初等中等教育分科会(第136回)議事録

1.日時

令和4年7月25日(月曜日)14時00分~16時30分

2.場所

文部科学省(※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等について
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議経過等について
  3. 次期教育振興基本計画について
  4. 不登校に関する調査研究協力者会議報告書について
  5. 部活動の地域移行について
  6. 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会の審議状況について
  7. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 では、皆さん、ただいまから第136回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 議題に入ります前に、前回の会議以降、初等中等教育分科会に新たに御参画いただきました委員がいらっしゃるということと、もう一つ、事務局にも人事異動があったということでございますので、御紹介をお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 よろしくお願いいたします。
 本年4月より初等中等教育局教育制度改革室長を務めております、前田でございます。
 まず、前回以降、新たに本分科会に御参加いただきました委員を御紹介いたします。お名前をお呼びさせていただきますので、適宜ミュートを解除いただきまして、簡単に御挨拶いただければ幸いでございます。
 なお、参考資料1としまして、最新の委員名簿をお配りさせていただいておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 まず、石崎規生委員でいらっしゃいます。まだお越しになられていないようです。
 次に、東京都教育長、浜佳葉子委員でいらっしゃいます。
 平井邦明委員でいらっしゃいます。

【平井委員】 平井でございます。どうぞよろしくお願いします。

【前田教育制度改革室長】 また、本日の分科会、欠席をされておりますけども、愛媛県砥部町長の佐川秀紀委員も新たに御参画をいただいております。
 続けて、事務局にも人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。7月15日付で、大臣官房審議官初等中等教育担当に着任しました、安彦でございます。

【安彦審議官】 安彦でございます。よろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 また、7月1日付で大臣官房教育改革特別分析官に水田が着任しております。また、初等中等教育局初等中等教育企画課長に堀野が着任しております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。新しくなっていただきました4人の皆さん、それから事務局のほうでも、今回、異動でこの分科会でお世話になる皆さん、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日の会議開催の方式と資料につきまして、前田教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 本会議は新型コロナ感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議方式で開催をさせていただいております。ウェブ会議を円滑に行います観点から、大変恐れ入りますけれども、御発言以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようよろしくお願いいたします。
 委員の先生方には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事次第に従いまして、資料の確認をさせていただきます。資料1から資料6-2まで、加えて参考資料は1から4までとなっております。参考資料のうち、参考資料2-1及び2-2は先日、国会で成立しました、こども家庭庁設置法に関する資料。また、参考資料3-1から3-3は、先月閣議決定されました、経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針でございますけども、それと新しい資本主義の実行計画について、初等中等教育関係に関する記載を抜粋したものでございますが、今回は配布により御紹介させていただきます。
 事務局からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。今日はもう御承知のように、議題六つございまして、時間も2時間半を予定しているところです。
 まず、議題の1でありますが、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等について、議題の2としまして、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議経過等について、議題の3としまして、次期教育振興基本計画について、議題の4としまして、不登校に関する調査研究協力者会議報告書について、議題の5としまして、部活動の地域移行について、そして最後、議題の6としまして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会の審議状況についてと、このようになっております。
 時間の都合で、少し御発言いただく委員の方が限られてしまう可能性があります。その場合は大変申し訳ありませんが、会議の後に事務局宛にメール等をいただきまして、お願いしたいと思います。議事録に掲載したいと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様をYouTubeで配信しておりますので、御承知おきください。
 では、議題の1であります。議題1は、議題の2と関連が深いので、一緒に御説明をお願いしたいと思います。教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等、それと、「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議経過等についてということです。質疑のほうもまとめてお願いしたいと思います。
 資料は1-1から1-7まであります。小幡教育人材政策課長、堀野初等中等教育企画課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【小幡教育人材政策課長】 教育人材政策課長の小幡でございます。
 それでは、まず、議題1のほうから説明をさせていただきます。資料1-1を御覧いただければと思います。
 こちらは教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律でございます。これは、さきの通常国会に政府提出法案として国会に提出いたしまして、衆議院、参議院で審議を経て、5月11日に成立したものでございます。こちらは「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会におきまして、昨年3月の諮問以降、議論をしていただきまして、11月に教員免許更新制発展的解消と新たな教師の学びの姿の実現ということで、審議まとめをおまとめいただいたものでございます。それを受けた法律の改正ということでございます。
 昨年の12月1日の初中分科会においても報告をさせていただいたものでございますが、その後の法律の状況について、御説明させていただきたいと思います。教育公務員特例法と教育職員免許法の改正でございます。
 一つ目、概要の1でございますが、教育公務員特例法のほうですけども、一つが、任命権者は、校長及び教員ごとに研修等に関する記録を作成しなければならない。これを任命権者に義務づけたというのが一つ。二つ目として、指導助言者、こちらは公立の小中の場合は市町村の教育委員会ということになりますけども、指導助言者は校長及び教員に対し資質の向上に関する指導助言等を行うものとするということでございます。こちらの指導助言については、右にありますように、研修に関する相談の対応ですとか情報提供、さらには指導助言、これを含むものになっているところでございます。
 その下に米印の3とございますように、実際の学校現場におきましては、教員への指導助言は、管理職と校長等が実施するということを想定しているところでございます。
 二つ目、教育職員免許法の一部改正でございます。こちらについては、10年の免許状の定めが、これまで有効期限の定めがあったものですが、更新制に関する規定を削除するということと、改正前の規定により有効期限が定められた免許状について、施行日以降は有効期限の定めがないものとするということでございます。
 それぞれ施行期日につきましては、免許更新制に関するものについては、既に7月1日から施行されているところでございます。多くの教員の免許の更新期限というのは年度末に迎えるわけでございますので、今年の免許の期限を迎える教員のほうから、更新講習が必要でなくなるということでございます。一方、研修のほう、教育公務員特例法については、教育委員会における準備等がございますので、来年の4月1日の施行ということで今、準備を進めているところでございます。
 次のページを御覧いただければと思います。こちらにございますように、全体の仕組みでございます。平成28年に教育公務員特例法が改正されまして、国が指針を策定し、それを参酌して都道府県教育委員会が指標を策定し、研修計画の策定もすると。それに基づいて、県教委、市教委、校長等、現場で研修が実施されてきたということでございますが、今回、右にあります法改正内容ということで、赤い枠で囲んでいる部分について、追加で規定がされたものでございます。先ほど説明させていただきましたように、任命権者が研修記録の作成をし、それに基づきまして、指導助言者である市町村教員や校長等管理職が指導助言等を実施していくという、こういう仕組みが今回、新たに設けられたところでございます。
 次のページ、御覧ください。これが全体のイメージでございます。研修の履歴を記録するということで、今回、法律が改正され、来年度から研修の履歴の記録とそれに基づく指導助言というのが義務づけられ、実施されていくということになりますけれども、あくまでも目的ということでいいますと、右上にあります、教師が学び続ける教師へということで、主体的、個別最適、協働的な学び、これを実現するために、そのツールとして、手段として、研修の履歴を記録していくということでございます。国としても、今後、真ん中にございます、研修受講履歴記録システムの構築をしていくこと、さらには、新しい姿の高度化を支える三つの仕組みということで、学習コンテンツの質保証、ワンストップで情報を集約し、適切に整理・提供するプラットフォーム、さらには学びの成果を可視化するための証明、こういったものを構築していきたいと思っています。特にプラットフォームにつきましては、現在、各教育委員会でやられている研修をはじめとして、更新講習で培われた大学の質の高いコンテンツ、または民間のもの、こういったものも一緒にしたプラットフォームを開発していくということと、教職員支援機構と一緒になって、標準的な動画コンテンツなども国としても作成して、各教育委員会に提供したり、または、それぞれの教師が直接利用できるような、こんな仕組みを今後つくっていきたいと思っております。
 その上で、先ほど、指針について少し触れましたけども、今回の法改正を受けまして、現在、指針の改正の準備を進めているところでございます。こちらについては、6月27日の特別部会で審議をいただきまして、その上で現在パブリックコメントをしている状況でございます。パブリックコメントの後、こちらの指針は大臣告示という形で決定、公表していきたいと考えているところでございます。
 この改正案のポイントでございますが、五つのポイントということで整理しております。こちらは、繰り返しになりますけど、主体的かつ個別最適な学び、協働的な学び、これを実現するための今回の法律を受けた改正ということでございます。
 一つ目が、教師に共通的に求められる資質能力を、五つの柱で再整理しております。教職に必要な素養、学習指導、生徒指導、これに加えて、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応、五つ目として、ICTや情報・教育データの利活用、これらを全ての教師に共通的に求められる資質能力として再整理しております。
 二つ目は、先ほど説明させていただいた今回の仕組み、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言、この基本的な考え方を明記しております。
 また、今回は、研修履歴を活用して指導助言をするということで、各学校現場では校長が大きな責任と役割を担うということになりますので、このことについて、校長に求められる資質能力として明確化するとともに、教員とは別に校長の指標を策定することとしているところでございます。
 四つ目として協働的な学びということで、教師同士の学びが非常に重要だということになりますので、校内研修の活性化ということについても明記をしております。
 最後、五つ目でございますが、研修後の成果確認方法を明確化すること、特にオンデマンド型の研修がかなり広がっている中で、特にオンデマンド型の進捗状況を確認する、そういったテストも含めたことについて、研修、企画段階から成果の確認方法を設定するということを新たに規定しているところでございます。
 今回、国としてこの指針を改正いたします。改正した後に、任命権者がこれらを参酌して指標を設定して、研修計画を策定すると、そういうことに今後なっていくということでございます。
 2ページ以降は、今の中身を少しまとめたものでございますので、後で御覧いただければと思います。
 続いて、今回、指針の改正と併せて、研修の履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドラインということで、新たにガイドラインを国として策定することとしているところでございます。資料の1-4を御覧いただければと思います。こちらにございますように、このガイドラインにおいては研修の履歴について、その記録の範囲ですとか内容、また、方法、時期、それらをお示ししているものでございます。また、対話に基づく受講奨励の方法や時期についても併せて示しているということでございます。また、第3章としては、研修受講に課題のある教師への対応ということで、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合、こういったところについても具体的に示しているところでございます。
 まず、研修の記録の範囲でございますけども、法律でも求められている部分について、丸1にある必須記録研修ということで示しているところでございます。研修実施者が研修する実習ですとか大学院での履修、されには認定講習、こういったものについては、必ず研修の履歴に記録してもらうこととしております。それ以外の研修については、丸2にございますように、任命権者が必要と認めるものということで、法律的にはなっておりますけども、かなりここが広い対象になるわけでございますが、国としては、どこまでこの研修を記録すべきということをそれぞれ序列化して示すことは、今回あえてせずに、それぞれ丸2に含まれ得る研修ということで、任命権者において、それぞれの状況に応じて御判断いただきたいと思っているところでございます。
 特に、市町村で行われる研修などはそこまで問題にならないと思いますけども、校内研修であるとか自主研修というのは、なかなか幅広い研修になってくるわけでございますので、これらを一つ一つ、記録していたら結構大変な負担になると考えておりますので、あくまでも合理的かつ効率的な範囲で記録をしていただきたいと考えているところでございます。
 次のページを御覧ください。2番にありますように、記録の内容としては、いろいろな内容があるわけでございますが、これも研修の態様や性質に応じて、かなり変わってくるということでございますが、一番大事なことは、二つ目のポツにありますように、記録自体が目的化したり、過度な負担にならないように簡素化に留意するということで、その範囲でそれぞれの内容を記録していただきたいと考えております。
 3番として、方法でございますが、基本的にはシステムで記録していくことが今後、国としてもシステムを構築するので、システムでの記録を想定しているところでございますが、それまでの間は電子ファイルや、または紙での記録ということも可能となっているところでございます。
 4番としては、研修履歴の記録の時期ということでございます。これも研修によって、様々な時期、方法になると思っておりますけども、例えばシステムで研修を管理できるものは自動的に記録できるわけでございますが、記録については、特に校内研修などは校内研修のたびに記録をしていると結構大変なことになりますので、1年まとめてとか、学期ごとにまとめてとか、そういう形で効率的な記録にしていただきたいと思っております。
 また、どういう場合に対話に基づく受講奨励を行うかということでございますけれども、基本的には現在、人事評価でも行われている期首面談、期末面談、こういった場、こういった機会を活用して実施していただければと思っております。
 6として、研修受講に課題のある教師への対応ということで、これも国会等でもかなり議論になったところでございますけれども、これらについても、どういう場合が、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合に当たるのかということで、合理的な理由なく法定研修などに参加しないとか、勤務上の支障がないにも関わらず、必要な校内研修に参加しない、こういったことについて、具体的に示しているところでございます。
 7については、後ほど初中局から説明すると承知しております。
 以上でございますが、3ページに、終わりにということで、ガイドラインのほうの最後に書いてあることでございますけども、中教審の特別部会の議論の中でも、委員から、その都度、その都度、ガイドラインの本体には書いてあるところでございますけども、今回、ガイドラインで示す基本的な考え方をきちんと示していく必要があるのではないかということで、示しているものでございます。
 ここにございますように、今回の研修の履歴というのが、あくまでもこれ自体を目的化しないということが非常に大事であるということですとか、この仕組みを使って、教師の次なる学びのエンジンにしていくと、こういうことが期待されるということでございますので、こういった点はしっかり文科省としても今後、説明をしていきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、堀野課長、よろしくお願いいたします。

