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初等中等教育分科会(第124回) 議事録

1.日時

令和元年12月13日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省旧庁舎 6階第2講堂

3.議題

  1. OECD生徒の学習到達度調査(PISA2018)の結果について
  2. 平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果について
  3. 新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ(案)について

4.議事録

【荒瀬分科会長】 定刻になりましたので,ただいまから第124回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
まず,会議の公開について申し上げます。本会議は,初等中等教育分科会運営規則第5条により,公開を原則としております。また,第6条により,会議を撮影,録音,録画する場合は,事務局が定める手続により申請するとともに,分科会長の許可を受ける必要があります。申請がない行為は行うことができないことはもちろん,会議の進行や他の傍聴を妨げる行為を行った場合は,退場を命ずる等の適切な措置をとることもありますので,あらかじめ御了承いただきたいと思います。傍聴者個人を特定するような撮影及び録画は御遠慮くださるようお願いいたします。
では,会議資料のペーパーレス化と,本日の資料につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長,田中でございます。
委員の皆様,御承知のとおり,現在文部科学省におきましては,審議会等の会議資料についてペーパーレス化を進めておりまして,前回に引き続きまして,本分科会,本日におきましても,基本的にペーパーレスで進めさせていただきたいと存じます。御不便をおかけいたしますが,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,資料の確認をさせていただきます。
まず,机の上にはペーパーの形で議事次第と資料4-1,4-2,4-3のみ印刷したものを御用意してございます。その他の資料につきましては,全て端末の中に御用意しております。端末上に,本日の資料を全て開いたような形で置いてありますけれども,画面の左側に表示のとおり,議事次第,資料1-1から資料4-3に加えまして,参考資料1から4-3がございますので,御確認をお願いいたします。
不明な点等ございましたら,お近くの事務局職員までお申し付けください。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは,本日最初の議題に入りたいと思います。議事次第にありますように,今日は1から4までの議題が用意されております。まず,議題1のOECD生徒の学習到達度調査(PISA2018)の結果について,今村主任教育企画調整官から御説明をよろしくお願いいたします。
【今村主任教育企画調整官】 失礼いたします。資料1-1に沿いまして説明させていただきます。
1ページ目を御覧ください。PISA調査,OECDが実施をしております調査で,2000年から3年ごとに実施をしているものでございます。今回は2018年の調査結果が先日12月3日に公表されておりますので,その内容をかいつまんで御紹介をさせていただきます。
なお,このPISA調査につきましては,各国,各学校での学んだことの定着度を測るというものではございませんで,OECDの方で定めましたコンピテンシーを測るということで,具体的には,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかということを測るものでございます。
それから,この調査は,経年比較あるいは各国間の比較ができるような設計になってございまして,その国の生徒全員について調査をするというものではなく,統計的に各国の各分野の学力測定に必要な人数,最低で五千数百名程度になりますけれども,そうした人数の生徒について調査をいたしまして,その調査結果を基に,統計的にこの国の生徒の学力ということで算出をしているものが平均得点なり順位ということになります。
従いまして,平均得点,順位ともに統計的な数字ということで,数字としては何点,何位というふうに出るんですけれども,実際は幅がございまして,例えば,今お手元の資料の2ページで御覧いただきますとおり,日本と統計的には差がない,同じだと考えられる国なり点数というものは幅がございます。数字がそういったような性質のものであるということを前提にデータをお読み取りいただければ有り難いというふうに思っております。
それから,日本の場合は高校1年生を対象に調査をしてございます。2018年につきましては,2018年の6月から8月にかけまして,各教育委員会,高校の御協力をいただきまして実施した結果でございます。
結果につきましては,1ページお戻りいただきまして,概要を記しておりますけれども,この調査は,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシー,3種類を測っておりまして,数学的リテラシー,科学的リテラシーは引き続き世界トップレベルでございます。
しかしながら,読解力につきましては,OECD平均と比較しますと,それより高得点のグループに位置しておりますものの,前回,2015年より平均得点,順位ともに統計的に有意に低下しております。
また,今回OECDが算定して発表した長期トレンドという,2000年以降の長期的なトレンドを見ますと,日本の読解力の低下は統計的には有意な変化は見られていない,平たんなタイプということで分析されております。
読解力につきましてございますけれども,読解力の問題を分析しましたところ,日本の生徒の正答率が比較的弱かった問題は,テキストから情報を探し出すという分野,それから,テキストの質と信ぴょう性を評価する分野でございました。あわせまして,従来から課題と言われております自由記述におきまして,自分の考えを他者に分かるように根拠を示して説明するというところは引き続き課題となっております。
また,併せて,生徒,学校に質問調査をしておりまして,その中では,日本の生徒は読書が好きな趣味の一つだと答える割合がOECDより高い割合で維持されていると。また,そうした生徒は読解力の平均得点も高いという傾向でございます。
それから,OECDではその生徒の学力を規定する要因の一つとして,生徒の社会・経済・文化的背景,具体的には,親の学歴ですとか,年収ですとか,あるいは文化資本といったことになりますけれども,それとの関係も見ておりまして,これは日本に限らず,各国におきまして,そうした要因と学力というものは相関関係があるということでございます。
しかしながら,その関係の強さが,日本は最も低い国の一つということで,学校教育がそうした関係の強さを弱める方向に働いているというふうにOECDからは評価をいただいているところでございます。
あと,前回等に引き続きまして,生徒のICTの活用状況を調査しておりまして,日本の特徴としましては,学校の授業でデジタル機器を利用している時間が短いということ,それから学校外におきましては,様々な用途では利用しているものの,どちらかといいますと学習ではなく,ゲームやチャットなどに使っているという傾向が強いということでございます。
全ての資料を御覧いただく時間はないと思いますので,例えば4ページを御覧いただけますでしょうか。4ページの上に読解力の定義がございます。今回,読解力の定義が少し変更されておりまして,まずは対象として読み取っていくテキストが書かれたものだけではなく,インターネット空間,デジタル空間におけるテキストを含めるということになっております。また,デジタル空間におけるテキストの特徴としましては,誰でも書き手になれる,誰もが発信者になれるということで,それを前提としまして,書かれているものの中身がどうなのか,あるいは書き手との関係で,信ぴょう性といったところも判断した上で使っていくということが問われていくということで,測定する能力がその右側に3種類ございまして,これをこの調査では測っているわけですけれども,特に3つ目の評価し,熟考するというところで質と信ぴょう性を評価する,矛盾を見つけて対処するということが今回定義として新しく加えられているところでございます。
こうしたところの調査結果が日本の生徒は少し弱かったという結果が出てございます。
続きまして,4ページの下と5ページに,具体的な問題が分かるようなものということでお示しをしております。
5ページを御覧いただけますでしょうか。そちらに今回の公開問題,ラパヌイ島,日本ではイースター島と言っておりますけれども,それを題材とした問題をお示ししておりまして,ある大学教授のブログ,それから書評,オンライン科学雑誌という3種類のテキストを読ませて比較させて,自らの考えを,これらの資料を用いながら他人に分かるように説明をしていくというようなことが問われる問題でございます。
また,操作方法としましては,こうしたパソコンを使ったならではということで,例えばドラッグ・アンド・ペーストをさせるとか,タブを切り替えさせるとか,リンクに飛んでいくとか,そういったような操作もさせるというような設計になってございます。
続きまして,6ページを御覧いただけますでしょうか。6ページ上段は先ほど御紹介した読書活動との関係でございまして,中ほどに五角形のチャートがございます。右側にあるとおり,5種類のジャンルの,いわゆる読書をしていますかということを聞いておりまして,日本はコミックですとかフィクションが多い傾向は見えておりますけれども,様々なものを読んでいるということです。
あと,文章のところに記載しておりますが,日本も含め各国で新聞や雑誌を読むという割合は急速に低下をしている状況がございます。
それから,6ページの下の段に,国語の授業に関する生徒の回答がございまして,国語の授業の雰囲気としては落ちついているということでございます。それから,先生の支援につきましてもOECD平均よりも高いということでございますが,三角形でいきますと,左側の具体的なフィードバック,どういうところを改善したらいいかなどの具体的なフィードバックについてはOECD平均よりも低く,こちらが課題だというふうに考えております。
次飛んでいただきまして,9ページを御覧いただけますでしょうか。9ページ,10ページがICT活用状況調査から少し御紹介しているものです。
9ページは,生徒の学校外での平日のインターネットの利用時間と,3分野の得点との関係でございます。
まず,利用時間につきましては,赤で囲みました長時間,4時間以上の部分については,OECD平均よりは,まだ長時間行う子の割合は少ないんですけれども,いずれにしても長時間化しているということが読み取れます。
それから,下段の3分野の平均得点との関係ですが,日本も含め,各国とも4時間を超えますと平均得点は低下するということです。
しかしながら,4時間まではOECD平均は上昇,つまり,インターネット利用時間と学力との関係が正の関係にあるんですけれども,日本の場合はほぼ横ばいで変わらないという,少し違った動きになっております。
その違いの要因として考えられることとして,10ページを御覧いただけますでしょうか。10ページは,デジタル機器の利用状況ということで,まず,上段の棒グラフは学校の授業でどの程度使っていますかということで,これは高校1年生に聞いておりますので,高校の授業というふうに御覧ください。御覧いただきますとおり,利用していないという率が圧倒的に日本の場合は高いということで,OECD各国の中ではほぼ最下位という状況でございます。
それから,学校外の利用につきまして,グラフ10本お示ししておりまして,左側が学習に用いるものということで,こちらは★のOECD平均2割程度と比べると,日本は非常に低いという状況でございます。
右側の,ネット上でチャット,1人用ゲームで遊ぶなどはOECD平均をはるかに超えているということで,やはりOECD各国と比較しますと,日本は少し使い方が偏っているのかなというふうに思っておりまして,それが先ほど9ページで御覧いただきました利用時間と学力との関係の違いに表れているというふうに思っております。
こうした結果を踏まえまして,11ページで文部科学省の施策をまとめております。大きく3つまとめておりまして,1つ目としましては,まずは新学習指導要領に沿って着実に教育改革を進めていくということでございまして,先ほど来申しております読解力につきましては,小・中・高校を通じた国語科の指導,言語能力の育成,そして情報活用能力の育成をしっかりと行っていくということでございます。
それから,2番目としましては,ICTの環境整備ということで,きちんと1人1台使っていける環境を整えていくと。それと併せて,きちんと使えるような指導をしていくということがございます。
