教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

令和8年1月26日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 芸術系教科・科目における目標、見方・考え方、高次の資質・能力について
  2. その他

4.議事録

【大坪主査】  定刻となりましたので、ただいまより、中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第5回)を開催いたします。皆様、大変お忙しい中御出席くださり、誠にありがとうございます。
 それではまず、事務局より委員の出席状況、配付資料の確認、その他留意事項があれば説明をお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  失礼いたします。事務局でございます。
 本日は稲委員が御欠席となっておりまして、17名の委員の方に御出席いただいております。
 資料については、議事次第に記載しておりますとおり、資料1と参考資料がございます。そして、前回までと同様、対面会議でいうところの机上配付資料として、前回会議資料と、ワーキンググループにおける審議の御参考として、学習指導要領本体や解説、関係する審議会の答申等をまとめた参考資料集を、事前に別途お送りしてございます。
 また、会議の運営に関して、1点お願いでございます。御発言の際には挙手ボタンを押していただき、指名されましたらミュートを解除してから御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 事務局からの説明は以上です。
【大坪主査】  続いて、事務局より議題について説明をお願いいたします。
【堀内学校芸術教育室長】  失礼いたします。文化庁学校芸術教育室長の堀内と申します。それでは、資料1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 今回の第5回ワーキンググループの議題といたしまして、芸術系教科・科目における目標、見方・考え方、高次の資質・能力についてとさせていただいております。
 まず、1ページ目が10月14日に開催されました総則・評価特別部会の資料となっております。今回、(1)の部分でございますけれども、当ワーキングも含めまして、各教科等のワーキンググループにおいて全教科等・科目についての目標、見方・考え方、そして高次の資質・能力の全体の一覧を修正の余地があるたたき台として整理し、それを総則・評価特別部会及び教育課程企画特別部会に提出するということとされております。そして、2月に予定をされております総則・評価特別部会と教育課程企画特別部会におきまして、各ワーキンググループから提出をされました、目標、見方・考え方、高次の資質・能力につきまして御議論いただくということとなっております。こちらの議論をいただく際には、論点整理の趣旨の実現の観点から御議論いただきまして、その結果をまた各ワーキンググループのほうに返されるというような形になっております。したがいまして、本日御議論いただきます目標、見方・考え方、高次の資質・能力に関しましては、あくまで現時点のものということで整理をしていくということになりますので、御承知おきいただければ幸いです。
 次に、2ページ目のほうを御覧ください。第3回の11月20日の当芸術ワーキンググループにて配付をいたしました資料でございます。左側に現状、右側に改善の方向性(案)とさせていただいております。目標、見方・考え方、高次の資質・能力に関わり次期指導要領の改善の方向性(案)といたしまして、この赤枠で示しております6つに沿う形で整理をしていけたらというところで考えておるところでございます。
 今回までのところで委員の皆様から御意見を頂戴いたしまして、一部追記をした部分がございます。丸の2番のところになりますけれども、「自分の思いや考えをもつことができることや」の後ろの部分、「諸感覚を働かせつつ身体性を伴った技能により表現することを重視」について、諸感覚を働かせることでありますとか、芸術系教科の特質といたしまして、身体性を働かせるというところが非常に重要であるといったような御意見も頂戴いたしましたことなどを踏まえ、この点、追記をさせていただいているところでございます。
 次に、3枚目を御覧いただけたらと思います。目標及び見方・考え方の在り方ということに関してですが、先ほど御確認いただきました改善の方向性(案)を踏まえまして、育成すべき資質・能力を整理していくということを改めてこちらに書かせていただいております。芸術系各教科の具体の案文は15ページから39ページに記載をしてございます。
 この下のところ、高等学校芸術科の教科目標に関することでございます。今回、高等学校芸術科の教科目標につきまして、いただきました御意見を踏まえまして、少し修正を加えてございます。まず、知識及び技能に関しまして、従前案では「芸術に関する各科目の特質について理解」とさせていただいいておりましたが、芸術科に属する科目に対応する特質ということよりは、社会における芸術分野でありますとか、あるいは幅広く芸術文化を捉えていくといった趣旨を明確にできるようにするため、「各芸術分野の特質や芸術文化について理解する」といった形で修正してはどうかということを御提案させていただいております。
 それから、思考力、判断力、表現力等につきまして、作品がもつメッセージ性や文化的・歴史的意義、社会への影響力などをより意識できるようにするため、「価値意識をもって」という文言を追記させていただくという形で修正を図っております。
 次に、4枚目を御覧いただけたらと思います。高等学校芸術科に属する各科目に関連して、改善の方向性(案)に沿った形で整理したものとなっております。改善の方向性(案)の1に関連するところといたしまして、例えば、音楽のI、II、IIIの各科目でありますけれども、音楽Iの科目では「曲想と音楽の構造や文化的・歴史的背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解する」という現状の案をお示しをしておりますが、音楽IIにおきましては、「音楽の多様性について理解を深める」、さらに音楽IIIでは、「音楽文化の多様性について理解する」といったような形で、さらに発展的に学んでいけるような形で示してはどうかということを記載させていただいております。美術あるいは工芸、書道につきましても、それぞれの科目の特質を踏まえまして、高まりをもった形で示してはどうかということを御提案をさせていただいております。
 次に、5枚目でございます。改善の方向性(案)の2の関連部分となります。知識及び技能の関連で申し上げますと、音楽のI、IIの科目に関し、「創意工夫を生かし、曲や音楽を創造的に表現するために必要な技能を身に付ける」とし、音楽IIIにつきましては、「創意工夫や表現上の効果を生かし」というところで、表現上の効果を生かすということに高まりを示してはどうかしてございます。
 それから、右側のところ、思考力、判断力、表現力等に関連いたしまして、例えば音楽の例でありますけれども、音楽Iでは「自己のイメージに基づいた音楽表現について考え表現意図をもつ」とお示しした上で、音楽IIでは「個性豊かな音楽表現について考え表現意図をもつ」ということで、「個性豊かな」という文言、それからIIIの科目では「音楽に関する知識や技能を総合的に働かせながら、個性豊かな音楽表現について考え」のような形で高まりをもたせてはどうかというところでございます。
 それから、6枚目でございます。改善の方向性(案)の3、4、5に関連するところといたしまして、「主体的・協働的に音楽の幅広い活動に取り組み」の文言を音楽Iに置いた上で、音楽II及びIIIでは、「主体的・協働的に音楽の諸活動に取り組み」というような形で示してはどうかというところでございます。
 さらに7枚目に移らせていただきます。改善の方向性(案)の6の関連になります。学びに向かう力、人間性等の音楽の例でございますけれども、「生涯にわたり音楽を愛好する心情を育むとともに、感性を高め、創造的に音楽や音楽文化に親しみ、音楽によって生活や社会を明るく豊かなものにしていく態度を養い、豊かな情操を培う」ということをIの科目で整理させていただいた上で、音楽IIの科目では、「感性を磨き」や、「創造的に音楽や音楽文化に関わり親しんでいく」ということで、「関わり親し」むということでありますとか、あるいは「音楽によって心豊かな生活や社会を築いていく」というところで「築いていく」というところ、このような形でIIの科目では高まりを示してはどうかとしております。
 また、IIIの科目におきましては、「音楽や音楽文化を尊重する」というところで「尊重する」という文言で、高まりを整理させていただいております。
 以上、音楽の例を申し上げましたけれども、美術や工芸、あるいは書道に関しましても、基本的には同様に、それぞれの科目の特質を踏まえつつ高まりを示していく形で整理してはどうかというところでございます。
 それから、8ページ目の見方・考え方についてであります。見方・考え方につきましては、教科の系統ごとに小・中・高等学校を通しまして同じ形で示してはどうかとさせていただいております。また、従前の案にございました生活や社会などとの関わりに関しましては、目標の方に基本的には明示し、見方・考え方の全体の書きぶりをできるだけ端的に示してはどうかというところと、教科の特性を踏まえながら、想像力を働かせるということでありますとか、物事を捉える視点といたしまして、文化といった視点を重視をするなどの修正をしてはどうかということで、下に点線枠囲みのところに整理させていただいております。
 一番上が高等学校の芸術科の見方・考え方で、「感性や想像力を働かせ、対象や事象を、美を構成する要素とその働き、文化などの視点で捉え、芸術の意味や価値を追求すること」といった形で整理してはどうかというところでございます。
 以下、音楽、図画工作、美術、工芸、書道に関しましても、教科・科目の特性を踏まえまして、基本的には記載のように整理してはどうかとさせていただいております。
 次に、9ページ目でございます。内容の表形式化についてでございます。内容の表形式化に関しましては、総則・評価特別部会から2つのパターンといたしまして、並列パターンと並行パターンが示されております。並列パターンは、内容の系統性が明確で、知識及び技能の内容のまとまりに対応した固有の思考力、判断力、表現力等が想定できる教科が基本的に想定されております。一方で、並行パターンにつきましては、知識及び技能が全体として思考力、判断力、表現力等の深まりを助けるといった構造をもつ教科につきまして想定されているところであります。
 そういった中で、芸術系教科・科目について、芸術系教科の特性といたしまして、知識を得ることによって、考え方や捉え方の豊かさに繋がっていく、学びが深まっていくということがございます。この知識を基に、思いや意図をもったり、発想や構想をしたことを、身体を用いながら技能を働かせることによって表現したり、鑑賞したりします。このような過程を往還しながら、資質・能力を習熟していくといった点に芸術系教科の特徴があると考えております。このような点は、知識と技能が全体として思考力、判断力、表現力等の深まりを助けていく構造に近いと考えられることから、並行パターンが適当ではないかというふうに御提案させていただいてございます。
