令和8年4月24日(金曜日)15時00分~17時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【土井主査】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第7回社会・地理歴史・公民ワーキンググループを開催いたします。お忙しい中ご参加いただき、どうもありがとうございます。
本日は社会・地理歴史・公民における資質・能力の育成等についてご議論いただきたいと考えております。なお、本日は議題1として論点が2つ。論点1、主権者教育の充実について。論点2、学校外施設・人材との連携について。議題2として評価の在り方等についてをご議論いただきます。
また、本日は議題1の論点1で、委員の先生よりご発表をいただくこととなっております。それでは初めに議題1について、事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 はい、主任教育企画調整官の髙見です。お手元の資料1の2ページをご覧ください。
本日の議題1、社会参画意識の育成のうち、論点1は主権者教育の充実として、これをさらに充実する観点から実践的な活動を行うためにどのような見直しを行うべきか。論点2は、学校外施設・人材との連携として、児童・生徒が実感を持った学習活動につながるとともに、社会に開かれた学習環境の構築を目指すためにどのような見直しを行うべきか、という観点からご議論いただければと存じます。
3ページをご覧ください。まず左上、1、現状。括弧1、現行学習指導要領の1つ目の丸にあるとおり、平成28年の中教審答申では、選挙権年齢の引き下げにより、小・中学校から体系的な主権者教育の充実を図ることや、高等学校への「公共」の設置などが示されました。このことを踏まえ、現行の学習指導要領では、主権者教育に関する内容の充実が図られたところです。また、3つ目の丸にあるとおり、文部科学省においては、平成27年に通知を発出するとともに、総務省と連携し、高校生向けの副教材の作成や、小・中学校の主権者教育を進めるための教員向け指導資料の作成などを行ってきたところです。
さらに、括弧2、学習指導要領改訂後の社会情勢の変化として、民法改正により、令和4年度から成年年齢が満18歳へ引き下げられたことに伴い、高校生にとって政治や社会は一層身近なものとなるとともに、こども基本法が令和5年から施行され、子供の権利の保障、意見表明、社会参画機会の確保、子供の最善の利益の考慮等が規定されたところです。
続いて、右側、括弧3の生徒の社会参画意識の現状ですが、生徒の社会参画意識は9ページに別途お示ししているとおり、近年上昇傾向にあるものの、諸外国と比べると低い水準であること。また、10ページにあるとおり、全体の投票率が6割程度であるのに対し、10代の投票率は4割強にとどまっている現状などが見られます。
また、3ページに戻りますけれども、括弧4、外部機関との連携状況としては、こちらもページが飛んで恐縮ですが、14ページに詳細のデータを記載しておりますけれども、高等学校における選挙管理委員会との連携が約2割、地方自治体との連携は約7%、関係団体・NPOとの連携は約3.3から5%になっております。
さらに3ページに戻りますが、括弧5、特別活動との連携として、子供の社会参画や意見表明の一層の具現化が求められる中、現在、別途特別活動ワーキンググループにおいては、7ページ目にあるとおり、児童会・生徒会活動、学校行事、学級・ホームルーム活動などについて、見直しを図る方向で検討が進められているところです。
4ページ目をご覧ください。改善の方向性2ということでございますけれども、先ほどご説明したとおり、児童生徒の社会参画意識が必ずしも高い状況ではないことを踏まえまして、より実践的な活動等を行う方向で見直しを行うこととしてはどうかと考えております。
まず、括弧1、基本的な考え方として、主権者教育は、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協力しながら社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担う力を発達段階に応じて身につけるものとされていること。主権者教育は国民主権を担う公民として、国民が自らの意思で政治に参加し、国家及び社会の形成者として必要な資質・能力を育むことを目指していること。社会参画意識を一層向上させるため、子供自身が有権者であることを意識し、自らの判断で権利を行使することができるよう、外部機関も活用した実践的な活動をより充実させる必要があること。主権者教育は学校教育全体に関わるものであることを踏まえ、総合的な学習・探究の時間や特別活動と連携して実施するとともに、各教科等を通じて主権者として必要な資質・能力を育むことも重要であること。特にこども基本法において、子供の権利保障や意見表明、社会参画の機会保障等が示されることを踏まえ、特別活動とも連携しながら子供たちが主体となって実感を持って活動する機会の充実を図ることなどを掲げております。
続いて、この4ページの右側の括弧2、具体的な方向性といたしまして、主権者教育の取組の充実に向けて、この取組を深めていく方向性、丸1の部分。そして、広げていく方向性、丸2。この2つを掲げた上で、まず丸1の深めるための取組としては、合意形成や社会参画を視野に入れながら社会との関わりを意識する課題を設定し、社会の現状を把握して学習の成果をまとめたり振り返ったりする活動を充実させることや、模擬選挙、模擬議会など、子供たちが主体となって実感を持つことができる実践的な活動について充実を図ることとしてはどうかと考えております。
その際、この下の米印のところにも記載しておりますけれども、これらの活動が形式的な活動にとどまらず、多様な意見を交わし合った上で合意形成を図っていくなど、社会科学習としての意義を踏まえた活動とすること。また、これらの取組が充実されるよう、学習指導要領・解説を含めて見直すことを検討してはどうかと考えております。
また、丸2、広げるための取組といたしましては、選挙管理委員会や議会事務局などの外部機関との連携・協働。特別活動や総合的な学習・探究の時間など、社会科以外の教科等との連携・協働なども図っていってはどうかと考えております。その際、こちらも米印のところに記載しているとおりでございますけれども、社会科としてはその特性を踏まえ、広範かつ客観的な視点から社会的事象を捉え、活動を行うことが重要であること。特定の見方・考え方に偏った取り扱いにより、児童生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう留意すること。情報収集を行うに当たっては、前回ワーキンググループでご議論いただいた社会的事象について調べまとめる技能、こちらは前回ワーキングでいただいたご意見等を踏まえて修正したものを15ページのほうにも示しておりますけれども、これらの活用も図っていくことなどが重要であると考えております。
また、先ほどの4ページに戻りますけれども、括弧3、その他といたしまして、国レベルでは総務省、地方公共団体では議会事務局や首長部局との連携など、より実践的な活動が円滑に進むよう取組を進めるとともに、児童生徒の発達段階や教科等横断の視点から主権者教育の全体像を体系的に示すことも重要であると考えているところでございます。
5ページ目でございますけれども、実践的な活動のイメージとして、これあくまでも例でございますけれども、模擬投票、模擬請願における連携のイメージ、外部機関との連携のイメージを示しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと存じます。
続きまして18ページをご覧ください。論点の2は学校外施設・人材との連携についてです。
まず1の現状と課題の、括弧1の現状です。21ページに別途お示ししておりますけれども、小学校の学習指導要領実施状況調査において、博物館や郷土資料館などの施設を活用した授業を行っているかという質問に対して、「そうしている」または「どちらかと言えばそうしている」、いわゆる肯定的な回答をした割合は、小学校3年生では8割弱である一方、学年が上がるにつれ下がる傾向にあり、小学校5年では4割程度にとどまっております。
同様に、次の22ページには中学校段階のものを示しておりますが、いずれの学年でも伸びはしているんですけれども、2割を下回る状況。また23ページには高等学校段階のものを科目別に示しておりますけれども、いずれの科目もまだまだ小学校等に比べると低い状況が見られるところでございます。
18ページにお戻りください。左側の括弧2、課題といたしまして、社会が多様化・複雑化していく中で、児童生徒が実感を持った学習活動を行う必要性が高まっていること。外部人材等の活用に当たり、必ずしも指導の目的や教育的効果等を十分に踏まえず、形式的な連携にとどまっている場合も見受けられること。公共施設や文化財などの地域の資源の活用は効果的である一方で、この下の3つの矢羽に示すとおり、地域人材の情報が不足していたり、活用が属人化しており、人事異動で引き継がれない場合も見受けられること。時間的・人的な制約に加え、地理的制約などもあり、実際に現地に行くことが難しい状況もあること。1人1台端末の活用が進む中、デジタルコンテンツを活用した学習やオンライン活用によるゲストティーチャーとの交流などの工夫も見られるが、十分に活用されているとは言えない状況なども見受けられるところでございます。
これらを踏まえまして、右上、2の改善の方向性として、考え方を整理しております。まず、括弧1、基本的な考え方として、学校外の機関との連携を促進しつつ、具体的な体験を伴う学習やデジタル環境を活用した取組の実施などを通じて、社会に開かれた学習環境の構築を目指すこととしてはどうかと考えております。
その上で、具体的な方向性として、外部人材の活用に当たっては、教師自身が活用の目的、意義や児童生徒、学校の実態を踏まえた上で指導計画全体を設計するとともに、事前の綿密な連携を行うことを前提とした上で、ここに掲げる丸1から丸3にかかる取組の横展開を図ってはどうかと考えております。具体的には、地域人材、施設などの情報を学校内で共有、引き継ぐ工夫。教育委員会による学校外施設の情報収集・整理や、機関同士をつなぐ仕組みの構築。1人1台端末を活用したデジタルコンテンツの効果的な活用等の取組を進めてはどうかと考えております。具体のイメージにつきましては19ページ、また20ページに掲載しておりますので、併せてご覧いただければと存じます。事務局からの説明は以上となります。
【土井主査】 ただいまのご説明に対するご意見等につきましては、この後の委員からの発表後に併せてお願いをしたいと存じます。それでは引き続き議題1、論点1に関連して、岡山大学学術研究院教育学域教授、桑原委員よりご発表いただきたいと思います。桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】 先ほどの事務局からの報告に加えて、私なりの主権者教育についての考え方等を踏まえて、主権者教育の課題と今後の在り方について報告させていただきます。
報告内容ですけれども、主権者教育の現状、そして課題、それから改善の方向性について、さらに主権者教育とはそもそも何なのかということを踏まえて、改善の方向性を何点か示していきたいと思います。
まず現在の主権者教育の課題について、私なりの視点から問題だと思う点を述べさせていただきます。まず第一点は目標の問題です。多くの主権者教育の取組が、どちらかというと投票率の向上、投票率の改善という方向に向かっているように思います。必ずしもすべてというわけではないですが、そのような授業、そのような取組においては多くの場合、義務としての投票の重要性を子供たちに理解させ、意欲を高めようとする、そういった取組がなされています。
