令和8年2月27日(金曜日)9時30分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【土井主査】 おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回社会・地理歴史・公民ワーキンググループを開催いたします。お忙しい中、御参加をいただきありがとうございます。
本日は社会・地理歴史・公民における資質・能力の育成等について御議論いただきたいと考えます。それでは引き続き、議題1について事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 おはようございます。主任教育企画調整官の髙見です。まず初めに資料の1の2ページを御覧ください。
議題の1は目標及び高次の資質・能力の在り方等についてです。論点としては小・中・高等学校の目標及び新しい見方・考え方についてと、小・中学校の高次の資質・能力の2点となります。
3ページ目を御覧ください。まず1ポツ、目標及び新しい見方・考え方といたしまして、8ページから11ページに前回会議での御議論を踏まえた修正案を示しております。
具体の案として8ページ目を御覧ください。こちらは小学校の目標と見方・考え方です。黄色マーカー部分が前回からの修正箇所となっております。まず柱書きにおきまして、「課題を追究したり解決したりする活動を通して」の前に、「よりよい社会の形成に向けて」と記載しておりましたが、より趣旨を明確にする観点から冒頭に記載を移動しております。
また、思考力、判断力、表現力等について、前回ワーキンググループでは1つ目と2つ目のポツを一体的に記載しておりましたが、構造をより明確にする観点から記載を2文に分けております。
さらに「自らの考えを批判的に捉え直す力」と記載していたものを、発達段階等を考慮して「自らの考えを問い返し、捉え直す力」と修正をしております。
なお、見方・考え方において「多角的に考え」という記載について、「多面的」といった表現も追加すべきではないかという御意見もいただいたところですが、小学校段階での学習内容の実態も踏まえ、原案どおりとさせていただきつつ、高次の資質・能力の高学年段階において多面的な観点を記載する形で整理をしてはどうかと考えております。
続きまして9ページを御覧ください。こちらは中学校の目標と新しい見方・考え方です。基本的に小学校と同様の観点で修正を行っておりますが、歴史的分野の思考力・判断力・表現力等と見方・考え方において記載のあった「因果」という用語につきましては、「因果関係」という形で表現を改めております。同様に10ページには高等学校の地理歴史科、11ページには高等学校の公民科の目標と新しい見方・考え方を記載しておりますので、併せて御確認いただければと存じます。
3ページ目にお戻りください。続きまして2ポツの高次の資質・能力についてです。高次の資質・能力については前回ワーキングまでに学校種・分野・科目別に議論を重ね、取りまとめていただきましたが、2月2日に開催された教育課程企画特別部会において、各ワーキンググループにおける検討状況の一覧が示され、議論がなされました。その上で左下に記載のある7つの観点について引き続き精査を要することとされたところです。
具体的には4ページの1、資質・能力の深まりの可視化にあるとおり、依然として個別の知識・技能が不足なく身に付いた状態を要約として示すにとどまっているものも見られること。各ワーキンググループで記載を見直し、個別の知識・技能が相互に関連付けられて一般化され、統合的な理解となった児童・生徒の姿を描き出せるようさらに検討すべきであることなどが示されるとともに、2の分かりやすさ・シンプルさの一層の追究にあるとおり、依然として記載が冗長であったり、理解が難しい用語を用いて表現されているものも散見されること。解説等の役割分担も含め、一層分かりやすくシンプルに示すことが可能かどうか、引き続き各ワーキンググループで検討することが示されております。
また5ページ目にあるとおり、高次の資質・能力が個別の内容事項と近接してしまい、資質・能力の深まりが示していないものもあり、そういった場合には複数の高次の資質・能力をまとめて水準を上げることも考えられること。児童・生徒の多様性を包摂する授業づくりを進めるために活用するという視点も重要であり、特定の活動を想起させる狭い記載ではなく、できる限りスリムで骨太な記載とすべきであることなどが示されたところです。
なお6ページの右側の3つ目の黒ポツにあるとおり、「高次の資質・能力」という語、これについては本ワーキングでもいろいろ御意見をいただきましたけれども、学校現場には単にレベルの高い高度な資質・能力として受け取られるのではないかと、誤解を招くのではないかといった懸念もあったことを踏まえまして、「高次の資質・能力」という用語については、今回の構造化を検討・議論する上での足場としては引き続き使用しつつ、学習指導要領を告示する段階に向けて、さらに適切な語があればそれを用いることとするか、告示文の中であえて用いないこととされたところでございます。
3ページ目にお戻りください。こうしたことを踏まえまして、特に丸1の資質・能力の深まりの可視化、あるいは丸2の分かりやすさ・シンプルさの一層の追究の観点を踏まえ、(2)検討の方向性にあるとおり、内容のブラッシュアップを図っていくこととしたらどうかと考えております。
特に小学校段階においては、学年区分の骨格を維持しつつも、高次の資質・能力の構造を市区町村、都道府県、国、世界、国際社会で分類すること。中学校の地理的分野については、世界と日本の地域構成を学ぶ意義を追記する方向で整理すること。公民的分野については、視点や概念的な枠組みに関する記載事項を整理することとしたらどうかと考えております。
具体の修正イメージは11ページ以降に小学校・中学校それぞれの高次の資質・能力の案を示しておりますが、小学校段階では例えば18ページにあるとおり、食料生産、工業生産、産業と情報との関わりを統合した形で統合的な理解、総合的な発揮の記載を見直しております。同様に中学校社会の地理的分野、歴史的分野、公民的分野においても先ほどの観点から必要な見直しを行っているところであります。
なお、社会科全体といたしまして、この高次の資質・能力については、先ほど御説明した企画特別部会において示された観点等も踏まえて、引き続きブラッシュアップしてまいりたいと考えております。本日、後ほど御議論いただきます議題2にも含め、今後の内容項目に応じて必要な検討をしてまいりたいと考えております。
私からの説明は以上となります。よろしくお願いします。
【土井主査】 議題1につきましては、前回ワーキンググループからの修正・変更点を中心に御説明をいただきました。これまで御議論を重ねてきていただいておりますので、改めてただいまの事務局の御説明について確認しておきたいという点がございましたら、お出しいただければと存じますが、いかがでしょうか。
はい、山田委員お願いいたします。
【山田(圭)委員】 はい、御説明ありがとうございます。ちょっと確認したかったのは、前回「批判的に捉え直す」という言い方が、ちょっと小学校段階では難しいのではないかということで、今回「問い返し、捉え直す」というふうに変更されたということだと思うんですけど、私は何かむしろこれ分かりにくくなったんじゃないかという気がしていて、「問い返す」って何をしていいのかよく分からないし、「捉え直す」というふうにだけ言われても、何をすればいいのか。例えば私が政治的な自分の考えについて問い返してみなさいと言われても、何をすればいいのかというのはちょっと分からないんですけど。その前の言い方だと「批判的に」とか、その前は「客観的に」でしたっけ、あるいは「相対化して」みたいな言い方で、どういう観点で捉え直すのかというのが入っていたから、何をすればいいのかというのは分かりやすいし、それがまさに見方・考え方の見方の部分だというのも分かりやすかった気がするんですけど。今回の修正によってそれが見方であるというのが分かりにくくなったのと、何をすればいいのかというのがより分かりづらくなったように私は感じたんですけど、その点はどうなんでしょうか。
【土井主査】 この言葉が入った趣旨というか背景とか御説明いただけますか。
【髙見主任教育企画調整官】 前回の会議の中では、我々の事務局の案といたしましては、「批判的に捉え直す力」ということで、小・中・高等学校を通じて同様の記載にしていたところでございます。けれども、小学校段階において「批判的」という言葉については、少し発達段階を考慮すると難しい側面もあるのではないかということで、いろいろ文言を工夫してみた結果、今は「自らの考えを問い返す」という形で「批判的」に代わる語として、我々としては考えていったところでございます。ただ、委員御指摘いただいたとおり、その点がまだ不十分だということであれば、また改めて我々としても記載の見直しを考えていきたいと思っておりますけれども、具体的にどういった内容であれば、そのあたりのイメージが現場にとっても分かりやすくなるのかということもぜひ併せて御助言いただけると、我々としても大変助かるところでございます。
【土井主査】 「批判的」を巡っては従来から趣旨はよく分かるんだけれども、発達段階に合わせて記載する場合に、その表現をどうすればよいかという点について御議論を重ねてきていただいています。この点については表現の問題になりますので、ぜひ委員の先生方におかれまして、これが適当じゃないかという案がございましたら、また事務局のほうにメール等でお寄せいただいて、詰めていくことができればと思っております。
【髙見主任教育企画調整官】 今回目標に記載する事項というのは非常にやっぱり分量の問題もありますので、あまり長くならないということもやっぱり考えなきゃいけないということで、今後解説等で記載することと併せて、このあたりの趣旨をより明確にする必要があると思っておりますので、そういった観点でまたいろいろと先生方からも御助言いただければと思っております。
【土井主査】 それではそのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では基本的にはこの方向で検討を進めていただくことにしたいと思います。表現ぶり等、細かな点について資料を御覧いただいてお気づきの点がございましたら、また事務局のほうにメール等で御連絡をいただければと思います。
それでは本日、主として御議論いただきたい議題2に移りたいと思います。まず議題2に関連しまして、今後の社会科教育の在り方について、北川委員、韮塚委員、池委員の3名の先生方から10分程度ずつ御発表をいただき、その後御発表をいただいた委員への御質問を含めて意見交換の時間としたいと思います。
初めに歴史学者の北川委員から御発表をいただきます。それでは北川委員、お願いいたします。
【北川委員】 皆さん、おはようございます。北川です。ちょうど一昨日に東京に戻ってきたので、今日はポカポカでいいなと思っています。いつもはこのオーストラリアのメルボルンというところに住んでいて、今は夏です。
今日は国際的な観点から見たということで、私はバックグラウンドがいろんなところに住んでいたということがありまして、ちょっとだけ触れておいて、どういう立場の者からの見た観点なのかということで、経緯を申し上げると、歴史学者としてPhDをアメリカのプリンストンで取った後に、私はハーバード大学で教えていました。教えていた内容は日本史だったり数学史だったりしたんですけども、御覧のようにここにあるようにすごくたくさんの人数のクラスを受け持ちました。そうすると、ハーバード大学というのはアメリカですから、いろんなバックグラウンドの学生たちがやってきてくれて、社会の勉強をみんなでするということで、課題づくりであったり、その人たちが全然違うバックグラウンドがあるときに、どんなふうに日本の歴史を教えるのかというのをずっと考えていました。
その後なんですけども、ハーバード大学を出た後に、私はイギリスに住んでいまして、イギリスに住んでいる時代に歴史も含めましてアフリカのほうに滞在する機会がありました。これは南アフリカで教えていたときなんですけども、皆さん御覧のようにすごく全然もう今までとも違ったような形の雰囲気でもありますし、環境でもありますし、そういう中で歴史の授業をしたりとか、こういう方々が今度南アフリカからどんなふうに日本と関わっていくのかというのを考えながら授業をしていました。
最近なんですけども、このメルボルンに引っ越す前に東京におりまして、2022年から2024年のときにJAXAの宇宙教育センターのセンター長をしておりました。その後にJAXAにそのまま勤めていたんですけども、この見ていただいてる方々というのはNASAと、同じようにヨーロッパにも宇宙庁があってESA、カナダの宇宙庁、私がJAXAを代表してるんですけども、宇宙教育という形で展開をしていく中で、その宇宙というものを空間的、そして時間的に捉えながら、どんなふうに世界に浸透させていくのかということで、いわゆる社会なんだけれども、それに近いバリューを組み込みながら宇宙を教える、宇宙でいろんな教育をしていくということを国際的に考えてきました。
こういうバックグラウンドを踏まえまして、日本では実際どんなことをしていたかというと、日本で今、2022年のときに帰ってきたときに、コロナが終わった後、というか終わりかけていて、そのときに文科省のほうからもお力添えがあって、1人1台に対応した形のデジタル教材を作ろうということになりまして、デジタル教材をいくつか作ってみました。1つは中学校を対象としたもので、もちろん学習指導要領とかを踏まえながら、その中にどんなふうに補完的な形で入るのかということで研究をしながら、こういう教材を作りました。これは児童・生徒の方々が自分の興味とともに、これを知ったときにすぐにこの題材に近づけて、そこで自分で自学自習ができるような仕組み、そして繰り返しそれを学べるような形でデジタル教材を作ろうと思って、これに取りかかりました。
次は小学生に向けて作ったんですけども、これも同じように試行錯誤をしながら、1人1台の端末を使って、科学的なこと、技術的なこと、エンジニアリングについて、自分が気になったときにさっと勉強できるようなことをやろうと思って作りました。この2つもそうなんですけども、いつも言葉をバイリンガルにしていて、英語にもできる、だから日本語で全部マスターしたら英語でもできるというような形にもしてみました。
