令和8年6月12日(金曜日)9時30分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【黒上主査】 それでは、第7回ワーキンググループを始めたいと思います。今日のテーマは、質の高い探究の実現に向けた社会との連携の推進等について、ということで、これまで7か月、8か月ぐらい、いろいろ中身のことを話し合ってきましたけど、実際にこれをどうやって実現するかというときに、学校だけではどうしてもできないことがあるということで、どうやって社会と連携をしていくかということですね。これを指導要領にダイレクトに書けるかという話ではないかもしれませんが、検討したことが非常に重要ですので、今日はそれをテーマにしたいと思います。それでは、事務局のほうから、進行資料に従って、ご説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【堀川学校教育官】 学校教育官の堀川でございます。資料に基づきまして、本日の議題についてご説明を申し上げます。本日別紙で、事例をご準備させていただいておりますので、本体資料と別紙とを行き来しながらご説明を申し上げます。
本日の議題でございますけれども、質の高い探究の実現に向けた社会との連携の推進等について、そして、特活ワーキング、道徳ワーキング、および情報・技術科ワーキングにおける総合に関わる議論の状況についても併せてご報告をさせていただければと思っております。まず初めに2番と3番からご説明を申し上げます。
2番、特活、道徳ワーキングにおける総合に関わる議論の状況について、でございます。昨年2月26日の総合ワーキングでも、ご議論をいただいたこちらの図でございますけれども、総合と特活の関係については、双方の特質を有する取組として、学校行事とキャリア教育というものについて今後検討していくということでございました。このうち学校行事については前回の会議でご議論いただきましたので、今回はキャリア教育について、でございます。
キャリア教育については5月25日の特活ワーキングで議論をされたところでございますけど、そのうち、総合にも関わる部分として、各教科等におけるキャリア教育の全体像の再整理ということで、特別活動については引き続きキャリア教育の要としての役割を果たしていくということと、各教科等についてはキャリア教育の実践の場としての役割、そして、それが好きや得意の芽を育てることも含めてということで、とりわけ、総合につきましては自己の興味・関心に基づく課題を探究することを通じてキャリア教育を実践をしていく、ということが書かれております。
こちらにつきましては、別紙補足イメージ2のほうで、各教科等におけるキャリア教育の全体像の再整理という中で、国語、理科、外国語、家庭、総合的な学習の時間、各教科等については、探究的な要素を持つ学びを充実する、また、社会や職業とのつながりを意識した学びを一層充実していくという中で、好きや得意と出会い、芽を育むキャリア教育を実践していくということでございます。各教科で育んだ、好きや得意の芽を、総合とも行き来しながら、総合で水をあげて芽を出していくような、そんな図になっております。それに対して特別活動は全体を俯瞰して、見通し、振り返るという活動と内容としてもあるということで、キャリア教育の要としての役割を果たしていくという図になっております。
続きまして、参考資料のほうで総合ワーキングで初めて付け足しさせていただいた資料として、キャリアレジリエンス尺度と探究学習の関係ということで、キャリアレジリエンスに関わる各種項目について、探究学習に取り組んでいる高校生は、社会人と同等かそれ以上という調査結果もあるということで、ご紹介をさせていただいております。
また次に、道徳との関係でございますけれども、総合との関係で、道徳教育の実践の場ということがこの図にはございますけれども、こちらについて道徳ワーキングの議論についてでございます。こちら5月19日の道徳ワーキングの資料でございますけれども、総合との関係のところ、黄色ハイライトしてございます。高校の総則で示している人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面、これについて現行指導要領上は特活と公共・倫理が規定をされているところでございますけれども、ここに総合を新たに位置付けることとしてはどうかということであります。
この米の部分が大変重要でございまして、総合において、例えば社会における相互理解や公正性についてテーマにする場合や、研究系の探究を進めるにあたって研究倫理を取り扱うといったことも考えられる中で、そうしたことも含め、総合において自己の在り方生き方についての考えを深める学びを一層推進していく、その過程で、道徳教育の一環としての機能を果たすことが期待されること、このことを確認的に位置付けるものということで、個別に道徳教育の指導のための時間をかける必要があるものではないということに留意ということで付記をされているところでございます。こちら補足イメージでございますけれども、小中高のイメージの中で、道徳科がない高等学校において、公共・倫理、特別活動、総合ということで、総合が付加をされているというところでございます。
続いて3番、情報・技術科ワーキングにおける議論の状況についてのご報告でございます。こちらにつきましては情活能力の抜本的向上という観点から体系の再整理の方向性ということで重視すべき方向性というものが情報・技術科ワーキングのほうでされた上で、このように企画特別部会で整理をされました体系整理の方向性を踏まえて、どのように具体化をしていくかということについて少し踏み込んだ議論がなされているところでございます。
こちらにつきましては総合的な学習の時間の中の情報の領域について11月10日に合同ワーキングを開催し、またその前後の会議ではお互いに情報・技術科ワーキングの委員と、総合ワーキングの委員がお互いにオブザーバー参加をしながら検討をしてきたことを踏まえて、議論を深めているというものでございますけれども、総合については探究の領域と情報の領域の2つからなるということとし、情報の領域については情報ブロックと、ミニ探究ユニットが探究の領域を基盤として支える。そしてその探究の領域の中で、情活能力を活用することでさらに育んでいくというこの相互関係ですね。いわばこの情報ブロックがドリブルやパスの練習だとすると、ミニ探究ユニットが練習試合、そして本番の試合が探究活動、この探究の領域というようなこの三層構造をご議論をいただいてきたところでございますけれども、その議論を踏襲する形で、議論が深まっているというところでございます。この1、2、3の関係性についても、お互いのオブザーバー参加させていただいた中でご議論をされた形がそのままの形で整理をされているということであります。
その中で、今回、情報・技術科ワーキングの中で、特に議論が進んでおりますのが、情報の領域の中の具体的な活動についてどのようなことが行われるかということについての議論が深まってございます。こちら、緑と青の部分が情報ブロックの内容でございまして、このピンクの活用というところが、ミニ探究ユニットを中心とした内容となっておりますけれども、緑や青の部分で学んだ情報ブロックの要素、これを総合的に活用し、リアルな課題を解決しながら生活や将来に繋がる力にするということで、ミニ探究ユニットの中で、図の中で実践の四角の部分で、総合的に活用するような、関連する部分を、この薄い色の部分で、ブロックを活用するということが示されていて、この右側の濃い網かけの色の部分で、これは点線の部分を示しておりまして、この点線の部分をミニ探究ユニットの中で学んでいくものについて、この濃い色となっておりますけれども、このような形で、情報ブロックとミニ探究ユニットが相互に関連をしながら、学びを深めていくという関係性が示されているところでございます。
こちらにつきましては後ろに付けさせていただいておりますけど、ミニ探究ユニットのイメージ、これが11月10日に出たイメージでございまして、中学年2つ、高学年2つの計4つが出ておりましたけれども、これらの図についても、今しがたご説明をさせていただきましたとおり、情報ブロックとの関係性を明確化するという形でアップデートがされております。他にもですね、先ほどの4件だけではなくて、残りの4つ、各学年2つずつのミニ探究ユニットということで、これまで入っていなかった、例えば3年生であれば面白い生き物の図鑑を作ろうといったミニ探究ユニットの例が示されておるところでございます。こちらにつきましてはこの米にありますとおり、ミニ探究ユニットは仮のイメージであり、予算事業等を通じた教材の検討過程で現場実証なんかも含めて往復しながら作っていくということを予定しているということで、11月10日にもご説明をさせていただいておりますけれども、そのような形で、具体化を図っていくということでございます。以上が、情報の領域に関する議論の深まりについてのご報告でございました。
資料を戻らせていただきまして、論点の1番、質の高い探究の実現に向けた社会との連携の推進についてということでご説明を申し上げます。議論の前提でございますけれども、総合ワーキングで、これまで総合や探究を巡る多岐にわたる論点について議論を重ねていただいてまいりました。この質の高い探究、絵に描いた餅にせず、現場で多様で豊かな実践が展開されるようにするためには、様々な形での社会との連携が不可欠であると。
そのような中で、現状と課題といたしまして、低所得世帯の約3割が学校外での体験活動がないといったデータもありますし、一方で探究の成果を発表するステージが、社会全体で応援する機運が醸成されてきている、そんな中で、一方、伴走支援や地域の支援体制等が十分整備されていないという中で、負担が特定の教師に偏る傾向、そういったことにも繋がっている。また、コーディネートや需給のマッチングについても、ガイドブックの作成とか様々な実践の蓄積が見られる一方で、必ずしもコーディネートがうまく機能していない例も見られるといったところがございます。
そのような中で検討の方向性でございますけれども、好きを育み、得意を伸ばすという今次改訂の方向性の中では、社会と連携した多様な体験・経験の機会の充実が必要であるということや、人生の舵取り、民主的で持続可能な社会の創り手の育成、こういったことのためには、学校が目標や内容を定める特質を有する総合において、学校教育目標を社会に開かれた形で具現化していくということも期待をされる。さらには、これまで議論をしてきた、質の高い多様な探究の実現に向けた様々な策、これは、社会との適切な接続や連携なくしては実現できないということであります。そのような中で、質の高い探究の実現可能性の確保に不可欠な視点として、社会との連携の推進、そのための具体的な手立てを検討してはどうかというのが、今回の方向性でございます。
そのような中で、具体的な論点でございます。社会と連携をした豊かな総合の実現に関わる論点ということで、令和答申でも、社会の形成者としての全人的な発達・成長の保障ということが、本質的な、日本の学校教育の役割の一つとして掲げられている中、地域との関わりを含む様々な場面で、リアルな体験を通じて学ぶことの重要性、このことが、AI時代に一層高まるんだということが言われておるところであります。さらには、今回の検討においても、舵取り、そして民主的で持続可能な社会の創り手の育成、こういったことを重視している他、高校のグランドデザインの中にも、産業界を含む全てのステークホルダーと連携・協働するという方向性が打ち出されております。
こんな中でですね、今次改訂での、教育課程全体を通じて、学校と社会の一層の連携を推進していくということや、そのことを通じて社会に開かれた教育課程をより高い次元で実現していくということが必要であろう、その中でもとりわけ、総合については、学校の裁量が極めて大きいということや、教科間や、学校と社会との壁を超えた交流を創造するという、教育課程上の出島としての役割が期待されるということ、さらには、質の高い探究を絵に描いた餅にしないという視点、探究そのものの実社会・実生活との関わりから課題を見出すという特質、こういったところからも社会との連携が必要である。
一方、学校にとっては、地域やそれぞれの学校によって、地域や社会との関係は多様であり、連携それ自体が負担感を伴う側面もあるという中で、高校で言えば4割超が外部との連携・協働に課題を感じているといった調査もございます。また、社会の側からは、学校教育の関わり方がわからないといった声も聞かれるということで、そういった中で、以下の論点について、施策や様々な実践事例の発信等を行うこととしてはどうかということで、6つ挙げさせていただいております。
こちら、補足イメージの1と2で、図でお示しをしておりますけれども、子供と学校、そして社会という、三角形の関係で見たとき、子供が好きや得意があって挑戦したいというものを持っている場合もあれば、自分の興味関心に基づく課題の設定と言われてもという子供たちもいるという中にあって、多様な体験や経験というのが、探究にとっては基盤になっていくという議論をこれまでもしてきていただいておるところでございますけれども、学校にとっては、特色あるカリキュラムといっても学校だけでは難しいとか、なかなかうまく指導できる自信がない、校外活動が増えると安全管理も不安だといったところや、学校と社会との関わりでは、学校側からすると外部との連携の時間もなかなか取れないし、外部の力を借りるにはお金もかかるし、なかなか学校のことをわかってくれる人じゃないと逆に負担も大きいということ、社会側から見るとですね、学校との関係で関わりたいんだけど繋がりがなくて、何が求められているかもわからないといったところや、子供たちの関係では、教育については素人なので、なかなか接し方に自信がないといったこと、そういったことを踏まえたときに、本日の論点の全体像でございますけれども、学校側からすると、学校教育目標や学校経営方針を踏まえた、地域に開かれた形での総合の推進ということ、また、社会と子供たちとの関わりということの在り方、さらには学校と社会との連携の体制の在り方、そして、関係者、この学校側、そしてこのコーディネーター等の連携体制、そして社会、伴走者ですね、この3者の資質・能力の向上の在り方、さらには、様々な体験機会や成果発表に関わる機会の在り方、そして、探究の充実に向けた費用負担の在り方、こういった論点の全体像として、本日はご議論をいただければというふうに考えております。
