大学院における社会人等の免許取得に資する新教育課程ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和8年2月9日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

11F省会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 基本的な考え方と具体的な論点について
  2. 自由討議

4.議事録

【貞広主査】  皆様、こんにちは。よろしくお願いいたします。定刻となりましたので、ただいまから第2回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会大学院における社会人等の免許取得に資する新教育課程ワーキンググループを開催いたします。
 それでは、まず事務局から会議の開催方法について御説明をお願いいたします。
【大野教員免許・研修企画室室長補佐】  会議の進め方について確認をさせていただきます。
 本日の会議は、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催をいたします。御発言の際は、画面下部のリアクションボタンにある挙手ボタンを押していただきまして、併せてマイクをオンにし、御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 それでは、早速でございますが、議第1に入ります。資料1、大学院における社会人等の免許取得に資する新教育課程に関する基本的な考え方及び具体的な論点について、事務局から御説明をまずお願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】  事務局、大根田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に沿って説明をさせていただきたいと思いますけれども、昨年末に1回目が開催された際からの経緯について、改めて確認させていただきながらというふうに思います。
 まず、参考資料1でございますけれども、昨年10月の教員養成部会の論点整理において、大きな方向性が3つ示されておりまして、参考資料1に示していますとおり、3つの大きな柱があり、その中の③の部分でございます。大学院段階における教職課程の在り方について、標準的なレベルの免許状が取得できるような仕組みとして、多様な学部出身者や社会人経験者が新たにプログラムを履修するといったことについて考えていく必要があるという、大きな方向性が示されているというのがまずございます。
 詳細でございます。参考資料4でございますけれども、具体的にはというところで3つほど柱がございまして、(4)の部分でございますが、この新しいプログラムを履修することで標準的なレベルの免許状を取得できるような仕組みということ。また、社会人であっても学びやすい履修、そして専門性と教員免許との関係性、そして修士号授与との関係性、そして質の担保と多様性の担保の両立、これらを考えて制度設計をしていくべきであるということ。そして、この制度については、多様な学部出身者や社会人経験者の参入に資する制度として考える必要があるという、こういった方向性が示されておりました。
 これらを踏まえて、1回目、その参考資料4の下にある論点ということで大きく5つでございますけれども、御提示をした上で御議論を賜ったのが1回目でございました。それで、1回目に御議論いただいた内容を踏まえまして、事務局としていただいた御意見の共通性のあった部分ということを基本的な考え方としてまとめたものが資料1でございます。
 まず、Ⅰ 基本的な考え方が、これらを踏まえて1回目の御議論で出ていた意見の共通の部分をまとめたものでございまして、大きくは5つございます。
 まず1つ目でございますけれども、社会人等が大学院における新教育課程を修了することで取得できる標準的な免許状というのは、専修免許状ではないのではないかという点。それでその際、例えば、普通免許状だけでなく特別免許状の活用なども考えられるのではないかという御指摘であったかと考えております。
 2点目でございますけれども、修士号との関係でございます。1年間等の短期間の新教育課程によって、免許状と修士の学位両方の取得は困難であり、これらは分けて考える必要があるのではないかと。その上で、新教育課程で取得した単位を、将来、修士の学位であったり普通免許状の取得に活用できるような設計にする必要があるのではないかというのが2点目の御指摘であったかと思います。
 3点目でございますが、新教育課程については、従来の大学院の既存の科目を活用しつつ、設置することができるようにしてはよいのではないか。例えば、プログラムとして設置するという方法などが考えられるのではないかという御指摘であったと考えております。
 そして、4点目でございますけれども、設置をする場所でございますが、当該の教育課程を設置できる大学院は、多様な専門性を持つ教員を学校に受け入れるという観点を踏まえれば、教職大学院だけでなく、教育学研究科等を幅広く認めるという形にすることはどうかという御指摘であったと考えております。
 最後、5点目でございますが、これらを実現する上でということで、時間的・金銭的制約がある社会人等が安心して学べて、免許状取得ができる、そして将来の採用につながるということを考えたときに、大学(大学院)と教育委員会が連携・協働するような仕組みとして設計する必要があるだろうと。
 これら5点が、第1回目の御議論で出てきた、共通的な御議論であったかというふうに事務局として考えておりして、本日の御議論は、これらを一定前提とした上で、さらに制度設計について掘り下げていただく論点ということで、具体的な論点を大きく分けると2つ、お示しをしているところでございます。
 まず、1つ目でございますけれども、これら、この当該教育課程の受講をする方をどのような方として設定をするかというところでございます。先ほどの論点整理から始まるところでも、多様な学部出身者や社会人経験者といった言葉が出ておりますけれども、この社会人等というときに、どういった方を念頭に置くのかというところでございます。いわゆる社会人、社会に出て何らかの勤務もされてきた方に限定するのか、それとも、いわゆる学部から大学院に進学をされた方も含めて対象とするのか、どういった範囲をターゲットとするのかというところについてが1点目の御議論の論点とさせていただいております。
 2点目でございます。それとの関連ではございますけれども、では、具体的なこの新教育課程のプログラムというものはどういった設計にするのかというところでございます。
 まず、1点目でございますけれども、(1)の部分でございますが、このプログラムに入る方をどのように選ぶのかというところでございます。まず、入学者選抜として、学部段階の学びや社会人としての経験・専門性をどのように評価をするのかという点、また、これと併せて、仮に教育委員会と大学(大学院)が連携・協働していくという場合に、いわゆる採用等々の選抜等も、採用選考等も行うのかどうか。また、後で申し上げますけれども、仮に特別免許状と関連づける場合においては、教育職員検定等をこの段階で行うのかどうか、どこまでのことをどのようにセットとして行っていくのかどうかというところの検討が必要かと考えております。まず、プログラムに参加する方をどのように選ぶのか、それで、そのときに何を評価するのか、併せて、教育委員会がこれらについて協働した場合の採用や、教育職員検定との関係性をどう考えるかというのが1点目でございます。
 (2)でございます。(2)は、その上で、当該教育課程において、どのタイミングで、どのような免許状を授与するかということでございます。出口として標準的なレベルの免許状ということでございますけれども、1回目の御議論でこれが即、専修免許状となるものではないのではないかという御指摘と、普通免許状だけでなく特別免許状も併せて考えてもよいのではないかというふうな御指摘をいただいているところでございます。
 御案内のところも多かろうと思いますけど、改めて確認をさせていただきますと、参考資料3の2ページでございますが、学部卒業後の免許状の取得方法についてというところに書かせていただいておりますけれども、そもそも、まず免許状を大きく分ければ3種類ある中の普通免許状については、その取得において、学位等々セットで二種、一種、専修という分け方がなされており、それぞれにおいて必要な単位数ということが法令上示されているという設計になっております。
 その上で、大学院では現状、専修免許状の取得ということになっており、一番上のポツの部分でございますけれども、大学院に設置されている教職課程を通じて取得できる免許は専修免許状に限られているという状況があるというわけでございます。
 一方、特別免許状に関しては、少し飛びますけれども、9ページのところにまとめております。授与手続・授与要件というところに書いておりますが、授与要件としては、その真ん中あたりの3番目の四角の右側でございますけれども、専門的な知識経験または技能、そして、社会的信望・熱意と識見が必要であるということが要件として示されており、また、授与手続としては、左側でございますけれども、任用しようとする者の推薦、そして、都道府県教育委員会が行う教育職員検定の合格というものが必要であり、その際には、合否の決定に際し、学校教育に関する学識経験者等への意見聴取が必要であるというのが現行の制度設計になっているわけでございます。
 こういった普通免許状、そしてその中の専修免許状、そして特別免許状の現行の制度を念頭に置いた際に、どの免許状をどのタイミングで出すのか、プログラムが終了した段階で免許状を出すのか、それとも途中段階で出すのかといったところが、その免許状は具体的にどの免許状であるのかといったところが、(2)番の論点として御議論をいただけたらと考えているところでございます。
 (3)でございますけれども、これに関連して、仮にこの(2)での関係で、特別免許状というものを何らか活用していくということを考えた際には、その際に、普通免許状への上進をどのように行うか、どの普通免許状への上進を行うかということと併せて、修士号をどの段階でどのように取得するのかということを併せて検討する必要があるということで、3番目の論点として書かせていただいているところでございます。
 現状におきましても、法令上、普通免許状また特別免許状を取得している方が、その免許状に加えて何らかのそれぞれにおいて必要な単位数と、最低の在職年数を経た場合において、免許状をそれぞれ上進するということは可能となってございます。例えば、中学校の免許でございましたら、一種免許状取得者に関しては15単位、特別免許状に関しては25単位をそれぞれ最低単位数として習得した上で、それぞれ3年以上の最低の在職年数を経た際において、専修免許状への上進が可能となるという制度設計になってございます。一方で、特別免許状から一種免許状への上進というものは、例えば中学校教諭の免許状に関しては法定はされていないというのが現状でございます。
 そういった中で、仮に特別免許状を活用する場合に、普通免許状への上進をどのような段階で行う設計にするのか、それはどういった普通免許状にするのかというところが論点になってこようかと考えております。あわせて、その際に、どういった免許状であるかとの兼ね合いも含めて、修士号はどの段階で取るのかという論点が出てくるというものでございます。
 (1)がプログラムへの参加が始まる部分でありまして、(2)、(3)がその帰結としての出口に関わる部分でございますけれども、(4)が、その組合せの中で、ではその中でどのようなことを学習してくる必要があるかということを書いているものでございます。