最終的にはこれがちょっと空間的な話になるんですけども、デジタルな媒体というものだけではなくて、デジタルの中の空間的にいろんなものを作り上げるという意味で、ルナクラフトっていって、マインクラフト、御存じの先生とか使ったことがある先生多いと思うんですけども、そういう形の教材も月面を題材として作りました。ということを考えて、国際的な観点と、あとデジタル化をしていくということを経験したという立場から、今日はお話をしたいと思います。
この前少し私も発言として申し上げたことに近いんですけども、まず今回この1つ骨組みを皆さんと作った後にレビューが何回か重なっていくと思うんですけども、そのときにこういうイメージで見直したらどうかなということを2つお話ししたいと思います。
1つは空間的な問題でして、ここに今日本の地図があって、日本の中で日本の教育をするというのが一応基本なんですけども、これを今度は、じゃあこれをいわゆる言葉で言うとグローバルにという考え方って多いと思うんですけども、日本というものをグローバルに捉えたらどうだろうという形の議論があって、最初この訂正がかかる前にグローバル化したとか国際化したというような表現が前あったと思ったんですけども、そういう意味で今はもうグローバル化を目指すとかではなくて、それがデフォルトでもう完結している時点であるということで、イメージの中でやっぱり日本というものがどんな形で地球の中の1つの国として考えられているのかなというのをレビューのときにすごく頭に入れておかなければいけないなと思っていて、そのあと、ここだけでは実はもう物足りなくなっていると思っていて、なぜかというと、私が勤めていたJAXAというのは文科省のところの傘下というかお世話になっているんですけども、そこの方針もそうですし、経済的にとか社会的に考えたときに、最近はすごく宇宙というものが空間的にすべての視野を広げているというところがあります。そういう意味で考えたときに、今まで日本のって考えていたことからグローバルのというのは考えられていたけれども、今度はもっと広げた視点からどうなんだろうというのを1つ先生方、あるいは我々がそれを踏まえた上でレビューをするというのはすごく重要かなと思っていて、そういう意味で宇宙視点というか、そういう形の空間的な見方を反映できているかなというのは1つのレビューポイントになるような気がしています。
もう1つはそれに伴って、先ほどのデジタル化ということに少し近くもあるんですけども、これはイメージとして、私もこの社会科の資料を見ていると、大体こういう学校の先生から学生に教えるというような構図ができているような気がするんですが、これが今度デジタル、これ机に持ってますけれども、媒体が変わったときにどんなことがエレメントとして加えられるのかというのをレビューのときに考えたらどうかなと思うのがもう1つのサジェスチョンです。これがまたさらに児童のほうをよく見ていただきたいんですけども、すごくいろんな形のバックグラウンドを持った子供たちが今入ってきているということを考えると、そういう意味でデジタルを通して、しかもバックグラウンドが違うようなときに、この学習指導要領はちゃんと対応しているのかなというイメージがある。これを見ると、ちょっとこのイメージを、これもちろんAIでやってみたんですけども、最初にあるものからこっちのほうの右のほうに変えるというのは、やっぱり私たちの心構えとして学習指導要領を見るとか考える、作っていくときに重要かなと思ったので、ビジュアライゼーションにしてみたというところです。
ということなので、国際的な観点からというところで見えるポイント、今までお話ししたのは時間軸とか空間軸の考え方を皆さんと少しずつ広げたりとか、これから今あるものからもっとアップデートしていかなきゃいけない、このグレードアップしていかなきゃいけない、その数年後を見据えるということを考えていかなきゃいけない。もう1つはダイバーシティで現在のクラスルームの構成、あるいはこれからのクラスルームの構成に対応しているかというところが重要かなと思っていて、それはじゃあどんなふうに対応するのかというのが私の経験からのシェアなんですけども、国際的にアメリカとかカナダ、イギリスの教育、南アフリカもそうなんですけども、今いるオーストラリアはまだ新しすぎてよく分からないんですが、いろんなところで見て教える側とか、今度は保護者の側としていろんなことを見てきた観点からすると、やっぱり社会科というものは何を教えたというよりも、何を一緒に考えさせるものなのかというところがすごく論点になっていて、先ほどちょうど冒頭に山田さんから「批判的な」という部分を変えたところの指摘があったと思うんですけども、これって結構やっぱり難しいところで、私の言葉で言うと、「なぜ」を通じた対話をすごく大事にしていると思っています。さっきの問い返しというのなんですけど、なのでここで今何を教えたから、何を一緒に考えさせたという部分について補足的に説明を加えると、これをするための指導要領というか、先生たちが大事になさっていることは、「なぜ」を通じた対話だと考えています。そういうところをもちろん日本でも通用することですし、それからそういう高次の能力に繋がっていくことなので、こういうものはやっぱり共通としていいことだと思います。
他は国際的な観点のオブザベーションとしては、すごくディスカッションベースというのを大事にしているところが多いと思っていて、そのディスカッションベース、探させるとか、そういう題材を提案する、だからここを教えるという一方的な考え方とかいうよりは、どちらかというとそこにものを持ってきてあげて、そこでディスカッションをというような考え方がすごく広まっているのが他の国では多いかなと思っています。
1つやっぱりもう1つクリティカルに歴史というところを中心に申し上げると、全然違うなと思っているのは、歴史というものは物語であるというスタンスで教えている国が多いと思います。そうなってくると、やっぱり日本はテストベースというところも加味しなきゃいけないし、こういうアイテムはテストとか、こういう覚えるというところ、暗記というものは結構多いんですけども、そういうところといわゆる対極的にあるもの、物語であるというアサンプションがもうとりあえずあって、その物語である上に自分の物語を作るというような教育をしているというのが、ダイバーシティがすごく広がったときの社会の教え方だなと思っています。
なのでそういう意味で言うと、そこ最後の1点目の2ポツの最後なんですけど、何が違うのかと、どんなふうに違っているのかというと、学習指導要領が我が国の公民を作るというものの感覚から、現代のダイバーシティを含めていろんなバックグラウンドがいるというものを、「We」、我々です、現代のWeというふうに考えて見直すと、もっと幅ができるかなという気がしています。なのでオントロジー的に「どんなふうに考えるか」というのが国際的な観点から見えるポイントだなと思っているんですが、このような点をサジェストしておくと、少しずつ見直しをするときにいいかなと思っています。
加えて今後見直すときの視点の提案ということなんですけども、教える要領というものが、今日も最初髙見さんおっしゃっていたように、高次のって言ってしまうと、すごくハイヤーなものを与えなきゃいけないみたいなことで、その同様の資質のアイテムのように考えられてしまうこともあるというふうにおっしゃっていたので、本当にそうで、そんなふうにアイテムを与えるような書き方じゃないよというのを、今後私たちが変えていくときに強めていったらどうかなというのが1つの提案です。そうする中で、自由な余白とか、もう少し余裕を持った形で書いていくということは、その先ほどの最初の何をしたらいいんだろうというところという疑問は割と残るかもしれないんだけれども、そういう自分に先生方が自分たちが持つクラス、そのときに作るところ、作るそのクラスにもっともっと自由度を持たせてあげるというふうに捉えられると、こちらも何かこうその指導要領にガチガチに固められなくていいかなと思っています。
そういうときにデジタルというものが今あるということなので、先ほどの教材をお見せしたように、そういうデジタルとか補完的なものも今もうアベイラブルである、学生生徒たちは持っているということも1つ頭の中に入れておかないかなと思っています。なので授業がアクティブなもの、そして補完的なものを使って、もっともっとアクティブになっていく、「なぜ」を通した対話ができるようになるというものを助長するように考えてはどうかなと思っています。
2つ目の点は、テストの対応型、知識の単一的な扱い方というものから、やっぱり個人的、個人ベースの持ち味を伸ばすことに対応できるようにしてはどうか、これが先ほどのダイバーシティに通じているところなんですけども、そちらに個人の持ち味を伸ばすというふうにしたほうが、いろんなときにいろんな形のバックグラウンドを持った子供たちに普遍的に通用するような気がしています。そういう中で、なぜその個人を大事にするかというのを考えていくと、やっぱりそこの最終的なベースは社会科の教育というのはアイデンティティの形成に貢献するという側面があるので、やっぱり個人を大事にしてあげる、その個人が社会という題材を通してアイデンティティを伸ばしていったり、自分に気づいていったりするということになるので、そういうふうな側面を強めてあげるような形というのは見直す際にいる視点かなと思っています。
最終的に今後これが今年だけではなくて数年後も使われていくということを考えると、やっぱりデジタル化も進みますし、学び方は最初のそのクラスルームのフォトがあったように、先生が教壇に立って教えるということだけじゃなくて、児童が自分たちでも自学自習をできるし、自分たちでもっともっと学習をしていける、そういう時代になってくると、先生と児童の生徒の在り方もどんどん変化している、そしてさらなるAIというものも発展していくとなると、どんどん学習方法とか目指す資質というのが急速に変化していくというのは考えられることだと思います。なので国内外とかこれからどうなるかとかいうものは誰にも分からないんだけれども、現在の中でそのデジタル化をしていくクラスルームとか、どんどんいろんな国から人が来てくださるような国になっていくことを考えて見直すとどうかなと。
最終的に最初に空間のところでお話ししたように、文科省も進めているんですけども、宇宙産業というものの発展というのはすごく発展を見込んだ計画を作っているので、そういう意味ではあまりエクスクルーズするようなものでもなくて、ちょっとずつやっぱりそういう視点とか、そういうその考え方、空間的時間の考え方というのを加味する必要があると思っています。
はい、ではこの辺りなので、ぜひ御議論のときに参考になればと思いました。
【土井主査】 それでは続きまして、小川町教育委員会おがわ学コーディネーターであり、城西大学経済学部非常勤講師の韮塚委員から御発表をいただきます。それでは韮塚委員、お願いいたします。
【韮塚委員】 はい、よろしくお願いいたします。今、北川委員さんからお話のあった内容に比べると、大変こうローカルな御報告になるかと思います。今、画面に出ておりますけれども、舞台はですね、埼玉県比企郡小川町というところになります。人口が3万人前後の比較的コンパクトな町です。この町を舞台にしまして、令和元年度からですね、画面にあります「おがわ学」という、いわゆる地域との協働学習の取組を始めました。小川町内には、小学校当時5つ、それから中学校が3つ、そして県立の小川高校が1つということで、この小・中・高をおがわ学という枠組みの中で子供たちの学びを育てる1つの試みとして始まったものでございます。
本日の内容ですが、おがわ学が目指すもの、それからそれを定着・発展させるためにこんなことをしましたよという御紹介、そしてその結果、子供たちがどう変容したのかという御報告と、最後におがわ学という本当に小さな町の小さな取組ではありますけれども、そこから見えてきた可能性とか課題について触れられればと思っております。
まず最初のおがわ学が目指すものですけれども、画面にありますけれども、児童生徒が小川町の文化や歴史、産業等について学ぶことから始め、各教科と関連付けた探究的、そして協調的な学びへと段階的に深めていきながら、地域活動への参加や地域課題の解決に取り組む態度を養うということを目指して取り組んでおります。画面の図にもありますが、小学校では、小川の魅力に触れる、小川を知る、中学校では地域の人と交流し小川に参画する、高校では小川の課題を解決するというふうに、発達段階に応じた探究学習を積み重ねて、地域への参画、あるいは地域の課題解決に向けた力を養おうという構想で取り組んでおります。
私たちがこのおがわ学を始めるに当たって、ある意味で本当に全く未知のゼロからの出発だったので、出発は実は文科省の地域との協働による高校教育改革推進事業という事業に参画させていただく中で始まった取組なんですけれども、具体的にどういうふうにしたらおがわ学を構築できるのか、構築したおがわ学を定着し、文科省の研究指定が終わった後に、それをさらに発展させていけるようにするためにはどうしたらいいんだろうかということで、いくつかポイントを考えて進めております。
まず1つ目は、画面にありますけれども、身に付けさせたい力を全体で共有できるようにしようということです。具体的には、知る力、学ぶ力、生かす力という3つの力を冠として、その具体として観察力、分析力、疑問力、思考力、判断力、表現力、そちらにありますような、育成を目指す10の力を縦軸にしまして、横軸には、小学校、それから中学校、そして高校へと、発達段階に応じた資質・能力を具体的に先生方と一緒に考えて組み立ててみました。これが、いわば私たちがおがわ学で目指しているゴールということになりますけれども、このゴールに到達するために、実際にその道筋を作らなくちゃいけないということで、その道筋として作ったのがこの2番目の、指導計画、私たちは骨子と呼んでいますが、これは画面のものは中学校のものになりますけれども、子供たちが、先ほど申し上げたような様々な力を身に付けられるようにするために、そしてもう1つは、実際におがわ学の授業を実施する先生方が見通しを持って授業を進められるようにということで、こうした指導計画を作成し、これに沿っておがわ学の実践を積み重ねているところであります。