続きまして、具体的な論点でございます。まず1番、学校教育目標及び学校経営方針を踏まえた総合の推進ということで、これも12月の26日の第3回のワーキングでございますけれども、総合の特質を踏まえて、現行でも学校教育目標と総合の目標との関連を図るということとしておりますけれども、学校運営に関わる方向性をよりよくカリキュラムに反映させるとともに、地域とのより良い連携を図るという視点で、基本的な方針とも関連を図るということについて、第3回でご議論をいただきました。さらには、今次改訂では、調整授業時数制度をはじめとする柔軟な教育課程の議論の中で、教育課程編成の方針について、学校運営協議会の承認を得る等を通じて、地域への説明責任を果たしていくということが議論されております。さらには、カリマネの3ステップというのが、直近の総則・評価部会と企画特別部会でも議論されましたけれども、その3ステップを踏まえながら、学校教育目標等を踏まえたねらいの具体化を図る、その総合の目標・内容の設定の在り方や、全体計画への反映の在り方、学校運営協議会との連携の在り方や、その際の留意事項についてですね、解説や指導資料では丁寧に示していく必要があるのではないか。
さらには、裁量的な時間の研究・研修等枠ですね、こちらでは総則・評価部会でかなり詳細な枠組みが示されているところでございますけれども、実施可能な取組の類型として、企業・団体との連携をした研究会の実施、また地域と連携したカリキュラム開発に向けた協議ということで、本日の議題とも深く関わるような形での類型が示されているというところでございますので、総合側としてはこうしたことの具体的な事例を積極的に提供していくこととしてはどうかということであります。さらには、社会との連携が単なる活動に陥ってしまうということを避けてですね、豊かな学びにしっかりと繋がっていくというための教師の指導性の発揮の在り方や、その指導体制の在り方、そして多様な、学校外にも展開していくという中で一層重要となる安全管理の在り方、こうしたことについても併せて解説や指導資料で示していくこととしてはどうか。
次に、丸2番、社会と子供との関わりの在り方でございますけれども、社会で活躍する本物の大人と子供たちが直接関わる機会というのは大変重要で、一方で学校のニーズが分からない等々の指摘もある。このため、社会側が提供できる資源と、学校のニーズや期待値の適切な、円滑なマッチングにするという観点から、社会側の連携のコミットメントの度合いに応じて、おおまかに3層程度で、連携の深まり方のパターンをイメージとして示した上で、多様な事例を、学校の実態に応じた柔軟な連携を進めていく上での参考として示していってはどうかというご提案でございます。
補足イメージの3でございますけれども、連携の深まり方を出会い、伴走、協働の3層として示した上でですね、出会いについては、例えばゲストティーチャーなどの形で単発できっかけを提供するような形、伴走については、例えば成果発表の受け手といった形で年数回程度以上、そして社会と繋がる視座を提供するような形、例えば協働については、学習者が責任の一部を担うといった形でですね、年5回以上、同じ課題に取り組む協働者として活動するようなイメージを示した上で、社会の側からもですね、なかなか3番までは難しいんだけれども、1番ぐらいならできるよといった場合にも、どういった形で自分たちは学校に貢献できるよというようなことをご議論しやすい参考資料としてお示しをしていってはどうかというご提案でございます。
ここに具体的な事例というのも各種つけさせていただいておりますけれども、少しだけご紹介させていただきますと、山梨県立笛吹高校さんなんかでは、例えば20の課題発見ワークショップということで、地域専門家による最初入り口のところで課題発見ワークショップをいくつか生徒たちが経験をした上で視野を広げていくような実践もされておりますし、こちらも地域との達人の出会いから始まる探究というような事例、さらには父親応援団の方々が得意を生かして様々関わっていただけるような事例や、日立横浜理科クラブということで、地域の企業の専門家の方々がエンジニアリングの分野で協力をしていただけるような伴走の事例、またプログラミングに関する伴走の事例、またJCの方々が伴走するというような事例、さらには課題解決型職場体験とか学校行事のときにもご紹介をさせていただきましたけれども、50時間扱いのところにがっつりと地域の事業所の方々等が協力、協働していただくような事例、さらには株式会社がショッピングモールの場などを使って協力企業をまとめて社会とつないで、実際に販売の設計などをするという経験をプロデュースするというような事例ございます。
次に3番、学校と社会の連携体制の在り方ということで、こちらはコーディネーター等の体制の在り方についての議論でございますけれども、地域資源の開拓、実施に向けた調整、こういったことには、教師自身の献身のみに頼るモデルだとなかなか現実的ではないという中で、コーディネート機能の充実が求められると、特にこれまで高校中心に取組が進展してきている中で、研究会の報告書とか、コーディネータースタートガイドブックといった形での知見の蓄積も見られるところでございます。さらには、今回令和8年3月に改訂をされましたコミュニティ・スクールの手引きですね、こちらの中で、学校運営協議会の承認事項である教育課程の編成について協議する際に、総合における地域や社会との連携・協働について検討するということや、必要な人的・物的体制を、探究学習に必要なものとして確保するために、地域学校協働活動推進員が関係機関等の調整役を担うということ、また、協議会において学校、家庭、地域の役割分担を議論して、学校が全てやるということではなくて、家庭にお願いしたいこと、そして地域が担うこと、そういったことの役割分担を議論をして共通理解につなげていくということ、さらには、総合などにおいて外部人材が学習を支援するという活動も、ともすると地域学校協働活動は放課後の活動という認知をされがちですけれども、総合など教育課程内の活動を支援する活動も含まれるんだと、これは予算措置も絡めて新たにご明記をされているところでございます。これを踏まえて、推進員がコーディネーターとしての役割を果たしつつ、CSと連携をして地域の支援などを総合に生かしていくということも期待をされるところでございます。
さらには、社会教育士、令和2年度から始まっておりますけれども、今約1.2万名に称号が付与されているという中で、ファシリテーション能力やコーディネート能力の専門性を有しているという中で、これがコーディネータースタートガイドブックなどに示されているコーディネーターに必要な能力と重なる部分が多いということもございまして、CSや推進員との連携というものを含めてですね、社会教育士との連携をコーディネート機能の充実に向けた選択肢の一つとして推進していくこととしてはどうか、こういったことは生涯学習分科会でも議論がされているところでございます。
その上で、地域以外にも様々な主体がコーディネート機能を担う場合があることや、その場合のコーディネート機能といっても様々でありますし、その射程も様々でございますので、体制構築や社会側との調整を行う際の参考とできるような様々な事例について示すとともに、併せて体制構築はお金の問題と深く関わってまいりますので、様々な予算措置なども併せて周知していくということとしてはどうかということでございます。
こちら、紫で示させていただいておりますけれども、地域、企業、団体、NPO、大学、行政と、様々な形でコーディネート機能を担っているような事例でございますけれども、例えば、コミュニティ・スクールを基盤として社会とコーディネート機能を担っていただいているようなケースもあれば、保護者が窓口となっている場合もあれば、卒業生が探究を支援してくれるという形でのケースもあれば、データベースを作って卒業生の作品とつなぐということもあれば、卒業生が発表会を運営をしてくれるといった形での社会とのつながり、そして、商工会との包括連携協定を提携をしてマッチングを図ってくださっているといった事例、また、こちらはテレビ局がサポート企業を束ねてコンテンツ化をすることで、持続可能な形で探究の支援を届けられるようにしているといった事例で、これが他県にも広がっているといった事例もございます。また、NPOがコーディネート機能を担う事例や、コンソーシアムの形で社会のリソースをつないでいくような事例、さらには企業と大学と環境省も関わるような形でコンソーシアムを、サステナビリティをテーマとしたコンソーシアムを作ってですね、その中で学校に社会のリソースをつないでいくような取組を実践されているようなケースもございます。
また、大学のケースにおいて、本物の体験と中高生を接続するということを多様な手法で実践をいただいている事例、また、東北芸術工科大学がその専門性を生かして探究を支援するということをコーディネートしているような事例や、大学生のメンターということで、大学のリソースとして探究のプログラムを高校生を支援をしている、伴走しているといった事例もございます。また、教育委員会の実践といたしましても、市町村の単位で、ポータルサイトやライブラリーやサポーターズといったような形で、探究の資源を各学校に提供しに行くといった取組をしている事例や、生き方探究教育の推進ということで、箱を拠点施設として学校と企業・行政・地域社会をつなぐと、地域の企業からの支援をつないでいくといったような事例もございます。また、県単位で、探究的な学びを強化する体制・仕組みづくりということで、県庁職員や企業を募ってまとめていくような事例もございますし、図書館をハブにしてですね、図書館から各学校の探究を支援するような形を取っているというところもございます。さらに、社会教育施設なんかのところでもですね、独法の事例でございますけれども、国立青少年教育振興機構なんかでもモデルプログラムを作って、探究の授業の方をサポートするようなプログラムを作っているということや、未来館の方ですけれども、探究学習、こちらも授業で使えるような探究学習プログラムというものを、その固有性や強みを生かして作っているといったところもございます。
戻らせていただきまして、次の論点でございますけれども、伴走者やコーディネーター、教師をはじめとする関係者の資質・能力の向上の在り方ということで、伴走者についても必要な資質・能力を高めていくことが必要でありますし、コーディネーターについても、学校の実情に対する深い理解を含めた資質・能力を高めていくことが重要です。さらに、学校についても、社会との連携に強みや専門性、こちら今、教員養成部会で免許の関係でも議論をされてますけれども、強みや専門性を持って、外部人材と教職員と橋渡しする教職員がいることや、学校内の共通理解ですね、こういったことを含めて、社会との連携に関わる土壌を学校側から有しているということも重要であるということ、そうしたことや、安全管理の視点なんかも重要になってくることも踏まえまして、伴走者、コーディネーター、学校関係者、そのそれぞれについて、資質・能力を身につけるための多様な方策について検討するとともに、取組事例等の提供を検討してはどうか、その際にオンラインの活用や学習歴を可視化する仕組み等の連携、こういったことについても検討していってはどうか、また、近年の動向を踏まえてですね、給特法等一部改正という中で、本年4月から主務教諭が新たにできることになったわけですけれども、その多様な職務の一例として、こうした社会との連携に役割を果たしていくこと、そうした場合の運用形態、そういったことを含めた学校側の体制についても、今後は検討を進めていくこととしてはどうかとさせていただいております。
こちらはオレンジでお示しをさせていただいておりますけれども、伴走者やコーディネーター、学校関係者に対する資質・能力の向上の手立てというものをイメージとして示した上で、多様な小中高の具体的な事例をお示しをさせていただいております。事例を少しだけご紹介をさせていただきますと、例えば国立大学の方で探究創造コーチの認定制度ということで、1級、2級ということで、それぞれに要件を定めて認定をするということ、そしてそう認定した伴走者が実際に伴走するときに、AIの伴走者支援システムなどを活用して支援していくというような取組を始めて、今特定の自治体で実践を始められているような事例もございますし、こちら地域教育魅力化プラットフォームさんの方では、コーディネーター向けの研修を含めた様々なコーディネーターに対する一体的な支援ということを取り組まれている事例、また市町村の教育委員会の中でも、コーディネーターを含めてコミュニティ・スクール全体として育成していくための研修等の機会の設置であるとか、また県教委単位でスクールポリシーと総合のカリキュラムを接続する研修を県全体で行っているような事例、また管理職だけではなくて担当者だけでもなくて、管理職と担当者のバディで総合の研修を県単位で進められている事例、またこちらは学校単位の事例でございますけれども、校内研究に総合を位置付けることで、時間内に時間を生み出すことができ、その時間を使って地域人材も一緒に連携して構想するような時間を勤務時間内に確保をしたり、その時間の中で市役所に出張っていったり、商店街に出張っていったり、連携先を開拓するといったことをできるようにしているような事例、さらには義務教育学校の中で校内研究を小中を通じて作って、学びの変革に取り組まれているような事例といったことをご紹介をさせていただいておるところでございます。
続きまして、放課後を含む多様な体験機会や成果発表に関わる多様な機会の充実の在り方ということでございます。なかなか授業時間には限りがある中で、体験や経験といっても学校教育の中だけで実現できる範囲には限界もあるという中にあって、放課後も含めた様々な機会と接続を緩やかに図っていくことも重要ではないか、そういった中で、例えば全国1万2,000か所、これは補助金交付実績でございますけども、そこで実施されている放課後子供教室について、地域学校協働本部をはじめとした多様な主体との連携の中で、学習・体験活動としての高度化を図っていく、その中でマイ探究にも繋がっていくような体験や経験ができる環境を作っていくということも重要ではないか、そうした中で、放課後の連携が円滑な教育課程の中での連携の素地を作っていくことにも繋がるのではないか、また、探究の発表のステージについては、社会全体で応援する機運ができているという中で、そうしたことが学習の動機づけにもなり得るということや、それ自体が豊かな体験や経験の機会にもなり得るというところでございます。こうした中で、教師の指導性の発揮の一環として、学びの外化の機会、学びを深める機会に繋げることや、その際の発表の機会の在り方について、解説でしっかり示していくとともに、学校現場の取組の充実の参考となるような多様な事例を紹介していくこととしてはどうか、またその状況を可視化して自治体への取組等も促していくということとしてはどうかというふうにお示しをさせていただいております。
