教育課程部会 道徳ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

令和8年1月20日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 特別の教科 道徳に関する目標・内容の構造化等について
  2. その他

4.議事録

【頼住主査】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会道徳ワーキンググループを開催いたします。
 本日は大変御多忙の中、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、進行資料としてお配りしている流れに基づき議事を進めますので、委員の皆様におかれましては適宜御参照ください。
 それでは、早速ですが、議題1に移ります。「特別の教科 道徳に関する目標・内容の構造化について」について、事務局より説明をお願いいたします。
【堀川教育課程課学校教育官】  事務局でございます。資料1を御覧ください。特別の教科 道徳に関する目標・内容の構造化等についてでございます。
 本日は2点のことについて御議論いただければというふうに思っておりますけれども、まず1点目、目標・内容の構造化等についてでございます。検討項目は3つございます。検討項目1、道徳教育及び道徳科の目標についてどのように記載すべきか。検討項目2、道徳科の見方・考え方についてどのように考えるか。検討項目3、道徳科に適した表形式、そして、道徳科における高次の資質・能力をどのように考えるかでございます。
 その中で、まず検討項目1番でございます、道徳教育及び道徳科の目標ということで、(1)資質・能力の柱ごとの目標についてでございます。現状、道徳科につきましては、他の教科等と異なりまして観点別の目標記載をしていないところでございます。その経緯でございますけれども、現行の学習指導要領の解説におきましては、道徳科について、人格そのものに働きかけ、道徳性を養うことを目的とする道徳教育の特質、これを踏まえまして、資質・能力の三つの柱に対応する要素を分節して観点別に評価を行うことにはなじまないということで整理がされております。
 参考に実際の文章についても引かせていただいておりますけれども、これを踏まえまして、検討の方向性でございますが、現行指導要領上、道徳科の目標については、育むべき知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等、この3つを分節して整理をしていないところを、人格そのものに働きかけ、内面的資質としての道徳性を養う、このことを目的とする道徳教育の意義、特質から、この三つの柱に対応する要素を分節して観点別に評価を行うことにはなじまないというその考え方を踏まえまして、引き続き、観点別の目標は定めないこととしてはどうかというふうにさせていただいております。
 次ページに、円形の中で内面的資質としての道徳性に関しては、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等、この三つについて観点別に取り扱うことにはなじまないという図をお示ししておりますけれども、こちら25ページに参考資料でお示しをさせていただいておりますが、特別活動においても、12月15日のワーキンググループの資料でございますけれども、円形の図の中で、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の関係性について御議論をいただいておるところでございまして、こうしたものと並びで、今後、総合ワーキングにおいてもこのような形での議論を予定しておりまして、そのような観点から、道徳科についてはこの5ページのとおり整理をしてはどうかという御提案をさせていただいておるところでございます。
 6ページでございます。(2)目標の具体的な記載についてでございます。現状につきましては、中学校の記載、総則の道徳教育の目標の記載及び特別の教科 道徳の記載を抜粋させていただき、また、それぞれの文言が今そこに提示をさせていただいている、規定をされている理由となる部分について、解説からも引っ張って資料を整理させていただいております。
 これを踏まえた検討の方向性でございますけれども、前回ワーキングにおきましては、次期学習指導要領に向け、論点整理やこれまでの道徳教育の成果・課題を十分に踏まえつつ、「考え、議論する道徳」への転換のフェーズから「考え、議論する道徳」の実装のフェーズへと移行するものとして、道徳教育の質の向上の在り方、これを中心に検討することについて御議論をいただきました。
 このことを踏まえまして、現行指導要領における「考え、議論する道徳」の骨格、これについては維持をするという考え方に立ち、道徳教育及び道徳科の目標については、現行の記載を維持することとしてはどうかとさせていただいております。
 次に、(3)発達の段階に応じた書き分けでございます。こちらは現状の部分で総則の道徳教育の目標に関わる記載、そして道徳科の目標の記載を抜粋させていただいておりますけれども、こちらにつきまして、検討の方向性の部分でございますが、先ほどと同様に、「考え、議論する道徳」の実装のフェーズに今般移行するものとして、道徳教育の質の向上の在り方を中心に検討することについて御議論をいただいた、このことを踏まえまして、「考え、議論する道徳」の骨格については維持をするという考え方に立ち、道徳教育及び道徳科の目標の発達の段階に応じた書き分け、このことにつきましては、現行の記載を維持することとしてはどうかとさせていただいております。
 次に、検討項目の丸2、見方・考え方についてでございます。まず、現状と経緯でございますけれども、第2回総則・評価特別部会の議論におきましては、論点整理において見方・考え方を、各教科等を学ぶ本質的な意義の中核に焦点化をした上で、その具体について学習指導要領本体に位置付けるという方向性を示している中で、この見方・考え方については、目標直下に別途欄を設けて記載してはどうかということで議論がされております。また、画面の右側、資料の右側にありますように、書きぶりのイメージにつきましても提示がされておるところでございます。
 このことについて、道徳科の現状といたしましては、資料の真ん中にありますとおり、見方・考え方について解説に現状記載をしていないという現状がございます。この経緯でございますけれども、前回改訂時の答申におきまして、道徳科の見方・考え方について、このグレーの網かけのとおり整理がされております。特に関連する部分として、1行目の真ん中辺りですが、道徳科における見方・考え方は、今回の改訂で目標に示されている様々な事象を道徳的諸価値の理解を基に、自己との関わりで広い視野から多面的・多角的に捉え、自己の生き方について考えることであると言えるといった記載がございます。
 すなわち、道徳科の見方・考え方として示すべき要素、教科等を学ぶ本質的な意義の中核につきましては、目標に含まれているということから、目標とは別に見方・考え方を示すこととはしていないというものでございます。
 そして、これを踏まえた検討の方向性でございますけれども、見方・考え方が学校教育における各教科等の目標を越えて、その後の人生でも豊かに働くことを視野に入れているという中にあって、道徳科においては、各教科等と比べても目標自体がその後の人生という視点からも引き続き妥当性を有する特質があると言える。このことは後ほどイメージでも補足をさせていただきます。
 このことを踏まえますれば、見方・考え方として示すべき要素が目標に含まれているという答申の考え方、これが引き続き妥当性を有していると考えられることから、引き続き、道徳科においては目標とは別に見方・考え方を示すこととしないということとしてはどうか、ということでお示しをさせていただいておるところでございます。
 補足イメージでございますけれども、文章の柱書の部分は、今しがた御説明をさせていただいたとおりでございますが、図の中の左側に、実際に理科のワーキングで御議論をされているものから抜粋をしておりますけれども、小学校の左下の部分、知識及び技能、理科について見ていただきますと、自然の事物・現象について理解するとともに、科学的に探究するために必要な観察・実験などに関する技能を身に付けるようにすると。
 そして、右側でございますけれども、このことの記載だけからは、その後の人生における世の中を見る視点や考え方、よりよい社会や幸福な人生に繋げていけることが目標だけでは分かりづらい側面がある。
 そのような中で、左の黄色の部分でございますけれども、見方・考え方として、自然や社会の事象・現象を自然科学的な視点から捉え、観察・実験の結果や科学的知見などに基づいて客観的、論理的、批判的に考察することという見方・考え方について御議論がされているところですが、こうした見方・考え方が、この赤の吹き出しのところでございますが、教科等を学ぶ本質的な意義の中核として、灯台のように資質・能力の育成を導いていくと、そのような議論がされておるところでございます。
