教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキング(第6回) 議事録

1.日時

令和8年3月23日(月曜日)9時30分~12時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 課題を追究する活動の充実
  2. 系統性・体系性等の整理について
  3. 高校の高次の資質・能力の在り方について
  4. その他

4.議事録

【土井主査】  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第6回社会・地理歴史・公民ワーキンググループを開催いたします。お忙しいところ御参加をいただきありがとうございます。
 本日は、社会・地理歴史・公民における資質・能力の育成等について御議論をいただきたいと考えております。
 それでは、まず最初に議題1、課題を追究・解決する活動の充実について、事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】  大変失礼いたしました。主任教育企画調整官、髙見です。
 まず初めに、資料1の3ページを御覧ください。議題1は、課題を追究・解決する活動の充実です。
 まず1、現状等の(1)課題を追究・解決する活動にあるとおり、今次の学習指導要領においては、全ての学校段階を通じて問題解決的、課題解決的な学習の充実が図られており、各教科等の目標においても、課題を追究したり解決したりする活動が位置づけられております。この活動では、7ページにあるとおり、課題把握、課題追究、課題解決、新たな課題発見といった学習過程を、単元などの内容や時間のまとめの中で児童生徒が行うこととされておりますけども、参考資料の2ページにあるとおり、中学校の学習指導要領実施状況調査では、資料などから疑問を見つけたり、問いをつくったりしている生徒は60%程度にとどまっております。
 また、資料1の3ページに戻りますが、3つ目の丸にあるとおり、様々な情報や資料が溢れる現代社会において、その情報等の真偽や意図、背景等を把握することは一層重要となっております。
 さらに4つ目の丸にあるとおり、学習の基盤となる資質・能力の1つとして、問題発見・解決能力が位置付けられていましたが、11ページにあるとおり、教科等の学習の過程で、問題発見・解決が重視されることを示すべきこととされたところであります。
 続きまして、3ページの(2)デジタル学習基盤の活用に関する課題として、論点整理において一定の授業改善は進んでいるものの、学習指導要領の記述が不十分であることが示されるとともに、参考資料の8ページになりますけれども、社会科の教師によるICT端末の活用場面が、共通の資料を大きく提示する場面や、インターネットで自由に調べる場面が中心となっており、教具的な発想にとどまっている状況も見られるところです。この傾向は中学、高校でも同様に見られます。
 また3ページに戻りますが、右側(3)民主的で持続可能な社会の創り手の育成に関する課題として、2つ目の丸にあるとおり、主権者教育のさらなる充実が求められる一方で、SNSや生成AIの普及なども踏まえ、情報モラルやメディアリテラシーの重要性もより一層求められることなどを踏まえる必要もあります。
 さらに(4)AIなどデジタル技術の発展に関する課題といたしまして、学習基盤の一層の活用が求められる中で、収集した情報の信頼性を確認する技能を一層高めるとともに、最終的な評価の段階でAIに頼って自らの思考を経ていない成果物は通用しないような評価の工夫をしていくことも重要となっております。
 4ページ目を御覧ください。論点整理等の議論を踏まえつつ、デジタル学習基盤の活用や、情報活用能力の育成を前提とした社会科等における主体的・対話的で深い学びの充実のため、ここに掲げる(1)から(4)の方向で整理してはどうかと考えております。
 まず(1)基本的考え方にあるとおり、主体的・対話的で深い学びをより一層充実していくために、課題を追究したり解決したりする活動を通した学習を充実することが必要であること。この活動では、課題把握の段階において、社会的な視点や方法等を用いた児童生徒中心の課題設定が重要であること。課題把握や課題追究、課題解決の段階においては、自らの考察や意見形成、他者との議論などの根拠たりえる情報の吟味や活用の方法の獲得が喫緊の課題であり、情報を収集し、読み取り、まとめる、社会的事象について調べまとめる技能の見直しを行うことが必要であること。
 新たな課題発見の段階では、生徒が自分の学び方、調べ方を振り返って、新たな問いを見出したり、追究したりすることが重要であること。学習の基盤となる資質・能力の1つとして位置付けられていた問題発見・解決能力については、社会科においては、課題を追究したり解決したりする活動において、発達段階も踏まえながら、社会の現状を分析・把握するなど、問題発見・解決をより重視していくこととして位置づけ直すこと。
 1人1台端末の整備が図られている中においては、課題を追究したり解決したりする活動を通して、デジタル学習基盤の活用を充実させるための取組が重要であることとして整理してはどうかと考えております。
 その上で、(2)社会的事象について調べまとめる技能の見直しとして、これまでワーキングにおいて、分野・科目の目標で、小中学校では、確かな情報に基づき、適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けること。高等学校においては、批判的に情報を扱う視点をより重視し、妥当性を吟味しながら調べまとめる技能を身に付けることとする方向で議論が進められてきました。
 さらに2つ目の丸に掲げるような情勢の変化も踏まえつつ、社会科等における調べまとめる技能については収集した情報や読み取った情報、まとめた情報の信憑性を確認する新たな技能として情報の妥当性の確認を位置付けた上で、既存の関連する内容も含め、整理・充実を図ってはどうかと考えております。
 具体的には6ページを御覧いただければと存じますが、ここでは縦に、情報を収集する技能、読み取る技能、まとめる技能に区分しておりますが、このうち一番下にあるとおり、情報の妥当性の確認に関する技能として、情報手段の特性や情報の確かさに留意した情報を収集すること。資料の特性に留意して適切かつ効果的に資料を読み取ること。自らの発信情報が妥当であるか吟味してまとめることとして整理してはどうかと考えております。なお、青字の部分は既存の事項をこの中に再整理したもの、赤字は今回新たに追加してはどうかと考えるものでございます。
 続きまして5ページを御覧ください。(3)のデジタル学習基盤を活用した学習の充実についてです。社会科等におけるICT活用を、課題を追究したり解決したりする活動において、学習の質の高まりを促進するために必要な学習基盤として位置付け、課題把握、課題追究、課題解決のそれぞれの観点から、より充実を図っていってはどうかと考えております。
 また2つ目の丸にあるとおり、児童生徒が主体的に学習を調整できる環境を整え、その実現を図っていく上でも、デジタル学習基盤が重要であることを認識し、適切に活用した学習生活の充実を図っていくことにしてはどうかと考えております。
 次に(4)社会科におけるAI活用の考え方についてです。この点については1つ目から3つ目の丸にあるような論点整理や、文部科学省が示している生成AIガイドライン、これらの考え方も踏まえつつ、4つ目の丸、右側で申し上げますと2つ目になりますけれども、そこにあるとおり、社会科におけるAI活用については、最終的に生徒が自ら考え判断し、成果物の内容を自らの言葉で説明し、自らの責任を持つという考え方の下、先ほど説明した調べまとめる技能の情報の妥当性確認に関する技能で示した視点も活用しながら、各学校段階や科目分野において、必要な資質・能力を身に付けることができるかといった視点で、課題を追究・解決する活動を展開していくこと、それらの評価方法の改善を図ることを当面の基本的な考え方としてはどうかと考えております。その際、米印にあるとおり、今後のさらなる技術の進展など、情報技術の変動性、あるいは陳腐化の可能性も踏まえた対応を行っていく必要があることにも留意する必要があると考えているところでございます。事務局からの説明は以上となります。御審議をよろしくお願いします。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました資料1の31ページまでについて、50分程度、御議論をいただきたいと思います。皆様に御発言の機会があるよう、1回の御発言は長くても2分以内でおまとめください。なお議論の時間が足りなくなった場合には、会議後、発言いただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただいた上で、後日、議事録に掲載する取扱いとさせていただきます。御発言の際は、資料のどのページに関する御意見であるかを明言いただきますと幸いです。
 それでは御意見等のある方は挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。
 ではまず山田圭一委員からお願いいたします。
【山田(圭)委員】  御説明ありがとうございました。確認の質問も含めてなんですけれども、先ほど6ページですか、調べまとめる技能のところで、例えば情報を収集する技能の一番下のところ、情報の妥当性の確認というので、資料の表題、出典、年代、作者などを確認し、その信頼性を踏まえつつという話なんですけど、ここでどういうことを想定、妥当性の確認というので想定しているのかをお聞きしたくて、例えば、この後、AIの話になると思います。AIの情報に関して言えば、生成AIが挙げた資料が実在するかどうかを確認するというのがまず1つあると思うんですけども、それはそれほど難しくないと思うんですけど、資料の表題、出典、年代、作者を確認したからといって情報が妥当かどうかは分からないと思うんですね。
 それが信頼のおける資料なのかどうかというのが、多分次に問題になる話で、それを確認しようとしたら、恐らく、例えば歴史であれば、歴史における事実の妥当性というのはどういう資料がそれを検証するものであり、どういうものが検証しないものであるかという学問内在的な事実の妥当性を確認する方法みたいなのをある程度知っていれば、つまり、ある程度歴史学について知っている人であれば、その資料が信頼できるものかどうか判断できると思うんですけど、私は最低限、どういう資料が信頼が置けて、どういう資料が信頼を置けないのかを理解できるようにしたほうがいいというのは一番最初のワーキングでお伝えしたと思うんですけど、そういうことまで含めて考えているのか、そうじゃないのかというのを少し確認させていただきたかったということです。よろしくお願いします。
【土井主査】  ありがとうございます。今の点いかがでしょうか。
【髙見主任教育企画調整官】  ありがとうございます。先ほど先生におっしゃっていただいたように、AIの活用等も含めてということで、この辺りの信頼性をしっかり確認していくということは、これまでも述べていることでございますし、今後さらに、ますます重要になってくるということだと思います。どこまで求めるのかは、発達段階も踏まえてしっかり考えていく必要があるのかなと思っておりますけども、基本的にはそこで出てくるような、基本的な情報というのを、どの程度信頼性があるのかということは、生徒だけに求めるだけでなく、教員も含めてしっかり確認していく、それが発達段階に応じて、生徒にもよりその確認の深さを求めていく、そういった立てつけになってくるかと思っているところでございます。
【土井主査】  山田委員、今の説明でよろしゅうございますでしょうか。
【山田(圭)委員】  例えば歴史の事件があったときに、教科書に載っているようなことじゃないようなことを述べている資料は本とかたくさんあるじゃないですか。資料の表題、出典、年代、作者を確認しただけでは、その資料が信頼が置けないということは判断できないわけですね。でも、それを判断しないと、そもそもその情報が妥当かどうかを判断できないという気がするので、そこを踏み込まないと、生徒自身が情報の信頼性の妥当性を判断するということはできないんじゃないかと思ったんです。発達段階にもちろんよるとは思うんですけど、どこかの段階では何かそういうものを入れたほうがいいんじゃないのかなというのは私の意見です。
【土井主査】  ありがとうございます。原典資料に当たることまでは、大学や大学院に進んで研究に取り組まないとできないかもしれませんが、複数の資料を突合するとか、いろんなやり方があると思いますので、発達段階に合わせてどのような形での検証の方法があるか、考えていかなければならないと思います。ありがとうございました。