最後,御紹介が少しになってしまいましたけれども,全ての生徒にきちんとした教育機会の確保,それから質の高い教育の提供ということが重要でございまして,先ほどの調査結果も踏まえました,必要な層に必要な支援をしっかり行っていくということも重要だというふうに考えております。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 御説明どうもありがとうございました。
それでは,少し時間を取りまして,御質問,御意見等ございましたら頂戴したいと思います。いつものように札を立てていただきまして。
戸ヶ﨑委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 このところ会議を欠席しておりましたので,これまでの流れが理解できていない不安がありますが,読解力の低下ということで,大きく2つほど述べさせていただきます。
1つは,OECDでいう読解力の定義と,一般の国民の考えている心情の読み取りや読書力といった読解力との乖離がかなりあるのではないかと思います。教育委員会の立場としては,少なくとも現場の教師が,PISAで測るところの読解力とはどういうものなのかをしっかりと理解していないと,まず話にならないと思っています。学校教育ではこのような読解力を目指しているというアピールを文科省から是非国民にもっと発信していってもらいたいと考えています。
また,読解力低下ということの議論もいいのですが,例示された問題が解けていない現状をどう打破していくのかということを国と教育委員会,現場とが一体となって解決する手段を考えていくべきなのではないかというのが大きく1点目です。
それから2点目は,時代が変わってきて,「デジタル時代に求められる読解力」の育成に向けた何らかの対応をしていかなくてはいけないのではないかと考えます。これまでは,教科書や辞典等,そういったものというのはもう疑いの余地のない,正しいものが書かれているという前提がありました。それらから知識を抽出していくということが,いわゆる読むことの中心の行為だったわけです。しかし,今の時代は砂一時代と言われている中で,あふれる情報の中から取捨選択したり,比較したりできる力,フェイクニュースに代表されるような,真偽を判断する力,そして,AIにはできない,正しく意味を理解して読むということがこれからの読む行為の中心になってくるのではないかと思っています。
したがって,今後の「デジタル時代に求められる読解力」はどのようなものなのかということや,その育成に向けた方策を明らかにしていく必要があるのではないかと思っています。
なお,本市におきましては,4年ほど前からリーディングスキルについての研究等,多くの産官学と連携した取組やEBPM等を推進していく中で,今回のPISA調査の結果から課題とされた内容等に対して,どのような取組がリーディングスキルを向上させるのかと,可能な限りRSTにより,そのエビデンスが出せるようにも努めております。
例えば,テキストの質と信ぴょう性を評価したり,また,批判的に読んだり適切な根拠を用いて表現したり,ICTのフル活用,リーディングスキルテストそのものがCBTですから,CBTに慣れていくということや,NIEの取組,更には教科横断的な学びや正解のない学び,いわゆるPBL型の学習といったものにもチャレンジをしております。
このリーディングスキルについても,多くの自治体等から,読めていないということは分かったのだけれども,どうしたら読解力が上がるのかということを聞かれることが多いのですが,そんな治療法とか特効薬があるのであれば,逆に私どもが教えてほしいぐらいに,そういうものはないと思っています。国語に目がいきがちですが,全ての教科で日々の教育活動を通しながら,意図的,計画的に見通しを持って読解力を地道に育成していくことが何よりも大事であると思っています。
少し長くなりましたが,以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,今,札を立てていらっしゃる委員の方が,清原委員,貞広委員,天笠委員,梶田委員,堀田委員でいらっしゃいます。堀田委員までということでよろしくお願いしたいと思います。また時間が最後に残りましたら,御意見頂戴するということでお願いしたいと思います。
じゃ,順に,清原委員,貞広委員,天笠委員,梶田委員,堀田委員の順でお願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。清原です。
ただいま御報告いただきまして,「数学的リテラシーや科学的リテラシーは引き続き世界トップレベルだけれども,読解力でやや課題がある」ということで新聞報道等でも注目されていました。私も戸ヶ﨑委員と同じような問題意識を持っておりまして,デジタル時代,また,ICT(情報通信技術)が普及する中で,今回改めまして,6ページには,読解力を調べる調査の方法として,コンピューター使用型調査が使われたということでございます。
現在の高校1年生,家庭ではそれなりにスマートフォンやタブレット型端末,コンピューターを使っているようでございますけれども,学校内で使っている比率が他のOECD諸国よりも少ないという御報告もありました。従いまして,今回の結果の一つの要因に,ひょっとしたら,このコンピューター使用型調査で読解力を調べたというところに1つの要因があるのではないかとも推測していますが,その点を事務局としてはどのように考察されているかということが質問です。
意見といたしましては,私は今後,今日の報告でも多分予定されていると思いますが,1人1台パソコンということを国が意思として進めていかれるという状況で,OECDの諸国では高校生段階でもこのような教材を多用する中で,一定の,この調査が求めるリテラシーは日本国の高校生より相対的に高かったかもしれませんけれども,読書量の多さを評価される中,ハードの文字で読むのか,デジタルの文字で読むのかというようなところの両方の読解力の,どういう分野を今後,初等中等教育で強化をしていけばよいのかということも,私たちが受け止めるきっかけにもなるPISAの調査ではなかったかなと思います。
それでは,質問としまして,今回のこのコンピューター使用型調査の影響をどのように考察すればいいのか,あるいは今後,学習にコンピューターが普及していくことによって,今までの読解力とは違う,デジタル時代の読解力について私たちも検討していく必要があるのかと感じましたが,その点についても何らかのヒントがあれば,よろしくお願いします。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御質問につきましては,最後にまとめてお願いしたいと思います。
では,貞広委員,よろしくお願いいたします。
【貞広委員】 御丁寧に御説明いただきましてありがとうございます。落ち込んでしまったところに注目が集まるところですけれども,やはり全体的に見て,非常に日本の子供たちの学力定着が国際的に見て良好であるということが確認をされたということだと思います。
特に,他国と比べて,社会経済的な,家庭のバックグラウンドによる差異が小さいというのは,正に公立学校の役割,格差を広げるのではなく,格差を縮小していくという公立学校の非常に重要な役割を,学校の先生方の献身的な努力によって果たしてくださっているということが示されているということであると思います。
ただ,その一方で,1個前のPISA2015のデータの2次分析を行った研究によりますと,社会経済的な背景による格差は小さいものの,その一方で,子供たちがどの高校に在籍しているのか,つまり,学校間の差として,日本は非常に大きいという分析がされています。もちろん入試がございますので,当然の結果だというふうに受け止められる方もいらっしゃるかと思いますけれども,そうした学校間の差は,学校文化を含めて子供たちの質的な学びの環境を規定して,ひいては,卒業時の達成度や学びに向かう態度も規定してしまうという部分があろうかと思います。
今,正に,高等学校による差異,格差のようなものは,高等学校の部会で議論してくださっていることかと思いますけれども,国際学力テストのデータからも,そのような日本的特徴が出ているところですので,是非その点について引き続き丁寧に御検討いただければというふうに思います。
以上,意見です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,天笠委員,よろしくお願いいたします。
【天笠分科会長代理】 失礼いたします。御報告いただいた結果を踏まえて,先ほど御説明の中に,文部科学省としての施策ということでいろいろ記されていました。ある意味,いわゆる対応策は,ほぼここに挙げられているんじゃないかなというふうに受け止めさせていただきましたし,私としましても,新しい学習指導要領の着実な実施というのが,今回の結果に対する1つの対応ということで,一番大切なところではないかというふうに思っております。
そういうことで,この施策の実施について,これを丁寧に読むと,そのことがしっかりと書き込まれているというような理解の仕方,捉えることができるかと思っておりますけども,その中でも,やはり私は総合的学習の時間,あるいは探究の時間というんでしょうか,それが1つのポイントになる部分ではないかというふうに思っております。そのあたりのところのメッセージを,どう現場の先生方にお伝えしていくかどうかということが大切なのかなと思っております。
前回というか,かつて,いわゆるPISA型読解力が低下したという大きな話題になったときに,対応の手立てとしては,教科としての国語と算数に,より現場の力が注がれるというんでしょうか,というふうな動きというのもあったかと思います。その努力というか,それも一定の下支えというか,あるいは成果を上げていくのに一定の効果を上げたというふうな認識を持っているわけですけども,先ほどの御説明いただいたとおり,いわゆる読解力というのは,正に多様な今日的,あるいはこれから必要とされる様々な資質・能力というものを総合化されたような,そういう性格,特性を持っているんじゃないかというふうに思います。ですから,そういう点で,1つの特定の教科を集約的に,集中的に充実を図れば,それで事柄に対応できるというのとはちょっと,そこら辺のところの認識をもう少し広げていく必要があるんじゃないかと。算数,数学,国語の充実は言うまでもないんですけども,教育課程としてということで,正にカリキュラムマネジメントですとか,教科横断ですとか,そういうことが今回掲げられた,この学習指導要領の方向性をしっかりと受け止めていただいて,それを実践化するというのが,この状況に対しての効果的な対応策の一つになるんじゃないかと思うんですけども,ただ,そのメッセージがどれほど現場に届いて,実践化していただけるかどうかというところが,そこが勝負どころではないかというふうに思います。
ですから,そういう点からすると,教育課程全体を通して,特にそういう意味で言うと総合的学習の時間を指導上の底上げというんでしょうか,充実というあたりに,より着目して,このあたりの今後の対応の施策,展開をお願いできればなというふうに思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,梶田委員,お願いいたします。
【梶田委員】 読解力が余り振るわないということで思い出しました。2007年頃でしたでしょうか,前回の指導要領の改訂の前に,言語力育成協力者会議というのをやりました。これは一応,私,座長をさせていただきましたが,今日も御出席の合田哲雄財務課長が,当時,教育課程企画室長でまとめ役をされたんですが,そのときに,こういうことについてどう対応するか既に出ていたんです。どういうことか。2000年のときも2003年のときも,日本の子供は読解力的なものは余りよくないんです。読解力と言ってしまうから,何か分かったような気がするんですけれども,日本の国語なんかでやっている読解力というのは,心情の読解なんです。共感によって心情を読解する,これはとっても大事なことなんです。非常に大事です。この点は非常にいいんですけど,もう一つ,論理によって状況を分析的に捉えて,それを自分の認識にしたり,あるいは伝えたり,コミュニケーションにしたりというところは余りやっていない。これは当時,その言語力育成協力者会議の中で何人かの委員の方が,欧米の,特にヨーロッパの言語技術,ランゲージアーツ,これのトレーニングといいますか,言葉の教育の中で,例えば絵本だとか,余り言葉でまだ表現されていないようなものもテキストとして与えて,それを5W1Hでどう表現するか。誰がどこで何をいつとか。主として,それをそういうふうに読み解いた根拠は何かということを自分の中で明確にして,人にも伝達するという,これは余り日本ではそういうことまでやりません,5W1H的な。それで最後は,Why,Becauseなんです。Why,Becauseのところは非常に大事になるわけだけれども。
