初等中等教育分科会(第135回)議事録

1.日時

令和4年3月14日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省(※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況等について
  2. 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況について
  3. 「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の開催について
  4. コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議 最終まとめについて
  5. 高校の新学習指導要領スタートを契機とするこれからの高校教育について
  6. その他(自由討議を含む)

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第135回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議開催方式及び資料につきまして、事務局から御説明をお願いします。

【白井教育制度改革室長】 これまでの会議に引き続きまして、本会議につきましては新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、ウェブ会議方式にて開催させていただいております。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外も含めまして、会議中はオンにしていただけますようにお願いいたします。御不便等をおかけすることもあるかと存じますけれども、何とぞ御理解のほど、よろしくお願いいたします。
 資料の確認をさせていただきます。本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から資料5まで、加えて参考資料として、1から3-2までとなっております。参考資料のうち、参考資料1の「改訂版全国の学校における働き方改革事例集に関して」は、先日、初等中等教育局財務課から発行された事例集に関しての御紹介でございますが、今回は配付のみとさせていただきます。御不明な点等ございましたらお申しつけください。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 議題に入る前に、昨今のウクライナを取り巻く状況につきまして申し上げたいと思います。
 学校や病院などの施設も含めて、大きな被害が生じていることが報道されています。政府としても、既にウクライナから避難された方々の受入れを始められたということですし、文部科学省においても必要な支援の準備をされているということですが、どうぞ手厚い対応をお願いできればと思います。
 報道によれば、複数の地域で高校生が署名活動を行い、募金活動も併せて取り組んでいるということでございます。
 どの戦争においても、泣くのは常に弱者であり、私たちが直接関わっている子供たちに危害が及んだり、子供たちが不幸に陥れられるということがないことを切に願っている次第です。
 さて、1点御報告となりますが、前回の分科会におきまして設置をお認めいただきました「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」に関しまして、第1回の会議が2月7日に開かれたということを申し上げておきたいと思います。
 前回、事務局から説明がありましたように、本特別部会はこの初中分科会での議論を経て昨年1月に取りまとめられました答申の内容を着実に実施し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実するための具体的な指導の在り方について議論する場となっております。
 部会長は、私、荒瀬が務めさせていただき、部会長代理には、令和の答申に大変御尽力をいただき、教育とデジタルの分野に御知見のある堀田委員、それから、幅広い視点から政府全体のデジタル改革等の議論にも参画いただいております金丸委員に御就任いただくことになりました。
 また、2月7日の会議では、特別部会の下に教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループの設置を認め、令和6年度からのデジタル教科書の本格的な導入の在り方や、デジタル教科書やデジタル教材、関連するソフトウェアの適切な活用方法について集中的に御議論いただくということになりました。
 特別部会の議論は、親会でありますこの初中分科会にも随時御報告差し上げたいと考えております。委員の皆様におかれましては、引き続き御審議をよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 本日は議題が5つございまして、まず最初は現状の報告といたしまして、学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況等について、議題2といたしまして、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況につきまして、議題3といたしまして、令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の開催につきまして、議題4といたしまして、コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会義最終まとめにつきまして、そして議題5といたしまして、高等学校の新学習指導要領スタートを契機とするこれからの高校教育についてということで、大変盛りだくさんとなっております。
 なお、本日は報道関係者と一般の方向けにこの会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので御承知おきください。
 それでは、本日の議題に入ります。
 議題1でございます。学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況について御説明をいただきたいと思います。
 なお、このことにつきましては報告事項でございますので、申し訳ありませんが、質疑は省略させていただきます。
 では、三木健康教育・食育課長、よろしくお願いいたします。

【三木健康教育・食育課長】 失礼いたします。荒瀬分科会長、ありがとうございます。
 それでは、私のほうから5分程度で非常に駆け足ですけれども、学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況や文部科学省の対応状況について御報告をさせていただきたいと思います。
 資料は1ということで、1枚おめくりいただきたいと思います。
 日頃から学校や教育委員会の方々に感染状況や臨時休業状況について御報告をいただき誠にありがとうございます。
 1ページ目は児童生徒等の感染者数の推移をまとめたものでございます。月別にまとめております。
 第6波、オミクロン株に移り変わっていくに従って、国内の感染者数の傾向と同様に1月、2月と子供たちの感染者数も急増しているという状況です。過去の子供の感染者の内訳を見ると、第6波においては小学校の子供の割合が多いところが過去の波と比べて違っているように見てとれるかと思います。
 次のページですけれども、子供の感染経路につきましては、大きな傾向は変わってございません。家庭内というのが多いということ。この1月、2月にかけて、保健所業務の逼迫によるものと思われますけれども、感染経路不明が多くなっておりますが、分かっているものについての主要な要因は家庭内感染になっているということで、学校内での感染は非常に限定的であるというのがデータを見てとれると思います。
 それから、4ページでございますけれども、これは、先ほど見ていただきました学校内での感染の内訳を調べたものでございます。それぞれの学校種ごとで、中学、高校になると部活の割合が一定増えてきているというのが見てとれると思います。幼稚園、小学校であれば同一クラスが多いということでございます。
 それから、6ページ目でございます。臨時休業の状況ですけれども、これまで1月26日、2月9日、2月22日と3回、定点観測をさせていただいております。一部の学年・学級の臨時休業を行っている学校数、学校全体の臨時休業を行っている学校数、この2点で教育委員会等からデータをいただいております。
 下のグラフが分かりやすいと思いますけれども、これまで3回調べておりますが、子供の、児童生徒の感染者数のトレンドに応じた形でだんだんと減ってきているというふうに見てとれるかと思います。
 それから、資料を用意してございませんけれども、オミクロン株の対応ということで御報告申し上げますと、臨時休業の目安を定めたガイドラインにつきまして、休業の目安の期間の短縮でありますとか、濃厚接触者等の候補の特定や検査の範囲に関して、柔軟な対応が可能なことを2月2日に事務連絡でお示しをしております。
 また、2月4日の事務連絡では、感染拡大期において感染リスクの高い活動を控えることをお願いしてございます。例えば、近距離で行う教育活動でありますとか、部活動においては、密集する活動や近距離で組み合ったり接触したりする運動といったことを感染拡大期に、地域の感染レベルにかかわらず一時的に控えていただくことをお願いしてございます。
 また、臨時休業につきましては、これまで文部科学省の考え方でございますけれども、学校全体の臨時休業は慎重にすべきという考えの下、学校全体の臨時休業を検討する前に、分散、時差、オンライン学習を組み合わせたハイブリッドな学習形態の実施をお願いしてきたところでございます。
 7ページが春休みにかけて必要だと思われる学校の対策を記載してございます。
 引き続き、感染が広がっている地域では、今申し上げましたような感染リスクの高い活動を控えていただくことをお願いしたいと考えております。年度末、年度初めで様々な行事が行われる時期でございますので、実施に当たっての感染対策や工夫をお願いするものでございます。
 なお、感染収束局面では、必要な感染対策を行いつつ、感染リスクの低い活動から徐々に再開することについて検討をお願いしたいとも思っております。
 このほか、文部科学省の取組といたしましては、希望する教職員のワクチン接種の推進、それから、5歳から11歳にワクチン接種対象が引き下げられるに当たって、学校における集団接種は推奨しないことや、ワクチン接種に伴い学校を欠席扱いにしないこと、ワクチン接種に係る差別やいじめの防止などの留意点を情報提供させていただいております。
 それから、8ページでございますけれども、学校の感染症対策ということで、令和3年度補正予算でいわゆる16か月予算の考えの下、学校の感染対策経費を計上してございます。いわゆる学校裁量経費として学校現場に必要なものを御購入いただけるものでございますので、現在、学校や自治体で学校が必要なものを購入できるように御配慮いただきたいと思っておりますので、関係者と連携、協力しながら学校等の感染症対策の支援を引き続き行っていきたいと思います。
 非常に駆け足ですけれども、私の説明は以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 先ほど申しましたように御報告をいただいたということで次に移りたいと思いますが、特に何かという方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
 では、2つ目の議題に移りたいと思います。
 議題2は、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況についてということであります。
 大杉幼児教育課長から御報告いただきます。