そしてもう一つの問題としては、目標の問題に関わって連動するんですけれども、内容の問題としては、模擬投票など選挙に関わる内容を含むことが主権者教育には必要不可欠と考えられている動きがあります。そしてこれも目標と関わるんですけれども、方法の問題としては、投票への意欲を高めるということから、生徒が投票行為を実際に行うといった体験的な活動を中心に学習が構成されがちである。または体験的な活動を含まなければ主権者教育にならないというふうな考え方があります。
このような状況ですけれども、このような考え方が一つは、主権者教育というのは選挙に関わる特別な教育であって、学校のカリキュラムの中に別途付加されるものであり、特に社会科または公民科の担当の教員によって、あるいは選挙管理委員会などの外部の機関によって専門的に行われなければならない。こういうふうな捉えがなされているように思います。こういうふうな傾向が主権者教育をなかなか実施しにくいものにしているというだけでなく、学校の中で一部の教員、あるいは学校では担えないものというふうな誤解を与えているんではないかというふうに考えております。
こういう状況を改善するためにも、まずは主権者教育の目標について、それは主権者になるため、あるいは主権者を育てるための教育であるという目標について共通理解を図ることが必要だと考えます。あらゆる教育活動をこの主権者を育てるという目標の中に包括していくということが、本来主権者教育は目指すべきことであって、何か特別な教育活動を付加することではなく、学校で行われている様々な教育活動が主権者の育成という点から妥当であるかどうか、そういった見直し、改善をするための視点であるというふうに考えています。
そしてそういうふうな視点に立って内容を見直していくと、主権者になるため、あるいは主権者を育てるために必要なものはすべて主権者教育として含まれていくのではないかと思います。そう考えると、学校のあらゆる教育活動について、それは主権者教育につながるのか、主権者育成に役立つのか、あるいは主権者育成に貢献するのかといった見直しが図られるべきだと思います。
最終的には学習者である子供自身が主権者になるために、今の学習は必要だというふうに意味づけられることが大事で、子供たちが学習が終わった後、主権者として自分が成長したと実感できるような内容を考えていくことが必要だろうと思います。
そして、そのような目的を達成するためには、従来のように体験的な活動だけではなく、その体験自体を振り返っていく活動が必要だと思います。重要なのは体験活動そのものではなく、その体験の中で、まあそれが模擬投票であったり、あるいは選挙の演説であったりしてもいいんですけれども、その中で自分たちがどのように考え、判断したか、それが主権者としてふさわしいものであったか、それを学習者自身が考えていく、そのような学習が重要、学習活動が重要だと思います。
以上のことを踏まえて、中学校社会科、地理歴史科、公民科における主権者教育の方向性としては、事象・出来事、選挙に関わる制度などの学習から、その背後にある価値を踏まえた課題の探究という学習へつなげ、転換していくということが必要だと思います。最終的には子供自身が民主主義について自分なりの考えを持つということ、民主主義観の形成が目指されるべきではないでしょうか。
公民科や中学校の公民的分野においては、仕組みや制度、これが成立するに至る人々の葛藤や対立、そういったものを探究していく学習が必要ですし、地理歴史科や地理・歴史的分野においては、異なる時代や異なる国による社会の仕組みや制度を比較していく探究型の学習、そしてそれらを通して仕組みや制度の背後にある価値を捉えていく、このような学習が求められるというふうに思います。
また、高等学校の公民科に絞って内容構成と方法について考えたときには、民主主義的な仕組みや制度自体を学ぶだけではなく、制度の背後にある価値の探究、そしてそれらの制度を巡っての葛藤、こういった学習へ展開していく必要があるかと思います。
「公共」においては、よりよい社会の仕組みや制度を構想するための選択・判断の基準を作っていく、すなわち民主主義観を中学校の学習を踏まえて生徒の中に形成していくということが求められると思います。また、「倫理」や「政治・経済」においては、よりよい社会の仕組みや制度を巡って人々の間で様々な考え方や価値観があり、それらの葛藤や対立を通して選択・判断していく、その際の自分なりの基準を作っていく、これまで持っていた自分の基準が本当にこれでいいのか、他者と比べながらその基準を見直していく、そういった学習が期待されるように思います。民主主義的な価値観を作って、そしてそれを見直し、またさらに再形成していく、このような学習が高等学校の公民科の中で展開されていくことが望ましいのではないでしょうか。
また主権者教育はよく高等学校中心に考えられがちですけれども、本来高等学校で主権者としての正しい判断ができるようになるためには、小学校段階からの一貫した学習が必要だと思います。小中高一貫の主権者育成ということが求められているわけですけれども、小学校の段階から民主主義的な価値について学んでいくこと、自由とか権利などの価値観に基づいて社会の仕組みや制度について語る力を育成していくということが必要だと思います。
どちらかというと、日本の小学校の学習では抽象的なものよりも具体的なものをということで、抽象的な自由や権利といった理念については避けられがちなわけですけれども、もちろん具体的な事象や出来事、制度や仕組みといった学習が必要なことは言うまでもないわけですけれども、それらを通してその背後にある自由や権利といったことについても小学校段階から子供たちに考えさせるということが必要だと思います。
小学校段階で自由や権利といったことについて学び、さらに中学校においてより複雑な概念を習得し、高等学校においてはそれらの概念について多面的に考察する、そういった学習を展開するという方向が小中高一貫での主権者育成につながっていくと思います。
従来、小学校の学習においては人の行為の意図を理解する学習が中心であったわけですけれども、その意図の理解を少し深めて、その人がなぜそれを選択したのか、なぜそういうふうに判断したのか、その基準を捉えさせるような学習をすることで、日常の現象から自由や権利といった判断基準、価値観を捉えさせることができるのではないかと思います。そういった自由や権利といった判断基準が社会生活のルールや決まりを作っているんだということを子供自身が説明できるようにしていくことで、小学校段階から中学校・高等学校を通して主権者育成を一貫して進めることができるというふうに思います。
具体的な改善方法としては、まず一つ思考力・判断力の育成に関しては二点考えられるかと思っています。一つは従来思考力を育成する場合に「何々すべきである」というゴールにたどり着かせる指導が中心であったかと思うんですけれども、それだけではなく「何々すべきか」といったことを考えさせる学習へ転換していくことが必要だろうと思います。投票すべきで終わるのではなく、私たちはこの社会において本当にこの仕組みの中で投票しなければならないのか、ほかに方法はないのか、自分たちの考えを伝える、自分たちの考えを社会に反映させていくためにどんな方法があるのか、そういったことを広く考えさせた上で自分が本当にこの方法を選択すべきかを考えさせたいと思います。
そしてその「べき」について考えさせる際に、単純にメリット・デメリットを量的に判断させるだけではなく、自分が持っている考え方や価値観とその解決の方向性が合っているかどうかを踏まえた意思決定をさせるべきではないでしょうか。メリット・デメリットは社会の状況によって大きく変わります。しかし、その制度や仕組みが目指す方向性、理念、価値観といったものは、そう簡単に変わるものではありません。それが自分が目指す社会の方向と一致しているかどうかということを吟味するような学習が、本当の意味での思考力・判断力を鍛えるものにつながると思います。
主権者育成の改善の方向性として、学校の教育活動全体を通じた主権者育成が必要だという視点も必要かと思います。すべての教科、あらゆる教育活動を主権者育成という点から見直したときに、それは単に試験や進学のための学習ではなく、学校外の社会にも通じる価値によって裏付けられた学習になっていくだろうと。そのためにも学校外の社会との連携が必要になってくると思います。
そして内容や方法が似ているから、あるいは近いからということで教科同士や教科外の活動と連携させるということではなく、主権者という目標によって体系的に連携をしていくことが必要だろうと思います。例えばそこに挙げている例としては、ボランティアを考えるという学習を道徳、社会科、特別活動で連携させた例ですけれども、一貫して市民としてボランティアとはどういうものなのか、自分はボランティアにどう参加すべきなのかを考えさせる学習をしながら、三つの教育活動を連携させております。
地域社会との連携については外部人材の活用が必要なわけですけれども、その外部人材が単に教師に代わって専門家として子供の学習に介入していくというだけではなく、地域社会を子供と共に構成している市民として子供と一緒に学ぶ、そして子供がその専門家に対して意見を交わす、意見を言う、そういった関係が連携の中で出てくることが必要だろうと思います。
そこの例で挙げた取組は、ハザードマップの作成に関して専門家である消防士と子供たちがよりよいハザードマップの作り方をお互いに意見を出し合いながら議論した例ということになります。決して専門家の意見が正解として子供たちに示されるのではなく、子供たちの意見も良い点は取り入れられ、専門家と協力して新たなハザードマップが作られました。このように子供たちを対等な市民として学習の中に位置づけていくことが主権者育成につながるというふうに思います。
以上、具体的な改善方法としては三つの例を示しましたけれども、こういった取組を取り入れながら、主権者育成を学校の教育活動全体を見直す視点として進めていくということが必要だろうと思います。以上報告を終わります。
【土井主査】 桑原委員、ありがとうございました。それでは意見交換に移りたいと思います。事務局よりご説明をいただきました議題1及び桑原委員からのご発表に対するご質問、ご意見等をいただければと思います。
意見交換は1時間程度を考えておりますが、皆様にご発言の機会があるよう、1回のご発言は長くとも2分以内におまとめいただけますと幸いです。なお時間が足りなくなってしまった場合には、会議後発言いただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただいた上で、後日議事録掲載とする取り扱いにさせていただきます。
ご発言の際は資料のどのページ、どちらの論点に関するご意見であるかを明言いただけますと幸いです。それではご意見等のある方は挙手ボタンをお願いいたします。はい、それでは井柳委員お願いいたします。
【井柳委員】 今桑原先生のお話があったので、そちらのほうから少しお話ししたいと思うのですが、主権者教育というものを広く捉えるということなどもおっしゃってたと思うんですけど、私もまさにそのとおりだと思っています。実施する上で学年横断的とか分野横断的という視点が非常に私も重要だと思っていて、これなかなか大変だとは思いますが、主権者教育というのが結局自分の意見を持って表明して人と議論して、色々な葛藤の中で色々な答えを出していくという営みの中に位置づけられる限り、やはり学年横断的であったり、何も社会科だけではなくて国語だとか色々な分野で必要になってくるので、それぞれの先生方がそこの意識を共有していけるということが非常に重要なことだと思います。どういう仕組みでできるのかというのはちょっと分からないですけども、やはり分野横断的と学年横断的という意識を持った主権者教育が重要だというふうに思っています。また、もちろん特別活動とも連携していただければというふうに思っています。
