教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

令和7年10月27日(月曜日)9時30分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 芸術教育の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【大坪主査】  定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会芸術ワーキンググループ、第2回を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 それではまず、事務局より委員の出席状況、配付資料の確認、その他留意事項があれば説明をお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  ありがとうございます。本日は山内委員が御欠席となっており、17名の委員の方に御出席いただいております。
 資料について、議事次第に記載してありますとおり、資料1と参考資料がございます。そして、前回と同様、対面会議でいうところの机上配付資料として、前回会議資料と、ワーキンググループにおける審議の御参考として学習指導要領本体や解説、関係する審議会の答申等をまとめた参考資料集を、事前に別途お送りしております。
 また、会議の運営に関して一点お願いでございます。御発言の際は挙手ボタンを押していただきまして、ミュートを解除してから御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。
 事務局からの説明は以上です。
【大坪主査】  続いて、事務局より議題についての説明をお願いいたします。
【堀内学校芸術教育室長】  文化庁学校芸術教育室長の堀内と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1に関しまして私から御説明させていただきます。画面共有をさせていただきます。
 それでは、資料1につきまして御説明させていただきます。まず、10月14日に開催されました総則・評価特別部会におきまして、今後の各教科等ワーキンググループの進め方につきまして示されております。そちらの中で、1月中をめどに、目標と「見方・考え方」、それから高次の資質・能力、これらについて全体の一覧のたたき台を作成していくことになっておりますので、この芸術ワーキンググループにおきましても、今後1月中までのところで整理を進めてまいりたいと考えております。
 まず、総則・評価特別部会第2回における改善の方向性につきまして御説明させていただきます。これは10月14日の総則・評価特別部会において示されました方向性であります。
 まず、現状の記述ぶりの課題に関しまして、現在の学習指導要領の教科の目標の柱書きには3つの要素がございます。一つが「見方・考え方」、そして教科に特徴的な活動、それから資質・能力の趣旨ですが、これらが冗長で分かりにくいといった御指摘がございます。また併せまして、特に「見方・考え方」につきましてはその具体的な内容については解説のほうに示されておりまして、これと併せて読まなければ分かりにくいといったところが課題として示されております。
 こういったことを踏まえまして、今後の改善の方向性といたしまして、この目標の柱書きにつきましては、資質・能力の趣旨を端的に示すということで、さらに卒業後までを視野に入れた「見方・考え方」として示していくことになりますとこの内容は焦点が定まらなくなるといったところで、この目標の柱書きについては育成したい資質・能力の趣旨でありますとか固有の学習過程を端的に示すということで、「見方・考え方」については目標とは別に別途欄を設けて記載してはどうかということが示されております。
 こういったことも踏まえまして、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」それから「学びに向かう力・人間性等」に係る目標の記載の見直しと、それから「高次の資質・能力」の在り方も今後検討が必要になってくるところでございます。
 続きまして2ページ目に参ります。「見方・考え方」の在り方についてになりますけれども、こちらは論点整理の示された事項がございます。まず、論点整理におきましては、「見方・考え方」を、各教科等を学ぶ本質的な意義の中核に焦点化していくことで具体的な方針が示されております。さらにその具体の内容につきましては、解説ではなく、学習指導要領の本体に位置付けることで方針が示されております。
 また、「見方・考え方」の意義につきましては、徐々に資質・能力の育成を導くという観点だけでなく、よりよい社会や幸福な人生に繋げていくものということで、学校教育のみならず、その後の人生でも豊かに働くことも視野に入れているところで示されているところでございます。
 このようなことも踏まえまして、10月14日の総則・評価特別部会におきましては、「見方・考え方」に含める要素といたしまして3点示されております。1つ目としまして当該教科等が扱う事象や対象、2つ目としまして当該教科固有の物事を捉える視点、それから3つ目としまして当該教科固有の考え方や判断の仕方ということで、これらの要素を含めていくことを基本とするということであります。また併せまして、教師が児童生徒の学習・指導を構想する際に「教科の本質を外していないか」ということを確かめられるものであることも示されております。加えまして、その書きぶりについては現在よりも短く端的に示すことも示されております。
 このようなことも踏まえまして、芸術系教科・科目における本質的な意義の中核をなす「見方・考え方」も今後検討が必要になるかと考えております。
 ここからが本ワーキンググループの論点案となりますけれども、本日御議論いただきたい内容といたしまして、「芸術系教科・科目においてどのような資質・能力を育成すべきか」という点について各委員の皆様から御知見を頂きたいと思っております。その際の具体的な視点の例示としまして3つほどお示しさせていただきます。
 1つ目といたしまして、芸術系教科・科目で学んだことが児童生徒の幸福な人生やより豊かな社会の創造にどのように繋がっていくのかといった点であります。これは「見方・考え方」により近い視点になろうかと思っておりますけれども、具体的な視点例を右側のグレーのところにお示ししております。世の中にある音楽、美術、工芸、書道等との関わり、これらの芸術との関わりを実感できるようにするために、身の回りにある対象や事象をどのような視点で捉え、考えるべきかということでありますとか、芸術系教科・科目を学ぶ本質的な意義が何かというところで、学習と社会との繋がりにはどういうものがあるのか。あるいは、子供たちが自らの人生をかじ取りする力を身に付けることやウェルビーイングの向上を図る上で芸術系教科の意義はどのように考えるか。このような具体的な視点なども御参考いただければと考えております。
 2つ目の黒丸でありますけれども、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の重視すべき側面としてはどのようなことが考えられるかというところで、具体的な視点例といたしましては、1つ目としまして、芸術系教科・科目の担うべき役割とその目指すところについてどのように考えるか。これは目標の関わりが大きな部分であろうかと考えております。
 それから2つ目、3つ目になりますけれども、題材を繰り返しながら資質・能力を身に付けるという芸術系教科の学習の特性を踏まえた学びの深まりをどのように考えるかということ。あるいは芸術系教科・科目において、資質・能力に相互に関連させて育成することの重要性をどのように考えるかという点であります。この2つ目、3つ目に関しましては、今回、高次の資質・能力という形で学習指導要領の構造化を示していくことにも関係する視点になろうかと考えております。
 さらに3点目の黒丸でありますけれども、他教科等においても汎用的に活用することができる芸術系教科・科目の資質・能力はどうあるべきかということに関しましては、芸術系教科で学んだ資質・能力につきまして、どのように他教科等でも生かすことができるのかというところで御意見を頂戴できればというところで挙げさせていただいております。
 以上が論点案でございます。
 それから4枚目に移らせていただきます。ここからは、前回第1回の芸術ワーキンググループで頂きました主な意見を先ほどの視点例に沿った形で整理させていただいたものであります。幾つかかいつまんで紹介させていただきます。
 まず、芸術系教科・科目の意義に関することに関しまして、創造性・感性という観点から、1点目のところでありますが、「芸術系教科の特徴として創造性がある。自分にとってどんな価値があるのかを考えることによって、世の中の様々なことが自分にとって意味のあることになる。それが芸術系教科の意義ではないか。」といった御意見を頂きました。
 あるいは、感性ということに関わりましては、ここの4点目になりますが、「芸術系教科を学ぶこと自体が感性を育む上で重要であり、つくりだす喜びそれ自体の大切さも忘れてはならない。」といった御意見を頂きました。
 また、多様性に関しましては、「多様性の包摂はこれからの時代において重要である。特に芸術系教科ならではの様々な学びに繋がっていくものである。」といった御意見を頂戴いたしました。
 5ページ目に移らせていただきます。その他ということに関しまして、「子供たちが芸術系教科の意義を感じながら学ぶことが重要である。学校という集団の中で芸術を学ぶ意義とは、他者と自分との関係性の中で学校が相互承認の場であり、自己肯定感や自己有用感が育まれていく。」といった御意見を頂いたところであります。
 6ページ目に参ります。芸術教育において育成する資質・能力に関することということで、自律的な学びに関しまして、1つ目のポツでありますけれども、「子供自身が考えることができる指導が重要である。指導過多でもなく放任でもなく、教師が指導することと子供が考えることとのバランスを考えることや、学習の過程を重視した指導が求められる。」といった御意見を頂きました。
 そして文化に関わりましては、1つ目のポツでありますが、「文化は重要である。我が国の文化はどういうものなのか、どういう文脈でその文化があるのかといった、広い視野で捉えることが大事ではないか。」といった御意見を頂きました。
 7ページ目に参ります。身体性に関連してでありますけれども、1つ目のポツでありますが、「楽譜を読める技能など、粘り強く学習しなければ身に付かない身体的な技能を習得する過程で達成感などを感じることができ、これが学びに向かう力・人間性等にも関わりが大きいのではないか。」といった御意見を頂きました。
 それから8枚目に移らせていただきます。芸術系教科・科目と他教科等との繋がりに関しまして、教科横断や連携の在り方でありますけれども、2つ目のポツでありますが、「芸術はSTEAMのAの役割として新たな気づきを生み出し、粘り強く解をまとめる教科としての関わりがふさわしく、探究的な学びを深めるためには、その側面から芸術系教科と他教科との連携が重要である。」といった御意見を頂きました。
 前回頂きました御意見を本日はより深める観点で、あるいは頂いた意見とはまた別の観点から御意見を頂戴できればと考えているところでございます。
 それから9枚目から11枚目にかけましては、現行の学習指導要領及び解説におきます芸術系教科の目標と「見方・考え方」をそれぞれ整理させていただいたものになります。こちらの説明は省略させていただきます。
 12ページ以降は参考資料ということで、10月14日に開催されました総則・評価特別部会の資料、それから前回の芸術ワーキンググループの資料の現状と課題の資料をまとめて整理させていただいております。こちらも時間の都合上、本日の説明は省略させていただきます。
 私の説明は以上になります。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは、芸術教育の改善・充実について、委員の皆様に御議論いただければと思います。資料1の3ページ目の論点案を御覧ください。「芸術系教科・科目においてどのような資質・能力を育成すべきか」について、丸1「芸術系教科・科目全体として」、丸2「個別の芸術系教科・科目として」、丸3「発達段階(学校段階)ごととして」について御意見を頂きたいと思います。
 初めに、丸1「芸術系教科・科目全体として」に関わり40分ほど議論いただいた後、5分間の休憩を挟んで、丸2「個別の芸術系教科・科目として」に関わり御議論いただきたく考えております。なお、丸3の「発達段階(学校段階)ごととして」の観点については、丸1・丸2と適宜関わらせて御発言いただければと思います。
 では、丸1「芸術系教科・科目全体として」に関わり、どのような資質・能力を育成すべきかについて、視点例を参考にしていただきながら、委員の皆様の御専門、御所属などの見地から御発言いただければと思います。御意見のある方は挙手ボタンを押して御発言をお願いいたします。なお、御発言はお一人3分程度にまとめていただきますようお願い申し上げます。それでは御意見のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 それではまず新井委員、それから次に齊藤忠彦委員、お二人挙がっておりますので、まず新井委員からお願いいたします。
