令和7年10月17日(金曜日)17時30分~20時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【高市専門官】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループを開催いたします。
本日は御多用の中、皆様御参加をいただきまして誠にありがとうございます。開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局教育課程課長、武藤久慶より、一言御挨拶申し上げます。
【武藤教育課程課長】 ただいま御紹介いただきました教育課程課長の武藤でございます。算数・数学ワーキンググループの1回目の開催に当たりまして、小谷主査、清水主査代理はじめ委員の先生方には、大変御多忙の中、御参加をいただいたことに、まずは心から感謝を申し上げたいと思います。
我が国の15歳の数学的リテラシー、PISA調査によりますと世界トップクラスを維持しているところでございます。その一方で、高等教育の進学時に理工系が選択されないということ、これはOECDの中でも理工系への進学というのは17%にとどまっております。また、理工系学部の中の女性比率が7%といった問題もございます。
また、少し目を先にやりますと、2040年には、理系の学部卒・院卒の人材が約100万人、我が国において不足するといった推計もあるところでございます。
一方、今、我が国の子供たちの算数・数学の学習状況を見ますと、全国学力・学習状況調査結果で、基本的な概念の理解・定着が不十分なお子さんたちが相当数見られるということですとか、あるいは、特に小学校算数で平均スコアが経年で、これは令和3年から令和6年、経年で低下をしているということ。特に家庭の社会経済的な背景、いわゆるSESですね、これが低いほど平均正答率が低いというような、今後のことを考えると非常に心配な傾向が見られているのも事実でございます。
御承知のとおり、算数・数学は教科の特性上、既習事項を基に新規事項を学習するという積み重ねの部分が基本になりますが、そこが十分でないために、次の段階、ステップに進めないようなお子さんたちも相当数いるというところでございます。
繰り返しますが、全世界的に見れば非常に高いレベルを維持しているものの、子細に中身を見ていくとそういった課題がある。それが、これから少子高齢化、我が国がいろんな困難な状況を抱える中で、もう少し私たち、さらに先に進んでいく必要があるのではないか。こんなことも思っているところでございます。
先生方、本当にお忙しい中でございますが御参加をいただき、そして活発な御議論を賜りまして、よりよい指導要領をつくってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【高市専門官】 そうしましたら、議事に先立ちまして、本ワーキンググループの主査及び主査代理につきまして御報告をさせていただきます。
参考資料3の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本ワーキンググループにつきましては、教育課程部会の決定により設置をされております。
主査、主査代理につきましては、奈須教育課程部会長より、小谷元子委員を主査に、清水美憲委員を主査代理に、それぞれ指名をいただいておりますので御報告申し上げます。
なお、本ワーキンググループの委員の皆様につきましては、参考資料5の委員名簿を御参照いただきますようお願いをいたします。
それでは、議事に入ります前に、小谷主査から一言御挨拶をお願いいたします。
【小谷主査】 ただいま御紹介にあずかりました、主査を務めさせていただきます小谷元子と申します。
これから長丁場になりますけれども、非常に重要なワーキンググループでございますので、皆様のお知恵と時間をいただきますこと、大変ありがたく存じます。
ちょうど10年前ぐらいに、日本の科学技術基本計画というものの策定に関わっておりまた。御案内のように5年に一度、日本における科学技術の基本的な方向性を定めるというものでございますが、その頃、アルファ碁が人間のチャンピオンを破った、破らないというような話題ですごく世間をにぎわしておりまして、これから人工知能というものがどんどん賢くなるかもしれないと言って大騒ぎをしたのを覚えています。昨今のAIの急激な進展を見るにつけ、ヒューマンインテリジェンスとは一体何なのか、人間の創造性というのは何なのかということを改めて考える必要があるぐらい、AIができることが多くなっているという中において、これから社会に出ていく小学生、中学生、高校生が、どのようなコンピテンシーをつけなきゃいけないかということは、大きく変わる可能性を感じます。
一方で、算数・数学というものは、それこそ人類の歴史・文化と共に非常に古くからある学問分野でございまして、特に日本は学習指導要領もしっかりし、数学のリテラシーは非常に高いということ、先ほど武藤課長からも御案内ありましたように、しっかりした基礎学力がつくシステムができています。
そういうことをないがしろにして、人間の知恵というもの、もしくは科学技術というものをきちっと使いこなしていくことはできないというふうに思いますので、そういう意味において、この転換期に、このワーキンググループでどういう議論をするかということは非常に重要だと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
今日、清水主査代理が隣にいなくて大変心細く思っているところでございます。ありがとうございます。
【高市専門官】 ありがとうございました。
それでは、本ワーキンググループの進行につきましては、これより小谷主査にお願いをいたします。
【小谷主査】 それでは、これより議事に入ります。ワーキンググループの審議等につきましては、参考資料3の教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱います。どうぞ御承知おきください。
それでは、事務局より会議の留意事項の御説明をお願いいたします。
【高市専門官】 本ワーキンググループにつきましては、対面とウェブ会議を組み合わせた方式で開催をしております。御発言をいただく際は挙手ボタンを押していただき、ミュートを解除してから御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、再度ミュートにしていただきますようお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【小谷主査】 ありがとうございました。
それでは、早速ですが、議題(1)に移ります。算数・数学ワーキンググループにおける主な検討事項について、事務局から御説明をお願いいたします。
【中村課長補佐】 教育課程課の課長補佐の中村でございます。委員の皆様、これからどうぞよろしくお願い申し上げます。
そうしましたら、私からは、ワーキンググループの背景となる諸事項について御説明申し上げた後に、事務局として、最後に、本ワーキングの課題でありますとか検討事項、そういったところを論点案として御提示させていただきたいと思ってございます。
まず、資料を共有して御説明をさせていただきます。
まず、大前提でございます。本日の資料の11ページ、PDFで御覧になっている方は12ページ、プラス1でございますけれども、11ページを御覧いただければと存じます。
今、画面共有させていただいてございますけれども、そもそも学習指導要領につきましては、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、教育の機会均等を保障するため、国が学校教育法に基づき定めている大綱的な基準でございます。
小中高、幼もございますけれども、各学校段階ごとに、教科等の目標、そして最低限教えるべき教育内容といったものを定めてございます。これまで、おおむね10年に一度、改訂がなされてきたといった形でございます。こちらの確認でございました。
続いて、参考資料の2-2を御覧いただければと思います。こちらは、昨年の12月に、文部科学大臣から中央教育審議会に対しましてなされた諮問の概要でございます。
様々書いてございますけれども、こちらの2ページ目に主な審議事項というのがございまして、1から4までがございます。
1番が、質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方。2番としましては、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方。3番といたしましては、これからの時代に育成すべき資質・能力を踏まえました、各教科等やその目標・内容の在り方。そして4番としましては、教育課程の実施に伴う負担に真摯に向き合うことを含む、学習指導要領の着実な実施といったような、4点の審議事項が示されたところでございまして、こちらを踏まえまして、中央教育審議会において、次期学習指導要領に向けた検討が始まったといったような背景でございます。
続きまして、参考資料の1-1を御覧いただければと思います。論点整理とございます。
教育課程部会の下に置かれました教育課程企画特別部会におきまして、先ほどの諮問を踏まえた審議が行われ、まさに教育課程全体の総論に当たる部分が議論されてきたところでございます。
こちらの中間的なまとめでありますこの論点整理が、我々のワーキングの議論の前提となってまいりますので、こちらについて詳しく、かいつまんで御説明をさせていただければと存じます。
こちらは9月19日に取りまとめた諮問でございまして、25日に教育課程部会のほうで了承されたものでございます。
ページで申しますと5ページ、PDFの方はプラス1していただければと思いますが、紙でいうところの5ページを御覧いただければと存じます。
改訂の基本的な考え方といたしまして、3つ書いてございます。まずは、主体的・対話的で深い学び、深い学びの実装、これをどうしていくのか。そして2つ目としては、先ほどの諮問にもございましたけれども、多様性の包摂。そして3つ目は、フィージビリティーと書いてございますが、実現可能性をどうやって確保していくのか。この3点を一体的に具現化していこう、それによって、下のオレンジの文字でございますけれども、多様な子供たちの深い学びを確かにしていこうと。そして、一番下でございますけれども、それによりまして、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育んでいこうと、こういったコンセプトで議論がされてきたところでございます。
次の7ページ、印刷でいうと6ページでございますけれども、こちらは、それを踏まえてどういった検討をしていくのかといったところでございます。
特に本ワーキングにおきましては、真ん中に「各教科等」というような青い囲みがございますけれども、こちらに5つのポツが書いてございます。確かな知識の習得、あるいは教材・学習方法の選択を促進する。また、飛ばしまして、探究的な要素を持つ学習活動でありますとか、一番下の家庭学習、こういったところを含めて議論していこうということがございますので、本ワーキングでもこれを踏まえていく必要があろうかと考えてございます。
次に、PDFの13ページ、印刷の12ページを御覧いただければと存じます。
ここからは各論について御説明させていただければと思いますけれども、先ほどのコンセプトのところで「深い学び」ということがございましたけれども、この深い学びとは何かといったところを、先生方お一人お一人が御理解いただいて実現していただく、その前提として整理したものでございます。
一番上の四角囲みを御覧いただければと思いますけれども、知識の理解についても、この図の一番下に「個別」とございますけれども、個々の知識を単に理解するだけではなくて、それが生きて働くように、深く学ぶことが大事であろうといったことで、この図で申しますとオレンジのところの上のほうに、「中核的な概念の深い理解」とございまして例示がございますけれども、生きて働くような知識の理解にしていく必要があるということを、この図では「タテ」の関係を大事にしようと書いてございます。
次に、知識・技能と、思考力、判断力、表現力等これはともすれば別のもののような理解がされている場合もございますけれども、そうではないということで、すなわち、ある程度の知識・技能なしに思考、判断、表現することは難しいし、また逆に、思考、判断、表現を伴うような学習活動をせずに知識・技能が定着するということもなかなか難しいわけでございまして、これらの関係を「ヨコ」の関係と私どもは申しておりますけれども、こうした「タテ」の関係、「ヨコ」の関係を学習指導要領上で可視化することによりまして、それぞれの関係性の理解でありますとか、それを踏まえた授業づくり、単元づくり、ひいては子供たちの深い学びを授業で具現化していけるようにしていこうといったようなことを書いてございます。
こちら、詳細については別途ございます総則・評価特別部会で詳細検討中でございますので、そちらを踏まえながら、本ワーキングでも検討していく必要があるといったような状況でございます。
そして、具体的なイメージとしましては、次のページに、中学校数学で例えばこういったような構造化・表形式化が考えられるのではないかといったようなことを書いてございます。
続きまして、PDFの19ページ、印字の18ページを御覧いただければと存じます。
今の学習指導要領において新たに設けられた資質・能力の一つでございます、「学びに向かう力、人間性等」でございますけれども、こちらについて、主要な要素でありますとか要素間の関係を分かりやすくしようという観点から、この右の図の4つに整理がなされてございます。
一番左下の「初発の思考・行動を起こす力・好奇心」、そして真ん中の「学びの主体的な調整」、そして右下の「他者との対話や協働」、そして一番上の「学びを方向づける人間性」、こういった区分で内容や関係性の整理がされているところでございまして、本ワーキングでもこちらを踏まえて、この「学びに向かう力、人間性等」については考えていく必要があるといったような状況でございます。
