教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和7年11月19日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

3F2特別会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 教職課程・免許・大学院課程に関する現状・課題と検討事項について
  2. その他

4.議事録

【秋田主査】  皆様、おはようございます。大変お待たせをいたしました。これから第2回中央教育審議会初等中等分科会教員養成部会教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループを開催いたします。
 それではまず、事務局から、会議の開催方法について御説明をお願いいたします。
【森津専門官】  事務局です。本日の会議の進め方等について確認をさせていただきます。本日の会議につきましても、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。
 御発言時は、画面下部のリアクションボタンにある挙手ボタンを押していただき、併せてマイクをオンにし、御発言が終わったら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
 以上です。
【秋田主査】  それでは、議事に入ります。前回のワーキングを踏まえ事務局にて資料の作成と整理を行っておりますので、まずは事務局より、資料の説明と今後議論すべき内容についての御報告をお願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料に沿いまして説明をさせていただければと思います。
 まず、資料1に関しましては、この後他の説明をさせていただいた後で改めてと思っておりますが、前回の会議で御議論いただいた内容を踏まえまして、その内容を図で表すとこういう内容ではないかということで素案として事務局として準備させていただいたものでございます。この資料を説明させていただくに当たって、前回どういった議論をいただいたかというところを改めて少し確認をさせていただきながら、この資料1に戻れればと思っております。
 資料2を御覧いただければと思います。資料2に関しましては、前回御議論いただいた内容、論点を載せさせていただきつつ、後で申し上げますけれども、2点目の今回の論点ということを追加させていただいた資料になってございます。前回この資料に基づきまして、1と2という大きく二つの論点について御議論をいただいたところでございます。
 1として教員養成段階で身に付けるべき資質能力についてということで2ページでございますけれども、1回目のワーキンググループにおきまして、3つの点について御議論をいただきました。1点目が、全ての大学の教職課程で共通的に身に付ける能力と、各大学の独自性、また、意欲に応じて学ぶべき学位課程全体で身に付けるべき資質能力をどう考えていくかという点。また、養成・採用・研修全体を通じた連続的な資質能力の向上という観点に立ったときに、採用や研修段階で資質能力をどう測り、どう伸ばしていくかという点。さらに、大学と教育委員会等との連携の在り方、この3点について御議論をいただいたというところでございます。
 そして前回の議論におきましては、改めてでございますけれども、以下のような点について御発言をいただいたと事務局としては認識しております。まず、丸1の関係でございますけれども、学ぶべき個別の要素よりも機能で考えることが必要ではないかという点。また、その関連で、構造化・再構造化が必要ではないかということ。そして、その際に、考えていく上ではフラッグシップ大学の取組が参考になるのではないかという御指摘もいただきました。単純に精選するのではなく、要素を見定めた上でうまく科目を統合して考えていく必要があるであろうということ。また、一種免の質を落としてというものではなくて、コアの共通的要素について根幹に据えた上で、どういった専門性が必要かを選べるようにすべきであるといったような、御意見をまずいただいております。
 また、一般教養や教科の専門性を含む広い意味での教職課程の中で能力を培っていくべきであるという点。関連で、学位課程・学士課程との関係では、課程認定において教職課程と学位課程の関係を確認していく必要があるといった点も御指摘をいただいているところでございます。
 併せて、強み・専門性というキーワードでございましたけれども、強み・専門性としては、教員養成系と開放制の違いを踏まえながら学びを作っていくべきであるという御意見。また、現在の特定分野に強み・専門性を持っていれば、教員養成を目的としない学部・学科でも幼小の免許の取得ができる特例があるが、こういったものも正面から認めていくことも論点になるのではという御意見等をいただいているところでございます。併せて、強み・専門性に関して免許等で付記できるような新しい仕組みも検討してもいいのではないかといった御意見もいただいているところでございます。
 今の2ページのところでいいますと、丸2の論点、養成と採用と研修の関係でございますけれども、以下の予定について御指摘をいただいていたかと認識しております。まず、教師の必要な力を養成段階で全て身に付けることは困難である。そういう意味でどこまで基礎的な部分として担って、どこから研修で担当すべきかを念頭に置いて議論をする必要があるのではないかということ。また、教職課程、教師生涯を通じて育むべき資質能力ということを考えた上で、養成段階をどう位置付けて、全体として共通で身に付けるべき資質能力は何であるのかということを考えるのも一つの形ではないかという御指摘等をいただいていたところでございます。
 また、コアカリキュラムや育成指針、その前提の大臣指針や採用試験の共通化など縦につなげたときに、現状どこに課題があるかというところも構造化の視点になるのではないかという御指摘もございました。
 また、大学院での学びは重要であり、養成段階での議論は不可能であるため、研修と同時に大学院での学びも展望しながら、その一部として養成課程を位置付けていく必要があるのではないか、学修成果の蓄積が示せるような単位構造が考えられないか等の御指摘もいただいているところでございます。併せて、法定研修以外でも、先生自身の興味関心に応じた学びや経験ができるような支援が必要であるという自由な研修の在り方についての御指摘もいただいているところでございます。そういった点が丸2の関係でございました。
 また、丸3におきましても、大学等と教育委員会、学校の連携についての議論をすることが必要不可欠であるという御指摘をいただいているところでございます。こういったところが、この1の関係、丸1から丸3の関係で前回いただいた御意見でございました。
 もう一つの論点が、2ページ目の2でございます。教師養成段階で学ぶべき内容、学び方、それらを担保する方策についてということで御議論いただいたところでございます。この点に関しては4ページから5ページにかけてございますが、前回のワーキングでは三つの論点について御議論をいただいておりました。一つは、共通で学ぶべき内容として追加すべき内容について、また、丸2として、一般教養(免許法施行規則66条の6に定められている科目)や科目、介護等体験についてどうあるべきか。さらに丸3でございますけれども、教職課程で学ぶべき内容を効率的・効果的に学んでいくために、質の担保という観点でオンデマンド、CBTの活用等についてどういう留意点があるのかという点について御議論をいただいたところでございます。
 これらそれぞれについて、前回いただいた御指摘を改めて確認させていただきます。丸1の観点でございますけれども、自らの強み・弱みや目指すべき教師像と向き合って発揮できる力と補う力を踏まえて、周りを助けたり、周りに助けられるかを考えるということも必要ではないかという御指摘でしたり、自分自身で物事を関連付けられる学び方を教職課程の中で担保する必要があるのではないかといった御指摘。ここにおいても、フラッグシップの先導的な学び等も踏まえて検討してはどうかという御指摘もいただきました。また、周りに助けを求めることができる力も必要ではないかといった御意見をいただいたところでございます。
 丸2の関連でございますけれども、介護等体験等については、大学によって単位化がされていないなど扱いに差がある中で、基礎的な免許というものを考えるときにもう少し検討が必要ではないかという御指摘。また今ある科目をどう再構造化するかということを考えると、例えば憲法は他の教育法規とどのように関わっているかについて学んだり、介護もどのような目的で行うのかという観点で全体を繰り入れていくことが必要ではないかといった御指摘。介護等体験については、体験の質や省察の観点から他の学びで代替できる面も含めて必修化については見直してもいいのではないかといった御指摘をいただいていたところでございます。
 最後に、オンデマンド、CBTとの関連でございますけれども、コアカリキュラム、指針・指標、また、採用の共同実施の全体を通じて、繋がっていないところがあれば繋いでいく必要があるのではないかという点。また、単位数が多いために授業中・授業外で省察する時間が取れていないということであれば、大学教育の中でしっかり学ぶ機会を設けて習慣化していく必要があるのではないかという御指摘。また、指導要領で自ら学びをつなげる学習ということを掲げていることより、教職課程においても学生が自らの学びを関連付けることを考えることが重要ではないかという点。さらに、教員の研修については、大学間での連携を考え、模索する必要があり、教職教育においても共同利用拠点を大学間の連携で作っていけるとよいのではないかという御指摘。最後に、オンデマンドの教材の活用に当たっては、成果をチェックできる仕組みが必要であり、CBTの活用とともに、他の授業の科目で反転的に利用し、オンデマンドで学んだ内容を授業で活用したり、確認したりすることが必要ではないかという御指摘や、単に時間を節約するという視点ではなく、豊かな学びを実現するための手段であるという視点を確認しておくべきという御指摘をいただいていたところでございます。
 こういった前回の第1回の論点についての御議論を踏まえて、今申し上げましたところとかなり重複するところもございますが、まとめた資料がこの資料1でございます。
