中央教育審議会初等中等教育分科会(第129回)・新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会(第19回)合同会議 議事録

1.日時

令和3年1月14日(木曜日)14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省 (※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 令和2年度第3次文部科学省補正予算案・令和3年度文部科学省予算案(初等中等教育局関係)について
  2. 令和2年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果について
  3. 関係部会等からの検討状況の報告
  4. 答申(案)について
  5. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん,こんにちは。定刻となりましたので,ただいまから第129回中央教育審議会初等中等教育分科会,第19回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会合同会議を開催いたします。
 本日は御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。本日の議事に入ります前に,前回の会議以降で事務局に人事異動があったとのことですので,御紹介をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長の田中でございます。
 それでは,前回の会議以降の人事異動により事務局の交代がありましたので紹介させていただきます。1月1日付で総合教育政策局長に就任いたしました義本博司です。

【義本総合教育政策局長】 1月1日付で教育政策局長に就任いたしました義本と申します。
 前職は大学入試センターにおりました。その前は高等教育局長の職務をさせていただきました。先生方には大変お世話になりますので,引き続きよろしく御指導いただきたいと思います。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 義本局長,どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして,本日の会議開催方式及び資料につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 本日も前回同様に,Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますが,御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願い申し上げます。カメラにつきましては,御発言のとき以外も含めまして,会議中は原則としてオンラインにしていただきますようお願いいたします。ただ,もし委員の通信環境等が不安定な場合はカメラをオフにしていただくこともあろうかと思います。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料8まで,加えて参考資料となっております。御不明な点等ございましたら,お申し付けください。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。本日の議題でありますが,4件ございます。事務局からの説明を順にお願いしまして,意見交換は最後に一括して行いたいと思っております。
 まず,議題1といたしまして,令和2年度第3次文部科学省補正予算案・令和3年度文部科学省予算案(初等中等教育関係)でありますが,これにつきまして御説明をいただき,議題2といたしまして,令和2年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果を御説明いただきたいと思っております。
 続いて,議題3といたしまして,デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議,教員養成部会及び教育課程部会から検討状況の御報告をいただき,そして最後,議題4といたしまして,答申案を取り上げることとしております。申しましたように,意見交換は最後にまとめて行いたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,本日は報道関係者と一般の方向けに,本会議の模様をWebex Eventsにて配信しておりますので,どうぞ御承知おきください。
 それでは,議事に入ります。議題1,令和2年度第3次文部科学省補正予算案・令和3年度文部科学省予算案につきまして,また,議題2,令和2年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果につきまして,森友財務課長に続けて御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

【森友財務課長】 森友と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは,令和3年度の初等中等教育局関係の予算案,補正予算案の額について簡潔に御説明申し上げます。資料1でございますが,上の2枚紙は概要をまとめているものでございます。後ろの参考資料に基づきまして御説明申し上げます。
 まず,3ページをお開きいただきたいと思いますが,3ページのところでは,義務教育費国庫負担金ということで,教職員定数の改善に係る予算案でございます。中教審の委員の先生方をはじめといたしまして,教育関係者の皆様方,それから市長会,町村会,知事会といった自治体の関係者の皆様方から強く要望をいただきまして,誠にありがとうございました。今回の予算の中で,小学校について,既に1年生は35人になっておりましたが,2年生から6年生までを35人とするという方向で,大臣間での合意がなされたものでございます。もちろん中学校もございますので,これで終わりということでは当然ございませんで,文部科学省としてもしっかりと取組を進めていきたいと考えております。ここの資料の左側は,従来からやることとしておりました働き方改革に係ります専科指導の充実2,000人。これは,従来の指導方法工夫改善定数の振替でございますので,純増でございませんが,振替の人数として2,000人。それから,既に平成29年に基礎定数化をしました通級指導,日本語指導等に係る基礎定数の改善分,397人分ございますが,右側にございますのが35人学級に係る定数改善でございます。下の年次計画というところに書いてございますように,令和3年を小学校2年生をはじめといたしまして,令和4,5,6,7年と3年生,4年生,5年生,6年生と順次改善をしていく計画でございます。2年生につきましては,既に予算上,加配によりまして35人学級を実現しておりましたので,法律に位置付けることで40人から35人に学級数が増える部分で,中頃の表に書いてございますように,副校長・教頭の配置の充実ですとか生徒指導・進路指導担当教員というのは,一定の規模以上,一定の学級数以上の学校に定数上,措置することとされておりますので,その人数も増えてきますので,それに係る人数744人が令和3年度の改善数でございます。
 現在,義務標準法の改正の準備をしているところでございまして,こちらの下に書いてある計画にございますように,計画としては年次計画で当然やっていきたいと考えておりますが,個々の学校の状況を見た場合に教室の整備が間に合わないといったこともございますので,そういった特別な事情がある場合には必ずしも,例えば令和4年に3年生ができないという,後ろにずらすということもできるような法律の案にしたいと考えているところでございます。
 続きまして,GIGAスクールの関係で4ページでございますが,これはパッケージといたしまして,3次補正予算額も含めた全体像をお示ししているものでございます。御案内のとおり,本年度末までに端末の整備がされるように,各自治体におかれましてお取組を進めていただいているところでございます。それに合わせまして,GIGAスクールサポーターですとかネットワーク等々につきましてもパッケージとして進めていきたいと考えております。
 5ページにございますのは,特にGIGAスクールサポーターとして初期対応に係る準備作業等に必要な支援をしてもらうための人員ですけれども,令和2年度の1次補正にもついておりますが,令和3年度予算案にも盛り込みまして,しっかりとサポートができるような体制をつくっていきたいと考えているところでございます。また,GIGAスクールの関係では,オンライン学習システムについても,補正に引き続き,令和3年度予算でもしっかりと充実をしたいと考えておりますし,8ページにございますが,学習者用のデジタル教科書の普及促進事業ということで,22億円ほど予算案として案に盛り込ませていただいております。その大宗を占めますのが,左下にございます学びの保障・充実のためのデジタル教科書の実証事業ということで,20億円ほど新規で盛り込んでおりますけれども,小学校5,6年生,中学校の全学年の1教科分に相当する経費,デジタル教科書の活用に必要な経費を盛り込んでおりまして,実際に使ってもらって,どういう課題が出てくるのかといったことを実証研究していきたいと考えているものでございます。
 少し飛びますが,11ページを御覧ください。感染症対策等の学校教育活動継続支援事業ということで,これも令和2年度の2次補正予算でも「再開支援事業」という名称で,学校の消毒等,感染症対策に係る必要な経費を盛り込むとともに,2次補正では教材に係る支援としておりましたが,3次補正におきましては,感染症対策プラス,右下にございます教職員の研修等支援ということで,特に昨年の夏休みにおきましては,一斉の休業があったということもございまして,夏季休業中に授業を行うといった取組が多くの学校でなされておりまして,従来,夏休みを利用しまして,先生方が自己研鑽のための研修を行っていたところでございますが,なかなかそういったこともできない状況にございました。今回,自己研鑽等に係る研修をする場合に,そのためのお金を使えるように,この研修等支援の経費というものも,この継続支援事業の中に盛り込ませていただいているものでございます。
 その次の12ページでございますが,児童生徒の心身の健康の充実ということで,6つほど施策が並べられております。新規のものとしては,1番の「学校等欠席者・感染症情報システムの充実」ということで,現在は欠席した場合には欠席者の登録のシステムと,感染症で欠席した場合に,その旨登録するシステムが別々にございまして,その手続が煩雑だということもありますので,そこがきちっと連動できるような開発をしていきたいというものでございます。また,3番の「児童生徒の健康管理・健康づくりの推進」の特に黒ポツの2つ目などでは,感染症対策の専門家を講師とした学校関係者向けのオンライン研修会とかを実施するための経費を盛り込んでいます。また,4番では「児童生徒の近視実態調査事業」ということで,近年,特に視力低下が進行している小中学生を対象に,どういったことでそのような状況になっているのか,ライフスタイルを分析しまして対策等を考えていきたいというものでございます。
 それから,その後ろの13ページでございます。補修等のための指導員等の派遣事業でございます。スクール・サポート・スタッフ,学習指導員といった,学校現場におきまして,今欠かすことのできないスタッフでございますが,これにつきましても,2年度の当初予算に比べまして1.5倍の90億円を盛り込んでおります。特にスクール・サポート・スタッフにつきましては,引き続き消毒等の作業も必要となってきますので,当初予算と比べて20億円ほど,倍増しておりまして,約4039億円を盛り込んでいるところでございます。
 それから,切れ目のない支援体制ということで15ページでございますが,特別支援教育の関係ですと,医療的ケアのための看護師の配置について充実をするなど,全体として拡充を図っているところでございます。さらに,16ページではCOREハイスクール・ネットワーク構想ということで,特に地方の高等学校,中山間地域,離島地域での高等学校において,教職員数が限定的ということもございまして,多様な科目開設ができないといった状況もございますので,都市部の学校とネットワークを結ぶなどして,そういった地域の高等学校におきましても多様な教育が行えるように調査研究していこうというものでございます。
 もう1点,18ページでございますが,18ページでは「スマート専門高校」の実現ということで,農業とか工業とかの専門高校におきまして,大型の産業教育装置が老朽化してきているということもございますので,新たな整備に必要な費用の一部につきましてもしっかりと補助していくものを,これは3次補正の中で盛り込んでいるところでございます。
 ちょっと駆け足でございましたが,予算の概観,補正予算の概観は以上でございます。
 続きまして,学校の働き方改革のための取組状況調査の資料でございます。この調査につきましては平成28年度から調査を開始しているものでございまして,今年につきましては特にコロナの状況がございましたので,調査項目を昨年度に比較しまして約8割削減して実施しているものでございます。主立った調査項目の結果を御説明申し上げます。資料2の6ページでございます。勤務実態の具体の把握方法ということで,法令上,しっかりと勤務実態,客観的な手段によって把握することとされておりますので,その状況がどうかということを調査したものでございます。ICカードですとかタイムカード等の記録による客観的な方法で勤務実態を把握している割合というものが,表のグラフのところを御覧いただきますと,都道府県,政令市,市区町村と別々に書いておりますが,客観的に把握しているのが上のピンクの棒グラフでございまして,青の星印のところが昨年の状況でございました。したがいまして,都道府県,政令市,市区町村,いずれもかなりお取組いただきまして,伸びてきております。もちろん法令上の義務でございますので,100%を目指して,引き続き促進してまいりたいと考えているところでございます。
 8ページでございますが,時間外勤務の経年比較ということで,時間外勤務,これは割合別に整理しておりますが,時間外勤務が月45時間以下,これは基準上,それ以下にということを言われている,それに収まっているというものが,この棒グラフ上,ピンクの部分なんですけれども,それが各年でどういうふうに変化してきているのかということでございまして,4月,5月,6月,7月,8月までデータを取っております。4月,5月はピンクの部分が平成30年,令和元年と比べて,令和2年は倍増しております。これは御案内のとおり,学校は一斉休業されておりましたので,そういった中で45時間以内に収まっているというところが増えてきているというものでございます。それが6月になりますと,分散登校が始まってきておりましたので,そういった状況の中で,ピンクの部分が5月より減ってきていると。7月になると,去年よりも5%程度減りまして,8月は従来夏休み,先ほども触れましたが,夏休みということで通常授業はございませんが,今年は多くの学校でされていたということもございまして,昨年の令和元年と比較すると5%程度,45時間以内のところが減っているという状況にございます。
 9ページでございますが,9ページのところでは,その中で感染症対策としてどういうことをしていったのかということで,これはいずれも小学校のデータでございますが,土曜日の活用は12%程度,特に東京が群を抜いて高いといった状況がございました。それから,夏季休業期間の短縮は93%と多くのところで取り組まれていたことです。それから,マル6にございます教員による清掃・消毒作業も多くの学校で取り組まれ,また,学校行事の中止・延期というものについてもほとんどのところで取り組まれていた状況にございます。
 中学校,高校も基本的に,勤務時間の状況も,取り組まれている感染対策も同じような状況にございます。特に中学校は,部活の短縮というものが多くのところで取り組まれているといった状況もございました。割愛させていただきますが,後で御覧いただければと思います。
 ページ飛びますが,18ページでございます。18ページが,改正給特法によりまして勤務時間の上限指針をきちっと条例で策定してくださいということが規定されたわけでございますが,その状況を把握したものでございます。上の棒グラフが並んでいるところが,指針を踏まえて,条例できちっと整理をしている割合でございます。都道府県,政令市,いずれも取組を進めていただいておりますが,都道府県のうち,右側の緑色の部分,17%ほどは条例の整備については今検討中でございます。それ以外のところは,条例改正を行った,あるいは,条例改正を行うつもりだというところがほとんどでございます。
 また,19ページでございますが,1年単位の変形労働時間制に関する条例の整備状況ということで,これも一昨年の法改正によりまして,まとめ取りをできるようにしたということの,それに係る条例の整備状況でございますが,都道府県におきましては,左側の濃い紫,薄い紫を足した53.2%が条例整備を行う予定だということで,緑のところは条例整備をするかどうかを含めて考えているところと,政令市の緑色もかなり多くの部分で検討中だということで,今年はコロナの状況もございましたので,そういった状況の中でのこういった結果になっているものと考えているところでございます。
 ちょっと駆け足になってしまいましたが,調査の結果は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 どうもありがとうございました。意見交換につきましては,最初に申しましたように,後からまとめて行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では,続いて,議題3といたしまして,関係都会等からの検討状況の御報告をお願いしたいと思います。
 まず,デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議における検討状況につきまして,神山教科書課長,御説明をお願いいたします。

