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学校教育は、すべての国民に対して、その一生を通ずる人間形成の基礎として必要なものを共通に修得させるとともに、個人の特性の分化に応じて豊かな個性と社会性の発達を助長する、もっとも組織的・計画的な教育の制度であり、国民教育として普遍的な性格をもち、他の領域では期待できない教育条件と専門的な指導能力を必要とする教育を担当するものである。
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初等・中等教育は、人間の一生を通じての成長と発達の基礎づくりとして、国民の教育として不可欠なものを共通に修得させるとともに、豊かな個性を伸ばすことを重視しなければならない。そのためには、人間の発達過程に応じた学校体系において、精選された教育内容を人間の発達段階に応じ、また、個人の特性に応じた教育方法によって、指導できるように改善されなければならない。
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公教育の内容・程度について水準の維持向上をはかり、教育の機会均等を徹底し、国民的要請に即応して学校教育の普及充実に努めることは政府の任務であって、そのためには広く国民の理解と支持を得て、長期にわたる見通しのもとに計画的に適切な施策の推進をはからなければならない。
【中教審答申「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」S46.6】
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これからの義務教育は一人一人の能力・適性、興味・関心等に応じた柔軟な教育であることが求められる。特に、中学校段階は、小学校段階と比べ、個人の能力・適性などの分化が一層進展するとともに、内面的な成熟へと進む青年前期に当たっている。中学校教育の在り方はそのような心身発達の特徴に対応した中等教育の視点からとらえ直す必要がある。
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今日、わが国では、中学校卒業生のほとんどの者が高等学校へ進学し、専修学校等への進学者を含めると、当該年齢層のほとんどすべての者が中学校卒業後も引き続き何らかの学習活動を行っている実態にある。このような状況は生涯教育の機会の拡充が図られていく動きの中で、今後とも続いていくものと思われる。そうであるとすれば、今や義務教育において教育内容の完結性を求めることの意味は変化しており、義務教育の在り方はこの視点からも見直しを要する。
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これからの義務教育では、基礎的・基本的な知識・技能を確実に修得させることとともに、一人一人の能力・適性、興味・関心等に応じた教育を行い、自ら学ぶ力や創造的な能力などを育成することが必要である。
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なお、義務教育については、一律の就学強制ということ自体について疑義が出され、場合によっては就学を強制しないなどもっと柔軟なものにしたらどうかとの意見や、情報化社会の進展、生涯教育の普及などによって学習の機会や方法が多様にかつ豊富に用意されていく状況からみて、義務教育の役割を縮小すべきではないかという意見がある。しかし、この点については義務教育制度の本質にかかわる問題があるので、慎重に検討する必要がある。
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我が国の初等教育は、児童期の子どもに対して、将来、社会生活を営む上で、共通に必要とされる知識・技能や態度、さらには、国民としての意識や個人の人格形成の基礎を培う学校段階として位置付けられている。
【中教審経過報告「教育内容等小委員会審議経過報告」S58.11】
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学校の目指す教育としては、(a)[生きる力]の育成を基本とし、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、子供たちが、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指す。そして、知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性とたくましい体を育んでいく。(b)生涯学習社会を見据えつつ、学校で全ての教育を完結するという考え方を採らずに、自ら学び、自ら考える力などの[生きる力]という生涯学習の基礎的な質の育成を重視する。
【中教審答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)」H8.7】
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生涯にわたる豊かなスポーツライフ及び健康の保持増進の基礎を培う。
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児童生徒の発達段階に応じて運動を一層選択して履修することや基礎的な体力の向上を図る。
【中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」H10.7】
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高等学校段階までの初等中等教育は、人間として、また、家族の一員、社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得した上で、生徒が各自の興味・関心、能力・適性、進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得し、その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成することを役割としている。
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小学校教育段階及び中学校教育段階
社会的自立に向けて、人間として、また、家族の一員、社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を着実に学習し定着させる。
a. |
小学校教育段階では日常生活に必要な各般の能力を養うことにより、社会生活を営むため必要な資質・能力の基礎を身に付けるとともに、自分の個性を発見する素地を育てる。
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b. |
中学校教育段階では社会的自立のために必要な資質・能力の育成を図るとともに、生徒の興味・関心、能力・適性等の多様化に対応して、選択による学習を行う。
特に進学や職業選択の準備のため、自らの生き方を考えて行動する能力や態度及び主体的に進路を選択する能力を身に付けるとともに、その後の学習や職業生活を通じて一層伸張されるべき自己の個性を見いだしておくことが重要である。