 そのような中、特別の教科 道徳について見ますと、小学校の目標の部分ですけれども、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる、こうした目標につきましては、目標自体がその後の人生という視点からも妥当性を有する特質を有していることから、目標とは別に見方・考え方を設けることで重複が生じてしまう。すなわち、見方・考え方として示すべき要素が目標に含まれていると言えるのかなというふうに考えておるところでございます。
 次に、検討項目の3、内容の表形式化の具体的な形式、そして高次の資質・能力についてでございます。こちらにつきましては、道徳科に適した表形式をどのように考えるか、そして道徳科における高次の資質・能力をどのように考えるかという論点でございます。
 この議論の前提でございますけれども、内容の表形式について、総則・評価特別部会では、並列パターンや並行パターンといったパターンを示した上で、現行でも知識・技能、思考・判断・表現それぞれごとに内容を示していない道徳等については、それぞれの教科に適した表形式による示し方について各ワーキングで検討するということとされております。
 高次の資質・能力についてでございます。こちらにつきまして、総則・評価特別部会では、知識・技能、思考力・判断力・表現力等の深まりの可視化を通じて、深い学びを実現する単元づくりのイメージを教師が持てるようにする役割を担うものであるというふうに役割を整理した上で、こうした高次の資質・能力を具体的に抽出するに当たっては、教科ごとの特質に応じて検討が行われる必要があるということで、各ワーキングにその検討を委ねられているところでございます。
 ここにつきまして検討の方向性でございますけれども、道徳科における資質・能力については、現行指導要領上、人格そのものに働き掛け、道徳性を養うことを目的とする道徳教育の特質、こうしたことを踏まえ、目標において三つの観点を分節して整理をしていないところであります。また、内容については、児童生徒自らが道徳性を養うための手掛かりとなるものとして内容項目を記載しているところでございます。こちらは解説でもそのように整理をされているところでございます。
 このことを踏まえますと、まず、内容の表形式化につきましては、並行パターンや並列パターンとは異なる道徳科独自の形式として、全体構成を構造的に把握しやすくする観点から、四つの視点ごとに学年を分けて表形式にするということとしてはどうかということで、補足イメージをお示しさせていただいております。
 13ページを御覧ください。小学校の現行の記載をベースとしたイメージでございますけれども、ここにありますとおり、A、主として自分自身に関することといったこの四つの視点を置き、その上で学年ごとに、そして内容を端的に表す言葉を縦に記して、構造化して表形式で示すことによって、より現行よりも一覧性高く、それぞれの関係性について見やすくお示しすることができるのではないかという御提案でございます。
 次に、チェックの2つ目、高次の資質・能力についてでございますけれども、こちらについては、道徳科の特質を踏まえますと、知識・技能、思考・判断・表現、この深まりを個別に可視化することになじまないということであるとか、また、道徳科の内容項目については、児童生徒自らが道徳性を養うための手掛かりであり、各教科のように育成すべき資質・能力を直接的に記載したものではないということから、内容を資質・能力として高次にすること自体に馴染まないということを踏まえますと、道徳科においては高次の資質・能力は定めないということとしてはどうかとさせていただいております。
 次に、大きな2番、教育課程における道徳科の位置付けや在り方についてでございます。こちら具体的な論点としてお示しをさせていただいておりますけれども、こちらの補足イメージの方で、同様の内容、同種の内容を記載させていただいておりますので、補足イメージをもって御説明をさせていただければというふうに思います。
 16ページでございます。教育課程全体の中で道徳・総合・特活が果たす役割について(イメージ)ということで、この米印で関係ワーキングでの議論を踏まえて修正することが前提とさせていただいておりますが、これまで、11月17日に特別活動ワーキング、そして12月26日に生活・総合ワーキングのほうで御議論をいただいたものと同じ資料でございます。ここでいただいた御議論も踏まえて、全体として修正、見直しを図っていければと考えております。
 そのことを前提といたしまして、我が国の学校教育における道徳科、総合的な学習・探究の時間、特別活動による学びということで、多様化・デジタル化が進み、予測不能な時代にあって、AI時代にとりわけ重要となる、よりよく生きる基盤としての道徳性を養うとともに、自らの人生を舵取りすることができる力、そして、民主的で持続可能な社会の創り手の育成、このことに向けて、好きや得意、社会を形成する当事者としての在りよう、そうしたことを含む自己の生き方・在り方と向き合い思索していく機会を公教育として保障する役割を果たすものということで整理ができるのではないかということ。
 また、このことについて、これが濃いオレンジの部分でございますけれども、「また」以下が資質・能力の側面から見るとということでございますが、また、知識の系統性を特徴とする各教科と異なる自己の生き方・在り方の思索という特質は、どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るかに関わる学びに向かう力・人間性等と密接な関わりを有していることから、各教科の学びを通じて、学びに向かう力・人間性等を育む基盤としての役割を担うものと整理ができるのではないかとさせていただいております。
 こちらが黄色の部分でございまして、特に、具体的に申し上げれば、特別の教科 道徳に関しては、答えが一つではない道徳的な課題と向き合う中で、学びを方向付ける人間性を育んでいく基盤、そして、左上の総合的な学習・探究の時間については、自己の興味・関心等に関わる課題と向き合うという特質を有しておりますけれども、このことが初発の思考や行動を起こす力・好奇心を育んでいく基盤、そして、右側の特別活動については、学級・学校や自己の生活等に関わる課題と向き合うという特質に鑑みれば、他者との対話や協働を育んでいくための基盤、そうした形で、そのような役割を担うものとして整理できるのではないかという御提案でございます。
 なお、右下のところに米印を打たせていただいておりますけれども、道徳、総合、特活の特質と主として関わる学びに向かう力・人間性等の要素を明示していますけれども、実際には教科、領域で育む要素はこれにとどまらず、各要素が往還しながら育まれていく、すなわち、総合の時間を通しても他者との対話や協働も育まれていきますし、特別活動を通じても初発の思考や行動も育まれていくというように、それぞれが往還しながら育まれていくということを付記させていただいているところであります。
 また、2つ目の米印のところで、総合も民主的で持続可能な社会の創り手の育成、特活も自らの人生を舵取りする力の育成に繋がっていく側面があるといったことに留意する必要があるということについても付記をさせていただいておるところでございます。
 こちらが、企画特別部会で議論をされました学びに向かう力・人間性等の先ほどの要素を整理したものでございます。
 次に、補足イメージの2として、道徳、総合、特活の関係についてということで、こちらも関係ワーキングでの議論を踏まえて修正することが前提のものとしてお示しをさせていただいているものでございます。こちら道徳、総合、特活の三者の関係、そして総合と特活の両者の境目、これらが曖昧となり、それぞれの特質を踏まえた教育活動が必ずしも行われていないといった課題の指摘もある中で、相互の関係について整理をしてはどうかという趣旨のものでございます。
 下の図でございますけれども、まずは、青と緑と黄色の関係でございます。特別の教科 道徳から見てということでございますが、総合や特活は、自己の興味・関心に関わる課題、そして学級・学校や自己の生活に関わる課題、すなわち、生きた課題に取り組んでいく特質を有していることから、よりよく生きるための基盤としての道徳性の発揮が期待をされる道徳教育の実践の場と言えるのではないかということ。
 そして、2番目の四角の部分ですけれども、緑と黄色の関係性でございますが、総合と特活双方の特質を有する取組については現行学習指導要領でも想定されていますが、総合の時間が安易に行事に使われているといった指摘もある中で、より分かりやすい整理を行うべきではないかということで、例として真ん中に、総合と特活の双方の特質を有する取組として、探究活動として実施する学校行事やキャリア教育等をお示しさせていただいております。こうしたことについては今後よりワーキングで議論を深めていく余地があるのではないかという趣旨でお示しをさせていただいておるところでございます。
 また、道徳ワーキングに関わる部分として、右下の部分に米印を打たせていただいておりますけれども、道徳教育は、特別の教科 道徳を要として、各学校の教育活動全体を通じて行うということと付記をさせていただいておりまして、その趣旨で総合や特別活動の後ろ側にもブルーの網かけをさせていただいていて、各学校の教育活動全体、特活や総合を含めた全体を通じて行うことを図としてお示しをさせていただいているところでございます。
 参考資料にも前回改訂時の答申の記載等々につきましてお示しをさせていただいておりますので、併せて御参照いただければ幸いです。事務局からの説明は以上でございます。