【大杉幼児教育課長】 失礼いたします。
 資料2-1を御覧いただければと思います。
 7月に設置をお認めいただきました幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会でございますけれども、3月まで7回、そして実務的な検討を行う検討チームというのもつくらせていただきましたが、こちらのほうは6回ということで精力的に御議論をいただきました。年度明け以降も少し議論を続けさせていただきたいということでありますけれども、一旦、4月からの架け橋特別委員会の実施に必要な内容について、おまとめをさせていただきたいというところでございます。
 左上のはじめにのところでございますけれども、幼児期と小学校教育の架け橋ということで発達段階を見通した時期に幼児期から児童期、非常に大事な時期でございますが、幼稚園、保育所、認定こども園、小学校といった様々な施設が関わる、ここの連携を強化していこうということでございます。
 4月以降は、さらに質保障の仕組みを中心に御検討いただくという予定でございます。
 右上の背景でございますけれども、これまでも幼小の接続を重視した様々な取組は行われておりますが、単なる交流を超えて、持続可能な社会のつくり手の育成ということを目指した取組、そして何よりも取組のときに手がかりが少ないということを少し補っていくような手当てが必要ではないかということでございました。
 3ポツの課題でございますけれども、5点まとめていただいております。
 まずは、前提として幼児教育の質に関する認識の共有が十分ではないという点、それから、幼保小の接続期の教育の質を確保するための具体的な手だてが不足しているという点、また、格差なく学びや生活の基盤を育むことへの配慮の重要性、それから、教育の質を保障するために必要な体制の構築、そして最後に、教育の機会が十分に確保されていない家庭や子供への支援ということでございます。
 この審議経過の骨子の中では、主に(1)から(3)まで辺りを重点的に御議論いただきまして、4、5につきましては年度明け以降にまた深めていただく御予定でございますけれども、1点目、社会に開かれたカリキュラムの実現に向けた質に関する認識の共有ということ、幼児期の終わりまで育ってほしい姿を手がかりに関係者と認識をさらに共有していくこと、(2)は、幼保小の架け橋プログラムの実施、これにつきましては検討チームのほうで手引や参考資料を用意していただきまして、各地域の創意工夫を生かしながら重要なところの共通に留意すべき点の認識が図れるような工夫をしていただいています。
 また、4月からモデル事業を実施させていただきますが、モデル地域のみならず、全国的にこの手引と参考資料の普及を図っていこうということでございます。
 また、進め方として4つのフェーズ、地域ごとに進み方が異なるというところもございますので、自分の地域がどのフェーズにあるのかということを自己診断しながら次の段階を目指していくということの工夫をしていただいているところでございます。
 最後に、国のほうで質保障の枠組みということで、これはさらに議論を深めていただきますが、まずはモデル地域を対象として様々な調査、改善事項の整理ということを行っていくという御提言をいただいているところでございます。
 次のページが架け橋特別委員会のメンバーリストになってございますけれども、幼保小、様々な分野から御参加をいただきまして、今回おまとめをいただいたところでございます。
 3ページ目以降、幼保小の架け橋プログラム関係資料ということで、詳しくは本日の審議経過の骨子、あるいは参考資料の手引や参考資料3-1、3-2の手引参考資料につけさせていただいておりますけれども、4ページ目にございます架け橋プログラム事業の実施、全国12か所を予定しているところでございます。ただ、ここだけではなくて、5ページ目にございますように、モデル地域の実践を軸としながら、全国的な幼児教育推進体制の構築を通じて全国展開も図っていくというような2本柱でおまとめいただいております。
 具体的な体制のイメージですけれども、6ページ目にございますように、各地域において小学校、幼保認こが一緒に架け橋期のカリキュラムの重要な視点を議論できるような場をつくっていただくということ、緑の右側の枠にございますように、架け橋期の教育の質保障を国が行っていくということでございます。
 7ページ目以降は手引のイメージとなっております。
 9ページ目にございますように、非常に重要な5歳児から小学校1年生の時期ということを架け橋期と認識して、多様な施設がある状況でございますので、連携を強化していくというところでございます。
 また、検討チームに非常に時間をかけて御議論いただきまして、10ページ目、11ページ目にあるような、関係者が多様でございますので共通の認識を図れるようなヒント、それから、12ページ目にございますようなフェーズごとの進め方のイメージ、それから、架け橋期のカリキュラムについて視点を合わせていくための工夫として13ページ、そして14ページのように国の質保障の枠組み、これも15ページ目にございますように、共通の視点と地域独自の視点を大事にしていこうということをおまとめいただいているところでございます。
 駆け足になりましたけれども、是非御覧いただいて、お気づきの点、本日、御指摘いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました内容につきまして、御意見、御質問を受けたいと思います。御発言をなさいます方は手を挙げるのボタンを押していただきますようにお願いいたします。こちらから御指名いたしますので、ミュートを解除していただいて御発言をよろしくお願いいたします。いつもと同じことでありますが、御発言が終わりましたら手を下げるのボタンを押していただきまして、挙手を取り下げていただくということも併せてよろしくお願いします。
 では、御発言いただきます方はどうぞ。
 市川裕二委員からお願いいたします。

【市川(裕)委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。ありがとうございます。
 背景の中に、特別な配慮を必要とする子供への対応というのがありまして、課題と目指す方向の中では具体的にここはどこ辺りに出てくるのかということが質問の1点目と、幼稚園、保育園等から特別支援学校の小学部にもかなりの方が入学してきますが、特別支援学校の小学部というのはまた別として検討していくということなんでしょうか。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御質問はまとめてお答えいただきたいと思います。
 では、続きまして、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 日本医師会の渡辺でございます。簡単に4点、意見を述べさせていただきます。
 1点目は、幼保の未就園児の推定値は平成30年で約1.7%、1万7,000人ぐらいの人がおられると聞いております。さほど多いとは言えないけれども、やはり存在する以上、彼らへの支援、つまり、就園できなかった者に対しての対応というものを考えていただかないと入学時に格差が大きくなってしまうので、是非御配慮をいただきたいと思います。
 2点目は、本文には共通のカリキュラムを押しつけるわけではないと書いてあるとはいえ、一応、レベルの均等化を示しているように見受けられます。
 軽度を含めた発達障害児というのは8%前後おられるということは資料にもあることでございますし、また軽度の発達障害は入学までに顕在化しないことが非常に多いです。このようなプログラムが始まるのであれば就学前の健診、つまり、4歳、5歳の健診というのは非常に重要になってくると思うんです。
 ただ、現時点では、自治体では4歳、5歳の健診というのはほとんど行われておらず、幼稚園、保育園での健診のみとなっております。もし、4歳、5歳で軽度の発達障害をある程度発見し、ちゃんとした形でこのプログラムの中に組み込んでいくのであれば、厚労省と御検討いただき、4歳、5歳健診を充実させていただくか、もしくは幼稚園や保育園での健診を充実させていただくように御配慮いただきたいと思います。
 3点目は、骨子案にも僅かに記載がありますが、この制度は教育関係者だけではなく保護者の理解が非常に重要であろうと思います。なので、保護者にこの制度の重要性を十分理解していただく努力をしていただきたいと思います。
 最後に、地域の特性を大切にするというお話でございますが、逆に地域の格差も大きくないようにしていただきたい。そのためには幼児教育アドバイザーの育成が大変重要ではないかと思いますので、是非国が幼児教育アドバイザーの育成制度を示していただきたいと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、続きまして、八並委員、お願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会会長の八並です。
 今の御説明の中にはあまり意識されていないように思えますが、文部科学省が毎年、いじめや暴力行為等の生徒指導の諸課題に関する調査を行っています。
 最近の傾向では、小学校の暴力行為の発生件数が非常に高いです。令和元年が一番高く、令和2年度のデータでは下がってはいますが、児童生徒1,000人当たりで見ると小学校、中学校がほぼ同数です。また、学年別に見ても、小学校の低学年は非常に多いです。
 いじめに関しては、認知件数、これはいわゆる発生件数ですが、小学校が非常に高いです。例えば、小学校1年段階でも8万件を超えるという状況です。
 暴力行為やいじめが、環境が変わって小学校1年生から突然頻発する、この現象は環境への不適応という部分もあるかもしれませんが、それ以前の幼児教育段階にすでに起きていたのではないか。文部科学省の調査は、小学校から始まっていますから、小学校就学以前の暴力行為やいじめデータはありません。
 文部科学省のスタートカリキュラムのように、幼児教育と小学校の接続に関しては、以前から実施されています。教育現場での小一プロブレムも、視野に入れて、この架け橋プログラムはやられているだろうとは思いますが、それがわかるようにしていただければと思います。
 また、この架け橋プログラムをやることによってどういった効果が出るのか。幼稚園、保育園や小学校低学年レベルでの教育効果、例えば、暴力行為やいじめを含め、言葉の問題、行動の問題が、データ上減衰するかなど、生徒指導との関連性も少し視野に入れて御検討いただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 あとお二人、田中委員と安家委員が手を挙げていらっしゃいますので、ともかくそのお二人までお願いしたいと思います。
 では、田中委員、お願いいたします。

【田中委員】 よろしくお願いいたします。青少年自立援助センターの田中です。
 私のほうからは、外国人のお子さんについて、資料2-2に記載の点についてコメントをさせてください。
 資料2-2の20ページに外国人のお子さんについての言及があります。子供たちが小学校に入学するに当たって、その後の学校生活に十分に適応できるように、日本語教育ですとか、進学ガイダンスなんかを行うという取組は全国で少しずつ実践がなされていて、非常に重要な取組になっています。
 一方で、真に外国人の子供を含む多様な一人一人の子供たちの背景や、文化的、言語的な差異を尊重するということを考えますと、こうした日本語を母語としない外国にルーツを持つ子供たちが、日本の小学校や幼稚園、保育園の中で日本語に合わせていくような、あるいはマジョリティーから遅れないようにするというようなことだけでなく、多様であることが前提となったそれぞれの教育の在り方を検討していただけると、より子供たち自身の可能性が引き出されるのかなと感じています。
 特別な配慮だけでなく、一人一人の、本当にお一人お一人が多様な子供たちだと思うんですけれども、そうした子供たちの可能性を引き出す実践に当たって、やはり外国人のお子さんの場合ですと何をしたらいいのか分からないというような現場の声なんかも聞かれますので、具体的な取組が十分に検討、実践、検証がなされるように、保育だけでなく各分野の専門家ですとか、実践者の参加、あるいは外国人保護者といった当事者による参加も含めて柔軟な対応ができるような枠組みとなっていっていただけたらいいなと感じました。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、安家委員、お願いいたします。

【安家委員】 ありがとうございます。幼児教育研究機構の安家と申します。
 先ほどの架け橋委員会の件、私ども非常に注目をして委員を送り出し、見させていただきますが、私、45年前に幼稚園に就職をして、障害を持った子供の保育に当たってまいりました。
 そのとき、当時の文部省は障害を持った子供の出現率が約2%と御報告をされておられていたのですが、現在、8%程度のことを言っておられるということ、この4倍に上る出現率というのは、もちろん尺度の問題でそういうふうにしっかりとスクリーニングができるようになったということの効果でもあるのかもしれませんが、少なくとも出現をする原因の究明というのがずっと遅れたままであるのではないかということを危惧しております。
 これは、今日、医師会の方もおられますのでその辺りのこともお伺いをしたいと思いますけれども、その出現がなぜ起こるのかによって我々側の教育アプローチも当然方法は変わってくるわけでして、その辺りも是非お伺いをしてみたいと思ったことが一つ。
 それともう一つ、小学校と我々、乳幼児期の保育、教育を担当している者の理解がなかなか進まないということが現状としてあると思います。
 私は大阪府豊中市で幼稚園を運営しておりますが、昭和46年から幼小保の連絡協議会というシステムができて、年に2回程度、交流を図る機会がありますけれども、我々が送り出す側と受け入れる側、ですから、アプローチとスタートのところのカリキュラムの問題が、なかなかすり合わせが難しいということがございます。
 その中で、先日、私どもの園で幼稚園教育の評価のためのプログラム、私ども、ECEQと呼んでおりますが、その公開保育を開催する際に、小学校の校長先生に御招待を申し上げて、おいでをいただきました。
 園の教育を御覧になった先生はとても驚かれて、私たちの受入れのやり方が少し違っているのではないかと、それこそスタートカリキュラムが違っていたのではないかということを感想として述べられておられました。
 まさしく、現場の先生がお互いの学校教育や幼稚園教育のありさまがなかなか理解できない一番大きな問題は多忙です。先生方が多忙で、なかなか学校同士が交流する時間を取るのが難しいということが現実の問題としてはあろうかと思っています。
 そういうところを少しずつ丁寧に解決していくことが幼小の架け橋の非常に大きなポイントなのではないかなということを思っている次第でございます。
 手短に申し上げましたが、以上、私どもの感じていることと、今後取り組まなければいけないことの内容の御報告といたします。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、御質問とともに御要望等もおっしゃっていただきました。
 大杉課長、よろしくお願いいたします。