【新井委員】  私からは芸術系教科・科目全体、美術のほうに結構ウェイトが置かれることになると思いますけれども。まず、美術の教科の特徴を明示する上で、現在、目標や学ぶ意義について意見を求められているわけですが、もう一つ重要なのは美術教育が何を基盤とした教科なのかという点で、この2つは教育課程を編成する上で切り離せないものですので、これについて意見を申し上げます。
 芸術教育、これは出発点として何を基盤とするかということについてですが、やはり体験活動であったり、五感を通じて学ぶ身体性といったフィジカルの充実に関するものを位置付けることが今日的な教科理解であり、重要と考えています。
 理由ですけれども、教科の目標や学ぶ意義が文化庁さんから出されている「幸福な人生や豊かな社会の創造」の延長線上にあるとすれば、その実現には他教科にたくさん含まれているトップダウン型の学習ばかりではなくて、美術教育、芸術教科に多く含まれているボトムアップ型の学習が必須です。これは幼児教育から繋がる学びであって、学習者本人のありようを尊重した学びでもあります。
 芸術教科が際立って他教科と異なるのは、例えば美術の場合では形や色などの造形的な「見方・考え方」、そういった点を学ぶだけではなくて、幼児教育から繋がる材料体験、それから五感を駆使した身体性の学びなど、ボトムアップの学びが息づいているところにあります。この点は全ての教科に通底する汎用的な観点から見ても重要な学びです。ということで、それが理由の1点目。
 もう一つが、中学校の先生方の教科観がコンピテンシーベースになかなか変わりづらいといった現状がございます。この教科観を改変することを容易にするために、改変の一つの核として、例えば美術であれば小学校の造形遊びに近い教科内容や共通の領域、例えば材料体験であったり造形実験といった実験的な内容を中学校にも設ける必要についても指摘しておきたいと思います。
 まずはそのくらいが私からの意見となります。以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に齊藤委員、お願いいたします。続いて道越委員、大泉委員の順番でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。齊藤委員、どうぞ。
【齊藤主査代理】  皆様、おはようございます。今日は3分で発言ということですので、一応ストップウォッチで計りながらいきたいと思います。
 まず、芸術でどのような資質・能力を育成すべきかということであります。大きく捉えると、多様な芸術と豊かに関わることができる資質・能力を育成することによって、人生を豊かにする、ウェルビーイングにも繋がっていくと考えられます。
 具体的な視点としまして、今、新井先生からもお話を頂いたような視点も含みますが、まずは感覚的に捉えることができる教科である。これは五感を使ってということもありますし、体を使ってということもありますし、感覚的に捉えることが感性の育成にも繋がる。これは教科の特性になろうかなと思います。
 あと、その感覚的に捉えることにより人間の感情が変化する。つまり心理的な作用や生理的な作用がある。学校教育の中で大事にはしてはいるのですけれども、音楽を聴いて心地いいよねとか、歌ってストレスが発散されたとか、ストレス発散だけじゃいけないかもしれませんけれども、そういう喜びですよね。人間として芸術活動をすることによる喜びを体験することが非常に大事なことに繋がっていくのではないかなと思います。古代ギリシャのアリストテレスがカタルシスの効用と言っていますけれども、精神浄化という意味かと思います。それが今の時代においても非常に大事なことに繋がっていくのではないかなと思います。
 そしてあとは、これも芸術教科だと、例えば感性の育成とか、仲間と一緒に音楽をつくることの喜びとか、言ってみると人間教育的なことについての話がよく出るのですけれども、芸術教育であるからこそ、芸術教育そのもののいわゆる知識や芸術教育そのものの技能、この本質的な知識・技能についての学びを大切にすることからスタートすることが大切です。芸術そのものの教育、そしてそれを通して人間的にどのように成長することができるかということも大事にしていくとよいかなと思っております。
 ということで3分以内に収まりましたので、私の発言は以上とさせていただきます。
【大坪主査】  ありがとうございました。道越委員、お願いいたします。
【道越委員】  よろしくお願いいたします。今お二人の先生方がおっしゃってくださっているように、美術、音楽、書道、いずれもやっぱり美しいとまず感じる、感覚的に感じることであって、人の心を動かすものであると思います。それは大人であっても子供であっても、日本人であっても外国人であっても、必ず人の心に直接的に訴えかけてくれているものですから、やっぱりそういった自分なりに感じ取る感性、これを育む上でなくてはならない教科であると思います。
 今、例えば子供たちは生まれたときからあらゆる情報に触れて育っておりまして、自分たちの子供時代とは全く違う世界を生きていると思います。正解を見付けようと思うと、使い慣れたタブレットとかスマホで小さいときから簡単に欲しいものが手に入る、情報が手に入る。正解を探そうと思えば、そういったものでつくりだすことや探すことはできる。ただ、そういったものを考える間もなく自分の中に入ってくるというよりは、やっぱりこういった芸術系教科を通して、自分とは何かとか、自分が美しいと感じたわけは何かとか、そういったことを思考することによって、子供たちが自分の中に新たな価値をつくり出す、私はそこのところがすごく重要だと思います。
 人と自分は違っていい、それから自分はこういうものが好きなのだ、美しいと感じるという、ある意味自己実現、それから自分のことを理解するという意味で、芸術教科は本当に意味があるなと思います。
 それから、先ほど五感という、前回の会議でも述べたわけですけれども、体の諸感覚に直接働きかけてくる、それは芸術作品、美しい作品もそうですし、自分の手で生み出したもの、友達の手でつくり出したもの、そういったものが子供たちの心に響いて、それで心を動かされてくるという、価値をつくり出すという教科であること。そういった学びを重視したい。正解を求めることではなくて、自分の中に答えをつくり出す、それが体全体と心を使って答えをつくり出す。それが感覚的に捉える経験を繰り返す、それを考えることを繰り返すことによって、自分の中に新たな技能であるとか、知識であるとか、そういったものも、考えることによって生まれてくる。それを繰り返していく。小さな経験と考えることを繰り返していく。そういったことで非常に意味のある学びであるのではないかなと思っております。
 以上になります。
【大坪主査】  ありがとうございます。それでは大泉委員、お願いしますが、大泉委員の後、水戸委員、それから佐藤委員の順で御発言をお願いいたします。では大泉委員、お願いします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。私からは、先ほど来の先生方の御発言に繋がるとは思うのですが、もう少しピンポイントにお話しできればと思います。
 芸術系教科においてどのような資質・能力を育成すべきかということに関してですが、特に学びに向かう力・人間性等と他の資質・能力との相互の関係についてであります。
 まず、当たり前のことですけれども、芸術系教科は表現と鑑賞というような、子供のパーソナリティーに深く関わる学習を行うことを確認したく思います。ですから、子供や社会のウェルビーイングを目指すこれからの学校にとって、芸術系教科が果たす役割が大きいことは皆さん御認識のとおりかと思います。そうした中で、芸術系教科にとって学びに向かう力・人間性等の育成は極めて重要かと考えています。
 ともすると、結果に目が行きがちな芸術系教科の学習においては、活動あって表現・鑑賞なしということが起こる危険性があるように思うのですね。そうではなく、活動であると同時に表現・鑑賞であることを実現する必要があるのではないかと考えます。そのためには、表現・鑑賞の前提に、その子の感覚であるとか情意であるとか感性が位置付いていることが絶対に必要なのではないかと考えています。
 ここで思い出すのですけれども、皆様も御存じかと思いますが、芸術系教科の授業の中で子供が教師に伝えに来る「できたよ」という言葉の中には、少なくとも3つの意味があると言われています。1つ目は当然「作品ができたよ」ということ。音楽の場合は合奏や合唱の発表などが入るかもしれません。2つ目は、もしかしたら目に見えにくいのかもしれないのだけれども、意味や価値、すなわち「イメージができたよ」ということ。最後に忘れてはいけないのが、その「できたよ」の中には「私ができたよ」ということも入っている。この「私ができた」という意味が、活動を子供の感覚であるとか情意、感性が働いた表現・鑑賞として教師が捉えるためには必須なのではないかと思います。
 こういったことは、これも先生方はよくお聞きになるかと思いますが、芸術系教科の授業が豊かに成立している場合は、その学級の経営もまた豊かであるという認識に繋がるのではないかなと思います。
 そして、ここで翻ってみますと、現行の学習評価の基本構造では、学びに向かう力・人間性等は主体的に学習に取り組む態度の観点で評価することとなっています。さらに、育成を目指す資質・能力の学びに向かう力・人間性等のうち、感性や思いやりなどについては観点別評価ではなくて、個人内評価で行うこととなっています。しかし、残念ながらこの個人内評価は観点別評価に比べると決して関心が高いとは言えないのではないかと思います。ですので、今回も学びに向かう力・人間性等の評価が観点別評価から外されると検討されていることによって、同じような事態を招くことを懸念はしております。
 では、どのようにその心配に対して対応すればよいのかということですが、なかなか具体的なアイデアが思い浮かばずに恐縮ですが、2つほど要点はあるかと思います。
 1つ目は、芸術系教科にとって、学びに向かう力・人間性等は表現・鑑賞という学習活動を成立させる必須の要件でありますので、知識・技能と思考・判断・表現力等のベースに位置付くという資質・能力の構造イメージを持つことが重要なのではないかと思います。それをどう具現化するかということについては、まだ曖昧ではございますが、そういった三次元的な構造イメージを持つことが大事かと思っています。
 2つ目は、当然ながら個人内評価の考え方の啓蒙とその具体的な方法の提示ということがあるかと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に水戸委員、お願いいたします。
【水戸委員】  よろしくお願いします。私が申し上げようと思っていたことが、今お三方の先生方がおっしゃってくださったこととかなりかぶるので、しかも私、本当に先生方がおっしゃっていることに同意できることばかりなので、ちょっと補足という感じで私も意見を述べさせてもらいたいと思います。
 私が今先生方に御議論いただいていることに関連して思っているのが、目標に書かれている3番で学びに向かう力のところですが、3番に書かれていることの多くは、今出てきたような感性とか情操とか、そういうものの育成に関わると思われるのですが。それは言葉を換えると、芸術教科はやっぱり審美教育なのであるということが非常に大事な柱の一つで、それがいかに学びに向かう力に向かっていって、しかもさらにそれが社会を豊かにするとか、生活を豊かにすることにどう繋がっていくのかが今後もっと明確に出せたらいいかなと思っております。今の現行のものも解説とかを読むと分かってくるのですけれども、それがもうちょっと端的に柱書きに出てくるといいかなと思っております。
 そこで、何に注目するべきかと私が思ったのが、いわゆる感性とかから一歩踏み込んで情操といったときに、一番大きな違いというか大きな大事なところは、いわゆる価値を実感できるという、価値を実感できることによって自分から積極的にもっと学ぼうとかという、向かっていく力に繋がっていくんではないかなと思っています。
 それには、やっぱり学校で音楽、学校で美術、学校で書道をやる意義にも非常に深く繋がるのですが、やっぱり芸術教育は学べば学ぶほどその奥深さ、価値が分かっていって、なので、音楽って日常生活にもいっぱいあるし、わざわざ学校でやる必要はないのではないかという議論は必ず出てくるのですけれども、やはり芸術音楽をやっているのだ、芸術の美術をやっているのだということとも繋がって、それは学び続けることによってその価値が分かり、その価値がさらに社会のためになるとか、生活が豊かになることに繋がるのだということに実感を持てることになるのが今後大事ではないかと思っています。
 ちょっとまとまらない意見になっているのですが、以上です。ありがとうございました。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に佐藤委員、お願いいたしますが、その後、小池委員、山下委員、岡本委員の順で御発言をお願いいたします。それでは佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。今まで先生方がお話しくださったことは自分もここのところ考えていることにとても近いなと思って伺いました。
