教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第9回) 議事録

1.日時

令和8年2月20日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 「AIを含むデジタル学習基盤の活用の在り方」について
  2. その他

4.議事録

【酒井主査】  はい、皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第9回外国語ワーキンググループを開催いたします。
 本日は、AIを含むデジタル学習基盤の活用の仕方を主な議題として審議を行います。審議を行うに当たり、京都大学准教授の金丸様、本ワーキングの髙木委員、株式会社ジェネシスAI代表取締役社長CEOの今井様にご発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議題に移ります。本議題に関する論点資料について、まずは事務局より説明をお願いしたいと思います。続けてお三方にご発表いただき、それぞれ終了後に質疑応答の時間を設けたいと思います。本日の会議時間はいつもより短く2時間ではございますが、皆様全員にご発言をいただきたいと思いますので、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは事務局よりご説明をお願いいたします。
【田井外国語教育推進室長】  外国語教育推進室長の田井でございます。資料についてご説明いたします。
 今回は、AIを含むデジタル学習基盤の活用の在り方についてご議論をお願いいたします。全体ではこちらの部分でございます。なお、前回の活動を通した指導につきましては、様々ご意見いただいたところでございますが、今回は時間の関係で議題とすることが難しいため、次回以降に引き続きご議論いただきたいと考えております。
 まず現状と課題、デジタル学習基盤の活用の現状についてです。デジタル学習基盤により、効果的な学習を増やしたり、主体的に学習を調整できるインフラが整い、活用を推進していること。英語のデジタル教科書については、令和4年度から小5・中3を対象に導入し、活用が進んできたこと。デジタルドリルや動画等のコンテンツ活用、1人1台端末を用いた発表や話すことにおけるやり取りは増加傾向にあり、英語力の向上に寄与する効果も示されていること。一方、遠隔地の英語に堪能な人との個別会話が英語力の向上に寄与することが明らかとなっているが、実施している割合は中高ともに約10%であり、1人1台端末の更なる活用も期待されること。全体として見ると、自治体間、学校間、教師間で授業内外における1人1台端末の活用状況に差があり、伸びしろの余地が大きいことを挙げております。
 これを踏まえた方向性、右側といたしまして、企画特別部会の論点整理では、デジタル学習基盤の役割を明確にする方向性が示されたところであり、総則評価部会において総則に盛り込む要素の検討が行われていること。外国語教育においては、デジタル学習基盤の活用により授業内外の多様な活動が可能となり、英語力の向上に寄与する事例も示されており、学校現場での活用格差が英語力の差につながらないようにする必要があること。また、現在検討中の資質・能力を育成するための活動を通した指導について、効果的な実践を広く普及させる観点からも、デジタル学習基盤の活用は不可欠であること。このため、外国語の学習指導要領においても、デジタル学習基盤の活用を図る旨を明記するとともに、各学校現場で参考となる考え方や実践事例を示してはどうかとしております。例として、英語を学ぶ動機づけを高める機会への活用方法、紙とデジタルの良さを生かした指導の在り方、知・技と思・判・表を育成する活動への活用方法、自律的学習者を育てるための活用方法を挙げております。
 続いて現状と課題、AI活用に関する現状についてです。生成AIが進化する中、学校現場が適切に生成AIと向き合い、利活用することができるよう、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインが策定されており、人間中心の利活用等の基本的な考え方や、学習指導要領に定める資質・能力の育成に寄与するか、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味することが必要など、押さえるべきポイントを示していること。外国語教育においては、46団体326校で実証事業を実施し、授業内外の学びの充実や話すこと、書くことの向上に一定の成果が見られた一方、AIからのフィードバックを指導に生かせなかった事例もあるなど、AI活用は道半ばであること。児童生徒の学びを主軸に効果的に活用できるよう、在り方の整理が求められていること。授業時間の制約もある中、外国語学習の質と量を最大限高めていくことが喫緊の課題であり、AI活用は個に応じた指導の充実、教師等の負担軽減等が期待されるとともに、特に外国語では、児童生徒の発話量の増加や、英文添削を含めたフィードバックの向上、興味関心に合った教材・例文の作成など、練習量の増加や動機づけの強化、発信力の強化が期待されること。各種AIの一層の発展が見込まれるが、AI活用が学習指導要領に位置づけられていないことが学校現場での活用格差を生み、外国語学習の量や質の差に繋がる懸念があることを挙げております。
 次に対応の方向性、右側といたしまして、外国語教育でAIを適切に活用することにより、学習過程の一層の充実と発信力強化が期待されることから、デジタル学習基盤の活用を学習指導要領に明記するに当たり、AIの適切な活用が有効である旨も明示的に位置づけてはどうか。その際、教師等の役割がより重要になる点に留意し、AIに任せさえすればよい、教師・ALT等の指導の代替となり得るといった誤解を招くことなく、児童生徒の資質・能力を一層伸ばす方向で活用できるよう、参考となる考え方や留意点、動画資料等を示してはどうかとしております。
 例といたしまして、指導における効果的な位置づけ、活用方法や留意点、具体的にはAI活用の基本的な考え方、効果的だと期待される場面と留意点、第二言語習得等の知見を踏まえた活用方法、指導改善の充実など。児童生徒による効果的な活用方法や留意点、具体的にはフィードバックを学びにつなげる活用方法、単なる翻訳機のような使い方とならないための評価や指導上の留意点、授業内と授業外の連携を意識した活用を挙げております。またその際、外国語教育に特化したAIと汎用型AIの違いに留意すべき旨を記載しております。また、これらの資料については、今後の情報・技術の変動を踏まえ、適宜更新を図ってはどうかとしております。
