教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

令和8年4月20日(月曜日)09時30分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 芸術系教科・科目の資質・能力の育成等について
  2. その他

4.議事録

【大坪主査】  定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会、教育課程部会、芸術ワーキンググループ第8回を開催いたします。皆様、大変お忙しい中ご出席くださり誠にありがとうございます。それではまず、事務局より委員の出席状況、配付資料の確認、その他留意事項があれば説明をお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  はい、失礼いたします。事務局でございます。
 本日は岡本委員がご欠席、山内委員が業務の都合上途中からのご出席となっておりまして、現在16名の委員にご出席いただいております。
 また、4月1日付にて文化庁審議官として梶山が着任しておりますので、梶山より一言失礼させていただきます。
【梶山審議官】  はい、ただいまご紹介いただきました、文化庁審議官に4月1日に着任いたしました梶山と申します。
 前回、私、学習指導要領の改訂のほうに携わらせていただきまして、その前も、少し携わらせていただいたことがございます。で、3回目ということで、このような機会をいただいたことを本当にありがたく思っております。皆様、よろしくお願い申し上げます。
【奈雲参事官補佐】  資料について、議事次第に記載しておりますとおり、資料1と参考資料がございます。そして前回までと同様、対面会議で言うところの机上配付資料として、前回会議資料とワーキンググループにおける審議のご参考として、学習指導要領本体や解説、関係する審議会の答申等をまとめた参考資料集を事前に別途お送りしております。
 また、会議の運営に関して1点お願いでございます。ご発言の際は挙手ボタンを押していただき、ミュートを解除してからご発言をお願いいたします。また、ご発言が終わりましたら再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。
 事務局からの説明は以上です。
【大坪主査】  今回は議題1につきまして、論点が1から3までございますが、まず論点1についての事務局説明の後に意見交換を行った後、5分間の休憩を挟み、論点2、3の事務局説明、意見交換と進めてまいりたいと思います。
 それでは事務局より論点1についての資料の説明をお願いいたします。
【堀内学校芸術教育室長】  学校芸術教育室長の堀内です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。資料1をご覧いただければと思います。本日の議題といたしまして、「芸術系教科・科目の資質・能力の育成等について」とさせていただいております。論点の1つ目、「芸術系教科・科目における学習評価の在り方について」、関連部分のご説明をさせていただきます。
 資料の3ページ目をご覧いただきたいと思います。効果的かつ過度な負担が生じにくい芸術系教科・科目の評価への見直しについて、今次改訂における検討の経緯を最初に申し上げたいと思います。
 論点整理におきまして、負担が重い「記録に残す評価の精選」でありますとか、「評定の頻度を見直しつつ学習改善等に生かす評価を充実させる方策」等の必要性が示されております。
 そしてこの方向性を踏まえまして、3月30日開催の総則・評価特別部会におきまして、学びの深まりを支える取組を充実させていくという視点から、学習の途中で適切なアセスメントとフィードバックを行い、指導の調整と学習の調整を促すという、形成的評価の充実が不可欠であるということが示されたところでございます。
 そして形成的評価に関連いたしまして、学校の評価活動の中で総括的評価がほとんどを占めているという状況などを踏まえまして、形成的評価を充実させる余地が少ないということから、評定への総括は学年末のみに行うことが可能であるということを明確に示しつつ、その場合は学期中は形成的評価を中心に行っていくということを促していくと、そういったところから評価の役割分担を明確にすべきといったことが示されたということであります。
 なお、この形成的評価の充実ということに関しましては、これまでと質的に異なる新たな取組を求めるということではなく、子供一人一人の目標と現在地の差分を見取り、必要な学習の調整を促したり、指導・助言を与えたりといった「教師の専門性の中核」と言えるといったことが言及されているということでございます。
 以上のことを踏まえまして、次のページに参りたいと思いますけれども、芸術系教科・科目におきます「思考・判断・表現」及び「知識・技能」の学習評価のプロセスの整理についてでございます。
 現状と課題についてでありますが、現状、課題といたしまして、短時間の題材、単元を扱う場合に3つの資質・能力の柱をすべて評価をしようとすると、形成的評価をする余裕がなく、総括的評価のみを行うといった、そのような実態が見受けられるというところでございます。また3つ目のポツでありますけれども、思いや意図をもつことと、それを音楽表現することの評価が子供の学習の流れと必ずしも合っていないといった課題でありますとか、制作の過程での評価が難しく、完成作品のみから技能や思考・判断・表現の評価を行うといった、そのような現状が見受けられるといったところであります。
 このようなことを踏まえまして、改善の方向性の案といたしまして、以下のように学習評価のプロセスを考えてはどうかとしております。
 1つ目でありますが、題材や単元ごとにすべての観点で記録に残す総括的評価を行うということを前提にするのではなく、学校等の実態に応じて年間指導計画を踏まえた上で、複数の題材でありますとか単元、区分でまとめて総括的評価を行うということも可能であるといった、このようなことを促してはどうかということであります。例えば、短時間の題材や単元を扱う場合でありますとか、年間の複数の題材・単元で繰り返して指導を行う知識あるいは技能、このようなことが想定されるのではないかと考えております。また、併せまして、児童生徒一人一人が着実に資質・能力を身に付けるということができるように、学習の調整を促す形成的評価を中心に行っていくということとしてはどうかとさせていただいております。
 またもう一つのポツでありますけれども、思考・判断・表現の総括的評価を行う場合におきましては、思いや意図をもったり、発想や構想を工夫したりして、歌唱・演奏や作品等に表す一連の過程の中で児童生徒の姿を捉えていくことを重視してはどうかとさせていただいております。その際には学習評価のために教師や児童生徒に過度な負担がかかりすぎないように留意すべきことも必要であろうと考えております。
 それから次のページにまいりまして、「学びに向かう力、人間性等」の評価の在り方についてであります。
 論点整理における基本的な方向性でありますが、論点整理におきまして、学びに向かう力、人間性等の評価の実質化に関わりまして、教育課程全体を通じた「個人内評価」と、それから「思考力、判断力、表現力等」の目標に準拠した評価における「○」の付記、これらを組み合わせた新たな評価の在り方が提案をされております。
 その際にこの「○」の付記に関連いたしまして、学びに向かう力、人間性等の4つの要素、図示しております4つの要素でありますけれども、このうち下の3つのところ、「初発の思考や行動」「学びの主体的な調整」「対話と協働」、これらが思・判・表の過程で特に表出した場合に「○」を付すといったことが整理をされたということであります。
 この論点整理の改善の方向性を踏まえまして、3月30日に開催されました総則・評価特別部会におきまして、「○」を付ける着眼点を明確化するために、「学びに向かう力の3要素、これを思考・判断・表現の過程で教師が見取るための具体的な児童生徒の姿といたしまして、「見取る姿」(仮称)を各教科等ごとに示すことが提案をされました。
 この「見取る姿」につきましては、各教科等の目標から学びに向かう力の3要素を抽出したものが考えられ、学習指導要領の改訂後に速やかに検討して示すといった方向性も併せて示されております。
 そしてこの「見取る姿」に関しましては、各学校がそのまま活用できるものとして示していくことが前提となっているところであります。
 このようなことを踏まえまして、芸術系教科・科目におきまして、「学びに向かう力、人間性等」の評価に当たっての「見取る姿」を検討する際に、次ページ以降の事項を参考として示してはどうかとさせていただいております。
 なお、この「見取る姿」に示す行動につきましては、思・判・表の学習過程全体を通じまして継続的に発揮されているところを見取ることができたことをもって、思・判・表に「○」を付記するといった形で一体的に評価をすることを想定しているところでございます。
 では6ページに移らせていただきます。こちらに左側のところに「学びに向かう力、人間性等」の現時点の記載の抜粋をお示ししております。このうちこのオレンジ色のマーカーを付した部分が、先ほど申し上げました学びに向かう力の3要素に相当する部分であろうと想定しております。
 例えば、小学校の音楽科におきましては、「楽しさを味わいながら、主体的・協働的に音楽活動に取り組み、創造的に音楽に関わる態度」といったところが学びに向かう力の3要素に相当する想定いたしまして、その部分を抽出して「見取る姿」のイメージを右側にお示ししておりますが、例えば小学校の音楽科につきましては、「音や音楽に進んで関わろうとしながら、自分にとっての音楽を学ぶ意義を見出そうとしている」ことと、「他者と関わる中で感じ方や考え方を広げ深めながら、学び方を工夫し、考えを巡らせて音楽表現を深めたり、音楽を深めたりしようとしている」、このような姿が「○」の付記に当たっての着眼点として、このようなイメージで示していくことが考えられるのではないかとしております。
 中・高等学校に関しましても、発達の段階に即してこちらにお示ししたような形でイメージをお示しさせていただいております。
 次に7ページでございます。同様に小・中・高等学校、図画工作・美術・工芸に関連いたしまして記載させていただいておりますが、例えば小学校の図画工作につきましては、「つくりだす喜びを味わいながら、主体的・協働的に造形的な創造活動に取り組む」ことが学びに向かう力の3要素に相当すると想定いたしまして、「見取る姿」のイメージといたしましては、「形や色、材料などに進んで関わり、自分の感じ方や考え方を確かめながら自分なりの意味や価値をつくりだそうとしている」と、そして「他者の感じ方・考え方、活動の様子や作品などに関わり、振り返りながら自分の表現、見方や感じ方を広げ深めようとしている」といったイメージの示し方が考えられるのではないかとしております。
 また次のページ、8ページでございますけれども、高等学校の芸術科・書道でありますが、「学びに向かう力、人間性等」の目標の「主体的・協働的に書道の幅広い創造的な活動に取り組み、書の伝統と文化に関わる」といった態度に関わる部分が学びに向かう力の3要素に相当すると想定いたしまして、「見取る姿」のイメージといたしまして、「書の伝統と文化に進んで関わろうとしながら、自分にとっての文字や書の意味や価値、それらを学ぶ意義を見いだそうとしている」。
 そして「他者と交流し、自分の感じ方や捉え方、考え方を広げ深めながら、書の美を追求し、深めようとしている」と、このような形で見取る姿のイメージを考えてみてはどうかというところでございます。
 9ページ以降につきましては、小・中・高等学校の芸術系教科・科目の現時点の目標等の改善案を参考に添付させていただいております。
 また15ページ以降に関しましては、論点整理と、それから3月30日に開催されました総則・評価特別部会の資料の抜粋をこちらも参考に添付をさせていただいております。
 論点1に関しまして、私の方からのご説明は以上となります。どうぞご審議のほどよろしくお願いいたします。
【大坪主査】  ありがとうございます。それでは論点1につきまして、音楽、図画工作・美術・工芸、書道の順に区切らせていただき、先生方のご専門・ご所属などの見地からご意見をいただきたいと考えております。
 今回、各教科の専門的・具体的な内容に関わることから、音楽に関わる意見交換の時間については齊藤主査代理に進行をお願いしたいと思います。それでは齊藤主査代理、よろしくお願いいたします。
【齊藤主査代理】  それでは音楽に関わる意見交換については私のほうで進行させていただきます。
 では音楽に関わり学習評価の在り方について、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言をいただければと思います。
 ご発言のご意見のある委員の先生方におかれましては、挙手ボタンを押していただきましてご発言をお願いいたします。ご発言はお一人2分程度にとどめていただけましたら幸いです。いかがでしょうか。挙手ボタンでお願いいたします。
 原委員お願いします。
【原委員】  はい、失礼いたします。今回の学習評価について大変具体的にご提示いただいたこと、ありがたいなと思っております。
 まず多様な子供たちが資質・能力を確かに育んでいけるということに重きを置いて、学習評価の在り方について総括的評価と形成的評価それぞれの役割を明確にするということ、そして特に形成的評価の充実が中心となって不可欠であるということ等、総則・評価特別部会で示されたことを受けて整理をしていただいているなと感じています。
 4ページに示された改善の方向性案を見てみますと、題材や単元ごとにすべての観点で総括的評価を行うことをマストとはしていないということですね。複数の題材や区分でのまとまりで総括的評価を行うことを推奨するという点については、評定のための評価ということではなく、やっぱり授業改善につなげる評価、形成的評価を重視してほしいというメッセージを伝えるために大変有効だなと考えています。
