教育課程部会 特別活動ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

令和8年2月16日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 特別活動における合意形成・意思決定、学級活動、児童会・生徒会活動 及び高次の資質・能力について(事務局説明、事例発表)
  2. その他

4.議事録

※本議事録においては、一部匿名化している箇所がある。
 
【恒吉主査】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会、初等中等教育分科会、教育課程部会、特別活動ワーキンググループを開催いたします。大変ご多忙の中、ご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は進行資料としてお配りしている流れに基づき議事を進めますので、委員の皆様におかれましては適宜ご参照ください。それでは議題に移ります。事務局より、資料1、2について説明をお願いいたします。
【堀川学校教育官】  事務局でございます。資料1、資料2に基づきましてご説明をさせていただきます。まず資料1でございます。特別活動における合意形成・意思決定、学級活動、児童会・生徒会活動、および高次の資質・能力についてでございます。資料2ページでございますけれども、まず1番、合意形成・意思決定および学級活動、児童会・生徒会活動についてということで、この中で検討の前提ということで記載させていただいております。本日ご議論をいただく各種整理につきましては、現場の創意工夫による自由で大胆な取組を実現していくことを目指すものであります。したがって、実際の特定の枠に当てはめるものではないという点に特段の注意を払う必要があるということで記載をさせていただいております。本日、この説明全体につきまして、4者の方からこのあとご発表をいただく予定になっておりますので、事務局からの説明は可能な限り簡潔にさせていただきますので、ご承知おきをいただければ幸いでございます。3ページ、検討項目1、合意形成・意思決定に係る概念の整理でございます。まず議論の前提でございますけれども、これまでの合意形成・意思決定に係る経緯といたしまして、平成20年改訂のときには「集団決定」という言葉を用い、2ポツ、平成29年、30年改訂、現行の指導要領では「合意形成」という言葉が用いられるようになりました。また、学級活動(1)で集団としての合意形成、そして学級活動(2)(3)で一人一人の意思決定を行うということを明示しております。ページ下段、合意形成と意思決定に係る現行の整理でございますけれども、合意形成については学級活動(1)の解説のところで、以下のグレーの網掛けのとおり記載がされているほか、学術的な視点においても合意形成とは何かについては見解が統一されているわけではないとされているところでございます。また、最後のポツ、意思決定につきましては、学習指導要領上、一人一人の意思決定として位置付けて、解説でこのグレーの網掛けのとおり現行記載がなされているところでございます。これを踏まえまして具体的な論点でございます。1番、2番ともに補足イメージを準備させていただいておりますので、そちらでご説明をさせていただきます。補足イメージの1でございますけれども、論点整理の具体化に向けて、合意形成・意思決定について一定の共通理解を図る必要があるということで、2ポツ、学校現場にとっての分かりやすさ、そして学術的な知見、こういったことに留意をしながら、合意形成および意思決定に関わる概念を以下のとおり整理してはどうかということで、まず緑の合意形成ですけれども、多様な意見、価値観を認め合い、対立や葛藤と向き合いながら納得解を創造していくこと。ピンクの意思決定の部分ですけれども、多様な情報や他者との関わりを踏まえ、自己の価値観に照らし責任を持って行動を選択していくこと。このようにご提案をさせていただいております。それぞれの言葉の趣旨であるとか解説につきましては、米1から米6で記載をしておりますので、併せてご覧をいただければと思います。続いて補足イメージ2、7ページでございますけれども、合意形成と意思決定に関わる諸要素の整理ということで、特別活動においては引き続き意思決定を個人の意思決定を主として想定するものとして操作的に整理をしてはどうか。その上で「合意形成」と「意思決定」に対応する要素について、おおむね以下のとおり整理できるのではないかというところで、図の部分ですけれども、主として想定される活動として合意形成については学級活動(1)や児童会・生徒会活動、そして意思決定については学級活動(2)や(3)。また、クラブ活動、学校行事については合意形成と意思決定の両方の要素を有しているというふうに整理をした上で、主たる教育上の視点として社会創造と自己実現がそれぞれに関わる。また、行為主体の単位として合意形成は2人以上、意思決定は個人として、概念整理については先ほどの記載を入れ込んでおります。こうしたことが人間関係形成を基盤として、相互に往還しながらということで、関係性についても記載をさせていただいているところでございます。続きまして検討項目の2、合意形成・意思決定のプロセスおよび児童会・生徒会活動に関わる内容の見直しでございます。こちらにつきましては、1番合意形成のプロセス、2番意思決定のプロセス、そして次のページに行かせていただきまして、3番の合意形成と意思決定の関係、こちらまで補足イメージの1から5をご準備しておりますので、そちらでご説明をさせていただきます。まず補足イメージ1、合意形成のプロセスについてでございます。この論点整理の具体化にあたり、合意形成のプロセス等について一定の共通理解を確保することが重要ではないか。このため、概念整理、そして実践の蓄積、こうしたことを踏まえながら合意形成の典型的なプロセスを、丸1課題の設定、丸2発散、丸3収束、丸4実践・振り返りとした上で、合意形成は日常の学校生活の様々な場面で存在をしていること、また実践・振り返りを不断の見直しにつなげることが重要であること、そして合意形成に関わる重要な概念や知見、こうしたことを必要に応じて活用できる参考資料として示してはどうかというご提案でございます。図の中でも、左側で個人間から社会にかけて様々な場面で合意形成が存在していることや、この右側でこの1から4のサイクルの中で不断に見直しをしていきながら、確かな民主主義の担い手の育成や共生社会の実現につながっていくこと、そうしたことをお示しをしているところでございます。12ページでございます。こちら、合意形成のプロセスに含まれる諸要素についてということで、先ほどの丸1から丸4だけではどうしても分かりにくい部分がある中で、含まれる諸要素ということで、丸1課題の設定として、課題の収集・発見、場の設計、意見形成の促進。丸2発散として、安全な場づくり、意見・背景の表明、多様な価値観の受容。丸3収束として、少数意見を含む吟味、安易な多数決の回避を含む納得解の創造、合意。そして丸4実践・振り返りということで、以下のとおり参考として示してはどうかということで、これらの要素、この言葉一つ一つについて必要な解説を米の1から8までつけておりますので、こちらも併せてご覧をいただければと思います。続いて、この合意形成に関わる諸要素と学びに向かう力、人間性等の要素との関係、各イメージということで、補足イメージ3でございます。こちら、前回ご議論をいただいた、丸1当事者性、丸2協働性、丸3自立性というものとの関わりを図で示したものでございまして、とりわけ多様性の尊重や包摂への主体性、右下の部分でございますが、この要素についてはすべての要素と関わっているということが見て取れるかなと思っております。続いて14ページ、意思決定のプロセスについてでございます。こちらも論点整理の具体化に向けて、意思決定に関する概念整理、実践の蓄積、こうしたものを踏まえながら、意思決定の典型的なプロセスを、丸1課題の設定、丸2発散、こちらを情報収集・相互参照として、丸3収束、こちらを自己理解・自己決定とし、丸4実践・振り返りということで、現在から未来の様々な射程で存在していること、そして不断の見直しにつなげることが重要であること、こうしたことを必要に応じて活用できる参考資料として示してはどうかということでお示しをさせていただいております。左側の図で、現在から将来に渡る様々な射程で存在をするということや、右側のサイクルの中で、この丸1、丸2、丸3、丸4の部分は同じなんですけども、発散、収束の中身(カッコ書き)で合意形成と書き分けているというような形になっております。このサイクルを通じて、自らの人生を舵取りする力の育成へつなげていくというようなイメージで図にしておるところでございます。続いて15ページでございます。特別活動における合意形成と意思決定との関係についてということで、合意形成のプロセス、そして意思決定のプロセスの相互の関係につきましては、合意形成に自己の価値観が持ち込まれ、その過程で意思決定に関わる自己理解や価値観が更新されるといった形で、往還関係にあると言えるのではないか。また、この往還がスムーズに回っていくことが、ひいては自らの人生を舵取りする力、そして民主的で持続可能な社会の創り手の育成の両立にも資していくということが考えられるのではないかということで、この両者の関係についてのご提案でございます。図の中でも、図的にこの往復の矢印でその関わり合いについてお示しをさせていただいているところでございます。次にまた10ページに戻っていただければと思います。4番と5番でございます。まず4番、研修の在り方についてでございます。次期指導要領の実施にあたり、現場が無理なく取り組むことができるように、教職員支援機構と連携をした研修の実施の在り方、また分かりやすい教師向けの参考資料や動画の示し方、こういったことについて検討すべきではないか。あと5番、児童会・生徒会活動に関わる内容の見直しでございますけれども、論点整理を踏まえまして2ポツでございます。現在、児童会・生徒会の役割として規定されている学校行事への協力、この協力が「今あるものに協力しているように見える」といった指摘もある中にあって、そもそも学校行事への参画は児童会・生徒会活動にとどまらないということも勘案してその内容を見直し、学校運営に関わって教師等が児童・生徒の声を聞くといった要素を追記してはどうかとさせていただいております。またその米のところで、教師が適切に指導性を発揮することが前提であるということも付記をさせていただいているところでございます。続いて16ページでございます。高次の資質・能力についてということで、こちら第3回で一度ご議論をいただいたんですけれども、こちらは一部技術的な修正を第3回の資料からさせていただいているものでございますけれども、3ポツで高次の資質・能力の記述の粒度につきましては、活動等ごとを基本とするということや、4ポツでこれらに伴い現行指導要領上、活動ごとに設定されている目標、こちらについては高次の資質・能力に統合する形で整理してはどうかということでご議論をいただきました。そして第3回では、中学校学級活動の現行の記載をベースとして、この18ページのとおりご議論をいただきましたけれども、この学級活動を含めまして具体的な記載の案につきまして、19ページから24ページのとおりご提案の資料をご準備しておりますので、こちらについても本日の資料をもとにご議論をいただければというふうに考えております。次に25ページでございますけれども、こちら特別活動における高次の資質・能力の活用イメージということで、これは高校の生徒会活動を念頭に置いたイメージでございます。こちら、2月2日の企画特別部会において、高次の資質・能力が実際の指導にあたってどのように役に立つのかということのイメージを、各教科等ワーキングで議論すべきじゃないかという議論がなされたことを踏まえての資料でございます。左上、どうしても前年踏襲の計画になりがちであるとか、どうしても硬直的な運用になりがち。右上、つい活動をこなすこと自体が目的化しがちであるとか。