことが繰り返しているという状況があるわけです。
 ですから、これを何とか繰り返し起こらないようにしていくという取組が、具体的な取組が必要になってくるのではないかと考えております。
 私は中教審のほうの仕事は終わりですけれども、引き続き、学校安全はもちろん、あと学校保健のほうもちょっと関わっているんですが、そういったような仕事については引き続き行っていきたいと思いますので、今後も、子供たちの、そして先生方の命を守るという、そういうような仕事に力を入れていきたいというふうに考えております。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。学校安全部会も大変お世話になりまして、ありがとうございました。
 それでは、秋田委員は後ほど御発言いただくことにいたしまして、安家委員、お願いいたします。

【安家委員】 ありがとうございます。幼児教育研究機構の安家でございます。
 今日、2点お話をさせていただきたいと思いますが、1つは、幼少の架け橋委員会の御報告が先ほどもございましたが、過去より非常に大きな課題として私どもが捉えていた問題が様々議論をされてきました。ある一定の方向性が出されましたので、今後、その方向性に基づいて、幼少の架け橋がしっかりとなされていくのであろうというふうに思うのですが、そもそも幼児教育は方向目標、義務教育は到達目標という非常に大きな違いを持った教育を連続させていくということで、今回のプロジェクト的な学びなども含めて、ぜひ、小学校の現場での実施と、幼児教育と小学校教育のともの理解が促進されるような方策をお願いしたいというふうに思っております。
 お互いに非常に多忙でございまして、教員同士の交流をするのはなかなか難しい現実もございます。その辺りもお願いしたいと思います。これがまず1点。
 2点目は、免許証更新講習が発展的に解消して現在に至っておりますが、我々は平成18年に、幼児教育の保育者の資質向上の研修俯瞰図を発案し、研修を自分たちが履歴をハンドブックに残していくという方策を続けてまいりました。今後、令和6年に向けて、私ども幼稚園だけではなくて、認定こども園や保育士、それから子育て支援員の方々に対しても、オンデマンドで研修を受講いただけるようなシステムを今考えております。
 義務教育は、文部科学省のほうで教職員養成機構のほうがなされておりますが、私どもは、小学校に入る前までの教員たちのものとして、そのようなものを考えているということをお知らせさせていただきたいというふうに思っています。
 この2年余りの間、私ども、コロナでございましたが、マスクもせず、保育士や幼稚園の先生は子供たちの言語獲得のために口元を見せなければいけないということで、非常に苦労した運営をさせていただきました。いろいろお世話になりました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、石崎委員、お願いいたします。

【石崎委員】 お世話になりました。
 この2年間は、本当に教育を取り巻く環境が大きく変化した2年間じゃなかったかなと思います。特に新型コロナの影響だけではなく、新しい学習指導要領が始まったというのもそうですし、少子化ですとか過疎化などによる学校規模の縮小だとか、教員不足、教育の格差なんていうのも喫緊の課題として浮かび上がってきたように思います。
 そうした中で、年末に示された教員の養成・採用・研修等の在り方については、何人かの委員の先生からもお話が出てきたように、本当に実効あるものになってほしいなと思います。
 先ほど井坂先生に先に言われてしまったんですけれども、私も部会の中で同じ趣旨のことをお話しさせていただきましたが、本当に教育へのリスペクトというものを社会の中で共有するということは大切な考え方だと思います。
 教員の働き方改革ですとか処遇の改善だとかという表面的なことはもちろん大切なんですけれども、日本にとって教育がいかに大切なものであるのかということをもう一度社会の中で価値を共有できるような、そんなことをこの会議から発信していってほしいなというふうに思います。
 また、もう一つ最後に、恐縮なんですけれども、今日の資料だけでも本当大変な分量になるんですが、新学習指導要領の実施も含めて、学校でやらなければならないことというのがあまりにも膨大になっていると思います。
 さらに、学校だけでは解決できない問題というのも増えてきており、学校の現場で消化できなくなってきているのかもしれないなというふうに思います。ぜひ今後、次の会議では、学校が関わらなければ本当にならないことというのを精選してもらって、学校から切り離せるものというのをぜひ考えていっていただければなというふうに思います。何らかの形で学校が関わりながら外部の人材を取り入れるという考え方もあるとは思うんですけれども、完全に学校が関わらなくていいものというのはないんだろうかというようなことも考えていけたらいいんじゃないかなというふうに思いました。
 本当にお世話になりまして、ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、続きまして、市川伸一委員、お願いいたします。

