初等中等教育分科会(第116回) 議事録

1.日時

平成30年3月29日(木曜日)14時~16時

2.場所

東海大学校友会館 望星の間

3.議題

  1. 学校教育法等の一部を改正する法律案について
  2. 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインについて
  3. 「高校生のための学びの基礎診断」について
  4. 平成30年度予算について
  5. 文部科学省の組織再編について

4.議事録

【小川分科会長】  定刻になりましたので、ただいまから第116回中教審の初等中等教育分科会を開催したいと思います。まだお見えになっていない委員もいらっしゃいますけれども、始めさせていただきたいと思います。
 本会議は、初中分科会規則第5条によりまして、公開を原則としており、また、第6条によりまして、会議を撮影、録画、録音する場合には、申請に基づき、分科会長の許可を受ける必要があります。会議の進行や他の傍聴を妨げる行為を行った場合には、退場を命ずることもありますので御了承いただければと思います。
 なお、個人を特定するような撮影及び録画は御遠慮いただきたいと思います。
 本日の議事に入る前に、前回の分科会以降に、事務局に人事異動があったということですので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】  それでは、前回12月15日の会議以降の人事異動により幹部の交代がございましたので、紹介させていただきます。
 1月16日付けで、矢野前課長に代わり就任いたしました、初等中等教育企画課長の森孝之です。
【森初等中等教育企画課長】  森でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【田中教育制度改革室長】  同じく1月16日付けで、伊藤前課長に代わり就任いたしました、財務課長の合田哲雄です。
【合田財務課長】  合田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】  同じく1月16日付けで、常盤木前室長に代わり就任いたしました、本初等中等教育分科会の庶務を担当いたします、私、教育制度改革室長の田中義恭でございます。よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続けて、今日の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】  本日の配付資料につきましては、お配りの議事次第にありますとおり、資料1から5と参考資料1をお配りしているところでございます。
 また、委員の皆様にはメール等で御案内いたしましたとおり、昨年より御審議いただいておりました第3期教育振興基本計画についての答申が去る3月8日木曜日に取りまとまりましたところでございます。つきましては、本日お配りしております資料とは別に、封筒に入れまして、机上に配付させていただいておりますので、追って御確認いただければと思います。
 資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。
【小川分科会長】  資料等の確認、よろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に入っていきたいと思います。1つ目の議題は、「学校教育法等の一部を改正する法律案について」です。これは梶山教科書課長から御説明をお願いいたします。
【梶山教科書課長】  失礼いたします。教科書課長の梶山でございます。
 資料1-1、1-2に基づきまして、御説明させていただきたいと考えております。御覧いただければと思います。
 本学校教育法等の一部を改正する法律案につきましては、一昨年に調査協力者会議を開きまして、その結果を取りまとめ、また、昨年10月に、この中教審の初中分科会におきまして御議論いただいた成果を法案化したものでございます。
 まず、1-2の方を御覧いただけますでしょうか。デジタル教科書のイメージというものでございます。デジタル教科書については、左にありますような紙の教科書、こちらを、同一の学習内容を電磁的に記録し、ICT技術を活用して、右のようにタブレット端末などで見ていくという、このようなものを想定しているわけでございます。
 こちらにつきましては、中ほどを御覧いただければと思いますが、デジタル教科書の導入により期待されるメリットというところで、デジタル機能の活用による教育活動の一層の充実が期待できるのではないかというところ。例えば、例にあります拡大縮小というようなところで、理科において植物の断面図などを拡大して、より詳細に見ていくようなことや、ハイライト、これは線を引くという行為でございますが、国語などにおきまして、起承転結などを考えていく際に、子供たちが試行錯誤しつつ、簡単に消して簡単にまた書いていくというようなことを可能にするということ。また、その書いたものを共有して、例えば、電子黒板において、その特徴的なものをクラス全員で共有して、また議論を深めていくというようなこと。こういうことも想定されるわけでございます。
 また、2つ目の○にありますように、デジタル教材との一体的な使用というところで、例えば、下にあります算数のように、立体図形の展開・回転などを、動画アニメーション等を使いまして、より感覚的に見ていくというようなこと。そのようなところが期待されるところでございます。
 また、併せまして、一番下を御覧いただければと思います。特別支援教育等における活用例ということで、一番上の○にありますように、視覚障害のあるお子さんたちというところで、拡大機能のような機能というのは活用できるであろうということ。また、2番目にありますように、発達障害のある子供たち、特にディスレクシアと呼ばれる、文字がなかなか認定しにくい子供さんたちがいらっしゃるわけでございますが、そのような方々に関して、音声読み上げ機能を活用して教科書の理解を深めていくということ。このようなところが期待されるところでございます。
 前のページに戻っていただいて恐縮でございますが、御覧いただければと思います。
 今申し上げましたように、様々なプラスの面等はあるわけでございますが、やはり今までの紙の教科書に代えて、このようなものを使っていくということのマイナスの面も考えられるのではないかという、プラスとマイナス面があるということを考えまして、デジタル教科書というものをいわば段階的に進めていくということを方針としていただいているわけでございます。
 それを踏まえまして、趣旨のところを御覧いただければと思いますが、教育の情報化に対応して、平成32年度から実施される新学習指導要領を踏まえました「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、障害等により教科書を使用して学習することが困難な子供たちの、学習上の支援のため、必要に応じて「デジタル教科書」を通常の紙の教科書に代えて使用することができる、デジタル教科書を紙の教科書と併せて使っていく、いわゆる併用制という形で、今回の法律案を構成させていただいているところでございます。
 概要のところを御覧いただければと思います。具体的な法律の改正のところでございますが、1の学教法の一部改正のところを御覧いただければと思います。現在、小・中・高におきまして、紙の教科書を使用しなければならないとされているところでございます。
 こちらにおきまして、○1を御覧いただければと思いますが、検定済みの教科書の内容を電磁的に記録した「デジタル教科書」がある場合には、教育課程の一部においてまさに併用していくということで、教科書の使用義務にかかわらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用することができるとする、ということにしておるところでございます。
 ただ、先ほど御紹介申し上げましたように、視覚障害、発達障害等の事由ということがある子供たちに対して、文字の拡大や音声読み上げ等により、学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部において、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用することができることとする、このような規定をしているところでございます。
 また、○2のところを御覧いただければと思います。こちらにつきましては、一般的には、学校においては、いわゆる検定済み教科書が使われるわけでございますが、特別支援学校、また、工業高校などの専門教科におきまして、検定教科書が発行されていない場合がございます。そのような場合には、一般的な図書を教科用図書として使用することができるわけでございますが、そのような場合に、デジタルのものがあった場合には、○1と同様に、その内容を電磁的に記録した教材を使用できる、このようなところを定めているところでございます。
 また、2を御覧ください。併せまして、著作権法の一部改正も行っているところでございます。紙の教科書につきましては、その公益性の高さというところから、公開されている著作物に関しましては、許諾なしに教科書に載せることができる。ただ、その際に、文化庁長官の定める補償金をお支払いするということ、そのようなことになっているわけでございます。現在、このようなデジタル教科書に関しまして、実際に発行者の方で作られているところでございますが、その発行者におきましては、権利者と相対でその権利を処理しなくてはいけない。また、お金につきましても、契約でやっていくというところでございますので、今回、1のような位置付けをするということに鑑みまして、通常の紙の教科書と同様に、掲載された著作物を権利者の許諾を得ずに「デジタル教科書」に掲載し、必要な利用を行うことを認めるとともに、著作権の利用に関しましての補償金等をお支払いするという、このようなことを整備する規定を置くことにしております。こちらにおきまして、デジタル教科書の円滑な作成が図れると考えているところでございます。
 3を御覧いただければと思います。少し技術的なところでございますが、文科省著作教科書の出版権等に関する法律がございます。こちら、先ほど御説明しました、民間による教科書の発行がない場合に、文部科学省の著作教科書が作成される場合がございます。この場合について、その「デジタル教科書」を作成するに当たりまして、文科省著作教科書と同様に、文部科学大臣が出版権を設定するということ、このような措置を規定するというところで、デジタル化への対応を図るというものでございます。
 こちらにつきましては、施行期日として、平成31年4月1日、来年度の4月1日ということで、国会に出させていただいているところでございます。これは、平成32年度から実施される新しい学習指導要領に伴う、教科書を作成するに当たって、1年前からその権利関係のところをきちんと対応していくということが必要であろうということと、実際、先ほど申し上げましたが、現在の教科書をデジタル化したものが、国語、算数などを中心にあるわけでございまして、そのようなものを使っていくということを可能にするということでございます。
 現在、こちらを本年2月に閣議決定させていただきまして、今、国会に提出しているところでございます。
 私からの説明は、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 デジタル教科書に関わって、学校教育法等の一部を改正する法律案の概要について説明いただきました。
 委員の方から、御質問や確認、御意見等があれば、お伺いいたします。
 吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】  すみません。これ、平成32年からの教科書ということだと思うのですが。お尋ねなのですけれど、ICTに関しては、今、1人1台というのは不可能という状況はあるわけですけれども、市区町村によっては、もう既に全員持っている学校とか、それから、私学等においても、全て持っているというようなケースがあると思うのです。そういった場合に、デジタル教科書というのは、配信というのか、電磁化に対しての費用、例えば、今、教科書は小中は無償ですけれども、中学校の場合だったら、例えば、我々、中高で言えば、無償でそれがもらえるのか、高校の場合だったら、教科書を買わないで、それにすれば同じ値段なのか。そういうことは、どういうふうになっているのでしょうか。
【梶山教科書課長】  失礼いたします。
 先ほど御説明申し上げた中で言いますと、今回の法制度におきましては、紙の教科書とデジタル教科書を併用していくというところでございます。紙の教科書を基本としつつ、デジタル教科書の有効性が使える部分について、それを使っていこうというところでございますので、基本的に、小中学校におきまして、紙の教科書の無償給与を継続するということ、これが基本になります。
 デジタル教科書につきましては、ハード・ソフト両方必要になるわけでございますが、そちらに関しましては、国としての無償給与の対象にはしないというところでございます。
 では、具体的にどうなるかというところでございますが、例えば、公立で言いますと、ハードにつきましては、地方交付税措置がされております。3クラスに1クラス程度ということで、来年度から、ハードにつきまして、地方交付税措置がされますので、そちらを活用していただくのかと思っております。
 また、ソフトに関しましても、現行売られているところを見ますと、電子黒板と併せて、学校全体として、例えば、100人まではいくらとか、そういう売り方をされておりますので、もちろん、個人負担ということになる可能性が全くないとは思いませんが、基本的には、設置者の方で見ていかれるということが多いのではないかと思っております。
 また、私学につきまして委員からおっしゃっていただきましたが、私学につきましても、基本的には、それぞれの学校設置者、それから、保護者ということになっていくのだと思いますが、それぞれにつきましては、私どもの私学助成の中で、来年度予算につきまして、拡充を図っているような補助予算も支援させていただきながら、私どもとしてデジタル教科書への対応をしていきたいと考えているところでございます。
【小川分科会長】  吉田委員、何かあれば。
【吉田委員】  その対応をしていきたいというのは、どういう?