一方で、社会参画意識に関するデータというのを事務局のほうからお示しいただいていたと思いますが、例えば自分の考えを持っている生徒が世界的にまだ日本は低いとか、社会を変えられると思っているような生徒が少ないとかという数字もありましたけど、これやはり気になっていて、広義の主権者教育というだけじゃなくて、日本の若い人がリアルな社会とか、もっと言ったら政治とか、国、世界、地域に対するリアルな問題に対する関心を十分持っているのかといったら、そこをやはりきちんと育てるという視点ももう一方で持っている必要があるかなというふうに思っています。やはり関心があると参加もするし、社会参画だったり政治参画だったりというのと関心度が関わっているというデータはたくさんありますが、そういう意味で言うと、やはりリアルな社会に対する関心を持つということ。ボランティアなどの参加までいっても、なかなか社会のもうちょっと政治的な関心というところを、私、究極的にはやはり投票率というのは一つの指標としては意味があると思っているので、社会とか政治に対する関心を持つというところの意識というのも教育の中に入れてほしいなというふうに思っています。
最後1点、外部機関との連携の話なのですが、これもご指摘のとおりでぜひ進めていただければというふうに思うんですが、学校側がやはり使いにくいのかなというふうに考えているのは、例えば政治にちょっと特化して話してしまうと、選挙管理委員会と議会事務局と、どちらも使っているところ使っていないところあるんですが、それぞれだいぶ違ったものを提供しているので、学校側としては何の目的でどう使えるのか分かりにくいというのもあるので、やはり使いやすいような形を、また選管と議会事務局も連携しているかというと、していないので、やはりそこら辺が使いやすいような形にしてほしいということと、選管のほうはかなり中立的な枠組みでやっていますが、議会側はもっと議員と話して地域のことを話したりとかなり踏み込んでいるので、そしてそういった活動は意義があると思っていますが、中立性の問題が学校の先生方が心配しないで進められるような、そういった形も配慮していただく形で使いやすいようにしていただけたらというふうに思っています。
【土井主査】 それでは、諸富委員お願いいたします。
【諸富委員】 桑原先生のご発表、大変共感を持ってお聞きしました。ちょっと驚いたのは現在の主権者教育の課題ということでお話しになられた3枚目のスライドのところ、主権者教育は選挙に関わる特別な教育であるため学校のカリキュラムに特別に付加されるものであって、学校においては社会科または公民担当の教員による、あるいは選挙管理委員会などの外部機関によって専門的に実施されなければいけないという誤解があるというスライド3枚目に書いていただいたことをお聞きしてびっくりした次第です。本当にこういう理解で主権者教育が行われてきたのだとすると大いなる誤解ではないかと。
選挙の投票率を高めるため、それがイコール成果だということではやはりないと思いますし、そこは桑原先生の目標をもう一回きちっと定義し直すべきだということを改めて確認することが必要かなというふうに思いました。
その中で、事務局にご提示いただいた今日の資料1のほうですけれども、私論点1について社会参画意識の育成についてというところだけちょっとご発言させていただきたいんですが、3枚目のスライドとかやはり外部機関との連携の比率が少ないことが数字で出ておりますが、これ一つは先生方やはり外部機関と調整して子供たちを連れて行って、準備をして当日を迎えて、さらにその成果を反映させた教育をしていくことのやはりご負担が大変重たいのではないかと。これはどんどんやっていくべきである一方で、なかなかこれを活発化させるにはある程度時間的、マンパワー的制約があるんじゃないかと想像します。
他方で今回出していただいた資料の中ですぐ下に特別活動との連携というのを随分大きく打ち出された点は非常に大きく賛成をしております。やはり外部機関との連携を踏まえて、特別な活動、特別な専門家による教育ということで位置づけられている限り、実際にはこういった主権者教育は内実を持たないんじゃないかとちょっと危惧しております。
それよりはこのスライドでいきますと、6ページに書いてありますように教科を中心とし、こちらで理論を学びながら一方で課題設定の実施、左下にあるようにグループ探究、個人探究をしつつ特別活動、生徒会とか各種学校行事などの場で子供たちが意思決定や企画などに参加をして、運営も参加をする、その中で自らが作っていくという感覚を得ること、政治的有効感覚ですね、体育祭はこういうふうに企画したいと子供たちが積極的に意見を言ってそれが採用されていって実現していく喜びを知るということが非常に大事ではないかと。こういったことを抜きに、自らの体験抜きに選挙管理委員会とだけ連携して大人の世界のことを見ても、なかなか主権者というのはこういうことだという腹落ち感がないまま教育が進んでしまうというふうに思います。
そういう意味では資料の次のページですね、7ページにあるような形で特別活動とそれから外部の地域の様々な学校と関わる意思決定機関などに積極的に子供を参加してもらって意思形成過程に関わる、こういったことを明確に打ち出されておりまして、これ素晴らしい取組だと思いますし、ぜひこれを進めていただきたいなというふうに思います。以上でございます。
【土井主査】 それでは、額田委員お願いいたします。
【額田委員】 主権者教育については今桑原委員やほかの先生方からもお話がありましたが、主権者教育は主権者としての資質・能力を育成する教育ということですから、まさしく教育基本法の目的に合致し、教育の本質であったり要であったりするわけで、私も、特別な教育ではないと思っています。
また、今回資料にも出てきたこども基本法は、子どもが個人として尊重され基本的人権が保障されることを定めています。すなわち、子供も客体ではなくて主体である、子供も主権者であるということであり、現在において意見を表明したり社会に参画することができる、そういう機会を保障するという内容です。そうすると、学校において主権者として将来にわたってそういう資質を育むという教育の面と実際に主権者として関与できる、その二つの側面があるというふうに思います。
そのいずれについても主権者教育の目的がちょっと違って捉えられているのではないかというご指摘もありましたけれども、主権者教育であるとかこども基本法というものについて、まず子供がその情報を知る、そういうものがあるんだということを知識としても知っていく必要があるのかと思います。この点は学校の先生についても同様なのかなというふうに思いますので、基盤として知識が共有されるということがまず一つ必要だと思います。
それから特別な教育ではないということで、日々の授業の中で社会の課題について調べたり考えたり、また意見を表明して議論をしていく、そういう中で深められていくことが重要なのではないかと思います。社会の課題というのは異なる意見とか考え方とか対立点があるということですから、その対象は校種や学年によって地域社会から国際社会まで広がっていくんだろうと思いますけれども、その積み重ねによって資質・能力が育まれていくということになるのではないかと思います。
ここで一番今までネックになってきたのが政治的中立性です。中立性という点を慮るばかりに政治的課題を取り上げない、そういうものを議論する場が授業の中でなかったというようなことが以前総務省からも出ていましたけれども、中立性については特定の政治的見解を伝えるというようなことでなければよろしいんだということが総務省や文科省からも出ていますので、そこの点をきちんと押さえた上で中立性がネックになって社会的課題から遠ざからない、社会的関心が低くならないようにするということが非常に重要と思います。
それからもう一つ、意見表明とか社会参画、教育ではなくて今現在における活動については、学校は、児童生徒が属する現在の社会という点で一番大きなところですので、校則であったりクラブ活動であったり行事であったりということについて意見を表明して参加していく、その意見が尊重されて実現していくということが非常に重要と考えます。そして、そのような過程を経験することによって、主権者としての実感ということも出ますし、主権者教育という意味でも実践に基づく積み重ねということで非常に大きな教育になるのではないかと思います。
外部連携については、やはり社会的課題、現実の課題ということを認識、理解をするための視点が子供たちに伝わる、そういう意味での連携ということができるとすごくいいのかなと思いました。
最後に、アンケートですけれども、私も従前から国や社会を自分が変えられるかというようなアンケートについて非常に低い数字が日本では出ているということが気になっていたのですが質問の文章自体がちょっと変わったということではありますが、自分の行動で国や社会を変えられると思うという割合が非常に上がってきたというのは良かったなと思っていて、今回の改訂等も踏まえてそこがさらに上がっていくようになればいいなというふうに思っています。
【土井主査】 それでは鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 まず桑原委員の資料のところとなる3ページです。現在の主権者教育の課題について、話があったとおり課題はあると思います。これはどちらかというと、教員全体ないしは、学校教育全体で考えたとき、あるいは学校現場全体で考えたときにそういう傾向はあると感じます。
これは主権者教育に限らず、例えば〇〇教育と言われるもの、例えばがん教育とか性教育のように、様々な〇〇教育というものがありますけれども、こういった教育活動が学校全体でできていないとか、単発の教育活動でやったことにしていると言えるようなことも山ほどあります。そうした教育活動が体系的に学校の中でカリキュラム・マネジメントのもとで整理されているかどうかということは、非常に大変なところであり、苦労もしているところでもあります。
私が出会っている人たちの中で、社会科教育を一生懸命に考えている人、あるいは社会科教育をしっかりやろうとしている人たちは、ここに示されたような課題に陥らないように、しっかりと主権者教育をきちんと考えて、よりよい教育活動をしようと考えている人が多いと思っていますので、社会科教員の多くは大丈夫だと思っています。私の感想でもあります。
別のページに飛びますが、4ページの内容になります。4ページでは、非常に私は大事だと思っていることは、4ページの一番右下にある、(3)その他の二つ目の項目です。児童生徒の発達段階や教科等横断の視点から主権者教育の全体像を体系的に示すことを検討すると書いてあります。この全体像がきちんと示されることがまず大事だと思います。
文部科学省の資料の中では、ホームページでも様々これまでに打ち出しているものはありますが、学習指導要領に則した形で全体像を示すというところについては、まだまだ整理が必要だと思っています。なぜここに着目するのかといえば、そもそも主権者教育は学校教育全体に関わるものであるという視点があり、それが出発点であるからだと思います。
その中で、社会科としては社会、地理・歴史、公民として社会科の学習指導要領を考えるという段階に入ったときには、教科の学習活動として、また学習内容も含めて、主権者教育は社会科としてどこまでやれるのか、やるのか、すべきことは何か、こうしたことがきちんと整理されて明確に示されないと、社会科の枠を超えた内容までも全部引き受けようという議論になりかねないと思っています。そもそもの資質・能力という視点からも、社会科だけで全部やろうという考え方はしていないと思いますので、そこの区別や整理をしながらこの議論は進めたほうが良いと思っています。
それから、今の話の続きになります。桑原委員の5ページのところに、改善の方向性(2)のところです。異なる時代や異なる国による社会の仕組みや制度の比較・探究と書いてあります。公民科におけると書いてあるのですが、社会科のことを考えると、公民的分野の中では主権者教育に直結する学習内容や学習活動について、様々に位置づけできているところがあると思います。しかし社会科として考えると、実は私としては歴史的分野が大事だと思っています。歴史の学習をする中でそこを貫くように、社会参画の視点など主権者教育につながるような視点で歴史の学習にきちんと位置づけて、学習の中でそこを追いかけていくような積み上げがあると、公民の勉強をしたときに、なるほど、実際の社会の中ではこういう仕組みになっているんだ、こういう方法で自分は参加していけるんだということを学んでいく流れになります。私は歴史の学習の中でこそ、主権者教育を意識した学習内容の示し方や、学習の進め方をもっと強く示していいのではないかと思いました。