そういったことを踏まえまして、生徒のアンケートの中でも「生徒会選挙の形骸化」「避難訓練、これで本当に意味があるんだろうか」、そういった声も上がってきている中で、どうしようと教師が思った際に、高次の資質・能力を見てみると、生徒会活動の狙いが確認できる。また、チェック2つ目ございますけれども、生徒アンケート、生徒の声を踏まえると重点をこういうふうにしていこうということが考えられるな、その重点を踏まえて必要な時数等について考えていこう。でも一方でこの青の枠のところですけれども、時数内で合意形成を図っていくというのは難しいな、また特活の評価って難しいんだよな、ただでさえ忙しいのにどう評価すればいいのか。そんな中で、活動の目標や学習過程を考えていく上でも高次の資質・能力を参考にしながら、安易な多数決では力を身に付けることはなかなか難しい、かといって時間は限られているけれども、高次の資質・能力を見ることでポイントが見えてくるな、また評価の方向性も見えてくるな、自己評価や相互評価についてもこれを見ながら考えられるのではないか、そういったイメージをお示しをしております。後ろ2つ、具体イメージということでつけさせていただいておりますけれども、1つ目は実事例をもとにしながら、高次の資質・能力をこういうふうに活用できるのではないかというイメージとしてお作りしているものでございます。もう1つ目、避難訓練を見直そうということで、生徒会で避難訓練、行事の見直しなどを議論するという中にあって、右下の教師のところから出てくる吹き出しでございますけれども、行事の見直し自体が目的化しないためにも高次を確認することでポイントを共通認識することができる、また毎年度不断に見直しを継続することで行事の精選のみならず、充実にもつなげられたというような例とイメージとしてお示しをしております。次に具体イメージ2ということで、こちらも実際の事例をもとにしたイメージでございますけれども、生徒会活動と役員選挙の見直しを図ろうということで、右側の真ん中ほどにある記載でございますけれども、生徒のほうから「生徒会選挙で重複立候補を可能にしてはどうか」とか「電子投票してはどうか」とか、そういった議論が出てくる中で、実際に赤字の部分ですけれども、県選管に聞き取りをしてみたら「実社会ではなかなかここまでは難しいよ、実現困難だよ」となった中で、生徒が改めて「もう少しこのことについては議論したい」と言っているという中で、教師の声のオレンジの枠のところですけれども、生徒の声を受けて高次の資質・能力を確認してみると、「柔軟な教育課程の運用としてホームルーム活動を1コマ追加して話合いの機会を確保してみよう」と。下の枠でございますけれども、こうした高次の資質・能力が年度途中の判断の参考になった、また生徒同士で振り返りを行う際にも有用だったと、そういった使い方ができるのではないかということでのイメージのご提案でございます。以上が事務局資料の1でございまして、参考資料として多様な投票の方法であるとか、話合いについての様々な議論であるとかについて参考資料をお示しさせていただいておりますので、こちらについても併せてご覧をいただければと思います。続きまして資料の2でございますけれども、こども家庭審議会こども・若者参画及び意見反映専門委員会における意見交換についてということで、こちらのご報告でございます。1月29日に表題の専門委員会が開催をされまして、この中の議題の2、意見を表明しやすい環境づくりについてというところで、中央教育審議会での検討状況について説明をしてほしいという依頼がございまして、特別活動ワーキングの資料等に基づき説明をして、意見交換をしてまいりました。資料は別紙でございます。この中で、現役高校生の委員も委員の中に含まれておりますけれども、現役高校生の委員からは、子供の意見表明をするといったことについては、先生の理解であったり、また慣れた場所で慣れた人に対して行ったりといった環境づくりが重要であるといった意見がございましたので、併せてご報告をさせていただきます。事務局からの説明は以上になります。
【恒吉主査】  それでは次に、ご発表に入ります。本日は高知県立嶺北高校の川渕祐介先生と【生徒会長】さん、猪原健弘委員、今村久美委員、京免徹雄委員からご発表をいただく予定です。時間も限られておりますので、大変恐縮ながら事前にご相談させていただいたとおり、各々8分以内でご発表をお願いいたします。皆様からご発表をいただいた後、事務局資料や委員発表の内容を各委員それぞれで整理するための時間を確保した上で、本日の議題についてのご意見、コメントをお1人3分以内でいただきたく思います。その後、ご発表いただいた皆様からコメントをいただく流れを想定しておりますので、ご協力をお願いいたします。なお、限られた時間ですので、ご発言が十分できなかった場合は後日事務局にご意見を送付いただければ、議事録掲載などの対応をさせていただく予定としております。それでは川渕祐介先生と【生徒会長】さん、よろしくお願いいたします。
【川渕先生】  高知県立嶺北高等学校教諭の川渕と申します。本日は本校の生徒会選挙を中心に事例発表をいたします。このような機会をいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず学校について簡単にご紹介いたします。本校は高知県北部の本山町という中山間地にありまして、生徒数94名の小さな高校ですけれども、地元の生徒だけではなく県外出身の生徒も一定数在籍しているというところが特徴の1つかと思います。きっかけなんですけれども、本校の取組が始まった背景には、高校で民主主義の担い手、これをしっかりと育てることができているだろうかという問題意識、それから生徒会活動が形骸化していないかという問題意識がありました。そしてまた生徒から「校則を変えたい」というような声も上がっておりましたので、条件整備に着手したところでございます。生徒を主体として何かを変えていくためには、やはり選ばれた代表の存在が重要かと思います。生徒は選挙されることによって、生徒の代表としての正当性を獲得し、自治的な活動の確保を担っていくと。そして教師の役割は適切な助言を与え、生徒主体の自治的な活動を持続できるように校内手続き等の仕組みを整えて活動を支えていく、そういった伴走者のような存在なんだろうというふうに考えております。生徒会活動の担当教師となりまして、生徒とも対話をしていく中で、本校の選挙について立候補者が少ないという課題が見えてきました。これをもっと生徒が挑戦したいと思える仕組みにできないか、それから1人1票で決めるよりももっと民主的な方法で生徒の意思が尊重される仕組みを作れないか、この2つを両立できる選挙制度づくりに当時の生徒会役員の生徒たちが中心となって、教師が伴走する形で取り組んでいくことにしました。詳細は省きますけれども、私、公民科の教員でして、教科の視点を選挙改革に役立てることによって、教科と特活が相互に生かされるといったようなメリットも感じているところでございます。それでは、ここからはその選挙制度のもとで選ばれた生徒会長が発表いたします。よろしくお願いします。
【生徒会長】  よろしくお願いいたします。令和6年に始まった嶺北高校の選挙の特徴は、重複立候補で挑戦を後押しするということ、1人1票ではない投票方式であるということです。私自身は生徒の声を反映してより良い学校にしていけることに魅力を感じ、生徒会長に立候補しました。従来の制度では、一騎打ちで勝ったり負けたりしたくないということから立候補をしないということがあり、競争が起こりにくい状態でした。また、当選してからも役職が細かく分けられていて、かえって学校行事の役割分担が決めづらかったという声がありました。一部の役職が名前だけになっていたり、行事のリーダーシップを誰が取れば良いかなどの課題がありました。一方、現行の制度では「役員経験者の生徒から重複立候補ができるから挑戦しようと思えた」「会長にはなれなかったけれど生徒会執行部の活動ができてよかった」という声が挙げられました。競争を避けるのではなくて、立候補者が自分の主張をしっかりと伝えて生徒に判断してもらうということが嶺北高校では当たり前になってきていると感じます。私自身、この嶺北方式のもとで立候補し当選しましたが、会長にはなれなかった生徒も会長を目指した責任感のある生徒なので、役員として一緒に活動ができることが嬉しいし、とても心強いと感じています。ここからは嶺北方式について具体的に説明します。従来の執行部の役職は細かく分けられており、少ない椅子を争うことになるので立候補に消極的になりがちでした。そこで生徒会会則を変えて、会員の役職を執行委員に統合しました。形骸化が解消され、学校行事ごとに機動的な役割分担ができるようになったと思います。そして生徒会長選挙、副会長選挙で落選しても執行委員選挙で当選するチャンスがある重複立候補の仕組みを導入することで、生徒の挑戦を後押ししています。13番のスライドは参考なので説明しません。嶺北高校ではリーダーを選ぶ会長選挙、副会長選挙は、順位付けをして投票ができるボルダルールを採用しています。一方、執行委員選挙は6人なので、生徒会役員にふさわしいかどうかを判断する是認投票で行います。スライド15は省略します。ボルダルールでの電子投票画面です。全員に順位をつけて投票します。生徒は端末を使って電子投票をするので、ミスが起こりにくく集計の手間はかかりません。こちらのスライド17も省略します。是認投票の投票画面です。全ての候補者に対して個別に判定を行うため、1人1票よりも意思を反映しやすいです。説明してきた選挙を模式図として表すとこのようになります。このような改革によって制度を変えた令和6年度では、生徒会長選挙で3倍、7年度では4倍と立候補者が増えました。選挙全体では1、2年生73名のうち、重複立候補を除いた実数で14名が立候補しており、これは全体の2割弱にあたります。小さな学校でありながらたくさんの生徒が選挙に挑戦しようと思える状態を作ることができました。また、令和7年度からはプレゼンテーション方式の演説もできるようにしたので、各候補の主張がより具体的になり、聞く生徒にも伝わりやすくなったと思います。なお、これらの選挙制度の改革は生徒総会での執行部による提案を経て実現しています。選挙でどのような主張がされたのか1つ例を紹介します。副会長に立候補し当選を果たした生徒の公約です。「生徒会の企画で国際交流イベントをしたい」というもので、当選後に実現させることができました。副会長は「生徒会活動を挑戦しやすい場所にしたい」ということも主張していましたが、まさにその通り、生徒がやりたいことに挑戦し実現する場になっていると思います。私たちはこれからも生徒主体の学校に向けて色々と取り組んでいきたいと思っています。私は生徒会長として学校行事の時期の見直しを掲げて当選しましたが、今まさに学校行事の検討会議に生徒代表として参加し意見を述べています。また、校則の見直しについて生徒会役員で改訂案を作り、先生方や保護者の方々と話合いを行っています。生徒みんながより責任を持って生徒会活動に参画できるよう、委員会活動の充実に取り組んでいます。最後に「マジョリティ・ジャッジメント」という意思決定の方法についても試行中で、球技大会の種目決定で活用しています。私たちの取組には学校だからこそできることもあると思います。例えば実社会の選挙ではボルダルールや電子投票は採用されていません。様々な制約が伴う現実社会に先駆けて、高校が新しい仕組みに挑戦していくことが社会を変えることにも繋がるのではないかと思っています。「全員が生徒会」というのは、私たちが全校生徒に何か説明する時に必ず最後のスライドで使っているものです。これからは「高校の挑戦が社会を変える」という言葉をスライドに入れて、取組をさらに進化させていきたいと思います。私は嶺北高校で、先生方が私たちの生徒の思いを受け止めてアドバイスをしてくださり、希望が実現できるように背中を押してくださることをとてもありがたく思っています。全国の学校でそんな先生や学校が増えていってほしいと思います。以上で嶺北高校の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【恒吉主査】  ありがとうございます。なお、【生徒会長】さんは授業に戻られ、川渕先生は引き続きご参加いただくということになっております。【生徒会長】さん、改めて本当にどうもありがとうございました。それでは、猪原委員、よろしくお願いいたします。