【市川(伸)委員】 市川です。
 私はこれからのこの分科会への期待も込めて2つお話しさせていただこうかと思います。
 今回、学習指導要領が公布されてから、それの周知徹底をどう図っていくかという時期にあたったと思うんですが、実際には、コロナのこともあっていろいろ困難なこともありました。ただ、私は2つ申し上げたいことがあります。
 一つは、今回の指導要領でうたわれている社会に開かれた教育課程と、それから、さらにその先、令和答申でも出ました個別最適な学び、こういうことを実現していくためには、社会教育とか地域教育との連携が不可欠だろうということです。もちろん、連携してくださいということは答申の中にも書いてあります。ところが、実際にそういう関係の部局と連携しながら、あるいは、委員が一緒に合同会議などもやりながら政策を立てていくというところまで、なかなかとても行ってないのではないか。
 むしろ、そういうことを積極的に行いながら、具体的な共同政策のようなものを地域教育、社会教育と連携しながら出していくということが必要ではないかなと思っています。
 もう一つは、高等教育との連携です。今回、特に高校での教育に関してももっと探究的な学びを入れていくとかSTEAM教育を入れるとか、あるいは、これは新年度からになりますけれども、理数的な興味とか能力の高い小中高の子供たちに対して、もっと学校を超えたプログラムを大学が作って、つまり、企画・実施して、今これ募集しているところだと思います。それを活用しながら、世界的に活躍できるような理数系の人材を育てていくと、こういうようなことも大学に求められているわけです。
 どれも非常にいいことだとは思うんですけれども、じゃあ本当にそれがうまく機能するかどうかということについては、更なる連携が必要かと思っています。つまり、今挙げた三つの高校での学び、どれも大事なことなんですけれども、そういうことにかなり力を注いだ子供たちが、大学入試ということで葛藤を起こしてしまうのではないかと。そういうことをやってきたからといって、例えば、スポーツ推薦のように優遇されるわけではない。そういう推薦入試も一部あるかもしれませんけれども、少なくとも大多数の一般入試では、そういうことが優遇されてくるわけではないので、学校側も生徒側もかなり葛藤状態に置かれる可能性があります。
 そういうことも含めて、そこの大学との連携ですね。高大接続部会というのもあったわけですけれども、どうも入試をどうするかということだけにとらわれた議論だけになっていると、私はあんまり抜本的な解決にならないんじゃないかなと思います。高大接続というのは、何も入試をどうするかという問題だけではなくて、大学教育の中身も含めた小中高との連携というのが図られていくべきだと思います。
そういう意味でも、高等教育の部会との合同の会議などがあるかというと、私は十数年、初等中等教育分科会に入っていますけれども、あまりそういう直接的な何か連合会議というのは聞いたことがないです。
 今日、2つのことを申し上げましたけれども、社会教育、地域教育との連携ということと、高等教育との連携ということ。これはやはり、初等中等教育分科会だからこそ、やろうと思えばできることで、教育課程部会だけではなかなか荷が重いといいますか、かなりそれを超えた話になってしまいますので、ぜひこれからのこの分科会にも期待したいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御提案をいただきました。では、続きまして、岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】 岩本です。ここまで本当にありがとうございました。大変私自身勉強になりましたし、非常にいい機会をいただけたと思っております。今日、振り返ってということで、大きく2つほどです。
 1つは、この会の進め方に関してです。私、今回参加させていただいて、この会議自体だけではなくて、事前の打合せだとか事後も含めて、非常に意見を丁寧に考え方とか含めて受け止めていただいてきたなというところで、本当に事務局の丁寧な対話のプロセスをつくっていただけたと思っています。
 一方、今後に向けてというところで考えますと、先ほど意見の時間、1人2分以内とかあったかと思います。せっかく意見、すばらしい委員の皆さんがいらっしゃる中で、より対話的にというふうに考えたときには、今後、場合によっては、もう1人1台デジタルの時代ですので、全体の説明のところはオンデマンドの活用だとか、同時双方向でやるからこその対話の時間を多く取るとか、全体で共有すべきことは全体でやりながら、40人とか30人というくくりだけでなく、もっと小グループでの対話の時間を取るとか、そういったところの試行錯誤、方法論みたいなところなんかは、より次回以降も探究していけるといいのかなと思いますし。
 あと、今回あった児童・生徒の意見を聞く機会というのも、非常によかったなと思っています。今後も、より多様な子供たちの意見や声を効率的に受け止めていけるような仕組み、仕掛け、方法論みたいなところは、次回以降も、より探究を進めていけるといいのではないかなというのが大きな1つ目です。
 2つ目は、今後、さらに引き継いでいっていただきたいと思うテーマというか、意識できたらいいと思っていることは、他分野との連携・協働とリソースの確保に関してです。他分野との連携・協働に関しては、先ほどありました、学校の話だけでなくて社会教育だとか高等教育の部分というところもそうですし、加えて、他省庁との連携・協働というところですね。学校教育だけではなくて、福祉の話、デジタルの活用、こども家庭庁とか、場合によっては経産省とか、様々なそういったところとも連携・協働しながら子供たちの育ちだとかを見ていく必要が出てきていると思います。
 ので、場合によっては、そういった省庁のほかの会議体もあると思います。委員を掛け持ちするとか、招くとか、引き込むとか、場合によっては、こちらから乗り込んでいくぐらいの形で、うまくつないでいくというような動きも一方で必要なのかなと思いますし。
 その先にあるのがリソースの確保ですね。理念だけでは現場は変わらない。しっかりとした人、金などをしっかりと入れていく、供給できるというふうにしていくためには、国民の理解、そのための発信だとか機運醸成もそうだと思いますし、行政の中の既存の予算の取り合いだけではなくて、外からのリソースの確保とかそういったところも含めて、具体的にどういうふうに、今後、本当の意味で社会に開いて、社会の資源を子供たちや教育のために引き込んでいくのかということをもっと戦略的に検討しながら、リソースの確保を考えていく必要があるのではないかと思います。
 ですので、今までどちらかというと、閉じて守るというところが強かったと思うんですけれども、そこに加えて、開いて攻めていくという、社会に対してはやっぱりそうしていかないと、くれくれ言ってもくれないと思いますので、そういう部分も併せて、多分、これからの委員の皆様も割と開いて攻める姿勢の方たちが多いと思いますので、事務局のほうはしっかり閉じて守るところはやりながらも、委員なんかもかうまく活用しながら、そういう攻めていく部分、取りに行く部分とかというところは、これはこれで仕掛けていく動きを今後あるといいかなというふうに思っておりました。
 ここまで本当にありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御提案もいただきました。ありがとうございました。
 では、大字委員、お願いいたします。