【大杉幼児教育課長】 御指摘いただきましてありがとうございます。
 正にこれから幼保小のプログラム、4月からスタートするという段階でございますので、しっかりと反映させてスタートできるようにしてまいりたいと思います。
 御指摘いただきました、まず特別支援の関係でございますけれども、現状認識といたしましては、資料2-2、審議経過の骨子の6ページ、7ページにかけてまとめさせていただいております。
 また、これからの方向性という中では、14ページ、15ページを見ていただくと、かなり一人一人の多様性に配慮する、一人一人の子供の様子を見定めていくということをあらゆる箇所に入れるようにしております。これは、特に資質、能力といったときに、幼児期におきましては割と一人一人の子供の状況、姿を見ながら伸ばしていくという使われ方をしているのに対して、小学校に行くとかなり教室で狙いを定めていくと、共通の狙いを定めていくというときに使われるという、そういう違いもあるよねというようなことを認識しながら、計画性という面と一人一人を見ていくという面と、両方のいいところをしっかり捉えながら幼保小期を考えていこうというような、そういう御議論をいただいたところでございます。そういう意味では、このプログラムの中には一人一人ということをかなり意識しながらスタートしようということになってございます。
 一方で、それに対して必要な支援に関しましては、主に(5)の部分になりますので、審議まとめで言うと20ページ以降、(4)、(5)につきましては、これから少し年度明けも、こども家庭庁も含めた福祉分野との連携も含めて深めていく部分でございますので、この部分、幼保小の架け橋プログラムの各地域の取組と並行してしっかり議論を深めていきたいと思っているところでございます。
 その中で、プログラムの中には直接、特別支援学校の幼稚部、小学部というのは明示的に出てこないかもしれませんけれども、全体の予算の幼保小架け橋プログラムの中では、特別な配慮が必要な子供たちへの指導の在り方ということも同時並行で調査研究を進めていくという事業もございますので、こちらの事業の成果をしっかり連携させていくということをやっていかなければいけないと考えているところでございます。
 続きまして、未就園児について御指摘をいただきました。未就園の理由としては、恐らく幾つか考えられるというところでございます。
 幼保認このいずれにも通っていない、認可外施設やその他の多様な幼児教育施設に通っているという可能性もございます。また、家庭での何らかの事情で保育を行っているというようなこと、また、家庭の事情で少しネグレクトの可能性もあると、幾つか可能性は考えられるところでございます。
 この実態調査は今のこども家庭庁の議論の中でしていこうというような話も出てきておりますので、これとしっかり連携させながら幼保小のプログラムの中でも、施設類型のみならず、地域全体を見渡すような取組にしっかりしていきたいと考えているところでございます。
 また、保護者の理解を得ていくということ、これもモデル事業の中で保護者との連携ということも一つの大きな活動要素になっておりますので、いろんな工夫があると思います。文科省としてもこの手引を、例えばいろんな形で分かりやすく伝えていくということもございますし、各地域でいろんな工夫もしていただく、それをしっかり横展開して共有して、保護者へのメッセージの伝え方ということも一つの課題として取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 また、4、5歳児の健診ということでございますけれども、これは、今回、幼保小架け橋特別委員会にはオブザーバーとして厚労省、内閣府にも入っていただいておりますので、そちらのほうとも少し連携しながら議論をしていきたいと考えているところでございます。
 それから、幼児教育アドバイザーの研修、非常に重要な点でございます。私どもも今年度からアドバイザーを対象にした研修会というのも企画し始めておりますので、少しそれを体系化できるように、このプログラム事業と併せて取り組んでいきたいと思っております。
 それから、いじめの調査でございますけれども、発達段階を踏まえて幼児期は対象になって、日々いろいろ子供の関係も、子供の発達も変わるという状況でございますが、正に幼保小の架け橋プログラムということの中ではその発達をつないでいく、子供たちのいろんな課題を一つ一つ生活の基盤、学びの基盤を見ていくということでございますので、正にこの12か所でモデル事業を実施しながら、今後、どういった面から子供の育ち、生活を捉えていくのかという議論も併せてしていきたいと考えているところでございます。
 外国人につきましては、外国に関係、ゆかりのある子供たちの指導ということでは、一人一人の差異の尊重ということで御指摘をいただいたところでございます。
 先ほど申し上げましたように、かなり今回のプログラム、一人一人の子供たちの状況を見取って伸ばしていくという視点を大事にしていこうというメッセージを入れさせていただいているところでございますけれども、そういった内容面の工夫と併せて支援の部分、これは4月以降の議論でもしっかり深めていきたいところでございますので、今日の御指摘を受けながら4月以降の架け橋特別委員会の議論で深めさせていただきたいと思います。
 また、いろんな発達の状況、それから、幼小の理解のすり合わせということです。ECEQのお話もいただきました。今回の質保障の議論などではECEQの取組も非常に参考にさせていただいているところでございますので、そうした各地域のいろいろな工夫と国全体の取組が同時並行で進むように、今後もいろいろ情報交換をさせていただきたいと思います。
 取り急ぎ、私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 御質問、御指摘いただいた皆さん、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思いますが、ほかにおありの方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
 では、3番目の議題に移りたいと思います。3番目の議題、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の開催についてということでございます。
 昨年1月に中央教育審議会で取りまとめました答申において、今後さらに検討を要する事項として取り上げました教育委員会の在り方について検討を行う会議という位置づけと聞いております。
 では、水田初等中等教育企画課長から御説明いただきたいと思います。

【水田初等中等教育企画課長】 それでは、資料の3-1と3-2を使って御説明させていただきます。
 ただいま、荒瀬先生から御説明のありましたように、令和答申の最後の今後さらに検討を要する事項としまして、地方教育行政の推進体制の在り方ということで整理がなされているところでございまして、この点については昨年7月8日の本分科会で進め方につきましては御了解をいただいていたものでございます。このたび、協力者会議を立ち上げまして検討を開始いたしましたので、御報告させていただくと、そういう性格のものでございます。
 検討事項につきましては2ポツのところにございますが、これは後ほど御説明をさせていただければと思いますので、2ページ目を御覧ください。
 2ページ目に調査研究協力者の名簿がございます。全部で9名の協力者の方にお願いしておりまして、本分科会からも、岩本委員、清原委員、戸ヶ﨑委員、それから、吉田信解委員の4名にお願いしているところでございまして、清原委員には座長を、それから、戸ヶ﨑委員には座長代理をお願いしているところでございます。
 続きまして、資料3-2を御覧ください。
 こちらは会議の1回目のときに既にお示ししております検討の論点案というものでございます。一番上のところで四角く囲んであるところが令和答申の最後のところで指摘されているところでございます。読み上げは省略いたしますけれども、こういった形で今後の課題という形で整理されておりましたので、それにつきまして論点ごとに整理しまして、議論を開始したというものでございます。
 このページの下のところにまず(1)ということで論点の1つ目としましては、教育委員会の機能強化・活性化のための方策についてということで、社会との連携を進める学校を支援する観点を含め、教育行政自体がより社会の変化に素早く的確に対応するために、教育委員会の機能強化・活性化についてどのような方策が考えられるかとしておりまして、論点例、ポイントだけざっと見ていきますと、このページにありますようにまず1つ目の論点としては、教育長に求められる資質能力、それから、人材の確保や資質能力の向上の観点からどういった方策があるかということでございます。
 次のページを御覧ください。次のポツでは、教育行政職員が求められる資質・能力を着実に身に着けるためにどういった方策があるかということで、その次のポツでは、例として専門性の観点からは、職員に対して修学の機会を提供したりとか、教育・学校以外の部局の経験を積む機会、こういったものを例示しております。
 それから、3つ目のポツのところですけれども、教育委員会事務局には教職出身者と事務職員の役割、どちらもいるわけですが、こういった役割分担に応じた適正な構成をどう考えるかと、それから次のポツでは、マンパワー等から理想的な対応が困難な教育委員会について、どういった工夫・方策があるかと、それから次は、外部人材を教育委員会事務局に登用・活用することについてどう考えるか、それから、教育委員会会議の活性化、教育委員の教育行政への関わり方、それから次が、民間企業等の外部機関との連携の在り方、こういったことを例示させていただいております。
 (2)ですけれども、教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方についてということで、平成26年の地教行法の改正が27年4月に施行されて以降の教育委員会の職務執行の状況、教育委員会と首長が担う行政の連携状況等を踏まえ、首長部局とのさらなる連携促進を図るためにどういった方策が考えられるかということで、論点の1つ目としては、総合教育会議のより一層、どういった活用が有効かということ、それから次のページになりますと、児童福祉行政との連携ですとか、公共施設の効果的・効率的な整備・管理、こういった観点から、関係部局との連携の在り方についてどう考えていくかと。
 それから、(3)としまして、小規模自治体への対応・広域行政の推進のための方策としまして、年少人口減少に伴い学校の統廃合が進んでいる地域があるものの、過疎地における学校規模は小規模のまま存続させることが必要であると考える地域も存在するところであるということで、こういった中で、広域的な取組による課題への対応が期待されるところですけれども、デジタル技術の活用を含め、どういった方策が考えられるかということで、論点としましては、小規模市町村における教育事務を持続可能とするための方策、それから2つ目のポツですが、都道府県教育委員会が担うべき役割、さらに、都道府県教育委員会と市町村教育委員会同士の連携のさらなる促進のための方策、それから、教育事務所、こういったことの機能・役割という点でございます。
 それから、(4)が学校運営の支援のために果たすべき役割ということで、こういった今まで挙げてきましたもののほかに、学校運営の支援のために教育委員会が果たすべき役割としてどういったことが考えられるかということで、論点として、例えば学校管理業務の一部を教育委員会が分担するとか、それから、学校現場の自主的・創造的な取組を奨励・応援する地方教育行政の風土づくりはどうした方法があるかと、それから、この後にもありますけれども、学校運営協議会の役割とその充実、それから最後に、非常時において機動的・自立的な学校運営を支援するための方策、こういったことを挙げさせていただいているところでございます。
 会議のほうは1月31日に第1回、先週3月7日に第2回を開催いたしまして、これまでそれぞれ2名、3名ということで5名から発表いただいておりますので、今後、残りの有識者の方々からも発表いただき、さらには教育委員会等、様々な方々からのヒアリングを重ねながら、来年度いっぱいの取りまとめというのを想定しているところでございます。
 新しい教育委員会制度となりまして、現在、恐らく試行錯誤をされているという教育委員会も多いと思われますので、こういった新しい制度の下でいかにうまく運用を進めていくかということが重要でございますので、事例を豊富に盛り込みながら、全国1,700を超えます大小の教育委員会がその充実に向けた方策を検討するに当たりましてヒントとなって、それを後押ししていくような取りまとめというものをしていければと考えているところでございます。
 既に活発な議論をいただいておりますところですけれども、引き続きそういった運営に努めていきたいと考えております。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました件につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。また手を挙げるを押していただければと思います。
 それでは、渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 日本医師会の渡辺でございます。連携に関して意見を述べさせていただきます。
 人生100年時代を見据えて、今、国を挙げて健康寿命の延伸に取り組んでいる中で、教育委員会は首長部局、特に保健衛生担当部局、それから、都道府県、もしくは郡市区医師会との連携を強化していただくとよろしいのではないかと思っております。
 このような連携は、今回のコロナ対応のような保健管理だけでなく、がん教育や性教育など保健教育にも大変有効ではないかと思います。そちらのほうの部局、もしくは団体との連携も御考慮いただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、大字委員、それから、貞広委員の順でお願いしたいと思います。
 大字委員、お願いいたします。

