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資料3

総合規制改革会議   第2次答申(概要)
(平成14年12月13日)


【経緯・今後の予定】
    平成14年度の総合規制改革会議では、4月以降、分野横断的な5つのワーキンググループを設け、審議を行ってきたところであり、7月23日に中間とりまとめが決定されたところ。
    これを受け、教育等の各分野ごとにワーキンググループが設けられてさらに議論が行われ、12月12日に答申がとりまとめられたところ。(12月17日に「本答申を最大限尊重する旨」閣議決定される予定。)
   本答申案の具体的施策に記載された事項については、来年3月に閣議決定される「規制改革推進三か年計画(再改定)」において盛り込まれる予定。

【全体構成】
第1章    横断的分野
1      新しい事業の創出
   民間参入の拡大による官製市場の見直し
   活性化に資するビジネス・生活インフラ整備
   事後チェックルールの整備
   「構造改革特区」制度の適切な実施と早期改善に向けて
第2章    各分野
   競争政策
   法務
   金融
   教育・研究
   医療
   福祉等
   雇用・労働
   農林水産業
   エネルギー
10    住宅、土地・公共工事
11    運輸
12    環境
13    事業活動円滑化


◎教育分野に関する主要項目
第1章    横断的分野
   民間参入の拡大による官製市場の見直し
(1) 公共サービス分野における民間参入
学校全般に対する民間参入の促進

第2章    各分野
   教育・研究
(1) 教育主体の多様化
教育分野における株式会社等の参入
コミュニティ・スクール導入に向けた制度整備
学校法人の要件緩和
私立学校設置促進のための施策
教育への外部資源の積極的活用
インターナショナル・スクールに関する制度整備
海外から進出する大学など高等教育の国際的展開に対応した質の保証のあり方
(2)    教育主体に関する情報公開の促進
学校法人会計制度の見直し
大学の情報公開の促進
大学への第三者評価及び学校の評価の在り方
(3) 初等中等教育の活性化
教育プログラムの多様化の推進
教員評価の導入等による教員資質の向上
(4) 高等教育の活性化と産学連携の推進
学部・学科の設置規制の柔軟化
大学等の新増設に関する規制の見直し
大学教員の勤務条件の弾力化等

   福祉等
(2) 保育分野
幼稚園教諭免許・保育士資格の相互取得の促進
幼稚園と保育所の一体的運営の推進




2   民間参入の拡大による官製市場の見直し

【具体的施策】

   官民役割分担の再構築

(1) 公共サービス分野における民間参入
   
公共サービス分野における民間参入を積極的に推進していく観点から、下記119の措置を講ずるべきである。

12    学校
   国立大学は、高度な学術研究を担うとともに、高等教育の機会均等の実現に貢献してきたが、今後、教育研究機能を更に高度化し、国際競争力ある大学づくりを目指す必要がある。このため、国立大学については法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成16年度を目途に開始することとされているが、教育研究業績の評価や私立学校法人との業務運営等の比較も行った上、当該業務を継続させる必要性、組織の在り方について、遅くとも法人設立後の最初の中期目標期間終了時に速やかに検討を行い、結論を得、その結果に基づき、所要の措置を講ずるべきである。【最初の中期目標期間終了時に速やかに検討・結論】
   国公立の小中高大を始めとする学校全般に対する民間参入を促進する観点から、PFI手法、公設民営方式の活用等を推進するとともに、民間委託が可能な範囲の拡大、明確化を図るべきである。【平成15年度中に措置】

17    プログラムの著作物の登録事務【平成15年度中に検討・結論】
   
プログラムの著作物の登録については、既に公益法人が指定法人として全面的に事務を行っているところであるが、当該事務を行わせることができる指定法人を公益法人に限定しないことも含め、当該事務の実施主体の在り方について、見直しを図るべきである。