 私は視点の本質的な意義、芸術教科を学ぶ本質的な意義と、それが学習と社会を繋ぐものにどうなっていくのかというところでお話ししたいと思うのですが。本質的な意義というところをもう少し砕いた形で言うと芸術教科の強みなのかなと思っていて、芸術教科の強みは、個人の身体的な体験から生まれる感情や感覚を巻き込んだ学びであるところが強みだと思います。テクノロジーがすごく発達していて生成AIがいろんなものを生み出しているこの中で、その実感を持って知識とか技能が身に付いていくところが芸術教科の強みであって、そこのところでもう一つ私が思うのは、個人の感覚とか感情と結びついて学びになっていくところが、ほかの教科にはなかなかない特性だろうなと思いました。
 実感を伴って身に付いた知識は、例えば他の学習の中でも生きていくと思いますし、あるいは社会の中でお仕事、いろんな仕事に就くと思うのですけれども、そんな中でも生きていくのだと思います。それは実感を伴うということで、例えばですけれども、ちょっとした違和感に気づくとか、あるいは言葉にならない、表情にもちょっとしか表れないところを見抜いていく医療の現場でそういうものが役に立っていくとか、そんなふうな、人間だからこその能力がそこで培われていくのだろうなと思っています。
 鑑賞でも表現でも、その実体験を積み重ねていくことが物事を見る精度を高めていくと思います。少し美術寄りにはなるのですけれども、例えば文化の学びについても実体験を伴って、先ほども委員の先生方がお話しくださったように、活動が鑑賞の中にもあることを言っていただきましたけれども、例えば今、当館に展示されている若冲の屏風には筋目描きというものがなされています。筋目描きはなかなかお弟子さんにもできなかったことだと思いますけれども、それを鑑賞するときに、墨の感覚を十分に実感した上で鑑賞すると、見えているものだけではなくて、その向こう側にある作家さんの息遣いとか緊張感とか深みとか、あるいは鍛錬とか、そういったものまで感じ取れる、実感として感じ取れて、それが深い学びに繋がっていくのではないかなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に小池委員、お願いいたします。
【小池委員】  ありがとうございます。私からは、芸術系教科・科目で学んだことが児童生徒の幸福な人生やより豊かな社会の創造にどのように繋がるか、生活や社会においてどのような意義があるかということですけれども、1つ目は、大変大きな捉えではありますが、やはり創造活動の基礎的な能力を育てる、これに尽きると思います。創造することの喜びを味わい、自ら考え、自ら物をつくっていく、創造していく能力は、今、先生のお話もありましたけれども、非常に変化の激しい社会においてやはり重要な資質・能力であろうと考えております。これが芸術教科の根本であること、これは不変であると捉えられると思っております。
 それに関連しまして2つ目ですけれども、芸術を通して豊かな人間性を涵養していくこと、創造性・感性を育んでいくこと、さらに情操を培っていくこと、これらは豊かな社会の創造には不可欠なものと考えています。
 3つ目ですけれども、文化ということです。伝統と文化、文化芸術について、その意義についてもより一層はっきりと位置付けていく必要があるのではないかなと思っております。日本の文化を知ること、それは同時に世界の文化を知り、それらを比較して学んでいくこと、あと多文化理解ということになると思うのですが、これらはこれからの社会では非常に必要な資質・能力ではないかなと考えております。生活や社会との繋がりが、芸術ということで芸術が学校の授業の中で生活や社会との繋がりがないと思っている児童生徒もいるかもしれませんけれども、そうではなく、幸福な人生や豊かな社会の創造に繋がることを、学習を通して実感を持って理解させていく、それはやはり物をつくっていく、聞いていく、考えていく中で理解させていく、互いに理解していくようなことが大事なのではないかなと思っております。
 発達の段階にもちょっとつながるかもしれませんけれども、文化を理解していくこととかそういうことを学んでいくことは、鑑賞だけではなく、表現を通しても学んでいく、芸術という教科全体を通して学習することが大事なのかなと考えております。これらは発達の段階に沿って無理のない形で学んでいく必要があるのではないかなと思っております。
 私からは以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に山下委員、お願いいたします。
【山下委員】  山下でございます。おはようございます。
 先生方から多角的な御議論を頂いているところで、全てにおいてうなずきながら聞かせていただいております。私からは、芸術系教科・科目全体で育成すべき資質・能力として想像力というキーワードを一つ付け加えさせていただきたいと思います。
 想像力、すなわちイメージする力は、現行学習指導要領解説でも図画工作や美術の「見方・考え方」に含まれているキーワードです。私は、これを音楽科を含む芸術系教科・科目全体で育成すべき資質・能力とすることが必要ではないかと考えております。
 想像力は直観と知性、あるいは知性と本能のようなものを繋ぐと言われておりますが、これは同時に芸術作品に内在する情動性、それから社会・文化的な背景に共感する土台ともなるものだと思っております。
 前回の参考資料の中に、芸術系教科・科目の学びの意義について児童生徒が十分に実感できている状況には至っていないという指摘がありました。しかし、芸術や芸術文化はもともと日々の生活や社会の中で生まれ、発展し、受け継がれてきたものだと思います。それなのに児童生徒が授業で学習したことを生活や社会で生かすことができると実感できていないのだとすれば、それは授業で扱う芸術の形や活動そのものが彼らの慣れ親しんだものと異なっているからだと思います。
 授業で学んだことを基に、連想したり、それからメタファー、すなわち隠喩のように別の文脈に移し替えたりして、慣れ親しんだ芸術の中に共通項を見いだすことができるようになれば、おのずとその意義を認識することが容易になるのではないかと考えます。その意味でも、想像力の大切さをいま一度ここで確認しておきたいと思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に岡本委員、お願いいたしますが、その後、原委員、森委員、藤井委員、稲委員、それから加藤泰弘委員の順番でお願いいたします。それでは岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  ありがとうございます。芸術系教育全体としてどのような資質・能力を育成すべきかという問いだったのですけれども、もう本当に先生たちの御発言と一部重なるところもあると思いますが、5つぐらい観点をお話ししたいと思います。
 1つ目は既に出ていますが、感性とか感じ取る力の資質は非常に大切だと思うのですけれども、観察や鑑賞などを通して心が動く体験を子供たちにさせる必要がある。また、別の観点として、自分や人の感情を自覚し、受け止める必要がある。また、感性とか感じ取る力ということで、キーワードで出ています身体性というもの。これもここに入ると思います。
 2番目に、思考力とか批判的理解力みたいなことの資質の話をしたいのですが、テーマなどを考え続けること、それからそれを言葉で説明すること。芸術の価値は言うまでもないですけれども、その価値の評価は言葉を重ねていくことしか逆に言うとないわけなので、そこの体験をさせていくことはすごく重要かなと思います。
 3番目に、これはもうつくる力ですね。創造性、表現する力。これはもうある一定の意図を持って表現していくことだと思うのですけれども、キーワードで出て、前回も出ておりましたが、創発性とかアイデアを思いつく、または技法、テクニックを学ぶ、そういったことだと思います。
 ちょっと総体的に言うのでスピードアップしますけれども、4番目の力として、コミュニケーションとか協働力だと思うのですけれども。ともにつくっていく力ですね。概して芸術の多くはグループワークであったりという表現も多々あります。これも先生たちから出ておられますが、他人の多様性を認めつつ、自分の表現も追求していく。そういったことであったり、グループワークの中で例えば協働して何かを行っていく。そういったコミュニケーション能力を培う必要があると思います。
 最後に、文化理解とか実行形成力の資質はすごく重要かなと思うのですけれども、芸術が生まれてくる背景、またはその歴史を含めてですけれども、その背景に、その基となった文化であったり社会であったりがあります。そういったところの理解も、理解していく資質は必要だと思いますし、かつ、芸術の本質的な要素として表現はグローバルであると。国際的なグローバルな視野の下に自己を見つめていくことが育まれるべきであると思いますので、多様な文化の理解とそれに伴ってもう一回自己理解に繋がる、そういった資質も必要かなと思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは原委員、お願いいたします。
【原委員】  原でございます。よろしくお願いいたします。
 皆様と重なるところはありますけれども、芸術系の教科は学校からすると学校行事の中にどんどん入り込んでいくものであるし、その時間に学んだことが生かされたり、または学校行事や合唱コンクール等の取組の中で子供たちが音楽体験や造形体験をすることで、また実感して教科のほうに戻ってくるような往還するものであることは、もうごくごく自然になされているなと学校現場で思っています。
 なので、本来、生活や社会との関わりを実感しやすいものなのではないかと思っているのですが、その実感する方法が、先ほどから山下委員さんもおっしゃっていたんですけれども、学校での学びの在り方、授業の在り方にやっぱり課題があるのだろうと感じているところです。
 実感するためには、言葉でそれが大事だと、音楽が大事ですよとか、図工や美術の体験が大事ですよと言葉で言うのではなくて、実際の音楽体験それから造形体験に基づいて子供たちが実感するものにならなければならないと考えています。どうしても結果で、上手にしなければならないとか、とても美しい作品をつくらなければならないというような価値観が子供たちの中にあって、それがどうしても払拭できない部分はあるのではないかと思います。それは授業の内容をどう構築するかとか、どう知覚・感受していく過程をつくるかということを、私たちもつくっていかないといけないなと思っています。
 私は学校で学ぶ意義、造形を学ぶ意義を考えたときに、最近、GIGA端末をどんどん使っていくようになりますので、芸術はその美しさを探究するとか、どんどん学校で学べば学ぶほど深くなることを先ほども水戸委員はおっしゃいました。ただ、ともに学ぶという、学校で芸術系の教科があるのは、他者と一緒に何かをつくりだす喜びであるとか、自分が刺激を受ける喜びがあるからだと考えています。子供が学校で学ぶ意義は、その部分をもう少し強調していかなくてはいけないかなと思っています。
 ともにつくりだす喜び、GIGA端末をどんどんこれから使っていくので、芸術を追求しているときに個人的な作業で終わるのでなく、やっぱりともに学んでいく姿勢を子供たちには実感してほしい、喜びを実感してほしいかなと思っています。その中で、互いのよさを認め合うという人間性の高揚にも繋がっていくのではないかなと考えているところです。
 時間が来ましたので以上です。
【大坪主査】  ありがとうございます。それでは次に森委員、お願いいたします。
【森委員】  森です。よろしくお願いいたします。
 多くの先生方がおっしゃっている身体性に根差した感覚だとか感情、非常に大事だと思いますし、それをさらにはメタ認知するプログラムが要るのだろうと思ってお聞きしていたということですが。そこは非常に大事なのですけれども、私のほうでは大学に生徒さんたちを受け入れる立場から、どんな能力を生徒さんたちに期待するかということについて今日は述べさせていただきたいと思っています。
 まず大前提として、つくる喜び、創造することや作品に触れること、創造的な作品に触れることは楽しいことですし、その喜びを感じることです。さらには独自の表現を探究しようという意欲、そういう意欲を持った人たちにぜひとも大学に来ていただきたいと思っているわけですけれども。
 そういうことを前提にしつつ特に大事にしたい能力の一つが、長年、映像系の表現教育に関わってきたこともあって、あるいはメディアアートのアーティストとして作品をつくっていることもあって、コンセプトワークに関わるところですね、企画とか構想力、ここをぜひ大事にしたいと考えています。どんな分野の作品を制作するにしても、表現技術はとても重要ですけれども、その前に、何をテーマにするのか、なぜそのテーマなのか、テーマに基づいて何を表現するのか、どんなふうに表現するのか、そのことについて考えることがコンセプトワークだとすれば、そのプロセスは非常に重要だと考えます。
 取りあえずの技術さえあれば作品らしきものはつくれるかもしれませんけれども、児童生徒が主体的に自分で考えて、自分の感性で作品をつくっていくときに、まずこの前提が非常に重要だろうと感じています。