続きまして、印字の21ページ、PDFの22ページを御覧ください。
従来、学習指導要領におきましては、そして特に算数・数学におきましては、教科の見方・考え方というものを大切にしてきたわけでございますけれども、この見方・考え方というのが、そもそも育むべき資質・能力の一部ではないかというような誤解も一部にはされてきたところでございまして、そういった誤解を踏まえまして、この右側の図にございますように、丸1、丸2とございますが、いわゆる従来の見方・考え方の中で、「学びの深まり」といったような要素がございましたけれども、こういった学びの深まりの要素につきましては、先ほど「タテ」「ヨコ」のところで御説明いたしました中核的な概念等のようなところで整理をしていく。そして、残る丸2の本質的な意義でございますけれども、この本質的な意義の部分に焦点化をしていこうと。
今回の改訂におきましては、見方・考え方をこういった形で整理をしていこうといったような議論がされているところでございまして、こちらにつきましても現在、総則評価特別部会におきまして詳細な検討が進められているところでございます。
引き続きまして、34ページ、PDFの35ページを御覧いただければと存じます。義務教育における柔軟な教育課程の方向性といったことを書かせていただいてございます。
図の緑の部分の裁量的な時間、こちらの創出を含めまして、教育課程編成をより柔軟にしていくことによりまして、児童生徒や地域の実態を踏まえた、各学校での教育課程の編成・実施をできるようにしていこうといったような提言でございます。
そして、40ページ、PDFの41ページでございますけれども、同じように高等学校におきましても、子供たちのより多様なニーズに対応できるようにするため、柔軟な教育課程の編成を可能にしていこうという方向で検討が進められているところでございます。
雑駁ではございますけれども、論点整理の御説明は以上とさせていただきます。
引き続きまして、こういった総論の議論を踏まえて、本ワーキンググループでどのようなことを考えていくのかというようなところで、資料をまとめさせていただいております。
番号はございませんけれども、「資料」とございます、算数・数学に関する現状・課題等検討事項の資料を御覧いただければと存じます。
まず、1ページ、PDFでいうと全てプラス1でございますけれども、1ページを御覧いただければと思います。
まず、一番左上に1ポツがございますが、現行の教育課程の考え方でございます。
まず、1つ目の丸にありますように、算数・数学科におきましては、小中高を通じた共通的な目標といたしまして、括弧にしております、「数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力」、こちらを掲げているところでございます。
すみません、全体に共通するのですが、「P.20」と書いてございます。全て関連する参考資料をつけておりますので、そのページ数を付してございます。適宜、併せ読んでいただければと存じます。
続けさせていただいて、1ポツの2つ目の丸でございますけれども、現在の学習指導要領では、改訂の際、以下のような見直しを図ってございます。
まず、1つ目の矢印、日常生活・社会における事象を数理的に捉える。そして問題解決をしてといったような、数学的な活動を一層充実するということ。
2つ目の矢印、社会生活などのニーズを踏まえまして、「統計的な内容」を改善・充実いたしました。
そして3つ目、小学校算数におきましては、学力調査等で課題となっておりました「割合」に関する内容の充実等々をいたしました。
そして、2番、理数系の素養を持つ人材を増やす必要性のところでございます。こういった必要性が高まっているといったような現状認識でございます。
まず、すみ括弧の丸1番でございますけれども、1つ目のポツ、先ほど課長の武藤からも申しましたように、国際的な学力調査におきましては、日本の小中高校生の理数リテラシーにつきましては世界トップクラスを維持しているところでございまして、これはまさに学校現場の先生方の多年にわたる御尽力のたまものであるというふうに認識してございます。一方で、高校卒業後の進路として、理工系が選択されにくくなっているといった現状もございます。
そして、2つ目のポツでございますが、日常生活の問題を数学でどう解決できるか考えるような授業、こういった指導を受けたかといったような質問を国際比較いたしますと、我が国の子供たちの回答割合が少ないといったような結果が出てございますし、一番下の黒ポツでございますけれども、男女間で比較をいたしますと、理数系科目のスコアというのは大きな差がない一方で、算数・数学に関する自信でありますとか、そういった分野を志向するかといったところでは大きな男女差が生じてございまして、具体的には、学部で理工系を専攻する割合は、男性18%に対して女性5%といったようなことになってございまして、アンコンシャスバイアスと言われるようなものの影響も示唆されているところでございます。
次いで、右側でございますけれども、高等教育政策における動きでございます。
こういった状況下におきまして、文科省としましては、大学等の学部転換を促進するような基金の創設でありますとか、次のポツにございますように、文理を問わず、初年次教育等において、数理・データサイエンス・AIの教育プログラム、こういったものを認定、選定するような制度というのを設けてまいりました。
そして、「丸1、丸2を踏まえ」という三角がございますけれども、理系人材につきましては、2040年に約100万人不足するとの政府の推計もある中でございまして、そういった中で、初等中等教育と高等教育段階の接続の改善を進める必要があるというふうに考えてございます。
次いで、3ポツの小中高等学校を通じた課題でございます。
まず、丸1番の指導上の課題でございますけれども、全国学調の結果等によりますれば、1つ目の三角矢印でございますけれども、基本的な概念の理解・定着が不十分な児童生徒が見られる。また、2つ目の矢印でございますが、先ほど課長の武藤からもございましたように、SESが低いほど平均正答率が低いといったデータ。また、最後の三角でございますけれども、これは算数・数学に限ったものではございませんが、学校の授業時間外の勉強時間が減少傾向であるといったような状況がございます。
続きまして、印字の2ページ、PDFの3ページを御覧ください。
引き続きまして申し上げますと、算数・数学科につきましては、積み上げというように言われることもございますけれども、系統性・連続性が極めて強うございますので、学習内容の習得・定着の不徹底が、その後の学習に大きな支障をもたらすような傾向も指摘されているところでございます。
この点につきまして、2ポツでございますが、例えば、練習量が極端に足りず定着が十分図れないような指導でありますとか、あるいは既習事項の習得状況の確認、あるいは再学習の機会が十分でないような例が散見されるといった指摘もございます。こうした傾向は、様々言われてございますけれども、認知心理学等の知見の活用が十分ではないといったような面もあるのではないかという指摘もあるところでございます。
3ポツ目でございますけれども、総則の解説におきましては、学習習慣の向上でありますとか学習意欲の向上を図るための指導として、家庭における学習の、見通しを立てて予習したり、学習した内容を振り返って学習する機会を設けるといったことが例示されてございますけれども、こういった指導がなかなか十分にされていないケースが見られるのではないかといった指摘もあるところでございます。
次のポツでございますけれども、日常生活や社会の事象につきまして、数学的に分析したり考えたりするような児童生徒が少ないのではないかでありますとか、既に学んだ内容と今後学習する内容との繋がり・関係の意識がなかなかできていない児童生徒が多いのではないかといったような指摘もあるところでございます。
その下、三角がございますけれども、これらが相まって、学校段階や学年が進むにつれて、算数・数学が好きだとか楽しいと感じる児童生徒が減ってしまったり、あるいは、算数・数学の学習を諦めてしまうような児童生徒が増えたりしているのではないかといった指摘があるところでございます。
右側でございます。学習内容に関わる課題でございます。
1つ目のポツでございますけれども、数学の重要性の高まりに見合った数学的素養の習得に課題のある生徒が、少なからず存在するのではないかといったような指摘もございます。
特に、2つ目のポツでございますが、生成AI等の進展・変化に対応して、全国民が身につけるべき数学的な素養でありますとか、デジタル・理工系分野に必要になるような資質・能力を習得させる観点からは、AIやデータサイエンスの基礎になりますような解析学・線型代数学・統計学、これに関わるような内容の取扱いが十分ではないのではないかといったような指摘もございます。
ここまでが小中高を通じた課題でございまして、4ポツ目が小学校の課題でございます。
1つ目のポツでございますけれども、特定の単元におきましては、概念の理解が困難であるということで、習得・定着が十分ではない児童生徒が相当数存在するのではないかというような指摘もございます。
また、2つ目のポツでございますけれども、算数・数学の学習に困難を感じているような児童生徒への対応を含めまして、既習事項の習得状況、新しいことを学ぶときに、既習事項がどのくらい習得できているか、いわゆるレディネスでございますけれども、こういったところを確認・評価するようなことが十分行われていないのではないかといったような指摘もあるところでございます。
次に、5ポツが中学校でございます。数学的推論や論証(証明)など、多くの児童生徒がこういったところを不得意としている状況が、なかなか改善していないのではないかといったような指摘もあるところでございます。ほかにも論点があろうかと存じますけれども、また委員の皆様の御意見を賜りたいところでございます。
そして、3ページ、PDFの4ページでございますけれども、高等学校についてが6ポツでございます。
まず、高等学校の進路選択におきまして、私大文系を志望する方や、高等教育に進まないような層の生徒が、数学の学習を諦めてしまうのではないかといったような指摘もあるところでございます。
また、2つ目のポツでございますけれども、選択科目の区分でありますとか履修の仕方が、高校の生徒の多様な実態に即していないのではないかといったような指摘もあるところでございます。
これ以外にも、個別の学習内容等につきまして様々論点があろうかと思いますけれども、委員の皆様の御知見を賜りたいと考えているところでございます。
7ポツは高校の理数科についてでございまして、高校の共通教科「理数科」につきましては、今の学習指導要領で新たに設置された教科でございまして、一方で、学習対象とする事象といたしましては、本来科学的・数学的なもの以外にも、社会的な事象だとか学際的領域といったものも想定されているところでございますけれども、ただ、なかなかこういった分野の課題というのは選択されにくいといった指摘もございまして、文理横断であるとか文理融合といったことを推進する観点からも、こういった課題の扱いを充実してはどうかといったような論点を書かせていただいてございます。
ただ、この「理数科」につきましては、算数・数学の観点だけではなくて、理科の観点も必要であろうということで、下の四角囲みでございますが、理科ワーキングとの合同開催等によりまして、集中的に検討が必要ではないかと考えてございます。
そして、4ページ、PDFの5ページを御覧いただければと思いますが、こちらからが、今まで申し上げたことを踏まえた具体的な検討事項・論点でございます。
左半分が、これは全ての教科と共通の検討事項でございます。
まず、1番でございますけれども、資質・能力についてです。1ポツの1つ目のポツは目標の示し方について。そして次のポツは中核的な概念等に基づく学習内容・指導内容の一層の構造化でありますとか、それに合わせた必要な精選の在り方についてでございます。また、3つ目のポツにありますような、先ほど例を御覧に入れましたけれども、表形式を活用した目標・内容をどのように分かりやすく示していくのかといったことでございます。
大きな2ポツ目は、指導・評価の改善・充実についてでございます。1つ目のポツにありますように、GIGAスクール構想によりまして、小中学校、また高校で1人1台端末の環境が当然のものになっていったような中におきまして、そういったデジタル学習基盤の活用でありますとか、それを前提とした主体的・対話的で深い学びの一層の充実をどう図るのかといったようなことでございます。こちらについては、また後ほど詳しく書いてございます。そして、2ポツの2つ目でございますけれども、効果的かつ過度な負担が生じにくい評価の在り方をどうしていくのかといった点でございます。
3ポツは、柔軟な教育課程についてでございます。先ほど論点整理でポンチ絵を御覧に入れましたが、義務教育における柔軟な教育課程の在り方、また、高校における科目の柔軟な組替えを可能とする仕組みを前提とした場合に、どのような教育課程・学習指導上の工夫が考えられるかといったことでございます。
高校につきましては、※書きを書いてございますけれども、論点整理の中では、必履修を含む科目の一部または科目を、一定の要件の下で他科目等で取り扱うことを可能にするとか、あるいは、単位数を細分化して、きめ細かく増単・減単を可能にしてはどうかといったようなことが書かれてございまして、こういったところをどうするかといったところでございます。
次のポツは、高校の選択科目につきましては、進路希望や学習ニーズに合わせて、より柔軟に選択して履修できるようにしてはどうかといった論点がございます。
また、一番下は、先ほどの※書きとも関連いたしますけれども、教育課程の柔軟化に伴って生じ得る課題をどう防ぐかといったことも論点かなと考えてございます。
そして、右側からが、算数・数学固有の検討事項でございます。