【大字委員】 全国連合小学校長会の大字でございます。
 現在、学校には正に新たな課題や多様な課題が様々ある、そういう状況の中で自治体によっては学校を専門的に指導、支援する立場にある指導主事の配置がなされていないというところも多々あると聞いておりますし、そういうところの学校の校長からは、実際に新たな課題に対応しようとしても、学校の力だけではなかなか厳しいという、そういう声も上がっているところです。
 今回の資料3-2の中の(3)小規模自治体への対応、教育行政の推進、この辺りを我が校長会としては期待をしているところで、是非それぞれの学校にとってプラスになるような、そういう施策を具体的に推進していただけると有難いなと、そのようなところをお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】 お願いいたします。千葉大学の貞広と申します。
 大変重要な観点だと思います。地域の多様性に応じた分権的な経営というのが目指される中で、教育行政の機能強化というのが求められているということです。
 その上で、特に、今、大字委員もおっしゃいました、今ちょうどスライドが映っているところですけれども、小規模自治体への対応、教育行政力の強化というところで、なかなか小さな自治体ですと政策の選択肢自体の手詰まり感があったりとか、ヒューマンパワーなどもろもろの資源が不足していてなかなか機能強化ができないところで、じゃ、何らかの手だてがないのかということを検討していただくのだと思います。
 恐らく、その中でこちらにもありますとおり広域化をしていくということや、都道府県の教育委員会がサポートしていくということ、または、これは小規模自治体だけではありませんけれども、渡辺委員がおっしゃったように、健康福祉の領域と不可分の教育行政ですので、いかに首長部局さんと連携をしていくかという観点が必要と、この辺り、網羅的に書かれているんですけど、もう1点検討していただきたいと思っているのが、中間組織でのサポートや中間組織ぐらいの単位の広域化ということを考えていただければということでございます。
 都道府県によっても様々事情ございますけれども、多くの都道府県で教育事務所というもの、中間組織的なものをお持ちです。それが旧来の何となく生活圏と一致をしているような単位で教育事務所があったりすることも多いんですけれども、例えばこの単位で広域化をしていく、または、広域化をしないまでも教育事務所、都道府県の教育委員会が出張っていくというよりも、その前段階でこの中間組織の教育事務所が個別の小さな自治体の教育行政をつなげたりとかサポートしたりとか、そういう形で機能強化していくということもあろうかと思いますので、その辺りの中間組織的な支援のありようというものを是非検討していただきたいと考えます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では、若江委員、お願いいたします。

【若江委員】 ありがとうございます。
 今の貞広委員のお話ももっともでございます。私、それ以前に教育長の役割というのが本当に重要で、教育行政において、やはり教育長のマネジメント力が今、大きく影響してきているところだと思うんです。
 ただ、現実的にいろんなところを拝見しておりますと、小規模自治体になればなるほど、3期、4期と長い御経験の教育長がおられ、今新しく教育DXだとかいろんなものに対して対応が遅れ気味ではないかと。
 ですので、教育長そのものがやはり教育行政をリードしていく存在として常に学び続けて変革をリードできる存在でなくてはならないにもかかわらず、首長が任命をして、そのままその方がその役割を担っていく、しかも担い続けていくというような傾向が大きく、今、影響しているのではないかなと思いますので、任命の在り方というのまでは遡れないでしょうが、教育長の研修の仕方であるとか、なった以上は最低ここは目指していただきたいみたいなところを何か提示していかないと、教育長の資質がその地域の教育行政の遅れにつながっていきはしないかと、そういう危惧を感じておりますのでそのことを意見として述べさせていただきたいと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 それでは、この後ですが、細田委員と今村委員が手を挙げていらっしゃいますので、今村委員までお願いしたいと思います。
 では、細田委員、どうぞ。

【細田委員】 よろしくお願いいたします。さいたま市教育長の細田眞由美でございます。2点ございます。
 首長部局との連携の件につきましてですが、首長部局との連携という観点ですと、ややもすると、福祉部局や子供関係局、本市ですと子ども未来局のような部局との連携がクローズアップされるきらいがあるんですけれども、もう一つ、財政部局との連携が非常に重要だなと自分自身考えておりまして、この観点が一つ加わるといいなと思っております。
 2点目は、教育行政職員、教育委員会の事務局の職員でございますが、ここにもございますように、学校出身の指導主事や管理主事と、それから、行政職員のそれぞれのバックグラウンドを持っている教育委員会事務局の職員が協働しながら教育委員会事務局を運営しているんですけれども、行政職員の異動といいますか、任用ですが、これは自治体によっても違うのかもしれないんですけれども、一般的にはジェネラリストを育成するということで様々、教育委員会に来る前は福祉にいましたとか、あるいは区役所の窓口にいましたとか、そういう方々もおいでになるんですが、教育行政職員の専門性を高めるということが非常に重要だと思っております。
 教育行政職員の専門性を求めるという観点から、教育行政のスペシャリストの育成というか、例えば採用の時点からそういった観点がもし加味されるとすると、教育委員会事務局の質的な向上、機能性というのは非常に期待できるのではないかと考えております。
 以上2点です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】 今村です。発言させていただきます。
 先ほど若江先生がおっしゃった観点、教育長の資質や能力がその地域の教育の遅れになっているんじゃないかとはっきりお話になった点は、実はとても多くのところで起きているということを、今回、こうやってこの会議ができたことで直視できるのではないかとすごく期待をしています。
 私としては、特に深めていただきたい論点としてはこの3番の小規模自治体への対応というところです。
 いろんなところで、よく出てくる数字ですが、これだけ不登校の子供たちが増えているけれども、不登校の支援施策である教育支援センターや適応指導教室を何らか設置している自治体は6割であると。これは、やっぱり子供の該当人数が少なくて本当にそういった子供が出現するかどうか分からない自治体ではそこにリソースが割けない、財政的に割けないという現実があるということだと思うんですけれども、これに対してもうGIGA端末前提時代にどこまで本当に自治体ごとの判断に任せるべきなのか、国としてどこが設置していないのか、国が努力義務として下ろしている政策を果たしていないところはもう見えているわけですので、国なり県なりがどういうふうに介入すれば、その教育長さんが、例えば財政面でうまく予算取りができない方であっても子供たちには機会が届いているという状態を作るにはどうしたらいいか、どこまで任せるべきなのか、どういう支援があるのかというところを含めて是非、御検討いただきたいなと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは、この件、今の今村委員までの御発言ということで一旦とどめさせていただきたいと思います。
 この後、水田課長から今出ました御意見についてコメントをいただきたいと思うんですけれども、この会議が令和の日本型学校教育の構築を目指してという昨年1月26日の答申を受けて、最後、98ページでしたか、92ページでしたか、に書かれていた件を専一にやっていこうとする会議であるということでありますので、皆さんも当然御承知のことでありますけれども、思い出していただきますと、答申のはじめにのところに、一人一人の子供が主語になる学校教育を実現していくのだということがうたわれています。
 一人一人の子供が主語になるということをどう理解するかということでありますけれども、私、この答申に関わってずっと思っていましたのは、一人一人の子供があの答申に書いてあった、しかも新学習指導要領に基づいた学校教育を進めていく上で、子供が学び、学び合う学校をつくっていくと、そういうことが非常に大事であろうと思っております。それを作るためには、教職員が学び、学び合うということが大変重要であると思います。
 ここで教育委員会の機能強化・活性化のための方策というのが1番目に書かれていますが、これは教育委員会関係者の方には大変失礼な言い方になるかもしれませんが、間違ってもこの機能強化・活性化というのが教育委員会の独り舞台にならないようにという、言葉は不適切かもしれませんが、その点はもう我々が共通認識として持っているところかと思います。
 最後におっしゃった今村委員の御発言も、正に子供に視点を置いてということのお話であったかと思います。
 そういったことを確認した上で水田課長からコメントを頂戴したいと思います。

【水田初等中等教育企画課長】 先生方、いろいろ御指摘、御意見いただきましてありがとうございます。
 正にこの会議始まったばかりですので、今の御指摘につきまして全て念頭に置いた上で御議論いただければと考えております。
 特に多かったのが、やはり首長部局との連携の話、それから、小規模自治体への対応というところかと思います。いずれも、ここに福祉部局、児童福祉行政というのを代表で書いておりますけれども、当然、保健衛生部局ですとか財政部局というものも念頭に置いておりまして、既にこれまでの発表の中でも出てきているところでございますので、いかにしてそういったことをやって、ただ単に連携しているというだけでは多分聞いて終わりになってしまいますので、どういう工夫をしたらそれがうまくいくのかと、そういったところも掘り下げて、今いろいろ質疑応答などでも出ているところですので、そういったところを御議論していただければと考えているところでございます。
 小規模自治体との関係でも、広域行政、あるいは県教委と市教委の関係、正にここは先週第2回でも随分議論になったところでございまして、県教委の立場からすると、あるいは市教委の立場から、本当はそれぞれ独自性を出していただきたいと思いつつも、ただ、県としてもある程度統一の取れたといいますか、最低限の共通の点が欲しいという中のせめぎ合いみたいなところがある中で、どこまでどういった工夫が可能なのかというところも今後議論を深めていただきたいと思っております。
 教育長の役割につきましても、今、先進的な取組を行っていただいています教育長さんにも随分委員の中に入っていただいておりますので、その方だからこそというところはもちろんあると思うんですけれども、どんな方でもこういったところに気をつければ共通してある程度取組が進むんじゃないかと、そういうことで何か取組のコツみたいなものを御伝授いただければと考えているところでございます。
 職員のことにつきましても、既に独自に専門の行政官を採用していたりとか、採用した後に大学院に研修で派遣したりとか、そういう例も挙がってもいるところでございますので、これを今後さらに様々な事例なども収集しながら、どんな取組があり得るのかというところを整理していければと思います。
 あと今後もまた折に触れ、是非御報告させていただきたいと思っておりますので、皆様からさらに御意見をいただければ議論の中に反映していきたいと考えているところでございます。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御指摘いただいた皆さん、よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の4でございます。コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議、最終まとめについてということでございます。このたび、今後のコミュニティ・スクールに関する在り方や取組の方向性が整理されたとのことですので、御説明をお願いしたいと思います。郷家地域学習推進課地域学校協働活動推進室長から御説明いただきます。

