初等中等教育分科会(第137回)議事録

1.日時

令和4年11月7日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省(※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教育振興基本計画部会における審議状況について
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等について
  3. 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について
  4. 「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」について
  5. 令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及び生徒指導提要の改訂について
  6. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから、第137回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。御多忙の中、本日も御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日も前回同様、発言時にはマスクを外すということで、このような形でさせていただきたいと思います。
 議題に入ります前に、前回の開催以降、事務局に人事異動があったということですので、事務局から紹介をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 教育制度改革室長の前田でございます。
 事務局の人事異動につきまして御紹介させていただきます。9月1日付で文部科学審議官に着任しました伯井でございます。また、同日付で初等中等教育局長に藤原が着任しております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 引き続き、本日の会議開催方式及び資料につきまして御説明をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 本会議は、コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議で開催させていただいております。大変恐縮でございますけれども、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、音声が聞き取りやすいように、会議室におります委員、事務局につきましてはマスクを取って発言をさせていただきます。必要な感染対策を行った上の措置となりますので、その点も御承知おきのほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり資料1-1から資料5-2まで、加えまして参考資料が1-1から7までとなっております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 議題に入る前に、私から1点、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会について、御報告をさせていただければと思います。
 これまでもお伝えしてきましたとおり、本年1月に本特別部会が設置されまして、私、荒瀬が部会長を務めているところでございます。検討事項のうち、教科書、教材、関連ソフトウエアの在り方につきましては、教科書・教材・ソフトウェアワーキンググループにおいて議論が進められております。本分科会の堀田委員が主査を務めてくださっておられます。前回の初中分科会におきまして、その審議状況について事務局から御説明をいただきました。その後、当該ワーキンググループにおいてさらなる議論が重ねられ、10月3日の特別部会において中間報告(論点整理)が示されたということでございまして、本日、参考資料1-1としてお配りをしております。
 また、10月3日の同部会では、その他の検討事項である1人1台端末等を円滑に活用した児童生徒への学習指導・生徒指導等の在り方や、学校内外の環境整備の在り方等について専門的な議論をいただくため、参考資料1-2と1-3のとおり、義務教育の在り方ワーキンググループと高等学校教育の在り方ワーキンググループ、この二つのワーキンググループを設置することが決定されました。
 このうち義務教育の在り方ワーキンググループにつきましては、先月17日に第1回が開催され、本分科会の委員である奈須委員が主査に、秋田委員が主査代理に御就任いただいております。このワーキンググループにつきまして、第1回会議が既に開催されたということでもありますので、奈須委員から少し御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【奈須委員】 よろしくお願いいたします。
 1回目ということで開催されました。初回でしたので、まず今後の義務教育の在り方ということに対して、割と自由に、先生方の関心事であるとか疑問に思っている点というのを出していただいたのかなと思います。このワーキンググループ、一つミッションとして義務教育の在り方というのを、本当に幅広に、何か決めていくというよりは、考えるべき論点ということを多様にしっかりと洗い出そうということで始めています。そのことに向けて、多様な専門性を持つ委員の皆さんから的確な御意見を多数いただきました。
 それからもう一つ、義務教育の在り方ということを見直していく中の一つの重要な角度として、多様性ということ、これはこの特別部会全体の大きな主題でもありますけど、多様性ということをどう捉え直し、不都合な事実もしっかりと直視してその原因を究明し、どのような対策が奏功するかということを丁寧に見詰めていこうという方針を確認するとともに、それぞれの御専門の立場から、いろんな御見識、御疑念のある点などを出していただきました。引き続きしっかりと議論を続けていって、2月に一つの取りまとめをということを目指して進めていきたいと思います。まだ初回でしたので、取りあえず今日はこんなところだと思います。

【荒瀬分科会長】 奈須先生、ありがとうございました。まだ初回ということでありましたけれども、今お話がありましたように、義務教育の在り方について幅広に議論していくということであります。高等学校のワーキンググループのほうはまだ設置されておりませんが、同じく幅広く議論をしていくことになろうかと思っております。
 今後、このワーキンググループの議論につきましては、また特別部会における議論も含めまして、本分科会にも随時御報告を差し上げたいというふうに思っております。委員の皆様方におかれましては、引き続き御審議よろしくお願いしますとともに、こういった動きがあるということの御承知、よろしくお願いいたします。
 では、議題に入りたいと思います。本日は、既に御案内のとおり、議題が五つございまして、まず議題の1でありますが、教育振興基本計画部会における審議状況について、議題の2は「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等について、議題の3は、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について、議題4は「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」について、そして最後、議題の5として、令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及び生徒指導提要の改訂についてということになっております。
 このように、大変たくさんの議題がございまして、時間の都合で、御発言いただける委員に限りが生じてしまう可能性があるかと思います。その場合には、大変申し訳ありませんが、会議の後に事務局宛てにメール等をいただければ議事録に掲載したいと思いますので、あらかじめ御了承をよろしくお願いいたします。
 また、既に報道等で御存じの方も多いかと思いますが、今回の議題の5でございます令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果につきましては、我々初等中等教育分科会といたしましても大変重く受け止める必要があると考えます。このため、議題の1から議題の4、いずれも重要ではありますけれども、こちらのほうは事務局からまとめて御説明いただいた後、質疑の時間も短く取って、議題5の説明と質疑に時間を割くという形で進行できればというふうに考えております。その点どうぞ御了解、よろしくお願いをいたします。
 なお、本日は、報道関係者と一般の方向けに、この会議の模様をユーチューブで配信しておりますので、御承知おきください。
 では、議題に入ります。議題の1、教育振興基本計画部会における審議状況について、議題の2、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等について、議題3、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について、さらに、議題4「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」について、先ほど申し上げましたとおり、四つの議題についてそれぞれ事務局から御説明をいただき、質疑についても最後にまとめて実施したい思っております。
 では、まず議題の1であります。教育振興基本計画部会における審議状況について、川村教育企画調整官から御説明をお願いしたいと思います。

【川村教育企画調整官】 それでは、資料1-1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 次期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方(案)につきまして、本議案につきましては、7月の初中分科会でフォローアップを中心に御報告、御説明させていただきましたけれども、そこでいただいた御意見も踏まえまして、10月28日の総会に、計画部会の一旦の基本的な考え方案として御報告したもの、こちらが資料1-1でございます。
 今回、次期計画のコンセプトといたしまして、一番上、ゼロにございますとおり、3期期間中に、新型コロナウイルス、また、ロシアのウクライナ侵略による国際情勢の不安定化、こういったことが生じまして、学校・教育の役割、学びが変容したことを踏まえ、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出すための教育の実現に向けた個別最適・協働的な学び、また学習者主体といった考え方が重要であるということ。また、共生社会の実現、ウエルビーイングの実現といった方向性、さらには、グローバル化、持続可能な社会の発展を生み出す人材の育成、デジタルトランスフォーメーションに向けた教育・学習の改革、こういったものがコンセプトとして掲げられているところでございます。
 1ポツのところは現状と課題の把握でございますけれども、こちら前回御説明をさせていただいた部分ございますので、2のところ、ちょっと字が細かくて恐縮ですが、オレンジのローマ数字2のところで五つ、基本的な方針を挙げております。
 丸1として、日本社会に根差したウエルビーイングの向上・共生社会の実現に向けた教育の推進ということで、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出すための学び、また、課題が多様化・複雑化する中で、多様性、公平性、また包摂性ある共生社会の実現に向けた教育の推進、ウエルビーイングの向上等という内容でございます。
 丸2として、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材育成ということで、社会課題の解決をイノベーションにつなげるような取組、また、生産性向上に向けた人への投資ということで、持続可能な社会のつくり手の育成に向けた取組、また、主体的に社会の形成に参画する態度の育成が方向性として掲げられているところでございます。
 丸3として、地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進ということで、コミュニティー・スクールと地域学校協働活動の一体的推進等の方向性が示されております。
 丸4として、教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進ということで、DXに至る3段階、この3段階目のDXを見据え、そのイメージを持ちながら、第1段階から第2段階への移行を着実に推進するという方向性の下で、教育データの利活用、また情報活用能力の育成、他方でリアル(対面)活動も不可欠であるという方向性が示されております。
 丸5として、計画の実効性確保のための基盤整備・対話ということでございます。指導体制・ICT環境等の整備、NPO等多様な担い手との連携ということでございます。
 次のページでございますけれども、こちらの基本的な考え方に基づきまして、次期計画における各論の項目ということで、1から16まで目標をお示ししております。
 1につきましては、確かな学力と、それから幅広い知識と教養ということで、この辺り、初中段階と高等段階を同じ目標に位置づけまして、この学校段階間の連続性、継続性を図るというような観点で整理をしております。基本施策のところは、この目標を実現するための施策ということで項目をお示ししておりますけれども、計画部会の中では、この基本施策のそれぞれの項目についての意見交換が現在行われているところということでございます。
 2として、豊かな心の育成、この中には子供の権利利益の擁護、また主観的ウエルビーイングの向上といったところが新しく入っております。
 それから、3につきましては、健やかな体、そして4では多様な教育ニーズへの対応ということで、社会的包摂の観点からの施策をこちらにまとめておりまして、重点的な項目として位置づけております。
 次のページでございますけれども、主体的に社会の形成に参画する態度の育成等ということで、子供の意見表明等、こちらも今回新しく項目立てしたところでございます。
 7のイノベーションのところでは探求・STEAM教育、また、8、9、10につきましては、リカレント教育、学校・家庭・地域の連携、地域コミュニティーということで生涯学習的な観点、そして、11で教育DXの推進ということで、1人1台端末の活用、情報活用能力の育成等々、こちらのところで重点的に推進すべきということで目標として位置づけております。
 12で指導体制・ICT環境、13で地理的状況等によらないということで、次のページでございますけれども、14、NPO・企業等との連携、15、施設整備、16、ステークホルダーとの対話ということで、現在このような形で整理をしておりまして、年度内の答申取りまとめに向けまして計画部会で議論を進めているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御意見、御質問等は最後にまとめてということで、よろしくお願いをいたします。
 では続きまして、議題の2「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等について御報告をいただきたいと思います。教師の在り方特別部会における答申素案と併せて、関連の深い養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議の議論の整理について、それぞれ御説明をいただくということでございます。
 それでは、教師の在り方特別部会、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議の順番で御説明をお願いいたします。
 まず、小幡教育人材政策課長、続いて南野健康教育・食育課長からお願いをいたします。