【大字委員】 全国連合小学校長会の大字でございます。
 この2年間、委員の皆様の示唆に富む多様な意見を聞くことができました。私自身も大変勉強になりましたし、今回の議論を踏まえて、学校教育の充実に向けて、さらに力を尽くしてまいりたいと思っているところです。
 学校現場を預かる校長として、今後の審議に向けて、1点お願いをしておきたいことがございます。現在の学校の状況は、例えれば、4トントラックに10トンの荷物を積んで走っているようなものです。その上、走行時間も長ければ、走行距離も長く、休憩時間すらほとんどありません。積み込む荷物も多種多様になってきています。一度しっかりと立ち止まって、学校という器に何を入れるのかということを社会全体で改めて議論する必要があると考えています。
 器の大きさは決まっているわけですから、あれもこれも全部詰め込むということでは、次々に器からものがこぼれていってしまいます。実際に、長年にわたって、学校には多くのものが積み込まれてきました。そのどれもが大事なことであると考えてはおりますが、足し算で積み重ねていくだけではなく、教育の質の向上のためには、引き算の発想が、今、何よりも必要だと学校現場で痛感をしております。
 次期中教審では、学習指導要領の改訂に向けての議論が始まると、そういうふうになるかと思います。例えば、総授業時数の大幅な削減や学習内容の徹底的な精選などの議論が進展することを期待しております。よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、坂越委員、お願いいたします。

【坂越委員】 坂越です、簡単に2つほど。
 大学で教員養成に関わっていますので、今回、教師の在り方特別部会の議論に参加させていただいたことは、本当に自分でも勉強になりました。感謝したいというふうに思います。
 ぜひ、この12月年末の答申が着実に実行されて、教師が本当に魅力ある専門職になるように、これは本当に願っています。と同時に、そうやってボリュームを確保することと同時に、私たち大学で教員養成を担っている者としては、質保証ですね。学び続ける教師のスタートアップの時点で、本当に学び続ける姿勢を、教師を志望する学生たちに身につけさせること、これをどうやって実際に展開していくのか。教育実習の新しい在り方なんかも提示されていますし、その辺りを本当に意識しながら取り組んでいきたいというふうに思います。
 もう一つは、この期に並行して、特別支援教育を担う教師の在り方や、それから、栄養教諭、養護教諭の資質向上に関する委員会にも参加させてもらいました。学校教育は本当にいろいろな方たち、いろいろな専門職、スクールソーシャルワーカーの福祉系のスタッフも含めて、そういう人たちがチームでもって成り立っている、そういう現場だというふうに思います。本当に専門的な知識を持ったそういう先生方、教員の人たち、この人たちが学校という舞台で一緒に学び合う、そういうことがこれからの教員研修なんかでもあってほしいなと思いました。
 先ほどの在り方特別部会の答申なんですが、そこでうたわれた新しいこういう研修のプログラムの中に、こういう言い方は失礼かもしれないけれども、栄養教諭や養護教諭の存在を絶対忘れないように、教育委員会とか学校、管理職のほうで取り組んでいただけたらというのが願いでございます。
 よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、田中委員、お願いいたします。

