教育課程部会 理科ワーキング(第1回) 議事録

1.日時

令和7年10月6日(月曜日)18時00分~20時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 理科ワーキンググループにおける主な検討事項について
  2. その他

4.議事録

【高市専門官】  定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループを開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局教育課程課長、武藤久慶より、御挨拶申し上げます。
【武藤教育課程課長】  先生方、このたびは、大変御多忙の中、御参加をいただきまして、心から感謝申し上げます。教育課程課長の武藤でございます。
 先月、中教審教育課程企画特別部会におきまして、次の学習指導要領の改訂に向けます論点整理が取りまとめられました。今日お集まりの先生方におかれましては、この論点整理を土台としながら、次期学習指導要領の理科に関する事項について、御審議をお願いしたいと思っております。論点整理につきましては、後ほど説明いたしますが、三つの基本的な方向性が示されております。一つ目が、現行の学習指導要領が目指している「主体的・対話的で深い学び」の一層の具現化・深化を図る、「深い学びの実装」というものでございます。二つ目が、「多様性の包摂」ということで、多様な個性や特性、背景を有する子供たちが多くなっている実態に向き合うということ。そして、こうした多様性を個人と社会の力に変えるといった観点でございます。三つ目が、「実現可能性の確保」ということで、教育課程の実施に伴って先生方に過度な負担と負担感が生じにくいような、持続可能な在り方を追求する。そのことによって、先生方と子供の双方に余白を創出するといった観点。この三つを基本的な考え方・方向性として示し、これを踏まえながら、ある種、各教科を通底させながら、今後、具体的な議論をしていくと、こういったことで取りまとまったものでございます。ぜひ、これらを踏まえた御審議をお願いしたいというのが、1点目でございます。
 また、目をもう少し社会全体に転じますと、我が国では高等教育への進学時に残念ながら理工系が選択されないという一方で、2040年には理系人材が約100万人不足するといった推計もあるところでございますし、理系に進学しない子供たちにとっても、生成AIの急速な発展・普及等々もある中で、理数のリテラシーというのは現代社会で必須の素養となっているということも認識しております。そうした中で、国際的な学力調査によりますと、日本の子供たちの理数のリテラシーは世界トップクラスを維持している一方で、興味・関心が低いと。それから、社会とのつながりとか、職業選択とのつながりというのが十分意識されていないといった課題もある中でございます。こうした点も含めて、小中高全体を通じた理科教育の充実に向けて、ぜひ精力的な御検討をお願いしたいと思っております。
 このワーキング、令和8年度の夏頃までに審議のまとめをお願いしたいと思っております。ぜひ、先生方には活発な御議論を賜りまして、学校現場で質の高い多様な教育活動が創発されるような、新しい学習指導要領に向けて、御協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【高市専門官】  そうしましたら、議事に先立ちまして、本ワーキンググループの主査及び主査代理につきまして、御報告をさせていただきます。
 参考資料3の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本ワーキンググループは教育課程部会の決定により設置されているところでございまして、主査及び主査代理につきましては、奈須教育課程部会長によりまして、古村孝志委員を主査に、田代直幸委員を主査代理に、それぞれ御指名いただいておりますので、御報告をさせていただきます。
 なお、本ワーキンググループの委員の皆様につきましては、参考資料5の委員名簿の御参照をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、古村主査から、一言、御挨拶をお願いいたします。
【古村主査】  理科ワーキングの主査を務めます、東京大学地震研究所の古村孝志と申します。私は、地震の強い揺れがどういうメカニズムで発生するのか、そういうメカニズムの仮定、それから、災害の予測、そういった研究を行っています。ただ、教育に関しては大学の経験が少しあるぐらいで限られていますので、このワーキング取りまとめという重責を果たせるか、かなり不安な面もありますが、主査代理の田代先生の心強いサポートをいただきながら、理科教育の専門家である委員の皆様の活発な御議論、貴重な御意見を引き出せるよう、司会に努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【高市専門官】  御挨拶、ありがとうございました。
 それでは、本ワーキンググループの進行につきましては、これより古村主査にお願いをいたします。
 よろしくお願いいたします。
【古村主査】  それでは、これから議事に入ります。本ワーキンググループの審議等については、参考資料3の教育課程部会運営規則第3条に基づいて、原則公開により議事を進めさせていただきます。それから、第6条に基づいて、議事録を作成して、原則公開するものとして取扱いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず、事務局より、会議の留意事項の説明をお願いします。
【高市専門官】  それでは、御説明申し上げます。本ワーキンググループにつきましては、対面とウェブ会議を組み合わせた方式で開催します。御発言の際でございますけれども、挙手ボタンを押していただきまして、ミュートを解除していただいてから、御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、再度、ミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 事務局からの説明は、以上でございます。
【古村主査】  ありがとうございました。
 それでは、今日の議題(1)に移ります。理科ワーキンググループにおける主な検討事項について、事務局より説明をお願いします。大体30分くらいですかね。
 では、よろしくお願いします。
【中村課長補佐】  課長補佐の中村でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私のほうから、少し長くなってしまうのですけれども、30分ほど、事前の御説明をさせていただければと存じます。
 まず、本ワーキングの背景事情ということでございまして、今回の諮問事項、また、教育課程企画特別部会におけます論点整理の概要、そして最後に、本ワーキングにおける課題や検討事項等につきまして、御説明申し上げたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 先生方、参考資料2-2という画面、見えてございますでしょうか。オレンジのポンチ絵でございます。こちらは、先ほど課長の武藤からも御挨拶の中で申し上げましたように、昨年12月に、文部科学大臣より中央教育審議会に対しまして、初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問がなされた、その概要でございます。この中で、2ページ目でございますけれども、主な審議事項といたしまして、こちらに記載のマル1、マル2、マル3、マル4の事項を中心といたしまして、教育課程の基準の在り方等につきまして幅広く検討が進められることになったという経緯でございます。
 こちらの中身については省略をさせていただきまして、今、画面を切り替えさせていただきましたけれども、参考資料1-1でお送りしております、論点整理の資料を映させていただいております。
 先ほどの諮問を受けまして、教育課程の基本的な枠組みでございますとか、教科横断的な事項等を中心といたしまして、中央教育審議会の教育課程企画特別部会におきまして集中的な審議を行いまして、取りまとめた論点整理でございます。この内容につきましては委員の皆様に事前に動画の共有等で御説明させていただいておりますので詳細な御説明は割愛させていただきますけれども、特に本ワーキングに関わるところにつきまして、かいつまんで御説明申し上げます。
 まず、印刷の5ページ、PDFでは6ページでございますけれども、先ほど課長の武藤から御説明申し上げましたように、次の学習指導要領に向けた検討の基盤的な考え方としまして、こちらのマル1、マル2、マル3の三つをお示しさせていただきまして、これを一体的に具現化していくことによって、多様な子供たちの「深い学び」を確かなものにしていく。真ん中の下のほうでございますけれども、これを実現し、それによりまして、一番下のオレンジのところでございますが、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育むというようなことをコンセプトとして掲げているところでございます。
 そして、次のページ、印刷の6ページでございますけれども、そのような人材を育成していくために各教科等で検討していくことが示されてございまして、特に本ワーキングにおきましては、真ん中にある、各教科等の欄にあります五つの項目、こういったところを御留意いただきながら、検討を進めていただければというふうに考えてございます。
 飛びまして、印刷の12ページでございます。より「深い学び」を実現する授業のイメージ、これを先生方が持てるようにという観点で提言しているものでございます。ここの四角囲みにございますように、知識の理解ということも、個別の知識や技能を覚えるだけではなくて、それが生きて働くように深く学ぶことが重要ということでございますし、また、思考力、判断力、表現力等も、個別の思考力、判断力、表現力等を身につければいいというものではなくて、社会や生活で直面するような未知の状況でも課題解決につなげていけるように「質」を高めることが重要ということで、この下の図で言うと、個別ではなくて、さらにより深いということで、この「タテ」の関係を深めていこうということが述べられてございます。また、四角囲みの2ポツ目にありますように、ある程度の知識・技能なしに思考・判断・表現することは難しいし、思考・判断・表現を伴う学習活動なしに、知識の深い理解と技能の確かな定着は難しいという、知識及び技能と思考力、判断力、表現力等の「ヨコ」の関係も学習指導要領で可視化しようと。「タテ・ヨコ」、両方の関係を可視化することによって、先生方の単元づくりを助けて、「深い学び」というのを実践しやすいようにしていこうというようなことを申し上げているところでございます。こちらは、別に立てられております総則・評価特別部会の検討を踏まえまして、本ワーキングにおいても具体的な検討をしていきたいと考えてございます。
 次のページと、その次のページは、数学と国語の具体的な例を示させていただいているところでございます。
 続きまして、印刷の18ページでございます。こちらは、資質・能力の一つであります、学びに向かう力、人間性等でございますけれども、それぞれの要素や要素間の関係を分かりやすくする観点から、図のように、初発の思考や行動を起こす力・好奇心、学びの主体的な調整、他者との対話や協働、学びを方向づける人間性の四つの区分で内容・関係性の整理がなされてございまして、本ワーキングでもこちらを踏まえて審議していただくということになろうかと思います。