【小幡教育人材政策課長】 教育人材政策課長、小幡でございます。
 教師の養成・採用・研修等の在り方について、答申素案について説明させていただきます。
 こちらは昨年3月に文部科学大臣より諮問させていただき、中教審の中で、総会の下に教師の在り方特別部会を設置して、審議を進めてきたところでございます。先月10月28日に総会が開かれ、この審議の素案について御審議いただき、おおむね御了解いただいているということでございますが、本日、分科会のほうにも報告させていただきます。
 諮問では五つの事項がございましたが、教師に求められる資質能力の再定義、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方、教員免許の在り方、教員免許更新制の抜本的な見直し、さらには教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化、五つ目として教師を支える環境整備がございました。このうち教員免許更新制については、先行して結論いただきたいと要請したところでございまして、昨年11月に審議まとめがまとまり、初中分科会にも報告させていただいたところでございますが、今年の通常国会に法案を提出し、5月に教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律が成立したところでございます。これに基づきまして、教員免許更新制の発展的解消と、研修履歴を活用した新たな教師の学びの姿を実現するための体制の構築が図られることになったところでございます。
 残りの検討事項につきまして、特別部会、さらにはその下に基本問題小委員会を設置し、議論いただいたところでございますが、その上で、10月28日に答申素案を御審議いただいたという状況でございます。内容については、本文もおつけしておりますけども、お時間の関係で、概要に沿って説明させていただきます。
 まず1枚目でございますが、こちらが第1章の総論でございます。1で、令和3年答申で示された教師及び教職員集団の姿、そして2で、子供たちの多様化と社会の変化の状況、そして3で、教員の養成、免許、採用、研修に関する制度及び実態をお示ししているところでございます。
 一番下に今回の法改革の方向性をお示ししているところでございますが、一つ目の柱として「新たな教師の学びの姿」の実現ということで、子供たちの学び、授業観・学習観、これが転換するわけでございますが、教師自身の学びも転換し、個別最適・協働的、そして主体的な学びをしていく必要があるということでございます。また、養成段階においても理論と実践の往還の実現を示しております。
 二つ目として、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成ということでございます。具体的に三つございますが、一つ目として、教師一人一人の専門性を高め、さらに多様な専門性や背景を持つ人材を外からも取り込んでいく、これが重要だということでございます。二つ目として、多様化した教職員集団のマネジメントについて、学校管理職のリーダーシップが大事であるということが示されております。また三つ目として、学校の働き方改革、こちらについても示しております。
 三つ目については、教職志望者の多様化や、教師のライフサイクルの変化を踏まえた育成と、安定的な確保についてお示しをしております。
 2枚目でございます。こちらが各論になるわけでございますが、かなり幅広い答申素案ということでお示しをいただいております。
 一つ目としては、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力について5項目に再整理したこと、また、教育実習の在り方について、実習時期の柔軟化等についてお示ししております。
 二つ目としては、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成ということで、教職課程における多様な専門性を有する教師の養成を掲げているところでございます。その中には教員採用選考試験の早期化、または特別免許状など、多様な専門性や背景を持つ人材を教師として取り入れることもお示ししているところでございます。
 三つ目として、教員免許の在り方ということで、教員免許更新制の発展的解消と、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等の仕組みによる教員研修の高度化についてお示ししております。
 四つ目として、教員養成大学・学部、教職大学院の在り方として、教職大学院の在学年限の短縮でありますとか、教育委員会との連携・協働などについてお示ししているところでございます。
 5番目として、教師を支える環境整備ということで、学びの振り返りを支援する仕組みの構築や多様な働き方など、教師を支える環境整備についてお示しをしているところでございます。
 本文のほうには、最後に「おわりに」という記載があるところでございますが、この中で、今回の答申は、教師が創造的で魅力ある仕事であることが再認識され、志望者が増加し、教師自身も志気を高め、誇りを持って働くことができるという将来の実現に向けた提言である点が示されているところでございます。
 この後、こちらについてはパブコメをやらせていただき、年内に答申をおまとめいただく予定としているところでございます。
 以上でございます。

【南野健康教育・食育課長】 健康教育・食育課長の南野でございます。
 私からは、資料2-2に基づきまして、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議の議論の整理について御説明させていただきます。
 教師の養成・採用・研修等の在り方につきましては、先ほど御説明がありました特別部会におきまして審議が行われたところでございますけれども、養護教諭及び栄養教諭につきましては、他の教諭等と異なる専門性を有することから、本年3月に、本分科会の委員でございます坂越委員、また貞広委員にも御協力いただきまして、本協力者会議を設置したところでございます。令和4年5月以降、4回にわたり会議を開催し、本年9月に中間的なまとめとして、議論の整理を取りまとめたところでございます。
 議論の整理につきましては、1枚紙の資料にございますとおり、主に四つの論点が掲示されているところでございます。
 まず1点目の論点でございますけれども、求められる役割の明確化についてでございます。本協力者会議におきましては、アレルギー対応や新型コロナ対応など、養護教諭や栄養教諭の専門性が求められる課題が増加する一方で、養護教諭や栄養教諭の役割に対する理解が十分でないといったことや、各校おおむね1人配置であるために、膨大な事務を個業により処理せざるを得ないといったことが現状の課題として挙げられ、今後の検討の方向性として、他の教職員や関係機関との関係を含めた養護教諭や栄養教諭に求められる役割の明確化が必要であると指摘されているところでございます。
 また、健康教育や食育の推進に当たりましては、養護教諭や栄養教諭のみで行うのではなく、教職員間で連携して、アレルギーや生活習慣の乱れなどの児童生徒が抱える課題に対応できるよう、全校的な推進体制を構築することが求められ、その際には校長等の管理職において、校内の全ての教職員の能力を最大限発揮するといった観点から、養護教諭や栄養教諭の役割を理解した上で、その専門性を生かした学校全体での組織マネジメントが求められるとしているところでございます。
 また、2点目、3点目に関する論点でございますけれども、資質能力の向上に直接的に資する研修の観点からは、資質の向上に関する指標について、養護教諭や栄養教諭の職務の専門性が必ずしも適切に反映されたものとなっていないのではないかといった御指摘、また、多くの学校において1人配置であるために、校内で他の教諭と学び合う場面が少ないことが課題であると指摘されております。また、資質の向上に関する指標につきましては、職務の専門性を指標に適切に反映するとともに、それを教員研修計画にも反映し、指標の策定時に、養成と採用・研修の結節点として関係者が共通理解することが重要であることが今後の方向性として示されているところでございます。また、研修の参加につきましても、複数校によるネットワークの構築や拠点校の形成を進め、1人配置となる養護教諭や栄養教諭が学校間でつながりを持てるよう工夫した上で、例えば経験豊富な教師等を派遣し、その知見を生かした研修等の充実や研究機会の確保を図るなど、域内における養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上を図るための継続的・組織的な体制を構築することも有効であるといった点も指摘されているところでございます。
 最後、4点目でございますけれども、ICTの活用についてでございます。本協力者会議におきまして、養護教諭や栄養教諭のICT活用が進んでいないのではないかといったことや、養護教諭や栄養教諭には端末や無線LAN環境の整備が行き届いていないのではないかといったことが課題として指摘されておりまして、教育委員会等の責任においてICT環境の整備を進め、養護教諭、栄養教諭の業務において今後さらなる活用が求められることが方向性として示されているところでございます。
 本協力者会議におきましては、今後、これまでの検討を基礎とした上で、特に養護教諭と栄養教諭に求められる役割の明確化に向けてさらに検討を進めるとともに、養護教諭と栄養教諭の効果的な連携方策や、養護教諭と栄養教諭の業務におけるICTの活用策について、地域における事例を収集しながら、その解決に向けた方策を具体的に示すことを目的として、最終的な議論の取りまとめに向けて検討を進めていく予定でございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 お二人、どうも御説明ありがとうございました。
 では続きまして、議題の3、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について、横田企画官から御説明をお願いいたします。

【横田幼児教育課企画官】 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について御報告をさせていただきます。
 昨年7月に、この初等中等教育分科会の下に、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を設置し、幼児教育の質的向上及び小学校との円滑な接続について専門的な調査審議を行ってきていただいているところです。
 次のページになります。そして、本年3月に、初中分科会におきまして、審議経過報告の骨子案について御審議いただいたところですが、いただいた御意見などを踏まえまして、改めて特別委員会において審議が行われ、審議経過報告が取りまとめられましたので、御報告をいたします。審議経過報告全文につきましては、本日、参考資料4でお配りをさせていただいております。
 主な概要につきましては、3番の課題と、4番の目指す方向性について御覧いただきたいと思います。
 課題については、(1)から(5)のとおり、五つの項目で整理されておりますが、一つ目としては、幼児教育の質に関する認識が社会的に共有されているとは言い難いこと。二つ目として、園の7割から9割が小学校との連携に課題意識を有するなど、幼保小の接続期の教育の質を確保するための手だてが不足していること。三つ目として、特別な配慮が必要な幼児はもとより、一人一人の特性と経験を踏まえた指導が必要となっていること。四つ目として、幼児教育推進体制において重要な役割を果たすべき幼児教育アドバイザーのアドバイスの質のばらつきや継続性に課題があること。五つ目としては、教育と福祉の垣根を越えた子供や家庭の総合的・継続的な支援が必要となっていること、このようなことが課題として取りまとめられております。
 本分科会におきましても、幼児教育アドバイザーの育成制度や、外国人幼児、障害を有する幼児一人一人の多様性に配慮した教育の在り方について御意見をいただいていたところです。これら課題に対しましては、4番、目指す方向性において、それぞれの課題に対応する形で今後の取組の方向性が示されておりまして、(1)から順になりますけれども、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手がかりに、関係者と認識を共有することや、5歳児から小学校1年生の2年間に着目しまして、架け橋期のカリキュラムを開発するなど、架け橋プログラムを実施すること。また、自治体の幼児教育推進体制の活用支援を強化いたしまして、園などに対する指導助言内容の充実を図ること。全ての子供のウエルビーイングを保障する観点から、教育課程の編成、実施、評価・改善を行っていくこと。最後に、教育、福祉などの関係機関との連携・協働や、障害のある子供への教育の充実を図ることなどが目指す方向性として取りまとめられております。現在、この審議経過報告で示された目指す方向性の実現に向けまして、令和4年度において、各種事業において実施してきているところであります。
 次のページになります。本日は主な事業のみの御紹介となりますが、一つは、幼保小架け橋プログラム事業となります。令和4年度は19のモデル地域を選定いたしまして、手引を参考にしながら、各自治体において接続期のカリキュラムの開発や、取組の評価などに取り組んでいただいております。また、その成果検証は、研究機関により客観的に行っていただく予定でございます。
 次のページになります。また、幼児教育推進体制を活用した地域の幼児教育の質向上強化事業を実施しておりまして、幼児教育センターの設置やアドバイザーの配置、アドバイザーの質向上のための取組や、外部専門職や自治体の保健・福祉部局との連携など、幼児教育推進体制の充実への支援を強化しております。現在、幼児教育センターにつきましては、47都道府県のうち30の都道府県におきまして設置または今後設置予定と進んできているところでございます。
 最後に、審議経過報告において、今後さらに質の保障の仕組みを中心に検討するとされていることから、現在も引き続き、特別委員会において継続して審議を行っていただいているところでございます。この御審議の状況につきましては、改めて初中分科会において御説明をさせていただく予定となっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 御報告は以上となります。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、議題の4「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」につきまして、御説明をいただきたいと思います。この有識者会議は昨年7月から開催されておりまして、今年の9月末に審議のまとめが公表されたということで、本日はこの審議のまとめについて御説明をいただきます。常盤木教育課程課長、よろしくお願いいたします。