 枠組みの中でございますけれども、大きな方向性として、一つ目、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成ということを考えたときに、養成・採用・研修の各段階において教職課程の学生、教師が生涯を通じてそれぞれの強み・専門性を伸ばせるような仕組みにしていくことが必要ではないかという点。また、養成段階では共通で学ぶべき内容を再構造化した上で、専門的な学修に基づく強み・専門性も含めた教師養成を行っていく必要があるのではないか、採用段階では教師に必要な基礎能力が身に付いているかを測定し、研修では教職課程及び入職後に身に付けた強み・専門性を更に伸ばせる機会を提供し、教師の資質能力を継続的に向上していく仕組み作りを目指す必要があるのではないかということが大きな方向性であったと事務局としては認識しております。
 詳細を下のところで図で示させていただいております。青の丸の図の部分が基礎能力の部分でございます。そして、黄色のとがっている部分が強み・専門性として示させていただいているところでございます。ここでその上に書かせていただいた内容は、先ほどいただいている御意見を集約して書かせていただいております。前回1回目の御議論はこのような御議論いただいたかと考えております。
 これらを踏まえて、資料2に戻りますけれども、更に深掘りをした御議論としていただければと考えておりますのが、まず、資料の2の2ページ、1個目の論点の方でございます。丸1と丸2ということで書かせていただいていますが、養成・採用・研修の一体的運用を通じて資質能力を連続的に向上させていく観点で、養成・採用・研修をどう関連付けていくか。教職課程と採用、教職課程と初任者研修、採用後の研修と免許の在り方、これらを実現していく上で、大学等と教育委員会等の連携の在り方をどのように見直していく必要があるかといった、大きな柱を立てさせていただいております。
 2の関連でも論点ということで書かせていただいています。4ページでございます。丸1から丸4として書かせていただいておりますが、一つ目が、教職課程の質を向上する観点で、共通的に学ぶべき内容は具体的にどのように再構造化をするべきであるかという点。一般教養や介護等体験も含めてどのような再構造化の在り方があるかという点。また関連して、新たに追加すべき事項は何かという点。3点目ですけれども、学修の質を担保して、資質能力が確実に身に付くようにするために何が必要かという観点を、コアカリキュラム、課程認定、オンデマンド教材、CBTの活用を含めて御議論いただければと思っております。さらに、教職課程ごと、また、学生ごとに強み・専門性といったときにどのようなカテゴリーが考えられ、これは学位課程との関係はどうあるべきであるか。今ある様々な資格、学修との関係も含めて御議論いただけたらと考えておりまして、前回の御議論を踏まえてこのような論点を立てさせていただいております。
 御議論をいただくに当たっての関連の資料について、最後に幾つか説明をさせていただければと思います。まず、資料5でございます。
 今お示ししている資料3と4は、今後フラッグシップの関係で各大学から御説明いただく資料でございます。
 資料5でございますが、1ページ目に関しては、前回お示しした全体の養成から採用・研修への流れと、その背景となる指導要領の改訂や高等教育の今日的課題等をまとめたものでございます。
 2ページ以降が、現在の各免許の学校種ごとの科目、そして各科目に含めることが必要な事項、そして単位数等をまとめた資料が、幼稚園、小学校、中学校、高等高校について参考として付させていただいているところでございます。
 併せて、4ページでございますけれども、委員からの御発言も前回ありました、特定分野に強みや専門性を持つ学科等に係る特例、現行これが可能となってございますけれども、その制度についてまとめた資料が4ページと5ページということでございます。併せて、専科指導優先実施教科に対応した小二種の特例についても6ページに載せさせていただいております。
 そして、指針の関係で7ページでございます。校長及び教員として資質の向上に関する指標の策定に関する指針ということで、具体的な内容として五つここにまとめられているところでございます。教職に必要な素養とともに、上にある四つ、青と緑のところでございますが、そういった内容が学習指導、生徒指導、そして特別な配慮や支援を必要とする子供への対応、そしてICTや情報・教育データの利活用と、こういった五つの柱があるという状況がございます。
 詳細については、8ページ目に書かせていただいているところでございます。例えば生徒指導に関しては、その中にどういった内容があるかということをその中に詳細を書かせていただいているというものでございます。まず、資料5は以上でございます。
 併せて、参考資料2でございます。参考資料2は、現在の教職課程がその前からどのように見直しが行われたかというものを示している資料でございます。幼稚園からそれぞれ小学校、中学校、高校に関して、養護教諭、栄養教諭等も含めてでございますけれども、過去、現在の教職課程の前の教職課程からどのような見直しが行われてきたか、再構造化ということを御議論いただくに当たって、前回どのように構造化がなされたかということに関する資料として付けさせていただいております。
 参考資料3は、先ほど少し触れさせていただきました特例の具体的な例について載せさせていただいておりますが、これも適宜御参照いただければと思います。
 最後になりますが、参考資料1でございます。この間に中央教育審議会の総会、また、初等中等教育分科会が開催されておりまして、そこでこのワーキングの議論の前提となっております養成部会の論点整理について御説明させていただいたところ、いただいた御意見についてまとめさせていただいたものでございます。簡単にではございますけれども、少し紹介をさせていただければと思っております。
 参考資料1でございますけれども、総会、初中分科会それぞれ入っておりますが、まず、いわゆる三つの柱のそれぞれでございます。特に教職課程の在り方の関係でございますけれども、一つ目のポツのところでございますが、採用試験で合格された方にインターンシップのような、授業の補助をやってもらう等予備的な段階で学ぶ機会を設けるということが必要ではないかという御意見や、二つ目ですけれども、一般学部の学生が教員になるとするとキャップ制の課題に直面することもあるのではないか。また、教師を輩出した大学が輩出した学生を応援・伴走していく必要があるのではないか。また、エピペン等の使用や実践的な学習、また、教育実習における避難訓練等の参加の在り方についても議論いただけたらといった御意見をいただいております。さらに、特別免許状についても御意見をいただいております。
 採用・研修の在り方について、丸2でございますけれども、働きやすさと働きがいが両立された学校現場を創出していく必要性、障害がある教師の採用の促進、また、研修効果の判定は、効率的な研修制度の実施に必要ではないかという御意見。
 次のページに行きますけれども、ミドルリーダーや管理職のマネジメント力の向上が必要ではないか。管理職の認識で多様性の包摂が進んでいく観点から、管理職への研修の在り方の検討が必要ではないか。上から三つ目のポツですけれども、教師もリスキリングが求められていくのではないか。また、教員が現職のままで上位の免許状を取得するために教職大学院で学ぶこと等、研修との関連の在り方ということについて議論を深めてほしいという御意見。教員育成協議会における大学と教育委員会との連携についても更に議論を深めていただきたいという御意見等をいただいているところでございます。
 丸3の関係でございますけれども、社会人の異分野への転職は一般的になっている中で検討を進めていく必要があるのではないか。地域や企業等で実務経験を持った社会人の方が学校現場にある一定期間配置されるといった仕組みもあるのではないか。学校現場での経験を通じてどういったメリットがあったかを実証的に検証し、見える化を図っていく必要があるのではないか。最後に、一番下のポツですけれども、社会人の入職に関して、様々な分野で活躍する社会人の方が現場に参入する仕組みを整備するということは大きな可能性を秘めているのではないかといった御意見をいただいております。
 また、最後のページ、3ページでございます。多様なキャリアパスという観点から、博士号を取った方が入職することもあるのではないか。また、社会人の活用ということで、小中高校生に近いロールモデルが必要となり、若手こそ入る必要があるのではないかといったこと等が御議論いただいているところでございます。
 また、関連で丸1から丸3の点について併せて御指摘をいただいていると、こういったものが総会、分科会での御指摘でありましたので、併せて御議論の前提として紹介をさせていただきました。
 長くなりましたけれども、御議論の前提としての資料の説明は以上でございます。
【秋田主査】  大根田室長、御説明をどうもありがとうございました。
 本日の進行でございますが、まずは東京学芸大学及び大阪教育大学の教員養成フラッグシップ大学における取組を御発表いただきまして、それに関する質疑応答の時間を取ります。それからその後に、前回に引き続き、資料2の「教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループで検討すべき論点」に示す論点についての意見交換をしたいと考えております。
 それでは、東京学芸大学の理事・副学長の佐々木幸寿様、どうぞよろしくお願いをいたします。
【東京学芸大学(佐々木)】  どうぞよろしくお願いいたします。東京学芸大学の佐々木でございます。今日は発表の時間は5分ということですので、早速説明させていただきたいと思います。本学の発表は、新しい教員養成の姿を自律型カリキュラムデザインという考え方で発表させていただきたいと思います。
 次のページをお願いします。発表の内容は、フラッグシップ大学の特例をどう使っているかということと、また、自律型カリキュラムデザインの概要について説明させていただきます。
 次お願いします。最初に、本学の学部カリキュラムですが、学士課程と教職課程という要素に加えて、三つ目の要素として自律型カリキュラムデザインという要素を加えたところに特徴がございます。
 お願いします。最初に、フラッグシップ大学の特例の活用でございますが、学位課程でもって全体のカリキュラムをスリム化し、また、教職課程でもフラッグシップ特例を使って科目を削減いたしました。ここで生み出された学生の自由度を使い、学生自身がキャリア形成しながら学びを実質化させていくという機能を生み出したいということで全体を考えているところでございます。