まず、大きな1ポツでございますけれども、高校卒業時に数学的な概念がしっかり理解できるように、小中高を通じた系統性を確保するという観点から、全体的に学習内容について、小中高、見直し・再整理が必要な点はないかどうかという点でございます。
また、2ポツ目は、定着に課題のある事項に関する課題でございます。
1つ目のポツは、先ほど来申しておりますようなSESの影響、家庭の社会経済的な影響を緩和するような指導の在り方でありますとか、2つ目のポツは、そういった定着といったことを考えたときに、認知心理学や学習科学の知見を踏まえた指導をどうしていくのか。そして3つ目、記号接地と言われるものや概念の理解にデジタル教材が果たす役割、これをどう考えるのか。そして、今、学校現場におきましては、いわゆるデジタルドリルやAIドリルといったものが急速に普及してございますけれども、こういったものを効果的に活用するにはどうしていくのか。逆に、望ましくない活用例としてどういうものがあるのかといったことも議論すべきではないかなと考えてございます。
次の4ポツでございますけれども、柔軟な教育課程の編成を進めてまいりますと、ある程度まとまった単元、時間をつくりまして、その中で、学校段階や学年を超えて、定着に課題のある単元を学び直したりといったことがし得るというふうに考えてございますけれども、こういったことの可能性をどう考えるかということでございます。
2ポツの最後のポツでございますけれども、こちらも、下から2行目、授業と授業外の学習との連携・往還を図る工夫でありますとか、それを行うときにICTが果たす役割、これをどう考えるのかといったことでございます。
そして、3ポツでございますけれども、先ほど主査のほうから、アルファ碁のお話もございましたけれども、社会変化に対応した学習内容に関する課題でございます。
基本的な概念等の理解でありますとか、基礎的・基本的な計算技能等の着実な習得、これは引き続き重要でございますけれども、それを図りつつ、証明等の論理的に考察する学習を充実してはどうかといったような点を書かせていただいてございます。
最後に5ページ、PDFは6ページでございます。学習内容に関する興味・関心が低下している傾向を踏まえまして、日常生活や社会の事象を数学的に考えられるようにするために、探究的な学習を重視してはどうかといったことを書かせていただいてございます。
次のポツは、児童生徒の興味・関心、認知特性に応じた学習、また、つまずきの解消といったことのために、個別最適な学びの一層の充実を図る観点から、生成AIの活用の可能性をどう考えるのかといった点でございます。
また、3ポツ、中高では、生徒が数学を学習する意義を感じられるように、数学と社会、職業のつながり等についての学習内容を充実してはどうかと考えてございます。
また、高校におきましては、様々な社会のニーズの変化を踏まえまして、微積・行列・確率、また統計の基礎的な学習について、さらに充実してはどうかと考えてございます。
最後のポツでございますけれども、高等学校の進路選択を契機に、私大文系志望者や高等教育に進学しない層が数学を諦めてしまうでありますとか、男女差があること、こういったところについてどのような対応が考えられるかといった論点を書いております。
右上の4ポツは、高校の理数科についての課題を書かせていただいてございます。
そして、右下の5ポツでございますが、高校終了時の進路でございます。こちらにつきまして、理工系が選択されない問題についてどう考えるのか。また、一番下でございますが、その際に男女差が生じていることについて、どのような対応が考えられるのかといったようなことを論点として挙げさせていただいております。
こちらが主なところでございますけれども、最後に、参考資料につきまして簡単に御紹介をさせていただきます。
すみません、ここからは印刷のページ数で申しますので、PDFの方はプラス1をして聞いていただければと思いますが、まず、10ページでございます。1ポツ、学習指導要領についてということで、こちらは学習指導要領の基本的なことについて記載をしておりますので、また皆様、御覧いただければと思います。
そして17ページからは、算数・数学固有のことについて書かせていただいてございます。
18ページは小学校の前回改訂のポイント、19ページは中学・高校のポイントでございます。
そして20ページは、現在の学習指導要領におきます目標・内容の構成をお示ししております。
そして21ページは、小学校算数の教科の構成を書かせていただいておりまして、横の列は各領域、数と式、図形、測定、データの活用、そして括弧して数学的活動。そして縦は1年生、2年生、3年生、そして次のページに4年生、5年生、6年生というふうに構成を書かせていただいてございます。
そして23ページは中学校、24ページは高校の構成を書かせていただいております。高校につきましては、横の列は各科目で数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲ、数A、数B、数Cとなってございます。
そして、25ページ以降は、高校の科目構成が歴史的に変遷してまいりましたので、その歴史的な変遷を書かせていただいておりまして、最後の28ページの一番下が現在の構造でございます。
数学Ⅰというのが全高校生の必履修でございまして、それ以外は選択となってございます。そして、数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲというのはこの順番で、数A、数B、数Cは数Ⅰを学んだ後に、ここは並列で学ぶことができるといったような格好になってございます。(注:数Ⅰと数Aは並行履修可)
そして29ページは、高校における主な履修パターンということで、丸1から丸10までパターンを書いてございますけれども、丸1番、理系で大学志望者のコースは、最大で数Ⅰ・A・Ⅱ・B・C・Ⅲということで16単位、全く大学進学を希望しないような9番・10番の生徒ですと、一番少ない場合は10番の数Ⅰを3単位といったような形で履修しているといった状況でございます。
実際の履修状況につきましては推計がございまして、そちらは30ページにお示しをしております。右側の履修率のところで、数学Ⅰは必履修ですので100%、数学Aですと9割ぐらいといったような格好になってございます。
31ページからは、高校の共通教科「理数科」につきまして、31、32、33ページと資料をつけてございますので御覧おきください。
34ページには、先ほど来申していた探究課題の例として挙げられていることについて、例えばアですと社会的事象、イですと学際的領域とございますけれども、こういったところはなかなか扱われていないのではないかといったことでございます。
35ページからは、社会や高等教育との接続、進路選択に関する資料でございますけれども、こちらにつきましては基本的にこれまで御説明したことと重複いたしますので、少し飛ばさせていただきまして、45ページを御覧おきいただければと思います。
44ページからの調査は何かといいますと、国民が科学技術に興味を持っているかどうかという調査の中で、もともと関心を持っていて薄くなった層に聞いたところ、その8割が小学校高学年から高校生にかけて興味を失ったと回答しておりまして、その理由を書いたのが45ページでございますけれども、主な理由としては、約5割が「理科や算数・数学の授業が難しくなったから」と回答しているといったような状況がございます。
ここから飛ばさせていただきますけれども、52ページでございます。国際的な動向といたしましては、昨今コンピュテーショナル・シンキングといったような考え方が議論されているところでございますし、53ページには、OECDでもこのマスマティクスに関する議論がされているところで、そちらについても資料を載せさせていただいてございます。
56ページからは、児童生徒の学力状況につきまして載せさせていただいてございまして、基本的には御説明したとおりでございますが、61ページがSES、社会経済的背景の資料でございます。
家庭の社会経済的背景が低いグループほど各教科の正答率が低い傾向が見られるということでございまして、青い線が社会経済的な背景が高いグループ、濃いオレンジの線が低いグループでございますが、SESによって、右ほど正答数が多いわけでございますけれども、こちらが差が出ているといったような資料でございます。
63ページにつきましては、全国学力調査で正答率の低かった問題の例で、分数について正解したのが35.4%、64ページは割合の問題で41.3%、65ページは中学素数の問題で32.2%、66ページは証明の問題で33.8%といったような状況でございます。
また飛ばさせていただきまして、72ページからは、学力ではなくて学習状況についての資料でございます。こちらもほとんど御説明済みですので飛ばさせていただきまして、85ページをおめくりいただければと思います。探究、また文理横断、文理融合の資料を載せさせていただいてございまして、86ページは算数・数学における探究の過程ということで、算数・数学における探究につきましては、こちらを基本のモデルとして、これまで文部科学省として指導・助言等をしてきたところでございます。こちらについても御議論いただければと考えてございます。
そして89ページからは、ICT・AI関係のことでございまして、90ページ以降は、GIGAスクールの中でICT活用のポイントをこれまでお示ししてきたところですが、こういったものを今後どういうふうにしていくべきなのかというのは論点かなと思いますし、93ページからは、AI活用のガイドラインを文科省が定めておりますので、そちらを掲載させていただいているところでございます。
大変長々と、また駆け足でございましたけれども、私から様々御説明させていただいたところでございます。
最後に、参考資料の御紹介だけさせていただきます。
これまで御説明しなかった参考資料の中では、参考資料1-2が論点整理の参考資料集ということで、たくさんのデータがございます。
また、参考資料2-1が概要を御説明した諮問の本文、そして参考資料3が教育課程部会全体の運営規則でございます。また、参考資料4が設置紙でございます。
そして参考資料6-1は、先般発表された全国学力・学習状況調査の結果についての詳しい資料でございます。参考資料6-2につきましては、それを踏まえた文部科学省の対応の資料でございます。
そして、参考資料7と8は、教育課程の実施状況につきまして、国立教育政策研究所において定期的に調査をしておりますので、算数・数学関係の結果を載せさせていただいているところでございます。
参考資料の説明を含めまして、私からの御説明は以上でございます。
これらの資料を踏まえまして、先生方におかれましては御議論いただきたいと思いますけれども、なにぶん、事務方としてまとめさせていただいたものでございますので、委員各位のそれぞれのお立場から、御知見を踏まえて様々な御議論をいただければと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
大変大部の資料でございますが、分かりやすくナビゲートしていただきまして、算数・数学ワーキンググループにおいてどのような課題があるのか、そして何を検討すべきかを伝えていただいたように思います。
本日は第1回目でございますので、初めての顔合わせということもあり、冒頭、委員の皆様にお一人ずつ御発言いただく機会もなかったことでもございますので、今後このワーキンググループでどういうことを検討していくべきか、審議の進め方等につきましても御意見をいただければと存じます。
名簿順に私からお一人ずつ御指名させていただきますので、お一人ずつ、5分程度で御発言をいただければ幸いでございます。
それでは、まず最初に稲垣道子委員、お願いいたします。
【稲垣委員】 岩手県軽米町教育委員会の稲垣道子と申します。大変興味深いデータをありがとうございました。
昨年度までは中学校で数学の授業をしておりましたので、その立場でお話をさせていただきたいと思っております。
今年度、学校数が小学校3つ、中学校1つの町におりますが、先生方、本当に忙しくて、いつ行っても職員室に人がいないんです。でも、だからといって授業に手を抜いているわけでもなく、本当にすばらしい授業をしているので、子供たちも一生懸命考えています。
全国各地どこにいても、子供たちも先生たちも算数・数学が楽しいなと思える学びが実現できたらいいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
そのような視点で考えたときに、ふだん思っていることをお話しさせていただきたいと思っております。
今回、「深い学び」の実装が掲げられております。「深い学び」は、何を教えるかではなく、どのように学ぶかという視点も大事にされておりますが、子供たちの視点からの「深い学び」を考えるのが少し難しいと思っております。
例えば現行の学習指導要領で大事にされていた「統合的・発展的に考えること」について、どのような授業をすればいいかということについては少し浸透している感じがありますが、どうしても教師主導から抜け出せていない気がしております。
問いについても、子供たちの純粋な問いから教師が持たせたい問いに繋げるにはどうしたらよいか、子供たち自身で、先ほどの算数・数学の問題発見・解決の過程を遂行していくにはどのようにしたらいいかということが、少し難しいと感じています。
子供たちは、数学的な問題解決の過程を遂行するような学習に対して、主体的に学習に取り組んで、考えることが楽しいと感想を伝えてくれる子もいるので、子供たち側の視点もさらに明確になっていくと、先ほどの調査などに挙げられている課題にも迫ることができると考えております。
2つ目です。資質・能力の一体的育成をより大切にしていきたい旨はすごく理解をいたしました。その中で、知識及び技能と思考力、判断力、表現力等の、前の資料だと「タテ」と「ヨコ」の関係で示されているものの枠組みが、どの程度の枠組みなのかと思いました。