【常盤木教育課程課長】 よろしくお願いいたします。教育課程課長の常盤木でございます。
 資料4に基づきまして、今御紹介いただきました、この9月26日に取りまとめいただきました表記有識者会議について、取りまとめについて御説明申し上げます。
 まず1番でございますが、特異な才能のある児童生徒をめぐる現状として、こうした児童生徒につきましては、特定の領域に高い能力を示す、また、強い好奇心や感受性など認知・発達の特性を示す、また障害を併せ有する場合もある。こうした特性がゆえに、2番にございますような学習、また学校生活等におきまして、困難、課題を抱えることがあるというような状況を整理させていただきました。2番の右端にございますが、こうした困難、課題の結果、こうした児童生徒につきましては不登校になるようなケースも報告された次第でございます。
 3番、こうした現状の取組、そしてまた課題などの整理を踏まえまして、この有識者会議におきましては、今後の取組の基本的な考え方といたしまして、初中分科会でも御議論いただいたかと思いますが、いわゆる令和答申の中にもございます、多様な一人一人の児童生徒に応じ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として、こうした児童生徒に対しても支援策を考えていこうという考え方の下で、特異な才能のある児童生徒が抱える学習上・生活上の困難、この困難に着目しながら、その解消を図るとともに個性や才能を伸ばしていこうという方向性が示されたところでございます。
 この点、その下の留意点のところにございますように、何らかの特定の基準や数値によって選抜することについては、選抜された子供たちに対して特定のプログラムを提供する、こういった位置づけにつきましては、ラベルづけや過度な競争につながりかねない、そしてまた、その結果、学校現場が分断されたり、差別につながりかねないとの懸念が示された次第でございます。また、こうした取組を進める上での考え方といたしまして、学校種の特性を踏まえるという中で、義務教育段階においては多様性と包摂性を高めていくことが重要であって、例えば飛び級については検討すべきとの見解が示されているところでございます。そのほか、学校外の学び、デジタル社会を踏まえたICTの活用、教育課程の共通性というものについての留意が求められているところでございます。
 次のページでございます。こうした整理の上で、この有識者会議では、有識者会議の皆様が想定する、あるべき姿というものをおまとめいただきました。教室や学校の様子といたしまして、特異な才能のある児童生徒も含む子供たち一人一人がその多様性を認められ、かつお互いに高め合う教育活動が行われている、こうした姿が実現してもなお、特異な才能のある児童生徒に困難が生じている場合には、ふだん過ごす教室とのつながりが切れることのないように、一時的に別の教室などで特性に合った学習などを行うことが可能にしてはどうか。あわせまして、学校外での様々な学びとの連携が進み、また、周囲の理解が進む中で、相談体制も整えられているような状況。その結果、一番下でございますが、特異な才能ある児童生徒を含む全ての子供たちが、お互いの特性やよさを認め合い、安心感・充実感を持って学校生活を送ることができる、こういった姿が示されたわけでございます。
 その上で、右側のブルーの部分でございますが、課題として今後取り組むべき施策として、具体的な施策が5本、示されたわけでございます。
 一番上が、まだまだ理解が進んでいないというところでございますので、こうした特異な才能のある児童生徒の理解のための周知・研修の促進。そして2番目、もちろんスーパーサイエンスハイスクール、ワールド・ワイド・ラーニングなど、既存の支援策の推進とともに、こうした児童生徒に対する学校内での教室以外で安心して過ごせるような居場所の充実などの、多様な学習の場の充実。3番目、特性を把握するアセスメントツールなどといったサポートについて、国が情報収集して、いつでもどなたでも見られるようにすべき。そして4番目、学校外の様々なプログラム、イベント等に、誰でもどこでもアクセスできるように、情報集約について行うべき。そして、こうしたものを含めまして、5番目、まだなかなか学校現場での実践が行われていないものでございますので、検証すべきことに書かれているようなテーマに沿った実証研究を通じて実践事例を蓄積し、その結果を横展開していくことが御提言されているところでございます。これに基づきまして、今、概算要求等に取り組む中で、展開を文科省で図っているところでございます。
 説明は以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、今、五つの会議についての御報告をいただいたわけでありますけれども、ただいまの御報告に対しまして、御意見、御質問を頂戴したいと思います。いつものように、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようにお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、渡辺弘司委員、清原委員の順でお願いいたします。渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 日本医師会の渡辺でございます。資料について簡単に一つずつ、全部で四つですけど、意見を述べたいと思います。
 まず、資料の1-2でございます。健康とは、教育基本法第1条に定義されていることからもお分かりのように、学校教育の大前提でございますので、健康であってこそウエルビーイングが成り立つということであります。本日お示しいただいた各論の項目の3番に健康に関する事項について柱立てをしていただいたことに対しては非常に感謝しております。その上で、子供たちの心身の健康、安全に関する事項につきましては、新型コロナなどの新たな経験も踏まえながら、今期計画より記述が後退することのないように、しっかりと記載していただきたいと要望します。是非教師の健康、いじめや不登校、医療的ケアや発達障害などについて、充実した記述となることが希望でございます。
 それから、資料2-1にいろいろ教師の義務が書いてありますけれども、この答申の内容を実行すればするほど教師の負担は明らかに増えてくるんじゃないかと思います。教師の負担が増えるのであれば、それに見合った強力な対策を講じていただきたいと切に思います。特に、自治体任せになっている教職員50名未満の学校への産業医の配置につきましては、是非教育委員会へ、配置促進を含めて、実効性のある対策を講じていただければと思います。
 それから、資料2-2の第6ページの下段に、令和3年の中教審答申でも指摘されたように、健康教育において、個々に応じた指導・支援を充実させることにより、生涯を通じて心身ともに健康な生活を送るための云々と記載がございますが、そのためには栄養教諭の職務内容を、個別最適な健康教育を実践するためという観点から、より明確に、より一層の活性化を図るべきではないかと考えます。
 また、養護教諭につきましては、定数上、養護教諭が複数置かれているのは、小学校で児童数851名、中学校では生徒数801名以上となっております。これだけの大規模校が国内にどれだけあるかということを考えますと、やはりそんなにないだろうと。9ページ以降、研修についてお示しいただいていますけれども、大多数の学校では養護教諭は1名しかいませんので、新たな健康課題が日々増えていけば、対応に追われ、研修どころではないんじゃないかと危惧するわけです。養護教諭の定数の抜本的な見直しというのは、是非報告書で検討していただければと思います。また、ICTの活用も、ICT導入自体を目的化することのないよう、十分検討していただきたいと思います。
 最後に、資料4の特異な才能のある児童生徒に関しましては、非常に難しいテーマについて大変よく整理されていると思います。これまで十数回にわたって検討を重ねてこられた委員の先生方には、改めて敬意を表したいと思います。
 その上で、あえて発言させていただくとすれば、特定分野に特異な才能のある児童生徒を、誰が、いつ、どういう方法で判定し、その判定した責任を誰が負うのかという点について、さらなる議論が必要ではないかと思います。能力的に障害がある発達障害の診断は、最終的に医師が責任を持ちます。その後、事後措置が図られるわけです。特定の能力が突出されている児童生徒を、どういう手段で、何を基準に、いつ、誰が評価し、その評価が適正であったかどうか、特定の能力が突出している以外に問題はないのかということをやはり十分議論するべきであり、実証研究においても、是非その点を重視していただきたいと思います。また、診断方法に関しましても、報告書には、信頼性が担保された手法がないと記載がございますので、是非この点も十分な検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。長くなってすみませんでした。

【荒瀬分科会長】 いえ、ありがとうございました。
 今のお話に関連して、後から事務局から何か発言があるようでしたら、お願いしたいと思います。また、この初中分科会の委員の皆さんは、今出てきた五つの会議それぞれにお入りになっていらっしゃいますので、そういったようなお立場からの御発言ももしございましたら、後からお願いしたいと思います。
 それでは、清原委員、お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。清原です。
 私は1点、資料4の「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議審議のまとめ」について、申し上げたいと思います。
 今、渡辺委員もおっしゃいましたが、有識者会議の皆様におかれましては、本当に集中的に、なかなか難しい課題について取り組んでいただきましたことに、まず敬意を表し、感謝いたします。「誰一人取り残さない教育」を考える上で、心身に障害のある児童生徒や、あるいは貧困に直面している生徒、あるいは不登校、いじめ等の課題に困難を持っている児童生徒はもちろんのこと、「特定分野に特異な才能のある児童生徒の学びの保障」も極めて重要な課題の一つであると認識します。
 今年の4月に公表された内閣府総合科学技術・イノベーション会議、『Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ案』においても、中教審の委員の皆様も御貢献されておりましたが、その具体的な政策の中にも、「特定分野に特異な才能のある子供に対する取組」が政策課題となっており、特に文部科学省の「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する有識者会議」と、産業構造審議会の「学びの自律化・個別最適化ワーキンググループ」における具体策の検討などが共に前進していくということが提起されています。
 この本文の2ページに、「私たちが実施したアンケート調査や国民の皆様からの意見募集においては、子供たち自身を含め多くの方から切実な思いが寄せられた。私たちは、こうした切実な思いを受け止め、その才能や特性があるがゆえに学習上、生活上の困難を抱えている子供たちがもっと身近にいるとの認識を持ちながら、日々、真摯に子供たちに向き合っている教師や学校、そして保護者や地域を支えていくことが重要であると考える。」とあります。私はこの問題認識が、まさにその後、「多様性と包摂性を深めていく」という、具体的な実態に基づく御提案に結びついていると思います。
 そこで、1点だけ質問させていただきます。まとめにも、また本文では34ページ以降に、「実証研究の必要性」ということが縷々(るる)説明されており、私は、これは本当に極めて重要だと思っております。先ほど常盤木教育課程課長さんが、概算要求をされているというふうに報告されました。この実証研究の必要性は、私は、この御提案のとおりだと思って、是非そうしていただければなと思っているんですが、文科省の中央教育審議会の中でさらに継続して、この問題認識で検討されていくことを想定されているか。あるいは、学校教育だけではなくて、民間の先行事例とも連携をする必要性も指摘されていますので、大学研究者、そして文部科学省、民間が連携しながら研究を進めていく体制も御検討されていると思いますが、是非望ましい実証研究を実践していただきたい。その願いを込めて、来年度実現を考えていらっしゃるのか、早ければ今年度考えていらっしゃるのか、是非よい形で継続することを願っておりますので、ビジョンを教えていただければ心強いです。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。今、御質問が出ましたので、常盤木課長、よろしいですか。お願いいたします。

【常盤木教育課程課長】 渡辺委員、清原委員、御質問ありがとうございました。
 まず最初、渡辺委員から御指摘されていることは、よく私どもも指摘を受けまして、その辺しっかりと研究しろという御指示、御指導いただいているんですけども、この点、基本で我々御説明させていただくのは、この有識者会議、ここにも秋田先生、市川先生、今村先生が委員として御参画いただいていますが、この中では、様々な議論がある中で、皆さんの中で到達していただいたのは、先ほどの繰り返しになりますが、何か特定の基準で判断するとかではなくて、そのお子さんたちが抱えている困難に着目していこうと。見いだしというのはある意味簡単でございまして、やっぱり、先ほど清原委員が言っていただいた、不登校、貧困等々で様々な困難を抱えていることと並んで、こうしたお子様が学校生活で困難を抱えているのであれば、その困難にアプローチし、解消することによって、才能を伸ばすことにつなげていこうという基本的なスタンスでございます。
 それが先ほどの資料でも書かせていただいたところでございますので、ただこの点、その判断を学校現場に任せるのかと、丸投げではないかという御指摘もいただいているところでございまして、この点はまさに清原先生の質問とも関わるんですけども、有識者会議では、これまで現場での実践が少ないわけでございますので、特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の具体的なイメージをこれから学校現場とも共有するためにも、実証研究を充実する必要があるというふうに御提言いただいておりまして、我々といたしましては、今年度、今、概算要求しておりますので、お認めいただければ、来年、令和5年度からこの実践研究を、様々な、もちろん民間や大学とも連携する中で行って、学校現場で判断に役立つような類型化、体系化を図ると、こういった中で、一定の基準ではありませんが、学校現場の判断等に資するような取組をしていきたいと思っております。
 繰り返しになりますけども、有識者会議、特定の基準、この「特定の」というのがポイントでございまして、子供たちの全てを知ることができるような、いいアセスメントツールというのはないわけでございます。こういった特定の基準や数値によって選抜される子供たちに対して過度な競争を招いたり差別につながったりするような懸念も踏まえながら、定義はしないということにしているわけでございまして、御理解いただければと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。清原委員、よろしいでしょうか。

