教育課程部会 特別活動ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

令和8年6月23日(火曜日)13時00分~14時30分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 子供の主体的な地域社会等への参画の在り方について
  2. 特別活動WG取りまとめ(案)
  3. その他

4.議事録

【恒吉主査】 定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会、初等・中等教育分科会、教育課程部会、特別活動ワーキンググループを開催いたします。ご多忙の中、ご参加いただきましてありがとうございます。
  本日は進行資料としてお配りしている流れに基づき議事を進めますので、適宜ご参照ください。それでは早速ですが、議題に移ります。議題1、2を一括して事務局よりご説明をお願いいたします。
【堀川学校教育官】 学校教育官の堀川でございます。私の方から資料1、資料2に基づきましてご説明を申し上げます。
  まず冒頭、お断りでございます。本日も多くの方にオンラインでもご視聴いただいておりますので、本来であれば丁寧にご説明をさせていただくべきところなんですけれども、会議時間にも限りがございまして、各委員の先生方からご意見を賜る時間を十分に確保するというためにも、事務局の説明は10分程度ということで、主なポイントに絞らせていただきます点、ご容赦をいただきますようお願いをいたします。
  それでは説明に入らせていただきます。資料1、子供の主体的な地域社会等への参画の在り方についてでございます。こちら論点1でございますけれども、子供の社会参画につきまして、こども基本法において意見表明や機会の確保、意見の尊重等が規定された中にあって、論点整理においては、学校運営協議会制度、学校評価、そして教育振興基本計画や教育大綱をはじめとする地方公共団体の議論、これらに対して児童生徒の声を聞く取組を促すことを検討すべきとされたところでございます。
  この点、1点目の学校運営協議会制度につきましては、手引きが今年の3月に改訂をされておりまして、そこの中で、学校運営協議会で協議を行う際に子供の声を積極的に聴取することが重要と新たに記載をされております。また、学校評価につきましては少し古いんですけれども、平成28年の学校評価ガイドラインの改訂において、自己評価においてアンケート等を活用すること、また、学校評価項目を検討する際の視点として、学校に対する児童生徒の意見というものを記載をしているところでございます。また、3点目、教育振興基本計画等につきましては、例えば最新の第4期の基本計画につきましては、こども基本法の後になっておりますので、こども基本法に基づいて子供等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるということを通知をしているといったところでございます。
  こうした政府側の動きも踏まえまして、特別活動が確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤としての役割を果たしていく。このためには、日々の学校内の様々な活動の中で、学校の外の社会との繋がりも意識して学ぶということも大切ですし、また、地域社会等に直接参画をしていくといった取組も重要であると。さらに、こうした場合に、一部の子供による参画にとどまらずに、多くの子供の参画を促していくことも重要である。その上で、特活を通じて子供たちが地域社会等に参画していく取組を充実する際の参考として、多様な取組事例を発信していくこととしてはどうかということで、こちらに記載のABCDの枠組みで、様々な事例を後ろにつけさせていただいておるところでございます。このような形で4つに分けて、事例を19、記載させていただいております。
  続きまして、資料2、特別活動ワーキング取りまとめ(案)でございます。こちらにつきましては、まず基本的な考え方、こちら新しいものでございますので、こちらについてご説明をさせていただいた上で、それ以降につきましては、これまで議論いただいてきたところから大きな修正があるものを5つに絞ってご説明をさせていただきます。
  まず基本的な考え方(1)検討の前提でございます。不確実かつ激しい変化の時代にあって社会分断の可能性も指摘される中で、異なる価値観を有する多様な他者と当事者意識を持って対話や合意ができる、このことがこれまで以上に重要になっている中で、同調圧力への偏りからの脱却、そして民主的かつ公正な社会の基盤としての学校の機能、そういったものを機能させていくことで、社会の分断を防ぎ、秩序ある共生社会の実現に貢献していくことが、今次改訂で向き合うべき喫緊の課題となっている。
  こうした問題意識は、教育基本法の第1条に掲げる国家及び社会の形成者として必要な資質、また、こども基本法に掲げております子供の意見表明、社会参画の機会の確保や意見の尊重、こうした規定がある中で、一方で、意見表明や社会参画の機会、これが必ずしも十分に確保されていないという状況もある。
  以上の背景も踏まえまして、論点整理の中では、自らの人生の舵取りをすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手の育成、このために、好きをはぐくみ、得意を伸ばす、当事者意識を持って自分の意見を形成し、対話と合意ができる、こうしたことを教育課程全体で重視する基本的な考え方とした上で、特別活動については教科とも往還をしつつ、全人的に子供を育む教科外の領域である特別活動について、確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤と位置づけるということとしております。言い換えれば、日本の学校教育の本質的な役割の一つである、社会の形成者としての全人的な発達成長の保障、このことにも繋がる教育課程上不可欠な役割を特別活動に求めていると見ることもでき、今次改訂における特別活動への期待は極めて大きい。 そうした中で、本ワーキングでは、こうした教育課程上の役割を十分に果たしていくため、実践の蓄積、学校現場の実情、そういったことを踏まえながら、果断に必要な改善を図っていく必要があるとの認識に立ち、多岐にわたる論点について議論を行った。
  (2)今次改訂の基本的な考え方でございます。こちら、第1から第4までお示しをしております。
  第1に、今申し上げました確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤としての特別活動の特質を教育課程上一層明確にすることである。特別活動は、より学校生活を子供たち自身が主体的に、実践的に作っていく領域であると言え、そうした特質は、以下の3つの側面が相互に往還するものとして捉えることができるとして、1点目、すべての子供の安心を支え、学校生活を充実したものとする包摂性。これは、多様な他者とよりよい人間関係を形成し、安心して意見を表明したり、失敗したりできる関係性を育む、そのことを通じて、学級経営、生徒指導、特別支援教育に関わる教育課程上の要としての、また、教科等における深い学びを支える包摂性の基盤としての役割を果たしていく。
  丸2、学級や学校をよりよいものとつくりかえる創造性。こちらは、多様な意見や価値観、背景を認め合い、対立や葛藤と向き合いながら、安易な多数決や予定調和へ流されることなく、対話、合意を通じて納得解や暫定解を形成し、協働して実践し、振り返り、不断に見直しながら、自他の生活をよりよいものへと更新をしていく。こうした相互とも異なる協働的な創造性の涵養、これは特別活動に固有の役割であると言える。
  丸3、子供が社会の創り手としての自己を形成していく当事者性。特別活動では、好きや得意を含めた自己と向き合い、他者や社会と関わり、責任を持って役割を担ったり、行動を選択したりして、その過程で自己の価値観を更新していく。各活動を通じて身近な社会を創る当事者としての自己を形成していくことは、特別活動固有の役割であると言える。
  今次改訂では、特別活動をすべての子供の安心を支える包摂性の基盤の下で、身近な社会の協働的な創造と当事者としての自己の形成、これが往還をする教育活動として改善を図り、確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤としての役割を一層果たしていくということが求められるとしております。