 10ページ目は、例えば、小学校音楽の例で並行パターンを表形式にした場合には、このようなイメージになるというものでございます。
 次に、11ページ目でございます。こちらから高次の資質・能力の在り方となります。区分に関しまして、高次の資質・能力の示し方の基本的なまとまりとして、芸術系教科・科目につきましては、共通に「A表現」領域と、「B鑑賞」領域、この2つの領域に共通に整理をした上で、音楽と図画工作、美術、工芸、これらにつきましては教科・科目の特質でありますとか、現状における課題といった点を踏まえまして、さらに領域の下に区分を設けてはどうかといったことを御提案させていただいております。
 さらに区分の名称につきましては、高次の資質・能力の内容の意図がより分かりやすく明確になり、学校段階間の接続を考慮して示していくこととしてはどうかとさせていただいております。音楽につきましては、現状の分野の名称がそのまま区分の名称という形で、現時点の案とさせていただいております。図画工作、美術、工芸は、現時点の名称としましては、あくまで仮称という形でお示しさせていただいております。図画工作に関しましては、内容のまとまりとしている活動を仮に区分名としておりますけれども、造形遊びをする活動と、絵や立体、工作に表す活動が、その後の中学校の学校段階に接続していくことを踏まえ、学びの方向性を考慮して、引き続き慎重に検討してはどうかとさせていただいております。一方、中学校、高等学校の美術、工芸に関しましては、区分名につきましては、内容事項も含めて、引き続き検討とさせていただいているところでございます。
 それから、12ページ目でございます。高次の資質・能力の知識及び技能に関する統合的な理解の文末記述についてになります。前回ワーキンググループにおきまして、知識及び技能に関する統合的な理解の文末記述に関しまして、非常に多くの御意見を頂戴いたしたところでございます。いただきました御意見等を踏まえ、考え方の整理という形でこちらにお示しをしておりますような整理の仕方でどうかというところを御提案させていただいております。
 知識及び技能に関する統合的な理解に関しましては、これは一般的な捉えでありますけれども、個別の知識や個別の技能が相互に関連づけられて一般化され、他の学習や生活の場面でも活用できるようになった状態として捉えることとされております。これを例えば、芸術系教科・科目の表現領域に置き換えてみた場合の整理でありますけれども、個別の知識、あるいは個別の技能が相互に関連づけられ一体となり、その一体となった知識と技能に対して自分の思いや意図、発想や構想したことに基づいて表現できる状態に至っていると、このような状態を統合的なものとして理解をしてはどうかというところでございます。
 14枚目にポンチ絵を示させていただいておりますけれども、例えば、目標と内容がございます。内容の高次の資質・能力がこの枠組みの部分ということになります。児童生徒が個別の知識、個別の技能を理解し、身につけていくわけでありますけれども、この個別の知識や技能が相互に関連づけられて一体となった状態に対して、思考力、判断力、表現力等とも関係して、自分の思いや意図、発想や構想したことも関わらせながら、それに基づいて表現をしていく、そのような表現できる状態を理解するというところで、知識及び技能に関する統合的な理解を捉え整理してはどうかということを御提案させていただいております。
 12ページ目にまた戻らせていただきますけれども、例えば、音楽の器楽の例として記載しておりますが、音色と奏法の関係のように、音の出し方を知っているだけでなく、身体を使って繰り返し表現をするということを通しまして、実際に思いや意図を表現するというために活用できる状態に至っているという子供の姿を理解するという形で整理してはどうかとさせていただいております。
 なお、前回ワーキンググループで御意見を頂戴した点に関わり、言語化して理解できることと、言語化できないけれども実際には身につけることができることもございますので、実際の指導におきましては、こういったことにも留意していくことが重要であるということも付記させていただいております。
 なお、このような形で、文末は「理解をしている」というふうに整理をさせていただく形にさせていただいておりますが、これはあくまで知識と技能が統合した状態を理解するもので、技能を身につけずに頭で理解すればよいということを指しているわけではなく、誤解を招かないように丁寧に説明をしていく必要があると考えているところでございます。
 なお、この文末の表記に関しましては、今後、冒頭申しましたように、全体の議論の中で、多少変わっていく可能性もあり得ると捉えていただけたらと存じます。
 資料の説明に関しましては、概略でございますけれども、以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【大坪主査】  ありがとうございました。事務局からの説明にもありましたが、今回、芸術系教科・科目の目標、見方・考え方と、高次の資質・能力のたたき台の暫定的な整理を行い、たたき台については、今後2月中をめどに開催される教育課程企画特別部会に提出することとなります。なお、たたき台は、修正の余地のあるものという扱いになります。教育課程企画特別部会において、各教科等のワーキンググループから提出されたたたき台について、論点整理の趣旨の実現の観点から、必要な調整等の検討を行い、その結果について、教育課程企画特別部会から各ワーキンググループに共有されることとされております。これを受けまして、2月以降、本芸術ワーキンググループにおいて、今後も引き続き御検討いただくことになりますので、その点については御承知おきいただけたらと思います。
 それでは、芸術系教科・科目における目標、見方・考え方、高次の資質・能力について、委員の皆様に御議論いただければと思います。
 前回同様、音楽、図画工作・美術・工芸、書道の順に、先生方の御専門、御所属などの見地から御意見をいただきたいと考えております。
 今回についても、教科の専門的・具体的な内容に関わることから、音楽に関わる意見交換の時間については、齊藤主査代理に進行をお願いしたいと思います。齊藤主査代理、よろしくお願いいたします。
【齊藤主査代理】  それでは、音楽に関わる意見交換については、私のほうで進行を務めさせていただきます。
 それでは、音楽に関わり、目標、見方・考え方、高次の資質・能力について、委員の皆様の御専門、御所属などの見地から御発言をお願いしたいと思います。
 なお、御意見のある委員の先生方におかれましては、挙手ボタンを押していただきまして、御発言をお願いいたします。御発言の時間ですけれども、お一人3分程度でお願いできたらと存じます。それでは、音楽の皆様、いかがでしょうか。原委員、お願いいたします。
【原委員】  よろしくお願いします。私からは、大きく目標に関わってお話しさせていただきたいと思います。
 15ページのたたき台の案を御覧いただいて、目標の思考力、判断力、表現力等の部分の赤いほう、「味わって聴いたりすることができる」というのに変更していただいた点、大変ありがたいなというふうに思っています。何人か現場の先生に、少し「味わう」ということについて論議というかお話をしたときに、鑑賞に関わった言葉としては、「味わう」 ということは大変浸透しているので、とてもいいなということを言われました。「味わう」ということが、じっくり音楽に浸るとか、じっくり聴いていいなと感じたり、好きなところを見つけていくというような行為に繋がっていくということがあったので、「味わう」を残していただいて、とてもありがたいというふうに思っています。
 ただもう一方、知識及び技能の真ん中になると思うのですけど、「曲や音楽を創造的に表現する」という知識及び技能の中にそういう文言があるのですけれども、表現するときに、曲や音楽を再表現するというようなことだけではなくて、思いや意図をもって表現するということを考えると、その点は「思いや意図にふさわしい表現をするために」であるか、もしくは「曲や音楽に合った表現をするために必要な技能」というふうにしたほうがいいのではないかなと私は考えています。
 また、学びに向かう力、人間性等の部分については、子供の立場で書いている行と、それから、教師の立場で書いている行があるなというふうに思っています。例えば、「楽しさを味わう」という最初は子供なのですけれども、3行目にある「音楽活動に取り組み」というのも子供たちなのですが、「育む」であるとか、それから「養う」ということについては教師の立場で書いているのではないかなと思うので、その点は大変多くのことがそこに盛り込まれていますが、整理をする必要があるのではないかなというふうに思っています。
 もう1点だけ、「深める」という言葉が目標だけではなくて、いろんなところにちりばめられているなと思うのですけれども、聴き深めるであるとか表現を深めるという、「深める」というのが抽象的な心の働きや状態に対して使うということが一般的なのですが、じゃあ今使っている「深める」という言葉が何を表しているのかということを、私たちもはっきりしておかないといけないなと思っています。そう考えると、評価をどうするのかなということなのですけれども、高次の資質・能力のほうで評価基準をつくっていくのか、もしくは目標に掲げている内容で評価基準をつくっていくのかというようなことが、私たちのワーキングで論議するわけではないのですけれども、「深める」1つをとっても何を表しているのかということをはっきりさせたいなというふうに思ったところです。
 3分ほどになったと思いますので、ここで終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【齊藤主査代理】  ありがとうございました。
 では、続きまして、山下委員、お願いいたします。
【山下委員】  山下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の資料1を拝見しまして、これまでの発言の趣旨を的確にお酌み取りくださっていること、そして、細部にわたり丁寧に反映してくださっていることに感謝しております。
 例えば、教科・科目の目標に関しては、原委員からも御発言がありましたが、思考力、判断力、表現力等の目標に、「音楽を味わって聴く」という文言が用いられています。他方、高次の資質・能力としては「聴き深める」とすることによって、目指される具体的な姿と学習活動の方向性の両方が明確になったと思っております。ありがとうございます。
 さて、教科の目標と高次の資質・能力に関して2点発言させていただきます。1点目は、音楽科の知識及び技能の目標に用いられている「曲や音楽を創造的に表現する」という文言についてです。歌唱や器楽の学習では、まず、曲が存在するのに対して、音楽づくりや創作では、音を音楽へと構成するという過程を踏むことになるため、両者を区別して曲と音楽という2つの言葉を併記していると想像いたします。ただ、前者、すなわち歌唱や器楽においても、曲という形や様式を踏まえつつ、自分の感性やイメージに基づいた質感の表現を目指すという意味では、「音楽を創造的に表現する」という言い方でも十分に趣旨が伝わるように思われますが、いかがでしょうか。