 前回、1回目の会議の際にも御説明させていただきましたが、参考資料2でお示ししておりますけれども、もう一つワーキングがございまして、いわゆる教職課程に係るワーキンググループがございます。12月18日に4回目で主査一任という状態になっておりましたけれども、今回それがまとまった状況になりましたので、参考資料2ということで示させていただいております。
 その中で大きな方向性としては、幾つかの方向性が示されておりまして、現在、このワーキンググループの下に作業部会が設けられており、具体的な学ぶべき事項や単位数等については、議論が進められているところでございますけれども、例えば、中学校でいいますと、この資料の7ページにおいて、大きな方向性としては、強み専門性というのを立てつつ、教科及び教職に関する科目として大きな2つのくくり、教科指導等に関する科目、そして、教育及び幼児、児童または生徒の理解に関する科目という大きな2つのくくりを立てていくということが示されつつ、指導要領の改訂等も踏まえて赤字の内容が追加をしていくべき内容ということで示されているというのがございます。
 こういったのも踏まえた場合に、また、先ほど申し上げました(1)から(3)の方向性を考えたときに、このプログラムでどこの内容を学んでいくことがどの免許につながっていくのかというところを御議論いただきたいというのが(4)でございます。重複いたしますが、これらを実現する上において、どの段階で教育委員会が大学(大学院)と組んで協働連携してプログラムを設計していくのかというところも併せてお考えいただく論点として書かせていただいていると、そういった関係でございます。
 事務局からは以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございました。改めまして、本ワーキンググループに与えられている議論するべき論点、ミッションを御確認いただきました。また、資料1につきましては、あらあらでありながら、現時点で我々が共有している基本的な考え方、そして本日以降、皆様の御意見をいただきたい具体的な論点につきまして、並行して行われている、関連する他のワーキングの議論も御紹介いただきながら、確認をさせていただいたところです。まず、ここで議論の線をそろえていただいたところでございます。
 まず、このどういう議論をするかということを確認させていただいた上で、本日は、まずは我々にとっての一つの参照事例となり得るイギリスの教員養成につきまして、本ワーキンググループの委員でもあられる国立教育政策研究所の植田委員から御発表いただきまして、その御発表に関する質疑応答の時間を取りたいと思います。その後、先ほど事務局から御説明のありました資料1に基づきまして、委員の皆様と意見の交換を行いたいと思います。
 それでは、植田委員、よろしくお願いいたします。
【植田委員】  ありがとうございます。今御紹介いただきました国立教育政策研究所の植田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 本日は、イギリスにおける教員養成の概要について報告をさせていただきます。まず、初めにおわびを申し上げなければなりません。事前に提出いたしました資料に幾つか追加資料を添付する形で、今から報告をさせていただきます。今から御提示いたします資料については、本会議の終了後に差し替えさせていただきますので、後ほど御覧いただければと思います。
 また、本日はイギリスにおける教育制度ですけれども、Postgraduateという大学を卒業した後の教員養成がイギリスでは中心です。本日は、大学を卒業した方が教員資格を取得するという仕組みになっているイギリスの教員養成の制度を具体的に理解していただくこと、またイメージを持っていただくということを目的としておりますので、制度の紹介を中心に報告をさせていただきます。その制度の成果であるとか課題などの分析的な研究的なことにつきましては、本日は御報告申し上げられませんので、その点も御理解をいただければと思います。
 では、報告に移らせていただきます。まず、皆様御存じのように、イギリスにおいては4つの地域に分かれております。それぞれが異なる教育制度を持っております。本日は時間の関係もありますので、イングランドの制度に限定をして報告をさせていただきます。なお、言葉としてはイギリスという言葉を使わせていただきますが、今後はイングランドの制度に限定しているということで御理解をいただければと思います。
 では、次のページをお願いいたします。まず、教員養成の概要についてお話しさせていただく前に、日本とイギリスでは学校体系や資格制度の側面が異なるということについて御説明をしておきたいと思います。画面で示しましたとおり、イギリスの学校体系では大学は3年間となっております。通常は3年間でBachelorsのdegree、つまり学士号を取得するというのがイギリスの制度になっております。
 次のスライドお願いいたします。このようなアカデミックな学校体系は、同時に、Qualifications and Credit Framework(QCF)と言われる、資格単位枠組みの中で位置づけられています。つまり、アカデミックな資格と職業的な資格を一体的に管理する枠組みが整備され、その中に位置づけられ、あらゆるアカデミックな単位や職業的な資格はこのレベルの中で位置づけられているという仕組みになっています。この仕組みについて細かく説明していますとかなり複雑になりますので、まずここではそのような枠組みで管理されているということを御理解いただければと思います。
 本日の報告の中でも、レベル7、レベル6などの言葉を使いますが、それは全てこの資格単位枠組みにおけるレベルを指しているというふうに御理解ください。本日の報告の中で重要なことは、大学での学士レベルはレベル6であること、そして学士の次であるPostgraduateと言われる段階はレベル7に当たるというところを御理解いただければと思います。つまり、本日の報告の中心であるPostgraduateの段階にあるPGCEやマスターである修士は、レベル7の資格として同じ位置づけであるということをまず御理解いただければと思っております。
 次のスライドお願いいたします。それでは、イギリスにおける教員養成についてお話をしていきたいと思います。詳細な説明を始める前に、どのような前提でお聞きいただきたいかということをお伝えするために、まず結論的なこととしてイギリスにおける教員養成の特徴をお話し申し上げたいと思います。
 イギリスにおける教員養成を包括的に示す言葉を、Initial Teacher Training、ITTと言います。本資料でもITTという記載をしております。それから、教員資格をQualified Teacher Status、QTSという言い方をします。免許状ではなく教師としての立場を示すというものになっております。これを取得することで、イギリスの公営学校において正規教員として教壇に立つことができます。そして、この資格は初等学校や中等学校、また教科によるという区別もなく1種類となっています。この点が日本と大きく異なる点です。ただし、資格は1種類ですが、教員養成段階では初等学校、あるいは中等学校では教科ごとに設定されている教員養成コースを受講し、QTSを取得します。
 イギリスは日本と違い、原則、学校が採用権を持っています。基本的には教員養成コースの科目を担当しますが、教師の能力に応じて他の科目を教えることができると学校が判断した場合は、その科目を担当することができます。しかし、実際には追加で研修などを受けてから担当することが多いというふうに現地の学校では聞いております。
 ここで、改めて言葉としてお伝えしておきたいことが、Postgraduate Certificate in Education、つまり先ほども申し上げましたPGCEという言葉についてです。本日の報告でも何度か出てきます。これは、Postgraduateの課程の高等教育段階で取得する教育に関するアカデミックな一つの資格であるCertificate、つまりレベル7に当たるものとして位置づけられています。
 では、教員養成コースはどうなっているのかということですが、大学の3年間あるいは4年間で取得するコースと、PGCEのように、大学の専門の学問領域の学士号を取得した後に、大学卒業後のPostgraduateの課程であるコースの2つがあります。Postgraduateの課程については、後ほど詳しくお話をしたいと思います。
 ここでは、イギリスの教員養成は多様であること、つまり、その多様性とは学部と学部卒の段階というレベルの多様性があることに加えて、受講者負担と有給型という学費負担の多様性があること、それから、フルタイムとパートタイムという受講形態の多様性があること、高等教育機関、学校、民間機関など提供主体の多様性があるということをお伝えしておきたいと思います。
 そして、このような多様性を可能にする仕組みとして、先ほどお話をしました資格単位枠組みと名づけられた仕組みがあることや、提供主体の認証と監査があること、Teacher Standardという教員専門職基準に基づく受講者の評価があることなどが、イギリスの特徴として整理できます。本日は、この多様性と多様な仕組みを担保する質管理の仕組みに焦点を当てて報告申し上げたいと思います。
 次のスライドお願いいたします。ここで示した表が、現在のイギリスにおいて統計的な観点で整理をした、教員資格を取得できるルートになります。大きく分けると学部レベルと大学院レベル、つまり大学卒業後であるPostgraduateのレベルに分けることができます。大学レベルはレベル6、大学卒業後のPostgraduateはレベル7に該当します。そして、それぞれのレベルに受講料を受講生が負担するものと、給与が支給される形で受講するものがあります。
 本日は、本部会の議論が大学院レベルということですので、大学卒業のPostgraduateのものについて報告したいと思います。なお、ここで分かりやすくお話しするために、言葉としては、大学院レベルという表記を使わせていただきます。大学院レベルには、受講者が受講料を負担するものと、給与をもらいながら受講する給付型というものがあります。
 次のページをお願いします。受講者負担型には2つあります。Assessment Onlyというのは特殊なものですので、後ほどお話をしたいと思います。大学院レベルの授業料負担型が最も一般的な大学院レベルでのプログラムとなります。最も人数も、そして提供機関も多いものとなっております。提供機関も高等教育機関のものと、学校ベースにした学校主導型のものに分かれています。
 次のページをお願いします。ここでは代表的なものとして、ロンドン大学UCLのものを御紹介したいと思います。ロンドン大学では、スライドに示しましたような多様なプログラムを提供しています。ここでは、初等学校のPGCEのプログラムを紹介したいと思います。
 受講資格としては、GCSEのスコアや、性犯罪歴等がないことを証明するDBSの提示、心身の健康状態を示すことなどが求められています。
 活動内容としては、大学院での講義やディスカッション、グループワークと、学校での実習に大きく分かれています。
 学校での実習では、異なる環境の学校を経験することになっています。UCLの場合には、このプログラムを終了した後に修士課程に行きたいといった場合には、このプログラムで取得した60単位分を修士課程に転用することができるというふうになっています。
 次のページお願いします。学習内容としては、教授学習に関すること、専門的な実践として、実践をしたことを省察するための実践的な知を得ること、それから、教科の専門に分かれた内容となっております。
 次のページお願いします。次に、学校主導型のPGCEについて御紹介したいと思います。学校主導型の事例としては、SCITTと言われるSchool-Centered Initial Teacher Trainingと言われるものが主流です。ここではSomersetの自治体の事例を紹介したいと思います。
