初等中等教育分科会(第113回) 議事録

1.日時

平成29年8月22日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 第3期教育振興基本計画に関する審議経過報告に向けた議論の状況について
  2. 特別支援学校小学部・中学部学習指導要領等について
  3. 高等学校通信教育の質の確保・向上方策について
  4. 高大接続改革の実施方針等について

4.議事録

【小川分科会長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第113回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本会議は、初中分科会規則第5条により、公開を原則としております。また、第6条により、会議を撮影、録画、録音する場合は、事務局が定める手続により申請するとともに、分科会長の許可を得る必要があります。申請がない行為を行うことはできませんし、会議の進行や他の傍聴を妨げる行為を行った場合は、退場を命ずることもありますので、御了承ください。
 なお、個人を特定するような撮影及び録画は御遠慮いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 本日の議題に入る前に、前回の会議以降、事務局の方に人事異動があったとのことですので、最初に御紹介をお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 それでは、前回、6月27日の会議以降の人事異動によりまして幹部の交代がありましたので紹介させていただきます。
 7月11日付けで藤原前局長に代わり就任いたしました初等中等教育局長の髙橋道和でございます。
【髙橋初等中等教育局長】 髙橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 同じく7月11日付けで瀧本前大臣官房審議官に代わり就任いたしました大臣官房審議官初等中等教育局担当の下間康行でございます。
【下間大臣官房審議官】 下間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 同じく7月11日付けで丸山前特別支援教育課長に代わり就任いたしました特別支援教育課長の中村信一でございます。
【中村特別支援教育課長】 中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川分科会長】  続けて、配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 本日の配付資料でございますが、お配りしております議事次第にありますとおり、資料1から4まで、そして参考資料1をお配りしてございます。右肩に資料番号を付してございます。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
【小川分科会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。
 最初に、議題1、第3期教育振興基本計画に関する審議経過報告に向けた議論の状況について、内田生涯学習政策局教育改革推進室長から説明をお願いいたします。
【内田教育改革推進室長】 教育振興基本計画を担当させていただいております生涯学習政策局政策課の内田と申します。教育振興基本計画の審議状況につきまして御説明申し上げたいと思います。本日は資料1-1から1-3をお配りさせていただいておりますので、そちらを用いながら御説明させていただきたいと思います。
 まず、現在の状況でございますけれども、現行の計画に関しましては25年度から29年度までの第2期計画でございまして、現在、第3期目の計画の策定に向けて、教育振興基本計画部会で御議論をいただいているところでございます。これまで合計15回にわたりまして審議をいただいてきております。今後、中間的な審議経過報告を9月の取りまとめを目指しながら準備をしているという状況でございます。本日は、去る8月8日に部会で御議論いただきました、これまでの議論の状況をまとめた資料をお配りしておりますので、御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1-1を御覧いただければと思います。以後、分量が多いので、かいつまんで御説明いたします。
 資料をお開きいただきまして、まず総論的な部分ですけれども、第1部、我が国における今後の教育政策の方向性といたしまして、ローマ数字1、教育の普遍的な使命といたしまして、平成18年に教育基本法が改正されまして、改正教育基本法の目的・理念を踏まえまして、今後、更なる取組を進めていく必要があるということで、教育の目指すべき姿として点線のところに書かせていただいております。個人と社会ということで、自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成、社会といたしまして、一人一人が活躍し、豊かで安心して暮らせる社会の実現、社会の持続的な成長・発展というような方向性で御議論いただいておりまして、次のページのローマ数字2の教育をめぐる現状と課題でございますが、これまでの取組の成果と課題といたしまして、2つ目の○で第1期の基本計画、3つ目の○で第2期の基本計画の状況を記載しておりまして、4つ目の○でこれまでの成果といたしまして、PISAやTIMSSにおきまして学力の上では世界トップレベルであると。また、全国学力・学習状況調査におきまして下位県の成績が全国平均に近づく状況が見られまして、学力の底上げが図られているようなこと。また、一方で課題といたしまして、読解力の低下、自己肯定感の低さ、次のページに行きまして、子供の体力、朝食欠食、また、大学教育の質保証や学生の学修時間、また、社会人の学びの継続・学び直し、グローバル化への対応、そういったことの課題に対応していく必要があると。
 2といたしまして、社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ、取り組むべき課題といたしまして、まず、(1)人口減少・高齢化の進展ということで、我が国の人口が平成20年をピークとして減少局面にあると。次のページですけれども、(2)急速な技術革新で第4次産業革命、Society5.0の到来、また、人工知能やロボット等により代替できるようになる様々な仕事の可能性、また、(3)国際的な地位の低下とグローバル化の進展、(4)子供の貧困など社会経済的な課題といたしまして、1つ目の○の下のところに家計所得が高いほど4年制大学への進学率も高くなっていると。また、(5)地域間格差など地域の課題といたしまして、次のページに参りまして、最初の○ですけれども、大学進学率は県民雇用所得と相関関係があるということですとか、東日本大震災や熊本地震などの災害に対して、復興を支える人材の育成などが求められると。(6)教育をめぐる状況変化といたしまして、子供の抱える課題、2つ目の○ですけれども、学ぶことと自分の人生や社会とのつながりを実感しながら、自らの能力を引き出し、学習したことを活用して、生活や社会の中で出会う課題の解決に主体的に生かしていくという面に課題があると。また、3つ目の○ですけれども、高校生の学校外の学習時間に関しまして課題があると。その次のページですけれども、そういった状況の変化に加えまして、地域コミュニティの弱体化、家庭の状況変化、教員の負担、そういったもろもろの課題というのが挙げられております。
 2つページを飛ばしまして、12ページですけれども、2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項ということで、こちらは特に第2期計画と大きく異なるコンセプトになっております。総論部分に関しましては、今、御説明申し上げましたとおりでございまして、次にこういった社会の状況変化、課題を踏まえまして、資料1-2に各論を記載させていただいております。各論といたしまして3ページ以降でございまして、まず、一番大きな柱といたしまして、夢と自信を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成ということで、こちらは生きていく上で基礎となってくる部分かと思いますけれども、目標(1)の確かな学力の育成といたしまして、幼児期における教育の質の向上、新学習指導要領の着実な実施等、全国学力・学習状況調査の実施・分析ということで、例えば新学習指導要領や中学校における英語調査の導入、保護者に対する調査の継続的な実施など、今後ともそういった悉皆での実施や課題の把握・分析によりまして教育施策・指導の改善・充実を図っていくということ。また、4つ目の○といたしまして、高等学校改革の推進といたしまして、3行目に「高校生のための学びの基礎診断」制度を創設し、平成30年度中に運用を開始するということを記載させていただいております。
 5ページ目に参りまして、次に豊かな心の育成といたしまして、1つ目の○ですけれども、子供たちの自己肯定感の育成ということで、多世代交流や異年齢交流の活動を重視した取組。乳幼児期からの自己肯定感の育成に向けた家庭教育支援。また、2つ目の○といたしまして、いじめ等への対応の徹底ということで、人権教育の推進といったことですとか、あとは3つ目の○といたしまして、道徳教育の推進ということで、「特別の教科 道徳」の実施、また、「考え議論する道徳」への転換などについて記載させていただいております。
 次に、6ページ目に参りまして、体験活動や読書活動の充実といったことですとか伝統や文化に関する教育の推進、青少年の健全育成といたしまして、例えば青少年を有害情報から守るための情報モラル教育の推進などでございます。
 次のページが健やかな体の育成ということで、学校保健・学校給食、食育の充実等というようなこと、また、子供の基本的な生活習慣の確立に向けた支援ということで、「早寝早起き朝ごはん」国民運動の継続的な推進など、また、学校や地域における子供のスポーツの機会の充実ということで放課後や地域におけるスポーツ機会の充実というようなことでございます。
 次のページに参りまして、こちらは高等教育が中心でございますけれども、5つ目の○で高大接続改革の着実な推進ということで、学力の3要素を確実に育み、多面的・総合的な評価を行うため、高校教育・大学入学者選抜・大学教育の一体的な改革を進めるということで、「大学入学共通テスト」の平成32年度からの実施に向けた検討を進めると。
 また、次のページが社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成、また、その次が家庭・地域の教育力の向上、学校との連携・協働の推進ということで、例えば2つ目の○ですけれども、地域の教育力の向上、学校との連携・協働の推進ということで、全ての公立学校におきましてコミュニティ・スクールを目指し、全小中学校区において幅広い様々な取組を進めまして、地域学校協働活動の全国的な推進を図っていくというようなことでございます。
 次のページが社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成するということで、グローバル人材の育成という項目でございまして、英語をはじめとした外国語教育の強化ですとか国際化に向けた先進的な取組を行う高校・大学等への支援、日本人生徒・学生の海外留学支援、外国人留学生の受入れ環境の整備などでございます。
 次のページがイノベーションを牽引する人材の育成ということで、1つ目の○に優れた才能・個性を伸ばす教育の推進ということで、児童生徒が科学技術や理科・数学、ものづくりに対する関心・素養を高めるための取組を推進するというような記述をさせていただいております。また、その次のページ、IT・データ活用能力の育成といたしまして、初等中等教育におけるプログラミング的思考を含む情報活用能力の育成などでございます。
 少しページを飛ばしまして、17ページですけれども、項目の3.生涯学び、活躍できる環境を整えるということで、こちらは人生100年時代を見据えた生涯学習の推進など、生涯学習関係の様々な取組を書かせていただいておりまして、例えば4つ目の○、若年期から高齢期までライフステージに応じたスポーツ活動の推進ということで、第2期スポーツ基本計画に基づきまして、学校体育施設など既存施設の有効活用によるスポーツに親しむ機会の充実というようなことなどを書かせていただいております。
 また、少しページが飛びますけれども、21ページ目に誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築するという項目でございます。家庭の経済状況や地理的条件への対応ということで、1つ目の○、教育へのアクセスの向上、教育費負担の軽減に向けた経済的支援ということで、子供たちの誰もが家庭の経済事情に関わらず、それぞれの夢に向かって頑張ることができるよう、教育費の負担軽減を図るということで、幼児教育から高等教育までの様々な取組の方向性を記載しております。また、2つ目の○ですけれども、学校教育における学力保障・進路支援、福祉関係機関等との連携強化というような取組で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の推進などを記載させていただいております。また、次のページですけれども、2つ目の○、子供の食事・栄養状態の確保などがございます。
 また、23ページ目が多様なニーズを持つ子供等への教育機会の提供ということで、特別支援教育の推進、不登校児童生徒の教育機会の確保、夜間中学の設置・充実、高校中退者等に対する支援ということで、これまでの取組と今後の方向性をそれぞれ記載させていただいているところであります。