【堀野初等中等教育企画課長】 初等中等教育企画課長の堀野でございます。
 続きまして、資料1-6を御覧ください。指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインの改定について御説明をいたします。
 そもそも、この制度ですけれども、平成19年に、今、説明のあった免許更新制が平成19年の法律改正により導入された際、同じタイミングで導入された仕組みでございます。免許更新制は、あくまで教師の資質能力の向上のための制度として導入されましたけれども、一方で、指導が不適切な教員につきましては、一度教壇から離れていただいて研修に入っていただくと。改善すれば教壇に戻りますし、改善の見込みがないということであれば分限免職にもなり得るということを、免許更新制の導入と同じタイミングで法律に定めました。
 その時に、指導が不適切な教員に対する人事管理システムの運用のためのガイドラインを平成20年に策定していたわけですけれども、昨今の法律改正と研修を取り巻く制度改正等を踏まえて、今回、アップデートの改定をすることといたしました。
 資料1-6の「はじめに」の部分にございますとおり、黄色いところにアンダーラインがありますけれども、平成28年の法改正による教員育成指標、教員研修計画、あるいは先ほど御説明のありました、令和4年改正法による研修等に関する記録の作成等々、こういったものを踏まえまして、人事管理システムの運用の際にもこういったものを活用していくというアップデートでございます。
 2ポツの黄色い部分ですけれども、定義の部分では教師として求められる資質能力について、教師の資質向上に関する指針と同様に、ICT等の利活用や特別な支援を必要とする児童生徒への対応なども含まれるということを新たに明記しております。
 続きまして、2ページ目を御覧ください。3ポツの把握及び報告・申請では、把握に関する負担感や、不安感等から対応を先延ばしするということがあってはならないこと。そして、教育委員会も学校任せにせずに積極的に関与すること、あるいは弁護士等への相談体制を整備することなどを求めています。
 8ポツの指導改善研修後の措置では、状況に応じて分限処分を的確に実施することを求めております。
 9ポツでは、指導が不適切な教員になる前の段階の指導に課題があるという教諭等についても、あらかじめしっかりと研修等を行い、指導力不足の未然防止、早期対応を求めているところでございます。
 本ガイドラインにつきましては、パブリックコメントを行っているところでありまして、寄せられた意見も踏まえて、今後、改定、公表したいと考えております。
 説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、さっき申しましたように、議題の2も併せて御説明お願いしたいと思います。「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における審議経過報告等について、御報告をいただき、具体的に今、議論になっている審議結果報告の素案と、さらに特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議において、3月にまとまった報告の2点をお願いいたします。
 引き続き、小幡課長と山田特別支援教育課長からお願いをしたいと思います。

【小幡教育人材政策課長】 小幡でございます。
 まず、こちらの「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の審議経過報告でございますが、昨年の3月に中央教育審議会に対して、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成、採用、研修等の在り方についてということで、全体で5項目にわたる諮問をしているところでございまして、そのうちの一つが免許更新制の見直しということで、これを先行して審議いただき、昨年の11月に審議のまとめを出していただいたということでございます。それ以外にも、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方ですとか、教員養成大学、学部、教職大学院の機能強化、高度化、こういったそれ以外の論点もまだ残っているところでございまして、こちらについても並行して、特別部会において議論していただいているという状況でございます。
 これらについては、特別部会の下に、加治佐先生に主査になっていただき、基本問題小委員会を立ち上げて、各論点について議論してきたわけでございまして、6月27日の特別部会に審議経過報告を素案として提示させていただいたということでございます。それらの状況について、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、前提となるのは、昨年1月の「令和の日本型学校教育」についての答申があったわけですが、その中で、教育を担う教師及び教職員集団の姿ということが示されていたところでございます。これを受け、具体的にそういった教師、教職員集団にするための教員養成、免許採用、研修というのがどういったものであるのかということで、こちらにあるような形で現在、審議の経過をしているというところでございます。まだ経過ということで、途中段階のものでございますけども、方向性については、ある程度示されてきているというところでございますので、簡単にそれらについて、説明させていただきます。
 まず、3番にある養成のところを御覧いただければと思いますが、養成についても、右に検討事項とありますように、教師に求められる基礎的な資質能力と教職課程の見直しということでございますが、特に教育実習につきまして、その時期とか期間、さらには学校体験活動の在り方も含めて、全体として、教育実習を含む教職課程の見直しについて、具体的な検討をしているところでございます。また、特定分野に強みや専門性を持った教師の養成、採用ということで、特にSTEAM教育でございますとか、あるいは心理、福祉、こういった特定分野に強い教師をどう育てていくべきか、また、教科担任制、小学校の高学年の教科担任制が既に始まっているところでございますが、そういう、例えば、算数、数学、理科、体育、英語等に、そういったところに強みがある教師を育て、小学校の教科担任制で活躍していただくと。そういうためにはどういう養成、採用していく必要があるのかということを議論しているところでございます。
 また、教職大学院のところでございますと、例えば学部段階から教職大学院の進学を見据えたコースを設定し、大学院の在学期間の在り方も含めて考えていく必要があるのではないかということですとか、教育委員会での連携、促進ということでは、実務家教員ということで、教職大学院には一定程度、入っているわけでございますけども、より学部段階から、さらには教職大学院を卒業して、1回、教育委員会、学校に戻り、また教職大学院に行って、さらにまた、その後、教育委員会に戻っていくとか、そういうキャリアパスも踏まえた育成というのを考えていく必要があるのではないかということについて、議論しているところでございます。
 また、免許につきましては、特別免許状というものが制度としてございますけれども、これをより活用、促進していく必要があるのではないかということ。あとは、教員資格認定試験ですとか社会人の積極的な採用、こういったところを具体的にどう進めていく必要があるのかということの議論をしているというところでございます。
 採用につきましては、教職への志望動向に関する実態把握をしているところでございますけども、特に教員採用選考試験につきましては、実施スケジュールということで、受験時期の早期化ですとか受験ルートの複線化ということで、いろいろな形で今、教師不足なども言われている中でございますが、各自治体が創意工夫できるような採用をして、優秀な学生に教員を目指してもらうという方策を検討しているところでございます。
 最後、研修のところは、先ほどの免許更新制の発展的解消の新たな教師の学びの姿とつながるところでございますけども、それを実現するためには、どういう体制整備である必要があるかということ、また、校長が指導助言とするわけですが、校長に求められる資質能力の明確化、こういったところの議論を今、進めているところでございます。今後も、特別部会を中心に議論を進めていただくこととなっており、年内を目途に答申としておまとめいただけるということで、現在、進めていただいているところでございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。では、山田課長、引き続きよろしくお願いいたします。

【山田特別支援教育課長】 資料の2-3を御覧ください。
 「特別支援教育を担う教師の養成に係る方策について」ということで、教師の関係で合わせて御報告を申し上げます。
 次のページ、1ページ目を御覧いただきますと、こちらが昨年1月に報告をいただきましたが、特別支援教育全体について御議論をいただき、方向性をお示しいただいた会議でございまして、次、2ページ目がその報告でございますけれども、基本的な考え方、学びの場、左下にいきまして、教師の専門性の向上、ICTの利活用と関係機関との連携と、全体的に御議論いただきましたが、左下のところで、特別支援学校の教師の免許状に関しまして、重複障害、発達障害等を特別支援学校教諭免許状の中に法令上、位置づける必要があるのではないかということと、教職課程の全国共通のコアカリキュラムの策定が必要ではないかという報告を頂戴してございます。
 3ページ目はその具体的な案文でございまして、4ページ目からは先ほどの報告も受けまして、特別支援教育の教師の在り方についてでございますが、これは、先日の教師不足の調査の結果ですけれども、我々は教師不足とは違うところに着目をしておりまして、特別支援学校、赤い枠で上のほうが囲われていますけれども、真ん中ら辺、臨時的任用教員が16.92%になっています。他の学校種と比べると、やや高い状況です。下の小中学校の中を御覧いただきましても、小学校における特別支援学級の臨任の割合は24%程度で、通常級の担任に比べて倍以上、臨任の率が高くなっていると。もちろん臨任の先生方の中に、大変多く優秀な先生がいらっしゃるのは分かりますけれども、しっかりと特別支援教育の専門性を持った人を育てようとしているかというと、若干疑問かなと思っておりまして、次のページを御覧いただきますと、その結果としてということではありませんが、上の四角の中の一番下のところに、82.3%という数字がありますけれども、これは特別支援学級が設置されている小学校、中学校です。かなり多くの学校に特別支援学級が設置されているという状況でございます。にもかかわらずでございますが、右下を御覧いただきますと、校長先生、特別支援学級と通級指導教室を設置している校長だけですけれども、その校長先生のうち、特別支援学級での教職経験がない方が七、八割いらっしゃると。ほとんどの学校に特別支援学級があるのに、特別支援学級の経験はないという状況になっています。
 また、次のページでございますが、特別支援学校教諭の免許状の保有率は年々上がってはおりますけれども、いまだ15%程度の先生が持っていらっしゃらず、次のページでございますけれども、特に視覚、聴覚のところで保有率が十分上がっていないという状況を踏まえまして、新たに会議を立ち上げさせていただきまして、加治佐先生に座長になっていただきまして、特別支援教育を担う教師の養成の在り方について、御検討をいただきました。
 9ページがその報告の内容でございます。字が小さくて大変恐縮ですけれども、丸1養成段階から丸2採用、丸3校内体制の整備、キャリアパス、こういったところをおまとめいただきました。丸1養成段階での育成ではコアカリキュラムの策定ですとか、教育実習・介護等体験での特別支援学校・特別支援学級等の体験、丸2採用段階での工夫では、特別支援教育の経験を採用時に加点をするなどして考慮するということと、多少報道が多くありましたけれども、採用後10年以内に必ず複数年、特別支援教育を経験しましょうということも報告をいただきました。
 また、丸3において、特別支援学校教諭免許状を有しない教師の条件を狭く限定をいたしましたのと、校内研修等の促進、管理職の任用に当たっても特別支援教育の経験を考慮すると、こういったことを御提言いただき、今後、丸5でございますが、国により調査・把握をし、改善、推進をしていきたいと考えているところでございます。
 10ページ以降が、具体的なコアカリキュラムを中心とした関係の文章でございまして、13ページを御覧いただきますと、最初に御説明を申し上げました課題を解決すべく、現在、教育職員免許法施行規則の一部改正とコアカリキュラムの策定の作業をしておりまして、具体的には真ん中ら辺に概要の(1)のところでございますけれども、免許施行規則の一部を改正いたしまして、ローマ数字の(1)として、これもほぼ全ての大学で教育が実施されておりますけれども、自立活動の内容を含むことを明記するということ。
 ローマ数字の(2)、知的の障害のある子の教育課程は複数の教科を合わせて実施できたりするんですけれども、やっているうちに何と何の教科を合わせているのか分からなくなっているような授業があったりするところがあるので、そのカリキュラム・マネジメントもしっかりやっていただきたいということ。ローマ数字の(3)としまして、重複障害、発達障害、これも全ての大学でもう既に実施されていますけれども、省令上も明記をさせていただく。こういった改正をしたいと考えております。
 また、(2)といたしまして、基礎免許状と呼んでいますけど、小中高の免許状の教職課程については、既にコアカリキュラムが策定されておりますけれども、特別支援学校教諭免許状についても、ミニマムエッセンシャルな教育内容を定めるコアカリキュラムを現在、パブリックコメントの募集を終わり、進めているところでございます。いずれも、今週28日に決定がなされる予定でございます。
 あと、14ページ、15ページは参考資料でございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大変丁寧に、しかも相当内容もたくさん御説明をいただきました。
 ここで、3時頃まで御意見を頂戴したいと思いますが、今、両方の御説明の中でも、教員養成部会長をなさっていらっしゃる加治佐先生のお名前も出てきたわけですが、加治佐委員、何か補足とかございますでしょうか。

【加治佐委員】 いえ、特にはありません。今の説明で十分だと思います。

【荒瀬分科会長】 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、皆様から御意見を頂戴したいと思います。いつものように手を挙げるのボタンを押していただきまして、御発言をいただければと思います。時間の関係がございますので、可能な限り、手短にお願いしたいと思います。
 では、小林委員から、まず順番にお願いいたします。

【小林委員】 ありがとうございます。福井大学の小林です。資料1-5にありますように、教師にとって、主体的に誇りを持って研修に打ち込むことが大事という点については、本当に大いに賛成です。免許更新の際に、どうしてもやらされた感があって、受け身になっていたなということを考えると、今回の御提案によって、研修に主体的に取り組むという点を強調していただいたことは大事だと思います。
 ただ、少し気になりましたのは、対話に基づく受講奨励という中の、対話ということの中身なんですけど、何となく全体的に評価という色が強くて、結局は管理職の指導、助言だけをイメージされているのではないかと思いました。主体的、対話的で深い学びという子供たちの学びのロールモデルということが必要ならば、子供たちの学びは先生対子供ではなくて、子供同士の学び合いというのが本当の学びを生むということであれば、対話というのも、是非上下関係だけではなくて、教員同士の仲間とか同僚の語り合い、そういうものを通して、自分自身で自分にとってどんな力を養っていくことが大事かということを、本当に主体的に考えていけるようになる形が望ましいのではないかと思います。
 管理職からの一方的な助言では、どうしても教え込むという色が強くて、そうしたところでは、一部書いてあったんですけど、授業公開後の批評という言葉が使われていたかと思うんですが、現場ではあまり批評とは使わなくて、子供の姿を語り合いながら、お互いに助言をしていくという言い方をしているので、例えばのそういう言葉も含めて、可能ならば、学校に下ろしていく際に、こうした先生方同士の語り合いを奨励するような、自らの学びを自らで生み出すような、そんなニュアンスを加えていただけるといいんじゃないかと思っております。どうぞよろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大変重要な御指摘かと思います。具体的には、今日、小幡課長もいらっしゃいますし、それから私もそうなんですけども、委員を兼ねておりますので、今の御発言をしっかりと受け止めて、また、そちらの会議のほうで反映をできるようにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、渡辺弘司委員、清原委員、井坂委員の順でお願いいたします。渡辺委員、どうぞ。

