令和8年4月15日(水曜日)9時30分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【黒上主査】 進行資料をご覧ください。本日は生活科の指導と評価、評価の改善・充実等の在り方について、それから質の高い探究の実現に向けた方策について、この2つをご審議いただきます。
まず議題1について、事務局からの説明の後、意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いします。その後、議題2に移っていきたいと思います。それではよろしくお願いします。まず議題1の資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
【高見主任教育企画調整官】 はい、主任教育企画調整官の高見です。まずお手元の資料1の1ページをご覧ください。
本日の議題の(1)でございますが、生活科の指導と評価の改善・充実等の在り方等についてです。このうち論点の1として、生活科における学習評価の在り方、論点2として幼児教育、中学年との接続、教科横断の在り方、論点3として生活科固有の課題への対応についてご議論いただければと存じます。
4ページ目をご覧ください。はい、まず論点1として左側に生活科の学習評価に関する現状を掲げております。「1.生活科固有の教科特性」として、生活科における資質・能力の3つの柱は個別独立に育成されるのではなく、具体的な活動や体験を通して相互に関わり合いながら一体的に立ち上がるものであり、現行の学習指導要領においては3つの資質・能力について内容ごとに一体的に示されているところです。また「2.現行の評価方法」としては、ほかの教科と同様に資質・能力の3つの観点それぞれについて観点別に評価を行っているところです。
右側の具体的論点、改善の方向性をご覧ください。「1.基本的な考え方」として、2つ目のポツにございますとおり、生活科における内容の示し方は、学習活動と一体となって育成される資質・能力の姿を一文で示す形式が適当であるといったことが第4回ワーキングでご議論いただいたところでございます。これらを踏まえると、3つ目のポツにございますとおり、学習評価においても3つの資質・能力を一体的に見取っていくといった整理が考えられる一方で、チェックマークを付けているところでございますけれども、1つ目にあるとおり、生活科は教科としての位置づけがあるとともに、社会科・理科の土台となる性質を有しており、その後の教科学習に生かしていくことが重要であること。
また、2つ目のチェックマークにあるとおり、生活科の内容は一文で示されているものの、3つの資質・能力の内容はその中で明確に規定されており、それぞれの視点で見取ることで分析的かつ適切に見取ることができることなどを踏まえますと、学習評価においてはほかの教科と同様に観点別評価を行うこととしてはどうかと考えております。その際、幼児教育や総合的な学習の時間との接続も踏まえた視点で評価を行うことも留意が必要だと考えております。
5ページをご覧ください。「2.学習評価のプロセスの整理」として、生活科におきましては総合評価特別部会で示された方向性と同様に、単元ごとの評価は形成的評価を中心に行うこととし、年度末、学期末等において総括的な評価を行うよう促してはどうかと考えております。
また、「3.学びに向かう力、人間性等の評価の在り方」として、生活科における学びに向かう力、人間性等は児童一人一人の成長の過程に着目しながら見取ることが求められますが、児童一人一人が異なる学習活動を行うことが多く、言葉でまとめる場面が少ないことから、言語化された評価対象が安定的に残りにくいなどの課題があり、同じタイミングですべての子供を評価することに対する負担が生じております。このように一人一人の学習状況を的確に把握することが難しい側面もあることから、期待する態度の育成や一人一人の子供の良さを評価しきれていない側面もあると考えております。このような中、総則・評価特別部会で行われている「学びに向かう力、人間性等」の評価の新たな在り方は、過度な評価材料集め等の負担を軽減しつつ、長い期間での児童の成長を肯定的に評価することを目指すものであり、これらの課題解決に資するものとなると考えております。
これらを踏まえまして、右側の1つ目の丸にあるとおり、見取る姿の明確化のイメージとしては、生活科の学習過程全体を通じて継続的な発揮を見取ることができた場合には、他教科と同様に「思考・判断・表現」に丸を付記することで評価するとともに、具体的な見取るイメージとして、見取る姿のイメージとして、ここに太字で書かれるところでございますけれども、「思いや願いを持った働きかけ」、「他者との伝え合いや協働」、「試行錯誤や自己調整」といった事項を参考として示すこととしてはどうかと考えております。また、2つ目の丸にあるとおり、生活科固有の学びによる「学びに向かう力、人間性等」の育成の状況を一人一人の良さ、変化や成長を丁寧に見取る個人内評価とし、総合所見欄等において記述することとしてはどうかと考えております。
なお、これらの事項につきましては、※印、一番下のところにつけておりますけれども、こちらにあるとおり、現時点でのイメージでありまして、詳細は学習指導要領の改訂後に具体的な内容等について検討してはどうかというふうに考えているところでございます。これらの補足イメージにつきましては、7ページに掲載しておりますので、併せてご覧いただければと存じます。先ほど申し上げた下の部分でございますけれども、オレンジの部分、そして青の部分、このあたりを新たな考え方として整理してはどうかということでございます。
続いて29ページをご覧ください。こちらは論点2ということでございますが、幼児教育、それから小学校・中学年以降との接続、そして教科横断の在り方についてです。
30ページをご覧ください。まず「1.幼児教育と小学校教育との接続の在り方」についてです。ここでは現状と成果として、スタートカリキュラム、架け橋期のカリキュラムの現状とこれまでの成果を記載しております。
31ページをご覧ください。ここでは、(4)、左のほうですが、課題にあるとおり、第1にスタートカリキュラムの理解・運用に関する課題として、幼児教育との連続性を踏まえた低学年の教育課程を編成する意識が弱いこと、共通理解が十分でないこと。第2に校内体制や外部連携に関する課題として、1年生担任だけの課題として捉えられがちであること、専門的に支援できる人材が不足していること、連携が十分に広がっていないこと。第3に架け橋期のカリキュラムとスタートカリキュラムの関係性に関する課題として、両者の関係性が分かりにくいことなどを掲げております。
これらを踏まえまして、右側、「(5)改善方策」として、解説の記載を充実するとともに、地域の実情に応じた取組が可能となるよう、学校現場がそのまま活用できるような多様なモデルを国として示すこととしてはどうかと考えております。その上で第1にスタートカリキュラムの理解・運用の促進として、対象とする時期は学校や児童の実態に応じて柔軟に設定することが可能であることを明確化するとともに、様々な実施形態を例示することや、効果的・関連的な指導の工夫等について視点を示すこと。第2に学校全体で取り組む体制づくりや外部連携の充実として、学校全体で幼保小の接続を推進する体制を整えること、相互に学び合う機会を充実すること。第3に架け橋期のカリキュラムとスタートカリキュラムの関係性の見直しとして、架け橋期のカリキュラムは幼児教育施設における5歳児のカリキュラムと小学校におけるスタートカリキュラムの総称として位置づけるなど、概念の整理を図ることとしてはどうかと考えております。
32ページ、そして33ページにはスタートカリキュラムの充実に向けた補足イメージ、先ほど申し上げた31ページを見ますと、1つ目の論点のところですね。それから34ページには架け橋期のカリキュラムとスタートカリキュラムの関係性について整理した資料を添付しておりますので、併せてご確認いただければと存じます。
続きまして35ページをご覧ください。「2.教科横断の在り方」についてです。まず、「(1)現状と成果」として、生活科で行った体験活動の経験や学習対象への興味・関心の高まりが各教科の学びに接続していくこと等を掲げております。その上で左側の「(2)課題」といたしまして、第1に効果的・関連的な指導がスタートカリキュラムの時期に限定され、年間を通じた継続的な取組となっていない場合が見受けられること。第2に生活科での体験を各教科等の学びに生かしきれておらず、資質・能力の育成に繋がっていない場合があること。第3に生活科の活動と資質・能力の対応関係が整理されておらず、教師の経験や感覚に依存している傾向があることなどが挙げられると考えております。
これらを踏まえまして、右側、「(3)改善方策」に示したとおりでございますけれども、第1に生活科を結節点として、各教科等との接続を年間指導計画の中に明確に位置づけ、スタートカリキュラム期に限定せず、年間を通して計画的に実施するよう促すこと。第2に生活科の活動において各教科の資質・能力との繋がりを意識して学習過程を構想すること。第3に生活科の活動ごとに活用・発揮される各教科等の資質・能力を整理し、指導の意図を明確にした単元設定を行うこととしてはどうかと考えております。
続きまして36ページをご覧ください。「3.中学年以降との接続」につきましては、「(1)現状の成果」、ここに整理してございますが、ここに記載した内容を踏まえつつ、「(2)課題」、右側でございますけれども、第1に生活科と社会科や理科との接続を重視するあまり、生活科の特質が十分に生かしきれていない場合があること。第2に接続が活動レベルにとどまりやすく、対象への気づきや社会認識等の形成に繋がりにくい実態があること。第3に中学年以降の接続が単元計画の中で十分に位置づけられていない実態があることなどを掲げております。
これらを踏まえまして、右側の「(3)改善方策」として、第1に社会科や理科の内容の先取りとして扱うのではなく、身体性を伴う体験を充実させるという生活科の特質を踏まえ、その学びが中学年以降の教科等へ発展していく接続を意識した指導を充実させること。第2に社会科、理科、総合的な学習の時間への接続を意識した指導により、対象と自分との関わりを深める指導を充実させること。第3に教育課程全体の中で中学年の教育へ円滑に繋がる単元計画を作成することなどについて、今後より一層進めることとしてはどうかというふうに考えているところでございます。
続きまして48ページをご覧ください。論点3は生活科固有の課題への対応です。49ページをご覧ください。まず「1.外部人材・地域との連携」についてです。現状としては地域の人々や施設などと連携した学習活動がなされており、学校外の人や場と関わる体験が充実している一方で、左側に掲げた課題といたしまして、第1に外部人材や地域との連携が単発的な取組となりやすく、継続的な関係としての連携が構築されていないこと。第2に準備や調整の時間と仕組みが不足していること。第3に学校としての連携体制が弱く、教師個人に依存していることなどが挙げられます。
これらを改善するために、右側にあるとおり、第1に外部人材と地域との連携を年間を通じた学習の中に位置づけ、継続的な関係として連携体制を構築すること。第2に時間の確保と調整の仕組みを整えること。第3に学校としての組織的な体制を構築することなどを掲げております。
続きまして50ページをご覧ください。「2.動物飼育」でございます。こちらについても左側、「現状と課題」にあるとおり、学校で動物を飼育することは、児童が生命あるものに継続的に関わり、その変化や成長を自らの感覚で捉えることを通して、生き物への親しみと生命の尊さを実感的に理解するための重要な学習活動であり、学習指導要領と解説において動物飼育を行うことが明記されているところでございます。左側の2つ目のポツにございますが、2年前、令和6年の6月に行った調査では、これは抽出調査でございますけれども、学校所有が約6割、児童個人の専有所有が約4割であり、飼育される動物としては哺乳類が16%、鳥類が1.6%、爬虫類が15.6%、そしてその他は38.6%という状況になっております。
また、この調査でございますけれども、休日等の管理体制や休日等の連携など、不適切な状態を招く可能性が示唆される学校もあったことから、同年の8月でございますけれども、学校での動物飼育の留意点をまとめ、環境体制を整えることを通知しております。さらに平成12年になりますけれども、作成された教師用手引き、これが最新の知見を踏まえたものになっていないといった課題もあるところでございます。
これらを踏まえまして、右側、改善イメージにあるとおりでございますけれども、動物飼育は引き続き重要な学習活動であり、特にAI時代においては、児童が動物と直接的な関わりを持つ身体性を伴う活動として重要であるということを強調する一方で、休日等を含めた管理体制や専門家との連携、疾病・負傷時の対応や予算の確保、繁殖制限や災害時の対応、働き方改革の観点への配慮などが求められる中で、動物飼育の意義は引き続き重視しつつ、地域や学校の実態に応じた柔軟な運用を行えるようにしていくことも重要であると考えており、このことを踏まえた動物の飼育の在り方を検討する必要があると考えているところでございます。
事務局からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
【黒上主査】 それでは順番にご意見を伺っていきたいと思います。前回同様、なるべく端的に、あまり重なりがないようにお願いしたいと思います。ご意見のある方は挙手をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。はい、では岸野委員、よろしくお願いします。
【岸野委員】 はい、失礼いたします。幼児教育からの繋がりに関わって2点申し上げたいと思います。
まず論点1について、幼児教育から各教科までの繋がりを踏まえるということの重要性を強調したいと思います。具体的にはスライド4の右側、一番下にあるように、幼児教育や総合的な学習の時間との接続も踏まえた視点で評価を行うということが重要だと思います。スライド6のイメージにもありますけれども、社会科や理科、探究の芽生えは幼児教育においても育まれていて、例えば幼児期の終わりまでに育ってほしい姿においても、社会生活との関わりや自然との関わり、思考力の芽生えといった観点で育ちを捉え直し、より良い環境や援助を模索していくということが求められています。それが生活科では社会認識や自然認識、探究のプロセスにおいて、より自覚的な学びとなり、さらに社会科や理科、総合的な学習の時間ではそれぞれの系統的に分化した学びになっていくという構造があると思います。
幼児教育も生活科も身体性を核に、直接的・具体的な体験を通して様々な内容が総合的・合科的・関連的に展開していきますが、やはりそれがただ楽しく過ごす、活動あって学びなしにならないためには、スライドにも書かれていますが、一人一人の子供の姿をもとに学習過程を丁寧に、かつ長期的に捉え、それぞれの段階でどのような学びの芽生えが育まれ、それがどのように繋がっていくのかを考えながら、環境や援助を考えていくことが重要だと思います。そういう意味で、そこでは教科としての視点と学習過程の視点、子供の姿の視点ということが相反するものではなく、両立可能だと思います。幼保小接続の文脈では、「小学校は園と評価の在り方が違うから難しい」なんていうふうに言われることもありますが、こうした共通性や連続性を共有していくことが重要だと思います。