【藤野視学官】  視学官の藤野です。お世話になります。今の御質問含めてですけれども、お答えできることをさせていただきます。まず1つ考えておくべきことは、ここで示しているようなもの、あるいはこれから議論するものが、小学生、中学生、高校生の生徒たちが、その時点で正しいかどうかを判断し切れるかどうかということではなくて、つまり小中高の学びの中で、正しい情報、あるいは適切な情報というものを確かめていく手段を学んでいく過程と、こういうふうに御理解いただければと思います。そのプロセスを学習の中で、こういう行動、あるいはこういうような活動をしながら育てていくということ、この方策を示しているものが、調べまとめる技能というものに示されているということ、これをまず1つとお考えいただければと思います。
 それから2番目としまして、やはり学問的なレベルでの正しいか、真実か、あるいは真実により近いかということを小学生、中学生が判断していくというのは、この時点では難しいということは前提だと思います。ただそれは、教員がどのような教材を、どのような範囲の中で、適切に示しながら、あるいは誘導しながら進めていくかということと併せながら見ていく、使用していく。結果的に、高等学校、あるいは学校教育を終えたときに、そういったことを自分で判断することができるようにしていくために、どんな学習活動が必要かという意味での幾つかの事例が示されているものという形でこの表を御覧いただければと思っております。
 以上になります。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。発言したい内容に加えて、今の話について意見も添えておきたいと思います。6ページの「調べまとめる技能」のところにある、「情報の妥当性の確認」について、加えて言いたいことです。これは国のガイドラインのほうで示す話と思いますが、AIの機能はオンライン上のデータを全部集めて、その中から整理・分析して情報が提示されるというものなので、情報はオンライン上にあるものだと捉えていくことを、小学校や中学校の教員は、それを分かって授業をやっていかないといけないと思います。オンラインで集めてきた情報が全て正当性があると認識させないという留意点は、先ほど藤野先生がおっしゃったような形で学ばせなければいけないと思います。教員がそのことをきちんと理解してないと、間違った学習になっていく懸念があることを発言しておきたいと思います。
 私から申し上げたいところは、資料で言いますと7ページです。7ページの「調べまとめる技能の活用」というところです。下の四角囲みに、「課題を追究したり解決したりする活動」についてです。既にこれは、これまでも示されているところですが、ここの部分では、学習の在り方で充実を求められているということがたくさんあります。資料の3ページにも、そのことが最初に現状として書かれています。資料の3ページの(1)、2つ目の丸のところです。調査では資料などから疑問を見つけたり問いをつくったりしている生徒は60%前後ということで、充実を求められることになります。けれども、課題を追究したり解決したりする活動について、年間の学習の中で100%を目指すのかということについては、教員は全ての時間でこうした授業をつくっていかなければいけないと捉えてしまう可能性があります。現実的に考えると、年間の授業時数の中で様々な学習活動を展開するときに、どれくらいの時間取るかということは非常に悩ましいところであります。しっかりと時間を取って生徒たちの活動を保障したいという考えがある一方で、扱わなければいけない学習内容をしっかり押さえていかなければいけないという悩みもあります。
 それから、少し関連したページとして、細かいところですが、資料の21ページの総則・評価特別部会の資料の中に、右側にある解説で記載する要素例の一番上の四角の4つ目の項目です。その中に、「「深い学び」を実現する上で、教師の一斉による指導も効果的に実施するとともに」というところがあります。現状として、授業の中で、教員がしっかり説明してそれを理解するという場面も重要ですので、これを年間を通した生徒の学習活動を組み立てるときに、先ほどの資料7ページの話に戻りますが、課題を追究したり解決したりする活動をどのように組んでいくかということは、教員の創意工夫が求められるところです。この充実という言葉が活動の量的な部分や、時間的な部分をどこまで柔軟にとらえるのか、あるいは数値目標というように、目標とする時間数を示すのか、または割合を示すのか、なかなか難しいですが、そういった部分が意外と曖昧なまま、学習指導要領が示されているような印象を持っています。
 ただ充実と言われれば100%を目指してしまいますが、真面目にその通りにやると、現実的ではない計画になるというところもあるので、ここも踏まえた学習指導要領の書きぶりが重要かと思っています。
 加えて、このページの右上にある「主な学習過程の例」の最後にある、「まとめ、振り返り」のところにも2つ書いてありますが、学習課題を振り返って結論をまとめることや、学習を振り返って考察すること、自分の調べ方や学び方、結果を振り返ること、振り返るというところが大変重要だと思うんですが、これらもやはり、しっかり時間を確保していかなければいけない活動です。調べてまとめて発表で終わってしまう。これでは学習の深まりについて不足をもたらすような気がします。この辺りについては、授業時数のことも考えながら提示ができたら良いと思っています。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは山内委員、お願いいたします。
【山内委員】  よろしくお願いいたします。先ほどの髙見さんから御説明いただいたところで、例えば3ページの(1)の3つ目の丸のところ、例えばここのところで情報の過多に関して、様々な情報や資料が溢れる現代社会ということで御指摘いただいているところで、一方、例えば9ページを見ていただけたらと思うんですけれども。
 例えば黄色で示していただいた左側のところです。最大限活用ということをもう一方でうたっているとなると、活用ということを最大限していこうとすると、かなり情報過多になるという、実際の授業で、現場において混乱するということを危惧しています。特に、先ほどからお話があったようなAIとか、あるいはデジタル教材、あるいは教科書もデジタル教科書も含んでのことなんですけれども、その利活用に際して、データが充実するという一方で、調べる活動が、収集して貼りつける。先ほどの鈴木委員からの振り返りということにも関わってくるとも思いますけれども、そうした活動主義にとどまるということを想定しておく必要があるかなと考えています。
 したがって、単元なり本時なり、あるいは教科、分野とか科目を通して目標を設定するなり、目標を踏まえたり、整理して追究・解決するということ。例えば情報ということであれば、選択ということを少しキーワードにして、選択して用いるという資質も必要であることを強調しておいたほうがよいのではないかと考えています。
 それから情報ということになりますと、やはりたくさんの情報から選択していくという中で、情報がどんどんアップデートしていくことも踏まえておく必要もあるのかなということを考えています。それにどう対応するかということなんですけども、ここは今回のこの議論の中で外れてしまう、検定とかに関わってくるかもしれませんけれども、デジタル化、例えば教科書とか、どうやって更新していくのか、それがどこまで是とするのかみたいなところも踏まえて、アップデートということに対してどう対応していくのかということも考えていく必要があるのかなと思うところでございます。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは大村委員、お願いいたします。
【大村委員】  失礼いたします。2点になります。まず4ページです。課題と問題という言葉にどう整理をつけるのかという問題です。課題把握設定、それから課題解決とか、問題発見、問題解決という表現の両方が使われているんですが、社会科は創設時から、問題解決学習とか問題解決的な学習ということが、方法的な生命線として語られてきてはいるんですけれども、現行の学習指導要領では、小中学校の目標では、課題を追究したり解決したりする活動というふうに書かれているんですけど、小学校の学習指導要領の内容まで行くと、課題ではなくて、学習の問題を追究・解決する活動を通してとなっています。これは文化の違いもあると思うんですが、言葉が変われば何が異なるのかというのが気になるのが普通ですので、ただ課題とか問題という表現については、研究者や論者によってその両者の違いに関する見解も多様なので、文科省の中で、学習指導要領では問題をこう位置づけています、課題を位置づけていますというふうに、ある程度操作的に定義づけてよいのではないかと思うので、それをすることで、こっちは問題が使われているけど、こっちは課題が使われているのはどういう意味の違いなのだろうかという、混乱を招かないようにすることが大事なのかなと思いました。それが1点目です。
 2点目が5ページです。デジタル学習基盤の活用についてです。デジタル学習基盤の活用については、もうそれを活用しない学び方とか生活はあり得ないくらいの感覚を持つ必要があるところまでとっくに来ているということを踏まえた上で、先ほどの課題解決とか問題発見・解決の姿を考える必要があるという示し方は賛成で、とても大切で、ありがたく書いていただいていると思います。同時に、数年前までは、ICTを情報へのアクセスのかけ橋としてどのように活用するかということが結構語られていたんだけれども、今はAIの加速度的な発展で、そのアクセスの仕方とか、アクセスする内容とか、またアクセスしているところが妥当なのかとか、その調べ方さえも生成AIに尋ねられるようになっている状況だと思います。だから生徒が自ら考えて、判断して、成果物の内容を自らの言葉で説明し、自ら責任を持つということは大切で、それを表記していただいていることがすばらしいということはあるんですけど、一方で、根本的にデジタル学習基盤自体の問い直しが必要であると同時に、これから予想もつかないほど加速度的に進化することは容易に想像ができると思います。だからこうすべきとか、こうすることに留意するということを記したとしても、それ自体がすぐに古くなる可能性があります。だからそういう言及が必要ではあるんだけれども、それに加えて、常に進化し続ける中で、その活用の在り方とか学び方、導入の仕方を更新し続ける、問い続ける必要があるといったような表現を入れることが適切ではないかなと思いました。
 すみません。長くなりましたが以上になります。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、石井正広委員、お願いいたします。
【石井(正)委員】  6ページの、今回提案されている、社会的事象について調べまとめる技能についてです。とても重要な提案だと思いますし、私も賛成です。4ページの改善の方向性の(2)にも、技能の見直しについて書かれています。ですので、現行学習指導要領以上に技能の重要性を伝えていく必要があるのではないかなと考えています。例えば現行の学習指導要領では、参考資料として先ほどの6ページのような一覧表が出ていたと思いますが、今回はそれ以上に、技能の重要性を強調していくことで、社会科の授業改善が進んでいくんじゃないかと期待しているところです。
 そこで例えば、そのために3つほど考えているところがあるんですが、1つ目は、現行学習指導要領の解説のように、巻末の参考資料としてとどめるのではなく、解説の冒頭の知識・技能の目標の解説の中でこの一覧表を掲載する。掲載しなくても、技能の説明を小中高でしっかりと伝えていくというふうにしてはどうかと考えています。
 2つ目は、その上で、解説の巻末にある内容の取扱いについての配慮事項においても、詳しく資料の妥当性の確認について追記して解説していく必要はあるんじゃないかと思います。さらに踏み込んで言いますと、内容の取扱いで、特に関係が深い内容に焦点化して、資料の妥当性の確認をする際の資料の取扱いについても、内容の取扱いで記述をしていったら充実するのではないかと考えました。御検討いただければと思いました。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、黒田委員お願いいたします。
【黒田委員】  よろしくお願いします。私も今までの議論と同じように、技能が明確に示されて重視されている方向というのは賛同いたします。
 1点気になったところが、4ページの丸4つ目と5ページ目の丸6つ目なんですけど、生徒とか児童生徒という書きぶりがまちまちだなと思ったんですけど、これは児童を入れていないのは意図的なのか、それとも誤記なのかというところをまた明確に示していただきたいなと思いました。