こちらにつきましては、ブルーで示させていただいておりますけれども、学校主体の取組、行政主体の取組、大学、企業、NPO等主体の取組ということで、様々な事例をご紹介をさせていただいております。事例でございますけれども、例えば地域住民・保護者に対して、希望者に対する地域のお祭りでも発表して、また区役所の展示会なんかを実施しているような事例もございますし、例えば探究の成果発表会を高校生ビジネスプラン・グランプリといったような形で出口を設定して実践しているような場合もございます。また、これは双葉郡の事例でございますけれども、ふるさと創造学の成果の発表の場という位置付けも含めてふるさと創造学サミットということを、市町村を超えて連携をして実施をされているような事例もございますし、これは一つの市の中の事例でございますけれども、プレゼンテーション大会というのを置いてそこに向けて小中学校の探究の設計をしているといった事例もございます。また、こちら北海道の事例でございますけれども、道立高校だけではなくて、特別支援学校や私立の高等学校も含めて、全体として成果発表会の取組なんかを設計を民間企業なんかも含めて連携をしながら実施をされている事例もございますし、また政府の方でも様々な政策アイデアコンテスト等々を行っているという事例もございます。NPO主催のものもあれば、またこちらは教師を対象として総合の多様な取組を検証するというようなことを地域単位でやられているケースもありますし、教科書という特定の切り口でコンクールを行っているようなケースもあれば、探究の可能性を広げるということで、生徒の多面的な探究の可能性ということに着目をして、意欲の向上に繋げるようなフィードバックをするということも含めたEXPOということも実施をされておるところでございます。さらには民間企業が主催をする全国の探究コンテストというような形で実施されているようなケースもあるといったところでございます。
次に、探究の充実に向けた費用負担の在り方ということでございますけれども、高校教師の約6割が予算不足だというようなことを課題として挙げているという調査もあるような中で、手弁当で進めていくということには限界があるというところです。こちらの経産省さんもかなり議論を進めてこられているところでもございますし、そちらもいろいろ参考資料の中でも引かせていただいておりますけれども、個人や企業に教育に関心があるという方は多いという調査もある中で、どうしても保護者負担や行政の費用負担だけで持続可能なものにしていくことというのは容易ではないということです。様々な実態に応じた取組の参考となるようなファンディングの多様な事例についても紹介をしていくこととしてはどうかということで、こちら赤で示させていただいておりますけれども、学校、行政、大学、企業、NPO等の様々な事例についてお示しをさせていただいております。
こちらも事例集の中にございますけれども、例えば小学校の実践でクラウドファンディングを活用して課題解決を実装していくというような事例や、義務教育学校の中では、ふるさと納税の返礼品を作りたいという探究の授業を60時間かけてやった中で、そこで集まった寄付金をさらなる総合の充実に活用していくといった事例、さらには、こちらの高校段階になるとIR説明会というような形で、生徒自身の手で出資を募っていくような形をとっている事例、こちらも資源獲得プレゼンということで、地域の方々に対してプレゼンテーションを行って、そこの中で有用な人とのつながりや支援を得ていくというような事例、さらには、こちらは市町村ですけれども、母校応援ふるさと納税という形でふるさと納税を募って、高校生のやりたいをサポートしていくといった事例や、スクールコラボファンドということで、基金を作って寄付金を年度をまたいで先生や子供のやりたいを叶えることに使っていくような事例、さらには、総務省の事業を活用しながら、地域プロジェクトマネージャーというような形で、市単位でコーディネーターを設置しているような事例もあれば、教育魅力化コーディネーターということで、島根県は各高校にコーディネーターを配置して、その中で一部地域おこし協力隊なんかの制度も活用しながら実践をされているといった事例、さらには、企業版ふるさと納税の人材派遣型を使って、探究型学習をコーディネートする人材を得ているといったような市町村の事例もございますし、総務省の中でも様々な事例があり、この青の部分は経済産業省の事業での報告書をそのまま引用させていただいております。
また、国立青少年教育振興機構の方では、子どもゆめ基金といった形で、マイ探究にも繋がり得るような多様な体験機会を作っているようなものもあれば、例えば企業の設立している財団の中で様々な支援をしているケースもあり、特定のテーマに寄せた形で支援をしているような事例もございます。さらには、企業がメディアの発信力を生かして、企業をまとめて支援しているような事例もあるといったところでございます。以上、本日多様な事例も含めてご紹介させていただきましたので、長くなってしまいまして失礼をいたしました。事務局からの説明は以上でございます。
【黒上主査】 本当にたくさんあって、思い出すものがいっぱいあるんですけど、今日の議論ですね、ちょっと情報を具体的に得た方がもう少し踏み込んで話ができるかなと思って、こちらからちょっとリクエストしたこともあったり、あるいはその委員の方々から資料提供をいただくというようなご要望があったりしたこともありますので、ちょっと3名、最初にプレゼンを少ししていただいて、それから皆さんのご意見を伺っていこうかなと思っています。まず最初は小見委員にお願いしたいんですが、よろしいでしょうか。
【小見委員】 資料を共有させていただきます。事前に黒上主査にご相談させていただき、許可をいただきましたので発言させていただきます。本日は社会と連携した総合学習や探究の時間を実現するために、3点、現場での支援と私自身の研究を踏まえて申し上げます。
1点目は、教員と外部人材の役割分担についてです。私は新潟県立津南中等教育学校における総合探究の研究を通して、生徒の自らの人生を舵取りする力ですとか、民主的で持続可能な社会の創り手としての意識の高まりに影響を与える教員や外部人材の役割というのを調査してきました。総合や総探において外部人材の活用というのは非常に重要なのですが、総合の中心になるのはあくまでも学校教育目標などを踏まえた教育課程上のねらいということで、子供たちにどのような資質・能力を育むのかを明確にした上で、先生方の役割としてはカリキュラムを設計し、子供たちの学びに必要な外部人材や地域資源をつないでいく、そして経験したことを振り返り、生き方や進路に繋げていく問いかけをして内省を促すといったような役割を担っていました。また、研究において探究の進度に応じた伴走的支援というのを先生方が適切に行っておられました。例えば、探究がまだ進展していない段階では、課題設定の見直しや停滞要因の確認、見通しの提示といった支援が必要でした。一方で、探究が自走化した段階では細かく指示するのではなく、生徒の主体的な実践を尊重し、承認し、必要な許可や進捗確認などを行う支援が重要でありました。
一方で、外部人材の方々は、子供たちが実社会の課題や多様な大人と出会い、自分の好きや関心を社会と接続していく場面で大きな役割を果たしています。例えば、専門家として新たな視点を提示したり、実際にやってみるように後押しをしたり、社会で求められる現実的なフィードバックを行ったりしていました。そこで、重要になるのがこの3で示した対等の関係性というところです。外部人材が生徒を単に教える対象として見るのではなく、同じ課題に向き合う一人の実践者として対等に関わるということが非常に重要になっていました。子供扱いせず、本気で向き合うことで生徒に緊張感や責任感が生まれ、探究の質が高まっていました。
2点目は学校と社会の相互理解を促す役割についてです。今述べたように先生と外部人材が役割を分かち合うためには、学校と地域の間で共通認識を作る必要があります。しかし、学校と地域の間には見えにくいずれがあるのも現実です。学校側では教育課程や評価、安全管理、時間割りなどの制約があります。一方で、地域や外部人材側には活動の自由度、成果に対する期待、地域課題への思いというのがあります。このずれをそのままにしておくと、時にはトラブルが起きたり、教員の負担が過度に増えたり、生徒の探究が十分に深まらないといったことが起きます。そこで重要になるのが、学校と社会の間を調整する役割です。津南中等教育学校では、学校内部の先生方が総合学習、総合探究コーディネーターとして配置されていました。また、津南町が設置する総合探究アドバイザーが学校と地域の間に立って調整をしていました。具体的には、探究学習の目的や目標をすり合わせること、学校と地域の関わり方を確認し調整をしていくこと、高校生の考えや実践に対してどのように向き合っていくのかという共通のスタンスを確認するということが行われていました。このような役割は学びの質に関わる専門的な機能です。今後、こうしたコーディネート機能を教員個人の努力に依存させるのではなく、組織的にも制度的にも位置付けていくことが重要だと考えています。また、小中学校では地域学校協働活動推進員の配置が進んでいますが、外部人材をつなぐというだけでなく、こういった学びの質に関われるような専門性を高めていくという支援も、これからは重要になってくると考えています。
3点目は持続可能な資金調達についてです。地域と連携した探究を本気で進めようとすると、移動費や材料費、会場費、外部人材の謝金、コーディネートに関わる人件費など、様々な費用が発生してきます。しかし、現状では学校がこれらの資金調達に苦慮していたり、NPO団体等の地域団体の手弁当に依存していたりする場合も少なくありません。私が研究の対象としていた津南町では、津南中等を支援する会というのがあります。廃校の危機を契機に地域住民を中心に組織され、会費や寄付を集め、資金調達をしています。それらをもとに探究学習に人的な支援ということでアドバイスをしたり、コーディネートをし、そして資金を子供たちの探究学習に関わる経費の補助として使っています。また、教職員研修の費用補助も、その資金から一部出しておられます。そして成果発表会は学校と共同実施という形で進めています。実際に生徒からも、支援する会にプロジェクトの出展費用や交通費を出してもらったおかげで、お金の心配をせずに思い切り活動ができたという声が多数聞かれました。これは地域が学校の探究を支える一つの重要な事例だと考えています。こういった任意団体を各地で立ち上げていくのは難しいかもしれませんが、既存のPTAや同窓会などの持つ資金も探究の費用に一部充てていくということは可能ではないかと考えています。特に子供たちが校外に出て多様な大人や社会課題と出会う探究は、受益者負担だけでは成り立ちにくい領域だと考えています。家庭の経済状況によって活動機会や探究をもっとしたいという思いにも格差が生じないようにしていく必要があります。したがって、探究の充実に向けて学校予算だけでなく、様々な資金調達の仕組みを掛け合わせていくということが必要だと思っています。合わせて、外部人材の関わりやコーディネート費用を無償の協力にだけ依存するのではなく、教育の質を支える必要な機能として位置付けていくことも必要だと考えています。
【黒上主査】 とてもインフォーマティブで参考になります。次は西岡委員にお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
【西岡委員】 よろしくお願いします。許可を得て、画面投影しながらお話しさせていただきます。私からは、学校と社会の連携に向けた関係者の資質・能力の育成、並びにキャリア教育と総合の関係に関連して大きく3点申し上げたいと思います。
一つ目のポイントは、学校を支える人々の力量を高める仕組みを整えるということです。今回ご紹介くださった資料は、本当に見応えがある魅力的なものだと思いました。一方で、なかなかすべての学校を外部のコーディネーターが支援する体制を整えるのは現実的に難しいと考えますと、学校の先生方の力量を高めるための伴走支援者として指導主事の力量を高める研修の充実が重要だと考えます。地域によってはすでに系統的な研修を指導主事に対して提供しておられます。また、教員志望の学生を巻き込むことも有意義だと考えます。こちらは私たちの学生が「土の教育」を支援するために作ったパンフレットなんですが、学生の参加は学生の力量向上という点でも有意義だと思います。
力量向上・実践改善のためにデジタル活用を推進することも意義が大きいと思います。現在、内閣府のSIP「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」では、「新たな『学び』」のデザイン開発を進めています。その中では、例えば学習ログを利用して生徒たちがどのような情報を集めているかを可視化するシステム、RefNaviが開発されています。また、遠隔地をつなぐ授業を教育委員会と大学が連携して開発し、公共的対話を実現している例も生まれており、これは教員研修としても機能しています。さらに、指導案や教材、研修用コンテンツを集約したQTALサイトが構築され、教育委員会や学校など機関単位での活用も推奨されています。以前は各地域でそれぞれに悩みを解決する取り組みを進めざるを得なかったのが、デジタルを活用すれば地域を超えて共同で課題解決に取り組んだり、実践の知見を共有したりできますので、そういった取り組みを今後一層推進していくことも重要だと考えます。
二つ目に、キャリア教育にも関連して、本日のスライド73に示されているような教育課程全体を通じた探究的な要素を持つ学びの充実を図る上では、改めてポートフォリオ評価法の活用をお勧めしたいと考えます。ポートフォリオの活用については、すでに現行の学習指導要領解説でも推奨されております。しかしながら、現状を見ますと、ポートフォリオについては、子供の振り返りだけが記録されていて具体的な作品が収録されていない、資料がためられているだけで活用されていない、数値化されたデータがレーダーチャートで示されているだけといった三種類の誤解が広がっているように思います。これらは本来のポートフォリオとは似て非なるものです。実は、先ほどご紹介したSIPの中で開発されたデジタル・ポートフォリオについては、活用例が動画でウェブ公開されております。そちらをご覧いただけると、具体的な成果資料をためておくこと、さらにそれを用いて学習者本人が語ることが要点であることが分かっていただけるかと思います。
ポートフォリオについては、入れる作品や評価規準の決定権によって三種類に分類できます。学習者側に決定権のある最良作品集ポートフォリオ、教育者側に決定権のある基準準拠型ポートフォリオ、両者で相談しながら作っていく基準創出型ポートフォリオです。基準準拠型ポートフォリオについては、海外では資格認定などにも使われています。総合的な学習・探究の時間の場合は、基準創出型ポートフォリオを長期にわたって使うことで、子供たちの探究力の高まりを捉えることができます。また、子供たちが課外活動も含め、自らの思い入れのある作品を長期にわたって蓄積していく最良作品集ポートフォリオは、子供たちのアイデンティティ形成を促すキャリア・ポートフォリオとして機能します。特別活動のワーキンググループではキャリア・パスポートの見直しが議論されていると聞きましたが、特別活動においては、こうした横断的・長期的な視点で見通し、振り返ることが重要だと思います。なお、ポートフォリオをポートフォリオ評価法として機能させるためには、学習者と教師で見通しを共有すること、蓄積された作品を編集すること、定期的にポートフォリオ検討会を行うことが必須となります。そういった効果的な実践作りの進め方の知見を共有していくことが重要だと考えます。