 そして、印刷の21ページを御覧いただければと思いますけれども、これまで学習指導要領においては、見方・考え方というのを大変大事にしてきたところでございます。一方で、この見方・考え方が資質・能力の一部と誤解される遠因となったというような指摘を踏まえまして、この図の右のほうにございますように、これまで見方・考え方を構成しておりました二つの観点、一つは、下のマル1、学びの深まり、もう一つは、上のほうのマル2、本質的意義、それぞれございますけれども、今後、見方・考え方につきましては、マル2の本質的意義の部分に焦点化を進めると。これは下の※印のところで書いてございますけれども、こういったところで整理をしていくというようなことが書かれてございます。一方で、マル1の学びの深まりにつきましては、中核的な概念等といったところで、資質・能力の育成を的確な方向に導いていくとともに、よりよい社会や幸福な人生につなげていける学びの本質的な意義として整理をしていこうというふうに言われているところでございます。
 次いで、飛びまして、印刷の34ページでございます。義務教育段階におきましては、多様な個性や特性、背景を有する子供たちを包摂する教育課程編成を促進するために、緑の部分の裁量的な時間の創設を含めまして、児童生徒や地域の実態を踏まえた教育課程の編成をできるようにするということで、取組を進める予定でございます。
 また、印刷の40ページでございますけれども、高校においても、多様なニーズに対応できるよう、柔軟な教育課程の編成を可能とする方向で検討が進められているところでございます。
 雑駁でございますけれども、論点整理の御説明は以上でございまして、本ワーキングでも本論点整理を踏まえて御議論をいただきたいというふうに考えております。
 そうしましたら、主たる資料でございます、理科に関する現状・課題と検討事項のほうを御説明させていただきます。こちらは、事務局にて整理させていただいたペーパーでございます。
 まず、理科に関する現状と検討課題ということでございまして、1ポツにありますように、現行の考え方を示させていただいております。まず、1ポツの一つ目の黒丸でございますけれども、理科は、小中高を通じて、「自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力」を共通の目標として、整理をいたしたところでございます。ちなみに、括弧書きでページ番号が書いてございますが、こちらの関連する参考資料のページ数を示しておりますので、適宜、御参照いただければと思います。以降、同様でございます。
 そして、1ポツの二つ目の黒丸でございますけれども、現行の学習指導要領におきましては、理科については、かぎ括弧にございますように科学的に探究する学習の充実でありますとか、次の矢羽根のところでございますが、理科を学ぶ意義や有用性の実感、そして関心を高める、こういった観点から、日常生活や社会との関連を重視するといった考え方を基本の考え方といたしまして、改訂をいたしたところでございます。
 そして、三つ目の黒丸にございますが、特に高校におきましては、創造性豊かな人材の育成という観点で、共通教科であります「理数科」、そして、その下に、科目「理数探究基礎」「理数探究」を新設したところでございます。こういった課題を踏まえまして、1ポツの最後の黒丸でございますが、これらの改善を踏まえて、理科の授業におきましては様々な指導の充実をしていただいているところでございます。高校の共通教科「理数科」につきましても開設が進んでいて、探究的な学習が全国で行われているところでございます。
 一方でございますが、2ポツの社会からの要請のところでございます。先ほど課長の武藤からも御説明がありましたように、国際的な学力調査において、理数的なリテラシーは世界トップクラスでございますけれども、興味・関心、有用感、こういったところは依然として課題があるところでございます。一方、右上でございますけれども、高校卒業後の進路といたしましても理工系が選択されず、特に、4行目にありますように、男女差もあるといったような状況が指摘されているところでございます。
 次の黒丸でございますが、こうした中、文科省といたしましても、成長分野を牽引する高度専門人材の育成に向けて、成長分野への学部転換等の改革を促すため、基金を創設、あるいは、数理・データサイエンス・AIに関する大学の優れたプログラムを認定/選定する制度の創設等々の取組を進めてきたといったような状況でございます。
 3ポツは、指導上の課題と書いてございます。最初のかぎ括弧は児童生徒の学習状況でございますけれども、令和7年度の全国学力・学習状況調査におきまして、小中の理科におきましては、基本的な概念の理解・定着が不十分な児童生徒が見られたといったような結果が出てございます。
 また、次の黒丸でございますけれども、身の回りの現象や日常生活、自然や社会の事象・現象について、既習事項を基に、科学的に分析したり、考えたりするような児童生徒の割合が少ないでありますとか、今の学習内容と既習内容のつながり、あるいは、今後学習する内容とのつながり・関係等が意識できてないのではないかといった御指摘がございます。
 次の2ページでございますが、左上にございますように、学校段階・学年が進むにつれて、楽しいといったような回答が減っているというような結果もございます。
 また、二つ目の黒丸にありますように、学力調査等におきましては、男女間で理科のスコアには大きな差がないにもかかわらず、自信でありますとか、各分野を志向する割合では、男女差が生じているという現状がございます。
 次に、学習内容・学習環境の括弧でございますけれども、このような中、学校段階間の円滑な接続が一層重要になるわけでございますが、例えば、校種間で使用している用語等が異なっているというようなことがございますので、こういったところについて、教科として整理・統一が図られるべきではないかといったような論点があろうかと思います。
 また、下の黒丸ございますが、観察・実験等で使用いたします器具・機器の整備の状況が十分でない学校が見られるといったところは、格差の懸念がございますといったことを書かせていただいてございます。
 右上、4ポツ、小学校に関する課題でございます。同じく令和7年度の調査結果から、以下のような課題が顕在化してきたと捉えております。まず、一つ目の矢羽根でございますけれども、基礎的な知識・概念が十分定着していない可能性でありますとか、そういった定着状況、習得状況についての日常的な確認が十分ではないようなケースがあるのではないかといった指摘もございます。また、二つ目の矢羽根でございますけれども、科学的な探究の進め方や科学的な思考の方法、こういったところが十分習得できていない児童生徒がいるのではないかといったような可能性。また、三つ目の矢羽根でございますが、小学校で学んだことが中学校に円滑に引き継がれてないのではないかといったような指摘もございます。
 次いで、二つ目の黒丸でございますけれども、こちらも、今の小学校理科につきましては、中学校も同様でございますが、「エネルギー・粒子・生命・地球」といった区分と名称がございますけれども、これは学習内容等を適切に整理・表現できているのかといった指摘もございます。
 また、三つ目の黒丸にありますように、中学校では「自然環境の保全と科学技術の利用」といったような横断的な学習内容がございますけれども、実際の社会においては特定の分野や領域に限定されない社会課題が増えている中で、小学校ではこういった中学校のような横断的な課題等について学習内容が規定されていないところでございます。
 5ポツ、中学校でございます。まず、全国学調の結果等については、小学校同様の記載をさせていただいております。
 次の3ページでございますけれども、学習内容につきましては、「エネルギー・粒子」区分を第1分野、「生命・地球」区分を第2分野というふうに二つに分類してございますが、これから理科として中核的な概念ベースで整理をしていく中で、こういった2区分が適切な分類になっているか等々の課題があるかなあと思ってございます。
 また、下の6ポツ、高校でございます。まず、一つ目の黒丸にございますように、科目によって開講・履修の状況に差異が見られるということがございます。
 また、二つ目の黒丸にございますように、中学校での既習事項が高校に円滑に引き継がれていないと。これはまた、同様の指摘でございます。
 最後の黒丸につきましては、共通教科「理数科」につきましては、4行目、本来、理科的・数学的なもの以外にも、社会的事象だとか、学際的領域に関する課題、こういったことも想定されておりますけれども、こういった課題が現場で選択されにくいといったような指摘もございますので、これの扱いを充実してはどうかといったようなことを書かせていただいてございます。
 4ページ以降は、こういった現状や課題を踏まえた検討事項・論点について書かせていただいております。白抜きの1番につきましては、各教科共通の課題・検討事項について、書かせていただいているところでございます。
 まず、左側の1ポツでございますけれども、資質・能力の在り方・示し方ということでございまして、最初の黒丸は目標の示し方。二つ目は、中核的な概念等に基づく内容の一層の構造化や、必要に応じた精選の在り方。三つ目の黒丸は、理科の特質を踏まえた、目標・内容の分かりやすい示し方をどうするかということでございます。
 真ん中の2ポツでございますが、指導と評価の改善・充実でございます。一つ目の黒丸にありますように、GIGAスクール構想の下でデジタル学習基盤の整備が進んでいるわけでございますけれども、この活用や情報活用能力の育成強化を全教科等で進めていくわけですが、これらを前提としました、理科における「主体的・対話的で深い学び」の充実の在り方はどうしていくのかという論点。そして、二つ目の黒丸にございますように、理科の評価の在り方についても、論点かと考えてございます。
 また、3ポツは柔軟な教育課程のあり方ということでございまして、一つ目の黒丸は、先ほど論点整理の御説明の中で申し上げた、調整授業時数制度や、高校の科目の柔軟な組替えを可能とする仕組みを前提としたときに、どういった教育課程や学習指導の工夫の在り方が理科で考えられるのかということでございます。
 また、二つ目の黒丸にありますように、柔軟化に伴って生じ得る課題と、それを防ぐための運用をどうしていくかといったところもあろうかと思います。
 そして、右側の白抜きの2につきましては、理科固有の検討事項でございます。まず、1ポツにつきましては、系統性・一貫性に関する課題でございます。3行目にありますように、小中高を通じた系統性確保という観点から、例えば、区分や名称、学習内容や用語の見直し・再整理が必要ではないかという観点でございます。下のほうに、具体的に差異が見られる例をお示ししているところでございます。
 飛んで、右下の2ポツでございますけれども、観察・実験等をはじめとする、科学的な探究に関する課題でございます。一つ目の黒丸にありますように、基礎的な科学的知識の定着、これは引き続き重要でございますけれども、加えて、観察・実験等や科学的な探究活動を通して、科学的に課題解決する経験や体験を一層充実していくこと。これらをどう両立していくかということ。
 そして、二つ目の黒丸でございますけれども、学習に対する興味・関心が学年を追うごとに減っていく、こういった課題を踏まえまして、小学校段階から、身の回りのことや日常生活、自然や社会の課題について、探究的に学ぶような活動を充実してはどうかということを書かせていただいております。
 おめくりいただきまして、5ページの左側でございますけれども、3ポツは1と2を実現する上での環境整備の課題でございまして、具体的には、2行目にありますような、先ほど申し上げた器具や機器の整備・更新の在り方、また、デジタルデバイスや教材の活用をどのように一層推進すべきかといったようなことでございます。
 また、4ポツは、共通教科「理数科」についての課題ということでございまして、先ほど申し上げたような課題の偏りについてどのように考えるかといったようなことでございます。
 5ポツにつきましては、高等教育段階との接続の課題でございまして、先ほど来申し上げているように、一つ目の黒丸にありますような、高校教育修了後の進路として理工系が選択されないといったようなことについて、どのような改善方策が考えられるかといった観点でございます。