【猪原委員】  画面見えてますでしょうか。はい、発表始めます。東京科学大学の猪原です。私からは「合意形成と意思決定の捉え方」というタイトルで、合意形成と意思決定のサイクル、プロセス、構成要素について発表します。発表内容は次の5点です。合意形成と意思決定及び個人と集団の捉え方、合意形成と意思決定を含む大きなサイクル、合意形成と意思決定のプロセス及び構成要素です。また、参考資料1から11は「教員が用いる支援策としての知識・技能の例」です。そしてこの発表に関連する論点整理の中のキーワードはこれらです。
まず、1の合意形成と意思決定の捉え方についてです。意思決定は「固定された案の中から選択する」ということに重点があります。集団の場合には「固定されたパイを分ける」ということに対応します。合意形成は集団のメンバーの意見や価値観を統合して「新しい案を創出する」ということに重点があります。「パイを大きくする」、「win-winを目指す」、ということです。参考資料1の「姉妹のオレンジ」の例が分かりやすいと思います。
2は個人と集団の捉え方です。意思決定は個人にも集団にも関わります。個人の意思決定の例は、例えば進路選択ですね。集団の意思決定の例は、生徒会長を決める選挙をルールに従って実施することです。一方、合意形成は集団のみに関わります。合意形成の例は、選挙の投票方式を考えることです。個人の意思決定はその個人の意見と価値観に従って行われます。集団の意思決定と合意形成には複数の個人の多様な意見と価値観が関わるので、まず互いの意見と価値観の共有が必要です。また共有しても全員が納得する案が1つに定まるとは限りませんので、意思決定のためには案に対する投票採決による選択が、合意形成のためには意見と価値観の統合と新たな案の創出がそれぞれ必要となります。
3は合意形成と意思決定が含まれる大きなサイクルで、1から4で構成されます。1で課題・問題・状況が認識されると、2の情報収集や意見と価値観の形成および集団の場合にはそれらの共有がなされます。合意形成はこの丸2に含まれます。丸2が進んで十分に情報収集や意見と価値観の形成ができた、あるいは集団の場合には議論が尽くされたという状態になったら丸3に進みます。丸3は個人の場合には意思決定ですし、集団の場合には採決による集団の意思決定、あるいは合意事項の採択です。丸3で意思決定や合意事項の採択が行われたら丸4の実行・実践に進みます。これには個人および集団による責任ある関与や貢献が期待されます。そして丸4の実行・実践を振り返ることで次のサイクルの1へと進みます。新しい案の創出を目指す合意形成は丸2の場面、固定された案の中からの選択である意思決定は丸3の場面に還元します。
4は合意形成と意思決定のプロセスです。丸2の合意形成のプロセスは4つの事柄を経由します。合意形成の場に参加するべき人など、合意形成の場の構成要素の確認から始まり、次に傾聴、承認、質問、少数意見の吟味など、構成要素の共有や理解に進みます。そして参加者全員の意見と価値観を統合し新しい案の創出を目指します。ここで重要なのが、全員の納得を目指し議論を尽くすということです。最後に合意案などを確認し丸3に向かいます。この丸2のプロセスでは、合意形成の場で意見表明ができない人や対象、これを「受動主体」と呼びますが、それも考慮するということも重要です。丸3の意思決定のプロセスは6つの事柄を経由します。投票者、採決のルール、案の確認、そして意見の形成、採決の実施と集計、結果の確認と決定というプロセスです。これらのプロセスは5つの構成要素に基づいて検討することができます。主体、採決のルール、案、主体の意見、及び許容範囲の5つが合意形成と意思決定を捉える際に共通する構成要素です。合意形成の場合にはこれらのほか、受動主体や主体間の人間関係などを考慮します。
児童・生徒が主体的に行う特別活動での合意形成は、いつも円滑に進むとは限りません。場合によっては行き詰まり、教員による支援が必要になります。その時に合意形成学や社会的選択理論、集団意思決定理論などにおける蓄積を、教員が用いる支援策として必要に応じて活用できるようにしておくと良いと思います。
残りの時間で支援策としての知識・技能の例について参考資料1から11を用いながらご紹介いたします。
参考資料1は「姉妹のオレンジ」という新しい案の生成の例です。
参考資料2は合意形成の原則をいくつか並べたものです。誰1人取り残さない、実行に関わる全ての人が参加して反対する人がいない決定を目指す、合意形成の場は設計、運営するものなのだという考え方が重要です。
参考資料3と、ちょっと飛びますが参考資料6は、合意形成の場の捉え方についてです。5つの構成要素とともに合意形成の場の設計や運営に関する役割がいくつか考えられますので、このような構成要素や役割を発達段階に応じて児童生徒に提示すると良いと思います。
参考資料4は、先ほどの嶺北高校の皆様の素晴らしい発表に関連します。「決め方によって当選者が変わる」というマルケビッチの例というのが社会的選択理論で知られているのですが、その中にボルダ・スコアリングが出てきます。また、認定投票の投票方式は最高裁判所裁判官の国民審査で用いられています。社会的選択理論の中で最も有名な定理は「アローの不可能性定理」と呼ばれるもので、「ベストな決め方は存在しない」ということを証明しています。また、合意形成できなかった場合に採用される案である「不合意時採用案」を合意形成の初期段階に参加者全員で設定することも重要なアイデアです。これも合意形成の1つです。
参考資料5は意見形成と意見表明についての資料です。投票の方法には単純なもの、複雑なものがあるので、発達段階に応じて使い分けるといいと思います。また、傾聴、承認、質問、話すこと、書くこと、意見、その理由、それらを持った経緯の共有の重要性などについて書いてあります。
資料7は誰が合意形成の場にいるべきかについての資料で、これも発達段階に応じた使い分けに応用できると思います。
残りの資料8から11はそれぞれタイトルの通りで、少数意見の把握や可視化、吟味、新しい案の創出の支援のための質問や問いの例、意見の更新・変容について、そして、合意形成の練習についてなどについてのアイデアの資料です。私からは以上です。
【恒吉主査】  続いて今村委員お願いいたします。
【今村委員】  認定NPO法人カタリバの今村です。よろしくお願いいたします。3ページを開いてください。私たちは2001年に始まった団体なんですけれども、様々な学校に協力させていただいてきまして、キャリア教育とか探究学習の支援とか不登校の支援とか様々な行いをしていた中で、学校の教員の方々とか生徒たちの間からやっぱり「校則をこれからどうしていけばいいのか」ということの必然性に満ちた言葉を聞くようになりまして、2019年から「ルールメイキング」という取組を始めてきました。当時「ブラック校則」という言葉がすごく社会的に話題になりまして、これは結構先生方を追い詰めるような言葉だったんですけれども、私たちとしては、靴下の色が変わるべきだとかツーブロックを認めるべきだというその結果としての校則の変更ではなくて、その見直しのプロセスがすごく子供たちにとっての学びの機会になるのではないか、学校の先生方にとっても学校の在り方の再定義を感じる機会になるのではないかということで、このルールメイキングの取組を行ってきたという背景があります。次のページをお願いします。今回の特活のワーキングにおいて合意形成と意思決定の概念整理が行われたかと思います。この中で、このルールメイキングの取組で捉えてきた、まさにその「多様な意見、価値観を保障していく」という価値が、この合意形成というところで示された言葉とすごくリンクしている、まさにそこだなというふうに感じまして、今回は合意形成という部分について絞ってお話をさせていただきます。次のスライドお願いします。この合意形成における多様な価値観を保障するというところなんですけれども、まずルールメイキングを行っている学校の先生方から一番最初に寄せられる声が、「子供たちはそもそも自分の意見を持つということ自体が難しい」、正解を覚えるということを散々してきているのがこれまでのシステムでしたので、やっぱり自分の意見を持つということ、そして自分の気持ちを人に伝えるということ、また相手の置かれている立場を想像するということ、相手の言ってることを否定しないということなど、対話の作法もですけれども、まず自分自身が何を思うのか、どう対話していくのかということに慣れてないというところから始めなきゃいけない。「何よりも初めに自分の気持ちに向き合って表現するということ自体にトレーニングが必要」というところが、先生方から一番寄せられている声です。次のスライドお願いします。今回、合意形成のサイクルがこの右上の図のように示されて、合意形成に向けた話し合いというところに図が表記されたんですけれども、現場においてよく先生方が行っている課題の設定なんですけれども、この特活において例えば「学級のスローガンを作ろう」とか「全員リレーで優勝するための練習方法をどうするか」という問いが立てられたりすると、例えば学級のスローガンを作ろうという問いが立てられた時に、そのスローガンの言葉、みんなでキャッチコピーを決めていくということに終始してしまったりして、例えば「みんな仲良く」とか「切磋琢磨」みたいなキャッチコピーがスローガンとして決められて、「よし、決まったね」というふうになったりします。またリレーの目標を「勝つこと」に置くということを話し合った時に、「勝つことを目標にしました、目標が決まりました」というふうになるんですけれども、やっぱり「学級をそもそもどんな場所にしたいか」とか、「全員リレーが楽しみな人もいるけど、実は楽しみじゃない人もいるかもしれない、みんなにとってこの運動会がどんな機会になるといいかな」みたいな問いかけが子供たちに考えるきっかけを与えて、等身大の問いになるので、子供たち自身が自分の意見を持つということのトレーニングになる、そんなふうに思っています。次のスライドお願いします。ここから少し事例をお話しさせていただきます。まず1つ目なんですけれども、ここに書いてある2つの事例はずっと一緒に取組を行ってきましたつくば市の事例です。この右側にある事例2の方をお話ししたいと思います。つくば市の吾妻小学校の事例です。この吾妻小学校では、徹底して「自分の思いを持つ、そして伝える」ということを子供たちがどのようにできるようになるかということを、丁寧に丁寧に先生方が行ってきました。この吾妻小学校において2学期の時点で学級活動、学級での話合いをなんと何度も繰り返し行って、そこで決まったことそのものにフォーカスをするのではなくて、話し合うということ自体をみんなで丁寧に行ってきました。初めはみんなの前で意見を言いづらい子供たちも当然いて、すぐに意見が出る子と出ない子が分かれてたわけなんですけれども、例えば「言葉じゃなくて丸三角のカードを使ったら自分の気持ちを言いやすくなるんじゃないか」とか、「賛成だけ集めて多数決するんじゃなくて、不安や心配事も聞き合う時間を作ろう」とか、そういったことも子供たちの方からも出るようになってきました。この写真右下の黒板なんですけれども、ピンクと青のマグネットみたいなものがあると思うんですけど、これも「ピンクがいいね」で「青が心配」というような、その色でまずは色を貼れるようにするみたいなことも、これも子供たちから出てきた案なんですけれども、子供たち同士でお互いの気持ちや意見を言い合ったり、深め合ったりする学級会にどんどん発展していった1つの事例です。次のスライドお願いします。中学校の事例をお話しさせていただきます。石川県加賀市の片山津中学校の事例です。この学校では、先ほどお話しした体育祭における全員リレーの事例なんですけれども、みんなが楽しみにしてきた体育祭がそもそも本当にみんなにとって楽しめる場になっているのかということを先生方がまず問いを立てました。そしてオンラインアンケートを使って体育祭に対するアンケートを取って、本音を集めたそうです。