 スライドの4と5は、これまで議論いただいた資料の再掲でございます。スライド6以降は総則評価特別部会情報・技術ワーキンググループの資料の抜粋でございます。
 少し飛んでスライド9、総則・評価特別部会の資料をご覧いただければと思います。総則に盛り込む要素案として、デジタル学習基盤の効果的な活用が挙げられており、活用のための必要な環境を整えるとともに、適切に活用した学習活動の充実を図る旨が示されております。
 次にスライド13をご覧いただければと思います。学習の基盤となる資質・能力として、情報活用能力と言語能力が挙げられ、これらの資質・能力の在り方を総則に位置づけることや、各教科を通じて体系的に育成する方向性が示されております。
 次にスライド18、情報・技術ワーキンググループの資料をご覧いただければと思います。左側の上から4つ目、5つ目のポツでございますけれども、AIを使いこなす力の育成は、情報活用能力の育成の基本的な考え方を踏まえ、主として核となる教科等で系統的に育成し、各教科等の文脈で効果的に機能させることが適当であること。AIの活用が深い学びにつながらないと考えられる例や、各教科における効果的な活用例を含む具体的な利活用のポイントは、各教科ワーキンググループでの検討や諸外国での議論、学校現場における実践の蓄積等を踏まえつつ、指導要領改訂を待たずしてガイドライン等で対応するとともに、深い学びの実装に向けた評価の在り方については、教育課程全体の議論の中で検討する必要があることが示されております。
 次にスライド21をご覧いただければと思います。核となる教科においてAI自体を学ぶ学習内容のイメージとして示されたものでございます。またスライド22は、核となる教科においてAIを活用して学ぶ考え方のイメージとして示されたものでございます。
 続いてスライド23はOECDの報告書の概要でございます。生成AIが学習の質を高める可能性とともに、過度な依存による学習者の認知負荷の低下や教員の専門性・自律性への影響といったリスクが示され、適切な政策の重要性が指摘されております。スライド25、26はAI一般のリスクに関する資料でございます。
 続いて参考資料、データについてでございます。こちらは第1回でお示しした資料と同様でございます。スライド30でございますが、文部科学省が策定している初等中等教育段階における生成AI活用ガイドラインの概要でございます。こちらも第1回でお示しした資料でございます。スライド32は英語教育に活用されているAIの特徴を示したものでございます。発音やスピーキングなどの目的特化型のものから汎用型のものまで様々ありまして、活用の在り方を考える際にはこれらの違いにも留意して議論する必要があると考えます。
 ここからは文部科学省の実証事業に関する資料でございます。こちらは本年度の事業概要で、赤字が予算上の目安の数字、吹き出し部分が実績となっております。今年度は46の自治体や学校法人、国立大学法人、民間事業者に委託し、全国で326のモデル校を指定いたしました。また、各モデル校において総勢793人のAI・英語活用リーダーを選任し、実践や普及に当たっていただきました。こちらは各採択団体ごとの取組内容と使用したAIについての資料でございます。今年度の事業の実施状況は本事業のプラットフォームサイトで情報提供をしております。また、事業の中で活用リーダーに対する勉強会を実施し、先ほどのサイトで内容を公開しております。
 こちらは話すこと、書くことにおける授業の中での活用場面の例示でございます。ここからは事業において見られた成果についてご説明いたします。各モデル校においてAI活用前後の生徒の英語力を測定・集計したところ、中学校では話すこと・書くことともに全ての学年でCEFR A1相当以上の割合が増加、高校では話すことは1・2年で、書くことは全学年でCEFR A2相当以上の割合が増加をしております。ただし、AI活用以外の学習成果も影響していることには注意が必要な資料でございます。
 次に児童生徒へのアンケートについては、AI活用により意欲が向上した、どこをもっと良くすればよいかが分かったと答えた児童生徒が6・7割となっております。教師へのアンケートにおいても、主体的に学習に取り組む態度、学習意欲の向上が見られたとの回答が得られております。なお、教師へのアンケートでは授業への効果は「児童生徒一人一人に応じた学習内容を提供できる」が最多となっております。
 また、採択団体からの報告書では、児童・生徒への効果として、英語を学ぶ意欲や自信の向上、自主的に学びを深める姿の増加、自分に合った学び方の選択などが挙げられております。また、教師・ALTへの効果として、個に応じた指導や指導の焦点化が可能となったこと、より教師の役割を意識するようになったこと、業務負担の軽減や教師間、教師・ALT間の協働が充実したことなどが挙げられております。
 ここからは事業において見られた課題についてでございます。採択団体からの報告書に挙げられた課題を踏まえると、効果的なAI活用に必要なポイントとして、年間を通した指導単元計画や授業デザインの中にAI活用を適切に位置づけること、活用を資質・能力の育成につなげるための工夫を行うこと、教師やALTによる児童生徒の見取り、指導、価値づけ、支援が重要であることが挙げられます。なお、先ほどの3つ目のポイントに関連して、教師へのアンケートでは、児童生徒の学習の様子をよく見取り、指導の改善につなげたかという質問について、否定的な回答も一定見られております。教師へのアンケートで活用における課題として挙げられたのは、中高ではインターネット環境の不安定が最多であり、主に環境面が課題として感じられております。
 こちらは来年度の事業概要でございます。予算額は6億円から4億円に縮小し、活用リーダーの枠組みはなくなりますが、概ね本年度と同様の枠組みで実施を予定しております。
 なお、参考として諸外国の英語教育におけるAI活用について、ブリティッシュ・カウンシルの報告書の概要をまとめております。AI活用の現状等として、研究の現状、英語教育におけるメリット、AIツールの活用状況などが示されており、メリットとしては学習内容の個別最適化、発話における心理的不安の軽減、英文添削のフィードバックによるエンゲージメントや自己効力感の向上等が挙げられております。次に課題として、教師のスキルギャップ、デジタル格差、AI活用の各種リスクなどが挙げられております。また、実践に向けた示唆として、教師及び学習者のAIリテラシー育成、倫理規程やデータプライバシー確保のシステムの必要性、AI活用への過剰な期待に対して慎重になる必要性などが挙げられております。
 資料の説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【酒井主査】  事務局からの説明にご質問やご意見がございましたら、後ほどの意見交換の際にご発言いただければと思います。