3つ目ですけれども、3つ目は、実際に小川町にある様々な歴史・文化・産業、こういったものを発掘して、先生方と力を合わせてテキストを作成いたしました。どうしても、小学校・中学校・高校、これは毎年のように人事異動がありまして、先生方が大きく入れ替わります。先生方が入れ替わっても、新しく来た先生にとってもおがわ学の授業が比較的簡単に、あるいは労力をかけずにできるようにということで、地域の様々なものを教材化して作り上げたものがこのテキストになります。
できるだけ先生方が汎用的に使えるようにということで作ったものなんですが、特徴は2つあって、1つ目が、画面の真ん中にありますけども、ワーク3とありますが、教科書とは言ってもテキストとは言っていますけれども、基本は、ワークシートの集合体ということになります。各教科ごとのワークシートの集合体です。2つ目のポイントは、このワークシートのいわゆるまとめ部分には、できるだけ、ここでは、理科の授業になるんでしょうかね、「小川町の自然のことを知ってどんなことを思ったり考えたりしましたか、また自分は自然とどう関わっていこうと思いますか」というふうに、まとめの部分では、自分とその小川町との関わりということを、子供たちが振り返れるように、できるだけワークを作るように工夫してみました。
4つ目はですね、ゲストティーチャーさんの活用ということなんですけれども、小川町には小川和紙、それから有機農業、これもとても有名なところなんですが、こういった様々な産業や文化があります。これらは、地域の人たちがずっと担い、受け継いできた本当に価値のある教育資源だというふうに捉えています。おがわ学ではこうした地域の歴史とか文化、産業などを担っている、まさに地域の専門家の人たちですよね。こういった人たちをいわゆる外部講師、ゲストティーチャーとして教室に迎えて、担任の先生と一緒に授業を作ってもらっています。まさに、その道の専門家の方々ですから、そういった人が持っている経験、それから知見によって、子供たちは、かなり具体的、直接的なお話を伺いながら深い学びをすることが可能になっているというふうに考えています。
これは、ゲストティーチャーさんを活用した今度は理科のオオムラサキの授業です。
これは中学校の公民の授業ですけれども、小川町は実は埼玉県では有名なスーパーマーケットでヤオコーさんっていうのがあるんですけど、このヤオコーさんの発祥の地なので、その発祥の地として、ヤオコーさんの経営に学ぶというような授業を作ったりしています。
5つ目になりますけれども、小・中・高で始めたおがわ学だったんですけれども、途中から、いわゆる住民の方からたくさんの問い合わせが入ってくるようになりました。具体的には、おがわ学で子供たちが使っているテキストを自分たちも欲しいと、自分たちも学んでみたい、それから実際に教室でどんなことをしているのか知りたいというような問い合わせが教育委員会のほうに結構入るようになりまして、そこで、今度は地域の住民の方や、あるいは学校の先生方に向けたおがわ学セミナーというのを立ち上げて、地域の方や先生方が夜、実際に自分たちの町のこと、あるいは町の課題等について学ぶという取組も始めております。具体的には、教室で行われているゲストティーチャーの方をベースにしながら、例えば有機農業を今後発展させるには、いわゆるそれを取り組む地域住民として自分たちは何ができるんだろうかというような、そういった視点に立った地域住民の方のためのセミナーという形で展開しております。
こういったおがわ学の取組を通じて、具体的に子供たちがどう変わったか、あるいはどう成長したかということを、捉えたデータを紹介いたします。データ自体は私がまだ県立高校に在職していた当時のもので、もう5、6年前のデータになってしまって恐縮なんですけれども、まずこれは小学校のアンケートです。Aが、比較的肯定的な回答、Bがどちらかといえば肯定的、Cはどちらかというと否定的、Dは否定的な回答として分類したものです。地域の方に小川町のことについて聞いてみたいですかという問いに対して、2回目、いわゆるおがわ学を学んだ後に少し伸びが見えてるのが分かるかと思います。小川町にずっと住みたいですかという問いに対しても、同じように学んだ後、ちょっと伸びが見られます。疑問に思うことはすぐに調べたいですかという、問いに対しても若干ですけれども伸びが見られます。次、友達と協力して問題解決する学習が好きですか。これは本当に微妙な伸びですけれども、若干ですが伸びていることが少し読み取れると思います。実際に自由記述で子供たちに書いてもらったものの一部です。丸の2つ目、「地域の人が大切に守り、育てているものがあることが分かり、私たちにもできることを考え、行動していこうと思いました」というようなことが子供たちのほうから寄せられています。
今度は中学生です。地域の人に話をしっかり聞き、関心や疑問を持ったりできましたか。肯定的な回答が多いことが分かると思います。おがわ学を通じて小川町に誇りを感じるようになりましたか。これも、かなり多くの生徒が肯定的に回答しております。おがわ学を通じて問題点や解決策を考えたり、討論したりする力はつきましたか。これも肯定的な回答が半数を上回っているというふうに捉えられると思います。
自由記述では、例えば2つ目の丸ですが、「おがわ学を通して自分の町を自分たちの手で作り上げていく大切さを学ぶことができました」というような回答がございました。
続いて、これは今度小川高校のアンケートになります。左側の、生徒の変容というところを見ていただくと、例えば自主的に質問したり調べたりする生徒、あるいは疑問を持って考えたり調べたり、物事の根拠を考えたり調べたりするようになった、あるいは地域の行事やボランティアへ参加する生徒等が、実施前と実施後どれくらい増えたかというポイント数で示したものになります。特に注目したのが、赤丸で囲いましたけれども、自分が関わることで社会状況を変えられると思うと回答した生徒が実施後は、16.3%増えました。
ちょうどこれはその頃、こんな国際調査があったのでデータとして示しますけれども、「私の参加により社会現象を少し変えられるかもしれない」というですね、質問に対して、国際比較したものだそうなんですけれども、まいわゆるアメリカを筆頭に、半数以上の生徒がそう考えているのに対し、日本全体で見ると30.2%ということで、日本ではこういった考えを持つ生徒さんが少ない状況が見て取れたわけです。おがわ学で、小川高校の中でおがわ学を学んだ生徒がこの質問に対しどれくらい肯定的に答えたかっていうと、47.9%でした。数字から言うとイギリスやフランスをやや上回るぐらいの数字になったかと思います。
こうした子供たちのですね、変容を踏まえて、本当にローカルな取組ではありますけれども、こういった取組から見えてきた可能性と課題ということで何点かまとめました。
まず、こういった地域学習っていうのは本当に子供たちにとって身近なものなんです。具体的であるし、直接的であるし、体験的であるし、そして直感的に捉えられる。こういった学習を通じて、単に対象を学ぶというよりは、具体から始まってそれを探究的に学ぶということを通じて、子供たちがその地域を、まさに対象としながら自分たちが先ほど申し上げたような、課題解決的な学びを深めている、そういった学びをすることで、先ほど申し上げたような様々な生徒の変容が見られるんだというふうに考えています。
中でも、やっぱり大事だなと思うのが、先ほど北川先生の話にもありましたけれども、子供たちにとって、「なぜなんだ」、「なぜこうなんだ」っていうことをこう感じ取れる、いわゆる探究的な学びの一番最初の内発的動機づけがとても得やすいっていうのが地域学習のメリットかなと考えています。私たちはよくこう子供たちが自分のこととして考えられるような授業をしてこうっていうのを合言葉にしてるんですけども、これはまさにおがわ学のポイントかなと思います。いわゆる地域を学ぶんではなくて、地域で学ぶことによって汎用的な力をつけていくんだというふうに考えられるというふうに考えています。それからおがわ学は基本的に各教科で様々な授業をやってるわけですけれども、こういった教科の学びをベースにしながら、例えば総合的な学習とか総合的な探究の時間で、地域課題の解決へ向けた学習へと深めることができるというふうに考えています。
課題です。地域学習を実際に定着し発展させていく上で、やっぱりいくつか課題があると思っていますが、1番は、そこに赤で書きましたけれども、地域学習のノウハウとか経験とか環境がやっぱり不足しているというのは決定的に大きいかなと思っています。いわゆる協働学習のように、こう体験して良かったね、ということではなくて、探究的な学びとして地域学習を活用していくために大切なことが、2つ目の丸に書きましたけれども、まずは子供たちにどんな力を身に付けさせたいのか、いわゆるゴールをしっかり設定すること、そしてそのゴールに行き着くために、どんな授業をしていくのか、そのためにどんな教材を作っていくのかという、これがとても大事なポイントかと思っております。
じゃあ次のページお願いします。具体的に地域学習を定着させるために、一応ポイントを5つ挙げてみました。1つ目は先ほど申し上げたことです。
2つ目ですけれども、実際に授業を作っていく上では、それぞれの地域にある、教育資源の掘り起こしと教材化は不可欠です。これを個人に任せておいては、とてもではありませんが取り組むことが不可能なので、やっぱり教育委員会等を通じて、組織的な取組が必要かというふうに思っています。仕組み作りです。それからもう1つはその教材を活用するための仕組みとして、例えばテキスト化をしたり、それを共有するための仕組みを作ったり、毎年毎年、ブラッシュアップして改善していくための仕組みを作っていく必要があるだろうというふうに考えています。
3つ目は、実際に作った教材をきちんと年間指導計画に位置づけないとなかなか実施するのは難しいかなと思っています。
4つ目です。せっかく作った授業です。これらを、その学校だけあるいはその先生だけで留めてしまってはとってももったいないので、毎年毎年、それぞれ行われた実践の交流、いわゆる先生方の学び合いもとても大切だと思っております。
最後5つ目ですが、どうしても、地域学習をする上で不可欠だと思っているものがこの5つ目になります。学校と地域を繋ぐ役割を持つ人、いわゆるコーディネーターさんになります。これが私の今の仕事なんですけれども、忙しい先生方と、そして様々な知見を持っている地域の方、これを繋ぐための仕組み、いわゆるコーディネーターさんがとても大切だというふうに思っております。基本は、とにかく労力をかけずに先生方の負担をあまりかけずに、地域学習をとにかく教室へどうやったら導入できるんだろうかという、様々な工夫がとても大切だというふうに思っております。
以上になります。よろしくお願いいたします。
【土井主査】 韮塚委員、ありがとうございました。それでは続きまして、早稲田大学教育総合科学学術院教授の池委員から御発表をいただきます。それでは池委員、お願いいたします。
【池委員】 それでは私からは、学校教育における地域調査についてお話をさせていただければと思います。地域調査には、もちろん文献調査なども含まれるわけですけれども、ここでは特に野外での調査、いわゆるフィールドワークを中心にお話をさせていただければと思います。
次をお願いします。まず、これまでの研究を踏まえて地域調査の教育的な意義を以下のようにまとめました。1つ目は子供の興味関心の喚起ということです。要するに日常的な生活地域の中に新たな発見がある、といったように子供の学習意欲を高める効果が期待できるということです。
2つ目です。社会科学習に必要な知識・スキルを習得できるということです。教室で学ぶ知識とは異なる生きた知識の習得、あるいは地図スキルだとかインタビューの方法ですとか、そうした社会科の学習に必要な知識だとかスキルを習得できるということです。
3つ目は学習方法の習得ということですけれども、事象同士の繋がりを発見するといったように、社会科学習の基本的な考え方を習得するのに役立つだろうということです。
最後4つ目ですけれども、学校以外のリアルな社会との接点、ということで、生徒同士の交流ですとか生徒と教師の交流だけでなく、地域調査では地域の人々との交流というものが生じますので、それを通して地域社会に参加するための契機を提供することができるのではないかということです。
こうした教育的な意義があるために、これまで学習指導要領のレベルでは一貫してこの地域調査というものが重視されてきたという経緯がございます。
ところが、以前にワーキンググループの資料としても御提示いただきましたけれども、地域調査はかなり厳しい状況にあります。まず小学校ですが、特に3年生の町探検などの単元では、実施率が非常に高いというふうに学習指導要領の実施状況調査ではなっております。ただ、最近では身近な地域よりも自分たちの市に重点が置かれる傾向にあり、身近な地域を対象とする野外での活動が減少するということが懸念されています。
中学校ではどうかというと、地域調査の手法だとか地域の在り方といった単元で地域調査の実施が求められていますが、1年生では実施率が12%、2年生でも11%と、かなり低い状況になっています。
最後に高校ですが、地理総合の生活圏の調査と地域の展望という単元で地域調査の実施が期待されています。これは前の学習指導要領の下での調査ですが、実施率は大体20%となっています。したがって、かなり実施率としては低いというのが現状だと思います。
こうした地域調査の実施率が低い理由としてはいろんな理由が考えられますが、特に多くの先生方が挙げるのは、準備や実施に必要とされる時間が不足している、時間的な問題というのが一番大きいと指摘されています。
そこで、あまり時間をかけずに実施できる地域調査の事例を2つほど御紹介します。まず今映っているのが、早稲田大学周辺で私が実施しているフィールドワークです。見学型フィールドワークと書いてありますが、フィールドワークを見学型、作業型、探究型の3つに区分しています。この見学型フィールドワークは、今まで巡検だとか、あるいはエクスカーションと呼ばれていたもので、案内者が生徒を引率して現地で説明するパターンです。
地図で示したのがこのフィールドワークのコースで、ポイントとして挙げた点は1から5までありますが、早稲田大学のすぐ近くです。全部回っても所要時間は1時間弱で済みます。小学校3年生から大学生まで、あるいは中・高の先生方をご案内したこともありますが、多くの年代の方に可能なフィールドワークだと思います。
早稲田大学周辺の地域調査の主なテーマは3つあります。1つ目は地形と土地利用との関係です。早稲田大学は武蔵野台地の縁の部分に位置しています。なので、武蔵野台地と低地の土地利用の違いを大きなテーマの1つにしています。