第三にご提案しておきたいのが、キャリア教育における総合と各教科等との関係とも関連しますが、教科と総合の間の相互環流を活性化することです。このことは、この図の赤で囲った部分に円環の図が入っていることにも象徴されていると思います。相互環流を活性化する上では、教科においてパフォーマンス課題を活用することが有効です。パフォーマンス課題というのは、知識やスキルを総合して使いこなすことを求めるような課題であり、この図で言うとパターン3に該当いたします。「逆向き設計」論では、パフォーマンス課題をこちらに示したような知の構造、特に「本質的な問い」に対応させて作ることが提唱されています。教科において質の良い「本質的な問い」に繰り返し取り組むことは、教科内容の深い理解に繋がるとともに、子供たちにもっと深く掘り下げたい問いに出会う機会を与え、探究力を高めることに繋がります。そして、蓄積された作品群が長期的なキャリア・ポートフォリオにも繋がってきます。
【黒上主査】 ポートフォリオに関しては僕もずっと関心はありまして、ルーブリック評価との関連なんかも非常に重要だと思ってるんですけど、またそんな話をあとでご意見として伺えればと思ったりしています。それでは、三人目、木曽原委員、お願いいたします。
【木曽原委員】 よろしくお願いします。私も事前にご相談させていただきまして、許可をいただきましたので、資料を使って発言させていただければと思います。私の方から外部の企業や団体との連携という観点でお話をしたいと思っております。
参考資料にも経団連の調査の情報はありましたけれども、CSRの関連支出のうち教育関連は最大で約2割と非常に関心が高い領域になっていて、具体的な支出額について毎年情報出てないんですけれども、2017年度の情報で、これ回答率24%なんですけれども、自主プログラム関連費用ということで413億円が支出されているという情報がございました。社会貢献活動を行う理由としては、当然社会の一員としての責任とか、地域との良好な関係性の構築というようなものが挙げられていて、これは社会との接続という意味でも今回の議論に通ずる部分がありますし、社員自体の社会課題に触れて成長する機会とかモチベーション向上っていうのが挙げられてるんですけれども、私ども自由すぎる研究EXPOというイベントをさせていただく中で企業の皆様と関わってるんですけれども、企業の皆様が実際にこの教育支援をすると社員のモチベーションとか成長に繋がるというご意見たくさんいただいているんで、この部分でも今回の議論と親和性が高いんではないかなというふうに思っています。
一方、企業が社会貢献する上での課題として、企業から見てやってることの情報発信をどうやってやっていくのか、どうやって知ってもらうのかというのは課題があるということと、あとは効果とか成果が見えにくいという点は課題として挙げられてるというところでございます。まず支出規模としては、自主プログラム自体は教育以外も全部含めてなので、413億円のうち大体約2割が教育に支出されてるというふうに考えると、回答企業だけで約80億円が毎年支出されていて、回答率24%なんで最大4倍、まあ保守的に見て3倍程度が、経団連の企業で240億円ぐらいが支出されてると考えていいのかなというふうに思います。メリットとしては、企業のメリットという意味では教育貢献とは非常に親和性が高くて、ですので、課題となっている企業から見ての情報の発信方法とか、成果・効果が見えにくいというような部分に対して、今回整理されている方向性に合わせていくことで、学校にとって活用しやすくなることができれば、企業にとってみると知ってもらえるということになりますし、学びのプロセスに具体的に貢献してるっていうところを説明できるようになるということは、企業にとってメリットなんじゃないかなっていうふうに考えています。
具体的には、今回お示しいただいているような連携パターンっていうのが出ていましたので、それに合わせてそれぞれの教育の狙いですとか、真ん中の連携の具体的な形式、こんなパターンがありますよというのを例示していって、それに必要な時間ですとか、企業側とか団体側に具体的に何を準備していただくのかというようなものを整理して、事例とともに示すということができると、かなり方向性があった形で、既存のすでに企業が社会貢献で支出してる費用というのが教育の政策に合った方向になるんじゃないかなと思っています。このワーキンググループ自体はどちらかというと教育現場に対する議論なので、直接的にスコープ外になる部分もあると思いますけれども、せっかく整理されてる議論の方向性なので、何らかの形でこういう整理をして外部への発信を目指せればなと考えております。
【黒上主査】 どうもありがとうございました。我々の知らない数字がすごいいっぱい出てきましたけれども、それでは今までのことを踏まえて、皆さん順番にご意見を伺いたいと思います。挙手のあった方からお話いただければと思います。よろしくお願いします。では山田委員、よろしくお願いします。
【山田委員】 今回も現場サイドの意見ということで述べさせていただきます。社会と連携した豊かな総合の実現にかかる分かりやすくまとめていただき、ありがとうございます。また、事例もたくさん紹介していただき、学校現場にとってとても役立つ資料となってると思います。中学校としては、前回の学校行事の活用には多くの事例が紹介されていましたが、今回の社会との連携については中学校の事例が少ないというのが、中学校の現状を表していると思います。
この点について意見を述べますと、ページ5の4つ目の丸にありますように質の高い探究を実現するためには社会との連携が必要不可欠なものだと示されていますが、この認識を学校は強く持つ必要があると思います。小学校では従来から地域と結びつきが強いために、地域と連携した学習が充実しています。高校は企業や大学との連携が充実しています。一方、中学校では学年組織で動いてしまい、自分たちでなんとかしようとしてしまいがちです。結果的に学校内に閉じた学習になる傾向が強いです。地域や企業の課題に協力をお願いすることに負担を感じる面も確かにあると思います。この課題を今回の改訂を機に改善していく必要を感じます。
私の経験を少しお話させていただきますと、以前私が勤務してた学校の近くに伝統のある格式の高い事業所がありましたけれども、そういった事業所について教職員は、こんなところは学校に協力をお願いすることは無理だろうと決め込んでしまっていて、なかなか手を出していませんでしたが、ある年一度頼んでみようとその職場に講演、見学等の依頼をお願いしたところ、相手側からは、ようやく来てくれましたかと。何か協力できればと思っていたのですが、声がかかるのを待っていたとお返事をいただいたことがあります。結果的に総合の学習に協力していただきました。中学校というのは微妙な立場にあります。外部の方からは、中学校は関わりたくても関わりにくい面を感じておられるようにも思います。実際に関われれば中学生の見方がいい方向に変わったり、中学生の持つ力の大きさに気づいたりと、好意的な意見がほとんどです。また学校側としても、学校では甘えから横着をしている生徒がピリッと一生懸命体験をして充実感を得たり、事業所や地域の方に褒めてもらって自己有用感を得るというようなこともよくあります。連携のメリットは、単純に質を高めるだけではなしに、ほかについてくるものもたくさんあります。今回社会との連携について、ページ8、9のマッチング等の関わりの在り方、ページ10、11のコーディネート機能の体制の在り方と分かりやすく示していただいたことは、この連携のハードルを下げることに繋がり、とても意味があると思っています。
次に14ページの放課後を含む体験機会や探究の成果発表に関わる多様な機会の充実の在り方について、二つ述べさせていただきます。まず放課後についてですが、中学校では今後部活動の地域展開が進んでいきます。地域差はありますが、これまで大半の中学生は放課後は部活動をしていました。ここ数年でこの放課後の在り方が変わっていくことは間違いありません。放課後が時間外の学びの機会として活用していければ、またその際に社会と連携した活動ができれば、言葉は適切ではないかもしれませんが、一石二鳥なのではないかと考えています。
二つ目の探究の成果発表についてですが、地域活性の行政の取組と重ねて、中学校の総合の学習の時間に行政職員の全面協力を得ている事例もあります。探究活動に協力をいただき、成果発表にも参加してもらって、講評してもらう。中学生の考えたプランが地域活性にそのまま繋がるわけではありませんが、中学生が地域の活性化に関心を持ち発表する。その発表を参観する保護者の方も関心が高まるなど、学校行政の両方にとってウィンウィンの効果が生まれています。地域課題に対して自治体の関係者と連携して取り組むことはとても意味があると考えています。今回そういった事例も紹介していただいてますので、とてもありがたいなと考えています。
最後に今回資料として提示していただいてます京都市教育委員会の取組ですけれども、京都市では、京都学びのまち生き方探究館という体験型の施設を拠点として、学校と企業、行政、地域、社会をつなぎ、小中学校段階から勤労感、職業感を育む取組を展開しています。また、社会に開かれた教育活動推進という事業を展開して、外部連携にかかる費用面をカバーする取組を進めています。社会との連携については、この行政側の支援が重要だと考えておりますので、また今後とも進めていければと思っています。
【黒上主査】 どうもありがとうございました。それでは次、佐藤委員お願いいたします。
【佐藤委員】 本日の事務局からのご提案は、これまでのワーキングにおける議論を丁寧に積み上げ、質の高い探究をすべての学校で実現可能とするための道筋を、社会との連携という観点から構造的に示してくださっていると受け止めております、基本的に賛成の立場から、二点申し上げます。
一点目は、探究と社会との連携についてです、探究は、実社会や実生活との関わりから課題を見いだしたり問いを立てたりする特性を有しています。各教科や情報領域での学びが「素振りと練習試合」と表現されるならば、探究は「本番の試合」です、これまでも議論されてきた通り、この本番の試合を学校内だけで完結させるのではなく、子供たちが切実な思いや課題と向き合う際に、地域、企業、大学、NPOといった実社会で常に実践されている大人と出会い、伴走や協働をとおして学びを社会へ開いていくことが重要です。その意味で、本日整理していただいた社会との連携は、質の高い探究にとって不可欠な基盤であると捉えております。そして、この本番の場面こそ、子供たちにはデジタル学習基盤や情報領域で身につけた情報活用能力を存分に発揮してほしいと願っています。例えば、様々なメディアの調べ方、ファクトチェックや引用の方法、データの整理、生成AIの適切な活用といった力は、社会の本物と関わる中でさらに発揮されます。こうした活動をとおして初めて、知識が生きて働く子供たち自身の力になっていくはずです。様々な関わりの中で、手法の妥当性を議論し、より良い方法を模索していくことで、探究がより深まっていくと考えます。
さらに、今回の改訂では研究系や行動系だけでなく「創作系」も位置付いており、多様な探究が進むことになります。その中でのAIやデジタル技術の効果的な活用も、人との関わりにおいて円滑に進むようになると考えています。また、社会との連携として、課題解決のために地域へ赴き、そこで出会った誰かの課題と向き合うことも考えられますし、子供たちの伴走者としてエンジニアなどの専門人材が活躍することも期待されます。事例集の8ページにある日立の事例のように、小中学校を通じてデジタルを活用し、豊かで質の高い探究を実現していくためには、産業界を含めた社会との連携を強力に推進する必要があります。お示しいただいたような好事例が、今後さらに広がっていくことを期待しております。
二点目は、情報の領域についてです。昨年11月以降、本ワーキングと情報・技術ワーキングが共同で議論を重ねてきた成果が、本日の報告に表れていると受け止めております。内容のまとまりやミニ探究ユニットのイメージは、具体的に進化しています、情報ブロックで習得した知識・技能をミニ探究で活用し、さらに探究の領域で発揮していくという、双方のワーキングの考えを踏まえた「探究と情報が相互に高め合う構造」が明確に示されました。この方向性でさらに議論が深まることを期待しております、私からは以上です。
【黒上主査】 どうもありがとうございました。それでは伊藤委員お願いできますでしょうか。
【伊藤委員】 小学校現場の立場から、総合における社会との連携の重要性について二点申し上げたいと思います。まず、7ページの補足イメージの2を、お願いします。ここに示された社会連携に関わる丸1から丸6の論点について、考えられる施策の検討や参考となり得る実践事例の発信については、非常に意義あることだと思いますのでご提案に賛成します。
少し付け足しますと、現在進んでいる改訂に向けた議論では、なお一層教育課程全体を通じて学校と社会との連携を進めていくことが求められています。そうした背景の中で、地域や社会そのものを学びの舞台としている総合の学習において、社会との連携をさらに推進して充実させていくことは、社会に開かれた教育課程を実現していく上で欠かすことができない視点ですし、総合はその中核を担っていくのだと思っているところです。
昨年度本校では総合で4年生が地域の福祉施設との交流をメインアクティビティとして行なったんですけれども、互いに初めての連携でしたが、連携の目的を共有して直接的な関わりを重ねたからこそ得られる非常に多様で実感的な気づきとか親しみが生まれたり、リアルな課題に直面したりして子供たちの学びが深まりましたし、一方地域にも大変喜んでいただいて、継続を求められるような取組になりました。これはほんとに自校の些細な実践で、まだまだ連携を通して探究の質を高めていく余地があるわけですけれども、今回示していただいているように、全国には子供たちにとって非常に豊かで深い学びが実現していく、一方で地域の活性化にも繋がる事例がたくさんありますので、こうした意義ある社会連携を伴う実践例が具体的に示されることは、学校現場にとって大きな支えになるなと感じます。