【梶山教科書課長】  基本的には、ハード・ソフトという面があり、デジタル教科書については、無償措置の対象になりません。ハードについては、公立であれば交付税措置、それから、私学であれば私学助成の対象のところ、そういうところで支援を申し上げるという意味でございます。
【吉田委員】  ハード面は分かるのですが、ソフト面で、そうすると、教科書と両方ダブルで持たなければいけないということになって、二重のお金を掛けろということですね。一部は教科書として使っていいわけではないですか。そうすると、無償配布される教科書、紙媒体を持った上で、デジタル教科書を使った場合は、紙の教科書は使わないけれども、デジタルの部分はまた別にお金を払いなさいという方向性でいくということでいいのですね。
【梶山教科書課長】  基本的に、併用というところで、単元によって、例えば、デジタルを使わない場合もあると思います。ただ、紙の教科書を基本としつつやるということで、紙の教科書とデジタルを併せて使うというところ。その際に、紙の教科書は、小中学校については無償措置させていただきますが、それ以外については、高校については個人負担というところの中で、デジタルもそれに合わせて、基本的には設置者、若しくは保護者ということもあるかもしれませんが、そのような形で負担していただくということになろうかと思います。
【小川分科会長】  吉田委員、よろしいでしょうか。
【吉田委員】  はい。
【小川分科会長】  では、この後、天笠委員、鶴羽委員、篠原委員の順でお願いいたします。
【天笠委員】  今御説明いただいたことで、私はよろしいかというふうに了解はしております。そういう意味において、そのことについて、一言加えさせていただきます。
 というのは、この紙の資料の○1のところに、通常の紙の教科書に代えてデジタル教科書、この「代えて」という意味が、今も既にお話がありましたように、今後、いろんな意味で議論が起こってくるかなということが想定されるわけであって、それは、基本的には二者択一という発想でこのことを捉えるということが、いろいろなところで起こる可能性を秘めているのではないかと思っております。要するに、もう紙の教科書は要らないと、これからはデジタルなのだという、そういう考え方で、デジタルに一本化ということなのですけれども。
 このデジタル教科書に関わって、ワーキンググループの一員で議論に参加させてもらった立場からしますと、私の個人的な立場は、基本的には、今申し上げた二者択一にしないということであって、指導方法上、それぞれメリットを持つわけであるので、どちらかにしていくこと自体が、教育方法の多様化という趣旨に反することになっていく可能性を持っているのではないか。ですから、当然、デジタルはデジタルで指導方法上のメリットを持つわけだし、紙は紙としてそれを持つわけで、その両方を視野に収めた授業の在り方ということが、これからの授業方法の在り方としては、その方向性があるのではないか。
 ですから、共に生かすという、御説明で頂いた、併用するとか、併せてというところを、内実を伴った形で、今度、それぞれ教育委員会や市町村等々で、いろいろなこのことについての、今の財政上の運用等々があったときに、その辺のところを的確に対応していただくということを期待したいなと思っております。
 以上です。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 鶴羽委員、どうぞ。
【鶴羽委員】  私は、視覚障害や読書障害のある子供たち、そして、その保護者の観点からいくと、今までは紙でなければいけないというものが、デジタルでもよくなったということは、すごく喜ばしいことではと思っています。
 ただ、学校側が早く取り入れてくれればいいのですけれども、親や子供が望んでいても、なかなかそれが導入されないケースや、又は、そういった情報が届いていないケースも考えられるのではないかと思いますので、これが施行されるときには、そういったことのないように、また、学校は、まだ導入を検討か、その以前の段階ですけど、保護者や子供が望んだ場合は、どういうふうに、どこに相談して、どういうふうにそれがうまく取り入れられる可能性ということを考えていけるのかといった、仕組みというのでしょうか、環境も併せてつくっていただけたらなと思います。
 以上です。
【小川分科会長】  その点について、何かございますか。
【梶山教科書課長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っております。
 今、このデジタル教科書というものではなく、副教材的に、いわゆるデイジー教科書というもので、読み上げ教材などが使われております。そちらに関しましても、ICTを使って、子供たちにより充実した指導を行うというものでございますが、学校において、デイジー教科書などのICT技術の活用につきまして、御理解を広めていくというのは極めて重要だと思っておりまして、私どもとしましても、例えば、地域のブロックごとに、その効果につきまして、実際のものを御覧いただきまして、こういうふうに使えるよというような説明会などを行っているところでございます。
 デジタル教科書の1の○2の部分、今おっしゃった部分につきましても、そのようなところがあると思っておりますので、この効果に関しまして、きちっと学校現場の方にお伝えするとともに、私ども、こちらが法案として通った後に、いわゆるガイドライン的なものを作りたいと思っておりまして、こういうところで使えるよというもの、若しくは、こういうところは留意しなくてはいけないよというものを作りたいと思っております。そのような中でも、特別な支援が必要な方々に関してのところについては触れ、それを学校現場、教育委員会などに対して示してまいりたいと考えているところでございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  どうも。天笠委員の意見にちょっと関連するんですけれども。
 このICTの流れの中で、デジタル教科書を有効に活用しようということは、私もよく理解できます。ただ、今後、法律が成立して施行されたときに、特に留意していただきたいのは、今の子供たちに、紙離れ、本は読まない、新聞も読まないという傾向が見られます。それでも、教科書が紙であるということが、まだ救いになっている部分があると思うのです。そこもどんどんデジタルになっていくと、もう紙媒体というものにほとんど子供たちが触れなくなります。それでいいのかどうかということも常に念頭に置きながら、この運用をやっていただきたいなと思っております。
 天笠委員から、併用ということのお話がございました。私も次期学習指導要領作りに関わりましたけれども、併用ではなく、紙の教科書はベースである、基本であるというふうに書き込んでいるわけですから、その点を踏まえてやっていただきたい。
 とはいえ、これからの流れの中で、ICTの流れの中で、だんだん紙の存在というのが薄らいでいく可能性は十分あると思いますけど、そこは十分気を付けながらやっていただきたいということのお願いでございます。
【小川分科会長】  梶山課長、今のような御要望について、何か御意見ございますか。
【梶山教科書課長】  おっしゃるとおりかと思っております。私どもといたしましても、今回、併用制という形で、それぞれの良さをという……。
【篠原委員】  いや、紙が基本ということで、併用制の前に、基本ということを言わなければ駄目ですよ。
【梶山教科書課長】  おっしゃるとおりです。紙を基本としつつ、デジタルのところを使っていくということが、ワーキンググループの方でもおっしゃっていただいたところでございます。
 ただ、おっしゃっていただいたように、この措置というものを常に見直していくことは重要だということも、また同じだと思っておりまして、この法律案が成立した後、そういうものをきちんと状況を見て、またいろいろなことを考えてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。なければ、これでこの議題は終わりたいと思います。今日、いくつか意見が出されましたので、その意見に沿いながらの今後の取組を進めていっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題2として、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインについて」、これは塩川学校体育室長より御説明をお願いいたします。
【塩川学校体育室長】  よろしくお願いいたします。
 学校の運動部活動の総合的なガイドラインについて、御説明させていただきます。資料2-1と資料2-2になります。
 運動部活動につきましては、少子化が加速する中で、生徒がスポーツに主体的に楽しめる、そういう場として、部活動そのものが自主的・主体的な生徒の学びの場であったわけでございますので、そうした観点から、スポーツを主体的に楽しみ、生涯豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育む基盤として、当然ながら、学校の働き方改革も踏まえ、また、持続可能なものとするための取組が必要であるというような背景をも踏まえまして、今年度、スポーツ庁では、1年かけて検討会議を設けて議論してきたところでございます。
 そうした中、今般、ガイドラインを取りまとめ、全国各地における運動部活動改革の取組についての基本的な内容を示し、ガイドラインを公表するに至ったとともに、取りまとめた3月19日同日付けで、教育委員会等に取組の依頼の通知を行ったところでございます。
 ガイドラインの内容について、資料2-1に基づいて、簡単に御説明させていただきます。
 まず、ガイドライン策定の趣旨として、こういったガイドラインをまさに作っていく背景を掲げるとともに、対象としては、3つ目の○でございますが、義務教育の中学校を主な対象とし、その一方で、高等学校についても、多様な教育が行われている点に留意しつつ、原則として対象とすることと。その際、国公私立かかわらず、すべからく中高を対象とするということで定めているものでございます。
 それから、次の1番の適切な運営のための体制整備ということでございまして、(1)として、運動部活動の方針の策定ということで、今回定めました国のガイドラインに則(のっと)りまして、各都道府県、それから、中学校の設置者でございます市町村教育委員会、あるいは、学校法人等が、それぞれの運動部活動の方針を策定していく。それから、学校においては、学校長が当該学校の方針を策定していくということ。その上で、学校長は公表もしていくということ。その前提として、運動部顧問については、年間、毎月の事前の活動計画、事後の実績を作成していくということを定めております。
 それから、学校の設置者におきましては、指導体制、学校の体制整備という観点から、校長が、適切な数の運動部を設置すること。それから、研修等を行うこと。そして、昨年末の学校における働き方改革の緊急対策等も踏まえた、業務改善、勤務時間管理等も行っていくということを定めているものでございます。
 こうした1の取組全般を通じまして、学校の校内、それから、教育委員会等の設置者全体の体制整備、それから、透明性、こういった部活動のいわば見える化を図っていくということにしているものでございます。
 次の2の合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組ということで、最初の○でございますが、当然ながら部活動では、生徒の安全管理、それから、事故防止、体罰等の根絶の徹底を図っていくのは言うまでもないことでございますが、その上で、技術の向上を図りたいといった生徒のニーズに応じた活動ができることも極めて重要でございます。そうしたことから、いわゆるスポーツの中央競技団体で、部活動の指導に関する科学的なトレーニングの指導手引を作成し、それに基づき、各学校では、顧問あるいは生徒が、そういう指導手引を活用した活動を実施することで、学校においては、休養も適切に取り、短時間で生徒のニーズに合った効果が得られるような運動部活動を進めていくということにしているものでございます。
 次の3番の適切な休養日等の設定でございます。
 最初の○でございます。日本体育協会に、今回、運動部活動の適切な活動量について、医・科学的な見地からの研究をお願いしたところ、スポーツ障害等の予防の観点からは、休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、それから、1週当たりの活動時間についての上限としては、16時間未満とすることが望ましいということが、外国の調査等でも示されているといったことがございました。そういったことも踏まえまして、以下のものを、今回国が定めますガイドラインの基準としているものでございます。