 次お願いします。基本的には教科に関する専門的事項を5単位削り、これをフラッグシップ大学特例の5科目で補充しておりますが、科目の増減ではなく、これは学びを実質化させるために、我々としては自律型カリキュラムデザインということで、今後教職科目の単位を減少させて、なおかつ内容が場合によっては増えていくことも想定しておりますので、そういった場合でも機能するための使い方とについて御提案させていただきたいと思います。
 次お願いいたします。これは基本的には小学校、幼稚園の事例でございますが、さっき言ったとおり5単位を削減いたしました。
 次お願いいたします。中高も同じでございます。
 次お願いいたします。基本的に我々は科目を増減させても自律型カリキュラムデザインのような基本的な学びのOSを作ればやれるのではないかという御提案でございます。
 次お願いいたします。本学のカリキュラム背景の概要でございますが、時間がございませんので、ここでは簡単に見るだけで進めさせていただきたいと思います。
 お願いします。これは教員養成カリキュラム、本学のカリキュラムの課題と改革の方向性を議論したときの論点でございます。
 次お願いいたします。日本全体の教員養成もこういった課題を抱えているのではないかと考えております。こういった課題を解決するためには、基本的に学生自身が自己形成のプロセスの中にカリキュラムを落とし込んでいく必要があるのではないかということで、学生の自律性でカリキュラムを実質化させていくという考え方でございます。
 次お願いいたします。これは当時、改革当初に考えた組み込むべき要素でございます。
 次お願いいたします。次に、カリキュラムマネジメントでございますが、学部カリキュラムについて説明をさせていただきます。
 次お願いいたします。基本的には第3の要素である自律型カリキュラムデザイン、これが学士課程、教職課程全体を含めた基盤OSとしての働きをしているということでございまして、単位を減らしても、自律性を生かした学びの実質化を図ることによって教職課程を機能させていくということでございます。自律型カリキュラムデザインは、こういった基盤OSとしての考え方と、できるだけ新しいコンテンツ、システムを生み出していこうということで考えているところでございます。
 次お願いいたします。基本的なサイクルは、自己理解と自分の理想像を想定した上で、成長の姿を描いて自分のカリキュラムをデザインしていきます。そして、自分の成長の軌跡を振り返りながら、また新しい自己像を探求するというプロセスを循環させていくという基本的な考え方でございます。
 次お願いいたします。これは全体像ですが、後で御覧いただければと思います。
 次お願いいたします。基本的には我々は、まずプロトタイプを作成した上で、毎年改善を図っていき、基本コンセプトすら修正していくということで、コンセプト、それからコンテンツ、システム全体を先端教育人材育成推進機構で考えた成果を基にして、大学でカリキュラム改革推進本部が主体となって毎年改善を図っていくということでございます。
 次お願いいたします。その中心になっているのが先端教育人材育成推進機構ですが、ここでの研究成果を自律型カリキュラムデザインに毎年盛り込んで修正を図っているということでございます。
 次お願いいたします。ここで期待される効果は、基本的にこの四つ、学びの実質化、個別最適、学生の主体性・自律性などでございます。
 次お願いいたします。この自律性についての考え方でございますけれども、ここで並べたような要素を学生の自律性を生かすための要素として特に重視しているところでございます。
 次お願いいたします。まず一つは、主体としての自己、対象としての自己とあると思いますが、特に主体としての自己を重視したということでございます。
 次お願いします。また、学生自身が主体的に参加することで、カリキュラムオーナーシップを醸成するということでございます。
 次お願いします。次にキャリア観でございますが、組織中心、職業中心、人生中心のキャリア観がありますが、本学では目的養成、つまり、職業中心のキャリア観の中でいかにしてキャリアオーナーシップを実現するかということを重視しました。
 次お願いします。とは言いながら、年次を追って、1年次はこういうこと、2年次はこういうこと、3年次はこういうことというように、学生自身には非常にシンプルに考えていただきたいと思っているところです。
 次お願いいたします。また、自己調整の機会もカリキュラムの中に盛り込んでおりますけれども、これもできるだけ自然な形で学生が取り組めるように留意しているところです。
 次お願いいたします。また、カリキュラムの中で、学内外のインフォーマルな体験や学びを包摂する、つまり、大学のカリキュラムとして閉じないことで、卒業した後も生涯にわたって学び続け、自己像を探究するようなものにつなげていくということを想定しているところでございます。
 次お願いいたします。カリキュラムデザインの普及でございますが、基本的にはカリキュラムデザインは基本的な考え方とコンテンツやシステムから成り立っているわけですけれども、特に基本的な考え方ができていれば、今後、単位数の増減をしても、また、内容の増減があっても、ある程度この基本的な考え方、どういうふうにカリキュラムを生かしていくのか、学生自身がキャリア形成と学びの実質化に向かうような姿勢、マインドセットをここで作っていくということが成功すれば、ある程度やれるのではないかなと思っているところでございます。また、コンテンツやシステムについては、それぞれの大学の状況に応じて採用していただければと考えているところでございます。
 以上でございます。あとは本学の資料になってございますので、御覧いただければと思います。
 以上でございます。
【秋田主査】  佐々木様、ありがとうございます。御発表、御礼申し上げます。
 それでは、委員の皆様からただいまの御発表に対する御意見や御質問があれば、お願いをいたします。なお、この後の意見交換も同様でございますが、多くの方が挙手された場合は、時間の関係で途中で区切らせていただき、御発言できなかった委員には後ほど事務局まで御意見を寄せていただければ、事務局の方で議事録に掲載させていただきます。
 おおよそ10分ほどでございますが、よろしくお願いをいたします。御意見がある方は、積極的に挙手をお願い申し上げます。
 ありがとうございます。真島委員、それから田中委員と、順にお願いしたいと思います。ではまず、真島委員からお願いをいたします。
【真島委員】  御発表ありがとうございました。学生が自律してカリキュラムを自ら構築していくというようなオーナーシップ性のところは非常に共感いたしました。2点お聞かせいただきたい点がございます。
 一つは、教科専門のところを5単位削って今回新しく単位を作られたということなんですけれども、削るに当たって、教科の専門性をどう担保するのかについての御議論や、あるいはそこに対する懸念とか、実際これを、カリキュラムを動かしてみて、そういう懸念はないというような検証をされたこととか、そういったことがございましたら教えていただきたいというのが1点です。
 もう一つが、12ページに教員養成カリキュラムとして克服すべき課題というページがございまして、日本の教員養成が抱える構造的課題のところにも、教科専門と教科教育の連携の難しさとかいろいろ書かれているのですが、基本的に教員養成をするに当たって、学校教員は授業で勝負していくというところが非常に重要になっていく中で、今回のこの自律型のカリキュラムをOSという形で基盤強化していくことが、そういった教科の専門性や、あるいは教科の指導法のこと等を、日本の教員養成が抱える構造的課題をどのように解決に向かっていけるのかということを、学生さんを育てることで解決していける部分はすごく理解できますが、教える側の大学教員はそれをどのように理解をし、今回の東京学芸大学様の大学教員の方々はそこにどのように協力をして、そこを支えているのかといった点を教えていただきたいです。
 以上です。
【秋田主査】  真島委員、ありがとうございます。もう1名、田中委員からの御意見伺ってから、御回答いただければと思います。
 田中委員、お願いをいたします。
【田中委員】  田中でございます。自律型というところで非常に多様性に富む学びを学生さんができるということと、その学びを経ることによって、非常に専門的なところを肥やすというか、学び続けるというところにつながっていく仕組みというかカリキュラムデザインだなと思いまして痛く感動いたしました。しかし、それが確実に養成として学生に身に付いているのか否かというのは、どういった側面で評価できるのか、成果として確認できるのかという点が伺えなかったように思いますので、それを測る仕組み、評価の仕組みというところはいかがかというところが気になりました。
 以上でございます。
【秋田主査】  田中委員、ありがとうございます。
 それでは、佐々木様、今のお二方からの御質問に対して御説明をお願いできますでしょうか。
【東京学芸大学(佐々木)】  まず、真島先生からの1点目ですけれども、教科の専門的な内容を5単位削ったということですね。これについては、もともと1科目でいいものを10科目全部やらせていましたので、それを5単位削ったということで、免許法上は問題がなかったことでございますし、教科の専門性を例えば1単位やることで、学生の力が急に上がるということは少し考えにくいということもあります。教科は、学生が小中高と、また、大学入試も経て入ってきておりますので、ある程度身に付けられているはずだということで、これを削ってもある程度補えるはずだという形でやっているところでございます。これに伴って大きな支障が生じているということは今のところ聞いておりませんし、また、それについては具体的な調査研究でやるということもかなり難しいと思っております。
 2点目ですけれども、教科専門と教科教育の融合というのは非常に難しいわけで、理論と実践の融合自体も難しいわけですけれども、大学の教員が今までそれを何とかカリキュラムとして提供していこうということでやっていったわけですけれども、果たしてそれは成功していたのかというか、そもそも融合する主体は先生ではなくて学生自身だったはずであるということで、学生自身が主体的に理論と実践の融合や、教科専門と教科教育の融合などを自分自身のものとして考えて身に付けていくことにこそ目的があったはずなのですが、大学の教員の側がそれをこうだというふうに提案して、それで教員養成がうまくいくとは考えておりません。ですので、そもそも今までの大学側がカリキュラムとして提供することで教員養成が成立するという考え方自体に無理があったのではないかということで、発想を転換したということでございます。
