令和7年10月23日(木曜日)16時30分~19時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【土井主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回社会・地理歴史・公民ワーキンググループを開催いたします。お忙しい中、御参加いただき、ありがとうございます。
本日は、社会・地理歴史・公民における内容等の系統的・体系的な整理、目標等の在り方について、事務局より御説明いただいた後、意見交換を行う予定です。ただ、𠮷水委員が公務の御都合により途中退席される御予定と伺っておりますので、初めに本日の議題に関する御意見をいただきたいと存じます。それでは𠮷水委員、お願いできますでしょうか。
【𠮷水委員】 皆さん、こんにちは。𠮷水でございます。公務の都合で途中退席しないといけませんので、最初に時間をいただきまして、ありがとうございます。今日、この後御説明があるかと思いますけれども、議題の1つ目について、まず意見を述べさせていただきたいと思います。
資料1の5ページの(2)の丸2のところに、地域調査についてという記載がございます。前回の委員会のときにも幾つか地域調査についての御意見が出たんですけれども、今、映していただいているところですね、ありがとうございます。中学校の早い段階で、地理の基本的な調査手法の一つであります地域調査を導入するべきだと、改めて思っております。その際、確実に地域調査が実施されるような手だての検討を併せて行うことも重要だと思います。また、資料では中・高しかここには記載されておりませんけれども、小学校での地域調査活動の積み重ねも非常に重要だと考えられますので、小学校の社会科の、特に3年生からの確実な実施が継続されるようにすべきだと考えております。これが、後ほどの議題1に関する意見です。
もう一つ、議題2に関することで、目標についてのところですけれども、前回の会議のときに梅津主査代理からも御意見がございまして、考察と構想というのがありますけれども、構想のための考察というのが、私も梅津先生の御意見と同じで、基本だと考えております。そういった観点からも、今回、改善案のたたき台が出ておりますけれども、この目標については資質・能力を育成するための学習活動というような、そういう順序になっておりまして、たたき台の案は、基本的には私としては支持したいと考えております。
簡単ですが、以上です。よろしくお願いいたします。
【土井主査】 𠮷水委員、ありがとうございました。
次に、第1回では委員の皆様に1人ずつ御発言をいただきましたが、前回、御欠席等により御発言がかなわなかった委員がおられます。そこで、本日の議題に入る前に、宇津川委員、桑原委員、杉山委員、寺田委員、頼住委員に、簡単に一言ずつ御発言をいただければと存じます。私から順に指名させていただきますので、発言時はミュートを解除してお話しください。
それでは、まず宇津川委員、お願いいたします。
【宇津川委員】 奈良女子大学の宇津川と申します。1回目は失礼いたしました。本日からよろしくお願いいたします。専門は自然地理学で、特に川から海の地形や堆積物を扱っておりますので、今回の会議では自然災害関連のコメントができるのかなと思っております。
前回の先生の様々な御意見を伺いまして、ぜひ直接お話ししたいという話題も沢山ありました。僭越ながら私からも一言お伝えしたいことには、先ほど自然災害というお話をしましたが,大学で自然地理学を教えていても、社会科というよりも理科的な要素、言うならば地球科学(地学)の要素を扱うことが多々あります。社会科の部会で申し上げるのもなんですが、私が持っている教員免許は実は理科の中高になります。ですので,他の教科との繋がりというのも何かできないものだろうかといつも思うことがあります。
そういう意味では、子供自身が例えば自然災害というのを考えるとなったときに、何の教科、あるいは何の科目の勉強が生きるのかということについては、個々に問題解決能力を養っていけるような、何かそういう指針が出せるとよいのだろうと思うことがあります。どうぞよろしくお願いいたします。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、次に桑原委員、お願いいたします。
【桑原委員】 失礼します。岡山大学の桑原と申します。専門は社会科教育、特に公民教育を研究しております。このたびはこの委員会に参加させていただきまして、ありがとうございます。どうかよろしくお願いします。
私自身、学習指導要領に見方・考え方が入って、そしてそれが非常に重要な概念になっていっていること、これが非常に大事だと思っております。さらに今回、中心的な概念といったものも出てきましたし、一層、これまで以上に見方・考え方の体系化を図り、そしてそれと思考力・判断力との関係を明確にしていく必要があると感じております。現場の先生方にお話をお聞きすると、まだまだ見方・考え方についての理解が十分普及していないという感じもいたします。その点も含めて、今回の改訂の中でより現場の先生方に分かりやすく、見方・考え方とは何かということをお伝えしていけたらと思います。その上で、義務教育段階の最後の出口の社会科から高校への繋がり、そして高等学校の出口、そこをどう考えて主権者を育成していくかという点について、何か提案をしていけたらと思っております。どうかよろしくお願いします。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、次に杉山委員、よろしくお願いいたします。
【杉山委員】 東京大学の杉山清彦と申します。前回は海外出張中で失礼いたしました。私は教養学部で教えておりまして、教養学部は文系・理系両方あるのですが、その中で私は歴史学を専門としていますので、こちらでは中学・高校の歴史の分野に関わるところについての参加、と認識しております。
私はラストエンペラーの清朝を専門にしていまして、大学では東洋史、高等学校では世界史に当たる分野です。一次資料、文献史料を読んで研究していますので、多分そういった分野の委員は少ないようですので、私はそういった史料読みの出身ということから参加を慫慂されたのかと思っております。私も認識していますが、歴史総合・日本史探究・世界史探究でも、資料を読んで分析して仮説を立てるなどといったことが謳われていますし、共通テストをはじめ、それがもう試されるようになっていますので、そういった方面に史料読みの側から貢献できればと思っております。
私がやっていますのは、清といっても満洲史で、漢文だけでなく満洲文字・満洲語、モンゴル文字・モンゴル語の史料など、死語になったようなものを読んで研究しており、ただの中国史ではなくユーラシアの観点でやっています。今回、現行の指導要領で初めて高等学校の世界史探究等で「中央ユーラシア」が地域概念として出てきました。それから中学校の社会でも「ユーラシア」がモンゴル襲来のところなどで出てきて、アジアより広く捉えることになっております。そういった部分も、議論に反映できればと思っております。
そういった関係で手広くやっていたことから、現行指導要領のときは、実は世界史ではなく日本史探究の解説作成に協力していましたので、そういうことから、たぶん今回も日・東・西もろもろの関連する知見を生かせ、という御沙汰だと思っております。私は、歴史は史料に基づいてやるものですので、前回の録画を拝見しましたけれども、先生方が多くおっしゃっていましたように、一種の情報リテラシー、謂わば時間を超えた情報リテラシー、つまり確実な情報を把握し操作していくという学問だと思っております。ですので、事項を、知識を獲得させるのに終始するのではもういけないと思っております。
それから、現在、日本や世界が何でこうなっているかという成り立ちと来し方を確かめて、それを未来を考える基礎にするという科目であるとも思っています。私ども研究者は必ずしもそうではないんですが、子供たちにとってはそういうものだと思っていますので、知識量をどんどん教え込めというようなつもりは全くありません。これまで旧センター試験の世界史B、それから高卒認定、あるいは共通テストの世界史探究・日本史探究・歴史総合のプレ・試作などに関わってまいりましたので、ぜひ今を生きる高校生・中学生が、専門家にならなくて全然構わないので、そういった科目を通じて、バランスのとれた情報の操作や知識を獲得し、操れるようになっていけることに協力できればと思っております。よろしくお願いいたします。
【土井主査】 ありがとうございました。
寺田委員がまだお見えになっておられないようですので、頼住委員、お願いできますでしょうか。
【頼住委員】 駒澤大学仏教学部の頼住と申します。専門は倫理学、また道徳思想になります。道元をはじめとする日本の仏教思想が一番専門でございますけれども、幅広く道徳思想、倫理学についてこれまで研究をしてまいりました。
私自身は道徳とか倫理に関わっております。この道徳につきましては非常に大きな動きが近年ございました。つまり、それまで教科外であった道徳が、小学校が平成30年、2018年に教科化され、中学校がその次の年に教科化されましたので、現在、7~8年経っており、それをもう一回、見直していく必要が出ております。特に指導方法の改善とか、あとは評価ということが教科化によって入ってまいりましたので、その辺りを先生方の知見などもお借りしながらどのように「考え議論する道徳」を推進できるかを考えていかなければならないと思っております。公民を含めて全ての学校における教育の柱となっていくのが道徳性ということになると思いますので、その道徳性をいかに強化していくのかということを考えていきたいと思っております。
特にこれからは地域とかとの非常に幅広い連携というものが道徳教育においても必要になると思っていますし、あとは高校との連携、小・中で特別の教科、道徳があるわけですけれども、その連携としては高等学校の必修科目「公共」の中の「公共の扉」というところに倫理部門がありますし、あと倫理という科目もございます。ただ、これはまた機会を得て少し詳しくお話しできればと思っていますけれども、今、倫理という科目を全体として非常に学生が取りづらい状況が出ているというような、非常に問題の状況が起きております。その辺りをいかにしていくのか、小・中でせっかく学んだ道徳、道徳性を深め、そして広げていくというような、その営みが高校に入ってどのように連携されていくのかというところが、非常に今、問題になっていると思いますので、その辺りなどもぜひこの場で何か話し合うことができればと思っております。
以上、言葉足らずの自己紹介になりましたが、私からは以上になります。ありがとうございました。
【土井主査】 どうもありがとうございました。
それでは、これより本日の議題に入りたいと思います。まず、議題1につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 主任教育企画調整官の髙見です。私から資料の説明をいたします。お手元の資料1を御覧ください。
まず、初めに2ページ目を御覧いただければと存じますが、前回の会議でも示したところでございますが、目標・内容等の在り方に関する現状の課題につきまして、まず1ポツ、系統的・体系的な整理に関する課題といたしまして、今次の改訂において小・中・高の系統性を高め、授業改善が進められる中、好影響が出ている一方で高校入試改革等が道半ばであり、教科書の分量が多過ぎることを指摘する声もあり、こうした成果と課題も踏まえつつ、より一層、児童生徒の資質・能力を育成するため、系統的・体系的な整理を図る必要があること。
また2ポツ、社会情勢の変化に伴う課題としてグローバルな協調、競争に関する課題、また地球環境の変化や自然災害の頻発化・激甚化、生成AIなどのデジタル技術の発展、人口減少・高齢化による持続可能性の危機、こども基本法の制定と社会参画意識の向上等をめぐる課題、民主主義を取り巻く状況の変化など、社会の変化を踏まえた内容の見直しの必要性が高まっていること。
また3ポツ、社会参画意識に関する課題として、各学校種・分野、科目の学習が有機的な関連を持って効果的に寄与できているか、社会との関わりを実感できる学習活動が不十分ではないか、こういった指摘がされていること等を掲げております。
続いて3ページ目を御覧ください。ここでは、小・中・高等学校における内容等の系統的・体系的な整理に関する全体の枠組みと方向性について、事務局としてのたたき台ということで記載をしております。まず、1ポツの目標の在り方でございますけれども、教育課程企画特別部会の論点整理で示された「学びに向かう力・人間性等」や「見方・考え方」の再整理を踏まえて、社会科等が目指す資質・能力を改めて整理する必要があること、再整理に当たっては今次学習指導要領のもとでの実践により一定の成果が出ていることを踏まえ、継続性にも配意して検討することが適当であることを掲げております。こちらは本日の議題の2つ目、議題(2)でございますが、こちらで御審議いただきたい内容となります。
続いて2ポツ、内容等の在り方でございますが、まず、初めに2ポツの(1)にあるとおり、先ほどの前のページでも示した社会情勢の変化を踏まえて、丸1にあるとおりグローバルな協調、競争に関する世界共通の課題、また丸2にございますとおり社会構造の変化に伴う我が国特有の課題、こういった観点から内容等の在り方について御意見をいただければと存じます。
その際でございますけれども、現時点においては、まずは今次の学習指導要領改訂後の社会情勢の変化を踏まえた内容充実の観点から御審議いただければと考えております。一方で、論点整理においても示されているとおり、新たな学習指導要領におきましては各教科等の本質的な理解の獲得に重点を置き、学校段階、教科等の特性も踏まえつつ必要に応じた精選の上で構造化することとされていることから、今後、社会科等における内容の精選も検討していく必要があることも念頭に、御意見等をいただければと存じます。なお、情報や科学技術、少子高齢化等の内容の検討に当たりましては、先ほど宇津川委員からも御指摘があったとおり、理科や家庭科などほかの教科との連携が必要であることも留意点として掲げているところでございます。
また、右のほうになりますけれども、(2)にございますとおり、こうした内容の充実と並行して、児童生徒の社会参画意識が高まるよう、例えば丸1の社会的事象について調べ、まとめる技能を高める学習、あるいは丸2にございますように現実社会から学習課題を捉える地域調査、また丸3の図書館や博物館等の学校外施設・人材とのデジタルコンテンツの活用を含めた連携、また丸4の模擬議会や模擬選挙など主権者として児童生徒の意見表明を推進すること、こういったことを充実することなどについて御審議いただければと存じます。なお、丸4の主権者としての児童生徒の意見表明を推進する活動と、社会参画意識を涵養するための他教科との連携の在り方については、今後、主権者教育の充実の在り方を議論する会をまた別途設けたいと考えておりますので、その際にも御議論いただければと存じます。
さらに次の3ポツ、上記1、2を踏まえた目標内容等の系統的・体系的整理については、本日の議論を踏まえ、次回第3回ワーキンググループにおいて御審議いただければと考えております。その上で本日の議題の第1としては、2ポツの内容等の在り方のうち、まず左下の赤枠にあるとおりでございますけれども、この2の(1)で示した事項について今次の改訂以降の社会の変動を踏まえて、どのように教育内容の改善・充実を図るべきか、また右上のほうになりますけれども、右側の赤枠にあるとおり(2)で示した事項について内容等の充実や、各学校における指導上の課題や実態等も踏まえてどのように指導方法の改善・充実を図るべきか、こういった観点で御審議いただければと存じます。
