令和8年6月26日(金曜日)9時30分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【土井主査】 定刻となりましたので、ただいまから第8回社会・地理・歴史・公民ワーキンググループを開催いたします。お忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。
本日は「社会、地理歴史、公民における資質・能力の育成等について」としまして議題1、2を、「社会、地理歴史、公民ワーキンググループの取りまとめについて」としまして議題3をご議論いただきたいと考えております。
進行としましては、議題1および議題2をまとめてご議論いただいた後、休憩を取り、議題3をご議論いただきたいと思います。
それでは初めに、議題1および議題2について事務局から説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 まず資料1の1ページをご覧ください。本日の議題1は小中高等学校における内容等の在り方について、議題2は資質・能力についてです。
3ページをご覧ください。まず1、現状等として、括弧1で従前のワーキンググループで提示した小中高等学校を通じた整理の考え方と、括弧2として社会情勢の変化に伴う課題を記載しております。
また右側、括弧3、教科書における記述量に関する課題といたしまして、論点整理でも述べられているとおり、教科書の分量が増える一方で網羅的に指導すべきとの考え方が根強いこと、内容や分量の多さが授業進路の速さや過剰な授業時数の設定に繋がっているという指摘がある旨を掲げております。
次に2の内容等の在り方の、括弧1、内容の充実の考え方として、まずグローバルな協調や競争に関する世界共通の課題と、社会構造の変化に伴う我が国特有の課題の観点から、アップデートを図る必要があることを示しております。
また括弧2、内容の精選として、内容のアップデートを図る一方で、全体として学習内容を増加させず一定の精選を図る必要があることを踏まえ、構造等の見直しによる整理に加えまして、丸1にあるように小学校では内容の重複事項がある際の精選を図ることとし、例えば小学校段階では県内の特色ある地域の様子について、伝統的な技術を生かした地場産業が盛んな地域、国際交流に取り組んでいる地域、地域の資源をほぼ活用している地域の三つを同様に扱うこととしていますが、このうち学校所在地の特色等を踏まえて、主たる項目を選んで丁寧に学んだあと、そこで身につけた方法に基づき残りの二つに軽重をつけて扱うことを掲げております。
4ページをご覧ください。同様に丸2、中学校では二つ目のポツにございますとおり、政治史・文化史等を一体的に扱うことで、各時代の歴史的事象を総合的に関連付けながら、総合的な発揮に示された時代の特色を体感して表現することを目指すとともに、学習の構造化・焦点化により精選を図ってはどうかと考えております。
また高等学校についても上位概念への統合による整理として、日本史探究の中項目の知識・技能に明記されている内容項目のうち、近現代で取り扱う内容項目について、歴史総合の学習を踏まえつつ、より上位の概念的な理解を実現できるよう統合整理することによって精選を図ってはどうかと考えております。
また括弧3、具体的な改善の方向性として、ここに掲げたものは事務局案としての視点の例でございますけれども、まず丸1のグローバルな協調・競争等に関する視点として、政治的・経済的な力関係の変化や地域紛争の動向等を含む国際情勢について、我が国との関係性も踏まえ多面的・多角的に捉える視点、自然災害や防災環境に関する視点、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展が社会に及ぼす影響に関する視点、国際社会における我が国の役割、国際協力の在り方など国際的な枠組みの中で捉える視点、さらに丸2、社会構造や国内情勢の変化に関する視点として、グローバル化の進展に伴う地域社会の変化を身近な事象と結びつけて捉える視点、食や農林漁業を取り巻く状況の変化や食料の合理的な価格形成、食料安全保障に関する内容の扱い、社会制度教育の意義・役割に関する内容の位置づけ、金融経済の仕組みや機能に関する理解の視点、自衛隊が果たしている意義・役割を踏まえた取り扱い、領土に関する教育の発達段階に応じた取り扱い、経済安全保障など多様な安全保障の概念や意義・役割、それに影響を与える構造の変化に関する視点、北朝鮮当局による拉致問題の内容の取り扱い、アイヌに関する理解について関連法令の趣旨を踏まえた取り扱い、こども基本法、障害者差別解消法、理解増進法等を踏まえた人権に関する内容の扱い、旧優生保護法やハンセン病に関する正しい理解に基づく人権教育に繋げるための必要な取り扱い等を掲げております。
なお、ここの旧優生保護法につきましては、令和6年9月に原告団、弁護団、優生連、国との間で基本合意書が締結されており、この合意書を基に継続的・定期的な協議の場が開催され、その中で優生保護法問題を取り上げた人権教育の実施を明記すること等が要請されるとともに、令和6年12月に定められた行動計画では、今後の教育課程における取り扱いについて検討する旨が明記されております。
またハンセン病についても政府との協議の場において、ハンセン病問題について学習指導要領に明記が求められるとともに、厚生労働省が主催する施策検討会においても、教科書記述の充実や学習指導の改定等が明記されているところでございます。
続いて5ページ目をご覧ください。括弧4、教科書における内容の精選の在り方です。
まず現状課題の二つ目の黒ポツに記載のとおり、用語の暗記量の多寡により評価される学習観を背景に、教科書に網羅的な内容が記載されることによって、各学校段階での内容に重複が発生し、教科書の分量を肥大化させる要因となっていること、このため今後の学習指導要領等において示している事項と、教科書で実際に掲載されている用語の差分について分析を行い、教科書等における用語の精選について一定の方針・考え方を示す必要があること等を掲げております。
また四つ目の黒ポツにあるとおり、高次の資質・能力を活用することにより、個別的な事象を整理し、探究的な学びの充実に向かう様々な工夫・改善を教科書発行者が行うよう促すこと、右上の一つ目の丸にあるとおり、知識を網羅的に記憶するのではなく、本質的な理解や探究的な学びが充実するよう、学習指導要領解説において学習上の課題等をベースにした記載を充実することにより、社会科等における教科書の在り方を大きく転換すること、デジタル学習基盤も活用した定期試験における記述式の問題の出題や高校入試等の改善を促すことも掲げております。
さらに三つ目、右側でございますけども、黒ポツにございますとおり、図書や副教材、デジタル等を活用し、教科書に掲載する写真や図などの資料の在り方を教科書編集の際に改めて検討することを促すことなどを掲げております。
加えて、これらの取組を実装するための方策として、新しい学習指導要領を告示した後に、速やかに教科書発行会社への説明会等を実施し、今回の社会科・地理歴史科・公民科における改訂の趣旨等と合わせて丁寧に説明することを示しております。
続いて7ページをご覧ください。議題の二つ目でございますが、高次の資質・能力についてです。
社会科における高次の資質・能力については、これまでも本ワーキンググループでご議論いただいたところであり、その経緯を左側に記載しているところでございますが、右側の二つ目の丸に記載のとおり、教育課程企画特別部会において教科横断的な議論が行われる中で、統合的な理解では学習内容との関連性を分かりやすく単元構想に生かしていくということも考えられるのではないかという指摘や、現在の案では従来の内容の水準に近すぎて統合的な理解や総合的な発揮は十分果たされているのかといった指摘をいただいているところでございます。
そこで三つ目の丸にあるとおり、原則各分野・科目の中項目ごとに構成する考え方については、これまでの社会科ワーキングでの議論を踏まえ維持することとしつつ、小学校については知識を統合的に理解した結果の姿を明記するなど、より構造化を意識してブラッシュアップを図ること、中学校の地理・歴史的分野については単元構想を検討しやすいものになるようブラッシュアップを図ることをしたらどうかと考えており、具体的な修正内容を9ページ以降に黄色マーカーで示しております。
主なポイントのみ紹介いたしますと、小学校段階では、例えば11ページをご覧いただければと存じますが、地域の安全を守る働きでは、その知識を統合的に理解した結果の姿として記載を見直す観点で修正を加えております。
また中学校の地理的分野では22ページにあるとおり、分かりやすく表現することや学習する意味をしっかり示すという考え方のもと、地球的規模で地理的な諸事象等を理解する基盤として、世界の地域構成の概略を理解するといった形で修正をしております。
さらに歴史的分野でございますけれども、教育課程企画特別部会において統合的な理解の抽象度が高すぎると、単元構想に具体的に生かしにくいといった指摘をいただいたことを踏まえまして、例えば29ページにある古代までの日本における統合的な理解では、律令国家や国風文化といったより具体的な表現を含めることで、単元構想の検討をしやすいような形に改めているところでございます。
こちらについても合わせてご議論いただければ幸いです。事務局からの説明は以上となります。ご審議のほうよろしくお願いします。
【土井主査】 それでは意見交換に移りたいと思います。みなさまにご発言の機会があるよう、一回のご発言は長くとも3分以内でおまとめいただければ幸いです。
なお、時間が足りなくなってしまった場合には、会議後発言いただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただいた上で、後日議事録掲載する取り扱いとさせていただきます。
恐縮ですが、ご発言の際は資料のどのページ、どちらの論点に関するご意見であるかを明言いただけますと幸いです。
それではご意見等のある方は挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、井田委員お願いいたします。
【井田委員】 はい、二点ございます。
まず第一点目は、5ページ目に関することなんですけども、紙媒体の教科書については議論してきましたけども、一方でデジタル教科書について全然議論されていないんではないかというふうに思います。社会科や地理科特有のデジタル教科書の使い方というのはあると思いますので。今、デジタル教科書のワーキンググループが議論し、また文科大臣の発言も承知していますけども、社会科として紙媒体とデジタルの教科書の関係性について考えなくていいのかというのがまず第一点。
それから第二点は、10ページ以降で小中学校の融合、中学校の融合の問題が出てきていますけども、今回の資料では中学校の3年の初めくらいにフィールドワークを地理と歴史で一緒にやるという内容についてはふれていないので、それについてはどうなっているかということ、以上二点です。
【髙見主任教育企画調整官】 事務局でございます。二点目の件につきましては、このあと議題の3のほうで取りまとめ案ということで提示しておりますが、その中でまさにフィールドワークの内容については記載しているところでございまして、後ほどまた詳しく説明したいと思います。よろしくお願いします。
【土井主査】 井田委員、よろしいですか。
【井田委員】 はい、結構です。
【土井主査】 それでは山田圭一委員、お願いいたします。
【山田(圭)委員】 それぞれの論点でお聞きしたいことがあって、まず最初の内容の精選のほうの話に関して、基本的な方向性は賛成なんですけど、他方で現代に即したいろんな課題というのでたくさん列挙されていたものがあって、それを入れていくとむしろ内容が増えていくという話だと思うんですよね。
お聞きしたいのは、内容の精選の目的をどこに置いているのかというのを確認したくて。つまり内容を精選した結果、もっとプラクティカルな対話とか、そういうところに時間を使うということを目的としているのか、それとも現在の内容の重複しているところを整理して、その整理して空いたところに新しい内容を加えていくという、丸2で挙げられていることというのは、これ全部入れようと思ったらかなり大変だと思うんですけども、その内容を入れるために既存の内容を減らしていくという話なのか、どちらの方向なのかというのを確認したかったというのが一つ目です。
もう一つの高次の資質・能力のほうで、今回改めて全部見させていただいて、ちょっと書きぶりがそれぞれ小学校と中学校の歴史地理がちょっと特殊な書き方をしている気がしていて、小学校と、あと中学校の公民は最終的には「何々を理解する」という言い方になっているんですよね。生活と地域の地理との関わりを理解するとか、その前に「何々することを通じて」。例えば中学校のほうは、全部「ことを理解する」ということで、何々であることを理解する、何々であることを理解するということが列挙されていて、それだと私としては、ちょっと知識の話とどう違うんだろうというのがあんまり分からなくて。むしろ小学校とか中学校の公民の書き方は、防災について理解するというときに、その理解をどういう理解をするかというと「何々を理解することを通じて理解する」という書き方に、ほかのところはなっていたと思うんですね。
地理的環境と人々の生活との関わりを理解するという言い方で終わっていて、要は何を理解しなければいけないのかというのが最後に一つにまとまっているので、小学校の書き方のほうがわかりやすいと私は思っていて、中学校だとこの列挙されていることが全部並んでいて、要するに何を理解しなければいけないのかというのがちょっと分かりづらいという気がしたんですよね。
【土井主査】 地理的分野の最初のページを示せばよろしいでしょうか。22ページになります。
【山田(圭)委員】 そうですね。これだと世界の地域構成の概略を理解するという、こういう書き方だと、要するに世界の地域構成を理解するというのがここでのポイント、中核的な理解なんだなというのが分かって、その理解を深めるためにどういうことを理解しなければいけないのかというのは、その前に並んでいるという、そういう構造になっているのかなと私は理解したので、これだから中学校なんですかね。中学校の中でも書き方が変わっているということなのかな。
