教育課程部会 特定分野に特異な才能のある児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

令和8年2月3日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 特別の教育課程を実施するための指導計画・学習評価等に係る論点等について
  2. その他

4.議事録

【隅田主査】 定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 特定分野に特異な才能のある児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ第5回を開催いたします。前回の議論では、特別の教育課程の実施機関や実施場所等の考え方について御議論をいただきましたが、本日は前回までの議論を踏まえ、特別の教育課程を実施するための指導計画、学習評価等に係る論点等について御議論いただきます。
 進め方として、まず議題について事務局から説明いただいた後、意見交換を行います。それでは議事に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。 
【栗山教育課程企画室長】 失礼いたします。教育課程企画室長の栗山でございます。 
本日は、先ほど隅田主査からもございましたように、特別の教育課程を実施するための指導計画、学習評価等に係る論点等について御議論をいただきたいと考えております。こちらが全体像でございます。
 前回まで、右側にございますように、制度構築の基本となる考え方や留意点、特別の教育課程の内容、授業時数、あるいは特別の教育課程が実施される場所などについて御議論をいただいてまいりました。今回は、今後議論とされている丸2の特別の教育課程の中でも、指導計画、また関連して学習評価の在り方について御議論をいただきたいと考えております。
 建付けといたしましては、左側にございますように、本日の議論として囲んでおりますが、赤字で大きくございますように、本日は特別の教育課程の指導計画、学習評価の在り方について、非常に重要で関連する論点も多い部分でございます。したがいまして、今回は論点等を主に整理いただいた上で、具体的な方向性については次回以降のワーキンググループでさらに御検討いただく、そういった前提で進められればと考えております。
 まず本題に入る前に、これまでの議論のポイントを振り返ります。基本的な考え方として、まずは丸1、通常の教育課程における支援の可能性を検討し、その上で通常の教育課程のみでは支援が十分できない児童生徒を特別の教育課程の対象とするということ。丸2として、「実現可能かつ持続可能な仕組みを創設する」という制度構築の基本的な考え方、これを踏まえ、まずは一定数の事例の創出を目指し、その上で運用上の成果・課題を踏まえて随時改善し、徐々に事例を増やしていくことにする。丸3、対象の児童生徒であっても、特別の教育課程で実施する特性等に応じた高度な内容に係る部分(「対象活動」仮称)以外は、他の児童生徒とともに通常の教育課程に基づく教育活動の中で学ぶことが前提であり、特別の教育課程は飛び級や早期入学といった、いわゆる完全早修を想定するものではない、という前提でございました。
 その上で、対象活動の考え方としては、丸1、丸2とありますが、いずれも満たす場合に対象活動の実施を可能とする方向で御議論いただきました。丸1、特例の適用に伴って実施可能とする相当教科等で育成する必要のあることについて、おおむね適切に身に付けられると判断できる場合。丸2、認知発達の特性等から学習上・生活上の困難を抱えることもあることを踏まえ、以下の観点から対象活動を実施するほうが効果的であると判断できる場合。カッコ1、相当教科等の実施に伴う学習上の困難の軽減・解消が期待できるか。カッコ2、学級での他の児童生徒や教師との関係構築の観点から効果的かどうか、生活上の困難の軽減、解消の側面でございます。また、次のポツ、対象活動を実施する場合には、相当教科等の一部または全部の内容及び授業時数を実施しないことができる方向、そして対象活動例と実施方法のイメージの例として以下のものをお示ししておりました。
 対象活動の実施機関の考え方として、その基本的な要件として丸1、2、3をお示ししております。丸1、対象分野に関連し一定の専門性を有していること、丸2、発達段階に応じた支援・指導や特性理解に基づき、学習上・生活上の困難の軽減・解消が総合的に期待できる対象活動を実施できること。丸3、対象活動での学習内容や状況について対象児童生徒の在籍校と適切に連携できること、学習評価、卒業単位認定の観点からも把握が必要と示してまいりました。その上で、具体的な実施機関として想定される主体として、以下の図に示すようなものを類型としてお示しをしていたところでございます。
 また、対象活動を実施する場所等の考え方、先ほどお示しした大学等の実施機関の指導者が在籍校で対象活動を実施するケースは限られますし、適切な実施機関が存在するかどうかの状況は地域によって異なるといったことも踏まえれば、対象活動の実施に当たっては、オンラインの積極的な活用も想定するということ。その上で在籍校以外の場所で実施する場合は、次のポツ、対象活動の内容に応じて在籍校以外の場所や実施方法も考えられますが、発達段階を踏まえた安全管理や対象機関の指導者に対する倫理面での配慮が適切に実施される必要もございます。教育委員会や在籍校が安全管理等の状況を過度な負担なく状況を把握できるよう、具体的な課題は「運用の手引き」で整理すること。  
 次のポツ、また在籍校以外の場所に移動して対象活動を実施する場合の指導要録上の取扱いは、移動時間を含めて対象活動として捉え、全体として出席として扱うことを基本としつつも最終的には各教育委員会の判断による方向をお示ししておりました。また、実施機関の指導者についても、主体に応じて以下の4点を実施機関の類型ごとにお示しをしたところでございます。また最後のポツでありますが、指導者については発達段階に応じた支援、指導の在り方、特異な才能のある児童生徒の特性等の理解や支援の在り方等について一定の理解が必要であり、こうした観点からの留意点を「運用の手引き」で整理することがご議論いただきました。
 このような議論をこれまで経たことを踏まえ、本日の議論に入ります。ここから本日、新たにお示しする部分です。
 まず、指導計画、学習評価等の在り方を検討する上での考慮すべき視点です。対象活動を在籍校以外の機関や場所で実施するケースも多く想定される中で対象児童生徒の状況、どのような特性があり、どのような困難があり、またそれが実際に顕在化しているのかといったことや才能の伸長や困難の解消のためにどのような対象活動を行うのかといったことについて、関係者間で共通認識を持ちながら、特別の教育課程を計画的かつ効果的に実施し、円滑に対象活動に係る学習を子供たちが積み重ね、適切に学習評価を実施できるようにすることが必要です。
 このため、対象活動の質を総合的に確保する具体策として、特別の教育課程を編成・実施する上では、対象児童生徒の対象活動に係る指導計画を作成・実施することとしてはどうかと考えております。
 その上で、指導計画の在り方を検討するに当たっては、第3回のワーキンググループにおいて示されたとおり、「実現可能かつ持続可能な仕組みを創設する」という制度構築の基本的な考え方を踏まえ、実際に仕組みを運用することになる教育委員会・学校・実施機関等の過度な負担とならないよう十分配慮する必要があると考えております。
