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資料1



関係団体からの中間報告に対する意見聴取の概要

本資料は関係団体からの提出資料及びヒアリング時の発言をもとに事務局の責任において作成したものです。


◎平成16年1月21日   第16回部会        全国高等学校PTA連合会
日本労働組合総連合会
全日本教職員組合
日本高等学校教職員組合
全日本教職員連盟
日本教職員組合

◎平成16年1月27日   第17回部会   全国連合小学校長会
全日本中学校長会
全国高等学校長協会
全国国公立幼稚園長会
全国市町村教育委員会連合会
経済同友会
日本私立小学校連合会
日本私立中学高等学校連合会
全日本私立幼稚園連合会

◎書面ヒアリング   全国都道府県教育長協議会
日本経済団体連合会
全国定時制通信制高等学校長会


(1) 学校の管理運営をめぐる課題と検討の基本的視点について

         教育改革は、経済活性化のために行うものではなく、子どもたちの健全な育成のために行うという観点を見失わないことが求められる。行き過ぎた市場原理の導入は公教育を危うくしかねない。(日本高等学校教職員組合)
     国の最低基準(ナショナルミニマム)が確保されるかどうかを常に念頭に置いて検討すべき。(全日本教職員連盟)
     これまでの学校教育の意義と役割とともに、これからの果たすべき学校教育の意義と役割についても展望し、考えを述べることが今後の学校の管理運営の在り方を検討する上で必要。(全国定時制通信制高等学校長会)
     義務教育学校が果たす役割を明らかにする必要がある。国民として必須の要件を満たすことを考えれば、安易さに流されるようなことになってはならない。(全国連合小学校長会)
     今日の急速な社会の変化に応じうる、多様で柔軟性に富む学校教育創出のために、学校の管理運営の在り方を視点として見直す意図は、基本的視点の一つとして妥当。(全国市町村教育委員会連合会)
     高等学校以下の公教育においては公立学校が大きな割合を占めており、その改革・改善・活性化等の行方は、公教育全体にも影響を及ぼすことにもなるため、その方策は、公立学校だけの視点にとどまらず、公教育全体を見据えたものでなくてはならない。(日本私立中学高等学校連合会)
     現在各学校で積極的に進めている取組などについての十分な評価と検証の上で、既存の制度運用に改善・充実により対応する部分と新しい制度導入などによる改革をすべき部分を明確に分けることが不可欠。(全国都道府県教育長協議会)

(2) 地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校運営の在り方について

〔導 入の意義について〕
   学校運営協議会の設置の前提となる地域ニーズをどのようにして把握すべきか、何をもって地域ニーズととらえるかなどについての検討が必要。(全国都道府県教育長協議会)
   子ども参加の観点がない。(全日本教職員組合)
   学校が地域社会との連携に一層努力し、学校に対する地域住民の理解と関心を高めていくことが必要。(全日本教職員連盟)
   「地域運営学校」のような一部に特別な学校をつくることは、該当する地域以外の学校との間で就学者の制限や閉鎖性をもたらす危険性を否定的できない。(日本教職員組合)
   高等学校に関しては、学区の広域化等により、小・中学校と異なり、「地域ニーズの広範な把握」が可能なのか疑問。(全国高等学校長協会)
   地域の教育力の向上が叫ばれる中、一定の権限と責任を持って、こうした期待に応えることができる地域がどれだけあるのか、どの地域においても可能なことであるのかなどについての現状分析が必要。(全国都道府県教育長協議会)

〔学 校評議員制度との関係について〕
   個人がどこかで教育に関する考え方を述べて、それを基に学校評議員に選ばれるような仕組みがあればよい。(全国高等学校PTA連合会)
   学校評議員制度は、現行ですでに十分定着しており、この制度の改善を図る前に学校協議会を新たに設けてしまうと学校に混乱を招くだけではないか。(全日本教職員連盟)(全国高等学校長協会)
   学校評議員制度に、学校運営協議会の趣旨を生かしていくことが重要。(全日本中学校長会)
   学校運営協議会は、現在の学校評議員制度の充実を図ることでも構想の趣旨は実現可能ではないか。また、制度化に当たっては、地域運営学校に指定する際の指定要件、学校運営協議会の役割、校長の権限の位置づけ、学校評価の在り方などについて明確にすることが必要であり、形だけ先行しても現場は混乱する。(日本労働組合総連合会)(全国連合小学校長会)(全国都道府県教育長協議会)