2つ目に、論点2の接続について、理念をしっかりと共有しつつ、重点をスタートカリキュラムから架け橋期のカリキュラムへ広げていくということの重要性を述べたいと思います。まずスタートカリキュラムについて、スライド31の丸1にありますように、形式的な実践にとどまる場合があるというところは、私も大きな課題と感じています。「のんびりタイム」「ワクワクタイム」といったような形で、時間を弾力的に運用するといったこと自体は浸透してきたように思いますが、しかし実際のところでは、安心して自己発揮できるような時間に必ずしもなっていないという実情もあるように思います。右側の丸1にありますように、理念や指導の工夫を意識するということをさらに進める必要があります。
また、丸3に挙げられていますように、スタートカリキュラムによってつなぎ目のところを接続すればそれでいいというのではなく、1年生の年間の学びの中で幼児期の学びを生かしたカリキュラムを実現していく、そうした拡張を進めていくことが重要だと思います。このことは教科横断の在り方とも関わり、スライド35の右側の改善の丸1にもありますように、年間を通じて効果的に繋がりを意識して学びを作っていくということは、これは架け橋期のカリキュラムとしても大変重要なことだと思います。その際、スライド33の(1)にありますような、丸1から丸5の観点で、どのような活動を通して学びを育むといいかを考えられるといいというふうに思いました。特に丸1の学び・発達の連続性には、ぜひ幼児期の学びからの繋がりということも入れ込めるといいと思いますし、丸4の環境づくりには、安心して自己を発揮し、子供たちが自ら環境に関わっていくことで、自ずと学びが展開していくような場、環境づくりについて、幼児教育での環境の構成にも学びながら進められたらと思いました。
そして最後にスライド31に戻りますが、そうした取組を行うには、丸2の学校全体で取り組む体制というのが極めて重要だと思います。1年生は円滑に接続するけれど、今度2年生に上がるところで段差ができるということを聞くこともありますので、学校全体で全ての学年で子供たちが安心して自己を発揮し、学びを生かしつないでいくことができるように、子供観、学習観を共有していくということが必要だと思います。長くなりましたが、以上です。
【黒上主査】 それでは次、伊藤委員にお願いします。
【伊藤委員】 はい、お願いいたします。まず初めに、論点1と2の提案内容を通じた全体的な印象を申しますと、子供の育ちの過程に基盤を置いて、子供一人一人の良さや成長を捉えて、教師の適切な支援・指導によってその伸長を図っていくと、そういう方向性がはっきりと伝わってくる提案になっているなという印象を持ちました。
論点1について6ページをお願いいたします。このページの右側にある学習評価の縦の繋がりを比較対象的に示している表ですけれども、各段階の評価の在り方の違いとともに、繋がりもよく見えるものになっていると思いました。個人的にはこの表を子供の育ちに沿って下から読んでいくのがわかりやすいと感じておりまして、幼児教育のところにある1ポツ目とか2ポツ目の考え方をよく理解することが、生活科の4ポツ目にある形成的評価の部分を、小学校で確かな理解や実践に結びつけていくことに繋がるのではないかと思いました。
次に7ページですけれども、生活科における見取る姿のイメージ、それから学びに向かう力の評価のプロセスのイメージがよく理解できました。その上で、下の段のところに注目したのですが、この例で言うと、オレンジの字体の部分、つまり、内容ごと、単元ごとに示された学びに向かう力・人間性の部分の文言と、その下の青色の枠の見取る姿(仮称)の3つの言葉がよく関連づいていることがわかります。一見すると、オレンジと青で二通りの評価をしていくようにも見えるのですが、実際の評価としては、オレンジと青が重なるというか、オレンジの下に青色が透けて見えるイメージで評価していく、そういう解釈でいいのかなと自分は理解しました。現場として図を見て、二通りの別々の評価をしていかなければというような、負担感に繋がる誤解が生じないように気をつけていきたいと思いました。
最後です。論点2について、32ページですけれども、スタートカリキュラムの充実に向けた補足イメージで、このように現場がそのまま活用して、まずやってみようと一歩踏み出せるモデルが広く示されることは画期的なことだなと思いました。同様の内容が国からもこれまで資料としては出されていますけれども、解説等に盛り込まれれば、スタートカリキュラムの理解がまた一段と進むと思いました。33ページの5つの視点についても賛同いたします。各校の単元配列表や週計画をブラッシュアップする上で、現状を踏まえると特に5つの視点のうちの丸1と丸3と丸5が、とても有効なフィルターになるのではないかと思いました。
また31ページの左側に、何をもってスタートカリキュラムかという共通理解が難しいということが挙げられていますが、それは先ほどのご意見にもありましたように、現場でも実感しています。週計画はあっても、タスクをこなしていくような実践状況になってしまったりして、紙面や言葉中心の研修では、十分にスタートカリキュラムの本質的なものを共通理解することが難しく、限界を感じるところでもあります。それを補う意味で、31ページの右側に提案されている動画の発信という部分がありますが、教師と子供の言葉、表情、間合い、時間や空間の構成、そういったスタートカリキュラムの本質や核心に触れる部分を、教員が直感的に捉えられる動画というのは、理解を深める上で一助になるのではないかなと思いまして、現場としては期待したいところです。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。では続きまして、川越委員お願いいたします。
【川越委員】 私からは評価の部分について1点だけお話しできればと思います。資料の5ページ目、右側に見取る姿の明確化のイメージとありますが、このような形で明確化していくというのは、評価をしていく上でも観点がはっきりするので、とてもいいと思いました。ここに「思いや願いを持った働きかけ」と「他者との伝え合いや協働」、「試行錯誤や自己調整」と3つの例示がありますが、これらをできれば発達段階に応じて、例えば幼児教育の場合だと、この3つの観点をどのように見ていくか、総合的な学習の時間の場合だったら、どのような言葉になるのかといった形で、例示している大枠を、評価や見取る姿の基盤といった形に据えて、実際に見取る項目が発達段階によってどう変わっていくのか、評価の観点が異なっていくのかといった形で整理できると、よりわかりやすいのかなと思いました。
あとは、例えば「思いや願いを持った働きかけ」のところで、「自ら関わろうとする『とともに』思いや願いを持って」といったかたちでアンドが入っています。このアンドが大事だと思いますが、一方で、アンドがあると部分的な評価がしにくいといった話を聞くこともあります。もちろん見取りになるのでチェックを入れるというものではないですが、最終的な例として出すときには、1つの項目で1つのことが評価できるような、評価の観点がそれぞれ独立した形で整理してもわかりやすいのかなと思いました。私からは以上です。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。堀田委員、いつもメディア絡みのことで最後に話していただきますけど、今日は少し早めにご退席ということで、ご発言をお願いいたします。
【堀田委員】 31ページ「幼児教育と小学校教育との接続の在り方」で左側丸2の「校内体制や外部連携に関する課題」において、1年生の担任の先生だけの課題として捉えられがちである、の改善として、右側丸2の「学校全体で取り組む体制づくり・外部連携の充実」で、しっかりと幼小接続を推進する体制を整える、それを実現するところが大切で、それにより様々なことが解決されると思います。それは50ページ「動物飼育の休日等を含む管理体制の確保」とも関連してくると思います。また32ページ「スタートカリキュラムの充実」でも、スタートカリキュラムを比較的自由度を持って配置していくことを考えたときにも、学校全体でその配置を考えたり、1年生の担任だけではなく、というところの学校体制をぜひ強調していただけたらと思います。
スタートカリキュラムの充実によって、35ページ「教科横断の在り方」が重要になってきて、右側の丸2にある「各教科の資質・能力とのつながりを意識した学習過程の構想」が非常に重要になってくると思います。1つの例として活動と資質・能力の対応表に示されていますが、こういうものがもう少し詳細に示されていくことが、学校体制でやる、1年生の先生だけに任されない、全員でやりましょう、を強調するためにも、資料が少ないと思います。
学習評価のところですが、38ページ「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」では姿で見取っています。しかし、学校教育、小学校に入れば少し長いスパンで考えながら、ここの段階ではそういう姿は見取れないんだけども、もう少し時期が経ってくるとそういう姿が見取れる場合があるので、長いスパンでの見取りっていうのが積み重なっていく、見取れた姿に丸を複数つけていく表になればいいと思います。
最後に37ページ、知識及び技能の基礎では「・・・、生活上必要な習慣や技能を身につけるようにする」とあります。学びに向かう力、人間性等や思考力・判断力・表現力等の基礎の部分が非常にクローズアップされて知識及び技能の基礎の部分が少し置き去りにならないようにバランスを取ることを明記したほうがいいと思いました。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。そうしましたら次、廣瀬委員よろしくお願いします。
【廣瀬委員】 はい、よろしくお願いいたします。先ほど伊藤先生も触れられていましたが、1点だけ、7ページになります。「学びに向かう力、人間性等」の育成に繋がる学習のプロセスというところですが、評価に関する考え方は、これまで総則・評価特別部会の議論を踏まえて、「学びに向かう力、人間性等」は個人内評価として総合所見欄に書いて、思考・判断・表現との関係で丸をつけるという方向性、これは生活科でも良いと思います。
生活科では非常に態度が重要であり、内容に態度を残したことや、「学びに向かう力、人間性等」を個人内評価としたことは、本当に生活科らしい評価の在り方がより進化して、適切にアップデートされたというふうに感じます。総合所見欄で一人一人の良さや成長を肯定的に記述すること自体が、「学びに向かう力、人間性等」に即した評価で、比べるのではなく、その子の成長を見取るという個人の成長を重視する生活科の方向性と合致しています。内容に「学びに向かう力、人間性等」が示されたことにも価値があり、個人内評価としたことで、より一人一人の良さを丁寧に見取れて、適切に評価できるようになると思います。一方で、3つの見取る姿に丸をつけること自体は問題がないものの、各内容にも態度が示されているために、両者の関係を整理して、よりシンプルな評価に向けて、今後検討する必要があるというふうに考えます。
【黒上主査】 それでは水川委員よろしくお願いします。
【水川委員】 はい、よろしくお願いします。簡単にちょっと触れます。論点1、6ページですが、結局評価はリアルな探究活動を通して、その子にどんな成長が見られるのかっていう視点をきちんと捉えることが重要だと思います。先ほどから出ているように、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿があるわけですので、それを踏まえた上で、小学校の教員が評価を捉えていくっていうことをきちんと解説に書いていくことが必要だと思っています。それから、その子の気づきや発見を見届けるってことからすると、観点は活動の内容とか思考・判断・表現というふうに分析的にはなってくるんだけど、分析的に書きすぎないことが大切で、エピソードベースとストーリーで評価をしていくっていう考え方が重要だと私は思っています。
それから30ページ、今度は論点2のところですが、幼児教育と小学校教育の接続の話ですが、このページは学校教員が読むときに、スタートカリキュラムと架け橋期のカリキュラムで、段差をなくして緩やかに活動を展開すればいいんだなと、レベルを下げていけばいいんだなというふうに読み取らないことが大事で、これは教育全体のグランドデザインの問題だと思うので、積み上げていくという視点で書くことが必要だと思っています。つまり、子供がやりたいようにやらせればそれでいいというわけではなくて、学習の意図性はあるが、そのやり方を工夫していくと、子供に委ねる部分をどこにするのかってことを考えることが大事だと思っています。通常の小学校教育って到達目標を意識できるようにするっていう考え方が基本だけど、幼児教育は方向目標のはずなんですね。味わうとか感じるとか、そういう考え方を大事にしているはずなので、それをアップデートしていくって考えが必要だと思っています。
それから32ページ、スタートカリキュラムの充実ですけど、実際は環境構成による教育と教師の意図的な指導による教育の配分比率を変えていくっていうか、それがスタートカリキュラムの本質で、ABCD例はあるけれども、これ配分比率の問題だっていうふうに私は感じます。岐阜市でも昨年、1学期中に朝登校したら30分、子供たちがやりたい活動をやるっていうことを展開しましたけど、自らの選択と行動の場をどこに位置づけるとか、自分で探りながら作り出す活動をどうやって位置づけるのかということをデザインしていって取り組んだので、そういう意味で、時期の長さとかいつやるかということよりも、その環境・構成と教師の指導の配分を変えていくっていう感じでデザインするのが必要だと思っています。
それから50ページ、固有の課題のところですが、動物飼育の話ありますけれども、僕は生活とか総合の中で、実は学校教育の中で慈しむとか可愛がるっていう活動は必須で、例えば植物で言えば丹精込めるなんていうプログラムはどうしても学校教育には必要なので、そういうような直接体験プラス生き物を扱うことによって時間軸で生まれるストーリーを作るっていうプログラムがあるといいなと思っています。
【黒上主査】 では山本委員お願いします。
【山本委員】 はい、よろしくお願いします。私からは1点、論点2の接続についてのところですけども、35ページのところをお願いします。この接続ということを考えていくときに、育てたい資質・能力で接続していったものが、どのように繋がっていくのかということが大事だというメッセージを、ぜひ学校の先生方に届けていただきたいというように考えております。
この接続期のカリキュラム、スタートカリキュラムとか架け橋期のカリキュラムとかって考えるときに、現場の先生たちはその活動とか内容を接続すると、プラスアルファでまた新しいことをやるみたいなイメージを持たれてる先生方もお話なんかをしてると結構いるのですが、今回この35ページの活動、それぞれの活動がどのような資質・能力、国語とか算数とかに繋がっていくのかというこの対応表を導入していただいたのは非常に画期的だと思います。幼児期でどういうふうに育まれて、それが生活、そして高学年になるにつれてどういうふうに繋がっていくのかっていうことが、まさに接続なんだということがわかるような、そういうメッセージが必要かなと思っています。