 次に、以上の考え方に基づいて指導計画等の在り方を検討する上では、以下の丸1から丸3のような観点に考慮すべきではないかと考えております。なお、コメ(※)で示したとおり、特別の教育課程となる対象となる児童生徒自体の考え方、あるいはその判断のプロセスについては、さらにこの後の論点として構えておりますので、今回は取り扱わないということでございます。検討上の観点として、まず丸1、特異な才能の伸長や困難の解消に寄与する効果的な指導計画とする必要性の観点す。特異な才能が発揮される分野や程度については、実際には多岐にわたり、学習上、生活上の困難も多様である中、対象児童生徒の特異な才能の伸長や生じている困難等の解消に寄与する効果的な指導計画とする必要があるのではないかということ。丸2、学習内容等を関係者が効率的に確認・共有・改善できる必要性の観点です。対象活動は通常の教育課程では支援が十分できないレベルの高度な内容が想定されており、在籍校以外の実施機関等の指導者など、様々に関係者が共通認識を持って継続的に連携しながら指導する必要がございます。このため、当該児童生徒の学習内容を関係者間で効率的に確認・共有・改善できる仕組みとする必要があるのではないかと考えております。またコメ(※)でございますように、対象活動を進める中で、当該児童生徒の状況や、あるいは本人の意向等を十分に踏まえつつ、必要に応じて対象児童生徒の対象活動の内容や場所が変わるということもあると思いまして、場合によっては特別の教育課程自体の実施を中止するということもあり得るというふうに考えておりますので、こうしたことも含めて対応できるようにという視点がございます。最後に丸3、適切な学習評価ができる必要性の観点です。学習評価は最終的には学校の在籍の学校の学級担任や教科の担任が行うものではございますが、実施機関の指導者等との連携を含めて、過度な負担なく適切に対象活動に係る学習評価ができるようにすることが必要であります。あわせて、特別の教育活動の実施が入試対策など単なる早修を助長するものにならないよう、この観点についてはこれまでも指摘をいただいておりましたけれども、入試における学習評価に係る取り扱い方についてどのように考えるかということであります。なお、コメ(※)でもございますが、入試対策など単なる早修を助長しないようにする観点、これは学習評価において重要な論点ではございますが、制度全体で通底すべき、考慮すべき論点でもございますので、念のため記載しております。 
 次に、今の考え方を踏まえて、指導計画に盛り込むべき具体的な要素についてでございます。冒頭申し上げましたように、具体的な方向性については次回以降検討することができればと考えておりますが、本日はある程度論点をお示しするところでございます。先ほどご紹介した丸1の観点に関連して、黒いポツでありますが、一定の質を確保しつつ、効果的な対象活動を実施するために、国は最低限指導計画に盛り込むべき内容を示し、その上で各学校等が柔軟に項目の追加や様式の設定をできるようにしてはどうかと考えています。最低限指導計画に盛り込むべき内容として、例えば以下のようなものを想定しておりますけれども、他にどのようなものが考えられるか。なお、指導計画を作成するに当たっては、対象児童生徒や保護者の意向も踏まえつつ、才能の伸長や困難の解消に寄与するかという観点から検討する必要があることに留意すべきと考えます。
 その上で記載項目例として何点かお示ししております。カッコ1、対象児童生徒の学習状況等に係る現在の「児童生徒の様子」です。氏名等の基礎情報。丸2、特異な才能を発揮する分野や程度。丸3、学習上・生活上の困難の状況や程度。丸4、相当教科等に関連する学校外での学習の状況。これは、相当教科等に関連する学校外で既に学びを積み重ねていることで、場合によっては資格等を取得しているなど、そういった関連の情報。カッコ2、対象児童生徒が行う対象活動の「指導計画」そのものであります。丸1として、カッコ1お示しをしました丸2、3、4を踏まえた相当教科等が何かということであります。既にA総合的な学習の時間の一部または全部、あるいはB各教科の一部または全部、あるいはCとして総合的な学習の時間、各教科の一部または全部という、類型が想定してあり、どの類型で、具体的にどの教科かといったことであります。また、コメ(※)で示しているとおり、いずれのパターンにより記載することはもとより、相当教科等の一部の場合は、領域についても記載をするということ。その際、学習指導要領のデジタル化の方向性が示されている中、指導計画上、相当教科等の領域で、学習指導要領コードを示すなどの情報連携の可能性についても留意が必要であると考えております。丸2、実施場所、指導者でありますけれども、在籍校で実施するか、在籍校以外の実施機関で実施する場合、実施機関の機関名や場所、指導者についても必要であると考えております。丸3、対象活動の目標・内容・頻度・実施方法(教材等の在り方を含む)ということであると思います。教育活動例として、いつどのような内容を実施するのかということで、部分的な早修、大学教員等の支援を得た発展的な課題を対象とする個人探究、大学の科目受講、大学等が実施するプログラムやコンテストへの参加、それに係る準備等であります。カッコ3、対象児童生徒の「学習状況の記録」であります。こうしたことについて、現行制度の他の特別の教育課程の仕組み、例えば特別支援教育や日本語指導など、そういった特例での指導計画のありようを踏まえて、今回検討をしているところでございます。7ページにございますよう、特異な才能の項目のイメージと共通している類似項目をハイライトでお示しをしております。ハイライトがない部分については、本特例の固有の部分ということも逆に言うと言えると思います。
 その上で、丸2の観点についてです。1つ目のポツ、上記の観点を踏まえ、教育委員会や学校、具体的には学級担任、教科担任、養護教諭、スクールカウンセラー等の関係者によって、指導計画を簡易に参照したり、協働で作業できる仕組みとすべきではないか。このため、指導計画の作成・運用管理は電子媒体によるクラウド共有等を原則としてはどうかとしております。その上で、事前の保護者同意を前提に、指導計画の内容に係る大学等実施機関との情報共有・連携の在り方、閲覧権限・修正権限等を含めた運用管理の整理が必要ではないかと考えております。特に、最も緊密な連携が必要となる対象活動の具体的な内容、日時や安全確保面を含めた具体的な場所、移動方法、毎回の活動の具体や実際の学習の様子といったレベルの粒度についての調整は指導計画の本体に記載する場合もあれば、指導計画そのものではなく、一体的に運用される添付の別紙のような形で記載されることもあるかと思いますが、いずれにせよ個人情報管理を適切に行った上で、適切な閲覧権限や修正権限の付与も含めて、教育委員会や学校等実施機関で電子媒体によるクラウド共有等で運用管理するイメージが効果的であり、効率的ではないかというふうに考えております。指導計画本体か添付別紙か、カッコにございますよう仮に指導計画本体についてまで保護者同意を得て情報共有の対象とするかどうかということについては最終的には教育委員会等の判断が前提と考えております。
 こういった運用の際に複数の特例、本特例だけではなく、例えば通級指導や現在、別のワーキングで検討中の不登校に関連する特例など、重複して特例に該当する場合があり得ると考えております。そうした場合、当該児童生徒について実施機関による適切な指導を確保する上では、本特例に係る指導計画のみならず、他の特例の指導計画との情報共有が望ましい場合もあり得ます。こうしたことも踏まえ、過度な負担がないよう整理が必要であり、各教育委員会等の参考となる運用の考え方を整理してはどうかと考えています。また、当該児童生徒の支援のために、医療・福祉機関等との連携がある場合も想定されることから、連携に当たっての必要な情報共有の在り方についても、現行の障害のある児童生徒に係る教育支援計画の運用実態や、現状におきましては特に不登校児童生徒については、支援計画相当のものとして「児童生徒理解・支援シート」、これを文部科学省として様式をお示ししつつ、各自治体で適宜様式等変更してご活用いただいていますが、その活用も含め整理が必要と考えています。このように指導計画のみならず、支援計画相当の仕組みについても目配せを全体としてしながら、議論を進めていく必要があると考えております。 
その上で次のページ、最初のポツで指導計画は最終的には対象児童生徒の教育課程全体に責任を持つ学校が作成する必要がありますが、しかしながら、特異な才能や生じている学習上、生活上の困難等を踏まえた効果的な対象活動や実施方法の検討、これについては専門性を要する上に、実施機関との連携等の在り方を含む国内での事例の蓄積ということについては十分でない可能性があるため、学校の知見のみでは困難が想定されます。こうしたことを踏まえ、学校が専門的見地から助言を得ることができるよう、例えば丸1、全国を対象とする知見を有する複数の大学等によって構成される相談支援プラットフォームの構築。丸2、さらに中期的には、本特例は多数の学校での編成を想定するものではないこと、特に小規模自治体では体制整備が困難と想定されること等を踏まえ、丸1で申し上げましたプラットフォームとの連携を前提としつつ、広域の自治体である都道府県教育委員会、特に総合教育センターといったものを都道府県教育委員会に設置される場合が非常に多いため、そうした場における相談支援担当の設置といった相談支援体制の構築の在り方や丸1、丸2に対する国の支援の在り方について検討すべきではないかと考えています。この他、相談支援体制の構築については、全ての自治体で体制整備を行うことが困難であるという中で、本特例の対象児童生徒とすべきかの判断の支援、適切な実施機関と学校・教育委員会が繋がることができる支援といった、特別の教育課程の編成・実施を全般として過度な負担なく、円滑に実施する観点などからも、令和5年度から実施している相談支援体制に係る実証研究事業の展開を踏まえつつ検討すべきではないかと考えているところでございます。