 評定を出すための評価ではなく、先ほども申し上げましたが、子供たち一人一人の学びの状況を見取って、着実に資質・能力を身に付けることにつなげていくことが、期待されます。
 1点気になることですけれども、「学びに向かう力、人間性等」の「見取る姿」については、思・判・表の過程で見取る具体的な児童生徒の姿であるとされているのですが、これまでにも評価規準をもとに児童生徒の姿を私たちは授業中に見取って評価して、課題のある、まだできていない子供には具体的な指導を行ってきたわけです。この「見取る姿」と評価規準の違いをどのように説明すればいいかなとずっと考えておりました。
 現場の先生方からは、評価規準と「見取る姿」というのは同じではないかと受け止められる可能性もあるなと考えています。子供の姿を見取る着眼点なのだということを主張していく必要があると考えています。以上でございます。
【齊藤主査代理】  では続きまして、水戸委員お願いします。
【水戸委員】  はい、よろしくお願いします。私も今回の提案に賛成いたします。非常に大事な評価において、大事なところを整理していただいたと思います。
 今回の提案は、児童生徒の学習の結果だけでなく、そのプロセスを丁寧に評価していこうという点に基づいていると思うのですが、近年、注目を浴びているいろんな教育学の理論ともまさに合致するもので、大変大きなメッセージになるのではないかなと思っております。
 学習のプロセスに注目する学習理論の代表的なものとしては、自己調整学習などが挙げられるのですが、これらの理論では、学習者自身が学習の計画を立て実行し、その結果を振り返りながら次の学びへと調整していく一連の過程が重視されていると思います。このような学習を成立させるためには、学習の途中段階で学習状況を捉えて支えていく形成的評価を、一定のスパン、長いスパンに行われることが前提になると考えています。そうした意味からも今回の提案は非常に重要ではないかと思っています。
 本来、学習評価は学習の成果を結果として示すだけのものではなくて、学習の状況や成果を学習者にフィードバックし、次の学習につなげるためのものであるべきだと思います。そのためには、教師が学習者を測定するものという見方から離れ、評価を学習者が自らの学びを調整するための情報提供のプロセスとして位置づけることが重要だと思います。
 資料の6ページにも「見取る姿」の中に「学び方を工夫して」というように書いてあるのですが、評価をこのように捉え直すと、学習の調整や評価を単元内の短期的なもので考えるだけでは不十分であり、より長期的な視点で捉える必要があることが見えてくると思います。学習者が自己調整的に学ぶようになるためには、計画・実行・振り返り・調整の過程を継続的に経験することが不可欠なので、そのためには一つの単元を超えた時間の蓄積が求められると思います。
 もっとも、このような考え方に基づいて長期的な形成的評価を行うためには、単に学習のプロセスを長期的に見ていくだけではなく、学習の質を捉えられる評価項目を検討していく必要があると思います。とりわけ、教師と児童生徒の双方が納得できるような評価項目やルーブリックを設定することは、必ずしも容易ではないと思います。
 例えば、鑑賞教育のように明確な正解を設定しにくい学習においては、学習者へのフィードバックを目的として長期的な評価を行う場合には、単元の目標を達成したとか、それから評価規準に到達したかといった結果のみを見る評価では不十分なので、理解の変化とか、思考の深まりとか、学習方略がどのように洗練したかといった学習過程そのものの質的な変化を捉える視点が必要となると考えます。
 ただ、このような長期的な視点に立った評価を実施するという目標を立てるのは重要ですが、そのために信頼性のある評価項目やルーブリックを作成していくのは簡単なことではないと思います。今後は、実施に向けた詳細な検討が必要になるのではないかと思います。
【齊藤主査代理】  では続きまして、山下委員お願いいたします。
【山下委員】  山下でございます。よろしくお願いいたします。私からは2点意見を申し述べさせていただきます。
 まず論点1の「効果的かつ過度な負担が生じにくい評価の見直し」について、資料1の3ページに示された改善の方向性に賛同いたします。資質・能力の構造化によって複数の題材でまとめて総括的評価を行うこと、そして形成的評価のさらなる充実を図ることは、指導と評価の一体化に資する本質的な課題解決の方向であると考えます。これによって必ずしも毎回ワークシートの記入に時間を割く必要がなくなり、音や音楽と向き合う時間が増えることは喜ばしいことであると思っております。
 ただし、先ほどのご説明でもありましたように、先生方には形成的評価という新しい負担が増えるということではなく、学習指導の過程で日常的に行っていらっしゃるアセスメントとフィードバックという児童生徒への不断の働きかけを強化することであるとご理解いただくことが大切であると感じています。また、形成的評価の過程で記録に残すに値する状態や事象が生じることも十分にあり得ることから、題材の振り返りや学年末の総括など、後から活用できるような簡潔かつ多様な情報収集の方法を開発することが望まれます。
 2点目は小学校音楽の目標についてです。資料9ページにお示しいただいた「思考力、判断力、表現力等」の目標2行目に「音楽のよさなどを味わって聴いたりすること」とありますが、第7回のワーキング資料ではこれが「音楽を味わって聴いたりすること」となっており、現行の学習指導要領と同様でした。
 今回の変更は中学校や高等学校の目標に揃えたことによるものと想像いたしますが、「音楽を味わって聴くこと」と「音楽のよさを味わって聴くこと」とは状態が異なり、前者が音楽そのものに没入するという音楽への一次的な関与であるのに対して、後者は「音楽のよさ」という概念の認知を含む二次的な関与を想起させます。小学校の目標に「音楽のよさ」などを加えることは現行からの大きな変更につながることでもあるため、慎重にしたほうがよいのではないかと思い、本題から少々外れますが発言させていただきました。
【齊藤主査代理】  では続いて、稲委員お願いいたします。
【稲委員】  はい、よろしくお願いします。私も形成的評価の充実には現状課題があるということは日々実感しておりまして、この方向性については賛同いたします。その通りだと思います。
 資料の4ページの四角囲みの真ん中のところ、複数の題材や単元、区分でまとめて総括的評価を行うことが提案されていますが、これは現在の題材や単元ごとに3つの観点で評価を行うよりも、長いスパンで資質・能力の育成をデザインし、児童や生徒の実態に応じて計画を修正しながら指導するという、より専門性の必要な作業になるというふうに感じています。そのことから、これは形成的評価の充実の視点で効果的ではあると思うのですが、必ずしも過度な負担が生じにくいとは考えていません。この負担軽減については、今回論点3で示されている題材計画作りのイメージをどう示すかや教科書の在り方に大きく関わってくると思います。
 次に資料1の6ページ、「学びに向かう力、人間性等」の評価に当たっての「見取る姿」の表し方についてです。まだ仮のものかとは思うのですけれども、一文の中に二つの要素が含まれている場合の考え方について整理する必要があると感じました。特に文章の中の「ながら」という言葉が気になりました。
 例えば、小学校の見取る姿の文言「音や音楽に進んで関わろうとしながら」ですが、これは音や音楽に進んで関わろうとしているという姿と、自分にとっての音楽を学ぶ意義を見出そうとしているという2点を満たしている姿を想定しているということでしょうか。現行の学習評価の参考資料の中の「主体的に学習に取り組む態度」の評価の観点の趣旨では、「音や音楽に親しむことができるよう音楽活動を楽しみながら」とありますが、この「ながら」より前の部分は学習活動の前提であり、楽しんでいるかどうかを評価するものではないと理解しています。
 今回お示しいただいた小・中学校音楽の目標の案にも「楽しさを味わいながら」とありますが、今回は楽しさを味わうこと自体も目標に含まれているように読めて、現行の学びに向かう力、人間性等の目標の冒頭、「音楽活動の楽しさを体験することを通して」とは性格が少し違うように感じました。これらの意味を整理する必要があると思いました。
【齊藤主査代理】  それでは、私の方からですけれども、今回お示しいただきました評価に関わる点につきまして、4ページのところの芸術系教科・科目における学習評価のプロセスについては、例えば以下のように整理することとしてはどうかという内容ですが、私もこの内容の方向性に賛同いたします。
 そして具体的な「見取る姿」につきましては、音楽の場合は6ページのところに二つの項目に分けてお示しいただいておりますが、稲委員からもありましたように、より分かりやすく「見取る姿」を提示するにはどうしたらいいかという工夫がさらにできるといいなとは感じつつ、基本的な方向性としては私もよいのではないかと感じております。
 あと、あまり時間がない中で9ページのところからの目標等の改善案についても非常に大事なところではあります。この辺りのところまたお気づきの点がございましたら、また後程お出しいただけたらと思います。
 ちょうど予定の時刻になりますので、このところで終わらせていただきます。ありがとうございました。進行を大坪主査に戻したいと思います。よろしくお願いいたします。
【大坪主査】  はい、齊藤主査代理ありがとうございました。続きまして、図画工作・美術・工芸に関わり学習評価の在り方について、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言いただければと思います。ご意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人2分程度を目安にご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 まず新井委員お願いをいたします。
【新井委員】  はい、よろしくお願いします。3ページをお願いします。
 はい、3ページの形成的評価ですが、美術教育は途中段階を見取って指導助言を行うことが多い教科です。そのため、形成的評価をさらに活用していくことは指導の充実につながりますので賛成です。
 また、5ページ目、こちらは今後検討いただければという話なのですけれども、「学びに向かう力、人間性等」は長い議論の末に学校教育法に明記された学力の3要素の一つなんですね。学習する姿そのものを支える大切な要素ですし、今後さらに重要視されるでしょうから、この観点がフェードアウトする印象を与えてしまうのはよくないと思っています。
 学びに向かう力の3要素を見取りやすい教科と難しい教科があることは理解できるのですが、その3要素を見取る教科特性へのふさわしさという点から考えると、教科を区別して考えてもいいのではないかと考えています。授業改善によっていずれ足並みが揃うまで、学びに向かう力の3要素を先行して評価する教科があってよいのではないのかな、と考えています。
 7ページ目をお願いします。こちらの「見取る姿」ですが、中学校・高等学校だと右側の1行目の「進んで関わり」の後に「学んだことや思いついたことをもとに」などと入れるほうがよいと思いました。問題解決をするのに根拠をもって応用・発展していくことが大切と示せますし、いわゆる総合的な学習の時間を補強することにつながるのではないかなと考えました。私から以上です。
【大坪主査】  それでは次に廣田委員お願いいたします。
【廣田委員】  はい、失礼いたします。まずこの形成的な評価については、これまで図画工作科においても大切にしてきた部分かと考えますので、今回の提案については賛成でございます。4ページにもあります通り、これまで出来上がった作品だけで評価をするということが一部見られるというところも課題としてありますので、児童の学習を把握して指導に生かす評価を行うことが重要であることは言うまでもありません。また、造形遊びのような、必ずしも作品が残るとは限らない、そういった題材もございますので、これについてはこれまで通り大事にしていければなと考えています。
 また4ページにあります改善の方向性の部分で、「題材や単元、区分でまとめて総括的評価を行うことも可能である」といったところについては、低学年の図画工作ですと2時間で終わりの題材がございますので、ここで題材ごとに傾重をつけていく、この題材では主に技能を見取っていくだったり、思考力、判断力、表現力等を見取っていくだったり、そういった傾重をつけていくことが大事になってくるのではないかと考えております。
 最後、7ページのところでございますが、「見取る姿」については先ほどの稲委員のご意見にもありました通り、学びに向かう力の3要素がある中で「見取る姿」は二つしかなく、これが混ざっているのかなと思いますが、二つに示すよりは三つに示すことで、資料の23ページにもあります、「見取る姿」が「継続的な発揮」、「徐々に増え、継続的な発揮を見取る」というところにつながっていくと考えております。以上でございます。
【大坪主査】  それでは次に大泉委員お願いをいたします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。私も形成的評価の充実が不可欠とされたことは、芸術教科において学習のプロセスを大切にするというメッセージの上でも、また従来から大切されてきました指導と評価の一体化の実現のためにはとても重要な判断だと思いました。
 その上で4ページの下の方の改善の方向性案に示されています、「複数の題材や単元、区分でまとめて総括的評価を行うことも可能とする」ことも有効かと思います。ただし、そのための具体的な方策を想定しておくことが必要なのではないかと思います。例えばポートフォリオ評価の活用であるとか、デジタルツールの活用、そして今日議題にもあります教科書編集の工夫などが考えられると思います。