【郷家地域学校協働活動推進室長】 資料4を見ていただければと思います。地域学習推進課の郷家と申します。よろしくお願いします。
 これは1枚紙で、本体はこの後ろについておりますので、適宜御覧いただければと思いますけども、コミュニティ・スクールの在り方に関する検討会議は、平成29年の地教行法の改正法の附則におきまして、一番上のところですけど、施行後5年を目途として学校運営協議会の活動の充実・設置の促進を図る観点から、学校運営協議会の在り方について検討を加えることとされておりまして、必要に応じて所要の措置を講ずるとなっておりました。
 昨年の4月に、これを受けまして、松田恵示東京学芸大学理事・副学長を座長としまして、検討会議を設置し、10回にわたって御議論いただきまして、本日付でこれを公表させていただいたというものでございます。
 簡単に概要を説明させていただければと思います。
 まず、1、コミュニティ・スクールに関する現状と成果と課題のところでございます。委員の皆様方も御案内と思いますけれども、コミュニティ・スクールは、保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みとして、平成16年の地教行法改正で制度化されまして、今年度で17年目を迎えます。平成29年、地教行法改正によりまして、学校運営協議会の設置が各教育委員会の努力義務とされました。これによりまして、コミュニティ・スクールの導入数は飛躍的に増加をしております。
 右側の表を見ていただければと思います。平成17年当時は17校でしたけども、約10年で1,919校という形になっています。この29年の法改正以降、この10年間かけて2,000校に達したんですけど、毎年2,000校増加していると。さらにこの幅が大きくなってきているという状況でございます。令和3年の5月時点で1万1,856校、全国の公立学校の33.3%が導入をしているところでございます。これはこの検討会の中では、この努力義務という規定が成果を上げたと判断をしているところでございます。
 それで、コミュニティ・スクールの成果としまして、学校と地域が目標や課題を共有しまして、学校・家庭・地域のそれぞれの役割の中で、自らが行うこととか、あるいは連携・協働して行うことを明らかにしていくということで、社会に開かれた教育課程の実現に向けた教育課程の改善や充実、あるいは特色ある学校づくり、学校における働き方改革等、学校運営に大きな効果が見られていると。さらには今度のコロナ禍においても、学校運営の重要性が一層認識をされているということでございます。
 ただ、課題ももちろんございまして、課題につきましては、コミュニティ・スクールの導入が全学校種で100%の県もございますけれども、全く導入していないという自治体まで差が大きくなっているという状況がございます。あるいは、小中学校は進んでいるんですけども、高等学校や特別支援学校の導入が少し遅れているということがございますので、あと、1万校まで増えてきましたけども、そういう中で十分な協議がなされないで形式的な学校運営協議会になっているというような形骸化の指摘もございました。
 こうした現状と課題を受けまして、これからのコミュニティ・スクールの在り方ということで、3番のところに書かせていただいております。
 現行の制度、これは学校運営の基本方針の承認等、3つの権限ということで、1つは学校運営に関する基本的な方針を承認すること、2つ目が学校運営について教育委員会または校長に意見を述べること、3つ目としまして、教職員の任用に関し教育委員会に意見を述べること、この3つの権限が制度当初からあるんですけども、これについてや、あるいは先ほど申しましたけども、コミュニティ・スクールの教育委員会の導入の努力義務につきましては、この導入の伸び率が高いということと、あと成果が上がっているということで、特段の改正をする必要性はないのではないかというようなまとめ方をしております。
 さらには、導入促進上の課題とか運営上の課題につきましては、例えば学校評議員との、混同しているとか、あるいは学校の支援活動そのものというふうに捉えていて、学校運営に参画するものというふうに捉えていないというような、そういう混同なり、混乱があると。あるいは報告事項を中心に協議会を行っておりまして、協議をしていないというような形式的な会議に陥っているという課題もございます。
 そういうことにつきましては、関係者のさらなる理解促進ということで、十分な説明が必要ではないかと言われているところでございます。その上で、これからのコミュニティ・スクールの在り方としまして、囲みの中でございます。
 関係者の十分な理解と相互の信頼関係の中で、教育長のリーダーシップの下、教育委員会が主体的・計画的に全ての学校へのコミュニティ・スクールの導入を加速し、国はその取組を支援、地域との連携・協働により対話と信頼に基づく学校運営を実現という形でまとめさせていただいております。
 取組の方向性としまして、その下に3つほど挙げております。1つは量的な拡大、コミュニティ・スクールの導入促進でございます。まだ導入率が33.3%ですので、この導入の促進をしていくということで、具体的には教育委員会による導入計画の策定ということで、これは導入については努力義務を図っておりますので、その計画を策定していただくという努力をしていただこうと思っております。
 あるいは、類似の仕組みと言われている学校評議員とか、それに類するような仕組みを行っている自治体につきましては、粘り強く説明をして段階的な移行を促進していくというようなことでございます。
 (2)番としまして質的向上の話でございます。これにつきましては、学校と地域をつなぐ総合的な企画調整役を担う地域学校協働活動推進員の配置促進、機能強化を掲げております。また、今後は市教委のほうでも導入促進が進んでいくと思います、あるいは質の充実を含めていくためには、県教育委員会のほうにアドバイザーの配置をしていただきまして、そこから所管の学校や域内市教委に助言をしていく、そういう伴走支援体制を構築していただくということでございます。
 最後に(3)番でございますけども、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進ということで、コミュニティ・スクールで決定されたことを具体的に学校支援につなげていくということで、活動との一体的な推進という取組をより一層進めてほしいということでございます。
 4番目、最後でございますけども、コミュニティ・スクール推進のための国の方策ということで、先ほどの3番のところは、自治体を含めた取組の方向性でございましたけども、それを受けまして、国の支援方策としては、このような形のものがまとめられているところでございます。
 最初の丸が教育委員会の主体的・計画的な取組活動への支援ということで、地域学校協働活動推進員の配置促進のための支援、あるいは教育活動充実のための支援でございます。
 2番目の丸でございますけども、都道府県の教育委員会等が伴走支援体制を構築しやすいような、アドバイザーの配置促進の支援とか、文科省が優れた実践者を委嘱しておりますけども、CSマイスターを派遣して、プッシュ型の支援をしていくというようなことでございます。
 そして最後は、コミュティスクールに関わる関係者の理解促進ということで、先ほども話がありましたけども、教育長、とりわけ首長さんの理解促進も図っていく必要性があるということでございます。あるいは全国フォーラムや広報の実施、あるいはコミュニティ・スクールの実態把握等ということでございます。
 検討会議におきましては、この最終まとめを受けまして、このコミュニティ・スクールの導入を加速して、学校運営の改善に資するものとなるよう、推進方策の着実な実施ということをお願いされておりますので、文部科学省としましても、このいただいた具体的な取組や手段を受け止めまして、順次、実施に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見を頂戴したいと思います。
 では戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会、戸ヶ﨑でございます。
 制度開始から17年が経過し、コミュニティ・スクールの意義や必要性が徐々に理解されつつあり、特に平成30年度以降の設置学校数の増加は大変顕著であり、大いに評価できると思います。
 今後の導入の学校数の増加に当たって、自治体内に学校運営協議会を設置している学校がない自治体にあっては、教育委員会向けの設置モデル、いうなれば先進地域のフェーズなどについての情報を提供するということも必要ではないかと考えます。
 その中には、例えば学校と地域との連携がもともと強く、コミュニティ・スクールとしての機能を既に有しているところとか、学校運営協議会制度を導入していない自治体もあれば、一方で学校運営協議会制度を導入したいがマンパワーが足らない、またノウハウが分からないという自治体もあるのではないかと思われます。
 設置率を上げることにばかり目を奪われていると、設置後の活性化が危惧されます。大切なことは、導入を妨げている要因に応じて、取るべき対応策が異なることから、要因に応じた対策を見つけていくことが重要になるのではないかと思っています。
 また、資料の16ページに、「全国における導入数は着実に増加しているが、導入していない教育委員会も少なからずある」とありますが、一方で自治体内の一部の学校のみの導入にとどまり、全校導入には至っていない自治体も一定数あります。資料を見てみると、ある県においては、市町村立学校の導入率は12.4%である一方で、県内の市町村の導入率はもう既に90.5%と、大きな開きがあるという自治体もございます。
 そういった自治体の教育委員会においては、コミュニティ・スクールの必要性や有用性は理解しているものの、全校導入に至らない何かしらの理由があると推察されるのではないかと思います。
 今後、そういった理由を深掘りし、必要な支援を行っていくべきではないかと考えます。そのことが、導入しても活性化していない自治体や学校への支援にもつながる可能性もあるのではないかと思います。
 さらに、コミュニティ・スクールと地域連携を図っていくためには、教育委員会内だけではなくて、町会や自治会を所掌している担当部局と積極的に連携する必要があります。そのためには、先ほどもありましたが、市長部局との共通理解も必要であって、教育長だけでなく、首長のリーダーシップも今後必要になるのではないかと思っています。
 なお、本市も含めてですが、コミュニティ・スクールの活性化に向けての今後の大きな課題は、「コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティ」、これを実現することと、「地域課題と学校課題の往還の実現」だと感じています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では、この後ですが、渡辺弘司委員、清原委員、若江委員、そして細田委員の順でお願いいたします。渡辺弘司委員、お願いいたします。