4   教育・研究

【問題意識】

   
グローバル化、価値観の多様化、少子高齢化など経済、社会の大幅な変化に対応してこれまでの事前規制による全国一律の画一的な教育システムを変換し、消費者の多様な価値観、ニーズに応え得る豊富な教育サービスを提供し得る事後チェック型のシステムの構築が急務である。
   そのために教育の主体について、既存の公立学校や学校法人の改革を進めるとともに、外部からの新規参入者の拡大を通じて、主体の多様化を促進し、消費者の選択肢の拡大と主体間の競争的環境を通じた質的向上を図る必要がある。
   また同時に、教育の質と適正な競争を担保する客観的な仕組みとして情報開示や第三者評価など、事後チェックを支えるシステムを早急に構築する必要がある。
   さらに、初中等教育については指導要領など全国一律の規制の弾力化と教員の質的向上、高等教育については大学設置規制の弾力化と大学教員の活性化・産学連携の促進を通じて、消費者、地域社会の様々なニーズに応じた質の高い教育提供を可能とすべきである。

【具体的施策】

 教育主体の多様化
(1) 教育分野における株式会社等の参入【平成15年度中に検討・結論】
   
株式会社など国・地方公共団体や学校法人以外の民間主体による教育分野への参入については、会計制度などによる情報開示制度、第三者評価による質の担保及びセーフティネットの整備等を前提に、教育の公共性、安定性、継続性の確保に留意しつつ、特に大学院レベルの社会人のための職業実務教育等の分野について、その在り方を検討すべきである。

(2) コミュニティ・スクール導入に向けた制度整備【平成15年中に検討・結論】
   
新しいタイプの公立学校であるコミュニティ・スクールを導入することの意義は、教職員人事を始めとする運営・管理及び教育の実施等について、学校、保護者、地域の独自性を確保する一方で、地元代表や保護者の代表を含む「地域学校協議会(仮称)」に対しアカウンタビリティを負うことにより、社会や地域住民・需要者のニーズに応じた多様で機動的な学校運営を可能とし、独創性と創造性に富んだ人材の育成に資することにある。これらの点を踏まえ、コミュニティ・スクール導入のための制度整備に関しては、例えばコミュニティ・スクールの設置手続、「地域学校協議会(仮称)」の設置と機能、都道府県教育委員会、市町村教育委員会及び地域学校協議会の教員任免等に係る権限の在り方等の点について、法令上の規定を設けることを検討すべきである。

(3) 学校法人の要件緩和【平成15年度中に検討・結論】
   
学校法人の設立要件については、構造改革特区における特例措置として校地・校舎の自己所有要件の緩和が認められたところであるが、学校教育の安定性・継続性の確保を前提に、全国的な緩和について、特区における状況も十分に踏まえながら検討すべきである。

(4) 私立学校設置促進のための施策
1    都道府県の私立学校設置認可審査基準等の見直し促進【平成14年度中に措置】
   私立学校の設置を促進するため、平成14年4月に小学校設置基準(平成14年文部科学省令第14号)及び中学校設置基準(平成14年文部科学省令第15号)が制定され、教育上及び安全上支障がない場合には、廃校となった公立学校等を供用又は借用することができることが明確になったところである。小・中学校設置基準策定の趣旨を踏まえ、各都道府県の私立小・中学校の設置認可審査基準等における校舎や運動場の面積基準等の要件見直しを各都道府県に促すべきである。

2    私立学校審議会の見直し【平成14年度中に検討・結論】
   私立学校審議会は、私立学校の自主性を確保する観点から、私立学校行政に関する所轄庁の権限行使に当たり、私学関係者の意見を反映するために設けられており、現行の私立学校法(昭和24年法律第270号)第10条は、私立学校関係者以外の民間有識者等を同審議会の構成員数の4分の1以上にしてはならない等と規定している。しかし、この規定は、各都道府県の私立学校行政を過度に規制しかねない可能性もあることから、例えば、上記規定の在り方や、構成員・運営を含む私立学校審議会の在り方を検討すべきである。