 続きまして、「学びに向かう力、人間性等」の評価の在り方について、6ページ以降に先ほど来先生方がおっしゃってる「見取る姿(仮称)」のイメージが示されています。大事なことなのですが、気になったのが、現状のものだと抽象度が高いので、おそらくここから現場のそれぞれの先生方がイメージする具体的な子供の姿は、先生によって異なるのではないかと思われます。つまり、子供のどのような姿をもって思・判・表に「○」を付すかという判断が先生によって異なるのではないかと思います。教師がどのような子供の姿を見取っているのかが問題になるかと思いますので、その辺りも今後検討していく必要があるかなと思います。
 このことは第1回のワーキングでも申し上げました、子供の表現に関わる教師をはじめとした大人や社会の学習観であるとか、子供観というものが鍵になるのではないかなと思います。そうした意味で、先ほど述べたような形成的評価の充実というのは非常に重要かと思います。
 最後に個人内評価についてです。15ページの左側の黒ポツの3つ目に非常に重要なことが書いてあります。「多様な子供たち一人一人の良さや成長を自然な形でみとり肯定的に評価できるようにする」ということ、これは非常に芸術教科にとって重要と思います。ぜひ個人内評価の在り方についても大切に考えていただきたいと思います。そもそも個人内評価は指導と緊密に一体化していると考えられます。そうした意味で、個人内評価と形成的評価の関係についても検討する必要があると考えております。以上でございます。
【大坪主査】  それでは次に小池委員お願いをいたします。
【小池委員】  はい、よろしくお願いいたします。まず論点1でございますけれども、形成的評価を重視していく、私も賛成です。今回の資料について改めて学校現場の先生方が総括的評価と形成的評価のそれぞれの意味を理解して評価を行うことの重要性について改めて感じた次第です。
 例えば今示していただいている4ページの改善の方向性案のうち、四角の中の「複数の題材をまとめて総括的評価を行うこと」については十分可能であると私も考えております。そして複数の題材を通して繰り返して指導を行う、知識や技能についてはまとめて行うことによって、評価について質を落とさずに、評価の業務の合理化・簡略化については内容を精選した上でですが、簡略化につながるのではないかと考えております。一方、学習の調整等を促す形成的評価を中心に行うことについては、今申し上げた通り賛成です。児童生徒の指導の一環としての形成的評価であることを授業者も理解して行う必要があると考えています。
 それからその下のポツにありますけれども、思・判・表の総括的評価について「作品等に表す一連の過程の中で児童生徒の姿を捉えることを重視していくこと」は重要であると考えておりますが、例えば中学生が制作をしている状況を捉えていくのは、やはり実際問題として現在も難しい面があると考えています。それこそアイデアスケッチ等の評価を工夫するなどを今後もしていく必要があると思います。
 次に「学びに向かう力、人間性等」の評価の在り方についてですが、5ページ等にあります通り、やはり大きな変更点と考えております。資料で示されている学びに向かう力の3要素を「思考・判断・表現の過程で特に表出した場合に「○」を付すこと」については、現行での主体の評価のしづらさが現場で確かにあったことを考えると、一つの改善策を示したものであると考えております。ただし、その「○」がどのような意味を持つのか、企画特別部会のところにもありました通り、評定にどういうふうに実際に関わるのか等については、やはり中学校の現場においてかなりこの辺は十分に説明をしていかないと現場としても運用する上で難しい面があると思っております。私からは以上です。
【大坪主査】  続きまして藤井委員お願いをいたします。
【藤井委員】  はい、藤井です。本日の資料の3、4ページですが、これまでも委員の先生方がいろいろご指摘されていらっしゃいますように、私もこの形成的評価の充実や評価の改善の方向性案につきまして賛成いたします。子供たちが図画工作・美術・工芸の授業の中でいろいろ考え、計画し、実行して振り返るという一連のプロセスについて学ぶことで、作品を作って持ち帰るという、そういう授業を超えた学びの充実がより期待できるというふうに思います。
 また資料の7ページですが、今回の大きな改善点であります、図画工作・美術・工芸における「学びに向かう力、人間性等」の評価の在り方について、「見取る姿」という形で評価の観点が具体的に示されているところがとても分かりやすいのではないかと思います。系統性という観点から、小学校と中学校とではより明確な違い、差をつけるという考え方もあるのではないかと思いました。
 小学校では自分なりの意味や価値をつくりだす、自分の表現、見方や感じ方を広げ深めようとするというように「自分」を中心とした内容になっております。中学校の方も自分としての意味や価値をつくりだす、自分の表現、見方や感じ方を広げ深めようとするとなっており、小学校とあまり違いが見られません。そのため中学校の方は他国との比較などより社会的な観点、から自分の見方や感じ方を広げるということをより分かりやすく明記するという方法も考えられるのではないかと思います。
 また高校の美術Iと工芸Iの目標についてですが、本日の資料の11、12、13ページにお示しくださっている内容につきまして、黄色いハイライトの部分が第7回ワーキングからの変更点としてお示しくださっている部分ですが、美術Iでは「美術や美術文化に関わり親しみ」、工芸Iでは「工芸や工芸の伝統と文化に関わり親しみ」という内容がありますが、ここで別々に示された内容の具体については、個人的な表現と社会や歴史的な財産、文化遺産等の観点からより具体的な説明を行う必要があるように思います。
【大坪主査】  それでは次に道越委員お願いをいたします。
【道越委員】  はい、よろしくお願いいたします。まず今回「見取る姿」という言葉が示されて、非常にありがたいなと感じております。学校現場ではこの「見取る」とか「見取り」ということが授業であっても、それから授業以外の生徒指導や生徒理解の場であっても日常的によく用いられています。それは経験のある教師も経験が少ない若手教師も、子供がよさや可能性を発揮している、資質・能力を発揮しようとしている瞬間、そういうことを子供が何を考え、どう動き出そうとしているのかを、私たち教員がきちんと見取れているのか、それとも見取れていなかったのかということをとても大事にしているからです。
 私としてはこういった学校現場で日々行われている教員の授業研究を価値づけていただいているような思いになりました。ですので今回、「学びに向かう力、人間性等」を重視しているということ、そのためにどのように私たちが見取って評価をして、子供の力を伸ばすということにつなげていくのかをこのように示したということに意味があると思いました。
 特に中学校の部分を見たときに、「自分の感じ方や考え方を問い直しながら意味や価値をつくりだす」については、このように子供が試行錯誤を繰り返して創造していく過程の大切さが伝わってきました。教員が授業を構想するときに、子供のこういった姿を引き出せるような授業作りをしなければならないと思います。
 少し懸念いたしますのは、ここに例として書かれていることは着眼点でありまして、私たち教員一人一人が授業の中でどのような力を伸ばしたいのか、目標に照らし合わせて子供の姿を見取ること、そして私は見取っただけではだめで、それをどのように子供たちを価値づけて資質・能力を引き出して高めていけるのか、その日々の繰り返し、積み重ねることが子供自身の力を伸ばすのですけれども、同時に私たち教員の力も伸ばしていかなければならないと思います。その学校現場にその意味や意義を伝えていかねばならないと感じました。
【大坪主査】  それでは図工・美術・工芸の関係の先生方、委員の先生方からのご意見はほかございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 はい、それでは次に書道に関わる学習評価の在り方について、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言いただければと思います。ご意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人2分程度を目安にご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 ではまず加藤眞太朗委員お願いをいたします。
【加藤眞太朗委員】  はい、それではよろしくお願いいたします。22ページをお願いいたします。
 形成的評価の充実については私も賛同するものです。しかしこの右側の1つ目の黒ポツのところにありますように、学びに向かう力が「思・判・表」の観点別評価を介して評定に影響を与えるものと整理されたことは大きな変更点だと考えています。
 21ページをお願いします。初めに原委員も触れられていらっしゃいましたが、この評価規準ではない「見取る姿」というものが逆に現場の先生方にとって評価規準との違いが分かりづらく、大きな戸惑いを生じさせるものになっていると感じられます。あわせて19ページの図を見ますと、「見取る姿」は個人内評価として生徒にフィードバックしつつ、評定にはつながらないとする矢印と、「思・判・表」の評価につながるものとする矢印の二つが存在するように読み取れます。このことにより「見取る姿」が評定につながるものではないとされながらも、実際には別の観点で評価につながっているという矛盾にも感じられる部分を、どうしたら生徒に分かりやすく説明することができるかということについては大きな懸念があります。このことは生徒の視点に立って考えた際にも、普段の学習活動の中で個人内評価として評価されてきたことが評定にきちんと反映されているという実感をもって納得されうるものでなければならないと考えています。
 21ページに戻ります。右側の2つ目の矢印に総括的評価としての性質は弱く、形成的な評価としての性質があることが示されています。ということは学年末や単元末に評価を示していくことになると考えますけれども、個人内評価をしつつ形成的な評価として生徒に還元していくことは教師にとって多大な負担となるということが危惧されます。
 また、もう一度19ページに戻っていただきますと、右下の「評価せず」の下には「総合所見欄等に反映」と記載されています。5ページの「学びに向かう力、人間性等」の4要素を示した図では、「学びを方向付ける人間性」を要録の総合所見欄等に反映することが示されています。これらのことを総合的に考えますと、普段の授業の中で教師は学びに向かう力の3要素について生徒に個人内評価としてフィードバックしつつ、「思・判・表」の評価に反映することを踏まえながら指導を行う、そして1年間の学習の成果として総合所見欄等に「学びを方向付ける人間性」として記載することも継続的に想定しながら生徒の行動を評価しなければならないものが、「学びに向かう力、人間性等」の評価なのだというふうに捉えられます。
 「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」の評価と併せ、この学びに向かう力を評価していくことについて、現在の段階ではその在り方が学校現場において非常に複雑で煩雑なものに感じられます。この辺りは教師にとっても生徒にとっても、あるいは保護者にとっても分かりやすいように整理され、理解されるものにならなければならないと考えています。私からは以上です。
【大坪主査】  続きまして加藤泰弘委員お願いをいたします。
【加藤泰弘委員】  はい、失礼いたします。いろいろな先生方からご意見があったとおりなんですけれども、学習評価については芸術科書道においてもやはり保護者への説明責任の観点から総括的評価を優先的に行うという実態が見られ、評定のための評価となりがちであるということがあるとは思います。今回の学習指導要領の改訂や参考資料が示されたことで、なプロセスの評価ということについては相当な改善が図られてきたとは思いますけれども、まだまだ評価の対象が作品が中心になるということが多いのではないかと思います。
 やはり学習評価はできるだけ簡便で、生徒の学習改善、教員の授業改善に資するべきであり、今回の評価の場面を精選し、形成的評価を一層充実させるという方向性は、表現や鑑賞の学習過程、身体性を大切にする芸術教科・科目においてはとても良い方向であると考えております。
 その上で、多くの委員からも意見が出ているところでございますけれども、「学びに向かう力、人間性等」の評価の改善について、「学びを方向付ける人間性」は個人内評価とするという部分についても、今回はそれほど具体的な視点は示されていませんけれども、芸術教科においては非常に重要な部分であると考えております。
 また思・判・表の過程で特に表出した場合に「○」を付すことについては、この規準がどの程度のものなのかということがやはり現段階ではまだはっきりしないのではないかと思います。「見取る姿」という形で示されておりますけれども、やはり教員の個人感覚による評価と今の実態ではなりがちではないのかなと思います。今後「見取る姿」については検討を深めていって、改訂後速やかに参考資料等で具体的な事例を示していくというようなことも求められるのではないかと考えております。以上でございます。
【大坪主査】  はい、委員の皆様ありがとうございました。
それではここで5分間の休憩を挟み、論点2、3に関する事務局説明へと進みたいと思います。では10時28分ぐらいから再開をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(休憩)
【大坪主査】   それでは議事を再開いたします。論点2、3につきまして、まず事務局より資料の説明をお願いいたします。
【堀内学校芸術教育室長】  それでは論点2、論点3に関しましてご説明をさせていただきます。
 資料の33ページでございます。まず論点2、芸術系教科・科目におけるICT活用の在り方についてであります。