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義務教育の役割は、人間として、また、家族の一員、社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得させるための教育について、国民の誰もがこれを等しく享受し得るように制度的に保証すること。
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初等中等教育の役割は、人間として、また、家族の一員・社会の一員として、更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得した上で生徒が各自の興味・関心、能力・適性、進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得し、その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成すること。
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初等中等教育においては、個人として国家・社会の一員として社会生活を営む上で必要な基礎・基本の習得を一層徹底するとともに、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることが肝要
【中教審答申「初等中等教育と高等教育の接続の改善について」H11.12】
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古典や歴史なども含めた文化・芸術や、様々なスポーツ等を体験させ、豊かな感性や、たくましく生きるための体力や精神力など、知・徳・体の調和の取れた人格を育てることが重要である。
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学校教育全体にわたる道徳教育を充実し、人間として生きて行く上で必要な基本的態度や情緒を育てる必要がある。
【中教審答申「新しい時代における教養教育の在り方について」H14.2】
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これからの学校教育においては、一人一人の個性に応じて、基礎的・基本的な知識・技能や学ぶ意欲をしっかりと身に付けさせるとともに、道徳や芸術など情操を豊かにする教育や、健やかな体をはぐくむ教育を行い、これらによりその能力を最大限に伸ばしていくことが重要であり、その視点を明確にする。その際には、グローバル化や情報化、地球環境問題への対応など、時代や社会の変化に的確に対応したものとなることが重要である。
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義務教育は、近代国家における基本的な教育制度として憲法に基づき設けられている制度であり、普通教育が民主国家の存立のために必要であるという国家・社会の要請とともに、親が本来有している子を教育すべき義務を国として全うさせるために設けられているものである。このように、国民に教育を受けさせる義務を課す一方、国及び地方公共団体は共同して良質の教育を保障する責任を有しており、義務教育の充実を図っていく必要がある。
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教育の目的を実現する上で、今後とも学校教育は中心的な役割を果たすことが期待されている。特に、今後の学校には、基礎・基本の徹底を通じて生涯にわたる学習の基盤をつくり、共同生活を通じて社会性を身に付けていくこととともに、社会人の再教育など多様なニーズに対応した学習機会の充実を図ることが強く求められている。
【中教審答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」H15.3】
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これから未曾有の激しい変化が予想される社会においては、一人一人が困難な状況に立ち向かうことが求められるが、そのために教育は、個性を発揮し、主体的・創造的に生き、未来を切り拓くたくましい人間の育成を目指し、直面する課題を乗り越えて生涯にわたり学び続ける力をはぐくむことが必要である。このために子どもたちに求められる学力としての[確かな学力]とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力等までを含めたものであり、これを個性を生かす教育の中ではぐくむことが肝要である。
【中教審答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」H15.10】
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とくに小学校段階においては、その後の学校生活、社会生活において必要とされる読・書・算の基礎を確実に修得させることや、基本的な生活習慣の形成・定着、ひろい心や自由・自律と公共の精神、社会性などの徳性と豊かな情操の涵養を図ることが必要である。
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中学校教育については、基礎的・共通的な内容をより深く修得させながら、個々の生徒の個性に応じた教育の推進について配慮しなければならない。したがって、生徒の能力・適性の把握、進路に関する意識の確立に資する観点から、高等学校教育との関連にも留意して、選択教科の種類と時間数を拡大する。
【臨教審「教育改革に関する第二次答申」S61.4】
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初等中等教育は、生涯学習の基礎となるものであり、人間形成の基礎として必要な資質を養うとともに、豊かな個性や社会性を培うための基礎的・基本的事項を修得させ、真の学力とすこやかな体、ひろい心、さらに、自らが主体的に学習する意思・態度を育てるという重要な役割を担っている。
【臨教審「教育改革に関する第四次答申」S62.8】
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学校は、子どもの社会的自律を促す場であり、社会性の育成を重視し、自由と規律のバランスの回復を図ることが重要である。
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小学校に「道徳」、中学校に「人間科」、高校に「人生科」などの教科を設け、専門の教師や人生経験豊かな社会人が教えられるようにする。そこでは、死とは何か、生とは何かを含め、人間として生きていくうえでの基本の型を教え、自らの人生を切り拓く高い精神と志を持たせる。
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学校教育においては、伝統や文化を尊重するとともに、古典、哲学、歴史などの学習を重視する。また、音楽、美術、演劇などの芸術・文化活動、体育活動を教育の大きな柱に位置付ける。
【国民会議報告「教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案−」H12.12】