それから、今度は18ページです。学校外施設・人材との連携というところであります。この部分については、これは先に話題になった地域調査のときの議論と私は同じ問題が背景にあると思います。学校外施設・人材との連携を考えるとき、18ページ右側の(2)の項目の中に、「教師自身が」とまず書いてあります。教師自身が活用の目的、意義や教育的効果、児童生徒や学校の実態を踏まえたうえで指導計画全体を設計するとともに、綿密な事前打ち合わせとあります。社会科の教師個人では指導計画は作れますが、それを実際に行おうとするときには、教育課程の全体、あるいは資料の中にも書いてありますけど、時間割の編成の中で、どういう調整をすると実現できるのかという、教科の指導計画を作るのとは別の教育課程の調整のところ、あるいは学校内の調整のところ、この部分がしっかりできる教員でなければ実施率は上がっていかないと思います。でもこれはなかなか経験がない方にはできないところでもあったり、経験の浅い方は校内の調整で遠慮してしまったりすることもありますので、この課題について学習指導要領にどこまで示すかが難しいところです。こうしたことも意識しながら検討して示していく必要があるかと思っています。
最後に、感想になってしまいますが、今度はまた別の話です。21ページです。21ページの小学校の社会科における実施状況のデータを見たとき、このことは小学校の社会科に詳しい方の言葉も欲しいところですけれども、小3、小4、特に小4までは、身近な地域の学習でたくさん社会科見学などをして連携、あるいは施設を活用した学習が非常に多く行われていると思います。
ところが小5、小6になるとその学習の枠組みが都道府県に広がって大きくなって、さらには地理や歴史・公民と幅広い内容が入ってくるので、博物館や郷土資料館などの施設を活用した授業あるいは社会科見学ということについては、なかなかしづらい状況がやってくると思います。ですので、小4、小6の段階ではちょっと割合が高めかと思いますが、割合の高低があるのはそんな背景もあると推測しています。
このことを今度は中学校に引きつけて考えると、中学校は社会科見学という形での取組はなかなかない状況です。その中でも先ほど申し上げたように、様々な調整をしながら実施に努めている人が増えている、そういう学校が増えてきているという数字として受け止めていきたいと思っています。以上でございます。
【土井主査】 それでは、山田圭一委員お願いいたします。
【山田(圭)委員】 現状に関する認識として私ちょっと今日示された資料と違う認識を持っていて、若者の投票率は前回の参議院選挙とかかなり上がったと思いますし、政治への関心に関して言うと、定量的なデータ持っていないですけども少なくとも私の周りの学生さんとかはむしろ関心は高まっているんじゃないかなと思うんですね。
むしろ問題なのはどういう関心の高まり方なのかというそこが多分重要だと思っていて、その観点で言うとちょっと大変申し訳ないんですけど、今回の文部科学省の資料ちょっと古いんじゃないかなという気がしていて、今の状況に合わせた主権者教育の在り方というのをもうちょっと考えたほうがいいんじゃないかというのが私の意見です。
具体的に言うと、これは前の資料にあったと思うんですけども、18歳から20歳の最もその投票に影響を与えたメディアというのはSNSなわけですよね。で、それはほかの年代と圧倒的に違って、その割合はこれからむしろどんどん増えていくというふうに予想されるんですけども。
そのときに、まさにこの今4ページに書いてあるように、学校の中でその特定の見方に偏った主権者教育をやっちゃいけないみたいな話をするわけじゃないですか。それ自体は必要なのかもしれないんですけど、でもそれはむしろ学校でどんなに偏らない仕方でやったとしても、彼らの現実としてはSNSでほぼ選挙に関する情報を得て、でしかもメインはXですらないわけですよね。インスタ、YouTube、TikTokといういわゆるショート動画、切り抜き動画みたいなものがメインになっているという。
その状況の中でまさに偏ったある特定の動画がメカニズムとして提供されているという状況の中で、まさに彼らは判断しなきゃいけないというのがまず現状だと思うんですよ。であればやはりまさにそういう状況の中でどういう情報の下で判断をするべきなのかということからやはり教える必要がある、あるいは考えさせる必要があるんじゃないかなというのは私の意見です。
先ほど桑原先生のご発表の中で非常に重要だなと思ったのは、主権者としてふさわしかったかどうかを振り返るというお話があって、これはすごく重要だと私も思うんですね。だから投票率が上がればいいとか政治に参加すればいい、関心持てばいいって話じゃなくて、それが主権者としてふさわしいものかどうかというのが多分一番重要なポイントで。じゃあ主権者としてふさわしいってどういうことなのかというここを教えるのがまさに主権者教育の一番の肝なんじゃないかなと思うんですね。で、何か推し活みたいなのはアイドルに関して推し活するのは全然問題ないわけだけど、単純接触効果で一番なんかTikTok見た人を推し活のように応援するみたいなのが政治だとまずいわけですよね。それは何で駄目かといったら主権者としてふさわしくないからという、そこがどう違うのかというところがやはり主権者教育にとっての一番重要なポイントじゃないかなと思うので、まさに現在の彼ら自身が判断の情報源としているようなものを授業の中でもデジタル教材を使いながら、これで信じちゃっていいのという、これでそのまま財務省解体デモに行っちゃっていいのみたいなことからまさに考えてもらうような授業が、少なくとも今の若者の主権者教育にとっては重要なんじゃないかというのが私の意見になります。
【土井主査】 それでは黒田委員お願いいたします。
【黒田委員】 事務局からのご提案や桑原先生のご提案、そのとおりだなというふうに思っております。特に桑原先生がおっしゃったとおり、主権者教育というのは特別なことではなくって、政治だけではないというところは賛同いたします。
現場で社会科やってきた人間としてはやっぱり社会参画こそ社会科の醍醐味だなというふうに思っております。社会科の本質のおもしろさだと思うので、特別なことと考えずにやはり社会科の今まで大事にしてきた本質を大切にするべきだなというふうに思っております。
実際アンケートの結果、調査の結果ですけど9ページ、諸外国と比べたら低くなっていますけど上昇傾向にあって、これは今の指導要領の改訂が非常にうまくいっているということではないのかなと思ってて、このまま続けていっても上昇していくというような見方もできるんではないかなと考えると、やはり本質的な問題解決的なプロセスの充実とか、問い、入り口でしっかり社会とつないだ問いにしてあげるとか、概念化の部分で選択・判断をしっかりするとか、出口でしっかり社会とつないで世の中に戻してあげるとか、こういった今の社会科から大事にされている社会とつなぐとか単元で考えるということを、しっかりやっていくということがやはり本質になってくるんじゃないかなということを考えると、特別なことではないし政治だけではないなということに納得しました。
私国がやっている主権者教育の実践とか研究会にも何度か参加させていただいたんですけど、そこでの授業実践というのは非常に小学校の実践が私は参考になりました。またこの社会参画の好事例というのがたくさん現場では行われております。ですから、そういったやっぱり特別なことじゃなくって、参画の好例とかイメージをみんなが共有することが、これから社会参画意識の育成について重要になってくるんではないかなというふうに思いました。
【土井主査】 それでは韮塚委員お願いいたします。
【韮塚委員】 先ほど桑原委員さんからご報告があったスライドの最後のスライドをお願いいたします。こちらのスライドでご報告があったように、外部人材と生徒たちとで作り上げたですね、このハザードマップの実践のご報告をお伺いして、とても私はいい事例だなというふうに考えたところです。
子供たちの社会参画意識を考えたときに、自分たちの考えたことと、それから専門家の方、あるいは市民の方とともにこう熟議しながらですね、新たなものを作り出していったという経験はとても大事かなと思ったところです。
この実践を振り返ったときに、前回のですねワーキンググループのこの検討会議の中でお話のあった中学校のですね、分野横断的な学習が三段階こう設定される方向でお話があったと思うんですね。その中の三つ目の、よりよい社会を目指してというですね、分野横断的な学習の中にまさにですね、こういった子供たちの社会参画を意識づけるような実践を位置づけるべきだというふうに考えています。
そういう意味で、今回の議論、特にこの主権者教育、参画意識を育てる議論の中に、前回の議論を踏まえたですね、位置づけをしていただけるといいかなというふうに考えました。以上です。
【土井主査】 では山内委員お願いいたします。
【山内委員】 私自身が自戒を込めてということも含めて、お話をさせていただきたいと思うんですけれども。
資料1の、例えば3ページに参画意識が必ずしも高くないとお示しいただいているかと思います。これは一つにやはり学び、授業が単元を通して、かなり断片的に行われているので、学びがつながらないです。学びの内容がつながらないということが結構あるのではないかなということで、それが結局のところ子供に落ちてないということがあり、かなり社会参画の意識を妨げているんではないかなというところも懸念しているところです。
それで、それを改善する方法として、やはり先ほど来お話がありました分野横断とか学年をまたいでとかですね、歴史学習を位置づけるみたいなことでお話いただいたかと思うんですけれども、やはりカリキュラムベースで民主主義とか民主的な手続きということを系統的に取り上げて学ぶ必要があるんではないかなということを改めて考えている次第です。
例えば小学校においてはですね、6学年で先行する我が国の政治の働きということを踏まえて歴史学習が想定されているかと思うんですけれども、ここのところをより関連づけていくなどして、政治の動き、働きということが理解された上で過去はどうだったのかということをつなげていく関連づけ、歴史学習を組み立てていくことが必要ではないでしょうか。
それから小学校において、民主主義に関わる来歴を学ぶとかいったようなこともできるでしょうし、例えば第5回の資料のですね、51ページになりますでしょうか。分野横断で、例えば分野横断のBの「私たちと社会」というのがあったかと思うんですけれども、例えばその単元身近な地域から社会の課題について来歴から関連付けていく、あるいは今の社会の問題と関連づけていく。また過去にはどういう解決策があったのか、その手法が採られたのはなぜなのかということも展開できると思います。そういった展開をしていきますと、ある意味で内容も合理化できると思います。子供たちの中でも学びが関連付けられていくのではないでしょうか。社会で自分たちが主権者としてどういうようなことができるのか、あるいはどういうとこにとらわれているのか、解決が難しいのかみたいなこと、さらには振り返りまで想定していきますと、過去の考えと学習後の考え,他者の考えと対比させる活動を行うことで、自己調整までできるのではないでしょうか。そういった一貫したものをですね、やはり示していく必要があるのではないでしょうか。以上でございます。
【土井主査】 それでは大村委員、お願いいたします。
【大村委員】 文科省の皆様には大変整理された資料の作成、また桑原委員のご発表も大変参考になりました。私からは文科省の皆様に作成いただいた資料1から二点述べさせていただきます。
まず一点目は4ページです。で、この内容に行く前に、まず主権者教育がすべての教育活動全体で行っていくものであって、特別なもので育むものではないということとか、横断的な視点が大事であるということを前提とした上で、同時に通底や連携ということならではということの二つの面を意識する必要があるだろうと思います。