 ここのSCITTは、地方自治体が自治体内のWorcester大学と研修や職能開発の提供をしている民間機関とを結びつけて取り組むためにつくった組織になります。そのため、学校主導型ですが、Worcester大学でPGCEの資格とQTSを両方取得することができる仕組みになっています。そして、学校数も、3校を経験することになっています。
 受講内容としては、ロンドン大学のものとほぼ同じですが、学校での活動のほか、教師の専門性の育成や子供理解のための活動が盛り込まれています。
 今、御紹介をしましたロンドン大学やSomersetのSCITTも受講料は200万円近くいたします。これを自己負担することはかなりの負担になっています。そのため、財政補助や奨学金の制度も整備されております。本日はこの点を詳細に触れることはできませんが、受講生の状況に応じた財政補助の仕組み、例えば学生ローンを適用することなどもあります。また、子育て世代の受講生や障害を持っている方などに対しては、受講生の状況に応じた財政補助の仕組みがあります。また、一方で教員不足の教科の受講生向けには奨学金制度なども整備をされております。
 次のスライドお願いします。では次に、給付型について説明をしたいと思います。
 次のスライドお願いいたします。給付型にはSchool Directというものがあります。なお、School Directには受講料型、つまり受講生が受講料を支払う形のものもありますが、ここでは給付型の仕組みを説明したいと思います。School Directは学校をベースにして提供されるものです。通常の受講資格に加えて3年以上の就労経験と、その雇用者からの推薦状が必要となっております。基本は学士号に関連した教科などのコースを受講しますが、それに関係ないコースを選択する場合には、Subject Knowledge Enhancement Courseという教科専門の内容を事前に別途受講し、修了しておくということが受講資格として求められています。その意味では、教科に関する専門的な知識が十分にあるということを前提としたプログラムになっていることが分かります。その上で、このコースでは教授方法や子供理解などに重点を置いた学習が行われます。
 次のスライドお願いいたします。次はPost Graduate Teachers Apprenticeship(PGTA)というものについてです。
 次のスライドお願いします。これは2018年から始まった新しいコースになります。1年間ですが、実際は9か月のプログラムで無資格教員として学校に雇用される形態でプログラムが実施されます。そのため無資格教員としてのステータスを持っていますので、その基準に基づいた給与が支払われます。勤務は、週4日間学校に勤務するというフルタイムのコースになっています。そのため、受講要件としても学校に勤務できることが条件となっています。学習内容としては、教科に関することや専門職としての実践力の育成が重視されています。
 次のスライドお願いします。次は、High Potential Initial Teacher Trainingです。
 次のスライドお願いいたします。これは、今まで述べてきたプログラムと少し性格が異なるものになります。教員養成であると同時に、教員のリーダーになる人材の育成を目指しています。そのため、1年目にQTSを取得した後、2年目はスクールリーダーシップなどのリーダーになるための学習を中心に行います。そして、その結果、アンバサダーという形で、学校の中心になって活動するための資質能力の開発が行われるというプログラムになっております。
 次のスライドお願いします。最後に、先ほど受講生が受講料を負担するというもので、特殊であるとお話をしましたAssessment Onlyについて説明したいと思います。
 次のスライドお願いいたします。これについては、資料がお手元にありませんのでスライドのほうを御覧ください。これは既に複数校で教授経験をしている者を対象としたもので、教員の専門職基準を十分に満たし、追加での研修が必要ないと認められた者を認定するというものになっています。12週間の評価期間を経てQTSが授与されるものになっております。どういうふうな形でのアセスメントが行われるかは、資料のほうを御覧いただければと思います。このプログラムに関しては、取得できるものがQTSのみとなっています。
 次のスライドをお願いいたします。このように、イギリスの教員資格であるQTSを取得するルートについては、かなり多様なものがあります。その特徴を改めて整理すると、スライドにお示した内容にまとめることができます。時間の関係もありますので全部を読み上げることはいたしませんが、大学で学士号により教科に関する専門知識を取得していることを前提として、それを教授していくための専門的な知識と技能の取得を目指して、学校現場での実践と、それを批判的に省察して教師としての専門性を高めていくためのプログラムが用意されているというふうに整理することができると思います。
 次のスライドお願いします。これは紹介するという形にとどめたいと思いますが、このように多様で複雑なプログラムになっているため、教員になりたいと思った人が自分の持っている学位や経験、希望、生活状況などを踏まえたらどのようなコースが自分に適しているのか、また、受講できるのかを簡単に検索できるようにした上で、その検索結果に基づいて、その本人が居住する地域にはどのような提供機関やコースがあるのかという情報を提供するサイトを教育省が提供しています。資料にURLを記載しておきましたので、御関心がある方は見ていただければと思いますが、様々な条件を入力することで、どういうふうなコースがあなたには適していますということが情報提供される仕組みになって、そこから申請書を出すことができるような仕組みになっています。
 次のスライドをお願いします。では次に、このような多様なルートが実際どのような状況になっているのかを、統計データを基に少し整理をしてみたいと思います。まず、教員全体ですけれども、大学卒業後の課程で取得するPGCEを取得して教員になっている方は約28万人で、有資格者教員の約6割を占めていることが分かります。そして、学部卒で教員資格を取得している人は約3割です。その多くは初等学校教員であるというふうに言われています。
 次のページをお願いします。このデータは、教員養成プログラムに入学した人に関するデータになります。大学院レベル、つまり、Postgraduateのプログラムへの入学者が全体の8割を占めていることが分かります。そのうちPostgraduateの学費負担型が全体の約8割を占めています。そして、その中の約半分が高等教育機関で在籍しているという状況になります。年齢的に見ると20代で全体の約7割を占めていることが分かります。
 次のスライドお願いします。このデータは教員養成プログラムの終了者の状況についてのデータになります。Postgraduateのコースでは約9割が教員資格を取得できている一方で、学部段階の者については8割にとどまっているという特徴があります。また、実際に教員になる割合も、Postgraduateの場合は7割から8割であるのに対して、学部段階は6割というように、終了者の状況も大学院レベルと学部段階では異なっているという状況を示しています。
 次のページをお願いします。以上、教員資格を取得するためのルートがいかに多様なものかということを見てきましたけれども、そのことがどうしてできるのかということについて、提供機関の認証と監査、受講生の評価という2つの観点からイギリスの特徴を整理したいと思います。
 まず、提供機関の認証と監査についてです。先ほどからお伝えしておりますとおり、イギリスの教員資格を取得するための提供機関は多様ですし、そのプログラムの内容も多様です。しかし、それらの多様なプログラムを提供し、かつ設置形態の異なる多様な提供機関であっても、スライドに示しましたとおり、教育省が定めるクライテリアである基準によって認証されます。その基準には、認証のための要件だけでなく、プログラムにおいての教育課程の要件や受講者の選考基準、質管理のための基準などが記載をされており、プログラムの提供機関はこの基準に基づいて、自分たちの活動の質を管理するとともに改善に努めていくことが求められています。
 また、同時にその改善の取組については、3年ごとにOfsted、教育水準局によって監査をされます。これについても全国一律の監査の枠組みにおいて、監査の領域、基準が記述されています。その内容については、昨年秋に新しい枠組みが発表され、現在はその新しい監査の枠組みに基づいて監査をし、各組織が改善活動を行っていくことが求められています。監査の領域や監査の基準については、スライドのほうに書いておきましたので御覧ください。
 次のスライドをお願いします。次に、受講者の評価についてです。受講者の評価は入学時のものと終了時のものに大きく分けることができます。入学時には、大学での学士号の成績に加え、GCSEやAレベルの試験、職業資格のレベルなど全国共通で定められている基準において、求められる基準を満たしている成績を取っているかということに基づいて、その受講生の専門的な教科に関する能力を判断しています。
 そして、足りないと判断された場合や、学部段階と異なるものを受講する場合には、追加の研修や学習プログラムが用意され、教科に関する内容についての水準が担保される仕組みが整備をされています。
終了時におけるものについては、教員の専門職基準が唯一の基準として用いられています。受講生が授業やプロファイルで示す能力、スキル、専門性などをその基準で判断し、教員の専門職基準を満たしているかどうかにおいてQTSの授与が判断されます。
 また、近年はapprenticeshipという仕組みが新たに導入をされています。apprenticeshipというのは徒弟制度というふうに訳されることが多いですけれども、そのapprenticeshipそのものにおける評価の枠組みという基準があり、教員については、教師の専門職基準に照らして、その枠組みが設定され、受講生の実践がその基準を満たしているかどうかという判断が行われています。このように、教員の専門職基準を基に、成績、受講生の学習成果というものを評価することによって、QTSを授与する仕組みになっているのがイギリスの特徴であると言えます。
 次のスライドをお願いします。最後に、今まで述べてきましたイギリスの教員資格を取得するためのルートの多様性と、その多様性を担保する仕組みとしての提供機関への認証監査、受講生の教員の専門職基準に基づく特徴を整理すると、スライドのようにまとめることができると思います。
 この内容から、日本とイギリスの違いについて少し考えてみますと、イギリスではPostgraduateの拡充整備という方向性があり、かつ、その実際の量的な拡大も図られてきました。このようなイギリスから見たとき、日本の制度との違いとしては、1つ目に、高等教育機関と学校、自治体、民間機関が連携、協力して取り組む体制があるということが言えると思います。
 2つ目に、資格制度と結びつけることで、教職と一般の職業世界との流動性とその質の保証を担保していると言えます。
 3つ目に、現場での実践を重視するとともに、その実践を専門的な知識によって批判的に省察するための学問的な専門性の育成も重視した形での理論と実践の往還を重視している体制を整備している点も、特徴というふうに言えるかと思います。
 このようなイギリスの取組から、日本にどのような示唆があるのかを今後検討していければというふうに思っております。
 以上で発表を終わらせていただきます。
 
【貞広主査】  ありがとうございました。貴重なたくさんの情報をいただきまして、お礼を申し上げます。