続いて4ページ目を御覧ください。議論いただくに当たって、教育内容面では先ほど示した世界共通の課題と我が国特有の課題として、あくまでも事務局案としての検討事項の例でございますが、例えば左上の1つ目の丸にあるとおり、前回の改訂以降、国際情勢の変化や気候変動、AI等の技術革新が急速に進展していること、2つ目の丸にあるとおり、小学校段階において自然災害からの復旧や復興について、国や地方公共団体の働きを関連づけた学習が必ずしもできていないこと、右側の1つ目の丸にあるとおり、小学校では市の少子高齢化について扱う一方で、国全体で扱う内容となっていないこと、中学校でも人口減少社会を必ず取り上げる内容とはなっていないこと、また4つ目の丸にあるとおり、中学校における防災学習について一般的な知識獲得に留まる事例が見られること、こういった課題の例を示しております。
また、5ページ目を御覧いただければと存じますが、指導方法面では丸1の社会的事象等について調べまとめる技能を高める学習に関する課題として、自らの考察や意見形成、他者との議論など、根拠足りえる情報の吟味や活用の方法の獲得が喫緊の課題となっていること、丸2の地域調査に関する課題として、小学校と比較して中学校、高等学校の実施率が著しく低い状況であること、また丸3、下のほうにございますけれども、学校外の施設、人材との連携に関する課題として、地域施設や人材の活用がデジタルを含めて十分に進んでいないこと、こういったことを例示として示しております。
本日の審議に当たりましては、これらの課題例も参照いただきながら、また資料2には関連の資料、データも添付しておりますので併せて御覧いただきながら、今次の改訂以降の社会の変動を踏まえ、どのように内容等の改善・充実を図るべきかといった観点から、まずは議題1について御審議いただければと存じます。
私からの説明は以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、これより意見交換に入りたいと思います。御意見や御質問のある方は挙手ボタンを押していただけますでしょうか。私から指名させていただきますので、発言時はミュートを解除してお話しください。全員に御発言の機会があるように、恐縮ですが、御発言は3分以内でおまとめください。それでは、いかがでしょうか。どの点からでも結構ですので、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
それでは、井田委員、よろしくお願いいたします。
【井田委員】 どなたもいらっしゃらないので、先にお願いいたします。まず目標等のところで、地域調査について𠮷水委員からもありましたけれども、そこはかなり重要な点だとは思っています。というのは一つ、今回の場合は本質的な概念というのが重要だということなんですけれども、本質的な概念をつくるに当たっては現実を知ることが必要だろうと。そういう意味では小学校、中学校、高校でスパイラル的に地域調査が行えることが望ましいと考えています。ただ、そのスパイラルが小学校、中学校、高校ではっきり示されていないというのが一つの課題かと思っています。
それから、先ほど小学校に関しては地域調査をされているという御報告がありましたけれども、今の学習指導要領だと身近な地域の分野がかなり狭まっていて、そういう意味では今後、身近な地域の調査をできなくなるのではないかと危惧する先生方が多いということは聞いています。ですので、今の小学校の地域調査がしっかりできることを、継続することを確保するということも重要かと思います。
それから、グローバルという観点がありますけれども、グローバルという観点からいくと小学校で世界の学習がほとんどなされていなくて、ただ英語だとか家庭科では世界が出てくるんですけれども、それとうまく関連させるように小学校でも先生の裁量等によってその都度、社会科でもあれでもいいんですけれども、地図帳という教科書を使いながらそういうところが確保できるようなことを加えられるといいかと思っています。
それからもう1点、見方・考え方なんですけれども、地理では見方・考え方がはっきりしていて、地理の見方・考え方というのは地理学的な概念に基づいているものですから、ある意味、概念という言葉で置き換えられると思うんですけれども、それができたことによって中学校、高校の先生が非常にやりやすくなったということはお聞きしています。ですので、そういう意味では今回また概念ということをどう捉えるかということが進んでくると思いますけれども、その概念が本当に教科全体の概念があるとすると、そこからまた地理なり歴史なり公民なりの概念というのがあると思いますので、そこをうまく使い分けたような書き方ができればいいのではないかと考えています。以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。それでは、山田委員、よろしくお願いいたします。
【山田(圭)委員】 最初なのですごく基本的なところを確認させていただきたいんですけれども、見方・考え方というのは何なのかというのが、私はいまだによく分かっていなくて、何で分かっていないかというと、説明のところで何々することというふうに見方・考え方をまとめられているんですけれども、何々することって行為ですよね、何かすることなので。見方・考え方というときには、先ほどのお話だと概念という説明が入ったんですけれども、普通に考えるとどういう観点とかどういう着眼点で捉えるのかという捉え方を、地理的であれば空間的な観点から、歴史であれば因果的な観点からとか、まさにどういう観点で事象を捉えるかという、そこが見方・考え方ということだと普通は思われるんですけれども、そういう記述になってないというのがそもそも方向的に分かりづらい気がするんですけれども、働かせるほうではそうではないんですけれども、見方・考え方そのものを説明する点になると、現行の指導要領でも新しい今回示されているものでも何々することという説明の仕方をしていて、そこが私にはよく分からないという、すごく基本的な質問になってしまうんですけれども。
【土井主査】 ありがとうございます。議事の進め方ですけれども、山田委員、見方・考え方については議事2のほうで目標等と併せて取り扱いますので、今の御質問は、そちらのほうで扱わせていただいてよろしいでしょうか。
【山田(圭)委員】 ありがとうございます。それで結構です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは次、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】 先ほどの井田委員の話の中に地域調査のことがあり、中学校における実施状況や課題について取り上げていただいたので、中学校の状況を確認しておきたいと思います。後の資料で出てきますが、地域調査については指導をしている割合が非常に低く、1割程度という調査の結果が出ています。けれども、これは教科指導の中で社会科の教員が努力や指導力がないということではなく、構造的な問題があると思います。
小学校は学級担任制なので、ある意味では柔軟に時間割を組み替えたり、まとまった時間をつくりやすい状況があるので、地域調査を実施しやすい感があります。一方で、中学校は教科担任制ですから、ご承知のとおり、時間割を組み換えていかなければまとまった時間がとれない状況があります。まとまった時間を半日取るとか1日取るとかになれば、相当な調整が必要になります。また、時間割の調整とともに、授業時数の確保もありますし、地域調査についてどこまで何ができるかという点については、社会科の教科の中だけではやりきれないという現状があると思います。
ですので、今日、冒頭の𠮷永委員のご挨拶にもありましたけれども、地域調査については確実に実施できる手だてが必要だと思います。その手だてについては、社会科の教科の中だけではない、大きな話が関わってくると思います。柔軟な教育課程の編成とか、学校運営上のいろいろな課題を解決するとか、そういった地域調査を行う上での枠組みを保障していくような準備ができたところで、地域調査のことが前に進むのではないかと思います。以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。貴重な御指摘、ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。それでは、大村委員、よろしくお願いいたします。
【大村委員】 失礼いたします。議題1が内容についてということで、課題を追究したり解決したりする活動を通してと目標にあるのであれば、内容については次のような留意点と可能性があるのかと思ったことを2点、述べさせていただきます。
まず第1点は留意点として、これは学習指導要領というよりはその解説レベルになるのかもしれないですけれども、それぞれの内容が平和で民主的な国家及び社会の形成者としての資質・能力を育むという究極的な目標に、どのように繋がることになるのかが分かるように表記をすることが大事ではないかと思います。例えば現行の学習指導要領だったら、小学校であれば同心円的拡大で対象がある程度系統的にはなっているんですが、それを学ぶそれぞれがどう究極的な目標に関わるのかを分かるように表記する。
なぜかというと、それを考えることが内容の精選とか、逆に新たな内容の必要性を考えることに繋がるように思われるからです。また、何より先生方がそれを意識して、各内容の授業を問題解決的、課題解決的に行うことに繋がると思うからです。逆に言えばその意識がないと結局内容が分離して、幾ら中核的な概念といっても、究極的な公民的資質の基礎との繋がりが希薄なままで児童生徒に位置づくことになりかねないのではないかと危惧されるので、そういう留意点が必要ではないかと思ったことが1点です。
2点目が表記の可能性として、これも解説レベルになるのかもしれないんですけれども、何を理解するかや考えるかではなくて、どのような問いについて構造的に追究したり考えたり解決を図ろうとしたりするのかという、問いを事例的に示すこともあり得るのかと思いました。問いと問題と課題のすみ分け等については研究者によってかなり見解が異なるので、操作的定義づけというのは必要だと思いますが、そういう問いを事例的に示すこともあり得るのかと思いました。以上、2点になります。
【土井主査】 ありがとうございます。各科目、あるいは教科の中核的な概念を設定して、それを体系的に理解するために必要な知識は何なのかという問題と、現代に存在する課題があって、それに対応するためにどのように考えさせるかという2つの問題、あるいは方向性がありますので、それをうまくどのように調整しながら設定していくかということかと思います。どうもありがとうございます。
そのほか、山内委員、お願いできますでしょうか。
【山内委員】 よろしくお願いいたします。先ほどの大村委員のお話に関わってくる、まさに私も同じことを指摘させていただこうかというところで、解説レベルの話になるかと思うんですけれども、実際学校の先生たちの授業とかを拝見させていただくと、見方・考え方、例えば推移とか変化とか継続とか原因とかというようなことで、いろいろと考えて授業を組み立てていただくんですけれども、それがなかなか問いにできないということがありまして、問いをいろいろ考えて組み立てていくということまでなかなか難しい、構造化していくことがなかなか難しいという現実を幾つか拝見させていただいて、実際に検討していけばできるということもあるので、先ほど御指摘いただいたように何かしらの例示、例えば現行の高等学校学習指導要領地理歴史編の132ページ辺りには課題・問いの設定の例というふうに示していただいておりまして、こういうのが小学校とか中学校でも、違った形でもいいかもしれません、もっといい形があるかもしれないのですけれども、あるといいのかと考えます。
ただ、あまりにも問いを具体的にし過ぎますと授業の硬直化みたいなところにも関わってくる問題ですので、その辺りの在り方等についてはこれから検討していく必要があるかと思うんですけれども、なかなか問いにしづらいという現実があるという御指摘をさせていただく点と、もう1点、別の観点からなんですけれども、本日の議題1に関わることでお話しさせていただけたらと思うんですけれども、私、歴史教育のほうにも多少携わっているという関係もございまして、博物館など学校外の施設や人材との連携という点、自分が取り組ませていただいている中でなかなかいいなという手応えを感じている、歴史教育の面からお話をさせていただきますと、少し博物館のコンテンツ、例えばデジタルのものでもいいですアーカイブでもいいです、そういうものを検索していろいろと組立てて問題解決していくということはできると思うんですけれども、それに加えて参画とか関与という観点、今までは展示している活用するという傾向が非常に強いもので、ある一部の子しかなかなか使いこなすことができないということを考えると、参画、関与みたいなところまで踏まえていくと、例えばあなただったら展示内容をどう説明しますかといったように、展示に対して説明をし直すとか、展示に添えてもらうみたいな、そういったような連携もこれから必要になってくるんだろうということを、具体的な実践から考えているところでございます。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、そのほかいかがでしょう。
それでは、石井委員、お願いいたします。
【石井(英)委員】 失礼いたします。まず今日、どういうふうな形で今、議論をすべきかどうかというあたりは非常に悩ましいところでもあるわけですけれども、まず内容をあるいは重点化していくとかそういったこともそうなんですけれども、その一番起点として、この社会科ということを今、どう考えるのかというんですかね、社会科像をしっかりと現代的に必要なものから考えていくことが大事なのかと思います。もともとコンピテンシーベース云々というのは実用主義みたいに言われるところもあるわけですが、大本を言えば社会と学校との、学校での学びとか学力の中身といったものを現代社会との関係で問い直していくと、そういうふうなことが根っこにあるわけなんです。
だとするとその原点にもう一遍立ち返って、今改めて、特に社会科というのは社会をどういうふうに捉えるのか、それがとても重要だと思うんです。ですから、今の現代社会を我々大人たちはどう捉え、そういったある種社会像というか社会の世界観といったものを踏まえつつ、子供たちにどのような社会科の学力であるとか学びといったものを保障していくのかというふうなことの、この基軸のところをしっかりと確認していくことが重要なのかと思います。だから、それで申しますと今回、事務局案の提案にあります社会像に対して一定の提案がなされていることはとても重要かと思います。
ですから、まず世界共通の課題と、世界市民としてというふうなことで考えれば、ここに挙がっているような問題がグローバル化とかもそうですけれども、気候変動もそうですし、あるいは技術革新、そういったカテゴリーで社会を捉えると。さらに言うと国内、いわゆる公民としてといいますか、日本に住まう国民としてといいますか、公民として市民としてというふうなことで言いますと、特に人口減少の問題といったものが喫緊の課題でもあり、しかも自然災害といったものも日本の特に重要な問題でもある。だから、それを踏まえたときにローカルなところでどのように考えていくのか。
さらに申しますと、技能のところに表れているのは何かといえば、その中でどういった市民像というか人間像、どういう一人前像を描くのかというふうなことで申し上げれば、地域課題云々というふうなことで申しますと要はローカルに、さらに社会参画ということとか主権者ということを重ね合わせてみれば、ローカルに身近なまさに足元の自分たちの地域とかそういったものをちゃんと見詰め直して、しっかりと地に足をつけた形で社会のつくり手になっていく、そういう一定の社会像というんですか、あるいは市民像みたいなものが見て取れるのかと思いますし、そこに学びの姿が何か見えてくるのかと思うんです。