【神山教科書課長】 神山でございます。資料3に基づきまして,学習者用デジタル教科書の使用を授業時数の2分の1未満とするという基準の見直しにつきまして検討会議で御議論いただいて,12月に報告がまとまっておりますので,資料に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 1ページ目を御覧いただきたいと思います。デジタル教科書に関しましては,法改正を行いまして令和元年度から紙の教科書に代えて使用できるということになってございましたが,使用時間については,各教科の授業時数の2分の1未満と告示で基準を示してございました。ただ,3つ目の白丸にございますように,GIGAスクール構想でが1人1台端末の環境の整備が進んでおりますし,令和3年度になりますと,小中学校では約95%の教科書がデジタル化も進む,使えるような状況になるという状況でございまして,それを踏まえて,昨年の10月に大臣から検討を加速するように御指示があったということでございまして,ほかの点に先駆けて,この2分の1の基準については一定の方向性を12月に示したものになってございます。
 議論の中では,2ページ目にございますように,諸外国で同じような基準を設けているところはないといったことですとか,実証研究校では2分の1以上使えるようにしてほしいといった意見があったことも踏まえて議論しましたが,中心的に議論いたしましたのは,3ページ目の3ポツにございますように,健康に関する留意事項についてでございます。これにつきましては,眼科の医師なども含みます専門家の意見をいただいておりまして,具体的な内容といたしましては,4ページ目になりますけれども,例えば,学校における授業では,常に手元の教科書を見ているわけではなくて,黒板を見たりいろんな活動をしたりということがございますので,紙の教科書もデジタル教科書もずっと見ているわけではないといった御指摘,また,ずっと見ないようにするという意味では,30分に1回,20秒程度画面から目を離して目を休めるように指導したり,端末を見続ける学習時間は1回の時間が長くならないようにしたりすることが必要だといった御指摘をいただいてございました。
 また,4ページ目の真ん中にありますように,目と端末の距離を30センチ程度離すことが非常に重要なので,これをしっかり徹底しようという御意見をいただいておりますし,そのためにも,よい姿勢でやることが大事だといった話ですとか,5ページ目に参りますと,画面への映り込みの防止なども配慮する必要があるといった御指摘もいただいておりました。5ページ目の真ん中辺の(2)のところにございますように,現行の基準を見直したといたしましても,先ほど申し上げたデジタル教科書を連続して見る時間ですとか目と画面との距離,そういった健康面に配慮すれば使用することが,基準を見直したとしても大丈夫ではないかといった御意見がございました。それに加えまして,5ページ目の下のほうにございますように,教員が健康観察を行うですとか,あるいは学校医と連携するといったことも考えられるといった御指摘もいただいてございました。
 また,6ページ目に参りますと,学校だけではなくて,家庭における使用に関しまして,先ほど申し上げたような使用上の留意事項を家庭においても守るように指導することが必要だといった御指摘や,そのこと自体を児童生徒が自らの健康についての自覚として,リテラシーとして習得するような指導をすることが重要だといった御指摘をいただいてございました。それを踏まえて,ガイドラインの改訂をしたり,あるいは留意事項を周知する必要があるといった御指摘をいただいてございます。
 結論といたしましては,7ページ目にございますけれども,そうした留意事項などを周知徹底いたしまして,必要な対策を講ずれば,授業時数の2分の1に満たないとする現行の基準については撤廃することが適当だという結論をいただいております。ただ,4ポツの2つ目の白丸に書いていますように,あくまで必要に応じてデジタル教科書をより有効に使えるような環境を整えるために行う措置でございますので,決して基準がなくなったからといって,授業時数の2分の1以上において必ずデジタル教科書を使ってくださいということではなくて,必要に応じて使えるようにするための措置だということを改めて周知を図っていきたいと考えておるところでございます。
 こうした形で報告をいただきましたので,基準につきましては,年度内に告示の改正を行いたいと思っておりますので,来年度からは2分の1の基準は撤廃した状態でデジタル教科書を使えるようになるということでございます。なお,デジタル教科書の全体の議論はまだ検討会議で議論しておりますので,年度内には中間まとめ,それから,今年の7月には最終まとめができればという状況でございますが,それに先駆けて,2分の1の基準について,今申し上げたような方向で進めていくことになってございます。
 私からは以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 続きまして,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議における検討状況につきまして,八田特別支援教育課長,御説明をよろしくお願いいたします。