こういうことが議論されて,前回の指導要領の改訂のときに,言葉の力ということで,どの教科でも心情の読み取り的なものではない意味での読解力,論理によって分析的にきちっと状況を把握して,それを組み立てる力,これを考えていかなきゃいけないんじゃないかということが,文科省から出ているいろんな文書にも出ていたと思いますし,いろいろと言われたと思うんですが,そのことが十分に浸透しないまま今日に至ったのかなというのが私の率直な印象です。
日本の国語教育の中の一つの――すごくいいところはあるんだけれども,弱さをあえて言うとすれば,ここでOECDが言っている読解力的な弱さですので,我々はここをきちっと受け止めて,次に向かって,やはり,もう具体は指導の中で,授業が,あるいはそこの中での先生の子供に対する活動というものの組み立て方,これを一工夫しなきゃいけないんじゃないかなと。今までの流れの中で頑張りますというだけでは済まないんじゃないかなということを率直に思いますので,ちょっと申し上げておきたいと思います。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 PISA2018の結果,総じて日本は国際的に高い位置にあるわけですけども,唯一ICTを学習の道具として用いていないという点,これはTALISなんかでも同様の結果が出ているわけですけど,そのことはOECDで最下位であることがこうやって露呈しているわけです。
そのことと単純につなげるのは難しいと思うんですけど,いわゆるテキストの読解力,日本で言う読解力と少し違う,多様なテキストを読み取る力というのが十分に身に付いていないということは,私は恐らく関係があるんじゃないかというふうに思います。
SNSでのチャットで,どちらかというと絵文字のやりとりを彼らはすごく高速でやるわけですけど,学習においては活用できていないわけです。OECDですから経済に関わるような,経済活動に関わっていくような,1人の社会人となっていくために必要な能力として,多様なテキストに学校教育の段階でしっかりと出会わせておくということは大事ではないかと思いますし,特にこれからの時代,ネットを経由して学ぶことが多くなるわけですから,画面の情報を学習の文脈で読み取れないというのは,かなりこれは問題があるだというふうに思いますし,まして,いろんな資格試験等もCBTで行われる時代に,CBTに慣れていないというのがもし理由の一つだとしたら,それもかなり問題だろうというふうに思います。
OECDも日本も,4時間以上,学校外でインターネットを使っていると平均点は下がるのだけども,日本と違ってOECD諸国は,2時間,4時間ぐらいまでは平均点はむしろ上がるわけです。これはインターネットを勉強に使っているからです。日本は勉強に使っていないから,可処分時間を遊びに使っているのだと思います。
これから1人1台のパソコンが入ってくるような時代ですので,是非,学習でどんどん使うことが,学校内でも学校外でも必要になると思いますし,そのためには,使えるようなコンピュータ,使えるようなネットワーク環境がちゃんと整備される必要があって,端末だけあってもうまく使えませんから,そういう教育環境としてのネットワークというのは非常に重要だと思いますし,PISAで言うテキストの読解の力と,情報活用能力のようなものがちゃんと高まるような実践を共有していく必要があると思います。
貞広先生がおっしゃったことに,僕は同じ気持ちでいるんですけど,ESCSによらず,日本の教育は子供たちを支えているという,そういう特徴があるんだけども,これからのICT環境や,あるいは実践の自治体による差が出てしまうと,恐らく地域間格差がもっと広がってしまうと思いますので,そういう観点では,学校もそうですけど設置者にこの辺をしっかりと御理解いただくような形で,国がしっかりと働きかけをしてほしいと思いますし,ゆくゆく先生になる教員養成の段階でこれからの時代に対応する教育が重要ですし,今既に先生になっている人がお忙しい中で受講できるCBTによる教員研修をどうするとかいうことも含めて,検討していくことが必要なのではないかというふうに思いました。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは,時間の関係もございますので,御意見,御質問はここで一旦止めたいと思います。
清原委員から御質問が1件ございました。よろしいでしょうか。お願いいたします。
【今村主任教育企画調整官】 失礼いたします。清原委員から,調査方式がコンピューター使用型になったことが今回の読解力の結果に影響しているのではないかという御質問ございました。
この点につきまして,OECDの見解としましては,調査方法をコンピューター型に切り替えたことによって,例えば,過去の結果との比較ができないほどの影響はないということで,モードエフェクトと言うんですけれども,モードエフェクトはないというふうにそこは分析されております。
しかしながら,国別に見たときに,国によって影響があったかなかったかということについては,このデータ数では分析できないということで,そこは検討の余地があるというふうに聞いております。
我が国の場合は,今回の結果を見る限りでも,やはり影響はあったのかなというふうに考えております。具体的には,まず操作方法として,例えばキーボードが打てないとか,マウスで操作ができないということで調査ができないという生徒はさすがにいなかったんですけれども,やはりコンピューターで調査を受けるということ自体が非常にまれな機会だと思いますので,当然に影響はあっただろうと思います。
それから,日本語に翻訳をして調査問題をコンピューターに載せておりまして,例えば画面で日本語の漢字が多いような,そういったウェブページのようなものを見た場合に,アルファベットで書かれているものとの違いというのは当然あると思いますし,それから,調査の設計としまして,大問として3つか4つ,小問で30から40解くんですけれども,大問1から大問2に移りますと,実は大問1には戻れないという設計になっていることがありまして,それを調査の最初に説明するんですけれども,集中しているうちにそれを忘れてしまって,後で戻りたくても戻れないというのは,やはり紙の調査とは違う特徴がございます。
それから,読解力との関係でいきますと,紙の調査のときは日本の生徒は読解力の問題に,キーとなるところに下線を引いたり,キーワードを囲ったりということをしながら思考を深めて回答を作っていたというふうに見取れるんですけれども,そうした操作がコンピューター画面上ではできないということもございまして,日本の生徒の学習習慣がちょっと生かされない面もあったのかなというふうに思っております。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
【清原委員】 ありがとうございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
それでは,この件,先ほど申しましたようにまた時間があればということですが,矢野審議官,どうぞ。
【矢野大臣官房審議官】 ちょっと補足させていただきたいと思います。
先ほど戸ヶ﨑先生や清原委員から,正確に伝えてほしいというようなお話がありました。これは報道ベースで,いろんな報道がございました。先ほど今村室長からお話し申し上げたような,読解能力のきちっとした定義というか,それを踏まえた報道もあれば,やや旧来型の読解力と誤解を招きかねないような報道ぶり。
今回のPISA調査のポイント,それは旧来型の読解力が無駄,意味がないと言っているわけではもちろんないんですが,今回のPISA,つまりOECDという組織の性格上,現代の最先端の正に情報活用能力というところを重視した今回の調査からいくと,明らかにそのポイントは,9ページと10ページ,つまり,日本の子供たちは,遊びでは使っているけれども,勉強に使っていないと。学校でその使い方を教えていないという,使えていない結果,遊びの方しかどんどん伸びていかなくて,しっかりと本当は勉強に使える,あるいは使わないといけないのに,そちらが置き去りになっている。
1人1台ということを国家の意思として示すという総理大臣の発言がありまして,今日閣議決定で2,318億円の補正予算を投じるということになりましたが,こう言うとすぐ,子供たちが遊んでしまうんじゃないかというような御批判を受けるわけですが,そうではなくて,もう既に家庭でスマホの所有率とかパソコンの所有率がどんどん進んでいってしまって,それで正しい使い方という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんが,教育に使えるような使い方というか,それが全然できていなくて,先ほど見たように,1人でネットでチャットをする,多人数でオンラインゲームで遊ぶというような実態が進んでいる。その結果が今回の読解力に表れているというのは明らかだろうというふうに考えております。
そういったところを現場に,このPISA調査の正確なところをしっかり伝えていくと。それとともに環境整備もしっかりと図っていく。先生方にどういう読解力が今,最先端で求められているということも伝えていく,そういったあたりが非常に重要かなと考えております。
ということで,ちょっとコメントをさせていただきました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今もおっしゃっていただきました最先端の読解力ということでありますけれども,少なくともICT機器を学習に使っていくという習慣をしっかりと付けなければ,1人1台が宝の持ち腐れといいますか,せっかくのものが意味をなさなくなってしまうと,これも多額の税金を使おうというわけでありますので,そこのところは是非,今回の結果と重ね合わせてお伝えいただくということと,もう一つは,先ほど貞広委員から,こういった学校間の差というのが出てくるのではないかという分析をおっしゃっていただきましたけれども,高校ワーキングでそれを議論しているのでしょうというお話でありましたが,まだそこのところは十分にできているとは思わないのでありますけれども,ただ,高校ワーキングで非常に注目すべき現場の声を聞いておりまして,それは何かといいますと,生徒たちにどんな力を付けるのかということを考えたときに,実は学習指導要領というものが付けたい力というのを明確に示していると。それが十分に読み込まれていないのではないかということで,教職員全員が現行学習指導要領と次期学習指導要領を読み込んで,その中でどういう力を生徒に付けるのか。
そうなってきますと,先ほど梶田委員がおっしゃいましたけれども,私も実は言語力育成教育者会議の端っこにおりました者として,そのときに本当に大事にしていかなければならない言語能力は一体何なのかということで,それが現行学習指導要領にも当然反映されていますし,次期学習指導要領でいろいろと御意見のあるところですけれども,国語の科目の設定とか,あるいはここでは余り言わない方がいいと思いますが,高大接続改革にも関わっていろんな議論がなされてきたわけです。だから,少なくとも学習指導要領にもう一度しっかりと足場を置いて考えていこうということ,これを是非,文部科学省はやっていらっしゃるのはもう当然でありますけれども,そこのところを更に一層強めていただければということを思う次第です。
すいません。少し長く時間を頂戴してしまいました。
それでは,次の議題に入りたいと思います。議題2の,平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について,大濱児童生徒課長から御説明よろしくお願いいたします。
【大濱児童生徒課長】 児童生徒課長の大濱でございます。よろしくお願いします。資料の2に基づきまして御説明をいたします。
まず,資料の2の表紙でございますが,調査の趣旨でございますけれども,ローマ字1のところに記載がございますとおり,全国の状況を調査・分析することによりまして,その実態把握を行うということによって,児童生徒の問題行動等の未然防止,早期発見・早期対応に資する,また,不登校児童生徒への適切な個別支援につなげていくという目的,趣旨に基づいて実施しているものでございます。
ページを進んでいただきまして,これはパソコン上ですと右下に3ページと書いてありますいじめの状況についてということでございます。こちらにつきましては,小・中・高,特別支援学校の認知件数54万3,000件余りということでございまして,前年度と比べますと,約3割増えているということでございまして,大変増加の傾向を示しているということでございます。
この要因でございますけれども,こちらにつきましては,学校現場におきまして,いじめ防止対策推進法の趣旨が一定程度浸透したことにより,ささいなものも含めまして,初期段階,早め早めに先生方が対応してくださって,そういった対処をした結果,統計上こういったものが表れていると我々は見ております。