〔学 校運営協議会の役割について〕
   教育行政が学校教育に介入・干渉する危険性をはらむものとなっている。(全日本教職員組合)
   「学校運営協議会」の権限が肥大化されている。(全日本教職員組合)
   学校運営協議会と学校との権限の責任の所在を明確にし、教育委員会による不断の点検・評価、指導はもちろん、地域、PTA、教職員など学校関係者への説明責任を果たし、教育の中立性や公平性が今まで以上に担保されることが求められる。(日本高等学校教職員組合)
   地域住民の意見を聞くのはよいが、最終的な決定権限は校長が持つべきであると考える。(全日本教職員連盟)(全日本中学校長会)
   学校の自主性・自立性の確立や、そこに働く教職員の協力・協働、創意による学校運営をめざした「学校運営協議会」であることを明確にすべき。(日本教職員組合)
   保護者や地域住民等の学校運営協議会への参画については、委嘱状を発行して勤務先に提出するなど、参加しやすい現実的な仕組み・制度を整備する必要がある。(経済同友会)
   学校運営協議会がその役割を十分果たせる能力があるのかどうかといった協議会そのものの評価が必要。(全国定時制通信制高等学校長会)
   地域運営学校では、学校の運営に参画する住民有志の意識の公共性と健全性を如何に確保するかも難しく重要な問題である。(日本私立中学高等学校連合会)

〔校 長の裁量権の拡大について〕
   予算の裁量権は学校に十二分に下ろすべき。(日本教職員組合)
   校長の権限の拡大は、「地域運営学校」に限らず、すべての公立小学校で実施すべき。(全国連合小学校長会)
   学校の権限強化を提言しているが、「学校運営の最終的な責任者」たる校長としての専門スキルを見に付けるための研修等の機会を確保する必要がある。(経済同友会)
   学校運営協議会により、意思決定の遅延化が生じないように留意するとともに、校長と責任を共有する責任遂行能力があるのかという観点からも十分な議論が必要。(全国都道府県教育長協議会)

〔点 検・評価について〕
   第三者による評価委員会等を設置し、その評価を参考にすることについては、「第三者」の人選に偏りがないようにすべき。(全国連合小学校長会)(全国定時制通信制高等学校長会)
   教育委員会が不断に点検・評価する地域運営学校は、やはり教育行政が学校にくちばしを挟むものであると考える。学校運営協議会で審議すべき事項を教育委員会規則で定めたり、協議会委員の委嘱を教育委員会が行ったりすることは、結局、教育委員会の考えに沿って学校が運営されることになってしまう。(全日本教職員組合)
   実践研究校と同地域の学校の管理職や教職員及び地域の人々が実践校と比較して受け止めたよさや課題等についての意見等も併せて慎重に検討すべき。(全国連合小学校長会)
   好条件を付した地域運営学校での取組の成果を一般の公立学校に広げていく方策について検討する必要がある。(全日本中学校長会)
   地域運営学校や公設民営学校について、ビジョンに対してどこまで実行できているが、ガバナンスは機能しているか等について、他校との比較が可能な第三者評価の仕組みづくりが必要。(経済同友会)