 最後の黒丸、アンコンシャスバイアスと言われるものも含めまして、理工系進学におきます男女間の格差解消に向けてどのような対応が考えられるかといったこと、こちらも検討事項・論点と考えてございます。
 最後、四角囲みのところでございますけれども、共通教科「理数科」につきましては、算数・数学ワーキングと合同で検討を要するのではないかというふうに考えてございます。こちらを書かせていただいているものでございます。
 ここまで、文章のところはかいつまんで御説明を申し上げましたが、その後の資料について、簡単に御説明いたします。
 6ページ目、7ページ目、8ページ目は、論点整理のうち、特に重要となるようなところについて、抜粋をさせていただいております。再掲でございます。
 また、9ページ目以降は、参考資料・データをたくさん載せておりますけれども、私からは、これまであまり御説明してないところをかいつまんで、簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 まず、1ポツのところとして、理科の教育課程についての基礎資料を掲載してございます。少し飛ばしまして、15ページでございます。こちらは字が大変小さくなっておりますので、皆様、PDF等で拡大して御覧いただければと思いますけれども、小学校、中学校、高校と、理科の教科科目の構成について、お示しをしているところでございます。こういった中で、横に見ていきますと、エネルギー、粒子、生命、地球といったような区分がなされているところでございます。
 そして、18ページ目以降は、高校の理科の科目構成が歴史的にどのように変遷してきたかということを書いてございまして、21ページの右側が現行の理科の高校の科目構成といった形になってございます。こちらも適宜御参照ください。
 そして、22ページにつきましては、高校における理科の一般的な履修パターンを事務局でお示ししたものでございます。字が小さいのですが、一番下側に必履修のパターンを示しておりまして、二つのポツがあります。このどちらかということでございます。まず、一つ目のポツは、物化生地、それぞれの基礎から3科目を選択する。四つのうち、3科目を選択するというパターン。または、二つ目のポツでございますけれども、「科学と人間生活」といった科目がございますので、これを取った上で、物化生地の基礎科目のうち、1科目を選択する。「科学と人間生活」プラス基礎1科目といった選択。このどちらかを必履修のパターンとして定めているところでございまして、上にございますのは、高校のコースで、こういったコースの生徒はこういった履修をしているといったような、具体的な例を示させていただいているところでございます。一番上が理系・国公立志望者、一番下が大学進学を希望しない、マル7、マル8のコースの例といったような形でございます。
 23ページ目以降は、共通科目「理数科」についての基礎資料を載せさせていただいております。
 26ページは、理数探究において探究課題として取り組む事象等として今の解説でお示ししているものでございまして、この中で、アの社会的事象、イの学際的領域、こういったことを書いてございますが、なかなかこういった課題は選択されていないというようなお声がございます。
 また、27ページは、高等教育や社会との接続、進路状況についての資料・データを主にお示ししながら、書いてございます。この辺りは割愛をさせていただきたいと思います。
 31ページは、理系人材の不足のバックデータをお示ししているものでございます。
 そして、33ページでございますが、こちらは、右側にありますように、高校の3校のうち2校が文理のコース分けをいたして、それがほぼ高1の秋に選択されるといったような、少し古いのですが、データもございます。
 そして、進路選択の理由につきましていろいろなデータがございますけれども、例えば、34ページにございますのは、なぜ、理系を選んだのか、選ばなかったのかといったところで、関係する科目・教科に関する学力が心配だとか、得意・不得意、こういったところが影響しているといったようなデータでございます。
 また、35ページは同様でございますが、36ページ、科学技術分野に興味を持っていた人たちが興味を失った理由として、理科や算数・数学の授業・学習を理由とする回答というのが上位を占めたといったデータでございます。
 そして、38ページは、先ほど申し上げた、ジェンダーギャップ、男女差のところについては、様々な段階でボトルネックが指摘されているといったような資料でございます。
 これ以降は、論点の説明のところでかなり御説明した資料がございますので、少し飛ばさせていただきまして、42ページは児童生徒の学力状況のセクションの始まりでございまして、こちらも、説明は重複しますので、御覧おきいただければと思います。
 49ページ以降は、4ポツの学習状況等ということでございまして、こちらも重複いたしますので割愛をさせていただいて、61ページまで飛ばさせていただきます。
 61ページからは、探究的な学びや、文理横断・文理融合に関する資料を載せさせていただいているところでございます。こちらも省略をさせていただきます。
 そして、66ページでございますが、こちらからは教育環境の資料を載せておりまして、67ページ、68ページは機器等の不足の状況、また、69ページは文部科学省が理科のICT活用のポイントとしてお示ししている資料でございますけれども、これをどうやってアップデートしていくかといったところが今後の課題になっていくかなあというふうに考えてございます。
 ここまで私のほうから会議資料のメイン資料を御説明させていただきましたが、これまで御説明していなかった主な会議資料について、簡単に御紹介だけさせていただきます。
 まず、参考資料の6-1、6-2につきましては、全国学力・学習状況調査の最新の結果等について、資料を載せさせていただいているところでございます。また、参考資料7と8につきましては、国立教育政策研究所におきまして今の学習指導要領の実施状況を各教科調査しているのでございますけれども、こちらの小学校と中学校の最新の結果につきまして、参考資料7と8でお示しをしているといった格好でございます。
 私からの御説明は、大変駆け足でございましたけれども、以上でございます。こちらをお示しさせていただきましたけれども、特に論点に係る資料につきましては、あくまで事務局としてのたたき台、円滑な御議論のためのたたき台でございまして、先生方におかれましては、記載した内容に関する深掘り、あるいは、こちらに記載のないような観点・論点、こういったところも含めまして、委員の皆様、それぞれの御知見を賜れれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【古村主査】  中村課長補佐、説明、どうもありがとうございました。
 それでは、今日は1回目で、初めての顔合わせの会でもありますので、委員の皆様お一人ずつから、今後、特に検討を進めるべき課題、考えている事項、それから、審議の進め方に関しても、御意見をいただければと思います。この名簿は、市川先生、井上先生、加藤先生と、アイウエオ順になっていますね。この順番で私から1人ずつ指名させていただきますので、1人およそ4分ないし5分ぐらいで発言をいただけたらと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、初めに、市川委員、御発言をお願いできますでしょうか。
【市川委員】  私、東北大学のほうで素粒子物理学の実験的な研究をしていて、今まで初等中等教育のそういうものについて全く関わったことがないので、一応、見ておくべきだという論点のビデオに関しては見てきたのですけれど、本当についていくことが今はできない状況にあります。私、自分で言うのも何ですけど、理系ばかというか、文章を組み立てるとか、文章を読み解くとか、そういう能力が不足しているとは思うんですが、今回、論点のビデオを見たのと、この資料の幾つかを見ての感想なんですけれど、感じたことは、以前、大学の文系の先生と話して、全く話がかみ合わなかったときと似ているところがあって、あと、教育学部の先生が教育講義の仕方を教えてくれたときも、何言っているか分からない、教え方をまず自分が学んでくれとかって思ったことがあるのですが、恐らく、非常にこういうことに特化した資料なんだろうなあと。トレーニングされて、こういうことに特化されて書かれた資料で、外部の私みたいな人には理解できないような、いろんなことが書かれているのかなあというふうに思いました。一番典型的なのは、構造化というのがあったのですけど、一体、何を構造化するんだろうというのが全く分からなかったというのがあって、ちょっと心配したのは、教育とか、こういうことに関して非常にトレーニングされた、ソフィスティケートされた文章が、現場の先生たちで、しかも理科を教えるような、国語とかは苦手な先生たちにどれぐらい伝わるのかな、どうなんだろうというところが、少し感じたところです。
 全然まとめられなかったんですけれど、今、落ちこぼれている気持ちが非常によく分かる状況にあります。
 以上です。
【古村主査】  ありがとうございます。私もまさに理科専門家ばかで、私も、主査になるというので、ビデオとこの資料を見て、私だけじゃないなあと思って、市川先生の素直な御感想をいただき、ちょっと安心しました。でも、それは多分、我々理系のほうの問題もきっとあると思いますので、一緒に議論を進めながら、ここを読み解いて、いい方向に議論を持っていけたらと思いますので、引き続き、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 次は、井上委員、御発言、よろしいでしょうか。
【井上委員】  皆さん、こんにちは。初めまして、井上浄と申します。
 私は、唯一民間かもしれませんけど、実は大学院の修士2年のときに株式会社リバネスという会社を立ち上げまして、大学院生15人の仲間で立ち上げて、礎業として出前実験教室っていうのをずっとやってきた人間です。23年間やってきて延べ20万人以上の子供たちに出前実験教室を届けてきました。アカデミアのほうでは、現在、慶應、熊大、北里の薬学部のほうで客員教授をやりながら、あと、武蔵野大学のアントレプレナーシップ学部というところの立ち上げにも関わっています。アカデミアと民間の両方の立場で教育のところをずっと携わってはきています。我々リバネスは、実は中高生の学会というものを会社で主催していまして、これはアジア最大級なんですが、そこに来る子たちがどんどん増えて、内容もどんどんよくなっているというか、すごくレベルが高くなってきていて、理科離れという課題に対して考えてみると、やる子はどんどんやれるようになってきているというような、そんな印象を受けています。
 一方で、データを見ると、やはり底上げというのが必要なのかなというのも若干感じているところではあります。
 そんな中で、今回、この資料、それから、先ほどの御説明を伺っている中で、1個すごく重要なポイントは、教える先生方というところに少しフォーカスしたほうがいいのかなというふうに感じています。私自身も、理科がむちゃくちゃ好きになって、研究がむちゃくちゃ好きになって、世界初というのを自分の手で目の前で証明するみたいなところを一番初めに教えてもらったのは、実はきっかけは中学校の理科の先生なんですね。「いいからやってみ」みたいな感じでやらせていただいたところが結構大きかったなと思いまして、実は会社のほうでも、学校の先生方向けに研修なんかをやっていくと、その先生方の知見が広がる、ネットワークが広がると、そこにいろんな人たち、学校にいろんな人たちを連れてくることができるという効果が出てきて、間接的ではあるんですけども、先生方への何かいいアプローチ方法というのがないのかなあというのが、今回、このワーキングのほうで何か御提案できればなというふうに思っております。