 続きまして、京都大学の金丸様よりご発表をお願いしたいと思います。金丸様からは英語教育におけるAI活用の基本的な考え方について、学習指導要領の資質・能力を育成する観点からご発表いただく予定です。それでは金丸様、どうぞよろしくお願いいたします。
【京都大学(金丸)】  ご紹介ありがとうございます。京都大学の金丸と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、先ほど文部科学省様からのご説明にもありましたが、AIの活用による英語教育強化事業にご参加、ご協力いただきました全ての皆様に、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。私、この事業の企画調整委員会の座長も務めておりましたので、本日はその知見も生かした発表として、この場でお礼を申し上げてから始めたいと思います。
 それでは時間も迫っておりますので、早速始めたいと思います。本日は外国語教育におけるAI活用の基本的な考え方につきまして、学習指導要領の資質・能力を育成する観点からお話ししたいと思います。
 まず出発点としまして、ワーキンググループでの議論との接続について確認したいと思います。先ほど提示がありました本質的意義、バージョン3の方で示されておりました「伝わらないもどかしさや失敗を乗り越えるレジリエンス」や、「伝わることによる自己肯定感等の高まり」、「それらを行き来する経験」というのが示されております。この記述はAI時代の外国語教育の方向性を考える上で、極めて重要な示唆を含んでいると考えております。そしてこのレジリエンスを育てるためにAIはどう位置づけられるかというのが、本日の発表の中心的な問いとなっております。
 背景としては以下の3つの状況がございます。まず1つ目が、生成AIによって成果物、いわゆるアウトプットが容易にできるようになったというものになります。これは従来のアウトプット中心の価値モデルというのが揺らいでいることを示しております。第2に、これもワーキンググループの中で示されたことではございますけれども、日本のようなEFL環境では学習、主に練習の時間が非常に不足していると。この学習条件の改善が急務であるということが挙げられます。3点目が、こちらもワーキンググループの資料の中にございましたけれども、小中高、それから大学含めて10年習っても英語が話せないという社会的な認識に対して、この到達像そのものの転換が迫られているということになります。
 そしてAI活用を考える前に、個別の議論に入る前にですね、何のためにそのAIを使うのかという目的をしっかり定めておくということが非常に重要になります。そこで今回、私が提案するのは「コミュニケーション・レジリエンス」という中核概念を提案しまして、これに従ってそれぞれのAIの活用目的というのを据えていくということが重要であるというお話をしたいと思います。
 これは、完全さを前提にせず、相互理解を更新しながら相互行為を維持し、かつ主体的に自らの考え方を形成・発信、そして再構成し続ける志向性と実践力ということになります。この軸は2つの軸から構成されておりまして、1つは「更新的理解」ということで、これは常に考えをアップデートしていくという軸になります。これは受容においては、分からないところで立ち止まるのではなく、それを受け止めたまま次の理解を進めていき、そして途中でそれをアップデート、回復していくという能力、その力ということになります。また、コミュニケーション・相互行為においては、確認ですとか、言い換え、質問、要約をしたりというような行為によって相互行為を形成していくという力になります。
 もう1つの軸が「更新的発信」ということになりまして、相手の理解を常に把握しながら自らのアイデア、表現、これらを更新していくということになります。そしてこの中で、伝えたい内容そのものも対話の中、これは会話だけではなくて文章等の読み込みの中で、自らの考えを対話を通して進化、再構成していく、こういった軸が必要ということになります。
 そしてこの概念を置いた上で、AIをどういうふうに活用していくのかということになりますと、AIはこの学習者の更新の行為、これを支えていくという役割がふさわしいということになります。つまりAIというのは反復、そして個別化、そして省察、リフレクション、こういったものの支援として位置づけることが望ましいと考えております。
 今お話しした、AIを外国語教育の中にどう位置づけるのかということに関しまして、AIはこの次の3つの機能、この点を特に重視する必要があると考えております。
 まず1つ目が「反復」ということになります。AIを相手にすれば恥ずかしがらずにたくさんの練習をすることが可能になります。EFL環境の使用機会の不足を、こういった設計された、きちんと安全な環境の中で反復することで補うことが可能になります。ワーキング資料の中でも「恥ずかしがらない練習量の大幅な増加」というのが具体策として挙げられていますけれども、これがAIの1番の機能ということになります。
 続いて「個別化」ということですけれども、先ほど個別最適化というお話がありましたが、後ほどもお話ししますが、AIが得意なのはこの個別化というところが特にポイントになります。学習者の知識・技能・関心に応じて言語素材、言語材料を作成したり、それから難易度ですね、そういったものを調整することができます。多様な学習者を包摂するためにも、このAIの機能というのは有効に活用できると考えております。
 3つ目が「省察、リフレクションの支援」ということになります。これはAIによる即時フィードバックによって試して、そしてAIからのフィードバックを受け、またそれを生かした上で新たに発信をする、理解を試す、そういった繰り返しができるようになります。しかも短時間で回せるようになるということになります。重要なのは、この3つの機能というのはいずれもそれ自体が目的ではなくて、先ほど申し上げたコミュニケーション・レジリエンス、レジリエンスの育成という目的に対する手段として位置づけるということが重要となります。
 続きまして、この中核概念を備えた上で、実際に今年度の事業を振り返って考えてまいりたいと思います。こちらは先ほど文部科学省様の説明にもありましたけれども、話すこと、書くことにおける活用場面で、このような使われ方、活用がたくさん見られたということになっております。そして実際にこういった活用を導入することによって、学習者の行動も変わり、また英語運用能力、英語力そのものにも大きな影響が見られたということになります。もちろんその効果につきましては様々な要因を含むものになりますので、必ずしもAIが全てであったと言い切ることはできませんけれども、少なくとも今回事業に参加された中では多くこういったことが見られたということになります。