【渡辺(弘)委員】 渡辺でございます。このコミュニティ・スクールの在り方、運営に関してはまず賛成でございます。私も大変いいことだと思います。ちなみに私の所属している県では、県立は全て設置されておりますし、2市町では、全ての小中学校が設置されているところであります。
 ただ危惧する点が多少ございます。コミュニティ・スクールは学校評議員制度と異なりまして、一定の範囲で法的な効果を有する合議体と考えられます。そのため、学校運営協議会を構成するメンバーが非常に重要だろうと思うわけです。構成する学識経験者や、校長先生など、教育委員会が推薦する人材が豊富で、ある程度選択肢があるところは問題ないと思うんですけれども、そうじゃないところ、例えば人材が限られて運営が困難なところとか、長くずっとおられるところでは、校長先生の活動に支障を来すようなことが生じないかということを多少危惧するところであります。
 それゆえ、教育委員会の方が100%を目指しておられるのはよく分かるんですけども、学校保健委員会と学校安全委員会のように、全ての学校に設置をするというのではなく、地域性を鑑みて対処するという選択肢を残していただけるほうがよろしいのではないかと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では清原委員、お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。清原です。
 コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議の最終まとめ案の御説明をいただきまして、ありがとうございます。副題に示されております、「学校と地域が協働する新しい時代の学びの日常に向けた対話と信頼に基づく学校運営の実現」という言葉に、報告書で提起されたい趣旨が凝縮されているように受け止めました。
 すなわち、「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進によって、地域と共にある学校づくり、学校を核とした地域づくりを進め、未来を担う子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現を」ということです。これは先ほど戸ヶ﨑委員も、「コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへ」という言葉で表現されたことに重なると思っています。
 すなわち、もちろん教育の大事な主人公である児童生徒一人ひとりを大切にするために、学校という現場が充実したものにならなければいけませんけれども、その学校を充実した環境とするために、地域全体がこぞって学校の取組の健全さを応援していく、支えていくという趣旨を改めて今回の報告書で示していただいたように思います。
 加えて私は、コミュニティ・スクールの在り方については、中央教育審議会において先頃諮問されました、「次期教育振興基本計画の策定について」と密接に関連してくるのではないかと、このように位置づけ、受け止めているところでございます。と申しますのも、私は、三鷹市長に就任した平成15年度、2003年度から教育委員の皆様、教育委員会と準備を始めて、平成18年度、2006年度から、まず中学校1校、小学校2校による「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を導入した経験があります。
 その実践の経験から得ているコミュニティ・スクールの意義を認識するとともに、今回のこの報告書、また提言を踏まえまして、コミュニティ・スクールというのは学校教育の充実を図るだけではなくて、学校教育と生涯教育・社会教育の両方に係る重要な取組であると位置づけ、だからこそ今後の計画における拡充も極めて重要であると認識しています。
 この点について、報告書の24ページ以降の「コミュニティ・スクール推進のための国の方策」に、その点が随所に明記されていると受け止めました。例えばこの25ページ、地域との連携・協働による教育活動の充実のための支援の項目の2つ目の〇に、このように書かれています。「このため国は、これらのコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取組の充実を図るため、地域学校協働活動推進員の配置促進や地域学校協働活動の支援の充実を図る必要がある。支援の充実を図る際には、地域学校協働活動は参画する保護者や地域住民等の生涯学習・社会教育の場でもあり、当事者意識や参画意識を高め、コミュニティづくりにも資するものであるため、その趣旨を十分に踏まえた支援を行うことが必要である」と。
 すなわち、学校をコミュニティ・スクールとすることによって、保護者や地域の皆さんも学びのきっかけを得て、共に学び合うということを実現する場にコミュニティ・スクールがなっていくということです。したがって、25ページの下には、「学校を核とした地域づくりの推進」ということも明確にうたわれています。教育委員会内はもとより、地域づくりや福祉等の幅広い関係部局と連携・協働する必要があると書かれています。
 これらはいちいち挙げませんけれども、要するにコミュニティ・スクールと地域学校協働活動において中核的な役割を担う地域学校協働活動推進員につきましても、25ページには、「社会教育士制度の活用についての検討」まで触れていただいています。すなわち、この間、学校教育と生涯学習・社会教育の垣根を越えてきたのがこの地域学校協働活動であったと思いますけれども、児童生徒の教育の充実、一人ひとりが生かされるために、保護者が、教員や、また地域の皆様といかに連携していくかという、そのことがこの報告書に明記されていることを心強く思います。
 最後に、3点目でございますが、26ページに、「教育長・首長の理解促進」ということが明確に書かれております。コミュニティ・スクールは、学校運営の課題解決のみならず、地域課題の解決にも資するといえますが、そうであるならば、教育委員会を中心として、教育長だけではなくて首長の理解と正しい取組が必要です。地域の実情に応じて、正に市長部局と教育委員会が総合教育会議の取組を生かしながら、コミュニティ・スクールを通して学校の充実と地域のまちづくりの充実を、絶対「二兎を追う者は一兎をも得ず」にはなってはいけないんですが、それぞれの相互作用によって高めていくということが重要だと思います。
 結びに、先ほど御報告がありましたように、私は戸ヶ﨑委員、岩本委員、吉田委員と共に、「令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議」の審議にも加わらせていただいています。その際、もちろん教育委員会と市長部局の公正で対等で望ましい連携というのは課題になっておりますけれども、コミュニティ・スクールの在り方が提起しているのも、今後の教育の在り方において学校教育及び生涯学習・社会教育に係る教育行政と首長部局の適切な連携になってくると思います。
 初等中等教育分科会での議論の充実とともに、是非調査研究協力者会議でも、コミュニティ・スクールを重要な取組として位置づけた検討ができればと思っています。
 ついては、先ほど渡辺弘司委員がおっしゃいました、学校運営協議会の委員の在り方についてもさらに問われてくると思いますので、コミュニティ・スクールをきっかけとして、より子供たちを中心に、公正・中立で望ましい教育行政の在り方を、諮問されている内容も踏まえながら検討していくことが重要と考えています。いずれにしましても、重要な報告書をお取りまとめいただきまして、感謝申し上げます。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。清原委員もおっしゃいましたけれども、調査研究協力者会議でも、どうぞ議論を深めていただきますようによろしくお願いいたします。
 それでは若江委員、お願いいたします。

【若江委員】 ありがとうございます。キャリアリンクの若江でございます。幾つかの学校運営協議会ですとかのメンバーに参加をさせていただいている立場から、実例等をお話ししたいと思います。
 令和の日本型教育実践のためには、このコミュニティ・スクールの仕組みというのはなくてはならないものだということはもうはっきりとしてきたわけで、今日御報告をいただきましたように、33%の普及率となってきただけに、今から量の拡大ではなくて質的向上というのがとても重要になっていると思います。
 御説明にもありましたように、3のところの地域学校協働活動との一体的推進、つまりはこの現場でこの活動を支えてくださっている、学校応援団ですとか地域コーディネーターの方ですとか地域ボランティアの方々、この方々があってこそ機能するはずです。そのためにも、逆に言うと、学校運営協議会で決まったことが、この活動本部の中に下りてきて何かの活動が行われるというよりも、既に現場で動いていることの声が上がっていきながら、さらにより良い方向に学校が変わっていくという、そんなものでなければ、つくられたものが制度に終わってしまって、いい形で生きていく風土には変わっていかないと思うんです。
 そのためにも、例にも、課題のところにも挙がっておりましたが、学校運営協議会の人選というのがすごく重要になってきますというふうにもなっていました。多くのケースは、コミュニティ・スクールですから地域の地縁団体の長、町会と連合会の会長さんとか、そういった方々が必ずと言っていいほど参画をされるはずです。でも、一番の言わば引っかかりなるのは、そういう地域の過去を知っていて未来に目を向けていない方々がこのブレーキになることが多いので、その改善策として、先ほど清原委員もおっしゃっていたように、学校教育と社会教育、要するに生涯学習のうまい連携が不可欠だと。
 一つの事例で、静岡市さんが実はもうコミュニティ・スクールを全校に配置するに当たって、計画的に7年前から、学校をつないでいくコーディネーター養成講座というのを市民講座で開催しておられます。そこには、その地域の支援団体であるとか、保護者の方であるとか、いろんな方々が参画をしながら、まずはその市がどんな教育に向かおうとしていて、そのために自分たち市民が何をしていかなきゃいけないのか、みたいなところを題材として学び始める。その学んだことを生かしていく場としてコミュニティ・スクールという場があるんですよ、地域学校協働本部というのがあるんですよ、というような、そんな展開をしておられます。
 ですので、量を拡大していく、質を向上させていくに当たっては、社会教育・生涯学習との連携というのがとても重要だと思いますので、そういった事例をもっともっと多く共有していただくのも一つの方策ではないかと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では細田委員、お願いいたします。

【細田委員】 細田でございます。よろしくお願いいたします。皆様の意見など大変参考になります。ありがとうございます。
 さいたま市の取組についてお話をさせていただきたいのですが、さいたま市は、平成30年度から令和4年度に向けてコミュニティ・スクールの全校168校導入を目指し計画的に取組んでまいりました。令和3年度におきましては、小中高、特別支援学校、合わせて51校のコミュニティ・スクール、学校運営協議会設置校があります。
 それで本年度、これが果たして、そのコミュニティ・スクールが学校運営に機能しているかどうかということを、少しファクトとして、把握したいと思いまして、コミュニティ・スクール、学校運営協議会設置校と、それからまだ準備校の段階の学校にアンケート調査をいたしました。
 その結果、非常にうれしいアンケート結果が出まして、それは、子供がどう変わるか、子供にどう、良い影響を与えるかという、いわゆるインパクト評価のところに当たると思うんですが、子供たちに、安心・安全な環境で楽しく学校生活を送っていますか、多くの大人に見守られて、安心・安全な環境で楽しい日常生活を送っていますか、という項目において実施校が確実に有意な結果が出ました。
 つまり、子供たちが多くの大人に見守られていることで、非常に有意義な学校生活を送っているという、そういう結果が出まして、コミュニティ・スクールが子供たちへの良いインパクトを与えているということを把握できて、大変心強くうれしく思いました。
 そこで、多くの委員の皆様がおっしゃっているように、今、全国の公立学校の33.3%が導入を果たしていて、そして、これをさらに量的な拡大も図っていくことは大変重要ですけれども、それ以上に質的な向上を図っていくということは、これからの大きな課題だと思います。と申しますのは、本市もただいま51校、そして令和4年度に全校実施ですので、168校が学校運営協議会設置校になるわけですけれども、やはり取組にはばらつきがあります。ですから、質的な向上がこれからの課題だと思っておりまして。
 そうなりますと、この最終まとめの概要にあります、4ポツのコミュニティ・スクール推進のための国の方策の中の、この3つの丸、それぞれの自治体の教育委員会の支援や伴走や理解の促進が非常に重要になってくると、本市の実態を見ても感じております。その際に、戸ヶ﨑委員や清原委員がおっしゃっていた、最終まとめにもありますような「コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへ」という、その最終のゴールの形ですが、これが、各学校がなかなか一足飛びにそのゴールをイメージすることが難しいという実態がございます。
 それで私どもは、その羅針盤となるコミュニティ・スクールの成長モデルを、数年の時間をかけてつくり上げました。この成長モデルを示すことによって、始動ステージから、信頼形成ステージ、成長進行ステージ、成熟ステージ、そして進化・発展へと成長し、この進化・発展のところが「コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへ」とつながっていくんですが、自分たちの学校が今どのステージにいるかということを常に見ながら、それを学校運営協議会の中で熟議をしていくというために非常に有効な成長モデルを示すことができたこと、これは教育委員会の支援と伴走として大変有意義だったと思います。
 2点目が、意見書の扱いです。既に平成30年度から実施できている導入の早かった学校から意見書が出てきます。この意見書の取扱いについて、実はこれが明確になっていない。ですから、意見書をどうやって教育委員会が受け止め、そしてそれをどう具現化していくかという扱いについて実際に先行している学校は興味を持っているというか、はっきりさせてほしいという意見がたくさんありました。
 学校運営協議会で熟議をして、その結果出てくる意見書が丁寧に扱われるということをしっかりお示しすることも、支援や理解の促進につながっていくと思いますので、さいたま市教育委員会としては、成長モデルをしっかり示し、そして意見書の扱いについても明確に学校に下ろしていって、学校運営協議会のメンバーの方が、これがしっかり取り上げられて、実現するんだということをご理解いただいております。これは2点、大変有効な活動であると、教育委員会の支援であると実感しております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、この件はここまでとさせていただきます。
 今、様々な御指摘がありました。課題もおっしゃっていただいたところであります。郷家室長、コメントがございましたらお願いいたします。