 あと、アジアの学生たちも、東南アジアなんですけど、非常に活発で、日本側の技術というものに興味を持っている子はたくさんいて、私は一方で、大学発ディープテックベンチャーのサポートとか、立ち上げというのやっているのですが、そのベンチャーたちが学校に行って話をすることができたら、それこそアントレプレナーというところの文脈にもなるんですけど、ディープテックで技術を分かりやすく伝えて、子供たちはエキサイティングな仕事があるぞというところに火がつく。それに対して先生方がサポートできるみたいな状態ができると、理科離れとアントレプレナーシップ教育、一気に両方できるんじゃないっていう、そんな思いも持ちながら、今、民間で頑張っています。企業さんなんかをもっともっと巻き込んで、教育業界に技術と理科の面白さというのを伝えに行くことをもっともっとできないかなというふうに考えておりますので、何かのいい機会があったら、ぜひお声がけください。
 この会を楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
【古村主査】  井上先生、ありがとうございました。私も同感で、中学のときの理科の先生の影響、そういう先生側に焦点を当てれば、きっと理科の好きな子供たちがたくさん増えるんじゃないかというところは、まさに私も同じように考えております。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
 次は、加藤先生、よろしいでしょうか。
【加藤委員】  お茶の水女子大学の加藤でございます。私はもともと、理学部生物学科の教員でございまして、専門は植物生理学です。また、現在、学内で理系女性育成啓発研究所という女子中高生の理系への進路選択を支援する部署の所長をしております。昨日も開催しましたが、中学生や高校生を集めて、理工系への進路選択ということをアピールすると共に、保護者への啓蒙活動等をしております。
 この非常にボリューミーな資料を拝見させていただきましたけれども、私が一番、心に響いたのは、資料の4ページに「基礎的な科学知識の定着を図りつつ、観察・実験等や科学的な研究活動を通して、科学的に課題解決をする経験や体験を一層充実してはどうか」という点です。私は非常に意義深いものであると考えております。やはり、体験とか経験をした人たちが理系に進学する例が多いですし、日常の疑問から科学への関心が芽生えて、この課題を解決しようというような道のりを経て、さらに学問として科学を究めたいと思うような直球のルートがあります。今、日本の研究力が非常に下がっているという議論を研究振興局の部会でも行っていますが、研究者の裾野を広げることに関しても、皆様方と一緒に議論していきたいと思っております。
 また、スーパーサイエンスハイスクールの高校生の研究指導とかも長年担当してきましたが、自分で研究テーマを見つけた生徒さんというのは非常に強いパワーがあると考えております。必ずこの謎を突き止めたいとか、自然界から有用な何かを見つけ出したいというような興味とか関心とかが原動力となるので、そうすると、こちら側もできるだけサポートしたいと思います。研究テーマを自分で設定するだけの力を涵養できるような理科の在り方というのが望まれるのではないかと思っています。先ほど井上委員の御発言に先生の影響というのもございましたけれども、私自身も中学・高校の生物の先生の指導が大変心に響いて生物学科に進学したという経験がございますので、中高の先生の力をさらに上げていくことに関しても、この場で皆様方と一緒に議論ができればと思います。
 1か月に数回は中高生対象のイベントを開催しています。ふだん中高生と接していて思うのは、理系に進学する、例えば化学を専攻した場合には、一生、物理には戻れないとか、生物には戻れないとか、そういう狭い考え方が蔓延しています。境界領域の分野も多いことですし、文理融合というのもこの資料にありましたが、それが中学生とか高校生とかはあまりよく分かっていないような気がします。受験科目の分野がそのまま縦割りの学問分野だと思っている学生さんが多いので、中高生対象のイベントのたびに、そうではないよ、文理融合という言葉もあるよとか、化学と生物を掛け合わせた生物化学みたいな分野がありますよと言うと、なるほどとか思って帰っていきます。このような学問分野のつながりを理解してもらえるような工夫というのが必要だと思っております。
 最後に、日本の理工系女性人材の増加を加速させるための活動を行っているわけですけれども、やっぱりアンコンシャスバイアスというのはあります。今、生徒さんは少しずつバイアスが軽減される方向にありますが、保護者には根強く残っているように思います。最近の進路選択というのは保護者の影響が大きいので、保護者が何と言おうと自分は理系に進学したいんだというような強い意思、そういう意思を養えるような教育、そういう視点も併せて考えていきたいと考えております。
 私からは、以上です。
【古村主査】  加藤先生、どうもありがとうございました。自分の経験や体験を基に、自分で研究テーマを見つけている子供は強いと。そうですね。全員が研究者にならなくても、自分で問題を見つけて、そして、それを解決しようというのはとても大事な力じゃないかと思いますから、アンコンシャスバイアス、私は、保護者だけじゃなくて、ひょっとしたら指導する中学教師側にもまだ残っているんじゃないかなあというのは、かなり気になって。
 私ばかりしゃべっても、しようがないです。大変失礼しました。
 次は、上村先生、お願いできますか。
【上村委員】  よろしくお願いいたします。東京都立多摩高等学校校長、上村礼子と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、今、校長という立場でありますけれども、化学を専門としておりまして、教員のときには化学を教えておりました。そのようなことから、高校現場の教員の立場で御意見を申し上げるという、そのような立場であるということを認識しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、日本理化学協会という全国の理科の先生方の組織の会長という立場で、全国大会で、理科の先生方の教材発表ですとか、理科教育の発表等の裏方として運営をしているところでありますけれども、そのような中でうかがい知ることができる理科の先生方の立場のお声、そのようなことからの提案もできたらというふうに考えております。
 現役の頃は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)で教員をしておりました。校長としては、多様な生徒がいる学校に勤務しておりまして、少なくとも理科が得意な生徒ばかりではないということ。そういう生徒たちも、就職をしたり、専門学校に行ったりということであったとしても、理科の素養、科学的リテラシーを高めて、卒業をした際に、理科の知識を持って仕事に就いてということも多くありますので、基礎基本を身につけて、理科を学んだことの有用性というものを感じて生かしていけるような、そういう卒業生を生み出していくということが使命であるというふうに考えております。
 理工系出身、理工系に進学していく生徒が非常に少ないというのは、身につまされて感じております。そこにつきましては非常に大きなミッションであるというふうに考えておりますが、ただ、なかなか難しい面があります。先ほど御意見でおっしゃられておられましたけれども、保護者のみならず、教員にもアンコンシャスバイアスがある可能性はあるというふうには十分考えておりまして、女子だから計算が苦手とか、女子だから物理はできないよねとか、そういうようなことに、子供たちはどうしても、その期待に応えてしまう、負の期待に応えてしまうという面もあるのではないかなあというふうに感じて、深刻な事態というふうに思っております。そこを変えていければと、そのようなことも考えているところであります。
 今回の論点整理で出されております、先ほど御説明いただいた参考資料1-1の5ページの、深い学びの実装、多様性の包摂、実現可能性の確保、こちらの議論に関しては非常に期待を持ちつつ、非常にありがたい言葉がちりばめられておりまして、これが実現したらあらゆる問題等も解決できるのではないかということで期待を持っております。特に、自らの人生をかじ取りすることができる、自分の頭でしっかりと考えてよりよい人生を歩んでいけるような、そういう子供たちの輩出ができるような、そういう高校教育が実現できたらというふうに考えております。そのような立場で議論に参加させていただけますことを非常に感謝申し上げております。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【古村主査】  上村先生、ありがとうございます。またここでも、アンコンシャスバイアス、それから、負の期待に応える結果になっているんじゃないかという、それが、男女比は一対一だけども、結果的に理工系進学率が少なくなっているということの一つの原因なのかなあと思います。その辺も含めて、この後、十分検討が必要かと思います。どうもありがとうございます。
 次は、久保田先生、お願いできますか。
【久保田委員】  玉川大学の久保田と申します。よろしくお願いいたします。私は理科教育が専門ですが、専門といっても、実はこの資料を全部理解し切れていないままでの感想を述べさせてください。
 まずは、事務局の皆様、丁寧に資料をまとめていただいて、ありがとうございます。すばらしい資料だと思います。
 感想として、まずは問題解決と探究のところです。理科教育では、問題解決と探究って、非常に大切にしてきております。しかし、ここのデータではまだまだ十分ではないことを示しているようです。現場の先生は、探究のプロセスは理解できるけど、資質・能力とか、見方・考え方とかの関係が複雑でよく分からんというような声を聞いたり、それらの扱いが校種ごとに違っているので難しいなどの声をいただいています。あと、中学校や高校では、探究しようと思っても、その時間が足らないというようなお話もいただいておりますので、今回、中核的な概念の設定とか、それぞれの概念の整理することで、解決できるといいなあと感じております。
 続いて、日常生活とか社会の関わりというのがテーマにありましたが、これは様々な関連があると思います。先ほどの職業もあれば、横断的な課題もあります。近年の温暖化とか、自然災害とか、パンデミックとか、これも多分、横断的な課題だと思います。どの学校段階でも関係する学びが必要なのではないかと思っています。その問題を解決するのは高度な科学技術人材なわけです。その育成は第一ですが、一般市民にもしっかり目を向けていく必要があると思っています。地球温暖化等の課題を自分なりに理解して、判断して行動する、意思決定するといった、よりよい市民の育成というのは理科教育の中でも必要なのではないかと考えました。
 最後は、デジタル学習基盤の活用です。GIGAスクール構想によって1人1台端末が小中高とも配付されておりますが、整備は大体終わりました。次は活用の段階に移っております。先ほどの資料では、最終ページにそれについて記載がありました。理科に特化した活用も広がり、効果も一部確認されているようです。例えば、実験データをクラウドで共有することで数多くのデータから信憑性の高い考察ができるようになったなどです。それだけでなく、実験の途中でも、他の班の途中結果が見られることで自分の活動が調整できるようになったなども見られております。こちらもまだ活用が一部にとどまっているのが課題かと思っております。提案にあるように、デジタル学習基盤を前提として改訂することで、先生方のイメージが広く共有されて、活用が広まるといいなあと思っています。