で、その点からちょっとお話なんですが、特別活動のワーキンググループにも参加させていただいているのでその点も踏まえて言及すると、特別活動は模擬でも未来でもないというのが重要な特質です。学校生活それ自体を今この瞬間よりよくしていくための民主主義的な営み、まあ合意形成を図ろうとする話し合いとかですね、そういう民主主義的な営みによって民主主義とか共生社会の担い手としての資質・能力を高めていくのが特別活動の特質だと思います。
で、一方で社会科は学校に閉じずに地域とか都道府県とか日本とか世界に視野を広げながら、身近なものを含めて世の中を問い続けることで、またそこに参画していくことで、平和で民主的な社会の形成者としての資質・能力を育むことがその特質だと思います。だから、連携強化は大切で、もう大賛成なんですけど、4ページの右側の米印のところに書かれているようにですね、社会科としては広範かつ客観的な視点から社会的事象を捉え、活動を行うことが重要ということ、このことがとても大切だと思いました。
連携はもちろん大切なんだけれど、その特質を生かしつつ連携するという視点とか、連携の目的がおろそかになると、連携すること自体が目的になる恐れがあるように思いました。あくまでも主権者教育の充実として、それぞれの特質を生かしながら連携するのだということを強調されるといいのかなというふうに思いました。それが一点目です。
で、それとも関わりますが、二点目が18ページになります。学校外施設・人材との連携についてですが、実感を持った学習活動を行うことの必要性が高まっているという課題のところの最初に言及があります。で、主権者教育に限らず社会科教育全般で確かに大切な視点だと思いますが、桑原委員もご発表いただきましたように、例えば主権者を育てるというのは、投票すればいいとか、投票する感覚を体験させればいいわけではなくて、投票の判断に至るまでの適切な情報収集力とか思考力・判断力、そして民主主義観が必要になると思います。
つまり主権者になるため、主権者を育てるための教育活動になっているかという視点こそが大切になるはずなので、そう考えると、もちろんここではですね、主権者教育に限らず社会科教育全般に関してのことでもありますが、学校外施設・人材との連携はとても効果的だけれど、それ自体が目的なわけではなくて、どのような教育的意図として連携するのか、連携ありき、学校外施設利用ありきにならないことへの留意の言及が必要ではないかと思います。
実際ですね、たくさんの現場を見させていただくと、もうこの時期はここに見学に行くことが決まっているからみたいな状況って結構お見受けすることがあります。それはやっぱりちょっと目的と手段が逆転してしまっていると思うので、社会に開かれた学習環境は大切だけれど、開かれた環境の構築自体が目的ではないことへの言及が必要ではないかなと思いました。すいません、以上になります。
【土井主査】 それでは、宇津川委員お願いいたします。
【宇津川委員】 2ページ目の議題1に書かれている論点1と論点2、それぞれに一点ずつコメントいたします。ただ論点1に関しましては、ちょうど先ほどの大村委員からのお話とほぼ同じですので少しだけにいたします。3ページ目のところにあります「主権者教育」というのは、私はそれこそまさに特別活動のことではないかと、そこで完結していると言ってもいいくらいに、小中高においての主権者教育は特別活動、特に生徒会活動や学級・ホームルーム活動というのがまさにそうなのだろうと思っていました。ですので、連携というよりも特別活動そのものをきちんと主権者教育として認識させて、そこをまずきちんとやるということさえしていればまず良いのではないかと。もしさらに広げるのであれば、「実社会では実際に選挙に行くことだよね」などと適宜補足すればよいのではないかと。学校に関わっている自分自身がもうすでに主権者なんだという認識にはまずなっていると思いますので、連携はさておき、特別活動というものがもうすでに十分意味をなしていて、もっとしっかりやっていくならば特別活動を見直すことではないのかと改めて思いました。
論点2に関しまして、18ページにデジタルコンテンツについて書かれています。昨今の博物館との連携ということには文部科学省さんに物申したく思っており、学生・生徒が学校を出て外で得る活動ももちろん機会として必要なのですが、博物館の方々にももう少し校内での授業に参画しやすいような制度も必要だと思っています。この点は正直おそらく指導要領とは別の方面の話になるとは思うのですが、「学校から(博物館に)行く」だけではなくて「(博物館から)学校に来てもらう」ような、矢印を変えるような働きを促せる仕組みづくりというものも文部科学省さんには必要ではないかと思いました。
【土井主査】 それでは板倉委員お願いいたします。
【板倉委員】 小学校現場にいる立場から二点お話させていただきます。
まず一点目は、先ほど鈴木委員が小学校の方にもお話いただきたいとおっしゃっていた、資料18ページの「小学校では博物館や資料館を活用した授業の実施状況が学年が上がるにつれて下がる傾向にある」ということについてです。
やはり私も同意見で、根拠として挙げられている実施状況調査の結果を見てみますと、平成24年、令和4年とも、6年生よりも5年生が低くなっているかと思います。これは学年が上がるから活用率が下がるというよりも、学習対象や内容との関連で高学年が低くなる結果になっているということが想定されますので、実感をもった学習活動の必要性につながる現状のデータとしては、提示する上で注意が必要な気がしますし、ICTで全国とつながれるようになってきたことで、今後この活用の必要性や数値が示す意味についても変わっていくのかと考えています。
二点目は、同じ18ページにある改善の方向性についてです。共有や引き継ぎによる継続的な活用については、メリットが大きいのはもちろんですが、意外と社会の変化や人材の変化に対しては脆弱な面もあって、逆に形式的な連携を生み出す可能性も孕んでいるように感じています。
綿密な打ち合わせをしても、自分のやり方が固定化して、昔の単元や学習活動のイメージから抜けられない外部人材の姿というのも、現場では実際問題あるような気がします。そう考えた場合に、ここにある具体的な方向性はあくまで学校側へのアプローチとして描かれているのですが、実際には、資料4ページの論点1にあった円滑な連携や各部局等との連携とも関わって、連携する外部機関へのアプローチとして、今回の学習指導要領改訂の趣旨や内容が広く理解されるような方策があると、資料18ページに示されている改善の方向性がより生きていくような気がしました。
【土井主査】 それでは引き続いて石井英真英委員お願いいたします。
【石井(英)委員】 桑原先生の報告も含めて非常に勉強になりました。それで改めて思ったことでありますけども、今現行学習指導要領でもそうですが、資質・能力ベースというふうに言われることはですね、これは背景にはコンピテンシーベースなんていうふうな発想もあるわけですけども、これは単なる人材育成に閉じたものではないというふうなところが重要でありまして、まさに人材としてというふうなことではなく、それだけではなくてやっぱり市民として。
で、その市民としてというふうな側面をですね、さらに強調する形で今回この間の議論においても、民主的で持続的な社会の創り手を育てるということが今回の学習指導要領改訂論議においても大きな柱になってきているというふうに思います。
そういう点からしますと、まさに桑原先生がおっしゃったように、この主権者教育ということは、これはまさにこの教育活動全体を貫くやはり大きなビジョンというふうな位置づけで考えていくことが重要なのかなと思います。
特にそのときに学校教育の中でこの主権者教育を行ったときに、先ほどのこの議論の中でも、もう本当にこの特別活動というのは、まさにこの学校の中でもともとやっている主権者教育の核になる部分であるということはあるわけですけれども、それに加えてやっぱり教科も含めてということで、教育課程全体でというふうなことで申しますと、先ほど山田委員がおっしゃったことは非常に私も同感でありまして、どういう関心の高まりであるかというふうな、まさにその主権者としてのふさわしさといったものが非常にやっぱり今大事になってきているのかなと思います。
なぜ今特に大事なのかということで言えば、人々が発信者になれると。で、さらに言うとそれによって、実は動かせるということもそうですし、動かしてしまえるんですね、実は世論も含めて。だからここがですね、民主主義の負の側面といったものも実は関係しているわけですけども、この抑えが大事かなと思います。実は発信者になれるってことが非常に重要であるということです。
ですからそう考えますと、政治参画、社会参画というのは、これは投票だけではないということもあってですね、それも含めてやっぱりこの主権者としてのふさわしさを考えていく。さらに言うと、社会科ということで認識の形成を含まれることによって、まあ単に集団を動かすだけではなくて、天下国家の論じ方、動かし方、これを学ぶということが、これがやっぱり社会科においてはとても私大事なんではないかなと思います。
ですからそういった、主権者としてのふさわしさで、それを社会科と特別活動の役割分担で申しますと、大きくはこの社会科と教科というのは認識に関わる。で、さらに言うと、この特別活動は行動の指導というかですね、行為・行動の能力に関わってくるというふうに、まあざっくりとですね、もちろん関連するわけですけども、考えれば、やはり先ほどから、この社会科というのは、社会科としての独自性ということで、社会事象を捉えるということで申しますと、まあ今のやっぱり社会科の一番の課題というのは、社会科は好きだけども社会に関心なしとかですね、本当に社会っていったものを捉えているのかということだと思うんですね。
ですから、この間もこの地域研究を通して社会といったものをリアルに捉えるというふうなことが議論されていると思いますけども、これは非常にやっぱり重要でありまして、改めてその社会のリアルを捉える。
で、そのときにはこの政治的中立性の話とも関係しますけれども、社会というのは様々な論争点があると。ですからドイツの政治教育に学ぶのであれば、まさに政治的中立性ということは政治的であるというその話題を避けることではなく、むしろ両論併記ではないですが、まさにネット上の様々な議論っていったものがどういう座標軸の上に乗っかっているのか、それをしっかりと自分なりに見極めていくようなですね、そういった座標軸を得るというふうなことが重要であってですね、そういった形での論争的な問題を軸にした社会認識を育てていくってことが認識においては重要だと思います。
もう一つ行為・行動の指導ということで申しますと、単にこの意見表明っていうだけではなくてですね、まさに先ほど諸富委員のお話もあったように集団の意思形成。で、さらに言うと意思形成の先に、自分たちの集団を自分たちで切り盛りする、自治をする。ただ、その自治という形のある種責任を引き受けてですね、自分たち当事者意識を持ってその集団とか社会を作っていく。この意見表明から意思形成、さらに自治に向かう、これが行為・行動の指導において大事かと思いますので、そういうことも含めて全体のカリキュラム全体において体系的に整理していくことが重要かなと思います。
【土井主査】 少々時間も迫ってまいりましたので、一応今挙手していただいている寺田委員までで一区切りとさせていただければと思いますので、ご理解いただければ幸いです。それでは、杉山委員お願いいたします。
【杉山委員】 ふだん私は歴史の分野の研究をしていますので、初めてのお話も多かったのですが、非常に勉強になりました。
それで、主権者教育と歴史系分野の両方に関わっている点についてです。桑原委員のお話、なるほどと思って伺っていましたが、3ページのところで、主権者教育に対する誤解について、最初のほうで諸富先生も驚いたとおっしゃっていましたが、私もちょっと驚きました。鈴木委員もおっしゃったように、歴史、さらに言えば国語その他の教科も全部含めて、全人格的にやっていくのが主権者教育だと思っていたものですから、そういう誤解があるということ自体がちょっと驚きでした。その前提で聞いていたのですが、5ページのところ、先ほどの鈴木委員のご指摘に私も全く同感でありまして、異なる時代や異なる国による仕組みや制度の比較といったことがここで挙がっていますが、こういった方向性が、特にこの分野では中学社会の歴史分野、あるいは地歴科の歴史科目において、今後非常に重要になる部分かなと、お話を伺っていて感じました。