【渡辺(弘)委員】 日本医師会の渡辺です。資料2-1に関して2点、申し上げたいと思います。
 1点目は、免許のところの検討項目に関しまして、三つ目のポツですけども、多様な専門性を持つ社会人をより積極的に採用しやすくなるような環境整備、これは多様な専門性を持つ社会人を雇用するというのは大変いいことだと思うんですけども、やはりある程度の質を担保していただきたいと思うんです。
 どういうことかと申し上げますと、やはり雇用する際は雇用条件を良くしないといけない。安定した職、つまり正規職員であって、臨時採用という形であれば継続性も問題だし、社会人から転職してくるということを考えた場合に、雇用が安定しなければなかなか良い人材が来ていただけないんじゃないかという危惧がございます。是非雇用条件を考えていただきたいと思います。
 2点目は、研修のところの検討事項の2つ目のポツですけども、学校の管理者、つまり校長先生が特別支援教育に関してあまり習熟なさっている方が少ないというのは現場として非常に問題と考えております。部会のほうで御提言をいただいたように、校長先生になれる条件、できれば必須条件として、特別支援教育の履修というのを是非加えていただきたいという希望があります。
 以上、2点でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御発言、いずれも大変重要であると思いました。今後もまた議論を続けてまいりますので、そちらのほうに本当に活かせていければと思いました。ありがとうございます。
 では、清原委員、お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原です。2点申し上げます。
 資料1-1の3ページにまとめていただきましたように、教育公務員特例法の一部改正を反映して、これから令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿のイメージが明らかになりました。特に中教審の審議を反映して、このシステムについて、大変中立的に「研修受講履歴記録システム」という名称がついたことは望ましいと思います。あくまでも、校長、そして、教員の主体的、自律的な学びを個別最適及び共同型学習の中で実現していくためのシステムということになります。
 そこで、1-4の資料の、最後の「終わりに」ということでまとめていただきました項目というのが、極めて私は重要だと思っています。ガイドラインの「終わりに」という部分です。ゴシックになっているところ以外のところに、むしろ大事なポイントがあると思います。すなわち「研修履歴を記録、管理すること自体を目的化しない意識を十分に持つこと」、そして、この「記録自体を目的としない」と。このことは極めて重要な研修履歴を活用する最初の視点だと思いますし、最後まで持ち続けていただかなければいけないところだと思います。
 したがって、先ほど小林委員も対話の中身が大事とおっしゃいましたように、指導、助言する人が上からではなく、言わば「伴走者」として取り組むということではないかとも考えております。したがって、ガイドライン案の「終わりに」という部分は、終わりにというとこれで終わってしまうような感じですが、むしろ研修履歴のシステムを稼働していく上の出発点であり、常に堅持しなければいけない視点だということを強調していただければ有り難いと思います。
 次に、資料の2-3の「特別支援教育に関わる教師についての検討」について申し上げます。加治佐部会長をはじめ、本当に熱心に御検討いただき、全ての内容が今後の取組に生かされる内容だと思っています。ここで、先ほど言っていただいた「臨時的任用教員の比率が高い」ことや、「校長として特別支援学級等の経験が少ない人が多い」ということも明らかにしていただきました。
 しかし、そのことを決してマイナスに捉えるのではなくて、だからこそ特別支援教育に関わる人材の養成であるとか研修であるとかというプロセスを明示していただきました。私としては、是非これを推進していただきたいし、課長さんの御発表、御報告の中には、実は、「大学ではこうした取組を実施しています」とありました。それをよりよくするために、「コアカリキュラム」であるとか「カリキュラム・マネジメント」の必要性を指摘していますということです。
 しかし、特別支援教育を内容として教えるということはなかなか容易ではないと思っておりますので、是非「コアカリキュラム」をはじめ、教職課程を持つ大学、あるいは大学院が今、共有していただいております、9ページのこのこと(特別支援教育に関わる教師の専門性向上に向けた方策)を実現可能性を持って取り組めますように、大学、学部、教職課程そして教職大学院の教員の皆様と、文字どおり対話を続けていただきまして、実効性のあるものにしていただくことを心からお願いいたします。
 以上です。どうもありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。毎回毎回、同じようなことばかり言って申し訳ありませんが、いずれも大変重要な御指摘かと思います。後ほど、事務局のほうからまた御発言をいただきたいと思っています。
 今、安家委員も手を挙げていらっしゃいますので、井坂委員、安家委員の順にお願いいたします。どうぞ、お願いいたします。

【井坂委員】 神奈川県立柏陽高校の校長の井坂でございます。すいません。冷房のないところで窓を開けていますので、蝉の声が聞こえるかもしれませんけれども、御容赦ください。
 私も既に、今まで委員の方が言ったことと重なる部分が多いんですが、資料で申し上げますと、最初の資料1-1の3枚目でしょうか。今ちょうど清原委員もおっしゃっていたんですが、対話、あるいは小林委員もおっしゃっていましたけども、対応という部分につきまして、正に在り方が大事だということと同時に、もともとこれは何で対話するかというと、当然右側に書いてあるように、資料1-1の3枚目です。教師が自ら主体的な学びをマネジメントするんだと。要は自分でしっかり学びましょうということなわけです。これは別に今に始まった問題じゃなくて、もともと学び続ける教師ということがありますので、当然、やっていくのは教員なんだというページでございます。これがあるんですが、これを私も、新しい姿の高度化を支える三つの取組と下にありますよね、学び続ける教師へと。三つ目の学びの成果を可視化するための証明と、これも大変難しいんじゃないかと思うんです。私も県の教育センターで長く勤めていまして、どうしても研修履歴と研修成果をどのように今、効果測定という言葉をさんざんいろいろ研究したんですが、なかなか難しいと。そんな意味では、もちろん研修を受ける。それでは、当然やった以上は何かしらのものは成長する必要があるんでしょうけども、研修履歴自体もそうですし、反映もそうですし、学びの成果もそうですけども、こっちを目的化するんじゃなくて、私は教員が自ら主体的に学びをマネジメントするんだと、ここにもっと主眼を置くというんでしょうか、これは設置者が当然、この方向性を受けて、具体的にどうするというガイドラインを出すんでしょうけれども、設置者に対しても、私は県教委に対しても、大事なことは先生方が自分でやっていくんだということを助長するような取組にしなくちゃまずいというのを、すごく今は思っています。
 あと、次の次のページ、3ページ目です。さらに飛びまして、教師に共通的に求められる資質能力ということがありますが、これは新たに、右側のITCの部分であったり、また、特別な支援を必要とする子供への対応と、正にこれが、新たなこれからの学びということで、なるほどと思って、うまくできた絵だと思っていますし、このとおりだと理解しております。ただ、私はどうしても一番下にあるベースの部分の教職に必要な素養、特に使命感と豊かな人間性だと。私は改めてここをもっと強調するべきだと思っていますし、おざなりにはできないと思うんです。
 一方で、教員がいろいろな性犯罪に絡んだり、わいろや不祥事を起こす例があったり、また、体罰であったりという、どうしても教員不信という大きな社会的な流れの中にある上においても、また、一方、新たなICTであったり、付け加えたものに対しても、基本的に教員としての使命感とか豊かな人間性というものが、本当に教員の中にあるのであれば、これは資料の2-1の例の素案のほうにも、3ページにも改めて教員というのは高度な専門職であったり、崇高な仕事であるとか書いてあるわけです。そこをしっかりと、まず理解させるということが、これは私、大学の教員課程なんかにおいても、少し古いかもしれませんけど、改めて教育哲学とか、あるいは教育原理とか、そういうことを教員になる前においてはしっかりと培ってきたものが教員になってほしいと思うし、なってもずっとそれが学び続ける基本だと思うんです。もちろん個人的な取組というのは大事だと思います。私も還暦を過ぎておりますが、ICTを一生懸命勉強しています。新しいものに取り組むということも大事でございますけども、根幹の部分をもっとしっかりと理解するといいと思います。
 すいません。あと二つ言わせてください。実は教員不足ということが書いてありますけども、これは文部科学省の資料では義務教育と書いてありますけども、神奈川の場合は、140校、県立高校があります。特別支援学校が180ありますけども、校長同士でほぼ毎週のように連絡を取り合って、何かの教科の先生はいないかと。毎週のように一つ、二つ、何らかあります。実際、大変教員不足というものは、今、学校運営上、一番の課題と言っても過言ではないです。
 その中で、資料2-1の素案の最後のところに、教育実習とか採用のところにあったんですが、教育実習は主に開放型であれば4年生であって、教員養成課程の国公立であれば、3年生、4年生でやっていますけども、また、インターンシップという言葉も出ていましたけども、私は採用試験の、県の採用試験の採用の場合の試験官をもう10年ぐらいやっていますけども、何で教員を志すかという志望に対して、受験生が教育実習の経験が大きいというのが多いです。私自身も、もう40年以上前ですけど振り返ってみますと、教育実習のことをいまだに覚えています。そんな意味では、私は早めに、免許の開放型の大学では難しいかもしれませんけども、早く教育実習を短期間でもいいから受けさせることによって、教員に対するモチベーション上げてほしいと、そういう取組がいいのかと思っております。
 神奈川県の県の研修センターで、実は高校生、中学生向けに教職セミナーというのを開校しまして、常に県立高校、私を含めて、高校生が300人ぐらいの生徒が応募しています。中学生も今年始めて、30名ぐらいの生徒が受けています。ですので、教員に対する学校の先生に対する、まだまだやりたいという若い力は、私はあると思っておりますので、教員不足を担う意味では、教育実習というインターンシップという言い方がありますけども、何とかそれをもっと根付くような方法をしてみたいと思っています。
 最後は、校長に対する、今日もありましたけれども、校長に求められる資質能力の明確化ということで、これは最初の段階であったように、校長、管理職というのは、教職の延長線上のキャリアステージというだけではなくというところがありました。私も当然そうでしょうけども、最初から校長になりたくて教員を目指す人間はなかなかいないと思うんです。その意味では、いわゆる主幹教諭、教頭、副校長、校長と上において、明らかにこれは主体的な学びとまた逆行するかもしれませんけども、そういう人材をつくっていくというのは、これも設置者がやることだと思いますけども、明確に段階を追って、校長をつくっていくんだというプログラムがないと、なかなか自然発生的に、ここに書いてあるような資質を持った、人材育成が必要だということはあります。アセスメント能力、ファシリテーション能力なんかも例示としてありますけども、これはなかなか現場だけではつくっていけないと思いますので、そういうシステムをつくらないと校長に求められる資質能力が明確された後で、どうつくっていくかという方策が必要かと思っております。
 すいません、長くなりまして、ありがとうございました。以上です。
【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。では、安家委員、お願いいたします。
【安家委員】  全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の安家と申します。本日は丁寧な御説明ありがとうございました。私、2点お話をしたいと思います。
 一つは、先ほどから管理職の方々の教員の研修の履歴をしっかりと把握しながら指導していくというお話がございました。当然、管理職としては、そのような能力は当然求められるということがございますが、先ほどの御発言にもありましたように、職員室の人間の関係性が、学級の教師対子供の関係に非常に強く反映するという話を私はよく聞きます。縦関係の非常に抑圧的な関係であれば、学級の中での教師対子供の関係が非常に強い関係になって、教師のマルトリートメントと呼ばれる不適切な生徒に対する発言などにもつながっていくということも考えられるので、私は先ほどからお話しのように、教員が主体的に研修をしていく、自らその計画を立てていくということができる。
 我々はたまたま私立幼稚園の団体で、保育者における資質向上の研修俯瞰図というものを平成18年に作りまして、全体の地図を皆様に開陳いたしました。この地図によって、自分はどのように学んでいくのかということを計画的に考えて、そして、ナビゲーションシステムで研修の申込みをし、研修を受けた後に確認をあった後、研修の履歴がナビゲーションの中のサーバーに残っていくというシステムを既に持っておるんですが、先ほどから、今後出来上がってくるナビの研修の蓄積の中に、私立学校の教員が入っていけるのかどうかが少し私は明確に分かっておりません。その辺りも含めて、またお教えいただければというのが、まず1点。
 二つ目は、教員のシステム、我々が持っている、もう既に研修の履歴を蓄積するシステムと、国がお作りになろうとしているシステムの関係性、この辺りについてもお教えいただきたい、この2点をお願い申し上げたいと思っています。
 以上でございます。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。最後の安家委員から二つ御質問がありました。そのことも含めて、小幡課長、お願いできますでしょうか。
【小幡教育人材政策課長】  小幡でございます。最後の安家委員からの私立学校のシステムとの関係で御質問がございましたが、先ほどの説明で足りなかった部分があり、恐縮ですけれども、今回の教育公務員特例法の改正につきましては、もともと教育公務員特例法というのは、公立教員に限る法律でございます。そういう意味で言いますと、今回義務づけられるのは任命権者、つまり都道府県教育委員会、政令市の教育委員会に義務づけられるということになりますので、国が作るシステム、基本的には、公立学校の教員の任命権者である都道府県、政令市教育委員会が活用するシステムとして、現在開発の準備を進めているというのが前提でございますが、私立学校の先生方、また、私立学校の学校関係者の方々にも、今後それに合わせて開発するプラットフォームにつきましては、是非活用していただけるようなものにしていきたいと思っておりますので、そういう形で私立学校の先生方の研修についても、国としてサポートしてまいりたいと思っております。
 あと、いろいろ御質問いただいた大きな論点としては、対話について、一方的でない形でやることが大事だと、つまり教師が自らの学びを自分でマネジメントして、どういう学びしていくかということが必要だということであったと思います。今回のシステムにつきましても、まずは履歴をちゃんと自分、教師自身が見られるものにするというのが大前提ということで考えております。教師がこれまでの学びを踏まえ、現状をしっかり把握し、今後の目標を設定し、それに向けてどういう学びをするのかというのを、まず主体的に考えてもらい、それをしっかり校長と管理職と話をしながら、それぞれの学校での役割なども含めて、じゃあどういう研修をしていこうということで、一方通行ではないキャッチボールをするという言葉を、大臣もよく使っておりますけども、そういう形で、それぞれがしっかりコミュニケーションを取って進めていくということが一番大事だと思っておりますので、その点は今後、運用に当たって、国としてもしっかり都道府県、市町村教育委員会のほうにも説明をしていきたいと考えているところでございます。
 校長の管理職としての能力、これは今回の、今の話とも関係して大事なところでございます。国としても研修等を行うなど、校長等の能力については、対話がしっかりできるような管理職になっていただくよう、研修等を進めていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
【荒瀬分科会長】  ありがとうございました。御指摘いただいた井坂委員、安家委員、また、その前のお三方、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では、まだ御意見おありの方もいらっしゃるかと思いますが、次の議題に移りたいと思います。議題の3から今度は5まで、併せて御報告をいただいて、その後、また質疑応答ということでお願いいたします。
 議題の3は、次期教育振興基本計画について。教育振興基本計画は、御承知のように教育基本法に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的、計画的な推進を図るために、5年ごとに制定されている計画であります。本年2月には、令和5年度から5年間の方向性を定める時期を、第4期に当たりますが、教育振興基本計画について諮問がなされて、現在、中央教育審議会の教育振興基本計画部会、部会長は渡邉会長がなさっておられますが、議論が進んでいるところです。この議論の状況も含め、説明をお願いしたいと思います。川村教育企画調整官、お願いいたします。