生活科の中で大事にしている身体性を伴う体験といったようなものが、これから総合をやる際に非認知能力などのどういうところにその影響を及ぼしていくのかという、そういったメッセージなんかがあると、この接続というところが先生方にも理解されやすくなるのかなと思いますので、ぜひそういったメッセージが伝わるような形で強調していただくといいかなと思いました。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。では木曽原委員お願いします。
【木曽原委員】 はい、よろしくお願いします。1点だけ、49ページなんですけれども、私はどちらかというと外部の企業様とか団体様とその教育に関連する調整ごととかご協力いただくとかいうやり取りをすることが多いので、右側の2番みたいな、標準化ってどの程度できるのかっていうのはちょっとあるんですけども、外部の方とちゃんと今の教育の目指してるものですとか、そういうものをしっかりご理解いただくとか、逆に企業とか団体様が何を手伝えるのかとか、先方としては何を望んでるのかっていうようなものをちゃんとコミュニケーションするっていう意味での標準化っていうのは、ぜひできると思いますし、やっておくとコミュニケーション上のエラーが起こりにくくなって、それが結果的に1番の継続的な関係づくりとか、3番の体制の構築みたいなものに繋がっていくのかなと思っているので、より相手から見た教育っていうのも理解して、ここを整理していくといいんじゃないかなというふうに考えております。はい、以上でございます。
【黒上主査】 なるほど。簡易な共有シートのイメージが具体的にどういうものかっていうのは重要ですよね。木曽原先生、何か具体的なものをお持ちであれば、またご紹介いただければと思います。それでは岩本委員お願いします。
【岩本委員】 よろしくお願いします。まず論点1の学習評価の在り方のところについてです。この見取る姿や学習評価のプロセスの中でですね、今回の学習指導要領の大きな柱になっている「好きを育み、得意を伸ばす」っていうここの視点とか繋がりっていうのがちょっと評価の中でも見えにくいなというところです。子供たち一人一人の好きや得意をどう育んで、それをどう見取っていくのかという部分って、その後の総合的な学習の時間、探究なんかに繋がる非常に重要なところですので、おそらく思いや願いを持った働きかけの思いや願いというところに近いものなんだと思うんですけども、今回重要になってくる一人一人の好きや得意っていうのがこの生活科においてどう育まれていくのか、それをどう見取っていくのかというようなところをですね、もう少しわかるような形で入れていくということが必要なのではないかというのが1つ目です。
2つ目はですね、論点2、論点3、両方に関わるところなんですけども、特に39ページ目ですかね、外部人材・地域との連携というところです。先ほどから学校全体で取り組む体制というところの重要性っていうのは言われてきている話で、まさに大事だと思うんですけども、今回この外部人材とか地域との連携においてですね、この単発的だという課題感は出ていてですね、単発的を継続的にしていくというところは1つ重要だと。でもう1つここで明言されてないですけど、やはり課題としてあるのが属人的になっているものをより組織的にしていくというかですね、属人的プラス組織的にというところが課題だとか方向性に必要かと思います。
学校全体としてというところ、言葉で言うのはたやすいんですけど、じゃあ学校全体としてって言ったときにどういうことが鍵になっていくのかというときに、今は連携する相手もですね、個人をベースに考えて、属人的に教員と個人との関係性だとか、そういったところでされていることが多いんです。これはこれで非常に重要なので引き続きやっていくべきだと思うんですけども、連携する相手をですね、やっぱり組織として捉えていくという視点も重要。例えば学校運営協議会も1つの会議体かもしれないですし、PTAとかですね、公民館等の社会教育機関とかですね、そういった組織対組織でこれをしっかりとやっていこうというふうに位置づけて進めていくと、教員だけの1年単位とかだけの話ではなくて、学校全体の問題としての捉えになっていくというところで、この属人的から組織的にっていう部分もちょっとこの中でですね、しっかりと書き込んでいくというところは今後重要になってくるのかなと思います。はい、以上です。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。評価との関係で好きとか得意について考えるときに、一般に評価は大体何事においても良くなければという見方なりますが、好き嫌いが入ってくると凸凹が発生するので、それを積極的に認めていくという考え方になりますね。日本でずっとイメージしてきた評価観とそれをどうすり合わせていくかっていうことですね。難しいところかなとは感じますけれども、これから検討して行かなければならないと思います。それでは久野委員お願いします。
【久野委員】 よろしくお願いします。まず4ページのところで、従来の在り方との連続性があります。1項目目の3つの資質・能力、これを一体的に育成するという表現ですが、これは従来の在り方と連続しているというふうに捉えていますので、この一体的に示すことには賛成です。文章を丁寧に読んでいくと、きちんと理解が得られるものではないかと捉えています。
それから5ページ目の見取る姿です。この見取る姿は「学びに向かう力・人間性等」の要素と紐づいていることがわかりますが、内容的にも表現的にも生活科らしく示されていますし、これも理解・定着がしやすいのではないかと考えています。1つだけここで気になるのが、試行錯誤や自己調整のところの最後の語尾のところです。「前向きに行動しようとしている」というところです。ここは段階的に積み重ねがあるという、丸のついたものが下から上に行くというふうになりますけれど、上の「思いや願いを持った働きかけ」、「他者との繋がりや協働」のところから見ると、「働きかける」、「活動しようとしている」に続いて「前向きに行動しようとする」とありますが、ここだけ「前向きに行動」とちょっと態度主義的に見えます。どう言い換えたらいいのか考えてもいい表現出ないのですが、「粘り強く取り組む」とか「前向きに工夫」のような試行錯誤、自己調整のニュアンスが出せると良いのではないかなと思います。
それから幼児教育、中学年との接続のところです。31ページ、ここの架け橋期のところですが、やはりいろいろと幼稚園関係の先生と話をしていても小学校のほうで取組に差があるという印象があります。右が改善方策の2番目の冒頭のところに管理職の理解を深めるという言葉がありますけれど、その深めるということをどのように実現するかという方策が必要と考えています。
それから34ページ、スタートカリキュラム、今回は表現されていませんが、アプローチカリキュラムとかですね、幼児教育のほうでは浸透が難しい言葉かもわかりませんが、言葉の整理が今までたくさんありまして、十分に体系的に理解しにくかった中で、架け橋期を今表示されているように、5歳児から小学校1年までの2年間というふうに明確に位置づけたことはわかりやすい枠組みができたなと思っています。同時に、スタートカリキュラムは32ページのAからDのタイプにありますように各学校で設定できる自由さがありますので、この2年間の枠とそれからスタートカリキュラムの各学校に応じた設定と、この2つを上手に効果的に使えばより充実してくると思っています。
それから33ページのところで、時間割の工夫、弾力的な編成ということで、これは今検討されている余白の時間とも関連してると思っています。スタートカリキュラムで弾力的に時間割を組むことで、余白の時間を生かした低学年のカリキュラムから提案のできる内容だと思っています。
それから35ページ、教科横断、あるいは中学年以降の接続に共通することとして、これが資質・能力の接続であるということを意識したいと思っています。逆に言うと活動や内容の連続のように何をしているっていうことが目に入って、そこで連続しているというふうに捉えがちですけれど、やはりそこで育っている資質・能力の連続性ということで捉えたいと思っています。
最後です。36ページ、社会認識、自然認識、あるいは自己認識という言葉が出ています。これらの言葉は中学年以降の用語として注意深く使いたいと思っています。逆に言うと、生活科の中で、社会認識、自然認識と無意識に使ってしまう場合には、認識形成というところが目的化しかねないおそれがあります。生活科では、自然との関わり、これ幼児教育との連続性というとこも含めて、自然との関わり、あるいは社会での経験や体験、この辺をやはり充実させたいと思っています。あくまでも身体性を伴った実感ある気づき、ここがベースになるような表現にしたいと考えています。以上です。
【黒上主査】 私の方からも少しだけ。4ページにあります「一体的」という話と、その中で評価としては「観点別」という話が、どうしても両足引き裂かれるような感じがします。それに対しては、体験活動はそれ自体としてしっかり深めていく、子供に即して活動をうまくファシリテートしていく中で、子供を見るメガネとかレンズとして3観点を持って見るというようなイメージが伝わると、3観点ごとに何か活動を考えるとかそういう話ではなくなってくると思うので、それをうまく伝えてほしいなというふうに思います。
それから生活科を結節点とするっていうのは、良いと思うんですけど、その意味がどういうことかなんですね。今のところ図としては。年間指導計画の中で矢印がピッと伸びて繋がってますよね。従来カリキュラムを作るときに内容の関連で繋ぐ感じだったのですけど、前回の指導要領改訂から、ここを資質・能力の関連で繋ぐっていうイメージが新しく増えたように思います。とはいえ、結構書きにくいところもありますね。生活科で今子供がやってることは算数(数学的な見方・考え方)と関係があるというように、内容ではなく、見方・考え方レベルでつないでいくことを検討して、何かイメージが出せないかなと思って聞かせていただきました。
それから岩本委員がおっしゃったこと、学校体制を整えるっていうことはとても大事ですが、それを一体どう実現するのかということはとても難しくて、学校の中でも分掌があるので、全員がスタートカリキュラム担当というふうにはできないわけですよね。でもその中で属人的でなく組織として、どのようにどんなスタートカリキュラムを実現するかとか、地域連携を実現するかということのために、どのような仕事と言いますか、やるべきことがあるのかが見える化されて、それをそれぞれどのように分担するか、しかも連携を取っていくかというようなことがモデルとして示されていかなくてはいけないのだと思います。それがうまくいっている学校の事例とかがもし集まってくるのであれば、解説などで具体的なやり方を示していくということになるのかと思います。
それから水川委員もおっしゃいましたが、自分でできる子供をちゃんと育てていくことをもちろん重視しますが、やはりどうしても難しい子供はいます。構成主義的な考え方で全てうまくいくわけではありません。だから、そういう子供たちをどのようにフォローするかというようなことも、(指導要領書いてあることは確かに理想的で良いなと思いはしますが)、やはりそれに沿わない子供に対する指導や導きなどの塩梅みたいなものを考えないといけないということも、とても大事な話かなというふうに思いました。
最後に久野委員がおっしゃったことです。「学びに向かう力・人間性等」が前回入ったことで、僕は態度評価の中に力、アビリティ、あるいはコンピテンシーが少し見えるようになったと思って、それを評価すればいいなと考えていました。今いろいろな学校に行って3観点目の評価基準を見せてもらうとやはり「何々しようとする」という態度しか書かれていないのですが、その中にメタ認知とか自己調整とかに関わって何かができるか、「次にやることが計画できる」というように、力に関わる表記で書くべきだと思うのです。これに関しては、明示するかどうかは別にして、その趣旨が指導要領の中でも少し導けると良いなと思っています。これ実は各教科でも、総合でも同じかなと思いました。
皆さまのご協力で大変時間が余ってるのですが、今日のご意見を伺っていただいて、さらに一言言っておきたいことなどありましたらお願いいたします。どうでしょうか。遠慮して今日は挙手なさらなかった方とかいらっしゃいますか。大丈夫ですか。この後、総合が結構重たいかもしれないので、総合の方に移ってよろしいでしょうか。はい、それでは総合の方の説明を事務局の方でお願いいたします。
【堀川学校教育官】 学校教育官の堀川でございます。資料2をご覧ください。「質の高い探究の実現に向けた方策について」でございます。
本日ご議論いただきたい事項は3点でございます。1つ目が探究の形態に係る考え方、そして各学校段階における「節目としての探究」、2番目に総合と学校行事の連携の在り方、3番目に考えるための技法についてでございます。
まず1点目、探究の形態に係る考え方と「節目としての探究」についてでございます。まず前提といたしまして、論点整理の6ページにあります通り、総合においては個人探究、グループ探究という言葉が使われていて、このことについてどのように考えるかということを検討することが宿題になっておるところでございます。その中で議論の前提でございますけれども、第3回のワーキングの中で、探究について自己の興味・関心、問題意識に基づき課題を設定するものと整理をいただいているほか、学校で設定をした総括的テーマを重視するグループ探究が多くて個人の興味・関心が十分に考慮されない例が散見される。その中でグループでの探究と個人探究とのバランスや興味・関心等を踏まえた多様なテーマ設定の在り方、こうしたことについて示し方を検討すべきとされておるところでございます。
そのような中、今回の具体的な論点についてでございますけれども、まず1番、探究の形態に係る考え方ということで、こちら補足イメージの1でご説明をさせていただきます。これまでに個人探究・グループ探究について明確な整理というものがなされてきているわけではございません。一方で、教師を起点として学年・学級等で共通のテーマ、課題を設定する場合はグループ探究、そして個人を起点としてテーマや課題を設定する場合を個人探究とした場合には、一定の課題が考えられるだろうということで、1点目、誰と行うかという形、形態に焦点があり、課題設定に関わる主体性や裁量の視点というのが軽視される恐れがあること。また個人であってもグループであってもいずれも対話や協働というのは重要でありますけれども、個人が過度に強調されると軽視をされかねないということ。ただ個人・グループいずれも1人1人の興味・関心や問題意識ということが重要でございますけれども、グループという形が過度に強調されると軽視をされかねないということ。
こうしたことを踏まえまして、課題設定に関わる教師と学習者の裁量に着目をいたしました。探究の形態としては、起点に関わらずですね、課題が自分ごととして洗練されていくということを前提に、大きくテーマ探究・マイ探究(個人探究)の用語を用いることとしてはどうかというご提案でございます。いずれの場合でも探究の形態そのものではなくて、学校教育目標等を踏まえて各学校を目標に定める資質・能力を伸ばしていくということが重要だということには留意が必要というふうに指摘をさせていただいております。