  第2に、規律か・自由か、集団か・個人かといった二項対立を超えて、日本の学校教育の特色としての特別活動の意義を今日的に再構成することとしております。我が国の学校教育の特質である協調性の涵養や規律の確保、これは分断の可能性に対峙していくための強みになり得る一方で、ともすれば集団性の過度な強調や同調圧力、意義の不明確な議論の温存につながってきた面も否定ができない。こうした中で、今次改訂では、この強みと課題の双方を踏まえながら、多様性を個人と社会の力に変える集団性へと特別活動の意義を更新していく必要がある。このことは、特別活動が特活という形で多くの国から関心を持たれつつある中で、全人的な教育に関わるモデルを日本から国際社会に対して示していくことにもつながっていく。
  第3に、教育課程全体における特別活動の位置づけや役割、これを他の教科や領域との関係でわかりやすく示し、さらなる連携を促すことである。学びを支える基盤としての教科と横断的な学びを活用するという、教科との関係に加えまして、とりわけ道徳・総合・特活のそれぞれが自己の在り方生き方についての考えを深めるということを目標に掲げている中にあって、それぞれの特質、そして教育課程上の役割、そうしたことを明確にしながら、それらを踏まえた上での効果的な連携の可能性を検討することが必要である。
  第4に、学校現場での実行可能性に最大限に配慮をしつつ、特別活動の改善を具体的に進めることである。特別活動の改善は、現場に新たな負荷を課すためのものではなくて、関係者の連綿たる努力のもと、これまで各学校で積み重ねられてきた優れた実践の価値を明確化して、現場の創意工夫を支えるためのものであるというふうに位置づけられるべきである。このため、合意形成・意思決定の考え方の整理、過度な評価材料集めを求めないことを含む学習評価の改善、AIを含むデジタル学習基盤の活用、こうしたことについて具体的な在り方を示すとともに、実践を特定の枠にはめるというものではなくて、現場の創意工夫による自由で大胆な取組を支えるものとして位置づけていくことが必要であるとさせていただいております。
  ここ以降は、第1回のワーキングからご議論をいただいてきた内容でございますので、5つに絞りまして、ポイントの変わった部分等についてご説明をさせていただきます。
  まず17ページでございます。こちらは、学級経営、生徒指導、特別支援教育の要としての特別活動ということで、教育課程上の要として、深い学びの実装、多様性の包摂の実現に向けた学校教育活動全体の安定を支えるものとして、それぞれ個別にご議論をいただいてきたところを、1枚のポンチ絵の形で新たに付加をしておりますので、その旨をご説明をさせていただければというふうに思います。
  続いて24ページでございます。目標及び見方・考え方の見直しについてでございますけれども、こちらは審議会での議論を踏まえて文言の修正をしているほか、この見方・考え方につきまして、企画特別部会の方で、それぞれの見方・考え方と目標を横並びで見たときに、見方・考え方がどうしても一部長い教科、領域があるということで、とりわけ特別活動については横並びで見ても長いところがございましたので、そちらについて短く、端的にするという修正を入れておるところでございます。
  続いて32ページでございます。こちら、児童会・生徒会活動の内容の見直しについてですけれども、具体的には、以下の2つのポツについては、当日での審議の内容を踏まえて追記をさせていただいております。
  続いて54ページでございます。特別活動の評価の在り方についてですけれども、審議をいただいた際には、記号を付記する形で評価を行うという形にさせていただいて、ご議論をいただきましたけれども、その後の議論を踏まえて、今までと同様に丸を付記する形での評価を行うことが適当であるというふうにした上で、その理由について、米書きで詳しく付記をさせていただいております。
  続いて57ページでございます。好事例の普及と条件整備ということで、これまで各回のワーキングの中で事例についても取り上げさせていただいてまいりましたし、また、研修機会の充実といったことについても議論をいただいてまいりましたけれども、全体の一番最後に載せることで、ここのワーキングでの議論、検討全体に対してかかるような形で追記を新たにさせていただいております。
  以上が議論いただいたところからの修正の点の大きな部分についてご説明を申し上げました。そのほか、資料3に参考資料、そして資料4として審議に当たり取り扱った事例ということで、事例集についてもお示しをしておりますので、併せてご覧をいただければというふうに思います。
  事務局からのご説明は以上でございます。
【恒吉主査】 それでは意見交換に入ります。事務局から冒頭言及がありましたように、本日は取りまとめを行う大変重要な回ではありますけれども、会議時間には限りがありますので、お一人5分程度でのご発言をお願いいたします。その上で、ご発言に足りない部分がおありになると思われましたら、事務局への書面送付などでご対応いただくようお願いいたします。
  それでは、ご発言の準備が整い次第、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。事務局の資料に触れる場合には、ページ数の明示についてご協力をお願いいたします。野村委員、よろしくお願いいたします。
【野村委員】 今回も本日の会議に向けて資料を整えてくださったり、また、様々な調整もギリギリまで行ってくださったりと、この特活ワーキンググループの業務専属というわけではないのに、本当に丁寧に誠実にご対応くださった事務局の皆様に心から感謝申し上げます。私から3点申し上げます。
  初めに1点目は、本日の資料としてお示しいただいた取りまとめの全体についてです。ここに記されているものは、前回までの会議で検討を重ねてきたものなので、毎回の会議の各委員の皆様の意見を可能な限り反映していただいたものだと思っております。ですから、このようにおまとめいただいたこと、本当にありがたく思っております。
  2点目は、取りまとめのスライド7、8についてです。特別活動が生徒指導、特別支援教育、そして何より学級経営の要として明記されたことが、とてもありがたいと思っております。教師が特別活動の指導に実直に取り組んでいくことで、子供に寄り添う、子供の姿を減点法ではなく加点法で見つめる、結果以上に過程を大切にするといった指導観が醸成されてくると私は考えております。そのような指導観で目の前の子供たちと向き合うことこそが、生徒指導の要、特別支援教育の要たるゆえんになると考えますし、特に学級経営の要たるゆえんだと思います。
  私は今年度、校長として3校目、そして6年目になりますが、その経験を通して思うのは、特別活動の指導に長けている教員を増やしたいということではありません。特別活動の指導を1つ1つ、毎年毎年丁寧に積み重ねていく中で、先ほど申し上げたような指導観を教師1人1人に醸成していってほしいということです。このように記していただけたことを踏まえた特別活動が、新学習指導要領の下で展開されていけば、子供たちが「この学校でよかった」「このクラスでよかった」という思いをもつことに繋がるのではないかと思います。
  3つ目は、暫定解についてです。スライド58の合意形成・意思決定の説明のところをご表示ください。そのときの会議でも申し上げたことになりますが、これ学問的な見地の話は以前ご説明いただいたのでわかってはいるつもりです。ただ、このようなものが公表されたときに、そこに書かれている言葉について読み手の解釈が生じてくるということはよくあって、これを読む各学校に指導する教育委員会の担当者や各学校の管理職が、必ずしも特別活動の指導に精通しているとは限らないという現状があります。そのような方が暫定解という言葉を見て、とりあえず決めればよいのだなといった解釈をして、それを伝えてしまうと、本来的なものの根幹が揺らいでしまうように私は思います。この下のほうの注4のところに、その暫定解という言葉がありますが、また、このようなものに目を向けたときに、暫定という言葉で本来的な話合いをきちんと行わないまま実践に動いてしまうということも懸念されます。
  もちろん、学校の段階の違いで扱う内容が違いますので、中学校、高等学校の生徒会活動のようなものでは、暫定解というものもあり得ると思うのですが、小学校の学級会では、提案理由の明確化、決まっていることの整理、意見等についてのイメージの共有化など、事前や本時の指導をきちんと行う必要がありますので、そこは解説にきちんと記していく必要があると思います。
  繰り返しになりますが、10月の会議の開始の前から準備を重ねてくださった皆様に心から感謝を申し上げて、私の発言を終わりにいたします。
【恒吉主査】 次に八並委員、お願いいたします。
【八並委員】 今回最後ということで、本当に恒吉先生のリーダーシップのもと、多様な分析や委員の意見を反映して、毎回精緻な原案をご提示いただいた事務局のご苦労に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。私からは、お願いを二つと、強調点を一つ述べたいと思います。