 では、委員の皆様から御意見、御質問を承ります。なお、この後の意見交換も同様でございますが、多くの方が挙手された場合は大変恐縮でございますけれども、途中で区切らせていただきまして、御発言がかなわなかった委員の方におかれましては、後ほど事務局に御意見を寄せていただければ、議事録に掲載していただけるということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、対面の方もオンラインの方も御質問、御意見がある場合は、Zoomの挙手ボタンを押していただければと思います。私から順に御指名を申し上げたいと思います。いかがでしょうか。
 皆様、御質問あろうかと思いますけれども、では、植田委員、私から1点御質問申し上げたいと思います。イギリスではPostgraduateの養成ということが拡大されてきているということで、その実態も数値とともに見せていただきました。私といたしましては、受講料が思いのほか高いなという感じがしました。もちろん奨学金などの制度も保障されているということではあっても、それでもすごく高い感じがして、これだけの手間暇や受講料を自分で負担をして、教員になろうということを思っている方がこれだけいらっしゃる、それだけその教職にすごくうまみがあるということなんだと思うんですけど、そこら辺はどう考えたらいいんでしょうか。イギリスも教師不足だったんじゃなかったかなと思ったりもして、その辺りの御意見を伺えればと思いました。いかがでしょうか。
【植田委員】  ありがとうございます。今申し上げたのは全体的な制度ですけれども、多分、先生の今議論しているところの出発点がちょっと違っていて、そもそも教員になるためにはこれらのプログラムに入らないといけないので、Postgraduateに行く人が増えているのではなくて、Postgraduateの段階でしか教員資格が取れないというふうなところにありますという大前提でのお話として御理解をいただければと思いますのが1点目です。
 それで、教員になることがうまみなのかというところでいうと、うまみとして皆さんがおっしゃるのは、子育て世代でいうと子供と生活時間帯が同じだというところはあります。しかし教員は日本と同じように労働時間も長いですし、大変な仕事であるという形であり、教員不足という課題を抱えています。
ただ教員不足といっても日本とは少し様相が異なる点もあります。教員不足の現状のデータを見てみると、いわゆる国としてこれだけの教員が必要だとして示されている定員はどの大学もほぼ満たしています。ですが、教員になった後に、5年以内に辞めてしまう割合が高くなっているので、入れてもざるからどんどん逃げていくみたいな感じでの教員不足になっているということです。教員になりたい人たちでこのコースに入ってくる人たちは、先ほど言ったように定員をほぼ満たしているという形になっているという現状なので、ちょっと日本の現状とは違います。また、イギリスではそこに行かないと教員資格が取れないわけですので、教員になるのか、それともほかの仕事に就くのか、ほかの仕事から転職をするのかというときに、これだけのお金をかけてコースに入って資格を取るという仕組みになっています。
 同時に、奨学金について、教員不足の科目であれば、ほぼ無料で資格を取ることができますし、財政的な部分での補助というのはかなりきめ細かくされています。今は統計的なデータの数値は手元にないですけど、フルで200万近い受講料を全額自己負担している学生がどれだけいるのかというところはきちんと把握をしておかないといけないかなというところは、先生のご質問を伺って思ったところです。
 それで、やはり学費負担がかなり高いので、どのサイトをチェックしても、こういう財政補助があるよとか、こういう奨学金があるよとかというふうな情報がすごくきめ細かく提供されているので、自分の条件に合うプログラムにおいて、どういった財政補助があるのかというのをセットで、皆さん受講を申請しているということもあります。
 それからもう一つが、本日はフルタイムでのプログラムしか紹介していませんけど、基本的にフルタイムだけではなく、パートタイムで受講することもできるので、自分の仕事をしながら、並行してこのPGCEのパートタイムで取っていくというふうな形で学費を支弁しながらやっていくという方も結構いらっしゃいます。その辺は工夫をしながらできるような仕組みを、制度としてもかなりきめ細かく整備をされているところはあるかとは思います。
【貞広主査】  いえ、とんでもないです。非常に手厚い……。
【植田委員】  財政補助というのはすごくイギリスも重要視されているというところはあるかなと思います。
【貞広主査】  ありがとうございます。何よりも手厚い財政補助とセットでということでございました。また、その科目によって、ニーズの違いによってとか、先生の足りなさによって、その補助制度の手厚さも連動して違っているというのもとても面白いですね。例えば、現代の労働市場とよく奪い合いになる、数学や物理の先生だと補助額が多かったり、そんなイメージなのかなと思いましたけれども。
【植田委員】  そうですね。理系の科目だったり現代外国語であったりとか、特に理系の物理学だったりとかコンピューティングとか、いわゆる理系の科目の教員が、基本的にイギリスでは不足をしているので、そういう人たちは、教員になる場合は原則奨学金で全額賄えるので、無料で教員の資格を取ることができます。
 それで、ちょっと余談になりますけど、コロナの頃は、財政補助という意味での教員資格を取るためのコースを無料にしたら、教員資格を取る人が増えました。しかしその無料をストップしたら極端に減ったということが、イギリスは経験をしています。
 
【貞広主査】  ありがとうございます。
 ほかに、先生方、どうぞ御遠慮なく、いかがでしょうか。では、佐古委員、松田委員の順番でお願いいたします。
【佐古委員】  植田委員、ありがとうございました。多様な教員資格の取得のルートがあることがよく分かりました。もしお分かりになれば教えていただきたいことが2つあるんですが、1つは、今の貞広委員のお話とかぶるんですが、教員資格を取った方が教員になるといいますか、現実に教員になるというのはほぼ100%なれるような、採用との関連はどうなのかということをお聞きしたい。
 もう一点は、御説明の中で、この教員資格の取得単位と大学院のそれを転用するというお話ありましたが、それはどんな形で結びついているかというのを、もしお分かりになればお聞かせいただきたいと思います。
 以上、2点です。ありがとうございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。では、松田委員の御質問も承りましてから、植田委員にお返ししたいと思います。
【松田委員】  ありがとうございました。多様なルートで多様な人材を入職させていくのが、その資格ということとアクレディテーションみたいなものの仕組みの中で担保されている様子というのは本当によく分かって勉強になりました。
 そこで3つほど、分かればということで伺いたいんですけど、まず1つは、様々な教育プログラムで、入学する際の、参加する際の条件が幾つか出ていたんですけど、実際に入学試験的な入り口のところでのフィルターみたいなものはどんな形になっているのかというのが1点目です。
 2点目は、多様なルートで入ったときに、実際に教職に就いたときに、例えば、あのコースで入ったからこの先生はこんな感じだよねとか、そういうある種の社会的評価というんでしょうか、集団間のそういう出自みたいなことが、文化としてどんなふうに表れたりするのかみたいなことがもし分かれば、あるいは表れないのかということです。
 最後は、これ、本当によくできた仕組みだなと思って聞いていたんですけど、一方で、じゃあイギリスで今、課題になっていることというのがもし何かあるのならば教えていただきたいということです。
 以上です。
【貞広主査】  植田委員、佐古委員から2点、そして、松田委員から3点でしょうか。お答えになれるところだけでも結構です。
【植田委員】  ありがとうございます。
 佐古委員からいただいた採用との関係については、基本的にイギリスは、ちょっと語弊があるかもしれませんけど、国がある程度、この地域にはこれだけの教員が必要だという統計的なデータを持っています。そのため、この地域にはこれだけの養成および資格提供機関があって、それぞれに、定員はこれだけですと定員を割り振る形になっています。つまり、教員資格取得の受講者と、その地域で勤務する教員数とが連動する形になっています。なので、その数を100%養成してくれないと、その地域で教員数が足らなくなっていくというふうな仕組みになっているので、ある意味、計画養成的な部分があるというところが、一つ制度的な前提になっています。
 また別な側面からみると、提供機関にとっては、あなたたちにはこれだけの定数を渡しているので、受講者たちが100%に教員にならないと困るので、教員資格取得者の割合が下がることは、いわゆる組織に対しての評価も下がるというふうな形になっています。このようにペナルティーとしてのプレッシャーが与えられているところがあります。受講者がほぼ100%ならなきゃいけないので、先ほど、データ的にも大体9割がなっているというのはそういった背景があります。
 受講者たちが、基本的にはその地域の教員として採用されるという形で、採用とかなり連動した形になっています。特に給付型のプログラムであるSchool DirectやPGTAについては、たいてい2校で勤務しますが、基本的にQTSを取った場合には、自分がプログラム中に勤務した学校に基本的に就職するというのがルートとして今は定着をしています。つまり、勤務をした学校、プログラムを実践した学校でそのまま教員になっていくというところになります。そういったルートがある意味確立し、学校現場での養成をしているというところが、一つの制度的なバックにあるかなと思います。
 先ほど松田委員から質問があったところと少し関連しますが、学校からすると自分たちが育てた人たちという意識があります。つまり、学校現場で行われるSCITTのプログラムを経た人たちは、初めから、先生方が自分が育てた子供じゃないですけど自分が育てた教員というふうな目で見てもらえるので、そのまま、プログラムが終わった後に教員資格を取って、そのままその学校にすんなり入っていけるという特徴がイギリスはあるかなと思います。
 それから、2点目の大学院に単位を転用をするということですけれども、PGCEを提供している機関が、レベル7で同じ大学院の修士課程を持っているような、例えばUCL、ノッティンガム大学もそうですけれども、修士課程のマスターコースを持っている機関がPGCEのコースを提供しています。授業としては、別途開講される場合や、大学で提供している幾つかのコースをPGCEの学生も取っているというメカニズムになっているので、大学院でも開講しているような科目については、それを取得した場合には、レベル7のCertificateを持っているという単位として認められるという仕組みです。つまり先ほどお話したように資格枠組みと連動してということです。レベル7のCertificateの科目である単位を60単位取っているというカウントになるので、おのずとマスターになったときにもレベル7のCertificateの単位として、そのまま転用できるという形のメカニズムで転用するというふうになっています。
 それから、松田委員から御質問があった、入学資格と試験のところですけども、改めてPGCE等のコースに入るための試験として、ペーパーテストをするということではありません。基本的には証明書と推薦状を提出してもらって、第一段階は、いわゆる書類審査をすることになっています。それができるのはGCSEにしてもAレベルの試験の結果についても、UCASが、職業資格についてもOfqualがという形で、国が一元的にレベルをきちんと管理していますので、そこが発行する公的な成績を文書として提出します。