 このコンセプトワークの中には論理的思考だとか、創造的な思考だとか、批評的思考が総合的に含まれると思います。答えを導き出すための論理的思考、言うまでもないですけれども、これは欠かせないですし、一方でアイデアを生むために自分の脳を解放して自由に発想していく、あるいは感性や感情を吐露していくような創造的な思考。当然これは芸術教育の中心でしょうし、本当にそれでいいのかということを問い直す批判的思考。コンセプトワークはこういうものが言わば複雑に入れ子状態のように入っているわけで、これを方法化することで企画構想力を高めることができるのではないかと考えています。
 これら3つは独立した思考でもあるけれども、相互に関連するものです。特に創造的な思考は芸術教育にとって欠かすことができないと思いますけれども、豊かな発想で面白い独自性のあるアイデアを生むためには、論理性や批評性を実は一旦停止する必要がありますけれども、なかなかそれができない。拡散的で開放的で楽しいプロセスを経てアイデアは出ると言われているわけですけれども、こうした思考は年齢とともに言わば軽視されがちなところがありますけれども、今後イノベーションが求められるような現在の社会においては非常に重要な思考として位置付けられるのではないかと考えます。
 私からは以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】  藤井です。
 今まで先生方がおっしゃった様々な御意見、私もなるほどと思って大変学ばせていただいております。私からは他教科等においても汎用的に活用できる芸術系教科・科目の資質・能力について少し意見を述べさせていただけたらと思います。
 まず、資質・能力を考える際に、やはり「見方・考え方」ということを踏まえる必要があると思います。小中高の学習指導要領における教育課程の実施と学習評価に「見方・考え方」の定義が示されていると思います。頂いた資料にもございました。ありがとうございます。
 その中で、知識を相互に関連づけてという内容があり「見方・考え方」においては各教科・科目における知識を相互に関連づけてということも非常に重視されているのかなと思います。各教科を横断して発揮する資質・能力を活用するといった双方向性のある学習が大切にされているのではないかと思います。
 その中で、芸術系教科・科目の資質・能力とは何かということを考えたときに、第1回ワーキングや本日の委員の先生方の御意見にもありましたように、芸術系科目・教科は正解がない教科、創造性を育む教科、多様性の包摂であるとか未来に向けた長い時間軸で生活に生きて働く力を養う教科といったことから、芸術そのものが様々な教科や領域の要素が深く含まれていることからも、他教科への波及効果という観点だけではなく、他教科の資質・能力を活用する観点も大切ではないかと考えております。
 芸術系教科・科目において教科固有の知識・技能の間に繋がりや深まりを生み出し、汎用性の高い学びへと展開していくという、この考え方は高次の資質・能力に繋がってくるものではないかと現時点で私自身は感じておりますけれども、教科の枠組みを超えた知識・技能とか思考力・判断力・表現力等といったことの構造化、これが芸術の学びという中でもできるような観点を考えていくことが大切ではないかと思いました。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございます。それでは次に稲委員、お願いいたします。
【稲委員】  ありがとうございます。私も芸術系教科で学んだことがどのような意義を持ってくるかということをお話ししたいと思うのですが。冒頭、新井先生からお話があったように、ボトムアップ型の…誰かがこれが一つの正解だよと言ってくれないからこそ、探究的に学んでいくことができる教科じゃないかなと感じています。
 もう一つは多様性ということですけれども、ウェルビーイングということにも繋がっていくと思いますが、芸術って、分からないとか理解できないとかというところに面白さを感じて、そこがスタートになる。必ず分かる、必ず理解するというところがゴールじゃないところに面白さがあると思っていまして、それは文化の多様性を理解することだったりもするわけですけれども、だからこそ探究していく。そして自分のウェルビーイングはこれだけれども、あなたのウェルビーイングはこれで、世界や社会のウェルビーイングはこれだということも、違う世界を分かっていく楽しさがあるなと思うので、やっぱり多様性というところが芸術の強みだなと感じています。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に加藤泰弘委員、お願いいたします。
【加藤(泰)委員】  よろしくお願いいたします。そろそろ40分も過ぎているようですので、委員の先生方がお話しになったことに尽きるとは思いますが、一点だけ申し上げたいと思います。
 論点整理にある、よりよい社会や幸福な人生に繋げていくということで言いますと、やっぱり鑑賞者というものを育てることが一点重要ではないかと思っております。作品をどのように捉えていくのか、表現された世界をどのように読み解いていけばよいのか。子供たちはそれぞれの作品を相互にどう評価し合うのか、あるいは鑑賞のプロセスも、この鑑賞のプロセスのさらに具体的な手順であるとか方法であるとか、そういった鑑賞の深化というものを小中高を通して段階的に育てていくことが重要ではないかなと思っている次第でございます。
 言葉にしにくい芸術表現をやっぱり言葉に、確かな言葉にして伝えていく、あるいは対話的な議論を行っていく、事象を分析的に捉えていく、というような資質・能力というのですかね。さらにお話にもありましたような批判的に物事を捉えることも重要でありますので、こういった力はあらゆる教科・科目に通底する資質・能力であると考えております。
 芸術科書道の話をして恐縮ですが、書道の世界では、一般的に、書というのは分からないなと、美術や音楽は分かるのだけれども書は分からないなというようなこともよく言われることがあります。表現活動による実感的な理解知、理解した知というのですかね、そういったものをどう活用していくのかというような点で、鑑賞の方法というか、そういうものをもう一度再点検していく必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございます。時間になっておりますけれども、今現在、廣田委員からも手が挙がっておりますので、廣田委員の御意見を伺って、その後、休憩前に堀内室長から補足を頂いて、それから休憩に入りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。それでは廣田委員、お願いいたします。
【廣田委員】  よろしくお願いいたします。もう皆様のおっしゃられたことに重なってしまっていますので、簡単に話をさせていただければと思います。
 私も、学ぶ意義というところで感性や創造性については大切なところだと考えています。感性については、よさや美しさといったものについて心が動く、そういったことを育てることが芸術系教科の大切なところだと感じています。また、創造性についても特に図画工作・美術については直接身体を使ってつくっていくところもありますが、その中で自分自身にとっての意味や価値をつくりだしていくところ、そこも大事かなと思います。
 そして、現行の図画工作科の学習指導要領の解説にも書かれていますが、自分にとっての意味や価値をつくりだすことが自分自身をもつくりだすことに繋がっているといったところも非常に大切にしていきたいなと思っております。
 感性や創造性、そういったところが、子供たちもそうですが、先生方がそれをいかに意識して題材にしていくかというところも大切なのかなと考えております。
 以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは堀内室長から補足をお願いいたします。
【堀内学校芸術教育室長】  ありがとうございます。本日のこの御議論の中でも、学びに向かう力・人間性等の重要性ということを多くの委員の先生方から頂きまして、誠にありがとうございます。
 その中で大泉先生から評価のことに関連しまして御意見を頂戴したかと思います。この点に関しまして少し補足をさせていただきますと、9月の教育課程企画特別部会の論点整理の中におきましては、観点別評価の評価観点としては、この学びに向かう力・人間性等につきましては存置するということで引き続き評価を行っていくことになっております。ただし、教科ごとに目標を準拠評価、いわゆる評定に繋がっていく評価として行うのではなく、教育課程全体を通じた個人内評価という形で評価を行っていく形になります。
 その際に、具体的に見取ることができる要素として思考力・判断力・表現力等の観点別評価に関わってくるようなものがある場合は、丸を付すような形を検討することもあるのではないかということで、特に学びに向かう力・人間性等に関しまして評価をしない、あるいは軽視をするということでは全くございませんので、この芸術ワーキンググループでも今後しっかりそれを評価していけるような在り方を考えていければと考えております。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
【大坪主査】  それでは、今の論点辺りも次の論点2でまた御発言があるかもしれませんけれども、論点1としましては一旦ここで休憩に入りたいと思います。
 現在30分を過ぎたところでございますので、35分まで休憩とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【大坪主査】  それでは議事を再開いたします。丸2「個別の芸術系教科・科目として」について御発言を頂ければと思います。御意見のある方は挙手ボタンを押して、お一人また3分程度を目安に御発言をお願いいたします。なお、この中に論点の3とありました発達段階等ももし含めていただけるようでしたらお願いしたいと思います。
 それでは、手が挙がっております新井委員、それから廣田委員の順番でお願いしたいと思います。新井委員、お願いいたします。
【新井委員】  先ほど委員の皆様から創造性についてたくさんお話をいただいて、おっしゃる通りだなとお聞きしていました。私からは、目標や学ぶ意義と関連させて創造性の位置付けを補足させていただきたいと思います。
 私は、前回の意見として目標や学ぶ意義について、一方は、現行の学習指導要領を発展・継続させて学習者自身の将来を豊かに支えるような観点でまとめて、もう一方は、様々な機会に生じる未知の問題にも対応できる汎用的な能力、例えば創造性や感性といった観点でまとめてはいかがかと意見を申し上げました。
 そもそも創造性は当たり前でないことを成し遂げていくことであって、その当たり前でない探究を支えるのは本人の確かな体験ですし、それから実感から来る自分自身への信頼であるという趣旨で、先ほど身体性の観点からお話をしました。
 創造性については、既に創造性は高次の資質・能力であって、それをどう実現させるかというと、創造性を支える、より基盤的な能力を柱の中に位置付けることが指導の具体性を実現させるものと考えています。創造性は複雑な能力であって、用いる対象や用いる人によって活用する能力が変化しますので、この点については過去の改訂では具体的な項目は挙げられてこなかった部分ではあります。しかしながら、研究によっておおよその概要が明らかになってきたこのタイミングを生かすことが大切だと思っています。
 創造性の育成に関する知識及び技能に該当するものとして、専門領域の把握だけではなく、近接領域への高い興味・関心といったものが挙げられて、この双方が思いがけない出会いをすることによって創造性が発現してきます。思考力・判断力・表現力等に含まれるものとして、先ほどから出てきていました拡散的思考や収束的思考の双方向的思考、それから思考の柔軟性、観察力、見通し力、生活の中の身近な問題に対する工夫や活用、それから即興的に活用できる力量等が挙げられると思います。
 学びに向かう力・人間性等に含まれるものとしては、主体性や願いや問いの生成、自ら生成していくこと、それから好奇心であったり思慮深さであったり、粘り強さ、そしてボーダーレスな情報活用能力、困難を楽しむマインド、自律性と遊び心の両立等が挙げられると思います。
 また、創造性の育成に関しては、前回大坪先生のまとめの中でも御指摘いただいたように、寛容性、すなわち即興的に生成された言葉や造形的な表現を否定せずに受け止めたり、意欲的に挑戦して失敗してしまった場合などのとき、それを受け止めたりする力としての環境的な整備も必要な点ではないでしょうか。ということで、私から創造性に関して補足させていただきたいと思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは廣田委員、お願いいたします。
【齊藤主査代理】  すいません、大坪先生、齊藤です。ここの話題についての進め方でちょっと確認させていただきたいのですけれども、「個別の芸術系教科・科目として」というのは、音楽とか図画工作・美術そして書道と、こういうふうに分けて考えるという視点でしょうかね。
【大坪主査】  丸1のように全体的な要素は入ってもちろん構いませんけれども、話のポイントとしては各科目といいますか、教科・科目に絞っていただけるとありがたいと思っておりますが。