【川村教育企画調整官】 ありがとうございます。総合教育政策局の川村でございます。
 資料でございますけれども、次のページに参りまして、教育振興基本計画、先ほど分科会長から御説明ございましたとおり、現在、第3期の期間中でございまして、対象期間は令和4年度までということで、今年度となっております。基本的な方針、また、教育の目指すべき方向性ということで、丸1から丸5まで掲げまして、現在、計画を実施しているところでございます。
 次のページに参りまして、次期教育振興基本計画の諮問の概要でございます。教育基本法に基づく計画でございますけれども、社会の変化、2040年以降の社会、人口減少、高齢化、DX、多極化と、また、右側にございますが、VUCAの時代と言われる中で、望む未来を私自身で示し、作り上げていくことが求められるということで、大きく二つテーマがございまして、一つは、超スマート社会、Society 5.0、もう一つは、ウェルビーイングでございます。
 変革を起こすコンピテンシー、また、幼児教育、義務教育の基礎の上に高等学校、大学、高専、専門学校、大学院までの一層の連続性、一貫性の中での有機的なつながり、これが産業界、国際社会も含めた社会のニーズに応えるという観点が示されております。また、社会人の学び直しということですとか共生社会というような観点も示されておりまして、第3期の期間中に令和の日本型教育答申、この中での個別最適な学びと協働的な学び、また、右側にございます、高等教育の段階ではグランドデザイン答申と、大きな答申が二つ出ておりますので、こういったことも踏まえた検討という観点。
 さらには、第3期期間中にございました、新型コロナウイルス感染症を契機といたしましたデジタルの可能性ですとか学校の福祉的機能、また、リアルの体験の持つ価値の再認識、こういった点も示されております。その上で、超スマート社会に対応した各学校段階の連続性、一貫性、こちらを保った上での教育や学習の在り方。また、デジタルとリアルの最適な組合せの観点。さらには共生社会を実現していく上での学習者視点に立った、誰一人取り残されないウェルビーイングの実現と、こういったことも踏まえまして、諮問事項1から4までに掲げている通りということで、この諮問に基づきまして、現在、御審議をいただいております。
 次のページでございますけれども、教育振興基本計画部会、これまでの審議状況ということで、4回まで開催をしておりまして、2回目で計画、第3期現行の計画の進捗状況を御審議いただきました後、第3回では教育DX、また、教育現場での実効性ということで御議論いただいております。第4回では、教育とウェルビーイング、誰一人取り残さない教育ということで、総論的なテーマについて議論をいただいているところでございます。
 次のページでございますけれども、現在、第3期の教育振興基本計画の全体構造でございます。少し分かりにくいですが、初等中等教育に関する事柄を太字にしておりますけれども、基本的な方向性が5つあり、(1)から(21)というのが5つの方向性の下に掲げられておりまして、それぞれに対して、右側に施策群ということで施策が記載をされているというものでございます。この全体のフォローアップをいたしましたので、それについて少し御説明をさせていただきます。
 次のページでございます。教育振興基本計画の指標の状況ということで、先ほど(1)から(21)までのそれぞれの目標につきまして、指標をお示ししております。ここは一覧でございますが、赤字のところは順調に進捗、または目標達成、下線についてはやや課題がある、または目標に達していないものでございまして、例えば、OECDのPISA調査等における日本の子供たちの世界トップレベルの学力水準、他方で読解力の平均得点に関する低下に関すること。また、自己肯定感、いじめの認知件数に占める解消割合等について、現状の指標の状況をお示しした上で御議論いただいております。
 次のページでございますけれども、例えば(14)になりますと、家庭の経済状況、これは非常に大きな修学支援の制度が入りましたので向上しているという結果ですとか、(17)のICT利用、これにつきましても、GIGAスクール構想によりまして大幅に改善しているということを示しているということでございます。
 次のページをお願いいたします。こういった指標の進捗を踏まえますのと、もう一つは、これは第3期の教育振興基本計画期間中に、様々ございました答申ですとか有識者会議のまとめ、他省庁での教育に関する審議、また、国際機関の提言を並べたものでありますけれども、期間中に取りまとめられた方針等を踏まえて、または現在審議中、この分科会でも御審議いただくことがあると思いますけれども、こういったことも踏まえまして、次期教育振興基本計画においては、こういった議論の内容も取り込んだ上での計画としていく必要があるということで、御審議をいただいているところでございます。
 次のページ以降でございますけれども、こちらは資料的なものでございますので、説明を省略いたしますけれども、例えば(1)の目標、確かな学力の育成でありますと、現在の指標に基づいてどういう状況であるかと。また、進捗状況について、どういった施策をこの5年間行ってきたかということで、進捗の総括、課題とその対応を、目標ごとにまとめた資料でございます。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題4に関しても併せて御説明をいただきます。不登校に関する調査研究協力者会議の報告書です。今の御説明の中にも不登校のこととか、あるいは非常に困っている子供たちについてどうしていくのかという大変重要な課題かと思うんですけれども、そのことにつきまして、昨年1月の令和答申の内容や不登校児童生徒本人、及び保護者に対して実施したアンケート結果を踏まえまして、今後、重点的に実施すべき施策の方向性について検討を行って、6月に報告書が取りまとまったということであります。それにつきまして、清重児童生徒課長から御説明をお願いいたします。

【清重児童生徒課長】 児童生徒課長でございます。
 不登校に対する基本的な考え方は、まず、教育機会確保法が平成28年に成立し、基本的には、本法及びこれに基づいて定められている基本指針に沿った形で取り組んでいるわけでございます。とりわけ最近のコロナ禍であったり、GIGAスクール等をはじめとしたDXの推進の状況なんかも踏まえまして、今後の施策の方向性について、協力者会議において御議論をいただいたということでございます。
 次のページお願いします。これは報告書の概要でございます。まず、1番の不登校の現状ですけれども、左側のほうの調査は文部科学省が行っている行政調査の結果でございます。不登校の数は調査開始以来、最多になっております。また、最近ですと、コロナ禍によって生活環境の変化等々が何らかの影響を与えたのではないかといった可能性も指摘されているところでございます。また、不登校のうち、学校内外、いずれの機関においても相談指導を受けていない児童生徒というのが34.3%いらっしゃるということで、こういったお子様への支援ということも課題になってくるのかなと考えております。
 また、右側に記載しているのは、協力者会議に先立った形で、児童生徒本人であったり、保護者向けにアンケートを実施した結果でございます。この中で、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけについては先生のこと、身体の不調、生活リズムの乱れといったことがそれぞれ3割程度、挙げられているということです。また、学校を休んでいる間、最初のきっかけとは別に学校に行きづらくなる理由というところでは、勉強が分からないといったことが最も多く挙げられておりまして、欠席中の子供への学習支援というのも課題となっているところでございます。
 また、2番のところでは今後、実施すべき施策の方向性を示しております。丸1番のところの誰一人取り残さない学校づくりということで、一つが教育機会確保法の学校現場への周知、浸透であったり、あるいは魅力ある学校づくり、それから、心の健康の保持に係る教育の実施といったものが挙げられてございます。また、丸2番のところの支援ニーズの早期把握のところではスクリーニングの実施であったり、あるいは教室とは別の場所での個別の学習支援や相談支援を実施するといった、校内教育支援センターの充実といったこともございます。また、一番下のところで1人1台端末を活用した子供の健康状況や気持ちの変化を確認するといったことも示されてございます。
 また、右側の丸3番のところの多様な教育機会の確保のところでは、不登校特例校の設置促進であったり、あるいは夜間中学校との連携や、フリースクール等、民間団体のノウハウを活用した形で公設民営型の教育支援センターの設置といったことも言われております。また、遠隔地や相談につながりにくいお子さんへのアウトリーチ型の支援であったり、ICTを活用した学習といったことの機能を備えた、「不登校児童生徒支援センター」の設置促進が示されております。また、自宅におけるICTを活用した学習の状況を学校において適切に把握していただいて、そしてそれを出席扱いへつなげていくといったことも示されてございます。
 また、丸4番のところでは、社会的自立を目指した中長期的な支援ということで、先生方への教育相談スキルの向上であったり、あるいはスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによるオンラインの活用などによる教育相談の充実について示されております。また、保護者への支援も視野に入れた形での家庭教育支援の充実といったことも示されておりまして、学校復帰のみにとらわれず、社会的自立のために目的の幅を広げていくような支援の実施といったことが示されているところでございます。
 次のページをお願いします。これは先ほど申し上げた、児童生徒本人や保護者へのアンケート調査というのを実施してございます。
 次のページをお願いしたいと思います。この調査のポイントでございますけども、まず、1番の子供に聞いた状況の調査ですけども、一つ目の点のところにございますように、先ほど申し上げたとおり、行きづらいと感じたきっかけとしては、先生のことというのが3割占めております。そのほかにも身体の不調であったり生活リズムの乱れといったことが挙げられているところです。
 また、二つ目の丸のところ、学校を休んでいる間の気持ちです。これを児童生徒本人に聞いたところ、「ほっとした・楽な気持ちになった」、あるいは「自由な時間が増えてうれしかった」といった回答が返ってきております。また、その一方で、学校の勉強の遅れであったり進路や進学に関する不安ということも挙げられております。
 また、三つ目の点のところの保護者に聞いた回答のところですけども、保護者から欠席時の子供の状況についての回答の中で、約半数が「極度に落ち込んだり悩んだりしていた」、「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった」といったことで、これは子供本人の気持ちと、また親御さんの気持ちとのそれぞれの意識の違いといったものも浮き彫りになってございます。
 次のページ、お願いいたします。もう一つ、次のページお願いします。一方、文部科学省も毎年、行政調査を実施してございます。
 次のページをお願いします。これは不登校の状況でございますが、やはり全体としては増加傾向という状況でございます。
 次のページお願いいたします。これは不登校の欠席日数別の状況でございます。90日以上欠席しているという数が全体の54.9%を占めているということで、全体として長期化傾向にあるという状況でございます。
 次のページお願いします。これは不登校の要因のところでございます。先ほどのアンケートは子供本人に聞いた調査でございますけども、これは行政調査として、学校や先生方の側の視点での調査の要因ということなんですが、一番右側のほうの本人に係る状況のところで無気力、不安というのが46.9%ということで、半数近くを占めています。その一方で、学校に係る状況、左側のほうにございますが、そのうちの左から三つ目の教職員との関係をめぐる問題といったものが1.2%にとどまっております。先ほど子供へのアンケートでは、先生のことというのが3割程度挙げているのに対しまして、学校側の認識としては、教職員による問題というのが1.2%程度にとどまっているということで、子供本人の意識と、学校の先生との捉え方の違いというものも示されているところでございます。
 次のページお願いいたします。これは学校内外での相談指導を受けた状況のデータでございます。一番右上のほうの縦のグラフにございますけれども、特にねずみ色の部分、ここは学校内外の機関で相談指導を受けていない児童生徒の割合というのが、5年前に比べて少しずつ、微増でございますけども増加傾向にあるということで、学校が十分把握していないという状況もあるかもしれませんけども、もしかすると、その一方でひきこもりの傾向になっているということであれば、アウトリーチ型の支援といったことも今後必要になっていくのではないかと考えられます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、最後に議題5であります。部活動の地域移行についてということで、6月に取りまとまりました、運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言と、本日の検討会議において議論がなされていると聞いておりますが、文化部活動の地域移行に関する検討会議提言案について、それぞれ御報告いただきます。
 運動部活動については、橋田地域スポーツ課長から、文化部につきましては、中山学校芸術教育室参事官補佐からお願いいたします。