【頼住主査】  ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から事務局資料について御発言をいただきたいと思いますので、御発言の準備が整い次第、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。なお、発言の際に事務局から説明があった資料に触れる場合は、資料の何ページかを明示いただければ事務局による画面投影も可能となりますので、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。準備が整いましたら、挙手をお願いいたします。
【岡﨑委員】  すみません。岡﨑です。
【頼住主査】  岡﨑先生、お願いいたします。
【岡﨑委員】  それでは、まず、私は目標のことについてお話をさせていただきます。資料で言うと4ページになると思います。
 今回、この目標について、いわゆる三つの柱にはなじまないので、それは目標の中に入れ込まないというようなことを事務局の方がお話ししてくださいましたが、私は個人的には賛成だと思っています。
 道徳教育やその要である道徳科というのは、道徳性を養うということをねらいとしています。道徳性というのは、人がよりよい生き方を目指す人格的な特性であり、そして、よりよく生きるための営みを支える基盤とされています。論点整理で掲げられた、自らの人生を舵取りする力を育むためには、道徳性を養うということが私は最重要課題ではないかと捉えています。
 この資質・能力の三本柱も、自らの人生を舵取りするといった点では非常に重要なことと考えますが、一方で、道徳教育や道徳科で道徳性という人格を大切に育むということについては、アプローチが少々異なるのではないかと思っています。
 話が少々替わりますが、今回、「考え、議論する道徳」の実装というふうに掲げられておりますが、現行指導要領改訂の折に私はこんなことを感じました。現行の指導要領では、「考え、議論する道徳への転換」とされ、道徳の教科化ということもあって、非常にこの言葉が注目されました。
 研修会などでよく話題に挙がったのが、議論させる方法ということです。自分で考えたことを伸び伸びと表現して議論をさせるというのは非常によいことだと思います。ただ、何でもいいから議論するというような空気さえあったのではないかと感じています。例えば、言葉をなかなか発することができない子供、なかなかカードに書くことができない子供はどうしたらいいんだろうとか、話し合いをするためにはどんな指導法がいいんだろうとか、話し合う技能を付けさせないといけないのではないかといったような内容さえ研修会の中で聞かれることがありました。もちろんそれも大事なことだと思いますが、それよりも、何を考えて何を議論させるか、つまり、道徳科で何を養っていくのかということがやはり一番にならないといけないのではないかなと思います。子供たちの話し合いを活発にさせることが目的となってしまうのはやはり違うのではないかと思っています。
 三つの柱を道徳科の目標に掲げるとなると、道徳性を養うという本来のものが見失われてしまうように感じています。そこで、観点別の目標は定めないという方向に私は賛成です。
 これから、社会は恐らくさらに変化して、人の価値観も多様になってくると思います。子供たちが何をもって判断し、何をもって自分の人生を決断していくのか。正解をみんながそろえるということではなくて、自分なりに、私これでいいのかな、もっとよりよく生きるにはどうしたらいいかな、もっとみんなで幸せになるにはどうしたらいいかなというふうに問い続けられるような力が人生の舵取りに重要ではないかなと考えています。よって、事務局のこの方向性に私は賛成といたします。
 以上でございます。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか、古屋委員、お願いいたします。
【古屋委員】  古屋でございます。私の考えを検討項目ごとに少しお話をさせていただいてよろしいでしょうか。
 岡﨑先生のお考えに私も賛同させていただきますが、前提として、前回の話し合いの中で、「考え、議論する道徳」への転換から「考え、議論する道徳」の実装のフェーズへ移行するというようなお話がございました。このことは、前回もお話しさせていただきましたけれども、特別の教科 道徳となって様々な実践が学校現場で行われた、その成果を基に一層の充実を図るという視点で極めて有効であろうというふうに思っているわけです。
 ただ、私も気になっているところは、「考え、議論する」、この「議論」という言葉が少し強調されて、対立するような意見の交流みたいな授業を展開しなくてはいけないのではないか、そんな誤解も中にはあったわけでございまして、改めて「考え、議論する道徳」と、それから主体的・対話的で深い学びというものとの関係性あたりをもう少し丁寧に現場に伝えていく必要がまずはあるのかなと、そんなふうに思うわけでございます。そのことを前提としながら、「考え、議論する道徳」の実装のフェーズへの移行というところで進めていけたらと思っております。
 まず、目標についてというところで、特に資質・能力の柱ごとの目標については、評価でも観点別に実施するのではなくて、大くくりな評価を実施するというような視点、道徳科においては観点別に評価するということはなじまないのと同様に、目標においても観点別の目標を定めないということが妥当であろうというふうに思うわけです。
 それを具体的にイメージとして図に表していただいた5ページ目の図がございます。これが非常に分かりやすいなと私は思いました。鉄球のような、肝になるような、核になるような、そんなイメージを感じたところでございまして、観点別に分節するのではなくて、一つの統合された内面的資質としての道徳性を表現されている、そんなイメージも持つわけでございまして、これを中心に進めていけたらなというふうに思っております。特にこのことが特別の教科と言われている道徳科、そのことを表しているのではないかな、そんなふうに思いました。
 また、目標の具体的な記述ということについても、現行を維持するということには全く異論はございません。これまでこの目標に基づいて行ってきた道徳教育を一層充実させるということで、改めてこの目標の重要性について打ち出してほしいと思っております。
 それから、発達段階に応じた書き分けということで、小学校から高等学校まで現状をお示しいただきましたけれども、ちょっと気になるところは、高等学校のみが発達の段階を示している部分がある。文章の中にですね。総則の道徳教育の中に、「生徒が自己探求と自己実現に努め、国家社会の一員としての自覚に基づき行為し得る発達の段階にあることを」、この部分が高等学校にあるわけですけれども、小中学校にはこの発達の段階というところは書かれていない。この辺りの違いについては少し整理する必要があろうかな、そんなふうに思うわけでございます。
 それから、検討事項の2つ目、見方・考え方ということにつきましても、御提案のあったように、目標に含まれているという考え方を継続することが望ましいというふうに思うわけです。見方・考え方を別に示すということも考えられますけれども、そうしますと、目標と重複する部分ですとか、あるいは、言葉を言い換えていくようなことが起こってくる。そうなってくると分かりにくさや混乱を招くことに繋がるのではないかな、そんなふうに思ったところでございます。
 今回の学習指導要領に求められているのは、分かりやすさという視点もございますので、これまでの考え方を重視するというところでよろしいかと思っています。
 それから、検討事項3点目の内容の表形式化の具体的な形式というところでありますけれども、道徳科の特質を踏まえながら独自の形式とするということは、異論はございません。これまでも解説道徳編において、表形式で四つの視点、内容を端的に表す言葉、内容項目等々が表形式で示されておりまして、これに基づいて学校現場では活用しながら、内容項目の確認ですとか特質、関係性や発展性、さらには児童生徒の発達段階等々を全体に渡って理解しながら指導に当たる、参考にしているというような現状もございます。
 したがって、今日お示しいただいたイメージも含めて、これまでのものも含めながら進めていただけたらと思っています。その際に、ぜひ、小中学校の内容が一覧できるような、そんな形式にしていただけたらありがたいな。そうしますと、発達段階も小中9年間の見通しを持った形で理解しやすい、把握しやすいというふうに思うわけでございます。
 ひとまず、1つ目の課題について御意見を述べさせていただきました。以上とさせていただきます。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、佐藤委員、挙手をしていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。
【頼住主査】  聞こえております。
【佐藤委員】    信州大学の佐藤でございます。本日も、大変な資料の調整、おまとめいただきましたこと、感謝申し上げます。
 まず、全体方向について、今回お示ししていただいた、現行の学習指導要領の骨格を維持しつつ「考えて、議論する道徳」の実装のフェーズということに移行していくという方針について賛同するということを踏まえて、3点申し上げたいと思います。