 次は25ページに飛びまして、教育政策推進のための基盤を整備するということで、今まで説明申し上げました1番から4番目までのそれぞれの柱全体をソフトとハードで支える基盤ということでございます。まずは学校指導体制の整備ということで教職員指導体制・指導環境の整備の2つ目のポツですけれども、教員に加えて、事務職員や専門スタッフが学校運営や教育活動に参画するようなチーム学校の実現に向けた取組ですとか、あとは2つ目の○の教員の資質能力の向上といたしまして、学び続ける教員を支えるキャリアシステムの構築、また、採用段階において教員採用試験の共同作成に関する検討や特別免許状の活用等による多様な人材確保というようなことを記載させていただいております。
 次、27ページに飛びまして、ICT利活用の促進ということで、1つ目の○ですけれども、情報活用能力の育成ということで、新学習指導要領におきまして情報活用能力について各教科等横断的な視点に立った資質・能力として位置づけられているということ、その育成に係るカリキュラム・マネジメント事例の創出や展開を図っていくということですとか、3つ目の○といたしまして、校務のICT化による教員の業務負担軽減及び教育の質の向上などについて書かせていただいております。
 次に、資料1-3でございますけれども、こちらが5年間の教育振興基本計画の期間中にフォローアップしていくための指標の例として、今後、引き続き精査・検討が必要という前提で書かせていただいているものでありまして、それぞれの項目ごとに指標を記載させていただいております。
 例えば、1の「夢と自信を持ち」の項目の目標(1)の確かな学力の育成の下のところに測定指標候補と参考指標候補というのがございますけれども、上の測定指標というのは、現在の様々な水準等を踏まえまして改善の方向を明記することが必要かつ適切であるものということで、具体的な方向性がある程度示せるもの。下の参考指標に関しましては、大きな数値変動の有無を確認すれば足りるものや、今後水準を把握していけば足りるものとして書かせていただいているものです。また、この参考指標に関しましては数値目標が立てにくいようなものでありましたり、一定程度、成果が既に出ているようなものを含んでおります。例えば学力ですと、測定指標にはOECDのPISA調査等各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持ということ、また、参考指標といたしまして習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合といったものを挙げさせていただいております。以下、例えば豊かな心の育成ですと、自己肯定感をはかるような指標ですとか、次のページの健やかな体の育成ですと、昭和60年頃の水準まで体力を引き上げていくことですとか、同じページの目標(5)の問題発見・解決能力の修得ということですと、授業の予習・復習時間の充実といったような項目などを書かせていただいております。
 初等中等教育関係ですと、例えば6ページのグローバル人材の育成という項目で、英語力に関することで、中学校卒業段階で英検3級、高校卒業段階で英検準2級以上を達成した中高生の割合を50%以上にするというような目標ですとか、あとは9ページ、セーフティネットのところですけれども、多様なニーズを持つ子供等への教育機会の提供というような項目でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置ですとか通級による指導の実施状況といったような項目。
 あとは10ページの基盤整備のところでございますけれども、現職教員の専修免許状保有者の割合など、様々な指標、又は先生の1日当たりの授業準備にかける時間といったような項目ですとか、あとはその次のページのICTというようなことで学習者用コンピュータの整備などでございます。
 すみません、駆け足でしたけれども、説明は以上でございます。
【小川分科会長】 ありがとうございます。
 事務局からの説明でもお分かりのように、資料1-1が今後の教育政策の方向性、資料1-2が政策目標と施策、資料1-3が成果の検証やフォローアップのための測定指標、参考指標の候補の冊子になっております。本来であれば、柱ごとに時間をとって丁寧に議論した方がいいかと思うんですが今日はほかの議題もありまして、残り45分程度しか時間が残されていません。また、今日は、この第3期教育振興基本計画の審議については、初中分科会としては初めての審議になるかと思いますので、広く様々な御意見をお伺いしたいというようなことで、今日は、資料1-1から1-3まで一括してどこからでも構いませんので、御質問、御意見があれば賜りたいと思います。時間がありませんので、恐縮ですけれども、各委員の発言についてはできる限り手短にお願いできればと思います。よろしくお願いします。発言される方は手元の名札を立てていただければと思います。
 それでは、天笠委員からお願いいたします。
【天笠委員】 失礼いたします。
 この審議に関わった関係の方々に対して、心から敬意を表させていただきたいと思います。その上で、こういうことをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
 今回、第3期ということになりました。今日、私、初めて拝見させていただくことになったわけですけれども、第1期、第2期との関係において第3期ということがそれぞれの政策レベルでどういうふうになっているのか、どうなのかというふうなことの見える化というのは必要ないのかどうなのかということであります。もう少し申し上げるならば、既に成果、あるいは課題があって、第2期でこの政策についてはある意味で言うとやめるという言い方になるかどうか分かりませんけれども、そういうことと、更に継続するということと、それから第3期において新しく政策の展開を始めるという、そのあたりのところのめりはりをこういう資料等々においても見えるような形にしていただくと、より継続性とこれからの新たなる取組ということがそれぞれ見えてくるんじゃないかと思うんですけれども、恐らくこれにいろんな指標のそれというのがいろいろ絡んできて、申し上げたことがより複雑になる可能性もなきにしもあらずかなと思うんですけれども、ただ、政策が第3期において新しく立ち上げられたものと、第1期、第2期を通じて更に発展的に第3期に入ってきたものと、既にある種の使命を達して、第2期の段階で既にそれは一応のところに行ったという、このあたりのところをもう少し出していただかないと、何かこれまでのところがどういう形で第3期に行ったのかどうなのか、始まろうとしているのかどうなのかあたりのところが必ずしも十分見え切れないところがあるように思いました。要するに、何となくこれまでのところがまた来ているのかなという見方もできなくはないですし、改めて今日的な状況からすると、随分、いろんなことを新たに考えていかなければいけないところも当然多々あるわけでありますので、そのあたりのところを明示していくということを通して、何らかの形で今、申し上げたような観点から、政策の体系等々のあたりのところにめりはりをつけていただければと思います。
 以上です。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 これについては、第3期の教育振興基本計画の審議をする前段階として、第2期の教育振興基本計画の進行状況等、フォローアップの議論はしていましたよね。そのあたりをどういう形でこれに引き継ぎ、反映させていくかということについて、今の時点で事務局の方で説明がありましたら。
【内田教育改革推進室長】 現在、中間報告に向けて文章化している段階なので、確かに総花的に見えてしまう感があるんですけれども、まず、総論のところで成果と課題に関しまして若干触れているんですけれども、そのあたりの書きぶりですとか、過去5年間を踏まえて、横串でどういう考え方で施策を作っていくのか、ということも今、整理しておりまして、そのあたりの文章も追記したいと考えております。あとは第2期計画中の様々な指標と、今、分科会長おっしゃられたようなフォローアップを踏まえての対応に関しまして、例えば分かりやすい資料なんかを答申や閣議決定の段階で一緒に添付して見える化するとか、そういうような形はあろうかと思いますので、御指摘を踏まえまして、また検討させていただきたいと思います。
【小川分科会長】 天笠さん、よろしいですね。事務局の方もそのようによろしくお願いいたします。
 この後の発言の順番ですけれども、奈須委員、角田委員、横倉委員、貞廣委員、堀田委員、吉田委員、清原委員、時久委員の順でよろしくお願いいたします。
 それでは、奈須委員、よろしくお願いします。
【奈須委員】 よろしくお願いします。
 資料1-3のところですけれども、ニュー・パブリック・マネジメントの進行に伴ってエビデンス・ベイスドで政策評価をしていくということが広がってきていると思います。それに伴って出ていると思うんですけれども、例えば3ページにあるとおり、引き続き精査・検討が必要ということで精査・検討を続けていただきたいなと思うんですけど。というのは、やっぱり評価指標が実際の目標とされているものの内実を具体的に決めていくというところがあるかと思って、難しいと思いますけど、例えば最初の学力のところで言うと、参考指標の1番として出ている習得・活用及び探究求の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫を行っている学校の割合というのをどうやってやるかだと思うんですよね。例えば、こういうのを県教委におろすと、ある特定の授業の型を示して、この授業の型に該当するものが幾つあるかというようなことをポイントで出してこいみたいな話になりかねなくて、それはとってもこの趣旨に反すると思うわけです。むしろ、この間の中教審答申にもありましたように、今後の指導方法については、各学校が学校現場で授業研究をしながら、子供の姿を見つめながら、常によいものに不断の更新をしていくという方向で政策は進んでいるわけで、ここで特定の型をやることが学力を保障するというふうな話になってしまいかねないみたいな話はいっぱいあると思うんですね。これは気をつけていただきたいなということです。
 その下の豊かな心の育成のところも、例えば測定指標のところに自分にはよいところがあると思う児童生徒の割合、自分自身に満足していると思う高校生の割合というのがあって、悪くはないと思うんですけど、例えば私たちの学校のカリキュラム評価の研究の経験からすると、むしろ、授業の質が高かったり、学習の質が高まってくればくるほど、子供たちの自分に対する要求水準も高まっていく傾向があって、すると結構いい状態になっても、なかなか満足しない。だから、いい教育をしている学校の方が、こういう満足をしているとか、よいところがあると思う割合がかえって下がるということを僕らは実践的に経験していて、だから、こういう主観的な評価指標というのはとっても危ういところがあるだろうと思っています。つまり、形式的に機械的な評価指標、主観的な評価指標というのは、こういう政策評価の指標としてはなかなか難しいものがあると。多面的にやっていただくのはありがたいと思いますけど、引き続きここにあるとおり、精査・検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
【小川分科会長】 非常に重要な指摘かと思います。ありがとうございました。
 それでは、角田委員、どうぞ。
【角田委員】 奈須委員とほとんど同じなのですが、指標のところにちょっと違和感を覚えました。確かな学力の育成の測定指標候補の前段の文章「知識・技能、思考力・判断力・表現力等の資質・能力の調和がとれた個人を育成」には、何かちゃんと評価指標を持つのでしょうか。測定指標は生徒の成果を見る指標になっていますが、参考指標は学校の取組状況を見る指標だと思います。すると、主体的・対話的で深い学びに、どんなふうに取り組んでいるか、学校全体で取り組んでいるかなどについてやはり測っていく指標が必要だろうと思います。もっとも指標が型にはめるような方向になってはまずいと思いますので、とても難しいところだとはもちろん思っています。でも、4ページ目の目標(5)問題発見・解決能力の修得、主として高等教育段階と書かれていますが、ここの測定指標は、少人数クラス、演習・ゼミ形式という型そのものの普及を見ていまして、ここにも違和感を覚えました。
  また、小中高大と、生徒はどう成長しているか、また学校側はどう取り組んでいるかという学校段階を一貫した共通の指標を検討していただけたらと思います。
 以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。事務局からの回答は後でまとめて可能な範囲でやらせていただきたいと思います。
 それでは、横倉委員。
【横倉委員】 それでは、学校保健の立場から申し上げたいと思います。今回の第3期教育振興基本計画について、3点、申し上げさせていただきます。
 第1は、学校保健の連携体制の構築についてであります。第2期の教育振興基本計画と第3期の計画案を比べますと、いずれにも健やかな体の育成という文言が盛り込まれております。これにつきましては、学校保健の立場から非常にありがたい点であります。教育基本法の第1条には、教育は心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならないとありますが、子供が健康であることこそ、子供が教育を受ける上での一番の基盤であるとまず確認をしておきたいと思います。
 資料1-2の7ページの目標(3)の健やかな体の育成を見ますと、学校保健・学校給食、食育の充実等とあります。学校、家庭、地域の専門機関等の連携による保健管理等を推進すると記載されています。しかし、これが各学校任せにならないようにすることが必要であります。メンタルヘルス、生活習慣病、いじめ、不登校、ネット依存、アレルギー疾患の増加、不適切な性行動などの健康課題は一昔前にはなかったものであります。子供を取り巻く環境が変わり、新たな健康課題が出てきたときに、各学校単独での対処には限界があると思います。このため、学校保健の関係者、すなわち、医師会、薬剤師会、歯科医師会、教育委員会、学校保健会、専門医会関係者が持つ資源、情報を組織として効率よく活用していくことが不可欠であると思います。これまで食物アレルギー対策、新しい学習指導要領に盛り込まれたがん教育において、文科省はこれらを推進するための連携の仕組み作りを進めてこられました。しかし、アレルギーやがん教育といった個別課題への連携だけでは、必ずしも十分とは言えません。子供の健康を守るために恒久的な連携の仕組みを構築することが子供に安心して教育を受けてもらえる一番の基盤であります。