 第一のお願いは、子供の主体的な地域社会等への参画の在り方において、いじめ防止対策推進法で必須となっている学校いじめ防止基本方針の策定過程において、ぜひ児童生徒等の参加を記載してほしいということです。特別活動でのいじめの未然防止は、現行の学習指導要領に入っています。やはり次の学習指導要領の中でも、特別活動において、いじめの未然防止の記載は必要だろうと思います。
 そういう点から言うと、いじめ防止対策推進法で必須になっている学校いじめ防止基本方針の策定過程が大切になります。現状では、教師指導型で作っているのが大半だと思います。ぜひ、学校いじめ防止基本方針の策定過程において、児童生徒、保護者、地域住民、関係機関の方々等が参加して、熟議して学校いじめ防止基本方針をみんなで作っていくと記載していただけないかと願います。
 第二のお願いは、カウンセリングの定義の明確化と、教育相談との異同・包含関係の明確化です。小学校の学習指導要領の第6章特別活動を例にすると、第3の2の(3)で、「学校生活への適応や人間関係の形成などについては、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の児童の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリング(教育相談を含む。)の双方の趣旨を踏まえて指導を行うこと。」と明記されています。
 現行では、カウンセリングが親集合であって、その中に教育相談が含まれるという形になります。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、学校教育法施行規則で職員になっています。彼らが行う相談助言活動がカウンセリングであり、一般教員が行う相談助言活動は教育相談になるのでしょうか。総則ワーキンググループとの調整が必要になりますが、ガイダンスとカウンセリングの定義を明確にしてください。
 第三は、繰り返し述べてきたように、発達支持的生徒指導での実践の要は特別活動です。また、発達支持的生徒指導の核心は、「感動・発見・挑戦・創造」のある授業・体験活動です。この点は、教育の不易だと思います。その意味では、学級活動だけでなく、学校行事も重要です。『生徒指導提要』で示されているように、特別活動のプロアクティブで発達支持的な生徒指導効果を認識していただければ幸いです。
 最後に、このような貴重な機会を与えていただき、誠にありがとうございました。今後とも、次世代の子供たちの未来に、少しでも貢献できるように注力したいと存じます。以上です。
【恒吉主査】 挙手をお願いいたします。それから最後の回ではありますけれども、非常に時間制限が厳しく、すみませんが発言時間への配慮をよろしくお願いいたします。猪原委員、お願いします。
【猪原委員】 まず初めに、この取りまとめ案をご作成くださいましてありがとうございます。このワーキングに参加するに当たって、私がここにいるということの意味は、多分合意形成・意思決定の部分への学術的な貢献を期待されていたと思うのですが、その面で貢献はできたのではないかと考えております。
  それで、資料で申し上げますと、資料2の53ページからになりますが、合意形成・意思決定に関する位置づけ、説明、関係の明示化というところで、もちろん教育現場あってのことですので、理想的な、一般論的な合意形成学、意思決定論そのものをぴったり当てはめたということでは当然ありません。現場できちんと動くような形の説明が求められますので、その点では十分に合意形成学で言われていることを反映できたのではないか、現場に反映させられる形になっていると思います。また逆に、現場での今後の取組、良い取組事例等が学術的な分野の刺激に繋がることも十分考えられますし、それを期待しておりますので、今回のこの部分の記述が実際に実装されてきちんと動いていくことを期待しております。
  同じ章になりますが、55ページについてです。(3)デジタル学習基盤の活用ということで、このワーキングにもご登場、ご発表いただいた嶺北高校の事例でもありましたが、例えば生徒会での投票が行われるときに瞬時に集計ができるというのはデジタルの強みですので、そういったところでのデジタル学習基盤の活用や十分な発展によって、先ほどの合意形成・意思決定という部分に良い効果があるだとうと思います。それは児童生徒の皆さんだけが使うというのではなくて、先生方も集計結果を見て、例えば少数意見がどれであるかというようなことを瞬時に把握できて、その場での議論を促すというようなことで、合意形成・意思決定プロセスを早いサイクルで回せるのではないかと思います。そのためにも、デジタル学習基盤の活用、発展が望まれると考えております。
  56ページ、子供のより主体的な地域社会等への参画という面につきまして、学級や学校の中にとどまらず地域社会等と関係していくということで、これも合意形成の文脈で申し上げれば、より広い範囲の多様なステークホルダーと関わっていくことになりますので、そういう面でも合意形成の考え方というのが重要になってくると思います。
  最後に少数意見の把握という面で、この分野の専門家といたしまして、例えば学級の中で投票を行ったときの少数意見の把握や可視化に繋がるようなツールのアイデアをひとつ作成しまして、大学の予算で特許申請まで進みました。そのようなツールが学校の現場で活用されて良いサイクルが生まれるといいなと思っております。これまで、このワーキンググループへの参加の機会をいただきましてありがとうございました。
【恒吉主査】 そうしましたら、次、二木委員よろしくお願いいたします。
【二木委員】 私は、高校における学校現場の声をいかに届けられるかという思いでこの半年間参加してきました。そのような中で、これだけのまとめができたというところ、そういった機会に恵まれたということを本当に感謝したいと思っております。
  今後、正式版としてこれが世の中に出るということまでに微修正が入るかもしれませんけれども、ほぼ全てに関しては事務局もしくは恒吉主査に今後のことは一任したいと思う中で、全体の感想というか、これからの期待も込めてお話をしたいと思っております。特にページ数は示しません。
  まず学校現場としては事例集が非常に充実したというところは本当に大歓迎だと思いますし、これから学校現場でどのようにこの特別活動を進めたらいいかという大きなこの一歩が踏み出せるというふうに感じております。特に小、中、高というようにそれぞれのカテゴリーが分かれていたり、それ以外の4つのカテゴリーが分かれていたりするのですけれども、そのどれもが校種別というよりはどこも考え方によったら参考になる内容、それぞれの校種に合わせてアレンジできるものだと思っております。
  そのような中、「高次の資質・能力」の、そこにこれから新しい考え方が入ってくるわけですけれども、学校がイメージしやすい例としては、参考事例の中にそこに力点を置く、もしくはタグ等で検索しやすいようにするということになってくれば、より活用頻度が高まるのではないかなと思っております。さらには特別活動に関しては資質・能力を構造化するとはいえ、小、中、高が大きく表記が変わっているというふうにはあまり感じられておりませんので、小、中、高として同じ取組をしたとしてもその成長度合いが分かる、そのような材料というものをますます学校現場では重要視されるのだろうというような気がいたしました。
  続いて、総合的な学習の時間や探究の学習との明確な連携というようなところが言われていたと思いますけれども、これは学校現場がもしかしたらわざと混同させてしまっている、どのような活動の区別をつけたらいいのかというところは学校現場に突き付けられた今後の課題だと思っております。現在もそうなのですけれども、これも他のワーキンググループで話されているように、単位認定とか柔軟な教育課程というものが今後、学校現場でどのように降りてくるのかということもありますが、特別活動が非常に縮小化しないようなことを学校現場では頑張らないといけないと思っている一方で、各教科活動の中の要というこの文言が残っている、今後も引き継がれるということは、ますます学校での特別活動の在り方というものが先生方にとって重要視され学校運営が成り立つと思っております。ますます学校現場でも頑張っていこうと思った次第です。
【恒吉主査】 青木委員よろしくお願いします。
【青木委員】 まず事務局の皆様には、今回これまでの膨大な協議の内容を資料におまとめいただきましてありがとうございます。感謝しております。私からは、短い時間なので少し早口になると思いますけれども、今回の資料に基づく意見等を細かく6点と、それから全体を通して教育行政の立場からの意見をお話しさせていただきます。