 34ページになります。1の芸術系教科・科目におけるICT活用の在り方ということであります。現状と課題でございますけれども、GIGAスクール構想によりまして、1人1台端末の整備が進められているという現状にございます。このような中で活用をさらに進めていく段階にございます。芸術系教科・科目におきますICTの活用の現状に関しましては、下の枠組みのところに記載をさせていただいておるところでございますけれども、例えば音楽科におきましては音楽アプリを活用した創作でありますとか、図画工作・美術・工芸におきましては撮影機能や描画機能を活用して作品に表すといった活用でありますとか、あるいは書道におきましてはデジタルポートフォリオとして活用し、振り返りや学習成果を確認したりするといった、このような取組が進められているというところであります。
 しかしながらICTの活用に関しましては、資質・能力の育成のための効果的な活用に至ってないのではないかといった課題がございます。例えば音楽科におきましてはICTの活用が様々な感覚を働かせた深い学びにつなげることができていないのではないかということでありますとか、図画工作・美術・工芸につきましては見方や感じ方を深めたり、イメージを豊かにし、作品の発想・構想を生かしたりすることにつなげられていないのではないか、書道に関しましては多様な書の美を味わったり、書の表現性や表現効果を生かして表現したりする過程で学びを深めることにつなげられていないのではないかと、このような課題が見受けられるところでございます。
 次のページにまいります。現状・課題を踏まえまして改善の方向性といたしまして、次期学習指導要領におけるICTの活用といたしまして基本的な方向性として以下のように整理してはどうかということでございます。
 改善の方向性(案)といたしまして、1つ目でありますけれども、芸術系教科・科目におきましては身体性を基本とする人間の本来的な能力としての技能が重要であるということを前提とした上で、ICTの適切な活用が知識・技能の習得、主体的に学習に取り組むといったこれらに加えまして、思考を広げたり深めたりするということにもつながっていけるようにしていくことが重要ではないかということ。特に次期学習指導要領におきましては構造化を踏まえた深い学びを授業で具現化をしていくということを目指しておりますので、ICTが用具としての利用にとどまらず、芸術系教科・科目の本質的意義でございます感性や創造性の涵養に資するということも想定をしていくべきではないかというふうに考えております。
 また併せまして、子供たちが多様で大量の情報を扱うといった状況を踏まえまして、今後学校におけるICTのさらなる推進と併せまして、子供たちの発達の段階に応じまして知的財産の保護と活用に関する指導につきましても、さらに充実を図っていく必要があるのではないかと大きく3点、基本的な方向性を示させていただいております。
 また具体的な各芸術系教科・科目の改善の方向性といたしまして下の枠組みに記載をしておりますが、具体的には36ページ以降をご覧いただければと思います。
 36ページに音楽の例という形で記載をさせていただいております。改善の方向性の案といたしまして、児童生徒が様々な感覚を働かせて音楽への理解を深めるだけでなく、思考・判断し表現することにつながるようにICTを効果的に活用できるようにするといったこと。また発達の段階に応じまして音楽文化への理解につなげていくということ。
 このような方向性の案のもとで、例えば活用のイメージといたしましては下の表に記載しておりますような形が想定されるのではないかと考えております。例えば小学校音楽におきましてはリコーダーのタンギングを可視化して確認し、音色と演奏の仕方との関わりに気付くといった器楽における活用。中学校の音楽におきましては例えば自分の歌唱や演奏を録音、録画し、それを再生しながら技能の習得状況を確認したり、課題を自覚したりといった活用の在り方が考えられるのではないかとしております。
 また次のページ37ページには図画工作・美術・工芸の例ということで記載をさせていただいております。改善の方向性案といたしましてICTの特性を生かした活用を図ることにより、豊かな創造性を育み、表現や鑑賞の活動を充実させ、資質・能力を効果的に育成できるようにすると、その際、教科・科目の特性を踏まえた文化への理解にもつなげていくということ。また鑑賞の活動におきましては多様な見方や感じ方に触れたり、それを深めたりする学びを支えるため、ICTの効果的な活用を一層工夫していく。このような方向性のもとで、例えば活用のイメージといたしまして小学校図画工作におきましては場所や空間をどのように変化させていくかを考えながら動く映像を作り、プロジェクターで投影するなどして活動を工夫してつくるといった表現領域における活用の在り方でありますとか、あるいは中学校の美術科におきましては、ポスターのアイデアスケッチをタッチペンを使って画面上で作成し、途中段階を相互に鑑賞し、その後、アイデアを修正することで発想・構想を深めていくといった、こちらも表現領域における活用の在り方、このようなイメージが想定されるのではないかと考えております。
 そして38ページには高等学校の芸術科書道の例ということで、改善の基本的な方向性といたしまして、ICTの特性を生かして活用することにより、書特有の視点をもって多様な書の美を捉え、自ら学びを深めることにつなげるということ。そして書の伝統と文化への理解が深められるようICTを効果的に活用すると、このように方向性を整理してはどうかということであります。具体的なイメージといたしましては例えば3つ目のポツでありますけれども、美術館・博物館等のデジタルアーカイブや各種動画を活用し、書の表現性や表現効果等に関わる一回性や呼吸、空間意識といった視点から、書の美の多様さに触れ味わうとともに、書の伝統・文化への理解を深めるということにつなげていくと、このような鑑賞領域での活用の在り方などが考えられるのではないかとしております。
 そして39ページ以降には現行の学習指導要領の関連規定の抜粋を参考に添付させていただいております。以上が論点の2でございます。
 続きまして論点の3に移らせていただきます。資質・能力の構造化の状況を踏まえたさらなる検討についてでございます。
 基本的な方向性でありますけれども、2月2日開催の教育課程企画特別部会におきまして、構造化・表形式化する学習指導要領につきまして、単元・授業作りのどういった場面でどのように活用することで授業改善につなげることができるか、指導主事や経験が豊かな教師が経験が浅い教師を指導する際のイメージを共有するために、学習指導要領の活用のイメージとして参考資料を示すことが提案されたということでございます。このことを踏まえまして、芸術系教科・科目におきましても、例えば次ページ以降のところに掲載しておりますように、高次の資質・能力を生かした題材・単元計画づくりの参考イメージを示していくことが考えられるのではないかとしております。
 45ページをご覧いただけたらと思います。小学校音楽科の題材計画づくりの参考イメージとなっております。例えば小学校の3年生におきましてリコーダーを初めて扱うということを前提といたしまして、教師が題材計画づくりをどのようにプロセスを経て考えていくのかということをここに記しておりますけれども、まず学習指導要領の記述を確認してみようということで、今次改訂におきましてデジタル学習指導要領という形で一元的に情報がここで管理・整理をされることになっておりますけれども、このデジタル学習指導要領の中をまず確認をいたしまして、高次の資質・能力の歌唱・器楽を確認して、リコーダーを使う授業で目指す学習の深まりをまずイメージすると。また、表形式化により今回お示しをするという形になりますので、その表形式化により学習の系統性、とりわけ1・2年生ですでに学んでいる鍵盤ハーモニカと、これから学ぼうとしているリコーダーの学習のつながりを見通して考えていくという、そのようなところから年間を通して学習計画を組み立てていこうと。
 さらに右上の方に移りますけれども、教科書の中から題材のねらいにつながりやすい題材をもとに構成をしていこうというところで、さらに下の吹き出しでありますけれども、高次の資質・能力を具体的に見ていく中で、思考力・判断力・表現力の総合的発揮には、「音や音楽について知覚・感受したことをよりどころにして」という記述がございます。こちらをもとにして音楽を形づくっている要素としての「音色」をよりどころにしようと。音色に関わる学習内容としまして、1・2時間目で実感を伴った理解ができるような構成、そして3・4時間目では実際に曲を試しながら工夫して吹くことができるような構成といったところに段階的に題材作りに進めていきたいというところでございます。
 このような形で教師がどのような点に意識を置いて題材計画をつくっていけばよいのかを整理したものとなっておりますけれども、これを実際に題材計画書に表してみたものが46ページのような形になろうかと考えております。また同様の考え方で47ページには中学校美術科、49ページには高等学校の書道科について参考イメージを掲載しております。こちらはまだ粗々のものでありますけれども、このような形で最終的に参考イメージを教師の参考として示していくことができればと考えております。
 続きまして、教科書の在り方のさらなる検討についてでありますけれども、論点整理におきます基本的な方向性につきまして、教科書の内容を統合的な理解と総合的な発揮をつかみやすくなるものに精選をするということ、それからその分量につきましては調整授業時数の下で、調整後の時数でも十分に指導可能になるように検討すべきといった方向性が示されております。具体的には、現在の教科書のどういった内容を精選対象とすることが考えられるかということと、どういった構成上の工夫が考えられるかということにつきまして、アイデア出しを行い、教科書会社における教科用図書の編纂の参考となるよう検討を行うといった方向性が示されております。
 このことを踏まえまして、芸術系教科・科目におけます教科書の精選の方向性に関しまして、まず精選の観点に関しましては、掲載されている教材、例えば〔共通事項〕にかかるページでありますとか、楽器や材料や用具などの使い方でありますとか、表現や鑑賞の教材でありますとか、現在教科書に掲載されている様々な教材ございますけれども、この教材等を全て網羅的に指導しなければならないということではなく、その中から教師が適切に選択したり参考できるような、教師がそのようなことを読み取りやすくできるような構成が期待されるのではないかとお示ししております。
 それからもう1点でありますけれども、次期学習指導要領における深い学びを授業で具現化をしていくという観点から、構成上の充実ということで、下の枠組みのような充実を図ってはどうかとしております。例えば1つ目でありますけれども、教師が、高次の資質・能力を踏まえて創意工夫を生かして柔軟に授業作りができるような構成上の工夫ということで、今回小学校の音楽科の例として挙げておりますけれども、音楽科におきましては歌唱と器楽を一つの区分として示す方向で現在ご議論いただいております。このことを踏まえまして、一つの教材について歌唱・器楽だけでなく、さらに合唱奏で扱えるような、そういった柔軟な様々な学習ができるような構成上の工夫が考えられるのではないかということ。
 それから2つ目でありますけれども、図画工作、美術、工芸、書道に関しまして、鑑賞の技能を位置付けていこうという方向性で進んでおりますけれども、鑑賞の学びの充実に資するよう、造形的な特徴などを手がかりに技能を活用して児童生徒が能動的に鑑賞できるような、そのような構成上の工夫が図りうるのではないかということ。
 それから3つ目でありますけれども、こちら高等学校の芸術科の関係でございますけれども、小中学校における学びを踏まえ、高等学校における芸術そのものを学ぶ機会に資するよう、例えば見返しなど教科書の冒頭のページなどに文化や芸術の広がりと多様性、芸術が生活や社会に果たしている役割、芸術を学ぶ意義や価値などについて考えていくことができるような、構成上の工夫ということも考えられるのではないかと整理させていただいております。
 52ページからは参考といたしまして、2月2日の教育課程企画特別部会の資料を添付させていただいております。そして58ページ以降に関しましては、芸術系教科・科目の目標と見方・考え方、高次の資質・能力の、これまで委員の皆様方から頂戴いたしましたご意見等を踏まえまして、最新の現時点版として掲載をさせていただいております。こちらに関しましてもご意見等ございましたら頂戴できればと考えております。私からのご説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
【大坪主査】  それでは論点2・3につきまして、論点1同様、音楽、図画工作・美術・工芸、書道の順に区切らせていただき、先生方のご専門・ご所属などの見地からご意見をいただきたいと考えております。論点2・3につきましても、音楽に関わる意見交換の時間については、齊藤主査代理に進行をお願いしたいと思います。齊藤主査代理、よろしくお願いをいたします。
【齊藤主査代理】  はい、それではお願いいたします。音楽に関わる意見交換について私の方で進行を務めさせていただきます。
 それでは音楽に関わりICT活用の在り方、資質・能力の構造化を踏まえたさらなる検討について、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言をいただければと思います。ご意見のある委員の先生方におかれましては、挙手ボタンを押してご発言をお願いいたします。ご発言はお一人4分程度に収めていただけたらと存じます。それでは皆様いかがでしょうか。
 はい、では原委員お願いいたします。
【原委員】  はい、論点3についてです。
授業作りのプロセスの可視化についてまずお話しさせていただいて、次に教科書の在り方について、大きく2点意見させていただきたいと思います。