【清原委員】 はい、ありがとうございます。
 是非具体的な実証研究をして、適切な学びの保障に結びつけていければと願っております。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 発言させていただきます。今村です。質問をさせていただきたいと思います。
 幼児教育の架け橋事業について質問させていただきたいんですけれども、この次のテーマになりますが、不登校の子供たちが増えているということが次の議題で出てくるかと思うんですけれども、最も多く増えている、割合が増えているのは小学校1年生ということが共有されています。そんな中で、幼児教育をこれからどうしていくのかという議論の中で、質の保障、質を向上させる、幼児教育の質というところは、どのような点を質が高い教育という形の議論がなされたのかというところを教えていただきたいと思っています。
 といいますのは、これは私も1人の母親で、すごく反省が多いんですけれども、なぜ子供たちが学校に行けなくなるのかな、本当は行きたいのに行けない子もすごく多い中で、積極的に行かないというよりは、今のところは行けないという子供たちが多い中で、もしかしたら私たち親たち、今の私たち親世代が、何でも安く物を買い与える社会の中で、簡単に、適切な、個別最適な、合理的配慮を完全にした環境設定を家庭でできてしまっているという現状が子供たちにありますと。その中で、保育園、幼稚園というところは子供たちにとって、人とぶつかったり、人とうまくいかないということを経験する重要な社会体験の場なんです。なんですが、どうしても、これは私が見えている範囲かもしれないんですけど、大人たちの子供たちに対する早期のけんかに対する介入も、これはいじめと捉えられるんじゃないかというところで、かなり配慮して、けんかに対する仲裁もしていただけるようになってきていますし、また、自然体験のような、うまくいかない、思いどおりにいかないという経験もすごく減ってきているような感覚もあって、お金を払えばもちろんそういった経験もできるんですけれども、なかなかそういった機会というのもめぐってきていないと。
 子供たちが適切に幼少期から、自分の思いどおりにいかないんだと、他者と折り合っていくにはいろんなことを自分も我慢していかなきゃいけないんだというようなことも、個別最適で合理的配慮は大事なんだけれども、そういった経験もちょっとずつさせていくことをしていくことは、社会の中で子供たちが二本足で立っていくために重要なレジリエンスなんじゃないかと思うんですが、なかなか家庭がその機会をつくってあげられなくなってきている。でもそれを、家庭教育に国が介入して、全部学習指導要領を下ろすのは難しいという中で、幼児教育ではどのようにそれを踏まえた質を議論されているのかということについて、是非教えていただきたいと思いまして、発言させていただきました。
 私の質問は以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 大変大事な質問であると思いますが、これ、横田企画官、よろしいですか。秋田先生、もし何かございましたら、後ほど御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、横田企画官から、まず。

【横田幼児教育課企画官】 
 はい。では、まず事務局から御説明をさせていただきたいと思います。幼児教育の質につきましては、まさに委員が御指摘いただいたようなこと、私どもも多く御指摘いただいているところです。幼児教育の質そのものの定義というのはなかなか難しいところがありますけれども、今まさに、先ほど質保障につきましては、さらに特別委員会で審議をさせていただいていると申し上げさせていただいたとおり、まさに質保障するためのツール、仕組みづくりについて、どうしたら質向上を図っていけるかということの手だてについて、今、議論をしていただいているところでございます。
 一つは、やはりどういった幼児教育が質が高いのかというところがなかなか社会と共有できていない、家庭と共有できていないというところで、少し今後、幼児教育の質の見える化を図っていく必要があるんじゃないか。そのときに、まさに保護者や家庭と共有していくときには、ICTなども活用が進んできておりますので、ドキュメンテーションやポートフォリオ、こういったものの活用で共有を図っていくことができるのではないか。また、先ほど申し上げた幼児教育推進体制の充実・活用支援をもっと図りまして、研修の充実、教師そのものの資質向上ですとか管理職のマネジメント強化、こういったものの資質能力の向上にさらに取り組んでいく必要があるのではないかということ。またさらに、海外では質評価スケールなど、評価スケールの研究開発も進んでおりますので、日本でもこういった調査研究を進めていく必要があるのではないかということ。また、説明をしていくときに、やはりエビデンスやデータに基づいた質、こういったこともより一層求められていくのではないかということで、今後、エビデンスやデータに基づく政策形成につきましても御審議をいただく予定となっております。
 本日は、このような審議状況の御報告しかできないところでありますけれども、改めて特別委員会におきましても御審議いただく予定になっておりまして、この初中分科会でも御説明させていただくことになっておりますので、その際にまた、どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 秋田先生、すみません、突然申し上げて。よろしくお願いいたします。

【秋田委員】 学習院大学の秋田です。
 架け橋のほうの座長代理もさせていただいておりますので、御質問の的確な回答にはならないかもしれませんが、今、横田企画官から話されたように、日本では明確な質というものが、定義がされておりません。また、小学校以上のように教科書があるわけではありませんので、保育、幼児教育は非常に多様性が高いというところでございます。ただし共有されているのは、やはり子供が安心し、居場所感があるというような安定、安心があり、そして遊びの質においても、夢中になって深く遊び込み、遊びの連続性というものが子供が主体的に行われるということが重要であるということは、国際的にも今、共有されてきているところです。
 しかし、そうした姿のプロセスというものは、なかなか保護者にはアウトカムとして何が育ったのかというような、単視眼的に、できる、分かるの部分だけに注意が行きがちであり、社会情動的スキルや非認知能力のような、目に見えないところが、今村委員が言ってくださったように、なかなか伝わりにくいというようなところになっているかというふうに考えております。それを今、何らかの形で一定の基準というものをつくるというよりも、どういう方向性が望ましいのか、それが小学校以上の主体的・対話的、深い学びとどのようにつながるのかということが、今検討しようとしているところであるということをお話しさせていただきたいと思います。
 以上になります。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今村委員、いかがでしょうか。

【今村委員】 
 今後の議論の中で深めていかれるということだと理解をいたしました。すごく重要な接続点だと思うんですよね、この後にする議論と。だからすごく個別最適、安心をつくるために、大人がどう介入していくのか、そこがポイントなのかなと思っていまして、傷つかないようにしようではないとか、ちょっと細かいことなのかもしれませんが、そういったことを是非議論していただけたらなと思いまして、発言させていただきました。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 今、手を挙げていらっしゃるのが、細田委員、田中委員、安家委員、松木委員の4人の方です。大変申し訳ありませんが、この4人の方で、1から4までの議題については一旦区切りたいというふうに思います。後の議題も、御説明のほうも少し時間を取って説明をしていただいた上での議論をしたいと思っておりますので、大変申し訳ありませんが、手短に御発言をいただきますように、御協力よろしくお願いいたします。
 では、細田委員、どうぞ。

【細田委員】 それでは、手短に申し上げます。「令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」についてでございます。
 様々な自治体で、教員の確保について大変大きな課題として捉えており、現実に教員の確保が本当に難しい状況でございます。そういう中で、採用試験の早期化、それから特別免許状の運用の見直し、休眠免許状保持者の掘り起こし等については大変期待しているところでございます。とりわけ特別免許状の運用の見直しについては大変期待が大きく、是非専門性の高い皆さんたちと、チーム学校として質の高い教育活動を展開するという意味では期待が大きいところでございます。本市でも既にネーティブ教員の採用を実施しており、特別免許を出していただいているという実績があります。ただ、ほかの分野については、まだ実践できていないところでございます。
 そこで、なぜなかなかほかの分野が実践できないかといいますと、ネーティブに比べまして、免許の授与基準が明確ではないというか、難しさを感じているところでございますので、この度、その辺のところや、それから、特別免許状を授与されて教職に就く人たちが円滑に入職できるようにするための各任命権者における研修なども明記されていますので、この辺のところを参考にさせていただきながら、特別免許状の運用で専門性の高い教員の確保に力を注ぎたいというふうに思っております。大変期待しております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、田中委員、お願いいたします。

【田中委員】 ありがとうございます。
 私も、資料2-1、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成について1点、質問させてください。
 例えば、私がふだん活動している日本語教育の分野ですと、学校の中で外国人児童生徒等の日本語指導をやりたいという志を持って、日本語教師の資格、経験がありながら、教員免許を取得して教員になる方も多数いらっしゃるんですけれども、そうした専門性を既に持っている教師の方、あるいはこれから養成される教師の方が、せっかくそういった志があっても、学校現場の配置が専門性を生かせない配置となっていることが非常に多いようなんですね。何年も希望を出して、日本語学級に配属してくださいというふうに希望を出してもなかなかそれが実現しないというような状況もあって、もう諦めて、教員を辞めてしまうというような方も複数見てきました。あるいは、クラス担任ですとか部活顧問などとの兼任となって、専門性が発揮し切れないまま忙殺されているような現状もあるかと認識しています。
 こういった専門性を持つ教職員が増えることは非常に重要なことというふうに認識していますが、その専門性が発揮されるためには、構造的な教員配置の在り方の見直しですとか、現実的な、実現可能な配置の方策が必要なんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、その点、何か議論ですとか具体的な方策については、その対応が見えているような状況にあるのでしょうか。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。ちょっと文科省として答えが出るかどうか分からないですけれども、小幡課長、いいでしょうか。

【小幡教育人材政策課長】 教育人材政策課長の小幡でございます。
 まず、細田委員からも特別免許状の御意見いただきました。入職する際に、やはり基本的なこと、さらにはそれぞれの教科の専門的なことをどの程度分かっていれば教壇に立てるのかというようなところは、教育委員会も悩んでいるところでございますので、国としても研修のコンテンツ等の開発をしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 あと、日本語指導の専門性がある教員等の配置ということでございます。強み、専門性を生かす形で教員を養成し、さらにそれで採用していくということでございますが、その上で配置までつなげていかなければ、現場でしっかり適材適所の形での強み、専門性を生かした教職員集団というものが成り立たないところでございます。この点しっかり各任命権者である教育委員会のほうにも、この答申を通して伝えていきたいと考えております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、安家委員、お願いいたします。