ですから、今回の学習指導要領の社会科系の教科・科目においてどういう社会を目指していくのか、社会のつくり手というんですけれどもどういう社会のつくり手を考えていくのか。それは頭でっかちとかではなくて、ここで地域調査ということがあるのは、先ほど申しましたようにかなり地に足つけた形で、ローカルな手応えといったものを、社会参画の学習をより重視していくという方向性、さらに言うとそこで地に足をつけた形での手応えを、社会は変えていけるんだという手応えを身につけさせていく、そういった学習像といったものが何となく見えるんですけれども、そういった方向性だと私は見たんですが、事務局の今回の提案としてはどういうふうな思いを持って提案されたのかということを伺ってみたいですし、それに対してそれぞれの委員の先生方がどのように応答されるのかということが大事なように思います。
そういう点で申しますと、さらに具体的に教育課程に落としていくということで言うと、そういった社会像といったものを考えた上でどのような現実と子供たちを出合わせるのか、これが先ほど井田委員のほうからもあったと思うんですけれども、その地域の現実、しかし現実ということは捉えようと思っても捉えられない。だからこそ概念装置としての概念があるというふうなことです。レンズとしての概念がある。だから、そういう形でどういう現実と出合わせたいのか、具体的な生々しい、その生々しいものを捉えていく上でどのような論点とか概念装置といったものが必要なんだけれども、現行の学習指導の中においては十分でないとすればその部分をしっかりと考えていくと。
さらに大きな問いということで言えば、トピックはあっても概念装置をちゃんと学習内容として学習指導要領の中に十分折り込めているのかどうか。先日も、前のときも、最高法規なんていう言葉を言いましたけれども、日本国憲法というのは知っていても最高法規ということはぴんとこないみたいなことでいうと、概念として学べていないということになろうかと思いますけれども、そういった形で具体的な現代社会といったものの捉えからどういう現実、さらにどういう概念装置という形で議論を組み立てていくことが重要なのかと思います。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、今、石井委員から御指摘のあった点、今回の課題の提案をした趣旨について、事務局から御説明いただけますでしょうか。
【髙見主任教育企画調整官】 ありがとうございます。私の説明が十分でなかったところがあったかもしれませんけれども、お手元の資料1の3ページ目のところを改めて御確認いただきたいと思っております。先ほど先生におっしゃっていただいた大きな枠組みと方向性というのは全く同じ思いでございますけれども、まず2ポツの内容等の在り方について御審議いただきたいと考えたのは、まず前回の指導要領改訂からそういうような流れがどう変わってきたのか、そういったことをまず委員の方にしっかり議論して押さえていただいた上で1ポツの目標ということで、本来的に社会科、あるいは下の地理歴史科・公民科というものがどういった目標を持って人材育成していくのかという、少し高いところに1回戻ると。
それから、これはまた次回、次々回以降になりますけれども、次回の会議では3ポツにございますようにそういった大きな目標、あるいは前回の改訂時からの大きな社会変動を踏まえて改めて小・中・高を通じて、あるいは科目とか分野を超えてどういった形で系統的な体系的な整備を行っていくのかということを示した上で概念的な話というのを、これは恐らく3回目か4回目以降になると思いますけれども、そういった形で少し段階を分けて御審議いただきたいということで今、考えているところでございまして、そういった意味ではこの議題1というのは内容等の在り方ということで、まずはこの10年間ぐらいの変動はどういったことがあったのかということをしっかりと押さえた上で、より高次の話をしていただくと、そんなイメージで考えているところでございます。大変失礼いたしました。
【土井主査】 ありがとうございます。石井委員、よろしいでしょうか。
【石井(英)委員】 大丈夫です。分かりました。
【土井主査】 今の点、現実に社会に課題と考えられるものがあって、それに対してなぜそういうふうになったのか、なぜそれが問題なのか、それが今後何を引き起こすのか、それを防止するために、あるいはそれを是正するためにどのような対応をするのかといったことを考える話にはなると思うんです。ただ、その際には当然、分析の方法とか、見方・考え方になると思いますけれども、それをもって今言ったような課題を分析していくということになると思います。その意味では、今挙げられている課題1、課題2は、基本的にはそうした見方・考え方、あるいは中核的な概念を用いて実践的に捉えていく、そういう処理の仕方になるのだろうと思います。
その意味では、検討の順序をどのようにするのかは難しい点ですけれども、まず現代的な課題として今取り上げられていないもので、こういうことを考えないとあるべき社会を構想していく上で問題があるのではないかというものをまず挙げていただこうという趣旨かと思います。その意味では、次の議題2で見方・考え方、あるいは中核的概念といいますか高度な資質・能力についてまた検討をさせていただきますので、2つの議題、結びつけながら検討させていただきたいと思います。
それでは、次に宇津川委員、お願いいたします。
【宇津川委員】 取り留めのない意見になってしまうことを御了承ください。内容の在り方2の中で、「アップデートを検討してはどうか」ということに対しては、アップデートはしたほうが良いとは思います。ただ、社会科教育の難しさというのは恐らく即時性といいますか、時事をどれくらい取り込めるのかというところにあるような気がしております。それは、世界的な争いもそうですし、変革というものに対してです。教科書だけの話ではないでしょうが、教材にそれをどう取り込むかという点でも即時的には難しいということがあるかと。
長期的な課題は示せると思います。例えば温暖化など、既にもう分かっているような事実について扱うことはできると思いますが、新しい内容をどう取り組むのかというのがすごく難しいのだろうなという印象があります。ですので、アップデートは必要でしょうが、どういうふうにそれに対応していくのかというのが少し気になります。
その点では、(2)のところの丸1社会的事象等について調べ、まとめる技能を高める学習というのが恐らくそれに相当するかと思います。例えば私は大学でよく新聞を教材で使うこともあります。時事問題や、ニュースについて中・高でしたら調べ学習もできるかと思いますが、小学校ではどれくらいやれるのかと。自分自身で確実な情報を取ってくるというような学習が成立するための素材を社会としてもきちんと残しておく必要があるだろう。そういう意味では新聞もぜひ残っておいてほしいと個人的に思うところではありますが、即時性というところではニュースのようなものに触れるような誘導も必要だろうと考えます。
また、即時性とは少し違うかもしれませんが、先ほどの石井委員の御発言の中で思ったところには、「自分の地域を知るところから」というのは非常に大きなキーワードだと考えました。自分の地域で何か大きく社会的に変わるということはあまりないと思いますけれども、ある意味で安定した教材なのは自分の地域だと思います。自分の地域から日本や社会へと広げていけるのかどうかだと思います。
ただ、その場合に難しいのは、恐らく地域というものをどのように教材としていくのかというところです。誰がその教材をどのように整えていくのかというところで、かなりミクロにやるのは難しいだろうなとは感じております。「地域」というと、地域調査は自分自身でもやっていますので重要性は非常に分かるのですが、どれだけ現場に落とし込めるのかという点では、地域調査の在り方についてもまた今後お話ししたいと思っております。ありがとうございます。
【土井主査】 ありがとうございます。御指摘のとおり、特に科学技術の問題、とりわけAIの問題などはものすごいスピードで展開されていきますので、今年習った知識は来年使えないという事態も出てきかねません。このような時事的な問題を扱う際にどういう視点で、どういう目的で扱うのかが大事になってくるかと思います。ありがとうございました。
それでは、井柳委員、よろしくお願いいたします。
【井柳委員】 2点、お話ししたいと思っています。1点目は、前の前に石井委員がおっしゃっていた目指す市民像というところに関連して、何を今後目指していくかというときに、2の内容等の在り方のところに民主主義を取り巻く状況変化などこの間の大きな変化を踏まえと書いてあるわけですが、ここの部分がどういうふうに内容に生かされていくのかというところを少しお話ししたいと思っています。
民主主義ということに関する基本的な考え方というのは変わらないと思うけれども、取り巻く環境は大きく変わっているわけです。具体的にもちろんAIとか少子化とかも大きなことですけれども、基本的に民主主義を担う市民の資質というものが、今まで以上にもっといろいろ教育に期待されるところがあると思っています。要は、世界では民主主義との関連で社会の分断ということがよく言われますけれども、日本でも世代間格差のこととか利害の対立、あるいは都市と地方とか、今まで以上にそういった利害の対立する問題が政治において解決すべきテーマになってきている中で、民主主義を担うこれからの主権者の資質というのは何なのかというときに、それに社会科はどういうふうに答えていくかということです。
私が重要だと思うのは、基本的には意見の異なる人がいて、そこで議論して合意形成するという今までと同じではありますけれども、そのことが今まで以上に重要になっているかと思います。別のワーキンググループで特別活動のワーキンググループの議論を少し拝見しましたけれども、それを見ていたら特別活動の中でこの民主主義というものにおいて意見表明、合意形成や参画の重要性、これはみんなそうだと思いますし、一方で同調圧力とか正解主義からの正しい答え、正解主義からの脱却といったことの必要性といったことを踏まえた民主主義を担う人材といったものを、特別活動を通して育てていきたいといった議論がなされていました。
同じように民主主義の理解というものを学校、特別活動と社会・公民分野でも共有しながら、目指す方向というものを持っていく必要があるのと、内容のところでそういった新しいこれからの民主主義に必要な市民の資質というものが、基本は同じなんだけれどももっと何か強靱なものが必要だと思うんです、これからの社会の中で。それをどこに入れ込んでいったらいいのか考えるべきだと思います。
例えば(2)のところに社会的事象等について調べまとめる技能を高める学習に関する課題等とありますが、そこで他者との議論などと書いてありますけれども、そこでは根拠となるものをきちんと調べましょうということですけれども、その上でどうしていくべきか、またSNSの台頭の中でリアルではない空間での意見の表明や意見のぶつかり合いみたいのがあるので、それに対してリアルな中でちゃんと議論していって、合意形成していって、でもそう簡単に正解というものがあるわけでもないというような中で議論していくというような、そういう民主主義というものを支える市民の資質というものが今まで以上に必要になってくるのかと思うので、ほかの分野との連携の中でこの辺りも意識していくことが必要かと思っています。
もう1点は宇津川先生の発言に関連して、ここで私が発言するのが適切な内容か分からないので簡単に言いますが、自分の地域を知るということが重要というような発言があったんですけれども、私ももちろんこれに賛同しているんですが、私、一つだけどこかでぜひ議論に入れてほしいというか考えてもらいたいと思っているのが、主権者教育はまた別途やるということなんですが、小学校とか低学年だと地域理解みたいなものは結構あるのではないかと思うんですけれども、高学年に、高校生とかの主権者教育というと国政の選挙との関連が非常に強まっていて、実は今国政選挙より地方選挙の投票率のほうがものすごく低いにもかかわらず、主権者教育では政治参加、もちろん政治参加、社会参加、いろいろな参加があるわけですけれども、地方選挙の投票参加というところがあまり意識されてないのではないかと思っています。
地方選挙ということも主権者教育と連動して考えてほしいと思っていまして、かつては地方選挙のほうが投票率が国政選挙より高い時代がありましたけれども、今、トータルで見ると逆転していますし、地方選挙のほうが非常に低いので、いろいろな地域を知り、参画をするということと、主権者教育をせっかくやるのであれば地方の選挙ということもどう考えるのか、そこに対する関心や参加というものを促すような何かを全体の構成につなげてほしいと。高校になるとどうしても地方自治の分野が仕組みとかの話で、選挙の話から別のところに置かれていくので、その辺りも少し意識できないかと思っています。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。今、事務局から提案されているのは、グローバルな協調や競争に関する世界共通の課題、あるいは社会構造の変化に伴う我が国特有の課題というかたちで、グローバルか我が国特有かという視点で整理していただいていますけれども、今、井柳委員におっしゃっていただいたように、民主主義の取り巻く状況の変化を踏まえるということになれば、これらの課題が民主主義の在り方にどのような影響を及ぼすのかとか、あるいはこれらの課題を解決する上で民主主義がうまくいかないとすれば、どこにうまくいかない点があって、それをどう改善することで課題が解決できるのかなど、民主主義を中心に整理することも可能かもしれません。その辺りもまた検討させていただければと思います。ありがとうございました。
それでは次、桑原委員、よろしくお願いいたします。
【桑原委員】 失礼します。ここまで、先生方がおっしゃられたように、子供たちが学ぶべき課題というのは本当にたくさんありますし、また事務局からの提案の中にも情勢の変化に伴って様々な学ぶべき課題というのが示されています。しかし、これらを取り入れていくと恐らく内容が多過ぎるという問題が解決しないわけでして、そこを考えていかないといけないと思います。
何かを増やせば何かを減らさないといけないということは当然のことなので、その点で言うと前回、石井委員がおっしゃられたように、コンピテンシーベースに転換したにもかかわらず多くの内容が、それまで学ばれていた内容がそのまま継続して教えられているというところがあるのではないかと思います。言い換えると、コンテンツベースを出し切れなかった部分が前回の改訂の際にはあったかと思っております。ですから、思い切って見方・考え方、あるいはコンピテンシーベースで内容の精選を図っていく必要があると思います。
その際に考えなければいけないのは、特に社会系の教科においては公民と歴史がそうですけれども、小・中・高と繰り返し同じ内容を学んでいって、少しずつ詳細にしていくという原理があると思うんですけれども、繰り返しをやっていくとどうしても内容を減らすことができないということになりますから、それを転換していくような全体の体系性を考える必要があるかと思っています。