 2点目は、技能と、それを表す言葉の選び方についてです。前回発言したこととも一部重複いたしますが、これまで音楽科では知識及び技能の「技能」が「音楽表現の技能」として用いられてきたのに対して、高次の資質・能力においては、技能が統合的な理解として思いや意図を表現できることを理解していると示されています。他方、思考力、判断力、表現力等の高次の資質・能力では、表現の文末が「音楽表現を深めることができる」となっていて、さらに鑑賞の文章でも「音楽を聴き深めることができる」と示されています。「できる」という言葉から、思考力、判断力、表現力等の高次の資質・能力には、表現と鑑賞の両方で技能が含まれているように感じさせます。御提案の趣旨を、私は理解いたしましたが、この案のままでいきますと、技能の概念とその位置づけについて混乱を招くおそれがあり、大量の補足説明や注記が必要になると予想されます。音楽科における技能の考え方をいま一度整理した上で、枠組みと文言のすり合わせを芸術科全体でさらに行っていく必要があるように思われます。
 以上です。
【齊藤主査代理】  ありがとうございました。
 では続きまして、水戸委員、お願いいたします。
【水戸委員】  よろしくお願いします。まず、私からも、前回の会議で出た多くの意見が、特に山下委員おっしゃった技能の理解に関するところで、いろいろ御検討いただいて感謝申し上げます。
 特に注記において、言語化して理解できることと、言語化できないが身につけることができることがあり、指導においてもこのことを留意することが必要である」というふうなことが書かれていることに関して、感謝申し上げたいと思います。これによって学習の後に身につけたことを、何が何でも説明しなくてはならないといった授業が増えてしまうという危惧はなくなるのではないかというふうに思います。
 もう1点、私が今回申し上げたいのは、今回の指導要領の案の文章の中に何回も出てくる、「価値」という言葉に関してです。私の個人的な解釈になってしまうかもしれないのですが、今回の資料の中にある「価値」という言葉を見渡してみますと、価値という言葉が大きく分けて二つの意味に使われているように思いました。
 一つは、音楽、芸術自体が価値があるものであるといった意味の価値で、もう一つは音楽をすることが社会や自分にとって価値があるという意味の価値です。最初の意味での価値は、高校の芸術の目標で、とても明確に記載されていると思います。例えば資料の27ページでは、「創造的な表現の工夫について考えたり、価値意識をもって芸術のよさや美しさを深く味わったりすることができるようにする」とか、「感性や想像力を働かせ、対象や事象を美を構成する要素とその働き、文化などの視点で捉え、芸術の意味や価値を追求すること」というふうに明確に記載されています。これらの文言は、芸術とは価値があるものであるという前提に立ち、音楽教育は芸術を追求している審美教育であるということを、ある意味明確化しているのではないかと思います。
 一方で、高次の資質・能力の箇所でたくさん出てくる「自分や他者にとって歌唱や器楽による表現が持つ意味や価値について考え、音楽表現を深めることができる」といった表現では、音楽を行うこと自体にどのような価値があるのかを指していると思います。つまり、音楽学習を行うことが自分にとってどのように価値があるかとか、社会や文化の中で音楽活動がどのように価値があるのかということを示していると思います。
 私なりに大きく二つに分けたのですが、これらの2つの価値は、どちらも音楽教育の根幹に関わる大事な記載だというふうに思っております。ただ、小中学校の目標などの中にも、高校芸術で記載されているような、音楽教育では、音楽そのものに価値があると認められるものを扱っているのだというような文言を、もう少し明確に入れる必要がないか検討してもいいのではと思いました。高校では教科そのものが芸術科というふうになっているので、芸術という価値のあるものを学習することが、見方・考え方の中に明記されているのは当然なのですが、小中学校においてもこういった表現が必要ではないかと思いました。高校ほど明確に記さなくても、何かこれに類するような言葉が必要かなと思いました。
 現在、音楽教育では幅広い教材が含まれるので、芸術性ということをあまり前面に出し過ぎるというのもよくないことかもしれません。しかし、学習指導要領では情操を培うということを明記しており、さらに解説文では、情操とは美しいものや優れたものに接して感動することであると説明し、美的情操という言葉が明記されています。なので、小中学校であっても審美教育であるということを考えて、「価値」という文言を整理していく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
【齊藤主査代理】  ありがとうございました。
 では続きまして、山内委員、お願いします。
【山内委員】 よろしくお願いいたします。私のほうからは、全体的なことを2点、あとは高等学校の音楽の点で2点、お話をさせていただければと思います。
 まず全体的なことですが、これまでも皆さんからお話しいただいていますけれども、まず、12ページのところに、高次の資質・能力の在り方の知識及び技能に関する統合的な理解のところで整理をしていただきまして、本当にありがとうございました。先ほど水戸委員のほうからもございましたけれども、矢印の3つ目になりますけれども、太字下線がついている後のところ、言語化して理解できることと、言語化はできないが身に付けることができることがあると、このところはとても大事だなというふうに感じているところです。子供たちは教室で様々な発達段階や、特性を持っているお子さんもいらっしゃいますので、特別支援学校も含めて考えますと、やはり言語化が必須ということではなくて、芸術科の特性を踏まえて、身体を使って表現するという、その表現したことを大事にしていくということを我々大切にしていければいいなというふうに感じているところでございますので、このような整理をしていただければなというふうに思っております。
 続いて、目標について1点お話をさせてください。例えば15ページに、小学校音楽科の目標の見直しの改善案のたたき台がございます。内容は、先ほどからもほかの委員から出されている意見とかぶるのですが、私もここの知識及び技能の下線の部分、3行目の「曲や音楽を創造的に表現する」ところと、あとは学びに向かう力、人間性等の下から4行目、「創造的に音楽に関わり親しむ」というところ、今回のこれまでの議論の中でも創造的にというところは、様々入るといいのではないかということでお話が進んできているかと思うのですけれども、その辺りの文言の整理というのは、今後さらに必要になってくるのだろうなというふうに感じております。
 さらに知識及び技能の特に技能のところ、後半の部分になりますけれども、そちらについては、思考力、判断力、表現力等の「音楽表現についてを考え思いや意図をもったり」というところとの関連も出てくるかと思いますので、その辺りは3つ併せて整理をしていく必要があるだろうと思っておりますよろしくお願いします。
 続きまして、8ページに戻っていただきますが、高等学校芸術科の見方・考え方、今回示していただきました四つの枠の一番上になります。下の三つの各科目等についてはこの方向でよろしいのではないかと考えておりますが、1番上の高等学校の芸術科のところで、「感性や想像力を働かせ、対象や事象を、美を構成する要素とその働き、文化などの視点で捉え」というふうに今回整理をしていただきました。方向性としては、非常に芸術科としてのまとまりが出ていいのではないかなというふうに思っているところですが、「美を構成する要素とその働き」と「文化などの視点」、この二つの部分のレベル感が、ちょっと差異が感じられないかなというふうに思っております。
 具体的に申しますと、美を構成する要素とその働きといったときに、かなり具体のイメージになるのかな、文化などの視点のほうについては、人間の営みというような観点で大きなところで捉えられるかなというふうに思いましたので、その辺りの今後、どういう言葉がいいかというのは私もすぐには出てこないのですけれども、見方・考え方として、芸術科としてふさわしい大きなところ、例えば芸術作品の構造的側面であるとか、そういうものが示せるといいのだろうなというふうに感じているところでございます。
 最後に29ページに飛びますが、高等学校芸術科、音楽Iの科目目標、上から2つ目に箱になりますでしょうか。「自己のイメージに基づいた音楽表現について考え表現意図をもつことや」というふうに記載いただいているところですが、これは現行を踏襲しているということは承知しているところでございますが、見方・考え方の案との関連において、現行の見方・考え方で示されていた自己のイメージや感情の、いわゆる感情の部分が、これによるとどこにも出てこなくなってしまったなというふうにちょっと残念に感じているところでございます。音楽の学習においては、これまでも音楽作品などから喚起された感情的な側面は大事にしてきたということを踏まえますと、特に高等学校では自己の感情と向き合うということが、様々な生活の場面でも大切になるというふうに考えているところでございますので、どこかに感情という言葉が入るといいのではないかなというふうに感じています。
 このことから、例えば、この部分については、「自己のイメージや感情に基づいた」などができないのかどうか、引き続き検討いただければと思っているところでございます。
 以上です。
【齊藤主査代理】  ありがとうございました。
 それでは、本日、音楽で稲委員が御欠席であります。稲委員の御意見につきましてはペーパーでいただいておりますので、事務局のほうで御紹介をお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  失礼いたします。事務局でございます。稲委員から頂戴した意見でございます。
 まず、高次の資質・能力のうち、知識及び技能に関する統合的な理解について、資料の12ページに示してくださった整理の仕方で腑に落ちる説明になってきたと思います。また、内容の表形式化についても、芸術科の学習課程を踏まえて並行パターンを提案してくださっていること、そのとおりかと思います。
 音楽科の学習課程が様々な活動をしながら諸感覚を働かせ、資質・能力を生かしながら資質・能力を高めていくことを思うと、私がイメージする高次の資質・能力を身につけた児童生徒の姿は、これは音楽科だけではないかもしれませんが、何かができるようになったら終わりではなく、学んだことを次に繋げていったり、既習事項を想起して新たな価値を生み出す姿が浮かびます。
 13ページの企画特別部会の図には横向きの矢印が示されていますが、斜めにも矢印が向くことがあるのではないかと思います。今後、個別の資質・能力の整備を検討していく中では、この横、斜めの関係も意識して考えたいと思います。