次の右下の4ページでございますが,いじめを認知した学校数の割合を学校種別で円グラフで示したものでございます。こちらにつきましては,全学校でいきますと80%の学校でいじめを認知しているということでございます。他方で,裏を返しますと,1年間でいじめ認知ゼロという学校が約2割存在するということで,高等学校で見ますと4割近く存在するということでございます。こちらにつきましては,いじめ法上のいじめの定義というのは大変広うございますので,そういった意味で,本当にいじめがゼロだということについて,大変我々としては心配といいますか懸念をしているというメッセージはお出ししておるところでございまして,しっかりと,いじめ認知がゼロの学校につきましては,いじめ認知,1年間ゼロであるという事実を,児童生徒あるいは保護者に向けてしっかり公表して,検証を仰ぐということなどを実施していただいて,しっかり対処していただきたいというふうな通知を出しております。
続きまして,右下の5ページ目でございますが,これは学年別の認知件数を棒グラフで表したものでございます。小学校2年生のところで大きく山ができていると,徐々にその後は減ってきているという傾向を示しております。
それから,6ページ目でございますが,いじめの状況でございますけれども,こちらにつきましては,一番多いのはやはり冷やかしですとかからかい,悪口,脅し文句等々,嫌なことを言うというのがございます。それから,軽くぶつかったり,遊ぶふりをしてたたいたり,蹴られたりするというものが次いで多いということでございます。あと,近年問題になっておりますパソコンや携帯電話等で誹謗中傷,嫌なことをされるというものも,高等学校の段階で比率が高うございますけれども,一定数存在するということで,近年も増加傾向であるということでございます。
7ページ目でございますが,いじめの重大事態,これは法第28条に基づく重大事態の件数をこちらにお示ししておりまして,前年度と比べますと,前年度474件ですので,増加,大きく増えているということでございます。こちらにつきましては,先ほどのいじめの早期のもの,早め早めの対応をしていながら重大事態に至っているということもございますので,極めて憂慮すべき状況であるというふうに考えております。今後,こういったものを限りなくゼロに近付けていくような努力というのは必要であろうというふうに考えております。
8ページ目は,県ごとの認知の件数を示したものでございます。
続きまして,9ページ目,暴力行為の状況について御説明いたします。こちらにつきましても,小・中・高において7万2,000件余りということで,前年よりも増えているということでございます。特に小学校につきましては,平成9年以降,最多を記録しているということで,大変憂慮すべき状況であると考えております。
増加の背景の一つにつきましては,いじめの積極的な認知に伴いまして,特に小学校の低学年において,ささいな暴力行為も含めて積極的に対処,指導等々して認知し,それが統計上にも表れたという側面もあるのではないかというふうに考えております。
10ページ目はそれぞれの,誰に対する暴力かということを棒グラフに示したものでございます。
11ページ,12ページ目は飛ばしていただきまして,続きまして,小・中における不登校の状況でございます。13ページ目でございます。こちらにつきましても,16万4,000人余りということで,前年度14万4,000人余りでございますので,こちらも大きく増えておるということでございます。我々自身,大変重く受け止めなければならない大きな課題であるというふうに考えております。
増加の背景,要因でございますけれども,こちらは3年前に成立いたしました教育機会確保法の趣旨,すなわち,休養の必要性を十分考える,あるいは学校に登校するということの結果のみにこだわるのではなくというふうに,個別の一人一人の児童生徒を支援していくというような趣旨が,学校現場ですとか保護者の方々にも浸透した結果であることも側面としてはあろうかと考えております。
14ページ目でございますが,不登校の期間の状況でございますけれども,90日以上欠席がある者が58.1%ということでございまして,6割近くは長期化しているということでございます。
15ページ目は,要因といたしまして,それぞれどういった要因を抱えての不登校かということについて表でお示ししております。
続きまして,17ページ,18ページ目も飛ばしていただきまして,19ページ目でございます。高等学校の中途退学の状況についてでございます。こちらにつきましては,近年減少傾向でございましたが,下げ止まりといいますか,前年度から少し増加に転じているということでございます。
理由を表で見ていただきますと,学業不振ですとか学業不適応というものも一定数存在しますが,他方で,その他の隣の進路変更というものもございまして,35.3%が進路変更と。これは例えば違う学校を受け直す,あるいは学校ではなく就職の方に進路を変えるというようなものも含んでおりますので,必ずしも全てがマイナスイメージというふうに捉えることは適切ではないと思いますけれども,いずれにいたしましても,増加に転じているということはしっかり我々も受け止めていかなければならないと考えております。
最後に,自殺の状況でございますが,21ページ目でございます。こちらにつきましては,高齢者を含めまして,全世代で自殺者数というのは減少傾向が続いておる中で,児童生徒の小・中・高の自殺者数というのは折れ線グラフのとおりでございまして,近年,高止まりといいますか,前年度から比べますと増加傾向であるということでございます。これは大変重く受け止めなければいけない喫緊の課題であるというふうな認識でございます。
当然のことながら,自殺の問題については,世の中,社会全体がどう取り組むべきかという大きな問題ではありますが,文部科学省といたしましても,しっかりと,児童生徒が自ら命を絶つという痛ましい事案が決して起こることのないように,引き続きそれぞれの対策を進めてまいりたいと考えております。
22ページ目は,文部科学省の主な取組として記載をしております。時間の関係上,省略をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,この件につきましても御質問等ございましたらお願いをしたいと思います。
では,八並委員,お願いいたします。
【八並委員】 日本生徒指導学会の八並です。
ポイントとしては3点あって,1つはやはり,こういった調査が出るたびに,今,非常に量的にもいじめ,あるいは暴行が増えていく,それから,特には小学校段階での暴力行為なんかも毎年,要するに過去最高だということで塗り替えられていくわけですけど,1つは,問題行動のこうした量と質の観点から,やっぱりその未然防止だとか危機管理をちょっと再考,考え直した方がいいんじゃないかというのが第1点です。
具体的に幾つか事例を挙げると,例えば今月,名古屋市内で小5の子が同級生から50万,20万,要するに恐喝したとか,あるいは8月に神戸市で,これは学校じゃなくて児童館の中ですけれども,小1から小3の子が小2の女児に対して殺すぞと,服を脱げと,目隠しして触るとか,そういった事件が起きた。それから,高校段階では,6月に沖縄県ですけども,SNSで大麻を入手してそれを譲渡した。これは大麻取締法で逮捕,書類送検されたと思います。それから,12月は皆さん御承知のように,ネットオークションでウラン系のものを購入して,自分で放射性の化学物質を作って,それを高校生が売るとか,こういうことをやるわけです。
そうなってくると,今のやはりこういう問題行動は,この調査からは見えないレアケースかもしれないんですけど,やっぱりお金,あるいは暴力,性,それから薬物と,これがもう要するに小・中・高におりてきちゃっている。子供たちはもう,大人のやっていることを知っている,それから,やればどうなるかについても恐らく予測がついているだろうと思いますけど,そのぐらいもう,要は子供たちの問題行動が過去と違った状況にあるわけですから,1つはやっぱりそういったものを,起きてからどうするんじゃなくて,やっぱり未然にどう防いでいくかと。それは学校にとっては,前にもお話ししたんですが,どの自治体も危機管理マニュアルを作っていますけど,こういった事態は余り想定されていないんです。そういう意味では,そういった未然防止と危機管理に関して,ちょっと文科省,あるいは厚生労働省,警察庁なんかと協力して,少し未然防止にウエートを置いた,何か授業だとかアイデアなんかを出していただければなと思います。
それからもう1点は,これは前回もちょっとお話ししたんですけど,今,生徒指導の国家的な基本書というのは生徒指導提要というものがあるんです。ところが,2010年にこれは発刊されて,僕もちょっと執筆協力者だったので内容も知っていますけど,よく文部科学省で教員の養成・採用・研修の一体化と言われていますけど,ずばり言えば,今,この生徒指導提要は,不易なるもの,要するに変わらないものもあるんですけど,もう余りにも変わり過ぎた。例えば2010年以降,13年にいじめ防止対策推進法ができ,これは書かれていません。それから,15年には少年院法が改正されて,以前は初等・中等少年院とかいったのが,第一種少年院,あるいは第二種少年院と名前を変えた,それから不登校関係では教育機会確保法ができた,それからあと,民法の一部改正で,2018年には未成年者飲酒禁止法なんかが,20歳未満の者の飲酒に関する法律とかどんどん変わっているんです。それから,一番直近では改正児童虐待防止法なんかができた。それらは全てカバーされていません。
今現状では,ネット上で,文科省で,我々も大学教員なので,授業で買わせてもいるんですけど,ネットでもダウンロードできるようになっているんですけど,要は,これだけの法律なりが変更になったにもかかわらず,少なくとも改訂版か新版の生徒指導提要,若しくは別名称でのガイドブックがないと,養成段階でもちょっと,使えないとは言いませんけど,補充すればいいわけですけど,それは研修段階でも使えない。
それから,チーム学校を想定した場合に,特にスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーは心理,福祉の専門家なわけですけど,学校教育のプロじゃないんです。そうなってくると,やっぱり今挙げた法律関係は,当然ながら学校教職員,そういった専門家,あるいは地域の方々にも理解して,チーム学校を運営してもらうしかない。そのときのよりどころとなる本がない。だから,そういう点では,2020年から21年あたりまでにかけて,やっぱり新しい生徒指導の基本書を是非作って公開していただけないかというのがもう1点です。
それから,最後の第3点目は,特に教員のコンプライアンスです。先ほど,いじめ防止対策推進法もかなり浸透したと言われていますけど,僕の感覚では全国の教員研修なんかに行くと,いじめ防止対策推進法は十分理解されていないのが実際です。
それから,教員が例えば薬物に手を出したり,あるいは体罰を振るうとか,まだまだ件数は多いです。典型は例えば東京都教育委員会の服務事故というのがありますけど,そこを見てもらうと,どれほどいろんなものが,事故とは書かれていますけど,あるかという話なんです。そうなってくると,同時に教員のコンプライアンスが,最低限これだけは知っておかなくちゃいけないという,生徒指導関係含めた法律に関して,是非徹底していただく方がいいんじゃないかというふうに思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今,札を上げていらっしゃるのが,喜名委員,渡邉委員,鶴羽委員,川越委員の4人の皆さんです。この4人の皆さんで一旦止めたいと思います。よろしくお願いいたします。
では,喜名委員,お願いいたします。
【喜名委員】 失礼いたします。3点お話を申し上げたいと思います。
まず,いじめについてであります。認知件数が増えているということについては先ほどお話があったように,それだけ学校も注意深く見ているということ,ささいなことも見逃さなくなってきているということも事実であると思います。
そして,1つ問題は,解決ができているかどうかというところでありますけれども,ここは解決したと言い切ってしまうことが,そこまで言い切れないということを我々はいつも危機感として持っていなければいけないなと思っています。解決というよりも,病気でいうところの寛解状態のような,いつまた再燃するか分からないという危機感を持っているということが必要だと思っています。
また一方で,先ほどもお話がありましたけど,このいじめの形態がSNSを使って,家庭,そして夜だとか学校以外で行われていて,それが学校でまた再燃するというのでしょうか,また引きずってくるといことがあります。今回の大阪の6年生の件もありましたけれども,SNSは我々が理解しているのをはるかに超えたところで行われて,いろいろ活用されているというのでしょうか,親も知らないところで動いているという,この状況を何とかしなければいけない。これはもう学校でも追いつかない状態というのが実際のところでありまして,買い与えていらっしゃる保護者の方もそこまで理解をされていないのではないかという心配もあります。