 まず授業作りのプロセスの可視化についてなのですが、題材計画作りの参考イメージが45ページと46ページに具体的に示されていまして、大変分かりやすくまとめていただいていると思っています。特に45ページでは先生方が実際に題材計画作りをする際の思考過程が吹き出しで示されている点については、学級担任が音楽の授業をする小学校においては題材計画のイメージが湧きやすいものだと思っています。
 このようにイメージを具体的に示していくことには基本的には賛同いたします。また参考イメージを示すことによって、今回の改訂での主張点を伝えていくことにもなるのではないかと考えます。例えば小学校では歌唱と器楽をまとめて指導事項を示すこととしていますが、46ページの右側の指導と評価の計画において、リコーダーのことで示されていますけれども、例えば歌唱と器楽を合わせた題材計画作りを示すことによって、どのようにすればいいのかということを浸透させられるのではないかと考えています。ここに評価の在り方等も示すことによって、形成的評価と総括的評価の役割についても伝わっていくのではないかと考えています。高次の資質・能力についての理解も表に示すことによって、先生方の理解も深まっていくのではないかと考えます。
 ただこのように具体的に出すことによるデメリットもあるかなと思っています。こうあらねばならないという限定的なものとして捉えてしまう可能性もあるのではないかということを危惧しています。題材計画について、まずは学校や児童生徒の実態に応じたものとして題材計画を行っていく、その考え方としてこうしていけばいいのだというように示していければいいなと考えています。そのためにもどのような内容を示していくのかについては検討が必要ではないでしょうか。
 それで大きく2点目の教科書の在り方についてです。題材計画作りに関わっては、教科書の在り方も大変重要だなと考えています。51ページには示してありますが、現在の教科書も歌唱のみ、器楽のみを別々に取り扱った教材だけではなくて、歌唱と器楽を組み合わせたり、鑑賞と創作を組み合わせたりなど、題材計画ができるように構成されていると考えています。ただなぜそうなっているのかということや、それがその題材でどのような資質・能力を身に付けるのかということについては、なかなか認識しないまま授業が行われているのではないかと考えています。
 また複数の教材を用いて題材計画を立てるような教材の提示においても、その複数の教材がなぜ一つの題材にまとまっているのかという意図が分かるようにすることも必要だなと考えています。その意図というのが高次の資質・能力に基づくものになるのではないかと思います。
 加えまして最後になりますが、基本的には音楽科の教科書では題材構成、題材計画を立てられるような構成とともに、資料集的な扱いのページもありますし、曲集的な役割を持つページもあるのではないかと思っています。その点も必要になってくるし、それらを先生方が選択して柔軟に自分たちの子供の実態や学校の実態に応じて授業作りができるようにする必要もあると考えました。以上でございます。
【齊藤主査代理】  では続きまして、稲委員お願いします。
【稲委員】  はい、よろしくお願いします。まず論点2のICTの活用についてですが、ICTの活用は芸術科にあっても共通の学びの土台をまず作っていくという授業のユニバーサルデザイン化に資するということがあると考えています。その上で今回加えられた思考を広げたり深めたりという部分ですが、これを指導要領全体の方向性に沿って先生方が何をしたらいいのかということが想像しやすいように、協働的な学びと探究的な学びの充実という文言を入れてはどうかという提案をさせていただきます。
 36ページの中学校音楽の一番下の例では、距離や国の違いを超えて世界中の人とつながり、協働的・探究的に学びながら音楽の共通性や固有性について考えることができると思います。世界中の人とつながるということができることがICTの活用の利点かなと思っています。また音楽の歌唱や器楽は演奏がすぐに消えていってしまうという点で、探究的に学ぶっていうこととちょっと難しい部分があると思うのですが、自分や他の人の表現を録音・録画することで留めておいて探究的に学ぶということができるようになってきていると思います。思考を広げたり深めたりという方向性と違うことではないですけれども、全体の方向性と揃えてはどうかと思いました。
 次に論点3についてです。資料の45ページ以降、題材計画作りの参考イメージをお示しくださったことで、新しいデジタル学習指導要領を活用して題材計画を作成するイメージを理解できました。このようにイメージを示していくことという方向性について賛同いたします。46ページのような計画書の内容は、児童生徒の自立的な学習を促す意味、先ほど前半でありました自己調整をしていくという意味では、何らかの形で児童生徒と共有するとともに、児童生徒自身も何ができるようになればよいかを踏まえて、自らの学習の進め方を考えていく必要があると思います。どのように共有していくかということも踏まえて今後の検討をしていきたいと思いました。
 また論点3の教科書の在り方ですが、論点1でもお話ししたのですが、単元ごとでなく年間を通して資質・能力の育成を考えていくことはもちろん今もやらなければならないことですけれども、教科書の流れに沿って進めてきたという先生方にとっては簡単なことではないと思います。51ページの下の四角囲みの中、一つの教材について様々な学習活動で取り扱えるようにするような教科書は、学習計画を地域や子供の実情に合わせて作成できるということで、なんだかワクワクするような気持ちになりました。
 ただこれには専門性も時間も必要であり、いわば自由度が上がるということについてかえって負担に感じる先生もいるだろうなというふうに思います。例えばその学年で指導すべき内容や育成すべき資質・能力を網羅した計画になっているか、漏れはないかチェックできるような仕組み、表なのかわかりませんが、そのような仕組みがあるといいなと思っています。
【齊藤主査代理】  では続いて山下委員お願いいたします。
【山下委員】  よろしくお願いいたします。論点2と論点3についてそれぞれ2点述べさせていただきます。
 まずICT活用についてです。資料1の36ページには、鑑賞曲の速度を変化させて聴き比べ、速度による曲想の変化を確かめることや、ICTで自分の担当するパートの音を消した音源を聴き、パートの役割を考えること、またアプリを活用して実際に音で確かめながら音をつなげたり重ねたりして音楽をつくることなどの例をお示しいただいております。これらはすでに実践が積み重ねられてきており、児童生徒一人一人が自らの興味・関心に基づいて音楽の形を変えたり、試行錯誤して音楽を生み出したりするというものであって、芸術系教科・科目の学習の本質を損なわずにICTの特徴を最大限に生かすことのできる実効性の高い方法であると思っております。
 2点目は評価に資する方法の開発についてです。先ほど論点1のところで述べさせていただいたことと重なりますが、1人1台端末の整備により児童生徒の学習の痕跡をデータとして残すことが以前と比べて容易になりました。この状況を生かして学習指導の省察や総括的な評価の際に、学習状況の根拠として取り出すための方法を編み出すことができれば、先生方の負担を格段に減らすことができると思われ、大いに期待しているところです。
 次に論点3の教科書について申し上げます。資料1の51ページをお願いできますでしょうか。ここに示された教科書の精選等の方向性に賛同いたします。これまでの教科書では個別の資質・能力が着実に身に付くよう様々な工夫が凝らされていましたが、これからは高次の資質・能力の次元から教科書の内容を構造化することにより、学校や児童生徒の実態に即して教材や題材を選択することが可能になると期待しています。
 さらに高等学校の芸術科の教科書には、すでに実現されているものもあるとは思いますが、芸術が生活や社会に果たす役割、芸術を学ぶ意義や価値などについて考える契機となるようなページを設けるというご提案に大賛成です。そうすることにより、年間指導計画を立てる際、芸術科の他の科目と交流する時間を設けたり、舞台芸術や映像メディア等、他の芸術分野を学習する機会を導入したりするという発想が生まれやすくなると考えると、心が躍る思いがいたします。
 最後に高次の資質・能力の内容のイメージについて申し上げます。資料59ページに示された小学校音楽における「思考力、判断力、表現力等」の内容、資質・能力の概略をご覧いただけますでしょうか。第7回ワーキングの同じ資料にはここに〔共通事項〕が掲載されていましたが、今回は削られています。61ページの中学校音楽、63ページの高等学校芸術科音楽も同様です。今後高次の資質・能力等を生かした題材計画作りの考え方に基づいて、記録に残す評価の機会が複数の題材や領域・分野にわたって設定されることを想定いたしますと、領域・分野を関連させる〔共通事項〕を思・判・表の資質・能力として設定することがますます重要になると思われます。内容事項はこのワーキングで決定されるものではないと承知しておりますが、この削除については再度ご検討いただけますとありがたく存じます。
【齊藤主査代理】  では続きまして、水戸委員お願いします。
【水戸委員】  はい、お願いします。私は論点2のICTの利用と、教科書のことについて述べさせていただきたいと思います。ただICTの利用に関しては、もうすでに多くの委員が述べておられるので、重複しないところについてのみ述べさせてもらいたいと思います。
 まず、ICTの利用は、無限の可能性を持っていると思うのですが、とりわけ教育分野において使用するときには、同時に危険性も持っていると思います。なので、次の指導要領の改訂が10年後ということを考えると、その間のテクノロジーの発展とかも見越して、積極利用を推奨するだけではなくて、使用におけるガイドラインにあたるような文言も含む必要があるのではないかと思いました。指導要領に記述する文章なので、基本的にはICTの利用を積極利用することを中心に書くべきだと思いますが、教師が意図した正しい利用から逸脱しないような内容も含む文言があれば良いのではないかと思いました。
 35ページには、ICTの適切な活用が知識・技能の習得や主体的に学習に取り組むことに加えて、思考を広げたり深めたりすることということと、それからICTが用具としての利用にとどまらず、芸術系教科・科目の本質的意義である感性や創造性の涵養に資するという2点が示されてあります。この2つのうち、芸術科目の本質的意義である感性や創造性の涵養っていうことに関しては、ICTのいろんな積極利用が思い浮かぶのですが、もう一つの点である「ICTの適切な活用が思考を広げたり深めたりする」ということに関しては、ICTが非常に役立つと考える一方で、少し悲観的にならざるを得ない点もあります。
 どういうことかと言いますと、ICTの使い方によっては、手間をかけて自分の技能を磨いたり思考を組み立てていく能力を育てるということがかえっておろそかになって、ICTに依存してしまうというような危険性も大きく含んでいると思います。ですので、ICTの積極利用による利点と弊害というのが表裏一体の関係にあるのではないかと思いました。
 それから教科書の利用に関しても、委員の先生方がおっしゃったことに私も賛同します。今回、教科書の内容を精選していくということが一つの方向性として打ち出されましたが、今ある内容がどんどん減っていくっていうことに関しては、かなり危惧を持っています。どういうことかというと、これも委員の先生から出たのですが、教科書の内容を授業で全部やらないにしても、教科書には資料としての情報が非常に多く含まれていると思います。ですから、これから生涯にわたって音楽を引き続きずっと学んでいくという観点からは、学校を卒業してからも生徒が授業では扱わなかった教材を見るとか、教科書に書いてあるいろんな解説とかを読むという意味で内容が豊富なのは意味あることであると思います。そういった意味で、今の教科書の内容がどんどん減らされていくことに関しては少し危惧を持ちます。
 教科書の役割は校種によって違うとは思うのですが、例えば今の高校の音楽の教科書を見ると本当に豊富な内容が含まれていて、見ていてワクワクするような内容があります。内容を精選するという方向と同時に、今回の提案にもあるように、教師が必ずしも教科書の内容を全部やらなくて良いということが分かるような構成にすると、今までの豊富な内容を保ちつつ使いやすい教科書になっていくのではないかと思います。
【齊藤主査代理】  では山内委員。
【山内委員】  では私の方から、論点2、論点3についてお話をしたいと思います。
 まず論点2のICTの活用ですけれども、やはり音楽としては、身体性というものを重視していくということが大前提にあるだろうと思いますが、その中で、ICTをどのように思考・判断・表現を深めていく、あるいは深い学びにつなげていくときに活用できるかということは、今後も引き続き研究を進めていくことが必要だろうと思っています。その上で芸術科として、他教科の授業などを学校現場で見ていますと大事になってくるのが著作権や知的財産権の指導に関することで、実感を伴って、子供たちがいわゆるSNS等、様々に使っている中で音楽、芸術に関するコンテンツに接していることがとても多いので、その発信も含めて、この辺りは教科等できちんと指導していくことは引き続き大事だろうというふうに思っているところです。それが1点です。
 論点3については、プロセスの可視化のところで46ページになるでしょうか。今回、小学校音楽科の題材計画書のイメージをご提示いただいたところですけれども、1番として題材名があって、2番教科の見方・考え方、3番高次の資質・能力というふうに順々に載っていますけれども、これまでの学習指導案のイメージですと、題材名の次に5番に掲載されている「題材の目標、評価規準」があったなというふうに思っていて、このところについては今後、学校で創造的な授業をどうつくっていくかという観点から、2、3、4については国の方で示されているものを引っ張ってくるというイメージは分かるんですけれども、先生方がやはり題材の目標、評価規準を、きちんと子供たちの実態に合った形で上にきちんと置いていくということが題材名との関連から非常に強いんだろうと思っています。その辺りの見せ方については今後引き続きご検討いただければと思っています。
