令和8年7月3日(金曜日)13時00分~15時30分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【黒上主査】 ただいまから第8回「生活・総合的な学習探究」の時間、ワーキンググループを開催いたします。進行資料をご覧ください。今日は、進行資料の流れに基づいて議事を進めて、ワーキンググループの取りまとめ案についてご審議いただきたいと思います。では早速、議題に入ります。まず資料1、「生活科のワーキンググループ取りまとめ案」について、事務局よりご説明をお願いいたします。
【高見主任教育企画調整官】 はい、主任教育企画調整官の高見です。お手元の資料1の1ページをご覧ください。
まず、生活科の取りまとめ案についてご議論いただきます。2ページをご覧ください。
全体の目次といたしまして、第1に現行の成果・課題を踏まえた改善の方向性、第2に目標及び見方・考え方の在り方、第3に資質・能力の構造化のポイント、第4に内容の改善の在り方、第5に学習・指導・評価の改善充実の在り方の5項目で構成をしております。
3ページをご覧ください。まずこの1の現行の成果・課題を踏まえた改善の方向性のうち、(1)現状の成果で現行学習指導要領の改善内容と成果を、左側に整理をしております。続いて右側(2)現状の課題のうち、アAI時代に求められる生活科の在り方に関する課題といたしまして、aとして生活科の学びの本質を踏まえた指導の重要性、bとして身体性を重視した直接体験の重要性、そしてcとして言葉や動作など多様な表現に基づく認識の重要性を掲げております。
4ページ目をご覧ください。ここでは現状の課題の続きとなりますが、イ学びの質、学びの意欲に関する課題といたしまして、児童一人一人の思いや願いを生かした学習活動が多くの学校で行われている一方で、深い学びに繋がるイメージが持ちにくいこと、安全面や時間的制約から地域に出かける活動が減少し、地域の人々、社会、自然を扱う学習が難しくなっていること、子供たちの好奇心や探究心を高めていく学習活動をより進めていくことが重要であることを掲げております。また、右側ウの幼児教育や中学年以降の接続と教科横断性の課題といたしまして、幼稚園等と小学校との連携、接続の取り組みが不十分な実態があり、幼児教育の学びが小学校での学びに十分生かされていない状況が見られること、中学年以降への接続を意識した指導等が不十分な学校が見られること、合科的・関連的な指導の取り組みに課題があること。また、右下エの生活科固有の課題としては、地域活動や地域と関わる活動において、その意義を踏まえつつ、適切な環境確保や継続性などの様々な配慮が必要となっていること等を示しております。
5ページ目をご覧ください。ここでは(3)として改善の方向性を示しております。まず左側アの、生活科の「本質的意義」の再定義として、AIに代替できない「実感を伴う知」を育み、「深い学び」を実装する人間的な学び方を体得する教科として、従前のワーキンググループでもご議論いただいた内容ですけれども、まず丸1の身体性、丸2の対象と自分との関わり、丸3の他者と自分との関わり、丸4の自己認識、この4つの区分に整理をしております。また、この右側になりますけれども、イの目標及び見方・考え方の在り方として、柱書き、資質・能力の柱ごとの目標、見方・考え方の大きな方向性を掲げております。さらに右下ウの内容の在り方としては、2つ目の黒ポツにある通り、生活科における資質・能力の構成や育成の在り方については、3つの柱を個別独立に育成しようとするよりも、具体的な活動や体験を通して相互に関わり合いながら、一体的に立ち上がるものであること等の考え方を示しております。
6ページをご覧ください。2.目標及び見方・考え方の在り方についてです。まず左側(1)の目標の在り方といたしまして、16ページの補足イメージ3も併せてご確認いただければと存じますけれども、柱書きについて、先ほどの改善の方向性で示した本質的な意義を踏まえ、現行の「具体的な活動や体験」を、「身体性を伴う体験と多様な表現活動」に改めること。「知識及び技能」については、自分自身、身近な人々、社会及び自然の特徴や良さに気づくことに加え、他者との関わりを通して、新たに対象の特徴や良さに気づいたり、個別の気づきが関連付けられたりすることで、より「深い学び」が得られるよう目指すこと。また、「思考力、判断力、表現力等」については、児童一人一人の気づきや実感を基に考えを巡らせることにより、目標の柱書きに示されている表現活動を、発達にふさわしい多様な方法によって行うことを明確に示すこと。「学びに向かう力、人間性等」については、育みたい学びや生活に向かう態度として、自ら進んで関わろうとすることや、他者との関わりの中で活動すること、場面や状況の違いに応じて関わり方を調整することなどを明確化するとともに、当該教科等の学習で育みたい情意・感性として、意欲や自信をもって学びや生活を豊かにしようとすることを掲げております。続いて7ページをご覧ください。 (2)見方・考え方の在り方として、特に3つ目の黒丸にある通り、教科で扱う事象や対象を「身近な人々、社会及び自然」とすることで、児童は身体で身近な生活を捉え実感すること。丸2の教科固有の物事を捉える視点を、「自分との関わりと捉える」とすることで、児童は生活における身近な人々、社会及び自然などの対象と自分がどのように関わっているのかという視点で対象を捉えること。丸3の教科固有の考え方や判断の仕方を、「より良い生活に向けて思いや願いを実現しようとすること」とすることで、体験と表現を往還させながら、自分自身や自分の生活について考えるとともに、他者の思いや願いを尊重し、自立し、生活を豊かにしていくことを掲げております。
続いて8ページをご覧ください。こちらは資質・能力の構造化のポイントとなります。まず(1)内容の表形式化といたしまして、特に5つ目の黒ポツにございますように、生活科の内容の示し方については、現行と同様に3つの資質・能力の柱を一体として、1文で記載することを掲げております。また右側(2)、高次の資質・能力として、3つの階層、すなわち、児童の生活圏としての環境に関する内容、低学年の時期に体験させておきたい活動に関する内容、自分自身の生活や成長に関する内容に区分した上で、16ページの補足イメージ3にもある通り、高次の資質・能力を個別の資質・能力との集合体として、3つの階層ごとに1文で整理して、記載して整理することを掲げております。
9ページをご覧ください。4の内容の改善の在り方の(1)内容の充実についてのうち、アの幼児教育と小学校教育との接続では、まず丸1にございます架け橋式のカリキュラムとスタートカリキュラムの関係性の見直しとして、架け橋式のカリキュラムは幼児教育施設における5歳児のカリキュラムと、小学校における1年生のカリキュラムの総称として位置付けるなど、概念を整理すること。丸2のスタートカリキュラムの理解・運用の促進として、スタートカリキュラムの対象時期は学校や児童の実態に応じて柔軟に設定可能であること、具体的事例や視点を示すことで実践のイメージを共有すること、動画等による発信による研修での活用を進めること。丸3の学校全体での体制づくり、外部連携の充実として、校務分掌での位置付けやコーディネーターの活用などにより体制を整えることや、園と小学校が相互に学び合う機会を充実すること、対話のための資料を活用しながら幼児教育と小学校の共通理解を図ること等を掲げております。また右側イの教科横断の在り方として、生活科を結節点として、各教科との関連をスタートカリキュラムや年間指導計画の中に明確に付ける接続の「見える化」、各教科等の資質・能力とのつながりを意識した指導の充実などを示しております。
10ページをご覧ください。先ほどの続きになりますが、ウの中学年以降との接続として、生活科の特殊要素を踏まえた身体性を伴う体験の充実、中学年以降への教育へ円滑につながる表現活動の充実、社会科、理科、総合的な学習の時間への接続を意識した指導の充実を掲げております。また(2)右側でございますが、生活科の特質を踏まえた教育課程編成上の工夫として、2つ目の黒ポツにございます通り、各教科等で身につけた資質・能力を生活科における具体的な活動や体験の中で活用し、つながりのあるものとして単元計画を作成したり、各教科等の学習の動機付けや納得・実感につなげたりすることが重要であること。3つ目の黒ポツにある通り、調整授業時数制度の活用を見据え、複数の内容を組み合わせた単元構想とすること、ストーリー性を重視すること、2年間を見通した学習活動にすること等が考えられることを掲げております。
11ページをご覧ください。5の学習・指導・評価の改善充実の在り方の(1)生活科固有の課題への対応として、まずアの身体性を伴う体験活動の充実として、考え方や留意点を掲げるとともに、イの動物飼育の在り方としては、従前のワーキンググループでもお示しした通り、動物飼育の意義や課題等を、1つ目と2つ目の黒ポツで記載するとともに、3つ目の黒ポツに記載した通り、地域や学校の実態に応じた柔軟な運用を行えるよう、学校で動物飼育を行うことを基本としつつ、動物への親しみをもったり、命を大切にしたりしようとする心情が育まれることが見込まれるなど、動物飼育の意義を達成することができる場合には、学校での飼育を行うことと同等の扱いであることを明確化することを掲げ、具体的な場合として、他の所有者から借用して飼育することや、休日等を含む管理体制の確保など、適切な飼育環境の確保が困難な場合において、近隣の動物関連施設や民間の団体等が保有する動物に、児童が継続的に触れ合う機会を設けることを示しております。また、平成12年に策定された教師用手引につきましては、時代の進展に応じた内容に改める観点から、その見直しを行うことも掲げております。
12ページをご覧ください。ウの外部人材・地域との連携として、継続的な連携体制を構築すること、準備時間を確保・調整する仕組みを整えること、設置者、学校としての連携体制を構築することを示しております。また右側、(2)ICT活用として、生活科におけるICT活用は、身体性を伴う体験をより一層豊かにするものであり、直接体験を代替するものではないことを前提とした上で、生活科の本質的意義をより深化させ、体験・認識・表現の質を高めるための、補助・促進の手段として位置付けることを示しております。
13ページをご覧ください。(3)学習評価の在り方として、生活科における観点別評価の考え方や、「学びに向かう力、人間性等」の考え方について、以前のワーキンググループでご議論いただいた内容をここに記載しております。また14ページ以降になりますけれども、補足イメージといたしまして、生活科の本質的意義、資質・能力の構成イメージ、目標、見方・考え方の全体像、幼児教育と小学校の接続イメージなど、これまでワーキンググループでお示ししたものを、いくつか見直し等も行いながら添付しております。さらに25ページと26ページには、高次の資質・能力を生かした単元計画づくりの参考イメージ、今回新しく提示した資料でございます。さらに27ページ、28ページには、動物飼育における動物園や獣医師会と連携した事例も、今回新たに作成した資料として添付しておりますので、併せてご参照いただければと存じます。事務局からの説明は以上となります。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございました。それでは意見交換に移りたいと思いますが、生活科に関しましては14時まででございます。たくさんの方に、お入りいただいてますので、1人2分以内ということで、どうぞよろしくお願いいたします。ご意見だけでなく、これまでの議論を振り返って、やはりこういった部分は重要だというようなご感想なども、ぜひたくさんいただければと思います。それでは挙手のある方から順番にいきたいと思いますが、廣瀬委員、よろしくお願いします。
【廣瀬委員】 先週、生活科の泥遊びの場面を参観して、子供たちが全身を使って活動に没頭している姿が大変印象的でした。この時期に何かに夢中になるという体験は、将来の探究へと向かうエネルギーの基盤になるのではないかと感じました。また、そのような没頭する体験というのは、1人だけで成立するものではなくて、仲間の存在があってこそ豊かになります。他者の存在というのを明示していることにも意味があるのだと感じました。低学年の子供たちは体験・遊び・表現を、一体的に結び付けながら学んでいます。活動の最中こそ深く考えて、体験の中に表現が含まれることで、学びの質が高まっているのを感じました。
また、理科教育の立場から見ても、この低学年の生活科の学びは極めて重要で、「なぜだろう」とか「もっと知りたい」という知的好奇心を育み、自然との触れ合いや五感を通した体験の中で気づきや観察力を養うことは、その後の理科の学習の土台となっていると思いました。こうした生活科の学びは、子供たちの探究心や科学的な見方・考え方を育てる上で、欠かすことができないものだというふうに感じました。
【黒上主査】 それでは岸野委員、お願いいたします。
【岸野委員】 はい、失礼いたします。本当に多様な意見を組み込んでおまとめいただき、事務局の皆様、ありがとうございました。私は全体を通して見たときに、改めて今回何が変わるのかというのを、私なりに感じたことをお話しできればと思います。
第一に今回、スライド5、あるいは補足イメージ1のように、本質的意義が示されたことは大きな意味があったと思います。これを踏まえて生活科の学びの質を捉え直し、指導の改善につないだり、教育課程の見直しにつないだりするということが求められると思います。幼児教育からの学びの繋がりも、大変捉えやすくなる観点だと思いますので、今後、幼稚園や保育所、認定こども園、小学校での対話につながっていくことも期待をしております。
第二に、資質・能力の構造化を図ったところです。スライド8、あるいは補足イメージ2になりますが、幼児教育と同様に3つの資質・能力が活動や体験の中で相互に関わりながら、一体的に育成されていくということが改めて確認されました。幼稚園や保育所、認定こども園と、小学校との接続の文脈では、しばしば幼児教育との違い、遊びとの違いということが議論になりますが、表面的な活動の類似や差異だけでなく、資質・能力が確かにより育まれるようになっているかということを、共通の視点として考えていくことが一層重要になると思いました。また、今回補足イメージ3のように、高次の資質・能力を3つの階層として整理したことも大きいと思います。これによって、各内容のねらいや評価はあるにしても、内容を超えて子供の思いや願いが広がり、活動が広がっていくという場合も、高次の資質・能力として捉えることができれば、関連付けた学習を展開し、より充実した学習が期待できると思いました。
最後に、第三にスタートカリキュラムの位置付けです。スライド9で、1年生のカリキュラムとして、補足イメージ5にもあるように、スタートカリキュラムが生活科を中心に1年間を見通したカリキュラムと再定義されたことに大きな意味があると思います。それは補足イメージ6の1行目にありますが、子供1人1人が安心して自己を発揮しながら学校生活を作り出し、自覚的な学びへと向かっていくというのを、より充実させていくことだと解釈しています。つまり従来的なAやBのパターンだと、スタートカリキュラムが終わったからもうおしまいというふうになりがちですが、そうではないということだと思います。補足イメージ7にもありますが、1年間を通して子供が主体的に自己を発揮しながら、より自覚的な学びに向かうことができるように、その時々の子供の学び、育ちに合わせて、適宜生活科を中心に合科的、関連的な指導や弾力的な時間割を運用していくことなのだと思いますので、その意味で、狭い意味でのスタートカリキュラムが4月で終わっても、その後も子供が自己を発揮して自覚的な学びに向かうということができるように考え続けていくことが、大変重要になってくるというふうに改めて理解しました。地域の園と共同で5歳児からの2年間を架け橋期として、より充実したカリキュラムを学校区全体で体制を整えて考えていくということを期待しております。