 それからDBSについては、自分には性犯罪歴がないとか、子供と接する制限をかけられていないといった証明書を出さなければいけませんし、それから推薦状についても自分で用意します。これらの書類審査等の選考を経た後に、面接という形のインタビューを経て、その人が、教員、QTSを取るコースに入学することに適した人なのか、教員スタンダードを満たすような、いわゆる基礎学力と資質があるのかということを面接で判断をした後に入学をさせるというふうな形の仕組みになっています。ここでは、基礎学力として、英語と数学、小学校に関してはそれらに加えてサイエンスについて、基礎学力が求められます。
 ただし、GCSEやAレベルを取得した後に5年以上たっている場合は、英語と数学、初等学校では加えてサイエンスもペーパーテストを受けてくださいとなっています。つまり、5年以内の場合はGCSEのペーパーで大丈夫で、5年以上たっている方に関しては、改めてそのためのペーパーテストを受けて、GCSEの合格点以上の基礎学力があることを証明しなくてはいけないという形になっています。
 最後の、実際どういう課題があるのかといった点では、Postgraduateの部分でいうと、School Directとか、その学校レベルでの養成というのがどんどん増えてきています。大学でのPostgraduateのPGCEというところは、基本的なところの中核としてはありますけれども、だんだん学校現場での養成というのがすごく増えていることに対しては、高等教育機関の方たちからすると危機感があります。学校現場での学習も重要だけれども、やはりそれを省察するための理論的な大学院レベルでの学習というのも重要なので、改めてこの教員養成におけるPostgraduateのPGCEでの学びというのはどういうふうな意義があるのかということを改めてきちんと示していく必要があり、高等教育機関の役割というものの足元がだんだんぐらついてきている状況をどう整えていくのかというのが需要視されています。大学の関係者の先生方にヒアリングをすると、そういうことはすごくおっしゃっていて、大学院と現場とのバランスをどう取っていくのかというのは、イギリスでも今大変議論になっていますし、課題になっているところです。
 それからもう一つが、先ほど貞広委員からの御質問にもありましたけど、イギリスは教員不足の中で、apprenticeshipというプログラムをすごく拡大をしようとする方向性にあります。それから、大学も今、その財政基盤を整える必要があります。先ほど、コースが200万近くするというところで、この教員養成のプログラムというのが、少子化で大学生が減っていく中で、社会人がプラスアルファのお金を払ってこのコースに来てくれるという意味で、大学にとっても収入源としてすごく注目をされているという側面があり、このプログラムの量的拡大を図っていく方向性にすごくあります。けれども、その量的拡大イコール質の低下にならないように、いかに教員の専門職基準に適した質の管理が量的拡大とともに改めて問われているという課題があるという部分は、現在課題として指摘をされているところになります。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 まだ御質問あろうかと思いますけれども、今の議論をベースに、次の議題に進んでいきたいと思います。もう幾つかこの議題につながるところもありましたよね。最後の拡大傾向であるけれども、だからこそ質の保証をどのようにするかという課題など、まさにこちらのワーキングで議論していただきたい点も重複して見いだすことができたかと思います。
 それでは、この植田委員からの貴重な御報告、御発表内容も踏まえまして、資料1、大学院における社会人等の免許取得に資する新教育課程に関する基本的な考え方及び具体的な論点につきまして、意見交換を行い、その内容を基に、次回のワーキングで、より具体の検討を進めたいと思います。
 本日は、次の具体の検討に向けまして幅広に御意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、どなたからでも結構です。いかがでしょうか。
 鹿毛委員、お願いいたします。
【鹿毛委員】  基本的な考え方、それから具体的な論点という2点において、先ほど事務局のほうから御提案がありました。具体的な論点を検討する前提として、まず基本的な考え方について少し具体化する必要があると思っているところです。
 まず、大きなところから言うと、そもそも、我々のミッションでは、多様な専門性を有する質の高い教員集団の一員として、教員を養成するということが大前提としてあったと思います。今回とりわけ、この教師の多様性や専門性が強調されているという点に鑑みれば、大学、あるいは大学院における教員養成でありますとか、開放制教員養成という、従来から重視されてきた大きな原理の下で、なるべく多くの大学に教員養成を担っていただくというような方向で、検討すべきだということを改めて確認したいと思います。そのためにも、既存のシステムをなるべく生かしたほうがいいんじゃないかなと思っています。
 システムを複雑化しないで既存のシステムを有効に活用するほうが、いろいろなコストがかからないということもありますし、そもそも、日本の大学あるいは大学院が多様であるということ、これを生かすべきだと考えますので、既存のシステムを最大限に活用する方向がよろしいかなと、まず大前提として思ったところです。
 それを踏まえてなんですけれども、基本的な考え方の第1点目について、基本的には、専修免許状というのはハードルが高いかなと思っています。その上で、前回、松田委員からお話があったと思うんですが、普通免許状の単位を専修免許状の単位に読み替えるということは、同じ学習内容を、質の違う課程の単位として認めるという問題が生じるので、むしろ特別免許状の活用をメインにしたらどうかというのが私の意見です。
 そもそも特別免許状というのは、まさに我々が議論している、優れた知識や技能を有する社会人等を教員として迎え入れるという趣旨に合致していますし、かねてよりこれを積極的に活用しましょうという方針が示されていましたので、その延長線上に、特別免許状というのを再定義するというか、それを改善していくという方向性がいいのではないかなと思います。
 現在、特別免許状の授与の基準が3つあるわけですけれども、そのうちの3点目、第三者、主には学識経験者の評価を通じた資質の確認というところが、教育委員会のほうで判断がなかなかつかないという理由の一つなんじゃないかと思うんです。そうしますと、この学識経験者による評価を通じた資質の確認というところを、大学院のほうで、基本的にその資質があるということを大学における教員養成という原理に即して、証明するという形にすれば、あとは1番と2番のが満たされれば、特別免許状の授与に至るんじゃないかなと考えたところでございます。
 実は、教科に関する専門的な知識や技能については1番目の基準にありますので、前回も話題に出たと思うんですが、そもそも教育とは何かとか、学校とは何かとか、学習とは何かという、非常に本質的な、いわゆる教職に関する専門性を学修していただくことによって、3番目の基準を証明するという形にしたらどうかなというふうに考えました。基本的な考え方の1点目に関して、普通免許状というよりも特別免許状の活用というところを中心に考えてはどうかということです。
 基本的な考え方の2番目についてです。1年間の課程というのは最初のハードルとしては高いのではないかと思います。ですので、いきなりその修士レベルの免許を取るということではなくて、分けて考える必要が私もあると思っています。
 3番目のところですけれども、新教育課程については、現行でも専修免許状が認定された大学院であれば、そこの既存の科目を活用しつつということで、とりわけ教職に関する科目として専修免許状に認定されている科目を有効活用するということになれば、専修免許状の認定を受けている多くの大学で、特に教職に関する科目ですよね、それがこちらに使えるんじゃないかなと思います。
 4点目ですけれども、多様な専門性という大きな方針に鑑みますと、やはり、多様な専修免許状が認定されている大学院が我が国にありますので、それらの大学院がなるべく多く、この課程を開設できるように、教職大学院はもちろんのこと、教育学研究科あるいは教育学専攻でありますとか、さらには、教科の専門性という観点から教科に関する科目中心の研究科にも積極的に、この新課程を設置していただくという方向性でいかがかなと思っています。
 最後に5点目ですけれども、特別免許状は教育職員検定によって授与することが制度化されていると思いますから、教育委員会との連携はもちろんなんですけども、前回私がお話ししたように、例えば、私学でありますとか、あるいは出身地に戻って勤務したり、必ずしも特定の地域に就職するとは限らないので、一定の配慮が必要かなと思っています。特別免許状の基準を満たす証明さえあれば、どこの委員会に申請しても、そこで認められるような形が望ましいと思ったところです。
 少し長くなって失礼しました。以上です。
 
【貞広主査】  とんでもないです。ありがとうございます。資料1の基本的な考え方の5つの点について、それぞれ全方位的に御意見をいただきました。
 ほかにいかがでしょうか。では佐古委員、どうぞ。
【佐古委員】  
 私も、大枠では今、鹿毛委員のご意見と共通するところが多いんですが、教師の成り手の裾野を広げるということで、大学院で新たに免許を取れるということを構想しているわけですが、そのときの免許の位置づけについて、先ほど室長から免許の仕組みについて説明がございましたけども、一応標準的な免許、恐らく学部で教職課程を履修して、4年間で習得する標準的な免許状と大学院で取得する免許状もそれ相当のものとして位置づけることが、私はいいんじゃないかと思っています。
 4年間かかって標準的な免許状を取る今までの教職課程と、大学院で改めて1年間かけて標準的な免許状を取得できるルートを用意する。しかしながら、学部大学の違いがありますので、それから当然その教育内容も違うので、その点でいうと特別免許状を活用するということも、私は鹿毛委員と同じような意見持っているんですが、ただ、そうなってくると、現行の特別免許状制度の違いというのか、そことの混乱が続くようなことも一方では考えられると思っています。
 それで、今までの特別免許状は、どちらかというと教育委員会がある程度学校での経験などを基にして、授与していくというような方法が主だと思うんですが、今回そうではなくて、むしろ特定の分野での専門的知識があると見なした方を前提に、大学院で短期1年間で免許を出すということなんで、そうすると、同じ言葉を使うと議論が混乱するように思います。だから特別免許状その2みたいな形で言っておくべきか分かりませんが、そういうようにしておけば、大体現行の大枠の免許状としては、特別免許状と基礎免許状が標準的な免許状として、その上どちらも、専修免許状に上進できるということで整理ができるのではないかというふうに思います。
 それからもう一つは、この免許状を新しく大学院で取得できる特別免許状その2の位置づけなんですけれど、これはこれまでも御議論あったように、一応入り口のところで、ある分野の専門的な知識があると認定すると、これ、手続をどうするかは別にしまして、そういう前提を置いた場合に、そういう方々が学校で教師として働くということになってくると、先ほどの植田委員のイングランドの例でもありましたけれども、自分の持っている専門的な知識や経験を子供に教えるときの指導法とか、あるいはそれを学校で実践していくときの方法、児童・生徒理解というものを中心に、構成されるのだろうというふうに想定しています。