 ところで、今の現行学習指導要領には、同じICTに関わることで、「情報通信ネットワークを介して得られた情報は適切なものばかりではないことに留意し」とあります。ここは、非常に重要なことだなあと思っています。現在のSNSというのは科学に関わる様々な誤情報が蔓延しております。例えば、温暖化のような地球規模の誤情報から、ワクチンとか健康食品のような、自分たちの子供たちの生活に直結する直結するような誤情報もあるわけですが、科学情報の確からしさを見極めることも、理科の非常に重要な使命になると思っています。そこでは、これまで小中高とも取り扱ってこなかった「科学的コンセンサス」や、「科学の仕組み」もしっかり教えていかないと、目的に到達できないと思っています。PISA2025のサイエンスフレームワークでは科学の誤情報に関するコンピテンシーも設定されているので、世界的な動きだと思っております。これは、情報活用能力との関連でほかのワーキングとも連携しながら検討する必要があると思っている次第です。
 つらつらといろいろ申し上げて、すみませんでした。皆様、よろしくお願いいたします。
 以上になります。
【古村主査】  久保田先生、どうもありがとうございました。デジタル教育基盤、やっと今、各学校のGIGAスクールですか、整備がされて、これからそれをどう有効に活用していくか。これは、教員の資質のほうにも関係してくるかと思いますし、あと、新しく情報科というのができて、そこで扱うというようなこともここでは出てきますが、いい面だけではなく、負の側面、それをどう解決していくかということも重要な課題になるかなと、私も聞いていて思いました。どうもありがとうございました。
 次は、菅谷先生、お願いできますか。
【菅谷委員】  私自身は、今、大学で大学生に接しながら、その大学生が研究者になっていく過程などを見たり、そういった人材が増えないかなというところに関わっているというのが1点と、あとは、SSHの審査などに大分関わらせていただく機会がありまして、そういったこともあって、10年ぐらいですか、SSHの学生がどんなふうにだんだん育っていっているのかというのを見てきたところから、いろいろな話ができたらいいのかなと思っているところです。
 私自身の話で言えば、理科、今回のいろいろな資料、全部を理解したわけではないんですけれども、いろいろ気づかされるところもあって、今回の論点になっているようなところはいろいろ大事なことがあるなと思った次第です。
 その中で幾つか感じたこととしましては、私自身は、理科ほど、社会や自分の生きている世界につながっているような学問はないのではないか、身近なのではないのかというふうに思いながら生きていて、先ほど観察をする大切さのことが取り上げられていましたけども、私自身も、観察する力というのは、事実を観察して、そこから課題を見つけたり、そこからいろんなことを考えていく力だったり、それを見てわくわくするような経験・体験というのが私たちの生きる力になっていくんじゃないかなというふうに感じているので、理科教育というのはすごく大事だというふうに感じています。
 学びに向かう力というようなキーワードがあったと思うんですけれども、私も、学びたいという、それぞれの生徒のモチベーションが高ければ、どんどん自分から学んでいく力を彼らは持っているんじゃないかなと思っていて、そのときに、知ることの意義・意味だったり、知ることだったり、知識というものをどういうふうに理解して使っていくかという力がついていけば、どんどん自分の足で立って考えていけるんじゃないかなというふうに感じています。それができることによって、いろんな人とコミュニケーションが取れて議論ができるということが人間にとって大事だろうなというふうに感じているので、ちょっと散漫になりましたけども、知ることの意義や学ぶ意義というのが分かってくることで、自分の力で考える力ができて、もっと大きく言えば、世界の平和まで考えることができる力がつくのではないかなと考えています。
 いろんな話をしましたが、もう一つだけ言わせていただきたいのは、SSHに長く関わらせていただいて、高校生の力の変容といいますか、そういったものを感じる機会を持たせていただいています。課題研究、探究研究というのは、先生方の力もあって、生徒たちがいろんなテーマを自分で見つけて、わくわくしながらそれを解決しているという力がついているのは、課題研究の発表会などでいろいろ見させていただいているところです。ですから、そういった力がつくことは明らかだなというふうに感じるので、それをぜひ利用して、できるだけ多くの生徒にできるだけ広く知っていただきたいということプラス、広げたいということプラス、わくわくするという力をもっともっと伸ばしてあげて、それによって、博士人材とか、そういったところを増やしていくところにつなげられるんじゃないかなと思っています。
 最後にもう1点、男女差のことは、日本における非常に大きな特徴だと私は思っていて、これが解消されることは日本にとってすごく大事なことだろうというふうに感じています。
 長くなりましたが、そういったことについていろいろと話し合う機会が持っていたらいいかなと思っています。
 以上です。
【古村主査】  菅谷先生、どうもありがとうございました。SSHを通して高校生の活動、私の地震研にもよくSSHの生徒が来て、私が担当できるのは、地震とか、津波の実験とか、そういうものなんですが、そこで彼ら・彼女らが考えて、いろいろ質問をしてきて、自ら実験を改良して進めていくというのは、見ていて、本当に私も心強いです。将来、この分野に来てくれたなと思います。それから、男女差の問題についても、いろいろ、この後の検討になるかと思います。ありがとうございます。
 次は、鈴木先生、お願いできますか。
【鈴木委員】  掛川市教育委員会の鈴木と申します。よろしくお願いします。
 私はこれまでに、教育行政のほか、小学校、中学校の教員及び管理職を務めてまいりました。小学校、中学校の現場に関わる立場で、話をさせていただきます。
 私の業務としましては、学校を訪問して、研修に関わったり、授業参観をしたりしているわけですが、学校現場で授業参観をして感じた課題をお話しさせていただきます。
 まず、理科教育の課題として、探究型の授業が十分に行われていないことが挙げられます。学習指導要領では、小学校では問題解決、中学校では科学的な探究をする学習活動を重視すると示されています。しかし、現状ではまだ十分ではないと感じています。その結果、子供が授業で受け身になりやすく、課題を解決したいという意欲が高まらないだとか、解決の見通しが持てないだとか、目的を持って観察や実験を行っていないという問題が生じていると、私は考えております。観察実験を取り入れている授業はたくさん見られるのですが、子供たちは観察実験を、結果を出す作業として取り組んでいるように見えることも少なくありません。探究型の授業を進める上では、課題設定が重要であるというふうに思います。問題を見いだせる場面では、問題意識を醸成できるように工夫した自然事象との出会いを設定する、それから、自然事象から問題を見いだして、解決できる課題に落とし込むなどの改善が必要かなというふうに思っています。
 次は、結果から考察をする場面もよく見させていただくわけですが、そのときに得られた実験結果・観察結果の妥当性を十分に吟味しないで考察を行うので、考察に正確さが欠けたり、表面的な説明にとどまったりすることも見られます。子供自身がたどってきた思考のプロセスに基づく思考や表現になっていないことがあるので、改善が必要です。探究のプロセスをたどりながら思考や表現することで科学的な見方や考え方を働かせる必要が出てくるものと思いますし、科学的に分析したり考えたりする必要性も出てくるのではないかというふうに考えます。
 また、授業では対話的な学習を多く取り入れていますが、学習指導要領で示している、実証性・再現性・客観性を踏まえた科学的な議論が必ずしも行われているとは限りません。これらの手続を通して学習集団が合意形成をして結論を出すことが大切なのですが、授業を見ると、教師が一方的に結論をまとめてしまうという場面も多く見られます。ですので、探究型の授業を充実させるとともに、対話的な学習も充実させるというところが重要かなあというふうに思います。
 次に、人材育成という観点から、話をしたいと思います。理科の指導を得意とする教員の育成は喫緊の課題だというふうに思っております。小学校では理科の指導を苦手とする教員が少なくないです。その理由は、理科の授業を敬遠し、指導経験が不足をしていること、御自身の理科の知識が不足していること、観察・実験に不安を持つなどが考えられます。理科の専科教員の配置も進められているわけですが、人材不足により計画的に配置ができないというような現状があります。中学校では、理科教員は教科の専門性が求められます。最近は若い先生が増えてきています。教科の研修の機会が少なくなっているため、指導が自己流になっていたり、自身の自然体験不足があったりして、質の高い授業に向けた指導力向上が課題です。大学での教員養成や、教員採用後の研修の充実、校内でのOJTの促進など、理科教員の育成に力を入れていかなければならないというふうに感じています。
 最後に、論点整理の資料の5ページの次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方の中に、「多様性の包摂」というキーワードがあります。学校現場を見ると、小学校も中学校も多様な児童生徒が増えてきていると実感しています。例えば、不登校児童生徒が全国で35万人弱等、年々増えています。掛川市においても、どの小学校・中学校においても、不登校が増えています。そのほかに、外国にルーツを持つ子供や、特別支援を必要とする子供、経済的な問題を抱える子供など、多様な子供が本当に増えたなあというふうに思います。そのような多様な子供に対応する必要があることで、教員の多忙の一つの原因にもなっています。多様な子供が増えていることを踏まえて、理科教育においてもこのことを考えていかなければならないなあというふうに思っております。
 私からは、以上です。
【古村主査】  鈴木先生、ありがとうございました。途中で回線が1回切れて、論点整理の資料のところから、つながったときは多様な子供が増えているというところに飛んじゃったんですが、重複しても結構ですので、もう1回、補足いただけますでしょうか。
【鈴木委員】  多様な児童生徒の具体としましては、やはり不登校が非常に増えているということ。全国で35万人弱ということで、これは、年々増えていて、増加の一途をたどっております。そのほかに、外国にルーツを持つ子供も増えております。特別支援を必要とする子供たちも増えています。経済的な格差というようなところで、経済的な困難な子供もいます。そういうような多様な子供たちに対応するということが、理科教育を考えていく上でも必要な要素であるのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上です。
【古村主査】  ありがとうございました。今、特に不登校とか、それから、外国からの日本語を十分理解できない子供たちとか、いろんな多様な中で、どう授業を進めていくか。そういう子供たちも含めた、多様性の包摂ですね。論点整理の資料の中にもありましたが、教育の対象のレベルをどこに設けるのか。誰も落ちこぼれがない、全員をというところで本当にいいのか。これだけ裾野が広い中でそういう理想的な教育ができるのかというようなところも、論点にあったかと思います。
 それから、先生が今おっしゃった、理科を得意とする教員を育てないと、探究型の授業を成功させたり、その後の対話的な授業を進めていくというところにも、現実にはなかなか進められないところも、おっしゃるとおりかなと思ってお聞きしました。どうもありがとうございました。
 次は、田代主査代理、お願いできますか。
【田代主査代理】  皆さん、こんにちは。常葉大学の教職大学院の田代と申します。日頃は、教師の卵や現職の先生と関わる日々です。3点ほど、話をしたいと思います。