 その中において確認しておきたいのは、この成果というものは必ずしもAIを入れれば良いというものではなく、AIをどのように使うのかという設計が非常に大事であったということを強調しておきたいと思います。
 第1に、AIというのは先ほど述べましたように、個別最適化のうち個別化というのは非常に得意ではあるんですけれども、児童生徒1人1人に合わせた最適なフィードバック、最適な教育、最適なアドバイスが与えられているというわけでは必ずしもありません。それを支えるのはあくまでも授業の中で見取っている教員の役割ということになります。学習者にとって何が最適であるのかというのは、教員にしかできない大事な役割ということになります。
 第2に、授業設計が弱いとAIの導入効果というのは生まれにくいということも明らかとなっております。単元目標や評価の設計が不透明だと、AIを使ったとしても、それは何のために使ったのか、何を学んだのかということが明らかにならず、効果は十分なものが得られないということになります。これはAIに任せれば良いとか、AIが教師の代わりになるという誤解を防ぐ上で極めて重要な知見であると考えております。
 次に教師、役割分担、それから校種別、それから授業内外評価について述べてまいりたいと思います。まず教師・ALT・AIの位置づけということですけれども、これは代替ではなくて連携による相乗効果を目指すものということになります。教師の役割は設計者であって、AIを最適に活用するための設計者ということになります。単元全体の設計であったり、それをどう指導に生かしていくのか、指導改善、形成的評価による指導改善などを担うのが教員の役割ということになります。教師自身がまたさらにAIを学びに使うモデルとなることも非常に重要となります。
 続いてALTの役割ですけれども、これはある意味、外国語を使っている外国語の話者としての真正な対話者という位置づけとなります。文化的・言語的に異なる他者とのリアルなコミュニケーションというのは非常に重要なコミュニケーションの機会であって、これはAIでは決して代替できない人間同士のリアルな対話という機会を提供する上で非常に重要な役割を担っていると考えています。
 そして3つ目がAIですけれども、AIでは代替不可能な人間同士のリアルなコミュニケーションを支えるための練習ということになります。そして、そういった即時のフィードバック、リアルタイムの会話から、どのように自分の知識・技能につなげていくのか、そういったリフレクションというのが非常に重要になってきます。ですので必ずしもAIを使ってやりっ放しで身につくというものではないということになります。
 続きまして校種別の考え方ということになりますけれども、それぞれAI活用が効果的と期待される場面について整理してまいります。先ほどお話しした特にコミュニケーション・レジリエンスという考え方から申し上げますと、小学校ではAIを補助的に活用することで、例えば分からなくても大丈夫、全てが分からなくても言いたいことが何となくこういうことであるとか、そういった理解、それからAIであれば間違えても大丈夫というような安心感、そういったものの醸成に焦点を当てていくということになります。教師・ALTとのリアルな対話体験ということも大事になりますし、またジェスチャー・絵などの非言語情報を手掛かりとしたコミュニケーション理解ということも、非常に重要な役割ということになります。
 続きまして中学校からですけれども、中学校からはAIとの安心できる対話相手というような位置づけで、複数ターンの会話練習ですとか、作文に対する添削、その添削をもらってからまたさらに書き直すというようなことが活動として期待されます。ただフィードバックをもらって修正するだけではなくて、どうしてこのように変えたのか、そこから何を学んだのかっていうようなことをきちんとリフレクションを行って、さらに外化、きちんと自分の言葉でそれを明らかにしていくということ、いわゆるランゲージングということになりますけれども、これが中学校では非常に大事な位置づけになるかと思っております。さらにここでは、いわゆるコミュニケーションでいう談話標識、ディスコース・マーカーなどの体系的練習というのも必要になってくるのではないかと考えております。
 高校になりますと、今度はAIの活用については批判的な検討、批判的な活用という視点が大事になってまいります。例えば複数の情報を統合して、自ら判断しながらどういう情報、どういうものを取り入れていくのかというような、より高度なAI活用に向かって、この練習を繰り返しながらコミュニケーションにつなげていくという姿勢が大事になってまいります。特に現行の論理・表現など行われているような、自分のコミュニケーションにこのAIの活用、出力をどういうふうに生かしていくのか、そういったところの育成、そしてさらにコミュニケーションのレジリエンスの関係から言いますと、1対1でワンターンで終わるのではなくて、対話を続ける力、こういったものの育成につなげていくということが高校段階では非常に重要になってくるというふうに考えております。またそのための談話標識ですとか定型表現、分からない時にどう聞き返すのか、自分の理解がこれでいいのかを確認するにはどうしたらいいのか、そういったコミュニケーション・ストラテジーの習得というのも視点として大事になってくるかと思います。
 続きまして、授業内と授業外の連携ということになりますけれども、特にこのAIは授業外でどのように使われるのかというところが非常に不鮮明なものになっておりますので、授業内と授業外の位置づけというのは非常に重要になってきます。授業内では言語活動、こういった更新活動が起きる場として設計をして、その中で教師・ALT・学習者同士の対話を主役とするような活用が非常に重要になります。ですので、AIの活用場面としては主に言語練習であり、それから短いやり取りの繰り返しというところが非常に重要になります。それも何のために行うかと言ったら、そのやり取りを通して自ら何を学んだのか、そういったことを深めていくということがAIの活用として重要になってまいります。
 一方で授業外、家庭学習でどうするのかということですけれども、これまでは課題というのは積み残した内容を自宅で行って、そして提出するというような、ある意味成果物の作成というのが据えられていたところがあります。それに対して今回提案するのは、こういった自己調整の学習のサイクルを家庭で行うという位置づけが非常に大事になってくるということになります。あくまで授業内で理解できなかったこと、できなかったこと、それを家庭で繰り返すことによって何が分かったのか、授業中でできなかったこと、分からなかったことが家庭においてどういうふうにできたかっていうことを確認することが、家庭学習で大事なポイントになってまいります。それを授業にまたフィードバックすることによって、常にアップデートできるような力をトレーニングしていくというような形でつなげていくことが重要になります。