もう一点、7ページに論点2として示されている社会と子供の関わりの方に関連して、9ページの補足イメージ3をお願いします。補足イメージ3のこの子供と社会の関わり方の連携の深まり方のイメージが、私はとても興味深かったです。総合的な学習の時間は外部との連携とか多様な体験活動が特徴ですけれども、言うまでもなく連携とか活動自体が目的ではありません。生活科でも同様に、子供が地域の人や資源と繋がって、身体を通した体験活動を充実させていくことで実感的な学びを得たり、あるいは課題を自分ごととして捉えたりして、さらにもっと知りたいとか調べたいというふうに探究的な学びへ進んでいくんだと思います。なので、形だけの連携ではなくて、何のために連携するのかとか、連携を通してどんな学びの姿を描くのかという見通しを、学校側があらかじめ持った上での連携が重要ではないかなと考えます。
そうした観点から、ここにある連携の深まり方のイメージの、出会い、本物から学ぶとか、伴走、本物を意識して学ぶ、協働、本物と学ぶというこの3つの層は、地域側とか社会側だけじゃなくて学校側にとっても自分たちの計画している、あるいはこれまで行なってきた連携はどんな位置付けにある連携かなというふうに振り返ったり確認したりする上での一つの目安になるのではないかなと思いました。そうした振り返りや確認の結果、なんとなくの連携から意図を持った連携、目的が明確な連携というように深めていくことができるのではないかと感じました。さらにこの3つの層それぞれについて、右側にあるような具体的な事例を示すというご提案なので、そうなればそれぞれが自己のニーズとか地域の実情に合ったものを選び取って、参考にしやすくなるんではないかなと思いました。以上になります。
【黒上主査】 それでは川越委員お願いいたします。
【川越委員】 まずは資料をまとめいただき、またご説明いただきどうもありがとうございました。具体的事例も多くとても充実した資料になっていると感じました。どうもありがとうございます。私からは大学の視点になりますけれども三点お話しできればと思います。
一点目が、資料の5ページ目のあたり、連携についてになります。ここにもありますように社会に開かれた教育課程の充実化というのはとても重要だと思いますし、またキーワードとしてもとても伝わりやすく、いいのではないかと思っております。今回、様々な具体的な連携事例をおまとめいただいておりますが、引き続きこういった好事例はぜひ紹介していただきたいと思います。一方で、実は連携をどう作り上げて、今に至っているのかというのがとても大事だと思っております。どういうきっかけを作って連携に至ったのか、そういったノウハウや、さらにその際に課題だったことや、それをどのように解決して現在の連携に繋がったのかといった、連携に向けたノウハウやポイントというものをまとめて紹介するのも必要かと思っております。
また、学校と企業・大学・地域など、点と点が繋がるというのは非常に大変で、おそらく先生方同士で知り合いのつてなどをたどって連携しているというケースもあるのではないかと思います。私たちも飛び込みで話を持っていっても連携に結びつかないということもありますし、連携を作っていくには結構時間もかかると思います。そのため、互いの要望などが集まるようなプラットフォームや、システマティックな仕組みというものが作れるととてもいいのではないかと思っております。こう仕組みが確立されてくると持続可能な教育エコシステムの確立にも繋がっていくかと思います。加えて、連携をしていく際、学校側の学習のスケジュール感で考えると、今年度いろいろと議論されたものを元に来年度のものが決まっていくという感じかと思いますが、企業などはタイムスケールが短かく、今議論しているのをすぐやっていきましょうというようなスピード感で、1年で終わるといった、企業のタイムスケールと学校側の教育のタイムスケールでは視点が違うというところもあるので、そういった前提が違うという点も、プラットフォームや研究会、教員研修などを通して情報共有できると、より具体的な連携に向けた議論ができるのではないかと思います。
二点目が、資料の10ページのあたりになります。コーディネート人材についてです。コーディネート人材は、どういう人材が必要なのかについては、様々な視点があるということを、先ほどもご紹介いただいたと思います。また、ここに記載のある高校コーディネータースタートガイドブックを拝見しますと、いろいろな業務や視点があるというところがコンパクトにまとまっていると思います。こういった事例をぜひ積極的に情報発信いただけるといいかなと思います。また学校としてはどの部分を担うコーディネーターが必要なのか、企業であったらどういった部分が担えるのか、大学だったらどういったところが提供できるのかといった点も、それぞれの立場で明確化して、プラットフォームのようなところで情報がまとまると、連携のきっかけやマッチングに繋がるのではないかと思います。
三点目が、発表するステージについて、14ページあたりの発表の機会のところになります。探究などで生徒さんが直接発表するステージというのは非常に大事だと思います。一方で、発表が大事という点をうまく説明していかないと、結局探究の出口が発表することになってしまい、それが目的になってしまうのは問題かなと思っております。探究学習において大事なところの一つは、次の課題を見つけて次につなげていくというところかと思います。そういった終わりがない中での一つの着地点であったり、節目であるという点を明確化し、お伝えして、再確認していくというところが必要だと感じました。
【黒上主査】 山本委員お願いいたします。
【山本委員】 本日「社会との連携」ということで9ページにあるように、協働の在り方を具体の事例も合わせてお示ししていただいたので、非常に学校にとっては分かりやすくなったと考えております。今日の事例にもありましたけども、横浜市でも「はまっこ未来カンパニー」と言ってマッチングの仕組みを今年で10年以上になるんですけども、当初、25社から始まった企業も現在200を超える企業が登録していただいているようなところです。そういった活動を続けてきた中で、二点ほど学んできたことについてお話しできればと思っています。
まず一つは、もうすでにいろんな委員の方も話していますけども、目的を明確にして、それを企業と共有するということが大事だと考えております。企業と共に問題を解決するとか開発するとかっていうこともあるんですけども、子供たちが社会と関わり参画していく際に、実社会の厳しさに出会ったりとか、子供の当たり前だと思っていた思考を立ち止まらせてくれる役割であったりとか、そういうプロセスの中で、学んでいく価値があると思います。その目的を企業と共有することが大事だということをどこかに明記していただけるといいのかなと思っています。
二点目は、企業にとっても持続可能な仕組みにしていくことが必要だと思います。これもすでに委員から意見がありましたけども、子供たちだけではなくて、企業にとっても学んできたプロセスや履歴を残していくとか、横浜では表彰をして企業イメージを上げることもしています。また、取組について発表の場とか広報の場とかを作り、情報発信を学校任せではなくて、教育委員会などが行っていくことを通して、企業にとってもウィンウィンの仕組みを作ることが大事だと思っていますので、こういったところについても少し触れていただけるとありがたいかなと思っています。私からは以上です。
【黒上主査】 堀田委員、よろしくお願いします。
【堀田委員】 7ページを示してください。豊かな資料があって、これらが共有されることで社会との連携が推進しやすくなると感想を持ちました。小見委員とか、木曽原委員、西岡委員のご意見を聞いて、これからの生徒の未来に向けた深い学びの機会を得ることができる社会連携は非常に良い取組だなと思います。
一方で、堀川学校教育官からの説明のとおり、連携が枠組みだけになっているところもあると思います。その解決策のひとつにコーディネーターを入れることが重要なポイントになると思います。それが主務教諭、社会教育士、指導主事のスキルアップという方法もあるかと思いますが、大学生がコーディネーターとなってグループで小中高校と関わることもよいかもしれません。資格バッジのようなものを与える制度もあっていいかもしれません。大学生が社会連携として学校に関わるバッジ制度も検討いただくのはいかがでしょうか。
もう一つは、従来探究をやってきたところ、そしてこれから社会との連携をやろうするところ、さらに質の高い探究を求めようとするところ、まだ探究ができてないところ、というように、その差の広がりを埋めていかないといけません。単にコーディネーターが入ったから埋まることもないので、次期学習指導要領が全面実施される2030年度の前倒し期間などで、これら様々な社会との連携の実践が、補助金等で多くの学校で実施されてデータベース化するのも、一つの差を埋める方法になると思います。
さらにその差を埋める施策だけではなくて、差を明示するのも方法です。実際質の高い探究を実践している、社会との連携を実施している学校をWebサイトで公表する。それが小中高の総合の中での質の高い探究の自覚にも繋がるのではないでしょうか。
【黒上主査】 学校の情報化度みたいなのをずっと文科省が試験単位で公表していましたよね。そういうことがこの探究でもできるとおもしろいかもしれませんね。次、細田委員、よろしくお願いします。
【細田委員】 細田です。よろしくお願いいたします。私は脳科学の研究者という立場と、まだ日が浅くて2年ぐらいでしかないんですが、学校と地域と大学の連携の中で子供たちの探究活動を支援する取組を行なってまいりましたので、その観点から少し意見を述べさせていただければと思っております。
一点目はですけれども、7ページあたりにある多様な体験や経験が基盤というところでございます。これ研究でもかなり裏付けられていると思っていまして、2014年あたりの研究資料ですけれども、好奇心が高い状態、特に好きっていうのが高い状態ですと、通常の記憶に関わるような会話みたいなものと、ドーパミン系の報酬系と言われるところの活動が高まるっていうことが分かっていまして、そうするとそのとき学ぼうと思っていた興味の対象だけではなくてですね、その場で偶発的に起こってきたようなこと、偶発的に見えてきたようなことっていうところの情報の記憶ですとか学習の改善っていうのにも非常に繋がるっていうことが示されておりますので、そういった観点からも様々な人に会って新しい課題に触れることというのは非常に重要な学習の中核になるようなことだというふうに考えております。私たちの研究からも多様な活躍する大人、あるいはロールモデルとの関わりによって自己効力感ですとか主体性にも効果が見られるということが分かってきておりますので、非常に重要なことかなというふうに思っております。一方で私たちの活動も含めてなんですけれども、こういった取組の効果とかアウトカムっていうものをどういうふうに設定して、その効果ですとか質というのをどのように評価していくのかというところも合わせて考えていくってことが非常に重要かなというふうに思っております。
二点目になります。8ページ、9ページのあたりに出会い、伴走、協働という段階が示されておりますけれども、これ自体も非常に重要だと思っております。自己決定理論の中では自立性だったりとか有能感とか関係性っていうのが同時に支えられることでその子供たちの自発的な動機づけとか学習が高まるっていうことはすでに十分有名な話かとは思いますけれども、こういった研究の中で示されているのがその探究とか自立性っていう言葉が単に自由空間の中で主体的に勝手に子供たちが選べるということだけではなくてですね、その自由がある程度構造化されているということが学びを強めることが分かっておりますので、こういった出会い、伴走、協働みたいな形である程度構造化された中で自立性とか自由な中で子供たちが学べる環境を作るっていうのは非常に重要かなと思った次第です。
三点目になりますけれども、10ページ、13ページのあたりで学校社会をつなぐ体制としてコーディネート機能の重要性というところが示されておりますけれども、これもよくご存知のことかと存じますけれども、支援側ですね教師、学校の先生の動機づけと生徒の動機づけっていうのは非常にリンクする、相関するということが研究からも分かっております。ですので今後のコーディネーターとかも含めてだとは思うんですけども、教員側、コーディネーター側に制度的な圧力だったりとか資源不足があるっていうこと自体が、支援する側の自立性とか有能感とか関係性というのを阻害するということが分かっておりまして、そういったことが実は子供自身の学習環境、探究環境に対しても非常に影響を与えるということも分かっておりますので、そういった観点からやっぱり子供の学びを守る仕組みとしても学校だけではない地域や社会と協働していくということが非常に重要になってくんだというふうに思っております。また私自身の活動の経験からもですけれども、枠外の人材、企業だったりとか地域の方々と協働していく中で、例えば個人のやりがいだったりとか企業のCSRの文脈だけですとやっぱり持続可能性が低いのかなというふうなことも感じておりますので、そういった意味では地域とか目的を共有するというお話がございましたけれども、地域とか個人とか企業がこういった探究活動に持続的に活動していくためのインセンティブにもなりうるような目的意識だったりとか、そういったものの醸成というのが非常に重要だと思ってますし、また先ほど大学生の話なんかもありましたけども、そういったとこに関わること自体へのインセンティブ設計みたいなことも一つのキーにはなっていくのかなと考えているところでした。以上でございます。
【黒上主査】 それでは廣瀬委員、お願いいたします。
【廣瀬委員】 私はこの14年、毎月高校の先進的な総合の実践を取材し、学ばせていただいておりますが、その中で、探究が加速度的に浸透して、質の向上が顕著であると感じておりました。本日提示していただきました具体の事例を拝見して、改めて探究の内容が非常に豊かになり、量的にも質的にも申し分ない探究が学齢によらず全国で実践されて、確かに課題もありますが、実践が進んだからこそ生まれてくる課題なのではないかと受け止めました。総合がしっかり根付いてその制度の着実な高まりを感じたところであります。資料の作成等ありがとうございました。
さて、13ページ、伴走者、コーディネーターについてというところなんですが、研修等も非常に重要だとは思うんですが、前段階でどのような視点でどのような人を選ぶのか、ここがすごく大切だなと感じております。川越委員からも触れられておりましたけれども、その方たちがどのような能力が備わっている必要があるのかとか、さらにどのようなパフォーマンスを学校側で発揮してほしいのかというところです。コーディネーターに求められる力量も明確になってきておりますので、学校も地域もそのような力をつけて、社会全体で子供たちを育んでいくという姿が見えてきたような気がいたします。