(5) 教育への外部資源の積極的活用【平成15年度措置】
   
現行、既に総合的学習の時間において、学校外の教材や学習環境の積極的活用が図られているところであるが、そうした取り組みを促進するとともに、さらに民間企業やNPO等など学校以外の主体が保有する教育資源の有効活用等の観点から、例えば外国語やIT教育などの授業において、各学校の判断で外部人材や学外の学習環境の活用が推進されるよう、ガイドラインの策定や体制の整備等を図るべきである。
   また、現在PFI方式により学校施設等の維持管理と温水プールの地域開放時の運営や水泳教室・フィットネスの運営などが行われている例が既にあるが、学校運営のアウトソーシング促進の観点から、PFIによる学校施設運営が可能である範囲について明確化を図るべきである。

(6) インターナショナル・スクールに関する制度整備【平成14年度中に措置】
   インターナショナル・スクールについては、その定義を明確化した上で、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に基づく私立学校に準じた取扱いとなるよう各種の支援措置が検討されるべきである。また、インターナショナル・スクールの卒業者に対して、我が国の大学の入学については、大学入学資格検定を受検しなくとも、入学資格を認められるようにするとともに、高等学校の入学については、例えば中学校卒業程度認定試験の受験資格を拡大する等により、大学や高等学校への入学機会を拡大すべきである。

(7) 海外から進出する大学など高等教育の国際的展開に対応した質の保証のあり方【平成15年度中に検討】
   海外から我が国に進出する大学は、我が国の学生にとっては国際化に対応した教育の選択肢のひとつであるとともに、海外からの学生受入数拡大の観点からも有意義である。しかし、これらの「大学」は、我が国の大学としての認可を受けておらず、消費者の混乱を招いている面がある。
   したがって、大学の質保証及び消費者保護の観点から、例えば、国内の第三者評価機関が海外大学についても評価し得るようにするなど、高等教育の国際的展開に対応した質の保証の在り方について検討すべきである。


   教育主体に関する情報公開の促進
(1) 学校法人会計制度の見直し【平成15年度中に検討・結論】
   
公益法人会計基準の見直しについては、企業会計基準の大幅な改訂等を踏まえ、総務省の研究会が平成13年度に中間報告をとりまとめ、今後新たな基準が策定される予定である。
   したがって、公益を目的とする学校法人においても、事業活動の透明化、効率的経営に資するよう、新しい企業会計基準を取り込むことについて、学校の特性を踏まえつつ早急に検討すべきである。

(2) 大学の情報公開の促進【平成14年度中に措置】
   
少子化等により、大学を取り巻く経営環境が厳しくなることが予想される中で、学生や保護者、企業関係者等の判断に資するよう、一層の情報開示を進めることが必要である。
   このため、私立大学について、平成13年度から検討されている財務状況の公開に関する具体的な内容や方法等について早期に結論を得て、公開を促進する。その際、学生等に分かりやすい方法や内容について検討すべきである。
   また、大学は、財務状況に限らず、教育環境(教育方針、教育内容、1教員当たりの学生数等)、研究活動、卒業生の進路状況(就職先や就職率等)など当該大学に関する情報全般を、インターネット上のホームページなどによって積極的に提供すべきである。

(3) 大学への第三者評価及び学校の評価の在り方
1    大学への第三者評価の導入【平成14年度に措置済み】
   大学に対する第三者による継続的な認証評価制度の導入促進を図るべきである。なお、社会のニーズを反映した客観性の高い認証評価制度を構築するため、民間研究者、外国人研究者、企業関係者などを幅広く評価者に含めるものとすべきである。