【安家委員】 
 先ほど保育の質についての御質問や御意見がありましたので、私のほうからも少し、保育の質についてお話をしたいと思います。
 近年、待機児の解消ということで、日本全国の中にたくさんの保育施設ができました。そういう中で小さな、20人未満の園から、何百人もいるような幼稚園なども含めて、全国にはたくさんの施設があるんですが、量の拡大という意味では、もう既に待機児がいなくなった市町村もたくさんありまして、今後は質の問題に移っていくということで、我々も幼児教育研究機構の中で、質の問題について取組をしています。ただ近年、共働きの御家庭が増加したり、独り親家庭の御家庭が増加してきていることも現実でありまして、園で滞在する子供の時間数が非常に長くなって、長い子供では12時間にわたる生活を園でしている子供たちも増えてきているわけです。
 そういう中で、どういうものが質の担保になるのかなということでいろいろ考えますと、やはりいろんなことが園で起こったときに、その起こったことを保護者と共に考え合える、対策なり子供の内面を考え合えるような園がいい園なのだろうなというふうには実は思っています。というのも、従前、古いことを言いますと、4時間程度幼稚園にいて、あとは家庭で過ごしていた時代は、家庭の中の時間が非常に長いわけで、保護者の方が子供の行動や様々な発達についてお悩みになることがたくさんあったんだろうというふうに思うんですね。しかし、園に預けてしまう時間が長くなれば長くなるほど、そのことのような経験を保護者の方がなさることが少なくなるというふうなことにもなるわけで、ある意味、園で起こったことをできるだけたくさん保護者の方と共有しながら考え合うチャンスというものは、園の質として非常に大きなことだと思っています。
 そういう意味では、子供たちの行動、何かができるということではなくて、行動の内面に隠れている子供の心、心情的なもの、そういうものを理解するということが非常に大切になるというふうに考えていて、そういう意味では、心理学的なアプローチや、様々な研修を通じて、子供の内面を探れるような保育者の育成というものが非常に大切になる、そういう意味では研修をしっかりとしていくことが大切になるというふうに私たちは考えています。
 このような意味からいうと、小中学校で行われようとしている研修の履歴の蓄積なども、我々幼児教育の中でもそれも必要になろうというふうなことで、今、取組も始めていますけれども、まず保護者と家庭と私たちが共に子供の育ちを担っているというあたりの認識をしっかりとする必要性が我々はあると思っていて、施設にお任せということではなくて、できればそういうことはみんなでやっていく質というものが大切にされるように考えていこうというふうに考えているところですので、先ほどの秋田先生のお話に加えて、我々の今現在置かれている立場も含めてお話をさせていただきました。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、松木委員、お願いいたします。

【松木委員】 2点お伺いしたいと思います。1点は幼小の接続のことに関して、もう1点は特定の分野に特異な才能を持っている子供たちのことについてお伺いしたいと思います。
 まず幼小の接続のことに関してですが、架け橋のプロジェクトを何とか成功させていただきたいというふうに強く思っております。これを実現していくときに、幼稚園、保育所の段階から小学校への段階に向けての資質や能力の接続、つながりということを明らかにする方法のほかに、幼児教育と小学校教育の人事交流をどう実現していくかということが大きな課題ではないかなと思っています。小学校の先生は、就学前の教育についてほとんど実体験として持ち得ていない、あるいは、幼児教育あるいは保育を担当している方々は小学校低学年の教育経験を持っていないということが、一番、その架け橋の難しさを引き起こしているんじゃないかなというふうに思うからです。
 ただ、これは設置者が違いますので、人事交流は非常に難しいと思いますが、両方の設置者の間で、数年でもいいので、お互いが人事交流できるような補助事業を実施していただけると有り難いなと思います。あるいは、いわゆる国立の教員養成学部には、附属の幼稚園を抱えているところが多い。ここでは実際、小学校の先生が幼児教育を経験できる、非常に貴重な場になっているんじゃないかなと思います。こういったところをうまく活用して、幼児教育を小学校の先生が経験する、あるいは幼児教育を担当している方が小学校の経験をするといったことを促進していただければと思います。
 2点目は、特異な才能を持っている子供たちについてですが、この子たちの多くが、一方で発達に悩みを抱えている部分も持ち合わせている例が非常に多いように思います。一方、発達障害の子供たちの中を見ましても、他児と比較して特異な能力まではいかないまでも、本人の中で得意な部分、分野を抱えている子供たちもいます。得意な分野が他児と比べて飛び抜けている子供たちと、本人の中で得意な分野を持っている子供たち、この子供たちは非常に連続的で、その間に様々な子供たちが実際上はいるように思います。
 この子供たちへどう支援をしていくかということを考えるときに、一方で、学校の中で個別最適な学びと協働的な学び、大きな柱の中で今考えていこうとしているわけでして、この個別最適な学びと協働的な学びと、今ほどの連続的な、得意な分野を持っている子供たちがどういうふうに関連していくのかということが明らかになってくると、取組が現実味を帯びてくるんじゃないか、学校の中で現実味を帯びてくるんじゃないかなというふうに思います。例えば、協働的な学びに関してみるならば、PBLのような学習活動は個々の特異性を活かすことができます。この辺のつながりのところを是非明らかにしていただきたいなというふうに思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 松木先生、御質問ということではなくて、御意見いただいたということでよろしいでしょうか。

【松木委員】 はい、結構です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 そういたしましたら、ほかにもいろいろと御意見もおありの方いらっしゃると思うんですが、先ほど申しましたように、事務局にメール等でお寄せいただくということで、よろしくお願いをいたします。議事録のほうにもそれを載せさせていただくということにしたいと思います。
 では、次の議題に移りたいと思います。議題の五つ目であります。令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及び生徒指導提要の改訂についてであります。先月末公表されました令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果と、本年8月26日に座長一任となった生徒指導提要の改訂ということですが、併せて御説明をいただきたいと思います。清重児童生徒課長、よろしくお願いいたします。