 また授業外での使用の機会の確保や充実ということで、特にALTの先生だけではなく、日本語・日本人の学習者以外の人とのコミュニケーションということで、例えば地域特性を生かした活動、これはAIを活用した実践でも見られたところでありますけれども、外国人観光客の方であるとか、地域の在留外国人との英語による交流を、授業の中で試した力を学外で試すという機会として、またオンラインの活動の中でこういったコミュニケーションの能力を発揮していくということが大事になってまいります。いずれもただ単に教室の中で学んだフレーズを使うというだけではなくて、初めて会う人とのやり取りをどういうふうにつなげていくのか、続けていくのか、こういった観点を持ち込むということが非常に大事になってくるかと思います。
 最後がパフォーマンステストのことになりますけれども、パフォーマンステストにおけるAI活用とその留意点ということになりますと、AI環境下、AIの時代においてはこのアウトプットの質というのが必ずしもこの学習者の内部状態、どういうふうに理解しているか、どれぐらい分かっているのかということを直接的に反映しないということになります。そうすると、このパフォーマンステスト一体何を測っているのかという根本的な問題に直面することになります。そうしますと、表面的なアウトプットだけによらないプロセス評価の仕組みが必要ということが言われているわけですけれども、じゃあ実際にそのプロセスの何を見るのかっていうところが本質的な議論ということになるかと思います。
 そこで先ほど申し上げたコミュニケーション・レジリエンスということに注目しますと、まず知識・技能という点で大事になるのが、コミュニケーションを続けるための知識・技能というふうに位置づけられます。例えば先ほど申し上げたディスコース・マーカーですとか、聞き直しとか、自分の理解を確認するための表現、そういったものを使用しながらコミュニケーションの理解を修復したり継続していくというようなリアルな運用能力、こういったものが重要になってまいります。それから思・判・表に関しまして言いますと、コミュニケーションに対するメタ認知能力ということになるかと思います。例えば、自分の書いたものをAIのフィードバックによって修正する場合に、なぜそれを変えたのか、どこをどういうふうに変えると良いと自分が判断したのか、そういった最終的なアウトプットではなく、どのような思考・判断を経たのかということがむしろ重要な評価のポイントになってまいります。
 そして、これは学びに向かう人間性等ということですけれども、直接的な評価に限らなくても、これはレジリエンスの情意的な側面の醸成として非常に重要な役割を占めるということになります。例えばコミュニケーションがうまくいかなかった時、自分が理解できなかったような時に、それでコミュニケーションを諦めてしまうのではなくて、そこからどうやって理解を回復し、お互いの認識を一致させていくのか、そういったことに向かう力の育成がこのAI時代非常に重要になってくるということになります。それを行うために、普段からやり取りを通じてどのようなことを考えたのか、どこでそれがうまくいかなかったのかっていうような、いわゆるリフレクションを重視して、そこからその学習者の認識、もしくは意識の変化というものを捉えていくということが非常に重要になってまいります。もちろんそれを従来のように紙だけではなくて、電子的に使うことによって、それをAIを使って教員の評価のサポートを行っていくという視点も重要になってまいります。
 制度設計と運用についてですけれども、制度設計の面におきましては、やはり教育委員会の果たす役割というのは非常に重要になってまいります。特にこの4つの柱ということになりまして、先ほど申し上げましたようにAIを活用するということにつきましては、どのように授業目標を設定し、その中でどういう技能の育成、知識の育成にAIを活用するのかという視点が非常に重要になります。ですので、こういったAIの技術的研修だけではなくて、単元や評価の設計力、そういったものを育成する研修というのが非常に重要になります。また家庭学習の環境の差が英語力の格差に直結しないっていうことが非常に重要になりますので、AI活用の機会保障、それから格差防止を具体的な制度としてきちんと担保していくということが求められます。またこういった文部科学省の実証事業などの先行事例の知見の組織的な共有と、それを蓄積し共有するためのプラットフォーム、具体的なものとして設定していくということが非常に重要になります。ただ単に共有しましょうというだけではうまく動かないということになりますので、それをきちんと仕組みとして作っていくことが非常に重要となります。
 最後に運用方針ということになりますけれども、各学校の実態に応じた柔軟な対応というのが必要になります。一律でこうしなさい、一律でAIを入れましょう、もしくは一律でAIを使わないといったような画一的な仕組みでは、非常に問題が起きやすいということになりますので、その利用範囲ですとか、AI活用における透明性の確保、こういったことについては各学校で制定することが難しい面もございます。そういった時に、選択可能な具体的なリスト、例えば授業の中でどう使うか、A案・B案・C案みたいな形で具体的なリストを提示することで、各学校の負担を軽減しつつ、同一の枠組みの中で柔軟な対応が取れるような仕組みを作っていくということが重要かと思います。
 最後にAIを活用した指導のサイクルということになりますけれども、第1段階、まず繰り返しになりますけれども設計、これが非常に重要ということになります。AIをどういう場面で活用するのか、また何のために活用するのかという位置づけをはっきりと教員、教師、学校、自治体で定めていくということが重要になります。
 続いて実施の段階ということになりますけれども、これは授業内ではあくまでも人間のコミュニケーションを目指すという目的のもとにAIを活用していくということになります。またそのAIを児童生徒に使わせるだけではなくて、その使った内容をきちんと個人に合わせた形で指導していくという、最適化につなげる指導というのが非常に重要であるということになります。
 その実施した内容をさらに学習記録、つまりプロセスの観点からきちんと判断、指導をしていくということが大事になります。そこで大事になるのが学習者、児童生徒がどのようにAIを活用して、そこから何を得ているのか、これをしっかり確認していくということが重要なポイントとなります。