  まず1点目に、資料1の1ページ、子供のより主体的な地域社会等への参画についてですけれども、その社会参画の具体的論点の中で、まず児童生徒の声を聞き取る取組の例示として、根拠を踏まえて3点を示していただいたことで、社会参画ということの在り方が分かりやすく示されているのではないかと思いました。
  それから文言の中で、学校は小さな社会と捉えられて、とりわけ小学校の低学年では、まず学校の活動の中での社会参画、社会創造が基盤となる、と考えています。その中で下から5行目あたりの部分で、「学校内の様々な活動の中で、学校の外の社会との繋がりも意識して学ぶ」というふうにしていただいていることで、まず学校の中の様々な活動、そういうようなことから小学校低学年の教育活動についてもご配慮いただき、学校も社会と捉えることができるというように、社会参画への抵抗感も少なくなるのではないかなというように思いました。そうした学校と社会の捉え方についても解説等で述べていただけると良いかなというように思っております。
  次に、資料2、ワーキンググループの取りまとめの19ページとなります。意見というか感想ですけれども、「高次の資質・能力」という言葉について、告示の段階においては用いないというようにされております。私自身もこの高次のという言葉を最初に拝見したときに、ハイレベルのイメージを受けたのが正直な気持ちでございまして、そういったことが危惧されておりましたので、良いなというように思いました。
  次に同じく37ページ、38ページの学級活動の内容の構成についてです。改めてなんですけれども、学級活動の内容が整理できたなというふうに感じております。これまで例えば指導計画を作成する際などに、同様な狙いの活動について小学校と中学校で位置づけが違うということも起こったわけですね。図にありますように矢印のねじれが解消されて、系統性が明確になったなというように感じております。
  次に48ページ、これは仮称「文化的・学習発表的行事」というような仮称の文言についてですけれども、前回もご指摘させていただきましたけれど、学習発表会はこれまで文化的な行事の1つとして実施されておりましたので、特別活動の内容としては疑問や誤解を招くのではないかと危惧いたします。特別活動では学習発表の活動も含めて文化的行事の諸活動を大事にしてきたこともあり、内容の幅が広がるという観点から「文化的」という文言を継続したいなというように感じております。
  次に54ページの評価の在り方についてです。成長が特に顕著に認められる記号についてですけれども、成長が特に顕著に見られる場合の表記としては、これまでと同様に丸の記号を用いることが適当であると思っております。
  次に59ページの補足イメージ図についてです。合意形成や意思決定という言葉は特別活動には大変重要な意味を持つ言葉であるにも関わらず、これまでなかなか現場の先生方にも認知されてこなかったなというふうに感じております。学級活動は教科書がないことや、児童会・生徒会活動や学校行事と異なって教室という閉じた空間の中で実施されることから、教師の裁量や力量による差が大きい内容と思っております。このように、合意形成は学級活動(1)で社会創造をねらいとする、意思決定は学級活動(2)、学級活動(3)で自己決定、自己実現を狙いとするとして行っていくことが明確にされたことで、中学校や高等学校の先生方にとっても分かりやすくなるのではないかなと思いました。こうしたイメージ図を解説等にもぜひ掲載していただきたいなというように思っております。
  最後にこのワーキンググループ全体を通しての感想を述べます。資料3ページ、4ページと基本的な考え方の中にも、日本の学校教育の特色としての特別活動というフレーズや、4ページにも我が国の学校教育の特質である協調性の涵養や規律というフレーズが記載されておりますけれども、とりわけ今回の改訂には大変重要な文言であると思っています。
  近年、アジア諸国を中心に日本の学校教育、とりわけ特別活動が注目され、我が国で日常的に行われている話合い活動や給食、清掃等の当番活動などが海外で高く評価されています。昨年から今年にかけてタイ、エジプト、キルギスなど諸外国の視察団が本市小平市を訪問されて、学級活動の話合い活動を見ていただいたり、小平市の特別活動の推進について説明したりしています。昨今のこうした状況からも、改めて特別活動を我が国の特色ある教育活動として、その意義や役割をまず我々がしっかり認識して、大事にしていくことが大切であると思っております。これからの特別活動を語る上で欠かせない文言だと思っています。
  最後に、一方でワーキンググループの資料として、これまで多くの好事例をお示しいただきました。学習指導要領や解説は先生方だけでなく、教育行政に携わる多くの方がご覧になると思います。そのような中で教育行政としての取組事例などを解説に示すことも、特別活動の普及、教員の特別活動の指導力向上には効果があるのではないかなと思いました。こうした海外の視察を受け入れていく中でも感じたことでございます。こうしたことも含めて、今後分かりやすい、取り組みやすい学習指導要領、解説になりますことをご期待申し上げます。
  恒吉主査はじめ委員の皆様、事務局の皆様、本当にありがとうございました。以上でございます。
【恒吉主査】 次、今村委員、よろしくお願いします。
【今村委員】 事務局の皆様、本当に大変な取りまとめありがとうございました。ここからは3点申し上げさせていただきます。
  まず、今回の取りまとめで児童会・生徒会活動の内容の見直しの中で、学校の決まりをはじめとする生活上の課題の解決に向けて児童生徒が提案を行い、教師等との話し合いを通じて学校運営に関わるという記載が、全国の標準を表すこの学習指導要領の中で、きちんと位置づけられたこと、これはとても大きな一歩だと受け止めています。
  AIがもうどんどん加速して成長して進化していく中で、きっとこの学習指導要領が全面的に適用される2030年の段階では、本当に今している議論が一体何だったんだろうと思うぐらい社会が変わっている可能性もある中で、やっぱり誰しもが持つべき経験値として、目の前の課題、当たり前のルールを疑い、そこにみんなでどうすれば良いルールになっていくんだろう、良い学校になっていくんだろうということに子供たちを参加させていくということは、とても大切な経験値を子供たちに届けることになると思うので、そういったことをきちんと届けられる裏付けとしてのこの明記は非常に大きな進歩だと思います。まずここに対して感謝申し上げます。
  2つ目なんですけれども、基本的な考え方の3ページに示された学級や学校をよりよく作り替える創造性という言葉についてです。これも先ほどの校則やルールのところをみんなで変えていくということとも繋がる話なんですけれども、どうしても私たち大人は子供たちに石ころ1つない平らな道を届けがちで、私も中学生の母親なんですけれども、どうしても安全な場所をどうしても子供たちに準備してしまう。学校もこうした改善の、大人たちの改善がどんどんなされていく中で、無菌状態にどんどん向かっているということも1つの側面としてあって、それが子供たちの、言ってみれば社会に放出された後の弱さになっているという側面もあるように感じています。
  社会の分断がやっぱりどんどん広がっていて、隣近所に住んでいる外国人の方々に対してとか、また自分とは異なる特性を持った方が例えばご近所にいた時に、日常的にはそれに対してコメントしないのに、政治アジェンダになった時だけそれが社会的に、特にネット上で放出していくという、そういったことが痛々しいぐらいに起きているわけなんですけれども、この学校という場所でそのルールを変えるということに子供たちが参加するということも1つなんですけれども、そういった子供たちの創造性を育んでいくためにも、目の前の課題と向き合っていくことで学校がより良くなっていく、そして子供たち自身の探究的な学びの中で、探究学習の中で育っていくようなオリジナリティも引き出されつつも、そのぶつかり合っていく他者と違う自分の存在を自覚しながら、他者にとっても良い社会ってどういう社会なんだろうということを学べるのは、この特活の大事な役割だと思うので、その意味でもこの創造性という言葉を掲げてこうして明記されたことにもとても意味があるなというふうに思いました。
  3点目、これは今回の本論とは違う私の1つのお願いなんですけれども、今、通信制高校の課程に通う子供たちが大変増えているということは、全員、どの方もご存知のことかと思うんですけれども、生徒数は急増し続けて、きっとまた来年も今よりも増えるということが見込まれています。そんな中で、今回の改訂をこの特活というところが、実は通信制課程の子供たちにこそ必要な経験になるのではないかということを思います。