 また4ページの(2)なんですけど、これを読んでいくと、かなり今まで議論してきた思考の批判的なところとかぶるなと思っています。今までの議論内容の思考と、この技能の重なり、あえて重なっているのか、それとも違うものなのか、ここを明確に説明していく必要があるなと現場の立場としては思いました。評価が、自己調整とか批判とか、技能の確かさをもう1回吟味するというところがかぶってくると、やはり評価しづらくて、実質評価ができなくなってくるということもありますので、そこのさび分けが必要かなと思いました。
 次にクリティカルシンキングというところが、資料4でいくと、ますます情報の確かさに傾斜が行っているなと私は感じました。それより、やっぱり今までの社会科が大事にしてきた、情報の確かさは大事なんですけど、果たして学習問題の解決はできたのかという吟味、そこをやっぱり対話を通して子供たちと先生で再構成していく、子供たちが獲得した概念、本当にこれでいいのかな、問題解決したのかなというのを再構成するところに、もう一度クリティカルシンキングのところを、傾斜を持ってくるべきじゃないかなと思いました。
 最後に、課題を追究・解決する活動の充実というのは、本当に全て賛同するところなんですけど、課題把握・追究・解決と3つあるんですけど、やっぱり僕はずっと申し上げているように、その先の世に出るところ、学んだことを世の中に戻してあげるところが非常に大事な学習場面ではないかなと思いますので、把握・追究・解決の先に、世に出るというところも意識したような学習指導要領であってほしいなと感じました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは、事務局から少し説明をしていただきます。
【髙見主任教育企画調整官】  すみません、先ほど黒田委員がおっしゃっていた1点目の御質問、児童生徒と生徒という記載の統一が取れていないのではというお話でございますが、こちらについては、事務局のほうで全て児童生徒と記載すべきところが一部抜けていたと思います。ただ、5ページで申し上げると、AIの部分については、小学校段階でどこまで求めるのか、中学校段階でどこまで求めるのかというところもありますので、この辺り、発達段階に応じて考えていくということを留意しながら、基本的には児童生徒全体に対してということで記載をしていくということかと思っております。
【土井主査】  それでは次に、唐木委員お願いいたします。
【唐木委員】  よろしくお願いします。資料の6ページのところを開いてください。私は1点だけですけれども、情報を収集する、情報を読み取る、情報をまとめるまでは記してありますが、情報を発信するのがないところが気になるということの発言です。課題解決的な学習を大切にするというのはとてもいいことだと思いますし、技能をこうやって丁寧に記すというのもすごく大事だと思っているのですけれども、社会科の個性はやはりこの主権者教育とか社会参加とか社会参画みたいなところにあるのではないかと思ったときに、もう少し、一歩、情報の活用を進めて、情報を発信するというところまで、どういう形で書けるかは別にして、少し言及していただきたいなと思っています。
 社会を発信するというのは、例えば資料の16ページを開いていただきますと、これは情報技術の部会で話されているところかなと思いますが、この真ん中の左のところに、デジタル社会の参画について書いてありますが、メディアリテラシーとか情報リテラシーの話を欧米中心ですが見ていくと、やはり必ず最後に情報を発信するというところまで捉えているのではないかなと思っているんですね。この背景にはどういうことがあるのか分かりませんけれども、例えば主権者教育ということで情報発信というと、政治的中立性の問題とか出てくるのかなというようなこともちょっと考えますし、あるいは現状、情報モラルとかAI活用に注意しなさいみたいなことで、情報の活用ということに結局最後は歯止めがかかってしまうということも考えられます。しかしそれは結果として、社会参画をとどめてしまうのではないかなと思っているので、どこまで書けるかは別にして、少し言及してほしいなと思っています。
 社会科の授業の中にも既にいろんな形で入っていると思います。例えばごみの学習を終えた4年生の子供たちが、海外とオンラインで繋がりながら、例えば台湾で、韓国で、ごみの処理について、リサイクルについてこんなことをしていますという情報共有を図るのも、非常に重要な、メディアを活用した情報の発信ということになるのかなとも思います。あるいは前回の議論で、分野横断ということが中学校の社会科のところで議論されましたけれども、この分野横断のところで、フィールドワークして調べた結果とか、地域の歴史的な、あるいは地理的な特徴をメディアやサイト上でまとめたり、新聞などにまとめながら発信をしていくとか、あるいは地域社会の課題について調べて、解決策みたいなことをどこかのいろんな方々に聞いていただくとか、提案していくとか、こういったことは、みんな情報の発信に関わることじゃないかなと思っています。社会科の個性を大切にするという観点からも、こういった面をどこかに書き入れていくことが必要なんじゃないのかなということです。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 桑原先生、お願いいたします。
【桑原委員】  すみません、ありがとうございます。先ほど黒田先生から、学んだことが世に出る部分とか、唐木先生の発言の中にも発信ということがありましたけれども、私も課題を解決してどう発信していくか、あるいは解決したことをどうしていくかという部分が大事になってくるかなと思います。その点を考えると、7ページなどを見ると、課題追究の部分の情報収集の辺りにはすごく力が入れられているんですが、まとめの部分というのは少し弱いんじゃないかと。その前のページのまとめる技能とかといった部分についても、やはりここも、調べまとめる段階のことについては細かな記述があるんですけれども、それをどう世の中に出していくか、発信していくかという部分について、記載が少し弱いように思います。
 その部分を分厚くするためには、やはりこのまとめる前の段階の、どんな課題に取り組むかということ、取り組む目的を考える部分の指導というのが非常に重要になってくるかなと思います。ですから課題追究の頭と、そして最後、この点、ここをもう少し充実させないといけないかなと思います。
 先ほど来から意見が出ている情報の妥当性の吟味といった部分も、その情報をどう使うかということに応じて吟味するレベルが変わってくると思うんです。学術的に正しさを求めていくのか、あるいは世の中に広く行き渡っている情報について、違う情報を探すのか。目的によって妥当性というのも異なってくるかと思いますので、やはり妥当性の吟味とかという部分は、発達段階もありますけれども、そもそも何のためにその情報を集めるかという部分について、子供がしっかり意識できているか、先生が方向性を持っているかというところが重要だと思いますので、その点、課題追究の頭の部分、最後の部分の検討がさらに必要かと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。先ほど来、3人の委員から情報発信のところについて言及をいただいております。社会科の在り方としては、学んだことを社会参画、社会還元とおっしゃられた委員もおられましたが、そういう形に繋げていくことが大切ですので、そちらとの関係で整理をさせていただければと思います。
 ただ発信ということになってきますと、発信のためのメディアをどうするか、あるいは広がりをどうするかが問題になりますし、それにしたがって、発信者の責任の問題も出てきますので、その辺は少し慎重に考えながら、まとめ整理をしていく必要があると思っております。ありがとうございました。
 それでは、石井英真委員、お願いいたします。
【石井(英)委員】  私も今の流れで、共通のことをちょっと思っているところがあります。1つは、まず技能を重視ということは重要なことであると思うんですが、やはり多くの委員もおっしゃっていることとも関わると思うんですが、形式主義になってはいけないということですね。総合的な学習の時間、探究の時間においても、サイクルを回すことが自己目的化してしまうと、これは中身がなくなってしまうわけで、PDCAサイクルを回すといった動詞はあっても、社会と向き合う、社会認識を深めるといった動詞は経験しないのは問題。社会科であれば、社会参画に繋がるような社会認識をどう育むのかと。ここがポイントだと思うんですね。だからちゃんと社会と出会って、出会い直すということがとても大事かと思うので、その辺りが先ほど桑原先生がおっしゃったこととも関わるわけですけれども、また、黒田委員もおっしゃった、世に出るじゃないですけど、もう一遍、追究したことを基に、自分たちが解決しようとしていた問題であるとか、社会に戻って考えていくということが大事なのかなと思います。
 オーセンティックな学びではないですけれども、改めて社会を見つめ直すこと、ここを外さないということが大事かと思いますし、形式主義になるのは、1時間主義といいますか、1時間の中でこのサイクルを回そうとするとそうなりがちなところがあると。ですから、それこそ単元で考えるということが、やっぱり重要になってくると思いますし、課題追究、解決という、このサイクルというのは、もっと大きなスパンでも、考えられるものだと思うんですね。入れ子構造ではないですが、単元で考えることもそうですし、科目編成、教科の中での全体の単元配列もそうですが、課題発見、解決というところが最終という、学んだ先にそういった大きな単元がある、最後、まとめの単元があるという形で、年間であるとか、そういった大きなロングスパンでも考えていくことが大事かなと思います。
 そして、特にこの課題発見という言葉が形式的に捉えられてしまうと、毎時間、子供から問いを引き出さなきゃいけない。今日何するみたいな。そういうのは形式主義なわけですね。この学習過程のイメージでも、気づきとか疑問を出し合うということで、最初は小さな「?(はてな)」でいいと思うんです。問いを立てるということと、問いを持つということは違いますから、学んだ先に本当の問いは出てくると。それで言いますと、学習過程のイメージ、最初の動機づけのところは気づき、疑問とあって、それから学習課題とかですけれども、最後、新たな問いを見出すという形に振り返りのところではなっているわけですね。ですから、何か問いを立てるみたいな形で、あんまりきつく考え過ぎるとよくなくて、それは総合とかでしっかりやっていけばいいところだと思うので、形式主義にならないことが大事かなと思います。
 あともう一点、この情報の妥当性の話は非常に重要だと思います。最初、山田委員からもあったと思うんですけども、内容論なくして批判的思考はできないということがあります。批判的思考の議論に関しては、内容の領域固有の知識が大事なのか、あるいはスキルが大事なのかという議論が昔からあるわけですけれども、やはり一定の内容知といいますか、そこがないと、最終的な情報源の妥当性みたいなものも吟味できないと。ですから、それは実は、中核的な概念の理解、高次の資質・能力とか、そういう形で社会認識をちゃんと育てていくんだという、それとセットで考えていくことが大事なのかなと思います。自分なりに物事を判断していくための軸を形成していくことが、今回の高次の資質・能力云々ということの1つポイントになってくるかと思いますので、そことセットで考えていくと。
 さらに言うと、情報の妥当性ということが、これが問題なんだということを常に先生方が意識する上でも、こういう形で、明確に技能の中に置いておくと。当然、情報源といったものの妥当性を吟味するということは、AIを使いながらとか、いろいろ日進月歩なわけですけども、そういうふうに、大人たちが、自分もそうですが、試行錯誤している。先生方とか子供たちも、アンテナを高くして、そういった動きを見ていくと。そこが大事なのかなと思ったりします。
 すみません、長くなりましたが以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは少し順番が前後しますが、先に諸冨委員、お願いいたします。
【諸富委員】  ありがとうございます。資料の全体の論理としては、ほとんど共感しておりまして、全体についてはもうそのとおりですということになるんですが、少し、議論の1つの論点になっている、生成AIをはじめとする情報の活用の仕方という点でコメントをさせていただきたいと思います。
