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米国におけるチャータースクール制度の概要・現状等について


【チャータースクールの概要】
   チャータースクールとは、もともとは、従来の公立学校では十分な対応が期待できないような、学力不振をはじめとする様々な子どもの教育問題等に取組むため、保護者や教員、地域団体などが州や学区の認可(チャーター)を受けて設置する学校で、公費によって運営されている、いわゆる公設民営型の学校。
   チャータースクールは、州や学区が定める教育に関する法令・規則の多くについて、その適用が免除されており、通常の公立学校とは異なる方針・手法による教育の提供が可能。ただし、公費を用いて学校を運営していることから、成果(州統一テストの成績の向上等)をチャーター交付者等により定期的に評価され、一定の成果が挙がらなければ、是正措置が講じられ、さらにはチャーターが取り消される。
   なお、アメリカ合衆国では教育に関する責任・権限は州にあり、チャータースクールに関する制度も、州によって若干異なっている。


【チャータースクールの意義・目的】 
   チャータースクール設置の意義・目的は、制度創設当時からは多少変化しており、今回の調査において関係者が指摘した意義・目的として、以下のようなものが挙げられる。

1. 教育環境の改善・充実
小規模な学校の設置による教育環境の改善(特に、貧困地区に住む子どもやスペシャルニーズのある子どもに対して)
急激な児童生徒数増への対応      等

2. 教育内容の改善・充実
特色あるカリキュラムの実施
きめ細かい指導の実施
自由度の高いカリキュラム・教育方法による教育の実施
保護者の学校教育への参画機会の拡大
学校の保護者や地域に対する説明責任の強化      等

3. 制度的改善
人件費等を含め、弾力的な予算執行の実現
保護者及び児童生徒による学校選択の幅の拡大
学区教育委員会と教員組合間の労働協約体系からの離脱      等


【経緯】
   1991年、ミネソタ州でチャータースクールの設置を認める法律が成立。翌92年に同州で全米最初のチャータースクールが設置された。これに続き、92年にはカリフォルニア州で、93年にはコロラド州やジョージア州など6州で同様の法律が制定された。設置を認めた州の増加にともない、設置数も増大した。
   1997年の一般教書演説でクリントン大統領(当時)は、西暦2000年までにチャータースクールを全米で3,000校にまで増やすことを提言した。
   2001年に就任したブッシュ大統領も就任直後に発表した教育改革方針(No Child Left Behind)において、チャータースクールを支持することを明らかにした。


【設置・運営】

設置を認めている州……2003年1月時点で36州及びワシントンDC

設置数の制限……多くの州では設置数を制限
財政……経常費は学区が公費を配分。一般的に、施設・設備等にかかる経費はチャーター申請者が負担(ただし連邦政府等からの補助金有り)
チャーターの期限……多くの場合数年(5年程度)


【設置の現状】
設置状況…2,695校(2003年1月:全米の公立学校の約2%)
在学者数…約68万人(2003年1月:全米の公立学校在学者の約1%)
学校の規模……一般の公立学校に比較し小規模
教育プログラム……多様
在学者の特徴……個別の学校の人種構成をみると偏りがみられる学校が多い
設置形態…新設:約7割/公立からの転換:約2割/私立からの転換:約1割
チャータースクールの閉校状況……最近の調査では、2002年10月までに開校したチャータースクール2,790校のうち、約9.7%の学校が閉校もしくは他校に吸収されている(閉鎖194校、吸収77校、計271校)。




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