  自宅で学ぶということでオンラインで学ぶということを選ぶ子供たちも多い中で、多様な他者と出会ってぶつかって、お互いの違いを知り、合意形成していくという経験を著しくできないのが、この通信制課程の1つの学び方の特性かなと思った時に、やっぱり社会の分断がこれだけ開いていくことを考えると、通信制課程の特活の時間数は3分の1以下だということ、さらにその6割をオンラインで代替できるという前提で、この全日制や定時制と同質の質と量で、この特活で今回謳ったことの学びが届くのかということ、これに対して大変危惧をしております。
  これについては今回の審議の外の話かもしれないんですけれども、なんとか視野に入れた状態で次のステップに進んでいくということを願いたいなと思ってますので、高校の方の会議にぜひ引き継いでいただけたらと思います。私からは以上です。
【恒吉主査】 川本委員、よろしくお願いします。
【川本委員】 まず、事務局の皆様には、この期間、各委員から出された様々な意見や提言を本当に丁寧に受け止めていただき、1つ1つを紡ぎ上げながら、主査・副主査の先生方と共に本取りまとめ案としてここまでまとめていただいたことに、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
  特に、特別活動を確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤として位置づけ、その意義や役割を現代的な視点から整理していただいたことは、大変意義深いものと感じております。その上で、本日は、今後の学習指導要領解説等において、より具体的に説明を加えていただけるとありがたいと感じた点について、3点申し上げます。
  第1に、学級や学校という身近な社会の現状を把握し、課題を見出していく過程についてです。今回の取りまとめでは、3~4ページにも示されていますように、社会の分断や多様な価値観の存在など、現代社会が抱える課題について丁寧な整理がなされています。一方で、子供たちにとって最も身近な社会である学級や学校の現状を見つめ、その中にある課題や可能性を子供たち自身が発見していく過程については、今後の学習指導要領解説等においてより具体的に示していただけるとありがたいと感じております。
  特別活動は、与えられた課題を解決する活動ではなく、子供たち自身が生活や集団の状況を見つめ、「今私たちにはどのような課題があるのか」、「どのような学級や学校を目指したいのか」を考えるところから始める教育活動です。その意味で、学級や学校という身近な社会を読み取り、課題や願いを見出していく視点の育成過程についても、今後より丁寧に示していただけることを期待しております。
  加えて、資料全体を通して、学級や学校が既に形成された集団として描かれているように感じています。しかし、実際には学級や学校は最初から対話や協働が成立する集団として存在しているわけではなく、互いを理解し合い、信頼関係を築きながら、段階的に集団としての条件を整えていく過程があります。包摂性や当事者性、合意形成といった特別活動の価値も、そのような集団形成の土台の上に成り立つものと考えています。今後の解説等においては、単なる集まりが集団へと成長していく過程や、そのために必要な条件整備、人間関係形成の意義についても、より具体的に示していただけることを期待しております。
  第2に、59ページ以降にしめされている、合意形成や意思決定の学習過程についてです。先ほど猪原委員の御発言にもあった通り、合意形成や意思決定のプロセスについて大変丁寧な整理がなされており、学校現場にとって大きな支えになるものと感じております。その上で、今後の学習指導要領解説等においては、今回示されたプロセスと、これまで特別活動が長年積み重ねてきた話し合い活動の実践知との関係についても、より具体的に示していただけるとありがたいと感じております。特別活動における話し合い活動は、単に意見を集約するための技術ではなく、多様な考えや価値観を理解しながら、納得解を見出していく学習過程そのものに教育的な価値があります。今回整理された合意形成や意思決定の考え方が、こうした特活ならではの学びの特質と結びつけて説明されることで、より現場における理解や実践が深まるのではないかと考えております。
  第3に、様々な箇所で触れられている、振り返りの位置づけについてです。特別活動における振り返りは、自らの成長を見取るだけではなく、集団の変容や活動の価値を意味づけ、次の実践につなげていく重要な学習過程であると考えています。今後、学習評価やキャリア・パスポート等との関係を整理していく際にも、振り返りが評価のための内省に留まるのではなく、よりよい生活や社会の創造につながるリフレクション(省察)の意義や方法についても、ぜひ丁寧に説明していただければと思っております。
  最後に、本日の出来事を1つ共有させていただきます。本日、5年生の子供たちと1時間目から4時間目まで授業を行いました。子供たちは、互いの考え方や価値観の違いから、何度もぶつかり合い、時には相手を否定したり涙したりする場面もありましたが、それでも諦めることなく、「どうしたらその違いを分かり合えるのか」、「どうしたら一緒に進めるのか」と対話を重ねながら前に進もうとする姿を見ることができました。
  その姿を見ながら、改めて今回の改訂の意義を強く感じたところです。これからの社会で求められるのは、みんなが同じことになることではなくて、違いを認め合いながらより良い答えを共に作っていく力だと感じています。今日の子供たちの姿は、まさに今回の取りまとめで示されている包摂性や創造性、当事者性、合意形成、そして民主主義の姿そのものであったなと感じています。
  そうした学びを、日常的に保証することができる特別活動の価値を改めて実感すると共に、これまでの丁寧な議論と取りまとめに感謝を申し上げ、発言とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【恒吉主査】 髙島委員、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
【髙島委員】  ありがとうございます。芦屋市長の髙島です。改めて恒吉先生はじめ、委員の皆さん、事務局の皆さん、長期間にわたりありがとうございました。
  今回の学習指導要領改訂のメインテーマの1つは、間違いなく特別活動のアップデートではないか。これ、私が本ワーキングの冒頭で発言したことでしたが、ちょっと間違っていたなと私、反省を今しています。特活のアップデートはもちろん大事です。でもこれは、単に学校現場のカリキュラムを変えようということに留まらないなということをこの8か月で確信をしました。
  何が言いたいかというと、特活のアップデートというのは、いわゆる指導要領とか学校とかだけじゃなくて、日本社会全体を良くしようという意欲的な営みだったんじゃないかということです。だからこそなんですが、この特活の学習指導要領はぜひ全ての国民に読んでもらいたいなと思っています。教師や学校関係者にちゃんと伝えたいという思いは当然あると思います。ただ、教師や学校関係者にさえ伝わればいいかなという思いが、私たちの心のどこかにあるんじゃないかなとも思うんですね。子供もそうですし、首長部局もそうですし、地域の大人も、そういう方々に伝わる言葉になっているかというのは、ぜひ改めて考えたいなと思います。
  特活は確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤と位置づけられています。子供を育むという観点で言うと、育てる主体は誰かというと、みんなです。特に学校の外の社会との繋がりを意識して学ぶということを考えた時に、学校関係者以外に伝わる言葉ってとても大事だと思います。さらに言うと、確かな民主主義を担い、共生社会を共に作っていく、実現するというのは、別に子供だけじゃないはずですね。大人もその当事者だと思います。例えば、この間ずっと挙げられていた合意形成・意思決定みたいな話って、まさに大人が学ばなきゃいけないことだなと私もこの間、実感をしました。
  学校現場に目を向けると、例えば今日、沖縄慰霊の日です。芦屋市の多くの小中学校では給食で沖縄料理をいただいて、平和への思いを新たにする時間になりました。学級とか学校での学びの意義って、こういうことなんじゃないかなとも思うんですね。いわゆる教科書を使った授業じゃなくても、学びの機会って日常の中にたくさんあって、そういう機会を捉えて、みんなで対話をしながら学んでいくということです。まずは未来の社会を担っていく子供が学びを積み重ねるんですが、その学びってきっと普遍性すらあるんじゃないかなとも思うんですね。大人にも資する学びにもなるんじゃないかということです。まさにそれって特活だなと思います。学校関係者以外にどんな言葉であれば伝わるのかということ、これ私もぜひこれからも一緒に考え続けたいなと思っています。