 資料の3ページの(4)、右下にありますが、ここの下線部、本質的な問いが列記されていると思いました。収集情報の信頼性を確認する技能を一層高めるとともに、最終的な評価の段階で、AIに頼って自らの思考を経ていない成果物は通用しないような評価の工夫をしていくことが喫緊の課題。やっぱり生成AIでつくられた、まとめられた知識をコピーペーストしてレポートを出してくるのをどうするかみたいなことは、大学のレポートで問題になっていますが、やはりこれは、小中学校、高校の現場でも、いずれ問題になってくると思いますね。なので、これに対してどう考えていくかというところなんですが、この評価はやはり非常に悩ましいと思います。自らの思考を経るということは決定的に重要ですけれども、しかしそれを、自らの思考を経たものと経ていないものを、どう峻別して評価するのかというのは大きな問いになると思うんです。
 もちろん、生成AIというのを遠ざけるわけにはいかず、やはり生成AIを使えば、圧倒的に人類の知をスピーディーに、かつ効果的、効率的に検索し、知識を生成させられるので、これを使わない手はないと思いますし、AIネーティブな子供たちがこれから生まれていくことは、もう必須、必至だと思うんですね。そうすると、これを使いこなすにはどうするかという視点、子供たちが使いこなせるようになるにはどうするかという視点ですね。これが皆、非常に大事になってきますけれども、そのときに、そうであればあるほど主体性が非常に大事、使いこなす側の主体性をどうするかというところが非常に重要です。
 そういう意味では、私は7ページに整理されているような、横から、左から右へと至るプロセスの中の課題把握のところで書かれたように、動機づけ、方向づけ、ここが決定的に重要になるのかなと。生成AIを使いこなす上で、プロンプトを書くというプロセスがありますね。生成AIを使いこなすプロセスの中で、コマンドを与えていくわけですけれども書くためには、こちらが何を欲しいか、どういう方向づけをしようとしているかということについての問題意識があって、それを明確に言語化して指示できなければプロンプトを書けないですね。ですので、そういう意味では、動機づけ、方向づけが決定的に子供たちにとって重要になってきます。そうするとAIを使いこなせる。AIは技術ですので、答えではないよということは教える必要ありますけれども、あと、これのページの後段である考察、構想、まとめというプロセス、これを経ることが、ちゃんと学習プロセスができていれば、おのずと、自らの思考を経ていないのではないかとはならないと思うんですね。自らの思考をしっかり、自分たちの構想、価値観と呼んでもいいかもしれませんが、子供一人一人がそういうものを何か、原初的な形を持っていて、それに沿って出てきた知識を整理して、まとめていける力をつけてあげれば、生成AIが出た、同じ知識が目の前にあっても、アウトプットをどう出すかは、子供たちによって違ってくるはずで、そこで判定して評価をしていけばいけるんじゃないかなと思うんですけれども。
 以上でございます。
【土井主査】  ありがとうございます。
 時間の関係もございますので、取りあえず今、挙手していただいている小林委員までで発言を終えていただきたいと思っております。少し時間の余裕があれば、追加もあるかもしれません。
 それでは中山委員、お願いいたします。
【中山委員】  よろしくお願いいたします。御提案されている緻密なものに対しては、もうそのとおりだなと思うんですけれども、欠けているのではないかと思うことが、知的財産に関することなんです。例えば6ページの情報収集する技能とか、読み取る、まとめるのところに、知的な財産への敬意みたいなところがなくて、メディアリテラシーとして、それは考えなくていいのかなという問いがあります。例えば社会調査において、農家の方に調査する、誰かにお願いするときに、何かまるで協力することが当然のような児童生徒になってはいけなくて、知的な財産への敬意ということが分かっていれば、発信するときも不用意なことはしなくなると思うんですね。なので妥当性の確認とか、そういうことはもちろん大事なんですけれども、それだけではなく、知的財産権みたいな考え方をどこで教えるかといったときに、情報モラルの中では、やっぱりここ社会科になるんじゃないかなと思うんです。蓄積された人生の経験値とか、研究された知的な軌跡ですよね。そこがあることが分かれば、多少、AIの使い方も賢くなれるのではないかと思っていて、今の6ページのどこに入れたらいいか、もしくは16ページの考え方のどこかに、情報の吟味とか批判的な評価、デジタル社会への参画だけではなく、知的財産権とか、知的財産への敬意を払うことという言葉をどこかに入れるべきじゃないかなと思って全体を見渡しておりました。
 おしまいにします。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは頼住委員、お願いいたします。
【頼住委員】  ありがとうございます。私は5ページの(4)のところで一言申し上げたいと思います。右側の2つ目の丸のところで、先ほどから出ておりますように、生徒が自ら責任持つという言葉がございます。責任持つという言葉が出ているのはとても大切なことです。先ほどから発信ということが重要なんだという先生方の御意見があって、私も共感して聞いておりましたけれども、発信したときにはやはり、先ほど土井先生もおっしゃっておられましたように、責任ということが非常に重要になってくると思います。今、見せていただいている資料だと、責任というのは児童生徒の責任という形になっておりますが、発信ということを考えると、やはり教員の評価の責任とか、学校の指導の責任とか、様々な責任というものが考えられなければならないと思います。けれども、今のところ、責任という言葉が児童生徒のみに関して言及されています。その辺りに若干、危惧の念を持ちましたので、教員の責任、教員の評価責任、学校の指導責任などについてもどこかで触れておいたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは、額田委員、お願いいたします。
【額田委員】  額田です。3ページの(3)の2つ目の丸になります。自己決定権の尊重や社会参加の促進、こども基本法等を踏まえて、主権者教育のさらなる充実が求められるというのはそのとおりだと思っていますが、後半部分の「情報モラルやメディアリテラシーの重要性がより一層求められていることを踏まえる必要がある。」という記載は社会参加の促進などに対する制限的要素のように受け止められました。これは、今出てきている情報の発信に関わっているんだろうなと思っています。
 学校から弁護士会に出張授業等の要請があるのですが最近は、メディアリテラシーを取り上げてほしいと言われることが多くなっているように思います。SNS等に問題のある発信をすることによってトラブルが起きている、これを未然に防ぎたいという趣旨からの要請と受け止めていますけれども、制限する方向だけでは、主権者教育としてはマイナスになってしまうと思いましたので、やはり、発信する力についての項目を設けていくことが必要かと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは、森本委員、お願いいたします。
【森本委員】  森本です。よろしくお願いします。これまでの議論と重なる部分なんですけれども、3ページ目の4のところですが、AIなど、デジタル技術の発展に関する課題というのは非常に私も、皆さんの御議論を伺っていて、そのとおりだと思いながら伺っていました。特に下線部のところなんですけど、収集した情報の信頼性を確認する技能を一層高めるとともに、最終的な評価の段階で、AIに頼って自らの思考を経ていない成果物は通用しないような評価の工夫、これすごく重要なことだと思うんですが、もう一歩ここを深めていく必要があるのかなと思います。今、AIを使わないというような時代ではないと思いますので、御議論にあったように、メディアリテラシー、情報リテラシーというのを前提にしながら、いかにAIを使いこなしていくのか。そのときに出来上がった成果物は、もう評価の対象にならないのは大学の現場でも重々、卒論がほとんど。自らの思考を反映していないようなものが出てくるような時代になっているような中で、そうじゃない評価の仕方って、一体どういう仕方があるのか。
 特にそこで大事になってくるのが、問いを立てる、一番最初の5ページ目のところの問いを立てるところですね。課題解決に必要な社会的事象等に関して情報を収集する技能の前の段階なんですけど、何を課題とするのかというところの動機づけみたいなところ、そこから成果物までの一連の過程をどう評価するのか。だから成果物じゃなくてプロセスを評価していくというような、そういう評価の方法にしていかないといけないのかなと思いながら伺っていました。
 ただ代替案として、こういうふうに評価の方法がありますというところまでは思いついていないんですけれども、何をいかに考えるのかというところから、どういうものが出てきたかという一連のプロセスを評価する、そういう評価の方法、もう少し具体的な案があればいいんですけど、ちょっとそこまで御提案できないんですが、その点をもう少し深めていく必要があるかと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  よろしくお願いいたします。私は5ページの(3)デジタル学習基盤を活用した学習の充実提起のところについてのお話をしたいと思います。学校現場ですが、3ページの現状等のところにもありますように、ICTの活用が教具的発想にとどまっているというところはまさにそうなんですね。それを、今回はデジタル学習基盤を前提として学習するときに、なぜデジタルがよいのか、社会科等の学習において、どこでICTを活用するとよいのかを明確に分かるように、学習指導要領の解説に書いていくことが必要だと思います。ここに書いてあるとおり、課題を追究したり、解決したりする活動において、学習の質の高まりを促進すると書いてあるんですが、まさにこれはそのとおりだと思うのです。ここの学習の質の高まりの記述をできるだけ具体的に充実していただければありがたいと思います。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは梅津委員、お願いいたします。
【梅津主査代理】  私は6ページと7ページを並べて見ながら、2点のことを意見として述べさせていただきたいと思います。既にここまでの議論のところで確認されてきましたとおり、社会科における基本になる学習過程を、課題把握から追究・解決・課題の発見という流れで捉えるというのは大方賛同を得られていることかと私自身は理解をしております。ただし、これまでの議論、それから本日配られた諸資料でも、割と看過されているのが何かというと、この学習過程を前提としたときにも、教師の指導性の問題と子供の主体性の問題を軸に置いたときに、類型的に捉えることが可能になるということが押さえられていないんじゃないかと思います。小学校、中学校、そして高等学校を通じて、恐らくこの課題把握・課題追究・課題解決の流れを教師が主導するという型の授業というのは当然あると思います。あるどころか、中等社会科では中心になるものであると理解しています。
 誤解なく理解をしたいところは、これは教え込み・暗記学習とは全く異なりまして、いわゆる高次の資質・能力に当たる、概念ベースの教育内容を設定し、適切に定められた問いに基づいて、教師が適切な資料を準備・加工をして、子供たちに読み取らせ、知識を発見させる過程を通して教育内容になる概念あるいは概念的知識を獲得させるという授業は、むしろよい授業、オーソドックスなよい授業として位置づいているものだと思うわけです。これを一般に「構造化された探究」と表しますならば、一方、課題については教員が示すけれども、資料の収集、それから整理・読み取り、まさに追究ですね。そして解決、次の発見までを子供に委ねるというスタイルの授業もあるかもしれません。しばしば「導かれた探究」という言葉で表されます。
 一方、総合的な学習の時間や総合的な探究の時間に合致するものとして、いわゆる課題の把握から追究・解決・次なる課題の発見まで、全てを子供に委ねるという形の授業過程、授業もあろうかと思います。これは「開いた探究」と呼ばれたりします。
 さて、私たちの議論の中で、この教師の指導性と子供の主体性の問題を軸に、今のようにオーソドックスな類型を立ててこの学習過程を捉えるというところが少し欠落しているんじゃないかなと思われまして、だから学校現場の先生方は不安になられるのではないでしょうか。限られた時間の中で、いつでも、どこでも、子供主体の、この学習過程を展開していかねばならないと思えば、それはなかなか到底できないことでありますので、それはこれからの解説をつくっていく過程で議論されていく、あるいは書き込まれていくことになるかもしれませんけど、私が1点目に申し上げたいのは、この課題の把握・追究・解決・発見というプロセスをオーソドックスな社会科の学習過程と捉えた上でも、教師の指導性の問題と子供の主体性の問題をベースにしながら、ある程度、学習過程を類型的に捉えて、学校現場の実態に合うようなメッセージを送っていくというのがとても大事じゃないかということです。