 資料1-1の20ページから教育政策のための基盤を整備するとして、教育政策推進の基盤、学校指導体制の整備など、基盤が列挙されていますが、基盤として最初に学校保健の連携体制の構築を加えることが必要と考えております。各都道府県にそれぞれの教育委員会、学校保健会等々、学校保健に関係する組織があります。組織の枠を超えて、そのいずれかが事務局機能を果たし、子供の健康という同じ目的のために連携する仕組みを設置することを目標にしてはと考えております。さらに、市町村における連携の仕組みを構築すれば、各学校の学校保健委員会を含めた縦横の連携ができると思います。
 第2に、健診データの有効活用についてであります。資料1-3の4ページの目標(3)に健診項目についての記載がありますが、学校で行われている学校健康診断の結果を有効に活用できるようにすることが大切だと思います。これは乳幼児健診データとの乗り入れや就学時健診データの有効活用、また、各種学校健康診断結果をまとめる学校保健統計の項目整理などが必要であります。現在の就学時健診は、特別支援教育を受ける子供を見つけることが大きな目標になっておりますが、全国で行われている就学時健診を有効利用できれば、3歳の乳幼児健診から小学校入学時までの期間の健康情報のブランクを埋めることができ、それとともに入学前の発達障害を含む健康課題の早期対応に大きく貢献をすることができると思います。また、学校健康診断の結果をまとめる学校保健統計が十分に利用しづらいというような声もありますので、その辺の整理も必要ではないかと思います。エビデンスに基づく健康な子供の育成という視点から、乳幼児の頃から高校生まで、省庁横断的な乳幼児健診、就学時健診、学校健診の健康診断のデータの有効活用が大切であると思います。
 第3に、子供のスポーツ参加の後方支援についてであります。今、様々な団体でスポーツ医とかスポーツドクターの育成が行われています。このスポーツ医はプロのアスリートに関わるだけではなくて、学校現場で貢献できることがたくさんあります。現在、運動し過ぎの障害、また、一方では運動不足の子供たちがたくさんいるという二極化が進んでいます。運動し過ぎる子供の障害については、スポーツ医が予防や救急対応などで研修をするということも可能ですし、一方、運動をしない子供の場合、子供の生活習慣病が増えていますので、その発現が危惧されます。まずは運動の習慣をつけてもらうということが大切であります。
 資料1-2の7ページの目標(3)健やかな体の育成の中に学校や地域における子供のスポーツの機会の充実とありますので、この項目にこの二極化の視点を盛り込んでいただいて、スポーツを適切に行ってもらうためにスポーツ医との連携を図っていくということを記載していただきたいと考えます。2020年のオリンピック・パラリンピックを機に、子供たちがスポーツ、運動に親しんで、しっかりとした健康のもとで学習を続けていくということが必要であろうと思います。
【小川分科会長】 ありがとうございました。保健、スポーツ等々の広い視点での御指摘、ありがとうございました。
 それでは、次に貞廣委員、お願いします。
【貞廣委員】 ありがとうございます。まずは大変なエネルギーをかけておまとめくださったことにお礼を申し上げたいと思います。その上で、1点、感想的な意見とちょっと細かいことを申し上げたいと思います。
 まず、1点目でございますが、今回の教育振興基本計画、基本は新たな価値を創造する人材の育成をいかに行っていくかということですけれども、資料1-2の12ページからグローバル人材の育成、そして続いて14ページからイノベーションを牽引する人材の育成となっていますが、目標(8)のグローバル人材の育成の部分が英語、又は海外というものに過剰に特化されているように見えるのと、そしてイノベーティブな人材という部分の目標(9)の部分が理数系の領域に過剰に限定されているように見えることが大変気になっております。むしろ、目標(9)にあるような新たな価値を創造するような人材こそがグローバル人材であり、それは理数系に限られているものでもなく、これは恐らく振興計画なので、後で測定しなければいけないという部分があり、ちょっと測定に過剰に引きずられて、フォーカスが狭められ過ぎているんじゃないかなと思います。また、イノベーティブでグローバルな人材の育成というのは、初等中等教育段階からもまさに重要視される部分であるので、具体的にこういうふうに変えるというアイデアをここですぐには出せないのですが、(8)と(9)が関連しているということとか、それが初等中等教育の部分でも実は非常に大事で、成長してから初めて新たな価値を創造できるようになるというよりも、子供の頃から大事なんだよというようなことが見えるような形で少し書き方を工夫していただいた方が誤解を持って受けとめられないというか、英語だってグローバルなのねとか、理数だとイノベーティブなのねとか、それは大人になってからなのねというような受けとめ方をされないような書き方の方がいいかなと思います。これが1点、感想でございます。
 もう1点、細かい点でございますが、資料1-2の23ページの○の3つ目に夜間中学の設置・充実の点に言及をされています。御承知のとおり、教育機会確保法の成立によって、従来の夜間中学の役割ではなく、不登校の子供たちも受け入れるというふうになっているわけですが、私は余り存じ上げなかったんですが、新聞報道などを見ますと、夜間中学、今、8都府県に31校しかないそうで、相当程度、地域の偏り、つまり、空白地帯があるんですね。不登校の子で夜間中学を利用したいけれども、アクセスができないと。恐らくこちらの空白地帯って、フリースクールの偏在を考えると、フリースクールの空白地帯とも重なっているんだと思うんですよね。そういう意味では、教育機会確保法が成立したということを受けまして、もう少し夜間中学の設置が進むような形で何らかの測定できるような目標をここに書き込んでいただいて、広がりをサポートしていただくということも必要なのかなと思います。
 以上2点でございます。ありがとうございます。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 この辺で、今まで委員からの要望を含めた御意見があったんですけれども、今の段階で事務局の方で答えられるようなものがあればよろしくお願いします。
【内田教育改革推進室長】 そうしましたら、簡単にコメントだけさせていただきます。貴重な御意見、ありがとうございます。
 まず、学力のところのアクティブ・ラーニング関係の指標ですけれども、非常に抽象的で分かりにくいのではないかというお話もあったかと思います。このあたりもまだ精査中でございますので、引き続き検討させていただきたいと思いますけれども、現時点で考えておりますのは、全国学力・学習状況調査におきまして、様々な授業形態や学校の教育活動の中身を悉皆で聞くような質問項目がございまして、現時点ではそういうような項目などを参考にしてフォローアップしていくというようなことを考えているところでございます。
 あと、学校保健の連携体制ですとかイノベーションに関しましては、御意見を踏まえまして、また考えさせていただきたいと思っております。
 夜間中学に関しましても、担当部局と相談させていただきながら考えさせていただきたいと思っております。
 以上です。
【小川分科会長】 ありがとうございます。
 時間がありませんので、先に進めたいと思います。
 その次は堀田委員、吉田委員、清原委員、時久委員、その後の順番は市川委員、柏谷委員、鶴羽委員の順でお願いいたします。どうぞ。
【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。
 資料1-3の11ページについて、2点、コメントさせていただきたいと思います。私はICT活用等が専門でございますから、その観点からお話をいたします。
 ここに測定指標として、学習者用コンピュータの導入のことがあります。これからのアクティブ・ラーニング等を考えますと、子供たちが自分の学習の道具としてICTをどうやって使っていくかというのは非常に重要な能力となりますが、これを導入するための予算確保の観点からいっても、この測定指標があることは大変好ましいことだと思っております。しかしながら、これぐらいのたくさんのICTが入ってきたときに、測定指標候補の一番下にある無線LANの話なんですけれども、無線LANがあるぐらいでは、多分、うまく行かないんですね。高速で安定的な無線LANが敷かれている必要があります。だから、無線LANのありなしという単純なことではなくて、その速度や安定度をしっかりと測定指標に入れていただかないと、うちも無線LANつけてあります、終わりみたいな感じで、実際は実用性のないものが整備されてしまうという懸念がございます。これが1点です。
 もう1点ですが、そういうICT環境を生かして授業をする教員の話でございますが、測定指標の3番目に教員のICT活用能力の改善とあります。この書き方だと、恐らく教員がICTを使えるかどうか、例えばエクセルが使えるかとか、そういう話に矮小化される可能性があります。重要なことは、教員が教えるときにICTを有効に活用して分かりやすく教えられるかということと、子供たちがICTを使って学びをやっていくことをうまくコーディネートできるかという、この2つですので、これらのことがきちんと指導力として測れるような指標をうまく考えていただきまして、ここに入れていただければと考えております。
 以上でございます。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】 ありがとうございます。
 今回、第3期ということですので、是非、私は今の現状との関連性をまずしっかりとしていただきたいなと思っております。資料1-2でいけば、高大接続改革の着実な推進とか学習指導要領の改訂とかあるわけですが、高等学校の場合は今年改訂されるわけです。そういう中で、例えば9ページの再掲の施策群の中の持続可能な開発のための教育(ESD)の推進なんかでも、ここで初めてSDGsのことが出てくるわけですけれども、このことも今回のカリキュラムの中にESDがどのぐらい入っているのかどうか、そういったことも関連してくるのではと思っております。
 それから、同じく12ページでグローバル人材の育成の最初の○の大学入学者選抜においても、4技能を適切に評価するため、民間事業者等により実施されている資格・検定試験の活用を促進するということがあるわけですが、これについては公立校長会や教育長会議などでは今の教育課程と4技能の試験というものはかけ離れていると。それによってこれは難しい云々という話があるわけですので、是非、この辺も教育課程との関係というものをしっかり今表記しておけば、この計画が生きたものになるのではないか、そういう意味では、この4技能というものが生きてくるのではないかと思っております。それとともに、大学の方の3つのポリシーの問題も、全部、29年3月までですか、各大学が出したわけですので、特に大学のアドミッションポリシーに伴って、高校以下の教育課程への影響というのは非常に大きいのではないかなと。この4技能のことについては、特にそれをしっかりとやっていただけたらと思っております。
 今、堀田先生からあったICTに関連してのことなのですが、資料1-2の27ページにもICT利活用の促進ということが出ているわけですけれども、やはりICTを活用するためにはハードがなくてはできません。それが資料1-3の指針の中に書かれているわけですが、私からすれば、ここの指針で言うところの3クラスに1クラス分ということだって、現実には少ないのではないか。もともと教科書の問題で、デジタル教科書で生徒1人1台、タブレットという話が小中学校であったと思います。それがいつの間にか立ち消えになり、そしてこれが今度、3クラスに1クラス分程度ということで、本当にこれからの2030年以降の社会を見据えて、我々が生徒1人1台、コンピュータがなくていいのかどうか、そしてそれとともに、今、堀田先生の言葉で私は言っていただけたと思うのですが、実は実際に我々、Wi-Fiを整備している学校にとりましても、高速、安定的な無線LANの導入というのは大変厳しいものがあります。これについては、企業等と違いまして学校ですので、特段の割引というか、学割というか、そういったものも考えていただかないと、月々の経費も大変なことになりますし、そういう部分で言えば、資料1-2の21ページに教育へのアクセスの向上、教育費負担の軽減に向けた経済的支援ということもございますが、そういう中でやはり私立学校の場合には負担がただただ増えてくる、そういう状況になることに対しての懸念がございます。21ページの教育へのアクセスの向上、教育費負担の軽減に向けた経済的支援のところでも、これを見ますと、今年から小中学生に対する支援金が、年収400万円以下と非常に低い部分でございますけれども、一応できました。ただ、そのことは全く書かれていません。小中の私立学校のことは全く無視されているということも私は理解できませんし、それからICTに絡みまして、やはり子供が今度、1台ずつ持ったときに、その機械、ハードを維持するために人というものが絶対必要になってきます。ICT教育の支援員と言うと言い方は変ですけれども、そういったものが今、公立の方では徐々にできてきているようですが、国として、やはり支援というものを必要とすること、それから私立学校の場合には教員用のコンピュータは一切、補助対象にされておりません。例えばの話が校務運営とか成績管理、その他、公立学校の方ではシステムが構築されて利用されているわけですけれども、私立学校の場合には自費でやらなければいけない。これはやはり同じ教育をやる中で教員がパソコンを持たないで生徒にパソコンを持たせて何ができるのか、そういう部分も含めて、やはり現状と計画というものを、是非、現状でまずその計画に結びつけられるような形を作っていただける、そういう第3次教育基本計画にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】 ありがとうございます。