  そんな中、学校から社会を変えるというアプローチを知ることができたのは、学校関係者以外に伝えるための大きなヒントになったなと思います。私が市長として教育に力を入れているのは、学校が変わると社会が変わると期待しているからです。学校から社会全体を変えようとする意欲的な素敵な実践を多く知ることができたことは、今回のワーキングでの僥倖だったなと思います。ワーキングで発表いただいた嶺北高校の実践、すごく参考になりました。また、実は今回資料1の21ページに芦屋市の取組を挙げていただいています。地域清掃グループ、クリーングループジュニアの取組なんですけども、元々小学校5年生の2人が始めた活動なんですけど、生徒会の活動に位置づけるというブーストを経て、地域社会に一気に広がっていきました。実は、彼らはもう今高校3年生なんですけれども、今月、芦屋市の善行賞というのを市で毎年1団体選んでるものを授与したんですけども、学年とか分野を超えて地域に根ざしたボランティア活動をやってくれています。改めて特活って学校と社会を繋ぐ役割だなと思います。学校が変わると社会全体が変わるという大きなハブが特活なんだなということを改めて確信をしました。
  ただ、最初に私言った気もするんですが、特活って何してるかよくわからないんですよね。子供にとっては一休みの時間と思われていた向きってやっぱりあったと思うんです。特活にはやっぱり教科書はないわけで、そういう意味では現場の先生1人1人が、子供たち1人1人が特活の意義を深く理解して、自分の言葉で語れることがとても大事かなと思います。
  これから社会はきっとますます大きく早く変わっていくと思います。ただ、どんなに社会が変わっても、どんなに生成AIが発達しても、学校に通う価値というのは残り続けると思いますし、私はその価値というのは民主主義を実践的に学ぶ場であるということなんじゃないかなと思います。学校で変化を起こすためにも、そして起きた変化を学校の外に広げるためにも、ぜひこれからも学校に閉じることなく、首長部局や市民を巻き込み続けていただきたいなと願っていますし、私も1人の市民として市長としてこれからも応援していきたいなと思っています。分断が進むと言われている世界情勢の中で、私たちが日本社会の分断に橋をかけられるか、そして日本が世界の分断に橋をかけられるのかというのは、特活にかかっているんじゃないかなと思います。これからもそれぞれの持ち場で頑張りましょう。私も頑張ります。ありがとうございました。
【恒吉主査】  秦委員、よろしくお願いします。
【秦委員】  まず、本当に皆さんもおっしゃっていましたが、私自身このような会議にワーキンググループの委員として呼んでいただいて、今まで7回ですね、参加させていただいて、私自身も特別活動、本当に大好きなんですけど、さらにきちんといろんなことを文科省の皆さんがどんなことをお考えになって、今からこう特活を変えていこうとされているかということを、本当にいろんな形でお示しいただいて、私自身もだんだん学校教育から遠ざかっていく年齢なんですけれども、また自分のできる範囲でまた特活に何かご協力できるような、ある意味、一市民、一地域民としても子供たちとの関わり方なんかも、今回地域との関わりの在り方のこともお示しいただきましたし、私自身のまた人生の中でも子供たちのこの特活の力を伸ばすような関わりをしていきたいなというふうにも思っております。本当に今までいろいろ、たくさんの資料のご提示ありがとうございました。大変勉強になりました。
  私の方からは、まず2点になるか3点になるかちょっと今微妙だなと思っているんですけど、まず51ページ、52ページのキャリア・パスポートについて、ちょっとこだわっているようにも思われるかもしれませんが、52ページの方の下半分の具体的な方向性というところで、丸2のところでデジタル学習基盤を効果的に活用しつつ、俯瞰的に振り返るような発展的な取組について解説などで整理するということで、こういうふうにどうやっていくといいのか、キャリア・パスポートをどう扱っていくといいのかというのを、具体的に時代に合った形で示していただけるというのは、学校はなかなかキャリア・パスポートは非常に負担感が強いというようなご意見もたくさんある中で、解説等に入れていただくというのはありがたいなというふうに思います。
  人生の舵取りというキーワードがある通り、やっぱりキャリア・パスポートは子供たちにとって自分史の一部でもあると思いますし、それから前私申し上げましたが、やっぱり自分自身が教材というキャリア教育ってそうだと思いますので、じゃあ自分の歩みを知る上で、キャリア・パスポートというのはやっぱり振り返りの場面であると非常にいいものではないかと。それがデジタルの形になるか、学校間で引き継ぐのかというのはいろんなやり方があると思いますが、そういうような学びの履歴がきちんと残っている残っていないに関わらず、子供たちが振り返る活動をどう我々は手立てとして構成していくといいのかというところら辺を解説に取り入れていただきたいなというふうに思います。 それから、これはちょっと何ページというのはなかなか言いにくいんですが、地域連携と関わってくるので、最後の方のページなのかなとは思いますけれども、実は福井市の中学校長会は、私毎月もちろん出ているんですけれども、そこでやはり大きな意見交換なり情報交換というのを最後に時間を取ってやるんですけれども、もう毎回出てこない時はないというぐらい、やっぱり部活動の地域展開というのが中学校にとっては非常に大きな問題、課題であります。
  福井市は福井県内では母体が非常に大きい市町ですので、福井県の3分の1の生徒は福井市の子供たちですので、そんな中で、ただ今の夏の地区大会はこないだ終わりまして、県大会、それから北信越、全国と繋がっていくわけなんですけども、そういうふうに夏の大会が終わった時点でもう一切土日はやらないと、福井市もやっとそういうふうになります。それからもう平日も、本校はこれから新チームでは平日も1日減らして、今まで週4日やったものを週3日にしようというふうになっていきまして、今うちの学校ですとその1日子供たちが部活動しないというような日になったところを、実はうちの学校では生徒会活動の時間に少し当てていこうかという話題になっています。
  非常にやっぱり部活動の地域展開が進んでいきますと、子供たちにも教員にも余白というのが生まれてくると思いますので、その余白を多分、特別活動の時間に割く学校が出てくるんじゃないかなと。うちの学校なんかも生徒会活動を少し、もうちょっと充実させていこうということで、子供たちが自主的・主体的に活動を自分たちが主人公になってやっていくというところの、教員側もそれに対して時間を割けますし、子供たちもいろんなこともできますし、もちろんAI等も使って非常に活動がさらに良いものになっていくかなと思いますので、その辺のところも地域絡みでやっていけるかなというふうに思いますので、こういうふうに地域との参画の在り方をまたお示しいただくのはありがたいなと思います。
  それから生徒指導とのことも学活、特別活動の要というような表現も、やはり実は部活動の時間が短縮されればされるほど、実は生徒指導の問題、子供たちが時間にゆとりがあるのでと言ってしまいますが、生徒指導の問題なんかも、ちょっと福井市内は昔だったら部活動していたような時間帯に子供たちは家庭に戻っているので、その辺のところで発達支持的生徒指導というものをやっぱり大事に学活なんかでやっていくというのはとっても大事なことかなというふうに思います。
  それから地域活動の話に戻りますけれども、活動の地域展開で出てきた余白をやはり地域に貢献、地域活動に参画できる子供たち、それがやっぱり学活、特別活動でそういう力を育てていくと、多分それが地域へも、地域の参画というところにもその力が生かせるんじゃないか、それをもう本当に往還しているというか。あると思うんですね。
  私も公民館の会議とか公民館の職員の方と地域とか、あるいは自分の地元のこととかを話す機会はいろいろあるんですけれども、その時にも本当に常々こういうふうに部活動が今時間的にも減ってきているので、中学生のパワーとか中学生のエネルギーをぜひ地域で使ってください、子供たち多分やれると思いますということも本当に強く訴えては、今校長になってからはしているので、それがやっぱり具体的な例で申しますと、前の学校で学校の敷地を利用して地域の方々のフリーマーケットなんかをやった時に、そこにボランティアとして参加する生徒も、非常に数が増えているというようなところもあったりとか、実は本当に1人2人なんですけれども、中学校卒業してからもそのフリーマーケットに自分たちが商品を持ってきて出すとか、あるいは今私が勤めている学校の地域のまちづくりの会議に、中学校の時もそういう会議に出ていた子が実は大学生になって、そういう会議を地域でやるよということで、今都会の大学に行っているんですが、わざわざ帰省してまでそういう会議に参加するという子も1人ですけれどもいたりして、そういうことが少しずつ少しずつ福井市内でも広がってきているし、福井市はありがたいことに小学校ごとに公民館が必ず1つあるので、非常に地域と密着した活動が今までもかなりちょっと全国的にも割と先進的にはやってきたと思うんですけれども、ますますその輪が広がっているということもあります。