【八田特別支援教育課長】 特別支援教育課の八田でございます。私から,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議における議論につきまして御報告させていただきます。
 昨年11月13日に開催の第18回の本特別部会におきまして,その時点におきます有識者会議の議論の状況について御説明させていただきました。その後,有識者会議を2回開催し,取りまとめの議論を行い,最終的な取りまとめにつきましては,有識者会議主査一任となった状況でございます。本日,資料4-1として報告(案)の概要,資料4-2として,第13回の有識者会議で配付しました報告(案)を出させていただいておりますけれども,資料4-1の報告(案)の概要により簡潔に御説明させていただきます。
 報告の構成といたしましては,昨年7月に行いましたこれまでの議論の整理と変わっておらず,ローマ数字1の「特別支援教育を巡る状況と基本的な考え方」を踏まえまして,大きく4つの改善方策,すなわち,障害のある子供の学びの場の整備・連携強化,特別支援教育を担う教師の専門性の向上,ICT利活用等による特別支援教育の質の向上,関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実が提言されているところでございます。
 資料には主な提言内容について記載しておりますけれども,昨年7月のこれまでの議論の整理から内容が追加または充実となった幾つかの事項を申し上げますと,例えば,ローマ数字の2,「障害のある子供の学びの場の整備・連携強化」の1ポツ「就学前における早期からの相談・支援の充実」といたしまして,就学相談や学びの場の検討等を支援する教育支援資料の内容の充実,また,3ポツ「特別支援学校における教育環境の整備」といたしまして,学習指導要領の着実な実施のための文部科学省著作教科書(知的障害者用)の作成などが提言されているところでございます。
 また,ローマ数字の3「特別支援教育を担う教師の専門性の向上」といたしまして,1,全ての教師に関するものといたしまして,特別支援教育に係る資質を教員育成指標に位置付けることや,2,特別支援学級,通級による指導の担当教師に関するものといたしまして,小学校等教職課程において,特別支援学校教職課程の一部単位の修得を推奨することなどが提言されているところでございます。
 簡単ではございますが,私からの説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,続きまして,教員養成部会における検討状況につきまして,中野教育人材政策課長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中野教育人材政策課長】 教育人材政策課の中野と申します。
 お手元,資料5に基づきまして,教員養成部会の審議状況について御報告をさせていただきます。前回,特別部会に御報告したのが7月,第18回でございまして,その内容については,既に答申案に盛り込まれているところでございますが,8月以降も教員養成部会におきましては,加治佐部会長の下,月1回ペースで精力的に御審議をいただいているところでございます。様々御審議ございますけれども,大きく2点,御報告させていただきます。
 1点目は,教員免許更新制と教員研修をめぐる制度に関する包括的な検証でございます。関係者のヒアリングも含め正に今進めていただいているところでございますが,今後,今年度の新型コロナウイルス感染症の影響として,例えば更新講習の受講がなかなかできなく免許状の延長を行ったケースや,学びの保障のための人材確保に影響が出ている可能性等があるかと考えています。それについての検証は来年度行う必要がございますし,また,今年度,学びの保障のために見送っておりました現場の先生方を対象とした調査も,落ち着いた段階で一定させていただくということもございますので,来期の中教審でも引き続き,この更新制,研修をめぐる包括的な検証につきましては御審議をいただきたいと考えております。なお,今期もあと2回の御審議を残しております。
 2点目が本日の資料でございますけれども,GIGAスクール構想も踏まえまして,教師のICT活用指導力の一層の向上のための教職課程の在り方について御審議をいただいているところでございます。資料5は教員養成部会でも御審議いただいた資料でございますけれども,1ページ目,教員養成に関する近年の政策動向とありますけれども,教職課程につきましては,平成27年の中央教育審議会の答申を踏まえまして,平成28年,29年の関係の法律または省令の改正を経て見直しが行われております。その中で,ICTを用いた指導法等も新たに盛り込まれているところでございます。さらに,省令改正の後,教職課程コアカリキュラムというものを作成いただきまして,大学にお示しし,全ての教職課程を有する大学全83校が,課程で言いますと2万程弱ございますけれども,省令改正,コアカリキュラムの策定を受けまして,平成30年に全ての課程を再審査・認定をしまして,昨年度から新しい教職課程が開始されているところでございます。ただ,その際は,まだGIGAスクール構想というものの前でございましたので,いよいよ来年度から1人1台体制になる中で,教師のICT活用指導力の部分につきまして,研修教員と併せて教員養成段階でも更に強化する必要があるのではないかということで御審議いただいたものでございます。
 資料の2ページ目を御覧いただきたいと思いますが,こちらが現行の教職課程におけるICTの位置付けでございます。まず上から申しますと,教科・指導法というのがございますが,こちらについては,ICTを用いた指導法も含むという形で,各教科の指導法の中でやっていただいております。また,中ほど,教育の方法・技術というものがございますけれども,この中でも,情報機器・教材の活用,つまりICTを含むという形で取り組んでいただいているところでございます。また,教職課程の外でございますけれども,教員免許を取っていただく方に課されているものの中で,情報機器の操作というものがございます。このあたりが主に特出ししてICTと言われているところでございます。
 3ページ目を御覧いただきたいと思います。3ページ目は,今後の改革の方向性ということでございますけれども,左側に入学から卒業までということがございますが,教職課程につきまして,先ほど申し上げました一般教養から始まって,総論の修得,教科ごとの修得,更には実践による総まとめという形で体系立った授業が行われている部分でございますが,それらを順番に,左のほう,現行の情報機器の操作ということですけれども,右側の今後の方向性といたしまして,情報機器の操作,今ですと,例えば,基本的なアプリケーションの操作等が主になっておりますけれども,そういったことは今後,高校段階まででかなり修得していただいているということがございますし,また今後,数理・データサイエンス・AIに対応した科目を大学で順次開設いただくことになっておりますので,教職課程の学生さんにはそういった科目を履修していただくことを考えております。
 また,総論のところの「教育の方法及び技術」のところでございますが,従来,現行はその中で情報機器,教材の活用を扱っていただくということだったのですけれども,これを1つ独立した教科として新たに新設いただくという方向を考えております。それに対応したコアカリキュラムにつきましても,教員養成部会で御審議いただきたいと考えております。また,各教科の指導法でございますけれども,こちらについては,ICTを含むということで取り組んでいただきたいということではございますが,どういったことを教えるのかというのは手探りのところがございます。そのような中で,現職教員向けも含めまして,教科ごとのICTの活用について,文科省でも,また教職員支援機構におきましても様々な動画コンテンツの提供を始めておりますので,教職課程におきましても,こういったコンテンツを活用いただきながら,効果的な教科指導におけるICTの活用といったことをしっかり取り組んでいただきたいと考えております。
 また,「実践による総まとめ」というところで,教職実践演習というところがございますけれども,現在のところ,制度上,ICTについての位置付けがございません。こちらにつきましては,例えば,模擬授業等を含めまして,ICTを活用した演習をしっかり行っていただくことを考えております。こういった形で,それぞれの段階でICTについて取り組んでいただくということでございますけれども,それだけではなくて,教職課程全体を通じてしっかり身につけるべきことが身についているのか,チェックリスト等も活用して,各大学で点検いただくということが資料の一番下のところに書いているところでございまして,これについては既に大学に通知をさせていただいて,その状況について教員養成部会でチェックをしていただくことにしてございます。
 最後,今後のスケジュールのところでございますけれども,新しい科目の追加がございまして,また更に教職課程の再認定になりますと時間がかかりますので,届出という対応で,また,スピード感を持って取り組んでいただくということで,来年度早々にこの取組(案)をお示しして,取り組めるようにしていただき,令和4年4月から新しい教職課程を開始していただきたいと考えております。
 教員養成部会の御報告は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 続きまして,教育課程部会における検討状況につきまして,滝波教育課程課長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【滝波教育課程課長】 教育課程課長の滝波でございます。
 教育課程部会では,これまで対面とオンラインとで13回,書面での1回の御審議ということを重ねてまいりました。大変精力的に御審議をいただいてきたところでございます。昨年の12月22日の部会におきまして,「教育課程部会における審議のまとめ(案)」というものを提示いたしまして,天笠部会長の御一任というところまで今来ているところでございます。本日は,資料6-1ということで,昨年の12月22日の会議のときにお配りした資料をお示ししてございます。
 資料にございますように,構成としましては,最初のページ,1ポツで「はじめに」がございます。2ページ以降のところで,2ポツで個別最適な学びと協働的な学びについての整理を加えてございます。ここの中では,少し飛びますけれども,例えば,7ページの辺りには,履修主義と修得主義といったところの考え方についても触れているところでございます。
 次に,8ページ以降のところでは,3ポツとしまして,各学校段階を通した資質・能力の育成ということについて整理をしております。この中では,(1)として「学力の確実な定着等の資質・能力の育成に向けた方策」,11ページ以降になりますけれども,学びに向かう力等を育成する教育の充実ということの整理,12ページ以降になりますけれども,(3)としまして,STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進,こういったことについての整理をしているところでございます。
 また,ページ飛びますけれども,14ページ以降のところでは,今度,4ポツということで,補充的・発展的な学習指導についての整理を加えてございます。また,15ページのところでは,その中でも特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導についての整理を加えてございます。また,16ページ以降につきましてですが,5ポツとしまして,「指導と評価の一体化」の考え方に立った学習評価の改善についての整理をしてございます。そして,17ページ以降,最後に,6ポツとしてカリキュラム・マネジメントの充実に向けた取組の推進についての整理をしております。ここの中では,(1)として,「教科等横断的な視点からの教育課程の編成・実施」,18ページのところには,マル1に加えて,マル2としては,授業時数の在り方についても整理をしております。
 20ページ以降のところにつきましては,(2)として,教育課程の実施状況の評価と改善についての整理,(3)としては,人的・物的な体制の確保・改善についての整理を加えてございます。この中ではマル1,組織的な取組の推進,そして,21ページになりますけれども,マル2番,ICTの活用,こういったことについての御議論の成果を取りまとめて記載をしているところでございます。こういった構成で成り立っております。
 教育課程部会における審議のまとめ(案)と,この後,また御説明がございますけれども,中教審の答申案との関係についてでございますけれども,教育課程に関連する重要な事項につきましては答申案と,この審議のまとめ(案),両方に記載をしてございます。審議のまとめ(案)では,より詳しい内容についても記載を加えているところでございます。それから,12月22日に部会を開いたわけですけれども,ここの中でも様々な御意見を賜りました。幾つか御紹介したいと思います。
 まず,個別最適な学びだけではなくて,協働的な学びにおいてもICTを活用すること,それから,専門家との交流によって協働的な学びを実施することの重要性についての御意見をいただきました。また,家庭や地域の協力も得ながら,個別最適な学びと協働的な学びを充実することの必要性についての御意見をいただきました。また,個別最適な学びと協働的な学びについて,発達の段階に応じて一体的に充実する重要性についての御指摘をいただきました。それから,小学校低学年の学習の中で,分からないことを他者に伝えたり助けを求めたりすることができるようになることの重要性についての御意見もいただきました。また,STEAM教育における高校と大学との連携,あるいは小中学校段階でのプログラミング教育の重要性,こういった点についての御意見もいただきました。こういったあたりにつきましては,本日お配りしてございます,この後御説明がございます答申案には反映させているところでございます。
 この教育課程部会の審議のまとめにつきましても,12月22日にいただきました御意見も踏まえまして,今,文言の修正作業を行っているところでございます。審議のまとめの取りまとめの時期につきましては,天笠部会長とも御相談をしながら,答申の取りまとめのタイミングと同じあたりでお取りまとめいただければと考えているところでございます。
 それから,もう一つ,本日,資料6-2ということで資料を御用意してございます。これまで個別最適な学びと協働的な学びにつきまして,現場にとって分かりやすく示してもらいたいというような御意見もたくさんいただいております。このことを受けまして,個別最適な学びと協働的な学びにつきまして,新指導要領で言っています主体的・対話的で深い学び,あるいは,今般の履修主義,修得主義との関係も含めまして,できるだけ分かりやすい形でということで,スライドで1枚にまとめた資料として資料6-2を御用意しているところでございます。これについても,12月22日の部会で様々御意見をいただきました。今,その修正の作業を進めているところでございますけれども,これについても,教育課程部会の審議のまとめと同じタイミングで確定いたしまして,いろんな方面への御説明の中で活用してまいりたいと考えています。
 簡単ですけれども,私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 何度も繰り返して恐縮でありますが,今御説明いただきましたこと,議題1,2,3につきましては,まとめて最後に御意見をいただきたいと思います。なお,今,滝波課長も,それから,先ほど中野課長もおっしゃいましたように,議論の過程におきまして,特別部会での答申に向けた検討の中に,今お話しいただきましたことは基本的に盛り込まれております。ですから,その点で,これから後,御説明いただく答申案についてというところでまとめて御意見を頂戴できればと思っております。
 では,最後に,議題4といたしまして,答申案につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をお願いしたいと思います。