【黒上主査】 次、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】 酒井です。事務局提案に賛成です。これまでの議論が大変よく整理されていると感じました。1点だけ、スタートカリキュラムについて発言させてください。
幼児教育と小学校教育のより良い連携に向けた取り組みだと理解しています。一方で学校間連携という点では、小中、中高、高大にも課題があります。その点でスタートカリキュラムの実践を通して、何が効果的だったのかを検証し、その知見を整理していくことは、他校種にも大いに参考になると思いました。カリキュラムだけではなく、どのような人と人との交流や対話が有効だったのかという視点も含めて整理されることで、学校種を超えた接続の改善にも生かせるのではないでしょうか。
【黒上主査】 次、伊藤委員、よろしくお願いします。
【伊藤委員】 はい、お願いします。まず協議内容の方をこのように分かりやすく簡潔に整理いただきまして、ありがとうございました。どの検討項目も非常に生活科の根幹に関わる重要な内容ばかりでしたけれども、資料の14ページ以降に、補足イメージとして非常に構造化とか表形式化を意識して示されていることは、次期学習指導要領の「読むものから使うものへ」という、そういったコンセプトにも合致しているものと捉えています。3点お伝えしたいと思います。
1つ目は、先ほど出ていました生活科の本質的意義の再定義の部分です。14ページの補足イメージ丸1にありますように、生活科の本質的意義が4つの観点から再定義されたことは、生活科の教育的価値や学校教育全体における位置付けというものが一層明確になっていると感じますし、活動中心になりがちだった実践を人間らしさや身体性に根ざした深い学びへと転換していく、大きな契機になるのではないかと受け止めております。
2つ目としては、現場での生活科の授業づくりの質の向上に直結する活用しやすい表が、取りまとめ案の中に様々に示されたことは、現場の授業改善上、非常に意義深いことだなと捉えています。例えば16ページの補足イメージの丸3ですけれども、目標と、見方・考え方、資質・能力、全体構造が表形式で一望できて、これまで文章を行き来しないと把握しにくかった構造が、短時間で俯瞰しやすくなっています。その結果、例えば見方・考え方を、目標や資質・能力、内容項目とこの紙面上で結び付けて捉えることによって、授業をデザインする上で、単なる活動の羅列ではなく、どのような見方・考え方を働かせる活動なのかなという点で設計しやすくなると思います。授業後の振り返りや評価する上でも、見方・考え方が働いたかということを意識しやすくなると思います。また、26ページの参考イメージについても、今回初出しということですけれども、単元を構想する際に、活動から発想するのではなく、このゴールとなっている高次の資質・能力を起点に構想していく、そういう発想へと転換を図る後押しになっていると受け止めます。
最後に、3つ目として、スタートカリキュラムの充実の部分で、19ページの補足イメージ丸6についてです。ここに様々なタイプのスタカリが示されていますが、いずれのタイプにおいても、薄いピンクの帯が1年間繋がっているところが重要ではないかと考えています。上部の文章にもあるように、スタカリの期間を年間指導計画の中に位置付け直していくことは、カリキュラムマネジメントの観点からも大きな意義がありますし、生活科を軸とした合科的、関連的な学習が継続的に実施されることで、中学年への接続にも繋がる、子供の学びの質の向上や探究の芽の育ちが一層期待できるのではないかと考えます。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは次、堀田委員、よろしくお願いします。
【堀田委員】 生活科を担当する先生にとって、幼児教育、そして小学校3年生以降の総合をはじめとした各教科との繋がりがよく分かる取りまとめになっています。学びの連続性をICTに注目して少し確認させていただきます。
12ページ、(2)ICTの活用についてですが、体験の質を高めるところで「諸感覚を働かせながら撮影、記録を何度も体験し・・・」と書かれているように、何度も体験するという繰り返しがICTの中には必要だということです。ここに二重のアンダーラインでも引いていただいたら嬉しいです。
22ページ、このスライドが取りまとめ(案)にあるのは、非常に大きな意味があります。また、上部の、「生活科におけるICT活用については、・・・学習の質の高まりを促進する学習の基盤として位置付ける」という文章についても非常に意味が深く、下図と合わせて幼児教育、生活科、そして総合とのICT活用の関わりが示されています。上部の文章にもぜひ二重のアンダーラインがあってもいいと思います。
最後に、11ページの動物飼育の在り方ですが、27・28ページに連携のイメージが資料として示されていますが、動物飼育の連携の中で、子ども達が多くの疑問を持つ場、それを解決する場の設定のような表現がさらに示されると良いと思います。
【黒上主査】 次は細田委員、よろしくお願いします。
【細田委員】 はい、よろしくお願いいたします。私は、生活科でまとめていただいたことが、エビデンスに基づいた設計になっているというところを改めてコメントさせていただければと思っております。
一部これまで申し上げたことと重複しますけれども、5ページなどに身体性を伴う学びや、対象と自分との関わり、他者と自分との関わりといった柱をもって、直接体験を通じた気づきということが重要というふうに掲げていらっしゃるところに関しては、特に低学年期の好奇心に導かれた探究というのが、単なる活動としてではなく、記憶や学習を支える神経基盤に働きかけるということがすでに分かっておりますし、好奇心が高い状態だとドパミン系や海馬の連携が強まることで記憶が促進されることも示されております。また、その遊びや探索といった内発的な動機に基づけられた活動というのが、学びを深めるということ、これもこれまで十分示されてきておりまして、これらの研究成果というのが、まさに生活科が体験と気づきを中心に捉えることの科学的な裏付けになるのではないかなと考えております。
特にですが、最近2025年にNatureに発表された研究では、例えばインドの子供たちなんですけれども、市場で働きながら算数みたいなものを身につけた子供たちは、具体的な場面だとかなり高度な計算を難なくこなすことができます。一方でその子たちは同じ難易度だと抽象的に学校の形式のテストになると、解けなくなると。一方で、学校で知識として学んだだけの子たちは、逆にその文脈を持つ実場面ではそのハイレベルな知識を応用できなかったみたいなことが示されておりますので、つまり「やってみる学び」みたいなものというのが、その力を育てる一方で、それを意図的に橋渡しするということが非常に重要だと思っております。生活科というのはまさにその境界に立っている重要な役割を果たすのではないかなと思っている次第です。そういった意味で、10ページ以降に書いてありますけども、中学年への接続というところが、生活科で資質・能力を発展させていく要になってくるのかなと思って見ておりました。以上となります。
【黒上主査】 では次、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 はい、よろしくお願いします。まずは、今までの議論の大事なポイントを分かりやすくまとめていただきましてありがとうございます。
この学習指導要領が小学校で全面実施されるのが2030年からということで、その頃には、ますますAIが紡ぎ出す言葉というのが世の中で多くなっている中、この生活科のまとめにあります、身体性を伴う体験の充実というインプットと、そして多様な表現というアウトプット、これを往還していくことが非常に大事だというメッセージが、しっかりと盛り込まれたと思っています。
中でも、そのインプットとアウトプットで終わらずに、今回5ページのところの本質の意義のところにもしっかり位置付けていただきましたが、「自己認識」というところであるとか、あと見方・考え方の中でも、「より良い生活に向けて思いや願いを実現していく」という、作品を作ったり活動をしたことで学びが終わるのではなく、しっかりとメタ認知や学びの意義や価値というところまで迫ることが大事だというメッセージが、非常に分かりやすくまとまったと思っています。
特に、26ページの資料のところでは、「学びに向かう力・人間性」といったものが具体的にはどういうことなのか、多くの先生方には分かりづらかった部分が、ピンクの矢印であったり、しっかりと「高次の資質・能力」といったあたりも具体で示されたことが、非常に分かりやすさを生むと思っていますので、こういった資料がしっかりと解説などでも示されていくと良いというふうに思いました。どうもありがとうございました。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。では成田委員、お願いします。
【成田委員】 はい、成田です。よろしくお願いします。前の山本委員と堀田委員と割と重なるなとは思うんですけれども、私もやはり生活科という教科名はこの教科が生活というものと密着していることを端的に表している、本当によくまとまった案だと思いました。
私が一番感銘を受けたのが15ページの図ですが、先ほど山本委員もおっしゃったように、まさにこの真ん中のところの、身体性を伴う体験というインプットと、それから自分で言語などに発出するアウトプットという、この自然な脳の活動があって初めて学習という体系ができてくるということが脳の発達的には言えると思います。さらに言うと、多分この黄色の真ん中のところに、遊びや幼児教育も家庭生活が入ってくると思います。この漠然とした核から、だんだん系統立てた思考力・判断力・表現力、知識が投入されて、自発的に学びに向かっていくというこの流れを、きれいに書いていただいて非常に嬉しく思っております。
さらに、私が大変評価したいなと思ったのが、この到達像のところに自立と生活と
書かれている箇所です。学びというものが結局何に向かっていくかというと、1個の人間として成人期に、家庭を脱出して生活を自立的に延々と営んでいく能力と、あとは好奇心、そこに向かう興味関心ですよね。それがないと自立もできないし生活もできないのですけれども、まさに生活科というのはそこを形作る大事な教科なのだっていうことを本当にこの図で端的に表せると思い私は感銘を受けました。感想です。
【黒上主査】 では川越委員、よろしくお願いします。
【川越委員】 はい、まずはこれまでの議論をこのような形でおまとめいただきまして、本当にありがとうございます。それぞれ生活科の意義が、非常にいろいろな観点でまとめられていて分かりやすくなっているのではないかなと感じました。そういった中で私から簡単に2つお話ししたいと思います。
1点目は、もうすでにほかの先生方からも出ておりますが、14ページなどにある4つの本質的意義として再定義したというところです。このような形で整理したというのは、非常に重要かなと感じております。こういった定義がありますと、これを基盤にして生活科の学習や、教育がより良い形で発展するのではないかなと感じました。
もう1点は、21ページのあたり、ICTの活用などについてです。身体性を伴う体験学習というのが非常に重要というところもこの中で書かれていますが、それと合わせてICTを活用するというのも非常に重要だと思います。こういったものは、リアルとバーチャルという対立するものとして捉えがちですけれども、それぞれをうまく活用しながら理解や学習を深めていくものだと思いますので、そういった観点がこの中に出てきているのはとてもいいのではないかなと感じました。そういった観点を表現するのであれば、双方向でいろいろな体験と表現、ICTを行ったり来たりすると思いますので、例えばこの図も真ん中に体験、表現の矢印が右だけになっているんですけど、右と左両方あってもいいかなと感じました。その方が、この中に書かれている内容をより適切に表しているのかなと感じた次第です。私からは以上です。
【黒上主査】 では水川委員、お願いします。
【水川委員】 よろしくお願いいたします。全体として新しい生活科の意義や改善の方向が、すごく分かりやすく整理されているなと思っています。以下、3点ほど述べます。
1点目ですが、5ページです。生活科の本質的意義の再定義への見直しと改善への意見のことですが、身体性、自分との関わりの観点への学校現場の理解が深まるためのさらなる踏み込みというのは、もう少しデコレートしてもいいかなと思っています。現行の学習指導要領は具体的な活動とありますけど、やっぱりこれ直接的な体験とか経験なので、そのことを中心に、5ページにも、例えば見る、聞く、触れるとありますけど、リアルな体験ってまだまだあるんですね。例えば五感で感じるなら、話すとか、嗅ぐとか、食べるもあるだろうと思います。このあたりはできるだけ具体的に書いていただいた方が現場が使いやすいと思うし、子供自身が活動の中で自分の五感の中のどの部分が機能しているのか、「何々したから見つけた」を子供自身が理解するような、そういうふうにできると学校の教員の支援もできるなと思っています。
それから、対象と自分の関わりの件、5ページのところですが、このあたりも自分から働きかけているかだけではなくて、対象が自分にどう反応しているかっていうところが重要で、うまくいかないのは自分の思いどおりにいかないからであって、相互のベクトルの中に気づきや学びがあると思うので、時間軸とかストーリーってものが見えるような、例えば育てる、飼う、工夫する、やり直す、会話する、作るなど、少しでも長い時間軸を持つ対象との関わりが、体験の質を変えていくんだというふうに整理をいただけるとすごいかなと思っています。
それから2点目は、9ページ、内容の改善の在り方のところ、幼児教育と小学校教育との接続についてなんですが、ここは誤解のないようにしたいなと思うのです。幼児教育と小学校との接続は、小学校に順応できるような幼児教育、および架け橋期のプログラムではなくて、幼児期の体験や活動を発展させる小学校の教育のプログラムというふうに、小学校側が認識してもらう必要があるなと思っています。園児の体験というのは毎日が探検であり、質的な担保をしていくことによって探究に繋がっていると思いますので、よろしくお願いします。
3点目は12ページのICTの活用の件ですが、子供たちの日常にはすでにデジタルが入り込んでいるので、調べる手助け、表現する手助け、まとめる手助けとしてのデジタルの活用は制限する必要がないということも、新たな学びとしたいと思っています。青虫の足の形とか、トマトに生えた毛なんていうのは、子供の技能では表現できないと思っています。改訂に向かい、生活科がその本質をつかみつつ新しい段階に動いていると感じているので、ぜひともそれが総合とか、子供を主語にする探究活動の礎となることを期待しています。