そうすると全員リレーがやっぱり最も人気で9割以上の人たちが前向きだったんですけれども、なんと1割ぐらいの子たちから「走るのが不安とか辛い」という声が見えてきたそうです。多くの生徒が前向きなので例年通り実施することもできたらしいんですけれども、でもやっぱり走るのが心配という人が1割いるのに、その人たちの意見をなかったことにして本当に全員が楽しめるリレーになっているのかという問いを立てて、それを生徒に戻したそうです。そして生徒会を中心に子供たちがその少数意見に目を向けて、みんなでまず考えてみようということを始めたそうで、生徒から「100メートル走るのか50メートル走るのかを生徒自身が選べるように選択制にしてはどうか」とか、「2人ずつ走る形から4人で走る形式に変えて、個人の遅さが目立たないようにした方がいいんじゃないか」とか、形を変えることで全員リレーを実施するということで納得解を作り上げていったそうです。次のスライドお願いします。今回の合意形成として示された要素の中に、多様な意見と価値観を認め合いの下のところに「対立や葛藤と向き合いながら納得解を創造していく」という言葉が明記されました。私はこれは非常に大切なことだと思っていまして、まだ社会的には民主主義は多数決で成り立っているというような印象があるんですけれども、やっぱり学校は学ぶ場ですので、多数決で決められるのが一番いいではなくて、そこでどんな意見が出ているのかを対話して、対立や葛藤と向き合う機会を作っていくことが、そして納得解を作っていくということの練習こそが、この合意形成における学びの本質だと思います。でもこれは非常に難しいことで、生徒たちだけでやりなさいというのはとても難しいことなので、先生方がここにどのように問いを立てて振り返るという伴走をするのかということが肝になってきます。実際の学校現場では、生徒主体というと先生方は後ろで見ていて、生徒が司会して生徒だけで何かを決めていくというような絵が見られるんですけれども、できれば生徒だけで決めていくという場が学びではなくて、先生もぜひ一緒に入っていただいて、その問いを立てる役割、振り返る役割、リフレーミングをし続ける役割として積極的に関わっていくということが、まさに子供たちの意欲や学びを本当のものにしていくのではないかと考えています。次のスライドお願いします。これも高校の足利清風高校というところの事例なんですけれども、もともと伝統的な校則やルールが数多く残っていた学校でした。コロナ禍をきっかけに、これまで学校で当たり前とされてきた生徒指導や校則の在り方を見直すことになりました。一部の先生方が熱量を持って取り組みを始めたのですが、生徒たちの間では「先生に言ってもどうせ聞いてもらえない」「学校は変わらない」という諦めのような声が根強くありました。校則に対して思うところがある生徒は多い一方で、自分の意見が届くという実感を持てていなかったんですね。そこで先生方は、まず「参加の基盤づくり」に注力されました。生徒と先生が安心して本音で対話できる関係性、そして場を作ることから始めたんです。全校アンケートで丁寧に意見を拾い上げ、まずは「自販機の使い方」という身近で小さなルールの見直しを実現させました。この「自分たちの声で学校が動いた」という小さな成功体験が、生徒たちにとって大きな動機付けになりました。またツーブロックの見直しといった、多くの関係者が関わる難しいテーマについては、教職員や保護者、さらには地元企業の方々へのヒアリング機会を設け、生徒たちが多角的な視点から考えを深められるよう伴走しました。さらに、この取り組みを形骸化させないために、職員会議でも定期的に状況を共有し、先生方が抱く不安についてもルールメイキング委員会で協議する場を作りました。先生と生徒が共に悩み、納得解を模索するプロセスを通じて、「どうせ言っても意味がない」と感じていた生徒たちが、先生方の積極的な問いかけや、学びを引き出す関わりによって、生徒側でも少しずつ認識の変化が起こるようになりました。最後のスライドお願いします。私たちは全国の中高生3000人を対象にして、学校の意見表明参加機会に関するオンライン調査を行いました。その際に、不登校及び不登校傾向のある生徒は、それ以外の生徒に比べて学校における意見表明のニーズが低い傾向があって、不登校の児童に対して学校は意見を伝えられる機会が必ずしも十分じゃないという可能性が見えてきています。一方で、不登校傾向(教室外登校)の「学校行事」への意見表明ニーズのみ、平均値を上回っており他とは異なる傾向を示していることがわかりました。不登校傾向の生徒は特に学校行事に対して自分の意見を伝えたいと思っているという傾向があるけれども、その機会がなかなか保障されていないというところもあるので、このような傾向を踏まえて、少数派や見えにくい意見に対して先生たちから積極的に働きかけて、どのように学びに変えていく機会を作っていくのかというところが重要だと思います。少し長くなりました。私からは以上です。
【恒吉主査】  では最後に、京免主査代理よろしくお願いいたします。
【京免主査代理】  筑波大学の京免でございます。私の方からは「日本型合意形成の成果と課題」ということで報告の方をさせていただきます。まずはそのことを踏まえての提案になりますけども、児童会・生徒会活動の内容の中に「学校運営に関する意見表明」を位置付けてはどうかというのが私からの提案になります。内容の(1)というのを、教師の支援を受けながら子供同士で合意形成して学校生活を向上させていくという活動、そして(2)について、子供同士の合意形成だけに委ねられない事項について、子供と教師が対話をしながら学校をより良くしている活動と考えてはどうなのかということです。現在ある指導要領の(2)は、学校が計画し実施する活動である学校行事に子供が協力するとして置かれていましたが、学校行事が子供が主体的に創造する活動とするならば、これは不要ではないかと考えました。ではなぜこのように考えたかということですけども、特別活動における合意形成の特徴について見てみたいと思います。まず最初に、日本とフランスで学級目標の形成プロセスを比較してみたいと思います。左側がフランスです。フランスの学校では学級の外側にある大きな社会の価値、すなわち共和国の市民がみんなで決めた共通点を学級活動を通して内面化するということを通して、子供を社会の一員にしてきました。トップダウン的にも見えるんですが、共通点の決定には生徒代表制度という間接民主主義の形で子供の教育参加が認められてきました。しかし、子供たち一人一人の考えに基づいて学級目標を決めるということはありません。それに対して右側です。日本の場合は、大人によって自治的な活動の範囲がある程度決められてきました。枠組みがあるからこそ、教師がなるべく介入せずに子供だけに任せて合意形成することができたわけです。子供一人一人がこんな学級にしたい、そんな思いを持ち寄って、ボトムアップで学級目標を決定しています。全員参加の直接民主主義によって集団の価値を作り出すということが、学級の文化というものを生み出すことにつながってきました。これは日本の学級会の強みであり、多様な考え方を持った人間が集まって、今ここで民主主義に参加する訓練になっていると思います。一方で、子供たちがこの枠組みを見直したり、乗り越えていく余地に乏しかった、この点が課題ではないかというふうに思います。こうした日本の学級会における合意形成の特徴は、アメリカにおける交渉を用いたコンセンサス・ビルディングと比較してみることでも見えてきます。日本の学級というのは、伝統的に目的集団と同時に疑似家族的な集団の性質を持ち合わせてきました。直接民主主義の原理に則って、学級のメンバー全員が話合いに参加していきます。そこでは利害の調整を超えて共感による価値の調整が行われます。相手の思いを知ることによって、個人の価値観や考え方が変化していき、共生に向かっていくことができるわけです。また、この話合いというのは教育の一環であるため、合意という結果よりも合意形成に至るプロセスにこそ意義があって、そこで非認知能力を獲得していくということが目的とされています。では、このような特別活動における話合いの特徴を見てみたいと思います。それは、他者に伝えていくという外的なダイアローグと、多元的な他者との対話である内的なダイアローグ、それが共存しているということです。話すというのは、一人一人が自分の意見を表明していくことです。そして聞くというのは、個人差を認識しながらも考え方の多様性を受け入れて、それを比較したり選択したりすることです。この2つの立場が交互に時間的に交代していって、思考作用によってつながっていくことで、話合いが聞き合いになります。そしてさらには認め合いになって生かし合いになっていくわけです。その鍵を握るのが「共感の発揮」ということになります。しかしながら、海外の研究者からはこうした学級活動に対して称賛と批判の声両方があります。これらを分けているのは、個人の違いを認めて価値を作り出す話合いなのか、あるいは特定の価値に向けて同化する話合いなのかということです。異なる色合いの個性の衣をまとった子供が話合いによって合意を作っていくことで、個々人の色が絵の具のように混じり合って新たな色を生み出すことができます。一方で、合意なき集団決定に陥った場合には、同調圧力によって画一化された色、教師や一部の子供の色の衣をまとうということが個人に強要されることになってしまうわけです。前者ではエンパシーが、後者ではシンパシーが強く作用していると考えます。シンパシー、図で言うと右側ですが、感情的な共感というものはある程度必要なものではありますが、自分と他者の一体感を強調しすぎると排他主義的な安心社会としての学級になっていきます。それに対してエンパシー、認知的な共感は、相手に対してその人の立場だったら自分はどうだろうと想像してみる知的な作業です。他者の靴を履いてみることによって、学級が開かれた信頼社会になっていきます。エンパシーを働かせて多様な意見を活かし合っていくことで、支持的な学級の風土・学校の風土や心理的な安全性も見出されていきます。そのために重要なのが、他者と異なる意見を表明していく子供の存在です。そのために、意見の一致だけではなく、不一致にも注目して話合いを進めていく必要があります。なお、学校において合意形成というのは「できたか、できなかった」という二者択一ではなくて、フェーズで捉えることが重要だと思います。満場一致というのはもちろん目指すわけですけども、実際にはなかなか困難です。しかし、自分の支持しない決定になっても、相手の根拠や思いは分かったから納得するということは十分可能ではないでしょうか。そのために意見を生かし合っていくわけです。さて、その上で課題とも言える自治的な活動における子供と教師の対話について考えてみたいと思います。これまでの自治的な活動では、子供が参画できる範囲が狭く、大きく制限されてきました。例えば、校則の内容は大人が決めるけども、子供に校則を守るための方法を話合いで決めさせるというのはその典型だと思います。枠を乗り越えていく可能性が開かれていなかったからこそ、子供の自治と教師の指導の二重性も大きな問題になってきました。この構造を編み直すには、教師と子供が対話をしながら、学校や学級の意味というものを共に考えていく必要があります。かつてトマス・ローレンは日本の高校について、「与えられたものにいかに適応するかを学ぶのであり、自分たちの手で社会を作り上げるといった夢が見られなかった」というふうに述べました。これは果たして昔のことなのでしょうか。少し前の特別活動指導資料においては、生徒会の自治的な活動の説明のところで、子供が決めてはいけないことが示されていました。私は現在の指導資料を作るときに、「いや、そうじゃない、子供ができること、可能性を示していこう」と提案しました。ただ考えてみれば、この「できる」「できない」の線引き、枠を一緒に考えていくことも、子供の学校への参画そのものではないかというように思うわけです。子供同士が対話して合意形成をしていくと同時に、大人同士も良い学校を作るために対話をして合意形成をしていく。そして、子供と大人も合意形成を目指して対話をしていく。そのために、各学校の実態に配慮しながらも、何らかの形で子供が意見表明する機会をつくることを提案したいと思います。以上になります。ご清聴ありがとうございました。