図にございますけれども、このテーマ探究とマイ探究(個人探究)というのは、ある種綺麗に区分けができるものではなくて、課題設定に関わる裁量ということについて見た場合にも、例えば興味・関心に基づき設定をしたゼミの中で、共通の課題で活動するであったり、また特定のテーマのもとで探究を行うんだけれども、その活動の中で個人や小グループで課題を設定して活動するといったことも考えられます。また、テーマ探究を進めていく中で、途中で1人1人の興味・関心、問題意識に基づき1人1人で活動していくような要素を盛り込んでいくといったことも考えられますので、なかなか切然と分けられるものではないということには留意が必要かと考えております。またパターン4・パターン3といった形でですね、第3回のワーキングでパターンを分けてご議論をいただきましたけれども、そことの関係ではマイ探究(個人探究)というのは概ねパターン4、テーマ探究というのは概ねパターン3以下に当たることが多いと考えられるものの、テーマ探究がパターン4である場合やパターン4として洗練されていくなど、多様な実態があるということを付記させていただいております。
戻らせていただきまして2番、発達段階に応じた指導の考え方でございます。マルチステージの人生モデル、そういったことと相まってですね、自らの人生を舵取りする力が不可欠となり、自ら課題を設定し、自律的に探究できる力が一層重要になっていく。その一方で、興味・関心と出会う体験や経験等が十分にないままで、何がやりたいのかということを学校で常に過度に問われ続けることは、息苦しさにも繋がりかねないといった指摘もございます。
こうした議論を踏まえまして、テーマ探究とマイ探究(個人探究)の考え方や、発達段階に応じた在り方について、解説等で以下の通り示してはどうかということで、3点でございます。1点目が、高校段階では、自己の在り方生き方に関わるマイ探究(個人探究)を、自律的に進められるようになることを目指すこととしてはどうか。こちら、第3回ワーキングですでにご議論をいただいたところでございます。一方で、そのためにはテーマ探究とマイ探究(個人探究)のいずれもが重要であるために、子供の実態も踏まえて、様々な探究、こちらにはテーマ探究・マイ探究(個人探究)のほか、研究系・行動系・創作系といった、第3回のワーキングでご議論いただいたことも含めて、様々な探究を適切に組み合わせ、目標に掲げる諸側面をバランスよく含んでいくということが重要ではないか。また、1年間1テーマというだけではなく、1年間複数テーマであったり、また年度の前半で例えばテーマ探究をやったり、そして後半でマイ探究(個人探究)をやったりといった事例も後ろに参考で載せさせていただいておりますけれども、そうした年間指導計画の参考となるような多様な実践の在り方を示していくこととしてはどうか。
その上で、探究の成果を表現・外化することによって、学習の基盤となる資質・能力の育成を媒介して、総合が各教科の深い学びにも寄与していくといった議論をいただいているというところでございますので、テーマ探究・マイ探究(個人探究)といった形態に関わらず、論述・レポート・プレゼン・作品制作、こうした外化の機会を適切に設けるということについて、学習指導要領上、明確化してはどうかということでございます。また、教師の適切な見取りや形成的な評価、こうしたことを含めた指導性の発揮の在り方についても、解説等で示すこととしてはどうかというふうに考えております。
3番、各学校段階における「節目としての探究」、こちら補足イメージの2でご説明を申し上げます。現行の解説や指導資料、評価の参考資料では、学習活動の例示として、個人研究・卒業論文といった形で、様々な研究をされているところでございます。また高校のみならず、小中学校段階でも、発達段階や子供の実態を踏まえながら、学習者が課題の設定に裁量を持つ探究パターン4を適切に取り入れていくということが、第3回のワーキングでもご議論をいただいたところでございます。
こうしたことやテーマ探究とマイ探究(個人探究)のいずれもが重要であること、また好きや得意を伸ばしていくという上で、1人1人の興味・関心や好奇心を一層重視していくという今次改訂の方向性、こうしたことを踏まえますと、各学校段階の最終学年等で、学習の成果や自らの変容を実感する、各学校段階の「節目としての探究」を実施することとしてはどうか。その際、細かな総合の内容はあくまでも各学校で定めるという特質がございますので、細かな要件等、国が求めるようなことはしないというふうにした上で、学校現場に過度な負担感が生じないように、子供や学校の実態に応じた幅広い事例等を、参考資料として示していってはどうか。さらに、こうした取組の推進を含めて、より質の高い探究を推進していく観点から、例えば探究の成果物のアーカイブなどを含めた学校図書館と総合との連携の在り方、こうしたことも分かりやすく示すこととしてはどうかというふうに考えております。
戻らせていただきまして、4番、総合と裁量的な時間との連携についてでございます。裁量的な時間の学習枠の具体例として、総則・評価特別部会においては、個人探究課題の深掘りや、個人探究を伴う体験活動の充実、また多様な大人と探究的に関わる活動、こうした形で示されている中にあって、総合との関係というものを検討する必要がございます。このため、裁量的な時間において、総合における学習と関わる活動に取り組む場合には、総合において実施をする活動との間の役割分担や連携を図って、よりよく目標の達成に資するようにするということを明確化してはどうか。
その上で、マイ探究(個人探究)について、裁量的な時間で実施する場合と総合で実施する場合との関係でございますけれども、総合では目標に照らして指導や評価を行うことが求められるという違いも踏まえまして、例えば以下のように裁量的な時間を計画する際の考え方の例を解説等で示してはどうかということで、検討資料の中でも総則・評価特別部会で示されている内容と照らしまして、例えば総合で設定した個人探究課題を深掘りしていくような形、また、縦割りでの活動など総合よりも柔軟な形で個人探究を実施するという形で、裁量的な時間を活用する。また将来的に総合でマイ探究(個人探究)を取り入れていく前段階の試行的な取組として活用する、そういった形が考えられるのかということを例示したらどうかということでございます。
5番、探究の形態等を踏まえた指導体制等についてでございます。まず、マイ探究(個人探究)の形式を取る場合に、例えば学級を超えて課題に応じて教師の専門性や得意、こういったものを生かしながら、相談体制を取っていくことが効果的である場合もあって、特に高校ではこうした学級や学年を横断した指導体制を設けている事例もございます。一方で、時間割の変更や教室の確保を含めて、様々な調整が生じること等々も踏まえまして、指導体制等の工夫に資する多様な取組の例というものも解説で示すこととしてはどうかということで、補足イメージの3と4を示しております。例えば各学級担任がクラスの総合を見る場合もあれば、学年で教師の得意を生かしながらゼミのような形を作って、取り組んでいく場合もあれば、実践の中でも、担当学年の区別なく学年横断でテーマを担当するような形で組んでいるような場合もございます。
また校内体制については学年担当に加えて、学校全体の総合のカリキュラムを担当する主担当者を設けて、それぞれの中で、外部人材や担任外、管理職等々、そして職業や学校図書館司書も含めて、体制を組みながら進めている事例などがございますので、こうしたことを解説の中で示していったらどうか。さらに時間割の考え方についても、それぞれの学級が、これらはいずれも高校のイメージでございますけれども、別々の時間に時間割を組んでいる場合もあれば、特定の時間に総合の時間を組んで学年横断で、または学年を超えて活動している場合もあるので、そういったこともイメージとして示していってはどうかということでございます。
ここまでが論点の1でございますけれども、参考資料といたしまして、国際バカロレアの中では中学校段階の卒業研究に相当するようなパーソナルプロジェクトに最低25時間費やすことが期待されるといったことが行われていることや、これまでの先ほどのパターン1から4も含めた関係する議論の資料をお示しさせていただいているほか、諸外国においても行われているマイ探究(個人探究)に類する取組事例、さらには各学校で取り組まれているテーマ探究の中で1人1人の興味・関心を引き出すような工夫であったり、マイ探究(個人探究)での取組の事例であったり、また、デジタルを活用したマイ探究(個人探究)の事例、そして「節目としての探究」の取組事例についても、小中高を通じて様々な実践事例をご紹介させていただいております。また総合と学校図書館の探究成果物のアーカイブも含めた取組事例もご紹介しておりますので、合わせてご覧いただければと思います。
論点の2、総合と学校行事の連携の在り方についてでございます。こちら総合ワーキングだけではなく、特別活動ワーキングとも深く関わりますので、この内容につきましては特別活動ワーキングでも検討することを予定している前提で、本日はご議論をいただければと考えております。
まず議論の前提でございますけれども、総合と特別活動の双方の特質を有する取組というのは現行でも想定されていますが、総合の本来の趣旨と距離のある様々な活動に総合の時数が当てられ、まとまった時間を割いて探究に取り組めていない事例があるといった指摘もある中で、整理を行っていく必要があるのではないか。現行の規定では総合の時間における学習活動により行事の実施と同等の成果が期待できる場合には、各行事の実施に代えることができるという規定が総則にございます。このことについてどのように考えるかということでございます。
具体的な論点でございますけれども、好きや得意、対話と合意等から見た特別活動と総合との関係性ということで、こちら補足イメージの1でご説明をさせていただきます。第5回の特別活動ワーキングの中で、特別活動の学級経営の「核」、そして生徒指導や特別支援教育における第1層を担っていく「核」としての位置付けが議論をされて、学校教育活動全体の安定を支える特別活動の教育課程上の基盤性、こうしたことが議論されているところでございます。
こうしたことを踏まえますと、例えば学校行事を単発のイベントとしてではなく、日常の学びや興味・関心と社会とを繋ぐ舞台として、特別活動を基盤・舞台とした総合との一層の連携の可能性を検討してはどうか。「好き」を育み「得意」を伸ばす、当事者意識を持って自分の意見を形成し対話と合意ができる、こうした教育の実現に向けて、総合と特別活動の一層の連携の可能性を検討してはどうかというところがまず1つ目でございます。
これを踏まえて2番目、学校行事と総合との関係の一層の明確化でございます。こちら補足イメージの2でご説明を申し上げますが、総合における学習活動で学校行事に代替できる場合について、現行の総則や総合の解説では総合と特活の両方の目標を踏まえるということは前提でございますが、代替を認めている例示としては旅行・集団宿泊的行事、そして勤労生産・奉仕的行事のみが挙げられているということ、また代替が認められない例示として文化的行事や健康安全・体育的行事の準備が挙げられている、これは平成20年改訂以降共通の整理として現行でも行われているところでございます。
それにも関わらず、一定の解説の曖昧さと相まって、現状でも学校によって本来の総合の趣旨とは距離のある様々な活動に総合の時数が当てられているといった事例が見られることを踏まえまして、総合の時数で代替できる具体的なケースや留意事項、こうしたものを一層分かりやすく示すべきではないかというふうに考えております。具体的にはこの3点でございまして、1つ目は総合で代替できるかどうかは目標内容に照らした学習の実態で判断するということを基本としつつ、その上で、儀式的行事や文化的行事、健康安全・体育的行事の準備については総合で代替しないということを原則とすること、そして総合の目標・学習過程を踏まえて実施される旅行・集団宿泊的行事や勤労生産・奉仕的行事については探究として成立する部分について代替を可能とするということで、表にお示しさせていただいておるとおり、あくまでも現行の整理の明確化ということではございますけれども、原則不可となる部分やこういう場合に可であるということを、より明確にお示しすることとしてはどうかというのが今回の提案でございます。
戻らせていただきまして、3番、修学旅行・職場体験等を探究として実施する場合のイメージでございます。こちら補足イメージの3でございますけれども、特別活動と総合の一層の連携の視点を踏まえまして、修学旅行や職場体験、インターンシップ等の機会を生かして、充実した質の高い探究として実施する場合の在り方について具体的なイメージを示してはどうか。その際、とりわけ中学校においては小高と比較しても精力的な実践が必ずしも十分ではないといった指摘もある中にあって、多様な選択肢の1つとして、総合と学校行事との連携のイメージや事例等を解説や指導資料等を通して、参考として提供してはどうかというご提案でございます。米印で示させていただいていますけれども、探究として実施する場合にも学校行事である以上、特活の目標に定める資質・能力の育成を目指すものであることが前提でございます。
また、総合の内容は各学校で定めるというものですので、あくまで参考資料という位置付けでございますけれども、例えば宿泊体験と総合を組み合わせて、自然探究・オリエンテーション探究といった形で実施をしたり、職場体験と総合を掛け合わせてキャリア探究という形で実施をしたり、また修学旅行と総合を掛け合わせて越境探究という形で実施をしたり、そのような中で適切に事前学習と事後学習に総合を組み合わせるなどして、総合と特別活動の一層の連携を図っていってはどうか、そのことを探究のプロセスの一部と位置付けるなどすることで、質の高い探究の実現が期待できるのではないかというご提案でございます。
例えば米印で記載させていただいておりますが、学校行事を情報の収集の場として位置付けることが考えられるであるとか、また事前・事後学習は探究として成立する部分のみ代替できるということであります。その上で図は探究としてのイメージとして書かせていただいておりますけれども、特活として行事を捉えた際にはこのような形ではない別の見え方をするということには留意が必要だということについても注記をさせていただいておるところでございます。
最後4点目に学校行事を通じた好きや得意の発表の機会の明確化でございます。補足イメージの4でございます。今次改訂で「好きを育み、得意を伸ばす」ということを掲げている中で、各教科等で探究的な要素を持つ学びにおいて見出された興味・関心や好奇心の芽、こういったものを総合やクラブ活動、さらには裁量的な時間において育むことが可能な方向で検討が進んでおります。一方で、こうした学習の成果を学校内外に発信する機会というのは限定的であるといった状況がございます。
このため、学校行事の内容である文化的行事の名称に学習発表会の要素を追加し、文化的・学習発表的行事とすることで、地域社会や社会教育部局等とも連携しつつ、好きや得意のさらなる伸長に繋げる観点から選択肢を明確化するということをしてはどうかというご提案でございます。こちら現行でも、学校行事の文化的行事の中の解説においては学習発表会の要素は具体例として挙げられているところでございます。またコメントさせていただいておりますけれども、あくまで選択肢の1つでございますので、必ずしなければならないものではなく、実施する場合にも行事の目標を踏まえた活動をすることが前提となるところでございます。
イメージでございますけれども、各教科等における探究的な学びを通じて好きや得意との出会いやきっかけを持ち、そうして芽生えた好きや得意をクラブ活動で育て、それらを総合化する機会として行事を活用し、その中で地域社会とも連携するなどして、その先に社会教育や地域社会の成果発表の機会とも連携していくことができるのではないかといったイメージをお示しさせていただいております。