【黒上主査】 では西岡委員、お願いいたします。
【西岡委員】 大変充実した資料をまとめくださりありがとうございます。とても明快だと思いました。特に感銘を受けた点、強調しておきたいなと思った点として、3点申し上げます。
第一に、今回、生活科の本質的な意義が整理されたことには、極めて大きな意義があると思いました。先ほど山本委員もおっしゃっていましたけれども、AIが登場して以降、子供たちとバーチャルな世界との関わりがますます大きくなっている傾向をすでに感じております。そうした状況において、身体性や対象世界、他者との関わりを体験を通して学ぶという生活科の意義は、子供たちの発達を保障する上でますます重要になると感じます。
第二に、評価に関して、スライド23などにあるように、長期的に評価をするという点を強調していただいている点が重要だと思います。指導や学習の改善に繋げる形成的評価と、記録に残すための総括的評価を区別していただくことで、過度に成績づけに追われるといった問題の解決につながると思います。
第三に、今回の学習指導要領改訂に際して、高次の資質・能力が強調されているわけですが、スライド26に「総合的な発揮」、「統合的な理解」を生活科においても位置付けていただいていることで、生活科においても単元ごとの目標を追求する中で高次の資質・能力を育成することを明瞭に示していただいたと思いました。
【黒上主査】 では会場にいらっしゃいます岩本委員、お願いします。
【岩本委員】 この取りまとめの方向性、本当に素晴らしいと思ってやらせてもらっていました。
特にですね、今回、皆さんおっしゃられていますけど、この身体性を伴う体験というようなところの意義を、しっかりと明確に位置付けていったというところが本当に今後につながるもので、重要だなと思いました。
で、1点ですね、これ基本的には、例えば生活科に限ったものではないというか、身体性を伴う体験とかの重要性というのは、本当にその学びの本質だとか、体験の本質みたいなところをまさに言い当てているというふうに感じます。特に、ほかの委員の皆さんからもありましたけど、バーチャルとかAIというのがもう急速に進んでいっている時代で、今後2030年代なんかものすごいことになっていくというような中においても、今回その身体性を伴うというところで位置付けたと。これ一般的には、直接体験みたいな言い方だと、どうしてもその直接か間接かとか、オンラインかリアルかとか、もしくはリアルかバーチャルかとか、その形や形態、形式みたいなことが重要だというのにとらわれがちですけども、今後のバーチャルも発展していく中で、体験の本質的意義は直接かどうかということも大事なのですけど、それだけではなく、身体性を伴うという、いわゆる自らの五感を主体的に働かせていく中での体験だとか、好奇心とか感動だとか、わくわくや、どきどきだとか、そういうことこそがその体験の本質で、それがリアルかバーチャルかということだけの問題ではなく、オンラインだからどうということではなく、身体性を伴うということがこの体験、学びにおいて非常に重要だということを位置付けたという意味においても、今回本当に革新的なものだと捉えています。
で、1点ちょっと思うのは、生活の方ではなく、まさにこれがちゃんと生活科だけに閉じずに、例えばそのあとの総合だとか、いろいろ発展していくわけですけども、たとえば総合の中では直接的な体験という言い方にまた戻ってしまうというか、というところも、生活科でせっかくこう本質的意義を定義して育んでいくものを、総合とかにおいてもやはりその身体性を伴う体験や様々な経験というところが、好きや得意とか、こういったものを育んでいく基盤になっていくのだというところは、この一貫性や流れが分かる意味でも、こういった概念は生活科だけに閉じない形で、やっぱりこの教育課程の中で使っていくということが必要ではないかなというふうに思います。はい、以上です。
【黒上主査】 それでは久野先生、お願いします。
【久野主査代理】 はい、よろしくお願いいたします。これまで個別のテーマで議論してきましたが、それを全体で通すとこんな形になるのかなと改めて実感しております。その都度1つずつテーマを絞って議論してきましたが、こうやって全体が1つのまとまりになると、改めて俯瞰して物事が見られるなと思いつつ、ここまで具体的なものを作る過程は本当に大変だったと感謝しております。改めて本質的な議論から、学習指導評価までを一体的、一貫させて捉えること、それを改めて実感しているところです。
私の方から総論1つと各論2つ申し上げます。まず総論の部分ですが、生活科の歴史から見て、平成元年の創設のところから10年、20年、25年、令和9年と今回5回目の改訂、5回目のバージョンになるわけですが、やはり生活科らしさの継承の部分と、教育課程全体の体系の部分とがですね、本当にうまく融合というか、関連しているなと思っています。
たとえば、その継承の部分でいきますと、6ページの目標のところで、生活科は前回の改訂でも、ほかの教科と違って具体的な活動や体験を通すという過程の部分が前に出ています。これは初期、第1期のときから継承しているのですが、それが文頭にあると、生活科を専門とする先生方は非常に安心するというか、生活科の本質が変わってないのだと見るわけです。今回それが身体性を伴う体験と多様な表現活動と改められていますが、これが繋がっているっていうことは、非常に重要ではないかと思っています。変わらないことの価値と、それからそれが前進していくことの価値と、これがこの目標のところに入っていると捉えています。
生活科らしさというところでいくと、これまでも委員の先生方が言及されましたが、AI時代の体験や身体性、ここの重要性がやはり強調されている。これは非常に日本的な解の在り方だと思うのですが、やはりその体験や経験を真正面から受けているのが、幼児教育、それから生活科だと思います。ここに生活科らしさや本質があるということです。実はこれひっくり返すと、今度ここに教育課程の体系としての生活科の意義や役割が認められるとも言えると思います。やはり教育課程の中で生活科がここに低学年の教科として、幼児教育を受け継ぎ、中学年以降に広げていく、つながっていく、その体系の中にあるものとしての生活科の意義と役割というのは、今回、生活科のらしさや固有性と同時に、教育課程全体の体系の中での意義や役割がはっきりしているんじゃないかと見ています。
次に各論について、2点あります。1つは、4ページのところ、これも議論がありました幼児教育、中学年以降の接続のところです。ほかのところでは、先ほど委員の方もおっしゃっていましたが、接続は資質・能力で捉えるとなっています。ややもすると、活動とか内容とか対象とか、ここで幼児教育や中学年との接続を考えると、5つの領域とどう繋がるかとか、理科社会や個別の活動や内容、対象とどう繋がるかという面で捉えがちですが、やはり先ほどの本質的な原理や、育てる資質・能力で捉えていくということも改めてアンカーを打つ必要があるかと思っています。
そして、もう1つの各論です。なかなか言及されることのない、動物飼育のところです。この動物飼育のところも、命を考える、実感するというところから考えると、その重要性と実務の間でやはりギャップがあるだろうと。過去を見れば鳥インフルやコロナなど、なかなか順風というか、むしろ逆風なことが多くて、なかなか生活科の中では学校の中で位置付けにくい現状があると思っています。 ただ、やはり今回、生活科でこの動物飼育の意味は命、生命、実感、この辺がキーワードとして上がっていますけれど、やはり小学校期を通して命と関わる経験というのは、基本的な生きるということで重要であろうと思います。家庭や、いろんな学校の置かれている状況が様々であればあるほど、やはり命を実感する経験は非常に重要で、ほかの領域で言えば道徳とももちろん関わってきますし、国語の教材とも関わってきます。そういう意味で、小学校教育課程全体を通して、生活科でももちろん内容的には引き受けているのですけれど、小学校課程全体を通して見るという視点は大事かなと思います。
その上で、11ページの他の所有者から借用してホスティングとして飼育することもありうると明示されたことによって、様々な多様な飼育の在り方に展開できるという意味があると思います。でもう一つ、その2つ目のバリエーションとして、近隣の動物関連施設、それから民間団体が保有する動物に継続的に触れ合う、これ先ほどの事例のところでもありましたけれど、ここももう一つのバリエーションということであるかと思います。 ただ同時に忘れていけないのは、その2つ目の前段のところですね。休日等を含む管理体制の確保などが適切な動物飼育の環境が困難である場合において、この辺が限定的にしつつも、でも広く、この辺ちょっと難しいところでもあるのですが、施設があるからいつでもということでもなく、やはり学校の中で身近なところで、学校に登校してすぐ目に触れるところにあるとか、生き物が生きていく音や声が聞こえるとか、そこに存在を感じるとか、そういうところも含めて、最初に申し上げた重要性と実務の間のギャップがありつつも、動物飼育のところはこれからも生活科として大事にしていかなければいけない部分だと思っております。全体としては非常に体系化されて、これまでの5回の改訂を通して、継承するものと発展するものの両方をバランスよく捉えられているなと感じています。
【黒上主査】 どうもありがとうございました。では、私の方から3つほど。
今さら何なんだみたいな話があるかも分からないのですけど、3ページに「AI時代に求められる生活科の在り方」という見出しがあって、ここから皆さんの感覚では、AI時代だからこその実体験が大事、そのことに全く反対するものではないし、私もそう思ってるんですけど、一方、堀田委員や川越委員がご指摘いただいたように、ICTとの関係を大事にすることもこの時代なのでとても大事であると同時に、この指導要領の実施のときに、おそらく何かをやる、疑似的な情報を得るということの背景に必ずAIが潜んでるというような、そんな時代が来るのだろうと思うんですね。なので、いわゆるそのメディアを通した体験は実はAI体験とかなり近いというようなことを想定すると、そんなことも含めてちょっと見通しておく必要があるかなと思います。それで、先週末の生活総合学会で課題研究1を私がやったんですけど、そのときにあえてそのAIと生活総合の関係で発表していただいて、さらにあえて小学校2年生でAIを使った実践を発表していただいたのですけどね。それは非常に面白くて、生活科というより社会科だと後から言われたそうですけど、奈良県の朱雀門のあたりの小学校で、近くの古墳について子供たちが関心をもったけれども、その特有の古墳についての情報なんかほとんどないというわけですよね。で、AIにいろいろ子供たちは聞いて情報集めていくわけです。で、集めれば集めるほど知識というか関心が深まっていって、より深く関わって、実際にいろんな古墳に自分たちで行く子が出てきたり、親と一緒に深まっていったりもするというような話が大変面白くて、つまり体験する、体験して分かるものはいいし、でも体験するときにその視点をICTが広げたり深めたりしてくれるっていうことももちろんあるのですけど、体験に関わるその知識をいろいろこう提供してくれることによって、体験そのものの質が高くなっていくというようなことも十分あるんだなということを、その実践報告からは学んだような気がするんですね。なので、AIにどう頼るかということは非常にコントロールされる必要があるのですけど、そういうことも少しこう見通して、多少書き加えることができるといいのかなというふうに思ったりした次第でございます。もうちょっと早くこの話ができていると、ここで具体的なことが議論できたかなという気もするんですけど。
あ、それから、何人かおっしゃっていた19ページの図ですね。非常にいいと思うのですが、これは分かってる人にはよく分かるというやつですね。図がたくさん今回出てるのだけれども、図にすると、図を書いた人やその周辺の人にはめっちゃ分かりやすくなるのですが、一方でその図というのは必ず何かを捨象しますから、その捨象されたものを勝手に推測して誤解されるというのが嫌な感じがするんですね。なので、これから載せていく図に関しては、何かそういう誤読が起こり得ないかということに関して若干チェックしつつ、たとえばこのピンクの矢印っていうのは何を意味しているかっていうようなことを、ちょっとこう欄外にこそっと書いておくとかいうような配慮が、これまであまり指導要領とかに図を入れてこなかったですけど、おそらくそういう配慮があったと思うのですけどね。そんなことも気をつけてやらないといけないかなというふうに思いました。
それから、今回生活科の本質的意義の中で自己認識っていうのがありますよね。これも、ここで言うべきなのかどうなのかということなのだけれども、やっぱり子供が自分の気持ちや心をコントロールできないっていう状態が、結構多いですよね、今ね。で、内受容感覚とか、インターセプションとか言うんでしょうけど、その自分自身の感覚をどういうふうに認識して、それをどうその学びに向けていくかっていう自律と言いますかね、そういう自己コントロールみたいなものは、あんまりここの視野に入ってない感じがするんですね、自己認識の中でね。学びに向けていくっていう方向でのことはもちろん書かれているんですけれども、ちょっとそういうことを少しだけ分かるように書いてみるというのも、大事なのではないかと思っている次第でございます。で、毎年のように私はオーストラリアの学校に学生を連れて行っているんですけれども、その学校の中にはイントロセクションをメインのテーマにして学校建築から作った学校とかありまして、「イントロセクションルーム」という部屋があるんですね。1つのフロアに2つクラスが学年ごとにあって、そのフロアに1つ少し小さい部屋があって、その中には気持ちが荒れているときにはどうやって自分を抑えるかっていうストラテジー、たとえば指の数を順番に数えてみるとか、何秒かひたすら秒を数えてみるとか、それとか、物を投げて発散してもいいのですけど、投げても壊れない物がたくさん置いてあるんですよね。で、おうちの大きなモデルなんかもあって、それも角がなくて、ぶつかろうが何しようが安全というような部屋があって、気持ちが荒れたときにはそこに5分間入るという、そういうルールになっているんです。自分から入ってもいいし、先生に行けって言われる場合もあるんですけど、そういうようなところがあって。最近日本でも新しく建築されているところ、ちょっとこう小さい部屋がありますよね。そういう部屋を使って、何かこう自分の気持ちをコントロールするとかいうようなことが、小さい頃から、ほんと生活科のときから実践としてあってもいいのじゃないかというふうに思ったわけで、そこまでのことを書く必要は全くないですけれども、そういう自分自身の気持ちのコントロールみたいなものもここに書き入れるというのも1つの方向性かなと思っていますので、その是非も含めて検討していただければなというふうに思います。
3分ぐらい時間が余ってるのですけれども、どなたか。はい、小見先生、お願いします。
【小見委員】 先ほど発言しそびれてしまったので、1点だけ発言させてください。