それはおそらく主権者教育という切り取り方だけではなく、今後こういった歴史分野あるいは地理歴史科の歴史系科目の組み立て方や、内容の精選のしかた、筋の組み立て方などを考えるときにも、連動して考えるべきポイントになると思って聞いておりました。それは、今後いっそう科目横断的に連携して児童生徒の教育を組み立てていくときにも重要な点だと思いました。
そのときにもう一つは、特に高等学校の科目でよく言われている、概念を活用する、あるいは概念を手がかりとして捉える、整理していく、といった部分ともリンクすると思いました。歴史分野でこういった教育内容を絡めると、やはり〇〇革命とか〇〇法といったような、特定の出来事や人物、思想、党派を個別的に学習したり、より詳しくやるという方向に行きがちですが、そうではなく、その概念や考え方というものを、歴史なら歴史、公民なら公民で、それぞれの角度からやっていくことが重要と思います。
そういった中で、例えばより多くの人々の意見を反映するとか、反対する意見を発言する権利を保障するなどといった、この政策はいいとかいうことではなく、そのもう一歩手前にある基本のルールや考え方を、歴史系や公民系で連携しながら、個別的な事象やその是非の判断とは切り分けて理解していけるように組み立てるとき、やはり歴史分野も非常に重要であると思いますし、現行の事項中心の学習では、そういった部分と連動するように歴史系科目も組み立てていかないといけないと感じました。それが大きな点です。
それとちょっと個別的かもしれませんが、説明資料の9ページ、当事者意識に関連してデータが出ていました。私はそういった分析に関しては素人ではありますが、外国のことを専門にしていてちょっと気になるのは、こういったデータはよく出てくるのですけれど、おそらくこれは、質問されたときにどう答えるかが文化的な背景や政治的制約などで国によって全く違うので、数字だけを見て評価するのは危険ではないかと常々思っております。
おそらく日本以外の国では、自分が思っているよりもある意味大げさに答える社会慣習があるように見受けており、逆に日本人はおそらく控えめに答える文化があるので、すぐにデータを議論に結びつけていいのかと思いました。
それからこの中で一国だけ、中国は一党独裁国家であって、例えば丸1、丸2にある選挙というものは存在しません。それから丸3、「社会を変えられる」と思ったら、これはかの国ではおそらく政治犯になります。そういう国のデータは、もちろん隣国としてデータは入れるべきではありますが、分析のときには何クッションか説明が必要です。これだけを見て我が国の若者は外国と比べて〇〇であるというのは適当ではなく、このデータはちょっと慎重に使うべきかなと思います。これは、この資料に限らず常々思っている点です。
最後に一点、中立性の担保は非常にセンシティブな部分だというのは私も思っておりますが、先ほど直近で石井委員がおっしゃっていたように、すべてに距離を取ることではないというのは私もそう思います。そういったときに、資料、すなわち確たる根拠に基づいて、そして妥当な論理を考えてアプローチしていく、という現在の総合・探究科目で示している方向性は、きっとそのベースになると思います。単に両論併記でない形でやっていくときの、中立性の担保の原動力、ベースになるかなと思って聞いておりました。
【土井主査】 それでは中山委員お願いいたします。
【中山委員】 18ページの論点2、施設・人材との連携についてのところでコメントをさせてください。課題のところの括弧2、三つ目の丸ですけれど、地域人材の情報不足と属人化のところなんですが、この地域人材は個人のことが多いと思うんです。社会科の教師がその教材を作るに当たってその方とコンタクトを取って、信頼関係とその教師の熱意とか意図に応じて、その応じる人材の方はイエスと言って授業に協力してくれ、実現可能にすると思うのです。それが属人化するのはある程度仕方がないことと思うのです。それが他人に引き継がれたときに、その熱意とか趣旨が残っていなければ協力しようがないので、全面的な否定ではないのですが、属人化も致し方がないけれどもというニュアンスのほうがまあいいのかなと思っております。
そして、右側の改善の方向性ですけれども、具体的な体験を伴う学習というのは本当に大事なことで、ここに書いてあることに何ら違和感はないのですけれども、でも現場の感覚からいくと、その下の綿密な打ち合わせとか、そういうことを考えてきたときにですね、書いてあることはそのとおりなんだけど、リアルな世界ではやりにくいことがあると思うのです。
具体的な体験を伴ったときに、ポケットマネー的な支払いが出るんですね。材料費とか、施設の使用料とか、組織と組織のときはそれが解消されても、個人で何か体験を提供してくださるときに手土産や謝金のようなもののことです。
それから、具体的な方向として、綿密な打ち合わせもその通りですけれども、外部人材との綿密な打ち合わせをする時間やエネルギーがないから実現ができないというのが実態にあって、そこを繰り返し言ったとしても改善にはつながりにくいと思っているのです。ですから、教育委員会や学校の事例、取組のアイディアを整理するだけじゃなくて、取組を実現する手立てを具体的に示すというところまでは求めないといけないかなと思っています。
その下の丸2ですけれども、情報を整理して提供するとか仕組みを示すだけではなくて、仕組みプラス具体的な支援が求められるというふうに思ってます。先ほど言った経済的な支援かもしれませんし、マンパワーかもしれないのですけれども、つなげる仕組みを示されたところで、現場にとっては分かってはいるけどそこに手を出す力がないというところで実践が止まってしまうとするならば、仕組みプラス支援を示すということをそこまで求めたいと思います。
社会科の教師は地域人材を活用したり掘り起こしたりすることができるかもしれませんが、得意じゃない方はですね、どうつながるかとか、つながりを維持する力とかのほうがもしかしたら必要かもしれません。人が掘り起こしたものを引き受けるとどうしてもそれは無責任なことになりやすいので、自分が責任を持って人材を生かしていくためにはですね、その研修、どうやって地域の人と出会って教材化まで持ち込むかというのは研修も教育委員会レベルでしていくことも盛り込んでいくと、改善の方向性がより具体的な改善につながるかなと思いました。
【土井主査】 それでは新保委員お願いいたします。
【新保委員】 大変勉強になりました。概ね全体としては賛成でございます。桑原先生のお話にありました、主権者教育が投票意欲を高めることだけが目的になっているという誤解と言いましょうか、課題があるというお話、誠にそのとおりだなというふうに思いました。
また単に私のですね、思いつきの意見を述べることだけがこの主権者教育ということではなくて、社会科でやるべき主権者教育とは、やはり公民としての資質を育てるのは社会科ですから、公民としてその持続可能な社会の創り手としてですね、自ら行動するという、そういう主権者教育であるべき、その視点を忘れてはいけないなと。これは文科省資料の4ページにも書かれていることかと思いますけども、改めてそこのところは社会科として重要なところかなと思いました。
もう一点でございますが、18ページに学校外施設・人材との連携のことが書かれております。これよく読むとバランス取れて書かれていると思うんですが、どうしてもですね、博物館や郷土資料館といったような、そういうところが強くイメージを受けます。
それだけじゃなくてですね、やはり地域の企業とかですね、団体というのもちゃんと書き込んではどうでしょうか。19ページ、江東区立第二辰巳小学校の取組という、これ非常に私はいいなと思ったんですが、これを見るとですね、この特に右下の地図、その学校の周りにある様々な企業さんや団体、いろんなものがこう入っています。
こういうところとの連携の中で学んでいくんだというですね、主権者教育についてもですね、みんなどの企業・団体も社会のためにまず貢献すると。それによって生業を作っていくんだということでみんなやっているわけですから、そこをつなげていくということも十分考えていく。単に博物館とか郷土資料館だけじゃないということをですね、身近なとこにそれはいっぱいあるぞと。リアルな社会を学ぶという、そこに大事なポイントがあるということ、これも強調してもいいのかなというふうに思いました。以上でございます。
【土井主査】 それでは永田委員お願いいたします。
【永田委員】 私からはこのあとの評価の部分にもちょっと先走って関わった話をしてしまいます。今日このあとの評価のところがほとんど時間がなさそうなので。今日の前半部分のこの社会参画意識のところは、桑原先生のご発表も、用意してくださっている資料も含めて、もうすべて納得というか、もうこれをすべて実現できて改善の方向が進めばそれは言うことはないというのが思いです。
ただまあ実際それができるのかどうかというところが、やっぱりこれ、それを言ったら身も蓋もないと言われそうですけれども、ただここの時点では理想的な在り方というのを考えることはとても大事だと思っています。
社会参画意識とか主権者教育の理想的な在り方の最新状況を出していただいたことに感謝しつつ、このあとの評価の部分で36ページの資料を出していただけますか。36ページの資料と今のここまでの議論を絡めて私は考えたときに、例えば数学のことでその授業改善と見取る姿の話が出ているんですけど、社会科ではこれは、例えばパッケージの中でこれにぱんと社会科を入れたら、そもそも本当のリアルな主権者教育とか社会参画というのができないなというのが、結論になります。
とは言っても学校の中でできることと社会科の中でできることと、それ以外のところでやるべきところというのがあると思うので。例えば学校でできるのはここまでが限界だけども、その限界以上のところは学校以外のところに頑張ってもらうしかないというのを、どれだけメッセージを出せるかかなと思っています。
今日の資料の中でこれを全部学校でできたら本当に何も問題なく心配はないんですけど、それができない現実の中で、でもそれをどうするかといったときに、ただ社会科だけで背負うのではなく、特活とか道徳も含めて、生き方三兄弟の活動も含めてやっていくんですけど、本当これをどう実装していくときに、社会科でどこまでやって、学校でどこまでやって、できないところをどこでお願いしていくのか、どこにつなげていくかというのが、まさにこのあとの評価のところにもつながっていきます。
このあとの評価のお話もしっかり伺いながら、評価の部分はほとんど発言ができないと思うので、またそこのつなぎ直しとか組み換えとかというところも、このあと取りまとめの中で考えていく必要があるかなというのも今日しっかりと意識をできたと個人的には思っています。今日もとてもいい材料と議論をいただいて、またこのあと引き続きしっかりと考えていかなければならないなという意識を持ったところでした。私からはここまでです。
【土井主査】 それでは頼住委員お願いいたします。
【頼住委員】 私は皆様と同じように、桑原先生のご発表に共感を覚えました。特に、桑原先生の資料8ページの改善の方向性では、重要なご指摘があったかと思います。
主権者教育というのを、単なる制度とか知識を習得するとか、これが正しい答えだとかいう確認にはとどめないで、判断形成そのものの質に踏み込んでいるという点に共感を覚えました。
特に「べき」から「べきか」へというところが納得できました。何かの規範を注入してこうなのだという答えを教えるところから、公共的な熟議に転換していこうという、主権者教育の位置づけや意味づけを大きく変えるようなご指摘ではなかったかと思います。
先ほど桑原先生のほうから葛藤とか対立とか、そういうものを避けるのではなくて、手がかりとしていくというご発表もあったかと思います。まさに単なる討論の技法ではなくて、価値対立とか公共性を考えていく、それが民主主義的な考え方を深めていくときに重要だと思います。
民主主義というのは、結論ではなくて、問い続ける営みとして、児童生徒には学んでほしいと思います。その意味で「べきか」を問うというのは私として納得がいきました。