2    学校の自己点検評価と情報開示【平成14年度中に措置】
   幼稚園、小学校、中学校及び高等学校について、自己点検評価、情報提供に関して設置基準に盛り込まれたところであるが、各学校において評価項目や情報提供の内容等を適切に定め、自己点検評価と情報提供を積極的に行う必要がある。さらに、外部評価の公開を視野に入れた学校評価の促進を行う必要がある。
   このため、自己点検評価や情報提供に関し、学校の積極的な取組を推進し、評価項目や評価手法、情報提供の内容・方法等が適切なものとなるよう、教育委員会等に対し促すべきである。また、外部評価を含む学校評価を促進することを教育委員会等に対し促すべきである。


   初等中等教育の活性化
(1) 教育プログラムの多様化の推進【平成14年度から措置】
   
学習指導要領は、各学校において編成する教育課程の大綱的基準であり、最低基準としての性格を有するものであるが、各学校において弾力的な取扱いがなされていない面も見受けられる。
   したがって、創造性豊かな人材の育成を進める観点から、各学校段階間の連携等、各学校において、創意工夫に満ちた教育課程の編成や多様な指導が行われることを一層推進すべきである。

(2) 教員評価の導入等による教員資質の向上【平成15年度中に措置】
   
社会や地域住民、保護者や児童生徒のニーズに応じた教育を推進し教員の資質向上を図る観点から、教員の能力に応じた処遇が適切になされるシステムに転換するよう、各教育委員会に対し新しい教員評価の導入の促進を図る。
   また、英語教育を充実する観点においては、「英語が使える日本人」の育成を目指した行動計画を平成14年度中にとりまとめるとともに、特に中学校については、平成15年度から外国人の優秀な外国語指導助手の正規教員等への採用を促進する等、教員の資質を向上させ、公立小・中学校の改革を推進すべきである。


   高等教育の活性化と産学連携の推進
(1) 学部・学科の設置規制の柔軟化【平成14年度に措置済み】
   
大学が主体的な判断により機動的に編成できるように、国立大学の法人化を待たず、学位の種類・分野の変更を伴わない学部・学科の新設、廃止手続を、認可制から届出制に変更することにより、学部・学科の設置規制を柔軟化し、教育機関間の競争を活性化することを図るべきである。
   また、大学院の目的として高度専門職業人養成を明確化し、高度専門職業人に特化した「専門職大学院」を創設すべきである。専門職大学院については、教員の相当数は実務経験者とされるべきであり、また、第三者評価には、輩出した人材のレベルに関する社会的評価を重視すべきである。

(2) 大学等の新増設に関する規制の見直し
1    大学・学部等の設置審査に係る基準の見直し【平成14年度中に措置】
   大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)や大学設置・学校法人審議会審査基準など、様々な形式によって重層的に規定されている基準について、それぞれの基準の必要性等を十分に吟味し、全体として最低限必要な基準となるように厳選した上で、告示以上の法令で規定することにより一覧性を高め、明確化を図るべきである。

2    大学・学部の設置等に係る認可に対する抑制方針の見直し【平成14年度中に措置】
   「平成12年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」(大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長決定)における「大学、学部の設置及び収容定員増については、抑制的に対応する」という方針は、大学の設置等に対する参入規制として働くと考えられることから撤廃すべきである。

3    大学の設置等における校地面積基準及び自己所有要件の大幅な緩和
   
校地面積に係る基準や校地の自己所有要件を、平成14年度中に大幅に緩和すべきである。また、大学設置・学校法人審議会の内規において、「大学の校地が校舎敷地と運動場とに分かれている場合は、その距離は、通常の方法で片道1時間以内にあり、かつ、校舎敷地に基準面積の2分の1以上なければならない。」とされている規定については廃止すべきである。【平成14年度中に措置】
    なお、将来的には、構造改革特区において専門職大学院について校地を不要としたことの状況も見つつ、大学としての質の確保と継続性に配慮した上で、校地面積基準及び自己所有要件の更なる見直しについて検討すべきである。【平成14年度以降継続的に検討】