2つ目が川と人間生活との関わりです。近くに神田川が流れていますが、その治水対策などについて説明しています。
3つ目が地域の産業ということで、印刷工場の立地だとか、大学周辺の商店街の特色ですとか、そういったことを一応テーマにしております。
例えば、最初のテーマの地形と土地利用との関係についてですが、これは高田馬場跡を案内したときのものですけれども、こういう昔の絵図も提示しているのですが、ここで問いを発します。ここに書いてありますけれども、「なぜ高田馬場はここに作られたのか」という問いです。高田馬場というのは旗本の武芸の練習場として作られたものですが、それがなぜこの場所に作られたのかというのを問いとして出しました。
生徒たちからは、平坦な武蔵野台地上で、こういう馬場を作りやすいということも出ますし、あと江戸城から歩いて1時間ほどで来れますので、非常に交通至便の地だったというという意見も出されます。ですからこうした問いを発することによって地形と土地利用についてや、あるいは立地条件について考えることになるということです。
次に、川と人間生活との関わりについてですが、これは1つの例ですが、神田川の治水対策を事例として挙げる場合が多いです。右上のところに、神田川と新宿区豊島区の境界と書いてある地図がありますが、これ神田川沿いにあります看板に掲載されている地図です。神田川は水色で示したものですが、今は直線化しています。ところが、新宿区と豊島区の境というのはかなりくねくねと曲がってるわけです。赤い破線で示しているのが区の境です。
ここでの問いが、「なぜ区の境界が神田川の位置とずれているのか」というものです。それを考える中で、実は神田川は洪水対策として直線化されたということ。そして下の写真にもありますように、同時に護岸工事を行うことによって、洪水を防いでいる、というようなことを気づかせる、そういう内容となっております。
以上が、見学型フィールドワークの事例ですけれども、その特徴について簡単に整理しておきたいと思います。まず1つ目ですけれども、まず短時間で実施できる、おそらく50分授業として1~2授業時間の中で十分に実施が可能だということです。
2つ目は、教師や地域人材などの案内者が説明し、生徒が観察したり説明を聞いたりするので、準備にかかる時間が少ない、これが非常に大きいと思います。
3つ目です。地理と歴史の両面から身近な地域の特徴を捉えることができる、いろんな要素を加えることができるということです。
4つ目は、問いを重視すれば生徒の主体的な取組が期待できるということです。ただ一方的に説明するだけではなくて、問いを発することによって生徒同士の会話も生まれてくるということです。こうしたことが、この見学型フィールドワークの大きな特徴ではないかと思います。とくに時間と労力を節約できるというのが大きなポイントではないかと思います。
次のスライドお願いします。もう1つだけ事例を御紹介させていただきたいのですが、これは静岡県の三島市で行いました高校生を対象とする地域調査の事例です。三島市というのは、富士山の伏流水が豊富な水の都として知られる水の綺麗な場所ですけれども、そこの地域課題を発見し探究するというのがこの地域調査の目的としたところです。
次お願いします。本来、この探究型のフィールドワークというのは、かなり長い時間をかけて行うのが一般的です。ですが長い時間を実質的に学校教育の中でかけるのは難しいですので、私たちの場合は、なるべく長い時間をかけずにできる、そういうフィールドワークを目指しました。
それでは、どういう工夫をしたかということですが、まず実際のフィールドワークをする前にキックオフミーティングをオンラインで実施しました。ここでは基礎資料の提示と探究テーマの設定を目的にしております。ここで事前に資料を提示することによって時間を節約しております。
フィールドワークは11月20日(日)に行ったのですが、10時に集合して16時までとなっておりますが、これを御覧いただければ分かると思いますが、まず最初に東京から来ている高校生も多いので、三島について知ってもらわなければいけませんので、見学型フィールドワークを1時間かけて行いました。案内していただいたのはグラウンドワーク三島のジオガイドの方です。いわゆる地域人材の方に案内していただいたわけです。これは地域人材を活用してもできますし、動画等を使っても代替可能なのではないかと思います。
メインが11時から13時までのグループ単位での探究型フィールドワークということですが、ここでは2時間ということになっておりますけれども、この中には昼食の時間だとか、あるいは事前の調査の計画を立てる時間も含まれていますので、実際に野外で活動したのは1時間くらいということになります。その後、調査した内容を地図でまとめ、それを発表し、地元の地域づくり関係者の方からコメントをいただく、そのような形で行いました。
これらは、事前に生徒たちに提示した資料ですが、これは江戸時代の三島の古地図ですけれども、歴史的な資料を提示することによって地域の歴史を踏まえて課題を考えるということを意図しております。
実は三島駅の駅前で、その再開発計画が今あるのですが、それについては賛否をめぐる議論があります。その問題についての新聞の記事をこういうふうに資料としてまとめました。ですから将来的な課題もフィールドワークの重要な課題になるということです。
これは実際の見学型フィールドワークをやっている様子ですけれども、三島溶岩流が三島市の北部富士山から流れてきているわけですが、その末端からこういう綺麗な湧き水が湧いて、清冽な水がいたる所に流れていく、そういう状況がお分かりいただけると思います。
次に課題の設定から野外での調査までの流れをご説明させていただきたいと思いますが、まずキックオフミーティングでテーマを決めます。ここでは環境、観光、まちづくり、の3つにテーマを絞りました。もちろん目的によってテーマの絞り方というのは変わってくると思います。今回は、環境が1グループ、観光が1グループ、まちづくりが3グループ、そういうことになりました。
事前に配布した資料ですとか、午前中に行った見学型フィールドワークの結果をもとにグループ単位でどこに行ってどんな調査をしたいのか、それを話し合ってもらいます。調査の計画を立てるわけですが、その内容を地図にこの付箋で貼り付ける、そういう作業をしてもらいました。そこから実際の調査に出かけるということです。
左の写真が実際の調査の計画を立てている状況です。右が調査の結果を報告している状況ですが、かなり熱心に取り組んでいる様子がお分かりいただけるのではないかと思います。
これはまとめの事例ですけれども、まちづくりグループでは、生徒たちは、「駅前の再開発についてどう思いますか」、あるいは「三島市のいいところはどんなところですか」という点について地元の住民の方々から聞き取り調査をしてきました。「新しい提案」というのが真ん中にありますが、例えば具体的なアセスメントが駅前の開発には必要なのではないか、あるいは駅前に特産物を作るコーナーを作ったらいいのではないか、そういう提案をするに至っております。
これは、参加した生徒たちの感想ですが、例えば最初の生徒さんは、インタビューを行い解決方法を考えるという体験がとても刺激的で面白かった、こういう感想を持ったということです。
2番目の生徒さんは三島の地元の生徒さんですけれども、ここに書いてありますように三島の知られざる魅力を知れて、とても楽しいイベントでしたと、要するに普段生活していても気づかないことに気づかせてくれた、そういう感想もありました。あとは省略いたしますが、とにかく地域を多面的に見ることができたですとか、あるいは聞き取り調査が非常に新鮮だったというような感想をいただく生徒が多かったということになります。
最後に、地域調査を実施するための課題についてまとめてみたいと思います。まず1つ目は短時間でも効果的な地域調査を実施する必要があるということです。やはり現場の先生方に地域調査を実施していただくためには短時間で効果的な地域調査を実施する必要があるということです。具体的には事前の資料の提示だとか地域人材の活用などによって短時間の野外活動でも実施できる効果的な地域調査、そうした事例をもっとたくさん収集して提示する必要があるのではないかということです。
2つ目です。社会科の総合性を生かした内容の検討ということです。今回の内容は地理に偏っていましたけれども、地理学習以外の内容、特に歴史学習の内容などを組み込むなど、教科全体の学習に役立つ地域調査の実施を検討する必要があるのではないかということです。
最後3つ目です。実施環境の整備の必要性ということですが、具体的には地域調査の方法を学ぶための先生方への研修機会の提供、これが非常に重要だと思います。それともう1つ重要なのは教材を学校や自治体単位で共有する仕組みを作る必要があるということです。先ほどの「おがわ学」のお話でもありましたけれども、やはり開発したフィールドワーク、地域調査の教材を継承できるような体制を作ることが必要なのではないかと思います。
次が参考文献ということになります。私からは以上となります。
【土井主査】 ただいまいただきましたご発表は、今後の審議に生かしていければと考えております。
ただ時間の関係もございますが、せっかくの機会ですので、ご発表に対して1つあるいは2つぐらいご質問があればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
はい、では梅津委員お願いいたします。
【梅津主査代理】 はい、よろしくお願いいたします。主査代理を務めております梅津正美です。お三人の先生方、ご発表ありがとうございました。大変参考になる貴重なご意見をいただきました。
その上で、私は歴史教育を専門にしているという立場もありまして、北川先生に一点ご質問をしたいと思います。それは、ご提案ご発表の中で社会科教育の目的はアイデンティティの形成であるという趣旨のもとで、先生の豊富な教育研究に関わる国際経験の中から、諸外国において歴史教育は物語として展開をしていると、この物語という言葉が示されました。
私の理解では、物語に基づく歴史教育という場合に、当然これは子供の主体性が確保されるし、歴史認識の多様化と同時に相対化や個性化につながっていくものとして理解をいたします。
一方、私たちが今このワーキングで議論している、特に社会科教育の目標に関わる知識については、統合的な理解、つまり概念をベースとした教育内容の構造化ですとか、あるいは技能については、先生の言葉を借りれば、子供たちが作り上げた物語を根拠を示しながら語るとか、その妥当性を吟味するということも必要になりましょうし、また内省、自分の作った物語を捉え直して振り返る、そして他者と対話を続けるということがとても大事になると思われます。
質問はここからでして、ご経験されました諸外国における物語を中心とした歴史教育という場合に、統合的理解とか、その物語を吟味するとか批判的に捉えるということは、どういうふうに実践の中に落とし込まれているのか、もし事例がありましたら教えていただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。
【北川委員】 すごく私もここで勉強していることもありまして、一つの考え方じゃないというのがとても大きな意味であって、すごくそういう意味ではご意見とかご質問とか大変ありがたく思います。
先ほど私が申し上げたときに、物語であるという捉え方がアサンプション、いわゆるそれがベースとしてあるというふうに申し上げたんですけども、それは例えばどんなところを物語と考えてるかというと、今日のおがわ学のところで言うと、今日のフィールドワークに行って調査をなさるというところがあったときに、どのようにこれを個人の言葉で語るか、物語にするか、歴史のファクトを物語にするのかというところに主眼があると考えているんですね。
なので、例えばそういうところに行きましたとか、そういうところのことを知りました、じゃあそれを物語にしましょうというときに、物語というものはフィクションではなくて、もちろんそれが歴史である限りは、一つ先生のお答えになるかなと思うのは、もちろんファクトチェックがありますね。それが間違っていないかどうか、もちろんそれを全然違う人の名前を書いたりとか違う年代を書くというのはありえないですし、それをやり始めると物語というものではなくてフィクションになってしまうというのがあるので、物語というのが例えば日本語で言うとそのフィクションになってしまったらいけないけれども、歴史学で言うナラティブというものである、その叙述であるというところを考えているかどうかっていうのはやっぱり区別させるということで、そこがファクトチェックであるということと、あとは物語になってきたら先生に提出するものであれ、児童が児童同士でこう語り合うものであれ、やっぱりそこにフィードバックが生まれてくるということがあるので、やっぱりそれは「これはかなり逸脱してるんじゃないか」というところに来ると、そういう意味でこちらが批判しなくても子供同士が「ここはじゃあ変えよう」ということになったりとか、「こういうところはそれこそナラティブじゃなくてフィクションだよね」とか、「そういうところもその因果関係として考えてみたんだよね」というふうになっていくということがあるので、そういうところで今の段階で言うとファクトがあって、それを資質として何かを考えたときにナラティブがあって、そのナラティブをどのような形でみんながこう先生により、子供たちにより、それが吟味されていくというところまで考えなきゃいけないというのがあります。
そういう意味で実践的なところで言うと、やはりそこを入れない限りナラティブだけを書こうと言っても、やっぱりそこには答えがなさすぎて、それを出すこと自体はすごく伸びるんだけども想像力が伸びるんだけども、それはやっぱり何かしらのものづくりとして形にならなきゃいけないところあるで、その先生がおっしゃるようにどのような形でファクトをチェックしてフィードバックをかけるということは絶対に必要だと思ってます。
それは発展させて申し上げると、やはりそこをさせるということが今からその先生の立場というのが最初のステップの「教えるぞ」っていうところだけじゃなくて、それが次の段階、それをみんなで議論させてなぜを考えて、そして物語ができて、そのナラティブをみんなで考えるというところから先生の居場所がだいぶ変わってくると思うんですよね。そういうところにいる先生が役割があるっていうのを少しずつこう考えとして取り入れていくという形でスピンをかけるといいかなと思っています。