要は何々を理解するみたいな形で最後にまとめてもらったほうが、何をそこのところで中核的に理解しなければいけないのかというのがすごく分かりやすくなるので、最後に「ことを理解する」みたいなのを並べて終わるよりは、そちらのまとめ方のほうがいいんじゃないかというふうに思ったという、これは意見になります。以上です。
【土井主査】 多分、地理を少し修正していただいているんですね。
【髙見主任教育企画調整官】 失礼しました。おそらく先生にお送りしていた資料から若干また修正が入ってしまったので、ページ数などがずれてしまったかもしれません。大変失礼いたしました。
それから一点目の質問のところでございますけれども、今回の精選の目的ということでございますが、まさに山田委員がおっしゃっていただいたように、より網羅的な知識の理解から本質的な学び、あるいは探究的な学びをしっかりやっていく、そのための精選ということもございます。それから時代の進展に伴って新たな事項を取り込んでいく中で、当然全体の総量自体はやはり単純に増やしていくわけにいかないので、そういった意味で精選を図っていく必要があるということもあるかと思っております。
また、これは社会科に限らず全体的な話でありますけども、今回調整授業時数制度ですとか、あるいは高等学校の教育課程柔軟化という話もある中で、より柔軟な教育課程に対応できるような形での精選という観点もあるかというふうに思っております。
なお、今ここには書かれている右側の丸1、丸2の部分でございますが、これはあくまでも視点でございますし、すでに告示あるいは解説等で書かれているものもございますので、これがすべて今回新たに入るというわけではないということも、念のため申し添えておきます。
【土井主査】 それでは、桑原委員お願いいたします。
【桑原委員】 ちょっと細かいところになるかもしれないんですけれども、高等学校の内容の整理のところで、上位の概念への統合、課題の統合ということで、統合という形で整理をされようとしているんですけれども、これはもちろん大事なことではあるんですが、結局タイトルというか名称を統合しても、中身としては残ってしまって、あまり実質的な精選に繋がらないというのが従来もあったのではないかというふうな気がしております。
そういう意味では、こうやって統合するにあたって、そのものを捉える視点であるとか、あるいは構造ですね、時代を捉える構造であるとか、そういったものをどう変えていくのかということについても、あわせて示していかないと、なかなか実質的な精選に繋がっていかないのではないかと思いますので、またその点ご検討いただけたらと思います。
【土井主査】 高次の資質・能力をどう生かして、最終的に教科書に落としていくかということになろうと思いますので、重要なご指摘かと思います。
それでは、田中委員お願いいたします。
【田中委員】 議題の一点目の今映していただいているページについての質問なんですけれども、右側の括弧3、具体的な改善の方向性というところについて、この丸1と丸2の区別というのはどのような観点から区分けされているのでしょうか。例示ということなので、いろいろ入っているということなのかなとも思いますけれども、ちょっとどちらの項目にもグローバルな問題と国内の問題と両方関わるような事柄が入っているような気がしましたので、ちょっとその区分けが気になるところです。
特に丸2のほうに分類していただいている視点の例の中では、もちろん日本の問題なんですけれども、それが国際社会と強く関わっているようなものもある気がしまして、特に最後のあたりのアイヌとか人権関係の問題なんかは、これはもちろん日本の中の問題であると同時に国際人権との関わりもありますので、それを単に日本国内の問題として処理するというのがどの程度適切なのかなということに疑問を感じました。
一定の区分とか分類は必要だとは思うんですけれども、あえて切り離しを強調するような形で書くのがどうなのかなという気がしましたので、その趣旨での質問です。よろしくお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 この区分については、先ほどおっしゃっていただいたように、何かしら分類する考え方があったほうが全体の構造が見えやすいかなと思ってこういった形で区分しておりますが、先ほどご指摘いただいたように必ずしも、例えばこの下の丸2の部分がグローバルに全く関係ないとか、そういった趣旨で作っているものでございません。どちらかに区分とすれば主たる視点としてはこちらに分類されるんじゃないかと、そういった考え方でやっておりますので、このあたりの分類の仕方も、もし何かほかにいいアイデアがあればぜひご教示いただきたいと思いますし、また実際にこれ学習指導に落とし込んでいく過程では、こういった視点というのは実際に今の現行の学習指導をベースにした形で、その構造の中に取り込まれていくのかなというふうに考えているところでございます。
【土井主査】 人権関係はご指摘のように国際人権の問題もありますので、必ずしも国内の問題ではないですが、ここのところは、今次の学習指導要領の改訂以降に、日本で法制度や政府の行為によって新しく定められたもの等への対応という形で整理していただいているだけだろうと思います。整理の仕方はどうしても便宜的なところも出てきますので、少し考えさせていただきます。
それでは、額田委員お願いいたします。
【額田委員】 今の4ページの、内容の在り方というところの視点というところで、今までも入っていたものもあり、さらに加えるものもあるということでしたけれども、ここにあげている黒ポツのものはすべて入れるというような理解でよろしいんでしょうかということが一つ質問です。
それからもう一つ、後ろのほうですけれども、高次の資質・能力の38ページでいいですか。中学校の公民的分野というところで、括弧1の知識および技能に関する統合的な理解、それからその下の知識および技能というところですけれども、憲法が果たす意義ということをきちんと理解した上で基本原理を理解するということになっていますけれども、その知識および技能のアというところが、人間の尊重についての考え方を基本的人権を中心に深め、法の意義となっている、ちょっと文章がわかりにくいなと思ったんですけれども、憲法が果たす意義というところからすると、やっぱり立憲主義というのを入れていただきたいなということが意見です。
【嶋田学校教育官】 教育課程課の嶋田でございますけれども、今ほど質問いただきましたこの4ページ目の内容についてすべて盛り込むのかということでございますけれども、先ほど髙見のほうからもご説明させていただきましたが、すでに学習指導要領に書いているものもございますので、すべて入れるというよりかは、充実させるものとか見直しするものとかも含まれている中での項目になっているということをご理解いただければなというふうに考えているところでございます。私からの説明は以上でございます。
【土井主査】 項目によっては、今ご説明のありましたように、すでに教科書の中に入っているものもかなりあります。ただ、それをもう少し一定の方向で充実させたほうがいいのではないかというご意見もありますし、それから前回の改訂以降に新しく定められた法律、こういう系統は新しく入れるということになろうかと思いますので、項目ごとによって少し充実の程度、やり方が違うというところはご理解いただければと思います。
立憲主義の点についてはご意見を拝受いたしました。
それでは、引き続いて唐木委員お願いいたします。
【唐木委員】 私は教科書について二点を述べたいと思います。
一つ目は4ページのところに、先ほどから出ている具体的な改善の方向性とあって、これはみなさんご指摘していることですけれども、やっぱりこれだけの内容を入れるとカリキュラムオーバーロードに歯止めがかからなくなるのは明らかかなというふうに思っています。
このほかにも、ここには明確に書いていないこととして、例えば主権者教育とかも入ってきますし、フィールドワークをはじめとする分野横断も入ってくるので、ここに書いていない以上のものがどんどん入ってきたときに、もっと明確に何かを減らすということを言わない限り、教科書の分量を考えるのであれば無理だろうということです。時間数の問題も当然ありますので、このあとおそらく時間数の問題というのはどこかで出てくるんだろうとは思いますけれども、明らかにカリキュラムオーバーロードを押し進めるふうにも見えるので、もっと明確に減らすものがあれば、ここを減らしますというふうに言わない限り、ちょっと難しいのではないかというのが一つ目です。
もう一つは、教科書の分量だけで議論するのが果たして適切なのかというのが、すごく気になるところです。3ページです。一番上に五十年前と比較して増えているという話で、分量が増えているというところは記述量ですけれども、五十年前の教科書と比較して増えているとしても、増えているのが本当に内容、教育内容だけなのか、網羅的な知識だけなのかというふうに思ったときに、私は個人的にはそうではないだろうというふうに思っていて。現状、教科書で増えている部分は、この間ずっと議論してきた、例えば近年であれば主体的・対話的で深い学びとか、見方・考え方とか、選択・判断とか、探究的な学びとか、社会に見られる課題とか、どちらかというと学問的な教育内容、網羅的な知識よりも、学習方法、指導法みたいなところで良い学びを引き起こすために付け加えられたものが非常に多いだろうというふうに思います。ですから、単純に分量だけを比較して網羅的な知識みたいなところに紐付けるのはちょっと危険じゃないかなというふうに思います。もう少し立体的に、複雑なものだと教科書は思っていますので、丁寧に説明をした上で教科書を進めていかないとならないんじゃないのかなというふうには非常に強く思っているということです。
5ページの左のところに、「一方で児童生徒の深い学びを実現していくためには構造的に示す指標がある」と書いてあるようなところも、多少「知識だけ、網羅的なところだけじゃないんですよ」というふうに言っているのかなというふうにも見えますし、その下のほうの高次の資質・能力を活用するにあたり、個別的な事象を整理する工夫などを行い、云々というふうに書いてあったりするので、知識の網羅的というところ以上のことは配慮されてここを書かれているのかなというふうに思いますが、それにしてもやっぱり分量だけで、量だけで測るのは危険な気がするので、もう少し複雑に教科書はなっていると思いますので、検討いただければというふうに思います。私からは以上です。
【土井主査】 教科書の点は、ご指摘のとおりの面があって、教科書の使い方の問題とも絡んできますので、知識が一方的に増大していくというところはチェックしないといけないかもしれませんが、学び方が変わってきている点に応じて、それに即した記述の仕方というのもあるところですので、その辺は丁寧に記述できればと思います。
それでは、引き続いて小林委員お願いいたします。
【小林委員】 小林でございます。よろしくお願いします。私からは二点です。
一点目は、5ページのところの教科書における内容の精選の在り方というところでございます。やはり学校現場としては、教科書が少しずつ年を経るごとに厚くなっている、それに伴って教える内容が増えているということは、非常に大きな課題としてございます。それに対して、今回文科省のほうで教科書等の用語の精選について一定の方針を示すということで、これは高く評価していきたいと思います。
精選の方法として、高次の資質・能力を踏まえた内容の精選と学習上の課題の充実というところで、特に学習上の課題の充実で、社会科等における教科書の在り方を大きく転換するという記述がございます。ここは大変期待しているところであります。
一方で、なぜ網羅的に教えているかということの一つの原因としては、これは私個人が思っていることなんですけれども、高校入試問題や大学入試問題への対応ということがあると思います。したがって、この高校入試問題や大学入試問題の改善を、今までも図ってきましたけれども、より一層の改善が求められるかなというふうに思っております。これが一点目でございます。
二点目です。24ページの括弧3の世界の諸地域のところの知識および技能に関する統合的な理解ですが、これを拝見すると、世界の諸地域というよりは単元名を変更して「世界に見られる地球的課題」というほうが正しいのかなというふうに思えてしまいます。26ページの日本の諸地域の記述と比べてみても、私はこの日本の諸地域の記述はよいなと思っております。これを参考にして、もう少し世界の諸地域という単元名に即した記述の仕方になるとよいのではないかなと思いました。私からは以上でございます。
【土井主査】 それでは引き続きまして、鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 先ほど来から出ている教科書のことについては、いろいろな説明が必要かと思っています。学習指導要領で示していることに加えて、教科書会社として内容を増やしている部分があるので、生徒、保護者、それから教員も、教科書の内容を全部やることが学習指導要領の内容を押さえたことだというように、教科書のほうが先に来ているのが現状だと思っています。すごく乱暴な言い方をすれば、教科書の内容を全部やっていなくても大丈夫だとか、学習指導要領の内容がちゃんと押さえられていれば大丈夫だというようなメッセージをもっと伝わるような形になったら良いと思っています。
それとは別に、4ページのところで、中学校の二つ目の項目、政治社会史と文化史の一体化による整理というところです。その説明文の中にある、一体的に扱いながら各時代の特色を理解できるように整理するという部分について、一体的に扱うというところのイメージが、学習指導要領の中でどう示せるのかという答えはないんですけれども、もう少し工夫しても良いかと思っています。あとに出てくる高次の資質・能力の説明を見ても、やはり文化のところ、文化史のところだけ、文化的な項目だけが最後にまとまっているような感じがあります。一体的に扱うということになると、もう少し単元の指導計画の考え方がガラッと変わるのではないかと思います。それを指導者側の方で工夫してほしいということなのか、学習指導要領の中にもそれが見えるように書いていくのか、その辺の検討が必要かと思いました。
それから、高次の資質・能力のところの内容です。特に中学校ですが、このあと議題の3のほうにも出てきますけれども、分野横断型の単元を考えているということを前提にしたときに、今回示されている高次の資質・能力の案の中では、例えば地理の地域調査の部分の内容はここでは含んでいないという読み方をして良いのかどうか、もうすでにそれを想定して内容が減らされているのかどうか、これは歴史にもつながってきますけれども、そういう前提で高次の資質・能力の案が作られているのかどうか、そこだけは確認したいと思います。