【田中委員】 ありがとうございます。NPO法人青少年自立援助センターの田中です。
 皆様、非常に貴重な議論の場に参加をさせていただいたこと、改めて感謝を申し上げます。様々な立場の委員の方々が子供たちのために非常に誠実に議論を尽くされる姿を目の当たりにして、2人の子供を育てる母親としてもとても勇気づけられた時間となりました。
 各議論において、多様性ですとか多様化といった言葉が大きなキーワードであり、一層重要な観点になっているんだなということを改めて感じています。
 私が活動しています外国にルーツを持つ子供の支援分野から見えている直近の現状について、この場でぜひ共有をさせていただければと思いますが、令和4年度については、入国制限、水際対策の緩和によって、新規来日、再来日した外国人人材ですとか外国ルーツの子供たちが急増したんです。大人を含めて、2021年の年末からこの半年間で、在留外国人は20万人以上増加をしています。
 私たちの現場にも、各地の学校さんですとか自治体から、対応が間に合いませんというようなSOSを多数いただくような事態となっています。加えて、ウクライナのお子さんをはじめ、アフガニスタンやミャンマーなど難民性の高い子供たちも増加をしていまして、言わば、学校さんが世界の縮図となっているような状況も見られます。このポスト・コロナの揺り戻しの状況、現場の皆さんの中では、令和5年度以降も、少なくとも数年間続くんじゃないかというような見解になっています。
 この状況を踏まえて、私から2点、お願いをしたいのは、1点目は、多様性というキーワードを、課題としてだけでなく、強みとしてポジティブに捉えられるような視点、学びの場で追求をしていただきたいということです。
障害があるお子さん、LGBTQ、外国にルーツを持つ子供や不登校の子供など、言わばマイノリティーの子供たちについては、学校教育上、どうしても課題、問題、負担として捉えられがちな状況があります。
 一方で、外国人の増加も含めまして、多様な人々と生きる共生社会の実現、不可避な状況の中で、社会全体が多様であることを前向きに受け止められるかどうかというのが非常に重要な鍵となっています。
 今の子供たちが多様性に対する前向きな感性ですとか、共生社会の中で強く生きていく力を育めるかどうか、30年後の日本社会の未来にとっての非常に重要だというふうに感じていまして、様々な取組の中で、引き続き、多様性というキーワードを保持していただきながら、多様であること自体が生かされるような学びの在り方についても、ぜひ御議論をいただければというふうに思います。
 2点目として、ほかの委員の皆様のコメントにも集約されておりますが、学校さん、大変負担が大きな状況だなというふうに認識しています。
 速やかに取り組めることは速やかに取り組んでいただきながらも、今が苦しい子供たちや学校さんの課題解決にとって必要不可欠な取組については、私たちのようなNPOの専門性もぜひ学校の先生方がちゅうちょなく活用していただけるように、実効的な推進についても取組の御検討をお願いします。
 私も地域資源の一員として、引き続き、子供たちの最善のために、学校さんや自治体さんと協業を進められるよう力を尽くしていけたらと思います。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。
 「安全で安心できる学校づくり」に向けて日々悩みつつ、学校支援等に千辛万苦を重ねているところでございます。このたび、御批判だけではなくて、多くの励ましの声や御支援等をいただき、本当にありがたく思っているところであります。
 ところで、世界に冠たる日本の日本型教育ですが、ウェルビーイングまた教育DX、DE&Iなど、これらをキーワードとしたポスト学制150年の新たな教育の船出が今年から始まっています。
 かねてから学校現場では、日本型学校教育の強みの自覚や誇りが弱いことに加えて、近年、ICTの活用が推進されてきたことで、その強みが浮き出てきた部分と沈んでしまった部分があると思っています。今後は、弱みの克服だけではなく、強みの相承策について考えていくべきではないかと思っています。
 また、OECDのスチューデント・エージェンシーの概念も、子供を主語にした学び、GIGAスクールのセカンドステージなど、今後の教育改革の鍵を握っていると思っています。こども基本法、こども家庭庁設置法の成立と併せて、ますます重要になると思います。
 その際、ファーストステップとして、個別最適な学びにおける、特に「学習の個性化」については、学校現場がどこまで本当にそれを実現できるのかが重要です。従来からの授業観や方法、つまりOSが変わらない中で進めていくと、デジタル教科書もGIGA端末自体も、浸透どころか、いずれ不必要となってしまうのではないかと危惧しています。
 そのために「個別最適な学びと協働的な学び」が浸透しない原因を、この際、徹底的に探っていきながら、「スチューデント・エージェンシーを育成する学びのリ・デザイン」の議論も本格的に深めていくべきと思っています。
 ほかにもありますが、2分過ぎましたので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。いろいろお気遣いの多い日々かと思います。どうぞ本当に子供たちが安心・安全に過ごせますように、心からお祈り申し上げております。

【戸ヶ﨑委員】 ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 それでは、奈須委員、お願いいたします。

【奈須委員】 よろしくお願いします。上智大学の奈須です。教育課程部会を中心に議論に参加させていただきました。
 今期においては、デジタルの導入による学校教育の基盤的条件の変化が非常に大きかったと思います。今後も引き続き、デジタルの可能性や課題について検討を進めていくとともに、それと対比で浮かび上がってきた、アナログとは何かという問いも深めていく必要があるかと思います。
 デジタル教科書の導入との関係で、紙かデジタルかという問いがよく問われましたが、当然のことながら、アナログ、イコール紙ではありません。デジタルの導入は、視覚、聴覚優位の学習環境をもたらしがちかと思います。学びにおけるそれ以外の感覚モダリティー、あるいは、身体の役割の不可欠性、重要性というのはこれまでも指摘されてきたとおりですが、デジタル時代の学校教育においては、一層こういったことが重要になってくるかと思います。
 それから、もう一点、今期の検討で十分に議論を尽くせなかったものとして、学習指導要領総則の第2の2、教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成、具体的内実の明確化、実施に向けての方策並びに条件整備の在り方の検討があるかと思います。
 第2の2では、1として、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力、2として、豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力、この2つが示されています。
 情報活用能力のように、既に測定方法まで含めてかなり具体化が進んでいるものもありますが、全体としては、まだまだ検討すべき課題が多く残されているように思います。
 あるいは、実際の方法に関わって、同じく小学校総則にある合科的・関連的な指導とどう違うのか、相互の関係をどう考えるのかといった課題もあるかと思います。
 また、さきのデジタルと同様に、このこととの対比で浮かび上がってくるのが、教科とは何かという問いかなと思います。この問いは近年、世界的にもカリキュラム・オーバーロードとの関係で真摯に問われているところです。
現行の学習指導要領では、算数・数学科において、昭和33年以来の領域の全面的な見直し、それに伴うデータの活用の創設など、非常に前向きな取組もなされました。同様の検討が、今後、全ての教科等において期待されるところではないかと思います。
 また、研究開発学校の成果もこれに関係して様々に上がってきています。例えば、福岡教育大学の附属福岡小学校からは、873時間の時数削減を実施し、学力はむしろ向上しているという報告をエビデンスとともにいただいています。これまでの慣習や現状にとらわれることなく、教科の任務は何か、さらに、学校の任務は何かということを徹底的に検討する必要が今後あるんだろうなと思います。
 以上です。本当にお世話になりました。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ワーキンググループの取りまとめも、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、平井委員、お願いいたします。