24ページになります。調整授業時数制度について、裁量的な時間についての4項目であり、学校と地域の連携体制の確保が挙げられております。裁量的な時間に充当する学校と地域との連携体制の確保に黄色いラインがありますので、そのあたりが非常に強調されているわけですけれども、調整授業時数制度、それから高校の単位制の柔軟化におきましては、探究と非常に親和性が高くて、学校の特色や独自性を創出することに総合が寄与しているということが分かります。サキドリ研究校の中にも探究を進めている学校もありますし、研究開発学校や現行の教育課程特例校、それから時数特例校の中には探究を軸としたり、総合の時間を増やしている学校もあります。特に高等学校は、学校の特色化、魅力化の一端を担っているのではないかと思っております。裁量の時間以外にも調整授業時数など、探究の推進が期待できると感じております。
全体的なところにはなるんですけれども、総合や探究の持っている可能性というのが、子供に与える良さだけではなくて地域に及ぼす波及効果があります。探究で生徒が育ち、地域を大きく変えている、学校という存在の機能や役割が豊かに多機能になっているような気がします。これは本校の事例なんですけれども、先日本校の2年生の生徒が、自転車通学の生徒が多い中、横断が非常に危険な箇所があり、どうにか解決できないかということで大人に相談し、それを学校で警察署に要望書を出し、CSの委員ですとか保護者代表がそれぞれまた警察署のほうに依頼をして、警察のほうでもすぐに現場の状況を見て、通学時間に何台の自転車がそこを通過するかなどを調査してくださり、自転車横断帯ができたというような例がありました。一人の女子生徒が声を上げたところから課題解決した例で、「笛吹高校生、横断帯実現」というふうに新聞に報道されると、地域の方からもその行動に対して多くの反響がありました。探究をして生活の中で問いを持ち、社会に働きかけるということが、当たり前というか普通のことになってきたのだと感じた例でもあります。学びが確実に広がってきていて、生徒の成長というのもありますが、地域が豊かになっているのを感じました。これらは、学校の教育目標が形となって現れた生徒の姿と考えられます。学校としてはカリキュラムデザインと密接に連動をすると考えております。
現在の学習指導要領の総則の2の1、小学校のほうでは、「教育課程の編成にあたっては学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ、各学校の教育目標を明確にするとともに、教育課程の編成について基本的な方針が家庭や地域とも共有されるように努めるものとする。その際、第5章、総合的な学習の時間の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする」、というふうにございますが、こちらには教育目標を起点に総合のカリキュラムを設計するということが重要であることが明確に示されています。カリキュラム・マネジメントやデザインの中心は総合が位置付けられていて、そのための規定が整っているということも非常に大切な点だと考えました。
まとめとしまして、ほんとにカリキュラム・マネジメントや教育課程の編成、それから調整時間数制度などを進めていく際には、外部資源を活用する必要性が出てまいります。これらと連動して外部の力を取り入れることで、学校の学びが豊かになりますし、同時に学校が地域や社会、企業へ働きかける機能も大きくなります。地域の活性化や社会、企業への利益、さらには持続可能性を考える高校生の働きかけなど、学校と外部がお互いに利益を得る、Win-Winの関係を築くことが重要になってくると考えます。このような取組によって学校の教育課程がより豊かになるのはもちろん、学校という存在そのものが変わっていくのではないでしょうか。いわゆる社会に開かれた教育課程として学校を開き、多くの人が学校に関わることでさらに学校も豊かになり、また地域に生徒が出ていくことで社会も豊かになります。これこそが、将来の地域社会と学校の姿ではないかと考えました。
【黒上主査】 定員割れした公立高校がなくなっちゃうという恐怖を感じつつある中で、学校の存在そのものが変わるという大変力強いご意見だったと思います。それでは、酒井委員お願いいたします。
【酒井委員】 社会との連携の推進や、そのための具体的な手立ての検討には大いに賛成します。それは教員の負担軽減という理由だけではなく、探究の質の向上や生徒の成長という観点から極めて重要だと思います。事例で紹介していただきましたけれども、本校での例を見ましても、社会との連携があるからこそ探究の質が向上し、生徒が成長するということをいつも感じています。
その上であと二つ発言させてください。一点目が9ページについてです。社会との連携ということについては、おそらく反対する人はいない気がします。それにもかかわらず十分に進まないのは、予算や制度だけの問題でもないように感じています。学校には外部をうまく生かしきれていない例がいっぱいありますし、地域や企業の側にもどう関わればいいか分からないという声があるということが資料でもありました。また、教員が通常業務に加えてコーディネートまで担う、これは正直限界もあると思っています。だからこそ事務局資料で示されているような出会い、伴走、協働、こういった整理があることがまず大事だと思っています。大事なことは、学校と外部人材がどのような関係を築くことで生徒の学びが深まるかという視点だと思います。今後はどのような関わりが探究の質の向上に繋がるのか、また教師がそれをどのように学びにつなげているのか、こういった観点から事例の整理が進んだらいいのかなと思っています。学校と社会の連携が進むことで教員の役割は小さくなるわけではないと考えています。むしろ社会での出会いや経験を生徒一人一人の学びや問いの進化につなげていく教員の指導性は、これまで以上に重要になると感じています。
次に12ページお願いします。コーディネーターの重要性が強調されています。廣瀬委員からもありましたが、どんな方になっていただくかはすごく大事ですし、さらにどう育成し継続的に確保するのか、この視点も必要だと思っています。学校と社会をつなぐ役割は経験だけで自然と身につくものでもないですし、おそらく一定の専門性も必要だと思います。教員経験者とか地域人材とか多様な方がその役割を担えるような仕組みや育成の在り方、そういった方のキャリア形成、このあたりも今後検討できたらいいのではないかと思っています。こうした取組が進む中で、教員以外にも生徒の成長を支える大人が学校にいることが当たり前になる姿はこれからの学校の一つの姿だと感じています。
最後に私は学校の学びと社会との接続の重要性を感じ、実践してきました。そういった立場からすると、総合的な学習・探究の時間の議論の中で、ここまで社会との連携が正面から扱われるようになったことを大変意義深く感じています。私自身も当事者の一人として考えていきたいと思います。
【黒上主査】 先ほどの堀田委員の学生のバッジ制度みたいなものも、もしかすると育成と繋がってくる気になってますね。それでは岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】 今回の社会との連携接続のところで、大きく私から三点について申し上げられたらと思います。
一つ目は、社会との連携の実現可能性を確保するための学校運営協議会等の連携協働体制の役割というところに関してです。社会との連携をやっていく上で、学校だけにお任せというのは非常に難しい。そこをしっかりと接続していくための連携協働の体制の充実というところが必要になってくるかと思います。その際にですね、この学校運営協議会等の連携や協働を進めていくところの役割とか関わり方をやっぱり大括りででもはっきりと明確化していくということが大事になるかと思います。
今回一部整理されてますけども、今までの議論でも三つの役割とか関わり方があるかと思います。一つ目がいわゆるPDCAにおけるそのPlanの部分ですね。探究の例えば目標だとか方針とか内容とか、もしくは連携自体の設計だとかデザインをしていくところにおいてしっかりと関わっていく部分の、プランニングの部分というのが一つ目だと思います。二つ目が、Doの部分ですね。実行とか実施。それは今回出会い、伴走、協働という形で、そのDoの部分の関わり方を整理されたんだと思います。三つ目が、このPDCAを回していく上でのほんとに根幹にある基盤となる、教育資源の獲得の部分です。ここが今までおざなりになってきたと。今回の資料でも一部出てきてますけども、例えば学校運営協議会等が、探究の実施だとかを進めていくための資源をしっかりと獲得していくという部分で力を発揮する余地というのは大きくあるわけですね。例えば卒業生からの寄付とか遺贈寄付、企業からのふるさと納税などです。こういったところで、しっかりと必要なリソースを集めていくという部分。それも単年度で使うわけではなくて、基金のような形で貯められると、例えば遺贈寄付にしても企業版ふるさと納税とか、そういったところでも1億円集まってですね、運用益じゃないですけどこの2%、毎年利子が付いていくとすれば、毎年200万は自由にこの探究の活動とかに継続的に使えると、そういうふうになっていきます。これはなかなか学校の中で教員がそんなことできませんので、こういったところに学校運営協議会等がしっかりと社会資源を確保して、この実行可能性を高めていくという、ここの役割を含めて今後明確化していく必要があると思います。事例の創出と事例の共有というところは文科省としてもやっていただけたらと思いますし、ゆくゆくはこういったところの税制優遇措置とかですね、そういったところなんかもぜひご検討いただけるといいのかなというのが一点目です。
二点目、コーディネーターの在り方に関してです。今回資料も示していただきましてありがとうございます。コーディネーターに関してもですね、多くの課題となってることの一つはですね、コーディネーターというのをあたかも一括りにされてしまって、いろんなものを期待されたりするというようなところがミスマッチの大きな要因の一つになってます。コーディネーターといったときに、まさにその職能があるわけですね。コーディネーターでもレベル感とかやることの層があるということをしっかりと明確化して共有していかないと、このずれが起きていくと。先ほどありました例えば生徒、子供たちの探究だとか生徒の壁打ちとか伴走っていうことをやっていくというのは、もしかしたらある程度有償ボランタリーな部分でできる、インターンシップでできる、学生でできるとかですね、こういった部分もある種コーディネーターと言われたりコーディネーションと言われたりするときもあるわけですけども、ここなんかは先ほどありました探究伴走士とかで何かバッジでもつけて明確化していくみたいなのはこれでいいと思います。一方で先ほどありました、例えばリソースコーディネーターですね。企業との連携だとかそういったことをしながら、必要な人、物、金を確保していくようなこういうコーディネートをするというのは、これまた職能が非常に高いところでですね、素人でといったらあれですけども、なかなか、しにくい部分があります。ここはある種しっかりとですね、それなりの人がいないとできないとかですね。やっぱこういう、大体今回でも三層ぐらいに分けてますけども、あるということを認識した上でこの配置だとかの在り方を考えていかなきゃいけないというところです。これに関しては地域学校協働推進員、これは全国の学校の共通土台としてあるという意味では非常にいいわけです。やっぱりそれだけでは十分ではないというところですし。地域おこし協力隊や地域プロマネの事例も今回共有されてますけども、これも任期があるので一時的にはいいんですけども、カリキュラムってやっぱり継続性が非常に重要なところにおいて、ここは継続性が担保できないっていうのはこれが課題になってます。そうしたときにはですね、ここの層に関しては常勤の職としてこの探究コーディネーターをしっかりと位置付けて配置していくというようなことを考えていかないと、今回の学習指導要領を新しく変えたときの実現可能性の確保という非常に重要なところが担保されないままの理念だけになっても、本当の意味で子供たち一人一人が問いや課題を設定して探究していく、それを伴走するというようなことをですね、今の人員だけではできませんので、そういった面においては新学習指導要領の開始の際には各高校に一人以上常勤の探究コーディネーターがいるとかですね、各市町村に一人以上そういった人がちゃんとついてるというような状況を目指してやっていくというところも大事かなと思います。
最後、大きくは三点目になりますけども、費用負担の在り方に関しての論点です。特に越境探究という形で前回資料で示されましたけども、いわゆる越境体験とか教育旅行に代表される越境探究の部分ですね。ここの部分、越境していくということはまさにその日常の相対化に繋がっていく、自分たちの今までの当たり前の問い直しが起きていくというところで、この問いの生成に非常に繋がるというこの越境体験、越境探究というのは非常に重要な部分にますますなっていくということで今回改めて位置付けられた部分あったと思いますけども。ただですね、この越境体験や越境探究こそ経済格差、体験格差が如実に出やすい部分になっているというところです。経済的に豊かな家庭は、いろんな越境もできる、海外に行ったりできるわけですけど、一方でそうではないご家庭もたくさんある中で、今後教育旅行なんかも行けない生徒がいるからやめようとか、教員の負担もあるし安全リスクもあるからやめておこうとかですね、経済負担も大きくなるからみたいな形で、ここの部分っていうのは縮小されていくリスクなんかが非常に大きい部分かと思います。この費用負担の在り方というのは本気で今こそ次の指導要領に向けて考えなきゃいけない部分かと思います。
費用負担に関して言うと、これも三つの層があるかと思いますので最後述べさせていただきます。まず国レベルの話ですね。ここでいけば例えば総務省や農水省とか、文科省も入って省庁横断でやっている子ども農山漁村プロジェクトとか既存の枠組みがありますので、こういったものをちゃんと改善して教育旅行や越境探究にしっかりと使えるようにしていくとか、体験格差の是正みたいな文脈で低中所得世帯向けの就学支援をよりこの教育旅行だとかこういった部分にも手厚くしていくというのが国レベルの話です。
二つ目の層がやはりその自治体レベルでやるとこですけども、今教育旅行なんかに各出発地側の市町村が支援をしていくって事例なんかも出てきてますし、もう一つが受け入れ側の市町村ですね、こういった越境探究を受け入れていく側の市町村が交流や関係人口の創出とかそういった文脈を生かして支援していくというような事例もありますので、こういった事例もしっかりと共有しながら費用負担を下げながらやっていけるような形というのは見えるようにしていかないといけないと思います。