(3) 公立学校の管理運営の包括的な委託の在り方について

〔導 入の意義について〕
   保護者に、公立学校を民間や学校法人に委託してほしいという要求はほとんど存在しない。(全日本教職員組合)
   制度導入によるメリットは、福祉サービス的な地域・保護者のニーズと設置自治体の財政上のメリットが中心となるのではないか。 (全国国公立幼稚園長会)
   地域や保護者のニーズに応えることに重点を置いた幼稚園を目指すと、教育よりも福祉やサービスに偏った幼稚園となる可能性が大きい。(全国国公立幼稚園長会)
   特区において認める場合でも、効果が特に期待される場合に限定すべき。(全国国公立幼稚園長会)
   教育に失敗は許されない。特区への公設民営化への導入は、その成果の見極めがついてから、全国規模の規制緩和を進めることが適当。(日本高等学校教職員組合)
   課題や懸念が多く、構造改革特別区域制度を活用し実証的な研究を重ねることが先決。(全日本中学校長会)
   この制度導入は、公立高校自身の在り方を問うものであり、教育の機関均等と平等という戦後教育の根幹と後期中等教育に関わる問題であり、選択肢の拡大という単純な図式にはなり得ない。(日本教職員組合)
   学校間で教育サービスを競い、選択権を消費者である子どもたち(親)に与えることは、反面、選択されなかったサービスが膨大な無駄になり、公費の適正かつ効率的な使用という観点からも、現段階では、公立学校の教育には馴染まない部分が大きい。(日本私立中学高等学校連合会)
   規制改革の一連の流れの中で出てきた話だというのは理解できるが、この流れに乗りっぱなしでよいのか、親などの意見も聞くべきではないか。(日本労働組合総連合会)
   制度導入は、経済的視点のみで、子どもにとって望ましい教育(学校)という視点からの導入ではない。(全国国公立幼稚園長会)
   学校教育は、可塑に富む世代をその対象とする以上、そのしくみや内容の見直しに当たっては評価の定まった考え方や確かな事象を取り入れるべきであり、徒に時流に流されることのないよう対応は慎重でなければならない。(日本私立中学高等学校連合会)
   教育に係る制度は、その対象の多くが子どもたちであり、ほかの経済社会の制度のように、ただ、セーフティ・ネットが構築されれば「消費者」の安全性は確保されるというものではなく、事前の慎重な検討と極力失敗を回避する周到な準備が求められる。(日本私立中学高等学校連合会)

〔導 入の対象について〕
   高等学校の場合、一部難関大学合格学力養成に特化した学校出現の可能性もあるのか、公教育の面から説明者責任はどのように遂行され、委託や委託取り消しはスムーズに実施されうるのか、従来の公・私立学校とどう違い、財政その他の面で既存校とどうバランスをとるのか等が明確でなく、十分な議論が必要。(全国高等学校長協会)
   義務教育との違いから高等学校への公設民営化の導入を論じるだけでなく、学習指導要領や検定教科書なども含めて総合的に検討されるべき。(日本高等学校教職員組合)
   公立学校、特に義務教育は国及び教育委員会との責任において確実に保障されなければならない教育制度であることから、当該制度の対象としてなじまない。(全国市町村教育委員会連合会)

〔委 託先について〕
   委託基準の明確化、委託責任・リスク対応等のセーフティネットの整備、モニタリングの仕組み等を確立させれば、株式会社やNPOについても委託先とすることが可能なのではないか。(経済同友会)
   委託先を学校法人という形式で限定するのではなく、教育の質を向上させる担い手としての意欲やノウハウを有するか否かという点を重視すべき。(日本経済団体連合会)
   学校法人が教育委員会との関わりの中で管理運営することは、現実問題として無理があり、公立学校の運営を学校法人に委ねるとしてもまだ解決しなければならない問題が残されていると思われる。(日本私立小学校連合会)
   委託先として学校法人が適当であるとしているが、その場合、現在、地域で特色ある教育を行っている私立学校との違いを明確にすべきである。(全国都道府県教育長協議会)
   公教育の要件を担保しつつ、民間の主体が参入するための制度として学校法人制度があり、学校の設置主体としては、国、地方公共団体及び学校法人を基本とする中間報告の見解は、学校教育制度上相当である。(全国市町村教育委員会連合会)

〔点 検・評価について〕
   教育委員会の役割として「点検と評価」とあるが、指導主事等による日常の指導や教育課程の届出や報告事項等についても公立学校と同等の義務を課すようにすべきである。(全国国公立幼稚園長会)

(4) その他の検討課題について

〔学 校の設置主体について〕
   株式会社による学校設置については、多様化・複線化する教育制度のもとで、子どもの能力と家庭の文化水準や経済力による分類が行われる可能性が強まる。(日本教職員組合)
   多様な主体による学校の設置について、目標が達成できないときには、閉校すればいいという問題ではない。閉校により経営者の責任は問われることになるが、そこで学ぶ子どもたちの責任をとったことにはならない。(全国定時制通信制高等学校長会)

〔外 部資源の活用について〕
   ナショナルミニマムとしての制度整備が十分に行われていないにも関わらず、公の分野に対し「外部資源の活用」が安易に行われることには大きな問題がある。(日本教職員組合)
   外部資源の活用については、社会人や地域の力を生かす教育上の多面的協力として工夫されるべきものであり、学校や地方自治体が主体性をもって社会人の活用や地域との連携などをすすめる方向で考えていくべき。(日本教職員組合)
   学校外の活力の導入は歓迎し、積極的に行うことが必要。(全日本中学校長会)

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