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広義の教育における国の役割は二つある。一つは、主権者や社会の構成員として生活していく上で必要な知識や能力を身につけることを義務づけるものであり、もう一つは、自由な個人が自己実現の手段を身につけることへのサービスである。つまり、「義務として強制する教育」と「サービスとして行う教育」である。
現在の日本の教育では、この二つの教育が混同され、授業内容についていけない子どもには過大な負担を与えながら、それを消化してより広く好奇心を満たしたい子どもには足踏みを強いる結果を招いている。そこで、21世紀にあっては、これまで混同されてきた二つの教育を峻別し、「義務としての教育」は最小限のものとして厳正かつ強力に行う一方、「サービスとしての教育」は市場の役割にゆだね、国はあくまでも間接的な支援を行うことにすべきである。
例えば、初等中等教育では、教育の内容を精選して現在の5分の3程度まで圧縮し、週3日 を「義務としての教育」にあて、残りの2日は、「義務としての教育」の修得が十分でない子どもには補習をし、修得した子どもには、学術、芸術、スポーツなどの教養、専門的な職業教育などを自由に選ばせ、国が給付するクーポンで、学校でもそれ以外の民間の機関でも履修できるようにすることが考えられる。
【「21世紀日本の構想」懇談会報告書「日本のフロンティアは日本の中にある」H12.1】
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学校の役割は 地域コミュニティの中核としての役割 子どもに市民となるための基礎・規律を習得させる役割
【青少年問題審議会答申「「戦後」を越えて−青少年の自立と大人の責任−」H11.7】
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与えられた知識だけに頼るのではなく、ものごとの本質をつかみ、課題を設定し、自ら行動することによってその課題を解決していける人材を育成することが急がれる。また、教養を備えた各界におけるリーダーの養成も必要である。
【日本経団連提言「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言」H16.4】
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初等中等教育段階の学校の基本的な役割は、将来一人前の社会人として生きていくために最低限必要な「基礎学力と社会ルール」を、子どもたちがしっかりと習得できるようにすることである。そのうえで、これからの学校には、子どもたちがそれぞれ好きなことや得意なことを見つけ、自らの個性を自覚し、それをもとに自分の将来について考えていくための手助けをしてほしい。
【経済同友会提言「学校と企業の一層の相互交流を目指して」H13.4】
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高校卒業時までに、社会人としての力を身に付けることを教育の目標として、明確に掲げる必要がある。現在でも「生きる力」という言葉が大まかにその方向を指し示してはいるが、具体的な項目や育成方法まで整備されているとは言い難い。義務教育修了時には、生きていくために必要な、「確かな基礎学力と社会ルール」を身に付け、その上に多様な個性、発想力、創造力を発揮できるためのプログラムを創っていくことが必要である。特に、個々人の違いや多様性を認めた上で、自ら自分の価値や存在意義を発見し、「なぜ学ぶのか」「なぜ働くのか」「自分は一体何がしたいのか」といったことを突き詰めて、深く考えさせる教育の場を用意する必要がある。そのためには、予め答えがあることを前提として、選択肢の中から答えを選ばせるような問題形式を改め、答えを自分で書かせるものに改めていく必要がある。
【経済同友会提言「若者が自立できる日本へ」H15.4】
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21世紀の学校教育の最終的な目標
日本という国、日本に住む一人ひとりが、世界の多様な文化や歴史に目をひらき、理解し、受け入れること。 それができる「個人」の意識・能力・倫理をうみ育てていくこと。このふたつのことが、21世紀の学校教育の最終的な目標となろう。
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グローバライゼーションの時代の、教育の基本目標
「社会性」の形成…… |
社会性《互いによく知らない人々(市民)が集まっても、きちんと社会を運営していける能力》は、単に知識として教えるだけでなく、学校生活全体のなかで、教育の制度、仕組みや学校文化を通して、日常的に体得していくべきものである。
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「知/技能」の形成… |
将来役に立つ知識や技能の教授は、学校教育の基本的な課題である。しかし、近代の学校教育は、同時に、巨大な制度や共同性の権威に「従順に従属する人間」を作り出す傾向があった。これからの教育は、子どもたちを自由な主体とし、一人ひとりの個人としての尊厳を守るようなシステムを形成しなければならない。
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「表現力」の形成…… |
自分の考えていることや、意図や感情を、正確に、効果的に表現する能力を形成することは、もっとも重要な教育の目標である。また、会話や討論、交渉の能力、文書表現やデザインの能力、美的な感受性、礼儀やマナー、公共的なことがらに対する配慮など、他者とかかわる社会的な「表現の様式」を培うことも必要である。
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小中学校は「基礎教育」と位置づける
小中学校は「基礎教育」、すなわち、《人間が人間らしく生きていく、市民生活の基礎を築く教育の場》と考え、これまでどおり公教育のかたちで行なう。学校に通い、授業に出席すれば卒業資格が得られる。小中学校をもっと自由に設置できるようにして、親の選択の幅を広げる。
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高等学校は「基本教育」と位置づける
高等学校は、「基本教育」、すなわち、《日本社会の産業・経済・制度・科学技術・文化の基本学力を与える教育》と考え、これまでの教育形態に加えて、「高等学校学力検定試験(高検)」を実施する。親の義務は、「子どもを小中学校に通わせて卒業させること、または高検をパスさせること」である。
【社会経済生産性本部「選択・責任・連帯の教育改革〜学校の機能回復をめざして〜」H11.7】
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子どもの「生きる力」と社会性を育む
18歳までに、社会人としての「自立した個人」を確立することを学校教育の目標とする。
そのため、学校で基礎学力を重視した教育を進めるとともに、総合学習や地域・社会との関わりを重視した体験活動等を通じて学ぶ意欲を高め、「生きる力」を育み、集団や社会のルールづくりを学ぶことを重視する。そして、そのことを通じて職業生活や市民生活に円滑に移行できる学校教育に結びつける。
【日本労働組合総連合会「教育が未来を創る:連合・教育改革12の提言」H14.12】
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