今回、スタートカリキュラムということで学校間の連携についての記載があるのですけれども、学校間の連携だけでなく、家庭や地域とも一緒に生活科を組んで取り組んでいけると良いと感じています。私自身、今年長の子どもがいるんですけれども、小学校でちゃんと学んでいけるのかなあと、本当に日々不安に感じています。生活科の学びがその橋渡しをしてくれると思うと、非常に安心する保護者というのが、私以外にもいらっしゃるんじゃないかと感じています。
一方で、保護者だからこそ、子どもたちの日々の気づきや関心を受け止めたり、自己認識を高めたり、学校での学びを家庭での生活体験に繋げていくという形でアシストできるということも多いのではないかと感じています。また、地域の皆さんも生活科の学びを支える大切な存在です。だからこそ、生活科で大切にしていくというこの4つの本質というところは、是非保護者や地域の皆さんとも共有していけると良いと感じました。
【黒上主査】 木曽原委員、ご意見いただきましたっけ。記憶がないのですが。
【木曽原委員】 木曽原です。ほぼほかの委員の方がおっしゃっていたことに重なっちゃうんですけれども、私的にも特に26ページの動物の飼育の例示ですね。こういう実践に近い形で、高次の資質・能力みたいなものがどう関わってくるのかなっていうのを示した表現というのは、学校の現場の方々にとって非常に分かりやすいんじゃないかなと思っているので、こういう形式のものを、これは動物の飼育に関する単元ですけれども、同様にこういうものと事例みたいなものがセットになって、事例集とかでまとまってくると非常に実践しやすいんじゃないかなと考えております。以上でございます。
【黒上主査】 この26ページの図、総則・評価の方で出ていた図だと、「総合的な発揮」が右側にありますよね。これ、左右反対なんですよ。ここは何か意図があるのかしらと思ったりしているんですけれども、そうですね、一番右の矢印が一番右上に上がっているという時点でそういうことなのかな。どうなのでしょうか。また後で教えていただけるといいと思います。
この「総合的な発揮」のところ、最後の箱の中に「振り返り、表現する」と書いてあるんですよね。この辺がすごく私大事だと思うんですけれども、他の教科においても「総合的な発揮」の出口は、何か難しいことができるようになるということ、それはもう「統合的な理解」の方でいいと思うので、それを最終的に自分がどういうことができるようになっているのかということを表現する、あるいは説明するというような、言語能力に関わるところで何かイメージできたらなというふうに最近よく思う次第でございます。蛇足でしたが、そんなところかなと思います。ということで、多くのご意見、ご感想どうもありがとうございました。これまでいただきましたご意見等踏まえて、最終的な取りまとめの作成については、ワーキングの主査にご一任いただければというふうに思いますが、よろしいでしょうか。頼りないかもしれませんが。そうしましたら、事務局の協力のもと、最終的な取りまとめの作成を行います。もし会議後にお気づきの点がありましたら、事務局までご連絡をお願いいたしたいと思います。
それでは、議題2に移ります。総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ取りまとめ案について、事務局からご説明お願いいたします。
【堀川学校教育官】 学校教育官の堀川でございます。資料2に基づいてご説明を申し上げます。 まず、取りまとめの目次でございますけれども、基本的な考え方、そして「情報の領域」の創設と探究と情報の連携、目標及び見方・考え方の在り方、学習・指導・評価の改善充実の在り方という4つの柱でまとめております。今回新たにこの(1)の「検討の前提」と(2)の「基本的な考え方」という2つを足しておりますので、ここをしっかりとご説明させていただいた上で、後ろの部分は、各ワーキングの回で先生方にご議論をいただいたことを反映したものをご準備しておりますので、特に修正を入れた部分として10点に絞ってご説明をさせていただき、説明自体は10分から15分にぎゅっと簡潔にさせていただいて、審議の時間を確保できればというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず基本的な考え方、検討の前提でございます。困難な社会を生きる上での探究の意義ということで、不確実かつ激しい変化の社会の中で、子供たちは社会全体の構造的な変化の渦中にいる。とりわけAIは人間の知的活動の在り方を含めて、社会の在り方を構造的に変容させつつある。こうした中、確かな知識の習得の重要性、これが失われるわけではない。むしろ、AIが容易に情報を提示する時代に判断、ひいては人生のオーナーシップを持ち続けるという意味でも、批判的に情報と向き合って、真偽の意味を問い直して、概念として深く理解をし、現実の課題と関連付けて判断をし、活用していくという力が一層重要となっている。また、外部から容易に最適解が提供され続ける受け身になりやすい時代にあって、自らの興味・関心に基づいて問いを見出し、必要な知識や方略を活用し、試行錯誤を通じて新たな意味や価値の創造に繋げていく、こうした探究というのは、子供たちが自らの学び、そして人生を舵取りしていく上で、その重要性を格段に増している。
教育課程全体で目指す方向性と総合の役割でありますけれども、今次改訂の全体といたしましては、自らの人生の舵取りができる民主的・持続可能な社会の創り手の育成を目指して、好きや得意、そして対話と合意、そうしたことを教育課程全体を通じて充実をしていくこととしております。そんな中、総合では、興味・関心や問題意識というのを重視する中での好きや得意を伸ばしていくこと。また、異なる立場の他者と出会い、対話、協働する中で、意見の形成や対話と合意にも繋げていくということが求められます。総合は、その創設時から、自ら学び、課題を見つけ、よりよく解決するということ、そして自己の生き方を考えるということを掲げてまいりました。与えられた課題の解決にとどまらず、子供自身が何を課題として引き受け、そしてなぜその課題に向き合うのか、そのことを問い続けるという点に、教科には担うことの難しい総合の本質があるのだとすれば、実社会、実生活、そのことと自己の生き方、これを結びつける課題設定の充実、これがデジタル技術に情報の収集・分析等が支援される時代の舵取り、この舵取りに向けて特に総合に期待される役割と言えるのではないか。
そして右上、これまでの成果と今次改訂で乗り越えるべき課題でございます。30年が経過する中で様々な実践が蓄積されてきて、社会全体で探究を支える機運も高まりつつあるところでございます。そんな中で様々な成果も見えているところでありますけれども、一方、探究に関わる考え方や、発達段階に応じた質の高まりについての共通理解が十分ではなく、探究のプロセスを形式的に回すことが目的化したり、インターネット上の情報を切り貼りするだけの調べ学習にとどまったりするといった課題、特定の教師に負担が偏りやすいといった課題、子供の興味・関心や問題意識が十分に考慮されていない場合がある、テーマ設定の偏り、デジタル学習基盤が十分に活用されているとは言い難い状況、こうした課題を踏まえまして、今次改訂では、現場の創意工夫による豊かな実践の蓄積を踏まえながら、総合の特質を踏まえた教育課程上の意義や役割から改めて問い直して、質の高い探究の実現に向けて、教育課程の在り方を総合的に改善していく必要があるとした上で、(2)で今次改訂の基本的な考え方を書かせていただいております。
次期指導要領に向けまして、総合の改善の基本的な考え方、これを端的に表現をすれば、「多様な子供たちの質の高い探究を確かなものに」と言えるのではないか。これは、教育課程全体に関わる基本的な考え方である「多様な子供たちの深い学びを確かなものに」、これを総合の特質に即して具体化をしようとするものであります。この実現に向け、以下3つの方向性で検討を進めていきます。
第一の方向性、これは深い学びの実装であります。これは、総合において質の高い探究を実装していくということと、そのことと同時に各教科における深い学び、この実装に総合が寄与していくということを含むものであります。
第二の方向性は多様性の包摂であります。これは、多様な個性や特性、背景を持つ子供たちの好きや得意の多様性、これを前提として興味・関心を広げたり、深めたりしていく、多様な探究の在り方を包摂しようとしていくというものであります。
第三に、実現可能性の確保であります。質の高い探究を現場の実態と乖離をした絵に描いた餅にせずに、実際に、人生のかじ取りに繋がるような力を育んでいく学習として具体化をしていくということに関わるものであります。
4ページでございますけれども、ここは、今しがた申し上げました3つの方向性というのを具体的に、今回改訂の各論とも紐づける形で論じているパートでございます。 丸1深い学びの実装、資質・能力の構造化、知識・技能の統合的な理解や、思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮、こうした形で各教科の深い学び、こういったものを可視化をしていこう、見えるようにしていこう、みんなで意識していこうといった改善が進んでいく中で、総合は各教科等で得た学びを道具として活用しながら、自分にとって切実な課題に挑んでいくという意味において、いわば試合の場としての性格を有する。総合がこうした機能をよりよく果たし、質の高い探究の実現とともに、各教科における深い学び、これを支え、牽引するということができるように、以下の改善を図る。3点ございます。1点目、探究の質の明確化と目標・評価の改善として、探究や探究の質に関わる考え方の共通理解を図って、目標・評価の在り方を見直す。また、質の高い探究に不可欠な視点として課題の質の明確化を図っていく。2点目、「情報の領域」の創設と情報技術との連携の強化ということで、情報活用能力を探究の質の向上に不可欠な基盤として位置付けて、小学校における「情報の領域」の新設、そして中高では要となる教科との連携を深め、探究における情報活用能力、情報技術の適切で効果的な活用を推進していくということ。3点目に、各教科等との相互関係の明確化と連携の推進として、我が国の教育課程の特色とも言えます、道徳・総合・特活に固有の役割を明確化して、行事やキャリア教育での特活との連携、そして学びに向かう力や学習の基盤となる資質・能力の育成、さらには各教科での探究的な学びとの役割分担や質の連携、こうしたことを通じて、教育課程全体としての深い学びの実装を目指していくということであります。こうした改善を通じて、学ぶ意義を自覚しながら、質の高い探究を自ら駆動していくことのできる力、これは自らの人生の舵取りをする力の育成にも繋がっていくとしております。
丸2多様性の包摂であります。柔軟な教育課程、個々に応じた学習過程の議論もされております。こうした中で、教育課程全体として子供たちの多様性の包摂に向けた改善が進んでおります。そんな中、総合では子供たち1人1人の好きや得意、そして自分なりの意味や考えの深まり、こうしたことを重視して、以下の改善を図る。1点目、多様な興味・関心の包摂ということで、テーマ探究にとどまらず、個人の興味・関心を起点とするマイ探究、こうしたことへの発達の段階も踏まえた広がりの重視、多様な探究の包摂ということで、テーマや課題の設定に着目をした探究の形態として、研究系、行動系、創作系、こうした在り方を示しながら、課題に応じて探究の過程が異なるということも示した上で、子供や学校の実態に応じた多様な探究を推進していくこと。こうした改善を通じて、他者とは異なる様々な興味・関心、このことを堂々と追求をし、多様に挑戦や失敗ができるという機会や文化、これを学校の中に作り上げていくということは、子供たち1人1人の可能性の開花のみならず、教育課程全体の包摂性を高めて、多様な他者の特性や関心や立場、こうしたことを尊重しながら協働して、より良い社会を作ろうとする民主的で持続可能な社会の創り手、この育成にも資することが期待できるのではないか。
丸3実行可能性の確保であります。丸1丸2の方向性を学校現場で実際に実行可能なものとしていくために以下の改善を図る。その際、今次改訂の総合の改善は、学校現場に過度な負担を課したり、実践を枠にトップダウンではめていったりするというものを目指すものではなくて、これまでの総合の優れた実践の蓄積、その価値を明確化し、現場の創意工夫による自由で大胆な取り組み、そして大掛かりな取り組みだけではなくて、日々の授業や改善を支えるものとして位置付けていくべきものであることに留意する必要がある。3点書かせていただいております。学校教育目標や学校運営に関する基本的な方針との連動ということで、学校運営に関する基本的な方針と総合の目標や内容とも関連付けをして、学校運営に関する方向性をよりよくカリキュラムに反映する、そして学校運営協議会との質の連携も図ることで、より実態としての体制を作っていくこと。さらには、社会との連携による質の高い探究の推進ということで、総合を教育課程上の「出島」として捉えまして、様々な外の世界との交流をしていく中で、外部人材との学校教育への関わり方、またコーディネート体制、多様な地域人材や団体、企業等との質の高い探究に向けた連携、そうしたことの足場を作っていくということ。さらには、指導計画や評価に関わる精選、重点化と好事例の共有ということで、全体計画や評価規準の作成等に関して、真に質の高い探究に必要なものへと精選や重点化を図って、よりシンプルなものへと見直していく、さらには多様な実践事例の共有を含めた情報環境整備を行っていくということ。以上を踏まえまして、今次改訂では、総合を単に総合だけの改善ということで単独で捉えるのではなくて、教育課程全体の改善をよりよく実現をしていくということに留意をする。このため、この改善の3つの柱に沿って、深い学びの実装、多様性の包摂、実現可能性の確保、この3つを三位一体で推進をしていくことで、多様な子供たちが実社会、実生活との関わりの中で自ら問いを持ち、学びを通じて自らの人生の舵取りをし、より良い人生やより良い社会へと繋げていく、そのことのために教育課程の改善を図っていくというものであります。
ここから後ろにつきましては、基本的にはこれまでご議論いただいたものを踏まえて、修正を施しているものを並べておりますけれども、端的に主なものをご説明をさせていただければと思います。
まず1点目、7ページでございますけれども、テーマ探究、マイ探究のここのバランスについて、会議の場でも大変ご議論いただいた中で、好きだけを入口にせず、本人がまだ知らないテーマと真剣に向き合う経験も重要だといったことを追記させていただいているほか、テーマ探究、マイ探究の中での指導性の発揮の在り方についても追記をさせていただいておるところでございます。
次に12ページでございます。こちらの探究の考え方でございますけれども、第3回WGでご議論いただいたときのこの部分を、教科等の学びを必要に応じて活用しながらといった記載がございましたけれども、その後の資質・能力の議論、目標の議論を踏まえて、この部分をそちらの議論を戻してくる形で改善、更新を図っておるところでございます。
次に24ページでございます。こちらの図でございますけれども、ご議論の第3回でいただいたときにはこの斜めの線だけが入っている図となっておりましたけれども、各教科の探究的な学びと総合での学びというものが、各教科の学びとの間で関係で往還しつつ、学びが深まっていくということや、それぞれの学びの特徴といったところを追記をさせていただいておるところでございます。