ちょっと漠然としたところもありますけれども、ありがとうございます。
【梅津主査代理】 大変ありがとうございました。私自身は頭の中ではよく授業に落とし込みながら理解することができました。まず今我々が議論している言葉をあえて使うと、まさに歴史を物語ることについて、子供たちが多面的・多角的に考察をして公正に判断する対象として捉えること。
今言説という言葉が話題になっていますけど、歴史教育を歴史のナラティブをめぐる対話として捉えるべき、そして対話を通じて教員と子供の学習における関係性も変えていくということが、非常に示唆に富むものとして捉えられました。
【北川委員】 とてもナイスです。ありがとうございます。
【土井主査】 それでは北川委員、韮塚委員、池委員、貴重なご報告大変ありがとうございました。
この辺りで5分程度休憩を取りたいと思います。休憩の後引き続き議題2について審議を行う予定です。
それでは今から5分程度ですので50分少し前ですね、ちょっと時間ありますので48分から始めたいと思いますので休憩とさせていただきます。
( 休 憩 )
【土井主査】 それでは時間になりましたので審議を再開したいと思います。引き続き議題2についてご審議をいただくことになりますが、まず最初に事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 お手元の資料41ページをご覧ください。議題の2は系統性・体系性の整理についてです。論点としては第1に小・中・高等学校を通じた整理の考え方、第2に小・中学校における系統性・体系性の整理となります。
42ページをご覧ください。まず1、現状等として(1)系統性・体系性の考え方に示している通り、社会科では小学校社会科において社会的事象を総合的に捉えた上で、中学校社会科において分野別に大きな流れを把握し、高等学校地理・歴史・公民科においてより学びを深めていく構造となっております。例えば歴史領域においては48ページにある通り、小学校で先人の業績や優れた文化遺産、中学校で我が国の歴史の大きな流れ、高等学校で歴史の変化や展開等に関わる諸事象について学ぶことになっています。これらは発達段階に応じて必要な資質・能力を育む観点から必要な事項を定めているものであり、同一内容を同様に扱っているものではありませんが、一方でこれらの内容については児童生徒の深い学びを実現していく観点から不断に見直しを行っていくことが必要だと考えております。
42ページにお戻りください。そういった中でございますが、この(2)内容の枠組みや対象の整理といたしましては、46ページに今度は飛びますが、今次の改訂におきましては小・中学校の社会科の内容を、地理的環境と人々の生活、歴史と人々の生活、現代社会の仕組み・働きと人々の生活という3つの枠組みに位置づけるとともに、丸1と丸2につきましては空間的な広がりを念頭に地域・日本・世界、丸3につきましては社会的事象について、経済・産業・政治及び国際関係に整理し、小・中学校の学習指導の解説において系統的・体系的に意識できるよう示したところでございますが、これらの系統性・体系性が十分に機能しているかという視点で見直しを行うことが必要だと考えております。
42ページに戻りますけども、このようなことも踏まえまして2の改善の方向性といたしましては、今次の改訂において教育内容や科目の構成の見直しを行い、内容・構造の改善に一定の成果が見られることを踏まえ、小・中・高等学校を通じた系統性・体系性の大枠を維持しつつ理解をより深める観点から必要な見直しを行ってはどうかと考えております。
具体的には、(1)にございます通り、小・中・高等学校を通じた整理の考え方といたしまして、(2)小学校段階、あるいは(3)中学校段階の内容の見直しの充実を図る際に、全体として学習内容を増加させず、一定の精選を図る観点から薄い網掛けに記載の整理の考え方をまずは方針として定めてはどうかと考えております。
まず、この第1でございますけれども、社会科等の高次の資質・能力を育成するために必要な内容となっているかという視点です。調整授業時数制度により標準を下回って柔軟に授業時数が設定される場合も考慮する必要があること、またこのような視点も含めて深い学びを実現するための授業づくりの具体的なイメージ例の提示と合わせ、高次の資質・能力に照らして内容項目の精査を図ることを検討する必要があるというふうに考えております。
また第2の視点でございますが、小・中・高等学校の各内容の枠組みと対象の系統性・体系性が明確かどうかという観点にございまして、校種間や科目間で重複している内容は児童生徒の発達段階に応じて適切な学校種や科目に位置づけるよう再整理を行うこととしてはどうかと考えております。
その際、矢印のところにございますが、他の教科等との内容と重複する内容についても社会科の資質・能力を育成する上で真に必要な内容であるかといった観点も踏まえて整理することについて、ご意見をいただければと存じます。
また第3でございますが、社会情勢の変化や社会参画意識に関する課題の観点から真に必要な内容が含まれているかといった視点も位置づけてはどうかというふうに考えているところでございます。これら丸1、丸2、丸3の事項の適否についてぜひ本日はご意見を賜ればと思っております。
続きまして43ページをご覧ください。(2)として小学校段階の改善の方向性についてです。まずはアの現状と課題にある通り、現行の学習指導要領では社会を捉える枠組みとして発達段階等を踏まえ、第3学年で身近な市町村、第4学年で都道府県、第5学年で国、第6学年で世界、国際社会の内容を取り上げることとしています。一方、グローバル化する国際社会に伴い、児童が地域コミュニティの中で国際的な環境に身近に触れる機会が急激に高まっており、社会の現状と児童の学習内容の進捗とにギャップが生じているという課題もございます。
こういったことを踏まえまして、右側2の改善方策に示した通り、小学校段階において児童の思考・認識の起点を発達の段階に合わせて身近な地域から始め、国際社会へ広げていくという考え方は基本的には維持しながらも、グローバル化などの地域社会の変化を含めた内容について各段階において見直しを図ってはどうかと考えております。
具体のイメージといたしましては50ページをご覧いただければと存じますけれども、左側の部分に掲げております通り、私たちの生活様式、市区町村、都道府県、国、国土、世界、国際社会という枠組みを基本といたしまして、現行の学習指導要領では黄色の部分が扱われている事項となりますけれども、新たに追加すべき観点として赤色の部分の事項を追加することとしてはどうかというふうに考えております。
続きまして44ページをご覧ください。今度は(3)の中学校段階における改善の方向性でございます。小学校・中学校・高等学校のより系統性・体系性を持った学びを実現する観点から、小学校社会科と高等学校地理歴史科、公民科をつなぐ社会、中学校社会科における地理・歴史・公民の各分野を有機的に結びつける分野横断的な単元を新設することとし、地理・歴史・公民の3分野を有機的に関連づける分野横断の狙いを実現できるようにするため、現行の各分野の内容の一部、あるいは全部を移行し、その上で各分野の内容の改善を図ることとしてはどうかと考えております。
具体的には丸1導入単元の新設といたしまして、中学校3年間の学習の流れや社会科を分野別で学習する意味や意義、各分野の特徴や関係などについて学ぶことや、小学校の地域の学習で得た視点を総合的に活用した学習活動を通じて、中学校社会科への学習の動機づけを行う分野横断の単元、「社会への扉」を新たに設けることとしてはどうかと考えております。
また(2)接続単元の新設といたしまして、地理的分野、歴史的分野、公民的分野の有機的な連携を一層推進する観点から、地理的分野、歴史的分野の学びを通した社会のありようの考察に加えて、現代社会の課題の解決に向けての気づきなどから、公民的分野の学習への動機づけを行う分野横断の単元、「私たちの社会」を新たに設けることとしてはどうかと考えております。
さらにまとめ単元の見直しといたしまして、現行の公民的分野において設けられている「よりよい社会を目指して」を中学校社会科のまとめとして、生徒が課題を探究する活動を通して私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を考察・構想する分野横断のまとめ単元、「よりよい社会を目指して」に位置づけ直すこととしてはどうかと考えております。
具体のイメージといたしましては51ページをご覧いただきたいと存じますけれども、この中で先ほど申し上げたような形で左側でございますけども、中学校社会科の冒頭に分野横断の「社会への扉」という導入単元を設けること、また地理・歴史分野を学んだ後に分野横断Bといたしまして、「私たちの社会」ということで接続単元を設けること、さらに公民的分野を学んだ後に分野横断Cとして「よりよい社会を目指して」というまとめ単元を設ける、こういった形で考えてはどうかというふうに捉えているところでございます。
45ページをご覧ください。先ほども先生方のご発表にもあった関係でございますが、地域調査の関係についてでございます。まずアの現状と課題にある通り、身近な地域や事象を扱う地域を題材とした学習活動、地域調査を含むにつきましては、その教育的意義を踏まえて地理的分野、歴史的分野において行うことが規定されておりますけれども、小学校に比べて十分に行われていない状況にあることを踏まえまして、イの改善方策に掲げた通り、地域調査を含む地域を題材とした学習活動を地理・歴史両面から扱うこととしてはどうかと考えております。
具体的には緑の網掛けにある通り、現行の学習指導要領の地理的分野、歴史的分野の地域を題材とした学習活動、地域調査を含むに関わる内容について、歴史的分野や公民的分野との関連も踏まえつつ、分野横断的な単元として整理すること。
また2つ目、地域の諸課題やその解決を見通した学習課題を設定することで、社会参画意識の向上に資する学習内容とすること。その際、地域人材を積極的に活用するなどの取組を行うこと。
また4つ目でございますが、実施時期や方法については分野横断的に設定した単元の全て、あるいはいずれかで柔軟に実施できる方法とし、学校行事等の連携も含み得るものとすること。
また最後になりますが、学校現場における教員の専門性等の確保も考慮して、授業の構想に資する優れた指導事例等の周知等を国が主体で行うこととして見直していったらどうかと考えております。
また現実社会から課題を捉える手法といたしまして、地域を題材とした学習活動を分野横断の学習を行う際の主な方法として位置づけるとともに、実施時期や方法は柔軟に扱うことを前提とした上で、特に地域を題材とした学習においてより高い効果が見込まれ、主たる実施単元となり得る分野横断の新単元B、「私たちの社会」にこの地域を題材とした学習活動を位置づけることをしてはどうかと考えております。
事務局からの説明以上となります。よろしくお願いいたします。
【土井主査】 それではただいまご説明いただきました資料1の41ページ以降についてご議論いただきたいと思います。時間が限られておりますので、皆様にご発言の機会があるよう、1回のご発言は長くとも2分程度でおまとめいただければと思います。
なお、お時間が足りなくなってしまいました場合には、会議後ご発言をいただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただいた上で、後日議事録掲載とする取り扱いとさせていただければと思います。またご発言の際は、資料のどのページに関するご意見、ご質問であるかを明言していただけますと幸いです。
それではご意見やご質問のある方は挙手ボタンを押していただき、私から指名をさせていただくようにいたします。いかがでしょうか。
はい、それではまず桑原委員お願いいたします。
【桑原委員】 失礼します。よろしくお願いします。資料の今掲げていただいている42ページの方で、先ほどの説明にもありましたけれども、系統性・体系性の大枠は維持しつつというふうに示されております。
これまでもこれまでの考え方は継続しつつというふうな言葉がよく出て示されてきてはおったんですけれども、本日お三方の先生がご発表いただきましたけれども、あのような点を充実させるとしたら、やはりこれまでの内容にプラスアルファではとても実施できないと思うんですね。そうした時にはやはり何かを減らすなり整理するなりということが必要かと思います。
そこで精選というふうには言われているんですけれども、私個人としてはこの大枠を維持しつつということで、本当にそれが達成できるのかっていうところはよく考えていかないといけないというふうに思います。
今更今の段階でもう難しいと言われればそれまでなんですけれども、例えば歴史において小・中・高と日本史などは3回、古代から現代まで3回繰り返し学ぶわけですけれども、本当にそれをこれまで通りに維持しつつということでやっていくのか、あるいは公民であれば中学校の公民で学んだことをやっぱり高等学校の公共や政経でも同じように繰り返し学んでいくわけですけれども、その大枠というのは維持しなければならないのかっていうところをやはり検討する必要があるんではないか。特に今日ご提案いただいたような内容を実施していくとしたら、やはりどこか目に見えるその大きな精選というのが必要じゃないかなというふうに思います。以上です。
【土井主査】 何を大枠というかというところは解釈問題かもしれませんが、桑原委員おっしゃられたように新しいことを付け加えるという方向であれば、内容の精選をしないといけないというのはその通りかと思いますので、引き続き検討できればと思います。
それでは次に石井正広委員お願いいたします。
【石井(正)委員】 それではよろしくお願いします。まず2つあるんですけど、1つ目が50ページの系統性・体系性の再整理の図についてです。大変分かりやすく整理していただいてるなというふうに思いました。
基本的な確認なんですけど、この緑の区市町村とそれの上の県、都道府県から世界と国際社会ってこれ2色に分かれているのか、緑と青の2色なのか、多分これ4色に分かれてるんじゃないかと思うんですけど、この色合いが4色で合ってますよねって確認がまず1つ目です。
2つ目はオレンジの部分が新しく加わっていくっていうことが想定されるんですけど、先ほども精選の話が出てたんですが、この精選をした内容を、高次の資質・能力の内容のところに具体的に示すところまでがワーキングで求められていることなのか、つまりどこまでワーキングでこれを示していくのかってことを確認したいってのが1点目です。