 2点目は、そのことと深く関わりますけども、冒頭、山田委員らの議論の中で、資料の表題・出典・年代・作者など、子供たちがいつのタイミングでどのように確認できるのか難しいんじゃないかという議論がありましたけども、私としてはそのとおりであって、なかなかこれは、放っておいて、それを子供ができるというものにはならないと思います。後ほど議論される高次の資質・能力の在り方とも関わりますけども、きちっと資料の読み方、場合によっては集め方、吟味の仕方、こういったものは教育内容化していかなければならない。どこかでトレーニングする、学ぶ、この機会を意図的に設けて実質化していかないといけないと思います。子供はできるはずだ、あるいは主観的にそのようにやりましょうというだけではなかなかそれは、子供の技能や能力として定着するものではないと思いますので、きちんとこれらの事柄を学習内容化していくことが大事だということを述べたいと思います。
 以上、2点述べました。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは井柳委員、お願いいたします。
【井柳委員】  短く2点申し上げたいと思います。1つは主権者教育との関わりで、ここのところ、使用するメディアによって異なる投票行動がなされているという選挙の実態が、ここ二、三年、目についているということがありますけれども、これ自体も今後変わるかもしれませんが、メディアそのものも問われているような時代、そしてまたメディアの特性といったものもそれぞれかなり違ってきている中で、メディアの特性といったものを踏まえるということを情報教育との関わりの中で、今後またいろいろ変化はあると思いますけど意識していく必要性もあるということが1つ。
 それから情報発信ということですけども、デジタル社会への参画ということを主権者教育との関わりで考えるときに、ぜひ情報発信というか、発信する側の在り方ということも重要だと思いますけれども、社会参画、デジタル社会の参画の在り方は、コミュニケーションとか、いろんな意見を収集とか、かなりいろんなかたちがあると思うので、広くそこを捉えていくという視点が必要かと思います。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 時間の制約で指名させていただく範囲を限定してしまいましたが、御発言できなかった先生、今、升野委員、挙手していただいているのですけれども、時間との関係で申し訳ありません。発言していただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただければ議事録に掲載する取扱いとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、この辺りで一度、5分程度、休憩を取りたいと思います。休憩後、引続き議題2に入ります。それでは10時45分まで休憩とさせていただきます。
( 休  憩 )
【土井主査】  それでは、時間が参りましたので議事を再開させていただきます。
 まず議題の2、系統性・体系性等の整理について、事務局より御説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】  それでは資料1の33ページを御覧ください。議題の2は系統性・体系性の整理についてです。前回は小中学校を中心に御意見をいただきましたが、本日は高等学校が中心となります。今お示ししているページにつきましては、前回、第5回ワーキンググループで示したものと基本的には同じものとなっておりますけれども、前回いただいた御意見や、中学校で分野横断単元を設けること等としたことを踏まえまして、黄色マーカー箇所のとおり、系統性・体系性の大枠は維持しつつとあったものを、基本としつつといった表現に改めております。
 34ページを御覧ください。2の改善の方向性といたしまして、まず(1)高等学校段階(地理歴史科)についてです。地理歴史科については、小中学校の学習を踏まえた学びを深めるために、科目全体の見通しを持たせる導入単元の見直しをしたり、探究的な学びを促進したりする改善を図ってはどうかと考えております。
 まず丸1の地理領域科目のうち、必履修科目である地理総合については、現状と課題の部分に記載のとおり、生徒が高等学校で地理を学ぶ意義や意味を学んだり、地理総合全体を見通す項目が設定されておらず、各中項目で習得した資質・能力を関連付けた学習が十分とは言えないこと。現行の「地図や地理情報システムと現代世界」は、地理学習の基本的な技能を身に付けることとされていますが、その後、生徒が主体的に地理情報システムを活用した学習に繋がっていないといった課題があります。
 このようなことを踏まえまして、右側の改善方策にあるとおりでございますけども、今の地理総合の大項目Aを再編いたしまして、地理を学ぶ意味や意義に気付き、科目の学習の見通しを持つための導入単元、「地理と私たち(仮称)」へ見直す方向で検討することとしてはどうかと考えております。
 また、3つ目の黒ポツにございますとおり、導入単元と各中項目を関連付け、生徒が科目のまとめであるC(2)生活圏の調査と地域の展望まで、全体を見通して学習できるようにするとともに、GISについては解説に事例を示したり、活用する場面を設定する方向で検討してはどうかと考えております。
 続いて選択履修科目(地理探究)についてです。左下の現状と課題にあるとおり、現行の学習指導要領では、必履修科目の地理総合と選択履修科目の地理探究が設置され、一定の成果が見られるものの、特に探究科目においては、その理解の深まり・広がりが十分でなく、中学校との接続においても課題があると考えております。
 このことを踏まえまして、右下の改善方策にあるとおり、地理探究のB(2)現代世界の諸地域を再編して、探究的な学びを促進する新項目、「地誌的考察と持続可能な社会づくり(仮称)」へと見直してはどうかと考えております。この中では、世界全体を隈なく取り上げるものではない、つまり網羅的に扱う必要はないことの趣旨を徹底することとした上で、一定のテーマで区分された地域を対象として課題を設定し、地誌的に考察するとともに、地理的な諸課題の解決の方向性や、今後望ましい地域の在り方を展望する学習活動としてはどうかと考えております。
 さらに中学校社会科、地理総合、地理探究を通じた探究的な学びの系統性・体系性を重視する方向で見直していってはどうかと考えております。
 これら地理領域科目の具体的な見直しのイメージにつきましては38ページ、こちらに示しておりますので、併せて御覧いただければと存じます。
 続きまして35ページを御覧ください。高等学校地理歴史科のうち、丸2の歴史領域科目についてです。まず歴史総合、日本史探究、世界史探究共通の現状と課題といたしまして、左側にあるとおり、今次の学習指導要領の改訂により科目の見直しを行った結果、一定の成果が見られる一方で、各学校の指導計画の作成において、学習単元を構成する際に、資質・能力の育成を目指して内容を構造化し、単元を構成することについて課題が見られるところであり、その一因として、指導要領の記載の分かりにくさが挙げられると考えられております。
 このため、右の改善方策に示したとおりございますけれども、今回大幅に見直されることとなる表形式化によって、互いに関連を持ち、単位を構造化する枠組みとして機能することを明確化してはどうかと考えております。
 36ページを御覧ください。丸2の歴史領域科目のうち、選択履修科目である日本史探究と世界史探究についてです。
 まず左側、現状と課題にあるとおり、歴史総合においては、資料を扱う際の留意点に気付くことを促す項目が設定され、その後の学習に生かすことで、生徒が資料を活用し考察する学習や技能の定着が一定程度見られる一方で、日本史探究や世界史探究においては、歴史総合で獲得した学び方が踏まえられていない実態も見ております。また、議題1でも御意見をいただいた、課題を追究したり解決したりする活動を通した学習を重視する学習指導要領の趣旨と、日本史探究、世界史探究の教科書における記述内容との間に乖離があることも指摘されており、教師が探究的な学びを目指した単元設定を行うに際して、一部困難が生じている場面も見られます。このため、これらの科目におきましては、歴史総合と比較して個別の事象を網羅的に取り扱ってしまう知識中心の授業が行われやすい要因となっているのではないかと考えております。
 このようなことを踏まえまして、右側の改善方策にあるとおり、高次の資質・能力とのつながりを明確にしながら、各単元のまとめに諸地域を読み解く観点や、諸事象の解釈や歴史の画期などから生徒が形成した観点などを踏まえて探究的に学習した結果を表現することを促すことを明記すること。
 学習上の課題や段階的な課題の設定方法等について、解説等において、より分かりやすく記述する方法で検討すること。
 指導要領の内容項目の構成を明確にしたり、高次の資質・能力を活用して歴史に関わる個別的な事象を整理しやすく工夫を行うことで、探究的な学びの充実に向かう様々な工夫・改善を促すこと。
 これらの改善を教科書発行者が行いやすくするため、国において、指導要領の内容項目について、高次の資質・能力を踏まえ、知識として身につける事象の精選を行うとともに、教科書発行者に対してこれらの趣旨を踏まえた教科書編集がなされるよう促すことなどを進めてはどうかと考えております。
 これら歴史領域科目の具体の見直しイメージにつきましては39ページ、こちらも併せて御覧いただければと存じます。
 続きまして37ページを御覧ください。高等学校の公民科についてです。まず丸1必履修科目の公共についてです。現状では大項目のAで概念や基本的な原理について理解が進んでいる一方で、大項目のBとCでは、Aで学習した概念、考え方を用いて、他者と協働しながら課題を追究したり解決したりする活動について、課題として指摘する声があり、具体的な課題の例をここに掲げているところでございます。また、公共での学習を通じて社会の現状を的確に把握することや、専門家や関係諸機関などとの連携・協働を図ることにも一定の課題が見られるところであります。
 このようなことを踏まえまして、右側の改善方策に示すとおりでございますけれども、大項目のBにおいて、内容のまとまりとして、現実社会の事柄や課題を関連付けて捉えた主題を設定しやすくするために、現在13ある事柄や課題を10の課題に精選すること。大項目B、Cにおいて、他者と協働して追究したり解決したりする活動を行う際には、詳細な制度や仕組みの解説ではなく、本来目指している基本的な原理に焦点化し、利益衡量を促していくこと。社会参画意識の涵養の充実に向けて、専門家や関係諸機関などと連携・協働を図ることを一層推進できるような工夫を示すことなどを進めてはどうかと考えております。
 また丸2の選択履修科目である倫理と政治・経済については、左側の現状と課題にあるとおり、一定の課題が見られることも踏まえまして、右の改善方策に示すとおり、探究する学習で扱う諸課題について、社会情勢を踏まえた見直しを図ることとするとともに、公共、倫理、政治・経済との関係性をさらに分かりやすく示すこととしてはどうかと考えております。
 具体的なイメージといたしまして、40ページでは、公共で扱う事柄や課題の具体的な改善内容。左側が現行で、右側が改善のイメージになっております。また41ページでは、倫理で扱う探究する活動の課題。42ページは政治・経済で扱う探究する活動の課題の見直し案を示すとともに、43ページでは、高等学校公民科全体の科目構成のイメージを整理した資料を添付しておりますので、併せて御確認いただければと存じます。
 事務局からの説明は以上となります。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは、御説明いただきました資料1の32ページから50ページまでにつきまして、こちらも50分程度御議論いただきたいと思います。皆様に御発言の機会があるよう、1回の御発言は長くとも2分以内でおまとめください。なお必要に応じまして、議事1の内容につきましても時間の範囲内で御発言をいただければと思います。御発言の際には資料のどのページに関する御意見であるかを明言いただけますと幸いです。それでは御意見等のある方、挙手ボタンをお願いいたします。
 それでは井田委員、お願いいたします。