【土井主査】 それでは、分野横断型の部分が、現在の案でどう取り扱われているかをご説明いただけますか。
【嶋田学校教育官】 教育課程課の嶋田でございますけれども、今回お示ししているものを基本的には現行ベースに基づいてお示しさせていただいているところがございますので、今お示しさせていただいているものの中には、分野横断の部分がまだお示しできていないというような状況になっているところでございます。
【土井主査】 それでは引き続きまして、梅津委員お願いいたします。
【梅津主査代理】 私は、ページで言いますと31ページの中学校歴史的分野の高次の資質・能力のページを例に挙げながら、今回の学習指導要領改訂の一つの目玉である高次の資質・能力を焦点化して、それを表形式で表すことによって実現するのだというこの方向性について、そしてそれがあわせて内容の精選に繋がっていくのだというこのメッセージに対して、それが本当に今現在の段階で伝わりきるであろうかという問題意識で意見を述べたいと思います。
私自身は、山田委員や桑原委員の意見に触発されながら、メタレベルで考えてみたんですけれども、この表形式で表されているものは、歴史的分野について言えば、背景にある学問的基盤も踏まえて、歴史的事象に関する知識は、概念的な知識と言われるものと個別的な知識と言われるものをそうそう簡単に分離できないという性格があると思っています。
すなわち、特定の「対象」「時間」「空間」の限定を受ける歴史的事象に関する知識は、一定の知識の概括は行われるけれども、それは各時代等の個別の事象を対象として抽出される解釈であるという前提から、歴史的知識というのは基本的に一般化された概念あるいは概念的知識と呼ばれるものと個別的知識と呼ばれるものの分離して示すことが、実はそう簡単ではないと。
そうなったときに、例えば31ページを例に申し上げると、この表は、授業づくりにおいて先生方にとっては教育内容になるような知識の構造を表しているものなのか、単に構文形式を表しているものなのかが不明確なので、いつも「この高次の資質・能力のうち、統合的理解としてブルーのところに書き込まれる内容はホワイトで書かれている知識構成と階層として結んで見たときに妥当なのか」という議論がやっぱり残るんだろうと思うんですね。
現在、平成29年に告示された学習指導要領がそうであるように、この31ページを例に取りますと、知識・技能に関する統合的な理解の白い部分に書かれているところがあるんですけれども、単元としての授業づくりを進めましょうというメッセージの下で、例えば「(ア)世界の動きと統一事業」というのがありますけれども、丸1から丸3などを題材に近世社会の基礎が作られたことを理解するとの記述は、ここは小項目であって、ここを内容のひとまとまり、すなわち単元として作るというのが現在の学習指導要領の一つの授業改善のメッセージでしたので、歴史的分野におけるいわゆる概念とか概念的知識と言われるものは、「近世社会の基礎」を、(イ)であれば「幕府と藩による支配」を捉えてその概念を理解できているかということが重要であって、歴史学習で扱ういわゆる概念と呼ばれるものは、(ア)(イ)(ウ)の「~を題材に、~を理解する」という構文において、「理解する」の前に出ているものがそれなんですね。
結局中心的な概念はそこに表れているけれども、じゃあ「統合的な理解」の内容となるブルーの部分の記述は何かというと、どうしても(ア)(イ)(ウ)の小項目での概念をつなぐ形でまとめた構文としてしか示しようがないという状況になっていると思います。実際歴史は特に、地理的分野もそのように思われるんですけれども、ブルーと白の部分というのは、本当の意味での概念的知識と個別的知識という意味での知識の構造を表現しているというよりも、形式的な構文の構造になっているというところがどうしてもあって、これまでの我々の議論も、どちらかというとそこのところをちゃんぽんにしたまんま議論してきて、「できている、いやできてない」、「ブルーのところが本当に高次の統合的な理解に繋がるものになるのか」というある意味結論の見えない議論を繰り返してきたのではないかと思っています。
そうすると、今は間もなくWGとしての「取りまとめ」をしなければならない段階にあって、この表形式で表されているものは形式として授業づくりにおいて重要な側面があると思うんですね。つまり、高次のものと個別のものを峻別して表で表したことによって、先生方にとっては「この形式だけでメッセージとして内容の構造化を図らねばならないのだ」、「網羅的な学習であってはいけないのだ」というメッセージは伝わるというふうに思います。しかし、タテの知識の系統としてみると、さっき述べたように知識の構造は実際には小項目レベルになるこの白い部分の「~を題材に、歴史的な概念を理解する」というところに実質的な知識の構造が表れているのに、「統合的な理解」と「総合的な発揮」の横のラインから見てみると、今度は「諸事象を相互に関連付けるなどして、何々について」というところの「何々」の部分には、本当は習得させるべき時代の特質を示す、例えば「近世社会の基礎」とか、「幕藩体制」とかといった概念が入らなければならないのに、この部分はタイトルバックに戻ってしまっていて、包括度の高いものとして書かれています。だから、縦から見ても横から見てもどうしても一体的なものとして読みにくい、形式的な構文の構造と知識の構造がちゃんぽんになって、縦の構造・横の関係が実は読みにくいものになっているので、ここのところの整頓を、議論する時間は乏しいかもしれませんけれども、できる限り行いまして、実を取るということも大切じゃないかと思われます。
つまり、29年版の要領のように「近世社会の基礎」、「幕藩体制による支配」というところをきちっと歴史における概念として理解させて、丸1、丸2、丸3は個別事象を網羅的に教える対象を示しているのではなくて、あくまで焦点化された事例を抽出する題材なんだという、そこらあたりのところを、その役割を担うのは解説かもしれませんけれども、しっかり整理・整頓して明確なメッセージを送り出すということをしなければならないと思っています。どうしても形式的な構文の構造の部分と実質的な知識の構造の部分を分けることなく曖昧な議論をずっと続けている状況になっているのではないかというふうに思った次第です。表形式で示された「統合的な理解」と「総合的な発揮」の関係について、少し引いた視点から意見として述べさせていただきます。
【土井主査】 重要なご指摘かと思います。統合とか総合をどういう観点、視点から行うかが問題で、歴史はどうしても時間軸が出てきますし、地理は空間が出てきますし、公民は制度が関わってきますので、それぞれの分野で違いが出てくるのは仕方がないんですけれども、それぞれの分野の中で何に着眼して統合していくのか、総合していくのかという点を、今後詰めるところは詰めていければよいだろうと思います。
それでは、中山委員お願いいたします。
【中山委員】 4ページお願いします。
右側の丸2のところ、社会構造や国内情勢の変化に関する視点のところで、もう一つ加えていただきたいと思うのは、その社会構造の中で、今日本だけじゃなく世界中で外国人が果たす役割が年々大きくなってきていると思います。
ですので、外国人の存在が担う役割みたいな形で、小中高で扱っていただければと思います。というのは、外国人労働者とか技能実習生、移民という言葉が適切か分かりませんけれども、そこが日本社会にも大きく占めている現状で、それがいろんなところでプラスにもちょっとネガティブな意見もある中で、大事なポイントかなと思うので、できれば入れていただきたい。例ですが、やっぱりここに示されることで意味は大きいと思っております。
もう一点目、24ページになります。知識及び技能のあたりで、このアジア州からオセアニア州まで掲げられていて、この枠組みは問題ないですけれども、今起こっている問題の中で島嶼部への注目は大きいと思っているんです。1、2、3、4の問題も島嶼部を含んでいる中で、どうしても陸地とか大陸の方に注目が当たっていて、島嶼部にある基地の問題、海洋資源の問題、環境の問題とか、もう少しそこに注目を当てた方が今後地球規模で起こることで視野が広がるかと思うので、できれば4と5の間に島嶼部の問題みたいなところを入れていただけるといいと思っております。
【土井主査】 それでは髙野委員お願いいたします。
【髙野委員】 5ページをお願いします。教科書における内容の精選の在り方ですけれども、先ほど小林委員のお話にもありましたように、ここに書かれている内容、現場としては非常に期待するものがあります。特に高次の資質・能力を踏まえた内容の精選、この点については具体的にどのような形で出てくるか、次回あたりに具体的な例が示されてくるかと思いますけれども、楽しみにしております。 また、それに関連して右側の学習上の課題、問いの充実のところで入試の話が出てきています。ここに高校入試というような等で書かれていますけれども、ぜひ文言として大学入試という言葉を入れていただければと思います。どうしても大学入試の関連が現場としてはかなり出てくるというところもありますので、ぜひ高校入試、大学入試の改善ということも促すという意味でもぜひ明記していただければと思います。
【土井主査】 それでは永田委員お願いいたします。
【永田委員】 私のほうから一点、7ページをお願いできればと思います。7ページの、今出ている右の欄の下から少し行ったところ、小学校についてというところなのですけれども、小学校については知識を統合的に理解した結果の姿を明記するなど、より構造化を意識してブラッシュアップを図るということで、とてもいい方向だと思うのですけれども、それで具体的にどうしていくかというときに、9ページを見せていただければと思います。
例えば、9ページの知識及び技能に関する統合的な理解の文末なのですけれども、例えばこれを「理解する」ではなくて「理解している」とかにするイメージなのか。あと統合的な理解などの部分ということだったので、例えば右のほうの総合的な発揮の文末を「表現することができている」ような感じにするのか、もしくは、例えばそこはやはり文科省のこれまでの表現というのが大事だと思うので、そこはそんないじらないで、例えばこの青と白の括弧1、括弧2の下のほうに、例えばその姿というのをまた別で明記するのかという考え方があると思うのですけど、多分また別に明記するというのは少し趣旨から外れてくるかなと思うので、これから我々が検討する中で、残り時間少ない中で、例えば文末を変えるようなイメージになるのか、それとも文章の中に姿が見えるような形にするという、特にこれは小学校だけだと思うのですけれども、少しそのイメージがもう少し分かる部分があればちょっと教えていただきたいということです。
あと最後もう一点は、例えば文章をいじったりとか文章を加筆するのではなくて、先ほどから少し議論に出ている中で言えば、この表だけでいくのか、それともこの表は表で大事にしながらも別途これを図化したようなもので構造化をもっと分かりやすくするみたいな、例えば手立てもあり得るのかなのですけど,これは質問のような感じになってしまいますので、そのへんで今分かるようなことがあれば教えていただければと思って発言をしました。よろしくお願いします。
【土井主査】 一つ目の質問の点で、知識を統合的に理解した結果の姿を明記するという趣旨は、統合的な理解のところの文末の表現を変えるのか、それともそこは維持するのかというご質問ですけれども、その点はいかがですか。
【嶋田学校教育官】 教育課程課の嶋田でございますけれども、先ほど先生からご提案いただいた「理解している」とか「表現することができている」という文末にしてしまうと、それは評価規準かのようにも読めてきてしまいますので、基本的に高次の資質・能力自体は評価するものではないというふうにこちらのほうは今定義付けさせていただいているところもございますので、ちょっとここの高次の資質・能力の文言で何か補うというのはなかなか難しいのかなと。ただ一方で、学習指導要領だけで政府の考え方を示すわけではございませんので、今後解説等を書いていく中で、そういった趣旨みたいなものが分かるよう、見えるような形で解説のほうで記述していくということも考えられるのかなというふうに考えているところでございます。
【土井主査】 それでは引き続きまして、大村委員お願いいたします。
【大村委員】 まずは貴重な資料、丁寧な資料を作っていただいてありがとうございました。私からは永田委員のご発言とも関わるんですが、高次の資質・能力に関わって、今後学習指導要領の作成や解説の作成がなされていく上で留意が必要ではないかということについて意見を述べさせていただきます。
まず、統合的な理解や総合的な発揮はとても重要であるということを前提の上でお話をさせていただきますが、その上で各教科の統合的な理解とか総合的な発揮には特質というものがあると思っていて、さらに発達段階においても特質があると思います。そのことについて私も資料9ページを例に挙げます。
小学校社会科は元々こだわって授業作りをされてきた方々は、例えば学習指導案において断片的な知識ではなくて、本単元における中心概念を明記したりするということはたくさん実践がなされてきました。資料で言うと、例えば白枠の括弧1の中のポツの二番目に「市の地形や土地利用」というふうに箇条書きがされていますが、例えば「ここは田んぼが多い」とか「ここは商店が多い」とかいう断片的な知識ではなくて、これを元に「自然条件や活用条件によって場所によって違いがあるのだ」という統合的な理解とか中心的な概念の一つを獲得していくということが、優れた実践ではなされてきていた。
つまり、括弧1の内容の中で統合的な理解というものを、こだわっている人は目指してきたという経緯があります。それなのに、統合、統合ということばかりが先に立って、資料9ページで言えば括弧1と括弧2ですね。括弧2は現行では括弧4なんですけど、これを合わせることで逆に認識の混乱や単元の作りにくさが生じないかということです。
ここで書かれている括弧2、白枠の中の括弧2は、歴史的な見方・考え方、時間による変化として、時間の経過とともに地理的環境や人々の生活も移り変わってきたという統合的な理解がなされるはずです。つまり、三年生で現在の地域を十分見た上で、歴史的、時間的による変化的に見る単元が括弧4としてあったはずなんです。これを本当に合体させることが単元の作りやすさや深い学びに繋がるのか、発達段階や統合の内実も踏まえて検討が必要ではないかと思います。