最後、各学校レベルでできる部分というところですけども、ここなんかも今後の学習指導要領の解説等々で、探究とこの越境探究とか教育旅行の接続とか位置付けをしっかりと明確化していく中でですね、しっかりと探究のプロセスの中で位置付けて使っていくことで、わざわざ遠く海外にとか行かなくてもですね、質の高い越境探究の学びというのはできますので、行き先や内容なんかも改善しながら経済的負担を増やさなくてもですね、質を上げていく、そういったところの事例の創出と発信共有という部分なんかも今後の指導要領の開始に向けてやっていく必要があるのではないかと思います。以上です。
【黒上主査】 それでは岸野委員お願いいたします。
【岸野委員】 すみません。今日ちょっと業務のため途中から入っておりまして、皆様の議論のポイントや流れが分からないまま申し上げて恐縮なんですが、社会との連携の推進に関して三点申し上げたいというふうに思います。
一点目はスライドの8なんですが、上段丸1の最後のポツのところですね、「社会との連携が単なる活動に陥ることを避け、豊かな学びにつなげるための教師の指導性の発揮の在り方や指導体制の在り方を」というところなんですけれども、いつも絡めて大変恐縮なんですが、幼児教育からの繋がりという観点からいくと、そういった「地域社会との繋がりながら探究していく」というのはほんとに幼児教育から行われておりますので、幼小中と探究が深まっていくということが望まれるのではないかというふうに思います。幼保小の接続に関わっては、架け橋期のカリキュラム開発なども中学校区の単位で進めている自治体などもあります。そういったところではぜひ子供たちが地域で探究を進めてきた、そういった学びの繋がりやそこでの指導の在り方というところも、接続していけると各学校段階でのより深い探究にも繋がるのではないかなというふうに思いました。
続いてスライド12になりますかね、質の高い探究の実現に必要な資質、能力の向上について、三つ目のポツのところに、強みや専門性を持つそういった教員のことがありますけれども、やはり強みのある教員が異動したらそれが行われなくなるといったことも起きているように思いますので、ここにも「土壌」というふうにありますが、学校として社会と連携しつつ質の高い探究が「持続し発展していく」ということが大事だなというふうに思います。そうしたことを考えると、ほんとに人、物、金といったようなところや体制というようなハード面のようなものはもちろん大変重要なんですが、ソフト面についてもやはり重要で、関係者がその「教える―教えられる」関係とか、資源を「提供する―使う、使用する」という関係にとどまらず、誰もが社会の作り手として、子供も教師もまたそこに関わる者たちも、みんなが社会の作り手として共に探究していく関係を結ぶ。そしてそういう意味では教員自身も探究者としてそのおもしろさを実感して共有しながら進めていくということが重要で、やはりそうした校内研究や校内体制というところが重要ではないかなというふうに思いました。
最後三点目、スライド14になりますかね、探究の成果の発表に関わってですけれども、「探究の成果を発表するステージ」というときに、必ずしもゴールを見せる場ではないということや、発表が目的ではないということに注意が必要かなというふうに思いました。発表があることで活動にリズムが生まれて、探究が活性化するというところに繋がってくると思いますし、また発表までの過程や発表することそのものを通して、こちらにあるように外化することで学びを深めたり、またさらなる問いや問題を認識することになったりするとも思います。成果や発表のうまさだけにこだわらず、むしろ発表後も続いていく長い探究の歩みを視野におきながら、探究をさらに深める途上の過程にそのステージが位置付くものなのだというところで、関係者の動きがマネジメントされていくということが重要かなというふうに思いました。
【黒上主査】 西岡先生もう一度お願いいたします。
【西岡委員】 黒上先生からルーブリックとポートフォリオの関連についてご質問を先ほどいただきましたので少し補足をさせていただければと思います。
ルーブリックというのはパフォーマンス評価で用いる評価基準で、パフォーマンスの質を捉える数レベル程度の尺度と、それぞれのレベルに該当するパフォーマンスの特徴を捉える記述語から構成される評価基準表となっております。探究の深まりを捉える上でもルーブリックの活用は有意義だと思いますし、実際にルーブリックを作ることでポートフォリオ検討会での指導の見通しが明確になるといったような声も聞きます。社会との連携という点からも関係者の間で目標や評価基準を共通理解するのに役立つかもしれません。社会との連携については、教育的な観点から、連携自体を目的化するのではなくて、子供の探究の深まりの実現を目的として位置付けていくことが重要だと思います。
一方で探究の場合は、子供たちが自由な発想で問いを立て、その問いに合った探究の計画を立て、少し進めて、発見したことを踏まえてまた課題を練り直すといったプロセスを長期にわたって繰り返すことが重要です。場面ごとに別々のルーブリックを作ったり、細かすぎる観点でルーブリックを作ってしまうと、長期的な成長が捉えられなかったり、ルーブリックに当てはめて評価することが目的化したりする場合が見られますので注意が必要かと思います。
総合的な学習・探究の時間の場合は、指導要録でも段階評価することが求められているわけではありませんので、まずはポートフォリオを使いながら、それぞれの子供の探究の到達点を見極め、探究を一歩前に進めるような検討会をじっくり教師が行うことが重要だと思います。特に、本日資料でお示しいただいたように、子供たちが様々な関係者と交流しながら探究を進める場合、資料が散逸してしまったり、デジタル化するとさらに膨大な資料が溜まって収拾がつかないというような声も聞いております。子供たち自身が一人一人でポートフォリオを作って、自分の学びのストーリーを紡いでいくことにポートフォリオの意義が大きいと感じる次第です。
【黒上主査】 ポートフォリオが膨大になればなるほど、それをどういう視点で見るか、どんな観点で、評価とは言わなくても見て形成的にフィードバックしていくかというのは非常に重要なんですけど、その視点なんかをうまく得れるルーブリックがあるとありがたいなというふうに思うんですけど、それがやりすぎるとダメということですよね。大変よく分かってはいるんですけど、難しいところですね。それでは久野委員お願いいたします。
【久野主査代理】 私のほうから総論一つ、各論三つを考えています。
まず総論ですけれども、2ページの本日議論いただきたい事項で三項目あります。今回第7回ですが、これまでの検討はやはり総合としての質を、総合の中に立って高める仕組みを整備したり整理したり定義したりという取組だったと思います。今日の議論の2番目、3番目は、教育課程の中の連携、提携の在り方を通して総合の充実を図るというところかと思います。今日主に議論している社会との連携の視点は、このタイトルのところにあるように、質の高い探究の実現に向けたというとこで、やはりここにこれまでの検討も今日の検討も集約されてくるのかなと考えています。これはやはり、質の高い探究を実現することが社会をより良くするんだという、そういう原則のもとに私たちは議論を進めて、様々なアクターと一緒に協力しながらというスタンスで進めてきているかと思います。後で出てくる2ページ目か3ページ目の、リアルな社会、現場での活動。それはリアルな社会あるいは現場での活動でもありますし、リアルな社会、現場との活動でもあるということで、このリアルというところは今回指導要領を変えている中では貴重になる見方かなと思っています。その背景はAI時代のというところと繋がっていると感じています。生活科の中でもそういう議論もありました。やはり今回のこの社会との連携についてここまで重きを置いてというか、重点的に突っ込んだ議論をするということの背景には、やはりAI時代だからこそリアルな社会や現場との対話、対応が必要になり、それを通した質の高い総合が、総合が3回目の改訂を迎えるにあたって、もう一段飛躍させるというところの文脈に位置付けられるんだなと思って、今回の会を学んできていました。
ここから各論になります。まず7ページの連携に関わる論点の6つですが、やはりこの解像度の高い論点が6つ整理されたことによって、この社会と総合との関係の特徴と課題の在り方の両方が見やすくなっていると感じました。私たちが曖昧に感じている社会との連携の中での課題や成果について、この6つのスキームで見てみると、どの点に課題があるのか特徴があるのか成果があるのかが見えやすくなっています。当然この6つを全部網羅するとかそういうことの意味はあまりないので、現場との在り方を密度高く分析するときには非常に役立つ6つの視点ではないかなと思っています。
その上で、3つほど各論に入ってお話したいと思います。一つ目、丸1の学校教育目標及び学校教育経営方針を含めた総合の推進のところで、8ページのところですね。学校が裁量を持って教育課程を編成していく、この裁量っていうところがやはり一つキーになるだろうと思っています。調整授業時数もその裁量の部分で、裁量と言いながら、実は裁量が抑制されるような機会もなきにしもあらずというか。例えば、教育委員会からバックアップがないとなかなか学校単位ではその裁量性を発揮しにくいという現状はないだろうか。例えば一律とか足並みを揃えるという名のもとで抑制がかかるような実態はないだろうかというところは一つ考えているところです。
それから次が、スライドの10番のところでコーディネーターの役割。今日も様々な委員の先生方からお話が出ました。まずは学校の中で一部コーディネーターとの連携が進んでるところでは、コーディネーターという人が世の中にいて私たちを支えてくださっていることは実感を持って人の姿で見えるのですが、まだまだ社会にコーディネーターがいることが感じられない学校も多いのではないかと思います。そのときにやはり、3つほどそれを感じられない要素があるかと思っています。一つは、今日先ほど委員の方もおっしゃっていましたように、先生方はどうしても活動や準備を自分たちで囲い込みがちであり、学校の中は学校がという前提で学級、学年の運営を行っているように思われます。自分たちが抱え込んでいる実態を自覚することが一つ。二つ目は、協働することで自分たちだけでやりきれない、自分たちを超えた発想とか活動が生まれることを信頼する、手応えを持って感じるということ。三つ目は、これはちょっと即物的ですけども、仕事がしやすくなるというか、教員が一つ一つのところに電話をして色々な調整を自分でするというよりも、コーディネーターの方が一括取りまとめてやってくださるっていうことに対して、自分たちを支えられている感もありますし、そのコーディネーターの方によって協働性が生まれてくるなというふうに思っています。そういう意味で、先ほどの抱え込みと、そして一つ前の裁量性と、この辺はある程度似たことかと思っています。
そして三つ目です。14ページの成果の発表はいろいろな方が言及されましたので、放課後の体験機会のことで少し考えたいと思います。実は今週、この教育委員会評価の関係でちょうど民間委託している放課後教室を見学する機会がありました。そこの市の放課後教室では、一括して市内の放課後教室を民間に委託していまして、そこで指導員の先生のコーディネーターとか研修や環境整備だとかですね、そういったものを一括して整えてくださっていました。ノウハウの行き届いたというか、ノウハウが発揮された教室で、印象深く学ばせてもらいました。そういう意味では個々の教室単位とか学校単位ではなくて、こういう形で一括して委託しているということを通して大きな枠組みを示すことができるので、例えば今回定義されている体験の活動や体験の在り方を高めるということは可能なのではないかと思っています。好奇心を持つような活動をしたりその中身を充実させたりということは、そういう形にこだわらず限定されず可能ではないかなと思っています。
他方でということですが、子供の放課後の活動を整理しすぎることで、どうしても教育あるいは学校・教師の手のひらの中で子供たちの24時間が運営されていくようなことについて一定の気配りがいるのではないかと思っています。子供の24時間を囲いすぎないという発想も大事ではないかと思っています。逆に隙間の時間とか空間とかが、主体性を生むという発想も大事ではないかなと。息をつける時間や空間、ホッとできる大人の目がないいところでの、自分が本当にやりたいことを見つけて感じて頭の中で空想したり友達同士で思いを伝え合ったりする。そういうところも大事ではないかなと考えます。私たちはどうしても何か方針立てて施策を進めようとすると何でも活用したいと思いますし、あらゆる時間をそこに投入してより良い成果というか意味を生み出そうと考えがちですが、やはり子供とか家庭とか地域、都市部、地方部、それによって状況も異なりますし、子供たちも一人一人異なってきます。やはりその辺のジレンマがあるってことを私たちは自覚的である必要があるかなと思っています。やはりこの社会というふうに議論していろいろな事例を見てくると、基本的に性善説に立って私たち考えますが、いろんな実態の中では今日も少し議論ありましたけどトラブルとか持続性に課題があったりとか、でもそれも踏まえてさらに前へ進んでいこうということですので、そのジレンマがあることを自覚しつつ様々な地域の力を借りながら地域とともに、地域の子供たち一人一人に様々な経験や体験を通して、教師だけの手では手のひらの中だけでは賄いきれないというか収まりきらない発展、成長をこの総合を通して考えていけるのではないかなと思っています。以上です。
【黒上主査】 何事においても中庸が大事という、そんな話でもあるかなというふうに思いますが、コーディネーターに関しては外部にコーディネーターをどう作るかって話だったらとっても大事だと思うんですけど、昔仙台の学校に行ったときに加配の先生に総合のコーディネーターをやっていただいてた学校があって、その間ものすごくうまく回ってたんですよね。その人は今大学の先生になられたんだけど、いなくなったことで僕も田村先生も呼ばれなくなっちゃったっていうかね、なんかそんな感じなんですんで、ちょっと残念かなとか思ったりしているんですけど、学校内でそのコーディネーターの役割をする先生がどう育つかっていうことが大事かなと思ったりしています。木曽原先生、もう一度お願いいたします。
【木曽原委員】 すみません、一点だけ先ほど岸野委員と川越委員の方から、発表の機会自体が目的化するのはちょっと違うよねというお話いただいていて、おっしゃるとおりだと思っていますので、賞賛の場を実際に運営してる立場から補足だけさせていただければと思うんですけども、実際に様々な企業から中高生の探究成果を賞賛していただいてるんですけども、一つにはそれで生徒がエナジャイズされてさらにこう前に進もうって思ってくれる、それを専門でもうちょっと大学で学ぼうとかそういうキャリアに繋がっていくっていうことと、あとはそれが出会いになって実際に場合によっては企業のR&Dセクションの専門的な研究環境とかを貸してもらってさらに精度の高い探究をしていくっていう事例がだんだん増えてきているっていうことがありますので、なんか単純に発表するのが目的ではなくて、そうやって高めていくドライバーとして使っていくっていうことが強調されていくといいのかなというふうに思います。