 まず、今回のワーキンググループにおいては、理科で言うところの「中核的な概念」というものを抽出して、それを構造化するというようなことがとても大事なところかなと思っています。また、それをどうやって学習指導要領で提示するのかという、その提示の仕方というようなことがすごく大事になってくるのではないかと思っています。幸い理科は学問的なベースがしっかりしているので、ある意味、つくりやすいところがあると思います。また、他国の取組も、同じような取組をされている国がたくさんあるので、かなり参考になるのではないかと思っています。ただ、教育的な観点とか、子供たちの発達のプロセス、そういうものも含めながら見ていく必要があるというところが大事かと思います。そうすると、場合によっては、学問的な世界とは調整とか折り合いというのが必要になる場面が出てくるのではないかというふうに思っています。これが1点目です。
 2点目は、テクノロジーが社会を変えるということで、皆さん御存じのとおり、手紙がメールになったりとか、荷物は、もしかすると、近々、人ではなく、ドローンによって運ばれて来たりするのではないかというふうに、科学技術というか、テクノロジーが社会を変えていくということがすごく多くなってきています。例えばハードの面で、iPhoneとか、iPadとか、そういうものができたから社会が変わったというふうに一般的には認識されていることが多いと思います。しかし、実は、ハードが社会を変えるためには、それを支えるソフト、例えば、Facebookとか、Twitterとか、そういうようなものがあったからこそ社会を変えていったというふうに、最近では言う人も出てきています。ちょっと例えは違うのですが、今回、「論点整理」というすばらしいハードはできたんですけど、これを学校現場の先生方にどううまく伝えて実現化させるのかという、ソフトの面がしっかりしてないと結果としてうまく動かないというところがあるので、その辺も含めてしっかり考えていく必要があるというのが、2点目です。
 最後、3点目ですけど、理科だけでは実現しないのですが、児童生徒が失敗を恐れずに夢を語れるような社会にできるように、少ない力ですけど、頑張りたいというふうに思っています。どうぞ、皆さん、よろしくお願いします。
【古村主査】  田代先生、ありがとうございました。
 このワーキングは大変だと思うんですが、その中でも理科というのは割としっかり体系化されていて、概念というものがはっきりしているから、まだ進めやすいのではないかということでした。その一方で、テクノロジーがどんどん進んでいっている中で、これをどう適切に使っていくかということとか、あとは、ここで論戦整理はしっかりできたけども、それを現場にどう伝えていくかというところは、確かにこれからが大事なのかなと思いました。どうもありがとうございました。
 次は、奈須先生、お願いできますか。
【奈須委員】  よろしくお願いいたします。上智大学教育学科の奈須でございます。多分、私だけが理科を専門としていないメンバーかと思いますけど、私自身は今回、教育課程部会の部会長という立場で、このワーキングも含め、全ての教科・領域等を取りまとめて教育課程全体を調整していくというお役目をいただいております。1月から、この教育課程の議論というのは、教育課程企画特別部会という場を中心にして、教科・領域を超えた全体としてのデザインについて、あるいは課題について、議論をしてまいりました。それが先ほど御説明いただいた論点整理という形で出たわけですけれども、各教科・領域あるいは校種ごとに特殊な事情・状況・特質・課題というのはございます。この教科ワーキングの中で、理科としての御専門のお立場から、論点整理で出た全体の構想を足場にしつつ、御議論をお進めいただきたいわけですけれども、今回、私もそうですが、教育課程企画特別部会、あるいは教育課程部会のメンバーが各教科・領域等に分かれて入りまして、一般的な議論をしたことを具体的な教科・領域に即して一緒に考えていこうというふうな形にしております。私は理科のほうに来させていただいて、しっかり勉強をさせていただいて、一緒に、いい理科の教育課程編成について尽力してまいりたいと思います。
 私自身は、学部は教育学部の小学校課程で、免許教科は、実は社会科です。ただ、実験とかが大好きで、心理学教室に所属して、知覚とか学習の実験心理学をずっとやって、学位論文も実験心理学で書きました。なので、ちょうど社会科学と自然科学の間のような立場でいろんなことをやってきた人間で、常に、心理学というのは物理学に憧れる学問ですので、皆さん方の領域に憧れつつ、でも、社会や人間ということに関心を持ってやってきたような人間です。いろいろ勉強させていただければと思いますけれども、理科については、今ほど田代先生がおっしゃったとおりで、他教科もそれぞれ、いろいろ知見というか、蓄積はあるのですが、理科は学問体系が何より構造的にきっちりしていますし、それから、これも田代先生がおっしゃったように、国際的な動向の中で日本の理科教育も進んでまいりましたので、この中核概念あるいは中核的な方略ということについても、随分、蓄積もあり、実績もあるんだろうと思います。現行学習指導要領でも、先ほど来ありましたような粒子とかエネルギーということも見ようによっては中核概念ですし、多様な自然の事物・現象を、粒子の挙動や存在、エネルギーのありようということで、統合的に見ていくわけですね。そういったことが実はもうかなりできているのが理科かなと思っています。また、問題解決の方略、中核的な方略としても、科学的な方法論というのは一つの体系としてありますし、小学校以降、例えば、条件制御とか、系統的観察とか、誤差の処理という、具体的な内容として段階的に系統的に指導をしてきております。まだまだ不十分だという声もありましたけど、カリキュラム的にかなり構造的に整備されている教科だと思いますが、まだまだ課題もあるので、さらに一歩二歩進んでいくということが今回できるといいなあと思います。
 海外でもScientific Inquireというような言葉でずっと言ってまいりまして、最近はScientific Practiceとかよく言いますけれども、そういったことと日本の理科教育というのはしっかり共に歩んできていますので、そういった知見・経験・実践を生かしてやっていくということで、いい形になるんじゃないかと、とても期待をしております。
 また、久保田先生がおっしゃったように、どの教科もそうですけど、市民教養としての教科教育と、専門教育としての教科教育というのがあると思うんですね。理系人材が足りない、もっとそちらに進む人を、特に女子についてそうしていきたいというのは、日本の国家の命運を左右することですので、教育界でもとても力を入れてやっていかなければいけないんだろうと思いますけど、同時に、必ずしも理科を専門的な知識として生涯を生きていかない人たちにも、今こそ、科学的なリテラシーですね。身の回りの出来事を科学的に読み解き、しっかりと判断し、あるいは議論していく能力というのは、市民教養として、とても重要なんだろうと思います。これまでも重要でしたけれども、この不確実性の高い時代に科学的なリテラシーというのはいよいよ重要で、それは理科が率先して担っていくものだと思います。この辺りをどうしていくか。とはいえ、ボリュームには限界がありますので、市民教養としての理科と専門教養としての理科をどういうふうに整合させて、全体のカリキュラムをつくっていくか。これは小中高という段階の中でしっかりと考えていくということだろうと思いますけど、そんなことが課題になってくるのかなあなんて、思っておりました。
 また、先ほど来のお話ですけども、かなり純粋な理科的探究と、それを応用した科学技術ということがありますね。かつて、理学部理科、工学部理科なんていう言い方を聞いたこともありますけども、両方いるんだろうと思いますが、科学と科学技術の関係ですね。その辺りをどう考えていくか。既に理科教育の中には、それについていろんな取組がなされていますし、いい形で進んでいると思うんですけど、さらにもう一度見直して、そういった事柄をどういうふうに再構造化して精緻化していくかということが、今回、課題かなあと思っています。日本の理科教育というのは本当に成果を上げてきたし、それが特に戦後の日本社会を支えてきたと思うわけですけども、さらにいい形で進んでいけるといいなあと、今回、とても期待をしております。よろしくお願いいたします。
【古村主査】  奈須先生、どうもありがとうございました。日本をずっと支えてきた理科教育、専門家の教育はもちろんそうですが、それだけではなく、広く市民教養としても科学リテラシーをしっかり持たせる、それを理科の教育を通じて進めるということの大切さ、私も同感覚です。どうもありがとうございます。
 次は、西田先生、よろしいでしょうか。
【西田委員】  渋谷区の笹塚小学校で校長しております、西田香と申します。先生方の中で、一番小さい子供たちと日々接しております。その中で、理科が本当に好きな子供もたくさんいるのですけれども、逆に苦手な子供もいて、かなり二極化しているなということを感じます。特に都市部に住んでいる子供たちなので、自然と接することもすごく少なくて、川で遊んだことがないというだけではなく、川そのものを自分の目で見たことがないという子供がいたり、あと、虫が好きな子は本当に好きなんですけれども、全く虫に触れないという子もたくさんいたり、あとは、道路などがほとんど舗装されているので、霜柱を見たことがない。たまにどこかで見かけると大喜びして、先生、こんなの見つけたって。私からすると霜柱なんて冬は当たり前だと思うんですけれども、そういう経験が不足している子供が今どんどん増えているなあと思います。
 そんな中で、私たち、どういうふうに理科を教えていったらいいんだろうって、日々悩んでいます。とにかく、理科が少しでも好きな子供たちを増やしていきたいなと、日々願っています。とても緊張しているんですけれども、この会でたくさん勉強させていただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
【古村主査】  西田先生、どうもありがとうございました。東京にいると、虫、それから、川や自然を体験したことのない子供たちって、うちの子もそうですが、そういうのは確かにそうかなあと思いました。私が子供の頃の当たり前と、都会というのは違うのかなあということですね。その中で理科の好きな行動を増やしていくか、育てていくか、これは一緒に考えていかなきゃいけないかと思います。どうもありがとうございました。
 次は、長谷川先生、お願いできますか。
【長谷川委員】  長谷川です。青山学院大学の化学・生命科学科で教授をしております。よろしくお願い申し上げます。
 私の学術的な専門は、レアアースの光る材料を作ったり、あるいは光る原理を明らかにするというのが専門になります。いろいろな専門を生かして、もちろん論文だけではなくて、特許なども書いているんですけども、現在、JSTのCRESTのアドバイザーをするなどしております。また、文部科学省では、学術調査官を経由して、研究振興局で、大変長い時間、お世話になっておりました。今回、こういった理科のワーキンググループに入れていただいて、本当に光栄です。また、新しい視点で勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 まず、資料を拝見しまして、そして、今日の説明、大変丁寧にたくさんのデータをまとめていただいたことに、本当に感動いたしまして、感銘を受けました。ありがとうございます。
 まだ整頓し切れてない部分もあるんですけども、まず、私の専門から派生した社会とのつながりというのを少し御紹介させていただきますと、大学に来てほしいのでというあからさまな目的で高校生に模擬授業をしたりというのはどこの大学でもあると思うんですが、そういったものも経験しながら、小学生から大体70歳ぐらいまでの広い範囲での一般の方に、例えば、レアアースは光るので、光るってどういうことだろうとか、化学と分子と私たちの生活はどういったことでつながっているのかというようなお話をする機会もたくさんいただいております。多分、100回以上やっているのではないかなと思って、先ほど井上委員のお話を興味深く伺っていた次第です。朝日新聞社がやっておりますJSECという高校生向けの、かなりシビアな自由研究、論文から審査するんですが、そういったものの審査員等も経由しております。コロナ期は、幾つか出版社からお声がけいただきまして、小学生用の元素の絵本を2冊監修いたしました。それと同時に、ずっとステイホームでしたので、朝日小学生新聞に、私は長谷川美貴と申しますけれども、「ハセミキ先生の科学なぜなぜな~ぜ???」という、すごく面白いコーナーをいただきまして、隔週で、化学だけではなくて、広く数学ですとか、ETCの原理とか、ステルス戦闘機とか、月のウサギは何でできているとか、そういったお話も含めて、いろいろトピックを上げたりとかいうのをさせていただいて、物すごく勉強になりました。