【田中教育制度改革室長】 それでは,資料7-2を御覧いただければと思います。昨年11月13日の特別部会において御審議いただきました答申素案につきましては,その後,12月4日の初等中等教育分科会,12月25日の総会においても御審議をいただきました。本日お諮りする答申案は,これらの御審議の結果,また,答申素案に対して,昨年12月に実施しましたパブリックコメント,この結果を踏まえたものとなっております。パブリックコメントでは,計907件の御意見をいただきました。これらの御意見について,事務局においてその概要を整理させていただき,本日,資料8として取りまとめております。時間も限られますので,12月4日の初等中等教育分科会で御審議をいただいた答申素案からの主な修正点について,ポイントを絞って御説明申し上げます。
 まず,1ページを御覧ください。まず,本答申案の序文となります「はじめに」を,この1ページ,2ページと追記しております。1ページ目では,まずこれまでの審議の経過を振り返るとともに,答申の構成,特に核となる内容について記述しております。
 2ページ目を御覧ください。上から5行目の辺りですけれども,本答申案において,「新学習指導要領に基づいて,一人一人の子供を主語にする学校教育の目指すべき姿を具体的に描いている」ということを明記しております。
 飛びますが,19ページを御覧ください。一番上の文章になりますけれども,ICTの活用により,個別最適な学びのみならず協働的な学びもまた発展させることができる旨を記載しております。
 20ページを御覧ください。一番上の丸の下のほうになりますけれども,義務教育の目指すべき姿として,児童生徒に主権者としての意識を育む,そういったことを追記しております。
 28ページを御覧ください。下から2つ目の丸になりますけれども,児童生徒一人一人の健康に対する意識を向上させることを追記しております。
 30ページを御覧ください。一番上の丸の下のほうになりますが,PDCAサイクルを意識し,効果検証・分析を適切に行うことの重要性を追記しております。
 また,同じページ,一番下の丸ですが,ICT環境整備に加えまして,学校図書館における図書等の既存の学校資源の活用や充実を含む環境整備の在り方ということを追記しております。
 31ページを御覧ください。下から3つ目の丸ですけれども,個別最適な学びと協働的な学びを実現するため,ICTの効果的な活用と少人数によるきめ細かな指導体制の整備を両輪として進める,この旨を追記しております。なお,この少人数によるきめ細かな指導体制の整備については,ほかにも必要な箇所に追記をしております。
 飛びますが,43ページを御覧ください。一番上の丸になりますけれども,ギフテッド教育について,先ほどの教育課程部会の審議のまとめも踏まえまして追記しております。
 47ページを御覧ください。一番上の丸になりますけれども,教育委員会,学校とフリースクールなどの民間団体とが連携し,相互に協力・補完し合いながら不登校児童生徒に対する支援を行う取組の充実,これを進めることを追記しております。
 48ページを御覧ください。上から2つ目の丸ですが,教育界と医療界が協力して取り組むことの重要性を追記しております。
 49ページを御覧ください。ページの一番下の注釈60番ですけれども,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループの審議のまとめについての説明を記載しております。なお,このほかにも,幼児教育や外国人児童生徒への対応など,各論のほかの章につきましても,関係する報告書が何であるのか,読み手の方に分かるよう注釈を追記しているところです。
 51ページを御覧ください。上から2つ目の丸ですが,高等学校のスクール・ミッションについて,大学受験のみを意識したものや学校間の学力差を固定化・強化する方向で検討すべきでないことに留意するということを追記しております。
 60ページを御覧ください。一番上の文章になりますが,障害のある子供の就学前における早期からの相談支援の充実に関しまして,教育支援委員会等による就学先決定の方法,就学後も多様な学びの場を活用する方法などについて情報提供を行うことが重要である旨を追記しております。
 63ページを御覧ください。下から3つ目の丸ですけれども,特別支援学校の寄宿舎について追記するとともに,その次の丸では,福祉避難所としての観点や特別支援学校施設のバリアフリー化の重要性について追記しています。
 飛びますが,78ページを御覧ください。上から3つ目の丸ですけれども,マル6,デジタル教科書・教材の普及促進につきまして,紙の教科書との併用が可能な環境の下で進めるべきであることを,このパラグラフの下のほうに追記しております。
 81ページを御覧ください。一番下の注釈,106番といたしまして,先ほど,森友財務課長からも説明がありましたが,政府として小学校の学級標準を5年間かけて段階的に35人に引き下げることを決定した旨を追記しております。
 86ページを御覧ください。一番上の丸ですけれども,下段の部分に,教師が新しい知識・技能を学び続けていくことで質の高い指導が可能となることに加え,教師自身も一層やりがいを感じ,教職生涯がより充実したものになると見込まれる,こういったことを追記しております。
 最後になりますが,91ページを御覧ください。本答申が取りまとめられた後にも,今後更に検討を要する事項を追記しております。まず,令和の日本型学校教育の実現を目指していく上では,知・徳・体のバランスの取れた資質・能力の育成に向け取組を進めていく必要があるとしております。また,その下ですけれども,今後も改革に向けた検討が重要な事項として,2つございます。1つはICT環境の活用と少人数によるきめ細かな指導体制の整備を両輪として進め,令和の日本型学校教育を実現するための教員養成・採用・研修の在り方,もう1点は,学校の自主的・自立的な取組を積極的に支援し,社会の変化に素早く的確に対応するための教育委員会の在り方,特に教育委員会事務局機能の強化や首長部局との連携の促進などを含む教育行政推進体制の在り方を挙げております。また,本答申で述べた令和の日本型学校教育の姿や方向性を踏まえ,多様性と柔軟性を持った高等教育の実現が重要であること,このためにも初等中等教育と高等教育とが綿密に連携しながら,学校教育全体を俯瞰した改革が進められることを期待する旨,記述しております。
 簡単でございますが,以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,今から意見交換をお願いしたいと思います。議題1から議題4につきまして,全体をまとめてお願いをしたいと思います。約1時間でお願いをしたいと思いますが,本日は第10期最後の初等中等教育分科会であるとともに,特別部会も第19回を数えておりますが,これも最終回となります。今期を振り返って御意見,御感想があれば,併せてお願いをしたいと思います。御発言の際には,いつものように「挙手」のボタンを押してください。御指名申し上げましたら,マイクをオンにしていただいて御発言いただき,御発言後は「手を下げる」のボタンを押していただいて,挙手を取り下げていただきますようにお願いいたします。では,どうぞよろしくお願いいたします。
 まず,3人の方が挙手なさいました。清原委員,岩本委員,戸ヶ﨑委員,この順でお願いをしたいと思います。では,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。新年おめでとうございます。それでは,大きく2点について申し上げます。
 1点目は,答申の案について,でございます。この間の総会,そして,初等中等教育分科会,特別部会,各部会,有識者会議や検討会議に加えて,多くの関係団体からのヒアリング,さらには意見募集に意見を述べてくださった方の御意見を最大限反映した内容となっておりますので,私はこの内容で答申とすることに賛同いたします。荒瀬分科会長(部会長)をはじめ事務局の皆様,本当にありがとうございます。
 さて,その内容でございますが,多くのポイント,例えば「GIGAスクール」とか「少人数学級」とか,既に令和3年度の予算案にも含めていただいていることを心強く思います。
 特に最後のページ,91ページの「今後更に検討を要する事項」として整理をしていただいたことが,この答申の中身を具体化していく上で原動力となると思います。その1点がやはり教員の皆様が健康に活躍していただくための「教員養成課程の充実」と「現場の働き方改革の推進」,そして,「地域や企業等の多様な外部人材が活躍」していただくということ,そして,私が市長経験者として何度も申し上げたことですが,「教育委員会と市区町村長部局,知事部局の綿密で強力な連携」が,この内容を推進する上で有用だと思います。これは「今後更に検討を要する事項」と整理されていますが,正にこの内容を「実現し,推進していく体制」であると思いますので,答申とともに原動力として動いていくことを心から願っています。
 2点目に申し上げます。今回,コロナ禍においての検討となりました。そこで,今日御報告いただいた内容にも1つ重要なキーワードがありました。それは「健康」ということでした。
 資料の順番に申し上げますと,例えば,令和3年度の予算にも12ページに「児童生徒の心身の健康の充実」ということで具体的な予算が明記されています。また,「学校における働き方改革」におきましても,例えば11ページ以降に,「感染症対策の実態」を見ますと,「長期休業期間の短縮」とともに「教員による清掃・消毒作業」が9割を超えているということが明記されました。
 30ページに「ストレスチェック」についても書かれています。コロナ禍で心身の負担を感じている教員も多くあることから,ストレスチェックについても「50人以上の学校と労働安全衛生法上はなっているけれども,それ以下でも是非取り組むように」というふうに事務局でも分析をされています。
 この点について,学校における働き方改革の基本は,まず,過労死を防ぎ,教員の心身の健康を保ちながら,児童生徒中心の教育に正に力を注いでいただくための学校における働き方改革ですから,「心身の健康確保」ということが重要です。
 次に,「デジタル教科書」についての検討でも,正に「健康」について検討をしていただいたことを心強く思います。タブレット型端末やパソコンを見ているだけではない,バランスの取れた在り方について,視力に関する項目だけではない留意事項を整理していただきました。本当にありがたいと思います。
 そして,答申の中にも,28ページでございますけれども,正に「児童生徒が自ら健康について関心を持っていく」ということについても明示をしていただきました。私たちがコロナ禍でなかなか対面できない中,オンラインで審議を重ねてきた私たちの子供たちを思う気持ちが,「健康」という,しかも「心身の健康」という言葉に1つ象徴されているというふうに思います。
 コロナ禍に負けずに,この答申の中身,「個別最適な学習」と「協働型の学習」が子供たちの心と体の健康を促進し,育み,人間を信頼する力を育んでいくことを心から願って,答申に賛成いたします。
 ここで感想を一言申し上げます。何よりも,このコロナ禍でのオンライン会議によって,皆様の出席率がとても高くて,参加率が高くて,なかなか御意見を聞けない方の御意見も聞くことができた充実した時間でした。コロナ禍に負けない充実した内容の答申をつくれましたこと,皆様とともに誇りに思い,そして,(答申内容が)これを具体化する現場の児童生徒,教職員,そして保護者,地域の皆様に届くことを願っています。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,続きまして,岩本委員,お願いいたします。

【岩本委員】 岩本です。今回,本当にありがとうございました。私からは答申案の91ページ,今後更に検討を要する事項のところについて意見を大きくは3点ほど述べさせていただきたいと思います。
 まず1つ目のポツですけども,教員の養成・採用・研修の在り方ということでありますけども,この研修というのが少し捉えが狭いように感じています。例えば,育成の中の研修というのは一手法であって,OJTだとか学び合いだとかメンタルリング だとか,あとやはり重要になってくるのは評価とか,もしくは,先ほど清原委員もありましたけども,配置や働き方,そういったところも含めて,研修と狭くせずに,育成だとか,そういったことを検討するのが必要ではないかということと,教員に限定しなくてもいいのではないか,限る必要はないのではないかと。
 地域社会との連携だとか学校のICT活用,あとDXなどを進める上で今後一層重要となってくる例えば事務職員だとか学校司書さん,実習助手等も含め,「教職員の」というような形で捉えてもよいのではないかというのが1つ目のポツについてです。
 次,2つ目のポツのところです。教育委員会のところですけども,私,教育委員会に入って感じたのは,文部科学省と違って,エビデンスと対話に基づく政策マネジメント,これができる教育行政や教育政策のプロフェッショナルという人材が今,圧倒的に不足している,教育委員会の中に。
 そもそも教育委員会事務局の職員の人材育成や確保のシステムといった機能というのが十分に整っていないというのが現状多くのところにあるかと思いますので,教育政策のプロフェッショナル人材のそういった職員の確保だとか育成の在り方と,また組織開発の機能の在り方というところも含めて,今後検討していくのが重要ではないかというのが2点目です。
 最後ですけども,この2つのポツで書かれているのに加えて,機動的な学校運営を可能とする学校経営やガバナンスの在り方の検討というのも入れる必要があるのではないかという提案です。令和の日本型学校は,今までよりも学校経営や管理の難易度が更に上がる,求められる経営のレベルもかなり高くなってくると思います。多様な教職員や関係者のマネジメント,ICT活用やDXの推進,働き方改革などなどを実現していくために,学校の経営管理や組織力のさらなる強化充実に向けた在り方の検討というのも必要になってくるというふうに思います。
 例えば,事務長なんかも含む管理職の確保や育成,学校経営チーム,体制の充実強化だとか,また,形骸化なんかも指摘されています。学校運営協議会の機能強化の在り方だとか,また,PTAや地域からの寄附とか卒業生からのふるさと納税なんかも含む自立的な資金確保やその活用の在り方といった,こうした学校経営やガバナンスの在り方も,令和の日本型学校教育をしっかりと実現するために,今後更に検討を要する事項のところで加えていただくというようなことも御検討をお願いできたらというふうに思います。
 私からは以上です。本当に今回ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。具体的な御提案もいただきました。検討させていただきたいと思います。
 では,戸ヶ﨑委員,お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。まず,このように大変深みのあるものにしっかりとまとめていただいたこと,関係者の皆様方に深く感謝を申し上げたいと思います。私からは,答申案について今後に向けて,大きく2つ意見を述べさせていただきます。
 まず1つ目は,ロードマップ作りや啓発についてです。答申案の23ページ,上から2つ目の丸です。ここに,「その際,学校現場に対して新しい業務を次から次と負荷するという姿勢であってはならない。……精選,縮減,重点化するとともに……」と提言されています。
 今から25年前の1996年の第15期の中教審答申の中でこれと同じような内容のものが「学校のスリム化とゆとりある教育」 というキーワードで提言をされております。ということは,手抜きとまでは言いませんけれども,実践に何か問題があったのでしょうか。それとも,教育内容や学校の役割等がこの間増加したからなのでしょうか。辛辣な言い方をしますと,この提言が画餅に帰してしまったことになります。
 つまり,それだけ今後も実行が難事であるわけです。同じ轍を踏まないように,また,国任せとか他人事にならないように,全ての教育関係者が当事者意識を持って取り組める実践に向けたロードマップが必要と考えています。
 さらに,啓発につきましては,これまで多くの委員も言われ,私も言いましたけれども,この答申案には,抽象的な言葉も多いので,この答申が学校現場等に腹落ちするように伝えることが何よりも大切と考えております。伝えることと伝わるということは違います。発信から伝達となるよう,一目で分かりやすいリーフレットや動画作成なども検討していただけたらありがたいと思っています。
 大きな2つ目です。先ほど清原委員,岩本委員からもありましたように,今後の検討課題として教育委員会の在り方等について意見を申し上げます。91ページです。前回の会議の際にも,教育委員会事務局のさらなる機能強化,スキルアップなどを今後に向けて意見をさせていただきました。それらをここで取り上げていただき感謝申し上げます。それと重複する部分がございますが,3点意見をさせていただきます。
 1つ目は,当事者意識を持つことです。まず,教育委員会の課題として,定例会議の充実,活性化,透明性,また,学校の自走を支援する教育委員会の機能強化,教育委員会事務局の組織や人事,指導主事等のスキルアップなどがございます。これらについては今後中教審などでの検討がなされていくだろうと思いますが,ここにおいても国任せではなくて,地方教育行政の担い手たる教育委員会,また事務局自身があくまでも主役であるという当事者意識を持って取り組んでいくべきだろうと考えています。今後の検討に当たっても,是非教育委員会関係者の参加を得て進めていってほしいと思っています。
 2つ目です。教育委員会制度改革には踏み込まないということです。今後の教育委員会の在り方の議論は,平成26年改正の地教行法の趣旨を踏まえて,令和の時代にふさわしい教育を実現するための,まずは機動的な学校運営や教育委員会事務局の機能強化について是非議論するものであってほしいと思っています。したがって,制度改革の議論を蒸し返すような議論であってほしくはないと思っています。
 最後3つ目です。議論が必要な内容,いわゆる焦眉の課題として5点考えております。1つ目は,学校管理職,指導主事や管理主事等のキャリアパスやスキルアップです。これは,岩本委員からもありました。2つ目,教育行政のプロ育成です。3つ目,教育長のキャリアパスの在り方です。4つ目,小規模自治体の連携の在り方です。5つ目,データ利活用のテーマコミュニティーづくりです。特に,4番と5番の自治体間連携については,規模の大小に関わらず,コロナ禍でオンライン化,遠隔化が急加速化したことで,現在,本市でもそうですけれども,指導主事の他自治体との交流,各種研修会などの共有化,様々なデータ利活用の共同研究などが大変しやすくなってきています。なお,教育委員会事務局のさらなる機能強化やスキルアップなどについては,教員養成,採用,研修の在り方の一環として,教員免許の在り方などとも関連づけて議論するなど,場合によっては教育職員免許法などの制度改正の検討も必要となるのではないかと思っています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,加治佐委員,天笠委員,八並委員,喜名委員,牧野委員,毛利委員,善積委員,二見委員,道永委員,神野委員,鶴羽委員,田村委員,吉田信解委員,篠原委員,以上でございます。今,手を挙げていただいている方は以上でございます。では,加治佐委員,よろしくお願いいたします。