 最後が観察をもとにフィードバックということになりますけれども、これはもちろん授業設計ですとか授業目的へのフィードバックということもございますし、それぞれの児童生徒に対する個別の介入、例えば十分にAIのフィードバックを活用できていない児童生徒に対しては適切なアドバイス、指導を行うですとか、そういった観点が必要となってまいります。そして、これをうまく回していくことでAIの活用と指導の改善、教育の改善ということにつながっていくということになります。
 以上お話ししてまいりましたことですけれども、最後に次期学習指導要領におけるAIの活用の位置づけについて、5点まとめております。まずAIを3つの柱の学習基盤として位置づけ、そして導入場面を明確にするということが求められるかと思います。つまりAIを何でもいいから使いましょうですとか、AIを避けましょうというわけではなくて、どういう場面にこれを活用していくべきだということを明らかにしておくことが重要ではないかと思います。
 2点目はコミュニケーションを続けるという力、こういった新しい考え方を目的として定めることで、例えばお互いの理解であるとか、コミュニケーションを継続することの重要性、その観点に基づいてAIを導入することによって、段階的に活用していくという流れができてくるのではないかと思います。
 3番目が校種ごとですけれども、効果的な場面、それから教師・ALTの役割、これを具体的に例示すること。
 4番目が授業内の連携、そしてAIを課題のために使うわけではなくて、自分の自己調整学習の導入の仕組みとして位置づけることによって、AIの有無が家庭学習の差につながらないような仕組み、こういったものを設定しておくことが重要となります。
 最後は授業設計においてですけれども、どのようにそのコミュニケーションにつなげていくのか、これがAIを使っていく上で非常に重要となる考え方かと思います。長くなりましたけれども、以上で私の方の説明は終わりとなります。
【酒井主査】  それでは金丸様のご発表に関して、ご質問のある方は挙手ボタンよりお願いいたします。はい、亘理委員、お願いします。
【亘理委員】  金丸先生、事業の座長としてたくさんの実践を見られて、汎用型か目的特化型かハイブリッド型かは今は区別しないものとして、デジタル学習基盤として一緒にあることが求められる要素、要するにインフラとかソフトとして、「これは一緒に伴っていないと、つまり環境整備をしないと生成AIがうまく使えないのではないか」と思われたものがあったりしますか。
【京都大学(金丸)】  具体的なものということでしょうか。
【亘理委員】  学校の環境、例えばネット環境が強いというのは当然にはなると思うのですが、事業を見られた中で、これはもうちょっと整備しないと、今日お話しくださったことを十全に実行できないのではないか、というようなことがあればお聞かせください。
【京都大学(金丸)】  繰り返しになりますけれども、やはり授業を設計する段階において、教師の方がこのAI、外国語学習に特化した特化型のアプリであっても、プロンプトを使うような汎用型のAIであっても、それを実際の授業のどういう技能、知識の育成につなげたいのかというところがないと、結局そのAIを使うだけに終わってしまうっていうことが非常によく見られましたので、やはり授業設計の段階で、この機能、このアプリを何のために使うのかっていうところが非常に重要だというふうに感じました。ですので、ある意味授業力ですね、教師の授業設計力っていうのが非常に重要だということを痛感しています。
【酒井主査】  藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  金丸先生の今のお話、非常に納得することばかりというところで、私も共感する点が非常に多かったんですけれども、その中でも特に資料で言うと10ページになるのかな、評価に関する部分なんですけれども、基本的にこれからこのパフォーマンステストの転換ということで、いわゆるプロダクトベースな評価というところが、今後は多分こういうところではあまりうまくワークしなくなるであろうと。で、むしろ普段日常的なものをキュムラティブな、蓄積的な形で見ていくとなってくると、例えば中高の現場とかでも、いわゆる中間・期末テストによる評価モデルみたいなものがなかなかうまく今度はいかなくなってくるという形で、その辺の制度そのものをちょっともう1回根本から見直すというような必要性に迫られるのかなというふうに思うんですけれども、この辺について先生の何かサジェスチョンとかございましたら教えていただけると助かります。
【京都大学(金丸)】  先ほど申し上げましたように、テストの位置づけですね、これもいわゆる本当に知識だけを問うようなテストというのがこれから先も実際の効力を持つのかどうかということについては、今後の議論の中であのもう少し詰めていく必要があるかと思いますけれども、個人的な見解を申し上げますと、そういった個々の技能の能力ではなくて、また話は戻りますけれども、どうやってそのコミュニケーションを続けていくのか、その技能に繋がるような知識・技能を測っていくということが大事になるかと思います。例えば具体例で示しますと、今までですと「これについて書きなさい」というのがテストであったかと思いますけれども、例えばA案があってB案が出てきた時に、これをどういうふうに書き直したのか考えましょうですとか、A案をこういうアドバイスを受けて書き直しなさいとかですね、そういった能力というのが今後は大事になってくるのではないかというふうに考えております。同じそういう意味ではテストはテストなんですけれども、見る観点が変わってくるというふうに考えております。
【藤田委員】  ありがとうございます。
【酒井主査】  よろしいでしょうか。
 金丸様にはAI活用による英語教育強化事業などに触れていただきながら、AIの活用、特に外国語教育においてどういう役割があるのか、また各学校種においてどう位置づけていくのか、こういうような側面を、特に本質的な意義のコミュニケーション・レジリエンスに触れていただきながら位置づけていただけたかなというように思います。特に外国語教育でどう位置づけていくかという観点で大変有意義な示唆をいただけたかなと思います。本当にありがとうございました。
 続きまして髙木委員よりご発表をお願いしたいと思います。髙木委員からは生成AIを活用した英語授業実践についてご発表いただく予定です。それでは髙木委員、どうぞよろしくお願いします。