 以上です。
【齊藤主査代理】  どうもありがとうございました。
 そうしましたら、もう少し時間がございます。音楽が御専門の委員の先生方以外からも、もし御発言などございましたら、簡潔に1、2分程度で申し訳ないのですが、御発言いただけたらと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。また、何かお気づきの点がありましたら、御意見いただけたらと思います。
 それでは、最後に私のほうから何点か発言をさせていただけたらと思います。今回、丁寧にお示しいただきまして、前回の課題でありました内容についても大分整理されたように思います。
 まず、12ページですけれども、前回のところで「理解している」という文末の文言につきまして、理解しているという言葉が幾つかの意味を持つので難しさがあったのですが、12ページの最後にお示しいただきましたように、知識と技能を統合したものであるということを丁寧に説明していく必要があると、まさにそのとおりだなと思いまして、この辺りをどのように伝えていくのかというところはとても大事なところだと感じております。
 続きまして、15ページ、16ページ、音楽科の目標のところであります。委員の皆様からも何点か御指摘いただいておりますが、私のほうからお話をさせていただきます。
 次期改訂で、ぜひ目標とか、見方・考え方もそうですけれども、分かりやすさとかシンプルにというところは、全体でも言われているところであります。例えば、思考力、判断力、表現力等のところの、小学校のところで15ページですけれども、今回「味わって」という言葉が入っておりますので、「曲や演奏のよさや楽しさなどを見いだしながら味わって聴いたりすることができるようにする」ということで、一つ形としてまとまっております。中学校のほうを同じようにその部分を読んでいきますと、「表したい音楽表現について考え思いや意図をもったり」、その次ですね、「曲や演奏の価値などを考えながら音楽を味わって聴いたりすることができるようにする」と示されています。先ほど水戸委員からも価値ということについての考え方についての説明がありましたけれども、この辺りのところは丁寧に説明する必要があると私も思います。丁寧に説明する必要があると私も思います。ここを小学校と合わせた書き方とするならば、例えば、中学校、「表したい音楽表現について考え思いや意図をもったり」の後ですね、小学校に合わせると、「曲や演奏のよさや美しさなどを見いだしたりしながら味わって聴いたりすることができるようにする」というふうに、現行で使っている「音楽のよさや美しさ」という文言が残るといいなということです。一つの例ですけれども、「音楽の美しさ」という言葉がどこかに残されるといいかなという話であります。文言については、整理が必要かと思います。
 あと学びに向かう力、人間性等のところにつきましては、原委員のほうから最初にお話ありましたが、確かに主語のところがどうなるかという辺りの調整は大事なところかなと思ってお聞きをしました。
 続きまして、17ページのところを御覧いただきまして、高次の資質・能力のところで、ここもそれぞれのところの音楽の書き始めのところになりますけれども、「音や音楽について知覚し感受したことをよりどころにして」というところです。ここの「知覚し感受し」というところなのですけれども、「知覚し感受したこと」という文言をそのまま受け止めますと知覚が最初にあり、そして感受が来るようなイメージもなくはないのですけれども、知覚が先、そして感受が先のこともありますし、そういうことを考えますと、「知覚したり感受したり」という文言もありかなと。でもそうすると、どちらか片方にという可能性もあったりします。なので、「知覚・感受したり」という方法もあるかなと思ったり、この文言をどうしたら正確に伝えられるかの整理が必要かと思います。
 次に、「音や音楽について知覚し感受したことをよりどころにして思考を巡らせ」というふうに入っているのですけれども、例えば「思考を巡らせ」というところがなくても、「よりどころにして」で次に繋げるという方法はないかとか、また、その次、「曲の特徴を生かした表現に対する思いや意図をもち、自分や他者にとっての」というところですが、「自分や他者にとっての」というのはあえて入れることの意義もあるのですけれども、すっきりとさせるならば、このところは「自分や他者にとっての」というのは、それは当たり前のことであると考えるならば、取るという方法もあるかなと。私はすっきり感と、あと短くということをイメージするために、逆に全てを短くしてしまうと誤解を招くといけないかなと思ったりもするのですが、少しすっきりできないかなということを思いつつ、1つの提案をさせていただきました。
 あと、音楽表現を深めることができるようにするというのは、先ほど山下委員からもお話がありましたように、これは技能的なイメージもあるので、音楽表現における技能をどのように捉えるかというところですね。技能をどう捉えて次期の学習指導要領で提案していくかというのが非常に重要なところだと思いますので、その辺りの技能に対する考え方の整理が必要かなというふうにも思ったりもしております。
 ということで、すみません、私も若干長くなってしまって申し訳なかったのですが、何点かお話をさせていただきました。
 それでは、音楽関係のところ、もしこれから後でお気づきの点がございましたら、お出しいただけたらと思います。
 それでは、ありがとうございました。進行を大坪主査にお戻ししたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
【大坪主査】  齊藤主査代理、ありがとうございました。ここからは、私のほうで進行を務めさせていただきます。
 続きまして、図画工作・美術・工芸に関わり、目標、見方・考え方、高次の資質・能力について、委員の皆様の御専門、御所属などの見地から御発言をいただければと思います。
 御意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人3分程度を目安に御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。新井委員、お願いをいたします。
【新井委員】  今までの議論で皆さんから出た御意見をお酌み取りいただいて大変ありがとうございます。
 例として、26ページをお願いします。表現を知識及び技能としても表すという件ですが、特に内容の高次の資質・能力のところでは、最後の記述部分を「理解している」でまとめることで混乱を生じているわけです。しかしながら、教育現場の先生がたが受け止めやすい記述、フィージビリティーという方針も当然理解できます。現行学習指導要領で知識として扱われているのは、共通事項のアとイですから、今回の御提案では、まず、この2つを整理していると。次いで、今般要求されている改善の方向性(案)に示されている、文化・芸術の意味や価値理解を盛り込むという方針になっているのだろうというふうに理解しています。また、美術の授業がつくって終わりという指導になることがないようにという点も重要です。
 意見として1点目ですけれども、図画工作や美術が知識を位置づけるに当たって、「美術の働き、美術文化について理解を広げる」ということを入れることは、実施状況調査で芸術・文化の意味や価値理解に関するポイントが低い点への対応として大変重要だと考えています。また、今般、教育全体を見渡すと、教育に携わる関係者の中でも、芸術・文化の働きについて十分理解されている状況とは言えないように思います。他国の教育制度改革の複数の事例として芸術・文化に対する理解が他の教科の成績を底上げしたり、ノーベル賞受賞科学者の芸術・文化に対する関心の高さであったりなど、教科はそれぞれ補完し合ってお互いを高めているというわけです。そのことを考えれば、将来、社会を支える子供たちに、芸術教科は芸術だけで完結するのではなくて、他の多くに対してもお互いを支える能力を育てているということへの御理解を促すことはとても重要だと思います。
 また、一方で表現の内容の記述に困難を感じられる大きな原因は、目標のほうが前段で知識、後段で技能の順なのに対して、内容の高次の資質・能力については、後段を知識として理解していると書かなければならないところに起因しているのだということについて指摘したいと思います。
 今回、ワーキングの段階で検討し得るとすれば、高次の資質・能力の語尾の部分を、「何々により創造的に表現できることを理解している」と現在なっているところを、例えば「表現が創造性と関係することを理解している」とか、「表現と創造性の関係について理解している」などとしたほうが、より高次の目標にかなう記述なのかなというふうに考えています。
 あるいはもっと大きな項目として、表現と鑑賞の双方が創造性の育成と関係するということを表してもいいかなというふうに考えています。
 取りあえず以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、道越委員、お願いをいたします。
【道越委員】  よろしくお願いいたします。私は、12ページでお示しいただいた高次の資質・能力の在り方のところが、やはりすごく分かりやすいなというふうに思いました。知識及び技能に関する統合的な理解については、個別の知識や技能が相互に関連づけられて一般化され、生徒がほかの学習や生活の場面でも活用できるようになった状態を指すというふうに、やっぱり子供が個別の知識や技能を身につけて、それらを統合的に理解している状態、生徒の姿をイメージできるようにという思いがそこに込められているところが、非常に丁寧でありがたいと思いました。
 そこを考えながら、前回もそうだったのですけど、実感的に理解するという表現、文末になっていたかと思います。実感を伴って理解しているという表現になっていたかと思うのですが、実感を伴ってということが、今回、知識及び技能のところで、「実感を伴って捉えながら」というところが、26ページのほうで、「美術の働きや美術文化について実感を伴って捉えながら」というところに、その言葉が移動をしているところ、少し意味があるのではないかなというふうに思いました。つまり、生徒が自分の体の諸感覚を働かせて、一人一人試行錯誤する中でできたとか、もう少しこうしたらどうだろうということを考えながらだんだん身につけて、そして最後、やはり創造的に表現できるのだということを一人一人自分が理解をしている、そういうふうなイメージなのかなと私は捉えました。非常にありがたかったです。鑑賞の技能という部分も、「実感を伴って」ともちろん入れていただいておるのですが、そこもありがたいなというふうに思いました。それが1点目です。
 2点目は、ちょっと細かいところで申し訳ないのですけれども、同じく26ページの高次の資質・能力のところに、「自分との関わりの視点から」という言葉がありました。自分との関わりの視点、下のところ、身近な生活や社会と美術のほうでも「客観的な視点から」というふうになっておりますので、こういった視点から考えるのだ、子供が考えるのだということだとは思うのですけれども、ここは「自分との関わりの視点から」というところは「自分との関わりから」でもよいのではないかなと思いました。非常に細かいところを申し上げているようで申し訳ないのですけれども。