つまり、総じて統合が大切だということは何も否定しないんだけど、なんでもまとめて統合することが大事みたいになってしまうと、逆に認識の混乱や単元の作りにくさが生まれてくることになる可能性もあると思います。統合することについては、他教科と同様に内容をまとめることができれば、できないこともあるのではないかなと思うので、そのあたりを留意して今後の作成をしていく必要があるのだろうなというふうに感じています。以上になります。
【土井主査】 貴重なご指摘ありがとうございます。それでは、引き続きまして、山田育穂委員、お願いいたします。
【山田(育)委員】 私は、この5ページの「図や資料の活用の在り方の見直し」というところについて意見を述べさせていただければというふうに思います。
この部分、デジタル学習基盤の整備により、児童生徒が自ら情報を収集できる環境であることを踏まえて、教科書の資料の在り方を見直すということなのですが、この際にはぜひ、こうしたインターネット上等で手に入る資料のポジティブな側面だけではなくて、ネガティブな側面も考慮いただくような書き方、検討の方向を示していただければというふうに思います。
つまり、たくさんの資料が手に入る状況でそれを活用していこうということはこれからの流れとして当然のことかと思いますが、やはりそうした資料は玉石混合で必ずしも信頼できるものだけではないということを、子供たちが理解することが重要と考えます。そうした中では、教科書に載っている資料というのは、質の高い資料、信頼性の高い資料のお手本のような役割も果たしていくと思います。そういった意味でも教科書の資料というものの役割を検討いただければというふうに思います。
【土井主査】 資料の取り扱い方の問題点については、後半の取りまとめのほうにかなり書かれていますので、教科書の資料が比較的信頼度が高いというような点、少し工夫して書き込めれば考えたいと思います。
それでは、新保委員、お願いいたします。
【新保委員】 はい、四点申し上げます。意見でございます。
まず4ページの視点で丸二の社会構造や国内情勢の変化に関する視点のところでございますけども、そのポツの一つ目、グローバル化の進展に伴う地域社会の変化を身近な事象と結びつけて捉える視点、これは本当に大事なところだと思います。これに伴って、このことについては、いろんな学年、いろんな学習の中で少しずつ取り上げていく、そういう視点が大事だよということでございますが。五年生の我が国の産業の中に、この観光というところを、増えてしまうんですけどもそういう視点を入れるべきでないかなと。自動車産業に続く外貨を獲得する大きな、我が国にとって極めて重要な産業でありますし、また地域社会に非常にいろんな影響がある。そこを小学校のうちから少しずつ学んでいくというのは、重要なことではないかなと思いました。「観光」という言葉、考え方、これをちょっと入れたほうがいいんじゃないかということでございます。
二点目ですが、ポツの五つ目、自衛隊という言葉が出ております。このへんも踏み込んだ記述だと思いますが、これやっぱり重要でありますし、避けて通れないことかなというふうに思います。この具体化については、より慎重な扱いが必要と思いますが、ぜひ進めていってはどうかなというふうに思いました。
三点目でございます。5ページの教科書における内容の精選の在り方。この右側の「学習上の課題、問いの充実」となっております。これとても大事なことだと思いまして、精選ということが、単に内容が減るということは精選じゃなくて、学習上の課題、問いを充実することが精選に繋がるんだという、そういう考え方かなというふうに思います。これは大事な視点だと思います。
さらに踏み込んで、この黒ポツの上の一番目なんですけども、これ中学校のことかと思いますが、中学校だけに限らないですかね。「デジタル学習基盤も活用した定期試験における記述式問題の出題」、こういう具体的な踏み込み、そして高校入試等の改善という、これをどういうふうに学習指導要領の中に実際書き込んでいくかというのはこれから検討になると思いますが、こういう具体的なことが入ると、より分かりやすくなるのではないかな。非常に重要なことを提起されているなと思いました。こういう具体的なことをしっかり書く、そのことが最終的に精選に繋がるんだということをしっかり書いていくべきだなと思います。
それに繋がって、ここを私、素晴らしいなと思ったんですが、その下に歴史総合の解説における記載ということで具体例が出ていますね。「あなたは第一次世界大戦が長期戦となり、未曾有の被害が発生したことについて、その最も大きな要因は何だと考えるか。」こういう問いを持って学ぶことが精選にも繋がるし、探究的な学びになっていくんだという、こういうことを、こういうような具体例が小学校の段階からいくつか入っていくと、先生方の社会科に対する授業イメージ、相当変わるだろうなと思います。ぜひ進めていただきたいと思います。
あと一点、四点目ですが、14ページ。ここ、災害防災のことが入っております。この下の白いところなんですけども、ポツの二つ目、「発生時には県や市、関係機関と」、これ、多分この学年のあれから言って県や市とかってなっていると思うんですけども、ここは本当は「国」というのも入らないんですかね。大きな災害であればあるほど、地域の自治体や地域の皆さんも当然なんですけども、やっぱり国が果たす役割が非常に大きくて。実際、国土交通省とか、あるいは当然ながら自衛隊とか、国がこの災害を救う、対処するということが当然あるわけですから、これの中に「国」が入っていないのは、何かちょっと違和感があるなと思いました。以上でございます。
【土井主査】 ご意見ありがとうございました。それでは板倉委員、お願いいたします。
【板倉委員】 6ページ目以降の高次の資質・能力の整理について二点あります。
一点目は構造化の仕方についてです。以前のものに比べて内容の枠組みに近い形で整理されていて、とても分かりやすくなったと思っています。今後、個別の資質・能力の整理が進んでいくと思うのですが、今のうちに確認したほうがよいと感じた点をお話しします。
高次の資質・能力を学校段階の縦のつながりで見たときに、思考力,判断力,表現力等について、小学校の個別の資質・能力の多くが「考え、表現する」と表記されていて、高次の資質・能力は「多角的に考え」となっています。中学校の地理的分野や公民的分野では先ほどとは逆に、個別の資質・能力では「多面的・多角的に考察し」となっていて、高次の資質・能力では「考察し、表現する」となっています。歴史的分野はほかの分野と整理の仕方が違う都合かとは思うのですが、結果として個別の資質・能力と高次の資質・能力ともに「多面的・多角的に考察し」となっています。意図があってこうなっているのは承知なのですが、構造化の仕方にばらつきが出ているようにも見えてしまうので、各学校段階の先生方が系統性、体系性を意識して授業作りができるようにするのであれば、今の時点でその視点についても共通理解があるとよいのかなと思いました。
二点目は高次の資質・能力の中で「〇〇などの」という形で一つだけ具体例を示す際の現場への伝わり方についてです。具体例を挙げると、資料14ページの自然災害に関する高次の資質・能力を見たときに、「市役所などの」と始まっているのですが、個別の資質・能力や内容の取り扱いを整理する中で、県庁や市役所の働きを中心に扱うことを示すことになると思うので、高次の資質・能力が知識を統合的に理解した結果の姿だとすると、ここに「県庁などの」とするのと「市役所などの」とするのでは、現場への印象は大きく変わると思っています。「私たちの生活と都道府県」と整理していることや、県庁の働きが捉えにくいという現場での課題を踏まえると、ここについては「県庁などの」としてもよいと思います。このように複数の具体的な事例を一つに絞って示す箇所がいくつかあるので、ほかの部分についても同様に現場への伝わり方について再度確認が必要なのかなと感じました。
【土井主査】 それでは引き続きまして、吉水委員、お願いいたします。
【𠮷水委員】 まず最初は「内容等の在り方」の4ページをお願いしたいと思います。左側の丸2、中学校のポツがありまして、この例の中に「七つの地域について学習することとしている」と記載されております。現行学習指導要領でも「七つ」とは具体的には定めていないと思いますので、「いくつかに区分した地域」となりますでしょうか。ご確認いただければと思います。実質教科書では、実態としては七つの地域を学習するということになっておりますけれども、記載としてこれでいいかということをご確認いただければと思います。これが一つ目です。
二つ目は「高次の資質・能力について」ということで、22ページをお願いします。中学校の地理的分野ですけれども、22ページのところ、A(1)「世界の地域構成」の統合的な理解や総合的な発揮については、個別の資質・能力との書き分けがまだうまくいっていないんじゃないかなと思っております。やや高次の資質・能力のほうが具体的なというか細かい書きぶりになっているかなということで、一段抽象化したほうがいいんじゃないかなと思います。同じことが25ページのBの一のところにも言えるかと思います。
一方で24、26、27ページでは、地球的課題とか持続可能性とか世界とのつながりというような抽象的な概念が入っていますので、当然この高次の資質・能力のところは先ほどの22ページや25ページに比べると抽象度が上がるかなと思います。内容が違いますので、ここまで抽象化する必要はないかと思うんですけれども、22ページや25ページのところをもう少し考えていく必要があるんじゃないかなということです。
それともう一つ、先ほど大村委員からご意見があったことと若干かぶるかもしれませんけれども、視点や方法ですね。いくつか地理でも今回新たに提案をしているところがありますけれども、この段階性がやや見えにくいかなというような感じがしておりまして、思考がどう深まっていくのかということとも関係してきますので、その点をもう少し検討できたらと思います。
【土井主査】 統合的な理解あるいは総合的な発揮と具体的な部分との書き分けをどうするのかという点は、なかなか各分野それぞれ難しいところがあると思いますので、残り少なくなってきましたけれども、詰めていければと思います。
それでは石井英真委員、お願いいたします。
【石井(英)委員】 はい、では限られた時間でありますので、もう言いたいことというかですけれども。まずここまで作業を進めてきて、改めてやはりどんな社会科にしていきたいのかという、そのへんのコンセプトを明確にしていく必要があると思うんですよね。それで言うと、小学校と中学校課題感は違うわけですけれども、活動教科でも物知り教科でもなくて、思考教科としてのちゃんと社会科として立ち上げていくというあたりなのかなと思います。
小学校と中学校の課題感の違いということはこれまでも申し上げてきました。初等と中等ですね、の課題感の違いということで言うと、やはり小学校は活動主義になりがちなところがあるというところですよね。それで中高に関してはある種網羅主義といいますか。だからそれで言うと、小学校段階においてはアクティブに分かっていくということの、「分かる」の中身をより明確にしていくということが課題になってくると思いますし、あるいは中等教育段階においては大きなかっこいい問いについて議論し、それを探究していく、そういうことが一つポイントになってくるのかなと思っています。
そういう観点で見たとき、ここまで話題に上っている例えばスライド9番を見たとき、一つ一つ初等と中等とでそれぞれ実は知識の構造というか、そういったものを踏まえて今回かなり提案がなされていると。さらに言うと、そこに単元作りとか授業作りの思考が埋め込まれているというふうに私は理解しています。
まさに先ほど大村委員もおっしゃったこととも関係するわけですけれども、やはり小学校の社会科において、様々なトピックといったもの、この地域を素材にしながら概念理解に繋げていく。だから事実と概念というのを分けて考えて、概念を理解していくということは大事にされてきたところではあるけれども、それをより多くの先生方のものにしていくということがポイントかなと思います。
それで言うと、実はこれ黒ポツのところとこういった着眼点からこれこれ理解するという形で、ある種事実までいかないですけどね。だからトピック的な題材的な視点みたいなものと、それを踏まえて右側の思考・判断・表現、この違いを考え、表現するみたいなことをすることによって、身近な地域や市の様子を大まかに理解すると。その「大まかに理解する」ということの中身が何かというふうなことで言うと、その一番上のところに統合的な理解で、変わってきたことに伴い生活も変わってきたということで、結局、上にあるような理解に繋がるような、この大まかに理解するってどういうことよという、その中身がこの上のところに示されると。これが括弧1、括弧2、それぞれこの統合的なということは二つを統合してということだけではなくて、数学とか見たら分かりますけど、要は関数だったら全部一緒だよねという形で一貫させるという意味があると思うんですね。
ですから、これ結局括弧1も括弧2も同じように、自然環境とか条件に伴って状況が変わっているんですということを様々捉えていく。だからそういうことを括弧1、括弧2、単元を通してやっていくということかなと思います。だから基本的に括弧1、括弧2が、これが小学校においては社会科の単元に相当して、そこでアクティブに分かっていくということを多分やっていく。その中でそのポイントですね、結局だから括弧1、括弧2、それぞれの単元においても結局のところ、自然条件とか社会条件に伴ってこういうふうに変わってきているんだな、違いがあるんだなということが、そこが最終的に理解されていればいいという、そういう立て付けになっているんじゃないかというふうに思います。