【恒吉主査】  ここまでの事務局説明とご発表内容を踏まえられて、ご出席の各委員からご意見をいただきたいと考えております。ご発言がある委員は挙手ボタンを押していただきたいと思います。すみませんが、お一人3分以内でご発言をよろしくお願いいたします。なお、発言の際に事務局資料やご発表資料に触れられる場合は、どの資料の何ページかを明示いただければ、事務局による画面投影も可能となりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。よろしくお願いします。八並委員が先ですかね。はい、よろしくお願いします。
【八並委員】  日本生徒指導学会会長の八並です。今回も緻密で目配りの効いたご提案で、お礼を申し上げます。今回の事務局案に対して異論はございません。私の方からやや今回のテーマから外れるかもしれませんが、生徒指導の見地から感想、お願い、課題の3点を申し上げたいと思います。
 第1は感想です。合意形成と意思決定の前提となる学級集団の捉え方が同質的で、ある程度社会化された集団を想定しているように感じています。
 事務局案の参考資料になりますが、スライド35で児童生徒の多様性を包摂する必要性を、小中で示されていますが、特に公立学校では子ども学力、特性、家庭環境、成育歴、国籍、あるいは社会性、コミュニケーション能力や人間関係形成能力、共感性、自己主張力など社会性の点で多様なわけです。そのため、異質性の高い学級集団を想定する必要があると思います。
 また、特別活動の取組において、『生徒指導提要』で強調していますが、教師の深い児童生徒理解・アセスメントが重要だと思います。この点は、これまで指摘されていないと思います。
 この他、こどもの貧困も見落としてならないと思います。厚生労働省の調べによれば、令和3年・2021年時点で、日本の17歳以下のこどもの貧困率は約12%、約9人に1人のこどもが貧困状態にあるともいわれています。特に、ひとり親世帯の貧困率は45%と高く、2人に1人は厳しい状態にあります。自らの要因ではない、家庭の苦境の中で生きているこどもがいるということを強く認識した方がよいと思います。
 他方、指導する教師の労働実態も、考慮を要するのではないでしょうか。たとえば、慢性的な教師の不足、多種多様な業務負担、生徒指導の低年齢化・深刻化・多様化による生徒指導や学級経営の困難性、多様な保護者への対応等にあえいでいると思います。令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査によれば、病気休職者は9,260人、その内精神疾患は7,087人です。教育職員の精神疾患による病気休職の要因に関して教育委員会への調査では、児童生徒に対する指導そのものに関することが多い結果となっています。
 その意味では、今回の提案や方向性が現場に響くかどうかは、前にも申し上げましたが、文科省や我々の現実認識に大きく影響されるのではと思います。今後も現実の課題との乖離を感じさせない議論や表現の工夫も必要ではないかと思います。
 第2は検討の願いです。これは過去に申し上げましたが、発達支持的生徒指導と特別活動の関連性の記述と、いじめ・不登校の未然防止の観点を入れていただけないかと思います。個人的には、発達支持的生徒指導の実践の要が特別活動だと思います。簡単に言うと、特別活動は、教師と子どもたちが共に感動し、挑戦し、創造する教育活動です。その過程で、自他の良さや可能性を発見し、個人と集団が、相互作用的に成長していくという、他ではない強い特徴を持っています。
 以前、白松委員もご発言されたと思いますが、発達支持的特別活動の視点が重要ではないかと思います。また、いじめや不登校も国家的な喫緊の課題ですので、未然防止の観点を学級活動等に入れていただければと思います。なお、児童の権利に関する記載も必要かと思います。
 第3点は課題です。今回とは関係はありませんが、教員養成の課題です。私も東京理科大で長年教職課程を指導しています。現状の教員養成課程における特別活動の指導法の最低履修単位数は、1単位です。その単位数を、1単位から2単位に引き上げて、学習内容の充実化を図る必要があるのではないでしょうか。教員養成段階における特別活動の実践力の育成は、今回の学習指導要領の実現と表裏一体だと思います。この点は、別途、ご検討ください。
【恒吉主査】  他に、ご発言される委員の方は挙手いただければと思います。野村委員、お願いいたします。
【野村委員】  本日も大変お忙しい中にこのような資料を整えてくださりありがとうございました。資料共有をしていただいた皆様、勉強になります。自分が実践や指導助言をしていく中でぼんやりと感じていたこと、考えていたことが整理された表現でご示唆いただけたので、学びを深めることができます。本当にありがとうございます。私は感じた点について3点申し上げます。1つ目は「暫定解」というものについてです。高次の資質・能力のところに「納得解」との並列表記で書かれておりますが、暫定解の暫定には「仮の」とか「一時的な」といった意味合いがあります。すみません、資料で言うと18ページの高次の資質・能力のところですね。「仮の」とか「一時的な」といった意味合いがあるので、学活の学級会の中で暫定解になったとすると、その場で決め切ることをしなくても、事後の実践活動の中でまた話し合っていってもいいんだよといったイメージになって、実際に活動を行う学校は混乱をします。そうならないように私は今回、「今回最適なものは何か」と考えるものと、「みんながある程度納得できるものはどのようなものか」と感じるものを、日常的な指導や助言の中で伝えています。例えば「今回最適なもの」には何があるのかというと、この議題についてはみんなで話し合う価値があるのかという議題の選定や決定、何を目的として話し合うのかを明らかにする提案理由の明確化、今回の準備期間や回数等はどういったものがあるのかという決まっていることの整理、その意見は何を表しているのかを明らかにするイメージの共有化、比べやすくするための内容の区分けを行う意見の分類整理などがそれに当たります。このような視点で特に事前に丁寧に確認を行うことで、「より合うものは何か」を見出していけるようになります。その上での「納得できるもの」になるのかなと思います。みんながある程度納得できるようにするためには、これをすればというよりも、1年生、また4月から学級会を積み重ねる、多数決的にならないまとめ方の経験を積み重ねる、全員で分担して取り組む、事後の活動を行う、その後の振り返りで一人一人また相互の変容を確認する、日常的な学級経営の充実、そういったものが納得できるものになるのかなと考えております。この納得に繋がるものを本時と事後に丁寧に行うことで、「このクラスのみんなでするんだから自分の言ってたものとは違うけど、まあいいかな」と思えるようになります。100%ではなくても今回はこれでもいいなって思えるようなものが「納得解」というものに繋がるのではないかと思います。暫定解の表記については、この6ページにあるような合意形成で示しているように、もし入れるのであっても、米印で注釈的に入れるといった形にしていただきたいなと思います。2つ目は事例の中でもあった内容についてです。調整授業時数の取り扱いについてです。年度当初から計画的に位置付けることができないものでも、年度途中からでもその対応ができるように、ぜひ児童会活動、生徒会活動、クラブ活動、学校行事でそのようなものを取り入れることができるように、また積極的に取り入れるようにということを記載をしていただけたらなと思います。3つ目はこれ言葉になりますが、「発散」という表現についてです。11ページのぐるぐる回るサイクルの合意形成のプロセスのところにあります。趣旨はわかるのですが、また解釈が多様になるようなことが私は懸念されます。例えば「相互理解」のようなものに言い換えるのはいかがかなというふうに思いました。
【恒吉主査】  青木委員よろしくお願いします。
【青木委員】  本日はどうもありがとうございます。概念の整理と資料をおまとめいただきまして、大変な労力であったと推察いたします。感謝申し上げます。また4つの発表ありがとうございました。1番目は子供たち、自分たちの力で自分の学校をより良くしようという実践を当事者から聞けたということは非常に貴重なことだったなというように思っております。私からはまず資料の中から4点ほどお話しさせていただきたいと思います。まず資料の前提として、これまで特別活動の研究をされてきた先生方にも、新たに特別活動を学ぶ先生方にも等しく分かりやすいものであってほしいなというように思っております。そういった上でまず1点目ですけれども、6ページ目の合意形成・意思決定についてです。合意形成と意思決定は特別活動における子供たちの学習活動の中でとても大切な活動だと思います。なのでここは分かりやすい説明が必要だと思います。こういった定義付けというか文章で示していただいて大変ありがたいと思うんですけれども、合意形成についてはこれまで、構成員全員で討議していて、少数意見も大切にしながら多数決によらずみんなで納得して意見をまとめるという行為を、学級会等で小学校でも中学校でも重ねてきているという実態から、ちょっと言葉を足したらどうかなという考えを申し述べます。あの冒頭の部分に、例えば「構成員全員で討議する中で」や「少数意見も大切にして皆で」などを記述すると分かりやすいかな。「構成員全員で討議する中で多様な意見価値観を認め合い、対立や葛藤と向き合いながら少数意見も大切にしてみんなで納得解を創造していく」というような、ちょっと長くなるんですけれども分かりやすいかなという風に考えました。それから意思決定につきましては、集団思考する中で一人一人が自分の意思を決定するという行為であるというように捉えておりますところから、これもちょっと足しまして、「構成員とともに思考する中で」というのが冒頭に入ると分かりやすくなる。「多様な情報や他者との関わりを踏まえ、自己の価値観に照らし、一人一人が責任を持って行動を選択していくこと」という風に言葉を足すと分かりやすくなるのではないかなというように考えました。それから2番目ですけれども、10ページの具体的論点の案というところです。学校運営に対する子供の主体的な参画を大切にしつつも教育活動であるという性質が前提にあるということから、子供任せになってしまったり教師の役割が曖昧になってしまったりしないように、教師の適切な指導が重要であるということは強調していくべきかなということ。あと「運営を担う部分を明確にする」、「教師の適切な指導が重要である」というようなこと、米印で小さく書いていただいたんですけれども、こういう部分は明示する必要があるかなというように感じました。それから、「学校行事への協力」という文言については、確かにこう何か「自分ごと」というようなことよりも「協力」というと第三者のように感じておりましたので、子供たちが主体的に参画しているという現状もありますから、例えば「学校行事への主体的な参画」というような文言ではどうなのかなというように考えました。3点目です。11ページ目ですけれども、「発散・収束」という言葉が新しく使われておりますことから、その言葉を使った意図が伝わるような説明があるといいなと思いました。例えば発散というのは、「他者の意見を大切にしながら自分の本音を伝え合う」というようなことかな、勝手なことを言うということではない、というようなことについて、解説があると分かりやすいと思いました。最後に16ページになります。合意形成と意思決定の往還っていう矢印のある図になります。15ページですね。合意形成と意思決定の関係についてですけれども、それらの往還関係というのが少し分かりにくいのではないかなというように思いました。例えば私はこういう風に解釈したんですけれども、「構成員全員で合意形成したことを達成するために、構成員一人一人が意思決定して責任を持って行動を選択し、合意形成したことの達成状況を振り返る」というようなことかなと思ったのですけれども、往還関係について分かりやすく示していただけると良いのではないかなというように考えました。イメージとしては「学級目標を合意形成して、一人一人が学級目標達成のために行動を意思決定し、学級としての達成度を振り返り、次の学級目標につなげていく」というようなイメージなのかなと思いながら、そうしたイメージを事例として示すなども有効かなというように思いました。