これに関連いたしまして、参考資料1、2をご用意しておりますけれども、現在、文部科学省の実証研究事業におきましては、本年度から愛媛大学の隅田主査を中心に全国単位で相談面談のご対応、実際の相談支援のお取り組みを既に実証研究で始めていただいています。また、伊藤委員を中心として、京都教育大学・京都府教育委員会と一緒になり京都府内を対象とした相談支援など、既に具体的取組が進んでおります。こうした具体的な取り組みの展開を踏まえながら、先ほど申し上げた相談支援体制の構築の在り方、国の支援の在り方について検討していきたいと考えています。
 最後に学習評価の在り方についてです。最初のポツでありますけれども、特異な才能のある児童生徒を対象とした特別の教育課程は、在籍校以外の機関で実施するケースが多いと想定されます。学級担任・相当教科担任が学習評価を行うに当たり、実施機関での具体的にどのような学習活動を行い、どのような成果があったのか等の情報、実施機関の指導者等から提供を受ける必要があると考えられます。その際、指導計画の作成段階で、原籍校と実施機関の指導者との間で学習評価に当たってどのような情報の提供が必要であるのか、可能であるのか、あらかじめ整理しておくことが望ましいと考えられるがどうかということでございます。また、これ以外に運用上に留意すべきことはあるかということでございます。
 次のポツ、論述やレポート、作品等の児童生徒の学習成果など、学習評価を行う上で必要な情報を十分に収集しつつ、学校・実施機関の双方にとって過度な負担にならないようにするという観点から、電子媒体やクラウドにより、実施機関の指導者等が指導計画本体、あるいは、指導計画と一体的に運用される添付別紙等に、対象活動の実施状況や対象児童生徒の学習の状況について記入し、最終的な評価者である学級担任や教科担任等がオンラインで参照できる運用としてはどうかと考えています。 
 次のポツ、学習評価に関連して、通級指導や日本語指導など、既存の特別の教育課程と照らして特徴的な点は相当教科等という概念がある点であろうかと思います。この相当教科等の評価に当たっては、論述やレポート、作品の評価等の評価材料がある場合は、当該相当教科等の一部として取り扱うこととしてはどうかと考えております。
 また、通級指導や日本語指導を受けている児童生徒は、指導要録上、当該指導の授業時数、指導期間、指導内容や結果等を総合所見欄に記載をするとともに、個別の指導計画で記載がある場合には、その写しを指導要録の様式に添付するということをもって、指導要録への記入に変えることができるということ、既に運用上になっておりますけれども、特異な才能のある児童生徒を対象とした本特例においても、同様の取扱いにしてはよいかということも論点かと考えております。
 その上で、特別の教育課程の実施が入試対策となったり、単なる早修を助長したりするものとならないよう、内申書上、本特例に係る特別の教育課程の編成・実施については記入しないこととすることをどう考えるかと考えております。なお、内申書ではなく指導要録については、一般に例えば中学校から高等学校にその写しが送付されるという時には、既に入試は終わっている状態でありますので、指導要録については先ほど申し上げたように、何らか別添の記載を添付するといった運用も含めて、区切った記載がなされるということでございますので、少し切り分けて考えることができればと考えております。また対象活動を実施する学校や教育委員会はもとより、大学・高等学校にも入試における取扱いについて国として一定の要請をするなど、どのような方法が考えられるかについても論点と考えております。
 その他でありますが、ⅡからⅤについての制度の詳細や実務に係る事項については、「運用の手引き」で整理することを想定しております。
次のポツでありますが、現行制度におきましても、不登校児童生徒に係る支援計画、指導計画ではなく支援計画相当の「児童生徒理解・支援シート」の作成のほか、一方で障害のある児童生徒への支援や日本語指導が必要な児童生徒の支援に係る個別の指導計画が作成する実態が既にございます。今後、先ほど申し上げたとおり、複数の特例に重複して該当する児童生徒の存在も想定をしていく必要がある中にあって、この「児童生徒理解・支援シート」の活用の在り方、また今般の特異な才能のある児童生徒・校内外教育支援センターに通う児童生徒の支援に係る指導計画の在り方について、対象の児童生徒を包括的に、特例を横断する観点も入れて支援し、教育の質の向上をさせるとともに、学校現場の過度な負担を一方でならないようにする、負担を軽減する観点からどのように関係性を整理していくかということも論点であると考えております。この点は、現在並行して検討いただいている不登校に係る特例のワーキングと歩みを合わせて検討する必要があると考えております。
 最後、補足イメージとして、本日ご説明いたしました指導計画の作成運用等に係る連携の参考イメージについて、素案として全体像をお示ししております。指導計画作成・運用の連携しながら進んで運用されていくイメージをお見せしております。その上で申し上げましたように、相談支援体制の構築も進めながら、その相談支援というものを得ながら、全体として取り組みが進んでいくというイメージをこちらでお示ししております。
 事務局からの説明は以上です。 
【隅田主査】 ありがとうございました。才能伸長や困難の解消のために、より具体が出てきたところかと思います。また、全国プラットフォームと都道府県センターの二層モデルは、自治体間の体制差を吸収し、とりわけ小規模自治体の実装可能性を確かなものにすると思いました。
 それでは質疑応答・意見交換の時間といたします。御質問・御意見のある方は挙手ボタンを押していただき、私から指名をさせていただきます。御発言は5分程度でおまとめください。
 初めに、本ワーキングと並行して検討が進められている、不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキングにも御参画の藤田委員より、1月29日の同ワーキングでの御発表内容を簡単に御紹介いただきつつ、本ワーキングへの示唆も含め御意見をいただければと思います。藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】 藤田でございます。よろしくお願いいたします。参考資料3の7ページを御覧ください。
 まず、前提として、先日の第4回の不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループで、東京都が独自に行っている中学校の不登校生徒のための学級「チャレンジクラス」の取組について、文科省の研究開発学校として取り組んでいるためそちらについて発表いたしました。
 チャレンジクラスの研究課題は、個に応じた特別の教育課程の編成・実施及び、個別の指導計画に基づいた評価の在り方を構築する研究開発です。現在、個別の指導計画を作る研究開発をしていますが、支援を必要とする生徒であるため、十分なアセスメントが必要であり、併せて個別の支援計画を、文部科学省が提示している「児童生徒理解・支援シート」を基に東京都版として連携して作成しています。
 次の8ページですが、実際、複数校で連携運用しており、シンプルかつ情報共有しやすい視点で各校が研究しています。いわゆる個別の指導計画と個別の支援計画を、裏面などで同一ファイル内に一体的に管理し、関係職員で情報共有しながら進めていることがあります。A中学校の例が、表裏で指導計画と支援計画を一体的に管理しているものです。
 12ページに飛びます。個別の指導計画作成の取組で明らかになったこととして、生徒の視点からの成果では、個に応じた指導計画に基づき指導することで、達成感の獲得やさらなる学習意欲が得られている点があります。教員側としても、生徒理解の深まりや指導の記録を残すことで継続性を持った指導ができる点があります。
 一方、課題としては、適切で納得できる目標設定と学習量の調整が必要であり、子供が主体となって作るものですから、指導者側が十分にアセスメントしながら調整する必要があること。それに合わせて、教員側の課題としては、時間を要する部分があります。
 13ページでは、個別の指導計画作成に必要と考えられることとして、先ほどの栗山室長のお話と重複するところがございますが項目としては学習者の基礎情報、指導の方法、指導の内容・方法、評価規準の4点、作成プロセスとして、アセスメント、学習者自身の自己決定、保護者の理解、校長の承認が最低限必要ではないかとして発表しました。