ですから、そのあたり、この表形式に込められた授業作りとか単元作りの思考みたいなものを改めて確認しておくってことが大事かなと思いますし、あとは中学校の歴史がだいぶ今回整理が進んだかなというふうに思っています。スライドで言うと29ページのほうを見せていただきますと、結局これはどうなっているかというと、「これこれを題材にこれこれを理解する」ということで、丸1、丸2がやっぱり事実的な知識みたいなものの桁になってくると。それに対していわゆる個別の概念ですよね。だからそういった、これまでやっぱりこの「分かる」ということに対応しますけれども、何とか理解するとあるわけですけれども。それで言いますと、結局それぞれ、さっきの近世の日本の資料のほうが分かりやすいかもしれませんね。先ほど議論になっていたところで言うと、要はそれぞれの(ア)、(イ)、(ウ)それぞれが多分個別単元になってくると思うんですけれども、丸1、丸2、丸3というこれが事実、これのもっともっと個別の出来事が事実ですけれども、そういったものを素材と題材にこれこれを理解すると。最終的に近世社会の基礎と、先ほどもありましたけれども、それを理解するということが単元の目標になってくると。そういうことがあるんですけれども、一貫して結局最終的にこの(エ)のところに「大観して表現する」ということがあることによって、より私の言葉で言うと「知っている」「できる」「分かる」「使える」の、この知識を総合して使いこなすというか、そういう思考がこの右側の思考・判断・表現のほうには組み入れられているわけですよね。
そうしますと、結局のところ(ア)、(イ)、(ウ)とそれぞれ別々にですけれども、一貫性を持って単元を組んできて、最終的にそれらを改めて「さあ、そしたら近世っていったい何なの。日本の近世の特徴って要は何なの」ということを大観して、それで統合的な理解、そこに迫っていくという、そういう流れなのかなというふうに思います。
ですから、そうすると結局「日本の近世って何なの」ではないですけれども、それはざっくりした問いになりますけれども、もっと細かい問いではなくて大きな問いが問えると。そういった単元を統合していくような、そういった問いを考えながら考えていくという、そういう授業展開も考えられるのかなというふうに思ったりいたします。
さらに言うと、この統合的な理解だけを例えば並べることによって、要は歴史認識がどういうふうに変化していくのかということが、それが見えるような形になっていくといいのかなと思います。先ほど梅津先生おっしゃったように、確かにこれ「(ア)、(イ)とかのところ、白のところは、特に知識・技能は知識の構造になっていると。それに対して多分この青のところの統合的な理解というのは、そういった知識の構造といったものを統合していくことによって、それでどういう社会認識に至るのかという、ここは認識内容が記述されているというふうに思うわけですよね。ですから、そこだけ見て、まさに社会認識がどういうふうに広がって深まっていくのかということが縦で見えるということがポイントになってくるのかなというふうに私自身は捉えました。
その上で、先ほどから出てきているように、やっぱり教科書の在り方、どう考えますかということで言いますと、唐木委員がおっしゃったように、私も特に小学校に関して言うと、何とかの学びみたいな活動内容とか学びのプロセスを入れ込みすぎてしまって分厚くなっているというふうに見ています。それよりもやっぱりずばり、教科書の薄いか厚いかということ、特に中高に関しては事項も多いので薄くなったほうがいいと思うんですけれども、本質は何かというと、教科書のコンセプトをどうするのかということだと思うんですね。
もうずばり何か思いつきみたいなことで言ってしまえば、中高とかだったらば大きな問いがあって、基本語彙というか、その基本事項みたいなものをリスト化するというか、ここぐらいまでということは、私はすごく重要な提案だと思っていますから。この基本語彙みたいなものと、それからやはり確かな記述といいますか、何か大きな問いがあって、それでそれを考えるための語彙とか、そういった知見があって、あとは「続きはウェブで」じゃないですけれども、様々デジタル教科書ですから、細かいところは自分で調べて、それで自分たちで理解の中身ではないですけれども、歴史認識であるとか社会認識というか、自分の考えを構築していくという形で、教科書の在り方みたいなものを一体どういうものとして考えるのかという、そういう提案があるといいのかなというふうに思いました。
すみません、長くなりましたが以上です。
【土井主査】 それでは杉山委員、お願いいたします。
【杉山委員】 今話題になりました、映っております歴史的分野のところについてです。これまで梅津委員、石井委員がこのあたりについて取り上げられましたので、重複するところは省きます。
なので、「これこれな理解」といったところは置いておいて、ちょっと内容に立ち入る部分についてです。今回、中学校のところは比較的具体的な名辞を復活させる方向になったということで、これは当初は抽象化していく方向にあったわけでしたが、高等学校との(理解度の)段階の差を考えれば、これはこれでいいのかなと私も思っております。
ただ、ちょっと気になりましたのは、まさに先ほどご指摘のあった概念的知識や概念的理解をするということと、個別的な部分との、いわば整理についてです。「国家」とか「文化」とか、こういった抽象度の高い概念がちょっと整理されていないところがあるのではないか。これはおそらく現行、およびこれまでの指導要領の書きぶりを引き継いでいるからとは思いますが、どこかで整理が必要ではないかというのがコメントです。
と申しますのは、例えば冒頭の29ページの最初のところですと、(イ)では「国家形成」とありますが、これは日本で国家と呼べる統治体が初めて出現して、以後、変遷していくということだと思いますけれども、(ウ)のところの「律令国家」は、当然ある段階(の国家)を指しているわけです。しかしやはり、「国家形成」と、そのあと「国家」とあると、これらの関係はが、これまでの丸暗記ならばともかく、概念的にきちんと整理しようとするとき、ちょっとレベルが違うものが出てきています。しかも、青いところと下のグレーのところだと、青いところでは「律令国家が形成」とあって、これは当然細かい部分を端折っていますが、いきなり「律令国家が形成」とあって、ここでは「国家形成」という言葉が青いところと白いところとで全然(概念の)レベルが違っています。そしてグレーのところ(「国家の形成」)もまた違う。特にこれから概念的な部分で歴史も抽象化する能力を獲得していこうということを考えたとき、混乱しないかなと気になりました。
同じように「文化」もです。この(ウ)のところの「文化の形成」というのは、もちろんそれ以前文化がなかったわけではないけれども、ここで明確に「文化」と呼べるようなものとして登場してきたということだと思いますが、次の30ページのところでは、「文化の変化」と、先ほども含めて仮ではありますが、やはりそうありまして、文化は常に変化し続けていくということが前提であるはずなのに、ここでだけ「変化」というのも、少し妙な感じがします。列島において文化が登場したという話と、その後での個別の文化の話とで、何か(概念の)高さが揃っていないように思いました。
これはおそらく、今回の資料には出ていませんが、高等学校の歴史総合でも「国際関係の変化」というのが、ちょっと割り込み感のある言い方になっていて、常に変化しているのに、どうしてここだけ「変化」と言うのだというところがあるわけですね。あるいは、世界史探究でも「諸地域の〇〇」というのがありますが、これも「交流」とか「変容」は常にしているのに、ある時期にだけ使っていて、やはりちょっと座りが悪い。ですので中学校のところでも仕方がないのかなとは思うのですけれど、やはり、普段の日本語で使う素朴な言葉ほどきちっと使い分けないと、出てくる言葉が同じ意味であると思ってしまうことになりかねないので、これまでの指導要領を引き継ぐだけでいいのかなということを少し疑問に思いまして、整理したほうが望ましいのではないかと感じた次第です。
【土井主査】 時間の関係もございますので、今挙手していただいている池委員、黒田委員、石井正広委員、山内委員までで一通り区切らせていただければと思います。それでは池委員、お願いいたします。
【池委員】 私からは二点申し上げたいと思います。
まず一点目ですけれども、5ページのところですが、「図や資料の活用の在り方の見直し」についてです。特に社会科の場合は非常に図や資料が多いですし、重要性も高いので、これについての検討は非常に重要だと思います。その在り方を「教科書編集の際に改めて検討することを促す」と書いてありますが、このままだとかなり教科書会社のほうもご苦労されると思いますので、やはり何らかの視点、あるいは事例、そういったもをお示しする必要があると思います。それが一点目です。
あと二点目は非常に細かいことで恐縮ですが、24ページです。高次の資質・能力の内容についてですが、世界の様々な地域のところの黄色でマーカーしてあるあたりですけれども、「世界の各州の地球的な課題を捉えることで、我が国の持続可能な社会づくりに生かす」ですとか、あと26ページの日本の諸地域のところでも、「日本の諸地域について学んだことを生かして身近な地域の社会づくりを考える」ですとか、要するに世界や日本について学んだことを自分の住んでいる地域の問題に生かす、こういう視点は高次の資質・能力としても非常に大事だと思いますので、この点は高く評価させていただきたいと思います。
ただ、水曜日に送っていただいた資料では、この世界の諸地域のところに「世界の全体像を理解する」という文言が入っていたのですが、今回それが消えているようです。地域の全体像を理解するということは地理学習の基本でもありますし、網羅的な知識の習得に陥らないためにも非常に重要だと思いますので、世界の全体像を理解するという文言を入れるかどうか、もう一度ご検討いただければと思います。
【土井主査】 それでは黒田委員、お願いいたします。
【黒田委員】 はい、私は主に5ページをもとに話していきたいと思っております。余白とか遊びとかということの重要性について、私はお話したいなと思っていて。ずっと言われているわかりやすさということが、本当に極端な一つの道の提唱になってしまわないかなということが心配です。教科書についても、やっぱり指導要領をどう解釈して、どう子供に届く教材にするかというところの自由度というのが必要で、このままいくと、教科書会社全てが同じような教科書になっていくんじゃないかなというふうなことも考えられます。
指導要領の表記についても問いの例がありますが、5ページの右の真ん中ぐらいにありますけれども、現在も小学校のほうには思考において着目して、例えばこのような問いという事例はあるんですけれども、今回出しているような学習問題とかパフォーマンス課題のような大きい問いが小学校のほうに出てしまうと、かなり全国で同じような授業、どの教室を見ても同じような授業、同じ学習問題で同じ展開ということになるんじゃないかな。やっぱり学校の先生方というのはわかりやすさを求めていますけれども、社会科の目標に向かって、どんな問題解決的な学習にするかということがやっぱり腕の見せ所で、そここそ授業の教壇に立つ楽しみだと思っているわけです。こういうふうに答えがある種答えが示されることで、全国の社会科教師の情熱とか意欲というのは持つのかなということが非常に心配になってきました。わからないほうが、わからないほうが逆に発展していくということがあるんじゃないかなと。わからなさの余白というものがないと、みんなが探究する意欲がなくなってしまうんじゃないかなということをちょっと危惧しました。
もう一個が高次の資質・能力なんですけれども、評価対象ではないという方向性には大きく賛同します。で、小学校の具体で9ページ開けていただきますと、もう既に白い部分が十分概念なわけだと思っています、私は、青いところが、学びの先に子供たちが社会に戻るわけですけれども、学んだあとで社会に戻ったときに、子供たちがこんなふうに社会が見えたらいいなとか、社会の問題に直面したときに、未解決の問題に直面したときに、こんなふうに解決できたらいいなというような、教師が意識するものというふうに捉えると、授業が変わってくるんじゃないかなというふうに思いました。
ずっと高次の資質・能力の話をしていて、子供に理解させるとか、単元末にこれを理解させるというものなのか、教師の頭の中なのかということをずっと迷ってきたんですけれども。やっぱり教師が子供が社会に出たときに、こんな見方・考え方とか、知識で世の中を見てもらうと、メガネで見てもらうといいなというような想定で作ると、授業はより良くなっていくんじゃないかなというふうに思いました。
香川県の附属高松小学校でも、概念で終わるのではなくて、その先に自分にとって意味のある知と言って、一人一人がどんな世の中を見るのかという、そこに着目することで、先生方の授業が一段ちょっとレベル上がったという実践もありますので、そういう捉え方だと高次の資質・能力というのは機能するんじゃないかなというふうに思いました。
【土井主査】 例の取り扱いについては、これが拘束的と言いますか、これしかやってはいけないというわけではなく、おそらく議論の出発点として何かを示したほうがいいという程度のものなんだろうと思いますので、現場の先生方の受け止めに誤解のないように工夫をして示す必要があると思いました。
それでは石井正広委員、お願いいたします。
【石井(正)委員】 永田委員や梅津委員のお話を伺って、再度高次の資質・能力の位置づけを確認したいなというふうに思いました。
7ページのところで、永田委員がお話しされたように、小学校については知識を統合的に理解した結果の姿を明記するというふうに書いてあります。ご説明では、ここは評価の対象ではないというふうにお話あったんですけれども、そうすると評価の対象ではないということは、この内容のまとまりの目標、理解目標ではないという認識で合っていますかということをちょっと確認したいなと思いました。どうしてもこの知識の構造、内容の構造にこの表組みが見えてきてしまうので、一番上にある統合的な理解も大きな単元の目標に見えてしまうということがあるんじゃないかなと思うと、そのあたりをはっきり確認したいなと思ったのが一点目です。
もう一つは具体的な高次の資質・能力、小学校の10ページと11ページ、括弧3と括弧4の内容なんですが、第五回のときはこれが一緒に合わさった形で示されていたと思います。今回分けて示されたのは多分理由があると思うんですけれども、私は賛成で、やっぱり合わせるのが難しかったんじゃないかなというふうに推測しています。二つの括弧3と括弧4の内容は現代社会の仕組みや働きの内容の枠組みに両方入るものなので、それでくくれるのではないかと最初は考えたんですが、よく考えてみるとその下の桁で言うと、生産や販売は経済や産業の内容でありますし、安全を守る働きは関係機関、政治の働きになります。これを統合するのはできないだろうという判断だったんじゃないかなというふうに考えています。