 逆に思考力、判断力、表現力等のほうでは、「対象や事象を自分との関わりの視点に立って見つめ」、またすごく具体的になっているなと。それから、身近な生活や社会と美術のほうでは、「対象や事象を身近な生活や社会的な視点に立って見つめ」というふうに、少し言葉が説明的になっているのですけれども、その辺りのことについて、同じような意味だとは思うのですけど、言葉が少しずつ違っているところ、やっぱり学校現場の先生方がどのようにイメージするのだろうということで、また教えていただきたいなというふうに思います。
 すみません、以上になります。よろしくお願いします。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、大泉委員、お願いをいたします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。これまでのお取りまとめ、本当にありがとうございます。私からは、足早に二つか三つ申し上げられればと思っています。
 まず、1点目は、見方・考え方と高次の資質・能力の関係について、とりわけ小学校図画工作科に関して意見を申し上げます。現状では、個別の学習内容から帰納的に導かれるという側面が強い状態なのかなと捉えています。もちろんこうした状態は、資料の13ページの上のほうに示されております、教師の単元づくりを助け、深い学びを授業で具体化しやすくなるためのサポートとしての役割としては全うしていると思います。一方で、見方・考え方、すなわち芸術の本質に関わる図画工作科の学びの意義とはどのようなことかというメッセージがやや弱いのかなというふうに感じています。
 例えば、23ページに示されている、造形遊びの高次の資質・能力が、表面的に見える活動の形式ではなくて、子供がそうした活動を通じて自分の存在を実感し、あるいはさらに人や社会、さらには文化を捉える素地を培うことなのだということを示せているかということになると、若干メッセージが弱いのではないかと思われます。子供が例えば石ころを並べたり、紙紐を空間にかけたりする活動を通して何を培うかというと、他者とともに自分で自分を育てるとか、世界を捉えるまなざしを獲得しているなど、こういったことが造形遊びの学びの本質なのではないかと考えたときに、今のままだと少し活動レベルに偏っているところがあるのかなというふうに思っています。そうしたときに、例えばこれまでの学習指導要領の解説や実施状況調査の結果で示されている言葉、造形遊びならば、自分と身の回りの関わりであるとか、生活や社会の中の形や色などの言葉、絵や立体や工作ならば自己を見つめるであるとか、夢や願い、よりよい未来などの言葉を基に検討していくことが必要なのかなというふうに思いました。
 さらに2点目なのですが、先ほど申し上げたことは前回ワーキングでも意見を申し上げた、区分とは何かという問いにも通じるかと思います。資料の11ページに丁寧に示してくださってありがとうございます。そこにありますとおり、区分とは、教科の特質や現状の課題を踏まえたものであって、個別の内容を単に分類したものではないということについては了解できます。ただ、それに加えて、区分に分ける必要があるのだということは、その教科で、子供が発揮する資質・能力には方向性があるのだ、前回会議でも出てきましたが、学習の方向性があるということを示す必要があるのだ、ということを意味しているのではないかなと思います。そうした説明を、どこかで丁寧に行う必要があるのではないかと考えています。
 時間になりましたので、以上2点で終わりにします。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、藤井委員、お願いをいたします。
【藤井委員】  藤井です。よろしくお願いいたします。まず、初めに、これまでの内容を取りまとめていただき、また、すごく分かりやすい資料として御作成くださっておりますことに感謝申し上げます。
 私からの意見としまして、目標及び見方・考え方の在り方(6)、本日の資料では8ページにあるところですが、見方・考え方を教科の系統ごとに各学校段階を通して同じ表現で書かれていると思います。全体の内容が端的に示されていること加えて創造性に繋がる想像力を働かせること、そして物事を捉える視点として、文化を重視することを踏まえた修正がなされている点はとてもよいと思います。
 図画工作科、美術科、工芸についての意見として、私自身は伝統という視点を入れる考え方もあるのではないかと思っております。この伝統という視点は書道のほうに入っておりまして、また、現行の学習指導要領でも取り入れられている言葉ですが、現在の私たちの生活、それから、未来の社会の在り方を創造していく上で、そして生きた知識や技能に学びを繋げていくというためにも、伝統と文化というのは非常に分かちがたいものであるというふうに考えております。文化の基盤となる伝統に触れるということも大切なのではないかと思います。
 2つ目は、本日の資料では11ページにございます高次の資質・能力の在り方(1)、高次の資質・能力の区分についてでございます。区分を設けることは、とてもよいと思いました。前回のワーキングでも少し意見を述べさせていただいたのですが、お示しくださっている小学校図画工作の現在の区分、造形遊び、絵や立体、工作というところが少し具体的に書かれているのかなというふうに思います。この内容は美術の領域分野ですが、もちろん美術制作、表現もコンピテンシーを育成する重要な活動ですけれども、より区分としては抽象的なテーマとなるような、あるいはコンピテンシーベースの区分名をつけるといったことも考えられるのではないかと思います。
 一つの考え方として、例えば個人の自己表現だけで考えてよい部分、また考えるべき部分と、客観的な視点が求められる、他者と協働してつくり出す活動であることを区分する、あるいは探究という視点を取り入れて個人で取り組む探究と、他者と協働して取り組む探究といった区分も考えられるのではないかと思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、小池委員、お願いをいたします。
【小池委員】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。私は主に中学美術においての見方・考え方、それから、高次の資質・能力についてお話をしたいと思います。
 まず、参考資料のほうの2ページ目ですかね。教育課程企画特別部会の論点整理の21ページにありました見方・考え方についてですが、学びの意義のところに、各教科等を学ぶ本質的な意義の中核であって、各教科等の資質・能力が身につく中で、様々な世の中を見る視点や考え方が豊かになり、よりよい社会や幸福な人生に繋げていけることを見方・考え方によって示しているというようなことがあります。
 それで、ちょっと小さいのですが米印2のところに、「見方・考え方は、資質・能力が育成される中で、徐々に個々の児童生徒の中で明確になりつつ、灯台のように資質・能力の育成を導くもの」とあり、さらにその一番下の米印に、「見方・考え方は、資質・能力(中核的な概念等を含む)の育成を的確な方向性に導くとともに、よりよい社会や幸福な人生に繋げていける学びの本質の意義」というふうにあります。つまり、まさに教科の中核であって、永続的、永続性を持つ原則的な事柄と考えられます。
 灯台とあるとおり、現場の先生方は常に見方・考え方に立ち返り、学習目標に向けて学んでいくための大切な目印、ランドマークのようなものであると私は考えております。であるなら、やはり記述が長くならずにコンパクトであること、それから分かりやすいこと、つまり、明快であることが大切だと思います。また、他教科の先生方、さらには学校外の人々にとっても、分かりやすい文言であることが必要であるなと思っております。
 そのようなことを考えまして、今回のところはかなり具体的に分かりやすくなっているかなと思います。見方・考え方を示すことで教科内の学習が明快になって、探究的な学びに繋がっていくことになると思いますが、ここで大切なことは、生涯にわたって学び続けることができる視点として意義を持つというようなことを考えていくと、可能であるならば今後さらにそういう視点から整備をしていく必要があるのかなと思います。
 続きまして、高次の資質・能力についてお話をしたいと思うのですけれども、これは今回の資料の13ページのところでございます。個別の知識や技能が相互に関連づけられて一般化され、統合的な理解となった姿、複雑な課題の解決に向けて、個別の思考力、判断力、表現力等を組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた姿を、高次の資質・能力を働かせた姿と言ってよいのかなと、私のほうは理解をしております。
 また、ちょっと申し訳ないのですけれども、参考資料1の13ページ、総則・評価特別部会資料1の14、15ページのほうの資質・能力のところにございますが、教科固有の学習課程の改善を図るため、教科ごとの特質に応じて検討されるべきものであり、一定の共通性が必要で、教科横断的な機能が発揮されるものだと理解しているということで、教科固有の学びと教科横断的な学びで機能を発揮するとありますが、これらが両立することがすごく大事なことだとすると、やはり記述内容はシンプルなほうがよいと考えております。ただし、教科を学問として学ぶこと、この教科ではどのようなことを学ぶのかといった、教科の特性を現場の先生に分かりやすく示す必要があると思います。また、学習は実際に一時間一時間の授業を通して行われるものであり、それぞれの時間の中で、この教科ではどのような力をつけることができるのかを理解していること、そのために先生が高次の資質・能力について十分理解していくことが重要であると思っております。それが子供たちにとっても分かりやすい学びになると思っております。
 そうなってくると、やはり高次の資質・能力は、シンプルさと分かりやすさのバランスの取れた記述が必要になってくると思います。例えば、25ページにありますところの文言なのですが、例えば思考力、判断力、表現力等のところでは、現行ではかなり学習指導要領の文言になっていると思うのですが、その中の例えば、「豊かに発想したり構想を練ったりすることができる」というようなことがあるのですけれども、その辺はコンパクトにしていってもいいのかなと思っております。
 私からは以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、廣田委員、お願いをいたします。
【廣田委員】  失礼いたします。では、私のほうから、図画工作科に絞って、二つ話をさせていただければと思います。
 まず、資料の12ページになります。前回のワーキンググループのほうでも意見をさせていただいた、「理解をしている」という文言について整理をしていただきまして、ありがとうございました。ほかの委員の皆様からもありましたとおり、ここをしっかり丁寧に説明をしていくということが、現場で授業をされる先生方の理解に繋がるのかなと思いますので、ここは説明もそうですし、あとは文言自体もより分かりやすくなるように、今後も検討を続けていく必要があるのかなというふうに考えています。