【清重児童生徒課長】 児童生徒課でございます。
 まず最初に、生徒指導上の諸課題の調査結果、これについての概要を御説明したいと思います。
 3ページを御覧いただきたいんですけれども、まず、いじめでございます。いじめは前回の令和2年度の件数が、かなり認知件数が下がったわけなんですけれども、令和3年度は再び令和元年並み、あるいは若干それよりも多い認知件数を計上しているところでございます。これもやはり様々、コロナ禍以降、学校が再開したことによって、子供同士の接触が増えたのではないかといったことが考えられるかと思っております。
 次に4ページを御覧いただきたいんですが、これはいじめを認知した学校の割合でございます。大体全体で約8割の学校で認知しているということでございますけれども、逆に申しますと、2割強の学校において、いじめが全くないというような回答をいただいているところでございます。これについては毎年、文部科学省からも通知を出させていただいているんですけれども、本当の意味でいじめが根絶しているということであればよろしいんですけれども、仮にいじめがある状況を放置されているということであったとしたら、それは非常に懸念されているということでございます。ですので、仮に認知件数がゼロであったとしても、学校では児童生徒や保護者の方に向けた形で公表して、検証を仰ぐことも必要ではないかといったこともお示しさせていただいているところでございます。
 次に6ページを御覧いただきたいのですが、いじめの解消状況でございます。いじめの解消状況は全体として、おおむね8割程度のものが解消しております。解消に当たっての要件として、我々として二つほどお示ししておりまして、一つは、そもそもいじめの行為がやんでいるということです。それからもう一つは、被害児童生徒自身が心身の苦痛を感じていないということです。特にいじめがやんでいるということについては、やはり相当期間継続して観察が必要だというふうに言っておりまして、少なくとも3か月を目安とさせていただいておりますし、また、心身の苦痛を感じていないかということのチェックについても、被害者本人あるいは保護者に対して、面談等によってしっかり確認を行うといったことも必要ではないかというふうに示しているところです。
 7ページを御覧いただきたいんですけれども、いじめの態様別でございます。やはり一番多いのは、冷やかし、からかい、悪口などの言葉によるいじめというのが一番多く出ております。2番目に多いのが、これは小中学校と高校で若干傾向が分かれておりまして、小中学校、特別支援学校については、上から三つ目のところの、軽くぶつかられたり、たたかれたり蹴られたりといったものが小中と特別支援学校は2番目に多いんですけども、高等学校の場合は、下から2番目にございます、パソコンや携帯電話等の誹謗中傷によるいじめというのが、実は高等学校の場合、2番目に増えているということでございます。これは、右側の四角の三つ目の丸にも書かせていただいていますけども、今回、携帯電話によるいじめ、誹謗中傷が大体2万1,900件ということで、実は年々この部分は非常に増えているというような状況でございます。
 8ページをお願いいたします。重大事態事案についてです。これはいじめ法の28条に基づいて重大事態調査を行った件数の数でございますが、令和2年度は件数が非常に下がったわけですけども、令和3年度は再び、令和元年度並みにまた戻ってきているということでございます。
 次に10ページをお願いしたいと思います。暴力行為でございます。これも令和2年度、前回の調査では大幅に減少したわけですけども、令和3年度は再び、令和元年度並みの件数に戻ってきております。特に右側の1,000人当たりの発生件数のところを御覧いただきたいんですが、オレンジ色の中学校については、ここ数年間の間、緩やかに、平均的に減少傾向が来ております。一方、小学校の紫色の折れ線グラフを御覧いただきたいんですけども、実はこれ年々、1,000人当たりの件数が上昇傾向になっておりまして、今回の調査で初めて小学校が中学校を上回ったというような状況になってございます。
 次に14ページを御覧いただきたいんですけれども、まず小中学生のほうの長期欠席の状況でございます。これは不登校もそうですけども、経済的理由や病気、そういったものも全部含めた、30日以上の長期欠席の状況でございます。特に前回の令和2年度から、その他のところが主になんですけども、いわゆるコロナ禍によって出席停止、忌引、あるいはコロナ禍による感染の回避といったことで、データを新たに令和2年度から取り出しているという状況でございます。これも不登校同様に数が増加しているという状況でございます。
 次の15ページを御覧いただきたいんですけども、まず小学校のほうの不登校の状況でございます。令和2年度に比べまして非常に数が、もともと年々増えているんですけども、特に令和2年度から令和3度にかけまして非常に数が増加しております。ちょっと見にくいですが、右下の表のところを御覧いただくと、1,000人当たり20.5から25.7ということで、非常に増加しております。特に中学校の場合は、1,000人当たり、令和2年度が40.9だったものが今回50.0ということで、パーセントにしますと1%ほど増加しているというような状況でございます。
 17ページを御覧いただきたいんですけども、欠席日数別の30日以上の不登校の数の割合を示させていただいております。大体90日以上欠席している長期欠席者の方が半分以上いらっしゃるということでございます。ただ、中でも一番割合として高いのは、30日から90日未満の数が全体の45%ということです。また一方、90日以上は全体で55%を占めておりますけども、特に一番下のほうの、出席日数がゼロと、いわゆる1年間全欠のお子さんというのも3.5%いらっしゃるといった状況でございます。
 次の18ページを御覧いただきたいんですけれども、不登校の要因別の状況でございます。これはあくまでも学校のほうに聞き取りをしたことによって、主たる要因を一つ選択していただくということでございます。これも当然ながら、学校のほうで記載するに当たっては、保護者の方であったり、お子さんの状況とかをいろいろ聞き取りした結果、記入していただくということになっておりますけれども、そういった中にあっても、学校に係る状況というもの、それから家庭に係る状況、本人に係る状況と、それぞれ要因ごとに回答いただいているわけなんですけども、全体でも、特に本人に係る状況のところの一番右側から2番目にございます「無気力、不安」というのが半分以上というふうに示されておりまして、不登校の要因というものを明らかにすることは非常に難しい状況というふうになってございます。
 次に19ページをお願いいたしたいと思います。これは相談・指導等を受けている不登校のお子さんたちの状況を示したものですけども、左上の緑色の折れ線グラフにございますように、これは不登校のお子さんたちが増加しているということもあるんですけども、いわゆる指導・相談をどこにも受けていらっしゃらないお子さんというのが全体で36%ほどいらっしゃるというような状況になっております。また、下のオレンジ色と紫の縦の棒グラフのところでございますけども、これは自宅によるICTを活用した学習活動が指導要録上出席扱いになっているお子さんの数ということで、年々ここは増加傾向にございまして、今回小中学校合わせて約1万人強のお子さんが要録上出席扱いを受けているという状況でございます。
 次に、21ページをお願いします。今度は高等学校の長期欠席の状況でございます。高等学校の場合は、特に「その他」の部分が、やはり新型コロナの影響もありまして、臨時休校であったり分散登校等の影響もあって、非常に忌引の数、あるいは出席停止の数、これが非常に増加しております。
 次に22ページをお願いしたいんですけども、高等学校の不登校のほうの割合でございます。令和2年度に比べまして、令和3年度、かなり増加傾向でございます。ただ、中長期的に見たときに、一番多い割合だった頃に比べると、まだ全体としては、若干ですが、横ばいといったような傾向がございます。
 24ページを御覧いただきたいと思います。中途退学でございます。中途退学は、令和2年度に比べまして0.1%増加いたしましたけれども、ここ数年間の中長期的に見ますと、緩やかに減少傾向にあるという状況でございます。
 次に26ページをお願いいたします。自殺の状況でございます。自殺の状況は、これは過去3年間のデータをお示しさせていただいておりますけれども、昨年度、前回の令和2年度に比べれば若干減少したものの、依然として300人以上の小中高校生が自殺をしておるということでございまして、非常に深刻な状況であろうかというふうに思っております。
 28ページをお願いします。今回この調査結果を踏まえまして、文部科学省の今後の主な対応としましては、一つは、いじめの関係で申し上げれば、来年の4月にこども家庭庁が発足されるわけですけども、そこの設立準備室と共同した形で、いじめに関する関係省庁等による局長級会議を立ち上げることを予定しております。またあわせまして、専門家により構成されるいじめ防止対策協議会において、今後の対応についても審議を要請する予定になってございます。ここにございますように、検討項目の例としては、一つは、いじめの重大事態事案に対して、やはり首長の関与の在り方についての問題でありましたり、あるいは犯罪の疑われるような事案については警察との連携を徹底するといったこと、あるいは重大事態の認知であったり調査の在り方についての検討などを予定しております。
 また、不登校につきましては、やはり要因分析が非常に重要となっておりますので、できれば不登校の協力者会議等において、ワーキンググループみたいな形を設けて検討ができればなというふうに思っております。またあわせて、不登校特例校の設置促進であったり、ICTの活用といったことについても進めていければというふうに思っております。
 最後に30ページを御覧いただきたいんですけども、特に不登校への対応についてでございますけれども、非常に年々増加しているわけでございますが、特に不登校のお子さんの中で相談・指導を受けていらっしゃらないお子さんというのが全体で36.3%いらっしゃるということで、こうしたお子さんたちへの新たなアプローチというのがこれから非常に重要になっていくのではないかというふうに考えております。例えばですけれども、下にあります円グラフの左側のところに書いておりますけども、現在なかなか支援が届いていないお子さんたちへのアプローチということで、やはりアウトリーチ型の支援であったり、ICTなどを活用したスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる支援、あるいはこども家庭庁とともに、居場所づくりの推進であったり、不登校特例校の設置促進といったようなこともこれから進めていければと考えております。
 調査の関係は以上でございまして、引き続き、資料5-2の生徒指導提要の改訂について御説明いたします。
 生徒指導提要につきましては、基本的に、生徒指導に関する基本書としまして、いろいろな通知であったり法律であったり、そういったものを全体で網羅的にまとめたものでございます。これは前回に作成したのが平成22年ということで、10年以上経過しておりまして、やはり新たな法律ができたり、様々な方針が示されているわけですけども、それらを改めて整理して改訂を行っております。
 2番の主な内容のところにございますとおり、基本的な考え方としましては、今回特に児童生徒の発達を支えるような生徒指導といった側面に目を向けることをかなり重視しております。特に発達支持的生徒指導につきましては、特定の課題を想定せずに、子供たちの思いやりや共感性、自己理解力や課題解決力といった、そういうものの発達を支えていくといったことを念頭にしているというものでございます。
 次のページをおめくりいただきたいんですけども、まず一つは、生徒指導については組織的な対応が必要であるといったことも示させていただいております。また、丸1番のいじめのところでは、いじめ防止対策推進法であったり基本方針等が示されておりますので、こういった内容をアップデートしておりますし、丸2番の不登校のところについても、教育機会確保法というものが新たにできておりますので、そういった内容も新たに盛り込まれているというものでございます。
 次のページを御覧いただきまして、丸4番の校則の部分でございますが、これは協力者会議の最終回の後に、特に報道でもよく取り上げられましたけれども、校則についてもかなり今回は従来のものより踏み込んだ形で記述しております。特に校則については、地域の状況や社会の変化を踏まえて絶えず見直しが必要であるといったことを示させていただきますとともに、やはり校則自身は、その意義を理解していただいて、それでまた自ら守っていただくという意識の醸成であったり、自らの課題を自ら解決するといった教育的な意義があるといったことも示させていただいていますし、また、ふだんからホームページ等への公開といったようなことも取組の事例として示しております。
 それから、丸5番のところの子供の権利についても、子供の権利条約、あるいは子供の基本法についても新たに含めさせていただいておりますし、また、性的マイノリティーということで、性同一性障害等をはじめとした内容についても、これまでの文部科学省で示してきた内容を新たに記載させていただいているというところでございます。
 私からは、説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、今御説明いただいた内容につきまして、御質問、御意見等を頂戴したいと思います。残りの時間は全てこの議論に使いたいと思いますが、いろいろと御意見おありかと思いますので、大変申し訳ありませんが、先ほどまでと同様、可能な限りまとめて御発言いただければと思います。
 では、今、戸ヶ﨑委員、渡辺弘司委員、秋田委員、貞広委員、小林委員、松木委員、今村委員、吉田信解委員、田中委員が手を挙げていらっしゃいます。10人ぐらい手を挙げていらっしゃいますので、本当に申し訳ありませんが、可能な限り手短にお願いいたします。
 では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。大きく2点ほど申し上げておきたいと思います。
 一つは本調査の不登校の結果についてということですけれども、この調査と対比されるのが令和2年度の不登校児童生徒の実態調査で、学校に行きづらいというふうに感じたきっかけを先生ということで回答しているのが、小中合わせて約29%というふうになっております。一方で本調査では、小中合わせると1.4%しかないということで、本調査は学校が教育委員会に提出した内容でまとめられております。誰しも自分に原因があるということで認知するというのは難しいでしょうから、ある意味、当事者の本音ベースとか、また真の原因が定量化されているとはなかなか言い難い部分もあるのかなということで、それらも踏まえまして、本調査から今後フォーカスして対策していくべきと考える点が大きく、私なりに3点ほどあると思っています。
 一つは、9年連続であって、しかも今回その増加率が急に高くなっているということ、それから、9年前と比較すると、中学生は約2倍なのに、小学生は約4倍以上になっているということ、やはり小学生の不登校支援にもっと力を注がなくちゃいけないんだろうということの認識。さらに、先ほど御説明ありましたように、36.3%が学校内外で何らかの相談等を受けていないということ。さらに、ひとまず相談が仮に受けられたとしても、そこから適切な支援等につながっているのかということは、この調査からは読み取れないということ、以上であります。
 今後、生徒指導の充実に向けてということでのお話を申し上げますと、生徒指導提要、約10年ぶりに改訂されるわけですけども、前身は御案内のとおり1965年に作成された生徒指導の手引ということで、今、私自身も手元にその改訂版を持っているわけですけれども、私も若かりし頃に、いわゆる生徒指導のバイブルとして、この手引きは耽読いたしました。この手引の対象は、当時は中高生で、取り上げられた問題行動というのは非行問題だけでした。それが平成22年度の生徒指導提要になって、小学生も対象になって、いじめや不登校の記述もそこから加わりました。今回はさらに性的マイノリティーなども加わっていくということで、だからといって、私自身の経験からすると、子供自身が多様化しているんだというふうには思えないということで、昔から実は様々なニーズのある子供たちは存在していたんだろうというふうに思っています。様々な生徒指導上の課題に対応できる多様な専門的なスキルというものを教師に求められても、それはなかなか酷というものであろうと、かといって専門的な機関との積極的な連携というふうに言われても、現実はなかなか、様々な混乱が現場では伴うんじゃないか。
 じゃあ具体的にどうしたらいいかということなんですけども、この生徒指導の手引の中に、主観的な誤りと称して、次のような一文があります。時間の関係もあるので短めに御紹介しますけれども、例えば、批判的な言動の多い生徒を、ある教師は生意気だと評価して、別の教師は頭が切れると評価することがあるが、1人の生徒の行動特徴についての評価が教師によって様々であることがあると。正当で妥当な生徒理解を行うためには、教師自身が可能な限り自分の好き嫌いや偏見などの主観を離れた態度をもって生徒を理解するように努めるべきである。正しい生徒指導を行うには、教師自身が精神的に健康であることも必要になる。さらに、教師は自分の生徒理解が本当に正しいものであるかどうかを常に自問してみる態度を忘れてはならない、このように記載がされています。
 この指摘にあるように、当面は正当で妥当な生徒理解に基づく指導ができるように、また教師の精神的な健康を維持しつつ生徒指導力を高めていく必要があるんだろうなというふうに強く思っています。具体的には、かつてどの学校でもよく行われていた、1人の子供を全教師で徹底して見詰め抜くケース会議というものを改めて重視すべきではないかなというふうに考えています。まさに目の前の子供を主語として大いに語る会議でありますので、講師もお金もかかりません。
 また、国に、ここからはお願いなんですけれども、本市でもトライアルを始めていますけれども、一人一人のニーズに応じた多様な場の選択肢、これを用意していく取組、つまり、小学校への校内サポートルームの設置、また、今村委員のカタリバと連携したシェア型オンラインの教育支援センター、さらには県との連携した支援教室、また、一人一人の子供のデータベースに基づくSOSを事前に予知したり、または心の健康度、こういったものを測定するなどして、教師の気づきを事前にサポートするような取組、本市では生徒指導を科学するというふうに呼んでいるわけですけれども、この取組を現在、獣道をかき分けているところであります。是非、こういう自治体の学校の生徒指導関係の積極的な取組とか、地道な取組を大いに支援していただくと有り難いのかなと、それが全国に発信して共有されることで、国全体のベースアップにもなるのかなというふうに考えております。
 なお、学びを科学するということは、なかなか教師の抵抗感というのがあるんですけれども、生徒指導の科学というのは現場に受け入れやすいというふうに私自身は思っております。
 ちょっと長くなりました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、渡辺弘司委員、お願いします。