【加治佐分科会長代理】 加治佐です。よろしくお願いいたします。私も,91ページ,最後の更に検討を要する課題,このことについて述べたいと思います。
 1つ目は,令和の日本型学校教育の実現を担う教員の養成・採用・研修の在り方は引き続き課題があると,こういうふうにされております。本答申の中にはこれに関わることがたくさん書かれているんですが,中野課長のお話にもありましたように,書かれていることの具体化,例えば免許状更新講習の改革であるとか,あるいはICT活用指導力を向上させるための教員養成カリキュラムの改革,こういうことは具体的に話し合われて,免許状更新講習はまだこれからですけども,養成カリキュラムについては一定の実現の方向に行っているということです。
 私としては,ほかもいろいろ課題はあるんだと思いますが,今後もさらに,教員の免許,養成・採用・研修の在り方を検討する際の基本的な考え方みたいなことをまずは2つほど述べてみたいと思います。
 やっぱり一番大事なのは,教員養成の現場を預かっていてひしひし感じていることですけども,教職の魅力化です。教員不足がこの答申に書かれておりますように深刻なわけです。なかなか学生を見ていましても,どうも明らかに教職志向というのは弱まってきているというふうに思います。コロナでそれがいい方向に変わっていくということは期待しますが,なかなかちょっと厳しいのかなと思いますね。
 答申の中でも,教職イメージの向上であるとか働き方改革による魅力向上であるとか,いろいろ書かれております。たくさん書かれております。これは是非進めていかなければいけないわけなんですが,ただ,なかなか現状厳しくて,やっぱり何かもう少し踏み込まないと効果が出ないんじゃないかと思います。
 はっきり申し上げて,待遇改善が必要だと思います。ただ,これは難しい。教師は残業時間を入れると明らかに給料が高いとは言えませんので,給与改善は必要なんですが,これはこれまで検討されましたように,難しい。とすると,変形労働時間制を活用した大幅な働き方の改革といいますか,例えば夏休みを1か月にするぐらいのことを見せないとイメージは変わらないという気がしますね。夏休みを1か月休みにして,自己研鑽を自由に図る時間だというふうな位置づけとかにしないと難しいのかと思います。
 教職の魅力化についてもう一つ。新しい教員像が打ち出されました,本答申で。ICTを活用して,個別最適で協働的な学びをつくる教師です。これは,言うまでもなく,高度専門職になります。これが本当に魅力のある職業,人生にとって意義のある職業だということを強く訴えるといいますか,あるいは具体的に分からせるようなことを今後の検討課題として引き続きやっていく必要があるんだということを述べたいと思います。
 今後の課題に関わって二つ目です。教師の質保証ということです。先ほどから言っていますように教員不足が深刻ですので,このことで免許状更新講習に対する評価が非常に厳しくなっております。あるいは教員免許制度のハードルが高いということで,免許の緩和云々という意見もあります。それ自体が分からないことはないです。
 多様な優秀な人材を教職に引き込む必要が当然ありますので,分かるんですが,ただ,養成もこれまでいっぱい工夫してきているし,改革してきているし,採用も教育委員会も工夫してきていますし,研修もこれまでいろんな政策を出して非常に充実してきているわけですね。ということは,それだけ力を入れないと,資源を投入しないと,教師の力量が高まっていかない。教師の力量が高まらないと,今の学校教育をやっていけないということがあるわけです。
 それを安易に免許とか更新講習等を緩和してしまうということは,質低下につながらないのかなと心配になるわけですね。だから,慎重に検討すべきだと思います。教師不足は大変なんですけど,それだからといって安易に下げていくというのは非常に大きな影響があると思いますね。
 教師の質が下がれば,子供は大変なことになります。さらに現場にとっても,その教師を育成しなきゃいけない。あるいはその教師の扱いにいろいろ苦労することになりますので,働き方改革にも逆行するということがあるんだろうと思うんですね。ですから,今後,教師の養成・採用・研修を検討するときには,質保証ということも本当に重視しながらやらなければいけないと思います。
 最後にもう1点。もう一つの検討課題が,教育委員会事務局の機能強化,具体的には政策立案能力の向上とか,あるいは学校への指導力の向上ということだと思います。これが一層必要になっているという御指摘だと思います。岩本委員や戸ヶ﨑委員もそういうことを強く言われたと思いますが,これは別に今言われたことじゃなくて,これまでもずっと言われてきていることであります。
 ですので,なかなかそれが難しいということであるわけですけれども,この機会により本格的に,これらの育成に本腰を入れるべきじゃないかと思うんですね。教職大学院は高度な学校の専門職を養成するということなんですけれども,制度的には教員だけに限られております。これを教育委員会の教育長であるとか,あるいは指導主事であるとか,あるいは教育委員会の職員じゃありませんけど,学校の事務職とか,そういうところにも養成の対象を拡大するという方向に行くべきだと思います。
 実は,本学兵庫教育大学も教育政策リーダーコースというのがありまして,市町村教育長の養成が主たる目的なんですけども,現職の教育長とか指導主事の人,あるいは学校事務職員の方,たくさん入学されているんですね。だから,そういう実態がありますので,是非それを制度としてつくるというようなことも1つ考えていくべきじゃないかというふうに思うところです。
 いずれにしましても,この答申をまとめていただいて,本当にいい勉強になりました。是非これを実現していく方向で頑張らなければと思います。以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 今,何人かの委員から91ページに関する内容を大変具体的に丁寧にお話しいただきました。91ページの内容は今後も議論していくということで,今いただきました御意見,大変貴重なものでございますけれども,この話はまだこの会議で十分にできていないので,具体的に令和の日本型学校教育を進めていく上ではこういったことも考えなければならないということで,今後の検討課題としたものでございます。これは委員の皆様,御承知のとおりであります。
 したがいまして,この件についての議論がどんどん深まりますと,次の議題をやっていくような感じになってまいりますので,大変申し訳ありませんが,時間の関係もございまして,今,10人以上の方から挙手いただいておりますので,この91ページに関することにつきましての具体的な御提案等はメールで頂戴をするということで,大変申し訳ありませんが,これ以外の中身ですね,91ページ以外のことにつきまして御発言をいただければ大変ありがたいと存じます。
 先ほど篠原委員まで申しましたが,その後,今村委員の御発言,それから三田村委員,角田委員まで今,挙手を挙げていただいておりますので,よろしくお願いいたします。大変恐縮ですが,時間の関係がございますので,天笠先生からで,大変申し訳ありませんが,手短にお願いできるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

【天笠分科会長代理】 天笠です。よろしくお願いいたします。私のほうからは1点申し上げさせていただきたいと思います。
 今回,現在出ている答申案ですけども,様々なことを提起しているわけですけども,その中で1点,この点について大切にしていきたいと思っているところがあります。それは二項対立の云々というところで,二項対立の陥穽に陥るなという,その提言というのが大変大切と思っています。
 振り返りますと,二つ対立させて,そしてAかBかという問題の立て方,議論の仕方,あるいは,いろんな意味での政策の進め方等々があったかと思いますけども,今回の提案は,そういったこれまでの取組あるいは問題の立て方,捉え方の反省という視点を出し,今後そこを乗り越えていくような,そういう方向性というのが打ち出したと私は受け止めておりまして,そういう意味において大変大切な提案ではないかと思っております。
 そういう点からしたときに,デジタル教科書ということについて,それとの関わりで意見を申し上げさせていただきたいと思います。これを二項対立の陥穽に陥らせないようにするということが政策的にも非常に重要ではないかと考えております。
 とかくこの間の経緯を見ますと,どうも紙の教科書か,デジタルの教科書か,二者択一のような,あたかもそういうふうに捉えられがちの展開が現在のところではないかと,個人的な受け止め方をしているわけですけども,是非,そうではなくて,二項対立を超える,紙も,そしてデジタルも併せて新しい授業文化が展開される,学校文化が展開される,そういう方向としてのICT活用であり,デジタルの位置づけだと御期待申し上げたいと申し上げさせていただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大事な御指摘をいただきました。
 では,八並委員,お願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会会長の八並です。荒瀬先生,質問でも大丈夫ですか。

【荒瀬分科会長】 はい。お願いいたします。最後にまとめてお答えいただきます。

【八並委員】 日本生徒指導学会・会長の八並です。質問を二つさせていただきます。
 第1は,資料1の14頁のSC・SSWの活用事業について,質問です。頁の左下に,スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの重点配置等というのがあり,いじめ・不登校対策のための重点配置,虐待対策のための重点配置,貧困対策のための重点配置で学校数が明記されています。そこで質問ですが,この重点配置の学校選択の基準はどのようなものでしょうか。具体的に御教示いただけないでしょうか。
 第2は,資料2の7頁の勤務実態の把握方法の棒グラフについて,質問です。ICカードやタイムカード等の記録による客観的な方法で勤務実態を把握をしている各都道府県別の実施自治体割合で,最高と最低では約60パーセントの開きがあり,また,実施率50パーセントを下回る自治体が8県あります。そこで質問ですが,このような自治体の実施率のバラツキの原因分析をされていますでしょうか。たとえば,実施率の低い自治体への書面による追跡調査やヒアリングなどされて,合理的理由を把握されておられれば,具体的に御教示いただけないでしょうか。
 よろしくお願いします。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。まとめて後から御質問出ましたものをお答えいただきたいと思います。
 では,続けて,喜名委員,お願いいたします。

【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。私からはお礼を2件申し上げたいと思います。
 1件目は,今回の義務教育標準法の改正による35人学級の実現でございます。40年ぶりの改定ということで,大変画期的なことだというふうに思っております。このことによって個別最適な学びとか協働的な学び,それから1人1台端末の活用とか,それから教員の働き方改革にも大きく貢献する初めの大きな一歩だったなというふうに思っております。全国の校長会を代表してお礼を申し上げたいところでございます。
 ただ,一方で,このことによって,改めて教員の確保ですとか教員の質の担保について課題が明確になってまいりました。先ほど加治佐委員からもお話がございましたように,今,学校現場はかなり逼迫した状況で人材不足がございます。このことについて大きな改革をしていかなければ,国策としてやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。そのことが今回の91ページにも載っているところでありますけれども,急を要する問題だというふうに思っているところでございます。
 2点目は,今回の答申のところでありますけれども,大変丁寧にまとめていただいたこと,意見を全て吸い上げていただいたことに感謝申し上げます。先ほどのお話もありましたけれども,これを学校現場としてどういうふうに実現していくか,この理念を理解していくかというところであるかなと思います。
 第1には,小学校はこれから2年目に入りますが,新学習指導要領の着実な確実な定着,実施ということが必要でありますし,今回のGIGAスクール構想の1人1台端末をどう活用して授業改善を進めていくか。それから働き方改革を進めていく,こういうことも考えながら,この理念を実現していきたいというふうに思っています。ここからは学校現場に課せられた課題だなというふうに思っているところでございます。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,牧野委員,お願いいたします。