 本学は大学教員が270名ぐらいおりますので、大学教員全体を変えていくということは困難だと思っておりまして、カリキュラム改革推進本部に力のある先生方をお願いして、その先生方が全体のカリキュラムを先導する、学生にも説明をするという形で、大学のカリキュラム本部が主体となって学生に働き掛けていくという手法を取っております。こういう中で先生方にも徐々に広まっていっているのではないかと思っているところでございます。
 次に、田中先生からの御質問でございましたが、学生の自律性を生かした教員養成、これが機能しているのかということでございます。これは比較の対象がまた、従来のカリキュラムと現在のカリキュラムはどうなのかということでございますので、従来のカリキュラムで養成した学生と今のカリキュラムで養成した学生がどういうふうに変化してきたのかということをしばらく見ないと分からないと考えております。入学してきた学生についてはアンケート等で調査をしており、量的な分析の中で、特に学生の方では、主体的に物事を考えるようになってきたり、自分事として考えるようになってきた、そういった成果が見られているところでございますので、これについては今後更に調査を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
【秋田主査】  佐々木様、御回答をどうもありがとうございます。
 それでは続きまして、大阪教育大学の理事副学長の峯様、どうぞよろしくお願いをいたします。
【大阪教育大学(峯)】  おはようございます。大阪教育大学の峯明秀です。本学の教員養成カリキュラム開発の取組について御説明いたします。
 1枚送ってください。今御覧いただいているものが、本学が設定した教師人材像を養成するためのプラグシップ指定科目を取り入れたカリキュラムの全体構造図です。ディプロマ・ポリシーで掲げる資質能力を獲得することを目標にし、その下に、フラッグシップ構想により育成を目指す、問い続け、寄り添える教師に必要な要素である三つの項目を置いています。これらの資質能力を育成するために、フラッグシップ指定科目を図中の赤枠、ダイバーシティ教育科目群、青枠の特例4領域科目群、緑枠の実習系における省察科目群として、各学年進行に合わせて配置しております。
 送ってください。拡大したものです。ダイバーシティ科目群の4科目は、各1単位として、1年生930人が必修科目として13クラスで全員が学んでいます。教育データの利活用やファシリテーターとしての教員など特例科目群の4科目は、基礎となるローマ数字1を2年次で、これは570名が全員必修で学んでおります。3年次の発展・応用の2は選択必修として配置しています。省察科目群の教職のための省察入門は、1年生1単位、2年次の教育実習前に1単位で必修となっております。
 送ってください。これが単位数の増減の全体像です。教育職員免許法の一種免許状を得るためには、免許法施行規則の第3条第1欄から第6欄の左側の見出し科目区分で59単位必要ですが、本学ではフラッグシップ特例により、表の一番上の区分、教科及び教科の指導法に関する科目について、本学では小中高の単位数を大きく減じました。次からのスライドで減じた3科目の科目区分について説明いたします。
 送ってください。最初に、教科及び教科の指導法に関する科目です。小学校に関しては、30単位から20単位へ10単位を減じています。これは小学校の各教科の指導法や教科に関する専門的事項の専門科目を1単位化することで実現しています。中高においては、必修科目の再編によりそれぞれ8単位を減じ、一部の必修科目を選択科目として開講することにより内容の補完を行っております。簡単に言うと、従来、教科の指導法に関する科目は、初等と中等の教科教育法に共通する模擬授業や指導案作成などに関する内容をフラッグシップ科目において取り扱うことで内容を補完しております。これは本学では小中の免許状の併有を卒業要件としたことで実現しております。
 送ってください。次に、教育の基礎的理解に関する科目と、道徳、総合的な学習の時間などの指導法に関する科目です。これらは教職課程コアカリキュラムに対応しつつ、それぞれ2単位であったものを1単位化し、含める事項をそれぞれについて1単位を中心に開講しております。単位数を減じた内容については、資料下部に記載の教育総論、学校の役割と経営、教育相談の理論と方法です。
 説明としましては以上です。
【秋田主査】  峯様、御説明をありがとうございます。
 それでは、委員の皆様から御意見や御質問があれば、お願いをいたします。どうぞお手を挙げていただければと思います。いかがでございますでしょうか。
【大阪教育大学(峯)】  なければ、少し付け足してよろしいでしょうか。
【秋田主査】  どうぞお願いいたします。
【大阪教育大学(峯)】  先ほど質問にも出ておりましたので、少し資料を付けました資料について加えさせていただきます。
【秋田主査】  どうぞよろしくお願いいたします。
【大阪教育大学(峯)】  送っていただいて、ここは、先ほど減じたことによって不利益を被らないかということでございますので、本学では単位数を減じた科目及びフラッグシップの科目の有効性の検証を、各科目の理解度や満足度についての調査アンケート、それから単位数を減じた科目の担当教員について聞き取り、それから実習指導していただいた教員に対してアンケートを取っております。
 送ってください。減じるに当たって本学では、オンデマンド教材の開発、そしてオンラインを展開することにより、これを可能にしております。
 送ってください。そして、他大学への展開としまして、大学設置基準における教育課程等における特例制度を使い、他大学への展開を考えております。
 以上でございます。
【秋田主査】  どうもありがとうございます。ただいま補足説明もいただきましたけれども、御質問等ございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、峯様、どうもありがとうございます。
【大阪教育大学(峯)】  ありがとうございました。
【秋田主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、今の二大学の発表の内容も踏まえまして、資料2の「教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループで検討すべき論点」に示す論点についての意見交換を行いまして、その内容を基に次回のワーキンググループでより具体的に検討したいと考えております。
 前回のワーキンググループでは、論点1と2それぞれに関して御意見を分けていただいておりましたけれども、今回は1、2ともいずれの論点からでも結構でございますので、御自由に御発言をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 どなたからでも結構でございますので、挙手して御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。是非、全員の皆様にお願いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。それでは、高橋委員、森田委員とお手を挙げていただきましたので、まず、高橋委員からお願いをいたします。
【高橋委員】  高橋でございます。ありがとうございます。論点でいうと2番目の丸2というんですかね、教職課程に新たに追加すべき内容は何か、あるいは少し改善すべき点は何かみたいなことで4点ほど意見を申し上げたいと思います。
 背景ですが、次期学習指導要領の改訂については、中学校において、技術・情報科、仮称と言われていますが、これが新設される見込みですが、これに関して、まず教職科目について1点目です。教職課程の改定の方向性として、まず、共通に学ぶ内容は厳選して、学生が自らの強みや専門性を高めるような柔軟なカリキュラムにするという方向性であるということはよく分かっておりますが、学習指導要領の改訂の議論において、デジタル学習基盤が前提になることや、情報活用能力の抜本的な向上が図られる方向性が示されていることを踏まえますと、情報通信技術の活用に関する事項は共通で学ぶ内容として維持し続ける、あるいは少し充実させていくことが重要ではないかと考えております。その在り方としては、現行の教科指導等に関する科目における情報通信技術を活用した教育の理論及び方法は、どちらかというと教育の方法及び技術に包含されていくような方向ではないかと考えます。むしろちょっと単位が減るかもしれませんが、そういうふうに充実を図っていくべきではないかと考えます。
 ただし、情報通信技術はあらゆる分野や事項、いろいろな教科や領域と関連しますので、こういった包含によって情報通信技術を活用した教育の理論及び方法の内容が指導されなくなると本末転倒でございますので、科目名としてはむしろ情報通信技術を活用した教育の理論及び方法に寄せていく形で包含していくのが妥当ではないかと思うことがまず1点でございます。
 2点目は、施行規則66条の6にある、数理・データ活用及び人工知能に関する科目2単位、又は情報機器の操作2単位については、1点目の件が、教育における、学習指導等における点に関することに対して、この施行規則で行われることは、高等教育を経て社会で生きていく上で必要な資質としてデータやAIとの向き合い方を学ぶことと捉えられると思っております。これ自体は非常に重要で、本来は学位課程で学ぶべき内容であるとは思いますが、外国語コミュニケーション等と異なり、今のところ、教職としても学位課程としても、どこにおいても充実して行われていると言うことがなかなか難しいような状況ではないかと思いますので、教職課程において位置付けて学ぶことが必要ではないかと考えるところでございます。
 いずれにしても、強み・専門性としては、デジタル学習基盤の活用を意図した教育の方法及び技術の文脈になること等も含めて、情報通信技術を活用した教育を推進する観点、あるいは資料5においても、教師に共通的に求められる資質能力にICTや情報データ通信の利活用が一つの柱になっている点なども踏まえて、強み・専門性として何らか立てていくことが必要ではないか、また、この立て方については、私の意見を申し上げましたが、今後よく考えていく必要があるのではないかということが2点目でございます。