 その中で、私から発言させていただいたことや他の委員からコメントがあった点としては、不登校児童生徒については子供主体であることが重要で、学習評価はABC、5段階等の評定よりも、子供と一緒に作り上げた指導計画に基づく文章表記の評価が向いているのではないかという発言がありました。
 最後に、教職員にとって過度な負担がかからないことが重要であり、あわせて他の特例における計画との関係整理も必要で、どこまで活用できるか見当が必要と考えますが、支援計画は「児童生徒理解・支援シート」の活用も含め、うまく整理できるとよいのではないかと発言いたしました。
以上です。
【隅田主査】 ありがとうございました。先行している他のワーキングの先行事例をお示しいただき、先生方に負担がなく継続できる形で作っていく視点は重要だと思いました。貴重な資料と御意見をありがとうございました。
 それでは、順不同でどなたからでも結構です。御意見がございましたら挙手をお願いいたします。五味委員お願いいたします。
【五味委員】 示していただいた2の 学習内容等を関係者が効率的に確認・共有・改善できる必要性の観点について、長野県の事業でも非常に大切だと考えていますので意見を述べさせていただきます。
 先日、事業の運営指導委員会を開き、協力校の先生方から、この事業を通して子供の姿の捉え方が変わったという発言が複数ありました。これまでは、授業内容の理解が困難である児童生徒の支援に目が向いていたが、1年間の取組を通して、授業内容が簡単すぎて困っている児童生徒がいないか探したり、その子の困り感に寄り添うことに意識が向くようになったということです。
 今回、特別の教育課程を導入して、対象活動における子供たちの取組の様子を共有することは、単なる情報のやり取り以上の意味を持つと思います。先生方が子供の姿に出会ったときに多くのことに気づくという話もあり、こうした共有が先生方のマインドチェンジを大きく進めると予想されます。そういった意味で、ICTを活用して負担なく共有・改善できるシステムを作っていくことは必要であり、今後も大事に検討すべきだと感じました。以上です。 
【隅田主査】 ありがとうございました。才能を持った子は全国どこにでもいるはずですから、先生方が気づくようになったのは素晴らしい事例だと思います。クラウド等で共有できれば、担任やスクールカウンセラー等が同一情報にアクセスでき、情報の断絶や引継ぎ不全を回避できる点で重要だと思いました。
 続きまして、委員の方、御意見いかがでしょうか。小林委員お願いします。
【小林委員】 先ほどの五味委員からの御発言に関連して、私も長野県で今年ご一緒する中で、先生方との情報連携は非常に重要な部分の一つだと考えています。
 今回の事業の一部として独自システムを開発し、参加者の児童生徒と大学院生・大学生チューターとのセッションが終了するたびにリアルタイムで研究・探求情報が上がるようにしています。一方で、学校の先生方のICT環境が基礎自治体ごと、学校ごとに異なり、何にいつアクセスできるか、権限の持ち方も含めて違いがあることが分かりました。そのため、ICT環境の整備においては、かなり柔軟な設計が必要になるというのが大きな学びでした。 
【隅田主査】 貴重な実践例をありがとうございます。私も大学でサイバーメンタリングシステムを作っていますが、どれくらい多機能にするか、どれくらいシンプルにするかは悩ましく、やってみないと分からないところがあります。多くの先生方が参加して使っていただける形にできるよう、また教えてください。 
【小林委員】 よろしくお願いいたします。
【隅田主査】 続きまして、他の委員の先生、いかがでしょうか。角谷主査代理、お願いいたします。
【角谷主査代理】 御説明ありがとうございました。私からは、次回以降につながる具体に踏み込むかもしれませんが、3点申し上げます。
 1点目は、資料6ページの「指導計画を作成するに当たっては、対象児童生徒や保護者などの意向も踏まえながら」という点です。先日の不登校ワーキングの議論を伺う中でも、今後かなり重要になりそうだと感じました。単にどのような対象活動をしたいかの確認にとどまらず、目標や計画の設定、評価プロセスも含め、子供自身が関わること、子供を巻き込んでいく必要性・意義はギフティッド教育でも高く認識されています。ここでの児童生徒の意向・自己決定は、対象活動の希望以上のものにしていくことが求められると思いました。これは同時に学習評価にもつながり、その後の指導につながるスタートとして重要と思いました。
 2点目は情報の共有です。実施機関は学校側からの指導計画情報を受け、評価に関わる情報を提供する点が中心に据えられています。この点はまさに必須の要因だと思います。一方、実施機関側から発信したい情報があるとき、知りたい情報や相談があるときにどうするかが課題になり得ます。実施機関と相談支援体制の間も含め、双方向の矢印が可能であるという設定はあるとよいのではないかと思いました。また、実施機関と学校との間に対象児童への効果的な対応に関する質問ができるという、そういう前提となる構えを据えると良いのではないかと思いました。特別の教育課程の実施機関となることで、課外活動と異なり、興味・関心の場の提供を超えた教育的配慮が求められることになります。必ずしも実施機関の指導者が教育のプロパーとは限らないため、困り事や要望が出ることが想像されます。こうした点を盛り込むと、実施機関にとって安心ではないかと思いました。
 3点目は10ページの評価に関する点です。実施機関からの学習の情報の提供等が提案されておりまして、いずれも評価の根拠として、非常に有用な情報だと思っております。評価材料として論述・レポート・作品等の学習成果、また実施機関からの情報提供はいずれも評価の根拠として有用です。実践者と評価者が異なる状況が想定される中で、評価の主体は学校であるというスタンスが根底にあります。実際的には、学校が評価する上で必要な観点を盛り込んだポートフォリオのような課題を、学校主体で学校の場で子供に提供することも方法としてあってもよいだろうと思いました。これにより、子供自身が学びの軌跡・成長を実感して自信が高まり、評価にも子供を巻き込むことになり、実施機関の負担軽減にもつながる側面があると思います。以上です。
【隅田主査】 子供、保護者、学校、実施機関が同じ方向を向くことの重要性、双方向性を高めて敷居を下げる視点は重要だと思いました。評価に関わる論述やレポート作品等の材料の話も出たと思います。今回の取組は特異分野の子供だけでなく、全ての子供に影響を与えるよい事例となる可能性があり、そういう形でも使っていければと思います。
 続きまして、他の委員の方いかがでしょうか。野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 野口です。ありがとうございます。
 1点目は、個別の計画作成に当たって、本人の願いや本人の学びたいことが重要視されるべきだということです。特別支援でも起こりがちですが、子どもの願いや思いを聞かず、周りの大人がアセスメントして計画を立てることがまだ起こっています。そうならないよう、計画は子供と一緒に策定する運用がよいと思います。
 2点目は、これまでも本ワーキングで、まず1階を実践した上で2階という共通認識をしてきた点です。指導計画を検討するに当たり、計画を対象活動に関わるところだけにするのかという点も議論できるとよいと思います。例えば、特別支援教育においては、通常の学級で合理的配慮等が必要な子供については、計画作成は義務ではないものの推奨されています。対象活動の対象ではないが留意が必要かもしれない子供をどうするか、通常の学級でどんな留意点があるか、子供自身がどういう支援を望むかも記載する項目を検討できるとよいと思います。当然、教員負担はある一方で、「外部に任せておけばよい」とならないよう、体制整備も含め検討していけるとよいと思います。
 3点目は、栗山室長や藤田委員からもありましたが複合的ニーズ、各種特例を横断する観点が非常に重要だということです。計画フォーマットや運用方法、特例活用のプロセスなど共通点が多く、共通点を明らかにして包括的なシステムの方向性を示すことが望ましいと考えます。
 最後に、今の丸2、丸3や2つ目、3つ目とも関わるのですが、この1階部分で共通する留意点、つまり基礎的な環境整備としてで何ができるかを具体化し、多様性に対応してくために、確実に実践される工夫が必要だと思います。これがあれば、個別の留意点が不要になる子は多いと思います。この点は他カテゴリーとも共通するので整理し、各教科等のワーキングに提案していくことも必要だと思っています。以上です。