主に「ヨコ」の関係についてなんですが、例えば一次方程式の解き方は個別の知識や技能だとしても、それを習得するためには思考しているような気がしております。そして、最初は未知の状況との出会いで思考した結果、生きて働く知識及び技能になるようなイメージでいます。
それから、全国学力・学習状況調査の結果から課題になっている「概念的理解」をするためには、思考を伴った探究的な学びが必要なのではないかと考えておりますが、そういうものはどのように構造化されるのかが気になりました。
一体的に育んでいくことを示すことを目的としている図だと思うのですが、どのようなことまで示されて、どのようなことを授業者が解釈していかなければいけないのかというところが、すごく難しいというか、知りたいと思いました。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、菅由紀子委員、お願いいたします。
【菅委員】 株式会社Rejoui、菅と申します。このたびはどうぞよろしくお願いいたします。私はデータサイエンスとAIの会社を経営していまして、数学だとか科学の力を民間の様々なビジネスに生かしていくというのが、今やっていることでございます。
その観点から皆様とディスカッションができればなというふうに考えておりまして、今まで、今回のワーキンググループでどんなお話をしようかなというのを、今回の御説明を伺いながら考えていたんですけれども、まず一つは、社会と数学との接続のポイントというのが、どのように学生の方々に学んでいただけるかという点、そこに関しては、この数学がどういうふうに社会で役に立つのかということがイメージいただけるようなことがどうしても必要だなということです。
もう一つは、どこかに溝があると思っていまして、高校に上がるときなのか、あるいはジェンダーのことなのか、溝があるなというときに、皆さん優秀なのに成功のイメージが持てないというのは、これまた一つは社会のもしかすると役割の一つかも、責任なのかなとも思うところがありまして、数学や算数の社会での役割というのがどうしてもイメージが持てないというのが、同じく、これはあるのかもしれないなというふうに思っていまして、そこが解決できるような仕組みというのがあったらいいのかなということです。
AIとデータサイエンスの時代において、革新的な数学の分野というのは、資料にもありましたけれども、線型代数と統計学などのことだと思いますので、モデル化をするとか現象を考えるための数学なんだというところがうまく伝えられるようになるとよいのかなというのが、今回の改訂において何かできたらいいかというところです。
最後に一つ、これは自分自身の経験もちょっとあるんですけども、どうしても基礎的なところの鍛錬が積めないと、計算だったり、AIドリルという言葉がありましたけれども、ドリル的なものをしっかりとやっておかないとどうしても乗り越えられない壁みたいなものがあるかなと思っていまして、よくこれ、私、周りの学生とは「筋トレみたいなものだね」みたいな話をよくするんですけど、もうちょっといいたとえはないかなと思ったりもするんですが、そういったような基礎学習というのがしっかりと身につくようなものであればいいのかなというふうに考えて拝聴しておりました。
貴重な機会だと思いますので、データサイエンスだとかAIの技術の社会との接続については、特に意見を述べさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは続きまして、清水宏幸委員、お願いいたします。
【清水(宏)委員】 山梨大学の清水宏幸と申します。よろしくお願いします。私は前回の10年前の算数・数学ワーキンググループにも参加させていただいておりまして、もう一度お声をかけていただいてこの委員に選出していただいたということ、大変光栄に思っております。できる限りの、これまでの知見を生かして貢献できたらなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。
私のほうから、現行の学習指導要領に関わっていたということもありまして、幾つかお話をさせていただきたいと思います。
一つは、子供たちのこの算数・数学に対する意欲なのですけども、これまで私は、20年間、公立と附属中の、中学校の数学の教員をやっておりまして、その後、国と県の行政に関わっており、今、大学に勤務しているのですけれども、子供たちの授業の様子を見ていて、自分の考えに自信を持っていないというところが顕著にみられると思います。
それからもう一つは、間違うのを嫌うということです。ある学校に授業に行きますと、最初は個人で子供たちが考えた後に、じゃあグループでやってみようというときに、ある生徒が、自分が今まで考えたものを全部消して、グループになるというような、姿が見られまして、子供たちが自分で考えたことに自信を持っていないというのを、その一つの事例で感じたことであります。今回、やはり深い学びであるとか探究的な学び、それから数学的な推論や論証を大事にしようという御提案がありましたけれども、ここでやはりおおもとに関わるのは、子供たちがこれをもっとやってみたいとか、これはどうなっているんだろうかという、そういった意欲をどのように喚起できるかというところ、これを学習指導要領でどういうふうに反映するかというのは難しいかと思いますが、私はそこにまず1つ目の課題を持っております。
それから、中身でみますと、「数学的活動」というのが今回あまり出てきていないのですけれども、現行の学習指導要領には、先ほども課長補佐のほうで提示があったのですが、算数・数学の問題発見・解決の過程があり、これを重視していこうということで、多くの実際に数学の授業をされている先生は、かなり意識を持っているというふうに思います。
ですので、この数学的な活動、探究的な学びを踏まえて、じゃあ探究的な学びというのはこの数学的活動とどういうふうに関係しているのか。数学的活動のこれまでやってきたことのどこに重点を置いてやればいいのかというようなことが、分かりやすく、それから重点的に「ここだ」というのが示せるとよいかなというふうに思います。
個人的に様々な先生と研究しているのは、やはり日常生活や社会の事象や数学の事象から、数学的に表現した問題にするというところ、問題発見というふうに言われているところ、それから一旦解決した後に、その結果をもう一度事象に戻してその意味を探ったり、それを解釈して次につなげたりというところであり、こういうことが大切かなと思います。
その過程を回すのは、子供たちが「あれっ、これどうなっているんだろう」とか、「もっとこれを勉強したい」という、その意欲が原動力になるのではないかなというふうに思っていますので、そういったことも、この学習指導要領の中身を議論するときに、少し私どもも考えていかなきゃいけないかなというふうに思っております。
それからもう一つは、「中核的な概念」と「数学的な見方・考え方」ですけれども、先ほどの資料には、数学的な見方・考え方は別途考える、という御提案があったかと思うのですけれども、やはりこの数学的な見方・考え方と中核的な概念というものの関係、これがまだまだ私も勉強不足で分かっていないのですけども、ここが多くの実際に授業をされる先生方にうまく伝わるとよいかなと思っています。
先ほどの御説明で大変分かりやすかったと思うのですけれども、中核的概念というのが内容のほうに入ってくるということ、それから見方・考え方が目標のほうに織り込まれるということ、そのような御説明だったと思うのですけども、どちらかというとこれまでの資質・能力は、問題解決の力とか数学的に考える資質・能力ということで、少し汎用的な、いろいろなところにも使えていくような資質・能力を養おうということが、現行の学習指導要領で言われていると思うのですけども、「中核的概念」はどちらかというと算数・数学の内容、系統的な中で大事にする柱、幹になるもの、こういうものが御提案されていたと思うので、これを我々は本当に、各論を考えるときに、どんなふうに先生方に伝えられるかなというところがあります。
それからもう一つ、最後は、論理的に考察し、それを説明するというところに重点を置きたいという御提案があったと思うのですけども、これは私も大変いいかなというふうに思っているのですけど、特に中学校で、中学校2年生で論証が初めて入ってくる。そこまでは直観的な理解にとどめたものを、論証という形でやっていく、演繹的にやっていくというのが中学校2年生であると思うのですけれども、この段階で、やはり証明を書かせようということが、多くの先生方に多くあります。それは入試で必ず完全証明が出るということもあるのですけれども。
その際に、証明を読むという活動、それから文字式でも、文字式を読んでみる活動、先ほどの、一旦結果が出た後に事象に戻してその結果を解釈するというところにもつながると思うのですけども、そういった活動を大切にしながら、論証指導の前段階、論理的に考察して説明するという前段階をどういうふうに系統的に仕組んでいくかというところ、こういうところが課題になってくると思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。以上です。
【小谷主査】 ありがとうございました。
それでは、清水美憲主査代理、よろしくお願いいたします。
【清水(美)主査代理】 どうもありがとうございます。皆さん、こんにちは。改めまして、よろしくお願いいたします。
主査代理を拝命して、ちょっと重責に震えているところもありますけど、小谷先生のサポートとして頑張りたいと思います。今日は別の会議が直前までありオンラインの出席になり、会議室にて出席できず申し訳ございません。
今回のこの算数・数学ワーキングの論点となる検討事項については、先ほど中村課長補佐から十分御説明いただきましたけれども、昨年12月25日の文科大臣からの諮問の中で、現在の指導要領の改訂の趣旨の定着が道半ばであるというようなところを、算数・数学の立場からは非常に重く受け止めるべきだなというふうに思っておりました。
私は前回、算数のほうの改訂で協力者として関わらせていただいたんですけども、その中で、やはり「数学的な見方・考え方」という算数・数学の一番コアのところ、数学ならではの物の見方や考え方を中心にするというところが、どの程度定着して先生方に理解していただいているのかなというところが、少し大きな課題になっているんだろうということを改めて考えております。
数学の価値というか、いわゆる陶冶という、算数・数学を通してどんな力を身につけてほしいかということとセットになっているものだと思いますので、そこをワーキングとしてきちっと整理しなきゃいけないんだろうなというふうに思っております。
学習指導要領の改訂の作業は、教育課程企画特別部会のほうで、各教科に共通する大枠はほぼ整理されて論点も出されていますので、これだけ豊かなエビデンスというか、データ、資料を整えていただいていますので、多面的、重層的によく精査して、今後の方向を考えていくことが大事かなというふうに思っておりました。
その中で、先ほど申し上げた算数・数学だからこそのところを、教科固有の価値を改めて見極めて主張することが大事かなと思っておりました。
そういう意味では、昨年、シドニーで4年に一度の数学教育世界会議という会議があったんですけれども、そこでもいろいろカリキュラムの改革に関する議論がありまして、数学自体がいわゆるデータサイエンスや数理科学と呼ばれる広い範疇の分野を形成しつつあるということもありましたし、もう一つは、先ほど中村課長補佐から御説明がありましたけど、いわゆるコンピュテーショナル・シンキングのような計算論的思考のようなものも、算数・数学とどう関わらせていくのかというのが、他の国ではもうカリキュラム論で随分議論になっていますので、その辺のところも少し目を向けていかなければいけないかなと思います。
それから、先週火曜日に、TALIS2024という、教師の職業環境に関する国際調査の結果が、ちょうどシンガポール時間で9時、日本は10時からでしたけども、オンラインで公表されました。私は大学の授業でそれを学生と一緒に見ながらいろいろ勉強していたんですけども、その中に衝撃的な結果が一つあって、もちろん日本の先生の勤務時間が50数時間で長いということはありましたけども、それと同時に、30歳未満の若手の先生方で今後5年間ぐらいのうちに教職を離れたいと思っている人が2割ぐらいいるという、ちょっと驚くデータも示されました。
ですので、今回の改訂を通して、若手の先生たちも含めて先生方が元気になるという形で、分かりやすくて、算数・数学の教員をやっていてよかったというような、そういうカリキュラムを、メッセージとしてお伝えするようなミッションも、大事な課題かなというふうに思っておりました。
それから、理系人材についても、先ほどお話がありましたように、国際的に見て非常に大きな課題だと思いますので、女性の理数系に進む比率がもっと上がるようにするためにはどうするか、簡単ではないんですけれども、社会全体の問題ですので、そういうところをカリキュラム面からどうサポートしていくかという面もやはり視野に入れて、検討していく必要があるかなというふうに思っておりました。
いろいろなことを考えておりますけども、ひとまずこのようなことで申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
【小谷主査】 主査代理の支援を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、清野辰彦委員、よろしくお願いいたします。
【清野委員】 よろしくお願いいたします。東京学芸大学の清野と申します。3点述べさせていただければなと思います。
まず1点目は、中核的な概念等による教科等の目標・内容の構造化というものについてです。この構造化を考えていくに当たって、当初の目的である、すなわち「深い学び」を実現する授業のイメージを教師が持てるようにするためという目的が達成されるように、進めていく必要があると考えております。
構造化することによって、指導内容の関連の理解を促したり、指導する際に大切にすべき事柄を再認識することに役立ったり、また、単元の指導において目指すゴールが明確になったりするように、検討を進めていく必要があると考えております。