 3点目は、免許に関連することで2点ほど申し上げたいと思います。2年ほど前に開催された教員養成部会の教科に関する専門的事項に関する検討委員会技術情報ワーキングにおいても本件については議論されて、その後も改善が図られてきているところだと思いますが、依然としてこの教科や分野については、教員免許の授与や採用の状況は心細いような状況にあると考えております。学習指導要領の議論においても、改訂を支える条件整備として、中学技術・家庭科や高校情報科における指導体制の改善を一層加速させるということが指摘されているところでございます。
 そこで、例えば高等専門学校、高専で扱っているような工業系の各学科、例えば機械や材料系など様々ございますが、こういった各学科は、中学校の仮称ですが情報・技術科や高校情報科の内容と親和性が高いということを踏まえると、当分野で例えば例外的に高専の卒業生に対して特別免許状、情報・技術科や情報科の授業を推進できるような取組を行ったり、更に本格的に教師を目指す者にあっては、その後、児童生徒理解等の教育の基礎的な理解を学ぶことで普通免許状に移行できるような仕組みを創設していくなどして、免許状所有者の拡充を図ってはどうかと思います。これにより既に企業等に勤務しているエンジニア、定年後の方もいらっしゃると思いますけれども、現役の方がセカンドキャリアとして教師を選択していくような選択肢が増えるとともに、教育委員会側も多様な専門性や背景を有する社会人等を安心して採用しやすくなるのではないかと考えるところでございます。
 ちょっと長くなって申し訳ございません。4点目、最後ですが、中教審の方の教育課程企画特別部会の論点整理において、中学校情報・技術科と高校情報科の指導体制の改善が要請されていることを踏まえますと、これらの教員養成課程を設置可能な学部・学科の要件を緩和し、間口を拡充していくことが、2年前も議論されたと思うんですが、更に拡充していくことが今後重要ではないかと考えるところでございます。
 私からは以上です。
【秋田主査】  高橋委員、どうもありがとうございます。それでは続きまして、森田主査代理、お願いをいたします。
【森田主査代理】  よろしくお願いいたします。森田でございます。この間少し考えているところを何点か発言させていただければと思います。
 まず、今後共通で学ぶべき事項・内容について議論をしていく必要があると思いますが、その際、いろいろな観点がもちろんあるのは承知の上ですけれども、いろいろなものを入れ始めると切りがなくなってくるという側面がございます。そういった意味では、先ほど御説明があったような、現時点では教員の育成指標の前提となっている指針策定の際に整理をされた五つの資質能力の枠組みが参考となる枠組みであると思いますので、その5項目などを参照しながら検討してはどうかと思っています。五つというのも少し多いような気もしますので、大きくは学習指導や教科指導に関することと、特別支援等を含めた生徒指導、や児童・生徒理解に関することとの、二つぐらいに大きく整理できると考えますので、この辺りを出発点として議論を始めていけばどうかと考えているところでございます。
 それから、これも先ほど説明があった点でございますけれども、例えばこの間の議論のように様々なものを再構造化していくことに関連して、平成28年には教科に関する事項科目と教職に関する科目をより統合しやすくするために、教科及び教科の指導法に関する科目として大くくり化された経過があります。ただ、現実のところはなかなかそういうふうになっておらず、先ほどのフラッグシップ大学の御発表にもありましたけれども、教科専門と教職指導法の科目は多くの大学で別々に配置され続けているという実態があります。そういった意味で、例えばこの辺りも、教科指導等に関する科目というように、さらに整理をし、指導法との関係で教科の専門的自公の科目を位置づけるような形で再構造化していくという方法もあるのではないかと考えているというのが、1点目です。
 それから、2点目になりますが、コアカリキュラム等に関しまして、学習指導要領の改訂の議論の中では深い学びの実装ということが一つの大きな柱といいますか、キーワードになっていると理解しています。そういった中で、教職課程においては、いわゆる深い学びの実装を実現できるような教師を育てていくということとともに、教職課程そのものが深い学びを実装できるものになっていかないといけないと思います。そういった視点から、現在あるコアカリキュラムが現在のままでよいのか、それとも見直しが必要なのかという議論がやはり必要になってくるだろうと改めて感じています。
 同時に、そういった教職課程を支えていく大学の組織の在り方、また、大学教員の資質能力をどう考えるかというところも併せて議論していく必要があるんだろうと思っています。
 コアカリキュラムについては、現在、共通に求められる教職に関するものがございますけれども、教科でいいますと、英語のみコアカリキュラムがありますが、それ以外の教科は実はコアカリキュラムはありません。教科の専門的内容についてということになりますが、この辺りをどう考えていくのか、一気に全ての教科のコアカリキュラムを考えるということはなかなか難しいかもしれませんが、コアカリキュラムの充実を図るためにも、少なくとも他の教科のコアカリキュラム作成が実現可能かどうか調査研究のようなことから始めて、どこまで実現ができるかということを検討していってもよいのではないかと考えています。
 それから、最後の点になりますけれども、強みや専門性ということが今回のワーキングではキーワードになっていると思っています。資料1のところでも整理をいただいたような形で、教師が強み・専門性を段階的に伸ばしていくという発想で議論をしていくことは非常に大事であると考えます。研修のところでは、今ある強み・専門性を伸ばすという視点とともに、新しい強み・専門性をつくっていくという視点も必要になるかもしれません。この点については、平成9年という、かなり前にはなりますが、教養審の答申の中でも既に、得意分野を持った個性豊かな教員というような言い方で、今回の強み・専門性にも関わることが指摘されているわけです。それ以降継続的に指摘されてきたことですから、今回の改革では、四半世紀以上前から指摘されてきたことをさらに進めて、それをしっかりと制度化していく、そういう議論ではないかと私自身は理解をしているところでございます。
 その際に、こちらも本日の資料5のところで整理いただいている部分かと思いますが、1つは、開放制の教員養成のところで育成できるような、つまり、学位プログラム全体を通して身につけていけるような強み・専門性という枠組みがあると思います。それから、もう1つ主に教員養成系の学部学科で育成できるような、例えば、教育学に強いというところも強み・専門性になるかもしれませんし、それから、令和4年度の答申などでも例示されているような障害児発達、日本語指導、心理、福祉などを1つの参考とした強み・専門性というような枠組みがあると思います。
このような枠組みを参考にしながら、開放性及び教員養成系のそれぞれの特色を活かした様々な強み・専門性が獲得できるような、そういった視点で考えていくことが大事だろうと考えています。
その際、これもどう考えるか難しい問題ではありますが、共通に学ぶべき事柄と強み・専門性のバランスをどう考えるかという点についてです。仮にそれを1階、2階と2階建ての構造で考えるとすれば、その両方を合わせて現行の一種免許状程度の単位数となるようなイメージで検討していくのがよいのではないでしょうか。フラッグシップ大学でも、そのような形でカリキュラムを構造化していると思いますので、そのイメージで検討することが必要ではないかと考えています。
 さらに、先ほども御紹介がありました点で、前回のところで私も発言させていただきましたけれども、このように考えていった場合には、幼小や中学校の二種免許状課程の特例設置との関係、つまり、4年制大学においても、強み・専門性を持っていればいわゆる目的養成ではなくても幼小の二種免許の課程が設置できたり、中学校の二種免の課程が設置できたりする特例措置との整合性の問題が生じますので、この点は、少し見直を図り、幼小の二種免や中学校二種免の課程を置ける措置を、特例ではなくて、正面から正式に認めていくことを検討してもよいのではないでしょうか。
 併せて、小学校の専科指導優先教科との関係でも、小学校の二種免課程が特例設置できるというしくみがありますが、これについても、専科指導優先教科の限定せずに、さらに多くの教科との関係で認めていくことができれば、小学校の免許を持ちながらも中高の教科の免許を持っているという、そういった学生たちが増えていくことになりますので、これ自体も強み・専門性となっていくと思います。こういったところも合わせて検討していけば、より多くの大学で様々な免許を取得できる道を開く仕組みにとなり、全体を通して、開放制の原則を、その趣旨に立ち返って、正面から認めていくことにつながるのではないかと感じているところでございます。
 長くなりましたが、以上でございます。【秋田主査】  森田委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、森山委員、お願いをいたします。
【森山委員】  私からは、今日の資料に基づき、教員養成段階で学ぶべき内容、学び方、それらを担保する方策について述べたいと思います。
 これは前回も議論がされたように、教職課程の質を向上する観点で、教職課程で共通的に学ぶべき内容をどのように再構造化するかという議論だったと思います。
 具体的には、免許法施行規則の第66条の6に定められている一般教養科目と、介護等体験についてが中心になるかと思います。これは教師になるに当たって全員が身につけるべき内容であるため、教職課程の中に位置付けられるべきだというのが大きな方向性ではないかと思います。
 その際、前回に議論があったように、要素が列挙される形ではなくて、各要素を通じて身につけるべき資質・能力を機能として捉えながら、それを現行の教職課程の内容と統合することが重要だと考えます。
 介護等体験につきましては、現状でも多くの大学において、特別支援学校・学級で体験が実施されています。また教育実習においては、特別支援学校・学級での経験が必要であるということを踏まえますと、例えば教育実習として統合した上で、その中に特別支援学校・学級での実習を必須とするということが妥当ではないかと思います。