 もう少しシステムのほうで言うと、2009年から、元素のお名前を決めるとか、そういったプロセスを、あるいは定義を、各国でのではなくて、世界中での定義をつかさどっている化学の国連があるんですが、IUPACの委員を務めております。こういった視点から、ここで、皆様と共有して、次の日本を支える人材にこういった地盤ができるといいんだなということを私が何か発見できて、皆様と話ができればいいなというのを強く思っております。最初の話で何回かありましたが、高校で理科を選ばないとか、大学に進学するときに理系を選ばないというのは本当に残念な話で、文系も理系も大事なんですけれども、どうも敬遠されやすいなという印象があるので、それには親をちゃんと安心させなきゃいけない社会を私たちが示していくべきかなあというふうに思いました。
 そして、ちょっとお話にもありましたけども、高校の先生、小学校の先生、中学校の先生、皆さん、それぞれお忙しい中で、実験に踏み切れない部分というのがあるというのも、私も別の部分で聞いたことがあります。そういった先生方に、もっと安心して、大胆に実験を教えていいんだよというようなものも、何かきっかけがあるとうれしいかなあと。それが実験離れを防いでいって、もともと子供たちは外で遊ぶのが大好きで、あるいは本の中でいろいろな冒険をするのも大好きで、文章に関わることと自分で手を動かして発見するというのは同じくらい大事かなあというふうに思っております。そういった機会を増やすにはどういったタイミングが必要なのかなというふうに思っています。
 今、私がお話ししたのは、理系に進む・進まないの前の段階の話かなと思うんですが、理系に決めたといったときも、例えば大学で理系を選んだ後も、社会に出たらも理系も文系もないところで働いていくわけですから、そういった視点では、理系視点というよりも、キーワードでありました日常生活と社会との関わり合いというのも、地に足をつけて、ここの視点から見るとこうなんです、こういった現象は確かに危ないけれども全員が使わなかったら何も先に進みませんよみたいなところを何らかの形で、安心してみんなで取り組めるような、教育の場ですとか、カリキュラムなどがあるといいのかなというふうに思いました。
 ちょっと雑駁になりましたけれども、今後、楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【古村主査】  長谷川先生、どうもありがとうございました。確かに、社会に出ると、理系も文系もないわけですね。そこで、適切な、いろいろな判断をして進めていく。先生が光るレアアースを専門されているというのは、私自身はすごくわくわくするんですが、それって、金属色として光るんですか、それとも発光するので光るんですか。
【長谷川委員】  発光するほうですね。UVランプを当てますと、目に見える領域に光が出て来るので、言い換えるとエネルギー変換材料でもあるんですけど、お札に使われているので、皆さん、ブラックライトを当てると赤とか緑に光ります。
【古村主査】  深いんですね。これもわくわくする教材かと思います。また教えてください。ありがとうございました。
 それでは、次は、深澤先生、お願いできますか。
【深澤委員】  茨城県教育庁学校教育部高校教育課長の深澤と申します。よろしくお願いいたします。
 私はもともと、高校の理科の教師です。その後、理科の指導主事をやっておりまして、本県の科学者育成の事業、またはSSH指定校の協力・支援等を行っておりました。そのような経験を基に、今は教育行政を行っております。
 今回の資料を見させていただいて、その中で、「タテ・ヨコの関係」の可視化による「深い学び」の具現化という、この資料に実は大変期待をしているところです。といいますのは、知識及び技能と、思考力、判断力、表現力等という、このそれぞれについて、先生方は、知識がなければ生徒は思考できないし、言語化、いわゆる専門用語を知識として知らなければ表現もできないから、考えも共有できないということは分かってはいるんですけれども、学習指導要領上でこのように可視化することで、知識及び技能と、思考力、判断力、表現力等というのが、横並びの要素だ、ヨコの関係だということ、それが「深い学び」への必要な関係性だということを、自信を持って授業が展開できるようになるだろうと。この「深い学び」の具現化というところを大変期待したいところなんです。
 もう一つ、学習指導要領の構造化・表形式化のイメージというところにも、教員が助かるなあと思うところがございます。というのは、現在、もちろん教員は学習指導要領を読み込んではいるんですけれども、実際、教員が授業を展開するときに、単元ごとに、例えば、この単元は学年あるいは校種を超えてどういう内容のつながりがあるのかというのが、イメージ化してもらうことで確認できるという利点がございます。まさに、教科書の内容を教えるではなくて、教科書で教える。これはよく言われるんですが、この部分、しっかりできるようになるには、授業の内容に関する既習事項、その学年よりも前、例えば、小学校、中学校でどんな内容を学んだか。そして、この後、大学、あるいは専門家になる上で、今後の展開という部分を踏まえることができます。この大きく二つのことで教員の理科内容への意識が深まっていくと期待できます。そして、教員の意識が深まることで、児童生徒の「初発の思考や行動を起こす力」と明示されていましたけれども、いわゆる理科が楽しいというふうに繋がるのではないかと思っています。理科が楽しいときってどういうときかなあと思い返しながら、私も自分の子供にちょっと聞いてみたんですけど、自分が見ている現象とか、感じていることの理由とか、ルールとか、法則が分かると、すごく楽しい。なぜとか、驚きとか、そういう感じた現象を共通言語で表現できる、いわゆる専門用語ということになるかもしれないんですけれども、それで共有できることで、理科が楽しいなと思う瞬間もあるのではないかと。ただ、理科が楽しいには、個人差があるのも事実だと思っています。この個人差をどう埋めていくのかというところで、今回、調整授業時数制度とか、科目の柔軟な組替えという方向性も出していただいたので、この教育課程の在り方というところで理科が楽しいへの個人的な差に対してどのぐらい寄り添えるかなあというふうに期待したいところです。
 また、今回のワーキンググループにおける検討事項・論点の4ページの2ポツと5ページの4ポツに繋がるんですけれども、科目・分野横断的に探究する活動というところは、強く感じているところです。実は、私もある高校で校長をやったときに、子供たちが探究活動をしているんですけれども、野菜の形が不ぞろいだと。その理由を科学的に考えていく。例えば、虫とか、日当たりとか、いろいろサイエンスティックなところを考えるんですが、その子は、これは店に並ばない。もう売れないよね。じゃ、この野菜ってどうなるのかな。無駄にしないためにはどうするのかな。だんだん、社会課題に思考が広がっていくんですね。そうなると、分野の中、サイエンスの中だけの探究の活動ということではない、社会的な課題についても思考は広がっていくという活動について、教員もどんなふうに寄り添っていくのかというところ、その部分についても考えさせられた次第です。
 すみません。あちこちに飛んでしまったんですけども、感想になってしまいますが、いろいろと勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【古村主査】  深澤先生、どうもありがとうございました。最後におっしゃった、野菜から見て、分野横断的な研究。野菜はふぞろいが自然なのに、なぜ社会に並ばない。私もそう思います。環境問題だって、あれは、理科の問題というよりは、経済の問題なんですね。だから、そこから一緒に考えていく、そこで本質をいろいろ考えていくというところが、こういう教育の大事なところなのかなと、私も思います。どうもありがとうございました。
 次に、益田先生、いかがでしょう。
【益田委員】  最初に、簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。私は、群馬大学で教員養成に当たっている、益田裕充と申します。まさに教員を養成する真ん中というか、要するに毎日の仕事が教員の養成ということで働いている者でございます。私自身は、現在使用されている中学校学習指導要領解説の理科編に協力者として改訂に当たらせていただいた者でもございます。また、学内においては、附属中学校長だとか、副学部長だとか、あるいは附属学校部長というのを経験させていただきました。特に、附属中学校長、附属学校部長では、学校経営を実際に行う中で、学校というところと隣接しながら研究などを進めさせていただいた者でございますし、また、平成31年からは群馬県教育委員会の教育委員として、令和3年からは教育長の職務代理者として、教育行政の側面から学校教育を支援してきた者でございます。お世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 早速なんですけれども、今日御提案いただいた現状・課題と検討事項という、そこのところから考えたことを指摘させていただきたいというふうに思っております。4ページの2の理科に関する課題を踏まえた固有の検討事項で、「用語等を見直し・再整理してはどうか」という、その用語、「(現行)小「問題」「問題解決」、中・高「課題」「課題解決」」、ここのところについて少しお話をさせていただきたいというふうに思っています。まさに教育課程企画特別部会でも、「中核的な概念」と、一部、「中核的な方略」という言葉も出ていたように思っています。まさに、これまで中核的な方略として理科が大切にしてきたことに関わるお話だというふうに思っています。対象とするのは、そこにあるとおり、小学校では「問題解決」、中学校では「課題解決」という話なんですが、先生方に広まってしまっている認識というのは、小学校は、子供の疑問を大切にし、問いを設定するという意味での「問題」、中学校では教師が与える課題という認識がどうも広まってしまったというふうに、私は捉えています。その後、全国学力・学習状況調査で、中学校理科ではこのことを払拭すべく、様々な報告書でそのことを多分指摘してきているのではないかなというふうに思っています。例えば、平成27年度全国学力・学習状況調査の中学校の報告書の課題の捉え方というのは、まさに子供の疑問を大切にし、問いを立てていく過程を重視してほしいというような報告書があったように捉えています。しかし、今日においても、このような誤解というんでしょうか、そのような指摘は払拭されていないというふうに捉えています。こういった点をはじめ、学校段階を超えた、あるいは連続的に見据えた学習課程の在り方を考えて、特に小中の問題解決の過程と探究の過程をすり合わせて、義務教育修了、つまり中学校3年生修了段階でどんな能力の形成ができるようになることをしっかりと議論して捉えていくべきではないかなと、強く感じています。
 これと関連することなんですけれども、現行の中学校学習指導要領解説の理科編では、各学年で重視する探究の過程というのを掲載しております。これは大変重要なことだったなというふうに振り返っているわけですけれども、しかし、その取扱いは理科改訂の要点の中で記述されているという状況にとどまっていまして、先ほど2の2で御提案のあった科学的に課題解決をする経験や体験を充実させるためにこれらを前面に出してはどうかなあというふうに考える次第です。