【齊藤主査代理】  そうするとどうですか。例えば音楽だったら音楽で最初の話題で、次に図画工作とか、順番にしましょうか。それとももうランダムに美術はこうでとか、どうしたらいいですかね。
【大坪主査】  いずれのときに、3回目とかになればそうしないといけないかなと思っておりますが、今日のところは全体的にお話を頂く方向でいきたいと思っております。
【齊藤主査代理】  分かりました。すいません、途中で失礼しました。
【大坪主査】  それでは廣田委員、お願いいたします。
【廣田委員】  お願いします。では、私のほうは図画工作科の資質・能力に焦点化して話をさせていただければと思います。特に知識・技能の「技能」の面と、思考力・判断力・表現力等について話をさせていただければと思います。
 先ほどからもあります創造性だったりつくりだすというところについて、様々なことが生成AIとかそういったものに代替されるこの時代で、身体を使ってつくりだすこの図画工作科はとても重要な教科かなと考えています。
 その中でもとりわけ技能についてですが、令和4年の学習指導要領実施状況調査にも現れていますが、児童が自分の表したいことに合わせて表現方法を選んだりとか、組み合わせたりとか、さらには新しい表現方法を自分で見付けるような、自分なりに表し方を工夫したり表現方法をつくりだすことが今後も大切にしていかなければいけないと考えています。また、そういったことが深い学びに繋がっていて、創造性にも繋がっていくところではないかなと考えております。
 また、思考力・判断力・表現力等の特に発想や構想の部分についてですが、図画工作科では絵や立体、工作に表す活動がございますが、児童が自分のイメージをもちながら、主体的に発想や構想することを大切にした指導が今後も必要とされていくと考えています。そのためには、発想や構想する時間を十分に確保するとか、ICT端末を活用することも考えられるのかなと思っています。そのICT端末の活用については、前回の会議でも私から話をさせていただきました多様性の包摂に繋がっていくところなのではないかとも考えております。
 以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございます。
 今、廣田委員からございましたように、もし各教科・科目に特化してお話しになる場合には、例えば小学校図画工作についてとか音楽についてとおっしゃっていただけると、我々としても聞き取りやすいかと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは次に小池委員、お願いいたします。
【小池委員】  ありがとうございます。では、私からは美術についてお話しさせていただきます。知識及び技能、思考力・判断力・表現力等と学びに向かう力・人間性等というようなことに関連してお話をしたいと思います。
 まず、現行の学習指導要領で資質・能力にそれぞれそろえて記述されているようになりましたけれども、まず知識及び技能ですけれども、例えば小学校では自分の感覚や行為を通して形や色などの理解をすること、中学校美術では形や色彩、材料、光などの性質やそれらが感情にもたらす効果、造形的な特徴などを基に、全体のイメージや作風で捉えることとなっています。また、内容の取扱いについては、動きやバランス、立体感や遠近感等、より具体的な内容で示されていることになっております。
 これらの知識を今後も明確に示していく必要はやはりあるのかなと思っております。例えばこれらの言葉を使って児童生徒が考えられる、そして話し合えるようなことがより一層できるようになっていけばよいのかなと思っています。すでに授業の中では使っている面があるとは思うのですけれども、こういう言葉を使って子供たちが考える、児童生徒が考えるようなこと、そしてそれらを使って学んでいけるようになることが大切かなと思っております。
 これは図画工作・美術も学問ということであって、このような知識を得ることにより一層ものの考え方や捉え方が豊かになっていって、図工・美術の学習においても深まりが生まれると考えております。
 あと、思考力・判断力・表現力等については、やはり発想・構想すること、それについては引き続き重視していくことが大事だと思っております。一方、学年を追って発想することに困難を生じる児童生徒も見受けられるようだと思っております。特に中学校ではなかなかその発想・構想するところがちょっと難しいような面もあることはあると思います。
 それについては、学習内容にもよりますけれども、先ほどもありましたが、例えば素材体験であるとか、小学校の造形遊びから連続するような活動などもあってもよいのかなと思います。さらに調査活動、調査学習ですね、作家とか文化を調査するとか、それから言語活動、批判的思考を行ってディスカッションをするなどして、児童生徒がより抵抗なく資質・能力を身に付けさせるようなことができるようになればよろしいのかなと思っております。
 鑑賞能力については、やはりかなり言語活動で対話をしながら行われるようになってきたと思うのですけれども、やはり美術文化についての資質・能力を身に付けるようなところはより一層必要になってくるのではないかなと思っております。
 あと、学びに向かう力・人間性等については、学習したことを踏まえて人生や社会に向かう際の情意、感性に係る側面も重視すべきという、10月14日の総則・評価特別部会の資料1の1にあることですけれども、その意見に私も賛成いたします。
 それから、他教科について汎用的に活用することができる能力ということで、やはり物事を豊かに想像する力、想像力、それから試行錯誤する力、あと挑戦する力、リスクを取る力、それから自ら問いを立てて問いについて考える力、答えのない問いに最適解を見付け出す力、一つには定まらない多様な解を互いに認め合う力などは、芸術教科において豊かに育まれる資質・能力ではないかなと考えております。
 私からは以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に道越委員、お願いいたしますが、その後、稲委員、森委員、大泉委員、齊藤委員、水戸委員の順番で御発言をお願いいたします。それでは道越委員、お願いいたします。
【道越委員】  よろしくお願いします。今、小池先生がおっしゃっていた知識という、前半、〔共通事項〕のところを少し具体的におっしゃっていたと思うのですけれども。私も中学校美術というその立場から、〔共通事項〕の知識のところについてお話を致します。
 子供たちは直感的に美しい、心に訴えかけてくるとか、先ほどそういうことを申し上げましたけれども、それを美しいと感じることと同じように、何でそれが美しいと自分は思ったのか、そういうことを子供たちが考えたり、それから話合いをしたり、それから説明をしたりという学びがますます重要になってくる。その時に、教員がこういう視点で考えなさいよということはもちろん発達段階において重要なことでもあると思いますけれども、そこを教えてもらうのではなくて、子供たちが例えば比較することを通して、語り合うことを通して視点を身に付ける。そういったことが必要になるのではないかなと思います。
 つまり、その知識は、先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、教えてもらうよりも自ら獲得する知識は活用できる知識、自分で求めて自分でそれを使う、また自分で活用できた視点が広がったことを子供たちが実感することが大事なのではないかなと思います。
 そういったときに、表現と鑑賞の一体化が授業をつくる上で非常に学校では重視されるのですけれども、表現も鑑賞もどちらにも正解があるわけではなくて、どのように感じても考えても教室で語り合うことはとても自由で意味がある。そういったところを教師が、多様な子供の視点であるとか考え方を見付けて、価値づけて、拾い出して、子供たちが気づいていないようなところも教師がそれを拾い出して整理する力、そういった力も教師に求められていると思いますし、表現と鑑賞を繰り返すことによって、子供たちだけではなくて教師にもそういった資質・能力が豊かになっていくことではないかなと思います。
 あと、文化というところで文化理解も非常に重要であって、例えば身近なところでいうと、今、秋が深まってきましたので、お菓子屋さんに並んでいる和菓子が季節ごとに美しいものに替わっていくとか、料理の盛り付けにちょっと紅葉した枝が添えられているような、子供たちは自分たちの生活の中にそういった美しい文化が根づいていることに気づかないでスルーしていることもあると思うのです。それは子供だけではなくて、大人もそうかと思うのですけれども。そういったことをやっぱり教室で多くの子供たちが一緒に学ぶことで、文化の違いですとか自分たちの地域・社会に根差した文化を見付け出す、そういった活動も図工や美術の授業の中でやっぱり扱いながら、文化理解、それが自国の文化だけではなくて、いずれは他国の文化を理解するという文化理解に繋がっていけばよいのではないかなと考えております。
 ちょっと話が広がってしまいまして申し訳ありませんでした。以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に稲委員、お願いいたします。
【稲委員】  よろしくお願いします。今、美術の先生方から知識・技能のお話を幾つか伺ったのですけれども、音楽科においても特に技能というところを、何を義務教育段階また高等学校で学習すべきかということはとても吟味すべきだと思っています。学び続ける子供たち、人を育てていくという意味で、音楽の技能というところはなかなか、学校という場を離れてしまったときに、自分で環境をつくって身に付けていくことが難しい分野じゃないかなと感じていますので、学校の中で何をしていくか。今、音楽科では思いや意図を表現するための技能となっているのですけれども、考えていくべきではないかと思っています。
 もう一点は、先ほど多様性というところをお話しさせていただいたのですけれども、そこに関わって、音楽表現の共通性や固有性について自分なりに考えるという思考力・判断力・表現力等の資質・能力があるのですけれども、そこがすごく大事だなと思っています。何か音楽を聴いたときや表現に出会ったときに、今の自分ではこれは理解できないかもしれないなと思うことが拒否に繋がるのではなくて、それが学びとか豊かな人生のスタートになるためには、それについてどう考えていくか、じゃあそのためにどのような知識が必要かと、自分たちで探究していくような力がとても大事ですし、それをするのに音楽は共通性や固有性という面で、どうしてこんなに離れている地域で同じようなことが、同じような文化が興るのかとか、いろいろ不思議を含んでいる教科だなと私自身は感じているので、ここの資質・能力はとても大事にしたいなと思っています。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に森委員、お願いいたします。
【森委員】  よろしくお願いします。私は美術を前提に育まれるべき能力を考えたつもりでしたけれども、改めて考えてみると全体にも繋がるかもしれないと今思いながら、お話をさせていただきたいと思っています。
 いずれにしても、大学までにある程度育んでいただきたい能力についてですが、もちろんたくさん多様にあるのですけれども、ここでは1つに絞って、創造的なプロジェクトを協働で実行する能力ということを挙げたいと思います。非常に総合的な能力になってしまいますけれども。私自身がこれまで映像系の表現教育に携わってきた立場から申し上げて、作品の制作を一つのプロジェクトとして位置付けて、協働で目標を達成することが非常に有意義な学びだと実感しておりますので、それを初等教育や中等教育にも応用できないかと感じている次第です。
 まず、この協働によるプロジェクトですけれども、作品を構想して発表するまでのプロセスの中に多くの対話がございます。言うまでもないことですけれども、企画構想の段階、それから制作の段階、それから発表の段階、それぞれの段階において意見を出し合って問題解決を図る局面が存在します。
 企画構想の段階ではテーマについて、あるいは何をどのように表現するべきかなどを検討し合う。そして制作の段階においては、役割をどうするのか、分担をどうするのか、表現技術はどうするのか、助け合いをするのかどうか、その辺りの話合いが行われて、発表の段階においては、完成作品について批評し合うとか、改良に繋げるための意見交換をする、そして場合によったらそれぞれがどのように貢献できたかということを相互に評価し合うこともあり得ると思います。協働によるプロジェクトは必ずこうした話合いのプロセスが必要となってくるわけです。
 児童生徒が自身の考えを表明するとともに、他者の多様な考え方を受け入れて問題解決への糸口を探る。こうした対話を通じて創造的に問題解決をする能力を育成するのは、芸術分野に求められる大きな役割の一つではないかと思いますし、よりよい社会を育むため、民主主義社会の基盤を支えることにも繋がるのかなと感じています。
 また、児童生徒たちはともにプロジェクトの目標に向かって力を合わせる中で、失敗を乗り越えて喜びを共有したりとか、目標達成の喜びを共有することを経験することができます。こうした喜びの体験がまた次の喜びへと連鎖して、やがては幸福で豊かな人生へと繋がっていくのではないかと考えます。