それから、正解を教えない教育というのがポイントになっていると思います。これが正解ですというのではなくて、問いを開いていくということが重要であり、問いを開く授業へ転換していくというのは現在の大きな方向性だと思います。それがまさにこの主権者教育の中で先進的に行われていくことが重要かと思います。教師が結論へと誘導していくのではなくて、問いを設計するのが教師の役割だということになります。このように教師の役割の質も大きく変わっていくことになるかと思います。
また、このような「べき」から「べきか」へということになると、主権者教育も単なるシティズンシップ教育の知識教育ではなくて、判断主体の形成として捉えていくことになります。何が正しいのかということではなくて、なぜそう考えるのかと問うていくことで、児童生徒の主体性、対話性、熟慮性を育てていけるのではないかと思います。
ですから、全体としてこの主権者教育を、民主主義を教えるというよりも、民主主義的に学ぶというのはどういうことなのかを教えていく、そのように学べる児童生徒を養成していくという、大きな転換が、桑原先生の改善の方向性から読み取れるのではないかと思いましたので、一言ご発言させていただきました。
【土井主査】 それでは、井田委員、お願いいたします。
【井田委員】 はい、お願いします。桑原先生に示していただいた10ページ、最後の10ページだと思いますが、そこで地理の話が出てきましたけども、主権者教育で地理がどうやって貢献できるかというのを考えていくと、自分ごととしてどう捉えられるかというのは大きなポイントだと思ってます。
自分ごととして捉えられるということは、要するに自分で判断できたり意思決定できたりすることだと思います。ここに出していただいたハザードマップの話だと、専門家が作ったハザードマップと比較することで、専門家はどのような判断でこれを作成したのか、あるいは自分たちはどういう意思決定や判断をしてそれを作成したのかというような意思決定や判断、それによって自分ごととして捉えられるようになってくるのではないかと思います。
地理的な分野でも自分ごととしての価値判断の積み重ねで、公民科の主権者教育につなげていくというのは重要かと思います。
3ページに示していただいたように、いろんな人や機関と関わりを持てるという項目では非常に達成率が低いということが示されていました。これは各先生がいろんなところで交渉するというのは非常に難しいということの現れだということは先ほどからいろんな方から指摘されています。しかし、価値判断をする際には、それぞれの人がどのように価値判断をしてきたのかを比較することは重要だと思います。
今まで地理だと、例えば西アジアから日本まで石油を運ぶときに、ただ石油が流れますよというような主題図で説明してきましたが、そこでも実は人の価値判断、意思決定が入っているんだというのが学べると、人の価値判断、意思決定がどこでも求められるということから、主権者の意識へも持っていけると考えています。
このような学習の資料を収集するにあたっては、18ページにデジタルコンテンツの使い方のというのはありましたけども、自分たちで資料を集めることが難しいとすれば、デジタル教科書をうまく使えないでしょうか。デジタル教科書の中に、人が価値判断している事象が地理、歴史の中でも入ってくると、だんだん主権者としての意識が高まって、公民につなげられるんじゃないかと考えます。
【土井主査】 それでは、寺田委員、お願いいたします。
【寺田委員】 今までの先生方のお話、大変勉強になりました。まずですね、私一応行政法という分野で研究しているんですけれども、学校の授業とかについてはそこまで理解できてないかもしれないんですけれども、主権者教育というところで、まず第一点に、その多分その特別活動というんですかね、生徒会活動とか、だからこの資料のまさにこの3ページなんですけど、これはまさにその特別活動とかだけじゃなくて、公共とか歴史とかいう授業とかと合わせて、ついでに可能であれば法教育みたいな部分をどっかに入れていただけるような方向性があればいいかなというふうにちょっとすごく思います。
まず主権者教育ってすごくなんかこう今結構模擬選挙というふうに結構されてたりとか、多分政治的中立性の話から色々な科目と合わせてっていうことと、その基本のルールとか考え方をちゃんと連携させてってのがまず第一なんですね。で、それはすごく大事だと思うんですけれども、第二にその今多分その主権者教育がすごい選挙に関わってる、選挙に集中してるっていう桑原先生が出されたご発表についても、まさにそのとおりだと思いまして。ちょっとこの辺りは、以前から私も主権者教育の話でちょっと読んだ時に、その模擬選挙をすることがすごい多いということが書いてあって。模擬選挙というのは悪くはないと思うんですけれども、私はそれこそここのワーキング資料の4ページとかに書いていらっしゃるように、議会と協力するというのであれば、まさにもう地方議会の議員さんたちにちゃんと協力していただいて、それこそ色々な政党があるとは思うんですけれども、主権者教育で連携する主体というのは、まさにまずあまり強調されてないですよ、地方議会の議員さんというのが大事なんじゃないかというのはすごく思います。
で、会派で色々な政治的な意見対立というのはあると思うんですけども、子供たちの未来、子供たちが未来において政治に参加する住民になるということを意識していただいて、自分たちの議会政治の後継者を育てるという意識を持っていただいてですね、地方議会の議員さんたちに学校現場などでちゃんと主権者教育の充実にちゃんと役割を果たしていただくということを、もうちょっと何か具体的に書き入れたりできないかなというのをちょっと思います。
本当に地方議会で何やってるのかということを子供たちが認識するのはすごい大事だと思うんですよね。特別活動でも十分分かるというご指摘もあったんですけれども、これはちょっと個人的な感想ですけれども、生徒会活動に興味のある生徒さんというのはそんな全体の中で2割ぐらいしかいないと思うんですよ。そうすると生徒会活動は一部の人だけがやるみたいな感じになっている学校も多いと思いますので、生徒会活動とか模擬選挙とかで無理やりやるのではなくて、やっぱりその地方の議会の議員さんがちゃんとその話をしに来てくれて、もしくは議論する、あとはその地方議会の見学などもすごく大事だと思います。
まあというわけでその中立性の担保というところで難しいところあるかもしれませんけれども、石井先生おっしゃっておられたように、政治的中立性というのはまさに政治的であるみたいな意味もあると思いますので、本当にその地方議会との連携がどこかでもうちょっと強く入ればなと思います。
これはちょっと指摘事項ですけれども、ワーキンググループの参考資料の9ページのところの杉山先生おっしゃっておられたように、中国を比較に入れてるのは、中国は民主主義国じゃないので、せめてこれは比較対象は全部その民主主義が機能している国にしていただければと思います。これはちょっと修正した方がいいんじゃないかなと思います。
あと最後に一点だけ、今の若者たちは多分すごい関心はあると思うんですよね。ただショート動画とかすごい見て、もうなんかその短絡的に結構投票する傾向が強いというのも言われてますので、まさに初めに申し上げました基本のルールとか考え方とか民主主義の考え方とかを勉強すると同時に、デジタルの恐ろしさとか、その動画とかで結構偽動画とか色々な問題のあるものが簡単に作れてしまうみたいな、騙せるみたいな、そういう教育も合わせてやった方がいいんじゃないかなというふうに思います。私からは以上です。
【土井主査】 最後に私から少し意見を申し上げさせていただきますと、論点1での資料でお示しいただいた方向性および桑原先生からのご報告につきましては、大方の委員から賛同をしていただき、また貴重な意見をいただきました。基本的に私も賛成でございますので、この方向で改善を進めていくことができればと思っております。
論点2の学校外施設・人材との連携につきましては、こちらも積極的に取り組んでいく必要があると思います。その際には、第一に、18ページの右側にも記していただいているように、先生方が指導計画をしっかりと立てていただいて、その中で外部人材にどのような教育的役割を果たしていただくかを明確にしていただくことが、肝要であると思います。
前回の会議のあとに岩戸委員から提出していただいた意見の中で、事前調整を欠いたまま学芸員や研究者に調査を委ねる丸投げ型の調べ学習は問題であるというご指摘がございました。私も法教育や主権者教育で学校に伺って話することがございますが、その日に突然行きますので話を聞いている児童生徒の皆さんのことはよく分かりませんし、前後にどのような授業をしていただいているのかも分からないままに話の内容をお任せしますと言われますと、正直戸惑いを感じることもございます。
学校外施設・人材との連携はそれ自体が目的ではございませんし、その回数を増やせばよいというわけではなく、学校教育の改善につなげていただく必要がございますので、そのような連携を図ることによって教育目的がよりよく実現されていかなければならないと思います。
また第二に、個人的な経験から申し上げますと、直接子供たちの前でお話をいただくことも大切なんですけれども、それだけではなく、関心を持っていただいている何人かの先生方と一緒に外部人材が授業内容、方法を検討したり、教材の作成などをすることも大切かと思います。そうすることで、先生方の見識、スキルを高めていただくことも可能ですし、またそうした先生方の輪を広げていただくことで、外部人材とつながる機会も広がっていくと思います。他方、外部人材のほうも、学校教育で何が必要とされているのか、自分たちは何を求められているのかをしっかり考えていく機会にもなるという意味で、大切なのではないかと思います。
最後に、このような学校外施設や人材との連携を主権者教育等で行っていただく場合には、やはり政治的中立性の確保等に十分に配慮していただく必要がございます。何人かの委員からもございましたように、政治的、社会的課題自体を取り扱うことは問題がございませんし、また社会の中で様々な実践に関わっておられる方の考えや経験を聞くこと自体にも大きな意義があると思います。ただその際には、それとは異なる見解を聞く機会を設けたり、紹介したりするなど、最終的には学校の先生方の責任で、特定の見方や考え方に偏った取り扱いにならないように配慮していただく必要があろうかと思います。
よりよい社会の形成に向けて、課題を多面的、多角的に考え、根拠に基づき公正に判断するということが社会科等においては重要になりますので、その意味でも先生方が指導計画をしっかりと立てていただいて、その中で外部人材に適切な教育的役割を果たしていただくことが大切であろうと思っております。少し長くなりましたから、私からの意見は以上でございます。
それでは、少し時間が押しておりますが、続きまして議題2について事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 お手元の資料1の25ページをご覧ください。本日の議題2は評価の在り方等についてです。まず29ページをご覧ください。現行の学習指導要領下では、学びに向かう力・人間性等のうち、感性や思いやりについては目標に準拠した評価や評定になじまないとして個人内評価で扱うこととし、それらを除いた主体的に学習に取り組む態度を目標準拠評価の対象としたところですが、理解が難しく目指す資質・能力を適切に反映した評価になりにくい、負担が重いなどの指摘があったことを踏まえまして、昨年9月の論点整理、今画面のものでございますけども、こちらでは教育課程全体を通じた個人内評価として行う方法に改めることにより、過度な評価材料集めを抑制しつつ、多様な子供たち一人一人の良さや成長を自然な形で見取り、肯定的に評価できるようにすることが示されたところです。
その際、教育課程全体を通じた個人内評価を基本としつつも、思考・判断・表現の過程で学びに向かう力・人間性等の各要素のうち、具体的に見取ることができる要素が特に表出した場合には、思考・判断・表現の観点別評価に丸を付記する方向で検討すべきこととされたところです。