参考として、第3回ワーキングで総合と特活の両方の特質を有する取組としてキャリア教育や学校行事を目出しとしてご議論いただいているほか、独立行政法人青少年教育機構の中でも、様々な体験活動を支えていくような取組をご議論いただいていること、また修学旅行に関して、多くの学校がその体験内容について探究型プログラムの実施を検討しているといった調査結果もお示ししてございます。実際に課題解決型の職場体験といった形で、例えばこの事例であれば50コマぐらいをしっかりふんだんに使った探究×学校行事の事例であったり、また他の学校では、例えば20コマ程度を使いながら学校行事と総合との連携を図っているといった見直しの事例であったりも含めてお示しさせていただいております。また自治体でも、探究型修学旅行の誘致の動きもあるところでございますので、そうしたことも併せてご紹介をさせていただいております。
最後に、「考えるための技法」についてでございます。前回の改訂時に、比較する、分類する、関連付ける、こうした「考えるための技法」が活用されるようにする、といったことを内容の取扱いの中でお示ししております。一方で、その解説において10の技法の例を示しているところ、項目数が多く、教師にとって必ずしも分かりやすいものとはなっていないといった指摘があるところでございます。
そのような中で、具体的な論点でございます。探究のプロセスの質を高める方略としての「考えるための技法」ということで、総則・評価特別部会の中でも、個に応じた学習過程の充実として、方略の工夫、そして自己調整の重要性を盛り込む方向で検討がなされております。この点について、総合ワーキングにおいては、学習の自己調整が必然的に求められるという総合の特質も踏まえまして、目標においても方略の効果的な活用、また学習の自己調整、こういったことを位置付ける方向で議論をいただいております。さらに総合と各教科の関係におきまして、方略の活用による自己調整を含む学びに向かう力の育成を媒介として、総合での学びが各教科等の深い学びに寄与するといったことをご議論いただいております。
こうした総合における自己調整の意義についての議論の深まりに鑑みますと、「考えるための技法」というのは総合において学習方略と関連をして探究のプロセスの質を高める具体的な手立ての1つであると言え、解説や参考資料において様々な方略とともにより一層現場にとって使いやすいものへと具体化していくことが必要ではないかということで、補足イメージ1にお示しをしておりますが、課題の質、プロセスの質、創造(成長)の質という探究の質の中でも、プロセスの質の中で必要な方略を用いているかといったところを議論いただいております。こちらには総則・評価特別部会での参考資料から引っ張っておりますが、動機付け方略やメタ認知方略の活用も考えられますし、また学習方略の中での組織化方略や精緻化方略の中で、同じ点に着目して情報を整理する、また既存の知識と関連付けて深く理解できるように工夫する、そういったことが示されています。こういったことと関連して、探究のプロセスの質を高める具体的な手立ての1つと言えるのではないかというふうに考えているところでございます。
戻らせていただきまして、「考えるための技法」の示し方の見直しについて補足イメージ2でご説明を申し上げます。現在「考えるための技法」は10の例が単純に羅列されている中にあって、教師や学習者にとって必ずしも使いやすいものにはなっていない。そのような中で行動系と研究系、創作系といった探究の在り方に関わらず共通して活用できるものとして、多様な探究を支え、ひいては各教科の学びの深まりにも貢献しうるものと言える中で、今次改訂では「考えるための技法」を探究において新たな考えや価値を創造していくための具体的な手立ての1つであるとして、今まで発散というような視点はなかなか示されていなかったところでございますけれども、発散の観点を追加するとともに発散と収束の観点から分類をしてはどうか。
また今後現場の多様なアイデアや学術的知見を収集して、その在り方も含めて改善していくということで、ここに書かれている要素―は、現行もそうですけれども、今回お示しさせていただいているものもあくまで例であって、また、こうした形でのその明確なグループ分けというものは困難でございますので、あくまでも大まかな整理の例であるということに留意をした上で、「主に発散」、「主に収束」、というように「主に」や「等」という言葉もつけながら「広げる」、「整理する」、「深める」といった形で、大まかな整理の例をお示ししてはどうかというご提案でございます。
以上が3番目の論点でございます。参考資料といたしまして、これまでの総則・評価特別部会を含めた様々な会議での資料や、現行の29年改訂の学習指導要領で使われている動詞を分析したところ、小学校、中学校、高等学校それぞれで、各教科等において、この「考えるための技法」と関連するような動詞が使われているといったことをお示ししたもの、さらに、ミネルバ大学や国際バカロレアの中で、例えば思考の習慣、そして思考スキルといった言葉で、少し関連するような考え方が取り扱われているといったこと等々についてお示しをさせていただいておりますので、併せてご覧いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございました。それではご意見を伺いたいと思います。今日は小見委員から資料がありまして、それは本日の議論に資するものかと思いますので、先にその話をお願いしてよろしいでしょうか。
【小見委員】 はい、ありがとうございます。
それでは、発表させていただきます。本日は主査にご許可いただきまして、論点2に関する総合と学校行事の連携について資料を準備いたしました。事務局資料2の53ページに、先ほどご紹介ありました佐渡市の課題解決型職場体験が紹介されています。佐渡市ではこれをKSTというふうに呼んでいますが、弊団体がこのKSTの設計や支援に携わる立場から、今後の職場体験の在り方について事例を踏まえて意見を述べさせていただきます。
まずこのKSTは、佐渡市内全ての中学校で取り組みがされています。取り組みの特徴は、職場体験を単なる就業体験や学校行事で終わらせず、地域や事業所が実際に抱える課題に、生徒が向き合う学びにしている点にあります。事業所からは生徒に考えて欲しい問い、すなわちミッションが提示されます。さらに事前には生き方・働き方トークを各中学校にて事業所の方が行い、仕事のやりがいや地域の課題を生徒に直接語ります。
生徒はそれを受けて事前学習で問いを深め、当日の体験に臨み、その後の事後学習で提案、振り返り、そして発表まで行っていきます。重要なのは当日だけでなく事前・当日・事後を一体として探究サイクルを回しているということです。KSTは当日だけでは学習が深まりにくいため、事前に問いを持ち、当日に現場で確かめ、事後に振り返って再構成するという流れを重視しています。これは職場体験を探究的な学びとして位置付け直す上で、重要であると考えています。
事前事後学習については各学校で創意工夫をしながら進めておりますが、ミッション自体にも工夫を持たせています。授業や地域にとって実際に課題となっていることをテーマにしつつ、中学生が理解し考えられる範囲に落とし込んでいただいています。例えば佐渡オリジナルのダンボールデザインを考えることや、幼稚園に行った中学生は幼児の発達段階にあった手作りおもちゃを作ることなどがミッションとして提示されます。こうした本物の課題に触れることが生徒にとって生きた学びになっているのだと考えています。
なおこういったミッションを作るために、事業所と担当教員が毎年6月に合同研修を行い、そこで目的の共有やミッションの検討、プログラムへの落とし込みなどを、一緒に知恵を出し合いながら行っております。こういった形で事前に職場の皆さんが出向いておられます。これはミッションの一例になります。先ほど言ったミッションがこのような形で生徒によって実際に物を作って、提案をするという形になっています。
こういった活動を通して実際に生徒の変化も示されています。令和7年度の事前事後のアンケートでは、一例ではあるんですけれども、課題発見能力について肯定的に回答した生徒が75%から約89%へ向上しました。自己肯定感についても約55%から76%へ上昇しています。単に仕事の内容を知ったということにとどまらず、自分で課題を見つける力や自分にもできるという感覚が育っていることが推察されます。また、生徒の声からは、仕事が自分たちの生活や地域とどう関わっているかを知ることができたことや、思った通りに行かなくても発想を変えて考えることの大切さを学んだことなどが現れています。
そして事業所からも生徒と対話しやすくなった、生徒の提案が実際の取り組みに繋がった、若手職員の育成にも繋がったといった声が出ています。つまり学校だけが一方的に依頼する活動ではなく、事業所にも意味のある協働になっているという点が、注目に値すると思っています。
その上で職場体験への提言として、3点申し上げます。第1に、職場体験のねらいを問い直す必要があるということです。勤労観や職業観の育成にとどまらず、社会の課題に向き合い、自ら問い、他者と協働しながら、自分や社会との関わりを考え続ける、そういった資質・能力を育てることが、これからの職場体験を含めた学校行事において重要であると考えています。
第2に、探究プロセスを踏まえたカリキュラム設計が欠かせないということです。事前学習が職業調べで終わるのではなく、問いを持って現場に向かう事前学習や、体験後に自己内省や他者との交流を通して学びを意味づける事後学習までを含めて設計する必要があります。職場体験を単発の学校行事ではなく、資質・能力の育成に向かうカリキュラムの一環として位置付けることが必要だと考えています。また、自らの活動を蓄積し振り返り未来を見通していく上でキャリアパスポートなども佐渡市では有効に活用しております。
第3に、事業所と目的を共有し互いに意味のある連携協働にするということです。KSTでは教育委員会が学校と事業所の橋渡しをし、合同研修を通して目線合わせや信頼関係作りを行っています。こうした中間支援の存在は取り組みを持続可能にし、教員の負担軽減にも繋がっています。また、本物の社会と出会うことで子供たちの好きや得意に子供たちが気づくことや伸ばすことにも結びついていくと考えています。
中学校の職場体験は、単に仕事を知る機会ではなく、社会と出会い、自分の役割を考え、探究する学びへと発展しうるものです。今回の議論を踏まえて、職場体験をはじめとした体験活動や学校行事を、事前・当日・事後を通した探究的な学びとして位置付けることをさらに周知徹底していく必要があると考えています。
【黒上主査】 はい、ありがとうございました。この取組、何年か続けていらっしゃいますね。
【小見委員】 そうですね。全市で実施して今年で7年目なんですけれども、モデル実施3年ぐらい重ねて、合計10年目ぐらいになっています。
【黒上主査】 事業所の持つ課題が枯渇しないかっていうのはやや心配ですが、問題なく出てくるものでしょうか。
【小見委員】 そうですね。事業所の皆さんもちょっとマンネリ化し始めたところもあるんですけれども、担当者を変えたりですとか、ミッションを先生たちと一緒にまたリニューアルして考えるというようなことも継続して行っております。
【黒上主査】 そういうことはとても大事だと思います。どうもありがとうございました。
それでは順番に行きたいと思います。木曽原委員、お願いします。
【木曽原委員】 はい、ありがとうございます。3点ほどございます。
最初に、探究の形態に関わる考え方で、8ページの図なんですけども、非常に内容により本質的なところに踏み込んだ整理をされているなというふうな印象を持っています。大きく2つの軸が内包されていて、1つは今までよくあった人数的な個人なのかグループなのかっていう軸と、それよりも本質的なそのパターン3からパターン4、最終的には高校ではそのパターン4的な探究を自分でやれるようにっていう、そのグラデーションをより重要なものとしてこの整理したということなのかなというふうに認識しています。
その上で、もう1つの軸で以前議論がすでにされている18ページのところにあるかと思うんですけれども、探究のプロセスとか方略の違いによる3つの例示ということで、行動・創作・研究、こちらの軸も示されていて、大きく言うとその3つの軸で探究がグラデーションで整理されるってことなのかなというふうに認識しています。こちらのページだと、探究の「対応」という表現が使われていて、今回の資料は「形態」という表現が使われているので、この表現の意図とか差みたいなものはちょっと念のため確認しておきたいと思ったのが1点目です。
2つ目が、例示なんですけれども、38ページ以降に図書館の利用とかそういう例示がされているかなというふうに思うんですけども。17ページにある今までの議論だと、どちらかというと学習の基盤となる資質・能力の中で、今回は情報活用能力を結構ハイライトしてきているんですけども、一方で言語能力っていう意味で、図書館とかそういう既存のインフラ使ってしっかりそういうものも残しておくっていうような例示をしておくっていうのは非常にいいことなんじゃないかなというふうに考えました。
最後3点目なんですけれども、学校行事との連携の在り方ということで、こちらも45ページの図表を改めて明確に示したっていうのは1ついいことなんじゃないかなと思っていて、その次の46ページも例示なので、実際には他の探究のプロセスの中でこの特別活動を使っていくっていうのはいろんなパターンはあるかと思うんですけど、1つ示せていることはすごく価値があるかなって思ってるんですけれども、一方で、今までの議論を考えると、特に修学旅行の場合ですと、旅先における教育に使える素材とか資源っていうのと、我々の地元にある教育に使える素材とか資源っていうのを意識して、それらの間に本日触れられているような「考えるための技法」とかを活用しながら学びがちゃんと駆動するっていうデザインをしていくっていうことが必要なんだよっていうことを伝えていければいいのかなと。これおそらくどちらかというと、8ページの整理で言うとテーマ探究っぽいところから少なくともスタートはすると思うので、その学校とか教師がそこを意識してデザインしていくっていうことが求められるっていうような整理ができるといいんじゃないかなというふうに思いました。以上でございます。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございました。事務局の方で形態、対応の言葉の揺らぎについてもし何かありましたら。
【堀川学校教育官】 ご指摘を踏まえまして、「形態」、「対応」といった言葉の整理については、適切に修正を図って参りたいというふうに思います。
【黒上主査】 はい、それでは山田委員お願いします。
【山田委員】 よろしくお願いします。今回も現状の課題解決のためにかなり踏み込んだ提案をしていただきありがとうございます。とても参考になる実践例も多くあげていただき感謝いたします。中学校現場の視点で大きく2つご意見させていただきます。今回ちょっと思うところも強いので話がくどくなったら申し訳ありません。
1つ目は、自己位置の探究の形態にかかる考え方についてです。8ページをお願いいたします。テーマ探究とマイ探究(個人探究)というネーミングはすっきりしていますが、誤解を招かないように注意する必要があるのかなというふうに感じます。そのテーマ探究ですが、学年学級で共通のテーマや課題を設定するとなっていますが、教師が提示した課題というのは気をつけなければ、見栄えが良くても質の高い探究に繋がらないことを改めて確認する必要を感じます。中段で、課題が自分ごととして洗練されていくことを前提にとありますが、テーマ探究で行う場合の留意点として特に強調すべきだと感じます。