  だから多分、全国のそんな例が、特活とその地域活動との関連というか、お互いに子供たちを育てていっているというような事例もきっとあると思うので、そういうことなんかもぜひ何らかの形で事例としてまた発信していただけると、また福井市も参考にしてやっていけるといいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。本当に7回の会議、私にとっては貴重な時間でした。
【恒吉主査】  では副主査のお2人、どちらがお先でも構いませんのでよろしくお願いします。
【京免主査代理】  最初に、7回にわたって丁寧な議論をさせていただいた委員の皆様、そして、文字通り本当に多様な意見を包摂して1つの案にしていただいた事務局の皆様に感謝申し上げたいと思います。
  その上で最終回ということですので、第1回で私自身が表明した自分の問題意識と関連付けながら、今回の改訂が持つ意味についてお話しする時間をいただけたらと思います。
  まず資料にもありますように、このワーキングでの議論というのは、学校現場で積み重ねられてきた優れた実践の価値というものをもう一度再認識して、それを最大限に生かしながら、つまり、日本型教育の持っている良さというものをきちんと担保しながら、その上で現代的な課題、主体的に社会を作り出す民主主義の学習であったり、あるいは子供の多様性の包摂、そういったことに対応していくという方向性をこれまで検討して示してきたかなと思うところです。
  1つ目の民主主義の学習ということに関しては、特別活動の目標の柱書きに「民主主義、共生」という文言が入ったことで、何のための活動なのかという明確なメッセージになっていると思います。とりわけ「民主」の言葉に関しては、子供たちと先生がどうやって民主的な学校を作っていけるか、戦後の荒廃の中で議論していた1951年以来の復活です。
  そして、そのための重要な活動として、児童会・生徒会活動の中に、児童生徒が提案を行って教師等との話し合いを通じて学校運営に関わるという内容が盛り込まれたことは、大きなことです。また学校行事の目標に体験的な活動を主体的に創造するということ、ということが書かれたことも、小さくないインパクトだと考えています。
  その一方で、ここから大事だと思うところです。こうした自治的な活動の仕組みが形骸化しないように、これからの解説等の作業で具現化していかなければいけないと思います。実際、子供の教育参加制度を持つ海外の国々でも、形式化したり特定の子供たちだけの活動になってしまったりという問題が生じています。私に寄せられた学校現場の先生方の意見の中にも、「包摂とか民主主義とかという美しい言葉を盛り込むのはいいけれども、絵に描いた餅にはならないのか」、あるいは「今の学校の現状を踏まえないまま言葉だけ一人歩きしてしまわないのか」という心配の声もありました。こうした不安は当然のことだと思いますし、現場からの声にきちんと向き合っていかなければいけないと感じています。
  教育哲学者のジョン・デューイの言葉を少し借りてみますと、民主主義というのは単なる制度ではなく、私たちの実践から生まれる習慣です。子供同士、そして子供と先生との話し合いを日常の中で実践をして、そして民主主義というものを習慣にしていくために、今後参考となる理論やグッドプラクティスを学習指導要領の解説、指導資料、あるいは研修等で発信していく必要があります。
  2点目の多様性の包摂については、合意形成・意思決定の意味やプロセスのモデルが示され、その往還関係、つながりが示されたことには大きな意義があります。これからの特別活動は社会創造と自己実現の両立という重要なテーマにチャレンジしていくことになるのではないでしょうか。また特別活動を学級経営、生徒指導、特別支援教育の教育課程上の要として位置づけたことで、多様性を生かして個人と社会のウェルビーイングにつなげていくという大きな期待を背負うことになったと思います。
  少し話がそれるかもしれませんが、8ページの左のところを見ますと、「こども基本法や障害者差別解消法、理解増進法等を踏まえ、必要な対応を検討すべき」ということが示されていますが、極めて重要なことです。例えばですが、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性という観点から、学習指導要領や解説が適切な表現になっているのかということを改めて点検していく必要があるのではないでしょうか。
  話を戻したいと思います。多様性の包摂という点に関しても、学校現場の具体的な取組につなげていくためには、やはり参考資料の提示や先生方に対するサポートが不可欠だと思います。その際に私が強く感じたのが、実践の基盤となる研究の進展というのも期待されるところだなというところです。私自身大学院で特別活動学という授業を持っており、大学院生や現職の先生方と指導要領の改訂についても議論してきましたがなかなか科学的な知見を示せない自分にモヤモヤしたというのが、正直なところです。
  特別活動、学級経営、生徒指導、特別支援教育の研究者が狭い意味での専門性を超えて一緒になって、そして現場で奮闘されている先生方も巻き込みながら、インクルーシブな学級、あるいはインクルーシブな学校をどうやって作っていくのか、実践研究を進めていく必要があるのではないでしょうか。多様な研究者と実践者の協働に向けて、私自身も役割を果たしていきたいと思っているところです。
  最後になりますが、今回の特別活動の学習指導要領の改訂が子供自身にとってどのような意味があるのだろうかということをずっと考えていました。一言で言ってしまえば、教師や大人の教育責任というのは当然として、その前提のもとに子供をより良い学級づくり、学校づくり、あるいは地域社会づくりのパートナーと見なしていくということではないかと思っています。そう考えると、この改訂の趣旨の丁寧な説明、あるいはグッドプラクティスの発信というのは、やはり教師だけではなく子供たちに対してもなされることが望ましいと考えます。当事者である子供たち自身が特別活動とは何であるのかということをきちんと理解をして、その意義や在り方について一人一人自分の頭で考えてもらうことで、本当の意味での主体的な活動になると考えます。
  先生方と子供たちの双方に、特別活動、つまり学校という小さな社会を創造していくことはやりがいのある楽しい活動であって、自分の人生にとっても意味があるんだということを実感してほしいというのが私の願いです。もちろんそれは実際にやってみなければわからない部分も多いのですが、少なくともやってみたいと思えるような前向きなメッセージというのを出す努力をしていかなければいけませんし、私自身、今後やっていきたいとを思っています。本当にどうもありがとうございました。
【恒吉主査】  白松委員、よろしくお願いします。
【白松主査代理】  まず全体的な所感から入りたいと思うんですけれども、取りまとめについて全体的に非常に整理された内容となっていると感じています。特に3、4ページの基本的な考え方、4ページの特別活動の構造、9ページや59ページの用語や要素の整理は、これまでの議論がかなりクリアにまとめられていると感じます。道徳や総合との関係についても、インターディシプリナリーなカリキュラムとしての重要性もより明確になったと感じています。
  3ページの考え方を読むと、多様性や包摂の主体としての子供の当事者性が明確化されていること、資料1においては子供が学校のみならず地域や社会の変革の当事者として明確化されていることなど、今回の改訂の主眼が本当に分かりやすく提示されていると感じています。加えて、こども基本法、障害者差別解消法、理解増進法などの法整備に着目すると、包摂や一人一人の子供の権利を重視する考えが特別活動のさまざまな内容に反映され、実践に生かされていくことを期待します。また、それらの法律の理念や考え方を大切にした内容が学習指導要領及び解説で重視される必要があろうかと感じています。この上で、特に資料2に即して強調しておきたい点を3点と、今日いただいた意見に関連して1点述べさせていただきたいと思います。