 2点目でございます。2点目は、24ページの高次の資質・能力の知識及び技能のところでございます。ここだけではなく、10ページの並行パターンにも関わるようなところですけども、知識及び技能の統合的な理解ということで、知識と技能の関係性を述べているとは思うのですけれども、図画工作科はこれまでも知識を共通事項として取り扱っていて、現行の学習指導要領の解説においても、形や色などに気づくということが発想や構想に繋がっていく、知識を活用して思考力、判断力、表現力等を働かせているということで解説されています。つまり、高次の資質・能力における知識と思考力、判断力、表現力等との関係についてどう整理するのか。これは13ページにもある、以前言っていた横の繋がりになるのかなと思いますが、ここがまだちょっと今の段階であまり見えないなという部分で、今後検討が必要なのではないかなというふうに考えております。
 私からは以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。私からは御説明いただいた11ページの一番上の区分について、特に鑑賞に関わっての区分についてお話しできればというふうに思っています。
 一番上のところに書かれているように、教科・科目の特質や現状における課題を踏まえて区分を設けることとしてはどうかというふうに書いてあります。鑑賞について、現在どういうことが起きているかということを考えました。例えばなのですけれど、イギリスのTATEのウェブサイトには、ゆっくり見るためのガイドというのが上がっているのです。そのガイドには二つの大きな見出しがあって、一つが「スロールックとは何ですか」というものです。スロールックとは何ですかという文章の中には、美術館とか博物館で作品を見る平均の時間というのが上がっていまして、これが平均8秒と言われています。つまり、大人も子供も、よく見るということをしていないということが書かれているのです。これは国内外同じなのだなというふうに読みました。「何を見ればよいですか」というのが次の見出しです。つまり、見る視点をつかみにくいということが書いてあります。例えば、これを子供たちの現状に合わせて考えてみると、子供はよく見ることができていない。そして、見ることで情報をつかむことができていないということが言えると思います。ですので、結論から言いますと、この区分を自分に関わるもの、それから、身近な生活や社会、というふうに分けてあるということが、授業改善についても、それから、子供たちが何を自分たちが学んでいて、何を身につけたのかということが分かるためにも、とてもいいなと思います。
 子供たちは、よく見るということが、今できていません。情報がたくさんある中で、早いほうがよいということになっていますので、よく見ることを経験していないのです。よく見て思考していくと、自分の見る精度が上がっていくということを体験していないです。ですので、授業の中でそれができるようなことをつくっていくというのが大事だと思います。
 今日の資料の25ページ、26ページの思考力、判断力、表現力のほうでは、鑑賞のところで、自分と美術、「自分との関わりの視点に立って美術作品などを見つめ」、「見つめ」というふうに書いてあります。高校だと、これが「深く見つめ」という言葉になりますけれども、全部は読みませんが、見つめるということが書いてあります。26ページの知識及び技能のほうでは、情報を読み取ることにより、これは高校では「幅広く読み取ることにより」というふうに書いてありますが、このようにはっきりと視点が示されている、もう少し前から読むと、感じ取ったことや考えたことを言葉で自分との関わり、それから目的や機能などをもとに表現されるという言葉で、身近な社会や生活等の美術を見るときの視点というのが示されていて、これは繰り返しになって申し訳ないのですが、先生方にとっても子供たちにとっても、とてもはっきりと見るということに向かえる手だてになるのではないかなというふうに思いました。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、岡本委員、お願いをいたします。
【岡本委員】  岡本です。ほとんど資料については私のほうから述べることはないなと思いながら、1点だけ追加させていただきたいことがございます。
 芸術教育におきまして、今後、より重視すべきだと考えていることについてです。それは、つくり手と受け手のコミュニケーションを意識させるカリキュラムというものだと思っています。作品をつくることだけでは終わらせず、つくった後の体験までを学びに含めることが重要だと思っています。例えば、美術の授業で絵を描いた後、展示して終わるというのではなく、鑑賞した生徒から、何が伝わったか、どんな印象持ったかを言葉で返してもらったり、演奏なども同様で、どこが分かりやすかったか、どこが面白かったかなどを話し合うと。すると、つくり手というものは、自分が意図したメッセージと実際に伝わった内容の違いに気づき、思考が深まっていきます。
 芸術作品をめぐる、作者と鑑賞者の間に成立する経験というものに着目した学説というものは、古くはジョン・デューイなども唱えていますけれども、子供たちは観客の反応を受けて初めて表現が一方通行ではないということを理解しますし、相手に自分の意図が共有できた喜びというものも味わえると思います。そのためには、完成度や上手さだけを評価するのではなくて、つくり手と受け手のやり取りそのものを学習課程に組み込むカリキュラムが必要です。芸術を自己表現で終わらせず、社会との対話として位置づけることが、これからの芸術教育に求められると考えています。
 現在の資料を見ておりますと、通し番号の2ページの改善の方向性4には、芸術及び鑑賞の学習において工夫したことや感じたことを伝え合うなどの言語活動を通して、感じ方や考え方を深めるようにするという項目があるのですけれども、そのブレークダウンとしての目標のところとか、高次の資質・能力の項目には、あまりその具体的な表記は見当たりません。もっと目標や高次の資質・能力のところに、共有するとか、議論するなどのコミュニケーションのワードを入れたほうがよいのではというふうに思う次第です。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、次に、森委員、お願いをいたします。
【森委員】  森です。よろしくお願いいたします。私のほうからは、中学校美術だとか高校美術の思考力、判断力、表現力等に関して、また外からの意見で恐縮ですけれども、申し上げたいと思います。
 とりわけ例として、33ページ、高校美術のところ、こちらで表がございますが、表の下のところ、鑑賞領域に関わるところでやや気になる点がございますので、述べさせていただきたいと思います。
 まず、一つ目の区分である自分と美術に関しまして、「造形的なよさや美しさなどを感じ取り」というふうにあります。これは非常に大切な資質・能力が示されていると思います。ただし、これは以前にも申し上げた近代的な美意識、すなわちモダンアートの価値意識を前提とする資質・能力が示されているように思います。現代美術が切り開いてきた要素が欠けているのではないかと感じる次第です。例えば、具体美術というのがございましたけれども、あるいはもの派という表現がございましたけども、身体と物質の根源的な関係性を探っていくような経験、あるいはそういう軌跡を提示するというものであり、必ずしも造形的によいだとか、美しいと判断できるものではなかったです。ほかの例を挙げますと、例えばオノ・ヨーコの初期の表現形式であるインストラクションなどを例にとると、そもそも造形物でもなくてテキストです。言葉の指示によってイマジネーションを誘発する表現、これは造形的なよさとか美しさとは離れているというふうに言えます。
 加えてもう一つの区分である社会と美術のところですけれども、「目的や機能などとの調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り」というふうにあります。これはモダンデザインの価値意識を前提としていると考えられます。非常に重要な資質・能力だと思いますけれども、やはり現代美術の観点が欠けていると感じます。例えば、社会彫刻を提唱したヨーゼフ・ボイスですけれども、美術と社会との接点を非常に強く意識した表現を推し進めていました。代表作の「7,000本の樫の木」という作品がありますけども、7,000本の樫の木を植樹するとともに、傍らに玄武岩を設置するというプロジェクトですけれども、このことを通じて地球環境における命のあるものと、非生命的な存在を丸ごと肯定しようという、そういう表現でした。こうした試みは、目的や機能などの調和のとれた洗練された美しさを目指したわけではなくて、地球規模、地球環境についてともに考えることを促すとか、思考を誘発するとか、言わば仕掛けとしてのアートだったと言えます。
 そういう意味で、美術においては、既存の造形意識とか美意識にとらわれない新たな価値、あるいは自由な表現の広がりということがあります。この点について、特に鑑賞領域に関しては押さえておく必要があるのではないかというふうに感じたので申し上げたいと思いました。
 私のほうからは以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、今、図画工作、美術を専門となさる委員の方からの御発言でしたけれども、音楽、書道を御専門の委員から、何か御質問や御意見ございませんでしょうか。ありましたら簡潔にお願いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
 水戸委員のほうから手が挙がっています。水戸委員、お願いをいたします。
【水戸委員】  感想になるのですが、今、美術の佐藤委員と岡本委員からの話に非常に感銘を受けたので一言申し上げたいと思います。例えば佐藤委員からあったように、美術館で絵を見るのが1つにつき8秒だというようなことをお聞きすると、やっぱり学校教育の中で絵をもっとじっくり見られるような態度を育るということが非常に大事になるのだと気がつきました。委員会を重ねていきますと、文言が固まってくるので、どうしても細かいところに目がいきがちなのですけど、これからでもまだ、言葉を精査していく過程で大きな方向性を示していくことができるのではないかなと思いながら聞いておりました。
 あと、岡本委員が、いい表現ができたということも大事なのだけど、自分の表現が友達に伝わったということに子供たちが新しい喜びみたいなものを感じるということをおっしゃいました。このようなことも、やっぱり今の世の中ではなかなか子どもが体験できないことなので、非常に大事だなというふうに思いました。
 また絵の話に戻りますけど、子どもたちはYouTubeを早送りで見たりとか、とにかく合理的に手っ取り早く情報を受け取るという傾向があります。そのような中で、芸術教科だからこそできることを考えなくてはならないと再認識しました。まだこれから委員会は続くので、美術の先生方のお話からの気づきを生かしていきたいと強く思いました。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、もう少し時間がございますので、図画工作、美術の先生方のほうから、何か補足的な御意見があれば賜りたいと思いますが、いかがでしょう。新井委員、お願いいたします。