また、構造化は、児童生徒が学習した知識が生きて働く知識となるような学習に寄与するものになってほしいと考えております。ばらばらになってしまっている知識が関連づき、ネットワーク化されて、どのような場面で活用できるかを認識する学習が、児童生徒にとって重要であると思っています。
例えば、小学校4年生の児童は、除法の性質、つまり被除数と除数に同じ数を掛けても、同じ数で割っても答えは変わらないという性質を学習します。この性質が、5年生で学習する小数の除法において活用されるとともに、6年生で学習する分数の除法の学習に活用されることによって、分数の除法では被除数に除数の逆数を掛ければよいことを児童が導き出せるようになります。
このような「深い学び」を実現できるようにするための指導の見通しが持てるように、構造化を考えていく必要があると考えております。
2点目は、割合の学習に関してです。
割合の理解・定着に課題があるということは以前から指摘されてきました。そうした実態を踏まえて、現行の学習指導要領では、小学校4年生に、小数を用いた倍の学習と簡単な場合についての割合の学習を追加しました。このように、算数の学習内容の充実を図りながら、課題の克服に向けた取組を行っていくということは重要であると考えています。
一方で、義務教育を終了する15歳児を対象に数学的リテラシーの調査をしているPISA調査の結果を見ますと、割合が関連する問題の理解に課題があることが明らかにされております。つまり、割合の理解に関する課題は、小学校の児童だけでなく中学校や高等学校の生徒にも残ったままになっていると考えられます。
割合は、日常生活においてあらゆる場所で用いられる概念でありますし、中学校の関数の学習で扱われる変化の割合や統計の学習で扱われる相対度数、また、高校で学習する三角比や平均変化率など、様々な学習と関連する概念だと考えられます。
こうしたことを踏まえますと、中学校等におきましても、新たな視点で割合を学習する機会というのをつくっていくことも考えられるかなと思います。
3点目は、問題解決的な学習、探究的な学習についてです。
今回提示された資料の中で、学年段階、学年が進むにつれて算数・数学が好き・楽しいと感じる児童生徒が減少したり、算数・数学の学習を諦めてしまう児童生徒が増えたりしていると指摘されています。また、既習事項を基に、数学的に分析したり考えたりしようとする児童生徒が少ないのではないかという指摘がなされています。
この実態を踏まえますと、算数・数学を、あるいは算数・数学で考えることが楽しいと感じられるような学習を積み上げていく必要があると考えております。
こうした学習として、問題解決的な学習、探究的な学習が重要になってくると思います。問題に対して試行錯誤をしながら、少しずつ考えを進め、異なる数学的な表現で表したり、表現を洗練したり、他者の考えを聞き、その考えを取り入れたりしながら目標に接近していくような学習を充実させることが、考えることを楽しむ児童生徒の育成につながると考えております。
また、このことは、初発の思考や行動を起こす力・好奇心の育成にもつながると考えております。
以上3点、意見を述べさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、相馬利幸委員、よろしくお願いいたします。
【相馬委員】 北海道札幌西高等学校の相馬でございます。よろしくお願いいたします。今、高校の校長ですが、前職は道教委の高校課長で、平成20年から指導主事を務めていましたので、学校現場という視点と、時折指導主事だった頃の考えから、ふだん感じていることについて発言させていただきたいと思います。3点について発言させていただきます。
1点目は、論点整理の6ページにも記載のありました、各教科において探究的な要素を持つ学習活動の充実についてですけども、総合的な探究の時間における探究活動と相互に関連づけることは非常に大切だなというふうに思っております。
校長としては、現行の学習指導要領において「総合」は大きく前進したというふうに感じているんですけども、その一方で、「総合」の学習が各教科に十分生かされているかというと、その点ではまだ課題が残っているというふうに感じております。
特に数学科は、他教科に比べて「総合」との親和性が高いというふうに考えていますので、数学科が学校全体を牽引し、各教科における探究的な学習の推進役となることが必要だなというふうに感じているところであります。
続いて2点目は、何度か出ていた12ページの「タテ」と「ヨコ」の関係についてです。
北海道の現状を見ますと、既習の知識・技能を活用して新たな知識・技能を創出するといった授業展開はあまり見られず、「タテ」の関係が弱いというふうに感じています。
北海道ではここ15年ぐらい、単元の指導計画を示して、指導と評価の一体化などについて取り組んできたところなんですけども、今回13ページにあるような、構造的に示すことで「タテ」と「ヨコ」の関係を意識した授業展開が可能になるのではないかというふうに感じたところであります。
3点目なんですけど、これは数学のほうの資料の19ページですとか86ページにありました、前回の改訂のポイントの2ポツ目の、現実の世界と数学の世界における問題発見・解決の過程を学習課程に反映させること、あとは86ページの図ですね、探究の過程の図の考えなんですけれども、北海道ではこの86ページの図を「ぐるぐるの図」と呼びながら、数学的活動の充実に努めてきました。多くの先生方にも浸透してきて、現実の世界と数学の世界を往還するようにはなってきているんですけども、それが何度か巡回するというところまでは至っていないなというふうに感じているところです。
引き続き、こういった探究の過程について、そういった学習課程を重視した取組を進めていきたいなというふうに感じているところです。
以上でございます。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、直海知子委員、よろしくお願いします。
【直海委員】 大阪府豊中市立上野小学校で校長しております、直海と申します。昨年度まで2年間、小学校算数の学力調査官を務めておりました。
本日資料にございました令和7年度全国学力・学習状況調査、小学校算数の問題につきまして、少しお話しさせていただきます。
数直線の目盛りを分数で表す問題、ハンドソープの「10%増量」を倍で置き換える問題が出題されましたが、ここ数年、このような記述問題以外で児童の課題が見受けられます。
どちらの問題も、児童にとっては、文脈を読み込まないといけないとか、難しくて手がつけられないというよりも、自分のこれまでの先入観や思い込み、バイアスというものがかかってしまい、それを修正できなかったのではないかというふうに思われます。
気になりますのは、この令和7年度の学力調査の正答率なんですが、全体で58.2%なのです。しかし児童質問紙によりますと、令和7年度の算数・数学の問題を解く時間について、「時間が余った」あるいは「ちょうどよかった」というふうに答えている児童が80%いるということです。正答率のほうは58.2%なんですが、子供たちは余裕を持って問題を解いたというふうに思っているということなんです。
児童が問題を解いている様子を、今年現場で見たんですけれども、なるべく早く先々問題を解いて終わらせたいというような様子もございました。
算数では、短時間で効率よく解くタイムパフォーマンス重視の傾向があるのではないか。振り返って問題をもう一度見直すということが、以前からもあまりそういう傾向はなかったとも思うのですが、より一層そういう傾向が加速しているのではないかというふうに思います。
これが基本的概念の定着というのを妨げる要因の一つではないだろうかと思いますので、やはり、解く過程に価値を見いだすような授業展開、今後、デジタルを使っていくことが日常となる中、なお一層注視していく必要があるのではないかというふうに思います。
次に、小学校の現場の現状なんですけれども、論点整理にもございましたように、教科書を教えることで精いっぱいというようなことが見受けられます。
今現在、小学校2年生で掛け算の学習が始まっております。今後、掛け算というのは、割り算や、割合・比例につながるために、豊かな意味理解を必要とする重要な単元であります。
学習指導要領に書かれている、乗法について、知識・技能が5つ、思考、判断、表現が2つ、合計7つの指導事項がございます。
しかし、教科書を重視していますと、気をつけないと、そのうちの一つである、乗法、九九について知り、一位数と一位数との乗法の計算が確実にできること、これが一番分かりやすく教科書のほうでは示されておりますので、こちらのほうに重点的に時間が割かれるのではないかという心配がございます。
小学生、特に低学年は、生まれ月による発達段階というのがどうしても差がありますので、九九の暗記に要する時間にも差ができています。そのため、九九が覚えられない、覚えるのが苦手という児童は「掛け算ができない。」というような評価になっているのではないか。また、九九を覚えることに必要以上に時間をかけて、ほかの指導事項がおろそかにならないように注意していかないといけないというふうに思います。
また、その時に全て覚える、計算できることを目指すのではなく、単元や学年を超えて学び直しを実施していくということが、今後必要ではないかというふうに思っております。3年生・4年生でも多くの計算指導がありますので、これも同様です。
計算の反復に同時期に時間をかけ過ぎずに、計算に関わるほかの大切な指導事項についても価値を見いだす。例えば、小学校の計算のゴールは分数の乗除ですが、分数の乗除はなぜ学ぶのかの問いに、テストや成績があるからというような答えではなく、やはり小学校の計算のゴールとして、次のスタート、中学校・高校でのスタートが見えるように、全ての小学校教員に伝えていくことが大切ではないかと感じております。
以上でございます。今後ともよろしくお願いします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは続きまして、中島さち子委員、よろしくお願いします。
【中島(さ)委員】 よろしくお願いいたします。数学とか音楽とか、あとsteAmという会社をやっております。つい先日終わりました万博でも、クラゲ館というのをやっておりまして、ちょっと背景の画像 につけております。よろしくお願いいたします。
まず、今回、学習指導要領の改訂に当たって、「「好き」を育み「得意」を伸ばす」という言葉が入ってきたり、裁量制の時間が出てきたりしていること、非常に面白いなと思いながら拝見していました。
その中で、算数・数学がどうなっていくかなんですけれども、これも異論もあるかもしれないんですけども、先ほどもちょっとありました、高校生までは割と、「速く正確に解く」ということが今まで求められるような数学教育というか、そういうことではかっていることが多かったんですけれども、学問としてというところを考えると、やはり数学の面白さというのはむしろ、速く正確にというよりも、いろんな試行錯誤をしたりとか、いろんな物の見方ができる、こういうふうに設定すると見える、こうするとこう見えるとか、例えば証明であってもたくさんのやり方があったりとか、場合によって、それが一体何を意味するのか、正しいことは正しいのかもしれないけれど、先ほどの例えば分数の掛け算とかも、どういうことを意味するのかとか、そういうことを自分なりにいろんな解釈をしたりすることも非常に大事なところで、むしろ数学力とは、数学を学ぶ意味とは 、そういうところが本来入るべきなんじゃないかなというふうに思っていました。
そういう中では、数学に限らないんですけれども、まだ学習指導要領の改訂の中で、多様性とか創造性、今回「多様 」という言葉がすごく入っているんですが、それが実際に具体的に、例えば教科の中、算数・数学の中でどうするかといったときに、創造性とか多様な、多角的な角度からの視点が重要、などという軸 がまだ見えにくいかなとか、あと、「わくわく」という言葉も結構出てきているんですけれども、ちょっと感じづらい、例えば五感を使うとか、体験的であるとか、自分で何かを作ってみるとか描いてみるとか、そういうことにも結構数学というのは活用というか、背後にあると思うんですけれども、その要素が少ないかなと。
あと、試行錯誤をさせる余白、遊びの時間、これを裁量性とかで取っていくのか、総合と結びつけるのか。
あと、「深い理解」というのが、ちゃんと理解しているかということだったんですけど、結構定義が難しいなと思っていて、いろんな形の理解があるのが数学であることも考えると、具体的に「深い理解」というのは何を指しているのか。それはいろんな角度があるよということを見せていくことがむしろ大事なのかとか。
あと、文理融合の観点とかがやはり少ないこと、その結果として、女性があれほど少ないということもいろんな意味合い、受験の課題であるとか、文系・理系を早く分けるとか、やっぱりできないと数学を選ばなくなってしまうとか、そのできないというのが、一回、一過性のテストみたいなもので判断してしまうとか、そういうところは非常に問題というか、変わっていかなきゃいけないなと思っていました。
あと、先ほどからたまに出ているコンピュテーショナル・シンキングの考え方、これ、定義もいろいろある中で、私が知っているのと少し違う定義が出ていましたけれど、こういう、物事からその本質を抜き出して、それをモデル化して考える力であるとか、そういうことというのはこれから誰しもに、全ての人に必要であるというのが21世紀の初頭に言われていて、ウィングが出しています。その後のしばらくの流れの際の考え方の分類 は 若干違うものですけれど。
そういう意味合いでも、どちらかというと計算力というだけではなく、どうやって数式を立てるかとか、それは一体何を意味しているかとか、そういうところまで逆に言うと求められる時代に入ったと。AIとかも出てきている中で。