この先はこの場で申し上げるべきことなのか分からないところはあるんですけれども、今後の議論の中で議論がまとまって、その後、具体的に指導要領とかを考えていく際にはどうしても科目別になるので、そうなってくると従来の科目に合った内容というのは、基本的には減らさないような形で議論が進んでいくので、科目別の議論の前にこの全体の体系、内容の精選というものを一度、しっかり考える必要があるかと思っております。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。新たに足すのであれば引くものもあるだろうという御指摘で、それも踏まえて検討すべきかと存じます。その際の視点はできる限りコンピテンシーベースでということだと思います。ありがとうございました。
それでは次、鈴木委員、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。発言の時間をいただき助かりますが、宇津川委員や井柳委員、桑原委員の話の中で、中学校の現場の感覚からいろいろとこの場で触れておいたほうがいいと思うことを話したいと思います。皆さんの議論とかみ合っていないかもしれないのですが、一つは繰り返し出てきている身近な地域に関する学習、地域調査です。これは現行の学習指導要領でもそれぞれの分野で取り組むことになっていますし、それぞれ学校でやっています。ただ、実施状況やその内容、程度など、その辺りに大きな差があったり課題があったりするのだろうと思います。博物館等の専門機関との連携についてもそのことと繋がっている問題があると思います。
実際に学習指導要領には身近な地域の学習はあるのですが、それをどのように充実させていくのかということについて、内容の在り方などは特定の単元で一つに絞るのではなく、分野を貫くように、あるいは自由にあちこちの単元でできるようにするような、柔軟な内容にしていくことも一つのアイデアかと思います。それから、これは全く協議の方針が違うかもしれませんが、特別活動あるいは総合的な学習の時間の取組において、教科横断的に社会科の内容も取り上げる場面があった場合は、そこで一定の社会科の学習を終える可能性もあります。これは学校によりけりですが、そうやって社会科の学習を取り扱ったときには、社会科の教科の時間における学習を少なくするとか、時間を短くするということも、学校現場によってはやっているところもあると思いますが、そうしたことを保障していく考え方もあると思います。その辺りを付け加えたいと思いました。
それから、時事的な話題をどう取り入れるかということについてですが、学習指導要領は10年に1回ペースの改訂なので、直近のいろいろな出来事をそこに書き込むのは難しいと思います。学校の授業の中では、各教員がいろいろな話題を取り上げて、生徒の興味関心を高めるために時事的な話題をバランスよく話しているということはあると思います。話すだけでいいかは課題ですが、そういう場面で時事的な話題を捉えるというところについて、学習指導要領にもきちんと書き込んでいくという判断は必要だと思いました。
それから内容に関することですが、これは資料5ページの(2)の丸1ですけれども、技能のことについてまとめられています。学習指導要領の解説の参考資料として出ていますが、収集する技能や読み取る技能、まとめる技能、こうした内容が参考資料として後ろのほうに固まってしまっています。この技能の部分をもっと重視するのであれば、学習指導要領の内容として、本文に入れろとまでは言いませんが、きちんと本文に繋がってることを分かりやすくするのも一案かと思いました。学習指導要領の解説などを見ていろいろと授業の準備をしている中で、参考資料の技能のところに行ったり来たりするような教員がどれだけいるのかという点も心配なところがあります。
最後にもう一つだけ、すみません。桑原委員からは内容が多過ぎるという問題があるという話だったのですが、ここから私見を述べさせていただきたいです。学習指導要領で示している内容と各教科書会社がつくっている教科書の内容について、これが完全にイコールではないと思います。教科書検定は通って学習指導要領を踏まえているのですが、教科書に書いてある内容の全部については、学習指導要領には書いていないわけです。けれども、教員や生徒、保護者など、一般の人から見ると、教科書に書かれていることは全て学習指導要領で示されたもので、その内容を全部やらなければいけないという感覚が、私は社会全体にあるのではないかと思いました。そのため、学習指導要領の内容を押さえているけれども教科書でやってないところがあると、その内容をやっていないじゃないかというご指摘に繋がったりする例があると思います。
その辺りについて、学習指導要領で示している内容に対して、教科書は教科書会社の判断でいろいろな内容を盛り込んで、勉強しやすいような準備をしているという違いがあります。学習指導要領と教科書の内容に関する考え方の違いというんでしょうか、あるいは教科書の取扱い方というところも含めて、今回の改訂の中で、本文の内容ではなくても、どこかでそのことを明示しておいたほうが授業における学習の組立てがしやすいのではないかと思いました。議題と合っていないかもしれませんが、関連して発言しておきたいと思います。
【土井主査】 ありがとうございました。
では、山田委員、お願いいたします。
【山田(圭)委員】 先ほど先走って議題2のほうの発言をしてしまったので、議題1のほうに関して、宇津川委員のお話を聞いていて、まさにコンテンツがすごくアップデートされてしまって追いつかないという話と、桑原委員から多過ぎるのではないかという、それはそれぞれ私も全く同意するところで、そうだとしたときに内容というよりは知識をどうやって獲得するのかという、獲得の方法を教えるというのが重要なのではないかと思っていて、まさに魚をあげるのではなくて魚の釣り方を教えるというのと同じ話だと思うんですけれども、社会で言えば、特に今回の10年の変化で私が一番思うのはまさにインターネット、2016年のブレグジットとアメリカ大統領選挙、インターネットを通じて我々が知識を得るということが、かなり従来のメディア以上に支配的になっているという、これはかなり大きな変化だと思うんです。
そう考えると、こちらの(2)の丸1のところで社会的事象について調べるというときに、これからの生徒はそれを調べるというのはインターネットを通じてやることがほとんどになっていくと考えられるので、そのときにどういう仕方で確かな情報を獲得するのかというのを各教科の中で教えるということもすごく重要なことになるのではないかと思っていて、それは単なるメディアリテラシーの話ではなくて、各教科の中で知識がどういう仕方で正しいものとされるのかという。
例えば歴史であれば一次資料というのがどういうものとして認められて、それがどういう情報であればそれを確かなものとして認められているのか、例えば査読を受けた論文であるかそうではないかというところで資料の確かさが変わってきたりもすると思うんですが、そこをどのレベルで教えるのかというのは難しいところで、専門家と同じような意味でそれを吟味できるようになるというのは無理だとは思うんですけれども、各教科の知識の特性とそれをどういう仕方で確かな情報としてみなしていいのかというところを、内容等の「等」のところに内容と方法という形で組み込めると、もう少しコンテンツを減らしながら、あとは生徒自身が自分でその知識を広げていくということができると思うので、各教科の特性に応じた知識の獲得の方法について、何かしら現行よりももう少し手厚く記述していけるといいのではないかと思いました。以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは次、黒田委員、お願いいたします。
【黒田委員】 よろしくお願いします。私の立場は前回も同様なんですけれども、今の指導要領改訂によって非常にいい成果が出ているということを常に考えています。それは、現場の先生方の御努力とか考え方のおかげだと思っております。今回の内容につきましても、現場の先生方、小学校の社会科がどう捉えているかということを述べさせていただきます。
小学校は、先ほども出ましたけれども、同心円状に学んでいくということで、地域、市、県、国、世界というふうに広がっているんですけれども、3から6年生の学びの中で、それは決して一方通行ではなくて行きつ戻りつしているということを、先生方は認識しながら指導しています。そこが先ほど石井委員が危惧されていたようなこと、根なし草ではなくてグローバルで考えて足元で行動するというようなことが、今の社会科でもできているのではないかと思っています。常に学んだことと足元にある地域を比較して、行きつ戻りつするという考え方がとても大事なのではないかと思っています。
なぜならば、学校で学んだ後、子供たちの出口はどこにあるかというと、通学路にあります。学んだ後、行きしと帰りしの通学路の景色が圧倒的に変わるというところが、社会科の面白いところだと思います。今、実際に地域の中で既にグローバルが入り込んできたり、人口減少とか災害とか社会構造の変化というのは地域の中に十分入り込んできています。ですから、足元を大事にした上で、こういった現代的諸課題を更新していく必要というのは、大いにあるのではないかと思っています。ただ、新たな内容より今ある内容の中にそういった視点を盛り込んで、系統性を踏まえた上で見直していく、整理していく必要があるのではないかと思っています。
よく社会科で思うのは、3年生で地域の学習をして、6年生まで学んでいくんですけれども、ぜひ最後にもう一度、世界を見た後に地域に戻って、地域で何ができるかということを考えたいと思うんですけれども、中学校にもそういった学びがあるということですから、ぜひ小学校で3、4、5、6と学んだ出口の中学校で小学校の学びを生かした上で、地域で直接どういうことができるのかということを、地域調査も含めて充実していただければいいなと私は考えています。以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、新保委員、よろしくお願いいたします。
【新保委員】 今の黒田委員の話にも繋がるかと思います。私は小学校でずっと教えてきた者でございます。その視点からということになります。内容のところで、課題としてグローバルということが一番に出てきますが、小学校の社会科から考えると、当然必要なことではあるんだけれども、そこはもうちょっと地域とか地域同士のところになるのかなと。つまり、小学校の段階では子供たちが社会を発見するというのがまず大事なポイントだと思うんです。自分たちの周りの社会というのはどんなふうになっていて、どんないろいろな人がいて、どんな仕組みになっていて、その中で自分はそれをまず知って、その中で自分はどう生きていくべきか、振る舞うべきかということを学ぶんだと思うんです。それが、引いては参画という大事なところに繋がっていくと思うんですが、何かそこのところが弱いかなというような気がします。これが1点です。
あと2点申し上げます。もうちょっと足元をしっかり見るということで言えば、私は北海道におりますが、人口減少の問題、これはもうずっと私たちの国では避けて通れない大変な問題です。このことをもっといろいろな社会科の、小・中・高全部必要だと思いますけれども、先ほど見たら中学校では学ばなくてもいいという、今の段階ではそうなっているようですが、これはもっともっと、人口が単に減っているという問題ではなくて、それによって社会がどう変わってきているかと、それを我々はどうやって対応して何とかこの幸せな生活を維持して、さらによくしようとしているかというあたり、足元をしっかり見る、もちろん大事なんですけれども、その辺りをまずやるべきではないか。もちろん地域の中にグローバルというのはあるわけです。
3つ目です。これも、私たち、日本という国から逃れられないわけですよね。災害の話なんですけれども、これは私の印象なのかもしれませんが、最近災害が多いよねという話になっているようですが、そうではなくて私たちの国というのは、国土はもともと極めて脆弱な国土であると。詳しく言い出すと切りがなくなるのでやめますが、たくさんの要因があって先進、OECDの国なんかと比べると極めて困難な国土にある。そういう知識をまずちゃんとやっておかないと駄目なのではないか。それは歴史の中でもそうで、災害というのは今になって出てきたわけではなくて、ずっと災害とともに我が国民は生きてきているわけです。そのことをちゃんと取り上げないと駄目なのではないかと思います。
3つ申し上げました。以上でございます。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは次、韮塚委員、お願いいたします。
【韮塚委員】 画面が前回に続き映らなくて申し訳ないです。言葉だけでよろしくお願いいたします。まず感想になりますが、今回の学習指導要領で一番の一つの目玉になるのが、先ほど来、お話が出ている社会参画意識の涵養というのは、とても今までにない大きなポイントだと受け止めました。今までの例えば理解や、あるいは概念をもとにして社会認識を培うというところからさらに社会参画という、枠を一歩広げた形で学習指導要領を構想していくという点が、私はとてもすばらしいと感じています。
それを踏まえてなんですけれども、これも先ほど来、お話が出ていますが、子供たちの社会参画意識を涵養する一つの方法として、地域調査、あるいは地域をフィールドとした様々な学習活動というのはとても有効だと考えています。私、今現在埼玉県の小川町というところで「おがわ学」という、地域と協働した小・中・高の子供たちが系統的に学ぶ、地域課題を学ぶ学習に取り組んでいるんですけれども、そういった実践を踏まえると、社会参画意識を培うフィールドとしての地域をしっかりと踏まえるというのはとてもいいと考えています。
課題として、実際に教科の学習でなかなか地域調査に出るというのは、特に中学校・高校では難しいと先ほど来、お話が出ていますが、そういう中で今、「おがわ学」で取り組んでいるのは、中学校で言えば総合的な学習の時間、高校で言えば総合的な探究の時間を使って実際にフィールドワークをしたり、その成果を持ち帰ってまとめて、それを校内で発表するというような活動につなげているところです。いわゆる教科と総合的な探究の時間の連携というのはとても有効だと考えています。
それからもう1点なんですが、社会的事象等について調べまとめる技能を高める学習、これもとても有効だと考えています。実際に子供たちがこういった社会的事象について調べまとめている上で、それを今度は発表して表現する学習が、探究的な学習ではとても有効だと考えています。この調べまとめるにさらに加えて、それを表現し、発表し、議論していくというところを踏まえた、子供たちの力の育成というのに取り組んでいければと思います。
最後です。中学校・高校の先生方は、非常に多忙な中で授業をやられています。そういう先生方をバックアップする上で、地域と連携できるような仕組みというのはとても大事だと思っています。私はコーディネーターという役割を担っていますが、学校の外で学校と地域を結ぶ仕事をしておりますけれども、こういった地域と学校のニーズを結びつけるような役割を果たす仕組みづくり、これをぜひ何らかの形で考えていただけるとありがたいと思っています。以上になります。
【土井主査】 ありがとうございました。次は永田委員、お願いいたします。
【永田委員】 広島大学の永田です。今、先生方の議論というかお話も伺いながら、今の画面に出ている右側の本日の議題の(1)の下のところに関して、私、大きなことと小さいこと、今日、2つ言わせていただこうと思います。