【新井委員】  ではすみません、私のほうから少し補足をさせていただきます。21ページをお願いします。
 これは音楽や書道等にも関係することになると思うのですけれども、学びに向かう力、人間性等の部分なのですけれども、特に学びに向かう力、人間性等については、もう少し細かい部分を強調されていて、例えば初発の思考や行動を起こす力、好奇心、学びの主体的な調整等々4項目があって、ちょっと頭に入りにくいので、私はFQPADCHということで頭文字を取っているのですけれども、例えば初発の思考や行動、そして好奇心というのが、美術でいくと、ここの部分でいくと、「つくりだす喜びを味わいながら」というところに該当するのです。果たしてこの「つくりだす喜びを味わいながら」で初発の思考や行動を起こす力、好奇心というのが十分表現できているかというと、もうちょっと書きようがあるかなというところを感じた次第です。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、私のほうから、高等学校の美術、工芸、特に工芸に関するところで少し意見を述べさせていただきます。資料は、工芸の目標の見直しのところになりますので32ページになるかと思います。
 ここでは、美術もそうなのですけれども、知識及び技能のところの鑑賞に当たるところを述べた文章で、造形的な情報、特に工芸IIIに関しましては、さらに工芸作品などの情報を精査しながら深く読み取るという形になってきております。先ほど佐藤委員からもあったのですけれども、言葉として扱われたのですけれども、作品から情報を読み取るとか、あるいはそれを精査するということに関して、これまでの学習指導要領になかった言葉ですので、少し現場の先生方には戸惑いがあるかもしれないというふうには危惧しておりますが、ただ、工芸の立場からしますと、情報を読み取る、あるいは整理するということは、工芸の学習においてはまさしく学びの中で重要な要素になってきますので、私としては、ここでさらに工芸における学びのありようを明確にするという点では、この情報及び精査というような言葉を使うことに関しては理解をしているところでございます。ただ、恐らく抵抗感のある先生方も多いと思いますので、今後、ほかの委員の先生方からも御意見を賜れればありがたいというふうに思っております。
 私からは以上でございます。
 ほかにいかがでしょうか。補足等ございませんでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。次は書道に関わり、目標、見方・考え方、高次の資質・能力について、委員の皆様の御専門、御所属などの見地から御発言をいただければと思います。
 御意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人3分程度を目安に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。加藤眞太朗委員、お願いをいたします。
【加藤(眞)委員】  よろしくお願いいたします。私も、12ページのことについてお話をさせてください。
 これまでに多くの委員の皆様から御意見がありましたように、高次の資質・能力の在り方として記載されている、真ん中中段ほどの「個別の知識や技能が」という部分に関しては大変よく分かる、理解できるものになったと思います。ありがとうございます。
 そして、その下段の下線部のところですけれども、音楽に関する例、そして下線部以降の言語化はできないが身に付けることができることがあるということも踏まえていくということが重要であるということについては大変よく理解できるところですので、今後もそういった視点を持って検討を進めたいと思っております。
 また、そうした身体性に基づく表現ということも含めて理解をするという言葉で対応させていくということについても理解しましたけれども、一般的に理解するという言葉が受け止められるイメージとは大きく違ってきますので、一番下にありますけれども、これを丁寧に説明していく必要があるということについても同意できるものです。
 そこで思うところなのですけれども、各教科において技能というものをどのように捉えているかというところが少し気になりました。例えば、ダンスによる表現というのは芸術表現とかなり近い、あるいは、芸術表現そのものということも考えることができるかと思います。そうすると、保健体育科の技能の位置づけと芸術科の技能の位置づけというのは同じような部分があると思いますし、そうであるならば、保健体育科と芸術科の記述にも共通したものが見られるのではないかなと想像しています。そうしたことを踏まえながら、「知識及び技能」の記述内容が整理され、議論されていくことが理想ではないかなと思っていますし、そういったことが可能であれば、現場の先生方が教科横断的な学びを実現しようとしたときのヒントにもなるのかなと考えています。
 そういったことを踏まえて次期改訂の学習指導要領では、高次の資質・能力は理解されるものであるということが共有されていくべきだろうと考えております。各教科・科目において理解するという言葉を使いながら、その意味内容が違ってしまうということは、現場において混乱を招いてしまう、そういった危惧がありますので、ある程度各教科・科目における技能の位置付けですとか、理解するという言葉の意味内容も整理し、統合されていくとよいのではないかなと思っています。このことは1ページにありました総則・評価特別部会において検討された後に、またこのワーキンググループに下りてくるのか、あるいは各教科でのワーキンググループで進めていくのかといったことも確認したいところになります。
 次に、38ページのところになります。高次の資質・能力として、内容のイメージですけれども、科目目標のところに「作品や書の美と」と入れていただいたということは、芸術的な諸作品以外の書も含めていくと考えて、社会との繋がりということを考えていくという方向性があるということを理解しましたし、ぜひその方向性は進めていただきたいなと思っておりますし、先ほども少しありました伝統というところについては、書道においては強く打ち出していきたいというところでありますので、そのような意見を述べさせていただきます。
 私のほうからは以上になります。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、加藤泰弘委員、お願いをいたします。
【加藤(泰)委員】  では、失礼いたします。私のほうからは、3点ほど申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 1点目ですけれども、まず、3ページに目標及び見方・考え方の在り方が示されているかと思いますが、高等学校芸術科の教科目標については、キーワードとして、「社会における芸術分野との関連を重視」すると。幅広く芸術文化として捉えるという方向性を示していただいたわけでございます。その上で27ページの改善案を提示していただいたわけですけれども、私はこれまで一貫して、高等学校では、音楽、美術、工芸、書道の各科目を学ぶ前提として、芸術を学ぶというか、芸術で学ぶという視点が重要ではないかと、そういうことを指摘してまいりました。また、芸術の各科目の終盤の授業では、改めて各科目を超えて、芸術を学ぶことの意味や価値について考え、どのような見方・考え方ができるようになったのかを再認識していくと、そんなようなことが非常に重要ではないかと考えている次第でございます。
 このたび27ページに示されている目標の知識及び技能に、各芸術分野の特質や芸術文化についてということが示されたことで、教科の目標に、先ほど述べた点が反映されたと感じております。これはとてもよい方向ではないかなと思っているところでございます。
 また、その下の芸術共通の見方・考え方を示していただきました。これまでは各科目の中でそれぞれの特質に応じた見方・考え方ということでしたが、これを芸術として示したのはとてもよい方向性であるというふうに考えております。また、そこに美を構成する要素とその働き、文化などの視点という形で示していただいた点も賛同できるところでございます。
 これまで高等学校の芸術科の目標は、各科目で実際の授業を設計する中で、ほとんど意識されることがなかったような気がしています。芸術科の目標、見方・考え方が示されたことでこれが広く共有されて、先走りかもしれませんが、各科目の具体的な授業の中に反映することを望んでいる次第です。これが1点目でございます。
 2点目ですけれども、これにつきましては、先ほど各委員から、基本的に賛同の意見が寄せられているところですけれども、12ページの知識及び技能の文末記述の理解についてです。これについては今回、とても分かりやすく整理されて、腑に落ちる状態になったかと思います。状態に至ることを客観的に本人が理解するということで、この方向で今のところよいのではないかというふうに考えております。ただし、やはり芸術では知識と技能を別々に評価した経緯もございますので、今後、議論の中で丁寧に周知していく方法等を考えていく必要があると考えております。
 最後、3点目になります。これは小さなことになるのですけれども、37ページのほうになります。37ページのほうに、書道のIからIIIまでの目標の改善案が示されています。そのリード文の部分になるわけなのですけれども、これは現行学習指導要領の美術、工芸にも既に同様の記述が見られるところなので、解釈の問題になるかと思いますが、I科目は「書道の幅広い創造活動」という記載があり、II、III科目は「書道の創造的な諸活動」というふうな表記になっているわけです。私の感覚では、創造活動と創造的な諸活動といったときに、I科目の創造活動のほうがより高度な芸術活動のように個人的には捉えてしまいます。I科目も書道の幅広い創造的な活動というふうに表記したほうが私としてはしっくりくるのですが、この点については、一度芸術の中で、全体の整合性もあると思いますので、御検討いただければありがたいと考えている次第でございます。
 私のほうは以上でございます。ありがとうございました。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の書道の委員の先生方からの御意見も踏まえまして、書道以外の先生から、何か書道についての御意見はございませんでしょうか。御意見がございましたら、挙手ボタンを押してください。よろしいでしょうか。
 それでは、お二人の書道専門でいらっしゃる委員の先生方、何か補足はございませんか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、最後に全体を通しまして、追加の御意見や各教科の時間枠の中で御発言がかなわなかった内容などございましたら、お一人2分程度で御発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。大泉委員、お願いをいたします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。これまでのお取りまとめ、本当にありがとうございます。私からは、足早に二つか三つ申し上げられればと思っています。