次に27ページでございます。こちらの「教育課程全体の中で道徳・総合・特活が果たす役割」という図でございますけれども、前の図のところでは、3ワーキングでこちらの図はご議論をいただきまして、舵取りと民主的で持続可能な社会の創り手というのが、総合と特活にそれぞれちょっと割り付けているように見えてしまう、そういった誤解を招きかねないというご指摘を多数いただいたことを踏まえて、各部修正をさせていただいているほか、各教科等の学びを通じて一体的に育まれる資質・能力の3つの要素を、学びに向かう力の要素を分割して、それぞれの領域や特別の教科に割り付けたり分担をしたりすることを示しているものではないということを、明示的に注記を入れ、改善を図っておるところでございます。
続いて29ページでございます。情報活用能力を発揮した探究の質の向上の部分で、小中高における要となる教科等との連携ということで、総合においては情報活用能力を効果的に発揮していく中で、安全やセキュリティの議論もあり、適切な取り扱いや特性の理解を踏まえることが重要であるというところについて、小学校だけではなくて中高も含めて、こうした要となる教科等との、とりわけ緊密な連携が求められるということを明確化することが必要だということを追記させていただいておるところでございます。
続いて48ページでございます。こちら、大きな3本目の柱で、目標及び見方・考え方の在り方に繋がる部分でございますけれども、この見方・考え方の部分について、オーセンティック[Authentic]、インターディシプリナリー[Interdisciplinary]、そしてインクワリー[Inquiry]という、この3つの総合の特質を典型的に表す言葉を見方・考え方の議論のところでご議論いただきました。当時はこちら「インテグレーテッド[Integrated]」という単語を使わせていただいておりましたけれども、国際的なカリキュラムの議論の中での通用性、あるいはさらには総合的・横断的という総合の特質を表すという意味においては、インテグレート[integrate]というよりも「インターディシプリナリー[Interdisciplinary]」の方がより適切であろうということで、こちらについては更新をかけさせていただいておるところでございます。
続いて54ページでございます。こちらは資質・能力の発達段階に応じたというところで、議論の中でこれだけだとちょっと込み入っているので、よりシンプルな図を作成すべしというご議論をいただいたところで、作らせていただいたものでございますけれども、その議論の中でも、小中高というその発達段階に応じた高まりというのが分かりやすいように表現すべきというご議論をいただいておりますので、それを反映した形でご準備をさせていただいております。
続いて55ページ、目標及び見方・考え方、これは1枚で現状と改善イメージが小中高すべて通じて分かるようなものとしてご準備をさせていただいております。特にこちら目標の柱書きのところで、第4回でご議論をいただいたときには情報活用能力のみを挙げさせていただいておったところですけれども、当日の議論の中で、言語能力ということも総合にとってやはり同様に大事であろうという議論を複数の委員からいただいたということも踏まえまして、言語能力を追記するという形にさせていただいているほか、見方・考え方につきましては、企画特別部会の方で、各教科等を横並びで見方・考え方を並べたときに、一部の教科が長いので全体として端的なものに圧縮すべきというご議論もいただいていることも踏まえまして、当時は最初ご議論いただいたときは「実社会、実生活との関わりの中で見出す自己の興味・関心や問題意識に基づく課題」となっておいたところでございますけれども、もうすでにそうしたところは目標の中にも記載があるところですので、短くさせていただいたというところでございます。
続いて67ページでございます。こちら、学習指導・評価の改善・充実の在り方ということで、前回ご議論を様々な社会との連携についていただいた部分でございます。そこのまとめの部分に1つ新規で足させていただいておりますのが、「質の高い探究の実現に向けた連携にあたっての留意事項」ということで、なかなか基本的な指導がないままに様々な依頼を子供が直接する中で、外部の協力者に対して過度な負担が生じたりするケース、また子供の学びにも繋がりにくいようなケースがあるということもあり、留意事項をしっかりと示していくべきではないか、とりわけマイ探究や社会との連携を推進していくという中ではこうした論点が重要になるので、留意事項を示していくべきではないかということで、依頼したい内容に応じて、例えば下調べをしたり、著書を読んだりといった形で準備をすることや、連携の必要性やねらいを明確にしてから臨むということ、相手方のお時間や立場を尊重して敬意や礼節を持って依頼するといったことを留意点として、必要なタイミングで指導することが重要といったことを追記させていただいておるところでございます。
最後に、総合的な学習の時間の名称の見直しでございますけれども、論点整理では、小中学校の名称についても検討すべきという宿題が出ておるところでございます。このことにつきまして、これまで重ねてきていただいたご議論、そして以下の諸点を踏まえて、教育課程の基準の上での小中学校の総合の名称について、「総合的な学習の時間」から「総合的な探究の時間」に変更して、小学校から高校まで一貫して「総合的な探究の時間」とすることについてどう考えるかということでございます。次期指導要領に向けまして、小中高を通じて質の高い探究を実現するための多岐にわたる論点、これまでご議論いただいてきた中で、目標について小中高を通じて一貫した形で整理をいただいておりますので、名称についても小中高共通であることが望ましいこと、さらには高校での名称変更が探究の推進に一定程度寄与してきたことも踏まえまして、小中高共通とすることで、今次改訂の趣旨をより広く学校現場や社会と共有していくことにも繋がるのではないかという趣旨で、このように記載をさせていただいておるところでございます。事務局からのご説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。数多の資料でしたが、なんとかこれぐらいのものにまとめていただいたということですね。それでは、皆様のご意見いただきたいんですけれども、これに関しましては、是非3分以内にまとめいただければというふうに思います。ただ、非常に資料も多いので、どのページに関するかということを一緒にご発言いただけるとありがたいと思います。それでは、ご意見のある方お願いしたいですが、どうでしょうか。木曽原委員、まずお願いします。
【木曽原委員】 今度は遅れないようにと思って早すぎてすいません。全体通して、前回の学習指導要領から実践をして、探究モードの高まりみたいなものを踏襲しつつ、よりその現場の実践を踏襲した解像度の高い整理が進んだんじゃないかなというふうに思っております。特に探究自体の整理というのも、「新たな価値を創造し、新たな価値の創造を繰り返す学習プロセスです」というふうに明示したことから始まって、探究の質というものも、今まで行動化、自立化という要素の表現だったものから、これもプロセスの中でのそれぞれの質というような形に整理されてきましたし、テーマ探究とかマイ探究のグラデーションの話ですとか、あと代表的な3つの形態という意味で、研究系、行動系、さらには創作系みたいなプロセスの違うものというものを現場に即して整理していったということは、一歩進んだ解像度なんじゃないかなというふうに思っています。
学習指導要領の今回の議論とかに関わらせていただいて思っているのは、この領域はまさに、我々自身も何かより意識的に今まさに動的なプロセスの中で議論して変容させていっているということなんだなというふうに思いましたので、学習指導要領というのは静的なものでスナップショット的に出るんですけれども、これを我々が伝えていくときには、その変容していっているプロセスの向きみたいなものを意識して、現場の方々とコミュニケーションを取らなきゃいけないんじゃないかなというふうに思いました。
また、同様に社会についても、社会に開かれた教育課程ということで、社会の要請、変化に応じて今まさに変容について議論しているということなので、この変容自体は好ましいことなんじゃないかなと思っていますので、同じようにこのベクトル、変わっていく方向感というものを、社会の皆様にもご理解、ご支援いただけるようにコミュニケーションを取っていければいいんじゃないかなと思いました。
最後に、以上のような形でどんどん解像度が上がれば上がるほど、最初の好きや得意というのを自覚していくという、スタートのところの重要性というのは、翻ってとても重要になるので、先ほどの生活科のところでも発言のあった、その五感を伴う体験による心が動く瞬間みたいなものですよね。そういうものがより大切になって、この辺が生活科とかともより繋がって表現されていくのかなと、そのように感じました。以上でございます。
【黒上主査】 では、堀田委員をお願いします。
【堀田委員】 学びの連続性の大切さと、探究のプロセスの自由度が、資料の取りまとめ(案)から読み取れたかと思います。その点について少し意見を述べます。
68ページで、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」にしてはどうかですが、探究のイメージが各教師の中に、より浸透してきっかけになると思います。一方で、探究という枠組みを守ればよいと考える教師も多いかと思いますので、マイ探究やテーマ探究のプロセスの大切さをより強調していく必要があると思っています。それが55ページの小学校、中学校、特に中学校の思考・判断・表現に書かれています。学びのプロセスが「課題を設定してから情報を収集する」一定のプロセスだけではなくて、18ページに示されている研究系や創造系などのような、様々な学びのプロセスを自分で開発してもいい、と認識できるようにしたいものです。幼児期に探究の芽生えがあり、生活科でその芽生えを繰り返し、繰り返し探究活動を経験することで芽生えが増え、総合で芽吹いていく、「総合的な探究の時間」が自分なりの開発が楽しい、プロセスの開発が楽しい、と実感できるようになっていくことに期待をしています。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは、西岡委員お願いできますでしょうか。
【西岡委員】 はい、本当に大作をおまとめいただきまして、誠にありがとうございました。今回のワーキンググループで議論が大きく進んだことの1つ目は、スライド10にありますとおり、教科や特活とは異なる総合学習の位置付けが明確にされた点だと思います。特に教科と往還しながら総合での探究を深めるという整理がなされたことに大きな意義を感じます。
この点に関してなんですが、スライド9、23に入れていただいている「パフォーマンス課題」という用語については、念のため「様々な知識やスキルを使いこなし、思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮を求める課題」といった注を入れていただくと、より明瞭になるのではないかと思いました。パフォーマンス課題とは、スライド25の各教科の学びの欄にある、思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮に対応する課題ということになります。
第2に、スライド18やスライド53にあるように、探究の深まりをどう捉えるかについて整理された点が大きな前進だったと感じております。この点に関連して、スライド25の思・判・表の欄に「課題を解決し」とある点については、総合学習の初期に大人でも解決できないような社会課題の解決を子供たちに求めるのかといった誤解が生じたことをちょっと思い出しまして、懸念を感じております。総合において求められているのは、子供たち自身が設定した課題を徐々に深めていくこと、課題解決を目指して試行錯誤していくことだということを、できれば補足していただければと感じました。
評価に関しては、スライド58に書いていただいているとおり、一貫した観点で長期的に評価することを打ち出していただいている点が意義深いと思います。その際、意外と探究のプロセスを示すような資料が散逸してしまっていて、学習や指導の改善に生かせないといったことが現場で見られますので、スライド72に入れていただいているポートフォリオの活用を改めてお勧めしておきたいと思います。
最後に、もし可能でしたら、スライド67の表現を少し調整していただきたく存じます。まず2行目に「極めて重要である」と書かれているのですが、学校外との連携自体が目的ではないので、「極めて大きな意義がある」としていただいた方が適切かと思いました。また、中ほどに「下調べをしたり、著書を読むなどして」とありますが、著書を読むのも下調べの中に含まれますので、ここは「書籍やインターネット等で下調べをするなど」としていただければと思いました。その3行下に「相手の時間や立場を尊重し、敬意や礼節をもって依頼する」とありますが、敬意や礼節は家庭環境や文化的な背景によって違いが出やすいところであり、強調しすぎることによる弊害を懸念いたしました。「相手の時間や立場を尊重すること」とするだけでも十分ではないでしょうか。
なお、スライド4に「多様な地域人材」、スライド67に「学校外の人材」といったような言葉が出てくるんですけれども、それぞれ「地域の多様な人々」「学校外の人々」といった表現をしていただく方が、それこそ敬意を示せるのではないかと思いました。本当にありがとうございました。
【黒上主査】 それでは、岸野委員をお願いいたします。
【岸野委員】 これまでの多岐にわたる意見と、また膨大な事例をもとに取りまとめをいただき、本当に事務局の皆様には心より感謝申し上げたいと思います。これについても私の方からは、全体を通したときに大事だなと改めて感じたことや期待を3点申し上げたいというふうに思います。
1点は、総合の役割の重要性についてです。スライド3や4に書かれていることから、総合が子供1人1人が今ここをどう生き、これからの人生をどう生きていくかということに直結する役割を持つということを強く感じました。1人1人の子が今ここを生きる中で、そこでの問いや課題の種類は本当に多様だと思いますけれども、自分なりにそこに切実に向き合い、探究していくことが、まさに予測困難な社会の中でこれからを生きていく力に繋がるよう、総合が担っていく必要があると強く思いました。「探究の時間」と名称を変更することについて、私は幼児も遊びが深まっていく中では探究していると思いますので、大変自然なこととして賛成しておりますが、それは探究のプロセスを「探究」という名前になったから形式的に回させるという時間にならずに、是非とも子供自身にとって意味の感じられる生きた探究を実現していくということを期待しております。