なので、そこをもう少し、「コンピュテーショナル」というと、日本語に訳しちゃうと「計算」なんですけれど、もともと言われているところは全く違うことを見ていると思っていまして、この辺りももう少し踏み込めるといいなと思っていました。
少しだけ提案というか、させていただければと思います。
まず、私自身は、アートともう少し結びつけられるといいなというのが、まず一個思っています。多様性が発揮できる、創造性・多様性が発揮できるというところで、アート、特にプログラミングと結びつけることで、数学の理解、例えば比であるとか関数・変数の変換とかということは、実際にプログラミングで何か絵を描こうとか、私が好きなのはP5.jsと呼ばれる、オープンライセンスで無料でみんなが使えるようなものなんですけれど、例えばこういうのを中学校とかでやっておくと、非常に座標平面とか変数・関数の概念、そういうものがよく分かると。比とかもそうですね。なので、やっぱり試行錯誤をするツールとしてプログラミング、しかもアートとの相性が私はいいと思っています。
必ずしもプログラミングではなくて、ものづくりであってもいいと思うんです。何かそういうものと、実は数学の概念というのは非常につながるので、そういうハンズオンであったり、プログラムで何かを描くであったり、そういうことがどこかしらで入ってくるとよいなと。
というのは、プログラミングのほうもなかなか、まだ情報処理みたいなことは行われるけれども、あまり創造的に使われている要素が少ないなと思っていることもありまして、そこが数学と結びつくと非常に面白い。特に中学・高校の数学というのは扱いやすいと思っています。
それからもう一つ、データとの連携ですね。何個かデータの話もあるかと思います。やはり実践的で横断的であるという意味で、例えば自分が感じている、何かふんわり感じている「美しい」とか「面白い」とか「気持ち悪い」とか「苦しい」とか、そういうものをまずデータとして自分で取って分析する。
データ教育も、やっぱり解いていったりするだけではなかなか分かりにくいところで、データを取るところから一度やってみたほうがいいだろうという意味では、そういうデータとの連携というところでの数学教育というのがあり得るなと思っています。
もう一つが、数学と生活というか、実践性・多様性みたいなところですけど、例えば測量でも数学活用につながると思います。あと、何回か出てきている現象のモデル化、コロナが例えば出ているとか、あとは例えば幾何学的なものでも、物の形であるとか、何をもって美しいのか、あるいは高速道路の形とか、こういう身近なもの、生き物の模様であるとか、あるいはスポーツ・ゲームのルールの作り方、どっちがいいか、どれぐらいの頻度でレアキャラが現れてくると面白いかとか、何かそういう身近なところでの、生活の中にあるようなものと数学の連携というのがもうちょっと見えてくる、あるいはそれをできる余白、ヒントとなるようなガイドがちょっとありつつも、自分で選び取って研究、探究してみる要素があるといいなと思っていました。
ちょっと分かりにくかったですが、4つ目としては、最終的に、例えば多様な証明であるとか、多様な見え方であるとか、一つのことであっても、一つ分かれば、証明できればもちろんいいわけなんですけども、やっぱり物の見方がいろいろあるということを気づかせるような問いの立て方。それはもう幾らでも、それこそ三平方の定理でも有名な100種類の証明とかありますけれど、じゃあ世界が曲がっていたらどうだろうとか、幾つかの問いで多角的に物事が見られる。ちょっと定義とかが変わると変わってしまうかもしれない。それを、教えるというより自分が探究できるような、自分ならどうしようかと。分からないですけど、折り紙を切り貼りして、ルート5なのか、面積5の正方形を作ってみるとか、山ほどやり方があるようなもので、みんなが創造性を発揮するみたいな。
もちろん、簡単にやりたい人は知っている答えを言うのかもしれないけど、そうじゃないものもあるよ、みたいなことが見えるような、そういう数学の自由性・多様性が見られるようなやり方があるのではないか。そんなことを思っていました。
すみません、長くなりました。ここから皆さんといろんなお話ができることをすごく楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、中島啓委員、お願いします。
【中島(啓)委員】 初めまして、こんにちは。中島啓と申します。東京大学で数学の研究をしております。一方で、国際数学連合という数学の研究者の国際的な団体の総裁を現在務めております。
国際数学連合では、数学の研究者と数学教育の研究者の間で協力して数学教育を進めていくということが大切だというふうに思っていますので、現在、国際数学教育委員会の委員も務めております。先ほど清水先生が、シドニーで会議があった旨の話をされていたと思いますけれども、その会議にも私も参加いたしました。
今回は、私、これが初めての経験で、どんなことが議論されるかというのもあまりよく分かっていませんでしたので、一回、自分の意見を述べるよりは、送られてきた資料を読んで、それで自分の感想を述べようかなというふうに考えて、それで述べさせていただきたいと思います。
一つ面白かったのは、これ、資料ではなくて参考資料のほうにあったと思うんですけど、今井むつみ先生が2分の1と3分の1でどちらが大きいかという問題の正答率を表にしていたんですけど、3年生で17.6%という数字が出ていて、ああそうなのかと思ってかなりびっくりしました。
一方で、全国学力・学習状況調査の資料ではけど、2分の1足す3分の1の計算はできても、そういうことを分かっていないという、そういう生徒も結構いると、そういうようなことが報告されていたと思うんです。
だから今、小学校の教育で、分数の計算をマスターさせるということを一生懸命やっているとは思うんですけど、その前に分数の概念を理解するというところが抜け落ちちゃっている、そういうことがあるんじゃないかなというふうに思いました。
先ほどの報告でもSESが低いほど成績が悪いというふうな話がありましたけど、それはやっぱり日常生活において、2分の1とか3分の1というのにある程度親しみを持っていれば、すぐどっちが大きいかというのは分かると思うんですけど、それが欠けているという、SESが低い家庭の生徒さんに関しては、そういうところがあまり親しみがないという、そういうことが問題になっているところかなと思いました。
そういった点が、この構造化ですか、構造化・表形式・デジタル化というところでどういうふうに改善されるのかなというふうなことを、ちょっと自分なりに考えてみたんですけど、まだあんまり、はっきりよく分かりません。
p.7の表でいうと多分「ヨコ」のほうは、右側が思考力、判断力、表現力ということなので、一旦左側の知識・技能を理解した後にいろいろ新しいこと、新しい問題、未解決の問題にアタックするために、左から右に行くということだと思うんです。
そう考えると、左側の知識及び技能の系列というところよりもさらに左側に、日常生活で分数に親しみを持つとかそういうところがないと、いろいろな理解が最初のところでつまずいてしまうと、そういうようなことが起きるのかなというふうなことを感じました。
あと、さっきも申し上げました今井先生の資料ですけど、それでもう一つ面白いなと思ったのは、3年生、4年生、5年生というふうにだんだん学年が進んでいくと、正答率がだんだん上がっていくという報告が書いてあったんです。3年生、4年生、5年生で分数の計算をいろいろやり方を学ぶので、それでだんだん、学年が進むに従って理解が進んでいくのかなという、そういう側面もあるのかなとは思いましたけども、むしろ学年が上がるに従って、だんだんいろいろ日常生活で経験して、分数というものに対してだんだん親しみが湧いてきて、それで理解するというふうになってくる、そういう傾向、ことが理由として考えられるんじゃないかなというふうに思いました。
数学・算数の学問の特質として、積み上げ式でだんだん、進学・進級に従って学習困難なところが雪だるま式に増えていくというような報告がありましたけども、私は必ずしもそういうふうなことばかりじゃないということがあると思うんです。また学年が進んでから、過去にやって分からなかった部分に立ち返ってみると、改めて考えてみると分かると。そういうようなことは割と経験があるかと思うんですし、あと大学でもリメディアル教育というようなことをやっているかと思いますが、大学に入って小中高の算数・数学で分からなかった部分をもう一回教育するというようなことがなされていまして、ある程度効果が上がっているというのが私の理解です。
だから、そういう学年が進んでから立ち返るというのをどういうふうに学習指導要領の中で実現したらいいのかというところまで思い至りませんけども、そういうような視点も、数学、必ずしも一本道に理解が進んでいくんじゃなくて、分からなくても、また学年が進んでから振り返って、改めて勉強するというようなこともできたらいいんじゃないかなというふうに思っています。
以上、とりとめがなかったかと思いますが、これで終えたいと思います。ありがとうございました。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、西成活裕委員、よろしくお願いします。
【西成委員】 東京大学の西成と申します。私は数学の応用を30年以上ですかね、やってきまして、いろんな企業と特許を取ったり、あとは、例えば今回の中学生・高校生の探究とありましたけど、それの出口である科学賞の審査員もずっと長年勤めていて、いろんな子供たちがどういうことをやってきたかというのを長年見てきました。
今日、いろんな論点があると思いますけど、時間もあれなので2つだけちょっと話させていただくと、まず、応用に関してですね。応用って、社会とか生活の中だとか、いろんな技術とか、あと金融とか、いろんな応用があると思うんですけど、これ、本気でやったことがある人は分かると思うんですけど、必ず数学からはみ出るんですよ。数学だけで閉じた応用というのはなくて、総合的な、学際的なものなんです、実は応用というのは。
その中で、もちろん数学は大事な役目ですし、そこを切り出して議論するのもいいんですけど、閉じた学問、もうそういう時代は終わりにすべきじゃないかと実は思っていて、いろんなものがつながっているはずなんですよね。我々人間が便宜的に分けているだけで。
その中で一番いけないのは、手段が先にある人。これがあるからやるという、そういう人は多分応用があんまりうまくいかなくて、まず、自分が裸になって相手を見て、対象を見て、直感、論理でもいいんですけど、何ができるのかって考えてやっていく。それはまさに、先ほど中島さんも言いましたけど、試行錯誤がすごく大事なんです。失敗してもいいし。
その、失敗する時間がみんなもったいない。かつ、先生も若い先生はすぐ教えたがるんですよ。私なんか1年ぐらい教えませんからね、絶対。考えさせる。
そういうふうにして、例えば自分の直感が間違っていた、じゃあこうしようか、とやると、だんだん直感が正しくなってくるんです、実は。そうするとぱっと解けるようなったりとか。そういう主張をしている数学教育の先生もいるんですけど。
やっぱりいろいろ直感を磨いて、論理も当然磨いて、その背後には知識、重要な知識もあるということで、応用というものは閉じたものじゃないというのがまず一つ、主張です。
もう一つが、やはりAIですね。小谷先生もおっしゃっていましたけど、これ、10年に1回じゃ遅過ぎるんじゃないかと。もう来年再来年の世界って誰も読めないぐらいにAIが進んでいて、特に生成AIがコモディティー化すると、今言われているんです。
私も今、生成AIの将来がどうなるかというので、有識者といろんな会議をやっておりますが、コモディティー化、つまり、もう誰でも、小学生でも中学生でも使えると。
そうなってくると、もう本当に働き方も仕事も全部変わると思いますね。教育の在り方まで変わってきて、学校の在り方まで下手したら変わって、特に大学が今、危機的状況で、レポートを出すと我々よりも完璧なレポートがすぐ返ってきますので、もうほとんどレポートの意味がなく。これって本当にどういう社会になっていくんだろうと、私自身も結論は出ていないんですけど、取りあえず学生を見ていると、見かけ上全部できちゃうんです。
ただ、やっぱり問題なのは、理解していないんです。呼び出してしゃべらせるとやっぱり分かっていない。
そこで、私が2番目の観点で言いたいのは、批判的に見る力です。それ、ぱっと見て、私も分からないんだけど違うんじゃないかって、やっぱり何となく感じる。その批判的に見るということが、やはり素直な学生が増えてきて、なかなかできていない。
例えば平均50点と聞いたときに、皆さん、50点の人が多いのかと思うかもしれませんが、我々は、もしかしたら100点の人と零点の人だけかもしれないって考えるわけですよね。
そういった、何がその中でも基礎になるか。絶対に必要なものというのはあるし、勉強しなきゃいけないものってあるはずなんです。そういうものは必ずやっぱり教えて、批判的に考えられる力、そういったものが本当に考える力に育っていくんじゃないかというふうに思いますので、本当にAIをどうするかというところは、私はもう国際法レベルで必要だと思います。もう核兵器レベルだと思うので、そういった議論まで本当はしていかないといけないんじゃないかというふうに考えて、AIに関しては、まだ私自身も結論がないぐらい考えまくっているんですけど、これをどうするかは、ちょっと教育の中で大きなポイントかなというふうに考えております。
以上になります。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、西村圭一委員、よろしくお願いします。
【西村委員】 こんばんは。東京学芸大学の西村と申します。よろしくお願いします。教員養成と、高校における探究的な学びの実装化に関するプロジェクトのリーダー等を務めております。
御説明をお聞きして感じたことを、これまでの先生方の御意見となるべく重複のないように、3点に整理してお話ししたいと思います。