 すなわち、学期中の休養日については、平日1日、土日1日以上、長期の休業中については、こうした学期中に準じた扱いをするとともに、オフシーズンを設けていくということ。それから、1日の活動時間でございますが、長くとも平日は2時間程度、それから、週末、学校の休業日でございますが、3時間程度としているもので、そういう形で示させていただいているものでございます。2番に掲げました競技団体の手引も使って、短時間で効果的な活動を進めていただきたいということでございます。
 その上で、3番目の2つ目の○でございますが、1番に書いてある、それぞれのレベルでの部活動の方針の中で、都道府県、学校設置者、校長については、休養日や活動時間についても設定していただいて、その運用を徹底いただくことをお示しさせていただいているものでございます。
 4でございます。
 (1)ということで、生徒のニーズを踏まえた運動部として、いわゆるシーズンスポーツ、季節ごとに異なったスポーツを行ったり、あるいは、どちらかというと運動が苦手な子が運動に親しめるような観点からのレクリエーション的な活動を行うもの、あるいは、体力つくりを行うものといった、従来の競技種目によったような運動部に限らず、まさに生徒のニーズに沿った運動部活動を進めていくということで、例示をさせていただいているところでございます。あわせて、少子化の中で、生徒のスポーツ活動の機会が損なわれないように、学校が連携して拠点校等の合同部活動等の取組を推進するといったことをお示しさせていただいております。
 それから、(2)の地域との連携ということで、学校や地域の実態に応じてでございますが、まさに地域のスポーツ団体、あるいは、保護者、民間団体等々の協力の中で、学校と地域が一体となったスポーツ環境を整備していくということ。さらに、それに当たりましては、学校体育施設の開放を推進するとともに、地域、あるいは、県・国レベルのスポーツ団体においても、協力・連携を図りながら、まさに子供のスポーツ環境を全体として進めていくということをお示しさせていただいているものでございます。
 それから、5番で、大会等の見直しということで、部活動が変わっていくことを今回のガイドラインでもお示しさせていただいている中で、いわゆる中体連、高体連の学校体育大会についても、参加資格、運営の在り方等について、速やかに見直ししていただくこと。その上で、県レベルでは、学校が参加する大会は多種多様でございますので、大会の全体像を把握して、大会数についての目安を策定していただくこと。それを踏まえて、各学校の校長におきましては、それぞれの運動部が参加する大会等について、自校の生徒の実態を踏まえて精査していただくことにしているところでございます。
 最後に、終わりにということで、少子化が加速する中で、地方公共団体においては、長期的にそういった人口動態も踏まえて、学校単位の運動部活動に代わりうる生徒のスポーツ活動の機会確保・充実に向けた検討をしていただくことを掲げているという構成になっております。
 運動部活動に関する報告については、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今の事務局からの説明について、何か御質問、御意見、御要望等がありましたら、御意見を伺いたいと思います。発言の際には、名札を立てていただければと思います。
 渡邉委員、それでは、どうぞ。
【渡邉委員】  私の方からは、学校安全のことから一言述べさせていただきます。
 今回のこのガイドラインの中には、部活による事故防止のことで、ちゃんと押さえていただきまして、これはとても良いことだと思います。
 そのことについて、少し細かい要望といいますか、そういうことについてお話ししたいと思うのですが。皆様、御存じの方も多いかと思いますが、昨年の12月に、群馬県の高校でハンマー投げの事故が発生しまして、これは日没後に陸上部がハンマー投げを練習しているフィールドで、同じくサッカー部が練習しておりました。そのサッカー部の部員に投げたハンマーが当たって亡くなっている、そういう痛ましい事故が発生したのですけれど。これにつきましては、検証委員会がまだ動いていますので、今後、詳細は明らかになると思うのですが。
 学校の管理下における事故全体を見ましても、やはり部活が中高では半数を占めているのですね。ほとんどは運動部ですけれど。その多くは、個別の部活による事故が多いと思います。ただ、今回の事故のように、複数の部活が関わっている事故というのは、特に中学校、高校ですと、体育館とかグラウンドで複数の部活が同時に練習を行うということがありますので、そのような事故、例えば、投てきとか、球技とかでは、ほかの部活の活動が関わって起こる事故というのは起こり得るということが考えられるわけです。
 今回のこの内容ですと、例えば、練習の時間や日数が減るということで、そういうところで少しリスクが減るかなという反面、短い時間で練習を済ませなければいけないということになると、逆に、施設利用に関して無理が出てくる可能性も危惧されます。そうしますと、同じような複数の部活が関わったような事故が今後も起こり得るのではないかということが予想されます。
 ですので、複数の部活が関わる事故を防止するためには、やはり全体計画を立案して進めていくということを是非お願いしたいと思っております。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】  すみません、今の渡邉委員とちょっと重なる部分もあるのですけど。
 そういう際に、1番の(2)の部活動指導員を積極的に任用・配置というのがあるのですけれども、この部活動指導員の立場というか、責任というものはどこまであるのか。それによっても、教職員の働き方改革の問題も含めて、非常に大きな部分があると思うのです。
 それと同様に、5番の日本中学校体育連盟主催の大会云々(うんぬん)とあるのですけど、実は、中学校のスポーツって、中体連に加盟できていない部活動というのもたくさんあるんですね。これは各県にいくつ以上なければ加盟できないとか、そういうことで、競技種目ごとで団体ができていたり、それから、それの大会が多すぎるから、校長がそれを選べといっても、子供の方がやりたいという場合に、どういうふうにすればいいのか。そういったバックグラウンドがきちっとそろわないとできないのではないかなと。
 そして、休養日等の話ですが、これは運動部だけですけれども、実際、文化部等で、例えば、ブラスバンド、吹奏楽とか、そういったもので、毎日のようにすごい練習をやっているところもあります。そういうところも全部含めて考えた方が良いのではないかなという気がするわけです。
 それとともに、私が先ほど言いました部活動指導員等についても、公立の場合ですと、これで配置しても、生徒の指導ということで、教育委員会等が負担することになると思いますけれども、私立学校の場合は、もし出たとしても、また2分の1ということになれば、また更に2分の1は保護者の負担になるという部分もございます。
 それから、そういう中で、そうすると、では、学校での部活動を減らして、例えば、今、フィギュアスケートなんかはそうですけれども、学校で練習ができるわけではないですから、そうすると、学校外に出てしまえば何時間練習していてもかまわないのかという問題もあると思うのです。
 そうすると、この辺が、各スポーツ団体との関係で、子供の発育とか、そういう問題を考えた上で時間を縛っていくのか、それとも、学校内だけでいいのか、そういうことも含めて、是非、検討していただきたいなという思いがございます。よろしくお願いします。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今の吉田委員や渡邉委員の御発言について、体育室長の方から何かございますか。
【塩川学校体育室長】  若干の補足でございます。
 部活動指導員につきましては、まず身分といたしましては、学校の職員という形になります。ですので、公立学校でございましたら、非常勤の地方公務員という形になるわけでございます。
 今回の部活動指導員が、いわゆる外部の指導者と違う最大の点については、学校の方の整理としては、教員とは別途、部活動顧問になれるという点がございます。その点が、働き方改革の観点からも非常に大きいポイントだと思っておりますが、同時に、大事なのは、では、部活動指導員にお任せで、あるいは、今までのように、どちらかというと、顧問にお任せで、結果、学校として部活動が、全体としての、学校全体の体制整備ができていないというようなことがないようにすべからくしていく必要が極めて重要であるということが、今回、我々のスポーツ庁のガイドラインでも、学校全体としての体制整備をしていくということで整理させていただいているものでございます。
 今も、できている学校ではきちんとできていますが、なかなかそうでないところもありますので、そういったところについて、教育委員会等も通じまして、きちんと安全面も含めた体制整備の徹底も、引き続き要請していくということでございます。
 それから、文化部についてでございます。先ほど、同日付けでガイドラインに取りまとめたときに、通知を出させていただいたと申しました。そのときの通知の中でも触れているところでございますが、文化部については、おっしゃいますように、本当に一部の文化部は、非常に長いものがございます。当面、運動部活動のガイドラインを準用していただいて取り組んでいただきたいということを学校、教育委員会等にお願いするとともに、文化部については、この後、文化庁の方でも、文化部の特性を踏まえたガイドライン等の議論をしていくことになっているところでございます。
 それから、最後、活動時間、子供の観点を考えると、学校に限らず、どこであっても、発達・発育を踏まえるべきではないかというのは、全くそのとおりでございまして、他方、これは部活動のガイドラインでございますので、この運動部部活動のガイドラインの射程としては学校でございますが、あわせて、スポーツ団体、日本体育協会さん等にも、どこにおいても、やり過ぎというのは、けがの防止の観点からも、非常に気を付けないといけないということを、スポーツ団体、競技団体、あるいは、県の体育協会等に、徹底していただくということを要請しているところでございますので、そういったことをやって、どこであろうと、子供が安全・安心にスポーツを楽しめる環境整備に努めていきたいというところでございます。
【小川分科会長】  吉田委員から、もう一つ、部活動指導員に対する財政的な補助の件の質問もありましたけれども、公立の場合には、国・都道府県・市町村、それぞれ3分の1負担となっていますが、私立の場合には、どういう対応がなされるのですか。
【塩川学校体育室長】  今、現状、私立学校について、きちんと部活動指導員の公立のようなものがあるかというと、そこまで細やかなものはございません。まさに今年度、公立についても始まったところでございます。これをきちんと御活用いただく中で、さらに、次年度以降、全体につなげる中で、国としても、スポーツ庁に限らず、文科省一体となって、何かできるかというのをしっかりやっていきたいと思っております。
【小川分科会長】  吉田委員、よろしいですか。
 では、篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  吉田委員の、後段の話の部分にも関係しますけれども。
 私は、こういう場を通じて、部活について、特に運動部の部活について、子供たちにとってどうなのかという視点をしっかりと踏まえてやってほしいということを何回も申し上げてきているのですね。
 例えば、大学は、運動部でも、同好会的なもの、体育会系のもの、2つありますよね。中高でもそういう区分を考えてもいいのではないかと。子供たちの声を聞いていると、スポーツ、運動はしたい。だけどアスリートを目指すつもり名はないという子は多い。私立なんかで部活がアスリートようせいになっている学校が結構多いんですけど、そういうところへ入れられると、もう何にもほかのことができないと。だから、二者択一になってしまう。
 もう少しソフトランディングできるようなシステムを、中高においてもぼちぼち考えてもいいのではないかなという気がします。そういうことも、今後、ひとつ検討していただきたいなと思います。
【小川分科会長】  続けます。市川委員、鶴羽委員の順でお願いいたします。
【市川委員】  中学校部会でも、この部活のことは結構話題になりまして、その趣旨はかなり生かしていただいていると思ったので、非常に有り難いと思っています。
 それで、今の「終わりに」のところにあったこと、これは今篠原委員がおっしゃったこととも関係あるのですが、長期的には、従来の学校単位での活動から、一定規模の地域単位での活動も視野に入れた体制の構築が求められる。これも中学校部会では触れているのですけれども、この意味なのですが、なぜかというときの1つの意味は、学校単位でやっていると、もうどうしても人数がそろわなくなってしまって、野球部がとても作れないとか、サッカー部が作れない。結果的に、運動部は1つしかないとか、そういう学校がもう過疎地にはできています。それでは、子供の選択肢があまりにも少ないということと、それから、レベルですね、やはりものすごくハードな練習をむしろやりたい、県大会を目指したい、全国大会を目指したいという子供もいれば、そこまでハードにやりたいわけではない、勉強とも両立しながら、そこそこやって楽しみたいという子供もいる。そういうときに、1つの学校単位でやっていると、そういう多様な子供のニーズにとても応じきれないということで、少し単位を大きくすれば、そういうことも可能になってくるのではないかという、それが1つの趣旨です。