【髙木委員】  よろしくお願いいたします。神奈川県の聖光学院中学校高等学校で英語の教員をしております髙木です。先ほどご発表いただいた金丸先生が座長を務められておられた生成AI事業では自治体のアドバイザーをさせていただいておりました。今日はお時間いただきまして、現場の視点から現在取り組んでいる生成AIを活用した英語授業の実践について報告させていただきます。
 まず初めになんですけれども、多くの現場の先生方が「AIの台頭によって教師は不要になるのか」という危機感を持っています。これについて、2022年からここ3年半ほどAIベースのアプリですとか生成AIを授業で活用してきた経験から、役割や在り方には変化が求められると思うんですが、学ぶのが人間である以上、教師が不要になることは絶対にないと僕は考えています。今回は「生成AIの活用」「学習の個別化」「教師の役割」という3つのキーワードを中心にこの点についてお話しさせていただきます。
 まず初めになんですけれども、僕の授業環境についてです。現在中学2年生を担当しておりまして、1クラスが37名から46名の計5クラスを教えています。本校には帰国子女の生徒がおりまして、彼らが取り出しで別枠の授業を受けている関係で1クラスだけ37名になっているんですが、基本的には各クラス46名がいるような状態です。人数をご覧いただいて分かる通り、クラスサイズが非常に大きな学校です。生徒たちは1人1台Chromebookを持っていまして、ChatGPTの無料版とGoogle Geminiの教育向けの無料版を活用しています。クラスサイズが大きいということで、それぞれの学習者がどのように学んでいるのかということに関しては、正直目が届かないという課題感を常々持っていました。そのためICTやAIを導入することによって学習者の個別の課題に対応することを目指して活用し始めました。
 生成AIの活用に関しては様々な立場があると思うんですけれども、僕はこのように考えています。まずAIは、僕が今まで人力だけではなかなかできなかったことですとか、労力的に諦めていたことを実現するためのパートナーであって、僕の代わりではなく、あくまで学習の拡張・変容、あるいは再定義をさせるための手段だと考えています。例えばAIを導入すれば魔法のように課題が解決するというほど学習はシンプルではありません。また、AIを使った学習には適切なインストラクションが必要だと考えています。これはAIに限らず他のどんな教材でも言えることだと思うんですけれども、導入するだけではやっぱり学習効果は上がりません。効果的に導入するためには「何のために使うのか」という目的と、「どのように使うのか、あるいはどう使ってしまうと効果的ではないのか」という方法、そして「それを活用することによってどんな効果があるのか」ということを実感してもらうことを通じて、学習者が効果的な学び方を学ぶということを授業のゴールの1つに設定しています。
 さて、生成AIを学習において活用するということを考えた時に、大きく分けて図のような4つの方向性があるのではないかなというふうに僕は考えています。縦軸は使用者である学習者と教師を表していまして、横軸は対象となる集団と個別を表しています。それぞれのこの4象限というのは明確に分かれたものではなくて、間にグラデーションがあるもので、それぞれ大きな方向性を表しているというふうにお考えください。それぞれの象限では例えば次のような活動や活用の方法が考えられます。
 1つ目の左下にある「差別化した指導」についてです。これには例えば学力差に応じたレベル別の教材作成ですとか、学習タスクの段階化などが含まれます。これは主に授業準備の段階のお話です。2つ目は右下にある「学習の個別化」です。今日は主にこれについてお話しさせていただきます。これは例えば学習者に対して個別にフィードバックを送ることですとか、個別指導が必要な発音のコーチング、あるいは学習者の質問対応をAIに手伝ってもらうなどが考えられます。3つ目は左上にある「AI支援型の協働学習」です。これは例えば学習者がチームを組んでAIと一緒に、あるいは対AIでディベートやディスカッションの練習を行うことなどが考えられます。そして最後に右上の「自己調整学習」ですけれども、これは学習者自身が自分に必要なことを考えながら自分で学習を回していくことを表します。
 初めから右上の自己調整学習に向かうことができればいいんですけれども、実際導入してみるとなかなかそううまくはいきません。この自己調整学習に進むためには、AIを導入しっぱなしにせずに、効果的な活用ができるように適切に足場をかけてあげることが必要だと感じています。なので、例えば差別化した指導で教師が教材を作って見せたり、あるいはAIを使って学習を個別化していくプロセスの中で、学習者自身がAIの適切な使い方を学んでもらうこと、または例えばAIを使った協働学習でそれぞれの学習者が助け合って学びながらAIの使い方を学ぶなど、学習における責任を徐々に学習者の方へ移していく中で適切な使い方を身につけていく必要があります。こういうプロセスの中で学習者自身が自分で学んでいく力を身につけることが、将来的に自己調整学習につながっていくのではないかなというふうに考えています。
 今回はライティングについて主にご報告させていただくんですけれども、生成AIを活用した英作文の添削について、関西大学の水本先生、そして早稲田大学の江口先生の研究でChatGPTが英作文の自動採点や評価に利用可能だという知見が出されています。また、英文の文法修正においても性能が高いということが明らかになっています。これらの知見を踏まえて、人間とAIのそれぞれの得意分野を活かして組み合わせながら英作文の添削指導に活用できないかなというふうに考えてきました。その際、AI活用の文脈では「効率が上がる」という点が強調されがちなんですけれども、学習においては効果を犠牲にしては何の意味もないので、効果を犠牲にすることなく、いかに効率的に英作文の添削指導を行うかということを模索しています。
 実際の授業ではこのように展開しています。左上から時計回りにぐるっと回るものとしてご覧ください。僕の勤務校はGoogle環境なので、Googleフォームと生成AIを組み合わせて生徒の英作文を添削しています。
 まず初めに左上です。授業で英作文を書く準備として構成メモを作成してもらいます。そのメモを使いながら紙のプリントに手書きで英作文を書いてもらっています。次に、手書きで書いた英文を所定のGoogleフォームに自分で入力してもらいます。この時に気づいたエラーに関しては直してもらって構わないよというふうに伝えています。これで生徒の英作文のデータがデジタルデータになるので、次にあらかじめプロンプトを入力しておいた英文の校正支援ツールですね、これを活用してもらって、生徒たちが自分で入力した英文を各自でチェックして文法や語彙のエラーなどを直してもらっています。それが済んだら右下です。生徒たちはGoogleフォームで修正前と修正後の両方を僕に提出する形式になっています。