  第1は5、6ページになりますが、道徳・総合・特活は伝統的な文化や社会の在り方を基盤としつつも、社会の流動性や多様性、変化に迅速に対応していく、いわゆるインターディシプリナリーなカリキュラム群であることがこれまでも重要であったと思います。中でも特別活動は近年使われている用語に照らし合わせると、トランスディシプリナリーという市民や当事者も巻き込んだ超学際的な、プラグマティックな学際領域のアプローチみたいなカリキュラムの捉え方があるわけですけれども、そういった方向性に繋がるものとしての今回の改訂があると感じています。その意味では、子供の当事者性がより発揮される形で今後の実践の改善に努めていく必要があると感じていますし、それが解説等でしっかりと示される必要があると思っています。
  第2は、学級経営、生徒指導、特別支援教育との関係についての理解の促進です。学級経営の要という表現が7ページで使用されていますが、子供にとっても教師にとっても学級生活の充実や安全性が学校生活を送る上では極めて重要な基盤です。一方、私は学級経営の研究をしてくる中で、学級経営に苦しんでいる先生にもたくさんお会いしてきました。そういった先生方にこそ、話し合いという民主的な方法を通じて自らのウェルビーイングも高めることができることなど、希望に繋がるものになってほしいと願っています。そのためには、学校経営も特別活動を生かして、教師個々の学級経営や生徒指導、特別支援教育の在り方を下支えするものであってほしいし、教師一人一人バラバラの孤業にさせないという学級経営の在り方が重要であるということを強調しておきたいと感じています。
  第3に、用語の整理にもありますが、学校生活に適応させるという考え方ではなく、学校生活への滑らかな移行のためには支援や配慮の工夫がとても大切になります。その上では、児童生徒の個々の発達のばらつきに対応する学校文化の変革がとても重要となっていると思います。評価は指導と一体化される必要があるため、私たち教育者側の改善点を見出す作業でもあるということに留意したい。具体的に特別活動における評価は、学校改善の重要な視点を子供とともに作り出す作業であることにもなっていることを認識しておきたいなと思います。
  最後に、秦委員がおっしゃられたキャリア・パスポートに関する意見に、賛否両論が学校現場にあるということを鑑みると、各学校や自治体レベルで見直しを可能とする今回の方向性はとても重要であると感じています。今回の改訂では、学校の業務をスリム化しながら質保証し、学校の裁量を増大させることが一つの目的と感じてきています。その上で、私はデジタルデバイスを活用して、質保証しながら自らの成長の軌跡を振り返る資料の作成を簡易化することは可能であり、Less is Moreの効果的な実践や、ほかの先生方もこれならやってみたいという汎用的な実践が生まれてくることを期待しています。一方、保護者側のキャリアに対する考え方も、変化の激しい社会においては不確かさを増してきていると感じます。そういった子供と保護者の創造的な対話に繋がるキャリア教育実践も多様に創出されつつ共有されていくことを期待しています。
  最後になりますが、私は髙島委員がおっしゃられたように、特別活動の実践を参観するとき、いつもこの目の前の子供たちの姿、人間関係の在り方などが10年から20年後の社会の姿になるだろうと想像しながら見ています。民主主義のシステムや制度の単なる学習に陥ることなく、民主的な実践の取組を創造的に続けながら社会に期待感を持つ子供の育成を、学級や学校の皆さんと関わりながら先生方と続けていきたいと感じます。このワーキンググループの会議を通して、このことを改めて感じさせていただきました。
  多様なご意見をいただいたワーキングの委員の皆様、取りまとめにご尽力くださった事務局の皆様に心より深くお礼を申し上げて、私の発言を閉じたいと思います。
【恒吉主査】  皆様どうもありがとうございました。最後ですので、せっかくですので一言だけ私からも申し上げたいと思います。
  このワーキンググループが結成されたときから、一委員として望んでいたことというのはかなりシンプルで、それは方向性を間違えない、見誤らないということです。それで、そういった方向性というのは、10年後、20年後こういうふうになるだろう、だから子供たちにはこういう資質・能力が必要だというそういう意味だけではなく、こういうような日本社会だとか世界になってほしいから、こういうような能力・資質が必要だという、そういうものを含めた方向性です。それは、細かいことを言えばいろいろご意見あると思いますけれども、大方実現しているんじゃないかというふうに思っています。
  例えば、今日も出た特別活動というのは、ほかの教科に比べますと、やはり親学問がある教科に比べますと、先生方の創意工夫、それから先生方が子供たち、また保護者たち、家庭、地域などと色々な形で結びついて、そして全員が成長していくと、そういうような方向性があり、そういう意味では分かりやすさですとか、教師を縛りすぎないというか、創意工夫を可能にするとか、そういった方向性というのはやはり良かったんじゃないかと思います。
  あるいは、例えば葛藤、多様性と葛藤、みたいなものも少し視点として強まりましたけれども、これからの日本社会も世界も、葛藤というのは必ずあるわけですよね。それは多様性というのは活力にももちろんになりますけれども、考えが違って生き方も違う人々が一緒になるわけですから、必ず葛藤もある。それを逃げることなくというか、回避することなく、いかに活力に転換していくか。それは世界中で今直面しながらなかなかうまくいかない。そうした中で、合意形成・意思決定とか、そういったことをずっと考えてきた日本の特別活動が多分貢献できるものがあるんじゃないかと、そういう意味でも方向性は間違っていないと思います。
  それから最後に国際、グローバルとか私の領域なんですけれども、ここでは必ずしもそういった議論がすごく多かったわけではなかったんですけれども、この教科と教科以外の分野、その中に特別活動が一つの柱としてあるわけですけれども、それをともに往還するものとして統合していく、あるいは一緒につないでいく、教科以外のものもお互いにつないでいくという、こういうような…それをカリキュラムの中に位置づけるというのは、実は世界的に見て非常に珍しく評価されているものなんですね。
  それで、今、これもまた学校教育の中で教科に軸足を置いてきた多くの西欧の国々などでも、結局、社会が複雑化し、そして多様化して不透明になる中では、また家族が小規模化するとかそういうような中では、公教育を広げてゆこうとむしろしている。そうした中で、社会情動学習だとか、市民性教育だとか、ライフスキルとかそういうものが言われるようになって、そのどれもが特別活動の中に入っているということですよね、要素として。そういった「子供全体」を、ここでは「全人的」って出てきましたけれども、教育していこうというようなモデルというのは、そういう意味でも国際性があり、未来を見据えていると思いますので、デジタル社会だろうと、デジタル時代になろうとも、そういう意味では方向性として間違っていないというふうに思っています。
  こういうふうに、いくつか例を挙げましたけれども、ほかにもたくさんありますけれども、ワーキンググループが今回取った方向性が間違っていないんじゃないかと信じて、私のコメントとさせていただきたいと思います。
  では、一区切りしまして、本日も大変活発なご意見ありがとうございました。いただきましたご意見などを踏まえた最終的な取りまとめの作成につきましては、本ワーキンググループの主査として私にご一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ご異議なさそうですので、そうしましたら、事務局の協力のもと、最終的な取りまとめの作成を行いたいと思います。もし会議後にお気づきの点がございましたら、事務局までご連絡をいただけるとありがたく存じます。
  それでは、本日の議事は以上とさせていただきます。事務局より何かございますでしょうか。
【堀川学校教育官】  今後、主査ともご相談をさせていただきながら、最終的な取りまとめを作成させていただければというふうに思います。先生方への必要なご連絡は随時させていただきます。
【恒吉主査】  では、これで特別活動ワーキンググループ、本当に最終となります。不慣れな主査で、いろいろ足りなかったところもあるかと思いますけれども、先生方のご支援と、睡眠時間を削ってご尽力くださった事務方のおかげで、今日一応最後まで務めさせていただくことができました。本当にありがとうございました。
  それでは、以上を持ちまして閉会とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


―― 了 ――

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