 それから、「地域全体で」というときに、学校の先生から引き離してというふうに受け取られると、これは学校からも相当の抵抗があると思います。やはり学校の先生でも、部活の指導ということに非常に長(た)けている先生もいらっしゃる。もちろん、そうでない先生もいる中で、押し付けてしまうと問題もあるのですが、学校の先生にとっても、やはり部活指導というのが非常に重要なパートを占めている中で、あくまでもこれは地域と学校の先生との連携・協力でやっていくという、その趣旨であるという方向に持っていっていただける方が、地域と学校双方の抵抗は少ないのではないかなと思いました。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 鶴羽委員、どうぞ。
【鶴羽委員】  私は、子供が中学1年生で、運動部に入っています。そのスポーツしかしませんので、多様なニーズに応じた活動、季節ごとに異なるというのは、子供たちのためにとっては本当にいい機会だなと有り難く感じる一方で、もう既に今年に入ってから、週に2日以上の休みが始まって、1日当たり2時間ぐらいの練習になりましたが、単に時間が短くなっただけですので、子供たちは不満に思っています。物足りないと。保護者にしてみたら、「大丈夫、それで大会やるのに」という不満の声もあります。実際に、トップアスリートを目指すレベルの高い子供たちは、ほかにトレーニングに通うようになっているという現状もあります。
 ですから、短時間で効果が得られる指導ですとか、休養をしっかり取らなければいけないですとか、そういったことをやはりしっかりと先生方や子供たちに、もう中学、高校であれば、保護者よりも子供たちの理解だと思いますので、そこを丁寧に説明しないと、もう既に不満の声は上がり始めていると思いますので、そういったマイナスな気運が最初にどーんと出てきてしまったら、何のためにということになりますので、やはりスタートのところの説明というのを是非しっかりお願いしたいなと思います。
 以上です。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 善本委員、どうぞ。
【善本委員】  ありがとうございます。
 現場の中学校と高等学校を預かる立場として、このようなガイドラインを定めていただいたことについて、まず感謝を申し上げたいと思います。
 様々な御意見もある中で、今おっしゃっていたように、子供のためにはもっとやりたいという要望がある中で、もちろん、働き方改革の問題もあり、心身の健やかな健康の問題もありということで考えていただいたと思います。
 それで、少し小さなことかもしれませんけど、現実的なことをお話し申し上げようと思います。平日を2時間というふうに定めていただいて、2時間というのが、どのようにして捻出される時間で、どのような時間設定になるかということを具体的に見ていただいたときに、どの学校でも、中高、50分授業が6時間目までは必ずございますので、その後にホームルームをして、大体の場合、清掃をして、部活動の期間を2時間設定するとなると、私どもの学校も、実は部活動は6時までということになっています。ほとんどの部活動が6時までやっています。
 昨年、私に対して、生徒の方から、6時半まで延ばしてほしいという要望がございました。そのときに私が子供たちに話をしたのは、放課後の、授業が終わってから、ホームルームと清掃の活動を非常に迅速にやって、3時45分から2時間、5時45分まで本当に真剣に運動したら、くたくたになるはずだと。2時間、中身の濃いものをやってみようという話をして、今のところ、6時で収まっています。
 ただし、この大きな問題は、教員の勤務時間の終了は4時50分です。8時20分始業で、4時50分には実際の勤務時間が終わっている中で、2時間やると、6時までという状況で、必ず1時間10分の超勤が、4%に含めるにはあまりにも長い超勤が現実的に行われているということは、やはりあります。2時間やるということは、そういう意味なので、そのことを、もちろん、なかなか生徒、保護者に御理解いただくことは難しいと思いますし、通常、私どもも、学校の立場で、あまりそのようなお話はいたしません。そういう中で、今回、働き方改革の問題も含めて、このことが言われているということではありますけれども、結局は、やはり部活動を2時間やるということは、もう完全に教員の超勤が前提であるということは押さえておかなければいけないことだろうなと思っています。
 その上で、もちろん、私どもでも、6時までの部活動は行っていますし、恐らく今後も行っていくことになろうかと思いますが、やはり押さえておかなければいけないかなと思います。一方で、先ほど鶴羽委員からもお話あったように、生徒たちの中には、もっとやりたいという意向があるのも確かですし、そのあたりを図っていくのは、本当にまさに難しいことだなと感じています。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 篠原委員、市川委員、鶴羽委員、善本委員から、それぞれの御意見いただきましたけれども、体育室長の方から何か今この場であれば、一言お願いいたします。
【塩川学校体育室長】  まさに善本委員のおっしゃる部分はそのとおりだと思いますし、我々としては、それもあって、部活動指導員の充実を図るとともに、学校だけではない、地域全体での、子供のスポーツ環境の充実、オプションも含めて、図っていかないといけないと思っておりますし、そういった形で、スポーツ団体等も一緒になって、そういった環境整備を進めていきたいと思っているところでございます。
 そうした中で、間違ってはいけないというのも変ですが、活動時間については、やはり子供の視点を何より大事にしないといけないと思っております。鶴羽委員の御指摘もございますが、ただ、一方で、やはり大事なのは、確かに、子供にとっても、やり過ぎると、けがをしたり、その結果、競技力の停滞になりかねないということだと思っております。それもあって、競技団体の方に、これだけメリハリがついても、きちんと世界のトップも目指せるといったような指導ができるのだということを、きちんと指導手引も作ってもらい、さらに、それを各現場まで浸透していくということを進めていきたいと思っております。現に、スポーツ団体の方でも、そちらの方の協力も頂く方向になっております。そういった形を進めて、生徒も保護者も、みんなが言わばマインドをちょっと変えて、メリハリのついた部活動をやっていくということで、進めさせていただければと思っております。
 以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 では、篠原委員、どうぞ。
【篠原委員】  鶴羽さんのお子さんのような方もいらっしゃると思いますけど、そうではなくて、大会でどうだとか、アスリートがどうだではなくて、やはりスポーツをやりたい、だけど、勉強の方もしっかりやりたい、運動の方ばっかりに時間を取られるのはイヤだという子供たちも結構いるわけです。先ほど述べたように、そういう、もっと多様な選択ができるようなシステムを是非考えてくださいと申し上げているのです。
【小川分科会長】  どうぞ、吉田委員。
【吉田委員】  今の篠原委員の件ですが。実は、私は昔から持論で、うちも、テニスとか、少林寺拳法とか、全国大会レベルのスーパーアスリートのクラブもあるのですけれども。例えば、バレーボールとか、バスケットボールとか、子供たちに体を動かさせたい、それで、楽しくやらせたい。そういう意味で、もうどうやったって、数も多いし、全国大会レベルまでなるわけではないので、逆に、そういう、大学でいう同好会ではないですけど、安心と安全だけを守った上で、楽しくみんなができるバレーボールとかバスケットをやろうよみたいなクラブを設置して、週に2日間だけ体を動かせるクラブを作ったりもしてきていますし、それから、外国では、本当に学校は4時なら4時で終わり、4時以降の部活動みたいなものは全部地域スポーツとか、それから、部活動にしたとしても、別契約で、保護者の責任であって、学校の責任ではない。それで、指導員の方を呼んで、そこに預けて、学校の施設でやってもらうというような形でやっていますけれども。
 やはり体育団体の、それぞれの協会等のアスリートの育て方も違うし、現実に、例えば、公立の中学校でも、全国からバトミントンの選手を集めて、寮を作ってやっているところもありますよね。だから、そういうすごくハードなものとソフトなものというのを一緒に考えられてきている。それで、これをやっていくと、今度、高校生になりますと、今、通信制の学校が、要は、プロスポーツ選手を育てるだけのために単位を与えているみたいな学校もできてきてしまっている。だから、その辺で、総合的にスポーツというもの、オリンピックの選手にするものと違うものも一緒に考えていただきたい。ただ、オリンピックの選手は、本当に練習しなければ僕は無理だと思いますし、その辺が難しいと思っています。
【小川分科会長】  よろしいですね。
【篠原委員】  このガイドラインを見ると、その辺がはっきりしない。トップレベルを目指すということが前提になって、このガイドラインができているような気がします。是非、スポーツ庁にも、はっきり、その辺は意見を申し上げていただきたい。
【小川分科会長】  ガイドラインの内容も、そういうふうな論点を含めたものだというふうに理解していますので、そういうことが実効性あるような形で、さらに、今後ともいろんな取組を進めていっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 時間も予定より過ぎておりますので、次の議題に進めさせていただければと思います。
 次の議題は、「高校生のための学びの基礎診断」です。これは滝波高校教育改革プロジェクトチーム・リーダーから説明をお願いします。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  それでは、資料3を御覧いただければと思います。「高校生のための学びの基礎診断」制度についてです。
 本件は、昨年の8月と12月の高大接続改革に関する進捗状況の一環で御報告している内容でございます。本日は、その後の状況を中心に御報告できればと思います。
 昨年の7月に高大接続改革の実施方針というものを公表しております。その中で、基礎診断につきましては、高校生の基礎学力の確実な習得と学習意欲の喚起を図るために、文部科学省が一定の要件を示して、民間の試験等を認定する制度を創設し、学校における活用を通じて、指導の充実を図り、PDCAサイクルを促進するという基本的な考え方が示されているところでございます。
 その後、具体的な認定基準等を検討するためのワーキンググループを設置いたしまして、荒瀬委員を主査として発足いたしました。このワーキンググループを本年の2月まで、計6回にわたりまして開催してまいりました。
 前回の12月のこの分科会に御報告した後に、パブリックコメントの手続に掛けまして、その上で、去る3月6日に取りまとめがなされました。同日付けで、文部科学省として、認定基準、手続等に関する規程ということで、策定・公表したものになります。
 認定基準・手続については、1か月間、パブリックコメントに付しましたけれども、原案から大きな修正を特にすることはなく、基本的に原案のままで取りまとめをさせていただいております。その上で、規程という形で、策定・公表させていただきました。
 認定基準は、民間事業者の創意工夫を最大限発揮できるように、大綱的なものとしてございます。
 その上で、主な認定基準のうち、出題関係ということで、この表紙の右側の、ブルーのところの点線囲みの中にいくつか書いてございますが、出題関係につきましては、学習指導要領を踏まえた出題の基本方針に基づく問題設計になっているということ。それから、知識・技能を問う問題に加えまして、思考力・判断力・表現力等を問う問題も出題していくということ。それから、記述式問題の出題をしていくということ。また、英語については、原則として、4技能の測定ができるものであるといったことを求めております。
 それから、結果提供の関連では、指導要領に示す目標に照らした定着度合いの測定を通じて、学習成果や課題が確認でき、事後の学習改善、あるいは、教師による指導の工夫・充実に資する結果提供がなされるといったようなことを設定しております。
 このページの一番上の箱の中の,最後の○印のところにも書いておりますが、今後の予定としましては、6月末までに民間事業者からの申請を受け付けまして、申請のあったツールの情報の概要を文科省のホームページに公表していきたいと思っております。その上で、7月~9月にかけて、文科省の中に審査会を置き、具体的な審査をしていく。その上で、10月~11月には認定をし、文部科学省のホームページに情報提供をしていきたいと考えております。そして、各学校の方で、年間指導計画に適宜反映していただき、2019年度から本格的な利活用が進められるようにしていきたいと思います。