全てをマイ探究(個人探究)の形態で進めようとすることは現実的ではありませんが、子供が主体となった課題設定のプロセスは引き続き重要であることを記述していただけると思います。これまでのワーキングの中で、質の高い探究のために課題の質、プロセスの質、創造の質の重要性が提案されてきており、とても納得できるものとなっていましたので、その流れに沿った打ち出しをお願いいたします。
同じく8ページですが、その下段の思考性についての記述は大変分かりやすくてありがたいなと思います。ただ、テーマ探究がマイ探究(個人探究)に発展していくようなイメージになれば、よりよいのではないかというふうに思っています。
関連してですが、9ページにありますマイ探究(個人探究)が節目としての探究としての最終学年で実施するという提案は、これまでの探究学習の推進状況よりも後退しているように感じます。学校への過度な負担を強いることはできませんが、探究の意義が理解が進む中で、テーマ探究の形態は探究のスタートとしてはいいことだと思うんですが、「好きを育み得意を伸ばす」という観点からは、各学年の最後にはマイ探究(個人探究)の形態を行うような、特に中学校高校ではそういうことを推奨したらどうかというふうに思います。毎年マイ探究(個人探究)を行うことにより、質の高い探究が実現していくのではと思っています。
次に、2つ目、事項2の総合と学校行事の連携の在り方についてです。総合の時間が学校行事に使われていることに対して、明確な方針を打ち出すことには大いに賛同いたします。ただ留意しておく必要があるのは、総合を軽視したり意義を理解せずに学校行事に当てていたりするばかりではないということです。確かにそういう学校もあるかもしれませんが、学校行事、先ほどの例に示していただいた職場体験も代表ですけども、教育効果が大変大きく削りに削れない状況があります。学校行事を通して子供が大きく成長する姿を教師は見ています。保護者からの学校行事への期待も大変大きなものになっています。そんな中、学校行事を総合の時間に当ててしまっているというようなことも多いと思います。
今回裁量的な時間を活用することも触れていただいています。実際、調整授業時数制度の先取り事業で総合や特別活動の時間を捻出しようとしている学校もあります。ただこの場合も、教科の時間を削って教科の学力保障はできるのかという課題が出てきます。教科の学力保障、特別活動での社会性育成、総合での主体性育成、どれも大切ですが、どれをどうすればいいのかというトリレンマというような状況に苦しんでいる現状があると思います。
この状況を整理する上で、今回の44ページから47の補足イメージはとても分かりやすくありがたいなと思っています。特に44ページの補足イメージ1の真ん中あたりの赤い点線で囲まれた部分ですけども、ここが重要だと思います。各学校のカリマネが必要になる部分だと感じます。好きや得意の部分と対話と合意の観点から、教育活動を整理することはカリキュラムオーバーロードの解決にも繋がるのではないかと期待しております。色々意見述べましたが、現場の状況に即した今回提案に大変感謝しております。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは酒井委員、お願いします。
【酒井委員】 立命館高校の酒井です。事務局からの踏み込んだご提案について、賛同しているということをお伝えした上で、私の方から3点コメントしたいと思います。
まず1点目が、節目となる探究と、探究の形態についてです。総合の時間を通して何ができるようになったのかを見るという点でも、節目となる探究を位置付けることはすごく有効だと感じています。また、スライド8をお願いします。この探究の形態の整理はおそらく論点整理からの指摘からの議論だと思います。こういった整理があることはすごく大事だと思います。ただ、やはり探究の形式以上に生徒が自分の問いを持ち、その問いが学びの過程で変化していく、洗練されていく、これこそが大事だと思います。これは年末のワーキングでの課題の洗練のイメージでも示されていた点と重なるかなと思っていますし、現場でもすごく重視しているところです。最終的にその問いが自己の在り方生き方に繋がっていくことが探究の質を決める重要な要素だということも感じています。マイ探究(個人探究)でも協働はありますし、テーマ探究であっても自分の問いを立てることは可能です。テーマ探究で練習をしながら次にマイ探究(個人探究)に繋げることもあると思います。形式の整理と合わせてこういった考え方が共有されたらいいなと思っているのが1点目です。
2点目がスライド46の総合と学校行事との連携についてです。このように整理されることはすごく大事だと思いますし、安易な代替は減っていくだろうと思います。ただ、より大事な点は学びの質の向上だと思います。例えば中学校の職場体験はここの図にあるように探究的な視点を取り入れることで学びが大きく深まります。このことは先ほどの小見委員の発表にもありましたし、山田委員のいらっしゃる京都市の生き方探究館でも似た取り組みがされていると思います。質を向上させるためというところだけは落としたくないと思っています。また、制度としての整理はすごく大事ですが、学校現場では柔軟な運用によって学びが支えられている側面も正直あります。厳密な整理はすごく大事ですが、それが足かせにならないようなバランスは大事だと思っています。先ほど山田委員のご発言にもありましたが、スライド44番にある総合と特別活動のより良い連携でこそ生徒の好きを育み得意を伸ばすことに繋がるのではないかと思っています。
最後3点目がスライド63の「考えるための技法」についてです。総合の時間では思考力・判断力・表現力が育ちます。その点からも技法の整理は大事だと思います。また技法が共通言語として整理されることで各教科と総合の学びを繋ぐ基盤になるかもしれないという期待もしています。3つ程度に分類されることで自然に使われることを期待したいと思っています。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは山本委員お願いします。
【山本委員】 はい、よろしくお願いします。私からは1点。探究の形態についてですけども、この探究の形態を語る時に探究の形態を考える上での留意点というか成立する際の留意点ということとセットで先生方にはしっかりとお伝えできるような形にしていきたいというふうに思っております。
その留意点の1つ目としては、「マイ探究」または「テーマ探究」にしても目的と手段といったものが非常に大事で、どういう資質・能力をつけるかでその形は決まってくると考えます。しかし、こういった形だけが1人歩きすると主体性という名のもとに子供たちに選ばせてそれ自体が目的になってしまうという危惧があります。教師が起点で考えた時に、何が目的なのか子供が例え選んだとしても、どういう力をつけるのかということをしっかり念頭に置かないといけないんじゃないかというのが1点目です。
2点目としては子供が起点で考えた時に、まさに先ほどの生活科などで自立とか自発性ということを大事に育ててきた子供たちが、探究の学びの中で、学びの個性化が発揮できるのか、その子供の発達段階に応じても、この「マイ探究(個人探究)」とか「テーマ探究」のどちらを選ぶのかということは決まってくると思うので、2点目としてはその経験や積み重ねによって、どちらになるかを考えることが非常に重要になってくるという点です。
最後3点目としては、「マイ探究(個人探究)」にしろ「テーマ探究」にしろ、教師の指導性によってその効果が変わるということを明確に伝えていただきたいと思っています。個人にしろグループにしろ、どんな材をテーマにしているのか、その解像度によって探究の質も変わってきますし、「テーマ探究」だろうと「マイ探究(個人探究)」だろうと、一人一人のなかに学びがちゃんと成立しているのか、ということを教師がしっかり見取っていくことが大切です。そして、それを子供たちの自己有用感に繋げていくようなことをしなければ、やはり効果は半減してしまうのではないかというふうに考えております。ややもすると「マイ探究(個人探究)」は子供に任せて、教師はあまり手を出さないような、そんなことも想像できるので、そうではなくて、教師の指導性によって効果が変わっていくんだという、そういった留意点とセットで、この形態というものをしっかり先生方に届けていく必要があると思っています。もしかするとこれは、解説とかで説明する部分になってしまうのかもしれませんけども、この図が一人歩きする際には、そういったことも大事だということをどこかで述べていただけるとありがたいなと思っています。
最後に、考えるための技法といったところの63ページの図については、非常に分かりやすく整理されたなと。特に「発散」というところが入ったことで、考える幅が広がったなと思っているのですが、是非今後、事例集になってしまうのかもしれませんけども、具体的な事例なんかが、この一つ一つに紐付けされると、先生方のイメージもしやすくなるのかなと思うので、そういったことも先々考えていけるといいかなと思いました。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。水川委員、お願いします。
【水川委員】 よろしくお願いします。今の63ページの図は私も大賛成です。すごく面白くまとめてくださったなと思います。大きく2点、述べたいと思います。
8ページのところ、皆さんもおっしゃいましたが、総合的な学習の時間は、自己の生き方を考えることが究極なので、8ページの図で先ほどから委員の皆さん言ってらっしゃるテーマ探究とマイ探究(個人探究)ですが、これについては教師を起点、個人を起点という書き方もありますが、もう一つの読み込みの視点が僕はあると思っています。具体的にいえば、テーマ探究は学校が小学校6年間や中学校3年間で子供に育てたい力を強く意識して設定するんですよね。防災とか環境とかまちづくりとか平和学習とか、こういう共通テーマは学校の教育目標の具現を意識したカリキュラムデザインの中から生まれてくるんだと思います。ふるさと探究とか平和をやっている学校が多いのも結局そうだとは思うんですね。狙う力があるわけです。逆に個人探究は論点整理にある「好きを育み得意を伸ばす」という視点から活動を構成するので、究極の個人探究は、総合の時間に虫好きの子が徹底的に虫の研究をするってこともあっていいと思うんです。考えてみれば、虫好きの子がですね、9年間で8,800時間ぐらいの授業時数あると思いますがあの理科の時間以外に虫のことを徹底的に勉強するカリキュラムがない、その時間が保証されていないっていうこと自体が僕は問題だと思ってるんですね。そう思うと、この起点とするということもあるんだけれども、この活動を仕組む意図という視点で整理する必要があると思います。だから、両方大事だとやっぱり思うんですね。そう考えていくことが必要だと、やっぱりこの図を見る時には必要だと思っています。
考えてみれば例えば、防災をテーマに取り上げたこの事例にもありますけど、取り上げても地震やりたい、水害やりたい、津波やりたい、国の施策やりたい、家庭内での防災やりたいとか、子供たちにできることはレベルは色々あるんですね。個人でやること、集団でやること、学年でやること、それを整理できるといいなと思っています。そう思うとこれX軸だけで、テーマなのか、マイ探究(個人探究)なのかってX軸だけしかないんだけど、もう一つY軸があって、個人で徹底してやるのか、チームを組んでやるのか、学年でやるのか、学校全体でやるのかとか、そういう軸もあるので、そういうふうで整理をしていくべきだと思っています。
今年、岐阜市でも新しい義務教育学校を立ち上げたんですけど、興味・関心別のグループ編成なんですよ。小1から中3まで、虫好きの子が集まるファミリーとか作って、総合的な学習の時間は小6と、例えば中2、中3の子がチーム組んで岐阜の昆虫探究をやるんです。こういった学びもやはり「好きを育み、得意を伸ばす」ということからは必要じゃないのかと思っています。これが1点目です。
もう一つは、44ページからの特活・総合の関係のところです。ここも、多くの方おっしゃっていますが、元々ですね、特活と総合の目標を読めば、これははっきりすると思うんですよ。特活は「望ましい集団活動を通して」から始まりますよね。総合は「自ら課題を見つけ」から始まるので、この元々の目標の文章に照らして、これが総合なのか、特活なのかってことを判断すれば、特活で総合やるとか、総合で特活をやるとかっていうことはもっと整理されると思います。45ページ、46ページに、図としてはどこの部分が成立するっていうことが書いてありますが、結局、特に中学校で総合が特活に時間が使われたり学びが深まったりしていかないのは、総合的な学習の時間の意図とか意味の理解が不足していることが僕は根底にあると思うので、きちんと読み込むっていうことをすれば、どの部分が特活で、どの部分が総合なのか明確になると思います。今図示されている図も結局ですね、こういうふうに書いてある、なんとなくこうクロスオーバーしてやればいいんだなって思いますが、国語と数学とか、国語と社会の合科的指導とはちょっと意味が違うっていうふうに考える必要があるんじゃないのかなと思っています。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。それでは川越委員お願いします。
【川越委員】 はい、ありがとうございます。私からは2点、お伝えできればと思います。
1点目はもうすでに出ておりますが、8ページの探究の形態についてになります。まずは、このような形で整理してまとめたというのはとてもいいなと感じております。一方で、ここではテーマ、課題、問いという言葉が、ここには問いは出てないですけれども、そういった言葉の違いというのを少し整理しておいてもいいのかなと感じました。テーマは論じる範囲ですし、課題というのは解決すべき問題、そして問いはその課題から想起されたより具体的な解決に向けた疑問というところになるかと思います。探究を進めるにあたってはこのテーマから課題、そして問いへと落とし込んで進んでいくことも多いと思います。そうなると、ここの整理の中でいくと、どこまで指導者が設定する、もしくは介入するかということなのかと思います。このテーマや課題、問いというような階層、言葉が少し整理されると、探究を指導する段階でも、もしくは生徒が問いを練っていく段階でも、非常に構造化された形で探究を進めることができるんではないかと思います。
そのように整理していくと、14ページにある、探究の学びのパターンのパターン4のところも、もしかしたら細分化されたり、少し違った形で構造化できるかなと感じました。そうなると、少し気になっているのが、テーマ探究とマイ探究(個人探究)という言葉についてです。非常に端的で、名前がついていることで議論はしやすいなと思っております。ただ、テーマ探究とマイ探究(個人探究)という言葉だけで見ると、少し誤解を与えるところもあるかなと思うので、誤解なく、混乱なく使っていただくように注意が必要なのかなと感じました。また、テーマとマイは階層が違うので、なにか同じ階層になるような単語があると、非常に綺麗に整理できるかなと感じました。いい文言が私自身もあるわけではないですが、共通テーマと個人テーマとか、マイテーマなど、軸がいくつかある中で、テーマとして見るか、個人で見るかといった、2つの異なる軸の文言がそれぞれ出てきていると思うので、誤解のないような整理であったり、言葉が検討されてもいいのかなと感じました。