2点目は暴力行為でありますけれども,低学年で増えてきていると。特に2年生については,1年生で緊張感を持って小学校に入り,2年生で慣れてきていろんなことが出てくる,自分を出せるようになってくるという発達の段階でもあると思います。そして,だんだん言語能力が付いてくるので,学年を追うに従って減ってくるということがあります。
ただ一方で,これも本当にこの数年増えてきていると思われるのは,いわゆる発達に課題のあるお子さんたちの衝動性による暴力,これが大変に増えているというふうに思います。特別支援教育との関係で,ここも見ていかなければいけないと思っているところであります。
3点目は不登校でありますけれども,これも減らないという状況,増えているという状況がありますけれども,ここも,ここ数年,新しいタイプの不登校のお子さんがかなり出ています。今まで友達関係とか,教師との関係がうまくいかなくて学校に行きたくないし,登校を渋るということでありましたけれども,1つは,集団そのものが怖いというのでしょうか,集団になじめないというよりも,集団という,大勢いるということがつらいという子供たちが出てきたこと,そして保護者の中には,学校に行くということをもう前提にしていない親御さんたちも増えてきていて,いわゆるホームスクールというのでしょうか,学校に行かないで家で勉強する,又は,自分の好きなというか,つまみ食い的に学校に来て授業を受けるということもかなり増えている。こうなると不登校の対応というのが今までと全く違ってきています。
そんな中で,先ほどもお話がありましたけれども,専門的な知見も必要でありますし,我々教師の研修も必要であります。そして,お話のあった生徒指導提要も確かに大事な部分はそのままですけれども,新しいものに対応し切れていないというところもあるのではないかなということを思っている次第です。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。渡邉委員,お願いいたします。
【渡邉委員】 先ほど御説明がされていなかったところなのですけれど,資料の最後の22ページのところに調査結果を踏まえた文部科学省の主な取組というのがあります。この中で,例えばスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置の充実ということで,そういう環境整備的なところというのは非常に重要なのですけれど,学校で悩みを抱えている子供たちが,全てその相談にすっと行けるというわけでは多分ない,そういった調査もあります。
そうしますと,ここの最後に書いてあるように,例えばSOSの出し方教育とか,これは最近少し増えてきましたけど,そういったところの充実というのがもっと図られるべきではないかなと思います。最後の方でさらっと書いていますけど,ここは大事じゃないかなと思っています。もう教材とか作られているところもあります。
それと,ちょっと1つ伺いたいと思うのですけれど,そこの最後のところに自殺予防教育なのですが,私も保健所にお手伝いして,この自殺予防教育をしたことがあるのですけれど,学校現場ですと,やっぱり自殺という言葉を出すと,ちょっと引いてしまうというか,なかなかうまく入れないところがあります。そうすると,どちらかといえば相談というところにトーンダウンしてしまうというか,もちろん相談できることは大事なのだけど,やはり自殺という深刻な状況を,そこに至るまでを何とか助けるためには,自殺予防教育というのをもう少し踏み込んだ教育が必要だと思うのです。
ですから,この辺のところというのは,促進のための行政説明で,学校にどういうふうに働きかけていらっしゃるのかということが,もしお分かりだったらお聞かせいただければと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御質問は,先ほどと同じように後からまとめてお願いしたいと思います。
では,鶴羽委員,お願いいたします。
【鶴羽委員】 私は,不登校について発言させていただきます。
16万人以上という,もう本当に放ってはおけない数の子供たちが学校に行けていないというところ,その16万人以上の子供たちの学力や体力をどう保障していかなければいけないのかというのは,しっかりと国として考えていかなければいけないというふうに感じます。
15ページに,不登校の理由が,家庭に係る状況というのが小学校で55%以上,中学校でも30%以上とあります。ここも考えたときに,家庭教育支援の在り方というところも,個々の学校やクラスに任せるのではなくて,そこもある程度広域的にサポートしていくような支援を構築していくことが大事ではないかと思います。
中学校で27人に1人が不登校というデータになっていますが,私の子供は中学生です。7クラスあって,全クラスに不登校児がいます。1人ではありません。ですから,この割合よりももっと高いなという,都会の学校なんですけれども,実感できます。友人2人の子供が不登校なんですけど,毎日子供が家にいるということが親子にとってどれだけのストレスかというところと,なかなかそれを学校の先生,最初は親身になるんですけれども,学校の先生はいろんな角度でサポートして,それでも学校に行けないと,やはり関係というのは少しぎくしゃくしてきて,諦めてしまう,諦められたときに起こる孤立感というのも,ものすごく重たいんじゃないかなというふうに思います。
また,担任の先生のストレスなんですけれども,小学校の場合は毎日のように,どういうふうに支援していくのかという学年の会議があったり,また個々に児童の家庭訪問というのもありましたが,そういうふうにして,若い先生が訪問するところに時間を取られたり,どういうふうにするのかという会議で時間を取られた結果,やはりクラス全体をなかなか見られなくなったり,先生自身が自信を持てなくなって,なかなか学級経営がうまくいっていないという事例もたくさん見てまいりました。ですので,個々に任せるというよりも,家庭や担任の先生たちをどうサポートしていくのかというところにも目を向けていく必要があるのではないかなというふうに感じています。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では最後に,川越委員,お願いいたします。
【川越委員】 失礼いたします。私の方からは,この不登校の要因について,ちょっと考えているところを述べさせていただければと思います。
本校でも,問題行動調査で,不登校の要因について,この選択肢に従って分類して回答したところでございますが,この分類した要因のところをもう一歩踏み込んで,個々の子供たちを見ていきますと,就学前といいますか,学校へ入る前の経験が極めて不足しているのではないかなということを感じます。不登校の生徒,それから学校へは来ても教室に入れない生徒,また,ちょっとした友達同士のトラブルで,すぐきれてしまう子などを見ておりますと,学校へ入る前の経験が非常に不足しているんじゃないかなということを強く感じます。
この不登校に関していろいろな方策が練られると思うんですけれども,就学前教育の中での体験活動というところに是非スポットを当てて,いろいろ考えていっていただければなというふうに思います。
本の中でも,人生で必要な知恵は全て幼稚園の砂場で学んだという言葉もございます。そういった体験を是非子供たちが積んで,小学校,中学校に入ってこられるような,そういう環境を作っていただければなということを切に願っているところでございます。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは,御質問もそうでしたし,かつ,八並委員からも喜名委員からも生徒指導提要のお話が出ましたので,大濱課長,よろしくお願いいたします。
【大濱児童生徒課長】 まず,渡邉委員からの,自殺予防教育の推進についての取組の御質問がございました。こちらにつきましては,おっしゃるとおり,どうしても学校現場が,自殺という死を教えるということについて,当然発達段階に応じてということになるんですが,ちゅうちょといいますか,ためらい,あるいは親御さんの理解をどう得るかということで非常にハードルが高うございますので,そういった趣旨で,正に自殺予防教育の中でのSOSの出し方教育を推進しようということが大きな方向性でございます。
すなわち,ストレス,自分が大変な状況になったときに,身近な大人に助けを求めるということが自然なことであり,かつ,それは恥ずかしいことでも何でもないというような形での教え方,これは当然,死を先にどうするかという難しい問題がもちろんありますが,単にそれを教えられればいいという問題でありませんが,そういったものを積極的に推進するという方向でやっております。
その中で,例えば昨年でございますけども,このSOSの出し方教育の,我々通知で,やりなさいと言うだけでは,当然,学校現場はどうしていいのか分かりませんので,取組として非常に優れた授業の組み立て等々を全部事例集として,SOSの出し方教育のサンプルとして3つほどお示しをして,その中には指導案的なもの,教員がどうやるかという,手元に置いて参考にするものもセットで通知でお示しするとともに,ホームページでも公開していて,それを適宜参照してやっていただくということだろうと思います。
それから,年間通じて,全国で,北海道ブロック,東北ブロック等々10ブロックに分けまして,自殺予防のための啓発協議会ということで,教員の方ですとか教育委員会の方にお集まりいただいて,これは私も東北ブロック,近畿ブロック,中国ブロック等に直接お伺いして,お話を1時間ほど差し上げて,その後,大学の研究者の方から,しっかりと丸一日で結構長時間なんですけども,いわゆる自殺予防教育,あるいは自殺のどういう点に気を付けて教えるべきかということをしっかり学んでいただくというようなことを取組としては進めておりますし,また,いじめの行政説明でも,全国で35か所ほど年間やっておりますし,私も何か所か足を運んでいるので,その中でも,この自殺の問題についてはしっかり御説明をして,御理解を得るような形ではやっております。
引き続き,これは非常に大切な問題ですので,しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
それから,生徒指導の提要につきまして,以前も御指摘ございまして,大変重い課題であるというふうに考えていますし,もう10年近くたっているわけですから,現時点のものを反映していないという認識も当然,私以下,児童生徒課としても認識ございます。しっかりと,これは大変な作業になってしまいますし,児童生徒課は日々大変な,事象で追われてしまうということがあるんですけど,それは言い訳にはできませんので,しっかり御指摘を踏まえて,どうあるべきか,どうしたらいいのかということを検討していきたいと思っております。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは,よろしいでしょうか。次の議題に入りたいと思います。議題3の,公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律について,合田財務課長から御説明よろしくお願いいたします。
【合田財務課長】 時間も迫ってございますので,資料としては資料3でございますが,資料を離れまして私の方から手短に御説明をさせていただきたいと思っております。
働き方改革につきましては本分科会でも御審議をいただきまして,本年1月に答申をいただいたところでございます。小学校の先生が月59時間,中学校の先生は月81時間という,大変厳しい時間外勤務の状況の中で,教師でなければできない業務に教師が全力投球できる環境を作っていくという観点から,月45時間,年360時間までという上限ガイドラインを設ける,それから,若江委員にも御参加をいただきましたプロモーション動画などで社会全体の認識を共有化していく,それから,定数改善や外部人材の充実を図っていく,それから,取組状況を発信していくという取組を早速しているところでございます。
近く公表させていただきますが,本年度の業務改善調査によりますと,在校等時間はやはり縮減の大きなトレンドにございますし,夏休みの学校閉庁日の取組も拡大してございます。勤務時間終了後の留守番電話も,これまでは大変社会的にはバッシングを受けておりましたけれども,広がっているという状況でございます。
しかしながら,各自治体や学校にかなり大きなばらつきがあるというのが現状かというふうに思っております。
従いまして,この1月の答申,それから,この答申には工程表というのが付いてございますので,これに基づきまして,10月18日に給特法改正案を国会に提出をさせていただきました。衆議院では15時間,参議院では11時間という,都合26時間の審議を賜りました。その間,東川委員におかれましては,参議院の文教科学委員会の参考人ということでお運びを賜りました。心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。