2点目に、スライド5のように、探究の質の向上のために考え方や視点を整理されたことも、今回非常に大きな意味があったと思います。その際、補足イメージ2や3にあるように、質が高まり、洗練されていくというときに、もちろん場面ごとの丁寧な見取りと指導が重要ですが、短期的な捉えにとどまらず、長期的な捉えがなされるようになったらと思います。ともすると総合は学年ごと、学校種ごとでぶつぶつと切れてしまうのではないかと思います。もちろんその都度、子供たちの興味・関心が広がったり、学年ごとのテーマがあったりするとは思うんですけれども、子供の中では自覚的でないにしろ、あのときのこの経験が、あのときに培われたこの力が、今実はここに繋がってきたというような感覚があるのではないかなとも思います。補足イメージ39にもありますが、幼児教育からのこうした長いスパンで、1人1人の長期にわたる探究のストーリーを捉えて支えていくということが大変重要だと改めて思いました。
最後に3点目ですが、私は総合が教師の学びに果たす役割というのも非常に重要だと考えています。スライド8の多様な指導体制にもありますが、もちろん負担や働き方に配慮することは重要ですが、子供たちが夢中になって協働で探究していくには、教師自身が協働で探究していく良さを感じているということが非常に重要だと思います。私の関わる学校でも、総合を進めていく中で、先生たちの学習観が転換され、子供たちの見方や支え方が変わり、それが教科での探究的な学びのデザインや指導の在り方にも大きな影響を与えています。補足イメージ13で「総合と教科が往還して学びが深まる」とありますが、実は教師集団にとっても往還することで学びになっていくという、教育全体の質の向上に繋がっていくということを今後期待したいと思います。
【黒上主査】 では、酒井委員をお願いいたします。
【酒井委員】 よろしくお願いします。まずこれまでの議論をここまで整理していただいた事務局に感謝申し上げます。特に、探究と探究的な学びの整理や、評価、社会との連携など、大変分かりやすく整理されたと思っています。その上で3点、発言させてください。
1点目が、教師の指導性についてです。7ページなど、資料にも、教師の指導性や教師の役割は何度も示されています。一方で学校では依然として「探究だから生徒に任せる」という誤解もあります。これからの教師の役割として、教え込むことだけではなく、生徒に問い、対話を促し、学びをつないでいく伴走者としての指導性が重要になります。解説などでその点を示していただくと、より動きやすくなると思います。
2点目は評価についてです。58ページでしょうか。形成的評価や自己評価、相互評価を重視する方向性に賛成です。一方で学校では依然として「評価は評定」という誤解や、評価資料を集めることが目的化してしまう場面も見られます。総合の評価は子供の学びを支え、教師の指導改善にも生かす営みであることを、解説などで改めて確認していくことが大事だと思っています。
3点目が名称変更です。私は一定の意義があると考えています。探究は何を学ぶかではなく、どのように学ぶかを表す言葉として定着してきましたし、このワーキングでも議論してきました。一方で名称を変更することによって、特に小学校では「何か高度なことを求められる」という誤解が生じる危険性もあるという不安はあります。各学校が誤解なく実践できるように、教師の役割、評価、探究の進め方などを示すことが重要だと思います。名称以上に一番大事なことは、探究とはどんな学びなのか、それを共有することだと思っています。
最後に個人的な思いになります。今回の議論を通して、総合的な学習・探究の時間がこれからの学校教育にとってますます大事になることを改めて感じています。社会が大きく変化する中で、子供自身が問いを持ち、自ら学び、協働しながら自己の在り方生き方を考えていく、この学びの価値はこれからさらに高まると思います。このワーキングで評価、情報活用能力、社会との連携、教師の指導性、いろんなことを議論してきましたが、それらは独立したテーマではなくて、すべては探究の質、そして子供たちの学びの質を高めるものだと思っています。この繋がりが学校現場に伝わったときに、今回の改訂は、総合は子供たちの学びを豊かにするものとして学校に伝わると思います。私自身も学校現場で実践しながら、その実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
【黒上主査】 先日の酒井委員の、総合・生活総合の学会でのご発表のときに、生徒の学習観の話をちらっと議論させていただきましたけれども、先ほど岸野委員が「先生の学習観」ということもおっしゃったんですが、やっぱり学習者自身の学習観というのが定義されていくような、そういう場面としてこの時間が認識されるといいなというふうに思ったりしています。またどこかでお話しできるといいと思います。 それでは、次に川越委員、お願いします。
【川越委員】 まずは、総合の方につきましても、これまでの議論をこのような形でとても丁寧におまとめいただきまして、本当にありがとうございます。私からは簡単に2点お伝えできればと思います。
1点目が、4ページの基本的な考え方のところの右上、「多様に挑戦や失敗ができる機会や文化を学校の中に作り上げていく」と書かれており、こういった失敗ができる環境は本当に大事だなと感じております。総合もしくは探究をやる中で失敗できる環境は、本当に重要かつ必要な観点だと考えております。そういった観点を、この資料の中ではおそらく「試行錯誤」という言葉で表現をしていると思います。この「試行錯誤」という言葉、この資料の中で21回出てきますが、それに対して「失敗」という言葉はここ1回だけで出てきています。試行錯誤というと、何らかの結果を出す、であったり、何をもって成功かを置いておくとして、成功するといった結果を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、試行錯誤した結果うまくいかなかったとしても、そこから次に向けて何を学ぶのかということが探究ではすごく大事かなと思います。失敗できる機会とか文化、そういったものが探究や総合の中で、学校の中に醸成されていくといいなと感じました。
2点目が、27ページのところ、一番下の下線が引かれている部分です。「各教科等の学びを通じて一体的に育まれる資質・能力の3つの柱を要素を分割して、割り付けたり分担したりすることを示しているものではない」というところは、とても重要な点かと思っております。STEAM教育などもそうですが、こういった総合の中では、学ぶ内容や育成する資質・能力が、きっぱり一対一対応するというものではなくて、それぞれ全てグラデーションがあるようなものだと思っております。そういった観点がこうした資料や、今後の学習指導要領なども通してより広く伝わり、いろいろな先生方を通して共有していくことができるといいなと感じました。私からは以上です。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】 はい、お願いします。今回改めて取りまとめ案を読み返させてもらって、教育課程全体の中で総合的な学習の時間が持つ意義とか役割の大きさというものを改めて確認したところです。最初に取りまとめ案全体に対する感想で恐縮ですけれども、お願いします。
まず3ページから11ページの基本的な考え方全体を通して感じたことは、総合的な学習の時間が、教育課程全体をつなぐとともに、子供の学びを実社会へとつなぐ役割を担っているということ。さらに、総合的な学習の時間がカリキュラムマネジメントの中核として位置付けられる必然性が非常に明確に示されているなということを感じました。
補足イメージ1から5にわたっては、探究の考え方や質、さらには課題設定の考え方や質の向上といったように、考え方とか質とかといった核心部分を非常に分かりやすく整理した方向で進んできていることは大変意義深いことだと受け止めております。さらに、情報領域の創設については、探究の領域との関係が整理されて、それぞれの役割が明確になったことが重要だなというふうに考えています。あわせて、その学習イメージが補足イメージの21以降のように具体的に示されていることは、現場の実践に向けての認識の共有ですとか、課題の改善に資するものになると捉えております。
最後に2点、意見を申し上げたいと思います。1つ目が、総合的な学習の時間の名称の見直しについてです。名称を探究へ変更することについて、私は賛成します。多くの小学校では、総合的な学習の時間を日頃から、どこの学校でも「〇〇タイム」というふうに学校独自の名称を付けて呼んでいます。そのため、名称変更そのものによる子供たちの戸惑いですとか違和感といったマイナスの影響はさほどないのではないかなと考えます。むしろ、例えば「探究の時間〇〇タイム」というふうに呼ぶことで、高学年であれば「探究」という言葉に興味を持って、その意味とかイメージを高学年なりに積極的に理解しようとするでしょうし、「探究」という共通語によって小学校から高校までの学びの繋がりを子供自身が実感として捉えやすくなるのもよい点であると考えます。一方で教師にとってですが、名称の変更はよい影響、すなわち教師の意識や役割感とか、授業づくりなどに良い変化をもたらすのではないかなと私としては期待するところです。「探究」という視点に立つことで、何をさせるかとかどんな体験を用意するかとか、そんなふうに教師がイニシアチブを握るような存在ではなくて、問いを持つこととか考えを深めることに着目して、学びの過程を子供たちと一緒にデザインしていく伴走者というふうに、教師自身が意識や役割を転換していくことが期待できるのではないかと考えます。名称が変わるということは、子供にとっても教師にとっても、この時間で何を大事にするのかということを改めて問われているということだと思います。名称の変更は、総合的な学習の本質を捉え直す良い契機になるのではないかなと考えますので、提案に賛成します。
もう1つ、連携にあたっての留意事項、67ページの部分ですけれども、ここにある連携に際しての留意事項ですとか、相手方への配慮というのは、外部との連携・協働を一過性の体験で終わらせないで、学校と社会の関係を継続的に築いていく上では必要不可欠なことだと思いますし、加えて、子供を、地域、企業といった社会資源と一緒に学びを作り出していく主体として育てていくというような意味もあるかと思います。したがって、こうした留意事項を解説等に示していくという提案に賛成します。
【黒上主査】 では、成田委員、お願いします。
【成田委員】 はい、よろしくお願いします。私からは2つですね。
まず最初に、68ページ、伊藤委員からも出ていましたように、私もこの名称変更に大賛成です。というのは、「学習」という単語からは、もちろん能動的な部分もあるとは思うのですが、学校現場においては受動的な活動のイメージが大きい気がします。ですが、「探究」になると、能動的、自分の脳みや疑問の中から自発的に課題を見つけて解決していくというイメージになるので、多分、今回のプロジェクトであるカリキュラム改訂の骨子から考えると、多分「探究」のほうがしっくり合っている文言じゃないのかなと思いました。皆さんもおっしゃっているように、この膨大な資料をとても分かりやすくまとめていただいたので、私の方もすごくすっきりしたイメージができて、ありがとうございます。
もう1つの点は、52ページから53ページ、54ページですかね。脳の発達段階として、何か漠然としたものから少しずつ知識、情報が入ってきて、そして最後に思考力、判断力ができてくるというイメージと、この科目の合致性というのがすごく明確に示されていて良いなと思いました。
次の54ページの図がとてもすっきりして私は分かりやすいと思ったのですが、幼児期に「芽生え」というのがあって、そこから学校教育の中で知識、情報を入れられることによって、自分の中で自発的に前頭葉を使って思考することができるようになる、課題解決をしていく、まさに前頭葉の機能が発達してくるというところが私自身が研究者として仕事している中で実感しているところです。自分自身でも、ベースの知識を入れていく学校教育というのはとても大事だったなと思うのですが、その後、研究者として生活していくときに一番大事なのは、実はこの幼児教育のところにあるこの芽生え、この緑色の芽の絵なのではないかと思うのです。自分の経験から言わせていただければ、研究の端緒、つまり最初の芽生えとは、何にもベースがないところから発生するのではなく、それまでに知識、情報が入って思考をできる脳ができて、そこから芽生えができる、これが新しいワンアイディアができることで研究が発動するのではないかと思うのです。この、新しいアイデアを発想する力というのが、多分この学校教育が終わった後の人生においての探究を継続するすごく大事なものなのだなと思うのです。なので、この図に関しては全然そのとおりだと思うし大賛成なんですが、もしかするとこの高校の終わりあたりに、もう1個、もうちょっと大きい緑の芽生えができる、という絵が書き加えられるとこの探究という科目、今の教科としての完成形あるいは理想形が表せるのかなと思いました。私の中でそこがすっきりとまとまったので、非常に私自身の学びにもなりました。
【黒上主査】 では、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 はい、よろしくお願いします。私自身はですね、本当にこれを見てわくわくすると言うか、実際に授業してみたいなという気持ちになりました。是非全国の先生方がこれを見て、同じような気持ちになってくれることを望んでいるところです。
私からその上で2点お話できればと思うのですが、1つは55ページの資料で、柱書きのところに「言語能力」と「情報活用能力」ということで、両方入れていただいたのは本当に良かったなと思っています。今、学校とかで子供たちの言葉を聞いていると、例えば「だる」とか「きも」とか、どんどん短くて、しかも抽象的で、そして雑な使い方になっているということを非常に危惧していて、これが色んな問題を起こしたり気持ちが伝わらなかったりする原因になっていると思います。この探究の中で、主体的に自分で獲得したエビデンスとか、感性を伴うその体験に基づいた言葉、そういったものを時間をかけて紡いでいくような、そしてさらに校正を何度もしていくようなそういう経験というのを、是非子供たちにやってもらいたいと考えます。そういうふうにして出てきた言葉というのはどのような言葉なのか、是非見てみたいという気持ちでいっぱいです。 さらに、この「学びに向かう力」について、活動とか作品を作っておしまいではなくて、この探究の学びの意味や価値という点で、自己や他者、社会にとっても意味や価値があるものにすることが発達段階に応じてしっかりと整理されてきた点が、非常に分かりやすくなった部分ではないかと思っています。
2点目については67ページのところですけれども、この探究というものが実社会、実生活の関わりの中でという点が強調される中、社会との連携ということがポイントになってきて、「なぜ、連携するのか。」という目的が今回すごく明確になったと考えています。それで、学校関係者だけじゃなくて実際に連携をしていく相手に対して、留意事項みたいなこともここで述べられているということは、名称が「総合的な探究の時間」ということで一本化されて、社会の人たちからも認知が期待できる点であると思っています。 その連携にあたっての留意事項の中で、(これはもはや解説のところで述べるべきなのかもしれませんけれども、)相手に対する敬意や礼節というだけではなくて、やはり社会の厳しさ、仕事の厳しさや、社会人としての姿勢や心構えみたいなことも、是非この連携の中で伝えてもらいたいというように考えています。これは社会も共に探究する人間を育てるという立ち位置に立ったときに、やはりその探究者は謙虚な姿勢とか、対象に対する構えみたいなものが非常に大事になってくると思うので、是非この連携する際には、そういう探究する者を育てる、同じ協働的に子供を育てる立ち位置で連携ができると良いと思っています。今回ここにそこまで書かれなくても、解説の方に回すのか、またはそういった点を今後強調して、多くの人たちに伝われば良いと思いました。以上です。