【橋田地域スポーツ課長】 地域スポーツ課長の橋田でございます。
 私からは資料5-1をベースに、運動部活動の地域移行に関する状況、また、検討会議の提言のポイントについて説明させていただきます。
 1ページ目を御覧ください。こちらは部活動改革の経緯、取組について示しております。一番上の平成30年のガイドラインでは、生徒のスポーツ環境の充実の観点から、学校と地域が協働・融合した形での地域におけるスポーツ環境整備を示しておりました。その後、学校における働き方改革に関する平成31年の中教審答申では、中学校の長時間勤務の主な要因の一つである部活動について、将来的には、学校単位から地域単位の取組し、学校以外が担うことも積極的に進めるべきという内容が盛り込まれました。
 さらに、いわゆる給特法の改正に伴う令和元年の国会附帯決議の中では、さらに踏み込む形で部活動を地域単位の取組することを早期に実現することが、政府に対して求められることになりました。
 そうした中、令和2年の部活動改革の方針の中では、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図ること、指導を望まない教師は休日の部活動に従事しないという方針が示されたところでございます。
 この方針を受けまして、2ページにございますように、令和3年度からの予算事業として、全国各地の拠点校において、人材や運営団体の確保、費用負担の在り方等について実践研究に取り組んでいただいております。
 3ページにございますように、こちらの全都道府県、12政令指定都市に委託しまして、102の市町村で実践研究に取り組んでいただいております。受け皿としては、地域のスポーツクラブ、教育委員会、体育スポーツ協会、民間事業者、地域学校協働本部等ということで、多様な実施主体による実践が行われております。国としては、何か一つのモデルを示すというよりは、こうした多様なモデルを創出し、今後、事例集の作成・普及等を通じて広めていくことを考えております。
 続いて、7ページの方を御覧ください。こちらの方、部活動の地域移行の具体的な方策を検討いただくため、昨年10月から検討会議にて議論いただきまして、去る6月6日に提言が取りまとめられたところでございます。
 9ページを御覧ください。こちらは提言の概要でございます。今回の提言は、公立の中学校等を対象にいたしまして、まず、部活動の意義といたしましては、生徒のスポーツに親しむ機会の確保ですとか自主的、主体的な参加による責任感、連帯感の涵養といった意義があったわけですけども、課題といたしましては、持続可能性の面で厳しさを増しておりまして、深刻な少子化が進行していること。また、競技経験のない先生が指導せざるを得なかったり、休日を含めた指導が求められたりということで、大きな業務負担になっているというところでございます。こうした状況を踏まえ、冒頭で申し上げたような改革の取組を進めてきたところでございます。
 10ページを御覧ください。こちらは目指す姿といたしまして、3点示しております。1点目として、少子化の中でも、将来にわたり子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会を確保していくと。このことは学校の働き方改革を推進し、学校教育の質の向上にもつながること。2点目といたしましては、スポーツは自発的な参画を通して、楽しさ、喜びを感じることに本質を持つこと。さらに、部活動のよさは継承、発展させながら、地域での新たな価値の創出につなげていくこと。3点目といたしましては、地域の持続可能で多様なスポーツ環境を一体的に整備し、多様な体験機会を確保すること、これが姿として整理されております。
 11ページを御覧ください。こちらの方は改革の方向性として、まずは休日の部活動について地域移行していくことを基本としつつ、目標時期としましては、令和5年度の開始から3年後の令和7年度末を目途としております。一方で、3年では難しいとの関係団体等の御意見もございまして、括弧書きにございますように、合意形成・条件整備等のため、さらに時間を要する場合、地域の実情を応じて、可能な限り早期の実現を目指すと整理されております。また、平日の部活動につきましては、地域の実情に応じて、できるところから地域移行に取り組むことが考えられ、休日の進捗状況を検証し、さらなる改革を推進するとされております。
 12ページを御覧ください。こちらは課題への対応といたしまして、新たなスポーツ環境の構築については、地域の実情に応じた多様なスポーツ団体等が実施主体になること。
 また、団体等の充実に向けて、必要な予算の確保、toto助成など多様な財源確保を検討すること。
 また、指導者の確保のため、資格の取得や研修の実施の促進、指導を希望する教師の円滑な兼職兼業の活用。指導者確保のための支援方策の検討といったことが盛り込まれております。
 また、学校体育施設の有効活用を図ること。
 さらに、右上でございますけども、大会については、地域のスポーツ団体等でも参加できるよう要請すること。この点については、既に日本中体連では、スポーツ団体等の参加について、、令和5年度からの参加を認める方針を決定しております。そうした取組を後押ししていきたいと考えております。ついで、会費の負担に関わりまして、困窮家庭への支援方策の検討ですとか、保険の在り方につきましては、地域スポーツを対象とするスポーツ安全保険、こちらが災害共済給付と同程度の補償となるよう要請することも盛り込まれております。
 その他、部活動の課題や留意事項等について、部活動は例えば強制加入ではないといった点も含めて、通知、あるいは学習指導要領の解説の見直しを行うこと。さらに、次期改定に向けた検討が必要であるということが盛り込まれております。また、高校入試につきましては、部活動・地域スポーツ活動などからうかがえる意欲、能力を多面的に評価していくこと。教師の採用で活動指導の能力等を過度に評価している場合には、それを見直すことなどが示されております。
 スポーツ庁としては、今回の提言を踏まえまして、事例集の作成・普及、ガイドラインの改定、各種通知の発出、関係団体への要請、概算要求などに取り組んでいきたいと考えております。
 運動部活動については、以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、続きまして、中山参事官補佐お願いいたします。

【中山参事官補佐】 続きまして、文化部について御説明いたします。
 部活動についての流れ、部活動改革についての流れにつきましては、運動部とほぼ同じとなってございますので、文化部に限った部分について御説明してまいります。
 まず、文化部におきましても、地域移行に向けまして、子供たちが身近な地域で多様な文化芸術活動の機会の確保に向けた事業を行ってございます。事業の具体としましては、地域の方で自治体を中心に取り組んでいただきます、左の中ほどの地域部活等推進事業と、団体の受け皿となる団体を中心として取り組んでいただきます、地域文化倶楽部創設支援事業の二つを行っておりまして、こちら、両者を合わせて今、取り組んでいるところとなってございます。
 次のページをお願いします。地域部活動推進事業の方は、現在、32の自治体に委託して行っておりまして、令和3年度、4年度を合わせまして、今、8割以上が吹奏楽部についての取組を実施していただいているものとなってございます。こちらは人材の確保であるとか場所の確保等の解決を目指して、取組を進めていただいております。吹奏楽が多くなる理由としましては、吹奏楽部がそもそも多いというところもございますし、また、この下につけておりますとおり、文化部活動の実態に対する保護者1万人へのアンケート調査でございますが、吹奏楽部が休日の活動日数、活動時間共に非常に多いと、熱心に取り組んでいただいているところもあってかと思われます。
 また、地域文化倶楽部のほうにつきましては、下の囲みとなりますけれども、現在59の団体において、多様な分野で取り組んでいただいております。演劇や伝統文化、吹奏楽など、様々な分野での受け皿づくりを推進していただいているところとなってございます。
 次のページをお願いいたします。文化部におきましても、運動部同様の地域移行に関する検討会議を今、行っているところとなってございます。運動部に少し遅れまして、令和4年の2月から設置いたしまして、これまで5回の会議を行っておるところとなってございます。委員の方は学識経験者や、また、学校関係者や文化連盟、文化団体、実践団体など、有識者12名で構成しておりまして、正に本日、会議を行っているところとなってございます。
 中ほどの目指す姿でございますが、こちらは文化部も運動部も共通の面もございますが、文化でございますので、将来にわたり子供たちが文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保するということ。そして、もちろん働き方改革の推進と学校の教育の質の向上というところ。そして、文化芸術は豊かな人間性を涵養し、創造力と感性を育むというところ。そして、地域移行を契機に、生徒や保護者が地域の文化芸術活動に参加し、地域における文化芸術活動の発展を主体的に形成するといったところ、そして、さらに地域社会を豊かにしていくことにつなげていくといったところ。また、部活動の意義の継承、そして新しい価値の創出といったところ。そして、三つ目としまして、地域の持続可能で多様な文化芸術に親しむ環境等を一体的に整備して、子供たちの体験機会を確保していくというところがございます。
 検討事項につきましては、基本的には運動部と同じ項目について、文化部との違いを加味しながら検討しているというところでございます。
 次のページをお願いいたします。なお、運動部との違いといたしまして、主には、総合型スポーツクラブといったような総合的な受け皿というのは想定されないというところがございます。文化部については、分野ごとの団体等と学校が連携して進めているという状況が今、見られるところでございます。また、主に学校の体育館や校庭などを活用する運動部と異なりまして、切離しにくい学校の中、音楽室や美術室など校舎内の特別教室の活用が多くなっているというところ。また、学校外での活動場所としては、文化施設などが想定されているところが違うところとなってございます。
 今後の流れとしましては、今、正に平行しまして会議の方を行っておりまして、8月9日で、第7回で最終という予定で進めておるところでございます。
 委員の方々は以下の12名でございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。議題の3、4、5を併せて御説明をいただきました。
 それでは、次期第4期教育振興基本計画について、それから、不登校に関する調査研究協力者会議報告書について、そして、ただいま御説明いただきました部活動の地域移行についてという三つの議題につきまして、どの議題でも結構ですので、御意見を頂戴したいと思います。今から30分程度、お時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、戸ヶ﨑委員、八並委員、貞広委員、市川委員、細田委員、渡邉委員、堀田委員、平井委員の順にお願いしたいと思います。では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。私からは(3)基本計画と(5)部活動に対して意見をさせていただきます。
 まず、(3)基本計画ですが、OECDのStudent Agencyの概念が、子供を主語にした学び、GIGAスクール、教育DXなど、あらゆる教育改革の鍵を握っています。今後、こども基本法・こども家庭庁設置法の成立と併せて、Student Agencyはますます重要になってくると思います。
 そこで、是非「学習者を主語にした学びのリデザイン」についての議論を深めてほしいと思います。
 次に、諮問文の「審議依頼事項」にある、「共生社会の実現」と「多様な教育データの活用」という2本柱について意見を申し上げます。
まず、共生社会の実現については、多義的で、抽象的で耳当たりのよい言葉で築かれた「理想の教育」が、今後、学校等でどのように理解・実践されていくかが大きな問題です。欠けているものを新たに創り出すべきという発想が、日本の教育施策における、演繹型思考の特徴です。演繹型思考だけで組み立てられた教育施策を現場に下ろしていくと、「なんとなく分かったつもり」にはなっても腹落ちはしません。他方、現場の実践からの帰納型思考は、実績の自信に裏づけられています。現場のモチベーションが高まるよう、中教審と学校現場との距離感を意識していってほしいと思います。
 次に、教育データの活用については、「部局横断」と「データセット」の二つの連携が大切になると思います。教育界では「指導と評価の一体化」が言われ続けていますが、例えば、「ウェルビーイングを達成したと見なす状態を評価する」には何らかの指標が必要です。
 ちなみに、本市ではデジタル庁の「こどもに関するデータ連携実証事業」を今年度から開始して、不登校をはじめ、直面している生徒指導の課題に対して、対処療法的な「後手」の対応から、子供たちのSOSを事前に予知して「先手」の対応に転じて、プッシュ型支援を行うために、教育委員会だけではなくて福祉部など、部局を横断したデータベースの構築を開始しています。
 本計画においても、指標等の作成や実施に向けて、文科省だけでなく省庁を超えた連携やデータセット連携が不可欠と考えます。
 さらに、第3期の会議の中でも申し上げましたが、この計画の存在すら知らない教育関係者も少なくありません。教員研修等にも積極的に活用できるよう、また、教育関係者だけでなく、広く国民全体に。これからの教育はこれを目指す、こういう力が必要である、などのメッセージが共有され、Teacher Agencyをも育む「動画発信」なども検討をお願いします。
 次に、(5)部活動の地域移行についてです。本市でも令和4年度のスポーツ庁の地域活動推進事業の準備、実践を行っています。地域移行のメリットはたくさんある一方で、多くの方々が指摘しているように、運営面等での様々な課題も山積しています。運営面についての課題はさておいて、本質的な課題として、大きく2点申し上げます。
 一つ目ですが、移行の目的として、働き方改革を第1に掲げているというのはいかがなものかと思います。AIやロボットに奪われない仕事や生きがいの筆頭がスポーツ・文化活動です。未来社会に向けたビジョンやロードマップの中で、部活動のポジショニングを明確にすべきと思います。
 二つ目ですが、部活という居場所に救われている子供たち、生徒も少なからずおります。授業と行事だけになったら救えない子供も増えるかもしれません。80年代の荒れた学校の再現を危惧しています。地域部活動に参加しない生徒にどんな場を提供できるのかなど、部活動を失う中学や高校の具体的な未来像や、その中で、生徒の成長を支援する学校や地域社会の姿をどう描くのかも、今後明らかにしていただきたいです。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 たくさん手を挙げていただいております。もう一度、お名前を申し上げます。この順にお願いいたします。八並委員、貞広委員、市川裕二委員、細田委員、渡邉正樹委員、堀田委員、平井委員、渡辺弘司委員、吉田信解委員。大変申し訳ありませんが、吉田信解委員までとさせていただきます。4時5分ぐらいには次の議題に入りたいと思いますので、本当に手短によろしくお願いいたします。申し訳ありません。
 では、八並委員、どうぞ。