(3) 大学教員の勤務条件の弾力化等
1    国立大学教員の流動性の向上【平成15年度中に検討・結論】
   教員の流動性を高めることによる大学の教育研究の活性化及び産業界の専門性の高い人材を活用する観点から、国立大学が法人化される際には、各大学の判断によりいわゆる招聘型の任期付教員の能力・実績に応じた給与等の処遇を可能とし、任期制の積極的導入を図るべきである。

2    国立大学教員の企業での兼業の促進【平成14年度中に検討・結論】
   大学の研究成果が素早く移転できるよう、平成14年10月から国立大学教員の役員兼業に係る人事院の承認権限が文部科学大臣に委任され、更にその権限を大学長に再委任できることとされたところである。
   更には商法(明治32年法律第48号)が改正され、社外取締役(同法第188条第2項第7号ノ2)が規定されたことを受け、関係制度の変化や公益性に関するコンセンサスの形成状況を見極め、国立大学教員の社外取締役との兼業について、法制面についても有識者の意見を聴取しつつ、解禁について検討を行うべきである。

3    国立大学教員等の勤務時間内兼業に係る基準等の明確化等
   国立大学の法人化を待たずに弾力的な勤務形態(例えば週20時間勤務)による任用を進め、兼業・起業を促進するため、構造改革特区において国立大学教員等が勤務時間内の技術移転事業者(TLO)やベンチャー企業等の役員兼業を実施するとともに、国立大学教員等が産学官連携活動のために役員以外の勤務時間内兼業を行うことについて、一定の基準・手続の下で実施できるようにすべきである。【平成15年度から実施】
   また、最も裁量性の高い職種と考えられる大学教員について、労働時間規制の在り方を早急に検討すべきである。【平成15年度中に検討】<「雇用・労働」3(1)に再掲>

4    学校外教育の認定の促進【平成14年度中に措置】
   国内外の大学や民間の教育機関が連携して取り組める環境を整備するため、例えば、民間企業やNPOにおける起業家講座やインターンシップ等、起業家や経営スタッフの育成に資する学校外での学習のうち、一定の質を満たす場合については、これを大学の単位として認定することを促進し、人材育成面での産学連携を加速すべきである。

5    若手研究者の参画の推進【平成14年度に措置済み】
   大学と産業界との連携の一環である受託研究や共同研究において、ポストドクターや大学院生の若手研究者に発明の機会を与え、発明に対するインセンティブを持たせるために、企業からの受託研究の研究代表者となることなど若手研究者が積極的に参画することを推進し、人件費等の配分についても、自由に大学で決定できるようにすべきである。


6   福祉等

【問題意識】

   
一方、保育についても、民間事業者の参入や地方自治体による認証保育所制度などにより、保育サービスの供給量も全国的に増加しているが、特に都市部においては、依然として保育所への待機児童が多く存在している状況にある。また、働きながら子育てを支援するためには、夜間保育、休日保育、病後児保育、一時保育といった多様なニーズに対応した保育サービスが提供されるべきであるが、こうした利用者の保育需要に見合った供給側の対応はいまだ不十分である。
   就学前の児童については、幼稚園、保育所のそれぞれの役割が近似してきており、双方の機能を併せ持った施設へのニーズが高くなるとともに、施設の共用化も増えている。しかしながら、行政の補助金の関係から、施設の一体的な運営が行いにくいことや、児童についても幼稚園児と保育所児との区別が要求されるなど、ニーズに制度的に応え切れていない部分も残っている。
   今後、介護や保育の分野について、安全で質の高いサービスが受けられるよう利用者主体の規制改革を進めていく必要がある。