そう考えると、統合的な理解のところに書く内容としては、何々することを理解するという社会事象の理解にとどまらず、この内容の枠組みに繋がるような概念、内容の枠組みにおける社会生活の理解を示すほうがいいんじゃないかなということを思いながら、この表組みを今見ていたところです。そういうふうに、なぜまとめたのか、どうしてそのまとめ方になったのか、理由や目的などをわかりやすく伝えていくことが今後大事じゃないかなというふうに思いました。
【土井主査】 最初の点は、高次の資質・能力の位置づけが、評価の対象ではないということとの位置づけについて説明していただけますか。
【嶋田学校教育官】 文部科学省の教育課程課の嶋田でございますけれども、以前からご説明させていただいているように、高次の資質・能力についてはあくまでも単元構想を考える上での参考になるものとして位置づけさせていただいておりますので、高次の資質・能力そのものを評価するということはそもそも想定していないところでございます。ただ、単元構想する際の参考にさせていただくものになっておりますので、まったく評価と関係ないかと言われると、そこはあれなんですけれども、高次の資質・能力そのものを評価することは想定していないというところでございます。
【土井主査】 単元を構想されて、先生方がそういう方向で授業を組んでいかれれば、それを学んでいる生徒のほうもそういう考え方といいますか、考えの進め方が身についていくことになりますので、端然と区別できるかと言われると難しい点はあろうかと思いますが、評価としては直接の対象にするものではないということのようでございます。
それでは最後、山内委員、お願いいたします。
【山内委員】 私のほうからは、統合的な理解を例えばどう実践に乗せていくか、実践化していくところから少しお話させていただきたいと思います。
31ページをお示しいただけますでしょうか。例えば先ほどから話題にしていただいているところでございますけれども、私が見たときに、実際どうやって授業をしていくかということから、例えば統合的な理解ということになると概念ということになると思うので、例えばそれは先ほど来、梅津委員からもお話があったように、例えば幕藩体制、例えば幕府と藩による支配が確立したこと、ここが例えば概念になるとすると、それを理解することに向かって、丸1、丸2、丸3というのがあるなということは非常に理解しやすいかなというふうに思いました。
ところが、分野でまたいでいくとかなりばらつきがあるかなというところでございます。中学校は教科担任ですので、地理・歴史・公民をまんべんなく見たりとか、学年またいだりすることもあったりするので、見たときに、かなりばらつきがあると読みにくいかなというようなところなんですね。
例えば地理のところで、26ページ見ていただくと、「何々何々こと」ということが例えば白い部分にあるかというと、なかなか難しいということは歴史と地理の見方が違うということですよね。例えばでも、4ページなどいくと、「何々何々こと」みたいな形であったりとかするので、例えば分野の中でもかなりばらつきがあるかなというところはこれから整理していく必要があるかなということですね。
例えばあと、公民でいきますと、37ページを見ていただきますと、またここが書きぶりが違っていたりとか、例えば意義とか、基本的な考え方とか仕組みとかというようなこと、それはそれで経済活動の意義ということになりますと、そういったことの具体を例えば概念化していけばいいんだなとわかるんですけれども、横に分野並べたときに、かなり書きぶりが違うので、こういったようなところを整理していく必要がある。実践的立場からすると、必要があるかなと考えるところです。
あるいはこれ小学校の中でもやはりいろいろあるかと思います。「何々何々こと」、例えば「移り変わったこと」みたいなところがわかればいいわけで。といったときにあったりなかったり、そういう「こと」というの前段の部分、概念がいわゆるわかったり、明示されていたり明示されていなかったりということがあったりとかすることが、おそらくその分野の中とか校種の中でもあったりとかするので、その辺のところはこれから整理して、実際授業で使う授業者が読みやすいように揃えていくということもある程度必要ではないかなと思ったところでございます。
【土井主査】 分野間の整理はできるほうがいいというのはごもっともだと思うんですが、なかなかやっぱり次元を合わしていくといいますか、考え方を合わせていく中で、今度は逆に文の長さがどうなるかという問題があります。同じように合わせると必ずしも簡潔にはまとまらず、ものすごく長く表現せざるを得ない分野も出てくる可能性もありますので、その辺はもう少し考えさせていただければと思います。
それでは、時間も限りもございましたので、ご発言できなかった内容等につきましては、事務局までメールでお送りいただければ、議事録掲載する取り扱いとさせていただきたいと思います。
この辺で5分程度休憩を取りたいと思います。今10分でございますので、15分に再開をさせていただきますので、引き続きお願いできればと思います。それでは休憩に入らせていただきます。
( 休憩 )
【土井主査】 それでは会議を再開させていただきます。引き続きまして議題3に入りたいと思いますので、議題3について事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 お手元の資料2をご覧ください。議題3は取りまとめに向けた検討でございます。本日お示しする資料でございますけれども、これまで8回にわたってご議論いただいた内容を中心に、いよいよ取りまとめ案ということで、まずはこの骨格を事務局のほうで作成したものとなっております。
まず4ページをご覧ください。上のほうに書いてますが、1から5まで、5つのパートに分けて構成をしております。
まず1の「現行の成果課題を踏まえた改善の方向性について」です。第1回ワーキンググループでもお示ししたとおり、(1)現状の成果といたしまして、現行学習指導要領の考え方を記載するとともに、これまでの成果を記載しております。また(2)現状の課題といたしまして、系統性、体系的な整理の必要性を記載しております。
それから続きまして5ページをご覧ください。ここでは現状の課題の続きといたしまして、課題を追究・解決する活動における課題、社会情勢の変化に伴う課題、社会参画意識に関する課題について、関連データ等とともに示しているところでございます。
続いて6ページをご覧ください。同様にデジタル学習基盤の活用に関する課題、学校外施設・人材との連携に関する課題もこの中で掲げているところでございます。これらについてはこれまでの議論の中でお示ししてきた内容でございます。
続いて7ページをご覧ください。こちらはここで先ほど示したような成果課題を踏まえてということで、今回の取りまとめにあたって今後の改善の方向性、その総論的な内容を記載しております。
まず、ア.深い学びの実現といたしまして、今次の改訂で進めてきた方向性に一定の成果が見られることを踏まえつつ、社会情勢の変化の激しい時代に対応できる資質・能力を育成することが重要であること。特に単なる知識を網羅的に学習するのではなく、より社会科等における学習が探究的な学びとなるよう、主要な問いに基づく問題解決、課題解決的な学習を充実することで、民主的で持続可能な社会の作り手を育成することが必要であること。このため、小学校、中学校、高等学校を通じた目標や見方・考え方、あるいは学習内容の系統性、体系性の見直しを図るとともに、高次の資質・能力を新たに設け、単元づくりのイメージを教師が持てるようにすることで、子供たちの深い学びの実現を目指すこと、こういったことを掲げております。
その上で、イ.課題を追究・解決する学習の充実といたしまして、生成AI等が普及する中で、資料や情報を収集するだけでなく、その真偽や意図、背景等をこれまで以上に把握し、その信憑性等を検証し、根拠に基づいて自らの考えを形成する力を育成することが必要であること。自らの考えを批判的に見直しながら、他者と対話し、より適切な判断につなげる学習過程を充実することで、社会科等における深い学びの実現を目指す必要があることから、社会的事象等について調べまとめる技能の見直しを行うことを掲げております。
また右上、ウ.社会情勢の変化を踏まえた教育内容の見直しといたしまして、グローバル化の進展、国際情勢の変化、人口減少、少子高齢化、自然災害の激甚化や生成AIをはじめとするデジタル技術の進展などとともに、人権に関する法制度の整備や多様性を尊重する社会づくりの重要性が高まっていること。持続可能な社会の形成という観点から、これらの現代的な課題を適切に扱い、課題の背景や構造を理解するとともに、解決に向けて考察する力を育成するために内容についての見直しを行うこと。
エ.主権者教育の充実として、若年層の政治参加や社会への当事者意識について、改善傾向が見られるものの、依然として課題が見られること。このため、子供たちが主体となって実感を持つことができる実践的な活動をより重視するとともに、外部機関との連携、協働や他教科との連携強化を促進すること。
オ.教科書の見直しとして、知識を網羅的に記載するのではなく、高次の資質・能力の獲得に必要なものに厳選したり、学習上の課題、問いを充実したりすることなどで、児童生徒の探究的な学びに繋がるような教科書の見直しを促進することを掲げております。
8ページをご覧ください。続いて、2.目標及び見方、考え方の在り方のうち、(1)目標の在り方といたしまして、これまでワーキンググループでご議論いただいたとおりでございますけれども、基本的な考え方、柱書き、知識、技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の考え方、在り方を示し整理しております。こちらについては、18ページから21ページに、その具体的な案を示しておりますので、併せてご確認いただければと存じます。
続いて9ページをご覧ください。ここでは、(2)見方、考え方の在り方として、社会科等における捉え方と見直しに向けた考え方を整理しており、こちらも先ほどの目標と同様に、18ページから21ページに具体的な案を記載しております。
続いて10ページをご覧ください。3.資質・能力の構造化のポイントになりますが、ここでは、(1)表形式化の形式として並列パターンで構造化することに加えまして、先ほど議題2でご議論いただいた高次の資質・能力の考え方を次回以降に反映したいと考えております。
続いて11ページをご覧ください。4.内容の改善の在り方といたしまして、(1)系統性、体系性の整理を掲げております。ここではまず、アの共通の事項として、単なる知識を網羅的に学習するのではなく、より社会科等における学習が探究的な学びとなるよう、学習指導要領解説において、学習上の課題、問いをさらに充実することで、社会科等における学習がより課題を追究したり解決したりする活動を重視した授業づくりにつなげていくことを掲げております。
また、イの小学校段階というところでございますが、こちらについては28ページも併せてご確認いただければと存じますが、グローバル化する国際社会を踏まえ、身近な地域から国際社会へと広げていくという考え方は維持しつつ、グローバル化などの地域社会の変化を含めた内容にすること。
また先ほどの11ページに戻りますけれども、ウの中学校段階でございます。地理、歴史、公民の各分野を有機的に結びつける分野横断的な単元、A、B、Cを新設すること。こちらについては29ページも併せてご覧いただければと存じますけれども、分野横断Aについては、以前のワーキンググループでは「社会の扉」としていたものを、「社会への眼差し」ということで、これも仮称でございますけれども、改めるとともに、地理的分野の第一、第二学年の学習内容の一部を第三学年に移行し、その分、歴史的分野の第三学年の学習内容を第二学年に移行することによって、バランスよく第三学年において地理的、歴史的分野を学習し、その内容を踏まえて分野横断Bの学習に進めていくことができるようにしてはどうかと考えております。
11ページに戻ります。右側、エの高等学校段階では、地理歴史科において小学校や中学校の学習を踏まえた学びを深めるために、科目全体の見通しを持たせる導入単元の見直しや、探究的な学びの促進を図ることとし、地理総合、地理探究において必要な見直しを行うことを記載しております。
12ページをご覧ください。同様に、歴史総合、日本史探究、世界史探究についてもその記載をしております。特に、学習上の課題、問いや段階的な課題の設定の方法、資料活用の具体例、生徒自身による問いの表現やその活用、探究的な学びと生徒が自ら行う探究活動との関連などについて、解説においてより分かりやすく記述すること。日本史探究や世界史探究の授業が探究的な学びへの改善に繋がるように、国において高次の資質・能力を踏まえ、学習指導要領の内容項目において、知識を身につけることとされている事象の関連性の整理を一層進めるとともに、教科書発行者に対して、上述で示した問いの設定方法などを踏まえた教科書編集がなされるよう促すことを掲げております。また、公民科においても、公共、倫理、政治・経済それぞれにおいて、これまでのワーキンググループでご議論いただいた内容を記載しております。
13ページをご覧ください。ここは空欄になっておりますが、本日議題1でご議論いただいた内容を次回以降反映する予定としております。
14ページをご覧ください。(3)主権者教育の充実、これは前回ご議論いただきましたけれども、その充実に向けまして、主権者教育の取組を深めていく視点と、主権者教育の取組を広げていく視点、これを同時並行的に進めていくことが重要であり、実際に進めていく上での重視すべき視点をここに掲げているところでございます。
続いて15ページをご覧ください。一番上に書いている五つ目の柱ですね、学習・指導・評価の改善充実等の在り方についてです。
まず、(1)課題を追究・解決する学習の充実として、基本的な考え方を掲げた上で、社会的事象について調べまとめる技能の見直しとして、技術の進展に伴い情報や資料等の真偽や意図、背景等を把握することが、これまで以上に求められていることを踏まえ、収集した情報や読み取った情報、まとめた情報の信憑性等を確認する新たな技能として位置づけること等について記載しております。
こちらについては、37ページも併せてご確認いただければと存じます。こちら、従前ご議論いただいた内容でございます。
また、イのデジタル学習基盤を活用した学習の充実といたしまして、社会科等におけるICTを活用、課題を追究し、解決する活動において、学習の質の高まりを促進するために必要な基盤として位置づけ、以下の学習を踏まえて見直すこととしております。