【八並委員】 日本生徒指導会会長の八並です。私のほうからは、4番目の不登校に関する調査研究協力者会議報告書に関して、一言を述べたいと思います。
 今回の報告書に関して、資料2-5の最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけをみてください。不登校の協力者会議の報告書で、私が一番欠けているのはいじめと不登校の関連性に関してです。今回の報告書では、この点の分析と提言が弱いと思います。
 特に、報告書の前段階の調査で、最初に学校に行きづらいと感じたきっかけを見ると、いじめが多いです。令和2年の調査では、友達のことというのがあって、友達のことが実は二つに区分されています。一つは嫌がらせやいじめがあった、それからこれ以外の友達のことです。
 文科省が毎年行っている問題行動・不登校調査では、いじめに起因する不登校というのは、小中では大体0.3%か0.2%と非常に低いです。それに対して、小中の子供たちへの調査では、嫌がらせやいじめがあったという友達のことが、小中学校で25%ほどいます。つまり、不登校の背景に、いじめという要因が十分あり得るわけです。
 にもかかわらず、報告書では、いじめとの関係性に関する記述がありません。また、いじめ防止対策推進法・第5章「重大事態の対処」関連の記述がありません。同法・第28条では、重大事態の第1号は心身・生命・財産重大事態、第2号は不登校重大事態です。また、令和2年度の文部科学省の生徒指導調査では、重大事態は700件を超えています。その内、第1号が約300件、第2号が約500件です。
 したがって、不登校重大事態は非常に多いです。報告書作成の前段階の調査で、いじめと不登校の関係性が明らかになったにもかかわらず、記述がないのは不思議です。この点は、書き込む必要があったと思います。また、不登校重大事態になった場合、被害の子どもにどのような支援をするのかも記述する必要があったと思います。今後、文科省の補足説明が必要な気がします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今の件、後ほど清重課長からお願いいたします。
 では、続きまして、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広です。たくさんの委員の方、手を挙げていらっしゃるので、2点に絞ります。3の次期教育振興基本計画についてと、4の不登校に関する調査研究協力者会議報告書について、1点ずつ申し上げたいと思います。
 まず、3の次期教育振興基本計画についてです。こういう計画というのは、こうこうしたい、またはこれを充実させたいということの書き込みと、こういうことをする必要があるという二つのことを書き込むんだと思います。その時に、前者に関しては戸ヶ﨑委員がおっしゃったようなことが書き込まれると思いますけれども、後者に関しては、何よりも3期の振興基本計画の検証というものが必要になってくると思います。そのように、今日の報告を見ますと、資料の6ページから7ページのところに、しっかりとどうだったのかという検証をしてくださっていて、不都合な真実にも真正面から向き合っていると、これは非常に評価できるものだと思います。何々できてすごかったではなくて、このようにうまくいっていないからどうしましょうという思考が計画には必要なんだと思います。
 下線部になっている部分ですけれども、その時にさらに検証の視点として、これは目的に対して、手だては間違っていなかったんだけどリソースが足りなかったのか、それとも手だて自体が間違っていたのかという検証の視点を持っていただきたいと思います。恐らくリソースが足りなかったという物事が、教育に関しては多々あろうかと思いますので、その部分の不都合な真実にもしっかりと向き合っていただきたい。その上で、次の計画を立てていただきたいと、これが1点です。
 もう1点、不登校の報告書に関してでございます。こちらはページで言いますと、まず、3ページを御覧いただきまして、令和2年度不登校児童生徒の実態調査の結果概要ですか、こちらを拝見しますと、実際のアンケートの内容よりも、まず、文部科学省の名前でやっているアンケートで、この回収率って見たことないということなんです。それも、教育支援センターに通所等の実績がある子供たちに配布しているにもかかわらず、これだけしか集まることができないという時点に、非常に課題の深さというのを、まず、感じます。
 その上で、さらに次のページ、調査のポイントの丸1、丸2のあたりを見ますと、確かに先ほどの御報告であったように、休んでほっとしたとか自由な時間が増えたと言っている一方で、もっと登校すればよかったと思っているという大変アンビバレントで切ない回答をしているわけです。これで、さらに何らかの支援の対象になっていない子供たちが増えているということを総合的に考えますと、ここの報告書の中でもありますけれども、座しているだけでは解決をしないと。非常にナイーブな問題なんだけれども、何らかの形でアウトリーチをするとか、または、オンラインやリモートの学習のありようというものも、もっと真剣に本格的に考えるところに来ているのではないかと思います。そういういった点についても、是非検討を深めて書き込んでいただきたいという要望でございます。
 以上2点、申し上げました。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。後のほうのことにつきましては、後ほど清重課長からまとめてお願いします。
 では、市川裕二委員、お願いします。

【市川(裕)委員】 ありがとうございます。全国特別支援学校長会の市川でございます。
 部活動の地域移行についてなんですが、特別支援学校においても、運動部も文化部も多く行われている学校が多くあります。ただ、その児童生徒が地域のスポーツ活動や文化活動にうまく移行できるかというと、受皿としてそれほどないと思っています。これは、学校教育に関わることだけではなく、障害のある方たちのスポーツ活動や文化活動をどのように振興していくかという、大きな課題に取り組む必要があると思っておりますので、その点との連携も踏まえて、これを進めていただけると有り難いと思っています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大変重要な御指摘であろうかと思います。
 では、細田委員、お願いいたします。

【細田委員】 さいたま市教育委員会教育長の細田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。2点、お願いします。
 まず、1点目は、不登校に関する調査研究協力者会議報告書についてですが、資料4の2ページのところにあります。左上の学校内外、いずれの機関においても相談指導を受けていない子供たちですが、34.3%というのは大変大きな課題だと私自身も捉えまして、それで、何とか教育委員会において適切な支援につなげていく、つまり誰一人取り残すことなく学びにつなげていきたいという強い思いで、同じページの右下のところにあります、丸3の不登校児童生徒の多様な教育機会の確保ということで、不登校児童生徒支援センター、これを学校にあります校内教育支援センターとは別に、どうしてもどこにもつながっていない子供たちのためにと思いまして、非常に短い準備期間とほとんど予算もなしで、この4月からさいたま市におきまして、支援センターを開きました。Growthという名前をつけて、デジタルをフルに活用した支援センターを立ち上げましたところ、本市はどこにもつながっていない子供たちが400人程度おります。令和2年度の不登校児童生徒が1,400人で、そのうち1,000人ぐらいは何らかの形でどこかにつながっていますが、400人程度がどうしてもつながっていないと。その子供たちに対して新たな教育機会の確保ということで、不登校児童生徒支援センターGrowthを立ち上げましたところ、最初は数人でもいいかと思ったんですけれども、スタート直後から100人近くの子供たちがつながり、そして、そこで学びにつながり始めたという、そういうある一つ、成功体験を得まして、ほかの自治体でもお金も時間もなくても、こういったデジタルを使ったところで、有意義な学びにつながっていくという実践ができたことをお知らせしたいと思います。
 2点目は、5番目の部活動の地域移行についてです。令和4年の6月6日に、提言が出されまして、これは本当に一つの可能性といいますか、地域移行というのが一つの可能性だった長い期間からしますと、これは私たち自身がマストで取り組んでいくということが示されたということで、大きなエポックメーキングみたいだと思っております。
 と申しますのは、昨年度末のことですが、大変ショックなことが起きました。それは、本市が採用した非常に期待の高い初任者の中で、何人かが部活動という労働に対する対価のない教育活動が平然と行われていることに疑問を感ずるという言い方をされて、本市を退職していった初任者がおりました。大変ショックでした。長い期間、教員のボランティアで支えられてきた教育活動である部活動が、いよいよ持続可能性という点で限界に達しつつあるということを突きつけられた思いであります。
 そして、じゃあこれをそれぞれの自治体が、ここにも様々なモデルがあって、自治体によって抱えている課題も違いますので、その自治体ごとに部活動の地域移行についてチャレンジしていくと思いますが、どこも共通してお金のことや、その指導を担う指導者の人材確保のことがよく言われておりますけれども、私は部活動の地域移行について、一番の課題は中学校教育そのもののことについて、大きな課題と捉えております。
 それは、これまでの日本の中学校は、ややもすると、部活動のもたらす教育的効果に非常に依存していた。実は教育課程以上の重きを置いてきてしまった側面があったんじゃないかと思っているからです。この提言の中にも、部活動の教育的効果に達成感の獲得とか、責任感や連帯感の涵養とか学習意欲の向上なども挙げられているわけです。これって、もしかすると、本来は私たちの教育活動の中核である授業をはじめとする教育課程の中で、子供たちにつけていくべき力であるはずだったと思います。ところが、部活動が教育課程以上の重きが置かれてきたという側面が、決してぬぐい去ることができない、ある意味、非常に日本型学校教育の典型的な側面を部活動が見せていたと思うわけです。
 先ほど戸ヶ﨑教育長さんもおっしゃっておりましたように、日本型学校教育のある側面である部活動を中学校教育が手放すとすると、では、今までそこで担っていた、非常に重要な教育的効果を本来の教育課程の中でしっかり担っていかなくちゃいけない。つまり、中学校教育の大いなる変革、正にトランスフォーメーションをしていかなくてはいけないということを突きつけられている気がします。
 そして、これは冒頭で申しましたように、部活動という教育活動が教員のボランティアで支えられてきてしまったことを考えると、これをこのまま継続していくことがもう限界に達しつつあるという側面からしても、マストである。では、どうしたらいいかということを皆さんで知恵を出して、考えていかなくてはならないと痛感しております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。この件については、今もお話の中でありましたし、先ほど、戸ヶ﨑委員からもございました。これは本当に議論になるようなテーマかと思うんですけれども、ただ、大変残念ながら時間がございませんので、これはまた、そういう機会を設けられるかどうかというのは事務局とも相談をしたいと思いますが、後ほど橋田課長のほうからも一言いただけると有り難いと思います。
 では、あと5人いらっしゃいます。渡邉正樹委員、堀田委員、平井委員、そしてあと渡辺弘司委員、吉田信解委員です。よろしくお願いいたします。

【渡邉(正)委員】 東京学芸大学の渡邉正樹です。私からは部活動のことについてお話ししたいと思います。
 最初、運動部の方なんですけれど、中学校と高校では学校の管理下で起こるけがの半数以上は部活動なんです。それのほとんどが運動部という実態がずっと続いています。今日の資料の最初に出てきましたが、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の中には、そういった子供の安全や健康に配慮した内容というのがかなり織り込まれていたんですけど、これが地域に移行したときに、果たして指導者がそのようなことが学校と同じようにできるかどうか、また、そういった安全とか健康に配慮した指導を保証できるかどうかというところは不安に思っています。
 今日見た資料の中では、スポーツ安全保険のことが少し入っていましたけど、やはりけがする前の、けがを防ぐというところが重要だと思いますので、これを地域に移行したときに、子供たちの安全を確実に守れるかどうかというところは考えていただきたいと思っています。
 それに合わせて、文化部のほうの活動のことですけれど、運動部の方は今、お話ししたスポーツ安全保険がありますよね。ですが、文化部は大丈夫かというとそうでもなくて、例えば日本スポーツ振興センターの学校事故データベースを見てみると、文化部でも重大な事故は起きているんですよね。例えば、移動するときとか、あるいは物を扱ったり、運んだりとか、そういうときに事故が発生しています。もちろん運動部から比べるとはるかに少ないですけれども、そういったことは、これまでは災害共済給付が対応していたわけですけど、文化部の場合は、今後どうなるんだろうかということです。全部それは、自分の入っている保険なり、ある意味、全部自己負担になるのか。
 これまで保証されていた子供の安全という部分が、今後、確実にこれまでどおりに機能するかどうかというところを運動部,文化部ともに考えていただきたいと思っています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。この点につきましても、後ほどまたおっしゃっていただける範囲でお願いいたします。
 では、堀田委員、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】 東北大学の堀田でございます。私は教育振興基本計画について意見を申し上げたいと思います。
 私はこちらの委員でもありまして、先般の部会で、教育DXについて説明をし、議論をしていただいたところでございます。その議論の中で話題になったことについて、1点だけ、こちらでも述べておきたいと思います。
 それは、これまでICTに関することは、どちらかというと整備率のようなものをKPIにしてきた傾向があります。1人1台のGIGA端末が行き渡った今、期待されるのは、児童生徒に情報活用能力がちゃんと身についているかとか、あるいは、身についている情報活用能力が学習の基盤として発揮されて、学習、学びが変容している、そういう様子が見られるかとか、また、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実というのが、ICTをうまく利用することで実現しているかどうかなど、どちらかというとKPIにしにくい指標に挑戦するということが必要かと思います。
 そういう質的な評価を伴うKPIが設定されないと、KPIにしやすいという理由で形式的なものが指標になってしまうと、せっかくの整備が実効性を機能しないという形で形骸化してしまうおそれがあるということについて議論が出たということを、ここでお伝えしておきたいと思いました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 非常に重要な御指摘でありました。ありがとうございました。
 では、平井委員、お願いいたします。