大きなこととしては、今、いろいろな専門分野の先生方のお話を聞きながら、社会科が小・中で高校が地歴公民とあるんですけれども、例えば高校ももう一度昔に戻ることはできないのかというのを今、伺いながら感じていたところです。というのは、地歴公民、別々でやるのではなくて、高校も社会科として一体して、小も中も一体化して、小学校から高校まで一体化した社会科としてやっていかないと、多分もう内容的にも難しくなってくるのではないかというのも、私は実は社会科の歴史的研究というか教育の歴史的研究をしている立場なので、今の先生方の議論が戦後すぐにできてきた社会科をつくったときの議論とほぼ、私の立場からすると同じような印象を持っています。
小・中・高を通した社会科を全体の一体化したものとしてつくる素地が、また帰ってきているというのが右側の真ん中の下に書いてある、そもそも社会科が道徳・特活・生活科・総合と全部ばらばらに切り離されてきたのをもう1回つなぎ直さないといけないのではないか、今、先生方からの議論を聞きながら、またもとのようにはもちろん戻せないんですけれども、まさに道徳・特活・生活科・総合で、もともと社会科の中でやっていたのがばらばらになってきたのをもう一回、分断したものをつなぎ合わせないといけないという議論が今、行われつつあるのかと、私の立場からは、勝手な解釈かもしれませんけれども、そういうふうに伺っていました。
これは大きな話だったんですけれども、小さい話を言って終わりしたいと思うんですけれども、小さい話というのは何かというと、中核的な概念とか知識及び技能に関する統合的な理解というのももちろん大事なんですけれども、内容の縮減に関しては、もっと大事なのはそれを問いの形で出さないと恐らく縮減にならないというのが、実はこれも戦後すぐにできた頃の社会科の指導要領というのがそれをやった過去の事実があるので、概念とか知識の精選とか集約というのは大事なんですけれども、それを概念とか知識で示すとどうやっても際限なくなるので、問いという形で示していかないといけないというのも一つ、これから議論をしていければいいかと思ったところです。すみません、大きな話と小さな話を端的にさせていただきました。
【土井主査】 ありがとうございます。今、御指摘いただいた点、次の議題2のほうで見方・考え方をどのような単位で設定していくかということにも関わる点かと思いますので、引き続いて議論させていただければと思います。
それでは、続いて升野委員、よろしくお願いいたします。
【升野委員】 よろしくお願いします。升野と申します。私は今、大学籍におりますけれども、約40年間、中・高で教えてまいりました。本日は内容等の在り方の(2)について御意見、お話しをさせていただきたいと思います。
まず、(2)の丸1の社会的事象等について調べまとめる技能という言葉について思うところがございまして、社会的事象について調べてまとめるだけではなくて、先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、まとめたことを使って次に応用できる、ほかの事象に応用できるような、そういうところを目標としていくのが中・高の学習、コンテンツというよりもコンピテンシーに繋がることではないかと思っております。
そして、丸2についてなんですけれども、地域調査についてです。現実社会から学習課題を捉えるのに例として地域調査等が挙がっていますけれども、私からしてみれば子供たちの置かれている現実というのはやはり地域とかそういうのはいろいろなところで違っているので、地域調査をすることが学習課題に繋がるかどうかということについては、特に自分の専門の公民的分野についてはほかのやり方もあるのではないかと思っております。
例えば貧困の問題などが見えてくるところもあるかもしれないけれども、そもそもそういうのは目に入りづらいし、見せないものである。また、少子化と申しましても、子供が逆に増えて困っている地域もあるし、様々なところもあります。また、高齢者があまりいないような地域も実はあったりするわけで、地域調査だけが学習課題を捉える場所でもないのではないかと思っておりますし、地域調査というのは先ほど御意見がありましたけれども、どちらかというと総合的な学習や特別活動、修学旅行等で接する場所ではないかと思っております。また、地域調査を行うときの物理的な課題、引率の人数、事前の調査等も考えますと、現実の学校のほかのところの力も必要なのかと思っております。3番も同じでございます。
4番につきまして、主権者として児童生徒の意見表明を推進する活動、意見を表明するということはもちろん大事ではありますけれども、これが意見を言うだけで実らないのであれば子供たちにとっては徒労にしかすぎないわけで、学校の在り方を考える生徒会活動であるとか特別活動の中での推進のほうがよりふさわしいのではないかと。模擬何とかということをやって、意見を言って、はい終わりということになるのであれば、逆に生徒は徒労感を感じてしまうような気がいたしまして、私も社会科の学習場面で、「先生、そんなことやったってどうせ学校は認めないから無理」とか、そういう発言なども随分聞いたことがございますので、丸4は果たして社会科だけの課題かどうかというところに気になるところがございます。取り留めのない話でしたけれども、私からは以上でございます。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、板倉委員、お願いいたします。
【板倉委員】 板倉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。先ほど宇津川委員から、社会の変化に伴った内容のアップデートの必要性についてお話がありましたし、桑原委員からも内容が多くなり過ぎるということについて、内容の精選という話もありました。それに対して山田委員からは、内容だけではなくて獲得の仕方が重要なのではないかですとか、黒田委員からも内容は現行のものを引き継ぎながら系統性を踏まえた整理が必要なのではないかという話がありましたので、その点についてお話しさせていただきます。
また、今回は事務局より課題がたたき台として挙がっていましたので、それぞれの立場でどう対応するのかというのが、今日は求められているのかと考えています。私は小学校の現場にいる立場ですので、たたき台に対して小学校の学習指導要領としてどう対応できるのか、どのように対応すべきなのかということについて具体的にお話しさせていただきます。
例えば世界共通の課題ということで、小学校の課題として1個目、2個目の2つが挙がっていますが、それらについてどうするのかと考えたときに、気候変動などはかなり社会問題になっていますし、特に豪雨については1980年比で2倍になっていますので、盛り込まなくてはいけないと思います。ただ、どう盛り込むかというときに、例えば今、5年生の内容(5)というのは国土の保全について学習するのですが、気候変動によって国土の自然条件が変化しているという形で触れるようにしたり、内容(2)で食料生産について学習するのですが、そこでは気候変動によって農作物の収穫量が減少したり水産資源が変化したりしているというような盛り込み方も可能なのかと考えています。また、技術革新についても、5年生では産業について学習するのですが、現行の学習指導要領では、産業と情報の関わりを扱うのは内容(4)のみになっています。ですので、農業・水産業・工業など全てに盛り込むような形で、精選することも必要なのかと考えています。
また、2点目について、またこれも具体例でお話しさせていただきますが、小学校の現場としては、自然災害について扱う4年生の内容(3)と5年生の内容(5)のすみ分けができていないという課題があります。また、小学校の学習指導要領の実施状況調査の結果を見たときに、確かに自然災害については、全体としては出来がよいのですが、公助について一部、国や地方公共団体などがどのような働きをしているのかという部分については正答率が低いという結果が出ています。ですので、公助の扱いが現場に届くように記述を見直すとか、5年生との系統性を踏まえた内容の精選、また、6年生の政治学習にも災害からの復旧・復興は入っていますので、社会保障などに比べて国の政治の働きが見えやすいことからも、記述の順序を入れ替えるなどしていくと、十分対応できるのかと考えています。
今のは具体的例ですが、事務局の提案に対しては小学校として十分対応可能だと思いますし、対応すべきだと考えています。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、杉山委員、よろしくお願いいたします。
【杉山委員】 杉山です。よろしくお願いいたします。少しずれるかもしれないですけれども、資料及び御議論を伺っていて所見を2つほど申します。
3ページ、4ページのところで、内容等のあり方、その他グローバル化あるいは国際化、その中での課題など一連のことを伺ったときに、どうしても私の観点になるんですけれども、こういった教科全体に、あるいは複数科目全体に関わる部分において、時間の視点が薄いような感想を持ちました、コメント的ですみませんけれども。つまり、現状様々な課題がある、それに対してどういった力が求められるか、こういったことは分かるんですけれども、その際に経緯や背景、あるいは来し方に対する理解がしっかりあった上でそれらを見る必要があると思うのです。
それから、時間の捉え方は歴史などの場合だと多重的であってよいわけですけれども、どうしても社会一般の場合だと直近の出来事だけ見てしまったり、短いスパンでの変化を念頭に変化と言ったりしていることがあるわけです。全ての教科の中でも、この社会・地歴公民が時間軸をしっかりと入れている教科で、その中で歴史がその科目だと思います。私が申しましたら、何かその中で歴史の縄張合戦をしているように聞こえるかもしれませんが、もちろんそういうわけではなく、時間軸の中で現在を捉える、あるいは過去を捉える、それから将来を考える、という部分が、もう少し反映されてはどうかと思いました。
例えば、短期的に社会にとってマイナスと思えるような事態あるいは施策といったものが長期的には意義があるとか、その逆とかということは無論あるわけですし、そういったところ、先ほど時事の問題などもありましたけれども、それをいろいろな時間の長さの中で捉える、例えば中東の問題ですとか中国をめぐる問題というのも、この30年とか、戦後の80年とか19世紀以来とか、それから実は2000年、3000年というレベルで解釈しないといけないことなどがたくさんあって、こういったものを自由に使い分けて解釈していく力、見通す冷静さといったものを身につけられるわけです。ですので、これは別に一連の科目の中で社会科歴史的分野、あるいは地歴科での歴史だけでなくて、全体として、そういう視点があっていいのかなと思ったというのが一つです。
それから、2などで例えば世界共通の課題や我が国特有の課題というのがちょうど対照的に挙がっていますし、3ページなども含めて、そのときの我が国とか、グローバル化や国際化といったときにそれに向き合っている主体はいったい何者なのかということが、何か自明のようになっているのかなという印象を持ちました。自らは何者かという部分が答えられるのか、ということです。このあたりは、ともすればマイノリティを排除することになってしまったりという危険があるのは重々承知していますが、いかなる国や社会でも、その最大公約数的な姿というものがあると思いますので、そういう部分がないと、グローバル化や国際化といったときに、我々が海外に出たときや外国人を国内に迎え入れたときに自らを説明できないというのでは問題があるだろうと、逆に私などは外国のことを研究しているだけに、かえって気になるんです。そのとき、日本の中の地域社会レベルに話がいきなり飛んでしまうのですがそれが非常に重要なのは私たちも生活者として思うんですが、そういったときに、ではそこでいうところの我が国というのは何なんだというのはとにかく扱いが微妙なのは分かるのですが、それについては自明のような流れになっている。という印象を持ちました。
いずれも感想めいたことですみませんけれども、時間軸の話と、自らをどう語るかという点は、どう位置づけられるのかなというのを、少し思った次第です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、残り時間が限られてきましたので、今挙手していただいている頼住委員と岩戸委員までで、この議題1については御発言を終えさせていただきたいと思います。それでは、頼住委員、よろしくお願いいたします。
【頼住委員】 頼住でございます。今、杉山先生がおっしゃっていたことが、まさに私も言いたいと思っていたことで、主体としての私たちをどういうふうに認識してそれを表現していくかという、その問題が非常にこのグローバル化の状況の中では重要で、もちろん包摂性ということは私たちの社会にとって非常に大事なことですけれども、主体としての私たちを語ることが包摂性と反することではないと思いますので、その辺りをきちんと入れ込まないといけないと思いました。
それから、今、杉山委員は我々の歴史的な存在としての在り方、それが短期的、長期的、様々な観点から見る必要があるということをおっしゃってくださって、私もその御意見に賛同いたします。それと同時に事態をある意味抽象化して様々な原理に照らして事象というものをきちんと位置づけていくということは、非常に大事なことなのではないかと思っております。
同じようなことが実はあるのにそのパターンが全然読めなくて、それが何かが分からないというようなことがあると思います。いくつかのパターンとしての原理を理解することによって、現実の事象に振り回されないでそれを正しく理解するということはできると思いますので、そういう抽象化とか原理化するとかパターンを見抜くとか、そういう力をぜひ伸ばしていきたいと思います。それから、地域から市、県、国、そしてグローバルというふうに同心円状に広がっていく学習というのはとても重要だし、効果的だと思うのですが、そのときに同心円というとそれが矛盾がないようになっているような、そういうイメージを私たちに起こさせます。実は地域の中にもいろいろな葛藤があるし、地域と国の間にも葛藤があるわけです。その葛藤をきちんと見ないで地域からずっと世界まで同心円に広がっていくというイメージは、それが独り歩きしてしまうと危険なことがあるのかもしれないので、先ほどもお話が出ていたと思いますけれども、葛藤はなぜ起こるのか、その葛藤の中でどのように合意形成していくのかというように、
葛藤のほうを注目していくという視点も大事なのではないかと思いました。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは最後、岩戸委員、お願いいたします。
【岩戸委員】 岩戸です。よろしくお願いします。私は皆さん、今お話を、議論を聞かせていただいた中で、小学校も中学校も高校でも教えた経験がなくてずっと博物館におりまして、昨年から大学で教員をしているわけなんですけれども、実際に具体的な各小・中・高でのいろいろな在り方というのを聞いて大変勉強させていただいたわけなんですけれども、今、杉山先生と頼住先生が続けてお話しされたことにも非常に近いんですけれども、頼住先生がおっしゃった歴史の葛藤であるとか、それから歴史の情報の正確さとか一次資料の意義という、山田先生でしたかおっしゃっておられましたけれども、教科書というのはもう分かったことが全て書いてある、問いもありますけれども、基本的に歴史の教科書であると分かったことが既にもう成果として書いてあるわけなんですけれども、議論の末、分からないこともあるし、そしてまた様々な、考古学なんていうのは特に今まで思われていたことが発掘の成果によって、大発見によってひっくり返っているような、そういうダイナミックにそれまでの常識がひっくり返るような部分もある学問なんです。