 加えて、教育実習に係る事前及び事後の指導について、具体的には専修学校、社会教育に関する施設とか社会福祉、児童自立支援施設、ボランティア団体による教育実習に準ずる経験などが考えられます。これらの対象施設に、介護等体験の施設を加えたらどうかと考えています。
 教育実習を資質・能力を可視化する場として機能させたいと考えています。さらに、日本国憲法についても、こども基本法の制定などを踏まえれば、教育法規という科目あるいは子供の権利等の関係で学ぶということのほうが、より趣旨を達成する充実した学びが実現できるのではないかと思います。
 現行では、「教育に関する社会的・制度的または経営的事項」というふうに示されていますが、そこを「教育に関する社会的・制度的及び経営的事項」と整理した上で、日本国憲法を始めとした教育法規を含め、連携を図る形でのグループ化ができるのではないかと考えます。
 また、一般教養の外国語コミュニケーションについては、教職課程の有無に関わらず、すでに各大学で実施されているということを前提にしていると思います。そのため、教職課程との関連で位置付ける必要はないのではないかと考えています。
 外国語コミュニケーションの実態について正確にデータを、次回までに事務局から、ご提示いただくとありがたいと思います。その情報があれば今後の方向性が定まるのではないかと思います。
 共通的に学ぶ内容の一部について、教職課程に含める形で再構造化ができないかと考えます。これは当然ながら、それぞれの次の段階である各作業部会で御検討をいただければと思います。
 教職課程における学習の質というものを担保し、資質・能力を確実に身につけるためにコアカリキュラムや課程認定の在り方、オンデマンド教材、CBT等の活用が検討されています。特にCBTについては、事前・事後学習を支えるものとして構築・利用されるべきではないかと思います。
 CBTを活用する際には、多くの動画をストックし、視聴できるようにすることが不可欠です。
 特総研や国研および教職員支援機構が有する動画を統合し、単発でばらばらにならないようにする必要があります。
 CBTにつきましては、コアカリキュラムをベースにその学びを確認する問題を掲載し、また、能力を裏付ける仕掛けが必要なのではないかと思います。また、コアカリキュラムと併せて充実を図るということが必要になってくると思います。
 さらに、教員採用試験との関連もある程度視野に入れる必要があります。看護師の国家試験等では、国家試験の中で出題傾向が大きく変わって、複数科目の知識を組み合わせていくような問題が増えています。これは教員に求められる資質・能力が変化したことを反映しています。教員採用試験との関係、今回は特に教員採用選考に係る第一次選考の共同実施が始まりますので、それに併せてこういうことも資質・能力を確認できる試験となるよう検討すべきではないかと思います。
 教員養成段階で身につける資質・能力等については、採用時に身につけておくべき資質・能力を教職課程で育成して、それを採用試験でチェックするという関係であるべきであると思います。そこでは教員育成協議会を通じた養成側とそして採用側との意思疎通をより一層強化することが重要です。また、採用前の段階では、コアカリキュラムに示す資質・能力が身についたかを確認できる仕組みがあるとよいのではないかと思います。
 CBTの導入にあたっては、医学や工学等他の職種と同様に、事前・事後学習を組み込むことが効果的だと思います。
 さらに、問題を解いて、身についていることが証明できるというシステムを構築することが教員免許の質を担保するうえで、重要ではないかと思います。
 また、当該科目と採用試験においての問題が一定程度関連付けていくということは、目指す方向性として、必要だと思います。
 教職課程で学んだ内容を採用試験でチェックする仕組みが必要だと考えます。その上で、初任者研修の内容については協議会で議論し、改善されるべき問題として留意する必要があります。
 以上、養成段階で学ぶべき内容、学習の質を担保して、資質・能力が確実に身につけるようにするために必要なこととして、養成・採用・研修の一体的な運用を通して教師の資質・能力を連続的に向上させていく観点から、3点について説明をさせていただきました。
 以上です。
【秋田主査】  森山委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、白水委員、よろしくお願いいたします。
【白水委員】  フラッグシップの御報告ありがとうございました。今後の議論の進め方について私はこういうふうに考えているという話をさせていただきながら、御報告についても触れたいと思います。
 まず、議論の前提として、教員養成課程に焦点した上で、教育目標、何を身につけてほしいか、どういうことができるようになってほしいかという教育目標のレベルと、資料の5や参考資料の2にあるような具体的に科目や単位をどうするというカリキュラムのレベルがあると考えると、もう一つ、その間に「どういうふうに考えたからこのカリキュラムにする」というカリキュラムのデザインの原理・原則というレベルがあるのではないかと思います。
 今日のフラッグシップの御報告というのは、単位をここで減らしてここで増やしたというふうに、かなり具体的に見える面もあるのですが、その背後に「こういう考えで」というのがあった点が非常によかったと思います。
 今後、このワーキンググループで具体的な単位の在り方を全体としてどうするかという議論をしていくと思うのですけれども、それは結論から言うと、ベストのものは恐らく見つからない。だからこそ、それを実施してみてどうだったかというのはいつも原理的な考え方に戻って考え直して次の課程を考えていく必要がある。そのためには、この今回出していく結論の前提に「どういう考え方でこのカリキュラムをつくったのか」ということをかなり明確に言語化しておくというのが大事かなと思います。
 そういうふうに言語化しておきますと、例えば、東京学芸大学さんではこれができるんだけれども、その考え方にある前提条件を欠いたところではできないかもしれないと判断できる。そうすると国としては、例えば、こういう考え方はあり得るのだけれども、前提条件を満たすことが難しそうなので、別のこちらの考え方に従ってこの単位構成にしましたというような大枠の-森田委員がお話ししていたことの焼き直しなんですけれども-ところを提示していけるんじゃないか。そうしたカリキュラムのデザインの原理原則もアウトプットとして出していけるととてもよいと考えました。
 その点では、今日の参考資料5の―ちょっと意図を読み間違えているかもしれないですけれども―4ページ目以降にR5の基準改正についての考え方の背景みたいなのを書かれたのかなというふうに受け止めまして、今回、7ページの構造はかなり言及されていたんですが、こういうものが今回、参考資料2の具体的な今の単位数の変遷がありますけれども、この変遷のイメージの裏にどういう理由があるのかというのが分かっていく、そんな議論の進め方になるといいのではないかなというふうに個人的には考えております。
 ということで、かなりメタな話ですが、言いたいことの根幹はそれだけです。が、少し具体的に教育目標それからカリキュラムの原理等についてコメントさせていただきます。資料1をお示しください。
 まず、教員養成の目標について、前回、要素で考えるか機能で考えるかというお話がありましたけれども、それを私としてはどうイメージしているかをこの例でお話しします。養成段階のこの青い丸の中で一体何をするかということだけを考えるのが要素主義的な考え方だとすると、そこでカバーしたものが採用でそのまま使えるかというような考え方になりがちです。それに対して、機能主義的な、要するに何ができるようになるかと考えたときには、この青い丸を、養成ではその大きさなんだけれども、そこで学んだことを基にしながら採用段階のときにはどこまで自分で広げていけるか、研修段階に行ったときに、それを更に広げていけるか、その丸を自分で太らせていく方法というのを教員養成課程のときに身につけておいてほしい、ということになります。
 さらには、小さいとんがり帽で表された「強み」を自分でつくって、他の教職員もいる学校という場に行ったときに、ほかの人のとんがり帽―強み―と建設的に相互作用させながら、より良質で多様な教職員集団をつくっていくというところに貢献できるようなものが、教員養成目標を機能的に考えるといったときの1つのポイントだと思いました。
 そう考えると、とんがり帽が強みだというのは当然なんですけれども、青い丸のところも一応、やっぱり教えることについて自信を持って卒業してほしいですので、この青い丸は「何となく自信もないまま共通のことがらをカバーして終わり」ではなく、実はそこで、先ほど話題に出たような、教える内容について、その教え方、しかもそれが児童・生徒の学び方を踏まえたものになって、それを結びつけるような強みというのをしっかり身につけて出ていってほしいということになってくるんじゃないか。
 それが、森田委員がおっしゃった教職課程の学び方が―マクルーハンの「メディアはメッセージだ」みたいですけれども―一緒に課程で学べることによって、算数の内容だけではなくて、子供たちがこの内容を深く学ぶためには、「大学生の私がこういうふうに深く学んだ体験をメタに使っていけばいいよね」というような教職課程をデザインしていく。それがカリキュラムの原理となっていくんじゃないかなと思います。
 それが例えば大阪教育大学の板書とか指導案を書くところは、全教科でやっているんだったら統一しようというところを、そのかなり根幹になるところで応用が利くものを学ぶことによって、各教科に転用していく。そういうイメージになってくると思います。
 そういうふうにカリキュラムのデザイン、つまり、教職課程の内容を学ぶときに先生がその学び方までうまくデザインすることによって学んでいくという、これはよい在り方ではあるのですが、あくまで1つの在り方でしかありません。
先ほどの大阪教育大学の発表を聞きながら、どの先生がこの一番の根幹の科目を担当しているのだろうと考えておりました。つまり、各大学に「教え方もしっかりメタに授業に埋め込みながら自信を持って教えられる学生をつくれるような教職課程」がデザインできる非常にいいということになるんですけれども、それが果たして開放制の大学も含めてできるかを現実的に見極めながらやっていけるとよい、そんなふうに思います。