【黒上主査】 今日はちょっと幸いなことに少しだけ時間がありますので、企業と地域との連携を考えるときに、例えば2,000人規模の学校があったりするんですよね。そういう大規模な学校と地域連携をどうやって実現するかということをとっても大きな問題だと思うんですけど、どなたかなんかご意見とか知見とかお持ちの方いらっしゃったら教えていただければと思うんですけど、いかがでしょうか。小見委員なんか関わってるところの企業の規模感というのはどんな感じなんでしょうかね。
【小見委員】 関わっている新潟市のある中学校は800人とか900人の大きな学校です。そこでは私もかつて学校運営協議会の委員をしておりまして、今は放課後どういったデザインをしてくかといったテーマで議論をしています。子供たちの居場所を作るというので興味のある子たちに声をかけて、運営協議会のメンバーがこんなふうに放課後をデザインしてみる上で必要な考え方やスキルを子どもたち向けに提案したり、やってみたいという有志の子たちの声をすくい上げて一緒に作っていくみたいな動きを今作ったりしてます。
あと例えば地域の人から探究の受け入れや壁打ち役をしてもらおうとなったときには、非常にたくさんの地域の人材、受け入れ先も必要になってくるんですけれども、そこも運営協議会の中でみんなで知恵を絞ったり、こんな人もいるよなんていうことを声を上げながら作っている形も多いです。コーディネーターとか一部の先生に属人化させずに、そういった運営協議会などで組織的に行っていくというところが一つ必要かなとは思っておりました。
【黒上主査】 ありがとうございました。木曽原委員、よろしくお願いします。
【木曽原委員】 私どももいくつかの学校のお手伝いをさせていただく中での話なんですけど、先ほどの整理であった出会いのタイミングなのか伴走のタイミングなのかっていうのに合わせて整理するといいかなと思ってまして、事例にもありましたけども出会いのタイミングであれば、いくつかのテーマをワンショットずついろんな企業様とかにセッションしていただいて、生徒がそれを選択するような形でアプローチするってことができると思いますし、ある程度問いが決まってきている場合は、それぞれの専門領域にあった場合によっては大学院生と引き合わせるとか、あと企業と引き合わせるっていうような形で、同じようなテーマの領域の人をグループでまとめて支援していくってことをやると、比較的進みやすいのかなっていうふうに思っております。
【黒上主査】 連携の仕方がまた変わっていってそれが広がっていくことで大規模校も収容できるということも当然あるんでしょうけど、本当にその一か所にどんと集まるっていうのはちょっと恐怖を感じるところがありますね。探究公害なんて最近言われるのも一種そういうことが背景にあるのかもわからないので、そういうことにもちょっと目配りをしながら社会連携については考えていく必要があるかなというふうに思います。あと何かもう一言二言、言いたいことがある方はよろしくお願いします。
【久野主査代理】 実は先日、教育実習の巡回指導が大学でありまして、長野県の最南部の小さな村の義務教育学校に行きました。義務教育学校に行くと、地域を案内してくださる方がいらっしゃって、その方に案内していただきました。
実はその方は、東京のある企業から派遣されて古民家を改装して、そこでいろんな事業をやるということをされていました。当初は、3年の予定だったけれど結局移住して家族揃って、もう9年も住まわれているかたでした。その方が学校の中にコミットをされています。その間には教育委員会が立って、その方を村で雇用されて学校に結びついていく中で、学校の中に地域との連携推進室を設置していくのですね。そうやって本人が定住する形で、ご自身の子どももその学校に通い、行く先々でいろんな人に声かけて日常の会話をしていくというような様子が見られました。
今日は議論の中でコーディネーターの期間が限定的であったり、なかなか経済的な自立に繋がらない場合があったりというお話もありました。今回その山の学校にお邪魔したことで、そういうコーディネーターの方が地域の経済の中にきちんと組み込まれて、職業として生活として成り立っていく姿を見てですね、事業としては拡大の傾向があるんですけれど、ちょっと微妙な言い方ですけど縮小均衡みたいな、その中で需要と供給と生き方が循環していくような姿を見てですね、こういう在り方というのが、もちろん多数の人の雇用はできませんが、そういう個人のコーディネーターの方の生き方とか地域との統合の仕方とか、それがうまく噛み合ってということになってくるのだと思います。この点は地域の発展や学校を支える仕組みの持続可能性という意味で非常に面白い事例だと思いましたので、紹介させていただきました。
【黒上主査】 それでは岩本委員、よろしくお願いします。
【岩本委員】 次の指導要領改訂に向けた社会との連携や接続の、事例の創出というところに関してなんですけども、高校段階においてはまずネクストハイスクールですね、文科省さんが今進められてる、あれはまさに産業界や大学や中学校や地域や、先ほど規模の話もありましたけど小規模校もそうですし専門高校・大規模・進学校含めて、今改革の先導モデルという形でなっていくと。カリキュラムの中核はいわゆる探究だったりとかっていうところですので、じゃああれを一つの試金石として、今回議論しているような部分をしっかりと推進実証して、次の学習指導要領が始まるときには全国的な高校もそうですし、ここで得られた知見というのは次の義務教育段階の探究なんかにも、十分生かせるものがあると思いますので、このネクストハイスクールなんかもそういった視点でしっかりと見て、事例の創出・共有というところで生かしていくのがいいのではないかなというふうに思います。もちろんコーディネーターもこれであれば予算もありますので、しっかりとしたプロフェッショナルコーディネーターを配置・活用してやっていくということも十分できると思います。以上でございます。
【黒上主査】 文科省の事業では例えばマイスターハイスクールというのがあって、地域の企業の方が高校にCEOを入れたりなんかして、地域の企業との連携とかをやってますよね。そういうのを見てるとものすごい本当に地域の特色を生かした、例えば静内なんかだと馬を作ってますけど、そういうことと連携をしながら高校生が本当に実社会で学ぶということが実現してて、そういう意味で職業高校ってものすごいとんでもないリソースいっぱい持ってるし、外のリソースと繋がるチャンネルもいっぱいあるなと思ってもう感心してるんですよね。それは笛吹高校に行かしていただいたときにも感じるんですけど。だからそういうのがとっても羨ましくて、普通科高校でももっと専門的な地域の何かと繋がれるっていうチャンネルが持続的にできるといいなというふうに思ってて、その辺がネクストハイスクールなんかと繋がってくるのかなっていう感じがしますよね。ただネクストハイスクールは一応次の次の指導要領に向かってるような気がしますけど、この改訂においても少しそこへの目指しができるというふうになるといいかなというふうに思っています。
そうですね、そろそろまとめていきたいなと思いますけど、自分の意見もちょっと言っていこうかなと思ったりしていますが、先ほどの仙台の学校の話もそうなんですけど、学校ってやっぱり変わっていくんですよね。特に校長先生が3年ごとぐらいに来られて、いろいろ持ってこられるんですよ。数学教育の発表とか家庭科教育とか。そういうのがいろいろ総合的な学習の持続的な運営というのに支障をきたす感じがするわけですよね。そうするとせっかく作った社会連携のはしごをですね、外しちゃうっていうこともあり得るという。そういうことなので、そういうことがなるべくないように、それぞれの先生方にどうのというわけではなくて、学校のその地域との歴史、企業との連携の歴史を踏まえて総合のカリキュラムを考えましょうというようなことが、どこかに明示されていくことが結構重要なんではないかなというふうに思います。
それと、伴走者、コーディネーターの資質・能力の話で言えば、社会の場合ですね、企業から見ていい生徒を青田買いするみたいな、そんな感じに見えないようにはしたいということですよね。地域社会として一番最初に説明があった、全人的に生徒を育てるというような視点を持ってもらうことが大事なんだけど、これを企業さん、資本主義の中で動いてる企業さんにどうやって感じてもらうかっていうことも結構重要で。それでもメセナと言いますかね、社会貢献をしたいっていう会社さんがたくさんいらっしゃるのはありがたいんだけれども、でもそうは言いながらその連携、貢献に来ておられる社員の方の背景に営利主義がちょっとあるっていうことも当然あるわけですよね。だからそこらへんのところをどういうふうに、本気で、ボランティアじゃなくてそれが地域社会に貢献が返ってきて、さらに企業にも返ってくる、あるいは企業の評判にも返ってくるというような、そういうルートみたいなものが見えるといいなというふうに思います。
それで、そういうことではその地域とか企業に提供する心得のようなものね。お話の中でもありましたけど、ちゃんと対等に関わってねとか、相互に理解してねというようなことを学校だけに言っててもどうなのっていうことなので、それを地域に伝える何かがほしい。でもそれは地域に直接届けるわけにいかないから、当然学校を通して地域とか企業に届けていただくというような、先生方が自分でそういうのを作らなくていいようにする、なんかそういうリソースみたいなものがあるといいなというふうに思いました。
それと同時に、先生方に対してはある程度この指導要領とかで書ける、例えば内容の取り扱いとかに書けることもあるかと思うんですけど、どうやってこういう協働を作っていくのかとか、どうやって目的をすり合わせるのかとかね。ものすごくたくさん今回事例が出てきたけれども、そこからノウハウをやっぱ抽象化したりですね、手順を先生方がそこから見つけて抽象化していくって難しいので、どういう種類の糸口があってどんな働きかけをするといいのかというようなことのレパートリーみたいなものが見えてくるといいと思うんで。それは指導要領の中か、あるいは解説か、それもパンフレットにするのか、なんかそういうものがほしいなということですね。
もう一つは、実際に関わる児童生徒ね。彼らは言われるままにそこに行って言われるままに体験してくるだけではちょっともう一つなので、やっぱり子供たちも地域に出ていくときにどんなふうに関わればいいのかというヒントみたいなものを持ってたり、あるいは先輩方がやったそのすごい事例、憧れができるようなそんな事例集みたいなものが子供の手に渡るといいなと。そういうのをもらうと、生徒も「僕たちは地域に行くときにこんないいことが降ってくるかもわかんない」っていうふうな期待を持っていき、頑張ることによってその期待が実現するっていうね。なんかそんなふうになるといいなと思っています。
それと、今日たくさん話が出てきた実社会からの厳しいフィードバックなんてのはあるんだけど、学校ってね、いろいろ失敗できる場なんですよね。なんですけどそれが連携する中で失敗したからあと立ち直れないというのはそういう場であったら困るという感じがするんで。厳しいフィードバックの意味をあまり厳しすぎないように、これも重要な話かわかんないけど、あるいはその形成的な厳しさみたいなね。そういうものである必要があるっていうことは周知したいなというふうに思っています。
それと、あとルーブリックの話は、とても僕は関心が高いのですけど、そういう意味でずっとポートフォリオを教師が見るときにちゃんとしたルーブリックを持ってないとっていうことは言ってきたんだけど、そのルーブリックが多様化していく中で、ルーブリック作りにくいっていう話はとってもよくわかるんですね。なんですけど、いちいち生成的にルーブリックを作っていくとかいうことをやってるとやっぱりどうしてもそのうまくいかないところがあるなと思ってるんですね。一部には、子供のやってることを全部、あるいは先生の期待を全部AIに放り込んでルーブリック作ってもらうというような実践もこのあいだ明治図書から出てましたけど、それもいかがなものかというふうに思うところもあって、それをそのまま使いそうですからね。批判的に見ることなくね。こういう複雑な活動成果、これをどういうふうに見ていくかっていうことについてAIの助けも借りながら、そのAIにどんなリソースを入れとくと良いルーブリックが出てくるのかとかね、そういうことも含めてちょっと研究の余地があるなと。これ研究の話か。まあでもそんなふうに思っています。
そうですね、あとは情報の領域の話が最初ありましたね。例えばミニ探究ユニットで出ている図鑑作り。これね、2年生の国語だっけな。図鑑作りありますよね。1年生でもよく乗り物図鑑作ったりしますよね。だから図鑑を作るという活動そのものはもうほかの教科であったりもっと小さい学年であったりするんですよね。ということはそこで図鑑作りをやっとけばここでミニ探究で改めてやる必要はないかもということもあるんですよ。だから、今ミニ探究一生懸命考えていただいてますけど、それはほかの活動の中でもしかしたらできるものもあるかもしれないっていう意味で、批判的に内容を見ていくという必要はあるかなというふうに思うんですね。
それから、情報活用、操作に関わる小さなスキル。例えばファイルを保存しますみたいなものは、改めて情報ブロックでやったりミニ探究ユニットでやらなくても、いわゆる探究領域で普通に子供が取ってきた情報をどうするっていうときに、「ここに保存してね」と「クラウドに置いとくといいよ」とか「共有できるよ」というほんの数分の指導でクリアできるかもわかんない。そのためにわざわざ1時間当てる必要はないわけですよね。だからそういう細かい、日常的な活動の中でできちゃうものっていうのはむしろそっち側に回して、もっと本当に大事な、ちゃんと45分かける必要があるものとして何が残るかっていうような視点で、情報ブロックにしてもミニ探究ユニットにしても見ていく必要があると僕は思うんですね。そういう意味で、まだ時間はあると思うので、これから批判的にやっていければいいかなというふうに思います。今日は随分僕自身もたくさん話せて嬉しかったです。次の開催日程について含めて事務局から一言お願いします。
【堀川学校教育官】 本日も、多岐にわたる議論ありがとうございました。次回につきましては、後日正式にご連絡を申し上げます。以上でございます。
【黒上主査】 それでは、以上をもちまして、ちょうどオンタイムですね、閉会としたいと思います。皆さんどうもありがとうございました。
―― 了 ――
水川委員提出意見(PDF:120KB)
電話番号:03-5253-4111(代表)