 清原委員、よろしくお願いします。
【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。第3期教育振興基本計画に関しまして、大変幅広い視点から集中的に御議論いただきまして、まず感謝申し上げます。
 市長の立場からは、資料1-1に掲げられております、「個人」の方向性として、「自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成」という中の「協働」という言葉に大変共感をいたします。自治体行政では、市民の皆様、関係団体等、あるいは大学、研究機関等々と、目標を共有しながら協働していくかということが重要なポイントになっています。また、「社会において一人一人が活躍する」ということが表記され、また、「地域・国・世界の持続的な成長・発展」とありまして、「地域の持続的な成長・発展」のために、まさに「教育による人材育成」、そして「市民の実現」が求められています。
 そこで、「協働」という言葉に着目しまして、資料1-2で具体的にはどのようなことが示されているかということで、幾つか注目させていただきました。11ページの「目標(7)家庭・地域の教育力の向上、学校との連携・協働の推進」とあり、「協働」に加えて「連携」というキーワードが出てまいりました。「家庭の教育力の向上」の部分には、「関係省庁が連携し、妊娠期から学齢期以降までの切れ目のない支援の実現に向けて、地域における子育て支援と家庭教育支援の連携体制を構築」とあります。ここで申し上げます。厚生労働省でもこの7月に「子ども家庭局」が創設されました。また、内閣府でも「共生」の部門で無藤分科会長代理が会長を務めていらっしゃる「子ども・子育て会議」をはじめ、そうした連携の取組をされています。したがって、「関係省庁が連携し」と表現されているものと思いますが、文部科学省であれば「関係省庁」と表記されると思いますが、自治体のレベルでは、「教育委員会と他の行政部門が連携し」ということになると思います。そこで、「地域においての連携・協働」についても表現をしていただければありがたいなと思っておりましたら、次のところに「地域の教育力の向上、学校との連携・協働の推進」とありまして、「コミュニティ・スクール」についても明記されております。「コミュニティ・スクール」を実現するためには教育委員会の取組だけでは不可能です。やはり幅広い行政、そして地域の関係団体との連携が不可欠でございますので、やはり引き続き関係省庁との連携にとどまらず、「自治体における行政部門との連携」についても記述をしていただければありがたいなと思います。
 加えて、17ページに「生涯学習」に関しましても1つ目の○のところに、「学校のみならず、社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、地域の課題解決を主体的に担うことができる力を身に付けるための教育を推進する」とあります。このように、学校教育も生涯学習と密接な関係を持ちながら、教育委員会以外の分野と密接な関係を持ちながら、子供たちの自己肯定感、そして生きる力を身に付けていけるものと思います。
 更に加えて、21ページには2つ目の○ですが、「学校教育における学力保障・進路支援、福祉関係機関等との連携強化」と明記されております。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置は大変重要なポイントでございます。子供の貧困の解決のためにも、この分野に触れていただいていることは極めて重要ですが、ここにおきましても、是非、福祉部門のみならず、(実は生活福祉部門等とも関係することでございますので)、自治体における教育委員会以外との連携を強調していただければありがたいと思います。
 2点目に端的に申し上げます。25ページの○の「教職員指導体制・指導環境の整備」の最後に、この分科会に設置されております「学校における働き方改革」について、今後、総合的な方策を検討し、早急に所要の施策を講じるとあります。まさに教員の働き方改革について触れているわけですが、戻りまして11ページ、「家庭の教育力の向上を実現」するためには「保護者の働き方改革」が不可欠でございます。したがいまして、今期のこの内容を実現するためには「保護者の働き方改革」とともに「教員の働き方改革」が重要であり、その両方について触れるということを明記していただければと思います。
 最後に3点目です。堀田先生も吉田先生も言っていただきましたICTというのは、むしろ、基盤です。「更なる活用」という表現というよりは、これからの「第3期教育振興基本計画を実現するにはICTは基盤である」ということを明記し、それを教える機会を増やすというよりは、むしろ、学校の校務においても、教育においても、基盤としていかに整備していくかについて、総務省、そして経済産業省と、是非是非、更なる連携を進めていただき、今までの取組を基礎に、具体的なクラウド化でありますとかWi-Fi等の整備についても更に踏み込んだ取組を文部科学省にとどまらず進めていただきますよう、私からもお願いいたします。
 以上です。ありがとうございます。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 これ以降、時久委員から始まって、最後、寺本委員で終了させていただきます。それと、時間があまりありませんので、恐縮ですけれども、御発言は手短にお願いいたしたいと思います。
 それでは、時久委員、どうぞ。
【時久委員】 2つです。
 1つは、資料1-1の一番最初に書かれています教育の普遍的な使命のところと、各論にしても回数重ね審議されて、非常に御苦労されて意見がまとめられていると思いました。特に教育の普遍的な使命については全くそのとおりで、大変大事なことだと思います。
 それで、前段、委員さん方がおっしゃられましたように、全体的な方向と指標の部分につきましては、私も型にはまった教育というか、指標が限定されているというところが大変気になっているところです。ここのあたりは、例えば先ほど内田室長の方からもお話がございましたけれども、全国学力・学習状況調査の中で学校の状態を聞くという設問がございますけれども、例えば話合い活動をどれだけしているかというあたりとか、学習したことがどれだけ広がっていっているかというようなところにつきましては、その方向で教育をしているので、だんだんその数値は高まっていますけれども、実は私、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と、だんだん学習の積み上げがなされないといけないと思っているのですけれども、そのあたりのことがありまして、実はそういう流れでやっている外国の学校を少し参観させてもらってきました。日本の子供と全く違いました。
 それで、2つ目に言いたかったことをちょっと重ねて申しますけれども、グローバル人材の育成というところで焦点を当てて、1と2を結んでちょっとお話をさせていただきます。系統的に続けてというときに、新学習指導要領が出されて、その中に主体的・対話的で深い学びとかカリキュラム・マネジメントとか、そういうことでどの学校も先取りしながら、今、実践に移していっているところなのですけれども、このグローバル人材を育成するときに、指標でいったら英語とか理数とか、そこの数値的なこともそうですけれども、いわゆる国際社会で生きていくというか、いろいろなことに関わっていくというときには、言語はもちろん、そして学習の中身もそうですけれども、人を大事にしながら関わっていけるという人間性を育てていくという、国際的に通用する人間性を育て、国際的にお互いやりとりができるような学習を深めていくということがとても大事だと思っています。そのときに、ちょうど私が行った学校がバカロレアのIB教育でずっと一貫している学校だったものですから、保育園から積み重ねが大事なんですというそこの学校の校長先生のお話があって、保育園からもう自己選択をし、人と関わり、話合いをし、深めていくというのはずっとなされています。その素地があっての小学校の教育の中で、日本の教育と全く違うのは、どの子も目的意識をしっかり持って、一斉の授業をしたり、個別の学習をしたり繰り返すわけですけれども、その中で本当にどの子もぼんやりしている子供が全くいない。もうこのことを追求したいという意識をしっかり持って、大変な勢いで書いたり、話したり、読んだり、いろんなことをしています。タブレットも全員の子供が持っていまして、即座に使います。そういう教育をやっている、そういう国際的なものと日本の教育を比較したときに、日本の教育にはよさもありますけれども、もっともっと子供主体で、そして創造的な学習でないとだめなんだということはつくづく思います。自分のまちの方でも、できるだけ開かれた教育ということでやってはいきますけれども、まだ何と硬いという。先生の教えることがいかに強いかということがどれだけ開いていっても、まだ課題として残ります。ですから、先ほどおっしゃった話合い活動をどれだけしているか、大変していますけれども、その話合い活動の中身が全く違いました。そういうこれからの世界で生きていく子供たちを教育していくのに、日本の教育はもっと大胆で、もっと創造的で、そして子供自体が動いていないとだめなんだということをつくづく思います。
 そこで、1つだけ質問は、バカロレア教育については、各地でそういう方向の教育がなされていたりということを聞きますけれども、文部科学省としてはここのあたりは広めていくとか取り入れていくとかという、そこのあたりはどうかなというのは私が全然分からないものでお聞きをしたかったのです。
 以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 市川委員、よろしくお願いします。
【市川委員】 ICT教育についてですが、私も堀田委員と情報関係の委員になっておりまして、また、情報活用能力については調査の委員長というのも務めていたものですから、その中でちょっと気になっていたことをお話ししたいと思います。
 まず、ICTの利活用というのはあくまでも手段であるはずです。ところが、この測定指標というのを見ますと、どれだけICTを入れたか。これは別に成果の指標ではないですね。どれだけ条件を整備したかという話です。それから、どれだけICTを先生や子供たちが使えるようになったか。これも入れれば使えるようになるのは当たり前で、じゃあ、使った結果、授業がどう変わったか、あるいは子供たちが最終的にどういう力をつけたのか、どういう姿になったのか、そのことがもっと指標として表れてこないと、ICTを入れて、結局、どういういいことがあったのかということに応えられないのではないかという気がしています。ICTを入れる目的、いろいろあると思います。大きく分ければ恐らく2つで、1つは基礎学力を向上させるためにICTを入れて授業改善をするというところがあります。それならば、本当に基礎学力は向上したのか。もう一つは、思考力、判断力、表現力などをつけるためということであれば、じゃあ、そういう力が本当についたのか。こういうことを何らかの測定指標、もちろん、指標は難しいと思いますが、これからはカリキュラム・マネジメントとも絡んで、こういう力も測定評価していくということですので、それと絡めて、実際、どういう力がついているのかということを測定指標としても持ってこないといけないんではないかと思います。
 そういうことを申し上げるのは、1人1台、タブレット端末ということを実現した自治体が3年間やってみて、基礎学力はほとんどついていない、向上していないという記事が、今年の春、新聞報道もされまして、これはある意味、ICT関係の人にとってはショックだったと思います。私もショックですが、人、物、金といわれるリソースをかなり投入して3年間やって、基礎学力はほとんど上がっていない。目的は基礎学力の向上ということをうたっていただけに、それだけ投入してついていないということはやはりショックだったと思いますが、ついたという自治体もあると。それならば、一体、何が違うのか、どういう使い方をしたので基礎学力が伸びたところがあるのか、また伸びていないところがあるのかというようなこともしっかり押さえていかないと、どんどん条件整備をしていっても、ICT、大変なリソースをとりますから、それがどういう効果に結びついたのかということをちゃんと示していかないと、自治体としても行政としてもまずいのではないか。ソフトとハードを入れるだけではなくて、カリキュラムの中にどう位置付けられたのか、子供たちがどんな活動をして、そしてその結果、どういう力がついたのかという指標も併せてとっていただければと思います。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。 柏谷委員、どうぞ。
【柏谷委員】 ありがとうございます。全国町村教育長会の柏谷です。
 教員の負担のことなんですけれども、学校指導体制の整備の中で、測定指標の中に勤務時間の短縮、事務時間の短縮とうたってあります。これは絵に描いた餅にならぬよう、管理職の罰則等も含めた罰則規定を設けるべきであると。それも一緒にうたって、短縮が確実に実施されるようお願いしたいと。現場においては献身的教員像というのが暗黙のうちに浸透しております、国民の間にも。ですから、先生方が、私はもう帰りますよと言うことは非常に難しいんですよ。ここのところをはっきりと罰則をつけて実施させることが質の高い教育に結びつきますので、そのことだけお願いしたいと思います。
 以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、鶴羽委員、よろしくお願いします。
【鶴羽委員】 私は幼児教育について申し上げます。
 資料1-2の3ページの一番最初の○と5ページの一番最初の○のところに、幼児期における教育の質の向上や自己肯定感の育成というところ、最初にやはり記載されているというのは今までと違ったことではないかなということで、やはり幼児期の子供の育成の必要性だとか影響の大きさということをしっかりとここで記載していただけるということはありがたいと保護者の立場から思いました。