 その路線で行きますと、先ほどの高橋先生の教科が「技術・情報」になったときにデジタル学習基盤的な能力も必要だからというカリキュラムの具体の話が、実はデザイン原理として青い丸を広くしていくときに、教員養成課程で学んだことだけではなくて、世の中の様々な情報が更新されたら、それにキャッチアップしながら、学んでいく能力として教えられるとよいのではないか。さらに、自分で全部調べるのは大変というときには、AIではなく、まず人を頼って、専門家の知見を得た上でAIの情報を取りに行くといった、巧みな情報の取捨選択も分かったようなデジタル学習基盤の活用能力を先生自身が身につける科目としてこの教職課程に埋め込んでいくというような提言をしていけるといいのではないか。
 そういうふうに提言していきますと、それが実際にうまくいく大学とそうではない大学が出たときに、この考え方はちょっと現実的ではなかったのではないかなど、原理としてのよさと実際の実装のよさということを切り分けて評価していけると考えました。
 こんなふうに考えますと、最後、今日は採用と研修も一体的にということだったので、それも併せてお話ししますと、今のような形で教員養成の段階での目標を課程で十全に達成して社会に出たとしても、周りのリソースの状態というのが適切にないとなかなか学びにくいということがあると思います。今の世の中の問題は情報がないことではなくて、あり過ぎる情報を誰が交通整理してくれるのかですので、そういう意味では、適切なリソースと場を提供してくれる機関としてのNITSの役割が一層大きくなる。もちろん自治体等も一緒に頑張っていくんですけれども、大学、それに加えてNITSの役割というのも一層大事なことになっていくかなというふうに個人的に考えております。
 以上でございます。【秋田主査】  白水委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、田中委員、お願いをいたします。
【田中委員】  ありがとうございます。
 白水委員の話の具体的なところかもしれません。アイデアめいているところがあるかもしれませんけれども。資料5の7、8のスライドについて少し思うところがありました。
 東京学芸大学様のフラグシップの発表の中でも自立というキーワードがあったんですが、私は医療系の教育でベースを持っているので、すぐ思いついたのがブルームのタクソノミーという教育目標の分類でございます。そのブルームが言うのは、認知領域、精神運動領域、情意領域ということで、知識と技能とメンタルというところで分けていき、それを構造的にというふうに示していくんですけれども。
 そう考えますと、資料5-7のところに、上は領域というんでしょうか、大きなコアなものがあります。そこの横串に、この知識面ではどういうもので、技能面ではどういうもので、精神、メンタル面、情意面ではどういうものでというのが入っていくと、8ページのところに、例えば、教職に必要な素養というところで幾つかポチがございますが、これを分類することができると思うんです。
 例えば、一番上の学び続けようとしているというのは、これは何に入るのか。技能に入るのか、情意に入るのか、認知に入るのかとか、そういったところで分けていくと、もう少しこの中身が、前回出ました構造・体系というところで更に示唆された内容を示すことができるのかなと思ったので、そういったところで少し分類というか、先ほどの教育目標とカリキュラムの原理原則の間のところのクッションというところで表現できないかなというふうに思いました。
 あと一つが7ページのところで教職に必要な要素に主として関係するものということであるんですが、今VUCAの時代からBANIの時代になって、VUCAの時代では複雑極まりない不安だから、全体が俯瞰できる力というところが求められ、BANIの時代では、それをより主観的なものとして、よりよい選択ができるみたいなところで変化していきます。
 その変化過程にあって教えていく、あるいは自分自身も育っていかなくてはいけないとしたときに、回復力、レジリエンスということが重要になってくるので、この素養の中に豊かな人間性、使命感、責任感、教育的愛情というところは、全て先生方の犠牲的な、あるいは自分を犠牲にしてまでも教育に専念するみたいなニュアンスがあるなと思って、ここに適応力とか回復力とか、それは時代の変化とともに必要な重要な要素というところを思うので、そういったところも入れていただくといいのかなというふうに見ながら思っております。ちょっと細かいところを言ったんですけれども、そのように感じました。
 以上でございます。
【秋田主査】  田中委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、真島委員、お願いします。
【真島委員】  お願いします。私はまず、教員採用研修の一体的な運用を通じて資質・能力向上を、向上させて観点からどう関連させるかというところと、教育委員会との大学との連携の在り方というところに関連してお話をさせていただきたいと思います。
 1つは、先ほどの教科の力をつけていくということや授業力をつけていくということと、特別な配慮を必要とするお子さんへの対応とか、いじめ・不登校対応というのは、別々で授業の単位としては成り立っていることが多いんですけれども、愛知県の知立市教育委員会の取組では、学校現場の先生方への研修として、いじめ・不登校のお子さんを未然に防止するという観点から授業力向上を図るプロジェクトというのを立ち上げていて、そこにプロジェクトを推進する先生方とそこに参加する教員という形で、そこに私が大学の教員として関わらせていただいて、学校現場の小学校や中学校がメインなんですけれども、そこで子供たちが不登校やいじめを防止する、あるいは、そういった傾向持っているお子さんを抽出児にして、そういったお子さんがしっかりと授業に参加ができるとか、あるいは、その子たちでも授業に魅力を感じられるような授業ってどういう授業だろうということを先生方でいろいろと検討しながら、授業の力を、つまり、授業が物すごく楽しかったり、魅力があったり、先生自身の授業力がしっかりとあるというところは、逆にいじめや不登校を未然に防止できるということも言えるんじゃないかということで、そこに取り組んでいます。
 非常にそれは重要な観点で、学校教育は教科指導とそういった生徒指導というのが別々に行われるわけではなくて、一体的に行われていて、しかも、それが非常に関連性があったり、あるいは、人間関係や関係者の中で授業というものが成り立つことによって、非常に豊かな授業が魅力的に生み出されていって、児童・生徒自身にも自分たちが授業をつくっていくんだという思いを持って授業をつくることができるという意味からすると、学校教育においても、本来はそういったものが実は融合的に教えられるという場がとても大事だなと思っていまして。
 そういう観点が1点と、そのために何が必要かというところで、そういう教育の研修の在り方というのを学校教員養成の段階から学ぶ機会を教育委員会と連携しながら大学がうまくつくり出していくということも、授業の科目なり、あるいは先ほど学校体験のような形でもいいと思うんですけれども、そういう観点を学ぶというのはとても大事だなと思うのが1点目と。
 2点目は、教師の専門性、特に教科の専門性はどうやって力量を向上させていけばいいですかということがあると思うんです。そのときに、前回のワーキングの前の教員養成部会のところの研修のお話の中に、優秀な研修団体、任意の研修団体を認めていこうみたいな話が1個あったと思うんです。
 そのときに、例えば、私は社会科なんですけれども、社会科の教育学会みたいなところとうまく、そういった団体に研修に行くことも認めるということになると、学会というのは、社会科教育学会の場合は、学校の現場の先生が自分の御実践を発表する場でもあるし、大学の先生と共同して現状を発表する場でもあるし、それから、大学先生が理論的に研究する場、外国研究をする場とかいって、様々な小中高の校種、大も、校種を超えて、あるいは、今日、先生方が学大学院生からベテランの先生方まで、若手、中堅、ベテランが、全部がある種の研究をする場というところで、対等な形の、フラットな形で議論を行える場になっているので、それが研修として学校教員が、地域の校内研修とかあるいは地域の教育委員会が主催する研修だけでなく、そういった学会にも参加することで自分の専門性を磨いていくとか。
 あるいは、私は学部の段階からそれをやったほうがいいなと思っていまして。専門性というのは先ほどの授業の中で身につく専門性もありますけれども、そういった学校現場の先生たちが学会に参加をして、自分たちの教育や研究について熱く議論を交わし、自分の実践について報告をし、それに対してまた応答を得るというような場で切磋琢磨をしているという姿を学部の学生が一緒になって学ぶという、そういったことも非常に、学部段階から自分の専門性って何だろうということや、教員が将来に向かって学んでいる姿ってどういう姿なんだろうということを見るという意味でも、そういう学会のような場をうまく活用して、教員の養成と研修というところをつないでいくこともできるんじゃないかなというふうに思いました。
 そういうことを採用の段階でも大いに奨励していただけると、教科の専門性というものがどういうふうに身についていき、そして、採用されて以降も研修という形でちゃんと保障されていて、自分の専門性がちゃんと学部段階から採用後も続いていき、さらにそれが、先ほどの知立市の例のように、単なる教科の専門性だけではなくて、特別な支援を必要なお子さんとか、不登校ぎみのお子さんとか、あるいは、ちょっと困り感を抱えているお子さんにもちゃんと寄り添っていける、でも、その中で、みんなが学習授業に対して学ぶというのは、どういうふうに教科の魅力や授業の魅力を高めていったらいいんだろうという観点から研究をするとか実践をするということを身につけていくという、そういうことが非常に重要ではないかなと思います。