【渡辺(弘)委員】 2点、簡単にお話をさせていただきます。
 一つは、いじめに関してでございますけど、いじめの手段が、コロナ禍以降、ネットによるものに変わってきているということが調査によって示されているわけです。暴力などのように目で見える、確認できるものというのは教師などでもある程度同定できますけど、ネットによるものは個人情報の観点からも、学校側が察知するのは困難ではないかと思います。ただ、少なくとも学校が配付したデバイスを利用したネットのいじめは、ある程度、ベンダーを利用して、監視するべきではないかと考えます。また、個人のパソコンやスマホによるいじめは、学校では管理に限界があると考えます。相談窓口をつくるなどの対応に限られるかもしれませんが、加害者と被害者の判断も難しくなりますし、いじめ防止対策については、既に文科省で「いじめ防止対策協議会」を設置しておられるところでございますが、ネットによるいじめ対策について、やはり文科省に別の委員会を設置して、具体的な対策を考えるべきではないかと考えます。
 不登校に関しましては、事象が発生してからの対応は、これまでも文科省は積極的に取り組んでこられたと思います。しかし多くの場合、それは医療でいう対症療法ということです。不登校という顕在化した症状を認めた場合に、なぜそれが生じたかを検証することが有効な対処法や再発防止につながると考えます。つまり、頭痛を訴えた場合に、痛み止めは、痛みには効きますけれども、根治療法じゃないわけです。原因が何かによって根治するということになります。まず、事象を分析し、本人への対応とともに、今後の再発防止に活用できるような、丁寧な情報収集・検証を行うことが非常に大事だと思います。文部科学省の方も先ほど、さらなる要因分析の研究を行い対応するとおっしゃっていますので、是非積極的に、この活動を推進していただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。ただいまの渡辺委員と同じ、ネットいじめの問題でございます。
 今は高校生が普及しているのでネットいじめの割合が高いということがございますが、今、デジタルネーティブの子供たちが大変増えてきています。その中で、やはり早期に、小学生や児童期からどのようにネットいじめを予防していくのか、また、保護者がそれについてどのような理解を持つのかというようなところについて、是非文部科学省のほうで対応をしていただきたいというふうに思います。また、先ほどの不登校や自死の問題ですけれども、子供のSOSを聞き取るために、アウトリーチ型をもっと進め、先ほどもございましたが、こども家庭庁や文部科学省が省庁を超えて、是非連携をしていっていただきたいというふうに感じております。
 そうした中で、大変非科学的かもしれませんが、この場で1点、申し上げたいことがあります。それは、子供たちは今も学校では黙食ということをいたし、そしてマスクということを大半の学校が体育以外ではしております。しかし、家庭でも個食であり、食事のときにもマナーを守れば、その黙食がどこまで必要なのか。もちろんリスクを管理するということは重要でございますが、学校の新しい生活様式、衛生管理マニュアルということを、今の状況で本当に、子供の心理的に、学校によっては本当に距離を離されて、ただ食べるだけ、そして、ずっとマスクをかけているから、友達とも身体的な距離や、いろんなじゃれ合うというようなことも難しいというような子供たちが現実にいます。
 学校教育において何が必要なのかということを、当然リスクは管理すべきですけれども、子供のワクチン等もできています。今、子供の精神的健康を守るためにどうあったらいいのかということをもう一度、専門家の方々が考えていただくということが必要なのではないかというふうに考えているところです。
 最後に、3点目になります。生徒提要、先ほど戸ヶ﨑委員も話されまして、積極的な生徒指導を今回、子供たちの発達というところに視点を当てて議論してくださっていることは大変重要なことだと考えております。ただ気になるところは、個別の課題の対応というところに、子供の基本法、こども基本法というものができたというのが、個別の課題として挙げられています。しかし、子供の基本的な権利や最善の利益は、教育振興計画の中でも議論されているように、全ての教員がこども基本法で、子供の権利や子供の意見表明ということを知っているということが重要なことでありまして、これはいじめとかマイノリティーの問題というのとは次元が違うと思います。
 この辺りについては是非とも、こども基本法というのが全ての根幹にあるということを教員に周知し、その下でこうした生徒提要が生かされていくという方向が私は大事ではないかと考えておりますので、御検討いただきたいと思います。前回に比べ、人権という言葉が数多く、様々なところで使われるようになったということも聞かれておりますが、是非この辺り御検討いただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】 ありがとうございます。
 私のほうからは、それぞれ関連する3点について申し上げたいと思います。
 もうこの議題についてはもろもろ申し上げたいことがあるんですけれども、そもそも教育という営みの中でできるかもしれないことと、そうではないものがあると思っております。教育という営みの中、とりわけ学校教育内においては、学校教育内の多様化、子供たちの一人一人が多様性を認められている、こういう形を推進していくということが一つあると思いますし、または、1条校や教育委員会と緩やかにつながる別の形も、試行錯誤的にでも認めていく、またはそこに財政支援をしていくということも必要であると思います。
 例えば、先ほどの説明の中にも要因分析というお話がありましたし、これは渡辺委員がおっしゃっているとおり、本当に要因分析していくということはすごく大事なんですけれども、やはりデータがたくさん、ケースがたくさん集まってこその要因分析も可能になってくるというところだと思います。是非パイロットプログラム的に試行錯誤、失敗も認めて、いろいろやってみるということも重要なんじゃないかと思います。今までは、きっちり要因分析をして、絶対にここだねということが分かった上で、きっちりとした枠組みを設定して、絶対に失敗があってもやめないというような制度の立てつけでやってきたと思うんですけれども、もう少し挑戦的に、やってみるということも含めて考えていただくということも必要かと思います。
 2点目でございます。とは言いながら、冒頭で申し上げたとおり、教育という営みの中ではできないことということもたくさんあると思います。それは社会的な観念の醸成といいますか、社会的な受皿の醸成ということだと思います。社会全体として、子供たちの空白や休息、またはやり直しを認めて許容する社会の設計、または、学びを学齢期のみに押し込めないような設計というものが必要だと思います。学校に行けない、行くことができない何らかの課題を抱えている子供は、社会の一部の、誰か知らない子供ではないんですよね。是非全ての人たちがそういうふうに許容されていくこと、誰かのことではなく、許容されていくという社会、これは経済界も含めて、労働市場への受皿ということも含めて、こうした考え方、新しい考え方をしっかりと受け止める、そういう雰囲気を醸成していくということが必要だと思います。
 3点目です。というふうに考えますと、やはり私の目から見ますと、今でも学校、課題として議題5に取り上げられている子供たちが、いまだに一部の例外的な少数派、少数者という扱いをされていることが大変気がかりです。例えば、中学生の20名に1名いる不登校の子供たちは、少数者なんでしょうか。決して少数者ではないと思うんですよね。この考え方自体も改める必要があると思います。
 例えば今日の資料で、資料1-1を拝見しまして、2ページ目の次期計画の目標の4のところに、多様な教育ニーズへの対応と社会的包摂という柱がありまして、政策的な立てつけや、こういう大きな基本政策の政策を考えるについては致し方ないことだと思うんですけれども、この4の柱のところに一部の例外的な少数者を集めてしまって、ここの中に不登校の子供たちも入れてしまっていると。むしろ私は一丁目一番地の、1のあたりの基本的な計画の部分に位置づけられるような物事ではないかと思うんですけれども、全体的に、やはり何となく、まだ例外的なものというふうに捉えているところに最大の問題があるのではないかと感じてしまいます。
 以上3点です。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、小林委員、お願いいたします。

【小林委員】 福井大学の小林です。よろしくお願いします。
 不登校の増加に本当に驚くところなんですけど、要因分析のところを見ると無気力とありますが、それは要因ではなく状況であって、どうしてその無気力になっていくのかというところまで掘り下げて考えていかないといけないんじゃないかなと私は思っています。やっぱりこの状況を見ますと、急激な増加の原因に、コロナが一つの原因になっているんじゃないかということは否めないかなと思います。休むことに対するハードルが低くなるということもあると思うんですが、実際には、活動制限による息苦しさ、それから、何かを計画して、楽しみにしていて、それが失われていく喪失感、先ほど秋田委員が言われたように、この先もこういう対策が必要なのかどうかということも含めて考えていかないと、実際には不登校として形に現れてこなくても、今あるような非行、いじめとか、いろんな課題がこの子たちの中に潜んでいるんじゃないかなと心配です。
 本当に、徐々に改善を図るというようなことではなくて、私たちは、今、不登校になっているこの子たちが本当に卒業の時期を迎えて、もう学校というところから離れてしまう前に、このコロナ禍の3年間が学校教育にどんなふうな影響を及ぼしたのかということを早急にやっぱり取り組んで、取り戻すために、みんな一丸となって、一体何ができるかということを考えていく必要があるんじゃないかなと思います。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 時間が迫ってきておりますのと、あと4人の方、手を挙げてくださっていますので、お願いをしたいと思っておりますので、若干の延長をお許しいただきたいと思います。大変申し訳ないですが、今ちょっと時間を頂戴します。清重課長が次の日程が入っておられまして、この後、退室なさいます。その後は井川調査官が残ってくださいますので、質疑応答はできるんですけれども、今までのところをお聞きいただいて、もし清重課長から何かございましたらお願いしたいと思います。

【清重児童生徒課長】 すみません。児童生徒課長でございます。
 いろいろ多岐にわたって御指摘いただきまして、ありがとうございます。やはり幾つか先生方からお話ございましたが、まず一つは、不登校に対する要因分析ということ、これは一応、問題行動等調査において、調査取ってはいるんですけども、非常になかなか難しいものがございます。この辺をもう少し掘り下げることができないかということを、引き続きやっていきたいというふうに思ってございます。また一方、貞広委員からの御指摘もございましたけれども、今回不登校が増加した要因の中に、やはり教育機会確保法による考え方の浸透を挙げている自治体も随分ございます。そういう意味では、一つは、学校の在り方についての議論と併せて、やはり捉え方ということも場合によっては変えていく必要もあるのかなという気がいたしております。いずれにしましても、やはり学校に日々通っていただくお子さんたちが、将来の社会的な自立というものを最終的には目指していただくということが目標でございますので、それを踏まえた形で取り組んでいきたいなというふうに思っております。
 ちょっと雑駁としたあれですが、以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、委員の御発言を続けていただきたいと思います。松木委員、お願いいたします。