【郷家地域学校協働活動推進室長】 ありがとうございます。しっかり本文のほうまで御覧いただきまして、正確に方向性について委員の方々が御理解いただいていることがよく分かりました。ありがとうございます。
 何点かコメントさせていただきますけれども、今回の在り方検討会の中では、特に都道府県の教育委員会が主体的になって、市教委に対して伴走的に支援をしていくというような方向性を出しております。これまで国と直接市教委に対してマイスターが行くとか、そういう関係だったんですけども、まずは県にしっかり推進体制をつくってもらうと。そうすると、まだ導入してないところについては、そこから事例をしたりコンサル的なことを行うと。そのためのアドバイザーの設置とか研修の支援につきまして、予算の措置も国のほうで今回政府案として出しているところでございます。
 ほかにも清原委員からも副題についてありました。この学校運営協議会につきましては、地域連携活動がメインだと捉えられることもあるんですけど、この副題の中では、学校運営の実現ということで、委員の方々はその学校運営に校長と一緒に参画をするというところに趣旨がございます。そういう意味でこういう副題にしておりますし、そのときには対話と信頼に基づいて、同じ方向を向いて協働して学校運営に参画していくと、そういう委員の思いがここに入っているところでございます。
 とりわけ教育課程に資するものであるというところを強く言うということで、新しい時代の学びということで、これは令和の答申にも方向性が同じになっているのではないかと思っております。
 その上で、学校教育の学校運営に関わるのみならず、地域のコミュニティの再生等にもつながっていくという面で、ここは先んじている自治体も結構あるんですけども、そうでない自治体も結構ありまして、それを見て少しびっくりされるところが、なかなかついていけないというような自治体もあると聞いておりますので、まずは学校運営をしっかりやっていく上で、さらにそこから自治体に応じて学校を核とした地域づくりというふうにつなげていければというようなまとめ方にしているところでございます。
 最後に委員の人選について結構いろんな御意見がありました。確かに地域の中で委員がなかなか、どういうふうに人選をすればいいかという声がたくさんございます。これは課題ですけど、今回我々の中では、地域学校協働活動推進員を置くようにと言っておりますので、地域のことが一番分かっているコーディネーターでありますので、活用していただきながら、当事者となる人選をしていただければという方向性でまとめているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では続きまして、最後の議題に移りたいと思います。議題5は、高校の新学習指導要領スタートを契機とするこれからの高校教育についてでございます。来年度から始まる高校の新学習指導要領を契機として高校教育が新たなスタートを切ることとなりますが、本日はその内容につきまして、田中参事官から御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

【田中参事官】 初等中等教育局参事官の田中です。資料5を御覧ください。
 令和4年度は、新学習指導要領の実施、昨年1月の中教審答申で御提言いただいた各種制度改革の実施、成年年齢の18歳への引下げなど、高校教育にとって大きな節目となる年ですので、4月からの来年度が目前に迫ったこの機会に改めて関係事項を御説明申し上げます。5分程度で駆け足になってしまい恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 まず1ページ目を御覧ください。今ほど申し上げましたとおり、来年度から、新学習指導要領が年次進行で実施されます。委員の皆様も御案内のとおり、新学習指導要領では、この資料の上の部分ですが、育成すべき資質・能力について、全ての教科等について3つの柱で再整理するとともに、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立などを求めています。
 2ページ目を御覧ください。新学習指導要領では、現代の国語、公共、情報Ⅰなど、教科・科目構成の見直しを行っているところです。
 3ページ目を御覧ください。この4月に入学する高校1年生、つまり今の中学校3年生ですけれども、GIGAスクール構想により配備された端末で既に学んでおります。新学習指導要領を着実に実施し、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するために、また、現在のコロナ禍のような感染症の拡大時や災害時にあっても学びをとめないためにも、高校においても1人1台端末環境を整備することが重要です。
 このため文部科学省では、高校における取組を促進してまいりました。本年1月には、文部科学大臣とデジタル大臣との連名によるメッセージを発信しております。こうした中、関係者の御尽力によりまして、来年度中に全国の公立の高等学校におきまして、高校1年生の1人1台端末環境が整う見込みとなりました。また、令和6年度までに全学年の端末の環境整備が完了予定です。文部科学省としては、今後、高校の授業などで端末がマストアイテムとして利活用されるよう支援を行ってまいります。
 4ページ目を御覧ください。高校生の学習意欲を喚起し、その可能性や能力を最大限に伸長するため、各高校の特色化・魅力化が重要です。このため、昨年1月の中教審答申を踏まえまして、来年度より、各学校がスクールポリシーを策定・公表することとしております。また、普通教育を主とする学科として、従来の普通科以外に、学際領域に関する学科、地域社会に関する学科などを設置することが可能となります。
 次、6ページ目を御覧いただければと思います。高校が社会に開かれた教育課程の実現を支援し、新時代に対応した高校教育改革を推進するため、文部科学省では、ここにございますような、WWL、SSH、マイスターハイスクール事業、こういった各種事業を引き続き推進するとともに、来年度より普通科改革の推進をはじめとする、新時代に対応した高等学校改革推進事業を新たに開始いたします。
 7ページ目を御覧ください。昨年1月の答申では、通信教育の質保証についても御提言をいただきまして、文部科学省として、必要な制度改正などを実施しまして、来年度から施行するところです。一方、通信制高校に通う生徒の学びを保証するという観点からは、解決すべき課題がまだ多いことから、調査研究協力者会議を新たに設置いたしまして、通信制課程の教育方法や学習支援体制の在り方、設置認可基準、所轄庁の在り方などについて、現在検討を行っていただいているところでございます。
 最後に、8ページ目を御覧ください。高等学校卒業程度認定審査制度の創設について御報告いたします。現在、大学の飛び入学者は、高校を中退して入学するため、入学後に大学を中退するなどの進路変更をする場合には、当該学生は高校卒業の扱いにはならない、こういった課題がございます。このため、中教審の答申や教育再生実行会議の提言を踏まえまして、大学への飛び入学者について、大学での一定の単位の修得状況を基に、高校卒業者と同等以上の学力を有するということを文部科学大臣が認定する制度を新たに創設したいと考えております。
 認定に際しては、高校では50単位以上、大学では16単位以上修得していることなどを条件とし、審査委員会において個別に審査を行う予定です。現在、当該制度の創設について、パブリックコメントを実施中であり、4月から関係法令を施行したいと考えております。
 以上、よろしくお願い申し上げます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。ただいま御説明いただきました内容、これは相当盛りだくさんな内容があるのでありますけれども、時間の関係で少し人数を制限した形で御発言をいただきたいと思います。岩本委員、それから。6人の方が手を挙げていらっしゃいますので、大変申し訳ありませんが、お一人1分あるかないかというぐらいの時間しかございませんが、よろしくお願いいたします。
 この件はまた今後議論は継続しなければならないと思っておりますけれども、御協力よろしくお願いいたします。では、岩本委員からお願いします。

【岩本委員】 ありがとうございます。1分ということですので、また後日資料なんかも共有させていただけたらと思いますが、ポイントは2つあります。
 先週公表させていただいたんですけども、島根県の全県立高校に3年間、生徒たちの変化・成長を見た調査研究の結果として、これからの高校教育改革を進めるに当たってのポイントみたいなのが見えましたので、それを、2点ほどポイントを紹介させていただけたらと思います。
 1点目は生徒の資質・能力の向上・育成に向けて、地域社会に開かれた学習環境、生徒の学びの土壌と呼んでいますけども、学習環境が非常に重要であるというところで、どれだけその地域社会の人や課題にじかに触れる機会があるかとか、多様な大人との出会いなどがあるかとか、こういったところの重要性というのが見えてきたということで、スクールポリシーやシラバスといった明示的なカリキュラムに加えて、いわゆるヒドゥン・カリキュラム、環境とか雰囲気だとか関係性、こういったところも含めたカリキュラム・マネジメントをしながら、高校教育改革を進めるというのが重要だというのが1点目です。
 2点目は、そうした地域社会に開かれた教育環境を充実させるために必要な、効果的な要素ということで見えてきたのが3点ほどありまして、1つ目が地域や社会とつなぐコーディネート人材の配置の有無というところ、2つ目が関係機関等との連携協働体制の有無、3つ目が生徒の多様性、どれだけ多様性がその中にあるかというようなところがこの学習環境を豊かにし、資質・能力を育む上で重要だというような点なんかは、エビデンスとともに見えてきましたので、また、そういったところも理念だけではなくて、エビデンスや事例と共にこの高校教育改革を進めていくということが重要かと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。井坂委員、小林委員、渡邉正樹委員、秋田委員、堀田委員の順でお願いをいたします。では井坂委員、お願いします。