 そうなってきますと、結局、教員免許状ということで我々は教員としての一定の力を認定する考えとすれば、教師としてコアとなる部分と得意分野を持つということの2層構造を前提とした場合、得意分野についてはある程度担保できている。だけど、コアの部分の、例えば子供の理解であるとか、あるいは教育についての基本的な考え方とか、あるいは教科の指導方法等を厳選して習得するとともに、学校の実習をパッケージにして、1年間で履修するとすれば、標準的な免許状の基礎免許に相当するような力があると認定できるような仕組みとして、構想できるのではないか。そうすれば今の免許状の仕組みの中ではバランスが取れているのではないかと思います。
 それから、採用についても、これも鹿毛委員と私似たようなことを考えているんですが、先ほどの植田委員の御説明のように、国のほうが計画的に管理をしまして、それを各大学で割り振るということをやれば問題ないんですが、そういう仕組みをとれないとすれば、地域的に大学院で免許を取れる大学と、その地域の教育委員会の事情が必ずしもマッチングするとは限りませんし、先ほどもあったように、大学院で免許を取った方々がその大学で取った所在地で教員になることを必ずしも前提とはしえないので、例えば自分の故郷のほうで教員になるということもあり得るので、免許の通用性という点で見ても、大学院と所在地の教育委員会が最後まで一貫するということは、果たして、裾野を広げるという点ではどうだろうかという疑問を持っております。
 以上でございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。鹿毛委員とも重なる御意見もいただいているかと思いますけど、特別免許状それ自体を拡張して多様化するという鹿毛委員の御意見に対して、佐古委員は、その2をつくったほうがいいと、別のものをつくったほうがいいというような御意見もいただきましたし、また、そこのプログラムで学ぶ内容も、児童生徒理解、教科教育法プラス教育の基本的な理解とか、その辺りが重要なんじゃないかということですよね。計画養成に関しては、地域特性と養成機関とのマッチングの問題があるので、もう少し広く考えたほうがいいんじゃないかというような御意見、日本的な、日本の制度や入職の構造に寄せた御意見をいただいたところだと思います。ありがとうございます。
 では、森山委員、どうぞ。
【森山委員】  まず、大学院生ができるだけ早い時期に教壇に立てるようにするということを前提に検討すべきだろうと考えています。そうなりますと、特別免許状の授与を行い、この特別免許状によって教師として学校勤務ができるようにすることが考えられます。ただし、先ほどから各委員から特別免許状について様々なご提案がありましたように、この特別免許状の位置づけや授与要件は今後変更が生じる可能性があり、この制度における免許状の授与にある程度の違いが生じるかもしれませんが、ここでは現行制度を前提として申し上げております。その上で、さらに学習を重ねることを通して、普通免許状につながっていくようなかたちがのぞましいのではないかと思います。
 ただ一方で、今回もお話が出ましたけども、質の保証といいますか、質の高い教員、教師を養成するという観点も必要であると考えています。大学の学部において学んだ教職課程とのバランスも考慮しないといけないだろうと思います。そうなると、相当量の学習を行った上で、普通免許状と同程度の免許状について授与することも検討する必要があるのではないかと思います。
 また、御承知のとおり、昨今の社会人で大学院に入学する学生のニーズも多様化している状況についても踏まえる必要があると思います。これはいわゆる出口の話として最終的に考えられるところだと思いますが、出口については、複数の可能性をある程度考慮し、さらに議論を進めていくほうがよいと思います。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。普通免許状との関係性などもかなり具体的な御提案もいただきました。
 では、松田委員、どうぞ。
【松田委員】  ありがとうございます。今もう既にお話が出ていたんですけれども、特別免許状というものも活用していくというのは本当に大賛成です。そのときに、現行の特別免許状授与要件で各種要件を撤廃しているんですけれども、この辺りをどう整理していくのか。その意味で、概念を広げるのか、あるいはおっしゃったように、特別免許2のような種別を考えるのかというのは、確かに整理する論点だなと思いました。
 もう一点、採用を早くということも今おっしゃったんですけれども、確かに現行、複数の自治体においていわゆる免許を持たない方の採用枠があって、採用された後、2年間のうちに免許を取得してというところがあるんですが、幾つかの都道府県で似たような採用の取組をされていますけれども、現状、そこで合格された方が免許を取って教員になられる割合というのが実は相当低くなっているという問題があります。社会人ですので、そのときならばすぐに転職できるんですけど、期間が空けば空くほどやはり転職のハードルが高くなってしまうということがあるので、教育委員会との採用と育成の連携といいますか、その部分は、これは免許の制度自体になるのか、その運用の部分になるのか、少し含んで検討する必要があるのかなと思いました。
 今日の論点の中で、多様な社会人ということがあって、以前から議論になっているストレートマスターといいますか、教育学専攻ではない大学院生も含めたストレートの大学院生さんというのは、これはやはり一つの社会人の重要な集団じゃないかと思えるところもあるので、そこを含んだ形で考えるということは大事なことかなとちょっと思いました。
 一般に言われる教職と呼ばれるような、社会人というと専門性というところでの高度な知識技能ということが恐らく評価に値するという形での議論が多いと思うんですけれども、それに対して、学校教育のファンダメンタルな部分とか、教師としてのというような、児童生徒の理解とか、そういうところの学びというのがイギリスにおいてもやはり大事にされていますし、重要だと思うんですが、その場合、現在の日本の上進制度でいくと、実はその領域というのは二種も一種も専修も、単位数としては増えていなくて、つまり共通の学びというところが割と力点が置かれている部分もあるんじゃないかと。
 そうしたときに、学部の授業というものを利用するというような部分もあっていいんじゃないかとちょっと感じたりはします。全部が全部、大学院の授業を活用していくということだけではない、ちょっと余白といいますか、あるいは必要性みたいなことは、どう考えればいいのかなと思った次第です。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。特別免許その2とかいろいろ出てきましたけれども、そこら辺は皆さん同じような考え方をお持ちである気がします。
 森田委員、お願いいたします。
【森田主査代理】  森田でございます。よろしくお願いいたします。もうほかの委員の先生方と重なる部分あるかもしれませんけれども、私も特別免許状を活用していくというのは一つの方向性かなと感じているところでございます。
 その上で、その対象を考えておく必要あるのではないかと思います。つまり、本当に幅広く、ストレートマスターも含めて学部で教職を履修しなかった人も、社会人の方も全て吸収するようなしくみをイメージするのか、それともやはり、特別免許状の授与の条件にもありますように、何らかの形で任用されていくことを前提にして、特別免許状を与える人をある程度限定した形のしくみを設計するのかによって考え方が変わってくるような気がしますので、この点についての整理が必要なのではないかと思います。
 これは、あくまでも一般論ですけれども、例えば理系分野の学生というのは、そもそもが大学院に進学することが多いと思います。そういう実態を考えた場合に、この新プログラムと大学院の学習が両方とも履修できるようなところまで広げてしまうと、学部のときに教職を履修しなくても大学院に進学すれば1年で取得できる、取れるよということになってしまう可能性もあり、この制度の議論を始めた際の趣旨と少しずれてしまうのではないかと、危惧も感じるところです。
 ですから、そういった意味で、やはり再度どういったところを対象にするのか、なかなか、一言で社会人と言っても、定義することが非常に難しいのはよく分かるのですけれども、そこを少し議論する必要があるのではないかというのが1点目です。
 それから、先ほど松田委員がお話しになりましたような、学部の授業を一定活用するという、それもあり得るのではないかと思っています。と申しますのは、特別免許状などの、何らかの免許状を、論点にありますような、いつのタイミングで発行するのかということにも関係することかと思うのですけども、その発行するタイミングによって、その前後で取得した単位が、その後にどういう形で使えるのかが多分変わってくると思います。また、例えば仮に教職大学院や教育学研究科の科目を使うにしても、同じ学生といっても、正規の学生とプログラムの学生で少し違うと思いますが、同じ科目の履修生でも、一方の学生が取得した単位はこちらに使って、もう一方の学生は別に使ってというようなことが生じるなど、現状のしくみの中であまりにも複雑な形になってしまうと、それは実務的にも管理をするのがすごく大変になってくるし、将来的に大学院なり専修免許状の科目に使えると思っていたら、実は何らかの制限があって使えないということになってしまうかもしれません。そういう意味では一定程度学部の授業科目を使いながら、その辺りがクリアできるような仕組みをつくっていくということは大切かなというふうに感じたところでございます。
 ほかの先生もおられますので、とりあえず以上ということにさせていただきます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 では、植田委員、どうぞ。
【植田委員】  ありがとうございます。基本的に今、先生方がおっしゃっていることと重複してしまう部分もありますが、2点お話をしたいと思います。
 1つ目が、今回、どうしてこういう議論をしないといけなくなったのかという、そもそもの背景の部分をもう一回改めて共通理解をしておく必要があるのかなというところを、先生方の議論を伺いながら思ったところです。
 多くの先生方もおっしゃっていましたけれども、多様な専門性を持った人材という方をどう捉えるのかというところが重要かなと思っています。その場合に、今回のこの制度というのが、基本的な考え方は佐古委員がおっしゃってくださった、特別免許状その2みたいなところに、私もある意味、立脚するということは賛成な部分ですけど、そもそも今回のこの多様な人たちというのが、何をターゲットにして、何を担ってほしい人たちを想定した制度にするのかというところの共通理解がないと、どういう制度にしていくのかというところがなかなか決まっていかないのではないかなと思っています。
 そういう意味では、現行の様々な免許状がある中の新しいプラスアルファをつくるのか、そもそも現行制度の中に入れ込んでいくのかというところで全然変わってくるでしょうし、そもそもどういう人たちをターゲットにするのかという点では、今までの制度では賄えなかった部分を担当してもらう人を新たに採りたいというところがあるのであれば、プラスアルファの制度にしなければいけないのではないかという認識もあるので、どういう人たちをターゲットにしたものをつくるのかということを考える上では、そもそも、なぜこういう議論が必要になってきたのかという部分を改めて再確認した上で、多様な人材とは何かというところを考えていかなければいけないかなと思いましたというのが1点目です。
 2点目が、今回イギリスの発表させていただきましたけれども、イギリスを見ていていつも思うのは、やはり質をどう担保していくのかというところがすごく重要になって議論されていて、そういう質担保の制度設計をしているから、こういうふうな多様な制度が運用できているというところがあるのかなということがあります。