【隅田主査】 ありがとうございました。計画自体を段階化して整理し、通常の学級と特別の教育課程、1階と2階の接続を一貫して考える視点は、本ワーキングとして一貫してきた方向だと思いました。特別の教育課程を考える場合はもちろん、通常の教育課程を考える場合も、他の教科等ワーキングとのすり合わせなども含め、より多くの子供にメリットのある提案につながる、バランスのいい導きがあるといいのではないかと思います。ありがとうございます。
 それでは大島委員、お願いいたします。 
【大島委員】 ありがとうございます。私からは、コメントとお願いを2点申し上げます。私は大学の立場で、実施機関として特異な才能のあるお子様を受け入れる側になると思います。そういう観点で、クラウド等で情報を共有する共通プラットフォームがあることは非常に助かると思います。意見や情報の共有において一番問題になるのは食い違いだと思うので、同じ情報を一元的に共有していくことは必須であり非常に大事な点だと思います。
 その上でお願いの1点目は、支援と指導の体制において、学びの内容についてです。大学は小中高の教科の基礎よりも、学校では学べないようなものを提供する形になると思います。その際、受け入れ側が今の学習指導要領や、小中高で何が起こっているか、例えば授業という意味で十分理解できていないことがあり得ます。そのような中でどのような内容を指導していくのか、学校側、子供側、これは学びたいことを主体的にするという子供目線で、学校で何が学ばれているかの情報共有をした上で、受け入れ機関でできることも踏まえ、ある程度実現可能な計画を立てていくことが双方にとって大事だと思います。それを具体的にどうするかが今後大事になると思います。実施機関・受け入れ機関としてのお願いになります。
 2点目は、学業としての学びだけでなく、精神的・心理的な支援も重要だということです。私たちが行っているUTokyoGSCの取組でも、子供の自己評価と他者評価がかなり違うことがあります。他者評価としては良くても、自己評価が低い子もいます。そうすると、どこかでやる気をなくしたり挫折感を味わうことも起こり得ます。大学側はどうしても年齢が上になり、18歳以上、大学院生では20代後半もいます。きちんと子供に寄り添える、精神面、心理面をサポートできる体制を、学業以外も含めて整えていただけると、受け入れ機関としても安心して受け入れられる形になると思います。その2点について今後ご検討いただけるとありがたいというふうに思っています。私からは以上です。 
【隅田主査】 今回が教育課程上の位置付けということを考えますと、学習指導要領の内容等とのすり合わせに学校の先生は関わるとは思いますが、それだけではなく、寄り添う、カウンセラー的なところも含めて情報を学校の先生に共有できるという点では、本日の資料で出ていました電子媒体はうまく使える可能性もございます。ぜひこれは必要かなと思うところでございます。
 御経験に基づいた貴重な御提案、どうもありがとうございました。
 それでは、坂本委員、お願いいたします。 
【坂本委員】 ありがとうございます。事務局から提示された資料を拝見して、これまでの議論を通じて、こういうことなんだろうなと思いながら見ておりました。その中で感じたこと、さらにしっかり皆さんと議論したいところを述べます。
 まず、特別の教育課程を編成するに当たって指導計画を作ることが今回示されましたが、藤田委員から御紹介のあった東京都の不登校の子供たちのための個別の指導計画の作成と、共通する部分がかなりあると感じながら伺っていました。可能なら藤田委員の資料の13ページを開いていただければと思います。作成プロセスに当たって、まず一つ、学習者の自己決定の重要性です。いろんな委員からも出ていますし、事務局資料でも触れられていますが、ここは大切にしたい。子供自身の自己選択、自己決定をどれだけ盛り込めるかが大切だと思っています。
 ただ、子供に「自分で決めるんだよ」と委ねても難しいと思いますので、アセスメントの実施が非常に大事であると考えています。その子にどんな特性があり、どんな特異な才能があり、どのような学びに繋げていくことが支援につながるのか、しっかりアセスメントしていく必要があると思います。
 不登校ワーキングの指導計画と我々のワーキングの大きな違いは、不登校の子供たちの学ぶ内容は通常の教育課程で指導している内容と共通するため、学校のリソース、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった教育委員会のリソースで実現可能だと思いますが、我々のワーキングで特異な才能の子供たちに資する計画を立てるときは、学校や市の教育委員会だけのリソースだけでは判断が難しく、高度な専門性も要します。
 その中で、相談プラットフォームの活用が触れられていたのは良かったと思います。スモールスタートしていく上では、実績のある愛媛大学や京都教育大学等との連携が大事になってくると感じました。
 また、指導計画には、野口委員からもありましたが特別の教育課程の部分だけを指導計画に盛り込むのではなく、教育課程全体でその子をどう支援していくのかという視点をしっかり盛り込むことも大事だと感じます。
 2点目は評価です。教育課程の中での活動になりますので評価が必要ですが、通常は授業をしている先生が目の前の子供を見ながら、成果物、テスト、授業中の取組等を総合的に判断して評価できます。一方で対象活動に対する評価をどう行うのかは、現場目線では非常に難しいと感じています。特に相当教科等として、何らかの教科の全部を相当教科とした場合、対象活動だけで評価を付けなければならないことにもなります。他の子供たちとの公平性をどう担保するのか、どういった根拠に基づいて評価していくのか、かなり難しいというのが率直な感想で、この辺りをどう整理するかが大事だと思います。
 先ほど藤田委員のお話では、不登校の特別の教育課程の評価は文章表記のほうが向いているのではないかという点もありましたが、こちらのワーキングの評価はどうしていくのか、今後しっかり議論が必要だと思いました。 
さらに、内申書に特別の教育課程の実施について記入しない方向性が示されていました。入試対策にならないようにすることは大前提ですが、内申書は子供たちが教育課程の中で何を頑張り、何に取り組んできたかを記録し、入試の際の資料として使うものだと思います。その子にとって、特別の教育課程への取組は、その子にとって学校生活の中で頑張ってきたことの大きな一つになるはずで、内申書に全く反映されないのはモヤモヤが残ると感じます。
 なので、入試対策にしないことは大前提として、対象児童生徒とするかどうかの段階で慎重に判断すればよいとも思っており、対象としたからには、その子の頑張りとして内申書等にも反映させてよいのではないかと感じます。ただ、過度な取扱いにならないよう、大学や高校等に国としてしっかり発信していく方向性がよいと思いました。
 また、この制度はスモールスタートですが、どうスモールスタートを切れるのか、何らかの制限をかけるのかなど、今後議論が必要だと思います。この制度を待ち望む家庭もある中で、制度開始と同時に「私も私も」となったとき、学校や教育委員会が板挟みになって難しさを感じることがないようにしたいと思います。以上です。
【隅田主査】 重要な観点をたくさんありがとうございました。二層構造は、支援の継続性、将来的なスケールアップの現実的基盤としてよい一方で、この瞬間にも新しい制度を待ち望んでいる方にどう届けるか、どこまでにするかは議論が残るという御指摘のとおりで、「運用の手引き」を作る上で検討すべき視点だと思いました。
 自己評価についても、大島委員のご意見と共通する部分であり、自己評価が高めの子もいれば低めの子もいます。能力は高いのに引っ込み思案の子もいます。どの子がこういう活動にチャレンジしてみたらよいかは、本人、保護者、学校等が相談して同じ方向に向ける、納得しながら進めるためのシートとして、今検討しているようなものが使えるとよいと思います。ありがとうございます。
 内申書の点について、五味委員いかがでしょうか。御経験からコメントがあればお願いいたします。
【五味委員】 教師として教壇に立っていた立場からすると、そういったことは書きたいなと思いますし、協力校の先生方からも、次の上級学校の先生方に、こんな取組をしていたことを知ってもらいたいという話は上がっています。一方で、ワーキングでも出てきたとおり、そこはうまく扱わないと懸念としていることも出てきてしまうと思いますので、気を付けたいと思っています。ただ、どうするべきかの答えは、まだ自分の中で決まっていない状況です。 