 1点目、資料10ページの見方・考え方の整理についてです。委員の皆様がおっしゃっているとおりでございますが、道徳において目標とは別に見方・考え方を示すことはしないという方向性についても賛同します。
資料にあるとおりですが、道徳の目標自体が既にその後の人生という視点を含んでいて、各教科との要素を内包しているという解釈は合理的と捉えております。それから、無理に言葉を定義して重複していくというよりも、目標に込められた意味とかを丁寧に説明していくことのほうが、現場の先生方にとって、それから子供たちにとっても学びに繋がっていくと捉えております。
 2つ目、資料18ページの道徳と総合的な学習の時間、それから特別活動の関係性についてです。道徳から伸びる矢印、水色のものがございますが、私自身は双方向の矢印でもいいかなと捉えております。資料の説明では、道徳が基盤的に書かれていまして、総合や特活の場で実践の場というに整理されていると読めていると思いますが、そのとおりだと思っていますが、同時に、例えば、総合や特活の実践の中で子供たちが直面したリアルな課題や活動が道徳の授業のほうにフィードバックされるというような、そういった流れも重要かと捉えております。
例えば、総合的な学習の時間で、生成AIとか、昨今少し話題になっておりますが、SNSとかそういったことの中で生じる便利だけど怖いとか、あるいは、どう振る舞うべきかというような生々しい体験の話が、道徳で自分ごととして深い対話の種になると捉えております。そういった観点で、相互に高め合う感覚がもう少し表現できるかなと感じたところでございます。
 3点目、資料5ページです。ここで議論されている資質・能力の示し方、高次な資質・能力の表形式に関わる議論についてです。ここでは、分節しないで知識・技能についてもあらかじめ明確に整理できるものではないので、一体的に育んでいくということだと思います。
これは前回の第1回のワーキングの議論されていたところの予定調和的な授業の脱却というところと非常に合う考え方だと思っております。何か示していくことによって、あらかじめ決められた正解や到達点に子供たちを導き過ぎてしまうという結果が予定調和的な授業だとするならば、ゴールを示してしまい過ぎると、予定調和的な授業になり過ぎてしまうと考えております。
これらを前提にしますと、資料にあるように、内容の習得、ゴールとかに向けての指導ではなくて、子供たちが主体的・実践的な課題や活動を通して育むというスタンス、これを明確にすることや、迷いや葛藤そのものを学習プロセスとして肯定していくことに繋がっていくのではないか,と思っております。
デジタル学習基盤の話は,活用して一人一人の多様な感じ方とか考え方が可視化されていくということの中で、あらかじめ決められた知識みたいなものを注入するのでなくて、対話を通じて自然に資質・能力が育まれていくような授業を実現していくためにも、分節し過ぎないということが非常に大事かなというふうに思いまして、このことについて賛同したいなと考えております。
 私からは以上3点となります。よろしくお願いいたします。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、まず、渡辺弥生先生のほうから御発言よろしくお願いいたします。
【渡辺(弥)委員】  よろしくお願いします。今の先生方のお話に対立するものではないんですけれども、大きく3点提案させていただきたいと思います。
 1つめは、目標について改善したいという気持ちがあります。今お示しになったところのどこをどうというような細かいようなことではないのですが、これからの道徳授業に期待を持っていらっしゃる先生方や家庭の方々、一般の方々のことを考えますと、現在のままというよりは、さらによくなるというモチベーションを喚起する改善を考えられると良いと思います。そして積極的に分かりやすく皆さんの心に届くようになると良いと思います。
 この道徳が教科になったのは、2015年にいじめが増えているという背景の影響が大きいと思います。いじめ防止を目的として道徳が教科化されて10年経つわけですが、いまだ増えているんですね。これはやっぱり真剣に考えなければいけないことだと思っています。道徳の教科が全部、いじめの予防に責任を持つとか、この授業だけで対応できるということではないとは思いますが、改善したいところです。その上で1点目として、国内外のいじめ防止授業を私は専門としていろいろ調べていますが、いじめが生じる原因として「感情」を調節できないという事実があると思います。その原因には、心の「感情」について子供たちに十分な知識がないということです。自分には感情というものがあるとか、こうした感情には、悔しいとか悲しいとかいろいろな感情が存在するとか、こうした感情をどのように調整したらいいかという術を学んでいないわけです。「感情」についての知識、言い換えれば感情のメタ認知することができるような改善ができると良いと思います。
 また、いじめを誰かの性格のせいにする傾向がありますが、性格のせいにしないで、いわゆる対人関係のスキルが未熟だと教える側が捉えて、誰でもその部分を伸ばしていけば感情を調節し他者に思いやって行動ができるようになる、ということを教えることが道徳の授業の役割にあるのではないかと思います。道徳の目標の中に、心情でも良いですが感情について重視されると良いと考えています。
 さらに、議論して学んだことを実際の生活に生かすというところまで授業で扱われると今回の「実装する」という目標を達成するには、道徳的行為を育てるというところまでを視野に入れた方が良いと思っています。
 ほかの教科に比べると、見方・考え方については、他のこれまでの委員の先生方の意見と同じでいいですが、道徳科で大切なのは、命と尊厳を守るというところが大きいと思いますのでこの点は明確に明示したほうがいいと思います。「道徳的な心情や行為を主体的に選択する力」みたいな強い表現が入ったら良いのではないかと思っています。
 先ほど古屋委員とかいろいろな委員の先生が言及された、「分かりやすく」というところで言えば、私からすると少し分かりにくい文章が多いように思います。例えば、道徳的な諸価値とか道徳性についても誰が読んでもわかりやすい表現になると良いと思います。
例えば、「道徳的価値についての理解の発達を基に、自分の感情や在り方を見つめて、他者の心や尊厳に思いを致しながら、人間関係の中で生じる違いや葛藤の問題を多面的・多角的に考えて、よりよく生きようとする道徳的心情、判断力、道徳的行為を主体的に選択する力を涵養する」とか、誰が読んでも分かりやすい文章になるとより良いと思います。
 2点目ですが、先ほどの委員の御意見の中で出てきた「発達」ということです。先日もお話しましたが、小学校、中学校、高等学校というのは学校種が異なるということであって、そのままそれが発達ということではないということです。小学校でも、低学年、中学年、高学年、中学生でも心の変化というものがあります。専門が発達心理なので、この道徳に関係した発達段階を明示してほしいと考えます。
 例えば、思いやりについては、小学校低学年では相手の表情を見て、泣いていたら悲しいという外見から判断するところがありますが、小学校中学年になったら、泣いていても心では大丈夫だ、心では苦しんでいるとか、相手の気持ちの内面を想像することができるようになるとか、心の発達についてある程度エビデンスが分かっているので、解説できると良いと思います。思いやりとは別に、善悪の判断についても、低学年、中学年、高学年に分けたり、表を取り入れてもう少し丁寧に解説できると良いのではないかと思います。
 3つ目ですが、実装化していくためには、繰り返しにはなりますが、「考える」そのきっかけに、「あれずるいんじゃない」とか「これってひどい」みたいに「感情」が生じているということを子どもに気づかせる必要があると思います。いろいろな人間関係の立場によって多様な葛藤や衝突が起きるということに気付き、その上で、これを解決するためにはどういう行動の選択があるのかなという行動の中からベストな行動を選んで、それを応用していくことを考えるというプロセスを捉えることが大切です。デジタル化の時代でもありますので、情報処理的な観点から考えると、そうした心のプロセスというのが見えるようになるといいかなというふうに思っています。
 解説の言葉についてですが、「学びを方向付ける人間性」というのは、何となくよいように受け止めて読みましたが、この言葉は何が主語で何が動作かという点が曖昧に感じました。学びを方向付ける人間性というのは、学びの目的を自分が見いだして続ける力とすれば、主語がはっきりしないと思いましたので、分かりやすくしてもと思ったりました。
 ちょっと意見があちこちになりましたが、以上、3点提案させていただきました。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、山﨑委員、手が挙がっていらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。
【山﨑委員】  よろしくお願いいたします。丁寧な御説明ありがとうございました。私のほうから2点お話をさせていただきます。
 まず1点目は、目標についてです。4ページのところにありますように、現行の道徳科について、人格そのものに働き掛け、道徳性を養うことを目的とする道徳教育の特質を踏まえて、観点別評価としての見取りは妥当ではないという現行の考え方、先にもほかの委員からもありましたけれども、賛成をさせていただきたいというふうに思っています。