 そのところを考えたときに、今回その専門性がある特定の能力という部分にあるとした場合の質をどう判断するのかということが問題となります。つまり、その専門性に基づく特定の能力を、教員としての専門性の部分で見たときに、それがちゃんと教員として求められる質を担保していることをどのように証明するのかの議論が必要です。また、そういう人材を学校現場に何を目的として配置をするのか、ほかの先生方と全く同じことをしてもらうのか、それとも、今の特別免許状を持っている人たちのように特定の領域で活躍してもらう人をつくるのかによって、その検証の仕方も変わってくると思うのです。そういう意味では、この今回の制度で入ってもらう、教員になってもらう方たちの特定の能力というものをどういうふうに捉えるのか、つまり普遍的なものと捉えるのか、それともある意味特定の分野だけに限定するのかというところでも、質の保証の仕方も変わってくると思います。質をどう担保するのかというところの議論も、今後検討していく上では、どういう制度設計にするのか、その制度の質をどう担保していくのかというところを議論する上でも、1点目の多様な人材をどういうターゲットにするのかというところと関連して重要になってくると思うので、今後制度設計をどうしていくのか、質をどう担保していくのかというところを議論していくことが重要かなと思いましたというところです。
 以上、2点です。
【貞広主査】  ありがとうございます。とりわけ、多様な人材をどういう層を想定するのかというのも、植田委員が初回から強調しておっしゃってくださっている、大事な論点です。御確認をいただきましてありがとうございます。
 では、鹿毛委員、どうぞ。
【鹿毛委員】  まず、多様な専門性を持つ社会人等をどのように定義するのかという論点が重要だという御発言が先生方からあったと思うんですよね。この点をきちんと考えていくべきだなと思ったことと、例えば特別免許状ですと、教科に関する専門分野というところは比較的分かりやすいかなと思うんですが、前回も議論になりましたけど、例えば小学校でありますとか、そういうところは例えば対人関係職の資格や経験などを認めるなどといった話が少し出たかと思います。
 また、我々として議論を深めていくべき論点だなということの一つなんですが、例えば理科とか数学の免許取得を希望する理系のストレートマスターで学部段階の一種免許状を取っていない院生は教科に関する専門性がかなりある。大学外での一般的な勤務経験がなかったとしても、教師としてのポテンシャルがあるんじゃないかと。現行ですと、一種免許状をまず取らないといけないということで、学部に聴講するような形になるんですよね。そうすると、専修免許状を取りながら、つまり、修士のカリキュラムを履修しながら一種免許状の学部を聴講するという過重な負担が生じてしまっています。
 先ほど森山委員もおっしゃいましたが、なるべく早く免許が取れれば、非常勤講師も含めて、教員をしながら大学院で学ぶということも可能で、そういう形にするために特別免許状の制度を活用するということがあってもいいのかなというふうに思いました。
 そのためにも、先ほど私が申し上げたように、特別免許状の第三者の評価というところで、大学が設置する大学院レベルの科目を一定の単位数履修することによって、修士課程を修了する前に、特別免許状を申請することによって入職するということが可能になるんじゃないかなと思います。ストレートマスターをどうするのかというのは我々の共通の認識だったと思いますので、特別免許状をそのように活用してはどうかというのが1点です。
 その上でなんですけれども、一つは、佐古委員がおっしゃった、特別免許状その2みたいなところですよね。1年間で一種免許状に相当するようなカリキュラムというのも一つのプランで、これは一つの論点だと思うんですけれども、例えば既存の特別免許状ですと、上進については、小学校1種免許上の場合、まず一種免許状に上進し、さらに専修免許状に上進するということになっているかと思います。
 その場合の条件の一つとして、一定の教職経験というのがあります。このように一定の勤務経験を経るという要件によって上進できるという考え方もありうると思います。例えば、十分な教育実習の体験がなくても一定の教職体験を経たうえで大学院で一定の単位を修得することによって、専修免許状を取得するというルートがあってもいいのかなと思いました。
 なぜかというと、やはり1年の課程というのは時間的あるいは経済的なハードルが高いんじゃないかと思うんです。私の勤務校には教職特別課程がありますが、特別課程に入るというのはかなりの経済的な負担に加え、仕事をしながら教職課程を履修するというのは、教育実習まで含めるとなかなか難しいので、一度仕事を辞めて大学に1年間しっかりと通わなければなりません。
 そうすると、確かに教師志望度が高い人が教職課程に入ってくるんですけれども、ただ、今回の論点からすると、多様な多くの社会人を対象とする場合、勤務しながら免許を取得したいというニーズに応じるようなシステムが望ましいと思います。したがって、1年間のプログラムだけではなくて、まずは先ほど述べたように既存の特別免許状の基準を改善することによって一定の単位数、例えば、かつて免許更新制というのがありましたよね。全然趣旨は違うんですけれども、例えばあのような形で、土日や夏季などの休みのときに、なるべく多くの大学がその特別免許状の第3の基準に値するような修士レベルのコースを開講して、なるべく多くの社会人の人たちが取りあえず特別免許状で入職するようにできればと考えました。その後、一定の教職経験を経たうえで、大学院でさらに高度な学習をして専修免許状に上進するというような仕組みは、今のシステムをそんなに大きく変更しないで可能かもしれません。1年間のプログラムということももちろんあっていいと思うんですけれども、ただ、早めに入職したいというニーズとか、物理的、時間的、金銭的なハードルを低めるという意味で、既存の特別免許状を新たに衣替えするというんですかね、そういう形にしたらどうかというのが一つの論点だと思います。
 もう一つの論点は、学部の単位の活用ということに関してなんですけれども、これは先ほど森田委員もおっしゃったんですけども、同じ授業を取って、ある学生は一種免許状のために、ある学生は修士レベルの履修科目になるというのは、腑に落ちないところがあります。単位認定上の作業も煩雑になると思います。確かに一番それは現実的ではあるし、それができるのであれば一つの考え方としてよろしいと思うんですけども、一方で、カリキュラムの質の問題は看過できませんし、今回、大きく改革をするのであれば、中長期的な視野に立って教員養成システムの質向上について考えるべきだと思うんです。
 大きくは修士レベル化という流れの中で、特別免許状であっても、例えば転職先として教職を希望する方、あるいは大学院に在籍するストレートマスターの学生に対する第一歩として、わざわざ学部段階から始めるというよりも、まずそのスタート時点から修士レベルの科目を履修していくというふうにすれば、キャリアアップという観点からもメリットがありますし、ゆくゆくは専修免許状の一部の単位になるという流れもつくるということになります。かねてより我々が議論してきた、専修免許状のための学修の一部になるということなんです。
 ただ、さらなる論点としては、修士学位と、この専修免許状の関係性が挙げられます。修士レベルの新課程を修士学位課程の一部とするかどうかについては、修士学位のそれぞれのカリキュラムにおける専門性に、この新課程がどう位置づくかという問題に関わりますので、学位と免許の取得がイコールにはならないんじゃないか。例えば、教育学関係の修士課程であれば、新課程に修士レベルの水準が担保されればその一部になりうると思うんですけども、より幅広く開放性の大学院教育という視野で考えたときに、例えば国文学といった教科専門性の高い修士課程の学位の一部としてこれが認められるかというのはちょっと違う問題になるかなと思いますので、学位と、この新課程の単位を一致させるというわけでないということも、重要な論点かなと思った次第です。
 以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。今の鹿毛委員のアイデアで、特別免許状的なものを使うというと、ますます特別免許状その2にみたいな別枠にしなきゃいけないという理解ですよね。今の特別免許状のままではちょっと難しい御提案ですよね、きっと。
【鹿毛委員】  ですから、今の特別免許状の第3の要件というのが、第三者の評価を通じた資質の確認というところがあるんですけれども、ここは結構確認するのは難しいんじゃないかと思うんですよね。前回の事務局の御説明でも、なかなかそれを認めるのは難しいということの一つの要因はそこにあるんだとすれば、そこの部分を大学院のレベルで最低限の、特に教職に関する見識とか学習を、ある種の合格、条件を満たすというような形で、現行の特別免許状をある意味、看板を掛け替えるような形でしたらどうかなと。制度をいろいろ複雑にするというのはよくないと思うので、それが可能だったらという話なんですけど、そういうふうなイメージでお話ししました。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 ちょっと事務局に御質問なんですが、現行の特別免許状は、プラスアルファの単位を取っていくことによって上進できる制度設計なんでしたでしょうか。
【大根田教員免許・研修企画室長】  ありがとうございます。今御質問いただいた点でございますけれども、例えば中学校の教諭の免許状に関しては、特別免許状を有している場合には、一定の単位と勤務をもって専修免許状へということが可能と、まずなっております。同様なものは、例えば小学校の免許状でもございますけれども、小学校の場合は、専修免許状だけでなく一種免許状への上進はございますが、中学校の場合、また、高等学校の場合は、特別免許状から一種免許状への上進というのは、現行はないという状況でございます。
 したがって、中学校・高校に関して申し上げれば、あくまで特別免許状から上進できるのは、現行ですと専修免許状までということになっているということと、今の一種免許状から専修免許状までの必要単位数とは若干異なっているということで、一種免許状から専修免許状までは15単位が必要ということになっておりますけれども、特別免許状から専修免許状へは25単位ということで、10単位分の差があるというのが中学校・高校の免許状の関係でございます。
 以上でございます。
【貞広主査】  鹿毛委員の御提案は、小学校についても中学校・高等学校についても、同様に基礎免許、普通免許状を挟んで上進していくようなイメージのお話だったんでしょうか。
【鹿毛委員】  恐らく、その教育実習というところ、実務経験を通した学修が、いきなり専修免許状となると、一種免許状の条件とちょっとずれがあるところかなと思ったんですよね。上進の条件はこれからの議論かもしれないんですけれども、例えば、まずは入職するということで、教育実習を経ない方もいらっしゃると思うので、一定の勤務経験を認めることによって補えるんじゃないかということです。さらに、専修免許状に上進する際には、その差分のところを当然履修していただくことにはなると思うんですけども。
 以上です。
【貞広主査】  鹿毛委員のアイデアを実現するには、
今の特別免許状のありようはそのまま取っておいて、別にもう一つ、佐古委員のアイデアのような別枠をつくるということではないでしょうか。
【鹿毛委員】  ただ、佐古委員のお話だと1年間のプログラムということだったんですよね。ですから……。
【貞広主査】  はい、鹿毛委員はもっと早くということですかね。