 こういったサイクルを毎年度繰り返していきまして、ツールの充実につなげていきたいと考えております。
 少し中身が分かる資料ということで、資料は大部なのですが、お開きください。通しページの47ページのところを御覧いただきますと、上のところに、「高校生のための学びの基礎診断」の活用方法のイメージと書いております。
 このページの左側のところに、高校での取組として、学校の中で測定ツールの活用を通じて、基礎学力の習得や学習意欲の喚起に役立つ「カリキュラム・マネジメントの確立」という形で使っていける、学校におけるマネジメントツールとして活用していく、そういったことを書いております。
 また、生徒の側(がわ)に立ってみますと、測定ツールの活用を通じた指導の工夫によりまして、生徒の興味・関心を引き出して、生徒自ら「学びの質の向上」にも取り組むようにしていくといったことを狙いとしております。
 それから、通しページの48ページの上の図を御覧ください。測定ツールの選択イメージ例です。国数英の教科でまずスタートしようということになりましたが、測定ツールAのように、国数英をカバーする3教科セットのツールというものもあるでしょうし、また、測定ツールBのように、英語単独のツール、あるいは、測定ツールCのように、国数をカバーするようなツール、それから、各専門校長会が実施する検定、これは今回認定の対象にはなりませんが、そういったものも御活用いただきながら、学習意欲の喚起、基礎学力の定着に役立てていくといったようなことが可能ではないかと考えております。
 それから、通しページの50ページの上の図でございます。文科省のホームページに、認定された後に、情報提供していくイメージを書いております。記載のように、測定ツールの名称や事業者名、主な対象者、対象となる教科、目的・概要、特長・活用例、受験料等の基本情報に加えまして、事業者から申請いただく申請書類の内容、あるいは、事業者への改善に向けた指摘事項といったことも、詳細情報として掲示をしていきたいと考えております。
 それから、通しページの51ページ上半分のところには、これは「学びの基礎診断」の活用モデル例ということで、教育委員会等の方針の下で、様々な目的・状況・ニーズに応じた、ふさわしい測定ツールを選択し活用いただくということを考えております。
 例えば、全校共通の1つのツールを活用していくようなやり方もございますし、逆に、一番右の実施時期などの、一定の方針の下で、個々の学校や学科、学級等の状況に合ったツールを学校ごとに活用していくといった使い方もあります。それぞれ各設置者の中で具体的な使い方を考えていただきたいと思っております。
 こういう形で、各設置者における検討が大変重要だと思っております。基礎診断の活用方針なども含めた関与の在り方について、各設置者においては検討してほしいと考えております。そのためにも、各地方公共団体等には、その検討の要請をお願いしているところでございます。
 なお、この策定・公表されました基礎診断の基準そのものではございませんけれども、ワーキンググループの検討の中で、望まれる事項として、いくつかの事項が提言されました。通しページの44ページを御覧ください。
 43ページ、44ページは、基礎診断のワーキンググループの、まとめの概要でございますけれども、44ページのローマ数字3のところに、基礎診断に望まれる事項として、10項目の課題が記載されております。
 例えば、上から4つ目、多様なレベルの問題セットの開発・提供が望まれる。あるいは、その下、低廉な受験料ということで、できるだけ低廉な価格設定が求められる。加えて、経済的に困難な事情にある生徒への配慮ということも望まれるということが提言されております。
 また、下から3つ目のところには、対象教科・科目等の在り方ということで、まずは国数英から始めますが、将来的には、地理歴史、公民、理科その他の教科への対象拡大ということも望まれるということに提言がなされております。
 また、その下には、結果の副次的な利用ということで、ここについても検討課題として掲げられております。
 まず今回、こういう形で制度が創設されましたので、この制度の定着を図りながら、より望ましい姿に近づくように、継続的に改善していきたいと考えております。
 関連しまして、現在準備を進めております次期高等学校学習指導要領が、2022年度から年次進行で施行されていくということになっております。これに向けまして、2021年度には、新指導要領に対応した測定ツールを認定ができるようにしていく必要があろうかと考えております。そのためにも、継続的に、この基礎診断の実施状況の点検・検証を行って、必要な制度改善も行っていきたいと考えています。
 文科省としては、基礎診断制度の利活用を促進しながら、高校段階の生徒の、基礎学力の定着に向けて、取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 説明は、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今の説明について、御質問、御意見、御要望があれば。
 では、篠原委員からどうぞ。
【篠原委員】  私は具体的にこの議論に参画していないから、ひょっとしたら的外れなのかもしれませんけど、これは各学校の義務付けですか。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  この仕組みは、義務付けではございません。
【篠原委員】  あくまで申請による?。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  希望参加型ということになっております。
【篠原委員】  希望参加型ですか。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  詳しく御説明しませんでしたけれども、表紙のページの左側に、学校の中でPDCAが回っているイメージを書いています。右側には、今回制度化しました基礎診断の制度のことが書いてありますけれども、矢印のところ、各学校の実情を踏まえて、適切なツールを、必要に応じて組み合わせながら選択・活用いただくことで考えております。
【篠原委員】  分かりました。
 それは、対象が、公立だけではなくて、私立も入るということですか。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  国公私問わず、高校段階の生徒に幅広く御利用いただけるものとして考えております。
【篠原委員】  分かりました。
【小川分科会長】  加治佐委員、あと市川委員の順でお願いします。
【加治佐委員】  学びの基礎診断ということで、大変よろしいと思うのですが。
 これ、高等学校が対象になっておりますけれども、今、高等専門学校におりまして、5年生の最初の3年間は、高校と同じなわけですね。高専機構では、数学、物理、化学ですけれども、CBTを開発しておりまして、来年度から本格運用します。多分、この動き、高専機構は分かっていなかったのかなという気もするのですけど。要するに、高専も今後これを活用する可能性があるのかどうか。つまり、高専は、対象になるかどうかということが1つですね。
 それから、2つ目は、先ほど、低廉な料金で提供すると。恐らく学校持ち、あるいは、それに対する、公立であれば、教育委員会とか、あるいは、国からの何らかの措置が講じられる可能性もあるのではないかと思うのですけれども、そういった費用というのは、私学もそうなのでしょうけれども、高専とか、そういう別な学校種の場合、そういうものの対象になっていくのかどうか。
 多分、これから我々の高専の内部でも、本当にそういうことを検討しなければいけませんので、もしお分かりであれば、今、知識として蓄えたいと思うのですが。
【小川分科会長】  それでは、お願いします。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  ありがとうございます。
 高等専門学校も対象になると考えております。先日も、高等専門学校の事務局の方にも御説明に上がりましたけれども、非常に前向きにお考えになっておられました。CBTの取組も来年度からスタートするということもおっしゃっておられましたので、非常に力強く感じたところでございます。
 高専の1年生から3年生の段階におきましては、基本的には高等学校と近い教育課程を学んでおられますので、当然、この基礎診断の対象となっていくものと考えております。
 それから、受検料でございますが、当然、自己負担、保護者負担ということが原則になると考えております。しかし、先ほど申し上げた、例えば、設置者の側(がわ)でいろんな関与の仕方を考えていく。その中には、支援のことも含めてお考えいただくことが大事だと思っております。主に地方公共団体ということになるかもしれませんが、各地方公共団体におかれては、どんなことができるかということは、既にお考えを始めていただいているものと考えております。
 加えて、国としても、何ができるかということは、これからの検討課題だと思っております。それは、検討ワーキングの議論の中でも重要な課題として提言されておりますので、しっかりと検討していきたいと考えております。
【小川分科会長】  加治佐委員、よろしいですか。
【加治佐委員】  分かりました。
【小川分科会長】  では、市川委員、どうぞ。
【市川委員】  質問と要望なのですけれども。最初の、ページの認定の基準ですが、どういう力を見るのかというところです。主として知識・技能を問う問題だけではなくて、主として思考力・判断力・表現力等を問う問題、これもありなのだということですよね。
 これまでのペーパーテストとか、あるいは、CBTで測られるような力も、主に知識・技能になるのだと思うのですけれども、やはりこれから、今の指導要領の改訂とも、高大接続とも関係するのですが、この思考力・判断力・表現力、これをどうやって測定・評価して、できれば大学入試でもそれが生かせるような形にするかということが非常に大きな問題になっているときに、やはり民間ででもそういうものをきちっと評価するというのができると、非常に有り難いと思っているのです。そういう話がどれくらい出ているのかなということです。
 というのは、これは、入試だから、大学側でそういう力を測ってくださいと言っても、何万人も受験生が来て、表現力とか、例えば、今、小論文もやらなくなっている大学がどんどんあります。大変だからですね。それから、発表とか、プレゼンとか、こんなこともとてもできない。それから、討論する力を見るなんていうこともとてもできない。大学教員も、とてもそれはできないし、かといって、高校ごとにそれをやっても、これは比較のしようがないのですね。やはり熟練したテスターが、ちゃんとしたルーブリックに基づいてやってくれていれば、それが信頼できるツールとなり得るということです。そういうことをむしろ期待したいなと思うのですけれども、そういう議論はいかがでしょうか。
【小川分科会長】  どうぞ、お願いいたします。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  大変貴重なポイントだと思います。
 中教審の議論でも以前からございましたように、学力の三要素をしっかりと評価をしていくことが大事だということが言われておりました。その中で、今回、この基礎診断の仕組みの中でも、単に知識・技能のみならず、思考力・判断力・表現力もしっかり問えるような出題をしていくことにしてあるわけです。
 先ほど御説明はしなかったのですが、民間事業者の方からは、測定ツールの申請をしていただいて、それを審査していくということを申し上げました。事業者から申請を頂く具体的な書類の中に、例えば、通しページで11ページのところですけれども、通しページの11は様式4ということになっておりますが、測定しようとする資質・能力の具体的な内容を業者さんの方から出していただくわけでございます。
 具体的な出題する問題それ自体を全てチェックするのは不可能でございますが、出題の考え方は申請いただいて、それを確認させていただきたいと思っております。この中で一番左側のところ、測定しようとする資質・能力の具体的内容、これをルーブリックの形で、「~できる」という記述文の形で記載していただく。それに対応する指導要領の関連項目はどこの箇所なのかということを対比できるような形にして書いていただく。こういう形で申請いただきたいと考えております。
 そこの中で、単に知識・技能のみならず、思考・判断・表現力も、具体的にどういう力を付けさせようとしているのかということが見えるような形で申請を頂くということにしてございます。