【牧野委員】 私のほうからは,答申でいきますと54ページの丸5番,関係機関と連携・協働した高度な学びの提供に関連して申し上げさせていただきます。
 今回の予算でもマイスター・ハイスクールの新しい取組が予算化されて,私自身は大変期待をしているところですけれども,新しい関係機関との連携というものは,文科省として,手を挙げてもらって,そこに予算を付ければできるという,そういったものではないと常々申し上げているところであります。
 マイスター・ハイスクールの取組におきましても,その点につきましては十分考慮していただいていて,伴走支援の仕組みを何とかつくっていこうと考えていただいておりますけれども,こうした関係機関との連携・協働につきましては,産業界あるいは地元の自治体と教育関係者の皆さん方が連携していくためのコーディネート機能を発揮させることがこの事業の成否の鍵となる重要な取組と理解をしているところであります。文科省としては大変大きな新たなチャレンジだと思いますが,是非,そうした取組を実現していくために,現場に自ら入っていくんだ,そして伴走支援をしていくんだという姿勢を明確に出していっていただきたいと思います。
 今までのように受け身で,手を挙げてもらって,できそうなところに予算を付けて,それで終わるというやり方ではそうした関係機関との連携・協働はできません。よろしくお願いを申し上げ,私からのコメントとさせていただきます。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,続きまして,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市みどりの学園の毛利です。私もこの答申案に強く賛同いたします。本当にすばらしいものができたと思います。
 それで,この答申案を実現するためには,中身に新しい学び方,学力向上,働き方改革,特別支援教育,オンライン学習時など今後の新しい学び方など様々なものが盛り込まれておりますが,それらを実現するために重要なものがICTだと考えています。
 本校でもこの12月に1,300名のタブレットが入り,授業で活用が始まっています。使えば使うほど重要度が増してきているなと考えているのが高速ネットワークです。先ほどの補正予算にも盛り込まれておりましたが,今後更に重要になってくるとのではないかなと思っております。せっかくの答申案を実現するため,この教育改革のブレーキにならないように,是非整備を今後とも進めていただきたいと考えております。
 最後に,このような今後の日本の発展を担うような重要な答申案に関われたことに感謝申し上げて,終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 毛利先生,ありがとうございました。では,善積委員,お願いいたします。

【善積委員】 ありがとうございます。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの善積と申します。学校現場に入らせていただいて,業務改善の御支援をすることなどをさせていただいております。この答申案を拝見しまして,非常にすばらしい,内容に踏み込んだものができたんだなということで,すごく感激しているところです。
 これが実際運用されていくためには,学校現場がこの内容を理解し,それが実行されるように各学校の様々な状況をアレンジしていかないといけないんですが,もちろん教育委員会のリーダーシップの下にはなりますけれども,それをやっていくためには校長先生等,管理職の方のマネジメント力が非常に重要だと思っております。我々がいろいろ視察させていただいている学校現場でも,管理職の方の意識,関わり方で結果が全く変わってきます。そういう意味では,管理職の方たちへの意識づけというか,やり方を伝えていくということがとても必要になってくるというふうに思います。
 併せて,学校現場が何か変えていこうとするときに,必ずと言っていいぐらい立ちはだかる壁が予算のようですね。例えば職員室などリフォームして,働きやすい職場をつくろうというときに,整理整頓などの必要な作業のほかに,職員室の改修というようなことまで踏み込んでしたほうが効果があると思われるときでも,学校予算というところがあまりない中で動きが取れないという話が出てくるんです。それはパソコンもそうでしょうし,Wi-Fiといった環境,古い電話機の取り替え,そういったところがその影響を受けていると思っています。もう少し,マネジメントの力量が高まること併せて,予算が裁量の中で使えるような仕組みと動き方を推奨していくということも必要かなというふうに感じています。
 それと,働き方改革のアンケートの中で,行事の見直しなどで時間が短縮できたという結果が出ていたかと思いますが,コロナということも背景にはあると分かっていますが,これを1つの機会として,行事が本当に必要なものなのか。従来からやっているから続けているという判断でしているのかどうか,こういう見直し自体をもっと国としても推奨しているという意識を,書かれてはいるんですけど,もっと伝えていかれてもいいかなと思っています。
 保護者や地域に対して配慮されて,その一歩が踏み込めないという学校も多くございますので,それが必要なこと,もちろん子供のために先生方が時間をもっと集中させるために必要だということも含めて,説明ができるような,そういうちょっとムーブメントというか,そういったものをつくっていかれてはどうかなというふうに思っています。
 最後に,研修というか,教職の教員免許のお話があったと思いますが,私はそこについて専門家ではないので正しく内容が分かっていないところはあるんですが,今,我々が感じる先生方にとって必要な要素の1つが社会人としての振る舞いというか,判断だったり,例えば情報の取扱いであったり,ハラスメントであったり,そういったところをしっかり理解をしたほうがいいんじゃないかなというところがあります。それが,ひいてはいろいろな問題を引き起し,仕事の時間を拡大させたりしていることの要因にもなっているところがありますので,そのあたり,学校を卒業して教員試験を通れば,先生として現場に立ってしまうことの流れのどこかで,きちんとそういう自覚,意識,知識を持っていただくようなカリキュラムというのはつくれないのかというところは,ちょっと感じておりましたので,この答申案の内容と併せて,ちょっとお話しさせていただきたいと思って,申し上げました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,二見委員,お願いいたします。

【二見委員】 発言の機会与えていただき,ありがとうございます。
 今回の答申案につきましても,私,終始申し上げてきたのは,離島,へき地,中山間地域の町や村の代表として,教育の困難さについてお願いしてまいりました。それらについても随所に取り上げていただき,感謝しております。
 1,724の市町村の中で,町と村が925あるわけです。半数以上が町と村であります。そういう中で,多くの議論が都市集中の感じがいたしましたし,人口減少と衰退の一途をたどる地域にとっては,その状況を聞きますと,むしろ大変厳しい状況があります。というのは,九百幾らのうちの半数以上で指導主事が配置できていないという状況は,以前も申し上げました。そういう中で,小さな自治体の教育委員会の指導体制の強化というのは,着実に進めなければいけないと思っております。
 今回の答申案が文部科学省の中で議論され,具体的なものになっていく中で,常に中山間,離島,へき地を念頭に置いていただきながら,今後の議論も,また,施策も考えていただきたいと申し上げました。本当に長い間,ありがとうございました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,続きまして道永委員にお願いいたしますが,この後,道永委員,神野委員,鶴羽委員,田村委員,吉田信解委員,篠原委員,今村委員,三田村委員,角田委員,それで最後,今のところ八並委員からだけですけれども,御質問にまた答えていただくということで,このままいきますと時間が若干オーバーしそうな気がいたします。大変申し訳ありませんが,もうしばらく付き合いいただきますように,よろしくお願いいたします。
 では,道永委員,よろしくお願いいたします。

【道永委員】 日本学校保健会の道永です。
 この答申案,非常にすばらしいものができたと思っております。まず,教育界と医療界の協力ということで入れていただきました。本当に感謝申し上げます。是非,これが実現できればと思っております。
 また,その基本として,厚労省と文科省の連携が非常に大事だと思っています。皆さん御存じのように,それぞれ所管が違いますので,学校保健の担当する部署を,改めて厚労省と文科省と共同でつくるぐらいの改革が必要なのではないかと思っています。それに加えまして,幼稚園の子供たちと保育所の子供たちの,いろいろな面での格差ができないように,今後,お願いできればと思います。
 本当に2年間,勉強させていただきました。ありがとうございました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,神野委員,お願いいたします。

【神野委員】 よろしくお願いいたします。神野です。
 まず,この答申案,本当にすばらしいものができたと思っておりまして,すごくうれしく思っています。個人的には,2019年6月から中央教育審議会に携わらせていただきまして,GIGAスクール構想だったり,また,このコロナ禍という中で審議に参加させていただいたこと,本当にありがとうございました。
 その中で,私自身の活動にもつながってくるんですが,この審議された答申,まとめられたこと自体を,やはりどう実際の中で浸透させていくか,また,先生方に伝えていくかということがすごく大事だと思っています。岩本委員だったり,戸ヶ﨑委員などもおっしゃられていましたが,このような議論をどう地方自治体の中で推進していくかということがすごく大事になっていくと思っています。
 現状,私が考えている課題感といたしましても,やはりGIGAスクールサポーターですとか,ICT活用教育アドバイザーという制度自体の業務内容はかなり限定的で,そのような政策議論だとか解釈,あとは現場に対する,ICT活用を超えたGIGAスクール構想が目指す姿のアドバイスができない。そのようなところが非常にもどかしく思っていたりもします。もし,継続した議論をさせていただけるチャンスあるのであれば,そのようなこともやらせていただければと思っております。
 今回,ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 鶴羽委員,お願いいたします。

【鶴羽委員】 要望を3点,お伝えさせていただきます。
 1つ目は,1人1台の端末という,喜名先生からも本当に大きな一歩だという御発言がありましたけれども,私もそのとおりだと思いますが,整備すれば終わりではありません。子供たちが一人一人きちんと使いこなせる環境というのは,やはり通信環境ですとか,操作能力もありますので,きめ細やかなサポートが本当にできているかどうかという確認もやっていただきたいと思います。
 といいますのは,私の子供が小学校1年生のときに初めて体験したボランティアは,図画工作の時間に,水彩画の絵具をパレットに子供たちがなかなか全員できない,ちゃんと紙に塗れない,水の量も分からない,洗い方も分からないというところを助けてほしいと。最初はこんなことでと思ったんですけれども,行ってみたら,やはりこういうことも最初は大変なんだと,先生たち大変だったんだなと感じましたので,これぐらいというところで意外とつまずくということも,しっかりと現場の意見を聞きながら,好事例などの情報提供をお願いしたいと思います。
 2つ目は,令和の教育,令和型の教育は,もう間違いなく感染対策が必要になってきます。ウイルスとの闘い,共存ということがありますが,今のコロナ禍の中で,親の不安が子供にやはり行っていますし,経済的困窮家庭は間違いなく増えると思います。そういったところで,健全な知・徳・体,特に徳・体の部分ですが,困難になってくるのではないかと想像もできますので,そのあたりへの備えというのも大事になってくると思います。子供たちの意見を聞きますと,この1年は本当に我慢だと,お楽しみの行事がほとんどなくなったと。来年こそはと,どの小学生も,中学生も,高校生も言っています。それをどう守ってあげられるのか,もしできなかった場合は,どういうような貴重な体験,成長という部分を保証してあげられるのかといった工夫も大事になってくると思いますので,お願いいたします。
 3つ目,最後は幼児教育の部分です。私は,元北海道教育委員会の委員で,幼児教育センターの立ち上げにも関わってきた関係で,研修にも関わっているんですけれども,北海道はオンラインの研修ができませんでした。通信環境もそうですけれども,やはり幼児教育施設は遅れています。ですので,こういったところの環境にも,是非これからは目を向けていただきたいと思います。
 今まで本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,田村委員,お願いいたします。