【鹿毛委員】  早くということもありますし、その単位数であるとか、履修形態であるとか、経済的、あるいは時間的な制約という点で、やはり1年間というのは、勤務校で教職特別課程を運営していて思うんですけれども、結構ハードルが高いですし、学費の問題ということが先ほど植田委員からもありましたけども、そこのサポートという点でもハードルが高いということになります。ですから、単位数や負担という意味では、先ほど更新制講習のお話をちょっとしましたけれども、例えば土日で通って2日間で、あるいは、さらなる日数も必要かもしれませんけど、具体的な点はこれからの議論として、まずは入職するというような形で考えたらどうかなというふうに思ったということなんです。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方、あとお二方ぐらい、御発言の時間あります。佐古委員、お願いいたします。
【佐古委員】  学部4年間で免許を取るという現行の教職課程とのバランスの問題が気になっています。例えば、これは多分入り口の問題、つまり、社会人等をどう規定するかによって変わる可能性がありますが、前提として私は、例えば専門学部で、学部であっても専門性の高い内容の教育を受けてきたという人たちについては、教員の成り手の裾野を広げるという点では対象にしても構わないと思っています。
 これは、現行の基礎免許の考え方で、専門性という得意分野をもって、その部分については一定程度学習がなされているという前提のことがあれば、それを補うような教育をセットにすれば、十分これは成り立つと思っていますので、そこまで広げても構わないと思っています。そうなってくると、一方で4年間かけて基礎免許を取っている。ところが、片方は、学部のときには全く教職課程を履修しなくても、1年追加すれば、位置づけという点では同等の免許が取れるとなると、学部の教職課程そのものがメインストリームでなくなり、専門学部へ行って、その後1年間追加で免許を取るということが起こるのではないかということを、教員の養成に携わっている者とすれば、それは今後考えなきゃならないことかなと。免許状の取得に対するバランスが気になるところです。
 それと同時に、そのことは質の問題と関わっていまして、これはあくまでも標準的な免許状ということで付与しますので、そのことについての質の担保はやはり必要ではないかと思っています。そうすると、一定程度の学習レベルというものは想定した上で、それに学生さんたちが学びやすいような工夫を入れていくというような発想のほうが私はいいかなと思いまして、その点で、1年間程度ということがあっても差し支えないんじゃないかと思っています。
 もう一点は、多様性ということで、大学院で新たな免許状を取得させることができる大学を広げていくことはいいことだと思うんだけども、逆に、こんな言い方すると叱られますが、形骸化した教職課程みたいなものが増えても問題が残るのではないか。今我々議論しているのは、専門性の高い、質の高い教員を本当に学校に送っていくためのルートを考えているわけなので、そういう大学が、その1年間、あるいはそれより短期か分かりませんが、大学院での免許を取得させるようなプログラムや課程を開発できるかについては、これは相当きちんとした基準を出さないと教職課程が形骸化すると思っています。
 そういうことも含めてお話しして終わります。以上です。
【貞広主査】  ありがとうございます。では、植田委員、どうぞ。
【植田委員】  ありがとうございます。今言おうとしていたことは、ほぼ佐古委員と同じことだったのですけど、別な言い方をすると、要は今回の制度をどれだけの量的なものとして考えているのかという部分を、議論しなければいけないのかなと思いました。ある意味、ニッチな部分での少数のパイとして考えるのであれば、違う論点もあるでしょうし、でも一方で、それをある意味メインストリームと並行するような形の、量的なものとして考えるのであれば、また、違う議論も必要になってくると思います。なので、今回の制度設計をどれだけの量のものとして考えるのかという議論も必要かなと、お話を伺いながら思いました。ある意味、ちょっと言葉は悪いですけど、この教員不足の調整弁みたいな部分として考えるのであれば、また全然違う議論も必要になってくるかなと思うので、量的なイメージをどう捉えるのかというところかなと思ったのが1つ目です。
 それからもう一つが、質の高いというところの議論をしているというところは、佐古委員の御発言がずっと気になっていて、何を求めてこの制度を設計するのか、先ほど初めに発言させていただいたところと重複しますが、何をもって高い質の人というふうに判断をするのかということです。つまり、何を求める人材をこれからこの教員、どういう免許になるか分からないですけど、どういう人材を誘導しようとしているのか、そこに求める高い質というのは何なのかというところの議論だと思います。今の特別免許状で当てはめて、教員じゃない部分でのいろいろな専門性や特別な能力を持った人を、教員として現場に来てもらうということを考えた制度になったときに、今までの教職論として議論されてきた部分の専門性とはまた違う、専門性や高い質というものが求めていると思います。そうなったときに、今回議論しているところでの高い質というときの質は、何をもって高い質というふうに判断するのかというところの共通理解をきちんとしとかないと、制度設計が変わってくるのかなと思いました。
 それと同時に、その質を誰がどういう基準で定めるのかというところです。その質を何に基づいて判断するのか、その基準を誰が決めるのかというところの議論も必要ではないかなと思いました。そういう意味では、今日お話をさせていただいたイギリスでいうと、ある意味、多様なものを保障するけど、それの管理をする質のコントロールをするのは国だというところはすごく明確に示されています。そういう意味では、全国で多様なプロバイダーが提供しても、実は国が定めた基準で担保しているというところは明確です。
今回、日本の制度を考えたときに、誰がその質をコントロールする主体になるのか、その基準を誰が決めるのか、誰がその質を担保するのかというところの議論が必要だと思います。今は都道府県教育委員会となっていますけど、それを都道府県教育委員会に任せる制度設計にするのか、それとも、国がきちんと基準を定めて、その基準を全国で保障するような制度設計にするのかみたいな、その質を担保する主体を誰にするのかというところもきちんと議論する必要があると思いました。
 以上、2点です。
【貞広主査】  ありがとうございます。少なくともこのワーキングの立ち上げは、教員不足の調整弁という位置づけではなかったということだったかと思いますので、その点は恐らく共通理解であると思います。
 また、植田委員から、とても重要な論点の投げかけが幾つかありました。
 では、次に、森田委員に御発言いただきますが、恐らくこれが最後の御指名になろうかと思います。ほかに御意見がある方、事務局のほうに御意見をお寄せいただければと思います。では、森田委員、お願いいたします。
【森田主査代理】  御議論の中で出てきたのは、小・中・高ということでしたが、どこまでの免許をターゲットにするのかという議論も大切ではないかと思います。どこかに絞るのも難しいと思うのですが、今、もう一つのワーキングの下の作業部会も実は別々で動いて、例えば幼児教育、小学校、中学校・高等学校などが別々で動いていますので、例えば、小学校と中学校・高等学校の両方を対象にしたときに、今回我々が議論している議論とどうかかわってくるのか。小学校版、中学校・高等学校版などを分けて考えていくのか。中・高の場合は割と教科が前面に出ますので求められる専門性なども分かりやすいと思うのですが、小学校まで広げていったときに、果たしてどういうことが可能なのかという視点も持っておかなければならないのではないかと思ったのが1つです。
 それから、特別免許状を活用するということに関しまして、今日の論議にもありました、どのタイミングで出すのかによって大きく制度が変わってくるのだと思います。きちっと1年間、何らかのパックで学んだ上で特別免許状が最後に取得できるような仕組みを考えるのか、それとも入学して在学途中で免許を取得して、学校で勤務しながら、学びを継続するような仕組みを考えていくのか。そのときに、養成する機関というのはどこまで責任を負う必要があるのか。仮に、特別免許状を早く取得する仕組みであれば、プログラムを修了せずにやめてしまっても、免許状自体は通用していくわけです。いろいろと複雑な問題があると思いますので、いくつかのパターンについて、それぞれを整理しながら、どれがベストなのかを考えていく必要があるのではないかなと思います。
 それから最後に、植田委員おっしゃったようなこととの関係では、現行の仕組みで言いますと、こういった形で特別免許状を出す大学院の課程として、課程認定をする制度はないと思います。そうすると、こういった新しい仕組みが始まっていくときに、それを担う養成機関をどうやって認定するのか、多分新たな申請方法とか審査の枠みたいなことを考えないといけないと思うのですが、その辺りも現実的にどこまで可能なのかということと、養成機関の質をどう担保するのかなども考えながら、今後検討していく必要があるのではないかと感じました。以上3点でございます。ありがとうございました。
【貞広主査】  ありがとうございます。小学校まで入れるかどうかという問題はかなり重要なテーマかと思います。
 今日はどちらかというと幅広に御意見をくださいということで、皆さんから幅広な本当に貴重な御意見をいただきました。懸念点やこういうふうに設計していったほうがいいんじゃないかという御提案も、もろもろありました。
 ただ、今、森田委員の御意見にもあったとおり、今回このワーキングで検討している物事だけ独立しているわけではなくて、恐らく、隣接する他の制度との矛盾がないように整理するなり制度の設計をするなりした上で成立するものなんだと思います。ということで、勝手ながら、事務局にお願いなんですけれども、今回の委員の皆様からのもろもろの御意見を引き取っていただいて、何らかの事務局案のようなものを次回お出し、もしかしたら複数案かもしれませんし、複数案を並べた上で、例えば先ほど植田委員がおっしゃってくださったような幾つかの重要な論点から見ると、この案だとこうだとか、この案だとこうだとかというような、少し具体に落とした議論を委員の皆様からできるような段取りにできればいいかなと思うんですけど、ほかの委員の皆様、何か御意見ありますでしょうか。よろしいですか。何か勝手に事務局に宿題を出すみたいになっていますけれども、よろしいでしょうか。
 事務局のほうから何かコメントがありましたら最後にお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
【大根田教員免許・研修企画室長】  ありがとうございます。まさに今、主査からいただきましたとおり、今日いただきました意見、前回いただいた意見も含めてかと思いますけれども、幾つかのパターンとして具体的なものに落とし込んだ形で、次回、それを基にまた御議論を深めていただけるようなたたき台というか案をお示しできるようにさせていただければ、そこに今日いただいた論点も含めて入れていくような感じかなというふうに思っておりますので、資料の準備を進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【貞広主査】  ありがとうございます。
 今回も委員の皆様から様々な意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。本日の議論を基に、次回は事務局案も基に、さらに検討を進めていきたいと思いますので、引き続きどうぞ御意見を賜れますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事は以上となります。最後に事務局より御連絡をお願いいたします。
【大野教員免許・研修企画室室長補佐】  次回のワーキンググループですけれども、資料3のとおり、3月3日火曜日10時より開催予定となっております。
 以上でございます。
【貞広主査】  では、ありがとうございました。本日は長時間にわたり、御礼を申し上げます。以上で終了いたします。
 
―― 了 ――