32ページをご覧ください。論点整理を踏まえまして、総則・評価特別部会において議論が重ねられ、学びに向かう力の評価における丸の付記の具体的運用方法として、下の図の、学びに向かう力が出ている左の矢印の下に示されているとおりでございますけれども、教科ごとに示す見取る姿、仮称でございますけども、これをできるだけ長い期間、学期間あるいは年間とかってことございますけども、通じまして全体的に継続的な発揮を見取ることとされたところであります。
26ページをご覧ください。先ほど申し上げたような全体の議論を踏まえまして、2の改善の方向性の二つ目に示したとおり、社会科においても具体的な見取る姿を学習指導要領改訂後に検討していくこととしてはどうかと考えております。
本日はその検討に先立って、学びに向かう力の三要素に沿って見取る姿のイメージを示しております。まず初発の思考や行動・好奇心については、社会的事象についてよりよい社会の実現に向けて課題を見出し、追究、解決に向けて見通しを持とうとしているか。学びの主体的な調整としては、主体的な課題の追究、解決に向けて自らの学びを振り返ったり調整したりしようとしているか。他者との対話・協働としては、他者と協働してよりよい社会の実現に向けて課題を追究、解決しようとしたり、課題の解決に向けて社会に関わろうとしているか。こういったことを掲げていってはどうかと考えております。
なお本件につきましては、右側の四つ目の丸に記述のとおり、現在示しております見取る姿のイメージ、この下の表の部分でございますけども、こちらについては中学校社会科のイメージでございまして、今後検討する際には、小・中・高等学校の発達段階、あるいは分野、科目ごとに今後の見取る姿のイメージを踏まえて、学習指導要領の改訂後に速やかに検討していくことはどうかと考えております。そういった意味では、本日はこの大きな考え方について、もしご意見等あれば賜ればと存じます。事務局からの説明は以上となります。
【土井主査】 時間が少々押しておりますが、10分程度意見交換の時間を取りたいと思います。できるだけ多くの委員にご発言の機会があるよう、1回のご発言は2分程度でおまとめいただくようにお願いをいたします。それではご意見等のある方は挙手ボタンを押していただけますでしょうか。はい、升野委員お願いいたします。
【升野委員】 この見通しというところが若干気になるところなんですけれども、例えばですね、課題を見出し、追究、解決ということなんですけれども、これはゼロベースから考えていくことなのか、例えばそのいくつかの方向性の中から選択をしていくようなそういう姿も含まれるのかというところで、事務局のほうのお考えをお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【髙見主任教育企画調整官】 ありがとうございます。この見通し、今の丸1の初発の思考や行動・好奇心のところでの見通しということでございますが、今お示ししているのは中学校の段階をイメージしていること先ほど申し上げたとおりでございますが、このあたり発達段階によってもですね、ゼロベースで捉えていくのか、あるいはもう少し選択の段階で見ていくのか、そこは様々捉えがあると思います。まあそういった発達段階ということをしっかり踏まえながら、今後検討していくことは必要だというふうに捉えているところでございます。
【升野委員】 その課題を見出すというところが、やっぱり発達段階によっては非常にこう見出すこと自体が難しいと思っておりますので、そのあたり具体的に示すことができれば、とってもやりやすくなる、考えていきやすくなるのかなと思います。よろしくお願いします。
【土井主査】 それでは鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 26ページに関連しての発言をします。改善の方向性の最後に、四つ目の項目に書いてありますけれども、見取る姿のイメージについては最後には国において検討していくこととしてはどうかということなので、ここから具体がさらに作られていくと受け止めます。
この下の表に書いてある見取る姿のイメージということで、まだイメージですからまだまだ確定ではないと思いますけども、例えばこの一番上のところ、丸1の内容では、最後のところですね、追究、解決に向けて見通しを持とうとしているか。この見通しを持とうとしているかという姿を、実際の子供の姿、あるいは授業の中の学習活動等の姿で言ったらどういう姿、どういう場面を想定しているのかというところまで具体的に示して、例示していただけると、先生たちも非常にイメージしやすいと思います。
同様に、二つ目も振り返ったり調整したりしようとしている。振り返ったり調整したりということについて、その具体的な姿としてはどういうことがあるのかという例示がほしいです。それから三つ目も最後社会に関わろうとしているということです。そこについても何をもって教員は捉えればいいのかという、そこまでの情報があると非常に伝わるのではないかと思います。でもそれは大変な作業だと思いますが、大事なことだと思っています。
それから、現状の1つめの項目に主体を適切に見取る課題を単元内で設定してはありますけども、指導と評価の一体化という言葉をちょっと変えて、学習活動と評価の一体化というような考え方で、単元の指導計画の中にきちんと評価につながるような学習活動をきちんと位置づけて指導計画考えている先生たちは良いのですが、いろいろな先生たちの授業を見ていく中で、そこまで考えずに学習活動と評価が連動してないような授業をつくっている方も結構見られます。評価の材料につながる、あるいはその評価につながる学習活動はこれなんですというふうに、一対一関係ではないんですが、やはりそこまで考えて指導計画作りましょうというメッセージをしっかり出していただくことは大事だと思っています。以上でございます。
【土井主査】 時間の関係もございますので、今挙手していただいている桑原委員までで一区切りにさせていただければと思います。それでは石井英真委員お願いいたします。
【石井(英)委員】 今のこの見取る姿というところだけがフォーカスされているわけですけども、これは要はですね、社会科において思考・判断・表現ということを先ほどもその判断力を育てていくというふうなこともあろうかと思いますけども、まさに社会科においていかなる思考・判断・表現、それを育てていくのかということを軸にしながら、そのために必要な学習課題と言いますか、単元のメインの課題というのをどう設計するかと。
そうしたときに、思考・判断・表現というか、思考力を育てるってことは問いと答えの間が長くなりますから、その過程において様々な姿が表出すると、ここがポイントかと思うんですね。ですからこの見取る姿だけを見てどうこうあんまり議論しないほうがいいだろうというふうに思います。
ですからトータルにやっぱ社会科としてどのような学習活動を目指していくのかと。そこで、骨格になるような思考・判断・表現のあり方とセットで考えていくと。さらに言いますと、この丸というような、この見取る姿というのはですね、先生方がそれこそ認知的な能力としてはなかなか高く評価できないけれども、しかし社会とか学びに向かう姿勢っていったものは伸びしろにつながるからなんとか評価したいな、なんとか認めていきたいなと、その先生方の人情ですね。
だから先生方がやっぱり社会科、特にそのときに学習一般ではなくて社会科としてこういう姿をやっぱ励ましていきたい。だからそういった先生方の肌感覚っていったものをちゃんと救い上げながらこの見取る姿を構築していくことが大事かなと思います。ですから見取る姿があって当てはめるってことになってしまうと、本末転倒ということですよね。
だからそれで言うと、まさにこの今示されているものはですね、どちらかというとその学びに向かう力・人間性と、この教科横断的な一般的なものをそのまま当てはめたような感じが少し強くって、もう少しこの例示されている33ページの資料とかでも数学やったら数学色がもうちょっとあると思うんですね。
ですから、やっぱり社会科ということで言うと、単に行動をこうするってことで言うと、やっぱこれは課題とか社会に対する切実性であるとかですね、そういったところと関係するかもしれませんし、学びの主体的な調整云々ということで言うと、先ほども自分たちのその振り返りというふうなところも主権者としてどうだったのかということも含めてということで言うと、もう少し社会科色ですよね。多面的・多角的にその自分の立場っていったものを相対化するってこともそうかもしれませんし、そういうあの姿ということも考えながらということになるかもしれませんし、さらにその対話・協働っていったものもまさに先ほど葛藤みたいなこともありましたけれども、もう少し社会科色っていったものですね。社会科としてやはり、これは社会とか学びに向かう姿勢として励ましたいなという、その社会科の固有性ということを考えて整理していけるといいのかなというふうに思いました。
【土井主査】 それでは永田委員お願いいたします。
【永田委員】 私が発言したかったことを、石井先生が言ってくださったところでちょっと安心した部分と、これから気をつけないといけない部分が、ちょうど石井先生がうまく言ってくださったかなと思っています。
特に私やっぱり見取る姿というのを社会科で捉えるときの、やはりそのできることとできないことというのを、石井先生が言ってくださったところとも絡めて、我々は少し気をつけてここを扱っていかないといけないかなというのを感じています。
先ほど数学のお話もあったし、36ページのところも確かにそうで、社会科の場合は、他の数学、理科のようなシステマチックにできるところと、今日の前半の部分であった社会参画とか主権者としてのそのあり方といったときに、学習者として見取る姿と市民となっていく人間を見取る姿というのが必ずしもイコールではないので、そこがイコールになりすぎると非常に怖さが出てくるし、そこを何かこう誤解がないような形でしっかりとメッセージを出していけるようにしないといけないと思ってです。
ここの評価の見取る姿というその考え自体は私はすごくいいと思うんですけれども、これが妙なふうにこう誤解をされないように、しっかりと社会科らしい見取る姿というかですね、評価の在り方を、今日の前半部分の社会科でできること、学校でできること、現実の社会全体でできることみたいなところで上手に表現したりメッセージを出していければいいかなと考えたところでした。
【土井主査】 それでは桑原委員お願いいたします。
【桑原委員】 学びに向かうその力の三要素の中で、先ほど永田委員おっしゃられたように、社会科としてという部分は非常に重要で、ここがどうしても教科を超えて共通な、反教科的になりがちなんですけれども、そうすると非常に形式的になるので、その部分は気をつけないといけないなと思います。
他者との対話や協働、この辺りについても誰を他者とするのか、どのような対話、どのような形での対話や協働作業を進めていくのかといったことについて、やっぱり社会科であれば民主主義の考え方に基づいてという部分が欠かせないでしょうし、それをやっぱり見取る姿のほうにも反映させていけたらよいのではないかと思います。
【土井主査】 時間の制約で、最後意見交換を急がせてしまったところがございます。ご発言できなかった委員におかれましては、発言いただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただければ、これまでと同様議事録掲載のお取り扱いにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間も回りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に次回以降の予定について事務局よりお願いいたします。
【嶋田学校教育官】 それでは事務局のほうから、次回の日程についてお伝えさせていただきます。次回の日程につきましては、後日事務局より改めてご連絡させていただきます。私からの説明は以上でございます。
【土井主査】 それでは以上をもちまして閉会とさせていただきます。本日も貴重なご議論ありがとうございました。
―― 了 ――