 最後に教科書に関することですが51ページになりますけれども、先ほど水戸委員の方からもございましたが、教科書の精選について、私も、高校の教科書は非常に豊富な資料があって、見ていて内容が深いものもございますので、高校については現状の方がいいのかなというところでございます。これについては、他教科との関連であったり、探究的な学びの充実であったりと、他教科の学習との関連性を意識させる上でも、教科横断的にも使えるということもございます。特に西洋音楽史で言いますと、例えば世界史等との関連であるとか、そういうところが非常に密接に結びついて子供たちの中で一つに融合していくという場合がございますので、そのような観点からも、精選の方向としては意味は分かるのですけれども、教師としての資料、あとは生徒が自分から学んでいく、自ら学んでいくときの手がかりとして、教科書があるということは非常に重要なのではないかと思っているところです。以上でございます。
【齊藤主査代理】  論点2と論点3につきまして、今回事務局から丁寧にご提案いただきましてありがとうございます。私の方から2点ほどですけれども、35ページのところをお願いいたします。
 ICTの活用ということで、今後さらにICTの活用が進むと同時に、今回お書きいただいた上の方から見ていくと米印のとこで「ICTの適切な活用においては生成AIを含むこととする」に関わり、生成AIがこれから先かなり急激に、ここ数年でひょっとしたらAGIの時代を迎えるかもしれないと言われています。そうしますとこれまでの私たちのいわゆる価値観というものが大きく変わらざるを得ないというそういう社会になっていく可能性もあるわけですよね。逆に言うと人間でしかできないこの芸術教育における重要さが増すとも思いますので、その辺りを表に出していくと同時に、あとはその価値観が変わったときにも対応できるような柔軟さ、これからの時代にAGIの時代にも対応できるような柔軟さを持っていないと、また逆に取り残される可能性もあるので、その時代時代の子供たちにとってどういう芸術教育が望ましいかというその柔軟さをどこかに文としても入れておきたいなと感じております。
 それと、論点3の関係で59ページ以降のところですが、今回はあまり時間も取れないところで前回からの続きではあるんですけれども、高次の資質・能力の表し方について何回も論議を重ねてきているわけですが、ある程度他の教科も高次の資質・能力が示されていましたので、私も他の教科どうなのかなとちょっと見させていただきました。それで考えたときに芸術の中で音楽のところもそうですけれども、高次の資質・能力を見たときにやや複雑な雰囲気を醸し出している文章表現かなという印象を受けました。他の教科の方は例えば小学校ですと、一応小学校の先生を想定して読んで、なるほどなと分かる内容となってるような気がするのですが、丁寧に示すことの重要さとともに、一見したときに、これは高次の資質・能力として芸術、そして音楽で大事なところを述べているなというポイントが示せるとさらにいいなという感想であります。いろいろご検討いただいてる中で、さらにより良いものができたらと思っております。
 それでは進行の方を大坪主査に戻したいと思います。お願いいたします。
【大坪主査】  齊藤主査代理ありがとうございました。続きまして、図画工作・美術・工芸に関わりICT活用の在り方、資質・能力の構造化を踏まえたさらなる検討につきまして、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言いただければと思います。
 ご意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人4分程度を目安にご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 はい、それではまずは廣田委員、お願いをいたします。
【廣田委員】  はい、失礼いたします。まず、論点2の方から申し上げます。資料35ページに示されております「ICTの適切な活用が知識・技能の習得や主体的に学習に取り組むことに加えて、思考を広げたり深めたりすることにつながるようにしていく」ということについて、私もこれについては賛成でございます。思考を広げたり深めたりするということ、特に発想や構想の表したいことを見付けるといった部分については、図画工作科においては、その後の活動に影響する大事な部分かなと考えていますので、ICTを活用して、例えば「自分と材料や場所」の区分、造形遊びの区分では活動を行う場所やそれから材料について考えたことを共同編集のソフトやアプリを使って共有したり、「自分と表したいこと」の区分、絵や立体、工作では、児童一人一人の発想や構想を共有したりするということにつながるのではないかと考えています。また、これは鑑賞の活動においても同じことが言えるのではないかと感じています。こういったことは以前にも申し上げた多様性の包摂につながるのではないかと考えております。
 続いて論点3についてでございますが、47ページそれから48ページに参考のイメージを示していただいて、非常に分かりやすくイメージすることができるのではないかと考えています。特に現場で経験が浅い先生方にこのイメージというものが共有できることは大変有意義なことではないかと感じております。特に48ページの参考イメージのように、特別部会でもありましたように題材の目標と評価規準が一体になっていたり、これまでにもありましたが評価の場面と評価の方法を明確にするといったことは形成的な評価にもつながっていく非常に重要なところではないかというふうに考えております。
 最後に65ページのところでございますが、高次の資質・能力、新たに変更点を示していただきましてありがとうございます。特にこの思考力、判断力、表現力等の中の「気付きを生かして」という言葉が新たに加わったかなというふうに思いますが、この気付きというものがどういったものなのか、丁寧に説明していかなければいけない部分ではないかと感じました。私からは以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。続きまして新井委員、お願いをいたします。
【新井委員】  はい、それでは35ページをお願いします。先ほど音楽の先生からもありましたように、5行目あたりに書いてある注意書きの小さな文字にあるように、ICTを活用する中でAIとの関係を考慮する必要があるかなというふうに考えています。AIは人間の能力の増幅装置という見方があって、能力の高い児童生徒はAIと自分自身の関係を俯瞰的に捉えて双方向的に高めていくことが可能なのですが、一方で身体的な体験基盤が少ない児童生徒はAIがもし間違っていたら、その間違った回答を自らの体験に基づいて判断することが不可能で、AIの回答が間違っている場合には、その回答を受け入れることはその子自身の中の混乱をさらに増幅することになります。このため身体をもとにした体験活動は大変重要で、案の方向性には賛同をします。
 しかしながら、37ページをお願いします。この中で、今述べた観点で改善の方向性案の中の「その際に」のあたりに、「身体性を基本とする体験活動とのバランスを取ること」といった文言を入れるべきかなと考えています。
 続いて論点3ですが、48ページで、新たな題材計画書というイメージが出てきたわけですけれども、新規性が高くて私はちょっと理解しづらいなと感じました。学校の先生方は授業を構想していくのに、学習指導案を基本としたフォーマットの方が分かりやすいのではないかという点では、山内委員と同じ意見です。で、学習指導案は単元、単元名、単元の目標、単元の評価規準、単元設定の理由等々がこう並ぶのが通常ですけれども、今回の一連の議論の中で提案されている新たな概念、学習指導案の中の授業の目標だとか、単元設定の理由の中の教材題材観、児童生徒観、指導観に落とし込めるのではないかなというふうに考えています。そのため特に、右側の記述については、現行に使っている学習指導案に基づいた検討をしていただいた方が、現場の先生には分かりやすいのではないかなと考えています。
 51ページをお願いします。四角の枠内に「鑑賞の技能」と呼べるものが出てきました。鑑賞の技能についてはこの十数年の中で、例えばハーバード大学のプロジェクト・ゼロの鑑賞のエントリーポイントとしての「5つの窓」であったり、ニューヨーク近代美術館の対話型鑑賞法「ビジュアル・シンキング・ストラテジーズ」などであったりが一般化されるようになってきています。その点でこの四角枠内の、造形的な特徴、造形の要素などのいわゆる鑑賞対象の属性といったものとともに、鑑賞者の思考判断を引き出せる、もう少し具体的な内容にも踏み込んだ方が分かりやすいのではないかなと考えている次第です。私からは以上です。
【大坪主査】  はい、ありがとうございました。それでは続きまして小池委員、お願いをいたします。
【小池委員】  はい、ありがとうございます。まず論点2、35ページですけれども、概ね私も賛成をいたしますが、やはりポイントとなるの2行目ですかね、「身体性を基本とする人間の本来な能力としての技能が重要であることが前提」なのだということが、ICTの活用関連して非常に大事なのかなと思っております。
 まず図工・美術科においては、タブレット端末等のICTの活用については、すでに児童生徒が違和感なく普通に端末に接していること、日常に静止画や動画が多く存在していて、見慣れていることから、表現・鑑賞の活動を充実させるツールとして使用し、資質・能力の育成につながることは可能だと思われます。そういった意味で37ページにある中学校、例えば中学校美術の例ですけれども、ポスターやアニメーション等の表現の活動等、美術作品の鑑賞、さらに表現活動を支えるような振り返る活動における鑑賞の活動などでの使用についても、教科の目標にあった使用方法は可能だと考えております。
 一方委員の先生方からご指摘がありました通り、やはり一方で生成AI等の技術の進歩が非常に目覚ましく、今後どのようになっていくのかというのは予測を超えていくことも十分考えられますので、何を使って何を使わないのか、どのように活用するのか活用しないのかといったところを明確に何らかの方法や方針等を示していくことが必要なのではないかなと思っています。生成AIの運用等について一定の期間内に条件の設定を確認すること等の手間が、今後必要になってくるのではないかなと思います。それから著作権や肖像権、あと倫理的な問題については、やはり各教科等でも非常に重要になってくると思います。特に図工美術に関しては映像等を扱うということもありますので、その辺は非常に大事なことなのかなと思っております。
 次に論点3ですけれども、例えば中学校ですと47ページにあります通り、題材計画書、やはり高次の資質・能力を生かすためにそれを見やすくしていく、それから48ページ、その辺が非常に大事なことになってくるかと思います。例えば国際バカロレアのユニットプランナーもコンセプトとか探究のテーマ等が冒頭に簡潔に述べられている例もあります。今回示した案では見方・考え方、高次の資質・能力を明確にして、児童生徒にどのような力を身に付けさせたいのかということを示し先生方が十分理解するという意味で有効だと考えます。ただ先ほどの新井委員のお話の通り今までのいわゆる学習指導案とかなりこう内容が変わってくる面もあると思いますので、この辺は従来から示されているような一般的な学習指導案との関連性等を十分説明をしていく必要があるのかなと思います。
 続きまして教科書ですが51ページで見ていただくと四角の下の囲みですけれども三つのポツがありますが、それぞれその通りかなと思います。構造上の工夫をしていくこと、高次の資質・能力を踏まえた上で授業を行っていくのだというようなことを教科書でもしっかりと示す必要があると思います。それから2つ目のポツにある鑑賞について、今回鑑賞の技能ということが出てきておりますので、それを教科書でどのようにそれを扱っていくのかというようなことをしっかりと示していく必要があるのかなと思います。3つ目のポツについても芸術が全体で高等学校において芸術というものはどのようなことかということを冒頭または最後等で示していくというようなことは意義があるのかなと思っております。私からは以上です。
【大坪主査】  続きまして道越委員お願いをいたします。
【道越委員】  はいお願いいたします。論点2の方でまずお願いいたします。ICTの活用の在り方についてですけれども、今回37ページに活用のイメージが具体的に示されておりましてありがとうございます。私も特に鑑賞の授業でICTを活用してきましたけれども、比較する、それから部分と全体見比べる、複数ある作品を画面上で分ける、さらに子供が自分の見方や感じ方を仲間と共有することも非常に有効だったと思います。子供が鑑賞の技能を身に付けることにICTが有効であるのではないかなと思います。さらにビデオ通話などで遠方の方、それから海外の方、あるいは作家さんとも繋がることができる、そういった魅力もあります。ICTを活用することで子供の思考が広がったり、子供の心が動かされたりするということが重要だと考えております。
 また表現の授業についてですけれども、もちろん何度も試せるですとか、自分の頭の中でのイメージを何度も消したり書いたり組み合わせたり切り取ったり、紙の上でこれまで時間をかけながらやっていたことを端末上で行うことで題材全体にかける時間を短縮することができると思いますし、子供の思考の過程は消えてしまうものですけれども残しておける、そういった意味では子供自身が自分の思考の過程を理解することについても利点だと思います。美術科と他教科との連携においてもICT活用は重要であって、プレゼン作成、パンフレットデザイン等美術で学んだ技能を生かせる場面が多いのかなと思います。