まず1点目ですが、論点整理の5ページにある、次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方の一番下にある「自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育む」という、上位の目的を忘れずに、これからの算数・数学の学びの在り方を検討することを大切にしたいと強く感じました。それは、算数・数学の学びをこれまで以上に多元的な価値観に基づいて考えることになるからです。具体的には、知的好奇心に基づく数学の学問としての価値と、数学的リテラシーやデータ、リスク等の数理の社会的な側面のバランスを、多様な子供たちの関心やニーズを視点に考えていく上での原点になるからです。また、科学技術人材という論点もあるのですが、科学技術のつくり手としての基盤に重きを置き過ぎると、かえって市民として必要な数学的素養が十分に身につかない子供が増えるということも懸念されるからです。
こういったバランスとともに、民主的で持続可能な社会の創り手を育む上で、算数・数学科でどのような点を担うかを、関連する教科、例えば高校の「情報」、検討が進められている小学校の「総合的な学習の時間」の情報の領域、中学の「情報技術科」等はもちろんのこと、高校の「理数探究」「理数探究基礎」、さらに言えば、文理横断が求められていますのでデータを扱う社会科等も含めて、学習指導要領上の役割分担を明確にしていくことも大事だと思います。教科横断と言われても、現場任せになってしまうと実装されないので、教科横断の仕方の具体化も必要になってくると思います。
2点目は、小中高の一貫性についてです。これは皆さんのお話とちょっと違う角度で感じたことなんですが、OECDのエデュケーション2030でも言われているように、教育はエコシステムの中にあります。学習指導要領の趣旨の実現には、学校の先生だけではなくて、保護者の意識ですとか教育産業、入学選抜なども、陰に陽に影響しています。先ほどをありましたジェンダーの問題も含まれます。
日本の算数・数学教育もこのエコシステムの中にあるわけですが、どうも見ていると小中高でその様相が異なっているように感じることがあります。もちろん、学習指導要領では一貫性を持たせているんですが、そのエコシステムの中では全く異なる受け止め方をされて、意図せぬ方向に進んだりすることもあったように感じることがあります。
論点整理では、先ほどの5ページの次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方の一つに、「実現可能性の確保」が挙げられていますが、算数・数学では、このエコシステムの存在を踏まえて、その全体のアップデートを図るための知恵や仕掛けが必要になってくると思っています。「中核的な概念」の「タテ」の関係はその一つになる可能性があり,そのためにも、高校の必履修以外の科目も含めて、校種を越えて「中核的な概念」を考えていくということが重要になってくると思います。
3点目は多様性への対応についてです。先ほどの中島啓先生の話もあったように、子供たちの理解は一様には進みません。また、関心や学び方の嗜好にも多様性があります。なので、技能面のドリル的な復習に偏らない、豊かな学び直しを内包する教材例を各学年の学習内容と関連づけて示していけるといいのではないかと思います。学び直しというと、以前学習した教材を持ってくるように考えられがちですが、そうではなくて、これから学ぶ内容に対して過去の学びがうまくアップデートされるような、そういうものを学習指導要領の解説等の中でも例示できるといいのではないでしょうか。
また、学校段階が上がるにつれて、徐々に内容や学び方を自己選択できるようにしていくような学習指導要領上の工夫ができないかとも思いました。柔軟な教育課程の話がありましたが、例えば高校では、小中での多様な算数・数学の学びの経験を基に、個々の生徒が関心や学び方の嗜好、進路等に応じて内容や学び方、例えば、帰納的なアプローチを好む生徒もいれば、演繹的に学ぶことを好む生徒もいますし、紙と鉛筆を好む生徒もいれば、数学のデジタルツールを使って考えていくことが向いている、好きだと思う生徒もいるわけで、その辺りを自分で選択できるようにしていく、こういった選択ができる生徒の姿をを一つのゴールイメージにしていくといいのではないかと思います。
また、高校に関しては,戦後の学習指導要領の変遷の資料もありましたが、様々な選択科目があったり、現行のAやBの中でも本来は内容選択というものができるようになっていたりするのですが、どうも結果的に見ると、選択するのは学校で、個々の生徒が選択するようには至っていません。柔軟な教育課程というものは、学校にとっての柔軟ではなくて、個々の生徒にとって柔軟であることが重要だというふうに思います。もちろん、多展開するための教員数や時間割編成の問題はあるとは思いますが、一部の道県で進んでいる、デジタル学習基盤を活用した双方向の遠隔授業の成果等を生かしていくということも考えられるかと思います。その辺のことも含めて実限可能性の確保ということを考えていけるといいと思いました。
以上、最初に申し上げた原点を忘れずに、子供目線、子供の学びの実相を視点に、かつ、どのような「子供」に対してのことなのかということを常に留意しながら、過度な一般化はせずに教育課程を考えていくことを大切にしたい思います。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、深澤弘美委員、よろしくお願いします。
【深澤委員】 東京医療保健大学の深澤です。よろしくお願いします。学習指導要領の議論に関わるのは初めてです。不慣れな点があると思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは統計関連で少しお話をさせていただきたいと思います。
まず一つは、これまでもお話が出てきましたけれども、生成AIがかなり使われるようになってきていますので、データサイエンスの視点を含めた算数・数学の検討を、お願いしたいと思っております。
これまで海外は、算数・数学科の中で統計を教えるという国が多かったんですが、現在の動向としてはデータサイエンスの視点が加わって、さらに学際的に、算数・数学科だけではなくてテクノロジー科など、複数の科目を連携して、国定カリキュラムや教科書を検討しはじめています。 このデータサイエンスの視点を加えるという上では、これまでも出てきましたコンピュテーショナル・シンキングが大きく関連してくるわけですけれども、このコンピュテーショナル・シンキングを、AIの時代に合わせて質的に変化させるということが必要になってくると思います。
AIの活用を前提としますと、コンピュテーショナル・シンキングを、アルゴリズムを考えてそれにデータを載せて分析するというようなルール型の思考から、大量のデータから機械学習を用いて傾向を捉える、そしてモデルを構築していくというデータ駆動型に変更する必要があります。
これに合わせて、統計教育、算数・数学、そしてもちろん情報や理数、あるいは理科とか社会の教育というものも変化させる必要があるのではないかというふうに思います。
統計に関しては、統計を用いた基礎的なモデルの理解であるとか、推測の基本的な様式を理解することはもちろん必要ですが、それだけではなく、また、それを深めるというだけではなくて、AIの時代においては、データであるとかモデル、分析の結果の信頼性を、倫理的な側面であったり社会的な側面からきちんと評価したり判断したりできる力を養うことのほうが重要になってくるのではないかというふうに考えます。データリテラシーや結果の評価力、そして、先ほども出てまいりました批判的思考力の育成が、大変重要になるかなというふうに思います。
具体的には、統計的問題解決のサイクルである、PPDACの見直しというようなことが考えられるかと思います。DataやConclutionのフェーズにもう少しフォーカスした形での見直しなどが考えられるかと思っています。
あともう一つは、このPPDACのサイクルを用いた探究的な学びについてですが、探究的な学びの内容であるとか到達目標を、年次進行に沿って少し定義できるといいなというふうに思っています。
アメリカでは、科学的探究のフレームワークを定めていて、年次進行に合わせて内容・目標がきちんと定義されていて、それを数学のカリキュラムでも参考にしているということです。そういったところ、海外の動きなども参考になるところがあると思いますので、参考にしながら、日本にとっていい学習指導要領ができるように、微力ではありますけれども努めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、堀田龍也委員、よろしくお願いいたします。
【堀田委員】 ありがとうございます。東京学芸大学の堀田と申します。私の専門分野は教育の情報化でございまして、今般の中教審におきましては、先ほどの論点整理を出した教育課程企画特別部会の委員でもありました。また、同じく中教審に設置されておりますデジタル学習基盤特別委員会の委員長も拝命しております。
また、学校現場に出かけて、先生方とICT活用、有効なICT活用について進めてきております。こういう立場から、2点、意見を述べたいと思います。
まず、1点目です。これからの時代は、学び続けなければならない激動の時代になるというふうに言われていまして、こんな時代に生きていくことになる子供たちは、算数・数学においてずっと学び続けていくことになるわけで、そうすると、やはり小学校や中学校の段階から、「分かった」とか「できた」とか、できれば「好きだ」とか「楽しい」という、日本の子供たちが弱いと言われるそういう気持ちを、もっともっと持ってほしいと強く願うものです。
もちろん、全ての児童生徒が数学的な見方・考え方を十分に働かせるということが理想なのでしょうけども、現実では、先生の説明だけではうまく理解や習得ができなかったとか、あるいは「できた」と納得するほどまでは習熟が保障されなかったとか、そういう現実があるのだというふうに思います。
先ほども別の委員の発言で、基礎的なこと、ドリルのようなものができていないことで、十分に発展的な学び、検討ができないみたいなことがあるんじゃないかという話もありましたが、そういうシーンを学校現場で時々見かけます。先生は一生懸命、算数・数学のよさを伝えて、そういう学習指導をしているんだけれども、とうとう1時間、1問取り上げただけで終わってしまったみたいなシーンを見かけると、本当にこれだけでいいのかなと思うところがあるということです。
教科書にある問いを実生活とつなげて理解するというようなことが、これは記号接地の観点からも重要なわけですけども、そういうことが難しかったりする児童生徒については、例えば動きのある教材をデジタルで提示したりすることで、「あ、そういうことか」と理解を促されるようなシーンを見ることもあります。また、自分で図形を動かしてみたり、あるいは数値を変えてグラフの動きを可視化してみたりするみたいなことによって、「そういうことか」と気づくようなこともあると思うわけです。
また、個別のドリル等も、これはどちらかというと習熟の話ですけども、デジタルによって、子供たちの学習のペースとか習熟度に合わせて練習するということが、比較的容易に可能になります。
また、児童生徒のそれぞれの達成度が本人にうまくフィードバックされたり、あるいは教師が把握できたりするようになり、個別の指導・介入が行いやすくなるのかなと思います。
算数・数学は学力差が大きくなりがちな、積み上げの多い教科だということが指摘されるわけですので、個々の学習状況に合わせたほうがいいような時間、あるいは学習内容によっては、デジタル教科書やデジタル教材に積極的に期待するというようなことがあってもいいのかなと思うわけです。
ただ、この点について、現状では、正直まだ課題が残っていると思います。児童生徒の理解を促すようなデジタル教材とか、あるいは習得や習熟を適切に、個別に支援できるようなデジタル教材のうち、現状、世に出ているものの中には、十分な機能になっていないものも散見されるという現実もあります。
ただ、子供たちの様子を十分に把握せずに、そういうドリル教材に単に任せてしまっている、そういう利用の仕方の問題点もあるかなと思っています。
これまでの紙の教材では、これはもう長年ですけれども、教科書会社や各教材会社が、具体的にはドリルとか問題集とかを問題のレベルや性格別にたくさんつくり、それをどのような順番で解いていけばいいかの類型化もされてきたわけですけども、こういう教材開発のノウハウみたいなことが、まだ十分にデジタルの側に移行できていないという現実があるかなと思います。あるいは、デジタルのよさを活用して、さらによい教材にするというところまで消化し切れていないという部分があるかと思います。
現在、義務教育段階では、GIGA端末が配付されてちょうど5年、デジタル教科書は算数・数学でようやく5割ほどの学校への普及状況、その他のデジタルの教材は有料であり、予算等の関係もあって、まだ広く十分に用いられているという段階ではない。そのために市場が十分に発達していなくて、教材開発の優れたノウハウをお持ちの企業や研究者等が、まだ十分にこの分野で活躍できていないということかなと思います。
次期学習指導要領において、算数・数学の基本的な学びが全ての児童生徒にしっかりと提供されるという点では、このようなデジタル教科書やデジタル教材の充実も、同時に推進していくことが重要かと思います。
2点目ですが、こちらは簡単に述べます。先ほどからも幾つか出ていますが、生成AIに代表されるような新しい情報技術が物すごいスピードで進展していくという、そういう時代になっております。
これらの技術の機能、概念といいましょうか、仕組みといいましょうか、そういうものを理解して活用していくということが大事なんですけれども、その前に、こういう情報技術が、その着想とか開発の基本的な部分で数学の知性が利用されているということを、もっと数学教育の中で伝えられないものかなと思うわけです。
このことは、算数・数学で端末や生成AIを使いましょうとかということを言いたいわけじゃなくて、先ほどから出ているようなコンピュテーショナル・シンキングのような考え方が、例えばデータ活用の領域の学習内容に大いに組み込まれるとか、こういうようなことを期待したいということです。