【平井委員】 全日本中学校校長会の平井でございます。昨年6月から、前任の会長の後を受けまして参加をさせていただきました。
 教育課程部会と教員養成部会に所属させていただき、教育課程部会では、全日本中学校校長会として学習指導要領の実施状況について御報告させていただきました。
 また、令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会の基本問題小委員会では、12月19日にまとめられた答申の中間まとめ(案)の段階で、全日本中学校長会としての意見を聞いていただくことができました。
 副会長をはじめとする全日本中学校長会としての様々な意見を述べる機会を与えていただいたこと、それらを踏まえて検討いただいたことに感謝申し上げます。
 この答申にもありますとおり、将来教師を目指す人材は、子供の頃の教師との出会いが大きいと感じています。それは、子供たちにとって最も身近にいる大人であり、モデルであるという点が大きいからだと思います。子供たちは様々な課題を抱えていますが、一人一人の子供たちに寄り添いながら教師が仕事をしている姿、これが本当に輝いていることが大切であると考えます。頑張っている教師が疲弊するのではなく輝くことができる、そのような学校になっているだろうかと、私も一校長としていつも考えているところです。
 3年間のコロナ禍の中で、学校行事など、できないこともたくさんありました。その中でも、工夫をしたり、縮小したりしながら、子供たちが充実感や満足感を得ることができるように取組を進めてきました。ここで再び全体を元に戻すのではなく、スリム化したり、工夫したりしたことを生かしながら、来年度以降の活動に繋げていきたいと思っています。
 学校現場はビルド・アンド・ビルドでは保ちません。また、理想と現実とが乖離してしまっても意味がないと考えます。ぜひ、全国全ての学校の状況や課題を丁寧に拾っていただき、更に学校教育がよくなるようにと、今後も議論を進めていただければと思っております。
 昨年6月からの参加でしたが、本当に多くの皆様方から貴重な御意見を聞かせていただき、私も勉強になりました。今後も、中学校教育の発展のために尽力していくことができればと考えております。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、細田委員、お願いいたします。

【細田委員】 よろしくお願いいたします。さいたま市教育長の細田眞由美でございます。
 皆様、大変お世話になりました。本当に多くのことを学ばせていただきました。
 先ほど来、何人かの委員の皆様からも、コロナ禍における困難についてお話がございましたが、今年度もいよいよ卒業シーズンを迎えますが、思えば、今年卒業を迎えます中学生、高校生は、実は3年前、入学式も満足に行うことができず、そして、入学した直後は、学校が閉じた状況の中で新しい生活をスタートした子供たちでございます。
 そして、子供たちはもとより、校長先生を筆頭として教職員も、この3年間、大変難しい学校運営、教育活動を強いられてきました。本当に難しい判断を迫られながら、毎日、教育活動を展開してきたということでございます。
 その間、失われたもの、失ってしまったこともあるわけですけれども、ただ、実は得られたこともありました。
 その最たるものが、GIGAスクール構想における全国の義務教育段階の児童・生徒たちが1人1台の情報端末を手にしたということだと思います。
 そして、このことは、今進めております学習指導要領の主体的・対話的で深い学びを実現するためのまさにその武器を手に入れたというふうに思っているところでございます。
 そして、このことにより、確実に学校の風景、授業の風景が変わってきたということも事実でございます。私はその変化を実感しながら、本年1月の仕事始めの式で、本市の教職員にこのように申し上げました。
 私たちは、「シンGIGAスクール」で新たな学びのステージを手に入れようと、こんなふうに申し上げたんです。このシンGIGAスクールの「シン」は片仮名の「シン」でございます。片仮名の「シン」であるので、この「シン」を漢字で意味をつけるとすると、新しいでも、真実の真でも、深める、深化の深でも、前に進めるの進でも、伸ばす伸でも何でもいいと。つまり、それだけ様々なアプローチで、いよいよ私たちは新しい学びを手にしていこうと、そんな決意を持ったわけです。
 そしてそれで、その1つ、一番大きな柱としては、私どもは学びの探究化とSTEAM化というのを掲げているわけですが、子供たちはこうした探究的な学びを通して、これから生きていく社会の中で必要な力を身につけていきます。でも、その実現のためには、子供たちの伴走者として、一人一人の豊かな学びを支援することができるような教師自身の学びが必要であるということで、新たな教員の研修のシステム、一人一人が主体的・対話的で深い学びを教員自身ができるような、そんな新たな教員研修のシステムを構築していくということが大変重要だというふうに思っております。
 加えて、2023年度は、今お話ししたGIGAスクール構想で配付された1人1台の情報端末のこの後のリプレースのことや、それから、次の学習指導要領の議論も本格的に始まっていくというふうに思いますです。だからこそ、この年度にどこまで学校現場が学びを進化できるかということが大きく問われると思います。本当に2023年度は大切だというふうに実感しておりますので、ぜひ、この中教審での議論が、それぞれの基礎自治体へのサポートや明確な方向性をはっきりお示しいただけるような、そんな議論の場になっていくことをさらに御期待申し上げます。
 最後に、私、何年か後に、今、卒業を迎える子供たちがもしニックネームをつけられると、コロナ世代などというふうに呼ばれるとニックネームがつけられるかもしれないなというふうに思っているわけですが、そのときに、今私たちの目の前にいる子供たちが、実は、大人も子供も手を取り合って難しい時期を乗り越えていけた、そういう世代なんだと、だから、この後の予測不可能な世の中でも絶対に乗り越えていけると、そんな自信を持てる教育活動を実践したいと実感しております。
 本当に皆様大変お世話になりました。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、松木委員、お願いいたします。