 このようにICTを活用することが子供の図工美術で育成を目指す資質・能力を発揮するためにそれが効果的であるということが大事である、そしてそのことは、これまでもずっと言われてきたことでございます。ただこれだけのスピードでこういったものが進化している時代で子供たちはもちろん自分のスマートフォンですとか端末で写真を撮ったりイラストを書いたり加工したりすることも当たり前なので、授業でなくても多くの子供たちがやっていることなのかもしれない。そう考えますと今の子供たちに足りない経験ですとか全ての子供たちに体験させたい、そういうことが、先ほどおっしゃっていた先生がいらっしゃいましたけど、明確にしていかねばならないと思います。
 例えば粘土の授業をやった時に、子供の心が解放され、無心で粘土を指先で粘土をこねて、指でつまんでいた姿が非常に印象に残っています。頭で考えているだけではなくて、体が感じている、触って感じる、匂いを嗅ぐ、音を聞き分ける、そういった体の諸感覚を通した実感的な理解、資質・能力を引き出すことに多くの時間を費やしたいと思っております。しかし、年間35時間しかない美術の大事な時間の中で子供をどのように育成したいのか、そちらを明確にしてICTも有効的に活用してまいりたいなと思ったところでございます。
 論点3のことについて少しお願いいたします。65ページに今回図画工作科の区分のところが新しくなっているなと思いました。子供の思考の方向性がより分かりやすくなっていると感じました。改めて区分という視点で中学校美術を見た時に67ページですけれども、「自分と美術」、そして「身近な生活や社会と美術」という文言で、細かいことで申し訳ないですけれども、「自分と美術」ですので「生活や社会と美術」というふうに短くしてもいいのではないかな、「身近な」ということはなくてもいいのかなと改めて区分のところで感じました。以上でございます。
【大坪主査】  それでは次に大泉委員お願いをいたします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。まず35ページのICT活用の在り方についてあまり具体的なことではなくて恐縮ですが、他の先生方が色々おっしゃっていただきましたので、私からは図画工作・美術科に関わる大きな要件として考えておきたいことを三つ申し上げたいと思います。
 まず先ほど来からご指摘が続いている生成AIとの関わりを無視できないということです。ただ生成AIに関してはどこまで言及すべきなのかについては現段階では悩ましいと思われますので、現実的な方策としてはこれまでも議論してまいりました芸術教科独自の育成を目指す創造性とはどのようなものなのか、そしてそれをどのように育成するのかということを学習指導要領で明確に示していくことが現実的なのかなと思っています。
 続いて35ページの改善の方向性案で示されております「知的財産の保護と活用に関する指導のさらなる充実を図る」ということは私も重要であると考えます。と同時にそのためにはその指導の内容や方法に関して先生方の研修の機会のより一層の充実が必要なのではないかと、大事なのは分かるけれどもどのような指導が必要なのかということについての充実が必要と思っております。また今回の議論の範疇外だとは思われるのですけれども、中学校の情報・技術科でのICTの扱いとの関連を精査する必要はどうなっているのかということが気になりました。すでに連携はされているとは思いますけれども、情報・技術科では情報技術の活用や適切な取り扱い、特性の理解の観点から大幅な充実を行うとされていますので、それとの関連の精査が必要というふうに思いました。
 続いて論点3について申し上げます。44ページをお願いいたします。やはり構造化を単元・授業づくりに生かすプロセスの可視化ということについては非常に重要だと思っておりまして、45ページ以降のような題材計画づくりの参考イメージを示すことは現場の先生方にとっては便利なサポートになると私も思っています。一方で、例えば48ページの中学校美術科の題材計画書のイメージなのですが、先ほど来、今までの学習指導案のイメージとだいぶ異なるというご意見があったのですが、私はむしろ,従来の学習指導案のイメージのままだと感じます。このことは、51ページの下の方の四角囲みに、教科書の構成上の充実として示されている、「創意工夫を生かして柔軟に授業づくりができるようにする構成上の工夫」ということと、ある意味矛盾するのかなと思いましたので、便利なサポートとして機能させるために基本を踏みながらも、さらに先生方の授業デザインに対して創造的なイメージを促してもいいのかな思いました。ですので、一定のフォーマットだけではなくて、多様な例を示すなども考えられるかなと思いました。
 続いて51ページの教科書の在り方のさらなる検討についてですが、まず下半分に示されております、「掲載されている教材等を全て指導しなければならないということではなく」ということについてですが、すでにご意見ありましたけれども、図画工作・美術科の現行の教科書では,すでに掲載されている題材から先生方が選択的に扱う構成になっているのではないかと思います。ですので、ここではさらに、児童生徒の実態や学校の実態に応じて柔軟に教科書を使うことを促すような工夫を行っていくことが必要であるというようなメッセージと捉えております。
 最後に、58ページ以降に掲載されています、高次の資質・能力に関してですが、そのうち先ほどお話もありました65ページの、図画工作科の区分について申し上げます。これまで区分の定義を少なくとも芸術教科の中では共有していただきたいと考えてきましたが、今回図画工作・美術科では学びの方向性として整理していただいたのかなと思っております。このことは非常に重要で、現行の学習指導要領ではご存知の通り、「造形遊びの活動」「絵や立体、工作に表す活動」というコンテンツを思考・判断・表現力、技能というコンピテンシーで整理したことは周知の通りです。ですので、今皆様がご覧になっている表形式の構造においても、区分がコンテンツベースの見出しで示されていると、整理が逆行したのではないかと思われてしまう危惧がありましたので、今回区分を学びの方向性というコンピテンシーベースで示していただいたことに個人的には安堵しております。以上です。
【大坪主査】  それでは、佐藤委員、お願いをいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。私からは論点2の、芸術系の教科の、特にICTの活用の鑑賞のところのみお話しさせていただければと思っています。
 37ページの改善の方向性の一番下のところですけれども、「鑑賞の活動においては、多様な見方や感じ方に触れたり、それらを深めたりする学びを支えるため、ICTの効果的な活用を一層工夫していくこと」とあります。この「一層工夫していくこと」の中身について、現状どんなような問題があって、どういうふうに改善していったらいいのかを明確にして、下の活用イメージに、示す必要があるのではないかと思います。活用イメージの【鑑賞】には、拡大縮小したり、並べて比較したりして、とありますが、効果的な活用とするための具体的な記載が必要ではないかと思います。
34ページには、ICT活用が「資質・能力の育成のための効果的な活用に至っていないという課題がある」とあります。これまで参観したいくつかの授業でも、ICTを使うことで見方や感じ方が深まったと言えないものも残念ながらありました。原因として、例えばICTを使うことで作品の細部や部分を見ることに注力してしまいすぎること、子供たちの意見や感想を教師のイメージしたストーリーに沿うように並べることで授業が進んでいってしまうことなどがあると思います。とてもスムーズに授業は流れますが、鑑賞が深まったと言えるのか、子どもたちが感じたことを教師が受け取れているのかという点では、疑問が残ると感じました。
 本来鑑賞が深まっていくためには、現行の学習指導要領の〔共通事項〕の「イ」にあるように、作品を全体のイメージで捉えるということが不可欠です。ICTの活用として、意見や感想を打ち込んで、それを共有して読み合うという場面を見ることも少なくありませんが、本来はそれぞれの生徒が全体をじっくり見て、自分の経験やこれまでの学びとつなげて考え、友達と直接ことばを交わす中で思考を深めていく、作品を味わうことが大切なのではないかと思います。
 第6回のワーキングで、当館が活用しているウォークビューというデジタル鑑賞教材をご紹介したのですが、これは画面を9枚のレイヤーにして、人の動きに反応して近景から遠景へ絵の中に入っていくような感覚で鑑賞するものです。このシステムでも部分を拡大し、没入感を感じてもらいながら鑑賞を進めますが、途中で必ず全体を見る活動を入れます。全体の画面に戻して、例えば、今の部分がとか、全体の画面の中でどういう役割を果たしているのかとか、作家はどうしてここにこういうものを描き込んだのかなどを確認するためです。この全体と細部を見ることの行き来はとても大事な活動だと思います。
 37ページの活用イメージのところに、鑑賞鑑賞する子供たちの姿をイメージできるような言葉が少し入ることで、先生方にも伝わりやすくなるのではないかと思いました。ICTを使うことによって、使うこと」が目的になり、授業のねらいが損なわれることがないように、具体的に示していくことが必要ではないかと思います。私からは以上です。
【大坪主査】  それでは次に、藤井委員、お願いをいたします。
【藤井委員】  はい、ありがとうございます。私も、本日の資料35ページにあります、「芸術系教科・科目におけるICT活用の在り方の改善の方向性案」は非常に重要なことだと思い、賛成です。
 具体的な授業の活用のイメージを37ページにお示しくださっていますが、ICTを表現に活用することで、他者とのアイデアの共有や同時編集、それから他者の視点を取り入れて多角的に思考すること、思考のプロセスの可視化など、ICTならではの学習が可能になると思います。
 加えて、子供たちの発達の段階に応じて知的財産権の保護や活用に関する指導のさらなる充実を図るという観点、情報活用能力の育成、感性や創造性の涵養に資するという観点から、テクノロジー、情報メディアを用いて表現された現代美術作品の鑑賞を取り入れ、テクノロジーの観点からも子供たちに創作活動について深く考えさせるという視点も大切だと思います。作家の意図やテクノロジーの効果、また創作の過程について、グループワークなどで探究させて、子供たち自身にICTの効果的な活用について考えさせるということは、今後の学習の在り方として重要ではないかと思います。
 これまでの意見は論点2についてですけれども、論点3は教科書の在り方の更なる検討についてということで、本日の資料では51ページにお示しくださっている内容について少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 現在の教科書は、子供が表現者であると同時に鑑賞者として学習するといったコンセプトから内容が構成されていると思います。先ほど大泉委員がおっしゃっておりましたが、内容の精選という観点、また形成的評価の充実という観点、そして今回の高次の資質・能力等を生かした題材計画作りという観点からも、一つの大きなテーマ、ビッグアイデアに基づいた単元をいくつか設定するという構成に再構成することができるのではないかと思います。
 本日の資料65ページから72ページにお示しくださっている学習内容の区分に合わせた単元をいくつか作成し、その単元の中に表現者と鑑賞者としての学びを相互に組み合わせた、視点の相互転換による学びの深まりができる構成を取り入れるという考え方もあるのではないかと思います。本日の資料の47、48ページに、具体例として「心の中の世界を描く ドライポイントの表現方法を生かして」という中学校美術の版画の学習内容をお示し下さっており、総時間数は8時間と計画されています。学習内容の区分に合わせて、このような絵画の学習内容や彫刻、工芸、映像メディア表現、鑑賞の学習内容を取り入れた一つの単元に再構成を行うことも考えられると思いました。
【大坪主査】  はい、ありがとうございました。それでは次に、森委員お願いをいたします。
【森委員】  はい、よろしくお願いいたします。私の方からは論点2のICTの活用に絞って提案をさせていただきたいと思います。
 35ページのところですけれども、改善の方向の2段目にあります、「ICTが用具としての利用にとどまらず、芸術系教科・科目の本質的意義である感性や創造性の涵養に資する」という点につきまして、非常に重要な指摘であると思います。ただ、やや具体性に欠けるというふうに思いましたので、補足的な意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、ICT活用の前提として、多くの先生方が述べられているように、様々な活用方法があるとは思うのですけれども、ひとまず絵画とか彫刻のような自らの手による創作という場合と、写真とか映像などのメディアを用いた創作ということでは、ICT活用の在り方が根本的に異なると思います。これまでの美術教育の中心は、言うまでもなく自らの手による創作を行うケースがほとんどですけれども、この場合のICT活用というのは、作品の完成イメージをシミュレーションしたりとか、作品を記録してアーカイブ化したりだとか、あるいは作品の記録を共有して意見交換を行うとか、創作活動を支える補助的なツールとして利便性があるというふうに思います。ただし、自らの手による創作においては、身体に根ざした技能とか、物質としての素材との関わりにこそ創造性の核心があるわけですから、ICTはあくまでも補助的なツールとして位置づけられるものだと考えます。
 一方で、メディアを用いた創作では、ICTが創作を実質的に可能とする技術的な基盤となります。特に映像系作品の創作においては、スマートフォンとかタブレットなどの情報端末にカメラだとか編集ソフトなどが搭載されたことによって、誰にとってもアプローチ可能な極めて身近なツールになりました。こうしたツールがメディアを用いた創作の前提条件として必要不可欠であることは言うまでもありません。