 現在では多くのルーチンワークがAIに置き換えられつつありますけれども、こういう創造的なプロジェクトを協働で実行する能力はこれからの社会においてますます必要となる汎用的な能力ではないかと考えます。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に大泉委員、お願いいたします。
【大泉委員】  よろしくお願いいたします。私からは、今回論点案で示していただいた視点例のうち、芸術系教科・科目で学んだことが児童生徒の幸福な人生やより豊かな社会の創造にどう繋がるかということと、芸術系教科・科目を学ぶ本質的な意義は何か、学習と社会を繋ぐものは何かということに関連してお話しさせていただきたいと思います。主に図画工作・美術科で育成すべき資質・能力のうちの思考力・判断力・表現力等に関しまして、前回述べました創造の概念に未来という時間軸を加えることについてもう少しお話しさせていただければと思います。
 現行の図画工作・美術科の「見方・考え方」の文末は「意味や価値をつくりだすこと」となっておりまして、これが教科の本質的意義である創造の重要な部分を指していると考えられます。この「つくる」ではなく「つくり、そしてだす」という言葉の中に、これまでになかった意味や価値を創出するという、いわゆるゼロ・イチとしての創造の意味が込められています。ですから、そうした意味でも創造は現状の問題解決のために発揮されるだけではなく、まだ見たことのない未来やあるいは未来の社会に向けた問題提起としても発揮されるものであるはずと考えられます。
 つまり、子供たちがこれまでの常識であるとか既成概念にとらわれない未来や未来の社会をつくる、言わばイノベーターとして創造性を発揮していくことが求められるのではないかと考えています。
 ちなみに、こうした未来の社会をつくるイノベーターとしての子供という子供像は、STEAM教育を通じて育てる人材像であるとか、あるいは企画特別部会から示されている次期学習指導要領に向けた基本的な考え方の中にあります「民主的な社会のつくり手の育成」であるとか、あるいは思考力・判断力・表現力等における「未知状況に対応できる人材育成」という提言にも現れています。
 さらには、ちょっと離れるのですが、文部科学省であるとかこども家庭庁で子供たちに今後の学校教育について意見を聞く「いけんひろば」が開催されたり、ガイドラインが制定されたりしていることからも分かるように、繰り返しますが、未来の社会をつくるイノベーターとしての子供像は既に社会的に共有されているのではないかと考えています。
 このことを、育成すべき資質・能力の一つでもあります思考力・判断力・表現力等に照らして考えてみるとするならば、例えば現在デザイン思考の考え方の一つでもあります、ダブルダイヤモンドにおける課題解決のための発散と収束のフレームワークに通じるのではないかと考えています。ちなみにこのモデルでは発散を、そもそも何が問題なのかという問題の発見、ディスカバーであるとか、どのように解決すべきなのかという解決策の創出、ディベロップと言われていますけれども、そういったことに位置付けています。
 つまり、ここにおいて発散が問題提起でありまして、収束が問題解決であると考えられます。このうちの発散、つまり発見・創出が子供ならではの発想や構想、あるいはイメージ生成を目指す図画工作・美術科ならではの創造に該当するのではないかと考えています。
 簡単に具体例で考えてみますと、例えば図画工作の教科書に「カードで伝える気持ち」という題材がございます。そこでは、いわゆるメッセージカードという既存のデザイン物を形や色でどのようにすればいいのかということも学習内容なのですが、そこにさらに発散があるとか問題提起としての創造を位置付けるならば、そもそもなぜメッセージを伝える必要があるのかとか、もしメッセージを伝えるならばどのような伝え方があるのかという、先ほど来申し上げているような問題提起について思考・判断・表現するような学習内容も考えられるかもしれないと考えております。さらに、森委員がおっしゃったような、それをプロジェクト化していくことももしかしたら重要なのかなと思っております。
 以上です。失礼いたします。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤主査代理】  お願いいたします。私は音楽教育担当ということで、音楽科の特徴を少し大きな視点から3つほどお話をさせていただきたいと思います。
 まず、音楽ということですと、聴覚を使った学びということになるのですけれども、この聴覚を中心とした芸術ではあるものの、もともと人間と音楽が関わった本質的なところを考えますと、単に耳を傾けてだけではなくて、視覚的な要素もあるし、感覚的な雰囲気的なものもあります。聴覚を中心とした芸術ではあるけれども、いわゆる五感を使ったその捉え、それを大切にしていくことがこれからは大事になるのではないかなと考えております。
 2点目ですが、一般的に言われる音楽は時間の流れとともに消えていく芸術であると。時間芸術であると言われていますが、これも一つの特徴で、形に残すことができないといいますか、レコーディングすれば音楽は残りますけれども、目には残らないですね。その時間とともに消え行くその一回のみの時間を楽しむというのかな、学校の中でもその一回一回を時間の流れとともに、音楽ってすてきだなということを感じることができるような、そんな体験ができるといいなと考えております。
 3点目ですけれども、仲間と一緒につくり上げる。音楽は一人でもできますけれども、学校では仲間とともにつくり上げることの喜びは以前からも大切にしてきました。それが特徴でもあるかと思います。音楽は今まで合唱や合奏等、多くなれば多くなるほど、そしてまた人数は限りなく広げることができるのですよね。でもその中にひょっとしたら個が埋没していた可能性もあるので、仲間とつくり上げる音楽の中でも、もうちょっと少人数での可能性とか、多様化した時代に対応できるような、自分で選択して選べるような仲間とともにつくり上げるという概念ですね。こういうものも大切にしていくことができるといいかなと思っております。
 ちょっと大きなことでお話をさせていただきましたが、3点ほどでした。以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは、次に水戸委員にお願いいたしますが、その後、山下委員、加藤眞太朗委員、加藤泰弘委員、佐藤委員、岡本委員の順番で御発言をお願いいたします。それでは水戸委員、お願いいたします。
【水戸委員】  よろしくお願いします。私も音楽の委員なのですが、今の齊藤先生のお話に続いて、やはり音楽の音楽科が持つ特徴について少しお話ししたいと思います。中でも、音楽における表現とはというところにちょっと焦点化してお話をしたいのですが。
 音楽による表現が、他の芸術系教科をちょっと眺めてみて、独特なところの大きなことの一つは、やはり音楽は再現芸術がメインになってくる。もちろんそれだけではないですけれども。いわゆる既存の曲があって、それを作曲者の意図を探りながら演奏していくところが一つあると思います。それからもう一つ、今まさに齊藤先生がおっしゃったように、みんなで演奏することが特に学校の授業の中では大きな活動の一つとなっているので、その中でどう表現をつくっていくかということも音楽科の特徴の一つではないかと思っています。
 この中で音楽科は創造性とか表現の工夫を考えていかなくてはいけないところで、そこをどう捉えるのかということ。それからそれを他の芸術教科とどうすり合わせていくのかということが非常に重要になるのではないかと思います。
 表現を工夫していくと申しましても、これはいろんな側面があると思っています。例えば作曲者がどう考えてつくったのかとか、音楽構造がどのようになっているかという、こういうところを徹底的に読み込んでいくところに音楽教育の醍醐味があって、ここに関しては、もちろん正解はないですけれども、ある方向性に向かってみんなが考えていく作業。
 その中で、今度はいわゆる既存の曲を演奏するのだけれども自分のオリジナリティーのある表現をどう見いだしていくのかという、ここも演奏表現における創造性とか演奏表現における創意工夫ということを考えるとかなり難しい問題で、しかもそれをみんなで表現していく、それも関わってくるので、そこと創造性、それからオリジナリティーのある表現、それから創意工夫をどう位置付けていくのかということが非常に大事になってくるのではないかなと思います。
 ということで、音楽にはやっぱりどうしても音楽様式というところから離れられないところもあって、ただ様式理解ということに注目すると、これは非常に文化理解にも繋がっていくので、いろんなところに波及していくところとすり合わせながら、音楽の表現におけるいろんな再現芸術であることの制約とか、そういうことも含めて創造性とかを考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に山下委員、お願いいたします。
【山下委員】  お願いいたします。先ほど廣田委員、小池委員をはじめ多くの先生方がおっしゃったことと重複して恐縮ですけれども、私からは音楽科の中でも特に思考力・判断力・表現力等と音楽表現の技能を繋ぐ資質・能力として、試行錯誤する能力の重要性を強調させていただきたいと思います。
 試行錯誤は学習活動の一部分と思われがちですが、昨今、問題解決学習における能力の一つともみなされているようです。最近、私が見学させていただく音楽の授業では、言葉を介した対話的な学びが活発になる一方で、音や声を出しながら試行錯誤する場面が少なくなっているように感じていました。いわゆるタイパを重視する児童生徒にとって、試行錯誤しながら自ら答えを見付け出すことはなかなか難しい環境にあるのかもしれません。音楽学習の中で試行錯誤する時間は、計測可能な量的な時間ではなくて、生きた身体によって体験される質的な時間にほかなりません。その時間に対する認識を深めるためにも、またメタ認知能力を高めるためにも、個人で、そして仲間とともに音や音楽と向き合って試行錯誤する能力と習慣の育成を目指したいと考えております。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に加藤眞太朗委員、お願いいたします。
【加藤(眞)委員】  よろしくお願いいたします。私からは高等学校芸術科書道に関してお話をさせていただきたいと思っています。
 芸術科書道においては学び方にも伝統的なものがあることを感じています。多くの先生方の実践の中では、教師が提示する文字や作品にいかに近づけるかといった観点、言い換えるならば再現性を求めていくような授業実践が多く行われていることを感じていますので、そういった意味で、伝統的な学び方を見直していく、あるいは脱却していくことが一つ大きな課題かなと感じています。
 そういった意味で、私の場合には、生徒が作品を制作する過程の中でICTを積極的に活用しています。生徒のあらゆる学習履歴を保存し、そして常に共有したり、そして検索をしやすくしたりしながら、生徒一人一人が感じていたこと、あるいは考えていることが人によって違うのだということ、そして単元が進むことによってその考え方や感じていることがまた変容していくのだということを前提の上で、自分はどういうふうに考え、答えを出していくかということを重点に置きながら実践を行っています。
 そういった意味では、先ほどから多様性の包摂という言葉が何度も出てきておりますけれども、これは芸術科の強みとして積極的に出していける要素ではないかなと感じています。
 また、AIの活用ということも先ほど出てきていましたけれども、そうした上でAIに取って代わってしまうような資質・能力ではなく、AIあるいはデジタル学習基盤を踏まえた上で、どのような資質・能力を育成すべきか、そしてその高まりはどのようなものであるかということについては今後も検討していく必要があるかなと感じています。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは加藤泰弘委員、お願いいたします。
【加藤(泰)委員】  よろしくお願いいたします。3点ほど申し上げたいと思います。
 1点目は、本ワーキンググループでも複数の委員からお話があったところでございますけれども、伝統文化という視点でございます。自国の文化の深い理解は他国の文化理解にも繋がるし、その逆もしかりということになります。これはグローバルな視点から日本を捉えるという資質・能力にも繋がりますし、多様性の包摂にも繋がっているのではないかと思っております。この多様性ということを十分に踏まえつつ、日本人特有の物の捉え方・見方・考え方を、芸術の学びを通して実感的に見付けていくことが大切ではないかと考えているところです。
 芸術科書道のお話を致しますと、よく書道では、書かれていない余白、書かれない部分が書かれている以上の価値を持つことがあったりします。余白が美しいであるとか、あるいは余白が立体感を生んでいるのだと、こんなようなことを言ったりもするわけですけれども。これは書道における一つの例にすぎませんが、このような日本特有の視点がこれからの社会で日本独自の新しい価値を生み出す根底になるのではないかと考えております。