2点目が高次の資質・能力を現場で具体的に指導計画や教科書作成に移していくということを考えた時に、確認したいことがあります。1つは、例えば小学校の内容は丸1から丸10にまとめられています。タイトルが今お話しさせていただいた図に合わせて市区町村、都道府県、国や国土、世界や国際関係と内容の系統が整理されていて、以前の学年より分かりやすくなったなというふうに思っています。
ただ、例えば小学校の丸4の内容なんですけども、16ページです。ここには高次の資質・能力の下に(3)と(4)と異なる2つの内容が、これから内容が確定していくと思うんですが、書かれていて、その上の高次の資質・能力のところにも丸が2つここはついています。指導計画を考えるとすると、高次の資質・能力の1つ目の丸と(3)のアで1つの単元、(3)のイで1つの単元というふうに作りやすいかなというふうには思うんですが、そう考えるとしたらこの高次の資質・能力に丸が2つあるのはなぜかなと思ったわけです。1つにして内容を2つに分けるという、そういう考え方はないのかなというところを1つ確認したいと思いました。
もう1個がページで言うと14ページです。小学校の丸1の例なんですけども、小学校の丸1、16ページですね。ここの内容の(1)(2)ってあるんですが、実際に今学校現場では3年生の最初で(1)を行い、3年生の最後に(2)を行っています。そうすると、高次の資質・能力、統合的な理解に至るには、(2)が終わったところで(1)と(2)を関連付けてまとめる学習というのを設定する必要があるんじゃないかと思っているんですが、現在の教科書や学校の指導計画ではそのような学習の位置づけってないんですよね。なので、そういうふうに(1)と(2)を連続して学習できない場合も想定されると思うんですが、それはありなのか、ありとしたらその私が言ったようなまとめの学習というのを想定しているのか、その辺りを実際の授業イメージで確認したいなと思いました。
【土井主査】 それでは、1番目の資料の色合いの問題と、それから2つ目のワーキンググループの役割について、回答をお願いできますでしょうか。
【髙見主任教育企画調整官】 まず1点目の資料の色合いは、資料としては50ページでございますが、これは先生おっしゃる通り4つの色の区分ということで、すいません、ちょっと同系色でまとめてしまいましたので、若干ちょっと誤解を招く表現だったと思いますが、考え方としては4つそれぞれ別の色だという考え方でございます。
それからワーキングの議論の範囲でございますが、今高次の資質・能力、あるいは今少しこの内容項目の方の記載も例えば先ほど先生ご指摘いただいたような14ページとか16ページあたりにも記載してるとこでございますけども、ワーキングで議論することって時間も当然限られておりますので、これの個々の内容を1つ1つまでですね、全てこう固めていくというよりも、まず大きな方向性についてご審議いただくところを中心に、ワーキングではご審議いただく内容なのかなというふうに思ってるとこでございます。
それから16ページの今先生ご指摘いただきました高次の資質・能力が今これ2つになっているのはどうなのかということでまとめてはどうかというお話ございましたけれども、まさに知識及び技能に関する統合的な理解ということでございますので、まとめられる事項は統合した形にまとめていくという方向で考えていく必要があると思います。ただ、なかなか事項としてそこは整理しにくいというものについてはまたそれぞれ個別の考え方も出てくる部分もあるのかというふうに思っております。
それから最後14ページのところで、その連続しない場合の扱いはどうなのかってことでございますけども、これはそこで連続するかしないかということではなくて、やはりその学ぶ事項としてある程度まとまりがあるものについてこういった形でまとめて記載していくという考え方になろうかというふうに思ってるとこでございます。若干ちょっと説明が不足しているというのはあるかもしれませんが、私からの説明以上でございます。
【土井主査】 先ほども少し申し上げましたけど、本日時間限られておりますので、できるだけ時間内には系統性・体系性の整理の部分についてご意見をいただきたいと思っております。もちろん高次の資質・能力についてお気づきの点等あろうかと思いますが、それにつきましてはできればメール等で事務局の方にご意見お寄せいただければと思います。なかなか時間の切り盛りがうまくいかなくて申し訳ございませんが、ご寛容いただければと思います。
それでは引き続きまして鈴木委員お願いいたします。
【鈴木委員】 大きく2つの話を考えています。まず画面でいくと44ページです。中学校段階に導入単元、それから接続単元、まとめ単元と3つの分野をまたぐ、あるいは分野を統合するような学習内容を用意するところは大変大きな試みだと思っています。
また中学校の社会科を教科として教えていく者、授業をしていく者としては、地理・歴史・公民というように分野で切れてしまう学習ではなく、社会科としてまとまった学習をするという意味で、この試みは是非前に進めていって良いのではないかと思っております。
一方で、51ページの話につながってきますけれども、具体的にその分野横断となるABCの単元のことが出てきますが、この辺りについては、社会科の年間授業時数自体は変わらないという中で、現行の学習内容の組み換えが前提だと受け止めたいと思っています。そうなりますと、地理的分野で学習している内容や、歴史的分野で学習している内容の何かがここに連動してくると思います。もちろん身近な地域の課題の学習ですから、関連した単元になると思いますが、その内容が繋がったり、あるいは公民的分野につなげていったりするような分野横断のBの学習内容、そして最終的に3つの分野の学習を踏まえた中学校社会科のまとめとしての単元、分野横断Cという大きな枠組みになると思います。それにつなげていくためには、授業時数を生み出すための内容の整理が今後に期待したいところかと思っています。
2つ目としては、45ページの内容になります。説明の上の方にある改善方策の説明の中に、「各教科の探究的な要素を持つ学習課題の充実なども踏まえ」とあります。当然ながらこういう分野横断の学習していく中では、探究的な学習の要素を持つ学習というのは当然重視されますし、社会科としても探究的な学習を増やしていければと思うところです。けれども、この辺りで同時に気になるところは、社会科としてももちろんやるのですが、中学校教育全体で考えると、総合的な学習の時間の内容と被るところが出てくると思います。総合的な学習の時間の内容の解説の中には、いろいろな事例の例示がありますけれども、地域や学校の特色に応じた課題ということで、地域に着目する内容も例示されています。そういった部分を扱っていく時に、社会科の学習と教科横断的に総合的な学習の時間を行った時に、総合的な学習の時間との関係性については教科の内容を超えますが、やはりそこも意識して整理をしなければいけないところだと思っています。
それから先ほどの45ページについて、これは緑色になってるところの最後の方ですが、45ページの終わりの辺りに学校行事等との連携も含むと書いてあります。この学校行事等との連携というのは先ほどの総合的な学習の時間と絡んできますが、校外学習等々、地域に出ていくケースもあるかと思います。またそういう学習活動との連携を考えた時に、社会科としての授業の計画だけではとどまらない、大きな枠組みで中学校の教育活動が想定される可能性があります。そのことも踏まえた上で、社会科の教科としての系統性や体系性、そしてこの3つの新しい分野横断の学習ということについて、今後もさらに精査して整理できたら良いのではないかと思いました。以上でございます。
【土井主査】 それでは、井田委員、お願いいたします。
【井田委員】 よろしくお願いいたします。まず意見ですけれども、まず46ページのところで、小学校3年生から国際、外国との関わりというところでつなぎ合わせるというところで、地理的環境から点線が引かれていますが、この点線は多分ここにも関わるよという意味だと思います。そういう意味では、いろんな産地で外国から物が来た、その外国は例えばアメリカからで、なぜアメリカから来たのか、そのなぜというところで、アメリカというのはこういうところだからこういうふうに日本にもたくさん輸出できるんだよねというようなところまでいけるといいなと思っています。そうすると今の枠組みであったとしても世界との関わりが3年生、4年生、5年生、6年生でも繋がっていくということで、とても良くなったなというふうには感じてます。
ただ見た時に点線だとスルーされているような感じをうけるので、そういう意味ではそこがスルーじゃなくてちゃんとここにも関わってるというようなところがちょっと見えてくるといいかなと思います。そういう意味では今まで同心円的に拡大していたのが、それが早くから世界にも目を向けることになり、それが中学校、高校にも繋がっていくかなというふうに思いました。
2番目ですけど、44ページお願いします。先ほども出てきましたけど、ここで、「私たちの」云々というのが出てくるんですけども、私たちのというのが、私じゃなくて私たち、あるいは自分ではなくて自分たちということなのかと思うんですけども、自分たちとか私たちを考える前にやっぱり私とか自分があって、つまり自分事としてどう捉えられるかという観点が重要なのかと思います。
先ほど北川先生のお話を聞いていて、アメリカでは例えば歴史がナラティブのところで自分で歴史を作っていく、自分の歴史を書いていく、自分の歴史をこう、自分の先祖から踏まえて書いていくって、自分の歴史を作っていくんだ、つまり自分の歴史を作りながら世界を見て、アメリカを見てく、そこからいろんなとこ見てくという学習をとりいれていることを思い出しまた。今までの日本の学習は地理も含めてなんですけども、客観的に分析するということができたんですけども、自分事として自分の歴史になり、自分の地域像なりを作り上げながら私たちということと関わらせてきませんでしたが、その必要がちょっとあるのかなというふうには思います。
具体的に、もうちょっと地理で話をしますと、例えば自分の地域像というのがあって、そこは場所のアイデンティティだとか、その自分が住んでいる場所、あるいは他の場所でもいいんですけど、その場所についてどういう価値観を持って、あるいはどういう居場所感を持っているかという、そういう主観的な感覚もやはり必要なのではないか、そこから自分事として捉えられて、さらに客観的に持っていけるのではないかと思います。そういう意味では客観的な見方、今までの客観的な見方と、あるいは自分事という主観的な見方というのが交えるような形で「私たちの」というのが使えると、とても意味があるのかなというふうに感じました。つまりは「自分事」ということをどのように具体的に「私たち」の中に入れていのかをもうちょっと具体的に示した方がいいかなと感じました。
【土井主査】 井田委員ありがとうございました。それでは引き続いて大村委員お願いいたします。
【大村委員】 失礼いたします。ちょっと時間も限られておりますので若干早口になりますが、申し訳ありません。まず42ページ、43ページについてですが、小学校について同心円的拡大の系統を維持するというのは賛成です。これには学問的に疑義が呈されることもありますし、今のグローバルな社会とか世界とSNSで簡単につながれるから地域が身近とは限らないのではないかという意見もありますが、逆に言えばだからこそ自分の身体として在る場の地域から世界を広げるように見ながら社会認識を広げていくということに改めて重要な意味があるとも言えると思います。その意味でその系統を維持していけばいいなというふうに思いました。よく考えられて資料を作っていただいていると思います。それが1点目です。
2点目が47ページについてです。小学校、中学校、高校については、もちろん重複する部分の精選を検討することは大事ですが、対象は同じでも狙いや認識内容、認識方法の質が異なるということを明確にすることも大切だと思います。例えば、小学校においては生活科でも地域を対象にしますし、社会科でも地域を対象にしますし、総合でも地域を対象にすることがほとんどです。生活科でも風やゴムを生かした遊びを行いますし、理科でも風やゴムの働きを学びます。このような時に重要なのは、同じ対象でも狙いが異なる、認識内容、方法が異なることです。そこがどのような資質能力を育むのかということに関わってくるので、その系統と内容との繋がりこそが明確になるように記載していくことが大切だなと思いました。それが2点目です。
最後3点目ですが、すみません、系統性に関わることなのでここで話すことになって申し訳ないのですが、前半の多面的・多角的についてです。記載の変更をお願いするものではありませんが、解説には記載が必要だと考えたことです。それは何かと言うと、やはり多面的に考えることと多角的に考えることは、そもそも考え方の質が異なるので、小学校の場合、子供の追究の実際を踏まえても、多角が先で多面が後とかいう順序性の問題ではないんじゃないかなと、どうしても感じてしまいます。それぞれが発展するものだなと思います。むしろ多角的に考える方が難しい事象や場面もあるし、中学年で多面的に考えることが大事な場面もあります。示し方について方針を変えるべきとまでは言いませんが、解説にそのことをしっかりと記述することが必要だと思いました。以上になります。
【土井主査】 順番が前後してしまって申し訳ございません。板倉委員、お願いいたします。
【板倉委員】 よろしくお願いします。2点あります。まず1点目は資料46ページの「内容の枠組み」と20ページ以降の「小学校の高次の資質・能力」との関連についてです。中学校への接続・発展を踏まえて、6年生に「様々な面から」という表記が盛り込まれたと思うのですが、「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」という同じ枠組みに該当する「政治」と「国際」において、表記に差別化が図られています。「国際」の表記も多面的に繋がる文言ではあるのですが、6年生の高次の資質・能力には「様々な面から」という文言が統一して入り、「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」である「政治」と「国際」には、さらに「多角的」が入るという形で整理することが、授業作りの際の分かりやすさに繋がると感じました。