【松木委員】 松木です。
 以前、市町村の単位で、幾つかの市町村で、30日以上の不登校の子供たち全員、小学校1年生から中学校3年生までの全員に、最初に5日間休み始めたのはいつなのか、1年生のときなのか、2年生のときなのか、中学校1年生のときなのか調べたことがございます。何とその全員の子供たちの6割強の子供たちが、最初に5日間休み始めたのは小学校1年生のときでした。つまり、小学校1年生の段階で5日以上休んだ子供たちの中から、かなりの割合の子供たちが30日以上の不登校になっているということが分かりました。
 こういう事実をどう解釈したらいいのか、いろんな解釈の仕方があるかなというふうに思います。先ほど小林委員のほうから、ハードルが低くなったというお話がありました。コロナのことで5日以上、皆さん学校行かなかった日が増えているわけですから、当然ですが、私は、今後増えていくんだろうなというふうにも思います。
 こういった事態を考えたときに、先ほどの御提案の中に、発達支持的生徒指導を進めていくというお話がありました。是非それを進めていただきたいなと思うんですが、そのときに、一体子供たちにとって学校の学びとは何なのか、学校以外でもたくさん学べる場所、特に知識の習得ということに関しては、いっぱい学習できるところが出てきたように思います。そういった中で、学校での学び、学校じゃないと学べない学びというのは何なのかということを、是非生徒指導の立場のほうからも強く打ち出していただけると有り難いなというふうに思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 発言させていただきます。
 特にこの28ページからの対策についてを拝見いたしまして、この短い期間の中で、どんな対策が打てるのかということを御検討なさったということが分かりまして、敬意を持ちました。この記載されているページの次のさらに次、30ページですけれども、ここの中の特に、誰一人取り残さない不登校施策の展開と明記されている中で、誰からの支援も受けられていない人たちに対する36.3%の人たちに対する対策を御検討なさっているということがよく分かりました。
 ここに、是非検討に入れていただきたいことがあるんです。といいますのは、私が運営しているNPOカタリバでは、様々な自治体と連携しながら不登校の取組をしているんですけれども、その中で、すごくふがいない気持ちになることがあるんです。それは、政策はあるんだけど、そして不登校の子供はたくさんいるんだけど、定員割れしている政策がかなりあるという自治体が結構あるんです。要は特例校とか教育支援センターとか学習教室とか、そういった政策を決めるんですけれども、不登校の子供を誰一人取り残さないということを、子供一人一人のバイネームで、責任者、そこのバイネームで、子供たちの誰に学びが届いていないのか、その子にとってどこだったら次の一歩になるのかということ、子供に寄り添った視点で責任を持っている人が必要だと思うんです。政策を増やすことではなくて、その政策、不登校の子供支援の特命担当といいますか、多様な学び特命担当という言い方でもいいかもしれないんですけれども、責任者が必要だと思います。
 それは自治体ごとに責任者を置くのか、今でいう指導主事さんとか課長さんの役割の一環ということではなくて、ここまで不登校の子供が増えているのであれば、責任者を、どのミッションを外してもそこにこだわりを持ってきちんと担う人が必要です。それはもしかしたら民間の人が担うでもいいかもしれないですが、とにかくバイネームで、誰に支援が届いていないか、どうしてその子は孤独な状態にあるのか、どういう理由で誰ともつながれていないのかということをニュートラルに、学校側に寄り添うわけでも、家庭に寄り添うわけでも、全部に寄り添いながらもニュートラルにきちんと理解して、例えば政策があるなら、そこにつなぐ、若しくは民間でこういう機能が地域の中にあるのであればそこにつなぐ、一人一人についてきちんと学びにつないでいくということの責任者が必要だと思います。それを御検討いただくということを、この30ページの検討の中で是非行っていただきたいなと思いました。
 ほかにもあるんですけれども、今回はこれで以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】 ありがとうございます。
 本当にいろいろな先生から私も聞いていて、なるほどなと思うことが多くありました。子供全員が集団生活になじまなければならないというのが非常に近代的な価値観だとすると、それに適応できない人たちというのは過去からずっといるわけだと私は思うんですね。今回のコロナでもって、やはりもともと、なかなかなじめないんだけども、言い方悪いですけど、コロナのおかげで学校に行かなくても済んだと、リモートで授業もできるしということで、実はほっとしていたお子さん方も私はいるのではないかなというふうに、実は感じているところでございます。
 今後を考えますと、社会のありようを考えると、そうはいっても、やっぱり集団で社会を背負っていく人たちというのは、これ、絶対必要なんですね。一方で、集団にはなじめない、でも自分でいろいろな可能性を持って頑張る人たちにも頑張ってもらえる、そういう社会にしていくことが必要なんだろうなというふうに思っているところでございます。
 先ほど今村委員さんから、非常に自治体に対する痛いところをつかれたなという思いがあるんですけど、まさに、例えば自治体においても、適応指導教室であるとか、あるいは貧困家庭の児童生徒に対する学習支援の場であるとか、メニューは一生懸命用意しています。実は、まだまだ予算をつけてやっていかなければならない部分もあると思っておりますけども、そういったところに来られていないお子さんも確かにいる、対応できていない子供たちというのもいるんですね。そこをどうするか、先ほど学びについての自治体の責任者みたいなものを考えたらどうだと、これも一つの考えだと思います。これは1人ではなくて、複数で。
 私、戸ヶ﨑先生のお話で、今度は学校の話になるんですけども、やっぱり一人一人の生徒を全教員でもって見ていくという、これが非常に大事なことなのではないかなというふうに思っております。ちょっと話が飛びますけども、実は生徒指導提要の改訂というのを拝見していまして、なるほどと思ったんですが、「課題予防・早期対応といった課題対応の側面のみならず、児童生徒の発達を支えるような生徒指導の側面に目を向けることも重要。」という言葉が出てきました。私、これを見たときにちょっと感じたのは、児童生徒の発達を支えるような生徒指導の側面と書いてあるんですけども、いや、むしろ側面というよりも、これが実は根幹なのではないかなというふうに感じているところでございます。
 子供たちの状況を見たときに、特に私は、今の子供たちというのは、もっとたくさんのお父さんやお母さんが必要なんだろうなということを感じております。いろんな境遇のお子さんがいます。例えば、両親がいたとしても、両親ともに非常に忙しくて、なかなか子供に向き合っている時間がないまま成長していくお子さん方も多いんですね。学校の先生方というのが子供たちにとって非常によりどころになっている部分も私はあると思いますし、やっぱり先生方を見ていると、子供たちに心で向き合っている先生には、子供たちはついていきます。そういうものを見ていると、やっぱり先生という存在というのは非常に大事でありますし、やはりこれからもっともっと教員、今、教員の成り手が少ないと言われていますけど、私は社会でもって教員を支え、尊敬し、教員が誇りを持てる、そういう社会にしていかなければならないと、本当に強く思っております。
 最後になりますけど、いろんなことを申し上げましたけども、私はやっぱりいじめの問題等を聞いていていつも感じるのは、子供たちを守らなきゃいけない、それから、子供たちに、逃げるときは逃げていいんだよということを教えることも必要。ただ同時に、やっぱり子供たちに勇気というものも教えていくことが大事ではないかなと思っております。こういうことを言うと、いじめられている子供のことを増々追いやってしまうのかという意見もあるんですけど、そうではなくて、いじめられている子を見たときに、いじめはいけないよと言う勇気です。他人が困っていることを見たときに自ら率先して助けに行くような、そういう勇気というものは、もっともっとこの生徒指導の中に大きく項目として、私は取り上げられていくべきではないかなということをずっと感じておりました。
 取り留めのないお話でございましたけども、以上、感想めいたお話になりましたが、失礼いたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、田中委員、お願いいたします。

【田中委員】 貴重なお時間ありがとうございます。
 先生方がおっしゃったいただいたこととかぶっている部分もあるんですけれども、近年、学校に行かなくてもいいですとか、来られなければ無理して来なくてもいいよというようなメッセージが社会に出るようになって、それ自体は子供のことを考えると本当に重要なメッセージだなと思っています。同時に、学校に行かなくてもいいという状況をいかに保障し得るかというところを仕組みとして考えていく必要があるかなというふうに思っています。そういった点では、今村委員が先ほどおっしゃられた学びの責任者が必要だというところ、強く賛成します。私たちが支えている外国人の子供たちの多くは、不登校の状況に陥りやすい子供たちですし、私自身も不登校の子供を持つ母親として、子供が学校とつながり続けられる、あるいは学校に行かなくても学び続けられる状況を確保するということは、非常に大きな労力が必要だということを実感しています。
 例えば無料の登校支援室、あるいは相談センター、あるいはフリースクールに、金銭的なサポートが受けられたとしても、例えばフリースクールへの送迎ですとか、在籍校と相談支援機関、双方との情報共有ですとか、コーディネーターのような機能を保護者が求められていると。あるいは、保護者がそういった機能を持てなければ、こうした支援の様々な施策は利用できないと思うような状況に多く直面しています。利用することの家庭にとっての時間的、経済的な負担の軽減がとても重要ですし、あるいは情報収集力、行動力、経済力を持てない家庭に対して、それをどうカバーして子供の学びを途絶えさせずに保障していくのかということを、まさにバイネームで取り組むことの必要性を感じます。
 そうした点で、福祉的観点を含めて、NPO等の外部機関との連携を視野に、言わばコーディネートを担うような責任を持つ人材の配置がなければ、いかに政策的に支援を充実しても、いかに学校に行かなくても大丈夫だよというメッセージを出したとしても、現実的に36%の子供たちが何らかのサポートにつながることは難しいのではないかというふうに感じました。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 大変申し訳ありませんでした。時間を延長してしまいましたが、また、その中でも御発言を控えてくださった方もいらっしゃるかもしれません。本当に申し訳ありません。今出ました具体的な御指摘等もありましたが、今ここで特に、文科省の方、どなたか何かありましたら、お願いします。今の時点ではよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、もう既にオーバーしてしまっていて本当に申し訳ありません。今日冒頭申し上げたこととちょっと関わりまして、私もいろいろと思うところがございまして、今の御議論の中で、秋田委員がおっしゃった、学校教育には何が必要なのかとか、あるいは貞広委員がおっしゃった、教育でできるかもしれないことと、できないこともあるんじゃないかというようなお話、あるいは松木委員がおっしゃった、学校の学びとは何なのか、学校でないと学べない学びとは何なのか、こういったようなことも、この初中分科会の下に置かれました特別部会のワーキンググループが三つ、今動いております。堀田先生のワーキンググループは既にまとめを一旦出されてはいるんですけれども、これを実際に具体化していこうとすると、義務教育、高等学校教育がどのような形になっていくのかという中で要請されるべきものであろうというふうなお話もいただいております。そういった議論を今後重ねていく中で、本当に子供たちにとって、安心して安全に学べる豊かな学校教育というのは何なのかというのを考えていければということを思いながらお聞きしておりました。本当に貴重な御意見たくさんいただきまして、ありがとうございました。具体的な御指摘もありがとうございました。
 それでは、今日はこれで終了したいと思います。次回の日程につきまして、前田さん、よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 本分科会の次回日程は、1月18日を予定してございます。詳細につきましては、また追って御連絡させていただきます。以上でございます。

【荒瀬分科会長】 それでは、大変延長してしまいまして申し訳ありませんでした。これで終了いたします。ありがとうございました。
 ―― 了 ――

■会議終了後事務局に頂戴したご意見(順不同)
【宮原委員】
<議題2.「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等についてへのコメント>
○教員の採用などについて
 様々な取り組みが行われているにもかかわらず、昨今、教職課程を履修する学生においても実際に職業として教師を選択することにちゅうちょする事例が多くあり、実際、教員採用試験の倍率は全般的に低下の一途をたどっている現状を踏まえると、教職課程にある学生にとっての教師という職業の魅力度を、ほかの職業と比較して、客観的に評価したうえで、対策を講じる必要があるのではと感じる。教師の資質の低下は、将来の子供たちへの教育の質に悪影響が出ることが想定されるため、早急に外部から見た教師という職業の魅力度を向上する取り組みも積極的に行うべきと考える。
 また、教育現場の方向性としては、スクールカウンセラーをはじめ、教師以外の専門職が地域の中でチームとして活動する体制を目指していると思うが、教師がどうしても一人で様々な問題を抱えてしまい、それが結果的に何かの事案が起こった時に初動を誤ることにもつながりかねないため、チームで問題や課題の解決にあたるための意識改革や訓練なども優先順位を上げて対策を取るべきと感じている。例えば、企業で行われるメンタリング制度やバディ制度などを仕組化し、学校を超えた学びあいや相談ができる環境を整えるなども検討できるのではないか。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)