 2点目ですけれども、芸術系教科の特性を踏まえた学びの深まりについてです。これは一つの題材や単元における学びの深まりということもあると思いますが、本日の議論として発達段階、学校段階ごとの深まりも極めて重要なことであると思います。小中高全体で各教科・科目等を俯瞰するといいますか、「見方・考え方」を再構築していく上でも重要なことではないかと思っております。
 これも芸術科書道の話ですけれども、音楽、図画工作・美術、工芸は一貫した芸術系教科・科目でありますが、芸術科書道につきましてはちょっと特殊な事情がありまして、義務教育段階では国語科書写であります。特に中学校国語科書写からの学びの深まりが重要な視点であります。本ワーキンググループでは国語科書写について議論する場ではありませんが、芸術科書道のこれからを考える上でも何らかの形で国語ワーキングとの連携があればよいかなと願っている次第でございます。
 先ほど伝統文化について発言いたしましたけれども、この書写から書道への接続を考える上で文字文化が一つの重要なキーワードになっております。書道は芸術であり芸術文化ではありますけれども、その歴史をたどると、我が国の生活文化として発展してきた経緯がございます。生活や社会と深く関わってきたことが言えると思います。その学びの深まりを考えるに当たり、中学校の学習指導要領の国語科の解説には、文字文化について、文字そのものの文化と文字を書くことの文化という解説があるのですが、この文字文化という考え方を書道においては再整理する必要があるのではないかと考えている次第です。
 もう一点申し上げますと、書道の制作過程は一回性があります、先ほど齊藤委員からもそういう運動性、時間性とか、音楽の特質などをお話しいただきましたけれども、書道は制作過程は一回性、時間性、運動性を伴うものでございます。ですけれども、出来上がったものは美術と同じような造形的なものであります。また、書道は筆記具とその対象となる紙が触れ合う触覚という部分、ここの部分が非常に重要なところになっておりますので、芸術教育においてやっぱり触覚を研ぎ澄ますというのですかね、そういった視点。そんなことも今後考えていければいいのかなと考えている次第でございます。
 以上でございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。私は、図画工作の鑑賞についてお話したいと思います。
 現場の先生に対して鑑賞について二つの側面があることを伝える必要があるのではないかと思います。一つは意味生成の学びというこれまで先生方のお話で出てきた学びと、もう一つは、文化の学びです。意味生成の学びは学校でこそ学べる、みんなで対話をしながら深めていく場があるのだということのお話がありました対話によって、他者理解とかコミュニケーション能力の向上とか、自己肯定感が上がるといった効果がありますけれども、ストーリーを紡ぐだけでは鑑賞を深めていくことにはまだなっていないという理解が現場で十分ではないと思います。
 もう一つは、みんなで話していくのだけれども、最後は自分の価値にもう一度落ち着くことのできるところが美術の鑑賞のよさだというところも、先生方がもう一回確認していただく必要があるのではないかと学校での鑑賞授業等を見させていただいて思います。
 文化の学びのほうですけれども、伝統文化ということで、美しいものに触れて知っていくということもありますが、もう一つ、例えば現代アートなどにあるような人類の願いだとかあるいは差別に対しての叫びだとか、そういったものが作品の中に内在している、そのことを鑑賞の中で学んでいくことが大事なことだと思っていて、それは自分たちの時代や社会について考えていくきっかけになりますし、そしてそこにある課題とか、何か自分が問題提起をしていけるものはないのかという視点を生むと思います。
 そして、アートがそれを表現として社会に対して訴えていく力を持っているのだということを実感し、自分もそれを生み出していく一人の人としてその表現を活用していく、社会にそれを役立てていくことを実感できるものになるのではないかなと感じているところです。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】  岡本です。
 私からは、映像教育及びその中で映画、アニメーションなどに関するところを専門にしておりまして、その辺りのお話をしたいと思います。
 既に、映像分野における芸術教育というところで感受性であったり、創造性であったり、コミュニケーション能力のところは本当に他分野と共通だと思います。
 一つだけ、特殊な話の特殊な能力といたしましてメディアリテラシーが挙げられると思います。特に映像表現はメディアを通して鑑賞者に届けるという特質を持っていますので、必ずその表現の中にメディアというものを意識せざるを得ません。そのための教育はそれぞれの発達段階において必要なことかなと思いまして。特に最近SNSの発達などで非常に注目を浴び、必要性が唱えられておりますけれども、情報発信をする側にも誰でもなれる時代に、情報発信の責任と倫理みたいなところも教えていかなければいけないのが一つ特質的なところかなと思います。
 それから、これは他分野にも共通するものであるとは思いますが、もう一つは、映像分野は教科を繋ぐハブであると私は思っております。映像と一口に言いましても、物語性のあるドラマ、エンターテインメントであったり、一方で社会課題に向き合うドキュメンタリーであったり、ゲーム、そのほかの分野などもあり得ますけれども、これはあらゆる教科に繋がるものだと思っていまして、例えばシナリオなどで物語構成で国語であったり、言語化ということもそうですね。これは俳優さんたちのオーラルな言語表現ということにも繋がります。
 それからまた社会課題だったり、文化・歴史をテーマにしていくことは大いに考えられますので社会科。また観察などの理科。論理的思考の数学など。英語も海外を意識した字幕だったりコミュニケーションだったりというところです。また、芸術の他分野、音楽、美術、それぞれもう本当に密接に関わっていくものであると思いますので、非常に学際的な部分であると、表現であるというところで、子供たちへの教育が考えられるのではないかと思います。
 全く個人的な見解ですけれども、STEAMという言葉があります。個人的にはですけれども、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス、理科系に偏り過ぎじゃないかと。Aが入っているけれども、Aは1個であると。むしろこの芸術教育が持つもっともっと広い学際性をもっと表す適切な言葉がないものだろうかと、常に個人的には思っていたりします。
 また、探究・表現・共有という意味で、調べて考えて表現し伝えるみたいな、全て内包した芸術教育は非常に多分野、多教科を繋ぐハブとして重要なのではないかと思っています。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。それでは次に原委員、お願いいたします。
【原委員】  失礼します。最後になってしまって申し訳ありません。齊藤先生や水戸先生に関連することになるかなと思いますが。
 私は小学校の音楽の出になりますので、五感をフルに活用しながら創造性を育むことや、それから美的情操を育んでいく、醸成していく教科であることは皆さんがおっしゃるとおりで、私は視点1で述べたときに、ともにつくり上げる、友達と一緒に仲間とつくり上げる喜びを大事にしたいということを申し上げましたが、その一方で、埋没することの課題はおっしゃっていたので、仲間とつくり上げながらも、じゃあ自分がどう生かされているのかであることや、自分がこのつくり上げていく過程でどんな役割をしているのかという、自分自身のことを自覚していくというか、捉えていくことも必要だなと思っていますし、一方で、伝統文化的な教材を用いたときには、地域の祭りであるとか、その時には自分自身が文化の継承者であったり、それを発展していく自分自身だなということを自覚するような学習も必要だなと考えています。
 それからもう一点ですけれども、学習指導要領が構造化それから表形式化されるということで、私もイメージするために、現行の学習指導要領の解説の巻末に系統表がございます。全教科ではございませんが、音楽も図工も系統表がしっかり示されていて、この一覧になっているところが、今までも指導案を作る際にはここをとても参考にさせていただいていました。どの先生方もそうかなと思っているのですけれども。
 そうなったときに、音楽の場合は小学校1年生から中学校3年生まで系統がしっかり分かるように内容が整理されています。どの教科もそうならなければならないなと思っていて、さらに、そこの繋がりを次回の表形式になったとしても、何がどう発展していくのかということが分かるようにしていけたらいいなと思っています。9年間の学びが繋がって、そして高等学校でどう発展していくのかということは大事なことだなと思ったところです。
 最後ですが、「見方・考え方」は系統立てることがとても難しいのかなと。やっぱりシンプルに示していくことが大事なのかなと、表形式のところを見ながら考えたところです。
 すいません、最後にちょっと些末なこと、焦点化したことになりましたけれども、以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。委員の皆さんには、時間に十分留意して御発言いただきましたので、まだ若干の余裕がございます。何人かの委員で結構でございますが、補足等がございましたら御発言いただければと思っておりますが、いかがでしょうか。これまでの御意見で。藤井委員から今、手が挙がっております。藤井委員がまだ御発言がなかったようですので、藤井委員、まずお願いいたします。
【藤井委員】  藤井です。ありがとうございます。
 先生方の今までの御意見をお聞きしながら、私自身、最初に申し上げた他教科における汎用的な活用というところも踏まえて、少し意見を述べさせていただけたらと思います。私は図工・美術という観点から申し上げたいと思います。
 今までの先生方の御意見にもたくさん出てきましたように創造性を育成するとか、問題解決能力とか、またプラス、イノベーションに繋がるという意味での相互に関連づける力、こういったこともやはりすごく重要な芸術系教科・科目の資質・能力だと思いますが、それをどういうふうに指導要領の中で具現化していくかということを考えたときには、前回の小池委員がおっしゃったことと関連して、過程の大切さ、作品に至るまでのプロセスを大切にすることを、教師がより理解できるような表現が必要ではないかと思っています。
 そういう意味では、探究のプロセスが生活・総合の総合的な学びの時間の中に位置付けられていますが、そこと芸術における、図工・美術における探究のプロセス、創造のプロセスとどのような共通点や相違点があるのかということも踏まえながら、作品、表現に至るまでのプロセスの中で働く知識、実践的な知識もあると思います。それぞれの段階で働くスキルを念頭にしながら考えていくともう少し具体的に分かりやすくなってくると思います。他教科に汎用していくような、活用することができる芸術系科目の資質・能力として位置付けていくことができるのではないかと思いました。ありがとうございます。
【大坪主査】  ありがとうございました。ほかの委員の皆様、いかがでしょう。何か今まで御発言があった中での補足等ございましたら御意見を頂きたいと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。齊藤委員から手が挙がっております。齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤主査代理】  すいません、論点2とはちょっとずれますが、将来的には関わってくることなので発言の機会を得られればと思いまして、よろしいですかね。
【大坪主査】  どうぞ。
【齊藤主査代理】  総則・評価特別部会で10月14日に検討された内容に関わるところであります。今日の資料ですと資料1の15ページを御覧いただきまして、構造化パターンということで並列パターンというモデルが出ています。ここの一番上のところですけれども、知識・技能のところのまとめる言葉として、「知識及び技能に関する統合的な理解」という言葉が新しく出ています。それと右側に行きますと「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」という言葉が出ています。その資料のページを少し先に進みまして17ページに行きますと、左下のところに小さく米印で「論点整理では」というところに書かれているように、もともと「中核的な概念の深い理解」という言葉を使ってきているのだけれども、ここに新たな用語が増え過ぎてもということで、新たにこのキーワードが出てきたと思うのですね。
 ただ、例えば知識及び技能の統合的な理解ということで、理解というふうに文末をまとめていただくことにより、私たちは知識と技能を現行の学習指導要領では内容についても分けて考えているという状況を考えますと、この言葉が果たして適切かどうかと。ここのページの最後の米印の最後のところに、まだ検討の余地ありみたいな、「継続的に検討」と書いてあったので、個人的な発言で申し訳ないですけれども、総則・評価部会でこれについてはまだ決定ではなさそうなので、私どもとしてどう考えるかというところを少し述べさせていただきました。