 まず、1点目は、見方・考え方と高次の資質・能力の関係について、とりわけ小学校図画工作科に関して意見を申し上げます。現状では、個別の学習内容から帰納的に導かれるという側面が強い状態なのかなと捉えています。もちろんこうした状態は、資料の13ページの上のほうに示されております、教師の単元づくりを助け、深い学びを授業で具体化しやすくなるためのサポートとしての役割としては全うしていると思います。一方で、見方・考え方、すなわち芸術の本質に関わる図画工作科の学びの意義とはどのようなことかというメッセージがやや弱いのかなというふうに感じています。
 例えば、23ページに示されている、造形遊びの高次の資質・能力が、表面的に見える活動の形式ではなくて、子供がそうした活動を通じて自分の存在を実感し、あるいはさらに人や社会、さらには文化を捉える素地を培うことなのだということを示せているかということになると、若干メッセージが弱いのではないかと思われます。子供が例えば石ころを並べたり、紙紐を空間にかけたりする活動を通して何を培うかというと、他者とともに自分で自分を育てるとか、世界を捉えるまなざしを獲得しているなど、こういったことが造形遊びの学びの本質なのではないかと考えたときに、今のままだと少し活動レベルに偏っているところがあるのかなというふうに思っています。そうしたときに、例えばこれまでの学習指導要領の解説や実施状況調査の結果で示されている言葉、造形遊びならば、自分と身の回りの関わりであるとか、生活や社会の中の形や色などの言葉、絵や立体や工作ならば自己を見つめるであるとか、夢や願い、よりよい未来などの言葉を基に検討していくことが必要なのかなというふうに思いました。
 さらに2点目なのですが、先ほど申し上げたことは前回ワーキングでも意見を申し上げた、区分とは何かという問いにも通じるかと思います。資料の11ページに丁寧に示してくださってありがとうございます。そこにありますとおり、区分とは、教科の特質や現状の課題を踏まえたものであって、個別の内容を単に分類したものではないということについては了解できます。ただ、それに加えて、区分に分ける必要があるのだということは、その教科で、子供が発揮する資質・能力には方向性があるのだ、前回会議でも出てきましたが、学習の方向性があるということを示す必要があるのだ、ということを意味しているのではないかなと思います。そうした説明を、どこかで丁寧に行う必要があるのではないかと考えています。
 時間になりましたので、以上2点で終わりにします。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。追加補足の御意見ございませんでしょうか。新井委員、お願いをいたします。
【新井委員】  時間があるようでしたら、私からちょっとだけ補足させていただきます。
 26ページなのですけれども、小中高に共通することで、資質・能力(概略)の中の項目なのです。資質・能力の、これは身近な生活や社会と美術の中の共通事項の中で、美術の働きや美術文化について理解するとあるわけなのですけれども、この辺りは具体的な例示はまだないですね。これは今後、学年ごとの段階的な記述の中で解決されるのかもしれませんけれども、例えば観察力1つとっても、小学校低学年では時間を伴った概念形成というのが観察によってできると。それから、中学年以降だと、全体の中の部分という相対的な観察ができるようになったり、中学校以降だと生活や社会の総合的なフィールドから主題を見いだしたり取り出したりするのが観察力、観察能力の具体的な在り方だと思うのですけど、そういったものが今後、記述できると思うのです。他の教科の学習や暮らしの中ででも、課題を正確に取り出せる能力として、例えば先ほどから申しています観察の個別具体的な能力を位置づけていくということが、子供たちに芸術教科の存在意義を実感させることに繋がるのかなというふうに考えていまして、今後、検討をいただく段階で、その辺りを意識していただけると大変ありがたいです。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。また時間は若干ございますので、ありましたらどうぞ。藤井委員、お願いをいたします。
【藤井委員】  ありがとうございます。私のほうからは、先生方の様々な御意見の中にもあったと思うのですが、本日の資料の5、6、7ページに、高等学校芸術科に関する各科目の目標というところに示してくださっている内容について、コメントといいましょうか意見を述べさせていただきたいと思います。
 高等学校についてですが、中学校、小学校も同じような考え方がされているのかもしれないと思いましたが、新しい学習指導要領等の在り方について論点整理では、今後、特に学習プロセス、学習の過程を評価して見ていくことが示されていると思います。
 そのような観点から目標のところを改めて見たときに、例えば、5ページですと、知識及び技能と思考力・判断力・表現力等のところが示されていますが、美術I、II、III、工芸I、II、IIIにおいて、これらの目標は日本語のわずかな違いとして表現されていると思います。加えて、個性を豊かにしてであるとか個性を生かしてというふうに加わっているところがありますが、これらの評価、学習のプロセスが少し曖昧というか、評価が難しいところもあったのではないかなというふうに感じております。方向性としてこのような在り方でよいと思いますが、評価の観点としてより分かりやすい表現にすることも考えられるのではないかと思います、例えば7ページの学びに向かう力・人間性等において、感性を高め、美意識を高め、感性と美意識を磨きというような形で系統性が示されていますが、評価が少し難しい、曖昧さというのがあるのかなと思いました。こういうところも今後、考え方を含めて少し工夫できるところなのかなとお思いました。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、そろそろ時間になりますので、最後に私のほうから、本日の議論を踏まえた意見を述べさせていただきます。
 まず、資料の2ページにございます、今回の目標及び見方・考え方、高次の資質・能力の改善の方向性の中で6項目にまとめていただいておりまして、この6項目いずれも重要であるというふうに考えておりますが、これまでの委員の皆様方の御意見を基にしたたたき台が教育課程企画特別部会に出されて、他教科と並べて検討されるときにおいては、特に私は芸術系教科・科目の特質として、1、2、6がやはり重要であると思っております。もちろん岡本先生がおっしゃいましたように、4にありますような言語活動を通じて見方、感じ方を深めようとするその人間関係、表現者とそれを受け止める側との関係性はもちろん重要でございますが、教育課程全体の中で、我々芸術系教科・科目が今、何を責任として果たさなければならないのかということを考えたときには、やはり私は1と2と6が重要ではないかと思っております。
 それと関連いたしまして、資料の8ページのほうに、ここは幾つか御意見いただきましたが、まずはやはり文化などの視点、文化的な視点、伝統や文化などの視点というのが、各音楽、美術、工芸、書道に入りましたことは非常によかったと思っておるところでございます。やはり教育課程全体の中で、文化に対して責任を持つ教科群、科目群であるということが明確にこれでできたのかと思っております。ただ、文化芸術振興基本法を挙げるまでもなく、文化を我々が取り上げたときには、そこに継承と発展があるというのが絶対だと思っております。したがいまして、我々は子供たちの教育に文化の学びを使いながら、それは文化としての発展性をもちろん踏まえているのだということをきちんと押さえておきたいと考えます。
 それから、大泉委員のほうからございましたように、その後、意味や価値を追求する、見いだす、つくりだすというところあたりの差に関しては、改めてここで音楽の委員の先生方、書道の先生方の御意見を聞きながら、やはりここの辺りは教科・科目としての特性があってよいといいますか、あるべきだろうと思っております。ただ、当然それについての違いをきちんと説明できるということが必要になってくるかと思っております。
 これは小池先生のほうからあったと思いますけれども、この見方・考え方というのはもっと簡潔であるべきであるというところに関しては、これ以上簡潔にできるかどうか、ちょっとまだ難しいところではございますけれども、例えば、現場の先生方が新入生を迎えてその保護者会で、先生、図画工作って何を勉強するのですか、中学校の美術では何を勉強するのですか、音楽は何を勉強する科目ですかと言われたときに、やはりきちんと現場の先生が答えられるというところの根拠になるのが、灯台と示してございましたけれども、この見方・考え方であると言えます。そうするとこの文章は、やはり社会に開かれて、誰もが理解しやすいものでなければならないというところが、非常につくっていく上では難しいかなと考えています。
 当然のことながら、これからまた教育課程企画特別会からの御意見等が入ってきて、それを先生方に見ていただいて、さらに意見を深めていくところでございますけれども、今後またひとつよろしくお願いしたいと思っております。今回、こういう形でまとまりが非常に出てきた点については、1つ安堵感があることも事実でございます。
 それでは、続きまして、私のほうから、今後の流れについて確認をさせていただきます。議論の前にも御説明したとおり、今回、暫定的に整理いたしました目標、見方・考え方、高次の資質・能力のたたき台については、2月の教育課程企画特別部会のほうに提出することとなります。本日、様々な御議論をいただきましたが、本日の先生方の御意見を踏まえて修正がある場合は、主査である私のほうに御一任をいただくということで進めさせていただいてよろしいでしょうか。特段御意見がなければ、そのように進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日予定されていた時間も迫ってまいりました。限られた時間での御発言となりましたので、会議中に言い尽くせなかったことや追加の御意見などございましたら、1月29日、木曜日頃までに事務局までメールにてお送りいただければと存じます。
 それでは、最後に、次回の予定について事務局よりお願いをいたします。
【奈雲参事官補佐】  失礼いたします。次回は、2月17日火曜日、9時半を予定しておりますが、正式には後日改めて事務局より御連絡いたします。
【大坪主査】  ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、本日の第5回の芸術ワーキンググループを閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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