【井田委員】  よろしくお願いいたします。それでは38ページに基づきながら、地理の改善イメージというところで意見をしたいと思います。今まで問題点を挙げられてきましたけども、1つの高校の問題点は、「地理探究」での系統地理と地誌の繋がりというのがはっきりしていない。それぞれ個別に扱われるような感じだったのですけれども、そこをかなり整理していただいたかなと思います。ただ、もうちょっと強調していただきたいのは、系統地理の学習の方法論的な流れとしては、課題把握から課題解決となっていますが、系統地理の知識面に関しましては、ある項目別に世界を見ていくということで、例えば自然環境で世界を見ていく、資源産業で世界を見ていくということから基礎的知識とか概念的知識、それから各地域の比較という形で系統地理の学習が進められていて、そのような系統地理の学習に基づきながら地誌を考えるという繋がりになっているという点です。つまりどのように地域区分をして、その地域の自然環境や資源産業などが系統地理の学習を踏まえてどういう特徴があるのかを思考しながら、生徒たちがその地域の地誌をつくり上げていくという地誌学習になっているので、系統地理学習と地誌学習が非常に計画的な繋がりをもっている学習となっていると思います。
 さらには、これは中学校からの流れを考えてくると、中学校でも世界地誌は扱いますけれども、中学校の世界地誌が与えられた課題に対して、基礎的な概念的知識を習得し基礎的な地理的な思考に基づいた議論を育成するものになっています。それらの基礎的概念的知識や議論の仕方に基づいて、高校の「地理総合」で主題的な方法論で学習し、その主題的学習を進めるうえで新たな地理的課題が見出されます。つまり、防災をはじめとする様々な地理的課題を考えていくときに、より深い世界との関連、世界のことを知らなければできないということを生徒たちに気づかせます。それにより高校の選択科目である「地理探究」の学びで、先ほどの系統地理、地誌と繋がっていきます。先ほどご意見がありました学習課題のイメージに照合させると、高校の地理学習では、新たな課題というのが、「地理総合」が終わった段階で出てきて、それに繋がって「地理探究」での系統地理の学習で課題追究があって、地誌の学習で課題解決、その課題解決が日本の持続可能な社会づくりや国土像にも繋がっていくということで、長期的な学習課題のプロセスとなっていると評価できます。以上のような中学校の地理学習から「地理総合」とか「地理探究」での系統地理学習、地誌学習の関連性がより一層明確に示されるといいかなと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは諸富委員、お願いいたします。
【諸富委員】  ありがとうございます。資料でいきますと43ページです。全体の体系性を議論するパートということで、私、公民の教科書、高校の政治・経済を担当しているんですけども、公共はやっていないんですが、これは以前に土井先生とも少しお話しをさせていただいて、整理していただいたところではあるんですけれども、やはり公共と政治・経済が重複してないかという問題意識を持っておりまして、公共でかなりしっかり、市場とか、その他のトピックについても学んで、でもまた政治・経済と同じ内容を書いているなというのがありまして、ここで打ち出していただいている方向性は賛成なんですけれども、もっと整理できないかなと。つまり政治・経済は大学とのウエッチングを意識したような形で、公共で学んだ知識をベースに、より応用的、一線的、あるいはここで書いていただいているような、諸課題とその解決策の構想、あるいは表現する、ディスカッションするといったような活動の学習に重点を移す大胆な組替えをして、そこから得られたところから、もう一回、理論とか基礎に戻っていくような学習スタイルに切り替えることによって、公共と政治・経済とのすみ分けというか、相互作用というか、そういうような形で御検討いただけないかなと思っております。
 以上でございます。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは森本委員、お願いいたします。
【森本委員】  森本です。よろしくお願いします。まず最初に34ページの地理総合、地理探究の改善案につきまして、望ましい方向に改善案が進んでいるように思いました。地理総合、これを一番最初の単元のところを地理と私たちということに見直して、地理の地域を見る1つのツールであるGISによって地域を可視化していく、そういう技能をまずここで身につけるというのはすごく重要なことだと思うんですけど、これが38ページで、ねらいのところに、地図や地理情報システム(GIS)の役割や有用性の理解と、それらを用いた技能の習得というところにもう一つ加えていただきたいなと思ったのが、GISを使うことによって、身の回りの地域からグローバルな世界の見方、世界の視座というのを入れられるといいかなと思いました。
 というのは、地理総合の最後のところ、生活圏の調査と地域の展望というのが、多くの場合、身の回り、学校の周辺とか家の周辺を調べて、地域にどんな問題があるのかというような調べ学習に通じていると思うんですけど、そこからいかに自分たちの暮らしというのが世界と関わりがあるのかということを考えるために、ツールの習得プラス、それによって世界を俯瞰するような視座の習得というのができるとさらにいいんじゃないかなと思いました。それが地理総合についてのコメントです。
 もう一つ、地理探究についてのコメントで、地誌的考察と持続可能な社会づくり、同じページを見ていますけれども、そこのところで、34ページでは、全ての地域を賄うことはできないというのはそのとおりだと思うんです。ここで気をつけるべきことは何かというと、地域的な偏りがどうしても生じてしまうと思うんですけれども、世界全体、時間的に非常に難しいと思いますが、地理総合の一番最初のところで、世界とは多様なんだということを学んで、それを類型化して、いろんな地域の地誌を取り上げられるといいかなと思います。どうしても今までのところ、多様な地域はもちろん取り上げられてはいるんですけれども、欧米中心の知識が多かったりというようなところがあるのかなと思うので、新興国であるとか発展途上国、それから最貧国であるとか、いろんな地域を学ぶことによって、そこから応用して世界を見ていく、いろんな地域を見ていく力というのが習得できるといいかなと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは池委員、お願いいたします。
【池委員】  よろしくお願いいたします。今映っている34ページのところですけれども、「地理探究」で、「地誌的考察と持続的な社会づくり」という新しい項目が提案されている点について非常に私は評価しております。と申しますのも、今までももちろん、中学校の世界地誌学習と高校の世界地誌学習の差異化ということについては意識されていたとは思うのですが、教科書レベルではほとんど内容が変わらない状況になっておりますので、高校でこのような新しい項目を新設するということは非常に意味のあることなのではないかと思っています。
 イの「改善方策」のところに書かれておりますけれども、この御提案では、一定のテーマで区分された地域を対象にすると書かれているわけですが、どの程度のスケールの地域を対象にするのかという点が、やはりこれから考えてゆくべき重要な問題なのではないかと思います。
 38ページを映していただきたいのですが、38ページの一番右下のところ、大項目のCに、「現代世界におけるこれからの日本の国土像」がありますけれども、その国土像を描く前提として、この新設項目を位置づけるのであれば、例えば国レベルの地域を対象として、日本の国土との比較を意識した内容にすることも考えられると思いますので、どのレベルのスケールの地域を取り上げるのかをこれから検討していく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは小林委員お願いいたします。
【小林委員】  ありがとうございます。34ページの改善の方策にもありますが、全体的には見通しを持たせる導入単元を設定する、探究的な学びを促進するということについては賛成でございます。
 地理総合のほうですけれども、この導入単元なんですが、やはり調整授業時数制度が入り、高校段階では柔軟な教育課程の方向性であることを踏まえると、地理総合の内容の精選が非常に重要であると思っています。現状のままオンされると、厳しいかなと思うのです。ここに示す事例を通して、学習の見通しを持ち、地理を学ぶ意味や意義をしっかり理解できるようにしていくと思うんですけれども、ここが重いと後の学習内容とも重複しますし、できるだけ簡潔に教科書の記述があるとよいと思います。
 2つ目は、探究的な学びの充実というところで、地理探究に現代世界の諸地域を再編していくというところであります。ここについては、基本的には賛成なんですけれども、制度設計をしっかりしていかないと中途半端な学習で終わる可能性があるのではないかなと思います。特に諸地域に見られる地域的特色や地球的課題の理解、それと地誌的に考察する方法の理解という、この2点が不十分なまま探究的な学びに入っていくと、結果的には系統地理的考察に終始してしまう可能性が考えられます。
 したがって、まずは地誌的な方法をしっかり学んだ後に探究的な学びをやっていくのか、それとも単元全体を通じて探究的な学びの中で地誌的に考察する方法とともに、地域的特色や地球的課題を理解するのか、制度設計も含めて、十分議論をしていく必要があると思っております。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは吉水委員、お願いいたします。
【吉水委員】  ありがとうございます。38ページで御覧いただいたほうが分かりやすいかと思います。2点あります。
 1つは地理総合のほうですけれども、今まで御意見あったとおりで、導入単元を設定されているというのは、科目の学習の意義の理解としては非常に効果があると私も思います。一方、学校現場では、その後の単元で、例えばGISが知識を構造化していくようなエンジンとして機能するためには、解説の段階になると思いますけども、どの課題でどのデータをどんなふうに重ねれば、どんな地理的視点が深まるのかという、具体的な活用事例を書き込むことが、実効性を担保する生命線になるんじゃないかなと考えております。
 2つ目は、これも御意見がありましたが、地理探究の新設単元です。ここでは生徒が自ら地域や主題を設定して地誌的に考察、構想するというふうなことが赤でハイライトされたところで書かれておりますけれども、これについてもうまくいけば有意義な学びになると思います。一方これも、指導する教員の側にとってもハードルがちょっと上がるかなと考えられますので、先ほど申し上げた地理総合と同じですけども、解説の段階になるかと思いますが、事例を具体的に書き込むとかということが必要かなと思います。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】  すみません、42ページになるかと思いますが、政治・経済の改善のイメージですけれども、先ほど公共との重複ということが、どうしても、若干まだ残っているんじゃないかという御意見もありましたが、私も公共と性格の違いを明確にするためにも、この課題を探究させるんだというところを、政・経についてはもっと明確にしていく必要があるかなと思いますし、これは倫理にも共通するんじゃないかと思います。そういう意味では、大項目のA、Bのそれぞれの2のところに表されている項目については、何かテーマというよりは、探究課題であることが明らかに分かるような示し方というのが必要かもしれないと感じております。もちろん解説のレベルでそれを書き込むという方法もあるんですけれども、メッセージとして、ここは公共で解決し得なかった課題を探究していく、そういう部分なんだというところをもっと示すべきではないかと思います。
 そういう課題というのは、言わば、なかなか社会の中で解決できていない論争問題とか、そういったものが主になるかと思いますし、またそれは、社会においても正解が1つでないものということになりますから、そういったものの中から教師が選択して、ここで生徒に提供できるような、そういう形が分かるような書きぶり、そしてその点で公共との違いというのを出せたらと思います。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは、升野委員、お願いいたします。先ほど議題1のところでの御発言を含めていただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。
【升野委員】  ありがとうございます。探究的な学びの重要性が、いろんな教科、科目で出ていると思うんですけれども、探究的な学びは、方向というのを指導する教員が分かっていないと、どのように指導したらよいか分からない先生も結構いらっしゃると思います。現場では。そこでは、例えば中学の総合的な学習とか高校の探究学習で行われる、方法を学ぶというところが重要になってくると思うので、社会科ではない、総合学習とか探究授業との関連性が非常に大事になってくると思いますので、どのようにしていくかというところで、恐らくそちらのほうも、今回ワーキングのほうで検討されていると思うんですけれども、どのように検討され、どのようなことを総合で生徒は学んでいて、そして社会科ではここをやっていくというところを明確にしていっていただかないと、先生方は多分、とても指導に苦労される先生もいるのかなというところが非常に気になりました。そこの辺りの情報共有とか相互の交流などもワーキングのほうでもお願いできればと思っております。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは杉山委員、お願いいたします。
