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6. 諸外国の義務教育制度の概要

  アメリカ (カリフォルニア州) イギリス フランス ドイツ 韓国
義務教育制度全般 根拠法 連邦法、州教育法 教育法(1944年) 1989年法(教育基本法といわれるジョスパン法) 各州憲法、各州学校法 憲法、教育基本法(1948年)
義務(権利)の在り方 6〜18歳までの子どもの義務教育に参加する権利、義務。 保護者の教育を受けさせる義務(ただし、就学義務ではない)。 国の同一年齢人口の全ての者に対して一定の到達水準の教育を提供する義務(ただし、就学義務ではない)。 子どもの一般的就学義務、保護者の就学させる義務。 子どもの教育を受ける権利、保護者の教育を受けさせる義務。
保護者の権利 子どもの教育に関する様々な選択に参加できる権利。 伝統的に子どもの教育全般。 就学、家庭教育の選択の権利。 子どもの訓育・教育を決定する自然権。 子どもの教育について、国と保護者は同等の権利を持つ。 教育を受けさせる権利。
就学年齢・期間 6歳〜18歳 5歳の誕生日〜16歳(16歳の誕生日から離学が可能)。 6歳〜16歳 6歳〜15歳(一部の州は16歳) 6歳〜15歳
就学の際の学校選択 どの学区にある学校でも選択可能(実際は児童の住居に最も近い学校区が指定される)。
マグネットスクールやチャータースクールは学区に関係なく、公募によって入学希望者を募る。
どの学区にある学校でも選択可能(希望者多数の場合は学校による選択)。 学区によって就学すべき学校が決められている。
他の学区の学校への就学を希望する場合、保護者がその交渉・手続きを行う。
学区によって就学すべき学校が決められているが、保護者の希望により変更は可能。 学区によって就学すべき学校が決められている。
有償・無償 基本的に無償。 基本的に無償。 給食費、遠足費などは有償。
一部教材費の徴集も認められている。
基本的に無償。
給食費、旅行(強制参加ではないもの)は有償。
公立学校は高等教育まで無償。 私立学校は有償だが、公費補助の比率が高い。 小学校は有償。中学校は私立も無償。
義務教育制度の対象となる学校の範囲 公立学校。 私立学校、ホームスクーリング等は「就学義務免除」の扱い。 地方教育当局が維持・供給するコミュニティスクール。
公費援助を受けている宗教団体立学校。
ファンデーションスクール。
インディペンデントスクール(私立学校)。
公立・私立の教育機関。
また、市町村と大学区視学官の検査を受けて合格すれば、ホームスクーリングも認められている。
公立学校及び認可された私立学校。 ホームスクーリングは特段の理由がない限り認められていない。 国立、公立学校及び地方教育当局の認可を受けた私立学校。
学校の管理・運営 裁量権者 学区及び行政区の教育長 理事会・管理運営委員会(理事会は学校、行政、教員、保護者、生徒の代表で構成) 管理委員会(管理委員会は校長、行政、教職員、生徒や保護者の代表で構成) 法制上は校長だが、人事等の事務面及び内容に関する助言は州の学務局が行う。 校長
校長の裁量権 教員の採用やクラス編成、カリキュラムの実際上の運用など ほとんどない。 事務・職員管理。 事務。 学校運営、教員の採用など。
運営体制 学区及び行政区の教育長の監督の下に校長が運営。 管理運営委員会の議決に基づいて校長らが日常の管理。 管理委員会。
校長は管理委員会の議決事項の執行機関。
学校管理者、教員、保護者、生徒の代表で構成される最高決定機関である「会議」の設置が法定化されているが、形式化しているとの批判もある。 基本的に校長が行うが、保護者、教員、地域の代表で構成される学校運営委員会が全ての学校で設置され、運営に参画している(一部では形式化している)。
評価システム 州法に基づいて外部評価、ランク付けがなされる。
改善がみられない場合は州の仲裁を受ける。
国によって4年に1度行われる。 公的な評価はない。
各学校において独自性を打ち出し、アピールしている。
一部の州で各学校ごとの定期的自己評価を義務付けている。 国の委託した民間機関によって2年に1度行われる。
公的機関からの援助 国や州から交付された補助金を行政区・学区で配分。
使途は厳しく限定。
国から交付された補助金を行政区で配分。 国が定めたカリキュラムを行う学校には公立・私立を問わず交付。 地方公共団体から交付される。 国から交付される。
私立学校の扱い 宗教系の学校が大半を占める。
国からの援助はなされない。
中央政府に登録したものが学校として認められる。 国のカリキュラムを実施する学校には国から援助がなされる。 公立学校を代替する学校は州政府の認可が必要。
補完する学校の場合は届出のみ。
公立学校と同じ扱い。
その他 到達目標・評価方法 絶対評価。
結果を公表する州統一テストも行われている(全国的な制度はない)。
ナショナルカリキュラムによる到達目標の明確化とテストによる絶対評価に加えて、教師の記録による相対評価も行われている。 絶対評価が一般的。
国全体で定まった形式はなく、学校単位の評価。
絶対評価が法定化されている。 絶対評価。 全国的な制度はない。
就学前教育との関係 義務ではないが、機会提供は州に対して義務付けられている。 義務ではないが、無償である。
近年重視されてきている。
義務ではないが、ほとんど全ての子どもが通っている。
国も多くの子どもに就学前教育を受けさせる方針。
義務ではない。
過半が私立であり、学校教育と保育は完全に分離されている。
義務ではないが、国の定めたカリキュラムを行う施設に多くの子どもが通っている。
高等教育との関係 義務教育修了資格だけで入学できる学校から、高いレベルの試験を課す大学まである。 大学は専門職養成機関として位置づけられているため、入学は厳しい。
また、職業教育も確立されている。
大学に入学するには国家資格を取得することが基本条件。
また、職業教育も確立されている。
大学に入学するには専門の教育機関(ギムナジウム)の卒業が基本条件。
若年からの職業教育が確立されている。
大学に入学するには高等学校の卒業が基本条件。 進学率は高い。

(出典)  「義務教育のあり方に関する国際調査報告書」(平成14年3月、財団法人日本総合研究所)


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