12月4日に成立をいたしまして,今週12月11日に公布をされたところでございます。その中身でございますけれども,この1月に定めました上限ガイドラインを法的な根拠のある指針にするというものでございます。
例えば,客観的な方法による勤務時間管理,これは実は市町村レベルではまだ4割でしか行われておりませんけれども,本年末に,客観的な方法で勤務時間管理を行っていない自治体名を公表する予定でございます。
それから,来年度につきましては,先ほど矢野が申し上げました飛躍的なICT環境の整備にしても,それから教員の加配にしても,客観的な勤務時間管理を行っていることが必要であることを明示しておりまして,来年度100%の勤務時間管理の上に,在校等時間の縮減の実効性を高めていくというのを,この法改正を機にしっかり行わせていただきたいと思っております。
2つ目は,夏休みにおける休日のまとめ取りの推進ということでございまして,この2つを内容とする法案が12月4日に成立をしたということでございます。
この国会審議におきまして,立場を超えて大きなコンセンサスが得られたことが3つございます。1つ目は,現在の状況を放置しておくと,若くて優秀な方が教壇に立たなくなるという大変強い危機感の下,働き方改革は急務であると。従いまして,社会は学校をしっかり支える必要があるということが立法府の中でかなり強く共有されたことでございます。
そのことが,先ほど審議官の矢野からも御報告を申し上げました,補正予算で2,318億という,初年度でございますけれども,1人1台の端末整備という金額にもなってまいりますし,現在最終的な調整を行わせていただいておりますが,来年度の予算編成におけます教職員定数の問題でありますとか外部人材の充実につきましても,かなりいい議論をさせていただいているというところでございます。それが1点目でございます。
それから,2点目でございますが,選択的に導入される1年単位の変形労働時間制につきましては,夏休み等における5日程度の休日のまとめ取りに限って活用するということが共有されたということでございます。
それから,3点目でございますが,給特法の在り方は,3年後の勤務実態調査を踏まえて見直すということでございます。これは萩生田文部科学大臣も国会答弁の中で,給特法などの法制的な見直しを含む検討を行ってまいりますと,これは文部科学大臣として必ず行ってまいりますという御答弁を申し上げたところでございます。そのためには,3年後と言わず,今から省内外の英知を集めて検討する必要があるということでございまして,このことも大臣が国会で明言をしたという状況でございます。
なお,国会審議のプロセスにおきましては,学校における働き方改革の観点からも,例えば,小学校の高学年の教科担任制の導入,それから,中学校や高校の部活動の地域への移行というものが不可欠であるという議論がなされたところでございます。
特に,後者につきましては,大臣の答弁を御紹介申し上げますと,中教審でも提言されている部活動を学校単位から地域単位の取組にし,学校以外が担うことも積極的に進めるべきであるという提言を踏まえまして,部活動指導に意欲的な教員が学校以外の主体が行うスポーツ活動や文化活動に兼職,兼業の許可を受けるなどして参加することも今後の重要な選択肢として検討してまいりたいという答弁を申し上げ,かつ,両大臣政務官を座長とする検討チームが既に立ち上がっているという状況でございます。
それから,今申し上げた2つの例の前者でございますが,小学校高学年の教科担任制の担任については,これは正に本分科会で御審議を賜っているものでございます。前者につきましては,分科会や特別部会におきましても,あったらいいなと,加配が来たらできたらいいなという話ではなくて,全ての小学校で導入できるように,義務標準法の乗ずる数を変える必要があるとの御審議をいただいているものと私は理解をさせていただいております。
そのためには,学級数などの学校規模に応じた具体的な分析や検討の上で,義務標準法や教育職員免許法といった法律の改正,それから,教育課程の在り方という観点からは,省令や告示について,これらを見直す必要がございます。
今後,私どもも知恵を出して先生方と対応させていただきたいと思っておりますので,これらの制度改正につきましての具体的な審議を加速化していただければと,財務課長としては切に願うところでございます。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。厳しい励ましの言葉も頂戴いたしました。
ただいまの件に関しまして,いかがでしょうか。加治佐委員,お願いいたします。
【加治佐分科会長代理】 この給特法が改正されまして,本当によかったと思っております。文科省,とりわけ合田課長がいろいろ努力された結果で,本当に感謝申し上げたいと思います。
その上で,今の取組は大変こちらも元気が出るんですけども,できれば学生に対して,これから教員になる学生,あるいはなるかどうか迷っている学生に,やってはいただいていますけれども,より明確なメッセージを発していただけないかと思います。
本学も,昨年の教員採用試験受験率が86%ぐらいでしたが,今年が現時点の判明分で73%で13%下がっているんです。これまではなかったことで,大変な事態だと思っているんです。学生には,御存じのようにネガティブ情報しか伝わりません。SNSもそうですし,新聞,テレビ等はほとんどそうですよね。特にこの給特法改正についても,今おっしゃったように非常に前進があるんですけども,ほとんどこれをやっても仕方がないとか,これは本当に限界があるとか,そういうニュアンスの論調が目立つんです。非常によろしくないと思っているんですが。
特に,変形労働制を活用した休日のまとめ取りというのは一番分かりやすいんです。ここを,先ほど5日と言いました。外から見たときには5日じゃ効かないです。5日も前進だというのはよく分かっていますが。例えば先生は普段は忙しくて大変なんだけれども,ただ,ほかの職業と違って,夏休みとか冬休みとかは十分に自分の時間が持てて,次のステップにつながるようなことができるんだとか,もっと極端に言うと,11か月の勤務で12か月分の給料がもらえるとか,それぐらいのイメージを学生に持たせないと,多分振り向かないです。
もちろん,学生の中には,最初から教員になりたいという学生はおりますので,そういう学生は心配要りません。問題は,迷っている学生なわけです。その学生らを引き付けるためには,もちろんそれだけじゃないんですけども,やはりそれぐらいのインパクトを与えてくれないと,今の状況はちょっと打開できないんじゃないかと思っているんです。
もちろん我々も教職の魅力を語っていますし,いろいろ努力はするんですけども,是非,何かそれぐらいの,ほかのものでもいいですけど,とにかくそれぐらいのインパクトを与えてくれないと,なかなか今の雰囲気は打開できないかと思っていますので,本当に我々もやりますんで,是非また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,今,札を上げてらっしゃるのが,喜名委員,坂越委員,清原委員,岩本委員までということで,後の案件も非常に大きなものがございますので,手短によろしくお願いいたします。
では,喜名委員,お願いします。
【喜名委員】 ありがとうございます。まず,文部科学省が工程表にのっとって着実に進めていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。合田課長からお話があったように,この件については,自治体間格差というのでしょうか,かなり大きくなっているということが,今大きな課題になっています。それぞれの自治体の考え方がまだまだ十分に議論されていないというのか,定まっていないというのが印象です。
今回,附帯決議が衆議院でも参議院でも出てまいりました。このところに書いてあるところで,我々小学校の校長として考えなければいけないのが,勤務時間の適切な把握をすることが,いわゆる公務災害の認定の資料になるのだということ,このことも重く受け止めなければいけないのですが,そのためにもしっかりとした環境整備,ICT等で勤務時間を管理することが必要になってまいります。
もう一つ出ていたのが,校務分掌の決め方,これも我々,これから考えていかなければいけない,その人の業務量だとか能力だとか,それから,学校として本当に必要なのかということも,学校運営ということで考えさせられることが突き付けられたなというふうに思っております。
また,今回の1年単位の変形労働時間制が令和3年度から導入可能とされる,これは自治体がどう考えるかというところですけれども,こうなると夏季休業日の在り方が大きく変わってきます。学校の夏休みは忙しいというのが実態であります。そこに研修が集中していたりするという中で,果たしてそれが担保されるのだろうかという心配も出てまいりました。
また,そもそも,普段の勤務時間についても,育児の方,それから介護の方,時短の方,いろいろな関係がある中で,その辺,学校運営上うまくやっていけるかという不安もあります。このことで長時間勤務が解消されるわけではないけれども,働き方が変わるチャンスになったということは事実だと思っています。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,坂越委員,お願いいたします。
【坂越委員】 課長の大変力強いお言葉に感謝申し上げたいと思います。
ごく簡潔に,変形労働時間に関して。私自身が関わっている教育委員会に,これは導入されますかというと,いや,ちょっと大変でとか言ってちゅうちょされるのですが,なぜですかと聞くと,年間360時間にせよ,320時間にせよ,それを加えた上で,年間の総労働時間というのをちゃんと想定した上で,それで配分しなきゃいけないと,まずそこが大変だということです。逆だというふうに申し上げたのですけど,まず,さっき言われたような勤務時間の管理をしっかりしてもらうこと,年間の総労働時間を抑えた上で対応してくださいという,そっちの方向のメッセージが必要かなということが意見の一つ目です。
それからもう一つは,この形は,結構国立大学附属学校で先行してやっていて,うまくいっているところ,必ずしもそうではないところといろいろあるようなのですけれども,今,課長が説明された中で,方向としては休日のまとめ取りを進めると,それはまず出発点としてあろうかと思うのですが,私が知っているうまくいっている国立大学附属学校は,かなり柔軟に教員の勤務を変形させています。極端な例で言うと,毎朝の職員朝会をなくしちゃって,ゆっくり出てくる人もいていいみたいなことをやったりして回っています。そのあたり先行事例もありますので,是非また公立学校に情報発信していただければと思います。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,清原委員,お願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。前期,「学校における働き方改革特別部会」のメンバーの一人として,工程表にのっとって,しっかりと給特法の改正を実現していただいたことに敬意を表します。しかも,衆参両院で熱心な議論が,参考人として教育委員会の方,そして保護者の方を含めて,また,残念ながら公務災害で被害に遭われた方の関係者も含めた生の声を聞いて制定していただいたことも重要だと思っています。
そこで何よりも,まず「検証」というのが大事だと思います。言うまでもなく,教員の皆様お一人お一人が主体的に働き方改革をしていただかなければいけないのですが,やはり教育委員会,そして学校長の時間管理の努力が更に求められますので,このことにつきましては徹底的に通知をして,そして,成功している自治体,教育委員会の例などを共有していただければと思います。
2点目に,こうした取組は,保護者の理解,地域の理解がなくては進みません。従いまして,このような働き方改革に関する法律の改正があったということを保護者の皆様にも,また,コミュニティースクールで地域において学校を支えていただいている皆様にも正しいところを伝える必要があると思います。
3点目に,「検証」が必要と申しましたのは,やはりまだまだ課題があって,国会の議論でも,(休暇の)まとめ取りは5日というような示唆もありましたし,附帯決議は大変含蓄のあるものです。したがって,客観的に3年間検証する中で,より望ましい時間管理のこと,そして,何よりも子供たちの教育環境が向上するための学校における働き方改革として,どんな成果があるかということを多元的にまとめていく必要があると思います。