 心の育成を大きな目的としている道徳科において、学習状況を分析した観点別評価というのはやはりなじまないというふうに整理されていることがもっともであるというふうに思いますし、「考え、議論する道徳」の実装という今回の改訂の最も柱としていることを踏まえても、大きく変えることなく、道徳科の狙うところをまずは指導者が深く認識をして、充実させていくことがより大切なことであると思います。
 今後、指導する教員にきちっとこの辺りのところが認識されて指導・評価に当たってもらえるように、指導要領の解説に記載をされていく文言等を検討されていくと思いますので、その辺りでよりよくされていけばいいなというふうに思っています。
 昨今、「多様性」というような言葉がよく、最近では子供も使うようになっていますけれども、ともすると、多様性という本来の意味ではなく、わがままとか自己中心的な振る舞いが肯定されてしまうような傾向が感じられる場面があります。5ページのところにありますが、そのように片付けられてしまうことが見え隠れする今だからこそ、みんなが幸せになるためにというようなことが考えられる内面的な資質としての道徳性ということが非常に大事にされるべきであるなというふうに思っています。
 2点目です。これは総合・特活との関わりについてですけれども、やはり道徳科は他の教科と大きく違う点として、学校全体、学校教育過程の中で行う道徳教育と道徳科の授業との連動が非常に大切になってくるかなというふうに思っています。例えば、道徳科の授業の中で学んだ判断力、心情、実践意欲、これを学校生活の中で、16ページ、15ページかな、にありますように、道徳教育で更に育んでいく、また、実践に結びつけられていくということが大変望ましい形だと思っています。
 「道徳教育の実践の場」というような言葉がここに記載されていますけれども、教育課程の中で道徳科の位置付けや在り方というものが、総合・特活との関係、それから各校の教育目標などと照らし合わせて、学校として心の育成の柱というふうに捉えられていくような形が望ましいなというふうに感じています。
 教育課程上も相乗効果が期待できると思いますし、今回、「考え、議論する道徳」の実装というフェーズとして、指導者側の意識の向上が、また質の向上に直結していくものというふうに強く感じています。この議論がされていくことというのが私はとてもうれしいなというふうに感じていますので、引き続きよろしくお願いしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、渡邉真魚先生、手が挙がっていらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。
【渡邉(真)委員】  渡邉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私から4点申し上げたいと思います。
 まず、前回ワーキングで「考え、議論する道徳」への転換から実装のフェーズに変わられたとお聞きしておりましたので、本日の御提案に非常に共感を持ってお聞きすることができました。
 むしろ、前回改訂で教科化を目指して大きな変革がありましたので、これに沿って今日まで道徳科の質的転換を実践し続けてきた学校教育現場での成果をいましばらく見守っていただき、また、これまでの取組から浮かび上がってきた課題に対応する、あるいは対応できる学習指導要領であってほしいと考えております。
 1点目ですが、「目標の内容の構造化について」でございます。検討項目の丸1、丸2、丸3につきまして、大変よく理解できました。観点別の目標は定めないであるとか、現行の記載を維持するであるとか、内容は表形式で記載するであるとか、高次の資質・能力は定めないとする方向性で承知しました。
 特に、現行学習指導要領の解説編のほうには、小学校の低中高学年及び中学校の内容が見開き表形式で記載されておりまして、私どもは大変見慣れているところですが、学習指導要領本体にも同様にお示しすることで、更に見やすく分かりやすい記載になると考えております。また、これまで作成してきた別葉、教科等との関連への理解も一層深まるのではないかと思っております。ぜひ、小学校も中学校も9年分掲載されると、発達段階を見通したということで理解がより一層進むのではないかと考えました。
 2点目に、「教育課程における道徳科の位置付けや在り方について」でございます。スライドの16、18を拝見しまして、道徳・総合・特活が果たす役割と関係についてのイメージ図につきまして、大変理解が深まりました。道徳・総合・特活は、知識の系統性を特徴とする各教科とは異なる自己の生き方・在り方の思索という特質があるということ、各教科の学びを通じて学びに向かう力・人間性等を育む基盤としての役割を担うもの、道徳が学びを方向付ける人間性を育む基盤にあるということ、総合・特活は生きた課題に取り組む特質を有していることから、道徳教育の実践の場と整理することで、この三者が住み分けをして取り組む教育活動ではなく、児童生徒が絶えず三者の間を往還しながら自己の生き方・在り方を思索し、よりよく生きる基盤となる道徳性を養うことがイメージできました。
 とはいえ、何か申し上げなくてはいけないと思い、3点目ですが、スライドの5枚目で、検討項目丸1、「道徳科における資質・能力の構成について」のこの図でございます。私は、イメージとして描かれているのは、少しグラデーションがあったので球体を想像したところではありますが、この内面的資質としての道徳性が児童生徒のある意味確固たる、芯のある、強固な揺るがない育むべき道徳性に見えてきて、「考え、議論する道徳」の実装を通して、ますます磨きをかけて輝いていくものに見えたところです。
 ただ、内面的資質としての道徳性は、この知識・技能、思考・判断・表現力等、学びに向かう力・人間性等を包括し、かつ観点別に取り扱うことはなじまないという点は理解できたのですが、このイメージ図だと、道徳性がこれまでの道徳的な判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と態度から三つの柱にすり替わってしまったように受け取られないかということを懸念しております。また、他教科でも追求するこの三つの柱も、包括しての道徳性と捉えられてしまう可能性はないのかと考えました。
 というのも、例えば、スライドの25、特別活動における資質・能力の構成についてのイメージ図では、子供の主体的・実践的な活動を通じて他の資質・能力と一体的に育むであるとか、合意形成や意思決定、なすことによって学ぶであるとか、よりよい社会を主体的に形成しようとする力を育む等、特活特有の表記があったかと思います。
 今後の検討の中で、道徳科において観点別に取り扱うことがなじまない理由を、例えば、「道徳性の諸要相、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と態度は相互に関係し合っており、切り分けられない」等との関連で説明するなど、教科の特質であるとか教科固有の特徴が分かるように説明することで、本来道徳性がこれに当たると思ってはいるところですが、道徳性が抽象的で分かりにくいので、積極的に説明を加えることで、更に学習指導要領上の内面的資質としての道徳性に対する理解が進むのではないかと考えました。
 先ほど渡辺弥生委員から指導の在り方に繋がる感情の大切さという御発言がありました。私もこれまでは判断力、心情、実践意欲と態度にフォーカス、焦点化しながら授業づくりを進めてまいりましたが、切り分けられないという視点に立つことで、感情も含めた行為の選択、それを一体的に考えて取り組むような授業づくりがこの後の指導方法で議論ができたらよいと思い、御提案申し上げました。
 もちろん、図の表現の仕方については、総合や特活における資質・能力の議論も踏まえて検討するとのことでしたので、期待してお待ちしたいと思います。
 最後、4点目ですが、スライドの10枚目で、検討項目丸2、「見方・考え方について」でございます。補足イメージのこちらの図を拝見しまして、左側の各教科等は灯台に向かって進んでいくとのこと、道徳科は、目標という名のカンテラでしょうか。少し古い言い方で恐縮ですが、こうしたカンテラを児童生徒一人一人に持たせながら歩みを進めていくというイメージとして受け止めました。
 私からは以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。準備が整いましたら、挙手をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。それでは、中島先生、お願いいたします。
【中島委員】  皆さんからおっしゃっていただいているとおり、骨格について提案が今の現行を維持するということに関して、私も大賛成です。実際にこれまでの道徳教育の流れを振り返ったときに、正直言いますと、ようやく、例えば、古い時代の話では、文科省が作っていた読み物資料があり、そして心のノートが生まれ、そして教科化が行われて教科書ということで、適切な学習材料が提供されての道徳教育の実践というのが始まった。始まってまだ私は日が浅いと思っているんですね。実際にその世代の人たちが今ようやく社会の構成をし始めたということで。