 さらに、もう一点申し上げますと、そういう研修の場とかを広く保障するという観点から、前回もお話をさせていただいたんですけれども、夏休みとかそういった長期の期間のお休みには、きちんと学校の教員が自由に自分たちが、大学の先生に学びたいとか、海外に行って学びたいとか、あるいは、全国ほかの地域に行って自分で研修として学びたいということをしっかりと保障するということを、制度としてもきちんと制度設計をしていただいて、頑張っている先生をこの文科省の養成部会はしっかり応援しますよというメッセージを強く打ち出していただけると、学校の先生になると、これからの自分の身につけたい力とか伸ばしたい専門性とか、あるいは、豊かなそういった人間性を育むようなことにもちゃんと応援してくれるんだ、そういう職場なんだ、そういう職種なんだということによって、新しく教員になりたいと思う学生さんを増やしたり、あるいは、教員っていいなと思う、実感できる先生方を増やしたり、それを、その先生方によって学ぶ子供たちがまた憧れを持って先生になりたいなというふうに思ってもらえるという、そういういい循環をつくっていくということも、この養成・採用・研修ということを一体化する中で、更にそういった制度を設計していく中で応援していけるという要素になるんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【秋田主査】  真島委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、勝野委員、お願いをいたします。
【勝野委員】  ありがとうございます。
 既に各委員の先生方から、具体的なカリキュラムの再編成あるいは体系化、再構造化の具体的なお話ですとか、あるいは、白水委員からはデザインの原理という重要な御指摘をいただいた中で、少し元に戻ってしまうような感じはあるんですけれども、少し簡単に発言をさせていただきます。
 今日、フラッグシップ大学のお話をお聞きし、また、参考資料として淑徳大学のこの資料も拝見する中で、強みというふうなことをどういうふうに考えるのか、強み・専門性をどういうふうに考えるのかというふうなこと、また、その共通部分との関係というのがかなり具体的に、大変明瞭にイメージができるようになったというふうに思っています。大変ありがたい。個人的にとても学びが多かったというふうに思っているところです。
 その中で少し感じたのは、専門性というふうなところ、これはすごく大きなくくりで言えば、教員養成を目的とする大学と一般大学ではかなりイメージが違ってくるなというふうなことは思いました。
 フラッグシップ大学のほうでは、いわゆる教職部分のところでの強みというふうなことを伸ばそうと。そのときに自立ですとかあるいは省察というふうなことを主なテーマにして、概念にして伸ばそうとされていますし、淑徳大学では、これは社会福祉士との資格というふうなことの連動というところで、どちらかというと、学習課程のところでの専門性を伸ばしていくというふうなカリキュラムであるというふうに理解をしました。
 ですので、共通部分それから強み・専門性というふうなところの関係は、かなり大学によって、今は教員養成を目的とする大学と、それから一般大学、開放制の大学というふうなくくりで申し上げましたけれども、かなり大学によっても差異といいますかバリエーションがあっていいのではないかというところが確認できたというのが1点です。
 その上でなんですけれども、特に今回、強み・専門性というふうなことでもって、それで、資料1のところでは、オレンジ色のとんがり帽子、白水委員がおっしゃった言葉で言うとこのとんがり帽子のところが専門性というふうなことになるんだろうなというふうに思いましたが、一方で、これも白水委員が御発言されていた趣旨に少し近いのかなと思ったんですけれども、教職そういうものの専門性とか教職の専門職性というのは大事に考えなければいけないのではないか。あるいは、むしろ、言い換えれば、とんがり帽子のところも含めた全体として教職の専門職性とか専門性という捉え方はやはり必要でございます。
 今回のフラッグシップのお話を聞いていて、やはりそれは大事だなというふうに思った視点は、教職の専門性、職制というときに、実践というふうなことが必ず伴いますので、その実践を精査するというふうなこと。ただ、そのときに、教育の理念ですとか歴史ですとか制度ですとかというような広い文脈の下でそれらを精査するというふうなことがとても大事なことで、それがないと教職の専門職性というのは成り立たないのではないかなと思ったということがあります。
 そんなふうに考えてみたときには、これも以前から話題にはなっていることですけれども、今日も大分出てきましたが、養成、採用、研修というところでの連続性の中でこのまさに青いところも大きくしていくと、この図のとおりなんですけれども、それがすごく重要で。
 その際には、先ほど来、自治体ないし教育委員会、NITS、それから学会等々との関係でというふうなことがありましたけれども、制度的なことを考えたときには、それに加えて大学院での教員の育ちということ、成長、教職の専門職性を高めていく、伸長させていくための大学院の学びということをしっかりと位置付けるということが大事ではないかなというふうなことを思いました。
 そうしないと、ただ単に実践を積めばこの青いところがだんだん大きくなっていくというわけでは全くないわけで、まさに省察だとかということが大事なんですけれども。これもさっき申し上げたとおりですけれども、それは単に、自分の経験を仲間と一緒に振り返るというのは大事ですけれども、より広い文脈、理念、歴史、制度といったところをちゃんと踏まえた形で、そうしたものを加味した形で省察をしていくというふうなことがとても大事ではないかなというふうに思いました。
 ですので、時系列と言い方が正しいかどうかよく分かりませんけれども、こうした教師の能力育成、成長というふうなイメージの中に、1つは、教職としての専門性なり専門職性、それは教科の場合もあると思いますし、いわゆる教職科目で担保してきたような内容もあるかと思いますけれども、そこをしっかり位置付けるということ。それと、とんがり帽子のところが加わることで、すてきなすばらしい教師が養成できるというふうなことの観点が大事だと思いましたし。
 それから、こういう成長の教職としての育ちというふうなこと、教師の育ちということを考えていたときには、繰り返しなんですけれども、養成段階だけではなくて、研修やその研修の中に大学院、教職大学院も、あるいは一般の既存の大学院等も含めて、そうしたものとの関係ということ、連携というふうなことを大事にしていくべきではないかなというふうなことを思ったということです。
 ちょっと抽象的な話で、あるいは議論を元に戻したような形で申し訳ないですけれども、以上です。ありがとうございました。
【秋田主査】  勝野委員、どうもありがとうございます。
 それでは、杉谷委員、お願いいたします。
【杉谷委員】  ありがとうございます。残り時間が少ない中、申し訳ございません。
 まず、大前提として、第1回から言われていることであるかと思いますが、今回のこの改正というのが、何より教職の質の向上にあるということを確認しつつ、そのためにいかに深い学びができるかどうかというところにポイントがあるのではないかなというふうに改めて思う次第です。
 その際、こちらの教免に必要な単位等の表を拝見しますと、重要なのはもちろんよく分かるんですが、各科目に含めることが必要な事項に関して、かなりいろいろな内容が盛り込まれているかと思います。しかも、こちらは平成29年に改正されたときと、ほとんど内容自体は変わっていないかなとお見受けします。と同時に、コアカリキュラム等を見ますと、一般目標や到達目標、種々いろいろな内容が書かれているかと思います。
 その辺りを改めて、この表として出す部分と目標として出す部分とうまく整理ができないものかなと考えます。その上で、深い学びを進めていくために、先ほど来から省察という言葉もありますけれども、実践的な、経験的な学びと結びつけながら省察していくような機会も盛り込めるような形で整理できれば望ましいです。どうしても日本の大学教育ですと、いろいろな内容を提供すれば教育が行われているというふうにみなされがちなところを、どう深い学びに転換させていくかというところが重要なのではないかなというふうに思っています。
 そうしたときに、改めて本日学芸大学さんからお話を伺いまして、自律的にカリキュラムをデザインしていくという発想がとても大事なことだと思いました。ですので、教職に必要な学びとともに、教員養成の大学あるいは開放制の大学それぞれで専門分野の在り方は違うかと思うんですが、専門的な学びをどう深めていくか、高めていくかというところを学生自身がどう科目履修をしながらどんな学びをしていったのか、どういう軌跡を築いていったのかということを確認するような作業というのが折に触れて必要なのかなと思います。
 1つの科目として単位化するものであるか、あるいは教職の役割といった事項の中でそういったものを盛り込んでいくのか分かりませんけれども、そんな在り方も考えられるのではないかなというふうに思っています。ですので、それぞれの強みを確認するような作業ができるようにするということです。
 それから、もう一つは、教育学にしろ、教職に関する内容にしろ、実に、非常に多様な、重要な学びがあると思います。そういった内容の鳥瞰図的なものを提示しながら、自分はどういったところを学べたのか、そして、今後の学びのためにどういうところが足りないのかということに気付きながら、不足部分は例えばオンデマンド教材で補っていく機会、あるいは、外の研修やあるいは大学院、いろいろな学びの機会があり得るかと思うんですけれども、そういった学びを俯瞰していくというふうな、そういった機会も提供できると、併せて不足部分を補完していくこともできるのではないかなというふうに思った次第です。
 以上でございます。
【秋田主査】  杉谷委員、ありがとうございます。
 皆様から今回も様々な意見を頂戴しまして、ありがとうございました。本日の議論を基に、次回は更に検討を進めてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。ある種の方向性や、それぞれに考えねばならないキーワードもいろいろいただいたように考えております。本日の議事は以上でございます。
 最後に、事務局より御報告をお願いいたします。
【森津専門官】  事務局でございます。
 本日も長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。次回のワーキンググループは、資料6のとおり、12月5日金曜日10時より開催予定でございます。
 以上です。
【秋田主査】  皆様、本日も長時間にわたりまして、誠にありがとうございました。
 それでは、本日は以上とさせていただきます。お疲れさまでございます。ちょうど時間となりましたので、これで終わりにさせていただきたいと思います。御協力をありがとうございました。オンラインの皆様もありがとうございます。
 
―― 了 ――