 ただし、美術教育においてより本質的で意味があるなと思うのは、結局作り手が何を伝えたいのかという表現内容に関わるWhatの部分と、そのためにどのように表現するべきかという表現形式に関わるHowについて思考し葛藤しながら実行することだと考えます。
 例えば映画を制作する場合、脚本段階において主題とか関心、伝えたい内容をセリフだとか出来事に託すとともに、シーン構成によって時間の編成を行います。撮影の段階においては、画面サイズとかカメラアングルなどの選択によって、伝えたい感覚や感情の表現を模索します。また、カットのつなぎの順番によっては、新たな意味を生成するということもあります。こうしたメディアの技術に結びついた映画表現固有の形式の探求というのが、映画の時間、あるいは映画の世界を生成させるための創造の核心でありまして、作り手の思考や感性を育む重要な契機にもなると考えています。で、これは映画以外でも映像メディア系の表現である、例えばアニメーションとかドキュメンタリーとかプロモーション映像、ビデオアート、映像インスタレーションなどにも共通する重要な観点かと思います。
 さらに、ICTが表現における形式特性とダイレクトに結びついているというケースもあります。プレイヤーのアクションによって状況が変化するゲーム作品とか、あるいは鑑賞者の参加を前提とするメディアアート作品などがそういったケースに当たります。こうしたプレイヤーとか鑑賞者の行為に反応するインタラクティブな形式というのは、ICT特有のコンピュータープログラムとして記述されたアルゴリズム、あるいはセンサー等のハードウェア技術の組み合わせによるものです。実現するためには、美術科だけではなくて情報科、技術科などの教育、場合によっては音楽科とのコンビネーション、そういうことが欠かせません。
 近い将来はこうした他教科との連携を含めたアプローチが非常に重要になるかと思いますけれども、一方で美術教育という立場においては、先ほどの映画表現の例と同じく表現内容の検討と表現形式の模索、ここの試行錯誤にやはり意義があるということには変わりありません。この点こそ芸術系教育の本質的意義である感性とか創造性の涵養に資すると考えます。その点改めて確認をしておきたいなというふうに思いました。私の方から以上です。
【大坪主査】  はい、ありがとうございました。それでは次に書道に関わりICT活用の在り方、資質・能力の構造化を踏まえたさらなる検討について、委員の皆様のご専門・ご所属などの見地からご発言をいただければと思います。ご意見のある方は挙手ボタンを押してお一人4分程度を目安にご発言をお願いいたします。書道の委員の先生方いかがでしょうか。
 はい、加藤眞太朗委員、お願いをいたします。
【加藤眞太朗委員】  よろしくお願いいたします。私からはまず論点2についてお話をさせていただきます。38ページをお願いします。
 ICTを活用することで書の学びがどのように充実したものになるかについては、高等学校教育現場での書道教育の中でこれまで積極的な活用をしながら研究・実践が進められてきています。生徒が自らの学習履歴を保存し活用する際、情報の種類や量に左右されることのないICTは適していると考えています。
 例えば、運筆や用筆の動画を繰り返してみたり比較したりすることで、運筆や用筆の違いに気づくことができますし、高精細な画像を拡大して作品を鑑賞できることは、印刷や写真を鑑賞するよりも臨場感が増します。これは表の右側にある一番下の黒丸で触れられている、書の特性としての「一回性や呼吸、空間意識」の理解に役立てることができます。
 また、ワークシートを例えばExcelなどのアプリで作成し、シートを生徒の人数分複製したファイルを共有します。その後、生徒にそれぞれのシートに学習成果を書き込むようにすることで、テキストや画像、動画等多様で多量の情報を記録することができるだけでなく、言葉で説明しようと長くなりがちなことも画像に書き込むことで簡単にかつ分かりやすく図示することができます。
 こうしたことがリアルタイムで参照できるため、2つ目の黒丸で触れられている「生徒自身の学びを個人内で調整する」だけでなく、シートを切り替えることで他の生徒がどのような学びを現在行っているかまで参照することができますから、生徒は他者の学びも参考にしながら自身の学びを調整することができます。また、教師にとっても生徒の学習成果をリアルタイムで確認することができるようになります。
 このことは、ワークシートに何を記入したらいいか分からないと戸惑う生徒にとっても有効で、学習進度の速い生徒のワークシートを参照し自らの学習の見通しを立てたり、教師が適切なタイミングで指導・助言を行ったりすることができるようになります。このように学習環境を整えることで、表の1つ目の黒丸にある「個別最適で多様な学びを実現する」ことにつながると考えます。
 さらに、デジタル学習基盤の有効な活用方法として検索機能が上げられます。生徒の学習成果をデジタル化しクラウドに保存することで、瞬時に自己や他者の学習成果を抽出し表示することができます。例えば、自分は作品を見て「あたたかい」と感じたが、同じ感じ方をしている生徒は他にいないかどうか、そしてその作品のどこを見てそのように感じているのかについて、「あたたかい」という語を検索機能にかけることで抽出し、その学習成果を参照することができます。またその逆の使い方も有効で、自分は「あたたかい」と感じたが他の生徒は違うことを感じていることに気付き、その根拠を構成する要素に基づいて考え理解していくことは、2つ目の黒丸にある多様な技能を習熟・習得することや、多様な見方や考え方に基づく作品理解へとつながり、豊かに構想を工夫し表現することにつながります。このように全ての生徒に対し求められる資質・能力を確実に身に付けさせることができるのではないかと考えられますし、このワーキンググループでも話題として上げられている多様性の包摂につながるものでもあると考えます。
 AIの活用についてはもうすでにいくつか触れられていますけれども、AIは一つにまとめられたデータだけでなく、既習の単元の学習成果や他教科の学習成果、さらにはインターネット上にある膨大な情報の中から関連する情報を即座に抽出し、それらの情報の繋がりを提示してくれます。こうした情報の繋がりを自ら考えて判断していくことは、3つ目の黒丸にあります書の美の多様さや書の伝統と文化への理解を深めてくれるものだと思いますし、AIの登場によって今後は書道の学びが単元や教科内にとどまらず幅広く深いものになるだろうと感じています。
 続いて論点3に移ります。50ページをお願いします。今回、単元・題材の計画書のイメージが示されました。学習指導案の様式は地域や学校、教科・科目によって多様に存在し、一体何をどのように書いたらいいのか分からないという声を聞くことがあります。また、作成にかかる労力や時間が多大で負担に感じるという声も聞くことがあります。そのような中にあって、必要最低限の事柄が示されることについては好意的に受け止めていますが、教師が授業を構想する上で、その教師なりの工夫の余地があるものにしていただきたいと思います。このことについては原委員や大泉委員が触れられたことと同じです。
 また右側の「指導と評価の計画」について、現在の参考イメージでは学習活動が一定の流れに沿って進むように示されていますが、個別最適な学びが推進されている中で生徒が自らの学習順序や学習方法を考え、それぞれのペースで学習を進めようとする際に、従来の学習指導案の様式に囚われない新しい様式も必要なのではないかと考えています。これについては他の教科や科目での個別最適な学びに即した学習指導案の作成事例等を紹介していただき、より良い示し方を考えていくことも必要であろうと考えています。私からは以上になります。
【大坪主査】  それでは加藤泰弘委員、お願いいたします。
【加藤泰弘委員】  はい、失礼いたします。まず論点2についてです。芸術系教科・科目の本質的意義である感性、創造性、身体性という、よりそういうところを際立たせて、生徒が実感的に学習できるような活用を見出していく必要があると考えており、効果的な、より具体的な活用事例を今後提示していくことが重要であると思っております。
 38ページに書道の具体的なイメージが示されております。デジタルアーカイブが3つ目に示されておりますけども、この部分については存在は知られているのですけども、なかなか現場では活用されていないという実態がありますので、どのようにそれを活用していったらいいのかということについて、より具体的な事例が示されていく必要があると思っております。実際、美術館、博物館で鑑賞することと、そういったデジタルで鑑賞することの差異、臨場感等の差異などについても考えていくべきではないかと思っております。
 また書の表現というのは筆の動きが紙面に定着したものであり、時間性、運動性を持つという特質があります。それに加え、実際はその空中での筆の動き、あるいは上下運動や速度、紙に対する筆の角度やまた呼吸、そういったものが一体となって表現されるということがありますので、デジタル技術の発達によってその筆そのものの動きをより精細な映像でより立体的に提示していくような手法などが開発されるといい思っております。
 また書の鑑賞の場合、この書の鑑賞をどうしていったらいいのかということがよく言われますけれども、書の鑑賞が美術の鑑賞とは異なり、全体を直感的に捉え、その後部分の筆の動きを作者が書いた通りに追体験していくという方法で鑑賞していくのですけども、その鑑賞者の視線の動きをICTを活用して何か示していくような方法はないかなというようなことも考えている次第でございます。以上が論点2でございます。
 論点3につきましては、このための学習指導要領の構造化、表形式化、デジタル化を活用して、学習指導要領と単元の指導計画の作成の関係性を分かりやすく示していくという方向性はとても良いのではないかと思います。芸術科書道においては研究団体等で学習指導案作成のための参考フォーマットなどもすでに作成されておりますが、なかなか現場では日常的に現場の教員が全ての単元で学習指導案を細かく作成するということに至ってないという課題があります。
 49ページ、50ページ、書道の参考イメージが示されておりますが、このような計画例が逆に簡便で作成が可能であるという点ではいいのですけれども、一方、その芸術科教員の持つ授業のアイデアであるとか、そういったことが大切ですので、授業計画の画一化にならないような配慮も必要であるのではないかと考えております。
 あと、これまで50ページに単元の目標・評価規準等を示していただいておりますけれども、これまではその「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」で示し、よくこの関係で観点では知識・技能、と思考・判断・表現という示してきた経緯がありまして、その辺りの整理をより明確にしていく必要が、書道ではこれを割とはっきりと分けてきましたので、その整理が必要ではないかな、現場が混乱しないようにしたいなというところでございます。
 また51ページをお願いしたいと思います。高等学校において芸術そのものを学ぶ機会に資するよう、見返しなどに示すというようなことが3つ目の、四角囲みの3つ目に示されておりますけれども、この部分ですが、その芸術科の各科目の学習のその初期の段階と、全体のまとめの段階で、活用できるようなイメージ、見方・考え方がどのようにこう深まっていったのかということを初期とまとめの両方で活用できるようなイメージの記載があるといいのかなと思いました。以上でございます。
【大坪主査】  本日は論点1、2、3とあり多岐に渡っておりましたので、各委員の先生方からたくさんのご意見をいただいて、もう終わりの時間に近づいております。本来ならここでもう一度全体を通して、ご発言を再度お願いしたいところでございますが、時間がございませんので、今日はここで先生方からのご意見の聴取は終わりにしたいと思います。
 私の方からまとめということでは、今回論点も多かったこともあり、様々な視点から、例えば「見取る姿」のイメージに関しましても、多様なご意見いただきました。それらに関しては、今後各教科のワーキンググループから総則・評価特別部会の方に上がってきますので、そこでもう一度ご議論を深めていただくよう期待するところでございます。
 それからご意見がたくさんございました単元計画書のイメージにつきましても、あくまでもこれは高次の資質・能力、見方・考え方を中心とした授業のデザインの考え方を示すものであって、これが指導案としての一つの定型ではないというとこついては、是非ご確認をいただければと思っております。工芸科の立場からしますと、特にここは陶芸が盛んな地域であるとか、金工が盛んな地域であるというその地域性が授業題材に大きく影響してくるということもございますので、そのような題材開発の意欲を若い先生方が持つことができるような、そういったイメージとして広まっていくことを期待するところでございます。
 それでは本日予定された時間もすでに過ぎておりますので、これまで会議中に言い尽くせなかったことや追加のご意見などございましたら、4月の27日月曜頃までに事務局までメールにてお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは最後に次回の予定について事務局よりお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  はい、失礼いたします。次回は5月21日木曜日9時半からを予定しておりますが、正式には後日改めて事務局よりご連絡いたします。
【大坪主査】  それでは、以上をもちまして本日の芸術ワーキンググループを閉会といたします。
 
―― 了 ――

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