 でも、現在、実際に日本という社会を考えてみますと、今度急に選挙があるらしいですけれども、選挙に対しての若い人の参加であるとか、それから就労、納税の義務の履行であったり、更には、自分の子供であったり自分の親であったり扶養の義務の履行であったり、いろいろな課題が今の日本の国には若者の世代から生まれてきていると思うんですね。
 その子供たちが例えば小学校、中学校のときに、きちんとした先人やいろいろな人々、これまで生きてきた日本人と言うとあれかもしれませんけれども、これは世界の人々でいいと思います。憧れる生き方をした人間とちゃんと出会ったのか。そして、自分もそうありたいなと思ったのか。または、こんな出来事があったときに自分はどうするんだろうと考えた。そういうことがずっと小学校の低学年から中学校にかけて、1週間に1時間ずつ、そういう出会う場面を提供していくというのが僕は道徳の一番大切な役目だと思うんですね。それを受けてきた子供たちが今、ようやく社会を構成し始めた。
 でも、現実には先ほど言ったように問題がある。もっと厳しいことで言うと、いじめの問題であったり、それからネット社会における問題であったり、そういった課題もこれから先は子供たちは自分で答えを見つけて考えていかなくてはいけないわけです。そういうときに、柱である道徳教育がころころぶれて変わっていったりする必要は私は絶対ないと思います。
 今のこれまでやってきた道徳教育というものに関して、一つ、再認識をもう一遍しっかりしていただきたいのは、全ての教育活動を通して行っている道徳教育というものの考え方と、それからもう一つは、道徳科の時間にやっている私たちがいろいろな出来事と出会わせる、人と出会わせたり道徳的な価値と出会わせたりしている大切な時間ということで、資料でも私がぜひ評価したいなと思うのは、スライドの16の中に、特別の教科 道徳、答えが一つではない、その下のほうに細かく幾つかずっと書いてありますね。各教科も書いてありますし、そして、米印で道徳教育は全体を通して行っているんだよという意識ですね。それを更に強調していくべきではないのかな。
 それは実は意外と認識されていなくて、つい道徳の時間だけで道徳教育をしてしまえるんじゃないかというような錯覚に陥っていらっしゃる方もないとは限りません。ですから、当然、全教科・全領域を通じて取り組んでいるという意識を常に持ちながら、じゃあ道徳の時間に何をするんだということを強調していっていただきたいなというふうに私は思います。
 それから、これから道徳科のほうに求められていくのは何かということで、前回実装というお話がありまして、先ほどの灯台の図がありましたね。教科のほうで。その後の人生というところが空白ではあるんですね。10ページですかね。10ページの図。特別の教科 道徳のその後の人生ということに関しては、私は、確かな繋がりを持っていろいろな人たちと豊かに生きていっているという、たくさんの人の笑顔がある状況、イメージがぜひそこの上のほうにあって、明るい灯台ではないですけれども、そこにはいろいろな人たちの笑顔があるというふうな捉え方をぜひ補足イメージの中に、その後の人生と真っ白じゃなくて、いろいろな人たちの笑顔があるようなのを入れていただきたいなというふうに思っています。
 先ほどの中で、じゃあ実装したときに何が変わるかということで、私は道徳的実践意欲と、それから実践力と昔は表現したりもしましたけれども、実際にどんなことを子供たちがするかにこだわるのが実装だと思っています。そこまでできるのが。そうなってくると、一つは、子供たちも自分のことやいろいろなことをパーセントで考えられるようになる。できることもあるし、できないこともあるんだけれども、どれくらい実行や実現が可能なのかな。それを増やそうという前向きのベクトルが子供たちに生まれる。または、いろいろなときに自分ができる選択肢を子供たちが広げていく。
 正しい行動とかすばらしい行動とか、人にまねができないような立派な行動とかいうのを目標にするのもありますけれども、私は自分にできるものを見つけて探して生きていけるという堅実な生き方、そういうことを子供たちが築いていけるというようなことを、ぜひ実装のイメージの中には見ていってもらいたいなというふうに思っています。
 今回、こういうふうにこれまでの道徳教育の流れをしっかりと酌んでいただいた御提案に関して、私は賛成したいと思います。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、渡邊範道委員、お願いいたします。
【渡邊(範)委員】  よろしくお願いいたします。私、高等学校籍ですので、道徳科については、これまでの御議論も含めて本当になるほどなと思いましたし、それから今日お示しいただいた資料、そこで示されました観点別の目標は定めないとか、道徳科における資質・能力の構成を観点別に取り扱わないとか、目標について現行の記載を維持するなど、こういった大きなところについてはまさに賛同でございます。いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
 その上で、資料の中に加えていただければと思うところで、気づいた点を述べたいと思います。7ページの道徳教育及び道徳科の目標のところからしっかり書き分けていただいていているのですが、7ページですが、高等学校は当然特別の教科 道徳はありませんから記載がありません。非常に明確で分かりやすいといえば分かりやすいのですが、やはり少し寂しさを感じるところであります。しっかり高等学校の総則にも、目標の中では文章を割いておりますし、わざわざ第7款で、配慮事項ということで道徳教育について特筆しております。全体計画をつくったり指導の方針や重点を明らかにしたりして、今、中島先生からもお話いただきましたけれども、各教科・科目等との関係を明らかにしながら、公民科の「公共」や「倫理」が中核的な指導の場面であるということも触れられております。そうしたことからも10ページの高等学校には道徳教育の目標ということで入れていただき、良かったと思いました。例えばですが、17ページや最後18ページにもあるのですが、高等学校でも、「総合」や「特活」が道徳教育の実践の場というのも大変うなずけたのでありますが、資料の記載においては高等学校の道徳教育というのが本当に色がなくなってしまっているように感じ残念に思いました。先ほどもありましたけれども、17ページの図などは各教科ということで示していただいております。高等学校も公民科の「倫理」、「公共」だけではなく、各教科等でも扱うようにということで工夫をしているところです。そういった意味で、高等学校における「総合」や「特活」などとの関係など、高等学校も、今後、ベースとなる人間としての在り方生き方と向き合って思索する場が公民科だけではなく各教科等で行われていくということを考えますと、小さい字でも結構ですので、高等学校の各教科や公民科で取り扱っているんだということを示していただくと、高等学校の道徳教育も非常に考えなきゃいけない重要なことであるということにも繋がっていくのではないと思います。
 それから、先ほど佐藤委員からもありましたが、この実践の場のベースとなる道徳の部分との矢印が双方向になるべきだというのは、まさに私もそう思っていたところです。「総合」などの中で社会的な、現代的な諸課題を扱う中で、人間としての在り方生き方に思いを巡らせたり考えを深めたりする場面が当然あるわけですので、これは一方向に取られないほうが、図としては適切であると思いました。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 今、御参加してくださっている先生方に1回ずつ御発言をしていただきました。一巡いたしましたので、この後の進め方といたしましては、毛内主査代理のほうから御発言をまずしていただきまして、その後、岡﨑先生のお手が挙がっていらっしゃったと思いますので、岡﨑先生を含めまして、追加の発言をお願いできればと思います。
 それでは、まず、毛内主査代理から御発言をお願いいたします。
【毛内主査代理】  毛内です。委員の皆様の御発言を踏まえて、コメントさせていただきたいと思います。
 まず、目標についてですけれども、修正の御意見もいただきました。学習指導要領改訂という10年に1度機会に、できるだけよいものにすべきではないかという、本当によく分かるし、そういうふうな意見はすごくよく分かるので、重要な議論だと思っています。
 一方、教科化以降、道徳教育の充実に努めてきた全国の先生方の現場目線に立つと、目標を修正するというよりも、質の向上のため、実践を改善していくための手立てを考えていくべきではないかといった御意見も多くいただいたところでした。
 私としては、道徳教育の目標に修正を加えるということは、現場が取り組んできた道徳教育の根本的な部分についてのバランスを変更するということであり、当然、それが否定されるものではないものの、本日の全体の議論を踏まえれば、「考え、議論する道徳」の実装という基本的な考え方に立って、目標については事務局の提案どおりとし、次回以降のよりよい各論的な論点において改善点を模索していくという方向でまとめていくということでよいのではないかと考えています。
 それから、本日のワーキングで堀川学校教育官から説明がありましたが、よく整理されていたと思います。16ページを示していただければと思います。道徳・総合・特活を一体的に考えていこうという方向性は、日本の教育のよさが出ていて、本当にすばらしいというか、私としては大賛成です。