 ただ、5ページの最初の自己肯定感のところに比べて、3ページの教育の質の向上のところは余りにも抽象的過ぎて具体的なコメントが一つもないがためにイメージができません。1の(1)の一番最初の○ですので、もう少し分かりやすく書いていただきたいということと、こちらでは幼児教育・保育・子育て支援と書いているのですが、都市部では保育園と幼稚園の差はいまだはっきりとしています。連携がとれているかというと、地方に比べては一つ一つが独立しているというのが現状です。そこのところはやはり福祉部局と教育というところの連携ということをしっかりと書かなければなかなか難しいのではないかと危惧しています。また、保育士や幼稚園教諭の研修というところも大事な視点だと思います。ここではセンターだとかアドバイザーだとかの配置としか書いてないんですけれども、実際働く方々は2年間という期間、短大や専門学校で学んで、すぐ現場に入り、初任者研修以外、研修を受けている方はほとんど少ないんですよね。そういった部分で、果たして質の向上が図れるのかというところもちょっと不安が残りました。
 また、資料1-3の3ページのところの豊かな心の育成もつながっていますけれども、ここのところで測定指標候補について、よいところがあると思うですとか満足しているとかいじめだとかというところの指標が載っているのはいいのですが、その豊かな心の育成のところに人間関係を築く力というところがあるのですが、そういったことがこれだけで分かるのかと不安になりました。例えば、グループ活動を楽しいと思うかですとか、仲間と一緒に行動することにおいてどうすれば体験として子供たちが思っているのかといったところまでないと、ここは人間関係というところにはならないのではないかなと思いましたので、そこのところを考えていただきたいと思いました。
 以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 では、最後、寺本委員、お願いします。
【寺本委員】 ありがとうございます。
 それぞれありました中で目標(7)にあった家庭・地域の教育力の向上、学校との連携・協働の関係なんですが、先ほど清原委員からもいろいろありましたので、それ以外の部分についてですが、具体的にどうしても家庭教育力というのは昔から重要だ、重要だと言われていても、家庭教育力が向上したのか、そうでなかったのかという指標を表すものはなかなかないと思うんです。そういった中で、この指標の測定をしていく上において、これは自己評価かもしれませんが、家庭教育力が向上したと思う人の割合とか、保護者自身がどう思っているかという点も意識付けにもつながると思うものですから、そういった項目もあってもいいのではないか。そして、他地域ともいろいろ連携・協働も必要になってくる。特に地域学校協働活動の全国的な推進ということも踏まえていくと、例えば地域の一つであるPTAもそうですが、ほかのPTAとの連携・協働ができているのか、また、そういったところを参考にするような場面があるのかというようなことも大きく分野の一つに入れていいのではないかと思っています。いろんな意味で、どうしても自分の地域の小学校とか中学校とかのブロック単位で一生懸命やられていても、ほかの地域のことに対してはなかなか耳に入らなかったり、目に届かなかったりということがあるものですから、そういった指標を入れてあげることによって、ほかからの学びを深める機会になるのではないかと思っています。
 以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございます。
 こちらの方で予定していた時間を少しオーバーしてしまいましたので、ほかの委員も御発言があるかと思いますけれども、恐縮ですけれども、この辺で議題1については終わらせていただきたいと思います。
 最後に、堀田委員から今の寺本委員まで、主に測定指標に関わるいろいろな御要望を含めて御意見があったんですけれども、今の時点で何か事務局の方からお答えできるものがあればお願いします。
【内田教育改革推進室長】 貴重な御意見、ありがとうございました。持ち帰りまして一つ一つ検討させていただきたいと思います。
 幾つかお話ありました中で、ICTの話が幾つか出ておりましたけれども、「教育ICT環境整備指針」の策定を検討していまして、そういったもののハード的な部分の検討と、あとは新しい学習指導要領に合わせまして教科横断的にICTを利活用してどういうふうにやっていくかという市川委員の御意見にも関連するようなところでございますけれども、そのあたりの指針作りを今、年度内目途に進めておりまして、そのあたりの議論も踏まえまして反映できるものは反映させていただきたいと思っております。
 あともう一つ、時久委員の御質問がございました国際バカロレアの関係でございますけれども、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、2020年までに国際バカロレア認定校等を200校以上に増やすというような目標を国全体として掲げておりまして、8月現在、137校、国内にございます。今の案ですと、施策群のところに国際バカロレア、書かせていただいておりますけれども、国といたしましても、連絡協議会の場の設置ですとか手引を作りながら普及するというようなことを進めているところでございます。
 以上でございます。
【小川分科会長】 吉田委員、手短にお願いします。
【吉田委員】 済みません、今のお話ですと、3月までにこれを決めていく中でというお話ですが、教育課程との絡みとか先ほど私が質問させていただいた高大接続の絡みとかは別なのですか。
【内田教育改革推進室長】 現在、ほかの審議会など、いろんな研究会、外部の調査研究協力者会議なんかで動いているようなものもございますので、今、いろいろ高等教育まで含めまして日々、議論が続いているようなものにつきましては、随時、答申までに反映できるようなものにつきましては連携していくという考えでございます。
【小川分科会長】 よろしいですか。
【吉田委員】 はい。
【小川分科会長】 それでは、議題1は終わらせていただいて、次の議題に入っていきたいと思います。
 議題2、特別支援教育小学部・中学部学習指導要領等について、中村特別支援教育課長からお願いいたします。
【中村特別支援教育課長】 説明をさせていただきます。まず、先生方のお手元の資料でございますが、資料2-1、2-2、2-3でございます。資料2-2、2-3は幼稚部教育要領、小学部・中学部学習指導要領の本体になっておりますので、それの改訂のポイントをまとめたものが資料2-1でございます。この資料2-1を基に説明をさせていただきます。
 新しい特別支援学校幼稚部教育要領、小学部・中学部学習指導要領については、去る4月28日に告示をいたしました。
 まず、今回の改訂の基本的な考え方でございます。今回の改訂につきましては、平成28年12月の中央教育審議会答申を踏まえ行われたものでございます。社会に開かれた教育課程の実現、育成を目指す資質・能力、主体的・対話的で深い学びの視点を踏まえたカリキュラム・マネジメント、指導方法の充実など、初等中等教育全体の改善・充実の方向性を重視したものとなっております。また、障害者の権利に関する条約批准を契機としまして、平成25年に就学制度の見直しを行い、障害のある子供たちの学びの場が柔軟に選択できるようになったことを踏まえ、幼稚園、小学校・中学校・高等学校の教育課程との連続性を重視したものとなっております。さらに、前回の改訂でも充実を図りました障害の重度・重複化、多様化への対応と卒業後の自立と社会参加に向けた取組を一層推進し、充実したところでございます。
 次に、教育内容等の主な改善事項であります。学びの連続性を重視した対応、1つ目の○でございますが、「重複障害者等に関する教育課程の取扱い」であります。特別支援学校では子供の障害の状態等に応じた教育課程を柔軟に編成することができるよう、教育課程の取扱いに関する各種の規定を設けております。例えば、各教科の目標内容の一部を取り扱わない、前の学年の目標及び内容に変えることができます。こうした柔軟な取扱いを維持しつつ、子供たちの学びの連続性を確保する視点から、当該学年の後の学年や後の各学部の目標の系統性や内容の関連に留意しなければならないこととしております。
 2つ目の○でございます。知的障害者である子供のための各教科等という整理をしておりますが、特別支援学校のうち、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由及び病弱の子供に教育を行う特別支援学校については、小学校、中学校の学習指導要領で定められている各教科等で教育課程を編成することとしております。一方、知的障害者である子供に教育を行う特別支援学校においては、特別支援学校学習指導要領で定められている各教科等で教育課程を編成することとしております。今回の改訂では、知的障害者である子供のための各教科につきまして、小学校、中学校の学習指導要領と同様に知識、技能、思考力、判断力、表現力等、学びに向かう力、人間性などの育成を目指す資質、能力の3つの柱に基づき、各教科の目標や内容を整理いたしました。従前より対象とする子供の学力などが同一学年であっても知的障害の状態や経験等が様々であることから、学年別ではなく段階を設定しておりますが、小学部・中学部及び高等部の各部や各段階間で内容のつながりを整理するとともに、現行では1つの段階のみで示されている中学部につきましても、新たに1段階及び2段階を設定させていただきました。また、小学校における外国語教育の充実を踏まえ、知的障害者である子供に教育を行う特別支援学校の小学部の教育課程に外国語活動を設けることができること等、規定をしたところでございます。さらに、これまでも障害の状態等に応じて一部行われてきたところですが、新しい学習指導要領では特に必要がある場合には個別の指導計画に基づき、例えば小学部であれば小学校の学習指導要領の各教科の目標及び内容を参考に指導ができることを明確に示したところでございます。
 次に、一人一人に応じた指導の充実では、1つ目の○でございますが、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者及び病弱者である子供に対する教育を特別支援学校においては小中学校の学習指導要領に示された各教科の指導を行うこととしておりまして、その上で学習指導要領において障害の特性等に応じた指導上の配慮を設けさせていただいています。今回充実した点としましては、資料に記載しておりますが、視覚障害では空間や時間の概念形成の充実、聴覚障害では音声、文字、手話、指文字等を活用して発表や話合いなどの学習活動を取り入れた意思の総合伝達を充実させる。肢体不自由では体験的な活動を通した的確な言語概念等の形成。病弱では間接体験、疑似体験等を取り入れた指導方法の工夫などの改善充実を図っております。また、各障害の特性等に応じた指導上の配慮としまして、コンピュータ等の情報機器などを有効に活用することなどと規定をしております。指導におけるICT機器などの活用について、しっかりとした活用をしていただければと考えております。
 次に、2つ目の○でございますが、特別支援学校では各教科、特別の教科である道徳、特別活動などに加えて自立活動という領域を設けております。障害による学習上、又は生活上の困難を主体的に改善、克服するための指導を行っております。また、自立活動の内容については、特別支援学校のみならず、小中学校の特別支援学級や通級による指導でも取り入れられておりまして、本年3月に公示されました新しい小中学校の学習指導要領でも特別支援学校学習指導要領の自立活動の内容を参考としなどと記載をされたところでございます。こうしたことから、今回の改訂においては発達障害を含む障害に応じた指導を充実するために、新たに障害の特性の理解、生活環境の調整に関することなどを規定をしております。
 次に、自立と社会参加に向けた教育の充実でございます。特別支援学校における自立と社会参加に向けた教育を一層充実するために、卒業後の視点を大切にしたカリキュラム・マネジメントを計画的・組織的に行うこと、幼稚部、小学部・中学部段階からのキャリア教育の充実を図ること、生涯学習への意欲を高めることや、生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ、豊かな生活を営むようにできるよう配慮することなどを新たに規定したところであります。このほか、障害のない子供との交流及び共同学習の充実、知的障害者である子供のため、各教科においても自立と社会参加に向けて内容の充実を図っております。
 これからのスケジュール感でございますが、今回改訂を行いました学習指導要領等については、幼稚園、小中学校と同様に、幼稚部は平成30年度から、小学部は32年度から、中学部は33年度からの実施予定としております。また、特別支援学校高等部学習指導要領につきましては、高等学校と同様に平成34年度からの実施に向けまして、高等学校の学習指導要領の改訂作業と連携をしながら作業を進める予定にしております。文部科学省としましても、特別支援教育の一層の充実に努めてまいりますので、引き続き先生方の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。
 ちょっと早口になりまして大変申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 あまり時間はないんですけれども、今の事務局からの御説明について、御質問、御意見があればお願いいたします。
 天笠委員、竹中委員、菊池委員の順でお願いします。
【天笠委員】 失礼いたします。