【黒上主査】 小見委員、お願いできますかね。
【小見委員】 みらいずworksの小見まいこです。今までの議論を丁寧に盛り込みながら、充実した取りまとめを作成いただき、ありがとうございます。私は、CSマイスターとして、学校と地域、家庭の協働を後押しすることに関わっております。今回、社会との連携による探究学習について、ここまで踏み込んだ議論がなされ、整理されたことに大変意義を感じております。特に、今回の学習指導要領で示される調整授業時数制度も活用したりして、学校運営協議会の委員や地域の外部人材も巻き込みながら、学校や地域の特色、そして目の前の子供たちの実態に即した探究が、各地でさらに深まっていくことを期待しています。先ほど岸野委員や酒井委員からもありましたが、子供たちだけでなく、先生や関わる地域の大人たちも、学ぶ喜びや他者や社会と繋がる意味、楽しさを感じられるような豊かな探究が実現していくことを願っています。
その上で2点発言させていただきます。1点目が、67ページの今回新たに追加された、丸7「質の高い探究を実現するための連携の留意事項」についてです。重要な指摘だと感じております。特にマイ探究やプロジェクト活動など、子供たちが主体的に社会と繋がりながら探究を進め、自走していく場面では、意図せず相手への礼節を欠いてしまったり、地域や関係機関との関係性に配慮が必要となったりするということも起こりうると感じています。一方で、先生方が過度に失敗やリスクを恐れるのではなく、ここに気をつければ子供たちを社会につないでいけると、前向きに受け止められるような後押しもあると良いと思いました。例えばここにも示されていますが、解説等において、連携の際に留意すべき点や、事前に確認しておきたい事項、ポイントなどをチェックリストのような形で具体的に示していけると、連携を進める上での支えになると思います。あわせて、これは担当する先生個人の努力だけでなく、管理職のマネジメントや学校経営の視点から、校内で共通理解を図り、子供たちの挑戦を組織的に支えていく環境を整えるということも重要だと思います。探究は外に開かれるほど、予定調和では進まない難しさも生じてきます。しかし、その中でこそ子供たちは他者と関わり、社会と出会い、自分の学びの意味というのを実感していきます。だからこそ学校全体で準備を十分にしながらも、子供たちの挑戦や学びを止めるのではなく、支え、後押ししていく、そのような学校の在り方や学校文化が、探究を出発点として広がっていくことを期待しています。
2点目は、68ページの、何人かの方からも発言ありましたが、名称変更についてです。高等学校が総合学習から総合探究になったことで、高校の先生方が探究に向き合ってくださり、素晴らしい実践や、生徒の人生を変えうる素晴らしい探究が各地でたくさん生まれてきました。小学校、中学校においても名称が変わるというのはインパクトがあると思うので、探究とは何か、探究をいかにデザインしていくのかを今一度見つめ直す良い機会になるのではないかと推察します。また、今回の学習指導要領では「みんなで育む」という言葉が示されています。名称変更されることで「探究ってなんだっけ」と、地域の皆さんや家庭の皆さんも今一度学び直し、出島である総合を通して、みんなで深い学びを実現し、これからの子供たちを育んでいくという、良い機運の醸成になっていく、社会へのそういった機運醸成にも繋げていけたらいいというふうに期待しています。
【黒上主査】 昨日、私は高知県の香美市に行っていたんですけれども、香美市って「寄ってたかって教育」という標語があるんですけれどもね、みんなで育むというのと何か繋がっている感じですね。面白いなと思いました。はい、それでは水川委員、お願いします。
【水川委員】 よろしくお願いします。探究の意味と探究の質に焦点を当てて、すごく分析的で構造化されたまとめで大変素晴らしいなと思っています。3点述べます。
1点目、4ページの基本的な考え方ですが、うまく書かれているんです。だからこそ、総合的な学習の時間でこそ育てられる力を論点整理の主張と繋げて、もっと強調してもいいなと思っています。総合は教科の学びを道具として、試合の場としての性格とか、出島という表現をされていますけど、僕はどちらかというと探究そのものは次期教育課程の本丸の心柱ぐらいで考えてもいいなと思っています。なぜかというと、総合的な学習の時間というのは、教科指導をどれだけ充実させても育てることができない力や態度を育てる学びであり、仕組みそのものが、教科とは異なる特別な学習の時間だというふうに考えて良いような気がするわけです。もっと言うと、学校のカリキュラムを、例えば学校給食に照らすとすごく簡単で、栄養価から主菜・副菜を全部考えてカリキュラムを作って、「これなら力がつくだろう、健康な体ができただろう」と考え提供しますが、実はそれだけで自らの人生を舵取りする力を育てるにふさわしい必要十分な力かというとそこが課題です。どちらかというとビュッフェ形式の食事とか、バイキングのようなそういう側面を総合は持っているなと思っています。つまり、食材と調理を自分で見つけて作る料理というか、こういった考え方が学校教育の中に入ってきていて、その中核をなしているのが総合的な学習の時間であると考えた方が、自らの人生を舵取りする力の育成に繋がるんだろうと思っています。これが1点目です。
2点目は、5ページから7ページの探究の質を考える視点がすごく構造的で、その後に示されている図も分かりやすいので、学校にはものすごく影響を与えるだろうと思っています。解体新書のようなイメージだなと思っています。13ページの図は課題の質、プロセスの質、成果の質が図示されていますが、これで学校の活動は間違いなく当たり障りのない調べ学習ではなくて、質を問うことになると思います。14ページの課題設定の考え方についても、教師にとっては探究を進める子供の内面の見取りというのが、より豊かに、確かにとなっていくと思っています。
それから17ページのテーマ探究、マイ探究の描きも、学校の今後のカリキュラムデザインがものすごくしやすくなるだろうと思っています。18ページの行動系、研究系、創作系のカテゴリーの整理もすごく新鮮なので、学校にとってはすごく分かりやすいだろうと思っています。ただ、これらの図を読み取った後に、結局はHow toなんだなというふうに捉えられないようにしたいなと思っています。問いに良い問いも悪い問いもあるわけではなくて、これがはっきりしていくことが、結局SDGsをやればトレンドになるというふうに思われないように、外に見えるものを最重要視する総合にならないようにということを強く思いたいと思っています。
3点目は、先ほどから出ている67ページ関連の連携と自己の生き方についての問題ですが、地域や外部と繋ぐことが負担になるという意見もありますけれど、これは連携コーディネーターを入れれば解決できるかもしれませんが、大切なのはそこではなくて、連携の目的をはっきりさせて互いの役割を強みに変えるプランを描けば、負担どころか労力が半分になって効果が2倍になるということを、やっぱり認識していく学習を作り上げることが必要だなと思っています。
それから2つ目は、探究をやっぱり生き方、自己の生き方に繋げたかったら、出会わせるのは情報のみではなくて人であるということを意識してデザインしていく必要があるなと思っています。人に繋がらないと、人の生き方は考えられないと私は思っています。次期教育課程において、間違いなく総合的な学習の時間(※総合的な探究の時間)はカリキュラムマネジメントの中核に位置すべきだと考えています。自分が主語になる、作り出すという意味での探究活動で、その試行錯誤の繰り返しの中でこそ、自らの人生を舵取りする力が育っていくんじゃないかなと思っています。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。細田委員、お願いいたします。
【細田委員】 はい、よろしくお願いいたします。まず、その膨大なまとめの資料を本当に頭の下がる思いで拝読いたしました。その上で、脳科学の立場から、今回のとりわけ基本的な考え方が4ページのあたりに示されておりますけれども、多様な子供たちの質の高い探究を確かなものにという立場を非常に強く支持させていただければと思っています。資料が示すテーマ探究が興味・関心を広げる学びであって、そのマイ探究というのが深める学びという7ページのあたりでしょうか、に関しては脳と行動の研究で最もよく知られた原理で、探索と活用のトレードオフというものがあるんですけれども、それがそのまま対応するというふうに捉えられると思っています。つまり、脳は新しい選択肢を試していく探索というのと、よくあったと分かったものに対して深めていく活用というのを切り替えるということをしていて、探索的な意思決定にはとりわけ10代のときに、ダイナミクスに習熟していく前頭葉というのが関与しているということも言われています。さらに、進化的に子供の時期というのは広く探索される、広く探索するために設計された時期であって、子供は大人よりも広く探索することが分かっていますし、それは年齢とともに焦点を絞ることができるようになるということも示されてきております。そういう意味では、低学年(※小学校段階等)で広げて高学年で自己の在り方、生き方に関わるマイ探究を自律的に進められるようになるということを目指す段階的な設計というのは発達に沿った合理的なものだと思いますし、この切り替える力それ自体は、この資料がプロセスの質に上げている「自己の学びを主体的に調整する力」ですとか、まさにそこの部分になるかと思いますので、このためにはいわゆる自己調整力と言われるもののセルフコントロールみたいなものとメタ認知の育ちというのが要になってきますし、これは本当にこの時期に育つ前頭葉の機能をまさにというところだというふうに捉えられると思います。また、探究の仕方というのは一人一人異なるスタイルを持つ、個人差が非常に大きいものであるということも最近の研究から示されておりますので、だからこそこの資料で多様性の包括というふうに述べていらっしゃるところというのも非常に合理的で、子供の発達との整合性を持ったものなんじゃないかなというふうに言うことができると思っております。
最後にAIの部分ですけれども、制約のない生成AIは一時的に成績を大きく上げた一方で、AIを外してしまった瞬間に成績が下がると。しかし、子供自身は学習効果というのを過大に評価する傾向があるというような研究成果もつい最近出てきていますので、まさにこれは偽の熟達みたいなところかと思っております。なので、一定の制約の中でAIをうまく利用していくことも含めて、自己の学びを主体的に調整する力、すなわち自律性であったりメタ認知であったりというところを育てていける探究学習の設計というのがまさに重要なんじゃないかなと、改めてこの資料を見て思った次第です。以上となります。
【黒上主査】 はい、ありがとうございました。では廣瀬委員、お願いいたします。
【廣瀬委員】 はい、廣瀬です。お願いいたします。まずは本当に資料のまとめ、内容の分かりやすさ、そして充実度の高さ、心より感謝を申し上げます。その上で3点お話をさせていただきたいと思います。
まず1点目は、68ページの名称の見直しについてです。名称の見直しにつきましては、どこかで議論されるといいなというふうに考えておりました。賛成をいたします。その理由は3点あります。まず1つ目は、高校のみが「総合的な探究の時間」となり、小中学校の「総合的な学習の時間」と名称が異なっていて、「学習」と「探究」が混在しておりました。小中高を通じて名称に統一感があることは意義深いと思っております。2つ目は、高校で探究が名称として位置付けられたことによって、この数年間で教育現場に大きな変化が生まれたことです。この成果を踏まえますと、中学校段階におきましてもこれまで以上に探究的な学びの推進が期待されるのではないかというふうに考えております。3つ目は、「探究」という最も重要なキーワードを名称として前面に掲げることの意味です。看板として前面に出すことで、教育課程全体を通して各教科で探究的な学びが行われますが、その中心的なフィールドがこの時間であるということを、より明確に示すことができるというふうに感じたからです。
それから2点目にまいります。17ページになります。17ページには、探究の形態としては「起点に関わらず、課題が自分ごととして洗練されていくことを前提に」というような整理がなされています。探究において最も重要なのは、子供自身が真剣に、本気で追求したい問いとなっていることです。したがって、見た目の活動形態や、課題を子供が設定したのか、教師が設定したのかという違いが本質ではありません。今回ここでは、「個人探究」、「グループ探究」という整理から「マイ探究」、「テーマ探究」という整理へと見直されて、探究の起点が明示されました。その上で、「起点に関わらず子供が自分事として追求すること」が重要であると示されたことに大きな意味があると考えております。このように整理されたことで、本当に探究は形態や見た目によって判断されるものではなく、その内実こそが重要であるということが明確になりました。高校段階では自ら問いを深め、自分自身の追究として取り組む姿を目指していきたいと考えております。
3点目は全体を通してということになります。全体を通して、事例も本当に大変豊富に整理していただいたと感じております。私自身、高校現場の実践者として多様な生徒たちが探究を通して成長する姿を多く見てまいりました。例えば、学力が高く強い興味関心を持つ生徒が探究をさらに深めながら世界に羽ばたいていく姿、不登校を経験した生徒が探究の楽しさに出会うことで、高かった壁を乗り越えて学校生活を前向きに楽しむようになる姿、探究を進める中で「より良い探究のためには教科の学びが重要である」と自ら教員に探究の価値を語る生徒や、真剣に自己を見つめながら社会の未来を創造しようとする生徒の姿も見てきました。探究を楽しみ、探究を通して自己肯定感を高め、時には教師の予想を超える変容を見せる生徒たち、子供たちの姿がこの「総合的な探究の時間」にはあるのではないでしょうか。 このワーキンググループでは、その探究の質を高める視点など、これまで以上に分かりやすく整理されていたと感じております。また、教育課程全体の視点から指導や体制、さらには地域との連携まで含めてまとめられており、探究を推進するための全体像が非常によく見えているということに価値を感じております。本当にこのようにまとめていただき感謝しております。 教育課程全体という視点で捉えると、「総合的な探究の時間」はカリキュラムの中核を担うものであり、総則・評価特別部会で議論されてきましたカリキュラム・マネジメントの3つのステップとも深く関連していると感じています。今後は各学校が教育目標と教育活動全体を見据えながら、より一層意図的なカリキュラムデザインを進めていくことが重要になります。生徒が探究を深めていくように、私たち教育現場もまた「総合的な探究の時間」をさらに豊かで充実したものにしていくために、探究し続けていきたいと強く感じた時間でした。
【黒上主査】 はい、ありがとうございました。岩本委員、何かありましたらお願いいたします。