 各ワーキングでの議論を踏まえたものだと思いますが、我が国の学校教育における道徳科、総合的な学習・探究の時間、そして特別活動による学びをよく整理し、教育課程全体の中で道徳・総合・特活が果たす役割について、関係性がよく示されていました。
 一方で、本日の議題の2、教育課程における道徳の位置付けや在り方について、2点意見申し上げたいと思います。
 1点目、今示されている16ページのところですけれども、中心に書かれているのが「自己の生き方・在り方の施策」という表現になっております。これについてですが、平成元年の改訂以降、「自己の在り方生き方」という形で、在り方と生き方との間にはポツを入れず、黒丸を入れず、在り方が生き方と切り離されることなく一体となっているという整理でこれまで記載されてきたものと承知しています。
 ですので、こうした経緯についていま一度確認していただいて、もし整理するのであれば、この整理を変えるに足る十分な説明があるのかということも踏まえて、しっかりと検討していただければと考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 2点目については、佐藤委員、渡邊範道委員のほうからもありましたけれども、18ページを示していただければと思います。道徳・総合・特活の関係についてのイメージについてですが、この点、現在の記載では、特別の教科 道徳から総合・特活に対して一方向に矢印が出ていましたけれども、先ほど2人の委員からもあったように、往還関係にあるということが明確にできるとよいというふうに感じました。お二人の委員の方からは双方向にしてはどうかという意見がありましたけれども、この点についても、往還関係がしっかり示されるように工夫がされればよいのではないかというふうに思ったところでした。
 以上です。よろしくお願いします。
【頼住主査】  ありがとうございます。
 そういたしましたら、鈴木委員はもうお入りでしょうか。
【鈴木委員】  入りました。先生。ありがとうございます。すいません。遅くなりまして申し訳ありませんでした。
【頼住主査】  それでは、今、お一人ずつ発言していただいておりますので、鈴木委員からまず御発言いただければと思います。その後に、今お手を挙げていただいている委員の先生方に、追加の発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。私が思いましたことは2点あるんですが、1点目は、スライドの14ページに、これまでと同じように表で形式化されているところがあると思います。これはとてもよく分かりやすい図だと思うんですけれども、1学年・2学年と3学年・4学年というところが発達的にこう違うとか、例えば、普遍性が高まるとか自律性が高まるといったことが分かるような書きぶりにしていくとよいのではと思ったのが1点目です。
 2点目は、今、毛内主査代理からの話題にもなりましたけれども、17ページにある図です。ここで総合的な学習・探究、特別活動、特別の教科 道徳と教科を通した、学校全体を通しての道徳教育という中のイメージというのがこれで大変分かりやすくなったというふうに思いました。
 学校の先生にとっても、総合的な学習・探究の時間と特別の教科 道徳と特別活動を組み合わせるということが子供の道徳教育にとってとってもプラスなんだということが分かりやすくなっていて、この図をほかの総合的な学習探究と特別活動の部会などと共有して、同じものを見せていくということが、道徳教育それから特別の教科 道徳の役割の違いといいますか、全体像を示すのにとてもプラスになるというふうに思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 これで全員に1回ずつ御発言をお願いいたしました。この後、追加の御発言をお願いできればと思います。それでは、岡﨑委員のほうからまずお願いをいたします。
【岡﨑委員】  ありがとうございます。毛内先生のまとめの後に私がわざわざ言うようなことでもないとは思いますが、目標についてもう一回お話をさせていただきます。
 渡辺弥生委員さんのおっしゃること、もっともだと思っております。今回の現行の学習指導要領の改訂のときに、目標がとても分かりやすくなったなと思いました。このように道徳心を養っていくんだと、これから頑張っていくぞというような気持ちになったものですから、やはりインパクトというのは非常に大事だろうというのは本当に私もそう思います。ただ、一方で、現場を見てみると、今、やっと「何を養っていくのか」ということを納得してきたところなのかなというふうに思っています。現行の学習指導要領は非常に分かりやすいと私が思った理由としては、まず最初に何を養うのかということが明記されていて、それをどんな学習を通して養うのかということが明記されているということ。そして、これまで「道徳的実践力」として表現されていたものを開いて、より一層分かりやすく表記されたというところで、非常に教員にも分かりやすく捉えられたのではないかと私は感じています。よって、目標については、このまま私はもう少し据え置いて、そして、「考え、議論する道徳」の実装というところで充実を図っていくことを考えていきたいと思っています。
 また、「考え、議論する道徳」について、現行の学習指導要領においては、道徳が「特別の教科 道徳」になるという、いわゆる道徳の時間を道徳科にするというところに示されている部分です。今回、「考え、議論する道徳の実装」を非常に重視しているところなので、今は道徳教育と特別の教科 道徳と両方に「考え、議論する道徳の実装」を求めている気がしますが、これからは、道徳科、道徳教育それぞれの役割に応じて考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
 先ほど山﨑委員さんのほうから、子供たちが堅実な生き方ができるようにというお話がありました。私も先ほど、もっとよりよく生きるには、もっと幸せになるためには、自分はこれでいいのかというようなことを問い続けられるようにしていきたい、問い続けられるような力をつけていきたいというようなお話をしました。それは実践を見据えてということなんですが、その実践がそれこそ独り歩きをしてはいけない、時々散見されるのが、道徳科の学習の最後に決意表明をさせるようなこともあって、もちろんそれが全て悪いこととは言いませんが、内面的資質、子供たちの心を大事に大事に育てていく道徳科の時間に、安易に実践に向けるようなことがあるのはどうなのかなと疑問に思っているところです。
 もちろん実践することに最終的には向けていくわけですが、道徳科でどういう力を育てるのか、道徳教育で何を育てるのかというのは、丁寧にこれから整理しながら議論していかなければいけないのではないと思ったところです。
 最後に1点だけ。道徳科の見方・考え方は特に示さないというところで、私はそれはもちろん賛成ですけれども、「見方・考え方」というのが、何をこの時間で子供たちに身に付けさせるのか、本質的な意義というのが見方・考え方になりますので、道徳科としてわざわざ示す必要はないのですが、これまで同様にきちんとした説明を教員にしていくということは非常に重要ではないかと思っています。道徳科の目標自体が見方・考え方なんだということは、これまでもいろいろな研修会で造詣の深い先生から御指導いただいたところでありますが、これからも、そこはしっかりと教員に示していく必要はあると思っております。
 ありがとうございました。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、古屋委員、お願いいたします。
【古屋委員】  失礼いたします。追加の発言をお許しいただきまして、誠にありがとうございます。
 1点だけ、18ページのところになります。道徳・総合・特活の関係についてというイメージ図からでございます。現行の学習指導要領の解説の中でも、どちらかというと、特別活動で体験したことや総合的な学習の時間で学んだことを道徳の指導に生かすという視点が強調されておりますけれども、今回の御提案の中で、実社会・実生活との生きた関係に根差した道徳教育の実践の場として位置付けるということは、大変重要だなというふうに思っているところでございます。そのことによって相互の連携が強化されて、指導の充実に生かされていくというふうに思っています。
 ただ、実践の場ということがあまりに強調されるといかがなものかというところも心配しているところでございます。岡﨑先生のお話にもあったかと思いますけれども、道徳の指導が実践のための指導に偏ったり、あるいは、道徳科で学んだことが特別活動で必ず実践されなければいけないとか、総合的な学習の時間で必ず発揮されなければいけないといった風潮になることは避けなければならないのかなというふうに思っておりまして、この点についてはまだまだ研究途上であり、更に研究開発が必要であるというふうにも思いますので、指導のバランスですとか配慮、その辺を丁寧に説明していく必要があろうかなと思っておりますので、一言発言をさせていただきました。
 以上でございます。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、渡辺弥生委員、よろしくお願いいたします。