算数・数学で何度も出てくる図、現実と数学の世界の往還の図みたいなものは、この分野で言えばモデル化の議論であって、まさにコンピュテーショナル・シンキングで言えば考え方の一部としっかり呼応するわけで、こういう、今日重要だと言われる考え方、分野に積極的につながるような算数・数学の学習内容の提示がされるべきであり、そして、それが教師たちにちゃんと伝わって、子供たちの使う教材の中にも組み込まれていくということを私は期待したいと思います。
私の発言は以上でございます。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、宮﨑史和委員、よろしくお願いいたします。
【宮﨑委員】 高知県にあります黒潮町立大方中学校で現在校長をしております、宮﨑といいます。今回、算数・数学ワーキンググループにお声かけいただきまして、大変光栄に思っています。どうかよろしくお願いいたします。
私は現在校長をしておりますが、前任は高知県教育委員会で10年ほど仕事をしてきました。その中で数多くの授業を拝見させていただき、現行学習指導要領を参考にしながら、先生たちが真摯に授業改善に向かっている姿がありました。
忙しい中で学習指導要領を開きながら、どうすれば子供たちに数学的な資質・能力を育成する授業ができるのかに向き合う先生方が増えてきたのではないかと思っています。
しかし、実際の授業を行うとうまくいかないという現実がありました。そういった授業を見てきたこと、今回、数多くの資料を見させていただいた中で感じたてことを、3点、今までの委員の皆様と重複するところがありますが、述べさせていただきます。
まず1つ目は、この数学的活動は現行学習指導要領でも、問題発見・解決の過程を回していく、進めていくのは、本来子供たちであるはずです。
しかし、子供たちが分からなくなったときに、先生が任せ切らずに、どんどん先生の発話が増えていき教師主導になっていってしまう。子供主体の学びをつくりたいはずなのに、どうして現実の授業はそうなってしまうのか、先生たちは苦労していると思います。
このような状況を考えると、この「深い学び」や子供たちが数学的な活動を回していく授業というものがイメージできていないのではないかと思います。
2点目は、この全国学力・学習状況の結果や世界的な調査の結果を見ても、これまで授業で学んできたことが間が経過すると生活や社会の中でなかなか生かされていかないということです。
なぜそうなるのかなということを考えたときに、授業が一つ一つの内容を日々教えていくことに終始し、一つ一つの知識が中核的な概念であったり、生きて働く知識というように汎用性のある知識や技能になっていかないというところが、関係しているのではないかと思います。
先生たちは授業改善に向かっているのに、子供たちの力につながっていないとするととても残念なことであり、今回の学習指導要領の改訂において、ぜひ先生たちの努力が子供たちの力に反映されていくような学びを示していける学習指導要領になっていったらいいと思っています。
3点目は、今回、算数・数学が「楽しい」とか「好き」と回答している子供たちの割合が大変低いというような資料の提示がありました。算数・数学に携わってきている人間としては、とても寂しい限りですがも、なぜこうなるのか、そして、これを打破するにはどうしたらいいのかということを考えたときに、やはり授業改善しかないと思います。子供たちが自分の中で、解きたいという意欲や、どうなるんだろうと思う問いが授業の中にあって、数学的活動を推進できるような授業ができたら、数学が楽しくなると思います。
私がこれまで見た授業の中で、子供たちに問いが持てたときには、授業が終わってからも先生のところに集まって、この先どうなるのかを質問したり、自分なりの考えを先生に伝えたりしている場面を見てきました。
こういう姿から考えると、問いがきちんと子供たちの中に持てたときには、この後、家に帰ってからも算数や数学に関わろうとする子供たちが増えていくのではないか、算数・数学を好きという子供たちの割合も高まってくるのではないかと思います。
算数・数学の授業の中で、問題発見・解決の過程を回していけるためには、この問いというものが大切になってくると思いますので、問いをどう子供たちとつくっていくのかについて、学習指導要領の中でも何か示せたらいいなと思います。今回、学校現場の立場から、また御意見を言わせていただけたらと思っています。どうかよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、最後になりますが、山田誠司委員、よろしくお願いいたします。
【山田委員】 皆さん、こんばんは。大分県教育長で教育次長をしております山田と申します。何人かの委員さんもおっしゃっておられましたけれども、私も前回の改訂の際には、高等学校数学の協力者としてお手伝いさせていただきました。引き続き、微力ではありますがよろしくお願いをいたします。
皆さんがそれぞれの立場で非常に重要な御意見をおっしゃられて、最後の私が何を話せばよいのか非常に困ってはいるのですが、私からは少しだけ視点を変えて、学習指導要領の読み手の立場を想像しながら、2点ほどお話をさせていただきます。
まず、学習指導要領全般についてですが、論点整理におきましても、いろいろな概念についてイメージをつかみやすくすると示されておりますが、これは非常に大変重要なことだと思う一方で、先ほどの御意見にもありましたように、どこまで明確に定義できるのか、イメージの統一化が図れるのかという課題もあるかもしれません。
いずれにせよ、そういった課題に対応しながら、次期学習指導要領の記述においては、可能な限り平易で具体がイメージしやすいもの、実践に落とし込みやすいものがよいのではないかと考えています。
実際、私の指導主事時代の経験を振り返ってみましても、現場の先生方に腑に落ちるのは、やはり理念と併せて具体例を基に議論をしたときでした。学習指導要領に書かれている理念が非常にすばらしいものであっても、それを読む現場の先生や指導主事の皆さんがなかなかイメージできないようでは、読まれなくなると思っています。
これまでも、視学官の先生や調査官の先生から、連絡協議会などで指導主事には丁寧に分かりやすく御説明いただいており、大変ありがたい気持ちでいっぱいです。そのような取組と併せて、次期学習指導要領は、日常的に現場の先生方が手に取った際にも、ある程度記載内容に基づく実践が自分でイメージできることが重要なんじゃないかなというふうに考えております。
2点目です。2点目につきましては、本日のワーキングの資料の4ページ目の2の1、学習内容の系統性・一貫性に関する部分でございます。
本県の高等学校においては、数学が苦手な生徒に対して、ともすれば現在取り組んでいる学習内容の反復練習などによって、何とかその部分をできるようにさせようとしている姿が見られます。そこでは、教師が、どの校種のどの段階での概念定着に課題があるのかといったような分析的なアプローチができていないような現状があるように思います。
これは時間的制約等もあり、やむを得ない部分もあるのかもしれませんが、今後デジタルツールの有効活用等によって、そういった課題もクリアできていくのではないかというふうに考えています。
また逆に、小学校の算数を指導する際に、今、児童が学んでいることが、例えば高等学校での学びにどこまで影響があるのかといったことも、もしかしたら、あまり先生方は意識されていないかもしれません。
論点整理の表形式化のところでは、中学校数学科の中で、学年の枠を超えた整理の仕方が示されていますが、今申し上げたような意味から、学習内容はもとより、今後「中核的な概念」等を考える際に、各領域ごとに可能な限り校種を超えた視点で縦に貫くような整理ができ、可能であればそれを何らかの形で示すことができれば、算数・数学の教科の特徴も強調できますし、いずれの校種の先生方にとっても有益ではないかというふうに考えております。
私からは以上です。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
最後に私からでございますが、今日、委員の皆様の御意見をいただきまして、今、大変心強く感じているところでございます。全ての委員が御自分の御体験に基づいて、しっかりした論点や課題を提供していただいたというふうに感じました。
また、委員の御専門や観点というところに関しても多様な視点を提供いただきましたので、このワーキンググループ全体として、非常に幅広く算数・数学の指導ということについて議論を深めていけるということを力強く感じたところでございます。
私自身のことで申しますと、この間マレーシアで、ユネスコが開催するサイエンスエデュケーションのワークショップに参加いたしました。そちらは学校の教育というよりは研究者の育成という観点であったということや、数学の研究者ではなく、幅広くいろんな分野からの研究者が集まって、特に若手の研究者の育成というところの議論でございましたが、本日の議論とも関係すること、非常に共通点のあることが議論されたというふうに感じました。
一つは、やはり科学技術というものが社会において信頼されるということが非常に重要だという中において、学術それぞれの興味であったり、重要な課題であったりということだけではなく、社会の中でどのように科学技術を使っていくかという観点、人類共通の課題、地球規模課題と言われるようなものを考えたときに、委員の何人かからも御発言がありましたように、社会と数学というような言い方をするとしても、数学だけで解決する問題というのはなく、いろんな分野の方が分野を超えて議論をし、課題に向けて考えていく、それぞれの技術や知識を持ち寄って課題を解決するということが非常に重要になっていくのではないかということが一つの論点でございまして、私としては、科学の共通言語と言われる数学が、そのようなところでどのような役割を果たすのか、特にAIやデータの時代、モデル化、コンピュテーショナル・シンキングということが重要だと言われる中で、数学がどのように役割を果たせるのかということを考えたときに、それが学校教育や人材育成というところにもどう反映されるべきなのかということを感じた次第でございます。
また、当然のことながら、AIやICTの活用ということもございました。これも何人かの委員から御発言がありましたように、どうしても、素早く効率よく回答に至るということが、現在非常に重要視されてきております。そのことが非常に重要だと考える生徒さんや学生さん、そして研究者、社会人もいますけれども、やはり知識の定着ということを考えたときには、その問題解決に対してどれぐらい自ら関わったかということが、知識の定着においては非常に重要だという、これは統計データもございましたが、そのことが指摘されました。
今日の議論の中では、プロセスそのものの意義を理解させるということ、試行錯誤すること自体が楽しさであるということ、そして、数学は回答が一つあってよく、多様な問いの立て方や多様な答えがあるということ、そして、そういう多様な問いや多様な答えをどのようにして導き出すかということに、それぞれが関わるということは非常に重要であるとなどをお聞きしました。
特に、デジタル技術やAIドリルの話もございましたけれども、手を動かしながら考えていく道具の活用により、カリキュラムを生徒それぞれに対して多様に提供できる可能性もあるということが指摘されました。
算数・数学に関わられる皆さんには、合意いただけると思いますが、算数・数学というものは、それを理解したときの喜びが非常に強烈であるということ、物事を理解したり発見するということの喜びはすべてに共通でございますけれども、特に算数・数学においては、その試行錯誤の過程が長いこともあり、非常に強烈な納得感と発見の喜び、理解の喜びというのがあるというふうに思います。
そういうことが学校教育の中で実現できれば、算数・数学が好き、算数・数学に自信を持てるという生徒さんが育ってくると思いますが、一方で、教育の現場の中で、限られた時間、そして教員の皆様が非常にたくさんの時間を割いて教育をされているという中において、教育の現場でそのような発見の喜びや理解の喜びをどのようにして実現できるかということは、非常に大きな課題だというふうに考えているところでございます。
今日は本当に、観点で様々な立場から御意見いただきつつも、共通に皆さんが感じていらっしゃる課題であったり、どういうことを指導要領であったり学習に生かしていかなくてはいけないかというところには、共有できることがあるというふうに感じました。
そのようなことから、冒頭申しましたように大変心強く、このワーキンググループでしっかり議論をしていくことによって、これからの社会をつくっていく小学校、中学校、高校の生徒さんにどのような学習をしていただくことがよいのかという議論が、しっかりできるということを感じたところでございます。
今日はいろいろありがとうございました。またこれから何回か続くものでございますが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
それでは、事務局から御連絡があるのでございましょうか。
【高市専門官】 長時間の御議論、誠にありがとうございました。
では、事務局からお伝えすることを御報告させていただきます。次回の予定についてでございます。
次回の予定でございますが、次回は11月14日、金曜日、9時半から12時で開催する予定でございます。正式に決まりましたら、後日連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【小谷主査】 どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の算数・数学ワーキンググループを閉会といたします。大変皆様、貴重な時間、そして活発な御議論ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
―― 了 ――