【市川委員】  これは1回の締切りがあって、そこまでにツールを全部そろえてしまうということなのですか。それとも、だんだんほかのものができてくれば、増えていくというものなのでしょうか。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  説明が足りなかったかもしれません。資料の49ページの上の図を御覧ください。今回、制度を作りましたが、6月末までに、まず初めての申請の受付をしようと思います。その上で、今年の秋には、初めての第一弾の認定が出せると思っております。一度認定されたツールについては、3年間の有効期間を考えておりますので、2019、20、21年度の3年間の有効期間。この認定していくサイクル自体は、毎年度の業務として行っていきたいと考えておりますので、その後もツールの充実が進んでいくものと考えております。
 あわせて、2022年度からは、次期高等学校学習指導要領がスタートしていきますので、それ以降は、新旧のツールが併存するような形で動いていくということになるかと考えております。
【市川委員】  ありがとうございます。
 やはり今現在で考えてしまいますと、例えば、プレゼン検定とか、レポート検定なんていうのも、ほとんど聞いたことがないのですよね。ですから、そういうものはだんだんこれから開発されていくと思いますので、やはり10年、20年というスパンで見て、次第にそういう測定ツールがきちっとできていくということを見越して、充実させていただけるといいかなと思いました。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 この後、角田委員、天笠委員、若江委員の順でお願いします。ほかになければ、このお三方で、終わらせていただき、そして、最後に、検討ワーキンググループの主査を務められた荒瀬委員の方から、何か御発言いただければと思います。
 それでは、角田委員、どうぞ。
【角田委員】  学びの基礎診断につきましては、高校の先生の話題にまだあまり上っていないなと思っていたところ、この前お会いした先生からは、うちは導入しないことに決めたという、荒瀬先生、申し訳ありません、そのような話も聞きまして。うちというのは、1校単位ではない話だったのですね。
 それで、パブリックコメント等を読ませていただいても、やはり目的とか趣旨がまだあまり伝わっていないなという感じが非常にしています。それで、大学共通テストの方は、プレテストの問題が非常にメッセージ性が高くて、今、高校の先生方がみんな自分事として話し合って、では、自分の授業どうしようというところにもう落とし込んでいて、ぐっと進んだ感じがするのですね。でも、例えば、英語の民間検定などは、やはりまだなかなかお尻が重いという感じがありまして、高大接続改革の具体的な方策は、やはり一つ一つ、すごく丁寧にやっていくしかないのだなと思っているところです。是非、私たちは応援したいと思っているのですけれども。
 モデル例はあったのですけれども、これ、長いスパンでやっていくということですので、生徒の成長と、それが本当に教育活動のPDCAサイクルに落とし込まれていくという、実例のようなものの紹介を順次出していくということが必要なのかなと思っています。
 以上です。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 では、天笠委員、どうぞ。
【天笠委員】  私も、この点については、まだ理解は非常に浅いものですので、申し上げることがかなり外れた話になるかもしれませんけど、お許しいただければと思います。
 私は、この間の学習指導要領改訂の答申をまとめるに当たって、御一緒させていただいた立場からして、それこそ幼小中高という、そういう文脈の中で、今回の改訂をどう進めていくかという、こういうところで御一緒させていただいたわけですけれども、その話で、いろいろなコンセプトが打ち出されていくわけですけれども、そのことと、今御説明いただいたこの高校生のための学びの基礎診断ということが、まだ私の中ではうまく符号しないというのが正直なところです。
 要するに、この話はこの話であって、先だってまでの高校学習指導要領の改訂を基にした答申のそれはそれとしてということで。ですから、そういう点において、この中で、例えば、カリキュラム・マネジメントとか、そういうのが入っているのですけれども、それが接点なのかなというのが現在のところで、まだ、それならばそれで、もう少し丁寧な説明が必要なのではないかと思うのですけれども。
 例えば、学校間の接続の場合に、高等学校の場合ですと、学び直しということが取り上げられていたかと思うのですけど、その学び直しということと、今回ここで取り上げられていることというのが、どういう脈絡あるのかないのかですとか、そういうこと等について、この様々なところからすると、もう少し丁寧に説明して、説得力を持った説明の仕方が大変必要になってくるのではないかと思っております。
 そういう点では、例えば、基礎学力の確実な習得とか、意欲の喚起とか、こういうことのためにこれがあるのだとか、一つ一つはそういう意味合いが提起されると分からなくはないですけれど、そういうことと、何ゆえに今回民の参画なのかという、こういうことについても、それをそれとして、また丁寧に説明していくということが大切なのではないかと。
 そういう意味合いを込めて、これがこれからどれほど広く共有されて、実質化することに当たっては、なお言葉を丁寧に重ねていくというか、説明していくことの大切さというのがあるのではないかなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川分科会長】  今の天笠委員からの御意見、御要望等々については、文科省の方からもお答えいただくとともに、恐らく、検討ワーキングのところでもそういう議論があったかと思うので、最後に荒瀬委員の方から御発言いただくということにしたいと思います。
 その前に、若江委員、よろしくお願いします。
【若江委員】  ありがとうございます。
 1ページのところのほか、御説明をお聞きして、だんだん分かってきたのですが、目的としては、各学校の実情を踏まえて、ツールをうまく活用して、それに対して、指導の見直しであるとかに生かしていこうということなのですよね。かつ、24年からの新学習指導要領の施行に先立って、19年あたりから、こういうものを導入しながら、知識・技能だけではない、資質・能力を測っていくということは、すごく意味があることだと思うのですけれども。
 これは、学校単位で決められるということと、教育委員会で、都道府県で、うちの県は全部やりますとかというふうに決めて県単位で統一導入するということはしないのですか。あくまでも学校単位で実施、導入を決めていくということなのでしょうか。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  まずは、若江委員の御指摘の点ですが、学校単位、教育委員会単位ということについては、こうでなければいけないというものがあるわけではないです。しかし、先ほど御説明しました通しページの51ページの上の図でございますが、これは教育委員会などの設置者の方で何らか方針を示すというやり方があるかと思っております。そういった方針の下で、各学校で、具体的にどのツールを使っていくのかということを最終的には決めていただければというのが基本だと思っております。教育委員会の側(がわ)でかなり統制的に使っていくということであれば、ピンクのような、全県共通、1つのツールということもあるのかもしれませんし、学校サイドの裁量を相当程度広く持たせていくということであれば、茶色のような、実施時期などの方針ぐらいは示しつつ、あとはもう各学校の状況に応じて、学校ごとに使っていっていただくといったこともあるかと思います。例えば、真ん中のところは、進学校、あるいは、進路多様校、そういったグループごとに、教育委員会の方で、では、このツールがいいのではないかということをリコメンドして、その中で、各学校がそれを選んで使っていくといったやり方とか、それは教育委員会などの考え方次第だと思っています。私どもの方から、こうしなさいということではないと。各教育委員会の中で、どのような扱い方をするかはよく考えてほしいということをお願いしております。
【若江委員】  では、最終的には学校長判断ということなのですね。
【滝波高校教育改革PTリーダー】  実際、使う、使わないは、最終的には学校の御判断ということになります。
【若江委員】  校長の責任は重要ですね。ありがとうございます。
【小川分科会長】  よろしいですか。
 それでは、最後、今までの様々な委員からの御意見を伺った上で、全てに答えろということではないので、ワーキングの中でもいろいろ議論あったと思いますので、そうしたことも踏まえて、座長としての御意見あれば、よろしくお願いします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。遅参いたしまして、大変失礼いたしました。
 お答えできることになるかどうか分からないんですけれども、少なくとも、まず申し上げたいのは、この基礎診断が全ての高校生に基礎学力をしっかりと付けなければ駄目なのだというところからスタートしているということです。現に、民間事業者がやっているこういう基礎診断定着を図るような取組というのはあるわけですが、それが果たして本当に学校のPDCAサイクルを回すことにつながっているのかというと、必ずしもそうとは言えないという面もあります。
 一方で、通しページ番号で言うと、65ページの上のところの資料ですけれども、実践研究校というのが現在のところこれだけありまして、こちらの先生のお話を聞きますと、2年目に当たっている学校ですけれども、やる前とやった後とで全く教員の取組の姿勢が変わってきたというようなことをおっしゃっています。これは恐らく、やはり国が全ての高校生の基礎学力をしっかりと付けていかなければならないのだということの、いわば方向性を、これは今までだってそうだったわけですけれども、こういう形を具体的に示した上でやっていくということの意味というのが、これは非常に大きいと思います。ですから、今までもそれぞれの学校は、基礎学力の定着を図るためにいろいろと苦労してきたし、それで成果も出ているわけですけれども、それを更に進めていくためには、こういった形が必要なのではないかということで、具体的に進めていこうということであります。
 なかなか浸透していないというのは、これは事実でありまして、うちはやりませんというのも、私もいくつかの学校からしっかりとお聞きしているわけであります。おやりになるかならないかというのは、それぞれの学校が判断なさればよいのですが、この基礎診断を実施されるかどうかに関わりなく、どのようにPDCAサイクルを回して、現行の学習指導要領もそうですし、次期学習指導要領もそうですが、育てたい生徒像に基づく教育課程を進めていくかということが一番重要であるわけです。要はカリキュラム・マネジメントをちゃんとやられればいいわけであります。
 ただし、必ずしもそうでないところが現実問題として相当ありまして、よって、そういうところへの1つの、言葉が適切かどうか分かりませんが、てこ入れになるということは、これは間違いないと思っております。
 是非、様々な形で周知をしていただきたいと思いますので、角田委員には、とりわけ、具体的に言っていいかどうかわかりませんが、『キャリアガイダンス』等で特集記事を組んでいただくとかいったことも含めて、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。 
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 ほかになければ、あと議事が2つ残っていますので、この辺で終わりたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 まだまだ取り組むべき課題は多いと思いますので、また引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題4に入っていきたいと思います。平成30年度予算について、これは合田財務課長から御説明をお願いいたします。
【合田財務課長】  失礼いたします。御説明が続いておりまして、まことに申し訳ありませんが、私の方から、資料4-1に基づきまして、御説明を申し上げたいと思っております。
 御案内のとおり、昨日、おかげさまで、参議院の本会議におきまして予算が成立いたしましたので、これら資料は全て予算(案)となっておりますけれども、(案)を取っていただければと思っております。そのうち、初中関係の予算を御説明させていただきたいと思っております。
 文部科学省関係予算のポイントとございますけれども、政府全体の一般歳出の中で、地方交付税交付金と国債費を除いた、いわゆる政策経費は、おおむね59兆円というところでございます。その中で、いわゆる社会保障関係経費は、実に33兆円に及んでおりまして、全体の56%を占めるということでございます。こういう構造の中で、しかも、その社会保障関係経費が年々歳々増えるという構造の中で、文部科学省の予算でございますが、5兆3,000億というような状況でございます。