また、さらにAI活用の在り方、ウの部分でございますが、社会科におけるAI活用においては、最終的には生徒自らが考え、判断し、成果物の内容を自らの言葉で説明し、自ら責任を持つという考え方のもと、各学校段階や科目分野において必要な資質・能力を身につけることができるかどうかといった視点で、課題を追究・解決する学習活動を展開すること、それらの評価方法の改善を図ることを当面の基本的な考え方とすること。
具体的には、二つ目の黒ポツ、一番右下でございますが、最終的な評価の段階でAIに頼って自らの思考を経ていない成果物は通用しないような評価の工夫をしていくことが喫緊の課題であり、例えば、これはあくまで例示でございますけれども、口頭試問の要素を取り入れること、あるいはブラウザ閲覧やAI活用ができない環境下で、自らの考えを根拠を持って記述させることなどが考えられることを示しております。
なお、米印に記載しているとおり、今後の技術の進展など、情報技術の変動性、陳腐化の可能性を踏まえた対応を行っていく必要があることに留意が必要だといったこともこの中で掲げております。
続いて16ページをご覧ください。(2)地域を題材とした学習活動の在り方として、以前のワーキンググループでご議論いただいた地域調査を行う際の考え方、これは先ほど委員からもご指摘いただきましたけれども、ここにそのフィードバックの考え方を記載、提示するとともに、(3)学校外施設・人材との連携といたしまして、好事例等を扱う際の視点等について整理を行っております。
続いて17ページをご覧ください。(4)学習評価の在り方について、こちらも前回ワーキンググループでご審議いただいた内容を記載するとともに、(5)柔軟な教育課程の編成・実施といたしまして、論点整理や教育課程部会の議論を踏まえまして、右上の一つ目と二つ目の丸に記載のとおり、小中学校、高等学校段階において柔軟な取り扱いを行っていくことについて、今後検討していく旨を記載しております。
また、(6)教科書の在り方については、議題一でご議論いただいた内容を今後反映する予定となっております。
事務局からの説明は以上です。
【土井主査】 それでは意見交換に移りたいと思います。時間が少し限られておりますので、できるだけ多くの委員にご発言の機会があるよう、一回のご発言は長くとも2分以内でおまとめいただけますと幸いです。
それではご意見等のある方は挙手ボタンを押していただき、私から指名させていただくことにいたします。いかがでしょうか。それでは井柳委員、お願いいたします。
【井柳委員】 資料との関係で言うと、色々ありますが、14ページでお願いします。「多角的・多面的」という箇所と、社会参画の箇所について少しお話ししたいと思います。主権者教育については積極的に進めていくということで、是非そうしていただければと思います。一方、この間も辺野古の平和教育を巡って色々な問題が、各社報道で取り上げられましたけれども、やはり主権者教育では「多角的・多面的」に取り上げることが重要だと思いますが、その上で「積極的に取り上げてくださいね」というメッセージを出すということも必要かと思います。
現実の政治問題を扱う上では、特定のことばかりを強調しないということは必要ですけれども、やはり現実の政治問題を扱い、主権者教育をやっていく上では、「多角的・多面的」に取り上げることと、また是非これを積極的に進めていくということは必要だ、というメッセージは欲しいということです。
それからもう一つネットに関して、真偽の問題だけではなく、ネット・SNSの場合、アルゴリズムで特定情報が出てくるようなことから、やはりこういったネット利用に関しても、情報収集において「多角的・多面的に」という視点が必要だと思います。
それともう一つ全体に関してなんですけれども、社会の合意とか意思決定の重要性といった話も色々な箇所に出てくると思うんですけれども、これはそうなんですけれども、やはり以前の社会よりも、この合意とか意思決定ということが非常に難しい、社会が複雑になっているし、社会の色々な利害も、国内でも、世界でも、非常に分断されている社会であったり、対立している状況もある中で、合意形成・意思決定は重要だけれども、その難しさとか葛藤とか、答えが簡単に出ないといった部分も、どう書くのかという書きっぷりの難しさはあるんですけれども、合意とか判断とか、そこに簡単にたどり着くわけではないといったことも、この合意形成・意思決定においては必要になってくるというふうに思います。
【土井主査】 主権者教育の取組について留意すべき点は重要なご指摘かと思いますので、その方向で調整できればと思います。それでは次、井田委員、お願いいたします。
【井田委員】 16ページに、先ほどの「地域を題材とした学習活動の在り方」とありましたけれども、そこで重要なのが、やっぱり地理に関して、地図だと思うんです。地図に関地図を使う場合もありますけれども、むしろ紙媒体の地図を使うというのは基本です。紙媒体の地図で基本を学び、デジタルへの応用とかGISへの応用とつながっていくのではないでしょうか。
では、実際に地域調査をするときに二万五千分の一の地形図を学校で買えるかというと、今高くて買えない状況で、かつ地形図の価格が今年から二倍になるという状況になってきています。ですので、紙媒体の地図が重要であるということを、何かしらここで強調しておいていただいて、国土地理院が「学校で使うならアカデミック価格をつけよう」などということで、できるだけ地図を使いやすくするような環境を整えないと、地理総合でも中学校の地理と歴史の融合単元でも地域を題材とした学習活動において、一番重要な技能のツールが使えないということになると大きな問題です。紙媒体の地図の重要性をどこか書いておいていただけるといいかなというふうに思いました。
【土井主査】 それでは、額田委員、お願いいたします。
【額田委員】 14ページの主権者教育のところです。主権者教育を充実して取り組んでいくということは、非常に重要なことだと思っております。その点について、こども基本法、意見表明権というような視点もここに入れていただきたいと思っております。
社会科の活動の中で、実践的な実感を持つことができる活動として、模擬選挙、模擬投票、模擬議会、模擬請願などが上がっておりますが、学校の中の行事であるとか校則の見直しへの参加など、子供達が現在所属している学校という社会における参画に関して、特別活動や、総合的な時間などとの分野横断も含め、ここに入れていただければと思います。
それから、bの方の米印の二つ目の点で、これは政治的中立性の点になりますけれども、政治的中立性の判断に関し、文言的には「特定の事柄を強調しすぎたり」であるとか、「一面的な見解を十分な配慮なく取り上げる」となっており、抑制的である、政治的中立性がないということの判断については抑制するような方向の文言ではあるんですけれども、「強調しすぎ」というのはどういうことなのかとか、「十分な配慮がない」というのはどういうことなのかということの解釈の点で、非常に萎縮効果を及ぼすような表現ということになりかねないのではないかということを心配しています。
先ほどもありましたけれども、辺野古の平和学習に関し、今後、萎縮というようなことがあるのではないかということも言われておりますので、前回の主権者教育のところの議論のところにも出てきましたけれども、ドイツにおける「論争のあるものは論争があるものとしてきちんと伝える」であるとか「押し付けない」であるとか、そちらのほうの非常に分かりやすいメルクマールのほうがいいのではないかなというふうに思っています。
それから、こども基本法のことを先に述べましたけれども、前半の議論の議題一のところで、これから取り上げる内容等の在り方というところで、社会構造の変化に関する視点に関し、こども基本法であるとか、障害者差別解消法であるとか、旧優生保護法であるとか、そういうものを小中高の社会科で取り上げるということが書かれていますけれども、この取り上げ方については議論の機会があるということなのかということについて、一点お聞きしたいと思います。
【土井主査】 最後の点だけお願いできますか。
【髙見主任教育企画調整官】 本日お示ししたこの4ページの内容というのは、あくまでも視点例ということでございますが、今後ワーキングでもまた引き続きご審議いただきたいと思っておりますし、またさらにこれから告示、あるいは解説等の議論も行ってまいりますので、そういった中でもしっかりご議論いただく内容かというふうに捉えております。
【土井主査】 主権者教育で留意すべき点の表現方法は、従来の表現方法とのつながりもありますし、どの段階でどういう表現を変えるのが適当かということ自体、一つ問題でもありますので、ご意見として受け止めて、少し検討をしてみたいと思います。
それでは引き続きまして、板倉委員、お願いいたします。
【板倉委員】 補足資料27ページにある単元計画作りの参考イメージについてです。
この資料は補足資料ではありますが、現場から見ると、公になったときにとても影響力のある資料かと思いますので、慎重に作成、公表する必要があると考えています。
ここでは中学校歴史分野の例が挙がっていますが、これを見ると、高次の資質・能力の総合的な発揮と、単元の思考・判断・表現の評価規準がほぼ同じ文面になっています。そうなると読み手に「高次の資質・能力は評価の対象になる」との誤解を生じさせる可能性にも繋がると思います。
前半の資料にあった中学校の思考力・判断力・表現力等の個別の資質・能力の示し方を見ると、参考イメージで評価規準の示し方は別の表現にもできるかと思いますし、右側の評価計画の例と合わせて見ても、単元終末だけで単元の評価がなされるものと受け取られる可能性もあるかと思います。
この資料については、高次の資質・能力と単元の評価規準に差異のある分野で例示することを検討するか、どうしてもその二つが差異のない形で示さなければいけない場合には、高次の資質・能力は評価の対象ではないことを明記するほうが安全なのかと思いました。
【土井主査】 それでは山田圭一委員、お願いいたします。
【山田(圭)委員】 インターネットとか、その生成AIの使い方に関して、いろいろと学んでいくというのは、そのデジタル技術とかデジタル環境が持つ意味というのを考えてもらうというのは大切だと思っていて。先ほど29ページでしたかね、分野横断のBの、この分野横断的な領域を入れるというのは、とても私はいいと思っていて。
ここでまさに、生成AIとかインターネット技術というのが、地理なら地理で持っている意味とか、歴史において持っている意味とか。それまでは、住んでいるところに地理的な環境に依存する仕方で生活の仕方が決まっていたけれども、それは多分かなり今は変わっていると思うんですね。歴史的に言えば、デジタル環境がブレグジットに影響を与えたりとかいろいろあるし、公民はもちろん政治の選挙に影響を与えたり。それぞれの領域の中で、生成AIとかインターネット環境みたいなものがどういう意味を持っているのかということ自体を考察の対象にしてもらえると、分野横断的な考察の対象にもなるという点で、いいんじゃないかというふうに思いました。以上です。
【土井主査】 それでは、新保委員、お願いいたします。
【新保委員】 一つ申し上げます。AI活用につきまして、様々な記述がありまして、これは本当にどれも大事なことが書かれているなというふうに思います。賛成でございます。
その上で同時に考えなきゃならないことは、やはりAIの時代であるからこそ、体験的な学び、これが重要だということ。これを、もっともっと強調してもいいのかなと思います。当初からフィールドワークの件とか、いろいろ議題になっておりましたけれども、それをどうやって実現していくのか。時数もなかなか限られている中で様々な工夫が必要だと思いますけれども、そういう良い事例、取組を共有していくような答申になっていくことも重要かなというふうに思います。
背景としては、学校の様子を聞いていますと、とにかくバス代の問題が非常に大きくて、バス代が高騰していることによって体験に出かけられないよねと。バスで行くだけが体験ではないのですが、社会科のフィールドワークにはバス利用が欠かせないときがあります。それをどうやって工夫していくか。そういう何かいい事例が、他と協力するとか、いろんな事例があると思いますので、その体験の充実ということ、その意味が生成AIの時代であるからこそ重要なんだということをしっかり書き込んでいければいいかなと思います。以上でございます。
【土井主査】 それでは、石井正広委員のほうからお願いいたします。
【石井(正)委員】 私は、資料でまとめる技能の見直しについて、37ページの図を見ながらお話しさせていただきます。
この下の段の「情報の妥当性の確認」の技能についてはとても大事なことですし、こういったことを整理して学習指導要領に反映していくということは賛成です。
次の段階として、これをどう学習指導要領に反映していくかということになるかと思います。小学校の場合には、内容を見ると「調べまとめる技能」についても書かれているんですが、中学校以上だと分野の目標にはあるんですが、地域調査以外にはこの技能の内容がなかなか触れられていないというところがあるかと思います。現行以上にこういった技能を反映していくための、何か見込みというか方法というか、そういったものがあれば教えていただけるとありがたいなというふうに思いました。何か今、現状で考えられていることがあれば教えてください。
【髙見主任教育企画調整官】 まずは大きな方向性をこのワーキンググループでご議論いただいていることになっておりますので、この大きな方向性についてある程度ご同意いただいて、提言書がまとまったあとに、また具体的に告示、あるいは解説の中ではこれらの方向性を踏まえて検討していくということになりますので、現時点で何か予断を持ってこういった方向になるということは、現時点で持ち合わせていないということになります。
【石井(正)委員】 はい、ありがとうございます。
【土井主査】 それでは、石井英真委員、お願いいたします。
【石井(英)委員】 まず、先ほど黒田委員がおっしゃったことは、私は非常に賛同するところであるというふうなところです。
なぜ高次の資質・能力なのかということで、高次と個別という対比で見てしまうと誤解があるように思うんですけれども、現行の学習指導の目標内容で、知識、技能、思考力・判断力・表現力等、すでに概念的な理解の内容が入っているわけなんですね。ですから、それを概念的な理解、理解項目みたいなものと、ある種この個別の事実、本当に実際の個別の事項とかトピックみたいなもの、そこを分けていくと。今回の表形式の中で、かなりそういう作業が今回特に表れてきているかなというふうに思います。