 今、御説明のとおりなんですけれども、これに先立って、今、御説明ありましたように、幼稚園教育要領、小学校・中学校の学習指導要領が告示されたというのは御承知のとおりですけれども、そういう点において、今、私は御説明いただいた特別支援学校関係も含めて大変、大切な重要な時期に今、差しかかっているんじゃないかと思っております。それはどういうことかというと、いかに学校のメンバーにこのことを伝えていくかどうかということでありますし、また、学校現場の立場からすれば、これをどういうふうに受けとめていくのかどうなのかということであって、今回の場合、今も御説明あったんですけれども、こういう視点でよりしっかり押さえる必要があるんじゃないかと思っております。その一つは、この中の総則の部分についての学習というんでしょうか、それぞれの学校において学習することの必要性、大切さというのが今回の改訂の趣旨を受けとめたり、理解したり、具体化するということにおいて大変大切な部分なんじゃないかということで、それは特別支援学校関係においても同様なんではないかと思っております。とかくこの種の学習指導要領等々というのが、総則の部分は管理職等々の立場の方へのメッセージであって、その他の方々は云々というふうな学習指導要領に対する暗黙のすみ分けみたいなものが学校の中にあるんじゃないかと。これは特別支援学校関係だけじゃなくて、他の学校においても同様の傾向があるんじゃないか。そこのところを超える、改善するというのが今回の一つのテーマではないかと受けとめているんですけれども、そのあたりのところについて、どういう手立て、方策、あるいは配慮が伝える側にどれほど工夫を含めてあるのかどうなのかというあたりのところは一つ問われている点じゃないかということがまず一つであります。
 それから、もう一つは今も御説明ありましたように、特別支援学校関係だけがクローズドにこの対応ではなくて、それこそ、幼稚園から小学校、中学校等の学習指導要領等、かなり今回も敷居を低くしたということがまた一つの特徴であるので、両方の立場が、両方が互いに交流しながら、この学習指導要領を受けとめていくというふうな、また、そのことの大切さというのも、必要性というのもあるんじゃないかと思います。
 そういうふうに考えたときに、伝え方と受けとめ方は現在進行形なんですけれども、どちらかというと、もう一段、配慮とか工夫とか、それぞれの受けとめ方、伝え方に工夫が必要なんじゃないか、あるいはアイデアが必要なんじゃないかと思うんですけど、どちらかというと、旧来型の伝え方と受けとめ方で現在、展開中なんじゃないかということがちょっと気になるところであって、既に御案内のように、次年度からこの学習指導要領に入ろうとしている、そういうところからしますと、一段とそのあたりのところについて、工夫と手立てが必要なんじゃないかと思いますので、その辺のところの御検討も含めて、この趣旨の伝えることについて、一段の御検討をお願いできればと思います。
 以上です。
【小川分科会長】 事務局への質問、要望等については後で一括して答えられる範囲でお願いしたいと思います。
 この後の発言の順番ですけれども、竹中委員、菊池委員、八並委員、そして最後、若江委員の順でお願いします。時間がありませんので、今、名札が立っている方で終わらせていただきたいと思います。
 それでは、どうぞ。
【竹中委員】 この会では4月に委員に就任しましたので、多分、初めて発言をさせていただくことになると思います。プロップ・ステーションという非営利の活動をしている竹中と申します。ニックネームはナミ姉といいます。どうぞよろしくお願いします。
 今のお話の中の3段落目の一人一人に応じた指導の充実という部分について、意見と質問をさせていただきたいなと思います。
 私たちプロップ・ステーションは発足して26年になるんですけど、26年前にベッドの上で介護を受けていた全身麻痺の障害の方々のような大変重度な方々が、自分たちも働いてタックスペイヤーになりたいんだという強い意思を表明されたことから生まれたグループなんですね。そんなことできるの、それどうやってするのと言うと、皆さん、口をそろえて情報通信技術やと言われたんですね。ですので、私たちはこの26年間、ICT業界の最先端の方々とつながることによって、彼らが真にタックスペイヤーになり得るためにという方向性の様々な非営利の事業に取り組んでき、現在もそのようになっています。今はもう身体のみならず、最近は発達だとか自閉の方だとか大変増えていて、ICTというのは相性がものすごくいいということも実証されております。彼らが夢に見た在宅ででもベッドの上でも働くということは、この一億総活躍働き方改革の中でもはっきりと文言として入れられるという時代が、まさに障害のある人を私たちはチャレンジドという可能性に着目した呼び方をしているんですが、まさにチャレンジドの皆さん自身が自分たち自身で国のそういった方向性、働き方を変えるというところまで、この26年間で来たなと実感しているところです。
 そういう中で、今回、こういった委員会に就任をさせていただいて、今、特別支援教育のお話を聞いておりましたら、ICTについてということで、既にいろいろおっしゃっていただきましたけれど、もっと熱くここで、ここの中にはICTという言葉が実は入っていないですよね。先ほどから何人かの委員、清原委員をはじめ、ICTはもう基盤なんだよというお話ありましたが、私たちにとっては基盤以上のすさまじいものなんですね。チャレンジドたちが今、自分たちがベッドの上でも働けるようになって情報通信、ICTはどんなものだと言っているかというと、人類が発見した火のようなものだと言うんですね。つまり、火を発見するまで人間は人間ではなかった、闇の中で闘うこともできず、獲物も探せず暮らしていた。でも、火を発見することによって、闘うことも、それから自分の手で食物を得ることも、そして社会という基盤を作っていく、社会生活ということもできるようになったと。つまり、それぐらいの道具だと言っているんですね。ですから、障害のない子供さんたちのICT教育以上に、実はここにICTというものが熱く語られて入っているということが私はこのチャレンジドの教育全体を変えていくものだなと思っています。そういう意味で、そういうものも使いながらというようなものではなく、もっと熱く熱く、それがあるからこそ、本当に彼らが社会のメーンストリームで活躍できる人になるんだよ、そのために文科省としても立ち上がっていこうということになったところを是非この中に入れ込んでいただくようなものになるとうれしいかなと。ICTに関してはそのように思います。
 それから、もう一つが手話のことなんですが、手話言語条例というのも全国各地に広がってきましたけれども、まだまだやはり手話より口話というようなイメージで持たれている方も非常に多いんですね。それで口話で大変優秀な聴覚のチャレンジドの皆様方、私のお友達にもたくさんいらっしゃいますけど、やっぱり細かいところで指文字や手話というのが補足で入るということがものすごくコミュニケーションを豊かにするということで、できれば英語教育と同じぐらいの重きを置いて、幼い頃から簡単でもいいけど、日常会話程度でもいいんだけど、子供たちが手話ができるようになっていく、そして先生の教育の課程の中でも、いつでも聞こえない生徒さんを担任したり、そういう学校に赴任しても大丈夫なように、そういう最低限のレベルの手話は学ぶんだというような研修制度を是非是非、入れていただきたいなと思います。
 以上、2点です。よろしくお願いします。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 菊池委員、どうぞ。
【菊池委員】 本日はありがとうございます。
 まず、資料2-1の中に学びの場の柔軟な選択、また、後半の部分、自立と社会参加に向けた教育の充実の箇所に交流及び共同学習を充実などという文言が出てまいります。このあたりは以前から議論されていますインクルーシブ教育とつながってくるかと思いますが、実際のところ、インクルーシブ教育にたどり着けない日本の教育、特別支援教育があることを危惧する声が、特別支援学校をヒアリング調査に行きますと聞こえてまいります。私の認識では、1994年、スペインのサラマンカで国連、ユネスコが障害児の教育というものを担保することに関してインクルーシブ教育と発表し、日本もそれにサインをして帰ってきました。それからもう20年以上がたっておりますが、健常児と障害児の教育というのはまだまだ離れたものでございます。これをなるべく通級も含めて障害種別、また、障害の度合いにもよりますけれども、障害を持った子供たちも健常な児童生徒と一緒に学べるような環境が、本人たちが希望すればということもありますが、それが可能になるように話を進めていかなければなりません。しかし、これを見ましたところ、そのような発展段階にはまだないと思っています。その一つの要因として、どうしても障害児の教育というのは医療的ケア、医療措置というところで、健常なお子さんと勉強することが難しくなってくる課題がございます。ここで疑問が湧いてくるのが、文部科学省内だけで特別支援学校の議論を進めるのではなく、時には厚生労働省も含む医療的ケア、措置が特別支援教育にうまく取り組まれていることを議論しなくてはいけないのではないかと思うところです。このあたりは専門家だけで話し合うということも重要ではありますが、是非、現場の意識調査、すなわち質的調査というものをしっかりしていただき、それは保護者であり、また、教員であり、時には児童生徒本人たちの希望をも聞くことが重要ではないかと思います。
 教育においては、特別支援教育は歴史が浅くございます。歴史が浅い分、足りてないことがたくさんあると思います。確実にシステムを進めていくことは児童生徒の意欲向上、自己肯定感向上にもつながります。是非、多くの声を聞きながら、発展的に、そしてスピード感を持って進めていただきたいと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、八並委員、若江委員の順でお願いいたします。
【八並委員】  私の方から生徒指導やスクールカウンセラーの観点から、簡単な質問を。
 小学部・中学部学習指導要領の15ページ、16ページを開いていただいて、15ページの第5節、児童又は生徒の調和的な発達の支援というのがあります。これは今回の小学校、中学校でも総則の第4で発達の支援ということで新しく出ているわけです。そこの(1)の文言でちょっと質問です。これは第1回目でも御質問しました。今回、ガイダンスとカウンセリングの双方で子供たちの発達支援をすることとなっています。その定義で、集団の場面で必要な指導や援助がガイダンスだと。また、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うのがカウンセリングとなっています。通常、生徒指導や教育相談、あるいはスクールカウンセラーの観点からいうと、カウンセリングはどちらかというと援助サービスであって、指導だと断定されると違和感があるような気がします。そういう点で、質問は一人一人が抱える個別に対応した指導をカウンセリングと解釈していいか。つまり、援助がないわけですけれども。むしろ、ガイダンス後に指導・援助となっています。したがって、カウンセリングが指導だという解釈で、間違いないかというのが質問です。
 以上です。
【小川分科会長】 後でお願いします。
 それでは、若江委員。
【若江委員】 ありがとうございます。私は産業界の立場からの意見を述べさせていただきたいと思います。
 本日、改訂のポイントをお聞きして、もっとこういうことを広くみんなが知っていかなければならないということを痛感しました。産業界では、今、ダイバーシティ&インクルージョンはある意味義務化されていまして、多様性の受容です。多様性を認めるだけではなくて、それをどのように組み込んでいくかということが求められていて、法令化されることで企業にとっては義務化され、必然的に広がり、さらには、労基の指導もあって、ハンディーキャップを持つ人の就労支援も現段階は大企業が対象ですが具体的に何%という指標が提示されています。そうなると、企業側は自社の業務のどこで、どのように彼らの特性を活かすのか、先ほどもチェレンジドというお話がありましたけれども、緻密な仕事を得意とする人にその仕事を助けていただこうという、協働の考え方をベースにしていくと、日本の社会はもっともっと変わっていくことでしょう。指導要領の改訂のポイントで、今回は、自立と社会参加に向けた充実ということがうたわれていますし、一番下のパラダイムのところで、自立と社会参加に向けた教育の充実として、キャリア教育の充実を図ることと、文言としてはさらっと述べられているのですが、これを様々な社会に実業務から逆に考えて、特別支援教育につなげていくという、そんなアプローチも考えられるのではないかなと思いました。まさに特別支援の分野だからこそ、総合的な学習の意味があるでしょうし、プロジェクト型学習で社会の題材をテーマにICTを使ったりとか、多様な人との関わりをというようなことが、彼らの学習のよい機会になると同時に、生涯学習の視点からも全ての学びに必要になってくるのではないかなと強く感じました。
 以上でございます。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 今、5人の委員の方から御発言いただいたんですけれども、質問を含めて要望もありましたので、お答えできる範囲でお願いいたします。
【中村特別支援教育課長】 各先生の方から貴重な意見、どうもありがとうございます。
 まず、天笠先生の方からきちんと伝える方策、現場の先生方の受けとめ方、工夫をしっかりという意見を頂戴いたしました。このことについて、通常、趣旨徹底の講習会という形で開かせていただいているんですけれども、今回はそれに加え各都道府県とか市町村レベルからの講師派遣の要請も全て受けております。来てほしいというところには全て行くようにしております。そういう形を通じて、少しでも徹底していければなと思っています。それと、あと小中学校の学習指導要領の方の広報と同じような形で、また関係課と相談をしながら進めさせていただければなと思います。
 あと、竹中先生の方から情報関連機器、ICTの活用というのは非常に重要で、活用だけではなくて、これは本当に必要なんだというふうに熱く語れという御意見を頂戴しました。ポイントをまとめた資料の中にもそういう表記がありませんでしたので、これからそこに入れていきます。説明会のときには徹底して、また、これから解説書を出していきますので、その中でも活用方策についてはしっかり書き込んでいければと思っています。