 その中でも、真ん中あたりにございますように、文教関係の予算が4兆405億ということでございまして、その中で、私ども初中局が担当しておりますのが、2兆500億ほどでございます。これ以外にも、公立文教ですとか、私立高校等に対する助成なども加えまして、以下、手短に御説明をさせていただきたいと思っております。
 また、資料の途中で、資料の中にはないのでございますが、御案内のとおり、特に公立の義務教育につきましては、地方が主体で行っているわけでございますけれども、87兆円に及びます地財計画におきまして、地方に対する財政の負担と申しますか、保障というのを行っているところでございます。結果的には、義務教育全体は、これは大変つかみで恐縮でございますが、全体として、オールジャパンで公立義務教育に関しては、9.5兆円規模のお金が投じられているということでございまして、そのうち、先ほど申し上げましたように、国費は2兆円程度、それから、都道府県が5兆円、人件費を主として負担しておりまして、学校運営費やハードなどの面で市町村が2.5兆円程度負担しているというような構造でございます。
 早速でございますけれども、1枚おめくりいただきまして、2ページを御覧いただければと思います。公立学校の先生方、定数の関係でございますけれども、御案内のとおり、委員の先生方に大変な御尽力を頂きまして、昨年、義務標準法の改正を行いまして、16年ぶりに法改正による計画的な定数改善、障害に応じた特別の指導、いわゆる通級による指導でございますとか、日本語能力に応じた特別の指導、いわゆる日本語指導についての計画的な定数改善を行わせていただくということになったところでございます。
 2ページ目の一番上の黒いダイヤでございますけれども、今回の平成30年度の予算におきましては、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革の両立ということを目指して、予算を組んでいるところでございます。特に、今回の予算につきましては、昨年、中教審でお取りまとめいただきました学校における働き方改革の中間まとめ、それに基づく緊急対策等を踏まえまして、予算の基本的な考え方を転換しているところでございます。これまでは、業務があるので、お金を出して仕事をしていただくということでございますが、今回の予算では、お金を出してでも先生方の業務を減らしていただくという形で、発想を転換しているというものでございます。
 具体的に、義務教育費国庫負担制度というところがございますが、真ん中よりも少し上に、教職員定数の改善というところでございます。○1に、新学習指導要領の円滑な実施とございますけれども、白いダイヤの2つ目のポツでございますが、小学校英語の早期化・教科化に伴う、一定の英語力を有し、質の高い英語教育を行う専科指導教員の充実ということでございまして、この4月から移行措置で、週15コマでスタートいたしまして、本格実施は32年度からでございますけれども、小学校の中学年・高学年におけます英語教育の充実につきまして、一定の英語力を有した質の高い専科教員を配置するために、1,000人の加配を措置したところでございます。
 この専科教員が質の高い英語教育を行うことにより、指導要領の改訂による授業時数の増が、勤務時間の増にならないように、学級担任の負担を増やさないことを前提に、この専科教員の配置ということに取り組んでおるところでございます。
 この専科教員の充実につきましては、30年度、31年度、そして、新学習指導要領が完全実施をされます32年度まで継続して行わせていただきたいと思っているところでございます。
 また、その下に、○2、複雑化・困難化する教育課題への対応関連というのがございますけれども、そこに教育課題への対応のための基礎定数化というところがございます。ここがまさに昨年法改正をしていただきまして、6.5万人ほどおりました加配定員を、4.5万人にしていくと。2万人ほど加配教員を減らした上で、基礎定数化によりその減らした分を上回る定数改善をしていくというものでございますけれども、通級による指導、それから、日本語指導について、それぞれ今年度予算におきましても、基礎定数化による定数改善という条件整備をさせていただいているところでございます。
 なお、ここには出てございませんけれども、地方財政措置の方で、高等学校における障害に応じた特別な指導、いわゆる通級の指導の導入に伴う体制整備ということで、公立の高等学校に対する113人の加配措置というものを、これは地方財政措置に盛り込んでいるところでございます。
 3ページ目を御覧いただきますと、専門スタッフ・外部人材の拡充ということで、平成31年度までに全公立小中学校に配置するということで閣議決定しております、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの配置ということで、予算を確保しているところでございます。この予算につきましては、この両者合わせて61億円でございますけれども、3分の1補助でございますので、その倍の122億円を地財措置の方で措置させていただいているというような構造になっているところでございます。
 その下でございますが、補習等のための指導員等派遣事業とございます。その中でも、○2というところに、スクール・サポート・スタッフの配置ということで、3,000人のスクール・サポート・スタッフ。これは、学校が提出するような事務の処理でございますとか、それから、授業に使うプリントのコピーですとか、資料準備ですとか、そういった先生のサポートをしていただくようなスタッフの方を雇うための予算でございます。これがまさに先生方の勤務時間を縮小するために投資をするというようなことで組ませていただいている予算でございます。
 それから、その下には、中学校における部活動指導員の配置ということで、これも先ほど御紹介させていただきましたガイドラインをしっかり守っていただくというような先進的な取組の自治体を中心に、4,500人配置するということで措置をさせていただいているところでございます。
 その下にございますように、学校現場における業務の適正化ということで、この中間まとめでも、先生方、そもそも学校が行うべき業務なのか、あるいは、先生が行うべき業務なのか、あるいは、先生が行う業務でも、ほかのスタッフと連携しながら効率化できるのではないかというようなフィルターで業務の適正化を図っていくということでございますけれども、学校給食費の公会計化のガイドラインを作らせていただく予算も含めて、予算を組んでいるということでございます。
 その下に、情報活用能力の育成を含む教育の情報化の推進ということで、7億円組んでいるところでございますが、これと同時に、先ほど話がございましたけれども、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」と。ここにはございませんけれども、これは地財措置で措置させていただいておりまして、年間1,805億円という、かなり大きな額を地財措置してございます。ただし、地財措置でございますので、最終的には、自治体の首長様が、このお金で整備をしようというふうに御判断を頂かないと、このお金は使われないというところが、補助金と違うところでございまして、引き続き、私どももしっかりと働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。
 4ページ目でございますけれども、特別支援教育の生涯学習化プランということでございまして、生涯を通じた福祉の観点も踏まえた特別支援教育の充実ということで、予算を組んでおるところでございます。これらの予算につきましても、その地方負担分については地財措置がなされてございます。
 それから、4ページ目の下の方には、道徳教育の充実ということで、30年度から小学校で始まります特別な教科化に向けまして、道徳教育の充実に関する予算を計上しているところでございます。
 5ページでございますけれども、いじめ・不登校対策等の推進ということで、先ほどのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては御説明申し上げたところでございますが、白いダイヤの4つ目でございます。SNSを活用した相談体制の構築ということでございまして、これは補正予算も含めて、2.5億計上しているところでございます。これは長野県などでも試行して、実施いたしましたけれども、電話による1年間の相談件数よりも、1週間のSNSの相談件数の方が多かったということでございまして、やはり子供たちにとっては非常に身近な存在であるSNSを使って、いじめ相談の対応をしていくというようなことを展開していきたいというものでございます。
 ここには書いておりませんけれども、重要な予算といたしまして、地域と学校の連携・協働の推進ということで、71億円組ませていただいておりまして、地域未来塾や放課後子供教室などの予算も引き続き組ませていただいているところでございます。
 飛んでいただいて、7ページを御覧いただきますと、先ほども話がございましたように、私立の、高等学校等の経常費助成費の補助ということで、都道府県で行う助成に対し、国が補助するという仕組みでございますとか、私立学校の施設・整備の推進ということで、予算を組ませていただいているところでございます。
 9ページでございますけれども、初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立った人材の育成ということで、この中には出てまいりませんけれども、いわゆるスーパーグローバルハイスクール・SGHの予算も、この中に組んでいるところでございます。8.4億円ということでございまして、現在、123校で展開されているものを、更にしっかりと後押しをしていくということでございます。
 10ページ目でございますけれども、これまで機関補助の御説明をさせていただきましたが、個人支援、個人補助の関係でございますけれども、幼児教育の無償化に向けた取組の段階的な推進ということで、330億でございます。1つ目の白い四角にございますように、年収270万~360万未満の世帯、これは段階的に無償化をしておりますけれども、今回はこの世帯にターゲットを置きまして無償化を推進していくということでございまして、これにつきましては、御案内のとおり、昨年12月8日に閣議決定いたしました新しい経済政策パッケージで、2019年度から一部をスタートし、2020年4月から全面的に幼児教育の無償化を行うという政策にマージをしていくということになろうかと思っております。
 その下の高校生等への修学支援ということでございまして、これも高校生の授業料を支援する就学支援金、それから、渡し切りの奨学金の奨学給付金、この2つの措置をしているところでございますが、特に前者につきまして、これも御案内のとおり、新しい経済政策パッケージにおきまして、2020年度に私立高校の授業料、平均の34万円につきまして、590万以下の世帯に実質無償化ということで、取組を更に進めていくということでございます。
 11ページでございますけれども、公立学校の施設・整備ということで、これは大臣官房の方の担当でございますけれども、小中学校耐震化、98.8%にまで及んでございますけれども、更にトイレ、空調の整備、あるいは、老朽化対策ということで、予算を組ませていただいているところでございます。
 飛んでいただいて恐縮でございますが、15ページでございます。これも、科学技術・学術政策局の予算でございますが、15ページの上から白い○の3つ目でございます。科学技術イノベーション人材の育成・確保というところで、例示はされておりませんが、SSH・スーパーサイエンスハイスクールの予算は、ここに入っているものでございます。22億円ということで、これも新規、30年度から55校指定するということで、更に充実を図ってまいりたいと考えております。
 18ページを御覧いただければと思います。17ページ以降は、特に東日本震災復興特別会計の予算を御紹介申し上げておりまして、例えば、18ページの一番上に、緊急スクールカウンセラー、被災地域に900人、その下にございますように、被災地域に対する教職員の加配ということで、870人といったような措置を盛り込んでいるところでございます。
 駆け足で恐縮でございましたが、これ以外にも、学力調査に52億円、それから、子供たちの体験活動に1億円、それから、私立の小中学校に通う児童生徒への経済的な支援に関する実証研究、実証事業に12億円、それから、先ほど話がございました教科書の無償給与に432億円といったような予算を組んでいるところでございまして、私ども、予算の成立を踏まえまして、30年度におきまして、これらお預かりさせていただいた予算が生き金になるように、しっかりと取り組ませていただきたいと思っておりますので、引き続き御指導いただければと思っております。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 今、初中関係の予算を中心にして御説明いただきました。委員の方から、何か確認したいこと、御質問ございますか。