2点目が、63ページのところになります。考えるための技法について、発散と収束という、こういった形でまとめるのはとてもいいなと思っています。問いや課題を解決する際のアイデアを練る時でも、一度思考を広げて発散させて、そして収束させるという、その過程を繰り返しながら、先ほどのところでいくとテーマ、課題、問いと少しずつ洗練させていきます。そういった中で発散というのが明確になると、自由に発想するという例にもありますが、探究活動の質を高めていくという点でも、非常にいいなと感じました。私から以上です。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。それでは岸野委員お願いいたします。
【岸野委員】 はい、失礼します。私は論点1に関わって3点申し上げたいと思います。
まず探究の形態に関わる考え方として、もう多くの委員がおっしゃっているところですが、8ページでやはり形態や起点に関わらず課題が自分のものになり洗練されていくというふうに書かれている、ここが重要だと私も思います。今ほどもありましたが、テーマ探究として与えられたテーマの中でも、その中で自分の課題を見出していく、探究していくということもあれば、マイ探究(個人探究)の中でもテーマが共通する人同士で一緒に取り組んでいくということがあると思うので、本当に米印にも書いてありますがあくまでも導入時に着目した整理だと、そして截然と分けられないものであるということがやはり大事だというふうに思います。どうしてもこの新しい用語、言葉が出てくるとそれに飛びついたり、それに引っ張られて一律にどっちがいいとか悪いとか、どちらを選ぶのかというふうになったりするのではないかなと懸念しますので、グラデーションになっている多様な在り方があるんだと、そしてその中で大事なのはやっぱり形や進め方は多様であってもいいけれども、その中で子供がそれぞれに自分なりに課題を見出して、自分なりに考えて探究に向かっていけるようにする、その上で今の子供たちにとってどういうことが必要なのかということを考えながら支えていくということが、より強調されると良いように思いました。
そして、このこととも関わって2つ目に、スライド6の論点に関わって、より長いスパンで探究の展開を考えるということの重要性を述べたいと思います。特にチェックマークのところに、1年間の多様な在り方の提案がありますけれども、3の節目としての探究とも関わって、本格的に探究を進めていくと、1年目の探究が土台になって2年目に繋がり、またそれが3年目に繋がりというふうに展開していくのではないかと思います。それは同じテーマで繰り上がっていくということもあれば、テーマは変わるけれども、経験そのものが土台になって繰り上がっていくということもあると思います。そうした1年だけでなく、1年を超えてより長いスパンで探究のプロセスを捉えて、そうしたプロセスが集大成に繋がっていくというふうに考えることが必要ではないかと思いました。3の最終学年でのその節目としての探究というのも、ともすると型として受け止められたり、狭い意味での研究というふうにならないか懸念しますので、そうすると子供の視点に立った時に、最終学年になったらなんか1つテーマ決めてやらなきゃいけないみたいな、やらされ探究にならないように、むしろ各学年での探究してきた経験を充実していく。そうすると自分でもっと深めたいことが生まれてきて、またこれまで3年間ないし6年間振り返って、それを制作していく中での研究の在り方など、色々繋がっていくということを、盛り込めるといいのではないかなというふうに思いました。
最後、3つ目に、こうしたことを実現していくには、スライド7のところにある校内体制のところも大変重要だと思います。より良い探究に向けて協働で探究していく教師集団とその体制というところが重要ではないかと思います。専門や得意を生かして分担する、分業するっていうだけでなく、探究というのはやはり教える教えられる関係を超えて、学習観を転換していくことが必要だと思いますが、なかなかそれが難しい先生方もいらっしゃるのも現実かなと思います。探究というのがどういうことなのか、子供たちが今何に心を動かし、どう向かっていっているのか、子供の姿を見取りながら方向性を一緒に探っていく、そういうより良い探究に向けて、先生たち同士も共に学び合いながら協働探究していく、そういった教師集団が重要だと思います。子供の学びと教師の学びが相似形ということも言われますので、ここのところが先生たち自身が探究していくような体制という意味にも、盛り込めると良いのかなと思いました。
【黒上主査】 はい、どうもありがとうございます。佐藤委員、お願いできますか。
【佐藤委員】 ありがとうございます。信州大学の佐藤でございます。私も、事務局からのご提案に基本的に賛成するという立場から、3点述べさせていただきます。
1点目は、多くの委員からもご発言がありましたが、スライド8に示された「テーマ探究」と「マイ探究(個人探究)」の整理についてです。これは、探究の入り口やプロセスがいかに多様であるかを示す上で、非常に意義深い提案であると考えています。以前ご提案いただいた研究系・行動系・創作系といった多様なプロセスが、テーマ探究やマイ探究(個人探究)の形態をとった際にどのように発展していくのか、あるいは、問いや課題がこれら2つの形態と交わることでどのように展開していくのかといった点がさらに示されると、より分かりやすいものになると考えます。
2点目は、スライド45に示された学校行事との連携イメージについてです。この図は非常に分かりやすいと感じております。これまで総合的な学習の時間が、学級経営や行事の準備に充てられがちであったという課題については皆様からもご指摘がありましたが、最も重要なのは「質の高い連携」であると考えます。学校行事と総合的な学習の時間がどのように結びついていくのかを理解することが極めて重要です。特に宿泊的行事や勤労生産・奉仕的行事との連携については、現実的かつ分かりやすく整理されていると思います。また、文化的行事や健康安全・体育的行事についても、現行の総則に示されている通り、その趣旨をきちんと確認して実践していく必要があります。中央教育審議会の場でこのような分かりやすい図表が示されることは大変有意義であり、今後、学習指導要領や解説が作成されていくプロセスにおいてこれらの図が生かされることを期待しています。それにより、現場の教員が学習指導要領を読む際にも、迷いや誤解なく伝わっていくのではないかと考えます。
3点目は、「考えるための技法」についてです。この技法が探究を支える重要な学び方やスキルとして明確に位置付けられることには、全面的に賛成いたします。学び方やスキル、情報活用能力が不足していると、これまでの学びが十分に生かされなかったり、本来であればもっと高度な活動ができるはずであるにもかかわらず、そこまで到達できなかったりする現状を私自身も認識しております。その上で、これらが各教科等における学びと密接に関連していることがより明確になると良いと考えます。他の教科のどのような場面で習得した知識や技能が、探究の中でどのように活用・発揮されるのかという、連携的な視点からの整理があるとより分かりやすくなります。
今回の案では「発散と収束」という形で示されておりますが、例えば発想する、組み合わせる、吟味するといった要素には、やや抽象的な表現にとどまっているものも見受けられます。具体的な指導ができるレベルまで解像度を高めていただくことで、指導する教員にとっても、またそれらを活用・発揮する子供たちにとっても、より分かりやすい示し方になると考えております。
私からは以上となります。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。堀田委員、よろしくお願いします。
【堀田委員】 ありがとうございます。2点だけ簡単に話します。
8ページ「総合における探究の形態について」のマイ探究(個人探究)ですが、幼児教育でも探究的な活動が行われて、保育者の目の届かないところで、幼児はマイ探究(個人探究)をしていることも多いと思います。一方、テーマ探究は保育者がテーマを与えてグループで取り組むイメージです。低学年の生活科で、教科書の課題の中で児童が探究をする、中学年ではマイ探究(個人探究)に戻るイメージです。児童自身が、「テーマ探究って、幼児期にやったよな」と気づくところが、この図で示されていると思います。その時、マイ探究(個人探究)の成果がテーマ探究で発揮されたり、テーマ探究の中で自分たちが友達の成果を吸収して、これいいよねって思ったことが、マイ探究(個人探究)の中でもまた応用されるみたいな、テーマ探究とマイ探究(個人探究)の間が行ったり来たりの矢印があると、その往還が非常に分かりやすく示されると思います。
それと63ページ「考えるための技法」の示し方の見直しの項目がこれでいいのかどうかは、以降のバカロレアの思考スキルを交えてさらに吟味が必要かと思います。現行も、このような例が書かれていて、序列がついていないのは分かりやすいですが、例えば横書きにするとか、ベン図で整理してみるとか、共通項目はここですとか、分かりやすく読み取れる工夫があればいいと思います。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。それでは岩本委員お願いします。
【岩本委員】 はい、よろしくお願いします。まず1点目が8ページ目の形態のイメージのところ、皆さん言われているのですが、やはりこれいいんですけども、いくつかの軸があるものをごっちゃに混ぜているものが結構あるかなというので、もう少しもう一段整理が必要かなと思います。要はテーマ課題の設定が教員が起点なのかというのと子供が起点かっていう話と、あと進め方が個人で進めるのかチームで進めるのかっていう話とですね、例えば広げる作業なのか深める作業なのかっていうのはそれぞれちょっとずつ違うものなので、それが今回例えばテーマ探究はその広げるでマイ探究(個人探究)は深めるっていうふうなふうに主にそうだっていうふうに紐付けちゃうと、これ自体結構ミスリードというか誤解を生む可能性もあると思うんです。ちょっと違う軸なのに。テーマ探究でも深く深く入っていくテーマ探究もあれば、個人であってもですね、広げていくことが必要なフェーズだとかもあるというところなので、もう一段ここはということと、特に興味関心を広げたり見つけたりっていうこの探索型の探究っていうところをもう少しちゃんと位置付けないと、興味関心とか問いがもう明確にある子はどんどんどんどん前でも何でも行けるわけですけど、必ずしもみんながやっぱそうではないという中で、この興味関心を広げ見つけていくっていう時の方法論みたいなものはもうちょっと別枠ででもですね、やっぱりちゃんと示していく必要があるのかなと思います。というのが1点目です。
2点目、節目の探究、これとてもいいと思いますので、ここを出すのであればですね、節目の探究と節目でないものの違いって何なのかとかですね、小中高で節目が例えば3つ節を打つとしたら、それぞれが何のレベルが何の質が上がっていくっていう話なのかが想定されているのかみたいなところをもう一段書いていただいた方がいいだろうなと思いますし、おそらく節目ということの1つの意味というのは、今までの雑多なものをですね、統合したりとか総括したりとかですね、ある種しっかりと振り返ってみたいな、そういったところを節を打つことによってですね、やっぱりしっかりとできるようにまとめられるような部分があるので、その節目であるがゆえの大切なポイントみたいなところはやっぱ入れ込んでいただけるといいのかなと思います。
3つ目が、ちょっと節目に繋がるか、または、マイ探究(個人探究)の話に近いかもしれないですけど、再三ちょっと言わせていただいて、このマイ探究(個人探究)とですね、自由研究との関係性とか繋がりみたいなものも、やっぱり示していただけるといいのかなと思います。小学校でも中学校でも、自由研究は脈々と続いてきた部分が学校によってはありますし、自由研究はもうマイ探究(個人探究)の最たるものだと。戦後の日本の学校教育が文化的に築き上げてきた知見や蓄積実践がありますので、これとこのマイ探究(個人探究)みたいなものとかこの総合的な学習の時間の節目の探究というものがどう繋がりうるのかという取組事例なども含めて、バラバラでやるものではなく、今こそこの自由研究は光が当たっていくような時代になると思いますので、もう少し型を見せていく必要あるかなと思います。
次が学校行事との関係のところですね。学校行事との関係で事前と事後というような書き方なんかもあったかと思いますが、この事前事後は総合でやりますというのは、学校行事を主に考えた時にはそうだと思うので、特活を視点にした時にはそうだと思うんですけど、おそらく総合を視点に置いた時には事前事後という発想じゃないと思いますので、おそらくその下に書かれているスパイラルの中でこの学校行事をどううまく位置付けながらこのスパイラルというかプロセスを進めていくのかっていうのが総合的な学習の時間側の視点になるかと思いますので、ちょっとここの示し方や、あとそもそも今回総則で代替するというか、代えることができるっていう表現になっているわけですけど、ここ自体の見直しも必要なのではないかと思います。代替とか代えるっていうとこっちじゃなくてこっちかどちらかみたいな話ですけど、今回ずっと議論されているのは組み合わせるとか連携をよりしっかりとさせるということだと思いますので、ちょっとここの発想も本当に代替の話なのか組み合わせてうまく連携をさせていくという話なのかというところの整理も必要なのかなと思います。
最後ですね、考える技法のところで様々な方略の活用というところで、今探究においても入ってきていない技法や方略で位置付けた方がいいと思うのが、やはり越境学習ですね。異なる文化とか価値観とか環境に出会い関わり体験していくような、いわゆる越境体験や越境探究みたいなことも今書かれていますけれども、こういったその越境的な学びというものが今VUCAの時代において非常に重要な学習形態その方略だというふうに位置付けられて、今成人学習とかの中では言われていますけども、なかなかこの探究とかそういったところでも今はあまりそういう考え方ってのは明示されてないですので、例えば修学旅行を1つ取っても、集団宿泊っていう意味合いだけではなくて、この越境学習的な意味合いがあるからですね、それをうまく活用してやっていくっていう話ですので、この越境学習というところは、今回の改訂に合わせて、整理したり方略の1つとして言っていく必要があるかなと思います。はい、以上です。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。感じることが多いですね。廣瀬委員お願いいたします。
【廣瀬委員】 はい、よろしくお願いいたします。まずは探究に関して全体に解像度を上げて整理していただいているふうに感じました。その上で4点について申し上げたいと思います。