【松木委員】 松木です。デジタル化や、少子化や、グローバル化ということが同時に進行する、大きく社会が変化する中で、子供たちが主体的に個別最適な学びや協働の学びを実現するということは、学習観を大きく転換するということですよね。これを実現するためには、教師の学習観の転換抜きにはあり得ない。ところが、これが結構難しいと思っています。
 教員養成の現場にいますと、教員養成の授業が、やはり知識の伝達と、それとはまた切り離した形で経験をさせる、この2本柱で成り立っているように思いますし、研修の中身を見たときも、先生方が子供たちと一緒に学んだ内容の中で、学びながら知を創造していくこと、あるいは、御自身がやった実践をリフレクションしながら、自分の在り方を考えていくような研修にはなかなか切り替えられていないというふうに思います。こういった意味で、非常に大きな山に今私たちは直面しているなというふうにも思っています。
 ただ、一方で、今回の採用・養成・研修の一体化の答申があるというのは、非常に大きな後ろ盾を得たような気がしています。こういったことを得ながら、私たち自身、例えば、中教審の中でも、さらに、免許の在り方だとか、課程認定の在り方、あるいは、研修での評価の在り方を再度見直していく必要があるかなというふうにも思いますし、教員養成を支える大学教員の育成の仕組みについても考えていかなきゃいけないなというふうな気もしていますし、さらに、令和の日本型学校教育がうまく実現し、それを支える教師の学びのシステムが整っているところから、それを世界に発信していく、世界から評価を得ていくということが我々自身の自信にもつながっていくんじゃないかなというふうに思っております。
 長い間ありがとうございました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、宮原委員、お願いいたします。