【平井委員】 全日本中学校長会の平井でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私から不登校の関係です。先ほどの資料4の2ページ、こちらに校内教育支援センターの充実と書かれています。実際、不登校の生徒については、各中学校で様々な対応をしているところです。中には、学校経営支援本部が和室というものを作って、そこで子供たちの居場所づくりに取り組んでいるところもあります。
 ただ、実際、授業の空いている教員が対応したり、学年所属の教員が対応したりしているのが実情ですので、少しでも学校に来て、学校の敷居をまたいで、1時間でも2時間でもそこで生活をして、そしてまた帰っていくということは、生活リズムの確保という点からもよいと思うんですが、是非そういう子供たちに対応できるだけの教員の余力があるといいなと思っているところです。
 もう一つ、今度は4ページです。調査結果のポイントの丸1のところで、保護者から回答を得たというところが、三つ目の黒丸にありますが、その中に子供にどのように対応していいか分からなかったという回答も多くとあります。実は、学校でも不登校生徒に対して、心のエネルギーが足りていない部分が多くありますから、心のエネルギーを少しでもためて、そして学校に来られるように取組を進めているところですが、保護者がどうしても当該生徒と近い関係にありますので、1時間でも2時間でも学校に行けた翌日に、また、学校に行けないとなると、昨日は1時間、2時間行けたじゃないかとか、そういう言葉をどうしても発してしまって、子供の心のエネルギーがまたなくなってしまうということを繰り返したりする保護者がいます。
 保護者自身が不登校を経験していないと子供の気持ちも分かりませんので、どうしてなんだろう、どうしてなんだろうという気持ちがばかりが強くなって、子供に当たってしまうということが多いようです。3者面談などのときに、不登校生徒の持つ心のエネルギーについて話をして、そして昨日は行けたけども、今日は行けないとなった時に、じゃあ次は頑張ろうねと、そういう言葉掛けをお願いしたいという話などをしています。是非不登校のお子さんが家庭にいる、そういう保護者の子供に対するアプローチ、そういうところについて、もう少しいろいろな面で支えていく方向ができないのかと僕はいつも思っているところです。
 その次、部活動です。部活動については、金曜日に全日本中学校長会の臨時の常任理事会もあったんですが、どこの中学校でも、これから入ってくる子供たちに対して、今後の部活動のことについて、学校説明会などで話をする機会はあります。ところが、小学生の保護者から、運動部活動や文化部活動の地域移行のことについて全く知らないという話が出てきます。今の中学生の保護者に話をしても、直接的には関係ないので、是非小学生、これから中学校に上がる、そういう小学生の保護者が、こういう方向に進んでいるんだということを認知するような機会を増やしていただきたいと思います。
 今回、運動部活動、また、文化部活動が地域移行となるわけですが、先ほどお話があったとおり、部活動で救われている子供たちがいたのも事実です。様々な場面で光を浴びる、スポットライト浴びる子供たちがいる方がいいなと思って私は活動してきましたけども、そういう教育的な効果もありましたが、平日も含めて学校から部活動を切り離すという方向になった以上、やはりこれを進めていくしかないと思っています。
 そこで、6月6日に提言は確かに出ましたけども、学校現場や自治体もそうですが、今後どうなっていくんだろうというところであって、まだ先が見えていない状況にあります。地域移行についても、様々なスタイルがあり、自治体によっては様々な検討会議を立ち上げてはいますけども、どこが結局主体になって動かしていくのかというところについて、はっきり言ってどこも手を出さない。うちがやりますよとはなかなか言ってくれない。そういう状況にある。そこで検討が止まっているという話も聞いております。地域差はあるのかもしれませんが、その辺の状況に合わせてですけども、最終的には、行政がやっていく覚悟が必要だと思っておりますので、改革集中期間で各地方公共団体における進捗状況の把握というのがありますから、是非把握した状況を公表するとか、そういうところまでやっていかないと、行政が本当に覚悟を持ってこれを進めていくということはできないんじゃないかと思っています。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 簡単に2点申し上げます。
 1点は、資料3の次期教育振興基本計画に関してでございます。その中の健康教育の重要性ということを述べたいと思います。社会が変化して、超スマート社会とかウェルビーイングの概念を導入して対処されるということは望ましいと思いますけど、これらの基本は、どのように社会が変化しても健康に留意して、健全な肉体が存在して初めて成り立っていると考えます。特にコロナ禍や今後の新興感染症に対する対応、教科書などのコンテンツのデジタル化に対する身体への影響などを考えますと、今後、振興基本計画には第3次と同様に、基本的な考え方として健康教育の重要性を是非書いていただきたいと思います。
 もう1点は、資料4の不登校に関する報告書に関してでございます。ほかの委員の方から様々な意見をいただいたんですが、私は少し視点が違いまして、医者として不登校の児童を何度か診た際に、しばしば発達障害を有している子供を経験したことということからの意見でございます。
 不登校の今回の調査というのは、要因を一つ選択することになって、その選択肢を見ると、最終的な不登校の理由が記されておりますが、原因が隠れているのではないか。つまり、友達とか先生とうまくいかないというのはコミュニケーションの障害じゃないかと。勉強がついていけないというのは学習障害が隠れていないかと。それから忘れ物とか学校について行けないことに対してADHDはどうかと。このようなことの自己肯定感の喪失が、無気力とか不安という二次障害につながり、それが結果として不登校につながっている事例が何例かあるんじゃないかと思うのですが、このような不登校事例における発達障害の基礎疾患の割合というのはデータがないんです。
 今後、もし調査を続けていただけるのであれば、是非この点を明確にしていただきたいと思います。と申し上げますのは、発達障害を有する不登校事例に対して、今の学校の先生方はちゃんと対応していただけるわけです。だから、このような子供は、ほかの理由というか、原因で不登校の子とは違って、違うアプローチで十分社会生活が復帰できる可能性が高いということから、お願いしている次第であります。是非御検討いただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。この件につきましても、後ほど、またお答えできる範囲でお願いしたいと思います。
 吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】 大変時間がない中でございますけども、それぞれ申し上げたいことがございますので、逆から申し上げていきたいと思います。全国市長会社会文教委員長の埼玉県本庄市長の吉田でございます。
 まず、運動部活動の件でございますけど、先日、全国市長会の方でも、この課題は非常に議論になりました。300万人の横浜市から1万人の歌志内市まで、全国本当様々でございまして、地域において、一律に地域移行と言われても非常に現場は戸惑う。地域移行という言葉よりも、私自身は子供たちの放課後がどうあるべきなのかと。その最適化をどう図っていくかという議論の出発点というのは絶対忘れてはいけないと思っております。地域移行という言葉が独り歩きをして、学校から切り離すという形になってしまって本当にいいのかどうか。
 子供たちにとっての部活動というのを占めている大きなウエートというのは現実であるわけでございますので、現実、今でも学校では部活動が行われているわけでございます。ですから、段階的に考えることも大事ですし、例えば地域移行の中には、引き続き学校もきちんと主体としてそこに関わるんだということも私はあるべきではないかと、そのようなことをおっしゃった首長もいらっしゃいました。私もそのように思っております。
 誰が指導者を選んでいくのかと。そして責任の主体はどこになっていくのかと。これはしっかりと議論していかなければならないと考えております。学校によっては、一つの集団で行う運動部を形成できないので、近隣の学校と一緒になってチームを作っている場合もございます。現実、そうでありますから、それがスムーズにしっかり運営できるような方向で、現実に即した中で、それを補強するような形で制度改正が進んでいけばいいと思うんですけども、何か屋上屋を架すようなことがあってはならない。現場の負担が増すだけであるということも感じておりますので、是非子供たちの学校の放課後の最適化、その地域、地域に合った実情の中で行っていくという視点が大事であると考えております。
 不登校のことでございますけども、二つの視点が大事かと思っているのは、不登校になってしまったお子さんが、不登校の原因が何だったのかということで、いじめというのも非常に大きな問題になっていると。いじめを行った側のお子さんの背景は何なのかということも考えていかなければならないんだろうと。多くは学校で起こるトラブルの背景に、お子さんが抱えている問題、これは結構家庭の問題が大きかったりする。そこには、実は貧困の問題が横たわっていたりする。不登校という事象だけを見ないで、その背景にあるもの、以前から申し上げておりますけども、是非文部行政と厚生行政、しっかり連携を取っていただかなければならないだろうと思っていますし、もう一つは、現実に困っているお子さんにとって、最適な教育環境を提供するということが必要である。これはもう喫緊の課題として、例えば学校に行きたくない、でもリモートで授業を受けたいのであれば、リモートで授業を受けられるようにする。我が市でも適応指導教室であるとか行っておりますけども、そういったことをきちんと充実させていくということは絶対必要であると考えております。
 最後になりますけど、教育振興基本計画です。これは大きな理念的な面もあるので、私が従来感じていたことを申し上げますと、大変すばらしいことが書いてあります。いいと思います。ただ、今の時代というのを考えると、私は今の時代というのは危機の時代である。危機にどのように対応するのかということを学校教育の中でも考えていくべき時代に来ているのではないかと思っております。様々な危機がございます。我々の共生社会を作っていきましょう、理想の共生社会を作っていきましょう。
 ただ、その理想の共生社会をどうやって守っていくんですかという視点。危機には幾つかあると思います。人為的な危機、例えば、それこそ現在のウクライナでの危機を、あれを子供たちに問われたら先生はどのように答えていくのかと。我々のところにああいったことが起きないとも限らないわけでございます。もう一つは自然的な危機、いわゆる災害です。人為的な危機と自然的な危機が混じり合ったものが、私は環境問題だと思っております。そういった、例えば、環境問題一つとっても、あるいは災害の対応の一つとってみても、果たして、あるいは、また国を守ると、国際社会の自由で開かれた国際社会を守るという点についても、子供たちの方がむしろ鋭敏で、私たち、自分たちが大人だった時にこの社会はどうなっていくのかなと、非常に不安と危機感を持って過ごしているのではないか。そこに対して教育は何を教えていくのか。この視点というのは絶対にこれから欠かすことのできない問題ではないかということを指摘させていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間がないということで、御発言をセーブしていただいたかと思います。大変申し訳ありませんでした。
 それでは、時間がないんですけれども、今出ましたことで何かおっしゃっていただくことがおありでしたら、事務局の方から、どなたからでも結構です。お願いいたします。

【清重児童生徒課長】 児童生徒課長でございます。不登校の関係でいろいろと御指摘をいただいたところでございますけども、不登校に至るまでの様々な背景については、いじめの話もございましたし、先ほど発達障害の話もございましたけども、そういった部分を含め、いかに丁寧に子供一人一人を見ていくかということが重要ではないかと考えております。そういう意味でも、報告書の中ではスクリーニングの実施であったり、あるいは、最近はGIGA端末も入ってきていますので、子供の日頃からの健康状況や気持ちの変化といったものもきめ細かく見て、今後、こういったことを事前にどう対応していくかということを決めておく必要があると思っております。
 また、親御さんへの支援ということについても御意見をいただいておりますけれども、これについても、報告書の中で、例えばペアレンツキャンプであったりといった親御さんへのペアレントトレーニング的な内容についても、報告書の中に盛り込ませていただいておりますので、こういった視点から対応についても今後、検討していきたいと考えております。
 簡単ですが、以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

【橋田地域スポーツ課長】 地域スポーツ課長でございます。活動関係部門の点についても多くの御意見を頂戴いたしました。
 今回、まずは休日からの段階的な地域移行という形の流れではございますけども、子供たちがスポーツに継続して親しむことができる環境をつくっていくと、機会を確保していくというところが、まず、重要な柱になっておりますので、その点をしっかり押さえながら、取り組んでいきたいと思っております。今後、スポーツ庁としてガイドライン、通知の中で提言に盛り込まれた内容、実際、自治体、学校関係団体向けにどう周知していくかというのを整理していくことになりますので、本日、頂戴した御意見も踏まえながら、実際の示し方の検討をさせていただければと思います。
 また、中学校教育の在り方全体に関わる内容につきましては、教育課程課はもとより、文科省全体として検討すべき論点もございますので、そこは省内の関係部署とも連携しつつ、検討したいと思っております。
 また、スポーツの指導者に関わりまして、安全配慮面への点の御指摘もございましたけども、そこの点につきましては、日本スポーツ協会の方とも連携して、資格の取得、研修に当たって、そうした安全配慮の点も十分留意されるよう、この点を進めていきたいと考えております。
 簡単ではございますけども、以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。今、橋田課長からお話がありましたが、今週末に教育課程部会が予定されておりまして、そこでも中学校の部活動に関しては話題になるということでございます。よろしくお願いいたします、委員の皆さん、御参加の方はよろしくお願いいたします。
 ほかよろしいでしょうか。

【中山参事官補佐】 文化部につきまして、保険について御質問があったかと思いますが、文化部活動につきましても、スポーツ安全保険の方で見ていただくことができるという状況となってございますので御報告いたします。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。まだいろいろおありかと思いますが、すいません、最後の議題が残っておりますので、次に移らせていただきます。
 最後は議題の6で、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会に関することであります。資料の6-1を御覧いただければと思います。
 前回の初中分科会でも御報告しましたとおり、昨年1月に取りまとめられた令和答申の内容を着実に実施し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実することを通して、学習指導要領の示す主体的、対話的で深い学びを実現していくということを目指して、本年1月に個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会が設置されております。部会長は私が務めているわけでありますが、主な検討事項としては、資料に記載の通り、3点であります。
 まだ具体的に、その中身にどうしていくのかというのはもちろんあるんですけれども、このうち、(2)の教科書、教材、関連ソフトウエアの在り方については、特別部会の下に設置されております教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキンググループにおいて議論が進められております。堀田先生にお願いをしているところでございます。現在の審議状況について事務局から御説明をお願いいたします。山田修学支援・教材課長、よろしくお願いいたします。