【田村委員】 特別支援学校の教員の立場から参加しております,東京都立光明学園校長の田村でございます。
 まず,特別支援に関しては,初等中等教育,つまり幼・小・中・高と広く関わる中身であるとともに,特別支援教育という別の場,学校や学級があるというところは,非常に多岐にわたる中身を含んでいますので,有識者会議というものを別に置いていただき,そこで詳しく集中的に審議の場をつくって,こちらの特別部会に反映させていただいたことに深く感謝を申し上げます。
 今回の答申案の表紙には,「全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学び」と掲げています。特別支援教育では,一人一人の障害から生じる困難を軽減するための環境調整をしながら,個々の進度や理解特性に応じて学習をするということが前提の教育ですので,これまでずっと積み上げてきた中身とこのタイトルに示す内容が非常にリンクします。特別支援教育と初等中等教育がきっちりかみ合わさった答申になったことをうれしく思っております。
 もともと,小・中学校や高等学校に学ぶお子さんが入院して登校できないとき等にも,遠隔学習という方法も手段の一つとして特別支援教育の場では積み上げてきた経緯があります。コロナ禍にあって,こうしたものが通常の教育の場でも広がりつつあります。個別最適な学びのための教育の整備は,特別支援教育のノウハウ,あるいは通常のノウハウとのやり取りの中で更により良い方法を見いだしていくものと理解しています。
 特別支援学校の最新の学習指導要領は,教育の連続性というところで,小・中・高に全部つながるように,今回,特に充実されました。ですから,お子さんが必要に応じて特別支援教育と通常の教育を行ったり来たりするということも想定されているのです。これからは両者が二人三脚で,それぞれの場の教員同士が交流しながらやっていく中身だと理解しております。ありがとうございました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,吉田信解委員,お願いいたします。

【吉田(信)委員】 皆様,こんにちは。この間,大変お世話になりまして,ありがとうございます。
 正に,この答申案のタイトル「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」ということで,本当に様々な,個々具体的な中身の詰まった,すばらしい答申案ができたと私も感じております。そういう観点から,全国市長会の社会文教委員長という立場もございまして,改めて1つ質問と,幾つかお願いという形でさせていただきたいと思います。
 以前,この答申案の協議の中で,外国人児童生徒に対する日本語指導教育の充実の観点で,定数18人に教員1人という,18人という数字はちょっと取ったほうがよろしいのではないかということを申し上げました。これはちゃんと取られていて,よかったなと思っておりますが,資料1,令和3年度の初等中等教育局関係予算について出されておりますけれども,3ページ,学校における働き方改革等の2番目の丸,教育課題への対応のための基礎定数化関連というところがございますけれども,外国人児童生徒に対する日本語指導教育の充実ということでプラス90人となっております。例えば,定数18人はここから削られたわけですけれども,その後,もう少し少ない定数でという議論がちゃんとなされて,そういう方向に行っているのかどうか。
 具体的に申し上げますと,私どものまちでも外国人のお子さんが増えておりますけれども,例えば18人に満たない場合,果たして本庄市で外国人指導教室ができるのかどうかという不安の声もございます。こういった各市町村の実態を酌み上げていただいて,制度改正に向けての議論がなされているのかどうかということについて,是非お聞かせいただきたいということが1点ございます。
 それから,次はお願いでございますけれども,正に全ての子供たちのための個別最適な学び,誰一人取り残さないという言葉がございますけれども,やはりこれから特別支援教育というのは本当に重要になってくるということを感じております。いろいろな方々から様々な御意見をいただいておりますけども,例えば私どものまちでも,10年前,平成22年度に特別支援学級で預かっていたお子さんは92人で,令和2年度はその倍以上,197人という状況がございまして,確実に特別支援教育,特別支援学級に通うお子さん方は増えております。これは,過去に比べて,より細かくいろいろなお子さん方への対応が可能になったからこそ増えているという状況が,実はございます。特別支援学級の内容を見ても,聴覚,自閉,知的,肢体不自由,あるいはその他,様々な課題に対応しようということで,例えば私どものまちでも,余裕教室を改造して,更にきめ細かい対応をしようということで,新しく教室を改造して作っている状況もございます。これは,全国の市区町で起きているところでございますので,是非特別支援教育については,例えば現在のところ,通級による指導については定数が13人に1人ということになっておりますけれども,もう少し定数を少なくするとか,そういう制度改正に向けた,より一層の取組を行っていただきたいということを併せてお願いしたいと思っております。
 最後になりますけれども,全国市長会としても,GIGAスクールの推進,それから今般の少人数教育,35人学級という英断を文科大臣のほうで下していただいて,本当によかったと思っております。全国市長会としても,声を上げてきたかいがあったと思っているところでございますけれども,同時に,先ほどもお話がございましたように,少人数学級の実現が進んでいきますと,それに伴って,やはり様々な整備していかなければならない課題もあるわけでございまして,全国市長会と町村会で,1月5日に,少人数教育の推進に関する意見というものを文科省に提出させていただいたところでございます。
 その中で,特に教員の確保についてお願いをさせていただいておりますけれども,多くのベテラン教員が定年退職する時期を迎えている中,全国的に教員の採用倍率が減少傾向にあり,質の高い教員を確保しなければならないということで,実効性のある方策を講じてほしいということも盛り込ませていただいております。特に,加配定数を基礎定数に振り替えた場合,加配によりまして独自に行っている専科指導員や,あるいは日本語指導員等の配置ができなくなることなど,これまで実施してきた,先ほどから申し上げておりますきめ細かな指導体制の構築が困難になるおそれがあるということから,加配の措置については後退させることなく,教職員定数を拡充させるということを是非お願いしていきたいと思っております。
 その他もろもろ,少人数教育の推進に関する意見ということで上げさせていただいたところでございますので,こういった点,是非お酌み取りいただきたいと思います。
 最後になりますけども,私はこの間,この答申では主権者教育ということについて申し上げておりました。これは,この答申の中にも書いておりますけれども,人のために役に立ちたいということをアンケート等で答えるお子さんが大変多いということで,日本の教育は,自分だけじゃなくて他者を思いやる気持ちを持ったお子さん方を育てているという非常に大きな効果が今までもあったし,これからもそういったことをちゃんとしていかなきゃいけない。すばらしいことだと思います。
 ただ,非常に残念なのは,18歳で主権者になったにもかかわらず,現実は非常に投票率が低いわけでございます。自ら政治に参画する,自ら地域社会,あるいは日本という国,そして人類の社会に貢献していくという気持ちを持っているにもかかわらず,一歩踏み出して,自分もそういったことに頑張ろうと,あるいは自分が社会を支えているんだという気持ちが,優しい気持ちは持っているんだけれども,本当に支えようという気持ちになっているのかどうか。実際の非常に低い投票率なんかを見ていますと,もっともっと主権者教育をやっていかなければいけない。
 それは,お子さんにやるだけじゃなくて,先ほどからも出ていますけれども,やはり教員の先生方が主権者教育について真剣に考えて,皆さんは大人になって社会を背負っていくんだと。そういった主権者教育のありようというか,あるいは教え方のノウハウであるとか,地域においては自治体もこういったことにはしっかり協力しようと思っておりますので,是非主権者教育については,特に高等学校教育の分野においても,市町村の場合,初等中等教育については,かなり地域社会とのつながりを意識したような形になっておりますけれども,高等学校教育において,果たして日本社会,あるいは地域についての,何といいましょうか,しっかりとした見識を持って社会をしょっていくんだという教育ができているのかどうか。私自身も,まだそこは詳しく調べておりませんけれども,結果として低投票率になっているという現状を是非重く考えて,主権者教育の充実にこれからも力を尽くしていただきたい。私も,一首長として責任があると感じておりますので,そのことを1点,申し上げさせていただきます。
 最後に,繰り返しになりますけれども,この答申案のまとめに当たって本当に多くの方に御苦労いただいたことに心から感謝申し上げて,私からのお話とさせていただきます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,お待たせいたしました。篠原委員,お願いいたします。

【篠原委員】 私からは2点ばかり。
 1つは,今,吉田委員からもお話が出たんですけれども,主権者教育のところです。答申でいえば20ページ,高等学校教育というところで書き込まれていますけれども,今,主権者教育推進会議という会議が文科省にございまして,その中で主権者教育の推進についていろいろな方策を議論しているところでございます。やはり子供の頃から,小・中学校の頃から養っていかないと,高校では遅いという方向性を,今,我々は出しているところでございまして,高等学校のところだけに主権者教育という記述があるんですが,小・中学校からの流れを少し盛り込んでもらえないか。そこが大事なんだということを記述の上で工夫していただければと思います。
 もう一点は,デジタル教科書のところですけれども,聞けば聞くほど,紙の教科書を使っていいんですよと言いながら,どんどん,どんどんデジタルに持っていこうとしているという感じが,私は否めません。印象がね。子供たちが紙媒体というものに触れる第一歩が教科書なんです。だから,そこのところを考えますと,もう少し紙の教科書と,私,デジタルの教科書を使うことは全く否定しませんし,大いに利活用したらいいと思うんですけれども,その併用についてはもう少しこれから考えていかないと,今の調子だと,結局,デジタルの流れに全部押し流されていくという懸念を,私は非常に持っております。ある面で,紙に触れるという最後のとりでが教科書だと私は思っておりますので,そこは是非守って,その上で,デジタルをどういうふうに併用していくかということの落とし込みがもう少し大事じゃないか。検討会議のところにも,無論そういう流れがありますし,答申案の78ページのところですね。それから,検討会議のほうも拝見しましたけれども,ちょっとそういうことを憂慮いたします。
 ここで何回か申し上げたかもしれませんけれども,今の学習指導要領の中に「紙の教科書を基本としつつ」という表現が入っているんです。これとの整合性をどう取るのか。だから,ここの整合性をちょっと書き込んでもらいたいんです。基本は紙だということが学習指導要領の中にはっきり書かれているんです。単にデジタルとうまく併用すればいいですよという,2分の1を取っ払うのも構いません。だけど,基本は紙であるということが学習指導要領にきちんと書かれているわけですから,そことの整合性をどう取るのか。あるいは,学習指導要領をこれから変えるのか,どういうふうにするのか。その辺のところをもうちょっと分かりやすくここに書いていただかないと,ちょっと納得しかねるという感じがいたしました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,今村委員,お願いいたします。