その上で、なぜ高次の資質・能力なるものがあるのかということで言えば、まさに「狙いの先に願いがある」ではないですけれども、到達目標の先に方向目標を見せることによって、その授業は深まりを増していくと。まさに学びというのは授業で終わらないし、さらに学校で終わらないと。ただ、探究的な学びということで言うと、さらにこう追究していって、そこで社会認識を育てていくわけですよね。ですから、その高次の資質・能力、特に統合的な理解といったものは、そういった社会認識の核みたいなもの。それぞれが自分なりの社会の捉え方をして考えていくわけですから、その核になるようなものを示していくと。そういうふうな意味があるんだろうなと思います。
そうしたときに、その授業作りのまさに余白じゃないですけれども、頑張りポイント、背伸びポイントみたいなものを示すということとともに、何より、特に知識・技能に関しては一貫性を持たせていくと。だから、その中心概念みたいなものを明確にすることによって、精選の論理につなげていく、ここが大事かと思います。
それで言うと、実は先ほど杉山先生おっしゃったことは非常に重要だと思っておりまして。結局、内容の精選とか構造化につなげていくためには、概念というのは、概念的理解ではなくて、概念と知識のタイプとしての概念ということで言うと術語ですね。だから、熟語、漢語熟語で考える。日常用語と専門のテクニカルタームは違うわけなんですね。だから、同じ「国家」とか「文化」というふうに言っても、日常語の文化とか国家ということと、社会科学におけるその国家の概念といったもの、これはまたちょっと定義というか、用語が少し違ってくるということです。
ですから、やはりその日常用語を、ちゃんと社会科学的な認識、社会認識に育てていく。そういう面で、ある種この内容の重点化、構造化を考えていくときに、少し術語と言いますか、そういったものを軸にして整理の方向性を考えていくということも大事かなと思います。ですからそれで言うと、今回歴史とかもそうですけれども、かなり「律令国家」とか、あるいは江戸時代だと「秩序」とか、そういう漢語が割と出てきていると思うんですよね。そこをやっぱり改めて大事にしていくということが大事かなと思いました。
それが前半に引き継いでということですけれども、あともう一つだけ、今回のこの「内容の改善の在り方等」で、活動を重視した云々ということが出てくるわけですけれども、探究的な学びになるようにということはよろしいかと思うんですが。小学校に、これはやはり暗記科目とか知識・技能の網羅というのは中高はそうなんですけれども、小学校はむしろ今や逆にちょっと気をつけなきゃいけないと思うのは、何となくざっくりとした問いを渡して、パソコンやネットとかで調べて、何かまとめるみたいな。だから、本当に形式的な調べ学習になっている傾向が強いと思うんですね。
ですからそれで言うと、単に「活動を重視する」というメッセージだけを出すのは結構危ういかなと。問いと活動だけではなくて、やっぱりそこを深めるとか、社会認識につなげるとか、そういうメッセージも合わせて。小中と、そのへんの課題感の違いみたいなものも合わせて提起していくことが大事なのかなと思います。
だから、改めてその単元の計画の表ですね、これ参考イメージなので練り上げていく必要があると思うんですが、まさに現行の、先ほど大村委員も申し上げたことと思いますけれども、優れた実践家の知恵といったものに根ざして、そういう先生方が、黒田先生もそうですけど「これは確かにこういうふうに自分たち頭使って考えているな」という、優れた実践家の思考といったもの、そこをしっかりと踏まえて考えていくということが大事なのかなというふうに思いました。
【土井主査】 それでは、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】 私は15ページのところからお話しします。「課題を追究・解決する学習の充実」というところで、まさに書いてあるとおりでありますが、しっかり教員側もこの言葉の違い、整理をしっかりできるようにしなければいけないと思っています。
この流れの中で「課題把握」から始まりますが、この課題把握に関する理解が、結構ばらついている現状もあると思っています。総合的な学習の時間の問題解決的な学習でいくと、「自ら課題を見つけ」という切り口から入っていきますが、そのこととごちゃごちゃになったりしている、社会科の課題を追究するという場面において、何の土壌もないところで教師が生徒に「さあ考えろ」といきなり振るみたいな場面を見たりもします。やはり、課題把握ということがどういう意味なのか、問題解決的な学習のときの自ら課題を見つけるということと何が違うのかというところは、説明をどこかで詳しく付けておいたほうが安心だと思います。
それから、15ページ右下のAI活用のところになります。これも実際に授業で見る風景です。単元を貫く問いとか、あるいは各授業の中で教師側が出している発問とか、そういったものは、今はタブレット端末で「じゃあ調べましょう」というときに、発問の内容、単元を貫く問いの言葉をそのまま打ち込んで、そこから答えを見つけるような生徒の姿があります。現状としてそのようなことがありますので、そこらへんをコントロールするという意味では、ここの記載内容がとても大事です。この資料でいきますと37ページのほうに移りますけれども、社会的事象等について調べまとめる技能、この技能のところで、AIとの関係と言いましょうか、技能というところでなかなか入れづらいかもしれませんけれども、AIの活用の仕方ということは、ここにも触れておいたほうが良いのではないかと思いました。
それから今度は、26ページになります。26ページに、高次の資質・能力等を生かした単元計画作りの参考イメージ、また27ページにもそれが続いていますけれども、これは大変大事な資料だと思っています。先ほど来の議論で、高次の資質・能力や、統合的な理解、あるいは総合的な発揮の文章をそのまま使うというのは、これやはり教師としては工夫が足りないなというところであります。一方で、抽象度が高くなってきている内容なので、高次の資質・能力を実際に授業作りでどのように活用していったら良いか、統合的な理解、総合的な発揮ということについては、どのように授業作りで使えるのかというところのイメージ、これらがとても大事なところです。これまでの議論ではここの部分があまりなかったので、現場の教員にとっては、どういうふうに授業につなげていったら良いかというところで結構手探りのような感覚がありました。これは一つの例ではありますけれども、大事な情報だと思いました。
それからもう一点、29ページの話になります。分野横断的な単元の新設というところでは、まだまだこれから詰めなければいけないところもあるので、具体的なことはこれからだと思っています。ここで以前の資料と違うところは、やはり地理の学習の内容、歴史の学習の内容からどうこの単元に持ってくるのか、横断的にまとめるのかという内容のまとまりのところが出てきています。これが具体的になればなるほど、やはり授業時数との絡みが出てくると思います。授業時数をどのように割り当てていくのかということです。それは、今度の学習指導要領で大事にしているその柔軟な取り扱いというところにもつながります。この柔軟な取り扱いの条件、具体的な条件ということも、今後はここに重なってくると思いますので、この議論は後ほどまた大事にしていってほしいと思っています。
【土井主査】 それでは、梅津主査代理、お願いいたします。
【梅津主査代理】 私は36ページと37ページの、学習過程および技能に関わる図解を資料にしながら、一点要望を述べたいというふうに思います。
ここに、いわゆる探究的な学びという表題の下で説明される学習過程のイメージが書かれているというふうに私は理解していますけれども、学習課題を設定するというときに、現実の社会科系の授業においては、教員が設定した課題を探究的に学んでいくというスタイルは、むしろ多いのではないかというふうに思います。ましてや、前半の議論でもありましたように、抽象度の高い概念的な知識を習得するということになりますと、かなり学校現場においては、教師が設定した問題に対して、子供たちに資料を与えて、それを子供たちが読解する中で小さな解釈を作り、まとめていきながら最終的な到達目標となる概念、あるいは概念的知識を理解し習得していく学習過程を取るというのはよくあり得るというふうに思います。
その際に、その学習過程について一方で批判されるのは、子供の主体性が部分的にしか保障されていないと。ゆえにもっと子供中心の主体的・対話的な真正の探究を展開するためには、子供が学習課題を設定していくということが重要だというふうに言われます。
さて、この36ページの図ですけれども、これはよく見る図解ではあるのですけれども、どうしてもこの書き方だと、探究過程がリニアなものに見えるんですね。予定調和と言いますか。設定された課題には到達すべき回答があって、その回答に追究の過程を経て行き着いて、一旦理解をするが、さらに次の理解を深めるために新たな課題を発見するという。なるほどそうなんだけれども、これはどちらかというと、教師があらかじめに到達目標としての知識内容を設定し、それを子供が資料をもとに発見していくという、どちらかというとリニアな形の学習過程というのがあり得るし、また教師としては授業を作りやすいということもあるんですけれども、真に子供に問いを発見させて子供が追究するということだとすると、これはリニアなものではなくてアジャイルなものになると思うんですね。
行ったり来たりするというこの試行錯誤のプロセスというものがむしろ非常に大事になるかと思いますし、それは技能のところでも、実際上資料を収集してみて読み取ったけれども、吟味を重ねてみると、もう一回集めた資料の数やそれらの妥当性の検討に戻らなければいけないというようなことが当然起こり得ると思うわけですね。ところが、この36ページと37ページの図解は分かりやすいんだけれども、すべてが左から右にこうリニアに流れていく形になっていますので、何かちょっと予定調和すぎる、あるいは教師主導を思わせるようなそういった図解に思われますので、何かもっと「往還」とか「サイクル」とか、何かそういうような表現も一つ考え得るんじゃないかなと思いまして、この辺の表記についてもう一段ご検討いただきたいなというふうに思っております。以上が意見です。
【土井主査】 重要なご指摘で、反省的均衡の問題とか、探究が進むとそもそも課題が間違っていたということに気がつくとか、現実にはいろんな問題があると思うんですが、それをどう図示するかということになるとまた難しい問題なので、ご指摘を踏まえて検討できればと思います。
それでは、岩戸委員、お願いいたします。
【岩戸委員】 お三方のご意見をお伺いして、まさにそうだと思うんですけれども、社会の中で子供がいきなり学習課題を自分で設定するというのはなかなか難しいだろうなというのは、普段子供のワークショップとかをやっていても感じることがよくあります。
そもそも論に戻ってしまって恐縮なんですけれども、初期の頃にも一度コメントしたことがあるかと思うんですけれども、現代の子供たち、特に今、大学なんかでも理系偏重、人文系の学問がいるのかいらないのかみたいな話、意見も散見する中で、その「社会をなぜ学ぶのか」というその本当の最初の出発点があまり子供さん、そして一般の大人たちにも共有されていないという現状は、これは私の体感的な感じで言うと、本当にここ10年、20年でも進んできているような気がしているんです。
社会の変化もすごく早くなってきていて、例えばその中で「昔のことを学ぶのが一体どういう意味があるのか」ということが、一昔前だとそんな問いはあまり出なかったようにも思うんですけれども、それがもう結構いろんな一般の方から聞くことがある。歴史や考古学をやっているのは趣味の一環なんじゃないかみたいな。
そういう意味ではその社会科というのは、地理とか公民分野でもやはりその歴史、現在を見るという意味でも現在完了としての歴史だと私は思うんですけれども、小学校、中学校、高校の児童、学生のその成長過程にもちろん即してということになりますけれども、なぜこれを学ぶのか。その課題設定なり、今お話にあったように、最終的に課題を解決する力を社会科を通してなぜ私たちは学ぶのかということを、もう少し教員の方も含めて自覚的になるように意識するような働きかけというのが、単にその課題を設定して解決するというその学習の中だけではなくて、前提としてそういったものを早いうちから意識させるということをどこかに盛り込んでいただけたらなというふうに私は考えています。
その上で、子供たちが納得した上で、今自分は何を目指して現代社会なり歴史なりそういったものを学んでいるのかということを意識しながら学習に臨むというのが、一番理想的ではないかと。多分「社会への眼差し」とか「私たちと社会」と言っても、ちょっと今のお子さんたちを見ていると、なんか言葉が上滑りしているんじゃないかなと。私たち自分自身が社会とつながっているという意識が、本当になんか大学生になっても希薄なような、普段大学生を見ていると思うところがありまして、そのあたりなかなか書きぶりが難しいのかもしれませんけれども、どこかでそういうアピールと言いますか、していただけたらありがたいなと。ちょっと教育現場にいない者が、小中高で教えたことがないものであれなんですけれども、そういう意見をちょっと持ちました。
【土井主査】 そのほか何かご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
このほかにも、何か今回お示しした資料についてご意見等ございましたら、別途事務局のほうにまでメールをお送りいただければ、議事録と掲載する取り扱いにさせていただきたいと思います。
それでは、ちょうど時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に次回以降の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。
【嶋田学校教育官】 それでは事務局からご連絡させていただきます。次回の日程につきましては、後日事務局より改めてご連絡させていただきます。
【土井主査】 それでは以上を持ちまして、本日は閉会とさせていただきます。
―― 了 ――