【恒吉主査】  秦委員、よろしくお願いします。
【秦委員】  よろしくお願いします。まず事務局資料の方ですけれども、合意形成と意思決定について整理していただけるというのは、現場にとって大変分かりやすいのではないかなというふうに思いました。その中でやはり、11ページとか14ページだと思いますが、「発散」と「収束」っていう言葉にやはりちょっと私は違和感を感じます。青木委員さんからもありましたが、合意形成のプロセスの中で何でもかんでも意見表明すればいいっていうのではなく、話合いの目的にあった意見の表明が必要だと思うので、発散っていう言葉がやはり、2つ目の漢字が「散らばる」っていうような漢字になるので、その文字がやっぱりこう、それから発散って言葉が無限に広がっていくっていうようなイメージのある言葉なので、ちょっとどうかなって違和感を感じます。それから11ページの方で、収束という言葉の中に「創造」っていう括弧書きで言葉があるんですが、収束と創造っていう言葉が非常にイメージとして反するような、収束っていうと一つになっていくっていう意味ですが、創造ってのはやはり広がっていく、クリエイトしていくってことなので、そこもなんとなく漢字のイメージに違和感がないかなというふうに思います。それから14ページの方ですけれども、同じように考えますと、発散のところに「情報収集」という、なんか集めてくるってこう発散してる、情報を収集するですからちょっと違うかもしれませんが、発散の中に情報収集という言葉があるということで、これは意思決定、個人の意思決定のプロセスなので、情報収集した後にじゃあ自分はどの情報を選択して自分の意見として決定していくのかっていうところら辺なので、情報選択収集のさらに先の「選択」っていう言葉じゃないのかなというふうに思います。このように丸1から丸4でプロセスを揃えるっていう趣旨も本当に悪くはないとは思うんですけれども、丸2と丸3は、意思決定とそれから合意形成のところで少しやっぱり子供たちの思考の中で違うイメージがあるなというふうにもありましたので、ここ丸2、丸3は揃えなくてもいいのかなというようにも思いました。発散の代わりが、先ほど他のご意見もあったかと思うんですが、私は「展開」とか「発想」とかいう言葉はどうかなというふうに思いました。それから収束の方も、これは収束でもいいのかなとも思ったんですけれども、「集約」とか、あと「収斂(しゅうれん)」、斂っていう漢字が多分常用漢字じゃないのかなと思うんですが、収斂なんて言葉もどうなのかなというようにも考えたりしました。次です。嶺北高校さんとか今村委員のご発表で、嶺北高校さんは多様な投票方法を工夫されたとか、それから今村委員のご発表の中で不登校の子がどう考えているかっていうご意見もあったんですけれども、やはりこれ一人一台端末の利用で非常にそこら辺カバーできる部分があるなっていうのが、この両発表の中で私が共通して感じたことです。やはりこの一人一台端末を特別活動でどう使っていくのかっていう例示なんかもたくさん入れていただけると学校はいいなと。私も本当に3月までいた学校で校則の改正なんかでやはり一人一人の意見をあっという間に集約できるっていうのは非常に一人一台端末有効だなって感じた部分もあったので、ぜひお願いしたいなと思います。それから先ほど貧困のお話も出ましたが、実はやはり本当に制服も満足に買えないようなお子さんっていうのもやっぱり公立学校ですといまして、前の私のいた学校なんかも卒業生にリユースするからって言ってもう下のお子さんがいないご家庭なんかにご寄付いただいたりして、学校の中でキープしてる制服とか体操服とかあるんですが、そういうのはやはり入学する前とか転入してくる子なんかでそういうのないですかって言っているようなご家庭もあって、やっぱりそれを着てくるっていうようなお子さんもいる中で、その校則のルールを非常にオープンにして何でもいいよっていうふうにしていくと、やっぱ公立学校としてはそういう子たちが辛い思いをするというところら辺もあるので、そこら辺の兼ね合いがやはり教師の出番かなというふうに私自身は校則改正のところでは今まで感じてきたところです。
【恒吉主査】  では、二木委員によろしくお願いいたします。
【二木委員】  岡山県の二木です。今回事例発表としまして高知県の例、これ高校だったと思います。それから様々な委員の皆さんからですね、プロセスを大切にしたいというところ、本当に同意するところだと思っております。それから資料1の中にも高校の例がいくつかあったと思っております。資料どうのっていうことではなくてですね、学校がどう取り組みやすいかということを、いくつかちょっと事例を挙げながら語らせてください。今回資料の中、それから嶺北高校さんも、教師は伴走者という話をしていただいたと思っております。特別活動、特にホームルーム活動等での話し合いでは、教師が先々に事例等を見せてしまったり教材を与えたりするだけではなくて、生徒の多様な意見を引き出せるような、そういった役割に回れたらいいかなと思っております。例えば一つは避難訓練の例が出ておりましたけれども、画一的な避難訓練ばかりを行うということではなくて、この場面でどういう避難の仕方があるのか、どうしたらいいのかを必ず意見を聞く場面であったり、じゃあその改善のためにどうしたらいいのかということがある程度意見が引き出せる、そういった役割に回れるというところが必要だと思っております。役員選挙の在り方ということも例として出ておりましたけれども、紙なのか電子投票なのか二者択一ではなくて、二項対立ではなくって、それぞれのいいところ悪いところを話し合いながら、現状はどうなのかということを話し合わせるという、気づかせるというところ、そういった気づきの仕掛けが必要になってくると思っております。また先ほど秦委員さんも言われていたように、意見収集というものは高校段階ではできる限りICTをうまく活用しながら全員の声を拾い上げられる、意見表明をしやすい環境を作ってあげるというのが大きな一つの提案だと思っております。最後ですけれども、いろんなところで校則についていろいろ話し合われる場面があると思います。生徒会活動の一つの大きな活躍の場だと思っておりますけれども、校則の改善であるとか校則の見直しという言葉ではなくてですね、こうなってくると改善や見直しが前提ということになってくるかと思っております。高校現場には専門高校と言われる、私が所属している商業や工業や農業というように社会人一歩手前の教育を行っている学校もあるかと思っています。社会のルールというものを校内である程度教えていくというもとで校則が出来上がっている部分もあるので、それがなぜその校則が出来上がったのかということをまず第一に話し合われて、それでその延長でもし見直しというものが社会の情勢が変わって必要であればというような、そういったプロセスがうまく踏めたらいいかなというふうに思っております。そのようなホームルーム活動の展開ができることを期待しております。それ以外に文言についてはこの後またあとメール等で意見表明したいと思っております。
【恒吉主査】  次、望月委員よろしくお願いいたします。
【望月委員】  望月でございます。事務局からのご説明、各委員等からのご発表、ありがとうございました。中教審のワーキンググループの中で高校生が参加発表したということはとても意義深く、今回の議論とも関連するところであり、改めて感謝を申し上げるとともに敬意を表したいと思っております。時間が十分ではないような現場の中で、ややもすると今回話題になっていた“課題”というものがイシューではなく、タスクであったり、プロブレムであったりとして設定され、またそれが実践に一足飛びで進めざるを得ないという状況もあると推察いたします。ただその一方で、実践に時間を割くということはもちろん大事だということは押さえつつも、そこにいたるまでのプロセスも、内容によってはそのプロセスこそが、今回ご発表にもありましたが、学びの場である学校においては極めて重要であるということを、今回、合意形成や意思決定といった観点から改めて可視化されたということ、文字だけではなく図示も含めて可視化されたということは非常に意義深いものと考えております。その上で2点だけ簡潔に意見を述べさせていただきたいと思います。まず1点目は今回各委員等から発表されました資料、特に猪原委員から発表いただきました資料に関しては、内容を吟味いただいた上で学習指導要領の解説等で、丁寧に示していただけないかと思っております。経験的に先生方にご理解いただくとともに、こうした理論も丁寧に示すことが必要ではないかと考えております。そして2点目は、秦委員等からも意見が出ていましたが、スライドの12番のところです。やはりこの「発散・収束」というワーディングに違和感が少しあるというか、言わんとしてるところは分かるのですけれども、少し再検討をいただいた方が良いのかなと思います。これまでの委員からも案が出ておりましたし、またメール等で意見が出ることもあるかと思います。この点についてちょっと再考いただきたいと思います。以上私からはこの2点と感想を述べさせていただきました。
【恒吉主査】  では髙島委員よろしくお願いします。
【髙島委員】  いや、これまさにと思った方結構多かったんじゃないかなと思います。特に嶺北高校の実践、本当面白かったですね。私自身、小中高校生徒会長やったりとか、あと高校時代は全国高校生徒会大会っていうのを開催して、全国の高校の生徒会役員と対話したりしてきたんですが、当時全国を見渡すと生徒会って教師の下請けみたいになってることってまだまだやっぱり多くあったなと思います。そういう意味では私は本当、児童会・生徒会に育てられて、生徒会の価値とか可能性を信じてきたわけなので、ここまで来たかと感動しました。
で、同時に多くの方が多分こう思ったんじゃないかなと思うんですよね。これは大人こそやらなきゃいけないんじゃないかということです。ひとたび社会に目を向けると分断が進んでるとか、安易な多数決で少数意見がスルーされるとか、声の大きい人の意見が通りやすいとか、今日ご覧になってる方の地域でもあるかなと思います。これを変える上で学校が極めて大事だと思います。私が学校が変われば地域が変わると確信しているのは、学校は地域の核だと考えているからです。今回嶺北高校の皆さんに教えていただいたのが、高校の挑戦が社会を変えると、これ本当その通りだなと思います。その意味ではこの変化を学校に近い大人の社会からどう広げていくかってのが大事なんじゃないかなと思います。例えば学校の職員会議とか学校運営協議会とか、そういう場所で合意形成を学び合うなどできることたくさんあるのかなと思います。京免先生の児童会・生徒会活動の内容に学校運営に対する意見表明を位置付けるという提案も素晴らしいなと思いました。芦屋市でも最近職員会議で中学生が発言するなど、学校運営に対して子供の意見表明の場を設けていこうとする機運が高まりつつあります。学校運営協議会も含めて、子供が意見表明する瞬間をできるだけ多くの大人が見る・知ることが大切なんじゃないかなと思います。それが自治会など大人の社会でも当事者意識を持って自分の意見を形成し、対話と合意ができるきっかけになるんじゃないかと思いますし、これを強く強く期待したいと思います。これが起これば世の中絶対良くなると思います。
最後にちょっと3つ質問をさせてください。1つ目が嶺北高校の川渕先生ですかね。嶺北の取組を通じて学校の周りの地域が変わってきた例などがあれば、ぜひ教えていただければと思います。次に、カタリバから今村さんか古野さんもいらっしゃっているので、どちらかに。不登校傾向の生徒の声をオンラインアンケートを通じて拾い上げる、これめちゃくちゃ大事だと思います。同時に「なぜアンケートを取るか」など前提条件をちゃんと共有する、揃えることが、とても大事かなと思います。不登校、不登校傾向の子供にどう、この部分、前提条件等を共有しているのか、何か示唆があれば教えていただけると幸いです。最後、猪原先生に対して。資料4のページ3を出していただけますか。集団の合意形成のサイクルが図示されていると思うんですが、合意形成の前に個人の意見形成が不十分であるケースって結構多いと思うんですね。その部分をどうすれば良いかぜひ教えていただければと思います。そのエンパシーに基づいて参加者の価値が変化するって、これ結構あるなと思っていまして、我々がやっている市民と市長の対話集会でもよく見られることです。個人の意見形成をどうブラッシュアップするかという視点がより良い合意形成にも欠かせないと思いますので、ぜひその部分をどう考えるか教えていただけると幸いです。