【今村委員】 すみません,ちょっと風邪を引いていまして,聞きづらい声で大変失礼いたします。
 発言の機会をいただきまして,ありがとうございます。本当に私も素人ながら,今回の議論に参加させていただきまして,たくさん勉強させていただきました。
 まず,オンラインで開催することを,あのとき決めていただいた文科省の皆さんの勇気と,何よりもそれによってどこからでも参加できるようになったということが,今回の一番の成果なのかなと個人的には思っています。ただ,ちょっと残念だったのは,荒瀬先生のような知恵と御経験をふんだんにお持ちの方の意見がなかなか表明しづらいような,対話的というよりは,一方的,発言をずっとし続けなければいけない会議の形も,もうちょっと踏み込んで,令和の中教審,アクティブな中教審に,次の会議からは変えていただくことができたら,もっと教育委員会の会議とか,学校の職員会議とかが変わっていくメッセージになると思うので,中教審の在り方自体も次回に宿題が残っているのかなということが1点目です。
 2つ目ですけれども,12月25日の総会で発言をさせていただきました,答申の中の誰一人取り残すことがない教育を目指した,不登校の児童生徒に対する民間との連携の件について,今回,46ページに踏み込んだ明記をいただきまして,ありがとうございました。可能ならば,不登校になってから,教育支援センターや特例校,民間施設にお世話になる世の中ではなくて,自分の学びを自分で選択できる日本になっていったらいいというのが,やはり本当に目指したい姿かなと。ただ,一条校はどうするのかとか,虐待家庭の子はそんな自由に選べるのかとか,いろいろな問題が含んでいることは十分承知ですけれども,18万人の子供たちの中で,まだそういった公的な支援が受けられていない子が6万人はいるということも別のデータで見ていますので,誰一人取り残すことのないということを,教育を,学びを選べるというところにまで,次回以降の宿題として検討を入れていけるといいかと。書けるかどうか分かりませんが,申し上げさせていただきます。
 急ぎ足で,もう一つですけれども,先ほど善積先生がおっしゃっていた,コロナ禍を行事等の見直しのきっかけにするという点,どこかに明記されているのかもしれないんですが,ちょっと見つけられなかったので,これについても重要なことだと思っています。教員の多忙化,教員の魅力化という議論でも,コロナ禍でやらなかったことの中に,本当にやらなくて課題として残ったことは何だったのか。実は部活動の指導しなかったことで,子供たちにどのような影響が出たのか,出なかったのか。卒業式,入学式,始業式,運動会,いろいろなものをやらなかったとしたら,それは本当に影響があったのか,なくてよかったのか。何を取りやめていいのかということが,中教審の次の重要なテーマだと思うので,このコロナの1年間の中でやらなかったことを検証するという点は,もしかしたら最後の特記事項の中に書いてもいいかと思います。
 最後に,加治佐先生に大変失礼なんですけれども,教員免許の研修を緩めることが質の低下にならないかという御発言がありました。一理あるなと思いながらも,やはり若者たちに人気がない仕事になっているということを見たり,では今の教員集団は質が高い状態なのか,理想の状態なのかというところは,やはり疑問があると申し上げたいと思います。どうしても質が,質という議論は難しいんですけれども,教員集団に等質性と画一性があるように私には見えています。多様な知識または経験を有する質の高い教員が教育を行うという,それを実現していくために,専門性の高い,多様な経験を持った人たちが集まる集団に変えていくということをビジョンに掲げながら,本当に59単位が必要なのか,そこは見直しをかけることも必要かと思っています。
 皆さん,どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。どうぞ,お大事になさってください。
 では,三田村委員,お願いいたします。

【三田村委員】 ありがとうございました。
 すばらしい方向性が描かれたと思っております。と同時に,私たち学校で直接,子供たちを指導する者の責任の重さというものを痛感しております。その上で,大きく2点,申し上げます。
 あまり議論されることはありませんが,とても大事なのは,一番には学校内における人材育成,これだと私は思っています。教育委員会の研修,これも大事ですけれども,どうか学校の中での教員人材育成が円滑に進むための御支援を,様々なところにお願いしたい。働き方改革のさらなる推進もそうですし,それから教員定数,そして小学校で実現した35人学級,是非段階的に中学校にというようなところでお願いしたいと思いますし,また校内での人材育成が円滑に進むための手引きですとかリーフレットというようなものも作成していただけるとありがたいなという,これが1点です。
 そしてもう1点は,教員が担うべきものに専念できる状況,これをつくるために,学校に様々人材が円滑に入ってくる,これが実現するといいなと思っています。これまでもたくさんの,そして特に今年度,コロナ禍への対応で予算をつけていただいているんですが,やはり学校で,狭いエリアの中での人探しというのは実に困難を極めています。もう,そもそも学校やっている時間に時間の空いているという人は少ないです。ですから,学校が見つける努力に限界があるので,こういったところで予算が有効に活用させていただけるよう,人材確保という点でも行政の御支援をいただければ,よりいい教育が実現するのではないかと思います。
 以上でございます。お世話になりました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,角田委員,お願いいたします。

【角田委員】 時間が押しているところ申し訳ありません。リクルートキャリアガイダンスの角田です。
 感想になりますけれども,今回の資料8の答申素案に対する意見の2ページ目の上の御意見,「1人1台端末の整備に当たっては,『デジタル・シティズンシップ教育』を推進し,批判的デジタル・リテラシーを育む必要がある」という御意見,自分も非常に共鳴したところです。トランプ大統領のツイッターのアカウントが永久停止になるといったことがありましたけれども,デジタル社会の中での行動規範は,狭いルールなどを超えて,大人も若者も自ら考えながら構築して身につけていくべきもので,今後の社会の中では不可欠だと思います。そして,今後の社会はいや応なくデジタル社会になっていくわけですから,よりよい社会の担い手としての主体,主語となる生徒の教育は,すなわちデジタル・シティズンシップ教育になるのではないかなと思った次第です。篠原委員,主権者教育の会議で是非デジタル・シティズンシップ教育について議論していただけたらと思いました。
 そして,知・徳・体が一体となるのが日本型教育ですが,私は,知・徳・体,いま一つ好きではなかったんですけれども,私たちが目指す「知」というのは,知の中に「徳」が含まれているということなんだと,これからも常に教育を考えていくに当たっては忘れてはならないんだろうと思っています。
 これまで,ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,今,手を挙げていただいています方の最後になりますが,堀田委員,お願いいたします。

【堀田委員】 東北大学の堀田です。
 答申案の取りまとめ,ありがとうございます。賛成いたします。1点,一番最後の今後の課題のところに関連して申し上げます。
 御存じのとおり,GIGAスクール構想で1人1台の端末が学校現場に入ってきておりますけども,これはそもそも端末を配るということよりも,むしろその先にある,学び続けるこれからの時代に,常に端末を身近に置いてクラウドサービス等を利用しながら学ぶという環境を与えて,これからの時代の学び方を経験させようという考え方の下に起こっている話だと私は理解しております。デジタル教科書も,これからの供給コストを考えればクラウド前提になっていくと思いますし,全国学力・学習状況調査等がいずれCBTになっていったら,これもネットワークが非常に重要になります。毛利委員もおっしゃいましたけれども,高速ネットワークというのは不可欠だと思います。
 そういったとき,学校の運用もそうなんですけれども,最後に書いてある教育委員会のこれからの役割と関連するんですが,高速ネットワークの整備のほかに,クラウドの活用に対する十分な活用の許可であるとか,学習ログの取得とそのデータに基づいた学習指導であるとか,あと,端末持ち帰りの許可などです。端末持ち帰りについては,最近話題になっていますけども,自治体によっては禁止しているようなことがあったりします。GIGAスクール構想の考え方とズレているわけです。GIGAスクール構想の考え方についての情報提供を文部科学省としては今までもしてきていらっしゃるわけですけども,なかなか教育委員会に十分に伝わりきっていない部分があるかなと思います。この答申に書き込むのは難しいと思うんですけども,この答申の発出とともに是非これらの働きかけも更に強めていただければと思います。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 大変進行がまずくて,長時間延長してしまっております。申し訳ありません。まだ御意見おありの方いらっしゃるかと思うんですけれども,改めて事務局のほうにメール等でお送りいただくということで,よろしくお願いいたします。
 では,八並委員と吉田信解委員から御質問がありましたので,そのお答えをよろしくお願いいたします。

【江口児童生徒課長】 児童生徒課長の江口でございます。
 八並先生から,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの重点配置についての考え方ということで御質問をいただいております。スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーにつきましては,これまで体制,配置の充実ということで努めてまいりまして,令和3年度も補助制度ということで基礎的な部分に上乗せする形で重点配置分を予算上で措置をさせていただこうということでございます。重点配置の考え方ということでございますが,こちらにつきましては基本的に,いじめ,不登校,あるいは虐待,貧困等々の関係する児童生徒が多いところへの追加的な配置として考えていただければいいかなと思っております。ですから,そういう意味では基本的には各自治体の御判断でやっていただくということを考えております。
 ただ,それでは具体的にどこだということで話が進みませんので,私どもとしては基本的には,児童生徒数が多い比較的大規模な学校ということで積算をし,重点とはさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 続けて,お願いいたします。

【生方財務課課長補佐】 失礼いたします。財務課長が所用により退席してございますので,同じく財務課の生方からでございます。
 勤務実態の具体の把握方法につきまして,八並委員から御質問をいただきました。こちらにつきましては御説明させていただきましたように,ほぼ全ての都道府県において導入割合が増加して,前進しているところでございますが,御指摘のように都道府県にばらつきがございます。これは,勤務実態を調査する過程におきまして都道府県に聞き取り調査を行ってございます。大きく分けまして,大きく伸びているところにつきましては,やはり都道府県の教育委員会が主導的に,先進的に取り組んでいただいていると。一方で,伸び悩んでいるところにおきましては若干タイムカード導入に係る予算的な裏づけ,そういったものがネックになっているという状況がございました。
 いずれにしましても,こちらの報告の31ページにも記載ございますが,今後の取組としましては,例えば,外部人材等のスクール・サポート・スタッフ等の外部人材の補助事業の際に,客観的な勤務実態の把握を前提条件にすることなどを通じまして,教育委員会に対する取組を促していくといったことですとか,あとはそのフォローアップ,好事例の横展開,こういったものを進めてまいりたいと思ってございます。
 引き続き,吉田信解先生からは基礎定数化の部分でございます外国人児童生徒に対する日本語指導等の教育の充実につきまして御指摘をいただきました。御案内のとおりでございますが,こちらにつきましては平成29年度から令和8年度まで,10年間にわたりまして基礎定数化をまずは着実に進めていきたいと考えてございます。ただ,一方で委員から御指摘ございましたように,配置基準の18対1,こちらについてはほかの各自治体等からも見直しといったような指摘もいただいているところでございますので,現場の実態等も踏まえつつ,さらなる指導の充実に向けまして,引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 御回答につきまして更に御意見,御質問ございますかもしれませんが,それはまたメールでお願いするということにいたしまして,大変延長してしまって申し訳ありません。
 この答申案なんですが,本日の御意見を踏まえまして,必要な修正を行った上で,1月26日火曜日に予定されております中央教育審議会総会で御報告をさせていただき,御審議をいただこうと思います。その際の 文言の調整でございますが,私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 本日も大変貴重な御意見をたくさん頂戴いたしまして,ありがとうございました。本当に何度も申しますが,進行がまずくて申し訳ありませんでした。
冒頭申しましたように,本日これが最後の会議となります。第10期の初等中等分科会,そして第19回特別部会,いずれも最後となりますので,瀧本初等中等教育局長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【瀧本初等中等教育局長】 荒瀬先生,ありがとうございます。初等中等教育局の瀧本でございます。本日の会議を閉じるに当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。
 特別部会,それから初等中等分科会の委員の先生方におかれましては,この2年間,本当にありがとうございました。今期は平成の末からスタートしておりまして,令和の時代を迎え,また,1年前からはコロナと付き合う中で,私ども事務局も不慣れな中で,ウェブ会議という形も含めまして,本当に委員の先生方お1人お1人から,本日もまた熱い思い,様々な御提言,御意見を聞かせていただき,本当にありがとうございました。
 先ほど来,多くの先生方からも御発言ございましたが,このまとめていただいた答申案をどう実現していくか,あるいは現場に浸透させていくことができるかというところについては私どもに課せられた責務でございますので,初中局のみならず,省を挙げて全力で取り組ませていただきたいと,決意を申し上げたいと思います。
 未来を担う子供たちの教育の充実に向けましては,我々も精いっぱい努力いたしますが,委員の先生方それぞれのお立場で引き続きお支えをいただいたり,あるいは様々なタイミングで御意見,御指導を頂戴できたらありがたいと考えております。
 改めて,この2年間の先生方の御貢献に心から感謝を申し上げて,御礼の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 瀧本局長,ありがとうございました。
 最後に,分科会長といたしまして私からも一言申し上げます。
 いろいろと課題はございますけれども,これからの社会を生きていく若者が自立した学習者に育っていくように,我々ができることをどうやっていくかが問われているんだと思っております。是非,これからしっかりと,私たちも子供たちを支える一員として取り組んでいくということをお互いに確認させていただいて,最後の御挨拶にいたします。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 これで,第10期初等中等教育分科会,及び第19回特別部会を閉じさせていただきます。本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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