【宮原委員】 ファイザーの宮原でございます。
 私、2021年度から、こちらの臨時委員ということでディスカッションに参加させていただきました。昨年3月には東京都の教育委員も拝命しましたので、教育という軸で、皆様からの様々な意見、大変勉強させていただきましたし、一助になればと思って意見を申し述べてまいりました。
 私からこの2年間を振り返りまして2点ほど申し上げたいというふうに思います。
 1つは、産業界として大変すばらしい取組であったと思っておりますし、ますます加速するといいというふうに思っておりますのが、デジタル化ということでございました。教育のデジタル化というのは、日本にとっては非常に遅れた領域でしたけれども、この2年間で一気にスピーディーに加速をいたしまして、かなりのところまで追いついてきているのではないかというふうに思います。
 これから、学校を卒業して社会に出てくる子供たちが、デジタルという意味では、リテラシーをしっかり持った上で社会に出てくる方々が多くなるということについては、今後の産業界にとっても非常に喜ばしいことでありますし、希望の持てる一つのところであります。
 もちろん、まだまだ様々な問題はあるというふうに思いますけれども、このすばらしいスピードで加速しました教育のデジタル化、それから、教員も含めまして様々創意工夫に取り組んでいただきましたことは、必ず将来のための糧になるというふうに思っております。こちらを進めていただきまして、本当にありがとうございました。
 2つ目は、どちらかといえば少し懸念でございます。教員の研修のお話も先ほど出ておりましたけれども、教職という職業に対する魅力度ということについて、産業界にいる人間から見ますと、心配をしているところでございます。
 もちろん、そこには働き方改革ということがまだ道半ばであるということもありますし、データを見ましても、また、残業の多い先生方がたくさんいらっしゃって、先ほどビルド・アンド・ビルドでは保たないという話もありましたが、やることは増えてくるけれども、なかなか効率的に仕事が回っていないという現実と向き合いながら、先生方は毎日過ごしていらっしゃるというふうに思います。
 この働き方改革も含めまして、若い方が教職という職業に対して魅力を感じるというようなところにどうやって持っていくのかというのは、今後の課題であろうというふうに思っておりまして、それについては引き続き議論をしていただければなというふうに思います。
 この2年間、3年間ですかね、我々大人にとっても全く想定外のことが次々に起こって、それが日常生活に直接影響するということを経験いたしました。したがいまして、今までの常識も重要なところは残していきつつ、新しいこと、それから、これまでの価値観を押しつけないような教育現場というのをぜひつくっていただければというふうに思っております。
 2年間、どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、八並委員、お願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会会長の八並(やつなみ)です。私は、学校教育の中でも、生徒指導が専門です。
 生徒指導は、平成27年のチーム学校、働き方改革、GIGAスクール構想、あるいは、29年からの学習指導要領の改訂、令和3年の令和の日本型学校教育においても、常に、我が国の喫緊の課題として指摘されています。
 また、その間も、ネットニュースでは、ブラック校則、いじめ自死を含む児童生徒の自死問題、あるいは、教員の体罰や性暴力、不適切な指導などが問題視されています。
 理想と現実の狭間と変化の大きな波の中で、教職員は苦悩しながら日々努力されていると思います。同時に、疲弊されています。その現場の多忙性にも、生徒指導が大きくかかわっています。私も教員養成に関わっていますが、学生の方々には、現状の制度では、皆さんは、半分はティーチャーで、半分はスクールカウンセラーだということを忘れずに、覚悟を決めて選択してほしいと申しております。
 逆説的ではありますが、令和の日本型学校教育の未来を下支えするのが生徒指導の在り方だと言えます。生徒指導は、人間教育そのものです。
 児童生徒自らの個性の発見とよさや可能性の伸長と自己指導力の獲得が生徒指導の最大の焦点であり、同時に、やりがいでもあります。
 私事ですが、一昨年から『生徒指導提要』の改訂に取り組み、昨年12月に、文部科学省から『生徒指導提要』デジタルテキストが刊行されました。本書では、児童生徒主体の定義や目的を明示しました。
 また、日頃の授業や体験活動を中心とした発達支持的生徒指導の充実を強調しています。
 この発達支持的生徒指導の重要性は、次期教育振興基本計画(答申)において明記されています。これから、子ども家庭庁との連携・協働を図りながら、新しい生徒指導への挑戦の始まりだと思います。
 生徒指導の課題は、深刻で、多様です。教職員のマンパワーの制約上、容易に解決できるわけではありません。そのため、学校が地域の核となった地域社会総がかりの生徒指導が、必要だと思っています。ぜひ、今後とも、生徒指導の議論を児童生徒の学びやキャリア教育・特別支援教育と一体的に議論していただければと想います。
 最後に、多様な分野の専門家の方々との議論は、個人的にも非常に勉強になりました。今後とも、ここで学んだことを、教育・研究に活かしていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】 学習院大学の秋田です。発言の順序を変えていただきまして、ありがとうございます。
 ウイズ・コロナ、ポスト・コロナのこれからの教育の在り方について、集中的に令和答申として議論なされたこの期間であったと思っております。ここにおいて特に意識されたのは、子供の学ぶ権利を保障すること、そして、子供たちの声を聴き、子供の意見表明ということをもっと大人が大事にしていくことであり、それが乳幼児期から高大のところまで貫く一つの重要な方向性が示されてきたのではないかと思います。
 今回、4月より子ども基本法が施行されますけれども、こども家庭庁そして文部科学省が、省庁としても連携、つながり合いながら検討をしていくことが重要であろうと思っています。子供にとって、縦のつながりとして、私は架け橋の委員会にも参加させていただきましたが、幼小、小中、中高、高大というところの環境移行による変化ということについての議論は、まだまだ道半ばだと思っております。
 しかし、大人は制度で分けられていますけれども、それを経験していく子供にとって、日本型ウェルビーイングを実現していくためには、何が接続や連携・協働で重要なのかということを一層議論していくことが重要になっていくのではないかと思います。
 そして、そういう縦のつながりのためには、2点目として、教員同士のつながり、家庭や地域とのつながりという横のつながりが極めて重要だと思います。
 加治佐部会長の下で、今回、令和の教員の養成・採用・研修の在り方の議論がなされてきましたが、まだまだ不十分であると思っているのが教員養成大学の教員の意識改革でございます。
 これは私も含めて、今後、GIGAスクールに対応していくような単にICTを教えればいいというだけではなくて、その背景にある考え方や理念を教員養成や採用研修に関わる者皆が共有し、教師自体が、先ほど細田教育長も言われましたが、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学びと協働的な学びを、子供のみならず教師もまた、それから大学の教員もいかにして実行が可能なのかということの議論がさらに深められていくことが必要になってくるのではないかと思います。
 それによって、3番目には、多様性ということであります。多様な子供、多様な教師の在り方を保障していく。そうした教育の在り方について、今後さらに、実行可能な形の施策は何なのかということを掘り下げていくことが必要ではないかと考えております。
 この間、皆様とともにいろいろな議論をさせていただき、学ばせていただくことがありましたことを心より感謝申し上げたいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。架け橋委員会をはじめ、いろいろと本当にありがとうございました。
 それでは、堀田分科会長代理、よろしくお願いいたします。