【恒吉主査】  白松委員よろしくお願いいたします。
【白松主査代理】  今日は本当にこの事務局の資料、私は非常に分かりやすくて感銘を受けて見させていただいておりました。私の方からはまず2点強く賛同する点と、1点はこの資料の中でもう1点改めて確認しておいた方がいいかなと思ってる点について述べさせていただきたいと思っています。まず第1は合意形成について多様性と包摂を基盤として創造性を育む発揮するという方向性が明確化されたという点については非常に強く共感しているところです。猪原先生のご報告を聞きながら、望月委員のご発言もあったんですけれども、解説で学校の先生方の特別活動の実践知において、誰かの満足度を下げずに他の人の満足度を上げるというようなパレート改善とか、学級で一番不安な思いをしている児童に着目するといったような社会的公正のマクシミン原理など、いわゆる多様性の包摂に関連する合意形成の知識と技能は結構実践学校現場でも蓄積されてきてるなと思っております。そのため本日の方向性はこれまでの実践と乖離するものではなくて、民主的実践をさらに伸長し深め広げるものというふうに今回示されていると私は感じたというのが1点目です。第2は「納得解」「暫定解」という言葉があったんですけど、納得解を目指すということはその通りなんですけれども、どんな決定をしても誰かにとっては不都合があるということは常なので、そのいわゆる納得したということと決めたことに対して意欲的に前向きに関われるということは同じでないことも多いなというのは実践を見て感じてきました。そういう意味ではその納得解を目指すということが同調圧力や意見表明を閉ざすことがあってはならないと思いますので、八並委員が指摘されたように教師の深い児童生徒理解に繋がるように納得解、暫定解と置くという方が私はちょっと安心して実践が見れるかなというふうに感じてこの資料を読ませていただいております。学校では京免先生が指摘されているように、共感性を拡大する合意形成の場合、話合いでは納得解が見られやすかったなというのは経験的な感覚として私も持っております。3点目になるのですが、その納得解ということと本当に納得してるかどうかということに関わってくるんですけど、これちょっと私の懸念は今回特別活動のこの合意形成が話合い活動にやや強くフォーカスされすぎてる気がしてるというのがちょっと懸念です。実際には学校生活の充実を目指した実践が一番子供たちにとっても楽しいところだったり充実感を感じるところだと思います。そういう意味でいくと、納得して決めたことでも実践の中ではいろんな問題が起こってくるので、常に局所的に様々な創発的により良くするための話合いが起こっているというそういうことを考えると、やはりまあ暫定解としながら納得解をそこイコールここで作っていき続けるというプロセスとして見ていった方が実践というところまで包含するといいかなというふうに思ってます。このいわゆる「より良くする」という向上目標が共有されるためには、みんなで実践することに対してワクワクや期待感をどれだけ共有できるかっていう点がとても大切じゃないかと思います。本日の嶺北高校の実践で、自分たちのしてきたことを胸張って語れる【生徒会長】さんの姿ってとてもなんか素晴らしかったと思うんですけど、学校生活の充実に関する期待感を生徒たちが感じれてるからああいう姿があるんかなというふうに思いました。そういう意味ではワクワク感や期待感を育むことが生徒会活動等で十分できてこなかったという反省があるとすれば、やっぱり校則の改善は学校運営の参画が十分そこにつながらなかったっていう点だったのかもしれないという反省も感じたという点です。その点学校内部ではそういうことが困難であるとすれば、今回カタリバの今村さんのご報告のように外部との連携や地域との連携で先生方も正解主義に陥ることなく、同じようにフラットに児童生徒と一緒に考えることで学校生活の充実や改善への意欲を共有していくっていう必要もあるかなというふうに感じさせていただいたということです。資料の13ページに当たるところなんですけど、そういった話合いだけに収束しないようにするために、ここ右の方に「課題への主体性」というふうになってるんですが、「実践への主体性」として、まずは話し合って実践して振り返るという全てを包含したところに一番最初は大きなワクワクや期待感を示してもいいのかなというふうにちょっと感じたっていうのが私が感じたことです。あと言葉の問題があったんですけど、発散と収束に関しては、発散をやっぱり「出し合う」「比べる」とかいうプロセスになるのかなと。で、収束に関しては「まとめる」「練り上げる」というようなプロセスになるのかなと思うので、そういう言葉の補足である程度学校現場の方が理解できるとすれば、そういう補足で対応するというのも一つの考え方かなというふうに思いました。
【恒吉主査】  川本先生お願いいたします。
【川本委員】  まず、本日ご発表いただいた先生方に、心より感謝申し上げます。まだ十分に整理しきれてないところも多い点もありますが、提示された資料を中心に、個人的な見解を述べさせていただきます。まず、多くの委員が言及されている「発散」という言葉についてです。特別活動の文脈では、これまで「拡散」という言葉が多く用いられてきたように感じています。単に意見を提示する段階ではなく、立場や価値の違いを可視化する段階であることを踏まえると、この用語の意味・内容を明確にしていく必要があるのではないかと考えます。これと関連して合意形成の質の明確化について申し上げます。資料12ページの「発散」の箇所にある「意見背景の表明及び多様な価値観の受容」については、方向性として非常に重要な整理がなされていると受け止めています。一方で、現場での運用を考えた場合、もう一段の具体化が必要ではないかとも感じています。現状の記述では「意見を述べる背景を説明する」といったレベルにとどまって理解される可能性があるためです。しかし、小中学校の学級会の実態を踏まえると、子供たちが必ずしも十分に立場形成を行えているとは限らず、「楽しそうだから」「やってみたいから」といった感覚的な理由にとどまり、選択肢同士の違いが十分に顕在化しないまま、話合いが進行する場面も多く見られます。そのため、「意見の背景の表明」は単なる理由説明にとどまるのものではなく、「提示された選択肢に内在している価値や願いを言語化する」段階まで含めて捉える必要があるのではないかと考えています。すなわち、「なぜ今この学級にとってそれが必要なのか」という問いを通して初めて、個人の立場の違いが明確になっていくと考えられます。そして、個人の立場の違いが顕在化して初めて、多様な価値観の受容、すなわち互いの意見の背景や価値観を理解し合う必要性が課題として立ち上がってくるのではないでしょうか。言い換えれば、多様な価値観の受容とは、あらかじめ前提として備わっている態度というよりも、立場の違いが可視化された結果として醸成されていく力であると、捉えることができるのではないか、と考えています。こうした構造を明確にすることで、合意形成の質についても、より具体的に整理できるのではないかと思います。
次に14ページの意思決定の整理についてですが、現在の記述は、ややキャリア形成に関わる自己の内的プロセスとして読める部分があるように感じています。しかし、学級活動(2)の実態を考えると、意思決定はまず「学級における共通課題の発見」から始まると考えます。個人の選択というよりも、学級全体に関わる課題を共有し、その課題がなぜ生じているかを分析することが出発点になるのではないでしょうか。その過程では、子供たちの立場の違いが明確になります。例えば授業中にうるさいという課題があった場合、ある子供は賑やかな方が良いと考え、別の子供は静かな方が集中できると考えるといったように、価値の違いが現れてきます。このような価値のずれを可視化し、そのずれを調整していく過程を経て、最終的に自分として何ができるかを決定していくことになると考えます。したがって、意思決定は自己完結的な選択ではなく、「関係の中での引き受け」として捉えられるものではないでしょうか。すなわち、共通課題の発見、要因分析、立場のずれの調整という過程を経て、個人が自らの行動を決定していくという構造になります。この構造が明確化されることで、学級活動(1)との相互補完関係についても、より理解しやすくなるのではないかと考えています。
次に、19ページの「納得解」と「暫定解」についてです。暫定解の整理は非常に重要な前進であると受け止めていますが、運用上の誤解を避けるためには、もう少し条件を明確にしておく必要があるのではないかと思います。暫定解が必要になるのは、立場の違いが顕在化し、容易に解消できない対立が存在し、それでもなお一定の決定を行う必要がある状況においてであると考えます。現状の多くの学級会では、容易に解消できない対立が存在するような議題を扱う場面自体が少ないため、暫定解という考え方に対して、違和感を持たれる方も多いのではないかと考えます。もちろん、すべての話合いにおいて暫定解を前提とする必要があるわけではありません。対立が十分に顕在化してない段階で暫定解を持ち出してしまうと、むしろ深い対話を回避する手段となりかねないからです。この点については、野村委員も言及していた通りであると理解しています。しかしながら、今後は、そうした容易に解消できない対立を含む議題に、学級会として向き合っていくことが、「民主的で持続可能な社会の担い手」を育む上でも非常に重要になってくるのではないかと考えます。その意味で、暫定解とは「対立が持続している場合の調整装置である」という条件を明確にしておくことが、現実的な合意形成を目指していく上で重要になるのではないでしょうか。
最後に、全体に関わる点として申し上げます。合意形成や意思決定が常に高度な水準で求められるものとして理解されてしまうと、現場においては運用が難しくなる可能性があります。合意形成とは本来、段階的に成熟していくものであり、議題の性質や子供たちの発達段階によって到達水準も異なります。この前提を明確にすることで、理念を大切にしながらも、実効性のある実践へとつなげていくことができるのではないかと考えています。
【恒吉主査】  それでは本日ご発表いただいた皆様から1、2分程度コメントをいただきたく思います。最初の発表の川渕先生からよろしくお願いします。
【川渕先生】  はい、嶺北高校川渕でございます。改めましてありがとうございました。先ほど髙島委員様からご質問いただきましたので、そのことについて述べたいと思います。本校は、スクールミッション、スクールポリシーの中で地域社会に貢献をする、それから地域課題解決の精神を養うということを掲げている学校でございます。ですので生徒会活動の中でもこういったスクールミッション、ポリシーを意識するという機会は設けているところでございます。その上で地域にどのような影響を与えたかということですけれども、本校は、どちらかと言いますと生徒会活動というよりも、総合的な探究の時間の中で地域課題の解決に取り組んでいます。もちろん生徒会活動の中でも地域へのボランティア活動の参加ですとか、そういった形で地域との関わりはありますが、今後はもう一歩地域との関わりを進めていきたいというふうに考えております。と言いますのは、先日近隣の中学生が本校の生徒会活動について質問に来てくれるという機会がありまして、その中学生はぜひ嶺北高校で地域貢献の活動を生徒会活動の中で行いたいと話してくれました。そういった意欲を持った中学生もこれから本校に入ってくれると期待しているところですので、生徒の思いを実現する場として生徒会活動を生かして、地域貢献にもこれから取り組んでいきたいと考えているところでございます。また、校則見直し等につきましても、やはり地域の理解というのが必要不可欠ですので、本校の生徒校則見直しの取組であるとか、そういったことについて地域にもしっかり発信をしていく、地域に理解していただくということも、これから取り組んでいきたいと考えております。ご質問へのお答えとして十分かわかりませんけれども、回答とさせていただきます。このような機会に参加させていただき、委員の皆様のお話からもすごく勉強をさせていただいて、これからの実践に生かしていきたいなと考えたところです。特に今村委員のお話にありました教師による足場かけということについては、それを担う教員としてしっかりやっていかないといけないなという思いを新たにしたところでございます。本日はありがとうございました。