 よろしいですね。それでは、御報告いただいたということで、これは終わらせていただきたいと思います。
 最後の議題です。「文部科学省の組織再編について」です。これは塩見生涯学習総括官から御説明をお願いいたします。
【塩見生涯学習総括官】  生涯学習政策局生涯学習総括官の塩見と申します。
 本日は、説明の時間を頂きまして、ありがとうございます。私の方からは、資料5-1、5-2を用いまして、平成30年10月に予定しております文部科学省の組織再編のうち、総合教育政策局に関する事項を中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料5-1を御覧いただければと思います。これは改めて申し上げるまでもございませんが、Society5.0や、人生100年時代の到来ということで、社会が極めて大きく変化を続けております。こうした社会の中を豊かに生きていく、また、社会の持続的な発展を導いていく力を一人一人が身に着けていくために、より質の高い教育を実現していくことがますます重要になってきております。
 こうした教育を実現していく上では、教育の行政の組織の在り方についても、不断に改善を図っていく必要があると考えているところです。今回の組織改編については、こうした観点から、現在の筆頭局でございます生涯学習政策局を総合教育政策局に再編いたしまして、学校教育、社会教育を通じて、生涯学習社会の実現に向けた、総合的な取組を一層強力に推進することを狙いとするものでございます。
 この新しい総合教育政策局は、大きく二つのミッションを持つということになります。
 まず1点目でございますが、総合的かつ客観的な根拠に基づく教育政策推進の中核を担うということでございます。具体的には、資料5-1において青字で示しております部分がございますが、企画調整課以降、青字で示しております4つの課を中心に、政策ビジョンの形成や教育改革への対応など総合的な政策立案を行っていきます。また、総合的なエビデンスの構築を図っていきます。さらには、政策的リソース(人的資源)とございますけれども、これは教育に関する専門的な人材育成について、一元的に育成・確保に関する施策を担うということでございます。こういった形で、一つ目のミッションでございますが、総合的で客観的な根拠に基づいた教育政策推進を中核的に担っていこうということでございます。
 それから、もう一つのミッションでございますが、これは生涯にわたる学び、あるいは、地域における学び、共に生きる学びということにつきまして、社会教育を中心としながら総合的に推進していこうということです。この点に関しましては、赤字で示した三つの課を中心に担当していくということになっております。
 こうした新しい組織におきまして、教育基本法第3条に盛り込まれている生涯学習の理念の実現を、学校教育、社会教育全体を通じて、包括的・一貫した総合教育政策の推進を実現していきたいということでございます。こうした機能の重要性というものがより明確になるように、局の名称といたしましては、総合教育政策という言葉を冠したいと考えているところです。
 続きまして、資料5-2を御覧いただければと思います。こちらの資料におきましては、今回の組織再編のうちで、特に初等中等教育に関係の深い部分について説明させていただきます。
 左側が現行、右側が平成30年10月以降ということでございますが、まず現行の部分についてです。現在、生涯学習政策局にございます情報教育課につきましては、再編後、初等中等教育局に移り、国際教育課で担っている外国語教育とともに、情報教育・外国語教育課という新しい課となりまして、ここで、学校における情報教育を実施していくということになっております。学校における情報教育については、教育課程全体の中により強固に位置付けてしっかり推進していくという体制を築きたいと思っているところでございます。
 また、現行の、国際教育課の業務の中で、海外子女教育、それから、外国人指導という部分についても移管されることになります。海外子女教育につきましては、総合教育政策局で、国際業務も含めて担当する予定の教育改革推進課に移管します。また、外国人児童生徒の指導に関することについては、全ての人が共に生きる社会を創っていくための学習を推進する、男女共同参画・共生社会学習推進課担当することとしております。
 さらに、初等中等教育局の健康教育・食育課で担っております学校安全に関することについては、これも新しく、総合教育政策局の男女共同参画・共生社会学習推進課に移管することになっております。学校教育における取組はもちろんですが、学校・家庭・地域の連携の下での安全教育の推進ということで、体制を強化して取り組みたいと考えております。
 また、教職員の養成・採用・研修に関する業務については、現在、初等中等教育局の教職員課と、それから、高等教育局大学振興課の教員養成企画室で、それぞれで担当しておりますが、これを一元化するとともに、社会教育主事等社会教育関係の専門人材の育成に関する業務と併せ、総合教育政策局の教育人材政策課という課を新しく設け、ここで担当したいと考えております。
 また、初等中等教育局の参事官で担当しております全国学力・学習状況調査については、現行の生涯学習政策局政策課にございます調査統計企画室を新たに政策調査課ということで、課に格上げした上で、この課に移管して実施する予定です。
 この政策調査課においては、教育に関する総合的なエビデンスの収集、把握、分析に関する機能を、国立教育政策研究所や、地方自治体、学校等とも連携しながら、抜本的に強化し、現在、政府を挙げて推進しておりますEBPM、すなわち、客観的な根拠に基づく教育行政の推進の基盤整備を図ってまいりたいと考えております。
 以上が、今回の総合教育政策局に関わる組織再編の概要でございます。具体的な課名等につきましては、今後、文部科学省組織令の改正を経て、正式に定めていくことになりますので、現時点では仮称であることを御留意いただければと思います。
 今後、今申し上げましたような今回の組織再編の狙いでありますとか、あるいは、具体的な内容につきまして、より積極的な御説明あるいは広報に努めまして、関係者の皆様の御理解を得て取り組んでまいりたいと思っております。是非、委員の皆様におかれましても、御指導・御支援を頂ければと思います。
 説明は、以上でございます。
【小川分科会長】  ありがとうございました。
 残りの時間、それほどないのですけれども、今の御説明に関して、何か御質問、確認があれば、二、三受けたいと思います。
 では、加治佐委員からどうぞ。
【加治佐委員】  新設されます教育人材政策課についてお伺いしたいのですが、2つあります。
 1つは、要するに、設置審査と教職課程認定の調整がどうなるのかなということです。これまでは、設置審査の方は、教員養成系大学学部の場合、事実上、大学振興課の教員養成企画室で相談して、調整して、そのあと、高等教育企画課の設置審の方に掛かると、そういうことだったと思うのですね。それを経てから、初中局の教職員課の、教職課程の認可を受けると、この流れだったわけですね。
 我々は、二度手間と二重基準で、例えば、ある教員が、設置審査を通っても課程審査に通らないとか、そういうことをいろいろ経験してきているのですけれども。そこがもっと円滑にいくということは、非常に期待しているわけですね。もちろん、おっしゃるように、養成・採用・研修の一体化というのが大きな背景にあると思うのですけれども。
 今後は、そこのところがどうなるのかなということなのです。設置審は、当然、高等教育局に残りますよね。ところが、教員養成企画室はなくなったということになりますね。そこが、この教育人材政策課の方で、事実上、設置審と、課程認定がなされるのか。それとも、また、高等教育局といろいろ関わりが出てくるのか、そこですね。お分かりになりますよね。
 2つ目は、COCですね。COCって、例のCOCですよね。COCプラスのあの事業で。あれは教育人材政策課と地域学習推進課に行くのですね。そこのところもちょっと御説明ください。お願いします。
【小川分科会長】  では、2つ、よろしくお願いします。
【塩見生涯学習総括官】  ありがとうございます。
 今お話がありました中で、設置審査については、引き続き、高等教育企画課の大学設置室の方で担当することになりますが、今まで教員養成企画室で担っておりました様々な御相談対応といったような任務につきましては、今回、教育人材政策課の方で併せて担当することになると思います。むしろこれまでそれぞれ初等中等教育局、高等教育局という形で、ある意味縦割りになっていた部分を、しっかり一元化して、いろいろな対応もできるようにということでありますし、また、先ほど二重審査というような御指摘を頂きましたけれど、そういった点につきましても、これからより円滑な形でできるように、体制としても整えていきたいと思っております。実質的な運用に当たりましても、そのことをしっかり心がけて取り組みたいと思っております。
 それから、COCにつきましてはおっしゃるとおりで、COCプラスという形で現在実施している、大学の地域との連携した様々な人材育成、あるいは、地域活性化の取組でございます。このCOCの事業につきましては、再編後は、地域学習推進課に移管する予定にしております。地域学習推進課では、地域における学びというものについて、もちろん社会教育中心ではございますけれど、学校教育も含めて、広く担っていこうという考え方にしております。COCなどの大学におけるこうした取組も、地域学習推進課で担当し、あるいは、初等中等教育段階のコミュニティ・スクールに関する業務も、この課で担当すると考えているところです。
 全体として、これまで初等中等教育局、高等教育局、それから、今の生涯学習政策局で、それぞれ分かれて担当されていたものについて、地域という切り口で一元化して、より効果的に取り組む体制にしていきたいと考えております。
【小川分科会長】  ありがとうございます。
 よろしいですね。時間もないので、やり取りはちょっと省略させてください。
 では、最後にしたいと思います。渡邉委員、どうぞ。
【渡邉委員】  初等中等教育局から移動する部分のところで、ちょっと意見といいますか、要望なのですけれど。健康教育・食育課の方から学校安全が移動するということ、安全教育推進室ということになるのですけど、その先が、男女共同参画・共生社会学習推進課、課の名称は仮称ということなのですが、この中に安全があるとはとても見えなくて、埋没してしまっているという感じがするのですね。
 これまで学校安全というのは、健康教育の中で、学校保健・学校安全・学校給食・食育という一体化した活動でやってきました。特に学校保健では、同じ学校保健安全法という法律の下でやってきたわけですけれど、ここから学校安全を引き離すということになりますと、今後、学校安全の活動が停滞するとか、あるいは、後退するのではないかということを、関係者の間では非常に危惧しております。
 今年度に入りまして、例えば、第2次学校安全の推進に関する計画が始まりましたし、教職課程コアカリキュラムの中にも学校安全が入りました。つい先月も、新しい危機管理マニュアルの作成の手引が文科省から出ているように、学校安全の活動がこれまで推進されてきた中で、担当部署が移動することで、初等中等教育局からの関係が薄れるということを非常に心配しております。これまでどおり、初等中等教育局の中で学校安全の取組が行われるように、是非、移動してもできるようにしていただきたいというのが要望です。
【小川分科会長】  塩見総括官、何かございますか。
【塩見生涯学習総括官】  ありがとうございます。
 学校安全は、大変重要な業務であり、今回の再編で、そこが後退するようなことがもちろんあってはならないと考えております。むしろ今回の再編では、学校教育であるとか、あるいは、地域での様々な取組ということの垣根を越えて、更に強力な体制で連携して取り組むことが狙いになっております。したがって、当然のことながら、総合学習政策局に移管した後も、初等中等教育局との連携はしっかり保って、学校安全がこれまで以上に効果的に推進されるようにということには意を用いていきたいと考えております。
【小川分科会長】  渡邉委員、それで御了解いただければと思います。
 もう時間が来てしまいましたので、この辺で今日の分科会は終了したいと思います。
 最後に、次回以降の予定について、事務局から御連絡いただければと思います。
【田中教育制度改革室長】  ありがとうございました。
 次回の初等中等教育分科会の日程につきましては、分科会長と御相談の上、追って御連絡をさせていただきます。
 また、本日の資料につきましては、机上にお残しいただけましたら、郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】  それでは、予定していた議事全て終了しましたので、今日の分科会は、これで閉会といたします。ありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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