【堀田分科会長代理】 堀田でございます。
 私この第11期は、初中分科会の分科会長代理を拝命いたしましたし、教育課程部会やあるいは幼小の架け橋部会と、特別部会、その下の義務教育ワーキングに参加し、教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキングでは主査を務めさせていただきました。中教審の外でも、関連する教育データの利活用に関する専門家会議や、あるいは校務の情報化の会議等で座長としていろいろと頑張ってまいりました。
 その中で感じることを一言だけ申し上げますが、何人かの委員の方もおっしゃったように、GIGAスクール構想というのは学校教育における学習基盤の大きな改革だと思っています。その学習基盤は、ICTの時代だからICTが入ってきたというよりも、これから日本の子供たちが身につけなければならない様々な学び方や素養、そういうものを育てるために、先生たちが教えるという形だけでは難しい、子供たちが実際に様々な情報に自分たちで当たっていき、それを整理し議論するみたいな、そういう授業の形を実現することが必要となり、そのための学習基盤の整備だというふうに考えております。
 GIGAスクール構想は現場の先生たちの御努力でどんどん進んできておりますので、この学習基盤の維持というのは、これから大きな課題になろうかと思います。
 さらには、この学習基盤としてのGIGAの端末、これを前提とした教育課程や授業の形態、あるいは教科書をはじめとする教材等の教材の在り方については、これから、さらなる検討が必要だと思います。
 先ほど奈須委員からも出ましたけれども、この学習の基盤となる資質・能力として挙げられている情報活用能力が、本当に各教科の学習学びの基盤になって発揮されるような、そういう情報活用能力であるためには、何らかの情報活用能力育成の指導法の共有であるとか、あるいは、教育課程としての内容や時間の保障、この辺りがこれから大きな課題になるかと思っております。
 最後になりますが、参考資料3に校務の情報化のところの報告書がありまして、今日、参考資料としてこれを私が報告することになっているんですが、もう時間がありませんので、手短にお話しします。
 この表紙にあるように、校務DX校務、校務をこれからDXしていくそのための考え方に、このタイトルにありますように、「GIGAスクール構想の下での」と書いてあります。GIGAスクール構想というのは校務そのものではないんですけれども、児童生徒が情報端末を1人1台持っていて、いつでもクラウドにアクセスできる構想です。同様というこの環境を生かして、先生たちの校務もDXし、少しでも働きやすくしていこうという、そういう考え方の専門家会議でございました。
 3ページ目に、現状の校務の情報化の課題をいろいろ洗い出したページがございます。
 この1番目のところに、働き方の選択肢を増やしていくんだと。今、先生たちがむしろデジタルによってむしろ職員室から離れられないみたいなことになっている状況があります。ことを、一生懸命教育に努力してやっていらっしゃる先生方のために、この校務に関するシステムの側からもが先生たちを働きやすくするんだという考え方で動いております。
 どのような議論がどのようになされたかは、そのページより後ろに書いてありますので、今日は省略させていただきますが追ってご覧ください。
 ので、ぜひ、これらが、先生たちが働きやすくなって、その上で、よりよい学習指導をしていただくために、こういうことが並行して検討されたということを御報告申し上げたいと思います。
 2年間ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 堀田先生、ありがとうございました。様々にお支えいただきました。感謝申し上げます。
 毎度毎度の話で大変恐縮ですが、今回もまた進行が大変まずくて、時間をオーバーしてしまいました。
ただ、今日は、いろいろといただいた御意見をちゃんと次期中央教育審議会につなげていただくということも含めて、最後に、藤原初等中等教育局長から御挨拶をいただきたいと思います。もうしばらく、申し訳ありませんが、このままでお願いをいたします。

【藤原初等中等教育局長】 
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、2年間にわたり大変活発な御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 分科会長として議論をリードしていただきました荒瀬分科会長にも厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 第11期の初中分科会は、令和3年4月に設置されて以降、これまで10回開催をされたところでございます。
それに先立つ令和3年1月に、令和答申がまとめられたわけでございますけれども、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、この方向に即して、この分科会では、教師の養成・採用・研修、それから、幼児教育と小学校教育の接続、教科書・教材・ソフトウェアの在り方など、様々な視点から具体的な議論を進めていただいたところでございます。
 現在、初等中等教育行政につきましては、申すまでもなく、非常に大きな転換期を迎えておりまして、その中で課題も大きなものがございます。この分科会において御議論いただきました内容を来年度以降もしっかりと引き継ぎながら、また新たな視点を含めて議論をさせていただければというふうに思っているところでございます。
 先生方、いずれにしても様々なお立場から、引き続き御指導いただきますように改めてお願いを申し上げますとともに、これまでのお力添えに感謝申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 藤原局長、どうもありがとうございました。
 これで第11期の中央教育審議会初等中等教育分科会を閉じたいというふうに思います。本当に皆様の御協力に心から感謝申し上げますとともに、せっかくそうして御協力いただきましたのに、十分議論をしていただく時間を確保できなかったということで、大変悔やんでおりますが、それも含めて、今日いただいた御提言を次期中教審につないでいただくことによって、議論のできる中教審に変わっていくということを御期待申し上げたいと思います。
 本当にありがとうございました。終了いたします。ありがとうございました。

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