まずは,最初の一歩でございますから,これからの3年間でどれだけこの法律改正が具体化し,現場を明るくし,教員志望を増やすというようなアウトカムに結び付いていけるかということ,そして,そのことが更に,よりよい働き方改革に結びつくような具体的な取組の提案になればと思っておりますので,何よりも正しい情報提供を,幅広い国民,保護者,地域に対してお願いしたいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では最後に,岩本委員,お願いいたします。
【岩本委員】 では,簡潔に。附帯決議の部活動の地域化というところで,ここでも議論ありましたけども,是非進めていただきたいなと思います。
一方で,そのときに,部活動といったら,スポーツ系の部活動をイメージされる方も多いと思います。特にいろんなスポーツ系の部活動ほど,この地域化というに対して物すごい抵抗感を示されるところがあるかと思います。一斉のせでみんなで合意をとって何か進めましょうということもいいんですけども,やっぱり部活動はスポーツだけではなくて,文化系や地域系や社会系の部活動も数多く存在していますので,是非,もうできるところから,やりたいところからどんどんこういう事例を作っていくと。最後,スポーツでもうがちがちなというか,そういうところは最後の最後そうなっていくかもしれないですけど,もうやりたいところもありますし,やりたい先生たちも,手放したい先生たちはたくさんいますので,できるところからスピード感持ってやれるように,是非進めていただけたらと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。大変重要な案件でございますけれども,申し訳ございません,ここで一旦切りたいと思います。では,引き続きよろしくお願いしたいと思います。
それでは,最後,議題4といたしまして,新しい時代の初等中等教育の在り方論点取りまとめ(案)につきまして,浅野初等中等教育企画課長から御説明をよろしくお願いいたします。
【浅野初等中等教育企画課長】 資料4-2をお開きください。資料4-1は本文となってございますので,私の方から,時間の関係で概要に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
荒瀬部会長の特別部会におきまして,5回の検討を経て,この概要案が,論点取りまとめがまとまってまいりました。一度,途中の経過についてはこの分科会に御報告をさせていただいておりますが,今回の論点取りまとめ案について御説明させていただきます。
育成を目指すべき資質・能力,新しい時代を見据えた学校教育の姿ということで,変化を前向きに受け止めて,予測不可能な未来社会を自立的に生き,社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成するということを掲げ,そのために,子供の学びとして,特別支援,それから外国人児童生徒も含めて,多様な子供たちを誰一人取り残すことのない,個別最適化された学びを実現していくと。
一方で,その学びを支える環境として,全国津々浦々の学校において質の高い教育活動を実施可能とする環境を整備するということで,多様な人材を教育内外から確保するでありますとか,後ほど御説明させていただきます教科担任制の実施でありますとか,デジタル教科書等の先端技術を活用した環境の整備等がまず掲げられてございます。
次のページでございます。具体的に,特別部会におきましては,今回の補正予算等の政府の動きも見据えつつ,学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用についての審議を優先的に進めてまいりました。その内容といたしましては,教師を支援するツールとしてのICT環境や先端技術が不可欠であるということで,学びにおける時間・距離などの制約を取り払う,個別に最適で効果的な学びや支援を行う,可視化が難しかった子供たちの学びの知見の共有や,これまでない知見の生成を図る,そして学校における働き方改革を推進していくということを目指して,このICT環境を整備していくということでございましたが,現状としては,堀田委員からも御説明がございましたが,致命的な遅延や地域間格差が存在しているということで,令和の学校のスタンダードの実現に向けて,ハード・ソフト一体で国の取組を早急に進めるべきということでございます。
ハードとしては,安倍総理が経済財政諮問会議でもお話しされた,国家プロジェクトとしての学校ICT環境整備の抜本的充実ということで,国公私を問わず,児童生徒1人1台コンピューターを実現する,そして,高速大容量の通信ネットワーク環境,クラウド活用もセットで推進する,それから,国・地方の連携の下に広域調達であるとか標準モデル,こういったものの提示であるとか,好事例の普及という形で,自治体や学校等が計画的に取り組める支援策が必要であると。
本文を御覧いただければと思いますけれども,このハードの整備のところでは,いわゆるBYODについての言及もございます。今後,保護者の理解等の環境を醸成していく必要があるんじゃないかということが言及されてございます。
それから,ソフト面での取組推進として,デジタル教科書・教材等の先端技術の活用による,知識・技能の定着に掛かる授業時間を短縮して,探究的な学習等に時間を掛けることを可能にする,そして,良質な学習リソースの開発・導入を促進して,更に統合型校務支援システムの導入を促進すると。
そして,人材のところでは,指導体制の充実であります。特に,教師のICT活用指導力等の向上を段階的・継続的に図る機会を確保することや,ICT活用教育アドバイザー,支援員,そして企業の人材等の活用を促進するといったことが述べられてございます。
これの取組と併せて,今後,以下の事項について検討するとして,このICT環境の整備に当たって,教師の在り方や果たすべき役割,指導体制の在り方,そして指導力の向上方策を今年度内を目途に方向性を示すということ,そして2つ目に,この先端技術の活用を踏まえて,個別最適化の学習が入ってくる状況の中で,現在定められてございます年間の授業時数や標準的な授業時間等の在り方,そして学年を超えた学びについてどう考えるかということについて,今後早急に検討するということでございます。
3点目は,デジタル教科書の今後の在り方等について,新学習指導要領の実施後の改訂教科書の使用開始時期,小学校は令和6年度,中学校は令和7年度等も見据えつつ,令和2年度内を目途に方向性を示すということが述べられてございます。
これにつきましては,資料4-3をお開きいただければと思います。今,私が申し上げたスケジュール感について,資料4-3の横の表になってございます。現在が令和元年度でございますが,令和2年度の時点で,学習指導要領が改訂されますので,それに合わせてデジタル教科書がかなり充実し,導入の拡大が進んでまいります。
ただし,デジタル教科書につきましては,今の政府の計画では,今年度補正予算で3学年分の端末の整備を行い,順次,令和5年度までに全ての小学校・中学校,国公私を問わず端末を整備するという計画になってございますので,令和5年度までには全ての小中学生に端末がそろうという形になります。令和6年度には,小学校の改訂教科書の使用開始がございますので,この改訂を契機として,デジタル教科書の本格導入ということを目途に検討を進めていくと。そして,令和7年度では中学校の改訂教科書の使用開始が行われるということで,2020年度の右端を見ていただければあれですけれども,デジタル教科書の本格導入に向けて,来年度中,令和2年度中にデジタル教科書の在り方について,これは今,紙が無償化になってございますが,デジタル教科書の無償化や,それから,全ての教科なのか,どういう教科にデジタル教科書が適用されるのか,そういったことも併せて方向性の提示を行うという目標のイメージを定めてございます。
資料4-2にお戻りいただきまして,この先端技術の活用と併せて,特別部会では,もう一つ,義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について御議論をいただきました。働き方改革の法案や働き方改革の状況等も踏まえて,小学校高学年の教育内容の専門性の向上などを踏まえて,令和4年度を目途に,小学校高学年からの教科担任制を本格的に導入すべきであるということになってございます。そのために,今後,更に具体的に義務標準法の在り方も含めた定数確保の在り方,そして,小学校・中学校の連携の在り方,そして,教員の免許法の在り方も含めた義務教育9年間を見通した養成,採用,研修,免許制度,人事配置の在り方,そして,義務教育9年間を見通した教育課程の在り方ということを具体的に,更に検討を進めていくということでございます。
その他,この2つ以外の課題につきましては,その下にございますように,教育課程部会でありますとか,教員養成部会,そして,高等学校教育のワーキンググループ,幼児教育の有識者会議,そして外国人児童生徒等への教育の有識者会議や特別支援教育の在り方についての有識者会議で,それぞれまだ検討を進めているところでございますので,現在,検討をされている課題について,こちらに列挙をさせていただいております。
以上でございます。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。特別部会の議論の中で,今,具体的に2つのことをお話しいただきました。最後に浅野課長からもありましたように,その他の課題につきましては,現在,それぞれ分担してやっているという状況であります。
全体を通しまして,今はまとめた資料4-2でもって御説明いただきましたけれども,4-1が全体を細かく書いたものでありますので,それを含めて,御意見,御質問等を頂戴したいと思います。また札を立てていただければと思います。
では,牧野委員,お願いいたします。
【牧野委員】 学校のICT環境整備につきましては,市長会としましても,その方向を可としてかなり後押しをさせていただいた経緯がございます。それだけ地域にとりましての期待も大きいところでありますが,一方で,御案内のとおり,先ほど出ていました経済財政諮問会議の専門調査会,経済・財政一体改革推進委員会におきましても,相当の課題が指摘されたところであります。非常に大きな投資をするわけなんですけれども,昨年度の空調整備と違いまして,部屋が暑いときに涼しくなっていればいいというものではなくて,今回のハード整備はどういったような効果になるかということをかなりしっかりと検証していく必要があるということで,いろんな皆さん方から相当注目されていると思います。
先ほど加治佐先生からもお話が出たんですけれども,恐らく,これからかなりネガティブな話も相当出てくることが予想されます。だからこそ,客観的な,正にエビデンスに基づいた評価をベースにPDCAを回していくという考え方を是非徹底していただきたいんです。そうしないと,ネガティブな様々な話が出た時に右往左往して,何ていいますか,角を矯めて牛を殺すような話になってしまっては元も子もないと思っています。
そうした中で,私が一番気にしているのは,先ほどから言っていただいているんですが,やはり教える側も人材育成の話を,相当,腰を据えてやっていかないとうまくいかない可能性が高いんじゃないかと。先ほど加治佐先生からもお話がありましたけれども,私は大学院における学び直しも含めて,ICT環境を整備したときに必要な教え方というものを,教職員の皆さん方にしっかりと浸透させていくということをどれだけ打ち出せるか,そこにかかっているんじゃないかと思っております。
是非,せっかくこれだけの大きな予算が取れて,複数年度にわたってこうしたことを実施していく訳ですから,当然いろんな課題が出てきます。けれども,そうした課題にもしっかりと対応していくと,文科省の皆さん方は覚悟を持ってやってください。よろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今,11人の方が札を立てていらっしゃいます。この後,時間はもう12分しかないですので,1人1分ぐらいになってしまうんですけれども,まず,大変申し訳ありませんが,今回初めて札を上げられた方から優先的にお願いをしたいと思います。
それで,吉田委員,朝日委員,萩原委員,道永委員,市川委員の順で,まずお願いをしたいと思います。
吉田委員,お願いいたします。
【吉田委員】 時間のないところ,ありがとうございます。
まず,今日はもう時間がないのであれですけど,4-2の資料について言わせていただきます。まず,1ページ目のイメージというのと,先ほど4-3の資料のイメージというのを,進行表がつながっているんだと思うんですけども,これで書いている,されているということはできているということなんだと思うんです。これは,ただ夢を持っているだけじゃないと思うんですよ。ですから,ここにははっきりと何年という,2025年が本当に終点なんだとしたら,何年に向けたイメージとはっきり書いていただいた方が私はいいんじゃないかと。本当にただ理想を述べている,夢で終わらせたくないと思います。