【渡辺(弥)委員】  皆さんのご意見を伺うと、目標は変えない方がよいというご意見が多いようですね。私が「変えたい」と申し上げたのは、必ずしも文言を変えたいという意味ではないです。これまでの経緯を見てきた方にとっては、この目標がここまで育ってきたことがよくわかりますが、初めて見る方には、その意図が少し伝わりにくいのではないかと思いました。ですので、「維持する」というよりも、これまで大切に育ててきたものを、これからさらに開花させていくというニュアンスが伝わるような表現に、少し工夫ができるとよいのではないか、という意味で申し上げました。つまり、変えない、というよりはむしろ、これまでの積み重ねを踏まえて、これをさらに力強く発展させていくというメッセージが、もう少し伝わる形になるとよいのではないか、という意見です。
 また、先ほどの灯台の代わりに、にこにこしているみたいな絵があったほうがよいと思いますし、矢印も片方からよりは双方向が良いと思います。全体的に思っているのは、皆さんが胸に刺さるような、インパクトをもつ形で表現していくということが大事かなというのが補足です。
 それから、小、中、高と思春期を含めて発達についての知見があるので、ぜひとも何かお話しさせていただく機会があればいいと思う次第です。エビデンスをお伝えできればと思います。
 それから、渡邉真魚委員のご発言にもありましたが、生徒指導提要でも2022年に、対人関係とか感情を学んでいくというソーシャルエモーショナルラーニングの意義が書かれていましたので、海外で普及していることについて学んでおく必要があるかと思います。対人関係とか感情とか心情のことについて学べるようなところをどこかに入れていただければいいかなと思います。自分の中では頑張りたいかなとは思っているところです。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 そういたしましたら、鈴木委員、御発言よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。今、渡辺委員がおっしゃった発達にはすごく賛成で、発達が見えるようにするというのは大事かなというふうに思いますし、研修の機会も要るかなと思います。
 私が一つ申し上げたいと思ったのは、先ほど来出ている18枚目のスライドのところで、総合的な学習の時間と特別活動があってということを先ほどおっしゃったんですけれども、実践の場というのが成功の場じゃない、成功の場だけではないということなんですね。つまり、実践をすると失敗もするし、いさかいもあるし、嫌な思いもするし、だけど友達だよね、友達でいようと思ったらどうしたらいいんだろうねというふうに思えるということが大事だと思います。
 いつもいいこと、いい答えといいますか、先生が求めるようなことを言うんじゃなくて、実践の場で自分がいっぱい体験してみて、体験したことに基づいて意見を出し合えるような雰囲気が要るということをどこかで説明ができたらなというふうに思いました。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 ほかに追加の御発言を希望する方いらっしゃいますでしょうか。それでは、中島委員、お願いいたします。
【中島委員】  すいません。皆さんの御意見を聞いていて、本当私もうれしく思っているんですけれども。
 一つありまして、検討の方向性の12枚目のところで、道徳科においては高次の資質・能力は定めないとしてはどうかというようなことが書かれているんですが、実際に子供たちの道徳性といいますか、内面的な資質というのは、成長とともに育っていく部分と失われる部分とあるんですね。ですから、例えば、僕なんかは、道徳の時間に前の自分を振り返って取り戻してほしいなと。もっと幼かった頃の純粋さであったり、それから人に対しての思いやりであったり、何で自分はなくしてしまったんだろうなんていうのも振り返るのも、今度は、もともと自分は持っていたということで自己肯定感に繋がりますし、その後、今度は生きていく上で自分をまた変える内面的な変化にもなったりするんですね。
 ですから、そういう意味も、この道徳性においては高次の資質・能力は定めないこととしてはどうかという意味には、ぜひ使っていただければというふうに思うのが一つです。
 その下の表形式の中で、小学校の低学年、中学年、高学年が記載されていますけれども、言葉の言い換えだけではなく、子供たちはそうずっとあろうとしても、そうなれないこともある。その時に元の部分をもう一遍取り戻そうということだって私はありなんじゃないかな。常に高い方向、高い方向じゃなくて、以前持っていたものということもありだよというのがどこかに表記されればなと。
 以前、道徳の研究をしていくときに、解説書というのがよりどころになりました。今度、学習指導要領が出ます。そして、解説書も多分出ると思うんですけれども、その解説書の中でそういったこと辺りもぜひ書いていただければなというのがちょっと思っていたところです。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 ほかに追加の御発言を希望する先生はいらっしゃいますでしょうか。それでは、渡邉真魚委員、お願いいたします。
【渡邉(真)委員】  ありがとうございます。
 皆様のお考えをお聞きしまして、実装のイメージを持つということと、それをどのようにインパクトを持って皆様と共有していくのかということを次回の課題にしたいと思いながら拝聴しておりました。
 私自身は、三つの柱を観点別に定めないということを道徳科の強みにしていくのであれば、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と態度も切り分けられないということを強調することによって、また新たな授業づくりに前進できるのではないかと考えております。
 これまでは、その三つを焦点化することによって授業づくりをしていたので、心情を選択すると心情主義になってしまうのではないかということが批判されてきましたが、そうではなく一体的に考えていく、そのことを考え議論するというところに据えていくことによって、感情というものも科学的に捉えていかなければいけないし、子供たちが考え議論する主体的な対話の中で何を感じたのかということも学びにとっては一番必要な要素になるのではないかと思い、発言いたしました。次回までの宿題ということで、私もしっかり考えて臨みたいと思います。
 以上です。
【頼住主査】  どうもありがとうございました。
 ほかに追加発言を御希望の先生いらっしゃいますでしょうか。
 特におられないようでしたら、最後に、私のほうから一言申し上げさせていただきます。先生方、長時間にわたりまして、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 基本的に、これまでの方向性、「考え、議論する道徳」への転換を踏まえた実装のフェーズへの転換ということ、それについては先生方に基本的にはお認めいただけたのではないかと思っております。
 ただ、追加の論点といたしましては、感情というものの位置付けというものをどうしていくのかというようなことが問題になり、また、それに関連して、発達ということもこれから十分考えていかなければならないという、重要な論点を先生方から今日は出していただけたのではないかと思っております。
 また、私どものほうで準備させていただきました目標とか発達段階における書き分けとか、目標とは別に見方・考え方を示さないというような基本的な方向性については、先生方にお認めいただくことができたと思っております。ありがとうございます。
 表につきましては、もう少し手を入れる余地もあるのではないかというような御示唆も多々頂戴いたしましたので、こちらのほうでより精選し、現場の先生方にとって分かりやすいものになるようにという方向で考えてまいりたいと思います。
 また、特活と総合の時間との一体化、特活や総合の時間との密接な関わりの中で道徳を考えていくという方向性についても、先生方のほうから基本的には御賛成いただけたのではないか思っております。
 今後の課題といたしましては、「自己の生き方・在り方」という書き方の問題がございます。今までの「在り方生き方」で中黒なしから変えたことや書き方をどのようにこちらで意味付けるかという問題が挙げられます。
 それから、18ページの図に関しましては、道徳とそのすぐ上の総合と特活との関係を、今は一方向になっているのですけれども、それを往還とか双方向とかそういう見方ができるのではないかというご示唆を、多くの先生から頂戴いたしました。それを踏まえて更に、私どもといたしましても、より充実した、精選した内容になるように努めてまいりたいと思っております。
 私の意見は以上になります。
 それでは、本日の議事につきましては以上とさせていただきます。最後に、次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【堀川教育課程課学校教育官】  事務局でございます。
 次回は2月27日金曜日13時からを予定しておりますが、正式には後日御連絡を申し上げます。
 以上でございます。
【頼住主査】  それでは、以上をもちまして閉会といたします。ありがとうございました。
 

―― 了 ――
 

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