【杉山委員】  杉山です。よろしくお願いします。先にまず、歴史領域科目について質問です。35・36ページのところです。日本史探究・世界史探究等で、新項目を工夫するということが出ています。39ページの表で言えば、下のほうの黄色いハイライトの部分だと思いますが、もう少し具体的に、どういった内容の追加を想定されているのか、伺いたく思います。
 それからもう1点は、35ページの歴史総合と36ページの探究科目についてです。歴史総合において、「内容の各項目が互いに関連をもち、単元を構造化する」ということが改善方策とされています。これは具体的にどういうイメージでしょうか。それと探究科目のほうですと、「探究的に学習した結果を表現する」とか「学びの充実に向かう」とありますが、具体的には歴史の探究科目でどういった内容を想定されているのかについて、先ほどの質問と合わせて、もう少し具体的なイメージを教えていただければと思います。まずお願いします。
【土井主査】  ありがとうございます。最初の39ページの黄色のハイライトの部分かと思います。「探究的に学習した結果を表現し新たな課題に向かう場面を創設」と書いてあるんだけれど、そこはどういう意味なのかということと、それから35ページ記載のところで、「内容の各項目が互いに関連をもち、単元を構造化する枠組みとして機能することを明確にしてはどうか」と。これは具体的にどういうことをするのかイメージを教えてほしいという質問だと思いますので、よろしくお願いいたします。
【藤野視学官】  視学官の藤野です。よろしくお願いいたします。
 まず1点目の質問につきましてですが、39ページの黄色い部分に関わるところになりますけれども、具体的には、各単元で学んだことのまとめに相当する部分については、学習指導要領上、現行の探究科目には言及がなかったところです。歴史総合で申しますと、各近代化とか対象から学んだ後に、それを現代の課題と結びつけながらまとめていく。このようなところが要領上に示されていたわけですが、探究科目につきましては、そういうまとめについての規定というものが一切書かれていなかったもので、何の目的の単元であるかということを明確にしていきましょうということになると思います。
 2点目です。35ページ、これは歴史総合のほうにも関わってくるのですけれども、学習指導要領の内容の各項目の互いの関係、関連、こういったことです。これについては、先ほどの1点目の答えとこれも非常に重なってくるところがあるんですが、例えば歴史総合では、資料を基に問いをつくっていくところから各単元の学習がスタートしていきますけれども、それらでつくられた問いが、学習の過程の中でどういうふうに関わって展開していくのか、はたまたまとめの部分にそれがどういうふうに生きていくのか、そういった学習指導要領で示された様々な項目の関係をもう少し明示的に示していってはどうかということになると思います。探究科目においても、世界史探究でも同様に、大きな単元の初めは生徒が問いをつくるところから始まるんですけれども、それをどういうふうに後の学習と関連させていくのか。日本史探究においては、(1)(2)のような中項目の中で、見通しを立てた問いを設定し、それに仮説を立てながらというところがありますけれども、それがその後の学習とどう関連していくのか。この辺りをもう少し明示的に学習指導要領で表していってはどうかと、こういった提案になっております。
 以上になります。
【杉山委員】   ありがとうございます。ということは、日本史であれ世界史であれ、ここでいう「関連」や「構造化」とは、歴史的なファクトを提示した上で、その歴史的な事柄の連関性を示す、という意味ではなく、生徒が立てた問いに即して、ということですね。そうなると、これはその生徒、あるいは授業の進め方によって千差万別になるので、つまりここで言っていることは抽象的なことに、あるいは方法にとどまる、ということでよろしいでしょうか。
【藤野視学官】  基本的には方法を中心に、今考えています。内容につきましては、その内容の学び自体がどういう方向に向かうかということ、これについて高次の資質・能力のところが今回示されていきますから、その辺りと関連させながら、少し明確にしていくことができればと、このように考えています。
【杉山委員】  分かりました。資料の表現からすると、歴史的な事実、例えば、何とか革命といったものが起こって、その後の世界にこんな影響があった、などといったような、コンテンツ的な部分での「関連」かと思ったのですが、違うわけですね。それは趣旨としては非常に先鋭的なことだというのは、現行指導要領もそうですが、よく分かるのですが、その分、どうしても書き方が抽象的にならざるをえないので、結局現状と同じで、資料にもあったように、そういった部分は現場でスキップされて、知識中心でやってしまうことにもなる恐れがあるかなと、ちょっと危惧するところがあります。分かりました。
 日本史探究・世界史探究、あるいは歴史総合それ自体に関して、内容について申しますと、日本史探究は、考察や探究といった部分が軽視されていったときに、日本史の問題として、古代・中世・近世・近代と、どうしても時代ごとに切るのが不動の前提として動かないので、例えば時代区分を考えよう、といったことにならないんですね。その結果、大きな問いが出てきにくく、やはり時代の中身について学習する、ということからなかなか抜けられない。なかなか妙策はないのですが、そこをどうしたらいいのかという課題が引き続き残るかなというのが感想です。
 もう一つは、世界史探究はこれとは逆で、指導要領が時代区分になっていない。つまり、特質の形成、交流・再編、結合・変容などとなっていますが、これは、言葉も普遍的な言い回しであるように、そんな時代区分はありません。そして世界史の基本法則のようなものももう崩壊していますから、当然それでいいわけですが、、その結果として、時代の切り方が暫定的であるので、課題というときにどうしても大きな問いが立てづらい、ということになります。
 そういったところで、ではどんな問いを立てていくのが望ましいか、というのが難しいと感じました。例えば、その難しさの点で1つ言えば、先ほどのお話だと、授業の進め方や、生徒の持つ問いによってそれぞれ違ってくる、ということなので、それは歴史の大きなテーマではなく、個別トピックについて感じた関心を、問いにして、考えて、表現する、ということになりますね。そうであれば、ある意味、私たち研究者がやっている作業のようなもので、その時代に即した、そのトピックに即した問いになっていくので、研究者であればいいのですが、生徒だと、往々にして非常に細かい、歴史的な興味のある事柄についての問いに終始してしまうのではないかと思われます。また、それを多くの史学科以外出身の教員が指導するのはなかなか大変なので、個別的な、歴史のオタク的な問いでも構わないということになってしまう恐れもあると思いました。どんな形で、歴史の大きな流れとその問いとを結びつけていくのかが、依然としてなかなか難しいところがあるなと感じました。それが困難を感じた1点です。
 もう1点は、歴史総合と探究科目の差別化です。歴史総合の場合、「現代的な諸課題」というのが常に貫かれているので、ある意味、今日とどう結びついているかいないか、あるいはそうでなかったとしたらどうかという反実仮想、こういった問いが出てくることが予想されますが、日本史探究・世界史探究の場合に、それと同じことになってしまったり、同じ問いになってしまったりすると、歴史総合を踏まえたというよりは、ただ同じということになってしまいます。ではどんな問いの立て方が望ましいのかといったときに、差別化しようとすると、1点目で申しましたように、その特定の時代に即した個別的な疑問や問いに終始してしまう恐れがあると思います。そういったところで、問いの立て方や着想の差別化をどう導いていくかが課題になるかなと、伺っていて感じました。
 以上が現在の方向性に関するコメントです。1点、小さい個別点ですが、現行指導要領でもそうだと思うのですが、「地域」についてです。今ちょうど映っているところで「諸地域」と出ているように、世界史で使う「地域」は国家よりもはるかに大きなものを言っているわけですが、地理の場合では、地域<日本<世界のようになっていて、小さいわけですね。しかも先ほどの池先生のコメントにもありましたように、地理でも複数あるようです。総合が3科目ある状況下で、公共も含めて、科目間での用語の整理ということも、次の改訂の段階で、もう少し横断的に意識したらいいのかなというのを、伺っていて感じました。これは1点、別の感想です。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございました。
 それでは石井英真委員、お願いいたします。
【石井(英)委員】   まず今回、地理探究も日本史探究も世界史探究等もそうですが、○○探究という言葉にふさわしい形でその科目の中身を考えていくということで、非常に重要な提案かなと思って聞いておりました。先ほど、課題追究・解決といったものを、1時間の授業でサイクルを回すということではなくて、ロングスパンで考えていくと申し上げました。そこに繋がる提案かなと思って聞いておりました。
 各教科、科目の授業改善といったことに関して言いますと、総合的な探究の時間であるとか課題研究におけるノウハウ、これは生徒たちの学びにおいて、生徒たち自身が学びの在り方というか様式といったものを学んでいて、それが教科とか科目においてうまく生かされるということもありますし、それ以上に、総合の類いは私は出島だと思っているわけですけども、そこで教師が、通常の教科・科目とは違う立ち位置であるとか支援の仕方とか、そういった学習観を学びほぐすことによって、それによって教科・科目の在り方が変わると。それで言いますと、まさに総合とか課題研究においては、カリキュラムで勝負するということは非常に重要なわけですね。そういったノウハウをしっかりと、高校の○○探究という、科目のカリキュラムであるとか学びの在り方に生かしていくことが大事かなと思います。
 そのときに、先ほどの杉山委員の御発言と関連するところで言うと、1つは、内容ベースから問いベースじゃないですけど、あるいは論点ベースという形で、どういう形で今の高校生たちが、もっと格好いい、大きな問いを問えるようにしていくのか。ここがポイントだと思うんですね。大人たちも含めて、我々がどんな問いを今問うているかなということで言うと、結構スケールの小さい問いを問うているんじゃないかと。だからそこを、民主主義とは何かということもそうですし、現代とは何か、それは近代とはどう違うのか、ポスト近代や後期近代とか言われますが、それって何なのか。
 そんな大きな問いを、高校生くらいになったら格好よく問うていくことが重要で、そういったものががっつり問えるような形で、逆に教科書の在り方を考えていく。先ほどの杉山委員の御発言というのはそこだと思うんです。最終的にどういう問いを教科書に載せていけるのか、あるいは授業において扱っていけるのか。だから、そこに繋がるような形、そこがうまく見えるような形で科目の中身を考えていくと。
 それは、入試問題とも関係すると思うんです。今は高大接続ということで申しますと、実は入試のウエートといったものがトータルに見れば下がってきているということはあります。もちろん一部の選抜性の高い大学においては、まだまだ入試といったもののイメージが強いわけですけども、総合型選抜みたいな形で、大分、高大接続の様子が変わってきているという中において、知性をどう試すのかということの、その辺のパラダイムシフトが今、じわじわ進行していると思うんですね。
 知識量ではなくて、ヨーロッパが全てではないですが、口頭試問によるディフェンス文化じゃないですけども、そこで密度濃く、自分の言葉でしっかりと論じ切ると。それに対して議論する。そこでもって本当の知性は試される。実は大学においてはそういうことをしているわけです。先ほどAIとの関係で言うと、論文を書くだけじゃなくて口頭試問しているのは何かというと、あなたがちゃんと書いたのねということをそこで確かめるわけですね。そうすると結構分かるわけです。