【具体的施策】


   保育分野
(1) 幼稚園と保育所の連携の推進
   
少子化の進展に伴って幼稚園に通う幼児数は減少している一方で、保育所については年々入所希望者が増加し、待機児童の問題が生じている。働く母親の増加に伴い、利用者のニーズに対応したサービスを提供するとともに、待機児童ゼロ作戦を実行するため、幼稚園における預かり保育の充実を図ることが求められている。また、保育所においても、幼稚園におけるのと同様の幼児教育の実施を求めるニーズも存在しており、一部の自治体においては、これらのニーズへ対応する面もあり、幼稚園と保育所の共用化が進められている。しかしながら、これら2つの施設は、異なる目的と役割を有するため、それぞれの設置基準を満たす必要がある。全ての子供の健全な育成を図るという観点から、関係省庁の関係部署が十分に連携し、幼稚園と保育所の機能を活かし、利用者のニーズに応えていく必要がある。

1    幼稚園教諭免許・保育士資格の相互取得の促進
   幼稚園と保育所の連携を一層促進する観点から、幼稚園教諭免許所有者と保育士資格所有者が相互にそれぞれの資格(免許)を取得することを促進すべきである。
   具体的には、幼稚園教諭免許所有者が保育士資格を取得しようとする場合、保育士試験の8科目の筆記試験のうち、例えば、「教育原理」など幼稚園教諭免許の取得に当たって最低限必要な習得科目に含まれている科目については試験を免除すべきである。【平成15年度中に措置】
   また、保育士資格所有者が幼稚園免許を取得しようとする場合、現行制度上、大学等において必要単位を修得する以外の取得方法を採ることが困難であるため、教員資格認定試験によっても幼稚園教諭免許を取得することについて検討することも含め必要な措置を講ずるべきである。【平成15年度中に検討・結論】

2    幼稚園と保育所の一体的運営の推進【平成15年度中に措置】
   幼稚園と保育所の施設共用化については、「幼稚園と保育所の施設の共用化等に関する指針」(平成10年3月10日文部省初等中等教育局長、厚生省児童家庭局長通知)において、「幼稚園及び保育所について、保育上支障のない限り、その施設及び設備について相互に共有することができる」とされ、自治体において幼稚園と保育所の共用施設が増加している。
   したがって、幼稚園と保育所の一体的運営を推進するに当たっては、施設の共用だけではなく、子どもの処遇についても、各地域のニーズに応じ、柔軟な運営が可能となるような措置を講ずるべきである。

(6) 保育サービスに関する情報の一体的な提供の推進【平成14年度中に措置、平成15年度以降も逐次実施】
   
幼稚園と保育所については、両者の間の差異が縮小し、また、幼保の機能を併せ持った施設も開設されているという状況にある。他方、認可外保育施設について、本年10月より届出義務が課されたことから、行政として把握することが可能となった。
   以上の状況にかんがみ、利用者による選択の利便性向上と、サービス内容の情報提供の促進を図る観点から、これらの施設についての情報を各地方自治体がインターネット等により提供する場合には、施設の位置付けを明確にした上で、一覧性等を持たせた形で行われるよう、地方自治体に対して積極的に働きかけるべきである。

(7) 保育サービスの第三者評価の推進【平成14年度中に措置】
   
保育所については、本年4月に第三者評価に関するガイドラインが作成されたところだが、現時点では、全国保育士養成協議会が認可保育所に限って第三者評価事業を実施しているにすぎない。今後保育サービスの第三者評価が一層促進されるような仕組みを整備するためには、以下について取り組むべきである。

1    多様な主体が第三者評価事業を実施していく中で、認可外保育施設を含め、評価対象の拡大など必要な見直しの検討に向けての事例の収集に着手すべきである。

2    併せて、第三者評価自体の客観性を高めるため、例えば、財団法人こども未来財団が運営する「i−子育てネット」の「保育所一覧」の中で多様な主体による第三者評価が容易に比較できるような仕組みを整備すべきである。
また、幼稚園については、本年4月に幼稚園設置基準が改正され、学校の自己点検評価と積極的な情報開示が規定されたが、かかる観点から、例えば、地方公共団体や関係団体のホームページ上などで、幼稚園の自己点検評価等の情報が閲覧できるようにすべきである。


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