 菊池先生の方からインクルーシブ教育についてのお話、文科省だけではなく厚労省との連携のお話等、頂戴しました。また、子供たちも含めた意識の調査の必要性というお話も頂戴したところでございます。我々、今年度からの事業として、切れ目ない支援体制の整備充実というのを一つ掲げさせていただいています。特別な支援を必要とする子供について、就学前から学齢期、社会参加までの切れ目のない支援体制をきちんと都道府県、市区町村でも作っていただきたいということで、ここは教育、福祉、医療、労働分野等の関係部局、関係機関が連携した体制を作っていただくために、3分の1の補助を今年度から出しております。そういう事業を活用しながら、きちんと広めていければなと思っています。そこで好事例が出れば、それらを取りまとめた上でガイドラインとして示していく予定にしております。
 次に、八並先生の方からカウンセリングは指導なのかというお話を16ページの記述を基にお話を頂戴したところでございます。ここについても、先ほど言いました解説書というのをこれから出します。そこの中で個別の会話とか面談、言葉がけを通して指導や援助を行うカウンセリング双方により、より分かりやすくここは解説していければなと考えております。
 また、若江先生の方から貴重なお話を頂戴しましたので、我々としてしっかり受けとめさせていただければと考えております。
 以上でございます。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 非常に短い時間でしたけれども、委員の方から貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。本当に時間が短くて残念ですけれども、これで議題2は終わらせていただきたいと思います。すみません。時間が差し迫っていますので、申し訳ありませんけれども、一応、12時を終了の時間にしておりましたけれども、多少延びることを御了承いただければと思います。
 それでは、次の議題3、高等学校の通信教育の質の確保・向上について、常盤木教育制度改革室長から説明をお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 皆様、資料3-1を御覧ください。このたび7月31日に取りまとめられました高等学校通信教育の質の確保・向上方策について、御報告申し上げます。このまとめは、関係の協力者会議におきまして、この初中分科会の委員でもございます荒瀬委員に座長をお務めいただき、取りまとめていただいたものでございます。今回は通信制高校について、幅広い観点からの実態把握を行い、それに基づく一層の改善方策を取りまとめいただいたものでございます。
 資料一番上でございます。通信制高等学校は244校、約18万人の生徒が学んでおります。勤労青年が減少し、現在は不登校や中途退学経験者、特別な支援を要する生徒等が数多く在籍しており、多様な課題を抱える生徒に対しまして社会的・職業的自立に向けた支援等を実施する役割を果たしております。そうした中、多くの通信制学校が「通学コース」を設置しております。ただ、この通学コースにも課題が存在している旨、本文に記載しているところでございます。また、広域通信制高等学校の約半数がサポート施設と提携をしておりますが、このサポート施設等との連携の中で不適切な学校運営につながっているケースが多々見られた状況でございます。
 その上で、目指すべき方向性として、ここにございます4つの方向性を掲げ、具体的にその下、12の施策について御提言を頂きました。すべての学校で共通的になすべきことといたしまして、高等学校通信教育の基幹的な部分でございます添削指導、面接指導等の充実、これにつきましてはガイドライン等を改訂することにより具体的な留意事項を規定すべきと御提言いただきました。また、「カリキュラム・マネジメント」の実現や「主体的・対話的で深い学び」の視点からの教育改善等について、今後、調査研究等によりましてモデルの構築や取組の推進を図るべきとの御提言を頂きました。また、7番以降でございますが、指導監督等の強化といたしまして、サテライト施設の積極的な把握といたしまして、面接指導実施施設について学則記載事項とするため文部科学省令を改正いたしまして、所轄庁が確実に把握できるようにすべき、8番目、所轄庁におきます指導監督体制の充実強化のため、指導監督マニュアルの策定、サテライト施設の情報集約等、このほか積極的な情報公開や学校評価の充実等につきましても御提言いただき、ガイドラインの改訂等によりまして具体的に対応してまいりたいと考えてございます。さらに、広域通信制高校に対する経常費補助の見直しといたしまして、違法・不適切な運営を行った広域通信制高校に対して減額の仕組みを導入することを御提言いただいております。最後に、高等学校通信教育に係る情報発信の充実についても御提言いただきました。
 文部科学省としては、今後、この審議のまとめによってお示しいただきました高等学校通信教育のあるべき姿を所轄庁や学校現場にしっかりと御理解いただくとともに、御提言いただいた施策を着実に実行してまいります。
 説明は以上です。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 時間もあまりありませんので、質問、意見については、1ないし2名に限定してお受けしたいと思います。
 吉田委員、よろしくお願いします。
【吉田委員】 すみません、時間がないところで。
 まず、一番気になるのが通学コースを設置し、通信制課程の在籍生徒の半数以上が利用しているということなのですが、そもそも論になるのですけれども、通学コースということは全日制等の通学とどこが違うのか。基本的に言えば、通信制高校というのは、もともとの法律がいまだに勤労青少年のための学校になっています。そして、さらには3年以上ということに変えられたことによって、ある意味、年限は変わらずに普通に高等学校は卒業できるというメリットもできました。ただし、そういう中で、面接指導の延長として始まったはずの通学コースが今、サテライト校等を利用しながら、実際の目的である高等学校の教育課程でない、例えば大学受験のため、東大、京大を目指すために通いましょうというような通信制高校ができていることも事実ですし、2ページにあるように、通学コースの費用だけで私立の全日制高等学校の平均的な授業料より高額である、さらにはその上にサテライトというか、サポート校に支払う額が大きいところもあります。そして、実際の運営の実態の中で、例えばの話、高額な費用に見合わない内容、つまり、スクーリングのときだけ先生が来ているとか、そして私がやはり何といっても言いたいのは教育課程自体が全く違います。そこにすごく嫌な表現なのですけれど、10ページに罰則的な発想で広域通信制高等学校に対する経常費補助の見直しで、違法・不適切な運営があった場合には不交付にする云々とあるわけですけれども、彼らにとっては九十何万、百何十万という授業料を取っている中で、6万円ぐらいの補助金は、変な話ですけれども、もらってない学校もございました。今、就学支援金ができたために初めて人数も把握できたという学校もあります。そういう部分を考えたときに、やはりここで一回、設置基準というか、通信制高校の在り方というもの自体の制度、教育課程、そして面接指導、この中でも面接指導も今、10分の6免除とかメディア利用すれば云々ということが出てきていまして、本来、例えば遠隔地での通信制の必要性、メディア教育の必要性というのはあるとは思います。ただ、この通信制高校がただ高等学校の卒業資格だけを与えるための学校になっている部分も一部あるのも事実ですし、やはり高等学校教育というものを我々、きちんと考えてやっていただきたい。
 それから、変な話ですけど、今、東京都などにおいては、通信制高校にも就学支援金プラス授業料軽減補助を全日制高校と同じだけ出すというような話も出てきています。そうすると、一般の全日制高校の設置基準とこの通信制の設置基準というもの、それで考えると、教員のことから学校の施設設備から、そういったもの全て含んでも全く違うものが公に認められるというような形になっていくということで、我々としてはやはりきちんと、この問題、実は15年前から文部科学省の方に申し上げていたにも関わらず、取り合っていただけなかったのがウィッツの問題で初めて取り上げられて、こういう結果が出ているということですので、是非、設置基準の見直しまではっきりさせていただきたいと願っています。
【小川分科会長】 事務局の方で何かございますか。
【常盤木教育制度改革室長】 御指摘ありがとうございます。
 今回の取りまとめ資料3-2の、例えば16ページに学校教育法に定める高等学校の目的、目標は全日制、定時制、そして通信制といった課程の区分に関わらず共通するものであると明記させていただいた上で、通信制であっても高等学校としての質をしっかりと確保することについて記載しているところでございます。具体的にお話しいただいた関係で申しますと、安易な面接指導時間の減免が行われることがないように御提言も頂いております。また、通学コースを開設する学校に対しまして、通学コースの問題点についても御指摘をいただいているところでございます。文科省としては、今後ともこの通信制高校の質の向上を図り、この提言に沿って改善策を講じてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、吉田委員をはじめといたしまして委員の皆様から引き続き御指導いただいて、更なる取組を進めてまいりたいと思っております。
【小川分科会長】 それでは、協力者会議の座長としてこの審議まとめを行った荒瀬委員から一言お願いいたしたいと思います。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。
 今、吉田先生がおっしゃいましたように、いろいろと課題があるということが今回、本当に明らかになってまいりました。ただ、今、常盤木さんがおっしゃったように、高等学校教育がこの形で行われているということです。15年前からとおっしゃったのが、それが遅きに失したという面もあるかもしれませんが、ただ、本当に大きな社会的問題になって、今回、具体的に今までいわば手つかずというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう状態だったのを何とかしていかなきゃいけないということで動き出したというのが事実です。それにしても、今回、委員の中からも通信制の高等学校教育というのが行われているということの理解が十分でないという指摘や心配が多くありました。例えば中学校から高校に進学する中で、この選択をする生徒たちにどれほど正確に内容が伝わっているのだろうかとか、あるいは高等学校で中途退学して通信制に行く子供たちに対してどんな指導が行われているんだろうかというと、本当によく分からないまま入って、結果的に困っているという生徒たちもたくさんいるようです。先ほど常盤木さんがおっしゃったとおりですけれども、これは高等学校教育であるわけですから、当然のことながら、全日制であれ、定時制であれ、通信制であれ、同じ教育が行われ、質が確保されなければならないというのは事実でありますので、その点について、文部科学省が非常に強くこれから推し進めていこうということをおっしゃっているということで、是非、そのことを先生、御理解いただければと思っております。
 それで皆さんにお願いなんですけれども、高等学校通信教育という教育機会が我が国にあることに是非関心を持っていただきたいと思います。さっき夜間中学の話が出ましたけれども、いわば通信制というのは夜間中学校に匹敵するような最後の高校教育のセーフティネットでもあります。それがいわば食い物にされていた面があるわけです。ただし、相当多くの学校で、とても情熱的に最後の守り手として、高校生の指導に当たってこられた先生方が、たくさんいらっしゃるのも事実ですから、是非、社会的認知をしていただいて、見守っていただくということでよろしくお願いしたいと思う次第です。
 以上です。
【小川分科会長】 まだまだ議論すべき内容をはらんでいる問題ですけれども、申し訳ございませんけれども、今日は時間もありませんので、今日はこういう審議のまとめの報告があったということで終わらせていただければと思います。
 あと、申し訳ありませんけれども、もう一つ、最後に重要な御報告が残っていますので、恐縮ですけれども、10分程度、会議を延長させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、議題4の高大接続改革の実施方針等について、滝波高校教育改革プロジェクトチーム・リーダーから御説明をお願いいたします。
【滝波高校教育改革プロジェクトチーム・リーダー】 それでは、時間も限られておりますので、私の方から要点のみになりますけれども、資料4について御説明させていただきます。
 御報告させていただきます内容は新テストなどに関する実施方針でございます。この内容は、5月16日に進捗状況の公表ということで公表の上で6月27日の前回のこの分科会に御報告をさせていただいたところでございます。5月に公表後、関係団体から御意見いただきますとともに、パブリックコメントなども行いました。これらの意見を踏まえ実施方針等を先月、7月13日に策定、公表いたしましたので、これらの新テストの実施方針等について、前回からの変更点を中心に御説明します。
 まず、1つ目が「高校生のための学びの基礎診断」の実施方針でございます。前回お示しした案から基本的な方向性それ自体の変更はございませんので、ポイントのみ御説明します。1ページ(1)の高等学校教育の部分を御覧ください。趣旨・目的は、高等学校における基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの確立に向けまして、高校生に求められる基礎学力の確実な習得とそれによる学習意欲の喚起を図るというものでございます。名称は、「高校生のための学びの基礎診断」といたしました。国の方で一定の要件を示して民間の試験等を認定するスキームを創設して、基礎学力の定着度合いについて、公的な質保障がされた多様な測定ツールの整備・活用を促進するということ。各高校などにおける活用を通じまして指導の充実を図りまして、PDCAサイクルの取組を促進するとしております。