そういった途中のプロセスといいますか、歴史、今私たちが全体として最大公約数的に見ている歴史というものがどのように構築されてきたのかというようなところも、なかなか教科書とかに盛り込むのは難しいのかもしれませんけれども、そこで博物館であるとか学校外との連携ということが出てくるのかもしれませんが、恐らく博物館に行って展示を見るだけでは子供さんには恐らく伝わらないと思うんです。そこで1人、インタプリターといいますか、解釈の仕方であるとか、もしくはそういった今、頼住先生がおっしゃった葛藤であるとか、そういった部分を語るような場面というのが小学校でも中学校でも高校でもどこかの場面であってほしいということを、議論を聞いていて感じました。
今、これからの多分教育というのは、教育者でもないのにあれですけれども、SNSとかインターネットの情報収集との戦いに、ある意味なるのではないかと。大学生を教えていてもなかなか本を読んで情報収集している人は本当にひと握りで、その中で正しいこと、もしくはネットに転がっている情報を全て素直に受け入れてしまって間違った方向に行ってしまうということをどう防ぐのかというのは、結構これから教育全体に対してこれから本当に戦いになるのではないかと思ったりもしています。そういう意味では成果といいますか、今、結果としてこういう歴史像があるということがどのようなプロセスを経てきたのかということは、どこかで子供たちに紹介する、知っていただくという機会があったらいいなと思いました。本当に感想のようなものですけれども、以上です。
【土井主査】 どうもありがとうございました。
貴重な意見を示していただき、どうもありがとうございます。基本的には事務局で示していただいているような課題ですとか改善の内容等について、前向きのご意見を伺ったと承知しております。ただ、内容の精選の問題がありますので、このような課題をただ純増させるわけにもいきませんので、どのような趣旨でこうした課題を取り扱っていくのか明確にすること、単にこれらに関する知識を教え込んでいくわけではなく、見方・考え方、あるいは中核的な概念との関係でしっかり整理をしながら提示していくこと、また既存の学習内容の中で整理すべきものがあれば整理すべきであるという御指摘もあったかと思いますので、そのような方向で、改めてこの問題について詰めて議論できればと思います。ありがとうございました。
それでは、議題2に入る前に、諸富委員が御出席になりました。諸富委員、1回目で御発言をお願いできていませんので、この際、一言御発言をお願いできますでしょうか。
【諸富委員】 土井先生、ありがとうございます。京都大学の諸富と申します。皆様、初めまして。私自身は、挨拶ということにすぎませんが少しお話しさせていただきます。私は経済学専門でありまして、特に環境経済学、財政学を専門としております。社会科教育という点では何も専門的なことはやっていないんですけれども、複数の教科書会社さんの小学校、中学校、高校の教科書の執筆やアドバイスなどの仕事には携わっております。
先ほど表示されていましたスライドの3がございました。これは本当に私も素人ながら拝見していて非常に重要なことが集中的に書かれているし、重要課題が挙げられていると思います。この資料の前に、前回お送りいただいた資料の中に子供たちが現在の社会科について好きになっている人、興味を持つ人が増えてきているというようなアンケート結果も示していただきました。非常にこの間、社会科の教育が大きく戦後やられてきた教育から大転換しながら、子供たちの主体的な学びを促していくやり方に大転換を遂げているプロセスの途中だと思うんですけれども、それが成果を上げつつあることの一つの証拠だと受け取りました。この方向が成果を上げていることに私たちは自信を持って、ぜひそれをさらに拡大、進化させていくことが必要だという感想を持っております。
ここに今示していただいているスライドも含めて、関係者の皆様がこういった論点について真摯に議論してきて、実践をされてきた現場の先生方含めての関係者の御努力のたまものが少しずつ、成果を結びつつあると感じております。スライド3についていきますと、社会の構造の変化ということで私が感じておりますのは、主権者教育の改めての重要さが昨今の政治情勢、選挙の結果も含めて改めて示されていると感じております。これは多くの委員の皆様方が共有されているところかと思います。
民主主義を取り巻く状況の変化から、現在、ますます主権者教育の重要性が増してきていると思いますし、また私が経済のほうから少し考えますのは、自分たちがこれまで私の世代が受けてきた教育というのは知識中心で、先生に正しい答えを教えてもらうというような教育でしたけれども、産業構造が非常に変化をしてきていて、かつては第二次産業中心でしたけれども、第三次産業が中心になる現代においてはまさに現在、社会科において教育で改革をしようとしている方向性、「学びに向かう力、人間性等」、「見方・考え方」といったような視点を対話型でやっていくということが、新しい産業、起きてきている産業構造の変化から言っても必然的に養成されると思います。そういう意味でも、今、進もうとしている方向性というのは基本的に正しいと思います。
一方で、こういったやり方の教育をやっていこうとすると、知識をどうやって教え込む時間を確保し、そして主体的な学び方を獲得する時間を別途どうやって確保するのかということで、先生方が大変悩まれているのではないかと思います。地域調査とかそういうことが資料に載ってきておりますけれども、工夫をすると、例えば前回の議事録を拝見していますと委員の方々の中からもそういった御発言がございましたけれども、学校運営の現場の中で、例えば生徒会とか体育祭とか文化祭、なんでもいいんですけれども、そういった運営の中で学校運営に子供たちにもう少し参加を促していって、彼ら自身が意見を表明してこういう形でつくっていきたいというような、学校行事の遠足でも、例えばですけれども、委員会をつくって子供たちが遠足でどこに行くか、そこでどんなものを学ぶために遠足に行くのかという目的の設定だとかそういうことについて、小学生は難しいかもしれないけれども、例えば中学校・高校だったら十分可能なのではないかと。
それが仮にうまくいかないことも含めて結果を引き受ける、そういう責任を持つという点も含めて、学校運営の中にもう少し子供たちが、自分たちで例えばルールを決めて決定する、自分たちで物事を決めていけるんだという自信、これは政治的有効感覚とも言われますけれども、そういったものを学校の生活の現場の中でもう少し学んでいければ、社会科で主権者とはどういうことかということを学んで、実践を学校運営の日々の中で学んでいける、実践していけるというふうに、理論と実践の両輪でやっていけば、もちろん地域調査も大事なんですけれども、その時間外にかなりそういったものをやっていくのは学外の先生方や関係者の協力を得なければいけなく、予算も必要でしょうから、かなり大変だと思うんですけれども、日々の学校運営の実践と教科で学んでいく時間との融合を図っていくことによって、うまく進められないかなという感想を持っております。
私から挨拶とともに、感想だけですけれども、発言させていただきました。ありがとうございました。
【土井主査】 それでは、事務局から一言、お願いします。
【武藤教育課程課長】 教育課程課長の武藤でございます。今ほどの諸富先生の御発言に関しまして、特別活動のほうでの検討状況を簡単に申し上げますと、まさに御指摘いただいたような方向で今、検討しております。すなわち、子供たちの発達段階に沿って学校運営にも関わっていくという仕組みにして、民主主義の確かな担い手として子供たちを育てていくような、中心となるような領域ということで特別活動をリニューアルすると。
例えば生徒会、児童会なんかではルールメーキングみたいなものを入れていくとか、あるいは学級活動も納得解だったり、あるいは安易な多数決を回避するとか、少数意見を吟味するとか、そういったことを具体的に入れていく、あるいは学校行事についても子供たちが創造する活動であるということを明確にするといった形で、具体的にどんなことが考えられるのかという議論を特活のほうでもしておりまして、次回以降、そういった資料も、一々御説明というよりは参考資料としてお出ししつつ、そういうことも前提にしながら社会科でどういうふうなことが考えられるのかというような議論に繋がるようにしてまいりたいと思っております。以上でございます。
【諸富委員】 ありがとうございます。勇気づけられました。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、寺田委員も参加されたようでございますので、寺田委員から一言、お願いいたします。
【寺田委員】 今日はすみません。前回も参加できず、今回も遅刻してしまいまして、大変失礼いたしました。一橋大学で行政法を担当しております寺田と申します。私自身は行政法を担当していまして、ただ憲法も前任校で結構教えさせていただいていたので、あと見たんですけれども、教育分野というのはかなりこれまであまりそこまで深く考えたことはなかったんですけれども、今さっきおっしゃっておられた主権者教育というのはすごく確かに大事ではあるんですけれども、例えば社会的な日本の立ち位置とか基本的な知識とともに、いろいろ主権者教育みたいな部分も充実させていくということがすごく大事で、あとは権利意識というものもすごく大事だと思うんですけれども、うまく教材とかを使ってちゃんとした概念を、うまく省略しないでちゃんと教えるような形にしないと、結構途中をはしょってしまったりとかしますと、もしかしたら間違って子供たちが勉強してしまう可能性もあるのかと思って。
もちろん先生たちはすごくちゃんとした教科書を書かれていると思うんですけれども、まずそこはしっかりといい教材とともにやっていくのが必要なのと、それから生徒会とかの活用もすごくいいなと思ったんですけれども、私にはあまり経験がないんですけれども、さっきほかの提案もあるとおっしゃっていたんですけれども、確かに多数決で全部行くみたいな感じになる可能性もあるので、その辺りは気をつけたほうがいいかと思ったりもして、あまり難しいことはよく分からないんですけれども、ただ学外というか学校の外での活動というのはすごく先生にとって負担が増えますので、学校の中でできる限りうまく活動、うまく意識を高めていくようなこととかができたらいいなと思います。
私が一言だけどうしても言いたいのは、総合的な学習の時間が増え過ぎるのはよくないと思っています。それは多分、私は今、一橋大学に移る前に国際基督教大学という大学にいたんですけれども、知識だけではなくて発表とかディスカッションだけを結構やる授業を推奨していたんですけれども、知識無くディスカッションとか発表とかをまとめようとしても何もできないので、それだったらもう、まずは知識があってそこから考える力が身につくというのは、私自身ずっと国際基督教大学にいた10年弱で物すごく実感しましたので、総合的な学習の時間に役立つような知識を身につける時間というのは、すごく大事かと思います。取りあえず以上です。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、議題2に入りたいと思います。まず、事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 資料1の7ページ目をまず、初めに御覧ください。本日の議題2でございますが、目標の在り方を検討いただくに当たりまして、総則・評価特別部会において教科横断的な観点から改善の方向性が示されております。こちらは10月14日に議論された内容のものになっています。青の網かけ部分を中心に御覧いただければと存じますけれども、現行の学習指導要領における各教科等の目標の柱書につきましては、中学校の国語科の例となりますけれども、言葉による見方・考え方を働かせという見方・考え方、また言語活動を通してという学習課程、それから国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力という資質・能力の趣旨を、次のとおり育成することを目指すといった基本構造となっております。
また、見方・考え方の具体的な内容については、解説の中で記載がなされております。しかしながら、その下のほうに少し書いておりますが、目標の柱書は冗長で分かりにくいこと、また見方・考え方の具体は解説に落とされており、併せて読まないと分からないといった指摘があります。このようなことを踏まえまして、右側にあるとおりでございますけれども、目標の柱書は育成したい資質・能力の趣旨や、固有の学習過程を端的に示すとともに、見方・考え方を目標の直下に別途欄を設けて記載する案が示されております。
具体的には目標の柱書といたしまして、資質・能力の趣旨について学習過程を通して次のとおり育成することを目指すといった形にした上で、そこに知識及び技能、思考力、判断力、表現力等、学びに向かう力、人間性等の3つの資質・能力を記載するとともに、その目標の直下に見方・考え方といたしまして、まず丸1にありますように当該教科、ここでは社会科になりますけれども、社会科等が扱う事象や対象、また丸2にございますように社会科固有の物事を捉える視点、また丸3にございますように社会科固有の考え方や判断の仕方、こういった要素を含めることを基本に、各教科の特質に応じて検討することとされております。
その際、これらの要素を示すことによって教師が教科の本質を外していないか、こういったことを確かめるものとなっているかという視点を大切にすることが重要であることが示されております。また、新たな見方・考え方の書きぶりについては、現在よりも短く端的に記載すること、経験の浅い教師が読んでも端的に理解可能な記述となっているかという視点を重視することなども、留意事項として示されているところでございます。
続いて8ページを御覧ください。総則・評価特別部会では、学びに向かう力、人間性等についても具体的な検討が進められております。この中の左の図にあるとおり、4つの要素に整理する方向性が論点整理の中で示されたところでございますが、このうち下の3つの丸、すなわち当該教科等の学習で育みたい学びや生活に向かう態度と、それから上部の当該教科等の学習で育みたい情意・感性、こういった形に分類しつつ、分かりやすく構造化してはどうかといった方向性も示されているところでございます。
9ページ目を御覧ください。これらを踏まえまして、例えば小学校における目標等の在り方といたしまして、左側に現行のイメージ、右側に先ほどの総則・評価特別部会の方針を当てはめたたたき台として、目標の見方・考え方の改善を示しております。改善案では一番上の柱書にあるとおり、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎、いわゆる資質・能力の趣旨を位置づけた上で、課題を追究したり解決したりする活動を学習過程として構成を見直しております。
また、思考力、判断力、表現力等については、現行の一部を見直して、見通しを立てて考えたことを確認しながらといった視点も、これは事務局案でございますが、追加しております。さらに学びに向かう力、人間性等についても現行の一部を見直しまして、見通しを立てたり自らの学びを振り返りながら主体的に追究し、他者と関わりながらといった視点を追加したイメージ、これは先ほどの方針に沿ってということでございますが、作成しているところであります。また、一番下の部分、見方・考え方につきましては、現在の解説と同じ記載ではありますけれども、総則・評価特別部会で示された構造を当てはめますとこういった記載になるということで、まずはたたき台としてお示ししているところでございます。
同様に10ページと11ページには中学校、また12ページ以降には高等学校の地理歴史科、公民科につきましても、現行ベースのたたき台ということで改善案を示しております。なお、中学校、高等学校につきましては、これら教科全体の目標に加えて科目の目標もありますので、これらの在り方についても今後、検討が必要と考えております。
