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資料3

私立学校審議会の在り方について


 1. 私立学校審議会の意義

   私立学校審議会は、私学の自主性を担保し、所轄庁の私立学校に対する行政の適正を期するため、私立学校の代表者を主な構成員(委員の4分の3以上)とし、学校新設の認可など一定の事項に関する諮問機関として各都道府県に置くこととされている。
   また、当該都道府県の区域内にある私立学校の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、これらの私立学校の総数の3分の2以上をもって組織されるものがあるときは、当該団体の推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならないとされている。

2. 私立学校審議会に関する指摘

私立学校審議会については、下記のような指摘がある。
1 私立学校審議会の委員の3/4以上が私立学校関係者から任命されており、新規の私立学校の参入を抑制的に審査する傾向があるのではないか。
2 上記の委員の構成比率等は法律(私立学校法)で定めているが、そのような例は少なく、地方分権の観点から、例えば公立学校関係との連携を深めるために公立学校関係者を委員として任命するなど、地域の実情にあわせた審議会の運営の支障になっているのではないか。

3. 対処方針(案)

   私学の自主性を担保し、所轄庁の私立学校に対する行政の適正を期するという私立学校審議会の意義・目的は引き続き重要であり、私立学校教育に精通した者などから構成される第三者機関として設置認可等に関与することは重要であるが、委員の構成等については当該地域の実情に応じて、公立学校関係者、保護者等を委員として任命することが可能なよう私立学校審議会の構成員の比率及び委員候補者の推薦に関する私立学校法の規定を削除することでよいか。

   私立学校審議会が参入規制になっているとの指摘については、私立学校審議会が過去5年間に小中高等学校の新設を否決した例はないが、地方公共団体が明確な基準を定めていないことなどから、そのような指摘が生じているとも考えられるため、文部科学省より、各都道府県に対し明確な基準の設定等及び審議の透明性の確保を要請していくこととすべきではないか。



○参考   私立学校法(私立学校審議会関係抜粋)


   (私立学校審議会等への諮問)
第八条    都道府県知事は、私立大学及び私立高等専門学校以外の私立学校について、第五条第一項各号に掲げる事項を行う場合においては、あらかじめ、私立学校審議会の意見を聴かなければならない。
   文部科学大臣は、私立大学又は私立高等専門学校について、第五条第一項第一号に掲げる事項のうち私立学校の廃止、設置者の変更若しくは収容定員に係る学則の変更の認可を行う場合又は同項第二号の閉鎖を命ずる場合においては、あらかじめ、学校教育法第六十条の二に規定する審議会等の意見を聴かなければならない。

   (私立学校審議会)
第九条    この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を審議させるため、都道府県に、私立学校審議会を置く
   私立学校審議会は、私立大学及び私立高等専門学校以外の私立学校並びに私立専修学校及び私立各種学校に関する重要事項について、都道府県知事に建議することができる。

   (委員)
第十条    私立学校審議会は、十人以上二十人以内において都道府県知事の定める員数の委員をもつて、組織する。
   委員は、次に掲げる者のうちから、都道府県知事が任命する。
   一    当該都道府県の区域内にある私立の小学校、中学校、高等学校若しくは中等教育学校の校長、私立幼稚園の園長、私立専修学校の校長、これらの学校若しくは専修学校の教員又はこれらの学校若しくは専修学校を設置する学校法人若しくは第六十四条第四項の法人の理事   
   二    学識経験のある者
   都道府県知事は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。
   都道府県知事は、第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数のうちの一人を、同号の規定にかかわらず、当該都道府県の区域内にある私立の盲学校、聾学校、養護学校若しくは各種学校の校長若しくは教員又はこれらの学校若しくは各種学校を設置する学校法人若しくは第六十四条第四項の法人の理事のうちから任命することができる。
   第二項第一号又は前項に規定する者のうちから任命される委員のうち、校長若しくは園長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。

   (委員候補者の推薦)
第十一条    都道府県知事は、前条第二項第一号に規定する者のうちから委員を任命する場合において、当該都道府県の区域内にある私立大学及び私立高等専門学校以外の私立学校の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体又は当該都道府県の区域内にある私立専修学校の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、これらの私立学校又は私立専修学校の総数の三分の二以上をもつて組織されるものがあるときは、それぞれ、当該団体の推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならない。ただし、当該団体は、その団体を組織するこれらの私立学校に在籍する児童、生徒及び幼児の数又はその団体を組織する私立専修学校に在籍する生徒の数が、それぞれ、当該都道府県の区域内にあるこれらの私立学校に在籍する児童、生徒及び幼児の総数又は当該都道府県の区域内にある私立専修学校に在籍する生徒の総数の三分の二を超えるものでなければならない。
   前項の規定により同項の団体が推薦する候補者の総数は、前条第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の一倍半以上とする。この場合において、前項の私立専修学校の団体が推薦する候補者の数は、都道府県知事が定める。
   都道府県知事は、一月を下らない期間を定めて、その期間内に第一項に規定する候補者を推薦することを同項の団体に対して求めるものとする。ただし、当該期間内に推薦がないときは、第一項の規定にかかわらず、職権をもつて委員を任命することができる。
   第一項の規定に該当する私立学校又は私立専修学校の団体がそれぞれ二以上あるときは、これを組織する私立学校又は私立専修学校が最多数である団体に対してそれぞれ委員の候補者の推薦を求めるものとする。
   前項の規定に該当する私立学校又は私立専修学校の団体が二以上あるときは、これらの団体に対してそれぞれ第二項に規定する員数の候補者の推薦を求めるものとする。
   前五項の規定は、前条第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員に欠員を生じた場合における補欠委員の候補者の推薦について準用する。この場合において、第二項中「委員の定数」とあるのは、「補欠委員の数」と読み替えるものとする。

   (委員の任期)
第十二条    私立学校審議会の委員の任期は、四年とする。ただし、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
   委員は、再任されることができる。

   (会長)
第十三条    私立学校審議会に、会長を置く。
   会長は、委員が互選した者について、都道府県知事が任命する。
   会長は、私立学校審議会の会務を総理する。

   (委員の解任)
第十四条    都道府県知事は、私立学校審議会の委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるときその他委員として必要な適格性を欠くに至つたと認めるときは、私立学校審議会の議を経て、これを解任することができる。

   (議事参与の制限)
第十五条    私立学校審議会の委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己の関係する学校、専修学校、各種学校、学校法人若しくは第六十四条第四項の法人に関する事件については、その議事の議決に加わることができない。ただし、会議に出席し、発言することを妨げない。

   (委員の費用弁償)
第十六条    私立学校審議会の委員は、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。
   前項の費用は、都道府県の負担とする。
   費用弁償の額及びその支給方法は、都道府県の条例で定めなければならない。

   (運営の細目)
第十七条    この法律に規定するものを除くほか、私立学校審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、都道府県知事の承認を経て、私立学校審議会が定める。


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