2点目は資料45ページの「地域調査の見直しの方向性」についてです。地域調査が十分に行われていない背景をもとに、その方向性を現場の立場から見た時に、準備や時間などについての負担感が解消されていないような印象を受けますし、学校行事との連携は、場合によって調査が形骸化してねらいが達成されない調査につながる可能性も出てきます。また、指導事例の周知は重要ですが、問題なのは十分に行われていない学校や先生は、優れた指導事例集などがあっても見ない可能性があるという点です。
現場では「働き方改革」と教育活動の充実との間で板挟みの状態にあって、前半の発表にあったような充実した地域調査の工夫や効果は十々承知ですが、おそらくそれだけでは今の現場は動けないと思います。例えばデジタル学習指導要領で単元計画が容易に立てられることを示唆したり、調整授業時数の効果的な活用について触れたりするなどして、今の時点で、全国の、とりわけ地域調査に否定的な先生でも、実際に自分が計画・実施できそうな見通しをもっと示していかないと、ここで今話し合ってる理想と現場にある現実との間には温度差が出ていくような感じがしました。以上です。
【土井主査】 それでは引き続きまして唐木委員お願いいたします。
【唐木委員】 よろしくお願いします。私は資料1の51ページのところに集約させてお話ししますけれども、こういう分野横断型のものを作るのはこれから大変な苦労をするんだろうけれども、やはり総合社会科性格や、3分野が連携するって意味で、すごくいいなというふうに思って見ていました。是非積極的に進めていただきたいと思います。単元の問いの例が一人称で書かれていることで児童生徒は自分事として捉えられて、しかも社会参画的な要素が入っているので、こういうふうに単元を仕組んでいくのはいいことかなというふうに思っていますが、是非その社会参画とか共生社会の実現とか民主主義とか、ちょっと公民っぽいんですけれども、その理念が分野横断から離れないように、単元作って欲しいなと思います。
その上で3つほど意見を述べさせていただきます。1つ目は仮称がついている「社会への扉」についてです。扉は多すぎるので、他の名称を使っていただいた方がいいなということです。
2つ目は時間をどう生み出すのかが非常に難しいところかなというふうに思うので、現実問題として多分地理の地域調査のところから6時間とか、歴史から歴史との対話で6時間とか、最後に公民の最終単元から6時間で、6・6・6というような形で時間を生み出す、例えばですけれども、そういう形で時間を生み出していくのかなというふうに思うんですが、それが本当に可能なのかとか、あとそうなると例えば地理の地域調査がこの分野横断のところに持っていかれると、地理から地域調査がなくなっていくことが本当にいいことなのか、そういうテクニカルなことを考え始めると、時間を調整するのが難しいだろうなということを思いました。
最後に、地域に閉じるような雰囲気を持ってしまうのは果たしていいのかっていうのが気になっています。もちろん地域から課題を見つけるのは社会科の基本のようなところではあるんですけれども、地域調査を主な方法とした時に、地域に出ていって本当に子供たちがグローバルなものを見つけられるのかとか、あるいはグローバルにつなげられるところばかりなのかっていうことが気になって、日本は広いのでいろんなところがあるわけですから、こういう時代なのでグローバルなところを見させてあげるような、そういうことをどういうふうにこの地域調査で保証していくのかってところを考えていきたいなと思いました。以上です。
【土井主査】 それでは北川委員お願いいたします。
【北川委員】 43、46、50に関わるんですけども、本当に私は宇宙を考えた方が、入れることを考えて欲しいというか入れる必要があると思っています。宇宙というのは実はそのどこに入れるか問題があるんですけど、これがもう1段上であると私は本当は思っていなくて、宇宙が今もうインフラである時点で考えると農業とか防災とかその地理的なものにすごく繋がっているんですね。なのでそういうところに散りばめられることはたくさんあって、やっぱり少しちょっと専門家的な意見を取り入れるような会というか、その辺りをインプットというのをした方がいいのかなと思っていて、でももちろんそれは現場としては単元につながらないというところもあるので、すごく難しい課題はあるんですけども、例えば探究とか総合とか理科とかでもう入ってきているものの中に入ってきているという状況を考えると、社会科がこれを入れないというのはやっぱりないと思います。なので少しここはちょっと知恵がいるとこだけども、これ自体をその世界国際宇宙とかじゃなくて、宇宙は生活の中にあるものだと、地域の中に根付いてるものだという感覚でいう宇宙は入るんじゃないかなと思っています。
【土井主査】 ご予定がおありとのことですので少し順序前後しますが、新保委員お願いいたします。
【新保委員】 資料1の50ページ(小学校社会科における系統性・体系性の再整理)についてお話します。社会への参画意識の向上が、次期社会科学習指導要領の大きな課題と認識しています。その視点から2点申し上げます。
1つは「人口減少」という言葉が「新たに追加すべき観点」として「私たちの生活と市区町村」(第3学年相当)、「私たちの生活と国、国土」(第5学年相当)に入っています。大変良いことだと思います。人口減少は我が国の非常に大きな課題ですので、3学年5学年だけでなく、どの学年にも追加してよいのではないでしょうか。あくまでも「観点」ですので、直ちに内容が増えるわけではないと思いますのでご検討いただければと思います。
もう1点は、「自然災害」についてです。「自然災害」という観点を6年の歴史にも入れたほうがよいのではないでしょうか。災害は最近にわかに起きているわけではありません。私どもの国はそもそも脆弱な国土という条件を背負っており、大きな自然災害を歴史的にも繰り返しています。その根本のところが分からないと「自然災害から人々を守るという学習」が非常に表面的なものに終わってしまうのではないでしょうか。
「そもそも脆弱な国土」という観点については、第5学年に付加してもよいかと思います。
「人口減少」「災害大国」という観点が、可能な限り幅広く導入されることにより、「自分たちがまちづくり、国づくりに参画しなければ」という意識が高まると考えます。
【土井主査】 それでは次に石井委員お願いいたします。
【石井(英)委員】 非常に興味深く聞かせていただきました。3人の委員の先生方のお話はですね、それぞれに例えば宇宙市民的な発想、あるいは地域住民的発想と言いますか、結局社会科の任務は何なのかということが改めて問われているような気がするんですよね。
これに関してはこのワーキンググループの最初のところで、今回どういう社会科を目指すんですかと、今この時代において、ということが、民主主義であるとか社会の創り手といった辺りの方向性が確認されていたように思います。ですから、その今回の議論の原点を改めて確認することが重要かと思います。
その上でですね、社会の創り手を育てるということからしますと、この地域調査というのは、社会っていったものの典型と言いますか、そことの出会いですね。これまでの社会科教育は、ちゃんと社会と向き合わせていたのかどうか、現実をちゃんと捉える目を育ててきたのかどうか、この辺が多分ポイントなんだろうと思います。
そういった観点からしますと、この地域に閉じていくという感じで、地域学習それ自体が目的ではなくて、地域の中にちゃんと社会っていったものを捉えていく、そこは大事なんだろうと思います。ですから、そういった観点でですね、改めてその地域を通して社会としっかり向き合う、そういう社会科教育を目指していくという観点が重要かと思いました。
それで言いますと、フィールドワークっていうのは、これは入り口であると同時に出口でもあると。つまり地域は様々な興味・関心の源泉である、あるいは地域っていったものを通して社会に気づくということで、学びの入り口であるとともにもういっぺん戻るものということですよね。ですから今回のこの横断的な導入単元とかそういったものは、具体的なところから抽象的な社会的な概念とかそういったものに行ってもういっぺん具体に戻ってくると、戻りのあるカリキュラムというふうに考えていくことが大事かと思います。頭でっかちにならずに、もういっぺん学んだ知や概念を現実において問い直していく、そういった部分が重要かと思いました。
あとは系統性の問題に関しましては、身近なところから広げていく、いわゆる同心円拡大方式といったものではありますけども、それを堅持するということは、その基本線は私も大事かと思うんですが、一方では今回、それを問い直す視点が入っていくことは重要かと思います。地域に閉じていく、内側に閉じていく、そういう社会科ではなくて、まさに、先ほど北川委員からもあったように、世界的な視野、要は自分が人生においてどういう地図を持つのかということが大事だと思うんですよね。日本地図だけじゃなくて世界地図の中で自分を考えていく。その時に、ローカルであると共により広いパースペクティブで見ていくといった時に、内と外という関係で申しますと、内の中にある外を見る、つまりまさに自分や日本社会の中にある世界や国際的つながりに気づく、世界史の中において自分位置づける。自分の地域や日本文化の中に世界とのつながりを見るとかね、そういう発想、だから内の中に外を見る。さらに言うと外側から内を見つめ直す、こういう視点も大事かと思います。日本が海外から見た時に他の国々から見た時にどう見られているのか。例えば地図の読み方にしてもそうですけども、日本から海外の位置を捉えるだけじゃなくて、海外の方から見た、ある国から見た時に日本はどういう位置取りや関係と見えているのかというふうに、他の視点から考えていく、そういった観点で視野を広げる、共感的ではないですけども、視点移動を通じて他の視点から自分たちを見つめ直す、こういった視野の中で考えていくことが重要かなと思いました。
【土井主査】 それでは永田委員お願いいたします。
【永田委員】 今、ちょうど石井英真先生が言ってくださったところが今日の議論の中核かと思っています。北川先生も言ってくださったように、フィクションとナラティブの往還だと思うのですけれども、どっちかではなく、宇宙と地域とのどっちかではなくて、そこに子供たちが行き来できるようにカリキュラムをしてあげないといけないっていうのが、これは元々ドイツのシュプランガーあたりが100年以上前から言っていることにもなるのですけど、その点で今出ているその51ページの左枠のこれが今後の議論の大きな核にもなるかなと思っています。
中学校での横断型の左側の縦軸が、前のページ50ページを見せていただけると、小学校のこの矢印が中学校のそこにどう繋がるかっていうのが大きくて、この太い斜めの矢印が一方方向だけでいいかって言った時に、私は逆方向の向きのベクトルの矢印もいるのかと思っています。例えば小学校の4つのフレーム枠があるのですけれども、このフレームも大事なのですけど、そのフレームを突き破るこの斜めの矢印のコアだったりアクシスになるか、そのコアとフレームとかアクシスとボーダーを社会科では影響し合っていくこの辺りのイメージにすごくよく出ていて、あともう1つスライドを戻してもらうと46ページですね。
これが先ほど井田先生からも点線のご指摘があったんですけど、私も点線というよりも実線で全部この空白がないようにしていって、その空白がない点線じゃない実線の部分も全然やらないっていうのじゃなくて、うまく例えば韮塚先生と池先生が言われた地域学習とか社会科以外の中でも全部この見せてできるような、社会科がそのためのコアのカリキュラムになるっていうイメージがあると、社会科だけこれ全部やるのじゃなくて、中心は大きな色がついたとこですけど、線の中でなかなかできないのは特活とか総合とかっていうイメージがすごく今回提示されている資料で出始めているので、今後の議論がその辺りを詰めていければ面白いなと今日感じたところでした。私からここまでです。
【土井主査】 それでは引き続きまして森本委員お願いいたします。
【森本委員】 森本です。私も系統性・体系性について2、3お話ししたいことがあるんですけれども、50ページの図を出していただけますでしょうか。こちらに小学校、社会科における系統性・体系性の再整理ということで新たに追加すべき観点を加えていただきありがとうございます。ここで先ほどもご意見があったんですけれども、既存事項、すでに現行の学習指導要領で扱っている事項はそのままで大丈夫なのかっていうのがちょっと気になっております。
というのも、北川委員のご報告にあったように、今の時代ですからグローバル化は前提として捉えるべきですし、私たちの生活もSNSがライフラインになっているように、宇宙空間っていうのと本当にこう密接に関わりがある暮らしをしていますし、また環境問題っていうのはもう宇宙を視野に入れないといけない時代になっていますので、まさにこの宇宙国家を超えた空間としての宇宙だとか、それからサイバー空間でこういったことも私たちの生活と密接しているものとして考える可能性を入れてもいいんじゃないかなというふうに考えております。
具体的な問題としまして、以前もちょっとお話しさせていただいたんですが、「私たちの生活」とか「私たちの社会」っていう表現がいいんじゃないかっていうふうに以前発言させていただいたことがあるんですけれども、そこにですね、「我が国の」っていうふうに入ると、やはりどうしてもですね、我が国じゃない人口が今後ますます増えていくことを考えますと、違和感を覚える子供たちがいるんじゃないかっていうのと、それから日本も近年増加している外国人が増えるよりも前から多様な社会であったっていうことを考えますと、誰を代表しているのかっていう問題も出てきたりしますので、そこで46ページのところに行きますと、小学校6年生で外国の人々の暮らしっていうようなのが出てくるんですけれども、この時によくあるのが日本国内でも外国の人たちの暮らしっていうのが紹介されたり、日本にももしくはありますよっていうような紹介が、小学校の教科書あまりよく見てないのでわかんないですけど、高校の教科書なんかだったら出てきたりするわけなんですけど、それを我が国の一部として捉えられるのかなっていうような疑問が出てくるんじゃないかというようなことがちょっと気になっています。そこであの「私たち」ということで統一するのは難しいんでしょうかということをちょっと提案したいと思います。