【恒吉主査】  では猪原委員、よろしくお願いします。
【猪原委員】  はい、ありがとうございます。まず嶺北高校様の電子投票を伴った取組が素晴らしいなと思いました。いくつも困難があったと思いますし、それを乗り越えるために大変なご努力とお勉強をなさったんじゃないかと思います。生徒会役員の選挙の投票方式、集計方法を考えるという、そういう合意形成のプロセスを回して、その結果としてその新しく決めた投票方式、集計方法で選挙を実施して集団の意思決定に結びつけたということで、とても素晴らしいことと思います。機会をいただければ、またより詳しい話や今後の展開を教えていただければと思います。
私の資料の中の参考資料9についてちょっと補足します。この資料では新しい創造の支援のための質問とか問いの例ですね、問いかけの仕方の例を上げてあります。これ以外にちょっと書きこぼしてるんですが、反対意見とか否定の意見が出た時にですね、提案を促す問い、例えば「ではどうすればいいと思いますか」というような問いも有効だというふうに現場では聞いております。
また資料の3ページから4ページの大きなサイクルであるとか合意形成と意思決定のプロセスについては、事務局の提案のプロセスとは、形式上、見た目の違いはもちろんありますけども、内容は矛盾するものではないというふうに感じております。髙島委員からのご質問につきまして、今喋ったことがだいぶ関係すると思います。資料4の3ページの3の大きなサイクルの中の丸2の中の5についてのご質問だったと思います。つまり、個人の意見と価値観の形成というところに個人も含まれるわけですが、これをどういうふうにすれば良いかというご質問だったと思いますが、いろいろ要因とか工夫はあると思うのですが、まずは心理的安全性の確保というのが大きいかなと思います。まずは参加であるとか発言の機会が与えられないと意見形成というのはなかなか進まないだろうなということと、あと心理的安全性ということでは、どんな発言でも、また、どんな質問でもできるという環境ですかね。皆さん知識が十分、情報が十分とは限りませんので、こんな質問したら馬鹿にされるんじゃないかとかですね、そういった心理的な恐れを排除できるような環境、どんな質問でもできるような環境を作るというのが一つ大きいかなと思います。それにはICTを利用してですね、自分の意見を書き込むということも重要ですし、自分の質問を書き込んで誰かが答えてくれるというようなですね、そういった環境が作れると、だんだんと意見形成に資するのではないかと思います。あとはファシリテーションの技術で「発散」と「収束」というのがありますけども、そこの「発散」のフェーズでブレーンストーミングというよく使われる手法がありますが、その中で意見を述べていってもらううちに、だんだんと意見形成をしていくというようなことであるとか、ファシリテーターの人が意見について順番に問いを立てて質問していくであるとか、あるいは参加者同士であれば4名程度の分科会形式で意見を言い合うとかですね、ないしは、「発言」というのはやはり誰にとってもやはり心理的な抵抗が大きいので、発言を「紙に書いて提出する」、ないしは、「ICTを利用して入力する」という、そういう方法が有効なのではないかと考えております。お答えになっていれば幸いです。
【恒吉主査】  じゃあ今村委員、よろしくお願いします。
【今村委員】  はい、ご発表の先生方、大変たくさんの勉強をさせていただきましてありがとうございました。今日この時間だけでも議論されていることの全てがですね、実は結構高度なことを議論してらっしゃるなという言葉もたくさん聞こえていまして、これらが学校の先生方に落とし込まれていった時に、どのように先生方が実装にたるような学びとして、先生方の日常を変えていけるのかというところにすごく工夫が必要だなということを一連の議論を聞きながら感じていました。企業においても今1on1の研修とか、上司になった時のフィードバックの研修とか、そういう組織マネジメントをどうしていくのかというところにかなり手厚いお金をかけられて、みんなで獲得していってるようなところがあるんですけれども、一般的な教科指導ではなくて特活というのは本当に伴走型で生徒一人一人の意思決定と合意形成の学びに伴走するという先生方のファシリテーション能力が強く求められるので、その意味でもですね、10ページにも少し触れてありましたけれども、教員研修というところがどのようになされていくのかというところを、ぜひ市町村や都道府県に任せずに、動画で指導するのかというところもありましたけれども、もうちょっと対面での手厚い支援が文科省としても予算をかけて施策にしていくことができないと、今議論していることの全てが落とし込まれないということを多少不安に感じております。あと発散についてのところなんですけれども、子供たちがまず私としては素直に思っていること、気持ちを述べることで、話し合いの場に適した自分の意見を練りあげるためにも、まさに意見形成をする準備、レディネスが備えられると思ってます。意見を言えば多様な価値観や意見に触れた時に、それがただの聞き逃すではなくて、自分の意見との違いを意識することにもできるので、合意形成の場面ではなくて、その前段階として安心して意見や気持ちを発散させる場があるということはとても重要なことだと思っています。そのうえで、他の委員の方もご発言されていますが、発散を意味合いが伝わりやすい表現にすることや、発散のタイミングや位置付けを再整理することに賛同します。髙島さんからの意見に関して、質問に関してなんですけれども、アンケートというものは確かにおっしゃる通り、どんなアンケートでもその意味が伝わらずに学校で突然配られて、それって何だったっけっていう先生方のタスクになってしまって、生徒にとってもタスクになってしまっていて、教育的意義がほとんどなされずに求めたような質問が答えられない、集められないということが、本当に意見表明の機会になっているのかというところも確かにおっしゃる通りかと思います。特に不登校のお子さんにとっては、その意図を伝えるということに足で先生方が努力しなきゃいけなくなるので、とても大切なところなんですけど、どなたかのご意見からもありました通り、なんとか不登校の子供たちにもですね、一人一台端末を使いながら先生が声でその意義を伝えるような機会も持って、なんとか声を拾っていくということがなされるような工夫も同時に必要だということを感じました。長くなりました、以上です。
【恒吉主査】  では最後に、京免主査代理よろしくお願いいたします。
【京免主査代理】  はい、京免でございます。私の方からは先生方のご発表、あるいは事務局の提案から学ばさせていただいたことや気づいたことを4つほどお話したいと思います。まず1点目ですけども、全体を通して教師の役割というものが、非常に重要なキーワードとして上がっていることを感じました。その中でとりわけ教師が子供たちの主体的な活動のために指導性をどういうふうに発揮していくのか、それを使い分けていく必要があるかと思います。子供たちの中にどんどん入っていって練り上げていくような、そういった話合いもあっていいと思いますし、同時に一歩引いてみて子供に任せて、自分たちで決めたという実感を持たせる話合いも大事かなと思いました。同時に教師の役割はファシリテーターだけではなくて、アドボケーターとしての役割もあると思います。特別活動をしている最中に辛い思いをしている子がいるかもしれない、そういったことを想像しながら、例えば多数意見、マジョリティの規範の方で流されそうになっているんであれば、そこに対して疑問を呈していく、そういったことも教師の大事な役割かなと思った次第です。ただそのためには、先ほどから出てまいりますが、やはり研修、そして養成が必要だと思います。特別活動の指導法は1単位では足りないと思っていますので、何かしらの形でそういった研修機会を設けていく、あるいは先生同士の対話の場ももっとあるといいかなと感じました。2点目です。いろいろな発表をお聞きしていて、政治だったり法学だったり、そういった分野とのつながりというのをすごく感じました。嶺北高校の発表でも公民科という言葉がありましたけども、こうした社会科、公民科といかに連携していくかということも非常に大事なことだと思っています。民主主義の学習は特別活動だけでできるわけではありませんし、海外では当たり前のようにつなげてやっていますので、そうした教科とのつなぎというのをもう少し考えてもいいのかなと思いました。続いて3点目です。八並委員から発達支持的生徒指導との関連がありましたけど、すごく大事なことだと思います。いじめ、あるいは不登校の防止に、学校の風土、あるいは学級の風土が関係してるってことはですね、もうエビデンスではっきりと示されているわけです。だとすれば、そうした支持的な学校風土、学級風土を作るような特別活動、とりわけ話合い活動というものを展開していかなければいけないということは示してもいいのかなと感じました。最後に4点目になります。事務局の提案、あるいは先ほどの議論でもありましたけども、合意形成と意思決定の関係をどういうふうに考えるのかというのは、今一度丁寧に考えてもいいのかなと思いました。とりわけ学級活動、ホームルーム活動は年間35時間と非常に限られた時間ですので、これらをバラバラにやっていてはとても効果は得られないと思います。個人として行動目標を意思決定したことを考えながら学級やホームルームの一員として参画をして合意を作っていく、そして合意形成したことを実践していく中で自分自身の行動目標も達成していく、そういったうまいつながりというものを意識しながら先生方に実践を行ってもらうことを示すことができたらいいのかなと感じた次第です。以上になります。ありがとうございました。
【恒吉主査】  今日はあの特別活動のかなり中心的なテーマとか、あと活動についても、本当に多角的に考える機会になったと思います。本当にありがとうございました。特に発表の遠くからもいらしていただいたり、参加していただいた皆さん、ありがとうございました。私たちが今目の前で見ている子供たちというのは、20、30年後には日本社会やまた世界を担っていく人々になるわけですから、もちろんその今のその学校の現場、あるいはその学びの場に乖離しない内容であるというのももちろん大切だと思いますけれども、同時に何十年後に育っていく、その社会を担っていく、世界を担っていく、その子供たちが直面するその未来の社会、またその変えていかなくてはいけないものというものがやはり見えてくるということが非常に大切なんだと思います。ですから今日の議論というのはそういったものに繋がる内容だったと思います。本当にありがとうございました。それでは本日の議事は以上とさせていただきたいと思います。最後に次回以降の予定について事務局よりお願いいたします。
【堀川学校教育官】  事務局でございます。次回の開催日程の詳細については、後日改めてご連絡申し上げます。
【恒吉主査】  はい、それでは以上を持ちまして閉会といたします。少し遅れましたけれども、申し訳ございませんでした。どうもありがとうございました。
 
 
 
―― 了 ――
二木委員提出意見(PDF:266KB)

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第一係

電話番号:03-5253-4111(代表)

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