【岩本委員】 よろしいでしょうか。大きく3点あります。基本的にはこの方向性、本当に素晴らしいなと思って見させてもらっています。
その上で、1点目が77ページ、補足イメージ51のところをちょっと見ていただきながらなんですけども、この学校行事と総合との関係の意図の明確化というところで、この総合を、ここで言う旅行(遠足)集団宿泊的行事とか、勤労生産・奉仕的行事、こういったところで代替可能というふうになっています。探究として成立する部分というところは代替ということが可能だというふうになっていまして、これはこれでいいんですけども、そうしたときに今後、学校行事、特別活動の側で、この旅行とか集団宿泊的行事、勤労生産・奉仕的行事の、内容の書きぶりも、そういう意味においてはこの探究との隣接性とか近接性がある程度見えるような部分も、ちょっと従来の書き方がずっと踏襲されてきていると思うんですけども、特活側でもちょっとそこら辺は、これは探究と非常に繋がりのある、場合によっては代替さえできる部分的には、というところですので、ちょっとここを特活側での旅行とか、越境探究とかキャリア探究とか出てましたけども、そういった要素が分かるような書きぶりというところは、特活側でもお願いできたらというふうに思って残しておきたいと思います。
2点目が、名称の見直しに関してです。探究、総合探究というところ、私も基本的には賛成です。そのときに、もう1段ちょっとぜひご検討いただきたいなと思うのは、もともと「総合的な学習の時間」というこの名称が付いたときには、教科横断的・総合的な学習のまとまった時間を確保する必要があるという審議の提言などを受けて、その「時間」をちゃんと確保しよう、他の教科の中でということではなくて、ちゃんとその時間を確保するというところで「総合的な学習の時間」となっていたという、こういった経緯がある中で、一方でずっとこの「時間」という名称においては、教育課程における領域としての位置付けがちょっと見えにくいとか、計画的連続性を持ってやっていくものだというような指導の必要性なんかが見えにくくなるというような指摘なんかも再三されてきたりとか、あと他の教科や道徳や特別活動に比べて非常に長くて、長いがゆえに余計一層ちょっと軽く見えるというか、そういった名称だというような指摘なんかもされてきたわけですよね。 一方で、これまでのこの流れの積み重ねは、子供たちや先生たちの積み重ねによって総合がここまで育ってきて、ただ単に時間を確保するという意味を超えて、今回の改訂においては、探究は教育課程全体の中核としての位置付けというところも明確化されましたし、ただの時間の確保ということではなく、もう質を問う、探究の質を問うというようなことも今回位置付けたわけですね。そういったことを考えると、例えば「特別活動」って「特別な教育活動の時間」とか、そんなふうには言ってないわけですね。「特別活動」と言っているというところですので、この特別活動と、ちゃんとこの図にも出てますけど、双璧をなす時間であり、時間というか今回はもう「領域」だというところで考えれば、これ「総合探究」という形の名称で、当然各学校でなんとかタイムと言う分には全然いいと思いますけども、今回これだけ育ってきたので、もう「なんとかの時間」みたいな形の正式名称をいよいよ外して、しっかりと教育課程の中核であるこの特別活動と双璧をなすということのメッセージもはっきりと分かるように、名称をご検討いただいた方がいいのではないかというふうに思いますというのが2点目です。
最後3点目、これ資料には出てはいないんですけども、今回のこの総合探究の取りまとめ、目標も内容も本当に素晴らしいと思っています。これを実効性を持って、あとはどのようにしっかりとできるようにしていくのかというところにおいて、高校においては通信制課程があります。通信制課程における総合探究は1単位につき添削指導と言われるものは1回というのが今現状です。これ2回ぐらいに増やそうというふうな議論はあるわけですけども、本当にこれでこの内容、この目標や内容の質を保証、担保できるものなのかという。この添削指導の回数なんかは、本当に実効性を担保できる添削指導の回数なんかを、改めてちょっとご検討いただけたらいいなというふうに思います。すいません。
【黒上主査】 通信制高校のことはあんまり目に入っていなくて、なるほどと思いました。総合探究の名称に関してはね、海外だともうインクワイアリングという、もう1つのセットになっていたりするので、そういう意味では納得感はあるんですけど、いろいろ過去との繋がりということもあったりして、検討しないといけないことはいくつかあるかなというふうに思ったりしています。 それでは、久野先生お願いします。
【久野主査代理】 はい、よろしくお願いいたします。総論1つと、各論3つということでお話ししたいと思います。
まず、総論としては、やはり今回のこの取りまとめの全体のキーワードは「質の高い探究」に集約されるかと思います。途中で議論もありましたが、質の高い探究は高度な探究というか、難しさとかニッチなディテールを追究した研究的な探究ではないと思っています。3ページの基本的な考え方のところの第1項目に「深い学びの実装」とあります。やはりここ、深い学びというところが重要だと思っています。それを実現するために、今回いろいろな要素が出てきました。探究の3つの質、特に成果の質という言葉も胸に落ちてきましたし、テーマ探究とマイ探究、3つの形態、新しく生まれた研究系とか行動系とか創作系とか、この3つの形態、それから裁量を基準にして考えるということ、探究と探究的な学びの概念的な区別、情報の領域と探究の領域の相乗効果、土台で支えるという表現もありますが、これを通して質の高い探究を生み出すんだということ、それから分厚いデータがある社会との連携を通した実社会への実装性とか社会との関わり、こういうあたりすべてがやはり深い学びを導くための、つまりは質の高い探究を導くための手立て・要素だというところが、非常に重要ではないかと思っています。少し振り返ると、過去の総合的な学習の改訂のときには、教師間、学校間、学校種間の格差があると取り沙汰されてきたところがありますが、やはり今回の整理でこの差が一層小さくなるのではないかとみています。先ほど廣瀬委員からもありましたように、高校が非常に動き出して、そのダイナミックさがむしろ小中を後押ししているところもあります。これらが実際に実現するためにも、これから指導する先生、教員の研修が非常に大事ではないかと思っています。生活の中でも「見取る力」ということがありましたが、その方略とか、どのような構えで生徒たち、子供たちに向き合うかという教師の力というのは非常に大事であると考えております。これが総論ということです。
各論としましては1つ目、マイ探究のところで17ページ、テーマ探究、マイ探究、これやはり学校の裁量に応じたというものですが、その裁量性がどこにあるかというと、例えばマイ探究の場合は課題の設定とかペースとか場所とか対象とか方法とか、これもみな自己調整の力ですし、教科で言えば自由進度学習なんかもそこに関わってくるかと思います。子供が自分から設定して、選択できるという点に重要を置いていて、裁量ということはやはり重要な捉え方ではないかと思っています。 2つ目、目標、55ページのところで、目標および見方・考え方の在り方のこの全体像が提示されています。総合は思い返してみると、平成10年の総則から始まっているわけで、その総則から俯瞰して見てみると、今回、小学校、中学校、高校等、目標の粒がそれぞれで出揃ってきたかと見ています。初期の頃はなかなか小中高の違いが見えづらかったところが、実践が出揃ってきたこともあり、この目標の粒度が揃ってきて、それが明確になってきたと思っています。そういう意味では、これは総合の本質を理解するためにも有益だと思っています。
そして、3つ目が、委員の皆さんからも声の上がっている名称の見直しのところですね。「総合的な学習の時間」が成立する過程、私もよく注目して見ていました。やはり成立する過程の中では、大正期、それから戦後の初期社会化とか、その過程で100年を有する様々な総合学習の実践校が様々な概念や総合的な学習の前史のようなものを形作って、様々な実践の事実を私たちの歴史の上に残してきてくださっています。そういう歴史上の概念とは新しく、少し違うというか、その経緯をもって「総合的な学習の時間」という言葉が成立してきたと私は理解しています。その意味では、大正期、戦後期を経て、今の「総合的な学習の時間」と三つの波がありました。今の「総合的な学習の時間」においても最初は総則期、それから単独章になった第2期がありました。そして今度、小中で言えばですね、「総合的な探究の時間」というふうに変化してきました。高校は一歩先んじて現行のところから探究の時間になってきましたけど、このように、現代の「総合的な学習の時間」の流れの中でも、やはり何段階かステージが上がっていく段階があったかと思っています。そういう意味では、今回、「総合的な探究の時間」ということで、新しい区切りを迎えることはいいタイミングではないかと感じています。最初にお話しした、質の高い探究を目指していくという段階で、小中も高も一貫し、しかも粒度が揃ってきたところで、1つの理念に基づいて、それぞれの学校種に応じた展開がなされていくというところでは、非常に良いタイミングであるし、質の高い探究を正面から捉えていくメッセージになると思っています。そういう意味で、継続性と革新性のバランスが良い名称ではないかなというふうに思っています。
先ほど、岩本委員からももうちょっと端的に示したらどうかというご提案もありました。そういう考え方もあるとは思いながら、一方で総合というともうすでに形成されたイメージがありますし、探究はもちろん教科の方も探究ですしね、やっぱりそれを領域として表す名前として「総合的な」という表現はあるかなと。時間は時間でまたいろんな捉え方もありますが、一定程度、あまねく、学校の中だけじゃなくて社会全体にも、その総合とか、総合的な学習とか広く普及していると思います。今回統一されたというところで、これで別に未来永劫変わらないというわけでもなくて、様々な形でまた後々の中では変わっていく可能性はありますけれど、私も、多くの委員の皆さん賛成されたように、その経緯も踏まえても、やはり今回の名称の変更というのは適切な時期、適切な名称ではないかなというふうに捉えています。 最後に、この資料ファイルには、別のファイルで非常に分厚い参考資料や事例があります。これは、やはり今回最後にまとまった、60か70枚くらいのスライドですが、やはりそれを抽出してくるためのバックデータがあり、この分厚いバックデータがやはり今回のまとめの信頼性を高める元になっているんじゃないかと思っています。最終的にはまとめの本文の中には載らないかもしれませんが、ここまでこういう参考資料や事例を収集、整理、そして見やすく読みやすく整理してくださった皆様に本当に感謝申し上げます。私から以上です。
【黒上主査】 それでは最後に私の方から、途中で岸野委員、酒井委員との話がありましたけど、やっぱり「総合的な探究の時間」、これはその、児童生徒の学習観の転換を図るという、転換を迫ると言いますかね、そういう時間なのかなというふうに思います。なので、そういうことがどこかで宣言されるといいなというふうに思ったりしています。つまり、学習するってどういうことかということなどが、教科とは違うところで、しっかり自分なりに、自分の生涯の関係の、どんな生き方をするかということの見通しの中で定義されるというようなね、そういうことが明示されるといいなと思ったりしました。 それから、総則から外れた資質・能力として、問題発見・解決能力というのがあるんですけど、これ、水川委員のご発言と関係しますが、教科で得た学びを道具として活用するのが総合なんだけれども、この総合で身につけた問題発見・解決能力を道具として活用するのが教科だということを、教科の方で本当は書いてほしいんですけど、ちょっと書かないだろうから、ここでですね、教科の学習の道具として活用できるように問題発見・解決能力を身につけさせるというような、こっちからプッシュする形でどっかで書けるといいなと思ったりもしました。
それから18ページの図ですけど、3つの図はやっぱりそれぞれに違ったプロセス例が示されていますが、ここの、この図の中ではそのプロセスについて説明がないんですよね。で、これについては、おそらく解説の中で、それぞれのプロセスについてもう少し詳しく書く必要があるかなということと、それから真ん中から実は3つだけじゃなくて、あちこちに矢印が広がっていますよね。この矢印の意味、あんまり皆さんおっしゃらないんですけど、これ実は行動、研究、創作だけじゃない、いろんな方向に広がっているということを意味しているということが、これだけではなかなか気がつかないということもあるので、それも書き込みたいなというふうには思ったりしています。
それから情報の話で言うと、情報は情報領域だけでやればいいというふうに思われちゃう可能性もあったり、あるいはミニ探究ユニットで、探究に必要な、探究領域で必要なスキルが全部身につくというふうに思われちゃったら、そんなことはないと私は思うので、一応情報に関しては、その情報領域に丸投げということではなくて、実際の活用場面、探究領域の方でね、実際の活用場面に気がついて、しっかり発揮できるようにすると。で、その時点で学んでいないけど必要になる情報活用能力は、その都度そこでもう指導するというようなイメージを、うまく共有できるようにしていきたいなと思います。
それから、ここの話じゃないかも分かりませんけど、先日、ハンセン病と旧優生保護法原告団の方々の説明を聞くチャンスがありまして、そこで、指導要領にぜひこのことを盛り込んでほしいと、いまだに差別が続いているということをぜひ盛り込んでほしいということがありまして、総合の場合は例示としてね、国際理解、情報、福祉、環境などありますけど、もしかすると今後、今回ね、その例示をどういうふうに示すかっていうこともまだ分かんないんですけど、どっかチャンスがあれば、そういうのを全部ひっくるめて、例えば人権というような、他にね、ヘイトとかいじめのことも関係しますので、人権というようなものが、その子供の探究のテーマとしてあり得るというようなことがイメージできるような、そんな措置が取れるといいのではないかなと、こないだの説明を真摯に引き取るとするとそんな感じかなというふうに思いました。以上でございます。
それでは最後、今後、いろいろ議論をする中で、徐々に皆さんのご意見をなるべくたくさん聞いている形でまとめていきたいと思いますけれども、今後の最終的な取りまとめの作成については、私の方に一任いただきたいと思いますけれど、よろしいでしょうか。この承認が大事だったんですね。はい、どうもありがとうございます。
それでは最後、事務局の方から一言お願いします。
【高見主任教育企画調整官】 最終的な取りまとめ案につきましては、主査とも相談させていただき作成させていただきますけれども、必要なご連絡は随時させていただければと存じます。よろしくお願いします。
【黒上主査】 はい、それではちょっと時間も過ぎたと思いますけれども、これで最後の会を終了したいと思います。皆様、今日までのご協力どうもありがとうございました。
―― 了 ――
佐藤委員提出意見(PDF:122KB)
山田委員提出意見(PDF:119KB)
電話番号:03-5253-4111(代表)