それから,4-2の資料の2ページで,ICTの効果的な活用についてお尋ねしたいんですけど,実は今まで,この委員会等でも堀田委員が委員長になって,ICTの進め方,それでデジタル教科書等についても話があって,あの当時も本来は1人1台というのが夢だったわけですけど,何をやっても無理で3人に1台ということが決まっていた。それが突然ここで1人1台になる,私,それが理解できないんです。じゃ,何のために今までああいう会議をやらされていたのか。そうすると,総理が経済財政諮問会議で明言したんだったら何でもできるんだとすれば,教育再生実行会議で言われた大学入試改革だって実現しなきゃおかしい。ですから,言われただけで,結局,絵に描いた餅で終わる改革が非常に多いということを考えて,このICTに関しては特に,デジタル教科書はここではできるように読めますよね。だけど,これだって,デジタル教科書は絶対駄目だと,飽くまでもデジタル副教材だというのはこの会議の場で宣言されていたと思うんです。それがいつの間にかデジタル教科書がオーケーになっているんだとすれば,やはり意味が違ってくるんじゃないかなと。
児童生徒1人1台というのがありますけど,その前に教員1人1台というのは一体どこに出てくるのか。教員の働き方改革に合わせて支援するシステムとしてのデジタルというのを言われていますけども,まず教員が1人1台もらって使いこなせてからじゃないと,子供たちに教育なんかできるわけがないと思います。その辺のことも含めて,しっかりとした,書いた以上は絵に描いた餅で終わらない,夢で終わらないということを宣言していただければと思いますので,よろしくお願いします。
【荒瀬分科会長】 御質問,御指摘につきましては,後ほどまた一括してお願いしたいと思います。
では,朝日委員,お願いいたします。
【朝日委員】 今までの議論を伺っておりまして,お風呂で例えれば,表面は熱い,でも,中に入るとぬるま湯か真水だというような印象を持っています。
大変すばらしい国としての取組でありますが,このイメージで読解力が上がるのか,このイメージで不登校が減るのか,このイメージで教員の働き方改革が進むのか,これがなかなか伝わりにくいと思います。
新しい学習指導要領は,主体的に学ぶ,学びに向かう力を目指したすばらしい静かな改革だと思っています。現場はそれにきちっと取り組みたい。しかし,特別支援学校の教科の解説書は,小中学校だけで500ページある。それを読み込む時間すらないというところで,もっともっと,この理念ということは大事なんですけども,中のチームが,まず教員たちがチームとして学校を動かそう,ラグビーで言えば,どうしたら強い相手に勝てるのか,一人一人の教員がきちんと学校を動かしていこう,子供のためにチームとして動かそうという発想が欲しい,また子供もいろいろなことがありますけれども,主体的に考えるというチャンスをどこにここから見いだせるのかというのがとても見えにくいなということでございます。
例えば,教科担任制のメリットは,教科担任制を入れることで,教員が本当に自分の専門教科,あるいは自分の学級経営に集中ができ,例えば,不登校の子供の家庭訪問に行けるとか,スクールソーシャルワーカーとの支援会議ができるとか,そういうところにつながるんですよ,だから教科担任制はいいんですよというような説得力が欲しいなというふうに思います。
現場は,ぬるいお風呂,上だけ熱くていろんな改革がおりてくるお風呂を校長はかき混ぜて,追い炊き機能をやって,教員が教師冥利に尽きるような学校を作りたいと思っています。すばらしいことですけれども,中身を変えるアピールの仕方をイメージとして作っていただきたいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,萩原委員,お願いいたします。
【萩原委員】 これまでの論点のまとめということで,1ページ目の中身については,こういう方向で動いていくということについては,理解できると思っています。
ただ,ここに書いてある中身を具現化していくという話になったときに,具体的にどうやっていくのかという部分が非常に,例えば,物,人など大きく関わってくるのではないか。きちんと手当てができない限りは,絵に描いた餅になってしまう可能性も十分にあるだろう。ここに書いてあるのは,本来,今後目指すべき姿であるということについてはよく理解できるが,実現に向けてこれから詰めていくということになると思います。
特に高等学校に関しては,やはり多様化が進んでいる。例えば今,広域の通信制高校を選ぶ子供が増えてきている。なぜそこを選ぶのかということについても,いろんな形での研究等々もしていかなければならないだろうと思っています。
本日,私が言えるのは,大きな流れとしては,これでよいと思います。
以上です。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,道永委員,お願いいたします。
【道永委員】 ありがとうございます。
まず,子供の学びのところで,子供の心身の健康の保持・増進という言葉を入れていただいたことには感謝申し上げます。ただ,健康の保持・増進だけでなく,子供たちが健康というものがどういうものであるか,自立した人間になるためにはもう健康が第一であるということを教えるという,いわゆるヘルスリテラシーというんでしょうか,それをまた書き込んでいただければと思います。
先ほどお話がありましたが,コンピューターです。子供たちに1人1台必要かどうかは私は分かりませんけども,別に入れることに反対しているわけではありませんが,今後,恐らく有識者会議を立てて議論していくことになると思いますが,推進派のみでなく,ある程度慎重な考え方を持っている方も是非入れていただければと思います。まずそれよりも学校そのもの,先生方がまずICTに積極的に関わるということが前提なのかなとも思っています。
あと,これはPHRということで厚労省が一緒になってやっていますが,学校には健康診断のデータがあります。それもやはりICTの中に入れていただいて,活用していただければと思います。
あとは公務の効率化という言葉が出てきますが,学校の健康診断のみならず,保健室をどれくらい活用している子供がいるのかとか,遅刻とかそういったこともデータとして入れることができれば,先ほどからお話が出ている不登校の子供たちの早期の把握ができるのではないかなと思っていますので,その点もよろしくお願いいたします。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。では,市川委員,お願いいたします。
【市川委員】 このICTのことですが,どうも環境整備の話が先行し過ぎているようなことが気になっています。ICTをどういう学習に生かすのかということをもっと十分吟味していただきたいなと。
さっきのPISAのことで言いますと,日本では学校での利用度がOECDの中でも最低だということです。学習で生徒が使うことも極めて低いと。それにもかかわらず,数学リテラシーや科学リテラシーはトップレベルなんです。日本の子供たちはどうやって勉強しているかというと,紙の教科書,紙の問題集,紙のノートで勉強していて,これだけの成果を出していると。それにもかかわらず,トップだということは,裏を返して言うと,こういう学習,PISAで活用的な力を測るといってもこういうテストをやるには,ICTがなくても十分日本はやっているということではないかと思います。
ただ,ICTが要らないというのではなくて,紙の教科書,問題集,ノートでやっているようなものをそのままICTに置き換えたような,そういう利用では余り意味がないんだろうと。つまり,単純なドリルでもできるようなことをICTに置き換えたのでは,ICTの持ち味はむしろ出てこないだろうということです。では,どういう場面で有効かというと,例えば探究場面で情報検索をしたり,分析をしたり,あるいは発表やレポートのツールとしてICTを使うというようなことであれば,これは確かにICTが十分生かされた教育になるんではないかと。
今提供されているソフトなどを見ていると,余りそういうものが見られないような気がしています。そういうことを,やっぱり探究の学習の中で生かすということをやっていれば,先ほどのPISA型の読解力,インプットだけではなくて,更にその情報を加工して,自分の考えをアウトプットしていくような,こういう力も付いてくる。結果的には,PISA型の読解力のようなものも付いてくると思いますし,どういう使い方をするのが本当にこの莫大な予算を使うのに見合うような効果的な使い方かという,そちらの議論を十分詰めていく必要があると思っています。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
それでは,あともうお一人ぐらいしかお話が聞けないので,大変申し訳ありません。またメール等で事務局の方にお届けいただきましたらと思います。よろしくお願いします。
では,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 ありがとうございます。ハードウェアの整備とネットワークの整備だけでなくて,これが能力育成につながるためには,ここに書いてあるソフト面の部分というのが非常に重要かと思います。
そうすると,やっぱり質保証されたコンテンツという意味では,学習者用デジタル教科書はその要になるかなというふうに思いますが,現在の学習者用デジタル教科書は教科書会社によってデータ形式も違いますし,今のところ学習ログを採るようにはなっていませんし,個別最適化された学びを考えると,様々な学習リソースであるデジタル教材等とどういうふうに知的にリンクさせるのかといったときに,やっぱりデータ形式の標準化とかAI活用の研究を進めていく必要があるかなというふうに思います。
それと,学校現場に全て任せるだけではなくて,例えば大人で言えばMOOCみたいなのがいっぱいあるわけですから,そういう初等中等教育版をどんどん作って,全国どこでも必要な基盤的学力のための学習動画を学校からネットワーク経由で利用できるようにするとか,あるいは教員採用試験の基礎的な知識の部分は全国統一でCBT化できるような気もします。このように,様々な形でどんどん学習リソースをネットワーク経由で提供したり,あるいはCBTで基本的な部分はもうチェックできるような,そういう仕組みを作ったりするようなことを,それこそ国家プロジェクトとしてやっていくことが重要かなと,それによって学校現場を支えることができるのではないかと思います。
以上です。ありがとうございました。
【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
進行がまずくて,札を立てていただきましたけれども御発言いただけない先生方,大変申し訳ありません。先ほど申しましたように,メール等で事務局の方に御意見を賜ればと思います。
今頂きました御意見,実は私も所属しておりますけれども,教育課程部会などでも,単にICT機器を使うだけではなくて中身をどうするんだ,紙とデジタルとをどううまく子供たちの発達のために,成長のために使うのか,そういった御意見もございますので,そのあたりも含めてまとめた形で,今,十分に御議論いただけたとは思いませんので,再三申し上げて恐縮ですけれども,是非また御意見いただきたいのですが,この論点取りまとめ(案)は現時点のものでありますので,本日頂いた御意見,それからまた,これから頂く御意見を含めまして,全て論点取りまとめ(案)に反映できるかどうかというと分からないのでありますけれども,今後の答申案の作成に向けても御意見を反映させていただけるものもあろうかと思います。それで御理解をいただければというふうに思っております。
この論点取りまとめ(案)につきましては,本日及び今後頂く御意見含めて,必要な修正を行った上で,来年1月24日に中央教育審議会総会が予定されておりまして,そちらの方に御報告をいたしたいというふうに思っております。その取りまとめにつきましては,最終的な調整は,両副分科会長と御相談の上で,最終的には私にお任せいただくということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。
では,少し時間が過ぎてしまっておりますけれども,このあたりにしたいというふうに思います。
最後に,次回の予定につきまして事務局からよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 御審議ありがとうございました。次回の本分科会の日程につきましては,現在調整中でございますので,追って事務局より御連絡させていただきます。
【荒瀬分科会長】 それでは,本日これで終わらせていただきたいと思います。年内最後ということで,大変お世話になりましたということと,来年もまたよろしくお願いいたします。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。終わらせていただきます。

―― 了 ――
 

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