そして、こういったことを踏まえた上で3ページ目にお戻りいただければと思いますけれども、先ほど御説明した視点や改善案等も踏まえまして、議題(2)ということで、まず1ポツの目標等の在り方について御審議いただきたく存じます。審議に当たっての論点としては1ポツの赤枠で囲んでいるところでございますけれども、目標の柱書を端的に分かりやすくする観点、あるいは現代における社会科等の役割を踏まえてどう見直していくのか。
さらに2点目でございますけれども、学びに向かう力、人間性等や見方・考え方の新しい整理を踏まえた示し方をどのようにしていくのか。さらに3番目でございますが、知識及び技能、思考力、判断力、表現力等、これをどういった形で見直していくのか。さらに一番下の矢羽根でございますけれども、社会科等における見方・考え方をどう考えるのか、その際に社会・地理歴史・公民の全体を通した見方・考え方についての必要性、これは先ほど永田委員からも高校段階の社会科の教科の構造を見直してはどうかという御発言がございましたけれども、そういった社会科全体の、社会科・地理歴史科・公民科全体を見通した見方・考え方についての必要性についても、御意見をいただければと思います。また加えまして、先ほど石井先生からお話しがあったように、そもそも社会科としての在り方をどう考えていくのかということも、当然この議論に含まれることでございますので、そういった視点も合わせて御議論いただければと存じます。
そして先ほど山田先生から御質問がございました見方・考え方につきましては、お手元の資料に参考資料2というものを添付しておりまして、こちらの参考資料2の1ページ目の左側の真ん中辺り、定義というところがございます。ここに見方・考え方の定義ということで書いておりますが、どのような視点で物事を捉えてどのような考え方で思考していくのかという、その教科ならではの物事を捉える視点や考え方、こういった定義がございます。
実際にはその下にございますとおり、側面としてこれまで2つの側面、丸1にあるように各教科等との学びの深まりを示すという視点と、それから側面2として各教科等を学ぶ本質的な意義の中核を示す視点、こういった2つの側面で説明されてきているというのが、これまでの整理だったかと捉えております。その上で右の少し下のほうに書いておりますけれども、見方・考え方の側面1につきましては今回、中核的な概念、高次の資質・能力というふうに整理されておりますが、そういった中でより一層具体的に示す一方で、新たな見方・考え方につきましては、一番下のほうにございますが、先ほど御説明した側面の2つ目、各教科等を学ぶ本質的な意義を中核に焦点化して端的に示していくこととする方向で検討すべきと、こういったことを前提として先ほどの総則・評価特別部会での方向性が示されているというのが現状でございます。事務局からの説明は以上になります。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、意見交換に入りたいと思います。御意見、御質問のある方は先ほどと同様、挙手ボタンを押していただければ、私から指名をさせていただきます。なお、私の不手際で時間が押してきておりますので、御発言の際にはできるだけ簡潔にお願いできればと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
まず、石井委員からお願いいたします。
【石井(英)委員】 ありがとうございます。ここまでの議論で非常にインスパイアされるところもたくさんあったんですけれども、端的にといいますか、今、報告いただいたこの資料で申しますと、これは先ほどの社会科観ということで言えば社会科学習観をどう捉えるかということの提案になっていると思うんです。ですから、現行から何が変わったのかということで言うと、例えば小学校とかであれば見通しを立てて思考判断、表現あたりもそうですけれども、考えたことを確認しながらとか、中学・高校であれば展望を持ち自ら考察過程を省察すると、これがどういうふうな趣旨を持つのかということですよね。
だから、恐らくこれは各教科における探究的な学びといいますか、そういったものをより意識するような、そういう方向性かと思うわけですけれども、ここは一つ、それが形骸化した探究サイクルを回すみたいなことにならないために、まさに先ほど知識の話というものがあったわけですが、主体性と知識を二項対立で考えること自体がそもそも議論をややこしくすると。問題は知識の質であろうというふうに思います。ですから、社会課題の解決ってそんなに簡単なものではなくて、大人たちも必死で頑張っているわけです。ですから、先行研究、先行事例ではないですけれども、一定の論争点だとかそういったものについての議論の厚みを学んでいく。現代社会においては、知識にはすぐにアクセスできると思われがちですけれども、私からすれば議論の厚みのある知識に対するアクセスというのは希少化されていると思っています。
ですから、まさに日本の学校は全人教育でありまして、社会参画というのは全人教育、つまり総合、特活も含めてトータルにやっていく。その中で社会科が何を担うかといえば、構造的な社会認識を持って社会参画すると。単なる素朴な社会参画者ではなくて賢く社会参画すると。そのためには、地域でローカルなものの中にも、まさに気候変動もそうですが、これは世界史的な展開なんです。システム思考というか、いろいろなものが関連づけられているんだというふうな、システム思考という視点を常に持ちながらローカルにかつグローバルに、世界史的な認識を持った主体的な世界史的認識といいますか、そういったものが大事になってこようかと思います。
ですから、そういう観点からしますと、ここの見通しとか展望はまさに世の中を見通す。見通せないけれども見通そうとする。それで解決に向けた展望というのはそこにおいて、むしろ社会科における社会科学的な認識といいますか、それが非常に重要になってくるというふうな、そういう捉えが重要なのかと私自身思っています。その辺り、改めてここで示されていることは、社会科における学習活動をどう捉えるのかということかと思いますので、そこが形骸化した探究サイクルを回すみたいなことにならないように、単に自分で自分なりの課題を設定すればいいやとかいうようなことではなくて、社会科としてということで言いますと社会認識に裏づけられた見通し、あるいは展望であるということが重要で、それは知識の質が重要になってくると。構造的な理解が社会の現象、事象ですね、そういったところは私自身、強調したい点だと思いました。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは次、引き続いて井田委員、お願いいたします。
【井田委員】 私は見方・考え方の点なんですけれども、見方・考え方の課題というのは従来言われていてよく分かっているんですが、ただそれは教科だとか科目によって見方・考え方の捉え方が違っていて、例えば社会科の中でも地理だとどちらかというと観点を見方・考え方と言っているし、歴史では方法論を言っているし、公民では理論・概説というものを言っているので、それぞれの見方・考え方が違うんですけれども、ですからそういう意味ではある意味、地理ではうまくいっているんですけれども、あるところではうまくいってないということがあって、そうするとうまくいっているところがこういうふうに変えられたときにどうなるかということが心配になります。
具体的に言うと、見方・考え方が今までの思考だとか知識とうまく組み合わされて、それで学習指導要領が成り立っていたわけですけれども、それが今、見方・考え方が独立された場合に、前の前の学習指導要領のときに見方・考え方というのはあったんですけれども、それは枕言葉にあったんです。結局、その枕言葉があったけれども内容とは結びつかなかったということがあって、そういう意味では今度の、今の学習指導要領はそこを結びつけたというところに評価ができるんですけれども、今のこの案だとまた元に戻ってしまうのではないかというような心配はあります。ですから、そういう意味ではこう直した場合にその内容論とどういうふうに絡ませていくのかというのが、どこでまたそれをやっていくのかというのは課題になるかとは思いました。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、桑原委員、お願いします。
【桑原委員】 失礼します。少し私自身が遅れているのかもしれないんですけれども、現行の指導要領でこの見方・考え方が出たときに、私は個人的にこの「働かせ」という言葉が非常に効いていると感じておりました。見方・考え方というのは、活用するというか使っていく中で成長させるものだという考え方がここによく出ていて、そういう意味ではこの「働かせ」という言葉が現行で非常に大事だと思っておりました。改正案のほうで拝見したときに、若干、働かせながら成長させていくものというよりは、どうも方法というか方法的なものに見方・考え方がなってきてきているような気がして、若干その点を心配しております。
そういう意味で、先ほど井田委員もおっしゃられましたけれども、現行でうまくいきつつあるところを改善案でちゃんとその流れに沿って、うまくいく流れを保つことができるかどうかというのはよく検討していかないといけないと、改悪にならないようにしなければいけないと思っております。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、板倉委員、お願いいたします。
【板倉委員】 よろしくお願いいたします。お示ししていただきました改善案について、先ほどの3ページにあります論点(2)の2つ目の矢印の視点から、2つお話しさせていただきます。
まず1つ目の見通しと振り返りについてですが、この活動は改善の方向性として必須かと思います。そのような意味でこの文言が入っているということと、評価までを見据えた際に、態度を個人内評価にするとともに、表出が見られたときに思考に丸をつけるとなったからこそ、思考の欄に、もともと態度として評価していた内容のものが入っているのだと思います。ただそうなったときに、現場で評価する際、見通しや振り返りを態度としての丸ではなくて、思考として評定の対象とするという誤解が生じないのか懸念しているところです。これについては、ほかの教科等とも関係するので、社会科だけに限ったことではないのですが。
2点目は見方・考え方の示し方についてです。解説ではなくて本則に示されるというのはすごく分かりやすいですし、小学校については、御提案いただいた内容で、現行の学習指導要領からの移行がスムーズに行えるので、この形で進むことを願っています。ただ、論点整理の中で今回は、学校教育以外の人生においても豊かに働くものとするという観点が示されたため、見方・考え方が一番最後の位置に記述されることで、最終的に身につけていかなければいけない概念のような形で捉えてしまうという誤解が生じないか、現場にいる立場としては懸念しているところです。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、森本委員、お願いいたします。
【森本委員】 今日は遅刻しまして、途中からの参加で申し訳ございません。見方・考え方について、先ほどの議論との関連もあってお話ししたいこと、お伝えしたいことがあります。先ほど見方・考え方の現在の位置づけということで定義を見せていただきまして、どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのかという、その教科ならではの物事を捉える視点や考え方ということにすごく共感しております。つまり、今までお話にありましたように、教科によって見方・考え方のそもそもの捉え方が違っているということで、私自身、地理学が専門なので、見方・考え方、すごく整合性があってあまり違和感がなかったので、いろいろ御議論を伺って勉強しているところでございます。
その上で気になることが何かといいますと、ここの定義でどのような視点で物事を捉えというふうに書いてあるところから、まずこれを考えなければいけないはずだと思うんですが、先ほどの議論で学ぶ主体というようなお話があったと思います、歴史の主体であるとか。そういうことを考えたときに、今の資料、これまでもずっとそうなんですけれども、「我が国」というような言い方があちこちにちりばめられていて、そもそも私自身、大学で授業をするときには「我が国」という言い方は、とても外国ルーツの子たちがたくさんいますので、できない状態なんです。そうしますと小・中・高、ますますもっと多文化的な状況になっていると思いますので、「我が国の」と言ったときに、学校によってはもしかすると一割、二割ぐらいは我が国と思っていない子たちがいる中でそれができるかという、そういう懸念がございます。
まさにどういう視点かというのを学ばなければいけないというときに、どこに主体を置くかというのがないと、見方・考え方もふらふらして分かりにくくなると思うので、例えば「日本」とか「私たちが暮らす社会」とか、そういう具体的な誰もが考えられるような言い方に言い変えるとかいうふうにすると、もう少し現場の先生たちも違和感なく、それからそれを受ける子供たちも違和感なく勉強に取り組めるのではないのかと思いました。社会の形成者に必要な公民というような、先ほどそういう言い回しをしていらっしゃったように、そういう言い方をすると「私たち」と言いやすいのかなと思いました。こういう、「我が国」と言いながら多文化社会と、どういうふうに教えるのかという違和感を禁じ得ませんので、その辺り見方・考え方といったときの主体の関わり方、学ぶ側の主体の関わり方というのも気になったので、発言させていただきました。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、大村委員、お願いいたします。
【大村委員】 失礼いたします。3点、述べさせていただきます。
まず1点目は、見方・考え方の表記についてです。まず、小学校によく見受けられることなんですけれども、小学校はいろいろな教科を1人の先生が教える、もちろん教科担任制も少しはありますが、1人で教えていることもあって、特に社会科は、社会科にこだわる人はすごく徹底してこだわってすてきな授業をされるんだけれども、苦手意識のある方とか難しそうと感じる方は教科書をなぞるだけになりがちという現実があります。もちろん、学びの質が高まるのは大事だし、見方・考え方もその内実が肝だけれども、今回の論点整理でも示されているように、具体も大事だけれども分かりやすさは大切だと思います。
そうなると見方・考え方が、例えば前回の目標の書きぶりだと見方・考え方は手段のようにもとれる書きぶりでした、「働かせ」と書かれていたので。もちろん学びを深める手段ではあるけれども、育むものでもあるというふうに解説には書かれています。今回の論点整理では見方・考え方を各教科等を学ぶ本質的な意義の中核に焦点化するという、意義の中核って結構重い言葉だと思っていて、つまりそれは学習指導要領の本体に位置づける方向性をその意味で示しているということなんですけれども、見方・考え方は学ぶ意義の中核と言っているのであれば、そのような見方・考え方で世界を見ることができるようにすること自体も、目指すことの一つなのだという表記が必要ではないかと思います。
もちろん働かせたりとか手段としても用いられるんですけれども、前回は働かせることによって鍛えられ、資質・能力が育まれることによって見方・考え方も豊かになる。「鍛えられる」とか「豊かになる」という表現もされています。でも、今回は目標とは別に下に項立てでつくられるということは、目標ではないのかな。では使うことなのかな。いや、使うことでもあるけれども、それが意義の中核でもあるということが分かるように表記することは大事なのかと思いました。それが1点目です。