 そういうことで言いますと、知性の試し方ということをどう考えていくのかというのが、実は根本のテーマであって、入試の今の実態を見ると、我々が何となくステレオタイプで想定している現状とはちょっと違ってきていると思うんです。そこも踏まえながら考えていくことが大事かなと思いますし、そういう観点で見たときに、例えば歴史に関して言うと、通史を3回繰り返すみたいな形。そこを問い直すきっかけにもなると思うんですけども、改めて高校において、歴史の学びといったものをどう考えるかということも含めて、内容の重点化の先に、新しいものを付け加えるということじゃなくて、どういうふうに構造化して精選に繋げていくかということも考えられるといいのかなと思いました。
【土井主査】  ありがとうございました。
 そのほか、御発言される委員おられませんでしょうか。
 それでは井柳委員、お願いします。
【井柳委員】  40ページのところで、政治的主体というような話が出ていて、さらに43ページで、小中学校で育んだ資質・能力というものを用いて、それが高校で展開していく図がありますけれども、そのときの1つとして、40ページの政治的な主体というところなのですが、これはこれで、異論があるということではないのですけども、政治参加、政治的主体というときに、小中学校で育んでいたというところの参画の能力というのが、むしろ地域社会に対する参画の能力というものがかなり強調されているような気がしますけれども、高校の政治的な主体というところでは、国家の主体、政治的主体というところが大分強調されているような形に変わってくるかと思うので、政治参加というときに、もちろん地方自治ということも書かれているんですが、政治参加といっても、例えば投票参加といったものは、国の主権者教育として展開される部分が多いけれども、地域の政治参画、投票参画といったことも何か意識していく必要があるかと思っているということです。つまり地域の社会参画ということについては学んだわけですけども、今は地方のほうが国政よりも投票率が非常に大きく低下していて、かなり、驚くぐらい下がっているような状況の中で、かつ地域の抱える課題が多い中で、地域の社会参画と同時に地域の政治参画の意識、投票参加も含めた意識というのは重要で、こういった意識を政治的な主体というところで持つことが必要なのではないかなと思っているということです。
 それとの関連で言うと、37ページにある、専門家とか関係諸機関との連携というものを図る形で、社会参画意識、これは政治参画意識も含めてだと思いますけども、その涵養に関する指導の的な充実を図るということは重要だと思っています。
 以上です。
【土井主査】  ありがとうございます。
 それでは梅津委員、お願いいたします。
【梅津主査代理】  よろしくお願いいたします。私は38ページと39ページを事例にしながら、少し考えていること、希望として思っていることを述べたいと思います。どうしても高等学校は、今現在においては、地理歴史科と公民が2つの免許教科に分かれているということがありまして、高等学校の教員は公民科の教員、地理歴史科の教員という形で分かれています。しかも高等学校の地歴科・公民科の科目の単位数も、必履修科目に当たるものが2単位、そして選択科目に当たるものが、地歴科の探究科目の場合であれば3単位という形で単位が配当されています。
 これまでの反省を踏まえまして申し上げますと、単位数の多いものが受験科目等に使われやすい、あるいは重んぜられてきたというような流れの中で、どちらかというと、例えば、今38ページの例で見ますと、地理総合に対して地理探究ということを考えたときに、ややもすると単位の少ない総合科目は基礎的な知識の確認をし、探究科目で応用という、そういったような考え方も成り立ってしまうと思っています。
 私が申し上げたいのは、免許教科が分かれていても、国民教育としての必履修科目は歴史総合と地理総合と公共なのだから、この3科目について、とりわけ現代社会の諸課題の取り上げ方について、少し系統性とか内容のバランスとか、そういったようなことを考慮したメッセージの送り方が必要になるのではないかと思っています。
 38ページにしても39ページにしても、地理は地理の系統、それから歴史は歴史の系統、公民系は公民系の系統で、縦ラインで考えるということになっておりますけども、私は小・中・高を貫く「社会科教育」の本質は総合社会研究、あるいは社会問題探究であると常々から思い、このワーキングでも発言してまいりましたけども、そうなると、やはり国民教育として全ての国民が学ぶ必履修科目の中で、現代社会の諸課題を時間的、空間的、そして現代社会に着目して総合的・横断的に考察できるような課題群を中心とする内容編成というのをもう少し意図的、意識的に考えていくことが重要ではないかなと思います。その意味で必履修の総合科目が軽視されて選択科目の探究科目が重視されるとか、単位数の少ない科目が軽視されて単位数の多い科目が、受験とむすびつけられ重きを置かれて学ばれるという、そういうところにこそメスを入れたメッセージの送り方が必要になると感じています。
 1つ意見を述べさせていただきました。
【土井主査】  ありがとうございました。
 そのほかの委員で御発言ありますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 今までの委員の先生方からの御発言を伺う限りには、今回提案させていただいています系統性、体系性に関する整理の基本的な方向性については御理解いただけたものと受け止めております。具体的には、地理総合につきましては導入単元の設定、それから探究科目につきましては、地誌的考察と持続可能な社会づくりに関する内容のものを設けること。歴史につきましては、内容、項目を関連づけて単元を増加すること。それから探究科目で学習課題、問いを工夫すること。公共につきましては、大項目Bの主題を13から10に精選すること。倫理、政治・経済につきましては、探究する課題の見直しを図るといった点。それから社会科科目全体になりますが、教科書で取り扱う内容の精選を、高次の資質・能力を踏まえて整理を進めることといった方向については御理解をいただけたものと思います。
 先ほどの議題2とも関係してきますけれども、今申し上げたように、探究科目を充実していくことになりますと、課題追究・解決する活動をどう充実させていくかが問題になろうかと思います。その際に、やはり生成AIが利用されることになりますと、単に資料を収集するだけではなく、課題の把握・追究・解決、各段階に生成AIが使われることが予想されます。その際に、負の影響をどのようにして抑えるかを考えていかなければならないと私も思います。その際に、評価をどう工夫するかということも重要ですけれども、先ほど石井英真委員からも、大学で論文の際には口頭試問をするんだということをおっしゃっていただきましたが、学習活動そのものをどうしていくかが重要になってくると思います。各人で調べまとめて、それを発表するだけになりますと、学習活動の中に、そのようなまとめ方が適切なのかどうか、あるいはAIを使った場合に、そのような結論が本当によいのかといったことをチェックする過程が入らない形になってしまいますので、学習活動の方法そのものも、AIの発展に応じて工夫していただく必要があると思います。
 最後、梅津委員から御指摘がありましたように、特に必修科目ですね。高校の必修科目、地理総合、歴史総合、公共、これをどう整理するのかという点については、今日お出しいただいている部分では必ずしも踏み込んだ整理がなされていませんので、その辺りどう考えるかについては引き続き検討させていただければと思います。
 それでは、議題2につきましてはこれで終えさせていただきます。
 引き続きまして議題3「高校の高次の資質・能力の在り方について」に進みたいと思います。まず事務局から議題3について説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】  資料1の52ページを御覧ください。議題の3、高次の資質・能力の在り方についてです。第4回ワーキングまでに、学校種・分野・科目別に議論を重ね、取りまとめいただきましたが、2月2日に開催されました教育課程企画特別部会において、各ワーキンググループにおける検討状況の一覧が示され議論がなされました。本ワーキンググループにおいても、前回、第5回におきまして、これらの議論を踏まえた小中学校段階における高次の資質・能力の在り方について御意見いただいたところでございます。本日は高等学校段階ということでお示しをしております。
 前回のワーキングでの説明と重なるところとなりますけれども、2月の教育課程企画特別部会におきましては、左側に記載の7つの観点につきまして、引き続き精査を要するとされたところでございまして、具体的には右側に、1、資質・能力の深まりの可視化にあるとおりでございますけれども、依然として個別の知識・技能が不足なく身に付いた状態を「要約」して示すにとどまっているものも見られること。各ワーキングで記載を見直し、個別の知識や技能が相互に関連付けられて一般化され、「統合的な理解」となった児童生徒の姿を描き出せるようにさらに検討すべきであることなどが示されるとともに、2の分かりやすさ、シンプルさの一層の追究にあるとおり、依然として記載が冗長であったり、理解が難しい用語を用いて表現されているものも散見されること。解説との役割分担も含め、一層分かりやすくシンプルに示すことが可能かどうか、引き続き各ワーキンググループで検討することなどが示されております。
 また、その他の記載のあるとおり、高次の資質・能力が個別の内容事項と近接してしまい、資質・能力の深まりが示されていないものがあり、そういった場合は複数の高次の資質・能力をまとめて水準を上げることも考えられること。児童生徒の多様性を包摂する授業づくりを進めるために活用するという視点も重要であり、特定の活動を想起させる狭い記載ではなく、できる限りスリムで骨太な記載とすべきであることなどが示されたところであります。
 こうしたことを踏まえまして、2の検討の方向性において示したとおりでございますけれども、特に7つ掲げているうちの丸1の資質・能力の深まりの可視化、あるいは丸2の分かりやすさ、シンプルさの一層の追究の観点を踏まえまして、内容のブラッシュアップを図っていくこととしてはどうかと考えております。
 具体の修正案につきましては、科目ごとに53ページ以降に記載しておりますけども、例えば69ページ日本史探究では、知識及び技能に関する統合的な理解といたしまして、「資料から収集し読み取った情報を基に、根拠に基づき見出した歴史の転換や画期などを踏まえ」と記載していたものを、分かりやすさ、シンプルさを追究する観点から、「資料等の情報を基に、歴史の転換や画期を踏まえ」という見直しを図っており、同様の観点で、科目ごとにその見直しを行っておるところでございます。これらについては、まだ引き続き御議論いただく内容でありますけれども、現段階の案につきまして、先ほど申し上げた教育課程企画特別部会で示した視点も踏まえまして、具体の改善案等について御意見等あればいただければと存じます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【土井主査】  ありがとうございます。議第3につきましては、これまで議論を重ねてきていただいているところでございますので、ただいまの御説明も、以前御議論いただいたものからの修正・変更点を中心に行っていただきました。もし改めて御意見等があれば御発言をお願いしたいと思います。10分から15分ぐらい時間がございますので、御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。かなり議論は詰められてきており、繰り返し申し上げますが、ワーディングの問題、あるいは書き方の問題になってきていると思いますので、もしお気づきの点等ございましたら、事務局までメール等で具体的にお寄せいただければ、後日、議事録掲載する取扱いとさせていただくと同時に、また検討を進めていただければと思います。
 それでは議題3もこれにて終わります。
 それでは少し早めになりますが、本日の議事は以上とさせていただきます。
 最後に、次回以降の予定について、事務局よりお願いいたします。
【嶋田学校教育官】  それでは次回以降に関しまして御連絡させていただく前に、会議の冒頭でございますけれども、傍聴用のYouTubeの配信に不手際がございまして申し訳ございませんでした。後日、議事録をホームページに掲載させていただきますので、適宜御確認をいただければと存じます。
 それでは、次回以降の日程でございますが、次回以降の日程につきましては、後日事務局より改めて御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【土井主査】  それでは、本日の会議は以上をもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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