 2ページには制度のイメージ図を添付してございます。
 3ページ以降の実施方針の中身のうち、前回御報告した点からの主な変更点のみ御説明いたします。3ページから4ページにかけまして、(2)の活用という項目を追記いたしました。各高等学校、あるいは設置者がそれぞれの実情に合った適切な測定ツールを選択して活用していくことを明記しております。
 6ページの(5)その他という項目を追記いたしました。ここにございますように、3年経過後を目途に実施状況の検証を行いまして、次期学習指導要領への対応を含めまして必要な措置を講じることとしております。それから、なお書きとして、大学入試、あるいは進学、就職等への活用をはじめとする結果の副次的な利用について認定制度の着実な定着を図りながら、更に検討することを明記しています。
 この実施方針の策定と軌を一にしまして、今日も御出席いただいております荒瀬委員を主査といたします有識者によるワーキンググループを設置いたしまして、議論をスタートしたところでございます。本年度中をめどに、民間の試験等を認定するための基準を策定いたしまして、平成30年度中の運用開始を目指したいと考えております。
 続きまして、大学入学者選抜に関してです。資料は7ページでございます。これについても、前回の御報告の点からの変更点を中心に御説明します。
 前回、御報告させていただいた実施方針の案におきまして、大学入学共通テストの英語につきまして、速やかに4技能の評価に移行するために共通テストの英語試験を平成32年度から実施しないとするA案と呼ばれるもの、それから制度の大幅な変更による受検者、高校、大学への影響を配慮する観点から、35年度までは共通テストの英語試験を継続して実施するというB案、この2つの案を示しまして関係団体に意見を求めたところでございます。その結果、英語の4技能を評価することについては、総論として賛同するというものが多い一方で、共通テストの英語試験を継続して実施すべきという御意見も多数頂いた結果となりました。こういう意見を踏まえまして、共通テストの英語試験につきましては、制度の大幅な変更による受検者、高校、大学への影響を考慮する必要があると考えまして、認定試験の実施、活用の状況などを検証しながら、平成35年度までは実施をしていく。各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することを可能とすることとしております。また、英語の4技能の評価が早期に多くの大学で実施されることが望ましいことから、各大学は認定試験の活用、あるいは個別試験による英語4技能を総合的に評価するよう努めるものとしてございます。文部科学省としましては、大学受検者全体に対する検定料の抑制に加えまして、低所得者世帯の受検者等の検定料の抑制などの配慮を各試験実施団体に求めますとともに、共通テストの受験料の在り方につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。こういった内容について、実施方針として明記をさせていただいたところでございます。
 それから、もう一つ、記述式の導入に関してでございます。これは基本的に前回御報告した案からの変更はございません。具体的には、記述式問題をセンターが作問、出題、採点をして、採点については民間事業者を活用するということ。具体的な出題のイメージとして、国語については80から120字程度の問題を含めて3問程度、数学については数式、問題解決の方略などを問う問題を3問程度、想定しております。その上で36年度から地歴、公民の分野、あるいは理科の分野でも記述式を導入する方向で検討を行うこととしております。引き続き今回の実施方針に沿ってプレテストを実施していくなど、着実に準備を進めていきたいと考えております。
 それから、16ページ、大学入学者選抜のルールでございます。これについても前回の案から内容に大きな変更はございません。前回、御説明申し上げましたとおり、AO、推薦入試でも学力の3要素の評価をしっかり求めていくということ。それから、本来の趣旨に沿った丁寧な選抜を実施する。高校教育への影響も考慮して、出願時期、合格発表の時期の設定を行っていくことを考えております。この大学入学共通テスト、それから新たなルールに基づいた個別の選抜については、平成32年度から実施ができますように、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 説明は以上でございます。
【小川分科会長】 はい、ありがとうございました。
 一、二、質問、御意見を受けたいと思います。
 吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】 たびたびすみません。前回の分科会でも言わせていただきましたけれども、7ページの英語4技能の件でございますけれども、各大学の判断で活用と言いつつ、高3時の2回までと。この具体につきましては、10ページに英語の4技能評価ということで7番として出ているわけですが、ここで真ん中辺に認定試験を活用する場合は、受検者の負担に配慮して、できるだけ多くの種類の認定試験を対象として活用するよう各大学に求めると。ただ、○3でセンターは、受検者の負担、高等学校教育への影響等を考慮し、高校3年の4月~12月の間の2回までの試験結果を各大学に送付することとなっています。この試験のことで私がお願いしたいのは、このCEFRの表に載っているところの例えば英検とかケンブリッジ英検は一生資格です。そして、その他のTOEFLやIELTS、それからTEAP等は2年間、有効期間があります。生徒の方の費用の負担云々を考えた場合に、2年次に取ったものがどうして認められないのか。それから、もっと考えれば、中学3年生で帰国生でもう英検準1級持っているなどという子、たくさんいます。それがだめで高校3年生の4月から12月のピンポイントとなったときに、もしそのとき、体調が悪かったり、それから試験の種類によっては、毎回、試験の傾向が違います。本人が得意な分野と不得意な分野というのがあります。そうすると、実際に持っている資格より点数の低いものでセンターに出さなくてはいけなくなるという不公平感というのも逆にあるのではないかということを私どもは散々申し上げているのですけれども、どうしてもこの2回。ですから、32年の前、つまり、31年の入試までは今現在、実際に4技能試験を採用している大学はその資格がある高校2年生から、それから若しくは生涯資格であるものであれば中学から持っているものを認めて入試を受けさせていただいているのですけれども、32年からの子は受けられなくなるということは私は逆に不公平ではないかなと。そういう意味で、是非、ここは訂正をしていただきたいということを前回も申し上げましたし、今回も強く申し上げたい。
 それから、35年からのことについては、私は本来、我々、私立の方は別に32年からでも構わないよという案でございましたけれども、各事情により35年まで検討するということですから、これに異論は唱えませんけれども、何しろ、試験機会について、子供たちに不公平感を与えないでいただきたい、それだけお願いします。
【小川分科会長】 委員の発言が、全部終わってから事務局の方から御回答をお願いします。
 市川委員、お願いします。
【市川委員】 この高大接続改革の大枠なんですけれども、やはりここに書いてあるように、高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の一体改革なんだろうと思うのですが、どうも最近出てくる話が大学入学者選抜が変わりますよ、だから高等学校も何とかそれに対応しなくてはという形で、じゃあ、アクティブ・ラーニングを入れようとか、そういう動きになっているというのは私はちょっと気になるんですね。確かに大学入学者選抜は、変わるかもしれませんが、入試センターの試験が変わっても、いわゆる有力大学と言われているところが二次試験をどう変えるのかという気配があまり見られない。本当にどれだけ変わるのか。
  そこで、入学者選抜が変わるから高等学校の教育も変えてくださいというよりは、私はやっぱり大学教育そのものが変わっていくのだということをもっと大学側は打ち出した方がいいと思っています。私が見る限りでも、先ほど入試をもしかしたら変えないかもしれない有力大学でも、大学教育の中身そのものは次第に変わってきています。まず、アクティブ・ラーニング的なことをもっと入れていこうというのは大学教育の中で随分言われていますし、更に評価を厳格化する。つい最近、京都大学に集中講義に行ったんですが、GPA制度が入ってきて、昔のように真面目に出ていれば、みんな優がもらえるというようなものではなくなっているんですね。きちんと評価をして、それから学生ごとに大学に入ってからの成績が平均点でどれぐらいになっているということをきちんと評価するというふうに大学も変わっています。その大学教育に適応しようとすると、やっぱり高校の頃からアクティブ・ラーニングであるとか、学力の3要素的なことをしっかりやってきていただきたいと、大学側もそういうメッセージを送るべきだと思いますし、入試が変わるからそれに向けて頑張ってくださいという言い方にどうもなりがちなところはちょっと引っかかっています。是非、1、2、3と高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜と3つあるのですから、下の(1)、(2)に続いて(3)、もしかしてあるのかもしれませんが、大学教育がこう変わるのだと、それに対応できるような高等学校教育にということを打ち出してほしいと思います。
【小川分科会長】 最後、善本委員、どうぞ。
【善本委員】 ありがとうございます。
 高等学校の現場でこの改革について、細部の疑問はたくさんありますが、割愛いたします。専門の所掌、分科会、部会等で十分話し合われていると思いますので、是非、現場の声には耳を傾けていただきたいと思いますが、今回の改革の考え方の目玉の一つである主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度について、それをはかるための手段が本人の書いたものと調査書、それ以外の知恵は出ていないんじゃないかなと思います。これが一番、目玉であるはずなんですけれども、入試の方では思考力、判断力、表現力ははかりますと。主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度は受験生本人の書くものと調査書でと。もう少し英知が出せるものではないかなということが一つと、多様な人々と協働して学ぶ態度をはかるという以上は、大学の学習の現場がそのようなものになっていく必要が当然あるわけで、そのために何ができるかということをもう少し考えるべきじゃないかなと思います。例えば東京大学では女子学生の比率を2020年までに30%に上げるという目標を何年も前から持っていらっしゃいますが、全く達成の見込みはありません、今のままでは。そういったことも含めて、ここに書かれている理念の部分がきちんと実行されるためのアイデアが、もう実施方針等まで来ていますから具体的な話になって、私ども、高等学校の現場ではこれに向けてどうしようという話に非常に追われているんですけれども、そこの理念の部分がとても大事だと思うので、そこをもう一回、しっかりということをいつも考えています。
 以上です。ありがとうございました。
【小川分科会長】 事務局の方から時間がありませんけれども、よろしくお願いいたします。
【山田大学入試室長】 大学入試室長と山田と申します。
 大変重要な御指摘を三先生から頂きました。
 まず、吉田先生から頂戴した御意見でございますけれども、学生の負担という面から大変重要な観点だと思います。学生の負担が過度にならないように、どういった運用が今後可能になるのかということを関係の高校団体等も含めて御意見を頂戴しながら検討を進めてまいりたいと思いますけれども、一方で大学入試というのは大学のものであって、なるべく大学としては直近の英語力が知りたいというニーズもまたありますので、そこも含めて、どういった運用が可能か相談をさせていただきながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、市川先生から頂戴いたしました点も全くおっしゃるとおりだと思います。高校改革、今、学習指導要領の検討を進めているところでございますけれども、その改革と先ほど話に出ました3つのポリシー、大学のカリキュラムとディプロマとアドミッションの3つのポリシーの改革を今、進めています。認証評価の改革も進めております。そういった大学改革、高校改革も一体となって、今の先生の御指摘も踏まえて進めていく必要があると考えております。
 最後、善本先生から頂戴いたしました点も、主体性を見る上で調査書、また、本人が書く書類、大変重要なものだと思っております。我々もそのほかの予算的な対応としてどういった形でそういったものがはかれるのか、ICTも活用しながら、今、調査を進めているところでございますけれども、そういったものも活用して、よりいろいろな方法ではかることができるような取組を進めていきたいと思っておりますし、大学も今、様々、大学改革の議論を進めておりますけれども、その中で御指摘を踏まえて検討していきたいと思っております。
【小川分科会長】 ありがとうございました。
 もう15分も過ぎてしまいましたので、この辺にしたいと思います。
 最後に、次回以降の予定について、事務局からお願いいたします。
【常盤木教育制度改革室長】 次回以降の日程につきましては追って御連絡申し上げます。
 本日の資料につきましては、机上にお残しいただければ郵送させていただきます。よろしくお願います。
【小川分科会長】 それでは、本日予定した議題は全て終わりましたので、これで終了いたします。
 ありがとうございました。

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