2点目が、社会的事象について調べまとめるとかいった、もちろん調べまとめるだけではなくていろいろありますけれども、技能についてですが、今回、総合的な学習の時間に情報領域がさらに付加されることになっていると思います。では、情報領域における技能との違いは何かということを、社会的事象を調べるというときの調べまとめる技能は情報領域で一般的に扱われるものと何が違うのかという特質も考えていきたいと思いました。それが2点目です。
3点目ですが、私、特別活動のワーキンググループの委員もさせていただいているので、その視点から少しなんですが、先ほどの内容とも関わりますが、もちろん特別活動と社会科を関連させて主権者教育とかをやっていくというのは大賛成ですし、横断的に考えることは大事だし、推進すべきだという強い立場を持っています。ただその上で、何がそれぞれの特質なのかということも大事だろうと思います。
特別活動は学校生活を中心として目の前の生活現実の問題やよりよい在り方を求めて自主的、実践的に活動するもので、そのために試行錯誤しながら目の前の学校生活の問題の中で合意形成を図ったり、民主的な生き方をなすことによって学んでいく領域。もちろんそれは社会科にも通じるものではあるけれども、社会科は社会的な事象を対象として社会認識を深めて、その社会の一員としての社会の在り方を考えていく力を育んでいく教科だと思います。だから、連携することの大切さと同時に、それぞれの特質も分かるような目標の記述が必要だと思いました。
以上になります。ありがとうございました。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、山田委員、お願いいたします。
【山田(圭)委員】 ありがとうございます。先ほど、御説明いただきありがとうございました。今、大村委員から出た話とかなり近い話で、どこが気になったかというと、見方・考え方って今回の形で取り出してしまうと目標から外れているように見えていて、前回までの資料だとまさに見方・考え方を働かせということ自体が目標の中に入っていたわけですよね。これをどう捉えるのかというのはいろいろ、前回、つくるときにも議論があったと思うんですけれども、私の理解では見方・考え方を働かせること自体を学んでいくということは目標に入っているので、まさに社会科特有の見方をできるようにするということ自体が重要な目標だと認識しているんです。
最初のほうにもあったように、ほかの教科との関係性というので言うとまさに、例えば人間を物理的な見方をすれば原子の集まりだし、生物学的な見方をすればDNAのビークル、乗り物になるけれども、でも例えば法的な観点から見れば権利の主体だし、倫理的な観点から見れば道徳的な主体なので、まさにそこでどういう見方をするかによって全然、対象についての扱い方とか考え方が変わってくるわけです。
その意味では見方・考え方自体をある意味では働かせられるようになること自体がその教科を学ぶことの意義だと私は思うので、先ほど大村先生がおっしゃったように、そこの部分が今回の書き方だと分離してしまうような、たたき台だと分離して見えてしまうので、ちゃんとそこが連関しているという形で、見方・考え方自体を身につけることが一つの重要な要素だというのが分かるような形で書いていったほうがいいのではないかと思いました。
【土井主査】 ありがとうございます。
それでは、諸富委員、お願いいたします。
【諸富委員】 ありがとうございます。私は質問が一つありまして、これまでの議論の文脈を全然踏まえていないので突飛な質問かもしれませんが、御容赦ください。先生方の議論を聞かせていただいて、なるほどと思いながら拝聴したんですけれども、この中にいろいろな力が入っていますけれども、問いを立てる力というのはどこかに位置づけられているのでしょうか。
問いを立てる力があって、様々なものをクリティカルに、クリティカルシンキングでひょっとしてこれはどういうことなんだろうと問いを立てる力から、その問いに対する答えを得たいというところから調べに行く、調査に行く、議論をする、対話をするというところがあって、調べに行くにもむやみやたらと調べに行ってもしようがないので見通しを立てて、考えたことを確認しながら自分の考えを深めていくみたいなことになるんですけれども、その最初にある問いを立てるというのはなかなか難しいですよね。それ自体を育むことも必要だと思うんですけれども、どこかに入っているのかどうかだけ教えていただきたいです。
【土井主査】 それでは、事務局から今の点、よろしいでしょうか。
【髙見主任教育企画調整官】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。こちらの今現行の部分でもう一度、改善案のほうを御覧いただきたいと思っておりますけれども、例えば思考力、判断力、表現力等のところ、真ん中辺りになりますけれども、この辺りで社会に見られる課題を把握して、その解決に向けて見通しを立てて考えたことを確認しながら、社会への関わり方を選択・判断したりする力、この辺り、あるいはその下の学びに向かう力、これは態度になりますけれども、そういった中でよりよい社会を考えて見通しを立てて、自ら学びを振り返りながら主体的に追究する、こういった辺りが先ほど先生がおっしゃった趣旨に近い部分かと思いますけれども、ただそこがまだあまり明示的でないということも御意見の一つだと思いますので、もしそれで足りないということがあればまた書きぶりについても検討していきたいと考えているところでございます。
【諸富委員】 ありがとうございます。
【土井主査】 ありがとうございました。
それでは、梅津主査代理から、よろしくお願いいたします。
【梅津主査代理】 よろしくお願いいたします。ここまでずっと委員の先生方の貴重な御意見を伺ってきました。私は主査代理を務めさせていただいておりますが、これから発言しますのはもちろん一委員、梅津としての発言としてお聞きください。私は議題1で議論されたことと現在行われている議題2、目標に関わる議論を私なりに結びつけながら、私の現在の問題意識から、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
社会科教育実践史を踏まえた私の理解では、昭和33年告示の小・中学校学習指導要領以来、私が専門とする社会科教育では、問題解決学習から系統学習への転換が実質化されたという文脈で昭和33年版要領を位置づけます。以来、平成元年に高校社会科が地理歴史科と公民科に再編されるなど教科・科目の編成が変わりましたし、目標・内容は時々の時代の変化の中でそれぞれ意義あるものが組み込まれながら改変されてきたと思ってはいますけれども、根本的に昭和33年版要領以来、変わっていないことがあると問題意識として思っているのは、今日の1番目の議題にあります内容等の系統的、体系的な整理というのを議論する際に、実質上この「系統」、「体系」という言葉が内容精選の論理を持ち得なかったということなんです。
変わらなかったのは何かというと、基本的に内容が学問の系統によってつくられてきたということなんです。もちろん委員の先生方、たくさん専門科学に携わられている先生がいらっしゃいまして、最先端の学問の議論においては、総合・横断的な探究ですとか、知の総合、あるいは各学問において現代社会の諸課題にどう分析的、構造的に切り込んでいくかというようなことを考察されていると思いますけれども、学習指導要領の内容の編成という観点から申し上げますと、私が特に平成29年版要領で関わりました歴史的分野が象徴的なんですけれども、基本的に日本の通史を前提としながら古代・中世・近世・近現代のように区分していく、それ自体が歴史学の通史の系統に即して内容が編成されていて、今次、強調されようとしている現代的な諸課題や社会構造の変化の中で世界や我が国の現状や課題を捉えていこうとする社会問題解決的思考というのは、この学問の系統に基づく分化した内容編成のもとでは十分に担保されておらず、せいぜい現代的な諸課題の考察は付加的に、歴史では通史の中に組み込み式で入っていくぐらいのところでずっと扱われてきたのではないかと思います。
2つ目の、内容の精選を持たない根本的なものは、基本的に教科の目標から内容と方法を語るということがなされなくて、結局、分化していく分野であったり科目であったりの論理で、内容優先で教科の意義を語るものだから、精選の論理がそこから生まれないんです。教育的には目標が語られないところで内容の精選の論理はないはずなのに、そこが非常に弱くて、歴史的分野をまた例に持ち出しますならば、古代・中世などと区切られると、本来だったら古代の時代の特色、意義とかを大観的・概念的につかんでいかなければならないのに、結果として事件史的・時系列的に何年に何があったとかということを押さえないと心配になり、歴史的意味や意義はせいぜい事件史において押さえていくことになっているのが問題だと思います。
加えて、古い例ですが、かつて歴史総合ができる前、平成元年の高校教科再編後科目に世界史Aとか日本史Aとかがありました。世界史Aを例に挙げるならば、あれは8世紀とか13世紀だとか世紀を取り上げて、ネットワークとか変容・再編とかということをキーワードにしながらまさにグローバルヒストリーとして歴史を構造的・横断的に捉えていくというのがポイントだったのに、8世紀と切っても8世紀が分かるためには7世紀が、7世紀が分かるためには6世紀が分かっていないと分からないでしょうみたいなところで誘惑に駆られ内容をふくらませてゆくものだから、結局、内容の精選がそこでも生まれてくることはなく、標準単位2単位では全く受験に使えないということになる訳です。これが2つ目。
そして分化社会科と関わると、どうしても現場の先生方にも拭い切れない、私たちにも拭い切れないものとして、分化させるんだったら小・中・高と学年が上がっていくなかで内容をより詳しくしていかねばならないということで、分化は内容の詳細化とセットになっていきますので、内容の精選の論理をここでも欠くことになります。
そして2番目の課題である目標との関わりで申し上げますと、様々な努力がなされたんでしょうけれども、私の理解では知識目標の書き方が内容の精選の論理を阻む象徴的なものになっていると思うんです、中学と高校において、本目標として公民としての資質能力の育成という本質的ではあるけれども理念的な教科目標を掲げた上で、各分野とか各科目の知識目標になっていきますと、内容の分化を前提に地理的な内容、歴史的な内容、現代社会の諸課題に関わる内容の理解を通して思考力・判断力や表現力を育成するということになります。これは一見、何の矛盾もない、受け入れるべき文脈のように思いますけれども、結局、知識目標の歴史、地理、公民的な内容の理解を踏まえてということに実質重きがおかれるので、ここでも内容の精選の論理は生まれてこないのです
最後、これから皆さんと一緒に考えたいことを2つだけ述べるんですけれども、それを改善していこうとするときにこの中核的な概念とは何か、何を基準にセレクトするのかが一番肝だと思われまして、そうするとこの中核的な概念も内容の精選の論理を何らか持たせて導き出さなければいけないのですけれども、そうなると今日の1番目の議論に出てくる思い切って現代社会の諸課題研究だとか、社会構造の分析・考察を経て世界や我が国が直面する社会課題や論争問題の議論につなげていくという趣旨から、学問の系統というよりも社会問題の分析・議論のための道具として使えるような概念をどれだけセレクトできるかというのが、一番重要だと思っています。これがまさに今日求められている「21世紀型スキル」育成につながる内容改善の方向性であると考えます。
考えていることの最後、2つ目は、私は今の小学校の社会科の目標を参考にできないのかと常々思っています。それは何かというと知識目標の書き方が、小学校は分化されたそれぞれの「内容の理解を通して社会生活を理解し」と書いてあるんです。ところが中学・高校になると「通して社会生活を理解し」というのがなくなって、それぞれの分化した内容を支えるような書き方で知識目標が書かれているので、結局、分化した分野・科目の内容を正確に理解しないと公民としての資質能力は育たないでしょうという論理に言質を与えることになっているのではないかと。2つ目の私の意見は、小学校の目標の書き方を中学や高校も参照すべきではないか、知識目標が「社会」に焦点化されるべきではないかというのが結論であります。以上です。
【土井主査】 ありがとうございます。
もう時間が過ぎていますので、私からは簡潔に申し上げます。この議題2につきましては、社会科、地歴公民科として、見方・考え方や中核的な概念、そして具体的な概念や能力等をどう関係づけて整理をするのかが重要になるだろうと思います。知識の習得と言いますけれども、知識はどこからか降ってきたわけではなくて、知識そのものは思考判断等の成果として出来上がってくるものですから、基本的にはまずどのようにして知識が生成されるのかを考えるためにも、この社会科等の科目において思考判断がどのような形で構造化されて行われるのかを、学習してもらう必要があるのだろうと思います。この部分がないと、全てを知識として理解しない限り何もできないことになってしまいますので、その意味で中核的な概念等が重要なんだろうと思います。
しかし他方で、全てを最初から思考判断によってつくり上げていくということになりますと、それはそれで人類の積み上げてきた英知を全て1からやり直すことになりますので、ある程度重要な知識はしっかり習得した上で、2つを組み合わせて回していくということが重要になってくると思います。私自身、まだ見方・考え方と中核的概念をうまく整理できていないのですけれども、基本的には今申し上げたような思考とか判断をどのような形で教科、科目で構造化していくのか。そこから得られた知識がどのような形で体系化されるのかという、原理に関わるような部分を意味しているのではないかと考えています。
それを身につければ、現にある知識がどのような過程を通じて築き上げられてきたのかを踏まえて習得することができますし、今、知識として整理されていない問題を今後どのような形で解明し学んでいくのかということも習得できる、これを両輪でやっていくということになるんだろうと思います。ただ、これを具体的に各教科、科目でやるとなるとかなり難しい問題が出てくるかもしれませんけれども、基本的な枠組みとしてはそうなのだろうと思っています。
ただ、このような問題を各学問分野といいますかディシプリンでやるのか、今、梅津主査代理から御指摘がありましたように、学問分野は学問分野なんだけれども、その学問分野のそれぞれの論理をどこまで教育の観点で各学校段階、あるいは発達段階で取り入れていくのかは、これは学問分野の問題ではなくて教育の問題だろうと思いますので、そこをどのように組み合わせていくかによって、最終的に知識の分量が膨れ上がらないようにしていく必要があるということだろうと伺っておりました。どうもありがとうございました。
本日はどうも貴重な意見をたくさんいただき、ありがとうございました。それでは、時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。
最後に、次回以降の予定について事務局よりお願いいたします。
【嶋田教育課程課学校教育官】 それでは、事務局から御連絡させていただきます。次回の日程につきましては、後日、事務局より改めて御連絡させていただきます。
【土井主査】 それでは、以上をもちまして、本日は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――