【山田修学支援・教材課長】 修学支援・教材課長の山田と申します。
 教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキンググループの審議状況について、御説明いたします。このワーキンググループは、修学支援・教材課と教科書課が協力して運営しております。
 最初のページを御覧いただければと思います。主な検討事項といたしまして、令和6年度からのデジタル教科書の本格的な導入の在り方、それからデジタル教科書やデジタル教材、関連するソフトウエアの適切な活用方策ということが検討事項になってございます。
 検討の経過でございます。今年3月に第1回ワーキングということでキックオフをいたしまして、先週7月19日に第4回のワーキンググループを開催いたしました。今年の夏頃をめどに、中間的な取りまとめを予定してございます。
 委員の構成は御覧のとおりですが、分科会委員である神野委員、奈須委員、堀田委員、渡辺委員にも御参加いただいてございます。
 次のページをお願いします。このワーキングでの主な意見です。詳細は割愛いたしますが、まず、紙の教科書の内容を基本としたシンプルで軽いものという視点。それからデジタルの多様なリソースにつながるアクセス機能の視点。次のページをお願いいたします。通信環境や学習環境等を踏まえて、令和6年度からの導入を円滑に実施するために留意すべきこと。それから教科等の特性や発達段階などを踏まえて、デジタル教科書の機能を最大限効果的に活用するために留意すべきことという点で様々、活発な議論が行われております。
 次のページをお願いいたします。デジタル教科書・教材・ソフトウエアの活用の在り方ということで、まとめている資料でございます。こちらにありますとおり、デジタル教科書とその教材、あと学習支援ソフトウエアといったものがそれぞれ連携をしながら、学びを深めていくといったことがデジタルを通じてやりやすくなってきたということでございます。デジタル教科書は真ん中にありますとおり、質が担保された主たる教材ということで、多様なデジタルリソースと円滑につながるアクセス機能をはじめとした、様々な機能を持っております。その下にもありますとおり、紙の教科書の内容をベースとしたシンプルで軽いものがデジタル教科書であるという認識の下に我々、検討を進めております。
 教材につきましては、デジタル教科書がこのような形で内容を決めているもので、それに対して、オンラインで接続可能な多様なリソースということで、個別最適な学びを担保するものとして、様々なバリエーションが備えられているといったものでございます。それを補完するような形でファイルの共有、共同編集、対話などを可能とする学習支援ツールという形でソフトウエアが存在しているといったことは、また家庭学習、地域学習といった点でも役立つと思っております。下にありますとおり、デジタル教科書自体はシンプルで軽いものとしつつ、デジタルの強みを生かして、他の様々な教材やソフトウエアと効果的に組合せ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るとしております。
 次のページをお願いします。二つ目のたたき台の部分です。これは特にデジタル教科書について、主に記載をしてございます。全ての児童生徒が使用する教科書に求められることといたしまして、広く活用される機能は残しつつ、シンプルで端末通信負荷の軽いものであることと、さらに教科書のデジタル化によって期待されることといたしまして、アクセシビリティを含めて機能的で充実したものであることといったことが求められていると思っております。
 下のほうに紫色で書いてある部分です。デジタル教科書の令和6年度からの本格的な導入を円滑かつ効果的に実施するために必要な論点ということで、どの教科、学年から段階的に導入すべきか。この点につきましては、既に教科書課の実証事業におきまして、英語を配布し、その後、自治体からの要望が多いのは算数、数学ということになっております。主な対象学年は小学校5年から中学校3年で、小学校1年から4年までは一部のみを対象としております。
 また、次の論点として、紙の教科書とデジタル教科書の在り方はどうあるべきかといった点ですが、令和6年度からの当面の間の視点と、その次の学習指導要領の改定を見据えた中長期的な視点が必要ということで議論を進めてございます。
 次のページをお願いします。ここにあります三つの写真は、ワーキングでのヒアリングでそれぞれ委員から御提出いただいた資料の一部でございますが、それぞれデジタルの部分もあり、紙の部分もありということで、デジタルも紙も組み合わせながら、また、教科書、教材、ソフトウエアも組み合わせながら適切に学びの手段を組み合わせるということで、個別最適な学びと協働的な学びを進めているということでございます。
 下の紫色の部分です。個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させ、学習指導要領が育成を目指す資質・能力を子供たちに育む先導的な実践事例を全国に広げていくためには何が必要なのかといった議論も行われております。教科書、教材などの在り方を議論することは学びの在り方を議論することにもつながりまして、こういった議論をしていく中で、本ワーキンググループの範囲を超えるような大所高所、かつ本質的な議論を含めた活発な議論が行われていると認識しております。
 次のページをお願いします。デジタル教科書を各学習者に配信するためには、現状と課題を整理する必要があると思っております。現状といたしましては、教科書発行者とビューア配信事業者が複数のグループを形成し、それぞれ異なった仕様のデジタル教科書プラットフォームが混在してございます。また、ビューア機能が標準化されていないですとかログインID、パスワードがそれぞれ異なるといった事情があると思っています。
 主な課題を右にまとめてございます。コンテンツの重さ、あとは児童生徒の使いづらさ、さらには先ほど申し上げたログインするID、パスワードが異なるということ。さらに、授業の進行に合わせて同時利用するということが多い特性を持っていること。さらには自治体によってはデジタル教科書配信に対応可能なネットワーク帯域が確保できていない懸念があるという点です。
 次のページをお願いします。整備に関する事業を修学支援・教材課で中心になって行っておりまして、その中間的な経過報告の中から抜粋させていただいています。まずは、教科書及び教材コンテンツを最適化するということで、デジタル教科書の中に最初から動画を組み込むのではなく、クリックをしたら別画面で動画が出てくるといった形で、分散型のコンテンツ構成への変更があり得るのではないかという検討を行っております。
 また、もう一つ、デジタル教科書のページ全体を画像として捉えるのではなく、テキストにできる部分はテキストにするとか、単元ごとにデータを取るのではなく、見開きページごとにデータを取得する、クラウドから取得するといった形も検討をしてもいいのではないかと思っています。これはコストと時間との兼ね合いだと思っております。
 次のページです。それから、各社のビューアがそれぞれ異なっているという問題がありますが、これについて共通のカスタムツールバーを追加することを提案されております。実際に、右のところにカスタムツールバーというのがございますが、各社共通のものを作り、その中で一部アイコンを削除したりですとか入れ替えたりといったことも可能にすることも検討してございます。こういった議論の中で、ネットワークの増強についても必要ではないかといった議論がなされてございます。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間が既に来ておりまして、御質問とかいただくということを予定しておりましたが、御質問、御意見おありの方は、大変申し訳ありませんが、メールで事務局にお願いするということで、よろしくお願いいたします。
 主査をお願いしています、堀田委員の方から特に何か補足等ございましたらお願いいたします。

【堀田分科会長代理】 お時間のない中、ありがとうございます。一つだけ、先ほど山田課長もおっしゃったように、私たちはデジタルの教科書をどのように配信すべきかとか、どんなインターフェースですべきかとか、現場に負担のかからない利用のされ方はどうあるべきかとかということを、技術的な観点からいろいろ議論してきましたが、これを突き詰めていくと、最終的にはこれからの時代の学びはどうあるべきかとか、学校はどうあるべきか、授業はどうあるべきかみたいな議論に行き着いておりまして、そういう意味では私どものワーキングの所掌を超えて、特別部会で議論していただくような段階に来ていると認識しております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。特別部会の方は、ほかのところがまだ動き始めていませんので、今おっしゃったようなことも含めて、今後、事務局と相談しながら議論を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、大変申し訳ありません。時間がもう既に過ぎておりまして、今日はここまでといたしたいと思います。
 事務局の方で、次回につきまして、お願いいたします。

【前田教育制度改革室長】 ありがとうございました。
 次回の初中分科会の日程につきましては、また、追って事務局から御連絡させていただきます。以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 再度申しますが、御意見、御質問等は事務局のほうにメールでお願いをいたします。
 では、本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 ―― 了 ――
 
■会議終了後事務局に頂戴したご意見(順不同)

【松木委員】
 中央教育審議会初等中等教育分科会(第136回)について、質疑応答の時間が取れないと思い遠慮しました。メールにて意見を申し上げます。
 資料6-1「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会について」
○ 「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(令和3年1月中央教育審議会答申)を受けて、デジタル化などの社会変化が進む次世代の学校教育の在り方について検討する必要とありますが、この中で、「協働的な学び」についての、しっかりした議論が必要だと思います。デジタル化の対応を突き詰めていくと「個別最適な学びと協働的な学び」をどのように実現するのかということになるかと思います。個別最適な学びに関しては、デジタル化は比較的イメージできますが、協働的な学びを支えるツールとしての意味も大きいです。デジタル化を深く検討する意味でも、主な検討事項として「協働的な学びとは何か」を取り上げていくべきではないでしょうか。
 このことに関して、今回議論があった「不登校に関する調査結果」及び「特別支援教育を担う教師の養成」に絡めて意見を述べたいと思います。
 福井県で数年前に30日以上欠席した児童生徒が、理由の如何を問わず年間5日以上休んだ最初の学年を調べました。何と6割近くが小学校1年時でした。つまり不登校児は、その不登校の直接的な原因や30日以上休みはじめた学年は様々なのですが、小学校1年時から学校というシステムに違和感を覚えているようでした。今、知識注入になりがちであった学校での学びを変えようとしています。「不登校問題」として、解決しなければならない特別な課題と考えることも重要ですが、個別最適な学びと協働的な学びが、社会構築に向け包容力のある多様な学びとなることが、根本的な解決になるのではないでしょうか。
 特別支援教育の対象となる子どもたちは、現在では特別支援学校に限らず、普通の学校の特別支援学級、さらには、通常学級に在籍している発達障害等の子どもたちも含んでいます。通常教育の中で特別な配慮を受けながら学んでいる子どもたちの数は相当なものと思われます。ダイバーシティの社会は同時にインクルージョンの社会でもありますから、様々な子どもたちが一緒に学ぶことは重要だと思われます。多様な子どもたちの学びを考えるとき、個別最適な学びと協働の学びをどう構築するかが重要な課題となるのではないでしょうか。ある意味、目標到達型の授業ではなくPBLのような活動は、包容力のある学習活動だと思われます。協働の学びとPBL等の関係も含め検討すべきではないでしょうか。

【清原委員】
 会議中に発言できなかった内容について、下記に記します。
 資料6-1「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会について」及び 資料6-2「教科書・教材・ソフトウエアの在り方ワーキンググループについて」のご報告について
〇 現在、中央教育審議会では次期教育振興基本計画の在り方についての諮問を受けて総合的かつ体系的な提言に向けて検討が進められています。
その諮問事項の一つに、「超スマート社会(Society 5.0)を念頭に置き、ウェルビーイングの観点も踏まえ、新型コロナウイルス感染症を契機としたオンライン教育を活用する観点など「デジタル」と「リアル」の最適な組合せ、及び、幼児教育・義務教育の基礎の上に、高等学校、大学、高等専門学校、専門学校、大学院まで全体が連続性・一貫性を持ち、社会のニーズに応えるものとなる教育や学習の在り方について」があります。
「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の検討課題である特に「GIGA スクール構想に基づくICT 環境の整備と活用を進める中で、教科書・教材のデジタル化を推進するとともに、既存の教科書・教材との関係を整理し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実すること」は、まさにこの諮問事項にも関連する重要な検討が行われているものと考え、初等中等教育分科会及び特別部会での検討が、次期教育振興基本計画にも反映されるものと認識します。
〇 会議において、堀田分科会長代理がご発言されましたように、デジタル教科書をめぐる技術的観点の検討を通して「これからの時代の学びはどうあるべきか」、「学校や授業はどうあるべきか」という課題が提起されていることを重く受け止めます。GIGAスクールの取組みを通して、デジタル教科書をはじめとして、授業の在り方、児童生徒の自主学習の在り方などの変容がもたらされており、その実態を踏まえた検討が必要であることを再確認しています。
〇 「デジタル教科書・教材・ソフトウエアの活用の在り方」に係るワーキングチームの検討について伺って、GIGAスクールが普及する中にあって、適切なデジタル教科書、デジタル教材、ソフトウエアの在り方に関する検討を通して、「個別最適な学習」に関して、児童生徒に応じて適切に「学び」の手段を組み合わせていく方向性が示されています。
今後は、「協働的学び」における適切なデジタル教科書、デジタル教材、ソフトウエアの在り方に関しても、検討の深化を期待します。
〇 また、ワーキンググループの資料6-2の2頁には「令和6年度の導入に向けて、行政の立場では(令和5年度における)教科書の採択という問題が迫っており、あまり時間的な余裕がない」ことと、「令和6年度からの導入初期と学習指導要領改訂以降を分けて考えるべき」との問題提起があります。これらの問題提起については、実際の各自治体の教育行政及び学校現場の状況を的確に捉えつつ、慎重に丁寧に適切な検討をする必要がある重要な問題提起であると受け止めています。今後の重要な検討課題として受け止めます。
〇 従来も児童生徒にとって、紙の教科書は授業に不可欠とはいえ、特に低学年にとってはその重さが健康面からの課題とされてきました。GIGAスクールの導入に伴い、タブレット端末を持ち帰る地域では、さらにランドセル等の重さが児童の通学の負荷になっているようです。また、児童生徒の視力についての課題も存在します。今後、児童生徒の理解度・集中度・満足度等の視点に加えて、健康面の視点からの「デジタル」と「リアル」の最適な組合せに関する検討も有意義と考えます。
 以上です。

【岩本委員】
 中央教育審議会初等中等教育分科会(第136回)において、残り時間が少なく発言を遠慮致しましたので、書面にてコメントさせて頂きます。
 議題(4)不登校に関する調査研究協力者会議報告書についてです。
 この報告書の「今後重点的に実施すべき施策の方向性」として書かれている、「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」というのは、不登校の背景や要因も多岐に渡り、個々の児童生徒の状況も多様であるため、非常に重要だと考えます。
 私自身、隠岐島前高校での「島留学」にはじまり、今は全国の高校での「地域みらい留学」という形で、子どもたちの地域留学(家や地元から離れ他地域・他の都道府県の高校への進学・留学)に関わってきましたが、地域留学する生徒たちのなかには中学校等で不登校だった生徒も少なからずいました。また、そうした不登校の経験を持った生徒たちが、地域留学を通して、生きる力を開花させ、目を見張るような成長を遂げていく姿も数多く見てきました。最初は自信がなさそうで消極的であっても、次第に持ち味や個性を発揮し、特定の教科学習や探究学習における深い学びを実践する生徒、部活動や地域社会活動等における活躍や全国大会等で表彰される生徒、友人関係や地域の大人との交流などを積極的に楽しめるようになる生徒、やりたいことや好きなことを見つけ進路実現をしていく生徒、勉強の遅れを取り戻し難関と呼ばれる大学に進学する生徒なども目の当たりにしてきました。
 こうした生徒たちの変化成長を育む要因としては、今までの家庭や親元から離れて暮らすようになったこと、今までの地元の同級生や人間関係から離れて人間関係をリセットできたこと、地方の小規模校での競争的ではなく協調的な学校・地域文化、教職員・コーディネーターや地域の多様な大人との人間的な関わり、少人数で一人ひとりに目や手が届きやすく、自分が一人の人として認められている・必要とされている・大切にされていると実感しやすい環境、豊かな自然環境、規則正しい健康的な生活、自分の「やってみたい」が尊重・応援され手触り感ある探究活動など様々なものが考えられますし、何か一つではなく複合的に絡み合っているとは思います。
いずれにしましても、今後こうした地域留学といった環境を変える越境機会も、不登校児童生徒への多様な教育機会及び多様な進路機会の確保の一つとして検討していけると良いのではないかと思います。
 また、高校においても不登校の状況は存在しており、その対応については、本報告書にも参考となるものが多数あると思いますが、高校固有の課題や対応についても今後検討されていくことを願います。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)