もう1つちょっとお話しさせていただきたいのが、44ページで新設科目を設けるということを伺いまして、そこで今のこととも関わってくるんですけど、井田委員が「私たち」とか「私」っていうふうに言った時に、それをどういうふうに認識するのかというようなご指摘がありましたが、「私たちの社会」ってさらって言っちゃうんですが、その時の私たちとか私って一体誰なのか、この社会における主体って誰なのかっていうようなことをこういった新設科目で考える、概念として考えるっていうようなことも可能ではないかというふうに考えました。この時の概念っていうのは最大公約数的なベースとなるような位置付けで捉えられるんじゃないかなというふうに考えております。だからその中にはもう私は誰かっていうこともそうですし、私じゃない人たちは誰か、それから社会や国家って一体どういう考え方があるのかっていうようなことも概念的な学習がここでできればいいんじゃないかなというふうに考えました。
【土井主査】 それでは山田圭一委員お願いいたします。
【山田(圭)委員】 51ページの先ほどから議論になっているその新しく設けるという単元に関してなんですけど、私は基本的には賛成で、特に「社会への扉」というところに関して、名称はともかくとして導入を設けて、さらに歴史分野、地理分野の動機づけを行うということに関してはものすごく賛成なんですけども、その時にお願いしたいのはその一方的に意義をその先生がその押し付けるみたいなのをやめていただきたいというのが強く思っていて、つまりその例えばなんですけど、そのこの導入の段階ではその生徒同士に対話してもらって、なんでそもそも歴史を学ぶのか、地理を学ぶのか、学ばないとどうなるのかっていうことを生徒自身の中から対話を通じて考えてもらうっていう時間にしていただきたいというのが私の思いなんですね。
導入科目に関してはやはりそういう形でお願いしたいというふうに考えていて、そうするとやっぱり先ほどから議論になっているその既存の学習事項をそのまま移行するとその時間が取れなくなってしまうっていうのがどうしてもあって、それなんでこうこだわるかっていうと、「公共の扉」というのを作る時にも私言ったんですけど、最初の段階でそもそもその学ばなきゃいけないっていうのを前提にしないで、そもそもなんで公共を学ばなきゃいけないのかっていうのを哲学対話みたいな形で、まずはその対話の形で考えてもらうってところから導入出発したらどうですかという話をしたら、いやそれは15時間の中ではできないっていう話になって、それはつまり現代社会からそのまま内容が移行してしまうので、キツキツになってしまうんですよね。
少なくともまとめ単元は別に私はその移行でいいと思うんですが、導入単元に関しては時間的なゆとりを持っていただいて、そこで生徒自身にその意義を考えさせるというところから出発していただけると、少なくとも中学生はおそらく半分以上の子供はそもそもなんで学ばなきゃいけないのかわかんないっていう、学ぶ理由というのを理解しないというか、腑に落ちない形で授業を受けることになると思うので、そこを少しでも改善するというのを導入の目的とするために、ちょっとそこの導入に関しては時間的な余裕を持つということを目指していただけるといいんじゃないかというのは私の意見です。
【土井主査】 それでは中山委員お願いいたします。
【中山委員】 よろしくお願いいたします。補足資料の1、「グローバル化する国際社会」という言葉が目標から消えたことによって、イメージが内向的になるのではないかと以前に申し上げました。そんなことないですよという意見があったのですけれども、今回の補足イメージ1と2で示していただきまして、これが伝われば十分にカバーできると思いす。とてもいい提案をいただいたなと思っております。
そして50ページのところですけれども、「グローバル化する国際社会」という文言があり、「グローバル化」、「国際社会」という言葉が使われていますが、現場ではその辺の理解が十分じゃないかもしれないです。国際化した先にグローバル社会が待っているという考え方の方が子供たちにとって分かりやすい。実際の生活は「国際化」「グローバル化」は混在していくのだと思うのですけれども、そんなことを考えて見ていました。
上の黄色の枠の中には両方の言葉があるのですが、下の方にはグローバルという言葉が見えてきません。「地球規模」とか、もしかしたら「宇宙」も入ってくると思いますが、下のところにもこうした言葉が入るといいなと思っています。
それで、先ほどもありました「人口減少」のところですが、3年生で人口減少が入って、4年で消えて、また5年で出てきますよね。これ単なるこの今後の調整だと思うのですが、3年生で人口減少のことを理解するだけの余力があるのかというところがあって、それも段階的、発達段階に合わせて言葉を入れていったら、いいかなと思います。
そして、これから私が言うことは少しチャレンジングかもしれないですが、例えば人口のところで地域社会の変化で人口減少、少子高齢化、国際化とあります。これ、人のことを言ってるのに突然「国際化」が来てるんですね。国際化と言うと、多くの人は文化交流とかそういうことだと思うのですが、5年生の辺りになってくると外国人労働者とか移民の問題だと思うのです。日本は「移民大国」で世界第4位とOECDで言われてますけれども、一般的には移民国家とは思っていないところがあります。ですから、そろそろこの辺りで、教科書類ですでに使われてますけれども、移民、外国人労働者とか技能実習生など、そこに踏み込めるかなっていう気がしています。具体的な言葉を上げすぎると、突出してるようでしたら、「人の移動」みたいなところで、まとめていけないだろうかと。市町村、県も国も世界も、みんな人が移動することによって、いろんなことが起こっています。「人の移動」という言葉を通して、移民とか外国人労働者とか技能実習生とか留学生とか、いろんなものを取り込むようなことで、キーワード「人の移動」という言葉を、この表の中に入るといいかなと思って、見ておりました。
【土井主査】 それでは𠮷水委員、お願いいたします。
【𠮷水委員】 はい、ありがとうございます。資料の51ページをお願いいたします。
先ほどから山田圭一委員からもご指摘がありましたけれども、導入の単元で、総合的な社会科ということで、こういった形のものが提案されることに私も同意いたします。導入単元のところで、先ほども扉を開けてという点についてご意見がありましたけども、私も扉を開けて社会に出る単元というよりは、どちらかというと社会をどう見る教科なのかということを理解する単元だと思っていまして、そういう点からもこの名称は少し考え直してもいいと思います。
合わせてこれもご指摘があったことですけれども、教員からの一方的なオリエンテーション的な単元ではなくて、生徒たちが社会科ってこんなふうに学ぶんだっていうことや、社会的な事象について、よりよい社会の形成を視野に入れながら、つまり構想を手がかりとして考察を深めていき、その結果を元に構想を見直していくような学びの在り方があるんだということを、生徒たちが学べるような単元にしていただくとよいということが1つです。
もう1つは接続単元のところ、これも面白い単元になるかなと思いますけれども、池委員のご発表の最後のところに地理の学習以外の内容なんかを組み込むということ、教科全体の学習にこれが役立つ調査を実施する、そういう検討をする必要があるという内容もありましたので、これにも同意したいなと思います。
その上で、思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮のところで、地理的分野での社会事象を捉える視点や方法と、それから例えば歴史的分野での、社会的事象を捉える視点や方法っていうのは、地理的な視点を使った後に歴史的な視点を別枠で足すというような足し算ではなく、どちらかというと有機的に関連付けるというイメージがよいと思います。これも、資料の中に示されていますけども、やはりこれがよいと私も思います。ある視点で見た結果が、次の視点で考える必然性を生むようなイメージです。この地域はなぜこうなっているのだろう、場所や環境だけでは説明しきれないなということで、問いが問いを生んでいくようなものがよいと思います。有機的な関連付けというのは、視点や方法を並べることではなく、1つの視点による考察が次の視点を必要とする思考の流れを生み出すということです。そこをもう少し書き込んでいただけるとよいかなと思っております。
【土井主査】 はい、ありがとうございました。議論が尽きないところではありますが、時間に限りもございますので、ご発言の方は現在挙手していただいている黒田、頼住、額田各委員までとさせていただければと思います。
それでは黒田委員、お願いいたします。
【黒田委員】 今までの議論で出ています50ページなんですけど、この50ページはかなり画期的な図だなっていうふうに現場感覚から思いました。今までグローバル化がもう常の時代、デフォルトと言われてるんですけど、やっぱり子供たちにとったら、あれども見えずで、日常の中のグローバルっていうのは実際こんなに進んでるのに見えてない状況ってのがありますから、あえてこのように、L字の構造にして含み込んでるんだよっていうことを3年生の段階から見せていくっていうのは非常にいいなっていうふうに思いました。
また、私、第2回、第3回でも発言させていただいたように、同心円と言っても、一方通行ではなくて、帰ってくる双方向の学びっていうことが非常に大事だと思っています。ですので、先ほど永田委員さんからもありましたが、太い矢印が双方向であるっていうのは非常に私たち現場の感覚に近いなっていうふうに思っております。渡りと戻りのやっぱ戻ってくるところがやっぱり身近な地域である、行きつ戻りつするっていうことが非常に大事なんではないかなっていうふうに思いました。
2点目があのおがわ学のところから、なるほどと思ったんですけど、この系統性議論の時に小・中・高の社会科、地歴公民を考えた時に、おがわ学さんは一言で小学校は知る、中学校は参画する、高校は課題を解決するっていうふうに非常に系統性を一言で表して、言い切っている。色々議論はあるんですけど、こういったふうにですね、系統を考える時に思い切って小の社会はこれ、中はこれ、高はこれって一言で置いてみたらどうなるんだろうかっていうことを今自分自身思ったので、まずは自分自身で置いてみて系統性確認していきたいなっていうふうに思いました。例えば中学校、「扉」っていう言葉使いましたけど、そこが僕はすごく気になってて、じゃあ小学校の時は扉開いてなかったのかなっていうような系統性にもなってきますから、その小・中・高の社会科を一言で表すとっていうふうに、考えていく必要があるなっていうふうに思いました。
【土井主査】 それじゃ、順番が前後しますが、額田委員先にお願いできますでしょうか。
【額田委員】 結論的にはこの分野横断的な領域の新設ということは非常に私はいいなと思ってみました。やっぱり自分が生きている社会について、色々な分野を統合的に考えるというところで、ただ実際のその教育の中でABCをどのような内容としていくのかということは、非常に検討する余地があるというか、検討しなければいけないと思いますけれども、新設ということについては非常に賛成です。
今日の3先生のお話を伺って、「なぜ」、あるいは「問い」をもって主体的に関わる、自分事として関わるということが非常に大事だなということを本当に実感いたしましたので、そのような要素を持った科目ということになれば非常にいいなと思っています。
あと50ページの図ですけれども、小学校、第5学年相当というところで、外国との関わりの次に食料の輸出というのがありますけれども、ここに輸入がないのかなというふうにちょっと思いましたので、輸出、輸入というようなところで考えていった方がいいのではないかということを少し思いました。
【土井主査】 頼住委員、お願いいたします。
【頼住委員】 51ページでございますけれども、社会科の「社会への扉」という導入ができたことは非常にいいと思いますが、これが地理と歴史があってその後で公民となっています。学年の進行を考えればそうならざるを得ないのかとも思いますけれども、むしろ1番最初に地理、歴史、公民で導入をいっぺんにした方が、先ほど𠮷水委員から出ていた有機的な関連付けという点からすると、いいのではないかと思います。また仮称ではありますけれども、今「社会への扉」となっておりますが、「社会への扉」というとまだ社会に入っていないところから社会に入るというイメージが非常に強くなってしまうと思います。児童生徒といえども社会の一員なわけですから、まだ社会に入っていないというイメージを喚起するのは、考える余地があるかなと思いました。
【土井主査】 はい、ありがとうございました。時間の制約がございましたので、ご発言の方を制約してしまいましたが、会議冒頭でも申し上げましたように、ご発言できなかった委員におかれましては、発言いただく予定であった内容を事務局までメールにてお送りいただければと存じます。議事録掲載とする取り扱いにさせていただきます。
基本的にいただいたご意見としましては、系統性、体系性の整理について、とりわけ小学校・中学校に関する見直しの方向性については概ねご支持いただけたのかなと思っております。
ただ、このような改善をしていく上において、とりわけ中学校のところでご指摘がございましたが、大幅に授業時間数が増えるという見込みがない中で、このような改善をしていくことになりますと、どうしても学習内容をどのようにしていくかという問題は避けられないだろうと思います。地域調査にしても探究学習にしても、それから山田委員から出ていました導入部分で対話を重視するといった方法の面を重視することになりますと、それ自体また時間がかかることも出てくると思います。既存の内容の再編ですとか、精選ですとか、その点についてはしっかり考えていきませんと、良いものを作ってもなかなか現場で使えないということになってしまい、問題であると思いますので、そうした点を踏まえて今後も検討させていただければと思います。
それでは時間もまいりましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に次回以降の予定について事務局よりお願いいたします。
【嶋田学校教育官】 それでは事務局からご連絡させていただきます。次回の日程につきましては後日事務局より改めてご連絡させていただきます。
【土井主査】 はい、それでは以上を持ちまして閉会といたします。本日も長時間ありがとうございました。
―― 了 ――