 すいません、ちょっと話がずれてしまいました。以上です。
【大坪主査】  ありがとうございます。事務局は特によろしいですか。
 では、今後の我々の議論の中でも当然このことは出てくることだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。ほかに何か補足的な御発言等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日御欠席の山内委員からコメントが届いておりますので、これを事務局から御紹介をお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  失礼いたします。山内先生からコメントを頂きましたものを読み上げさせていただきます。
 まず、芸術系教科を学ぶ意義について。
 芸術系教科を学ぶ意義について、「感性」を育むことが重要と考えます。自分の感覚を使って学習対象を捉え、自分の感情がどのように想起されるかを、学習過程を通じて深めたり高めたりしていくことが、子供たちが人生や社会において豊かに生きていくことに繋がると考えます。そのことは、言い換えれば、自分と向き合うことであり、自己理解を促すことになると考えます。場合によっては、同じ教材を学年や年齢が異なる授業で取り扱った場合においても、生活経験や年齢的な発達段階によって、教材を鏡のようにしながら学びの質が変容することが芸術系教科の特質とも考えられると思います。加えて、自分の感覚を認めることに繋がり、自己肯定感を高めることに資すると考えます。
 芸術系教科の学習では、正解が一つではなく質を求める特性を有することから、表現活動や鑑賞における対話等において、自分の考えや意見を持つことに加えて、他者を受け入れる学習が可能なことも重要と考えます。このことは、集団で学ぶ学校教育ならではの学びであり、子供たちが、将来、社会や地域で自分の強みを生かしながら他者と協働しながら生きていくために有効であると考えます。そして、そのことで他者と自分の違いを認識し、自分の考えや心情を深めることに繋がるものと考えます。また、このことは互いに尊重する態度を育成することにもなるため、多様性の包摂にも重要な視点の一つであると考えます。
 日常的に子供たちの身の回りにある芸術と、学校で学ぶ芸術系教科の関連を示すことも必要ではないかと考えます。例えば、学校の音楽科で学んだことと、子供たちが自分で聴いたり自分で演奏したりしている音楽との関連をどのように認識させるかなどです。具体としては、教師が「学びの意義」を踏まえて、それぞれの授業で、いかに本質的な「問い」を設定できるかがポイントになると考えます。
 前回お話が出ていました「芸術教科全体として学ぶ意義」を考えることは重要であり、特に高校においては必履修で選択科目を学習することになりますが、高校生の発達段階も考慮し、どの科目においても自分や社会にとって芸術がどのような意味や価値があるのかを学ぶことは、人生を豊かに生きていく観点から重要と考えます。そのために、各科目ベースでそのような内容を入れ込むか、新たな科目を設定するかなどを検討してみてもよいのではないかと思います。
 芸術系教科において創造性を育むためには、知性と感性をどのように関連づけて新たな価値を生み出すか、または自分で価値を見いだすか、という学習が重要と考えます。そのため、知覚・感受したことをよりどころとして「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」を常に往還させながら学習を進めていくことが求められ、そのことが「高次の資質・能力」を育むことに繋がると考えます。授業を参観していると、指導案等において、題材全体としては「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」がそれぞれ設定されているものの、それぞれの資質・能力の関連が見えづらい授業も散見され、子供たちの姿が総合的に高まったり深まったりした姿が感じられないこともあることから、互いの資質・能力の関連を図ることも必要と考えます。加えて、芸術の特性を生かし、言葉で言い表せない考えや心情を絵、書、音楽などで表現することの意味について子供たちが学ぶことも大切と考えます。
 音楽科で育む資質・能力についての御意見も頂いております。
 音や音楽を通して、世の中を観ること。学習対象としての音楽から、何を聞き取って、どのように感じるのかをよりどころとしながら学習を深めていくことが、これまでどおり重要と考えます。その上で、聴覚器官だけではなく、身体全体で聴いたり表現したりすることの意義を示すことが必要と考えます。
 世界に存在する様々な音楽文化を尊重する態度の育成も重要と考えます。これからのグローバル化する社会で生きていくために、異文化に対する理解が特に求められると考えます。そのために我が国の郷土や伝統音楽に対する理解はもちろんのこと、世界の諸民族の音楽に対する理解について、引き続き学ぶ意義を示すことは大切と考えます。
 音楽の構造に関する学びの充実について。発達段階に応じて、音楽の仕組みを理解することによって、音楽における構造に気づいたり理解したりすることで、音や音楽の捉え方が深まるのではないかと考え、そのことは自分にとっての音楽の価値に気づくことに繋がると思います。そのためには、音楽をイメージや感覚で捉えるだけでなく、用語や記号を正しく理解することが必要であり、その上で他者との共有や共感が可能になるのだと思います。併せて、知識を積み上げていくことで、生活経験と関わらせながら音楽に対する理解がより深まっていくことにも繋がると考えます。
 高校においては、芸術科の特性を生かし、課題に対して学習目標は教師が設定した上で、生徒が自ら質的な高まりや深まりを求めて、自ら問いやゴールを設定して学習を進めていくなど、課題解決的な学習に取り組むことも考えられると思います。
 以上です。
【大坪主査】  ありがとうございました。
 それでは最後に、私から今日の委員の先生方の御議論も踏まえて若干意見を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど齊藤主査代理からも御指摘がございました、先般の総則・評価特別部会の御議論は非常に重要であって、あそこの御議論を十分我々は踏まえた上で、今後、芸術系教科・科目としての在り方を検討していくことになると認識しております。その中で、総則・評価特別部会の奈須主査代理から、各教科の特質に応じた「見方・考え方」について、これを英語でどういうかということに関して一つ御提言があって、a discipline-based epistemological approachと。要するにdiscipline-basedだということがありました。
 要するに、アメリカが先導的にここは進めてきた教育の考え方ですけれども、日本のこれからの教科ということが、学問としての整理の中で、初等中等教育において何をどうするかということを考えていくべきだということであって、特に今後、各ワーキンググループで教科ごとの「見方・考え方」を整理していくのにおいて、教科の任務というような言葉遣いも奈須先生はなさっております。
 そこら辺りを我々は踏まえて考えていくことを視点に置いた場合、今日の様々な御議論の御意見の中で一つ大きくキーワードとして取り出すことができるのは、やはり創造性であることは間違いないと思います。多くの委員の方がおっしゃっていました。
 ただし問題があるのは、創造性という言葉が今まで学習指導要領等において定義がきちんとされておりません。現行の学習指導要領においては「創造的」というような言葉はかなり見受けられるのですが、「創造性」はないのであります。例えば小学校図画工作解説の中には、創造性とは云々がありまして、知性と一体化して創造性を育む重要なものであると、感性の説明に使われております。それから中学校の美術や高等学校の美術などにおきましては、創造的に考えを巡らす資質・能力を重視すると。ですから、創造性ではないですが、創造的に考えるということは出てきています。それから書道のほうには、感性とは芸術を創造する根源をなすという示し方もされております。
 あともう一つは、自分なりの意味や価値をつくりだすことが創造性の一つのメタ的な意味合いで使われているのですけれども、ただ、自分なりの意味や価値をつくりだすで終わってしまうと全てベクトルが自分のほうに向いてしまっています。創造性は今むしろ社会との関わりにおいてベクトルは外に向かうのだということが非常に重要になってきています。
 そこら辺りを考えますと、これから先、我々はもう少しこの創造性というものをどうやれば高次の資質・能力化できるのか、既に高次の資質・能力のうちに創造性は入っているという御意見も今日はございましたけれども、それを改めて我々は考えていく必要があると思いますので、ぜひ委員の先生方からは御意見を頂ければありがたいなと思っておるところでございます。
 それから2つ目といたしまして、やはりこれは我々の教科・科目の物質であり、絶対的に任務があると思いますのは、文化芸術の継承・発展でございます。特に我々としては、今、先ほどの創造性のことを踏まえますと、継承はもちろん重要でございます。もう一つは発展であると。これは1回目の時に次長からの御挨拶の中にありましたように、今回のこの芸術ワーキンググループが文化庁の学校芸術教育室が所管しているという位置付けからして、文化庁自体が社会における文化芸術活動に責任を負っているとするならば、これまで以上に初等中等教育もその社会の文化芸術活動と今までも認識はあったのですけれども、より一層それを意識して議論すべきと私は考えております。
 その中で一つ、今日はどうしても委員の先生方から御意見が出なかったものとして、高等学校芸術科の中には工芸がございます。工芸に関する御発言がございませんでしたのと、それから私は工芸教育を自身の領域に置いておりますので、ちょっとだけプラスさせていただくならば、工芸は既に内容が身近な生活とそれから社会と工芸、その2つに内容がくくられています。すなわち、木工をやりましょう、漆芸をやりましょう、金工をやりましょう、プラスチックをやりましょうとかという話ではなくて、学びの方向性ということを意識したくくりになっております。そこら辺を今後一層進めていく必要があると考えているところでございます。
 もう一つ、やはり文化庁の、毎年実施されている「文化に関する世論調査」の令和3年の中に、持続可能な幸福、eudaimonia(ユーダイモニア)があり、人生の意義みたいなものを感じていることの問いの中に、やはり文化芸術活動を行っている人、それは表現で関わる方もあれば鑑賞で関わる方もあるかと思いますけれども、その人がやっぱりそういった幸福感だとか人生の意義を頻繁に感じていらっしゃることが、その文化庁のアンケートの中に出てきております。
 ですから、我々は、今、学校教育の中において文化芸術の継承・発展を担当する教科・科目だということを、やはり私は奈須先生でいうならば教科の任務として最大に考えるべきであるし、ただしこれは鑑賞のみに限らないと思います。もちろん優秀な鑑賞者を育てるという御意見もございましたけれども、もう一つやはり、表現者として考えていかなければならない。そうしたときに初めて創造性とも結びついてくると思っております。この創造性は、委員の中の御意見にもありますし、資料の中にも入っております。全ての教科について通底する創造の土壌ということでございます。
 そう考えますと、いかなる生き方をしていこうが、いかなる職業に就こうが、今もう創造性がないということはあり得ない社会にあると言えます。その時に我々はどうやればこの創造性を子供たちに育むことができるのか、また先生方がその創造性を意識した授業デザインができるのかということを今後明らかにしていく必要はないかと考えます。今日の委員の皆様方の御意見を拝聴しながらこのような感想を持った次第でございます。
 齊藤委員からも御指摘がございましたように、これから恐らく音楽、図画工作・美術、工芸、そして書道という領域ごとの御議論も重要になってくるかと思いますので、ぜひそこもこれから議事の運営の仕方として考えていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、一応これで本日予定しておりました議論は終了したいと思います。それでは時間も迫ってまいりましたので、会議中に言い尽くせなかった御意見などがございましたら、11月4日、火曜日頃までに事務局へメールにてお送りいただければと思います。また今日の議論の集約の中でも生かされると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に次回の予定について事務局よりお願いいたします。
【奈雲参事官補佐】  失礼いたします。次回は11月20日、木曜日、9時半を予定しておりますが、正式には後日改めて事務局より御連絡いたします。
【大坪主査】  ありがとうございます。
 随分、委員の先生方は発言時間を意識してお話しいただいたものですから、10分ほど早めになりますけれども、以上をもちまして本日のワーキンググループを閉会と致します。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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