【井坂委員】 神奈川県の柏陽高校の校長の井坂でございます。「高校の新学習指導要領のスタートを契機とするこれからの高校教育」とありますが、お時間もないので、スタートにつきましては、校長としては粛々と、今お示しのあった、1ページ2ページどおり、新学習指導要領に基づく教育指導を展開していくことを申し上げます。
 また、スクールビジョン及びスクールポリシーにつきましては、高校の特色づくりが言われてもう20年、30年が経つでしょうか。やっとこのような分かりやすい形ができたという思いです。校長の仕事として、学校経営者であるということも明確になり、「令和の日本型教育を担う…」の答申における校長のあり方としても、校長の仕事としても、組織的な学校運営を進める意味でも高校にとっては意味のある仕事となると思います。本校でも、既に策定し、策定にあたっては、本校も学校運営協議会がございまして、その委員の方々ともやり取りして、策定しました。今月中には本校のホームページにアップしますので、先生方、もしよろしければ、柏陽高校のスクールミッション等を御覧いただきたいと思います。
 次に、通信教育につきましては、本県でもずっと全日制進学率の向上が一つの大きな教育施策だったわけです。一方、現在は、通信制であることが実は中学生の高校選びのファクターになっております。そのような中、通信制の教育の充実を図ることは大切なことであり、一方、このスクールミッション、スクールポリシーが明確にされればされるほど、高校の課程ごとの特色、学校ごとの特色が明確になり、同時にそのことは、中学生にとって、高校選びが非常に大きな意味を持っていくことと思います。
 また、この間の中教審の総会のほうでは次期教育振興計画の策定について諮問されましたが、その中で3回繰り返されている言葉としては、「幼児教育、義務教育の基礎の上に高等学校、大学、専門学校、大学院まで、全体が連続性・一貫性を持ち、社会のニーズに応えること」とあるわけです。幼保と小学校の話もありましたけども、今後、荒瀬先生がおっしゃったように、新たな教育をつくっていく、という我々の立場と同時に、受け入れられる子供たち、中学生の目で見た場合に、学校選びの際にその高校の特色がどこまで伝わっているのかということが大事だと思います。
 現在でも、ミスマッチというのでしょうか、十分に、高校の学びの特色を理解しないままに入学してしまった生徒も少なくありません。そんな意味では中学校の、この後、小林先生がお話しになりますけども、中学生の先生にとっても、高校の先生にとっても、十分にガイダンス機能が機能していることが重要であり、中学の先生にとっては、進路指導において、大変苦労されるのではないかと思います。今キャリア・パスポートを文科省が推進していますが、その活用を含めて、中学の先生がガイダンス機能をより発揮しやすい環境づくり、勿論、高校の方でも努力すべきことですが、一層ソフトの部分において中学と高校が連携するような仕組みづくりが必要かと思っています。もちろん高校としても、学校説明会等で頑張っていきたいと思っています。
 もう1点お願いします。これはずっと申し上げていますけども、今後の学習指導要領の教育内容の主な改善事項は、今回資料で記載されていますが、その中には余り強く書かれていませんが、私は学校行事というものがコロナを通していかに大事であるか思っております。これにつきましては、繰り返しますが、今回の改善事項では学校行事を特記していませんが、改めて初中局のほうでも指導していただくとともに、現場でも大事にし、指導の工夫を進めていきたいと思っています。そのような認識を持っていただきたいと思います。 早口で失礼しました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では小林委員、お願いいたします。

【小林委員】 お願いします。至民中学校の小林です。今、井坂校長先生がおっしゃられましたように、小中高を通しての連携が非常に大事だと思っておりまして、最初のページにありましたように、小学校が昨年度、中学校は今年から、高校は来年度からということで指導要領が実施されますが、今回は特に評価に関して、資質・能力に合わせて3観点を設けるということで、小中高を通しての、同じ観点でということでございます。
 今年度、中学校の入学試験の際に、調査書にその3観点での評価を記載したところ、高校のほうになかなか理解されず、その説明に大変苦労いたしました。指導と評価の一体化と言われますけれど、評価が変わると授業の在り方も変わると思いますので、是非、つながりを考慮して、教員向けの評価に関する、小中高合わせた教員向けの研修等もまた考えていただけるといいかと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。小林先生一つ質問です。それは福井県立高校ですか。

【小林委員】 そうです。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。では渡邉正樹委員、お願いいたします。

【渡邉(正)委員】 私からは普通科改革のことについてだけお話しさせていただきます。
 地域や関係機関との連携・協力体制に基づく学科ということで、これは非常にすばらしいと思います。どちらかというと先駆的な取組としては、防災教育などは、もう既にそのようなことをやっているところも数多くありまして、私も防災教育チャレンジプランの審査をここ何年かやっているんですけど、そういう好事例が毎年出てきております。
 ただし、どちらかというと、行政機関との関係というのは比較的つくりやすいと思うんですが、気になるのが、例えば地域の産業界との関係、連携というところになりますと、うまくコンセンサスが得られるかどうかというところです。ですが、学科ですので、オプションではないので、授業の質をどう担保していくのかということが重要になるのかと思っています。
 例えば、以前の企業はよかったんだけど、何かこのところはあまりよくないということとか、そういうことがあってはいけないと思いますので、形だけの連携にならないような、そういう取組していただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。多様な子供のための通信制の検討が始まるということは大変喜ばしいことだと思っております。
 本日お伝えしたい1点は、新たな取組に大変期待をすると同時に、例えば6ページのSSHやWWLなど、これまでも行われてきたんですけれども、本当にそれが効果を持っているのか。実はCSTIのほうで、女子の理系選択比率が高校になって大きく減っていくこと、そして高等教育に行くときには、かなりジェンダー差が大きく生じているというような、ジェンダーの問題が、示されています。これまで一切、理系選択・文型選択等の高校の文理進路選択の問題が議論されてきておりません。
 しかしながら、今後どのような形でそうした課題も乗り越えていくのかというようなところも、新たな教科や新たな学校の普通科のいろんなビジョンもできてきて、望ましい方向だと思うんですけれども、どこかで、この文章の中には何も取り上げられていませんけれども、考えていくべき課題ではないかと思いましたので、一言発言させていただきました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは堀田委員、お願いいたします。

【堀田分科会長代理】 ありがとうございます。義務教育段階ではGIGAスクール構想によりまして、この令和3年度中に随分学びの姿が変わってきている様子を感じます。それは一言で言えば、学習指導要領の趣旨に対応した主体的・対話的で深い学びに向かっているという様子と、さらには令和答申に対応した個別最適な学びと協働的な学びが、端末とクラウドを用いることで一体的に行われ始めているという、そういうところがあります。
 各自の進路に向かって個性を自覚しながら高度で専門的な学びをしていく高校生が、より一層学び方が多様になっていく、そういう中で、ICT情報端末を1人1台持っていない形で学びをするというのは恐らく難しいのではないかと思います。
 そういう観点から、1人1台の情報端末を高校生に持ってもらうというのは、これは小中学校からの延長としての学びの道具であると同時に、社会に開かれた教育課程としては、オンラインをふんだんに活用することで、社会とつながり、よりオーセンティックな学びにしていただきたいということと。
 一方で、高校の専門性の観点から申し上げれば、専門性に合わせて必要な高度な処理をするためのコンピューター等は、それはコンピューター教室等で整備すべきことだと思うので、そのことと、1人1台、学習の道具として常に持っているということをちゃんと区別した整備をしていくべきではないかと思います。
 大学入学共通テストの教科に「情報」が入りまして、このことは高等学校側から見れば入試科目の負担増加になるわけですけれども、大学側から見れば、そういう情報の学びをしてきた人に高大接続で入学してもらい、データサイエンス教育等を行っていくという、文系・理系関わらずですね。そういう文脈ですので、これはもう高校生が端末を持っていないで学んでくるということはかなり不利になることかと思いますので、この観点から整備をしっかりと進めていただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。皆さん大変申し訳ありませんでした。せかすようなことをいたしました。また、大変失礼な質問もしました。申し訳ありません。
 SSHについての検証というのは、これは文科省のほうでもやっておられると思いますので、とりわけ先ほど秋田委員からございました理系選択についての男女バランス等についてもまた御報告をいただければと思っております。
 ともかく高校3年生が成人になるという、大変これまでとは違った状況の中で、初等中等教育の最後の3年間ないし4年間が行われていくという、しかもそれが新しい学習指導要領で来年度から年次進行で行われていくという状況でございます。今後もまた議論を続けたいと思います。ありがとうございました。
 時間の管理がまずくて超過しました。本日はこれで終了したいと思いますが、次回の予定につきまして、白井室長、よろしくお願いいたします。

【白井教育制度改革室長】 次回の本分科会の日程につきましては、追って事務局から御連絡申し上げます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは、これで終了いたします。
 
―― 了 ――
 
(会議後に事務局に寄せられた意見)
【渡邉正樹委員】
<議題1.学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況等について>
 学校における新型コロナウイルス感染症の感染状況のご報告に対してコメントさせていただきます。特に気になった点が、高校における部活動での感染割合の高さです。特に運動部活動では以前から、スポーツ庁の「スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」や競技団体別ガイドラインなどで、具体的な新型コロナウイルス対策が出されてきました。しかし、競技や種目の特徴よりも、むしろ部活動に伴う生徒間の会話、集団行動などの方が、感染リスクが高いのではないかと思われます。たとえばスライド5枚目で示された高校では友人関係での感染割合が高いことからもそのことが伺えると思います。
 文部科学省の「オミクロン株に対応した学校における新型コロナ対策の徹底について」事務連絡(2月4日)では、部活動については「密集する活動や近距離で組み合ったり接触したりする運動」、「大きな発声や激しい呼気を伴う活動 」、「学校が独自に行う他校との練習試合や合宿等」を控えるか、慎重に検討することが書かれています。それに加えて「各学校等及び設置者においては、部活動前後での集団での飲食や部室等の共有エリアの一斉利用を控えるなど、部活動に付随する場面での対策の徹底も図りつつ、顧問の教師や部活動指導員等に委ねるのではなく、学校の管理職や設置者が顧問等から活動計画書等を提出させ、内容を確認して実施の可否を判断するなど、責任を持って一層の感染症対策に取り組むこと。」と書かれていますが、各県が作成した資料などにはこの部分が省略されているケースもあり、徹底がなされていないように思われます。運動部活動では高校生の日常行動の特性を考慮した上で対策を進めていくことが必要と思います。
 

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)