【隅田主査】 分かりました。藤田委員、いかがでしょうか。
【藤田委員】 内申書との関係、入試との関係は、不登校ワーキングでも非常に難しい問題です。ただ、先ほど栗山室長からも提案があったように、指導要録として公的な記録として残せるようになれば、上級学校に初めて、子供たちの学習履歴が正式なものとして引き継がれることになります。これは制度設計の一つの大きな狙い、到達点なのかなと思います。
 例えば、不登校で休みがち、支援を要するお子さんが、自分に伸長したい分野があって学んでいたとしても、現時点では上級学校に引き継ぐことは公的にはできません。学校間のやり取りの中で引き継がれることもありますが、制度設計ができれば、正式なものとして子供の学習履歴が引き継がれる点で大きな意義があると思います。以上です。 
【隅田主査】 事務局資料で出た指導要録に書くというフォーマルな位置付けは、大きな一歩であるのは間違いありません。児童生徒の実態把握のところで今回入った相当教科等に関する学習歴、資格等も含め、引き継ぐことの重要性を提案できるところであり、それが指導要録にきちんと位置付けられるのは大事です。それ以降、他に何ができるかは、無理のない範囲で継続して検討していくことになると思いました。ありがとうございます。
 それでは石川委員、お願いいたします。
【石川委員】 ありがとうございました。今回、指導計画等の在り方を検討する上で必要な論点を整理することが目標ということで、事務局の資料と説明の中に、今後議論が必要な内容がしっかり含まれていると思いました。考慮すべき3つの観点についても、いずれも指導計画等の在り方を検討する上での最優先課題が適切にピックアップされていると感じました。
 その上で一つ、坂本委員からも御指摘がありましたが、10ページの③にあります、「単なる早修を助長せず適切に学習評価ができる必要性」の部分についてコメントいたします。入試における学習評価の取り扱い方を間違えると、特例に関する特別の教育課程の制度そのものにマイナスの影響を与えかねません。制度趣旨に照らして妥当な扱い方を、諸外国の事例も参照しつつ、広い視野から今後十分に検討する必要があると感じました。
 具体的な議論については次回以降になるかと思いますが、韓国を一例に挙げたいと思います。受験競争が激しい韓国では、才能教育プログラムの履修歴や実績は、指導要録の原本には記載されるものの、大学入試の際に用いる内申書には記載されないようになっています。これは、書類審査で才能教育プログラムの履修歴や実績が評価されることで、才能教育が入試対策に利用されたり、特定の志願者だけが有利になることを避けるための措置です。したがって、プログラムを通して身に付けた資質・能力そのものを否定しているわけではありません。
 韓国の大学入試では、才能教育プログラムの履修者に特定のラベルを貼らず、才能教育プログラムを通して身に付けた資質・能力についても、才能教育プログラム以外で身に付けた資質・能力と同等に、通常の選抜方法、例えば論述試験や面接などの選抜方法を通じて評価されるようになっています。
 必ずしも我が国も韓国のようにすべきというわけではありませんが、我が国でも特別の教育課程に関してその履修歴や実績が入試対策に利用され、ほかの児童生徒との間に不公平感を生んだり、この制度自体に違和感を生じさせたりすることを避ける必要があります。それと同時に、特別の教育課程を履修する児童生徒の学習意欲や自己肯定感を損ねない仕組みにする工夫も必要だと感じます。これについては今後さらに議論を深めることが大事だと考えました。以上です。
【隅田主査】 ありがとうございました。坂本委員の御意見にもつながる評価の難しさにも関わる点でした。特別な教育課程に関わらず、児童生徒が身に付けたものは、論述やディベートの場面で何らかの形で出るでしょうし、研究成果やコンテスト経験が減るものでもありません。才能の伸びだけではなく、困難の解消がその子にとって大きなメリットになっている可能性もあります。指導要録で残れば間違いないなく、韓国の先行事例も含め御意見いただき、ありがとうございました。
 それでは伊藤委員、お願いいたします。 
【伊藤委員】 ありがとうございます。引き続き石川委員のお話も引き取りつつですが、私自身、内申書や入試への活用は怖いなと思っているというのが大前提としての意見です。ここにいらっしゃる先生方も含め、特例のワーキングが早修を一方的に促すものではないというコンセンサスは取れていると思いつつも、内申書の表記を通して「結局早修じゃないか」という話になったり、大学の人間としては入試等に利用するためのものではないと言いながら、書いてあったときに変に察しないといけないような、よく分からないゲームになってきてしまうと感じます。
 落としどころとしては、指導要録という意見に加えて、実際に子供、保護者に接している中で、子供たちのことを考えると、フォーマルな評価よりも、もう少しインフォーマルな評価が大事な場面があります。通常の学級担任が、「今あなたはこんなことをやってきた、こんなことを学んだんだね」と認めてくれるだけで、困難が解消するケースもあります。また、「今日担任の先生に話してあげよう」と思って子供が学校に行けるようになったりもします。
 フォーマルな公式のアセスメント評価と、インフォーマルなところは切り分ける必要があると思います。ただ、そうした中で内申書まで焦ってやる必要があるのかは疑問です。加えて、地域差が大きい領域で、不公平ではないかという議論を呼ばない対策も必要です。その点では、高校入試の後に指導要録が渡されるので、それに準ずるものが限界、妥当なのかもしれないと思いました。
 関連して、参考として、私は元々特別支援の人間ですが、自立活動には「6区分27項目」という枠組があります。広く取っていて何でも当てはまる感じもしますが、こういうことを目指している活動だよねという枠組があることで、学校の先生たちが参照できる根拠になります。同じような枠組があるとよいのではと感じました。
 最後に、大島委員からもあった実施機関側の負担の話について、特別の教育課程の編成時に在籍校、原籍校との連携を求めることは大事だと思う一方で、実施機関側の負担が大きくなり過ぎると、実施機関が「ここの活動をやっても特別の教育課程のための連携はできません」、の一文を入れかねない形にならないかといった懸念も感じています。特別の教育課程の枠組で来ている子とそうでない子が混在する中で混乱する、ならば一括でノーと言うほうがよい、という後退させた方向にならないようにしないといけないと思いました。具体でどういう政策が必要なのかということではないんですけども、せっかくの議論ですので、これまで何となく回っていたものに線が引かれてしまう。そっちの向きを向かないようには私たちもしていかないといけないなということで、質問というよりかはコメントばかりとなりましたが以上です。
【隅田主査】 いずれも重要な観点でした。フォーマルだけではなくインフォーマルも含めて、学校全体に広がるための視点で、1階から2階だけでなく2階から1階への影響も含めて考えるという点は大切な視点です。
 2点目の枠組の話は、手引きを作ることになっていますので、どこまで含めるかを議論する際に、引き続き御意見をいただければと思います。
 3点目の実施機関の負担は、まだ十分議論していないところでもあり、今後、手引きも含めて共通理解を作っていかなければならないと思います。皆さんの経験と知見を持ち寄って、総力戦でできればと思います。伊藤委員、引き続きよろしくお願いいたします。
 一通り委員の皆様から御意見をいただきましたが、2回り目にいけるということでございます。いらっしゃいますでしょうか。
 伊藤委員、続けてお願いいたします。
【伊藤委員】 一つ現場の先生方に伺いたいのは情報共有についてです。デジタル化を考えると、都道府県単位、市区町村単位で大分セキュリティレベルが違います。これをクリアする一番早い方法は、市区町村単位で情報共有システムを立ち上げることだと思いますが、それだと限界があり、各市町にコストがかかり、できるところとできないところが出てくると思います。
 全国的、あるいは都道府県をまたいだ情報共有を可能にするために、具体として何を考えればよいのか、今やっていて具体的にどういうハードルがあるのか、教えていただければと思いました。 
【隅田主査】 資料では、指導計画の運用で共同編集可能な電子媒体をクラウドで管理するということが現時点の現実的な解なのではないのでないかというご提案でございます。御指摘のとおりインフラやルールの違いがあると思います。教育委員会関係の先生方に状況を伺えればと思います。五味委員からお願いしてよろしいでしょうか。