 最後もう1点だけ、「タテ・ヨコの関係」というのが出てきましたけれども、複雑な課題の解決というところに、理科とすると少し考えを置いておかなければいけないことなのかなと思います。それは、複雑な課題の解決ということを強調することは大切なことだというふうに思っていますが、ただ、そのことが、日々の課題解決を少なくしたり、あるいは軽んじたりするような、そういう方向性に変わっていってしまうようでは、これも一つ課題があるというふうに、私は捉えています。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【古村主査】  益田先生、どうもありがとうございました。この「タテ・ヨコの関係」の可視化、これは何度も出てきますね。これが多分、今回のかなり重要なポイントになってくるんじゃないかなと思います。複雑な課題だけでなくて、身近な問題についても同じように、軽んじたりせず、しっかりと考えていくような力、これもまさに、ここのこれからの議論になるかと思います。取っておきましょう。
 次に、和田先生、お願いできますか。
【和田委員】  東京都の日野市立日野第一中学校長の和田と申します。このワーキンググループに参加させていただきまして、今日だけでもいろいろなお話を聞けて、とても勉強になっております。どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は理科の教員でして、今は校長ですが、指導主事をした経験がありまして、その際は、理数教育の推進と、それから、理科ですけれども、学力向上に携わったことがございます。現在は校長ですので、毎週、教員に週案を書いてもらいまして、その週案に本時の目標と評価の観点を書いて、それに赤を入れるということをずっと続けております。それをやって感じることは、教員は、教科書とか指導書は読むんですけど、学習指導要領はあまり読んでない。何回書き直しても、同じようなものを書いてきます。それから、解説ですね。解説ってとてもいいと思っているんですけど、やっぱりあまり見てないなというのが感想でございます。
 私は、これまでいろいろな理科のことをやってきたんですけれども、重視したいなと思っているのは、やはり人間性の向上。とにかく、これがすごく重要ではないかなと思っております。それで、東京都の授業改善推進拠点校というもので研究をやっておりまして、今年2年目なんですが、研究の内容は、主体的に学習に取り組む態度の評価方法と、それを踏まえた授業改善ということで、全教員がルーブリックという評価基準をつくって、間もなく発表なんですけれども、教育課程企画特別部会さんのほうで主体的に学習に取り組む態度は学習準拠ではなくなってしまうということを聞いて、大変残念に思っております。発表しても、あまり意味がなくなってしまったかなあなんていうふうに思っております。
 それにまつわりまして、今回の資料の中に、先ほどもありましたけれども、学習指導要領の表形式化というのがあると思いますけれども、それには知識と思考力の関係がきちっと書かれるようですので、とてもいいかなと思っております。それを見ると分かりやすいと思うんですが、でも、学びに向かう力、人間性等については、その表の中には何もないんですね。ここも少し入れていただけるといいかなと思っています。なぜかというと、知識・思考力というのは、俗に言う知的能力ですけども、受験に出るわけですね。そうすると、どうしても生徒は受験中心の学習になったりとか、受験のために教えるというような教員も何となく増えてきてしまう気がします。ですから、この辺りのところを評価と絡めましてしっかりと入っていくと、よりいいのかなというふうに思っております。
 それから、もう1点ですが、前回の改訂に当たっての基本的な考え方というふうに書いてあったものが、今日の資料では、1ページ目に書いてあるんですけども、「理科を学ぶことの意義や有用性の実感及び理科への関心を高める観点から、【日常生活や社会との関連】を重視」というふうにありまして、これは本当に重要だというふうに、私は思っています。先ほどと重複しますけれども、どうしても、社会で役立つ前に、受験に役立つというようなことで勉強をしてしまいますので、受験が終わるとあまり興味を示さなくなるというようなことも本当に起こっているんじゃないかなというふうに思っています。理科の本質をしっかり学んで、理科の学習、勉強を進めていきたいという、そういうような子供が育っていけるといいかなと思います。
 私からは、以上でございます。ありがとうございました。
【古村主査】  和田先生、どうもありがとうございました。知識とか思考力、この辺が中心になると受験中心の学習になりがちであるが、社会に役に立つ、理科の本質をどうしていくかというところは大事なことかと思います。ありがとうございました。
 そうしましたら、私が残っていましたので、簡単に話します。
 私が言えるのは感想ぐらいなんですが、そもそも、私が何で地震の研究をしているかということを考えることもよくあります。というのは、最近よく聞かれるんですね。何で先生になったんですかとか、研究者になったきっかけは何ですかということをよく聞かれるんですが、思い返すと、私は、子供の頃から理科が好きな、実験好きの少年だったんですね。小学校とか中学では、体育は嫌いでしようがなかったのですが、理科の時間が待ち遠しくて、あした実験だという日は寝られなかった。それぐらい楽しみでした。そうやって育ててくれたのは、やっぱり先生なんですね。実験が好きで、どんどんそういうのを育ててくれる、励ましてくれる、そういう先生。ですから、この新しい教育課程も、私のような子供たち、理科好きの人の根を伸ばして、成長を支える、そういう先生をどんどん後押しする、そういうような教育課程になっていけばいいなあというふうに願っています。
 今はいろんなデジタル教科書がありますが、私が中学校の頃はどうしたかなというと、理科表という理科の副教材、全面カラーのカラフルな本は理科表と言いましたね。それを毎晩眺めて、空想を巡らせた。だから、中学、高校へ行くと理科部とか物理部とかに入って、学校生活のほとんどを理科の先生と理科教室で過ごしたような気がします。
 その後、『Newton』という雑誌が出てきて、その中で、先端を行く核融合とか宇宙開発、そういうものに強く憧れて、私の周りにもそれを共有できるような友達がたくさんいたのも、お互いに刺激的だったように思います。ですから、こういう教材とか副教材、そして熱意のある先生が子供たちを導いて広げてくれるような、今の時代であれば、デジタル教科書とか、リアルな教材へのリンク、そういうものが豊かな学びを引っ張ってくれるんじゃないかなあと、本当に期待しています。
 そういう魅力的な事業を進めていく上には、教科書、学習指導要領がしっかりと支える道具であって、それが、こういう熱意のある、力量のある先生を後押しして力を伸ばす、そういう仕組みとなっていくということと、一方で、現場の忙しい先生に過度に期待を押しつけるようなことがあっては決してよくないのかなあと思います。
 それから、カリキュラムに預託、教師の裁量を広げるということはもちろんですが、そこで具体的にこういうふうにしたらどうかとか、それから、それを学校とか地域社会がサポートして、うまく活用できるようになっていくのがいいんじゃないかなと考えています。
 OECDの中でのこういう調査結果、アンケートを見ても、日本の理数の基礎学力が高いというのは間違いないことだと思います。その一方で、地震の私の周りを見ていると、陰謀論とか、科学的にあり得ないような予知やら予言という都市伝説、これはどういうことなのかなって、そのギャップをいつも思います。知識はあっても、それをしっかりと使って判断する力というのは実は育っていないんじゃないかなあというところに危機感を感じています。ですから、知識・思考を結びつけて学びを深めることと、それをしっかり実現することが大事だと思います。
 それから、一つ、最後に気になるのは、科学の責任というところを一体どこで教えるのかということ。科学技術というのは明らかに人類を豊かにしますが、もちろん、使い方を誤れば、環境破壊とか、社会の持続性への悪影響、体の問題、社会不安から、いろんな社会問題も招くことはないと思います。それから、研究不正についても、意図的なのは論外なんですが、不注意、研究倫理の欠如によって社会に間違った情報を出すということも、大きな科学不正の一部だというふうに定義されています。こういう科学と社会の関わりとか、倫理的な責任というのは、大学に入ってからとか、社会に出てからではなくて、初等中等教育の段階から科学的に考える力と科学の倫理というものをしっかり学ぶことが、未来を担う世代にとって重要な概念じゃないかなと思います。こういう問題は、新しい教育課程では、デジタル依存とか、情報格差の問題というのは情報のところで扱われていますが、それだけではなくて、科学技術が自然とか社会に与える影響、人としての責任倫理、これもしっかり学ぶことが、繰り返しになりますけど、重要ではないかと思います。そうやって夢と責任、これを科学の授業、理科の授業から学んで社会に生かしていけるようにすることがとても大事じゃないかなと思いました。
 最後に、私の感想を含めて、発言させていただきました。
 というので、委員の皆様の御協力により、ちょうどぴったりの時間になりましたので、ここで第1回のワーキングの議事を終了させていただきたいと思いますが、委員の先生方で、言い忘れたとか、これだけはというのは、何かございますか。よろしいですかね。
 市川先生、よろしくお願いします。
【市川委員】  私、一番手で、あまりに拙い挨拶をしたんですけれど、その後、皆さんがおっしゃることをずっと聞いていて、皆さんのおっしゃることも全てもっともだと思うし、ここに書いてあることも全てもっともだと思うんですが、現場の先生たち、校長先生たちがおっしゃっていたように、いかにそれを実現するかというのが難しいんだよな、書いてあることはそのとおりなんだけど、だからといって、そういうふうにするには一体どうしたらいいんだろう。時間がない中で実験するのもすごく大変なんだから、実験すればいいのは分かっているんだけど、時間のない中にそれをどうやって入れるのか、どうすればいいんだろうって、ずっと考えながら聞いていたんですが、今、古村先生がおっしゃっていた中で、『Newton』をすごい夢中になって読んだというので自分のことを思い出したんですけど、私自体は学研の『科学』と『学習』の『学習』のほうはほとんど読まずに、『科学』のほうのおまけが好きで好きで、来たら必ず作っていたんですね。あれは基本的に家でやるので、ああいうものがうまく生かせると、授業時間は削らずに済むし、塾に行っている時間を自分で実験するということにうまく向けられるような、ああいうわくわくするような教材を作れると、一つの非常にいい解決法になるんじゃないかなというふうに、今日思いました。
【古村主査】  市川先生、ありがとうございました。『科学』と『学習』、懐かしいですね。私、大事な恩人を忘れていました。市川先生は最初で、私は古村だからいつも最後なんですが、どうも補足をありがとうございました。
 それでは、ちょうど時間になりましたので、今日の議事は以上とさせていただきます。
 最後に、次回の予定について、事務局からよろしくお願いします。
【高市専門官】  先生方、熱心な御議論、ありがとうございました。
 次回につきまして、御報告をさせていただきます。次回の会議でございますけれども、10月29日、水曜日、9時半から12時を予定しておりますが、正式には、後日、連絡をさせていただきますので、御承知おきください。
 以上です。
【古村主査】  ありがとうございました。
 次は10月29日ということですので、引き続き、皆さんと検討を進めたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、本日の理科ワーキンググループを閉会といたします。今日は、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――