まず1点目ですけれども、先ほどから話題になっている8ページになります。テーマ探究とマイ探究(個人探究)ここに色のグラデーションがかかっていますが、これは課題設定に関わる導入時の裁量ということで、確かに発達年齢や経験値により探究の形態として教員が大テーマを設定することもあります。ただ重要なことは、テーマ探究でもマイ探究(個人探究)でも、スタートがどちらであっても子供たちがその課題を自分ごととして捉え、本気で探究していくということではないでしょうか。つまり、どちらの形態であっても、子供たちが自分の本気の課題を追求できることが最重要です。個人であっても本気の課題になることもありますし、集団で扱うテーマが一人一人にとって、本気の課題になることもあります。形態によって学びの質が決まるわけではありません。どの形態であっても、現場としましては、一人一人にとって真剣な学びとなるように設計することが大切だと考えます。ですから、テーマ探究とマイ探究(個人探究)、川越委員も話されておりましたが、誤解のないことがまず必要と思います。
また、関連しまして4ページ、論点整理の課題設定の充実で、グループ探究と個人探究という記述があります。先ほどのところ、マイ探究の後ろに括弧付きで個人探究が残っていることにより、グループ探究がテーマ探究に見えてしまうことがあるので、括弧の個人探究というのは消してもよろしいのではないかなというふうにも思いました。
2つ目です。6ページの3になります。各学校段階における節目としての探究というところで、3行目に「学習の成果や自らの変容を実感する、各学校段階の節目としての探究」とあります。大事だと考えるのは、形ではなく子供自身が自分の成長や変容を実感できることです。成果や変化をしっかりと感じられるような学びになっていくといいというふうに考えます。卒業論文を書かせるというような、形だけの取組になってしまうのは避けたいなというふうに感じ、先ほどの図のところ、9ページになります。なんとなくこの9ページの図を見ると、日本中の最高学年の小中高生が一斉に卒業探究をするというふうな、何か違和感を感じるところもありました。発達段階に応じて、最高学年だから卒論ではなくて、発展的な学びの一つとして自然に位置付けられることが望ましいというふうに感じております。節目として必要なのは、振り返り。この最後の部分では、振り返りを行い、自分がどのように変わったかを見つめる時間があるということです。ですから、必ずしも論文という形にこだわる必要はなく、大切なのは節目に自分の活動の成果や成長を実感できることであり、形式化しないことも重要だとは考えております。
3つ目、45ページになりますが、学校行事と総合との関係についてということです。小見委員からのご発表もありましたが、高等学校でも仕事図鑑などを作って、このようなプロセスの中に職場体験というのを位置付けている学校も多く見られます。学校行事の事前学習の位置付けですが、本当に探究になっているか、確かに逆に気になるケースも見受けられます。現在の総則の規定で、「総合的な学習の時間における探究活動により」というふうに書かれているわけですから、実際に行われる活動が総合的な学習や探究の時間としての探究になっているかどうか、ここをしっかり見ていく必要があると思っています。それから行事に関わる事前事後の活動についても、探究として連続的にその後発展していく流れになっているのか、単に行事の準備や振り返りとして扱われてしまっていないか、この点も重要な点だと思っています。ですので、是非解説を作る際には、これを探究として認められる、いや、これは探究としては言えない、というふうな線引きをはっきり示していただきたいというふうに思っています。現場で判断に迷わないように、探究としての条件を明確にしておく必要があるというふうに考えております。また、46ページの事例が、事前事後は総合、体験や旅行が学校行事になっています。先ほど山本委員からもありましたけれども、私の感覚では、現地での情報収集や意見交換、プレゼンの場面は探究の一部に位置付けられる例が多いようにも感じておりますので、補足イメージに是非追加をしていただきたいと思います。
最後4つ目になります。63ページの考えるための技法の示し方です。こちらは酒井委員からもございましたけれども、探究と各教科を繋ぐ、そんなイメージもあるかとは思います。また、このイメージというのは色々な各教科に広げて使えるというふうに感じました。例えば、私の専門は理科ですけれども、理科の中でも比較、分類、関連付けっていうのはこれ基本となっています。発達年齢により、発展性もあるというふうに感じております。またこの発散と収束の部分で少しこの重なる部分ですか、整理するというふうにありますけれども、この部分は思考スキルの中心に関わる、基本的なこの3要素が入っていて、どの各教科にも広がり汎用性があります。是非比較したり関連付けたり、条件を考えたりすること、様々な教科等で使えるようになり、ここを大事にできるといいな、というふうに感じました。
【黒上主査】 はい、ありがとうございます。伊藤委員、今のところ挙手ありませんけど、もし何か一言ありましたらお願いします。
【伊藤委員】 はい、ありがとうございます。もうすでに皆様が言及されていることに重なってしまうんですけれども、小学校の立場からということで8ページについてお願いします。
先ほどから話題になっている、テーマ探究、マイ探究(個人探究)のところですが、小学校ですと、年齢や経験が様々な先生方が、毎年いろいろな学年を担当するということで、学校として総合的な学習の時間の質を担保して安定的な取組にしていくには、どうしてもテーマ探究の方に軸足を置きがちになる実態があると感じています。地域の人や施設などの協力を得る場合には、相手も毎年の継続的な関わりを求めていらっしゃることも多く、互恵性の上でも、教員がテーマを外しきれない部分はあるかなというふうに思います。でも先ほど水川委員もおっしゃられていたように、テーマ探究として福祉とか防災とかいうテーマから入ったとしても、学びが深まるに従って、個人探究に結果的に移行していく状況は散見されます。ですから、こういう表が示されることで、テーマ探究に目が向きがちな現状を変えていく上でも、また、3年生から6年生まで学年を通して考えた時に、マイ探究(個人探究)を設定して個人個人の課題設定能力を高めていこうというように、意識を変えていく1つのきっかけになるのではないかと思った次第です。
あとは45ページの図は現場の課題に切り込んでいて、目安となるようなものが明確に示されることは、総合だけではなくて、総合と特活、それぞれの意義や価値、育成すべき資質・能力を現場でもう1度確認して、組織的な共通理解を図ることに資するものになるのではないかと思いました。
【黒上主査】 はい、ありがとうございました。それでは久野委員、お願いいたします。
【久野委員】 はい、よろしくお願いします。まず、1番目の形態・節目としての探究のところ、8ページ目ですが、探究の形態について、学級等を単位としたテーマ探究と個人探究をベースにしたマイ探究(個人探究)。この分類は、色々と桁の違いのようなことを議論ありましたが、すっと入ってくるんじゃないかなというふうに思って、私は読ませていただきました。その下の前後の留意点も含めて分かりやすい整理になっているというふうに感じました。と同時に、その名称や実際の形態の在り方については、各学校でやはり設定、すでに先行的にやられてるところは、この名称を使わずに、それぞれの学校で設定した名称を使っていますので、そういうところは各学校で設定できるものというふうに捉えています。
続いて9ページの方です。節目としての探究ということですが、ちょっと言葉としてやはり私なかなかすっと入ってこないなっていうことを思います。おそらく後の例のように卒業研究的なものを想定していると考えられるわけですが、初めに卒論ありきのようなところでは、やはり探究の筋道が画一的なものになってしまわないかというふうに心配しています。小6、中3、高3の学びの成果をまとめることについては否定はしませんが、1つの有効な例として示す程度というか、こととしてとどめてはどうかというふうに考えています。逆に、何か無理をして、ねばならぬような探究になると、少し本末転倒かというふうに思います。それも含めて、名称も含めて少しまだ若干の検討の余地があるかというふうに捉えています。
続いて14ページです。探究の用語が浸透してきていることは、高校も含めてということかと捉えています。また探究の深さ、探究の質ですね。あるいは学習者主体の在り方、裁量に着目して、探究と、それから探究的な学び。これを整理したことは有意義だと思います。ただし、探究的な学びを今のここで示されているパターンの2や3が水準が低いとか、4に比べると、あるいはこれはダメなんだというふうに捉えないように気をつけて、児童生徒が自ら決定をし、その裁量を広げていくことで深い学びが実現する。まずそこからさらに上を目指してというか、探究的な学びから探究へと、自らが課題や手続きや成果を設定していくことが自然に表出していくような、そういう余地がまだあるんだということを含めて、まずこれは上とか下とかそういう視点で捉えないようにしたいなというふうに思っています。
続いて、学校行事との連携の在り方についてです。45ページです。「特活ワーキンググループでの検討を踏まえての、ご提示かと思いますが、文化的行事、やはり、文化的・学習発表会的行事(仮称)と書かれていると、何か新しいものが始まるなっていう感じもしますし、総合と特活の関係や、今ここに書かれているように準備練習等は原則不可、ということの意味ですね。「あれはダメなんだ」「これはダメなんだ」ということではなくて、そこに込められた意義とかメッセージが伝わってくるんじゃないかなというふうに思います。それは47ページに示されているようなイメージです。本来、探究の学びを行う時間を、行事の準備に当てて消化されてしまうということは、やはり子供・生徒の学びの経験としてもったいないことだなというふうに考えていまして、この点について、今回の改訂で明確に補いたい、正しいところに持っていきたいなというふうに考えています。
続いて、考えるための技法です。2点あります。1つ目、62ページ。これ以前の資料になりますが、探究の質から出てきたこの3つの丸1、丸2、丸3です。そろそろ丸3のことについてワードとして定着、定義する必要があるんじゃないかなというふうに思っています。例えば今ある「創造(成長の質)」というところを、例えばですけど、「創造・成長の質」とかですね。あるいは以前、初期の頃のワーキングで提案されていた「成果の質」。これでも良いのではないかなというふうに最近思っています。「成果の質」っていうのはその下にちょうど四角の中に書いてあるように、「探究の成果として」というふうに書かれてありますし、括弧1、括弧2っていうのはもうかなり浸透してきていて、むしろ出来栄えの良さのような、水準ではなかなかもう捉えなくなってきているんじゃないかなというふうに思っていますので、この辺のワードの整理はそろそろ繰り返し使うことによって定着を目指していく段階じゃないかなというふうに考えています。
続いて最後です。63ページ、「考えるための技法」。示し方が非常に構造化されて利用しやすいものになっているなと感じています。「発散と収束」の重なりになる矢印がちょっと重なっている中央の「整理する」等のところです。この3項目は思考スキル、いわゆる思考スキルの初期の段階から例示されていていろんな学校でよく使われているものかと思います。これまで取り組んでこられた学校にとっても、それが拡散、収束、発散、収束、それぞれに再整理できて、非常に有用な図ではないかなというふうに思っています。もう一つこれまでややもすると思考ツールを利用することを目的とした学習から、この思考スキルを育てる学習へと、移行がここで鮮明になってきたと感じています。
最後ですけれど、今まで色々委員のコメントの中で、だんだんとその解説ではっていう言葉が増えてきまして、ここまで検討が非常に充実してきて、いよいよまだまだ一山二山ありますけれど、もう次のステージがだんだん視野に入ってきたなと、ここまでの検討の充実を感じているところです。以上となります。
【黒上主査】 すでに時間が過ぎていますが、2分ほどいただきます。まずテーマ探究、マイ探究(個人探究)の件ですが、もちろんテーマ探究であっても学校が決まったプログラムを作ってやれば良いというわけではないし、例えそうであっても地域も変わるし、子供も変わるということを認識することが大事かと思います。ところが、マイ探究(個人探究)を個人々々でやると、それぞれに教師の目が届くわけでもないし、中高校生になると(AI活用でマイ探究が進む一方)AI活用が探究による成長を邪魔する可能性が出てくる懸念もあります。このあたりも、指導要領で踏み込んで書く必要があるかとも思います。もちろんAIを使うことは大事なのですが、AIを使いながら自分の探究する力、探究の成果ではなくて探究する力、奥野委員がおっしゃった成果としての探究の中で、個人の資質をどう向上させるかという視点から書けると良いのですが。まだ具体的なアイデアはないのですが。そして、もちろんテーマ探究にしろマイ探究(個人探究)にしろ、そこに教師の指導者がどう関わるかがとても大事で、特に課題設定の段階で課題は作るのだけれど、課題そのものだけがその探究の質を決めるわけではなく、そのテーマをどのように実際に探究する問いに変えていくかがとても大事で、そこに先生方がうまく関わってもらえると良いなと思いました。
それから行事との関係で言うと、特活の方でもこういう図を載せていただくことはできないかと思います。総合にカウントしないところは別に学習する意味がないわけではなくて、特活的には意義があるわけです。それについては特活で必要性を書き込んでいただくというようなことを通して、やや越権行為かも分かりませんが、お互いに相互補完的なイメージを示していただくか、あるいはどこか総則などで集中的にうまく書くというようなことも考えてよいと思いました。この相互補完的な関係が読み込めるようなトリガーがあちこちに置かれていると良いということです。それから山本委員の話にあった代替の話ですけど、これは要するに時数との関係なんだっていうことがどこかで示されると良いなと思います。
思考スキルに関しては、全教科全カリキュラムを思考スキルが繋ぐととらえることで、子供らが自分は数学は得意だとか(限定的に)見るのではなく、カリキュラム全体に対する向き合い方が変わると思っています。これを今回見せることができたら良いなと思います。具体的な表の中で見ると、左端に「整理する」という大カテゴリーがあるのですが、それが思考スキルの説明の中に入ってきているものがあります。例えば構造化の説明が「(事象や考えを、関係性や階層性に基づいて」整理する」と書いてあるのですが、文言変えてもいいかなと思いますね。順序立てるも「(順序や因果に着目し、筋道を立てて」並べる」とすると整理に見えてしまいます。そこを少しもう少し高レベルな単語に変えることは後で考えてみたいと思っています。そして、これらの「考えるための技法」は全て、情報を整理するなど、情報を目の前に一覧して並べてみるというところまでしか説明していないのですが、考えるための技法ですから思考を生み出さなければいけないわけです。従って、情報を並べてみた上で、そこから考えをつくり出すまでの全体が考えるための技法として見えるように書き方を工夫したいなと思っています。そうすると1人1人の初発の思考が生み出されるわけです。そして、それが学びに向かう力・人間性等に繋がっていきます。その流れを、明確に意識したいと思っています。2分以上喋ってしまいました。すみません。それでは、今後の予定をよろしくお願いいたします。
【堀川学校教育官】 はい、次回についてはまたご連絡いたします。
【黒上主査】 それでは以上を持ちまして、閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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