【五味委員】 長野県の取組では、先ほど冒頭で小林委員からシステムを作っている話がありました。市町村ごとにシステムを作らなければいけないのかという心配もありますが、私はクラウド関係の業務にも携わっており、校務DX、次世代型校務支援システムを令和11年までに揃えていくKPIが示され、動いています。その流れと合わせて情報共有も考えることが大切だと感じています。
 令和11年頃までには、今では考えられないことが実現する可能性があります。例えば県内教職員が全て同じテナントのアカウントを持ち、ゼロトラスト環境で安全に情報にアクセスできるネットワーク網ができるなども考えられます。長野県でもそういったシステムを作って進めている状況です。 
【隅田主査】 ありがとうございました。坂本委員、いかがでしょうか。
【坂本委員】 五味委員からあったように、次世代公務DX環境を揃えていく方針は各自治体が取り組んでいると思います。国としては県域での共同調達をなるべく行う方向で、補助も出しています。
 ただ、本市の状況で言うと、神奈川県は県域での共同の動きが全くなく、鎌倉市独自で環境を整えようとしています。鎌倉市内で完結することは問題なくできると思いますが、市を超えた連携、外部機関との連携では、どのプラットフォームを使うのかが課題として残ると感じています。 
【隅田主査】 藤田委員、いかがでしょうか。
【藤田委員】 個人情報の取扱いに関わる部分で、市町村間で規則等が異なり、非常に難しさを感じています。ここは大きな課題があると考えています。
【隅田主査】 プラットフォーム、システムとしての共通性と、ソフト面として共通のシートを作って共有する程度なら可能なのか、どこまでできるのか、どう組み合わせるのがよいのかなど、実用的な運用に関わる部分で知恵を出し合い、考えていくところだと思いました。
 伊藤委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【伊藤委員】 ありがとうございます。いろんな状況があると思いながら伺っていました。市をまたぐケースは多いと思いますし、各市町に大学があるわけでもありません。大学を利用する場合、都道府県単位ぐらいでセキュアな環境が確保できるのがよいのではないかと思います。例えば、京都市に住んでいて福知山市の大学の取組の入力のために福知山市まで行くとなると、せっかくのデジタルがもったいないので、その単位でいけるとよいと思いました。以上、情報提供です。
【隅田主査】 他の委員の方々、いかがでしょうか。
 それでは、坂本委員、いかがでしょうか。 
【坂本委員】 2点質問と、先ほどの意見に補足をさせてください。
 1点目は、相談プラットフォームとして大学の活用についてです。参考資料1の愛媛大学の取組を見ると、オンライン対応も可能とされていますが、実際に全国からオンラインで相談を受けているのか、またオンラインでの難しさ、課題、プラットフォーム面の課題があれば教えていただきたいです。
 2点目は内申書の表記についてです。石川委員から韓国の事例として、特別の教育課程に行っているというラベル付けはしないというお話がありました。私もラベルが付いたら評価しなければいけない、という考え方には反対です。一方で、その子が他の学校生活で取り組んできた子と同じように扱う、例えば総合所見欄に「大学と連携してこういう探究学習を行った」といった程度の扱いで十分だと思います。とにかく何らかその子の頑張りが他の頑張った子と同等に扱われて、内申書にも盛り込めるといいのかなとそんな感触です。特別扱いではなく、他の取組と同等に扱われたら、無理がないんじゃないかと補足として意見させていただきます。以上です。
【隅田主査】 ありがとうございました。1点目、愛媛大学の相談プラットフォームについてですが、全国からお問い合わせをいただき、日程調整の上、オンラインで対応しています。対面の場合もありますし、通える範囲であれば出向く場合もあります。
 それをきっかけに、専門家や仲間づくりに繋げたり、学びの提案としてサイバーメンタリングに関わるようなものを御紹介したこともあります。ぜひ御利用いただければと思います。
 2点目について、石川委員、補足がございましたらいかがでしょうか。
【石川委員】 坂本委員のコメントの意図をよく理解できました。他の子供たちの頑張りと同じような形で、特別の教育課程での頑張りを認めるという視点はとても大事で、今後、どのような学習評価の仕組みを作っていくかを議論する上で重要な観点だと思います。
 繰り返しになりますが、我が国で特別の教育課程の学習評価の在り方について議論していく上では、通常の教育課程における全ての子供の頑張りと同じように、特才の子供の頑張りについても評価できるようにするという視点が大事です。ただし、その評価を、高等学校入試においてどう取り扱うかについては、より慎重な議論が必要だと思います。単なる早修を助長せず、かつできるだけ平等・公平に特才の子供の頑張りを取り扱うためにどうしたらよいか、今後具体的かつ丁寧に検討していければと思います。
 また、特別の教育課程は特才の子供に関するものだけではなく、不登校児童生徒に関するものなど現在議論中のものや、既存のものも含め複数ありますので、これらの特別の教育課程の学習評価に関しどの点で同じように扱っていけるのか、あるいはどの点で同じように扱っていけないのかということも議論すべき内容に入ってくると思います。
 具体的な議論は次回以降になると思いますが、他の議論中あるいは既存の特別の教育課程に係る取り組みの履修歴や実績と比べると、特才に係る対象活動等の取組の履修歴や実績は、上級学校進学時にプラスに評価され得る可能性が高いという性質を持っている点が特徴と言え、そこについては学習評価の取扱いをより慎重にしないといけない部分だと思います。
 既存の、また特才を含めた現在議論中の特別の教育課程における子供の頑張りがそれぞれきっちり評価されるようにしつつ、上級学校進学時の学習評価の取り扱いについては、特別の教育課程間の枠組を超えて、相互参照しつつ、トータルに議論していく必要も出てくるのではないかと思いました。
【隅田主査】 ありがとうございました。とても重要な視点で、特別の新しいワーキングを超えて議論すべき重要なポイントだと思いました。
 それでは野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 モデル事業等で実践されている先生方に伺いたいのですが、先ほど五味委員から「先生たちの子供を見る視点が変わった」というお話があり、とても興味深いと思いました。通級等でも、子供を見る視点が変わることはよく見られると思います。
 つまり、2階部分の特別の教育課程の編成をして、一方でその子に関して1階でこういうことができる、実はそれは他の子にも活用できる、ということが起きているのではないかと思っています。
 先生方が変わったというのは、そもそも特別の教育課程の編成をすることで変わったのか、何かしたら通常の学級でもこういう工夫ができるといった助言があったのか、ケース会議なのか話し合いの場でどういうことがあったら通常の学級の先生が変わっていくのか、ぜひ知りたく思い、質問いたします。
【隅田主査】 ありがとうございました。先生の見方が変わるだけで教育的な関わり方も変わる点で、私も令和5年、6年に研修パッケージを作りましたので参考にしていただきたいところです。愛媛大学教育学部附属才能教育センターでは、幼小中高、特別支援の先生も含めて月1回程度の会議を行い、情報共有をしています。面談は複数で行い、一人の専門家だけでなく、いろんな立場から関われるようにしています。時間帯によっては学校の先生にも入っていただき、カウンセリングも一緒に行っています。
 実施機関の側で、少し伺いましょうか。伊藤委員、いかがでしょうか。 
【伊藤委員】 相談支援のほうに飛んでくると思っておらず構えていなかったのですが、あるあるだと思います。専門から話をすることもありますので、よくあるケースかと思います。
 今年度、来年度で京都府内の全市町で研修会を行うことを考えています。研修会で大きな枠組の話をして「こういう子いませんか」と投げかけると、「います」「困っています」という先生が出てきます。まだ支援対象として見られにくい、怠けていると思われてしまう子供もいますが、その子たちの困難さを言語化して伝えると共感が得られ、相談支援につながっていきます。
 素敵だと思うのは、どこの学校の先生も、相談してくる時点で「自分たちのところで何ができるんだろう」から思考をスタートしてくださる点で、徐々にマインドチェンジが起きていると感じます。1回接触できれば結構変わる、という実感があります。
【隅田主査】 ありがとうございました。私も関連内容の免許状更新講習を実施していたとき、講習の最後になると先生方が「自分のところにいます」と話してくれるようになりました。長い時間でなくても、少しでも話を聞くと、思い当たる子は結構いると思います。ありがとうございます。
 もう一つ、実施機関ということで五味委員、いかがでしょうか。小林委員も伺いましょうか。お願いいたします。
【五味委員】 ここ数年、現行の学習指導要領の実施に向けて、学校内で授業改善の取組が進み、子供が学び方を選択できるように、子供に委ねる授業づくりが着々と進んでいます。
 その中で、授業内容が分かりづらい子への意識は向いていた一方で、今回の特才の子供たちをイメージしてはいませんでした。そういった子供たちがオンライン等で追究して生き生き取り組む姿を見たときに、個別最適な学びや協働的な学びの充実を進めていたが、完全に抜け落ちていた、という先生方のショックがあり、そこでマインドチェンジが起こりやすいと感じます。
 1階から2階への矢印もあれば、2階から1階へ向かう矢印もある、この両方の感覚は大事だと思います。野口委員がいつもおっしゃる、1階の学びでできることがきちんとある、という点は私も強く思っており、来年度の取組で進めていきたいと思います。 
【隅田主査】 小林委員、いかがでしょうか。
【小林委員】 五味委員の御指摘のとおり、長野県では県教委の皆様のお力添えで、たくさんの先生方の意識が変わる瞬間をつくっていただき、ありがとうございます。
 一方で、もう一つの課題感も浮き彫りになってきました。学校側が「この子は困っている」と判断した場合に対象児童を選んでいるため、必ずしも学校側から見て困っていないかもしれないし、児童生徒自身も困っていると思っていないかもしれないが、好奇心が満たされていない子が対象から落ちてしまっているのではないか、という問題意識です。来年度に向けてどう対処するかを五味委員とも相談しています。伊藤委員や隅田委員から、もしアドバイスがあればいただきたいです。よろしくお願いします。
【隅田主査】 才能の伸長と困難の解消を並べても全部がイーブンではなく、片方だけの子もいる可能性があります。そうしたことも含めてということですね。こういう先駆的な取組が広く波及していくとありがたいです。そういうご経験も共有しながら、より良い方向にできる議論の時間を持てればと思います。
 それでは、お待たせしました。大島委員、いかがでしょうか。
【大島委員】 才能をどう伸ばしていくかという点で、このワーキンググループは重要な役割だと思います。
 一方で、ここの場でお話することではないのかもしれませんが、実施機関として大学が受け入れる場合の実情とお願いをお話しします。特異な才能の受け入れ機関として大学が想定されますが、SSHや総合型入試の関係で、大学にはいろんな問い合わせが来ます。探究をやりたいから誰々先生のところでやらせてほしい、と大学教員に直接来ることもあります。
 愛媛大学や伊藤先生の大学のように、才能教育に関するのきちんとしたセンターがあればよいのですが、そういう大学はほぼないと思います。そういった場合に、特異な才能のある生徒さんを研究機関や大学で受け入れるとなったとき、隅田先生や伊藤先生のような全国規模でやっているところを通して、地元の大学に相談できるなど、一定の問い合わせ機関がないと、直に大学に来たり、教育委員会からも来ることがある場合もあり、どこかで整理いただけなければ、実施機関として適切に伸ばしてあげられないという危惧があります。
 大学側の受け入れ体制整備も必要ですが、大学間連携や実施機関同士の連携により、適切なところに適切に子供を繋ぐ、受け入れの要請をする仕組みを作っていただいたほうがよいと思います。
 もう一つは発達段階です。小学生・中学生をいきなり実施機関としての研究機関に受け入れるのは難しいと思います。地元の科学館など、様々なことをやっているところもありますので、目的や発達段階に応じて、ある程度の階層性を持つ仕組みがあると円滑に進むと思います。今のSSHや探究も含め、どこかで整理いただけるとありがたいと思います。
【隅田主査】 ありがとうございます。実施機関側のことは十分議論できていない中で、現実的なお話をいただきました。どの組織で整理するのか、情報だけでなく子供と専門家を繋ぐ整理も含めて、リソースとして社会教育施設や博物館を使うというようなのは、やはり資料で1つの方策というところではございます。いくつかこういう子供のパターンの、繋ぎがうまくいくのが、ある程度見えてくる可能性があり、まずは最初の取り組み、あるいはSTELLAプログラムもそうですが先行的な取組事例を含め提示できるモデルのようなものができれば、学校の先生も子供も保護者も安心して関われると思います。貴重な御意見ありがとうございます。すぐにはできないかもしれませんが、中長期的にはやらなくてはいけない仕事だと思います。
 それでは、議論が多面的に膨らんできたところで、栗山室長からコメントということで振ってみたいと思います。よろしくお願いいたします。
【栗山教育課程企画室長】 本日は幅広い論点、また深い御指摘をたくさんありがとうございます。いくつか御指摘をいただいた中で、事務局として補足があると思いましたのは、特に内申書の関係でございます。
 前提を整理します。高校入試を例に申し上げると、内申書の在り方について国が現行制度として一律に様式や記載事項を決めている状況はなく、様式等を具体的に定めているのは都道府県教育委員会であり、高校入試であればそのようになっています。したがって、具体になればなるほど、例外的に指導・助言をさせていただく形の立て付けになろうかと思います。
 その中で、石川委員からかなりクリアな御指摘があったかと思いますが、必ずしも、他の特例と同列に考えにくいと感じた点は、通級、日本語指導、現在議論中の不登校に関するものと違い、本特例は有利になり得る蓋然性があることです。この点は明確に考慮しなければならないと考え、その観点から事務局提案をしているところでございます。
 そういった観点から本日、多くの場合、指導要録であれば高校入試等の結果の後に送付されるため賛同の声が多かったと受け止めていますが、内申書自体については慎重なお声が多かったと認識しております。
 その中で、坂本委員から示唆があったように、現状でも都道府県教育委員会の判断で、スポーツ活動、文化活動、社会活動、ボランティア活動等の記載を可能としている場合があります。本特例を受けているという形ではなく、一般的な活動としてどういった表記があり得るのかは検討事項だと認識しています。いずれにせよ、一律に厳格に決める議論ではなく、どういった方向で考えるべきかを議論する性質のものと捉えておりますので、前提の共有をさせていただきました。
 もう1点、指導計画において対象活動の部分だけではなく、通常の学級における留意点も、という野口委員から御指摘があったと認識しています。その点、対象活動の考え方の中で、対象活動そのもののみではなく、生活上の困難や、学級での他の児童生徒や教師との関係構築の観点から効果的かどうかも、対象活動とするかの判断のよりどころとして議論してきた点と関連します。過剰な負担は避けるべきですが、必要に応じて留意点を記載することについて、受け止めて次回に向けて検討が必要だと感じました。
 また、大島委員からございました実施機関側の負担の観点についても、実施する教育委員会・学校、相談支援体制も含め、国、都道府県、市町村、学校、実施機関が調和的に、どこかに過度な負担が寄らないよう役割分担をしていくかということを冷静に考えていかなければならないと改めて認識しました。
 いずれにせよ、法定事項として定める部分は本特例の性質からして多くなく、大半は手引き等による運用・実態に関することだと思います。お示しした内容も多くはそうした性質のものです。スモールスタートの趣旨は、いきなり全国で多数の事例を生もうということではなく、しっかり地に足のついた形で実現していくことです。実現可能性のあるやり方を探っていく必要性を改めて認識した次第です。
 事務局としての補足は以上です。
【隅田主査】 栗山室長、ありがとうございました。丁寧な補足をいただき、今日の議論の総括ができたと思います。ありがとうございました。それでは時間も参りましたので、本日の議事は以上といたします。最後に、次回のスケジュールにつきまして、事務局よりお願いいたします。
【相上係員】 次回の予定につきましては、追って正式に御連絡いたします。以上です。
【隅田主査】 それでは以上をもちまして閉会といたします。どうもありがとうございました。


―了―
 

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