 ここで提出されたデータを元に、特に修正前のデータにたくさんエラーが含まれているので、この生徒たちのエラーを分析して具体的にどのような間違いが起きているのかというのを把握できるようにしています。ここで得られた分析結果を元に、振り返りとして、生徒たちの書いた英文の中から頻出のエラーを学習して、各自で書き直してもらうというのが一連の流れです。
 では、簡単にですけれども実際の様子をご覧いただきたいと思います。まずは、例えばトピックに関するモデル文を提示して音読などの活動を通じて表現や展開というのを習得してもらっています。次に右側ですけれども構成メモを作成します。プリントを使ってメモを作ったり、周囲と相談しながらアイデア出しですとか論理構成のチェックをしたりした上で、最終的に手書きで書いてもらうようにしています。この際にはもちろん辞書等も活用しています。
 次に先ほど手書きで書いてもらった英文を所定のGoogleフォームに入力してもらいます。この段階で自分の書いた英文を実際に手打ちで入力することになるので、まずここで1度目の推敲が行われます。これを入力してもらうと、この段階で生徒の英作文がデジタルデータになっているので、あらかじめプロンプトを入力しておいたChatGPT上のアプリ、毎回プロンプトを生徒たちに渡して入力してもらうといろんなエラーが起こってしまうので、これをもうアプリ化してしまって、GPTsと言われるものなんですけれども、これにコピー&ペーストで貼り付けてもらっています。これはOpenAIのChatGPTでしたらGPTsと呼ばれるものなんですけれども、Google環境であればGeminiを使うことができて、Geminiの中にもGemという同様の機能がありますので、こういうことが可能になります。
 ここで入力してあるプロンプトでは、学習者の書いた英文に対して文法や表現上のエラーを最大10個まで、番号プラス太字で表示するようになっています。ただ、すぐに添削結果を返してしまうと生徒たちはそれを写して終わってしまうことが多いので、それぞれのエラーについてなぜ修正すべきかということを考えるための発問を返してもらうようにしています。例えば、一例として挙げられているのは、「Takagi give」になっているところを、「この出来事は今のこと、過去のこと、未来のこと?」というふうに、じゃあどういうふうな時制で書くのがいいのか考えてみよう、じゃその時に形は?というのを考えてもらうような仕組みになっています。
 一方で、AIから発問を返されても、どう直せばいいのか分からない生徒たちというのもたくさんいるので、先ほどのエラーについて番号で指定すると、それぞれの項目について解説をするように設定しています。合わせて学習者が達成できていることと次に取るべきステップをAIから自動でフィードバックするようにしています。このようなプロセスを通じて各自で修正したものを、修正前、修正後のどちらも合わせてフォームで提出します。
 ここでGoogleフォームを活用しているのには理由がありまして、フォームで英作文を集めると、生徒たちが提出してくれたこのデータが一覧として表示されます。図の左側です。ここで出された英作文には生徒たちが起こしているエラーがたくさん含まれているので、この修正前のデータに含まれるエラーの傾向をAIで分析してもらいます。例えば文法表現面及び論理面でのエラーの傾向を分析して、どのように改善すべきかの提案をしてくださいというようなプロンプトを打っています。この分析結果から優先度の高いものを僕が選びまして、それを授業の教材として活用をしています。具体的にはクラスで一緒に考えながら誤文の訂正などを行ったり、生徒自身が自分で自分のエラーに気づくように促して書き直してもらうようにしています。
 このような流れで行っているんですけれども、このようにAIを活用すると学習者へのフィードバック量というのが圧倒的に増加します。効果的なフィードバックには「何を目指していて、どれくらいできていて、次に何をすべきか」という情報が含まれるべきだというふうに言われてるんですけれども、それに加えて実際に実践してみて非常に重要だと感じているのは、この圧倒的に増加したフィードバックの内容・量を学習者がきちんと生かせているかという視点です。通常フィードバックというと教師から学習者に対して送るものというのが想定されると思うんですけれども、実際は学習者たちも常に教師に対して「彼らが何を知っていて、何を理解していて、例えばどこで間違えて何を誤解しているのか」というフィードバックを送ってくれています。しかし残念ながら、この学習者からのフィードバックは実際の学習にはなかなか活かされていません。そこでこのようにAIを活用することで学習者のエラーを分析して、その結果をもとに次にどのような指導をすべきかという授業プランに反映させるサイクルというのを構築することで、教師の負担をできるだけ増やさずに学習者の成長へとつなげていくことができるんじゃないかなというふうに僕は考えています。
 このような学習を続けてみてやっぱりうまくいっていることばかりではなくて、様々な課題感というのを感じています。例えば、僕の授業では手書きとタイピングを組み合わせているんですけれども、手書きだと学習者自身の実力が見えやすいという利点がある一方で、タイピングでは書くことに対するハードルは下がるんですね。そのためどちらか一方に絞るのではなくて、目的に合わせて両方を使い分けるのが良いというふうに感じています。
 また、自分の書いた英文が正しく書けているかの判断をするためには文法学習は非常に大事だなというふうに感じています。少なくともAIからのフィードバックを読んで理解するためには文法の知識は欠かせませんし、例えば辞書で使い方を確認したりといった自分で学ぶための方法の知識というのは、今まで以上に重要度が高くなると感じています。このように自分で自分の学習を改善するための手立てがないと、学習者はAIからの提案を鵜呑みにしてしまいがちです。これは特に低学年の自学で顕著に現れているので、仕組みや手立てによって自分で考える段階というのを踏む必要があるかなというふうに考えています。
 そしてこれは先ほど申し上げたことでもありますけれども、AIで修正した後の英文だけを集めると非常に整った英文が届いてしまうので、学習者の実力を見誤ってしまうケースというのが増えてきます。先ほどご覧いただいたように修正前後のデータを両方提出してもらうことで、修正のプロセスを確認すると、学習者の実力ですとかどのように直したのかっていうこのプロセスがより分かりやすくなります。
 またあとはですね、これも水本先生のご研究ですけれども、生成AIは必ずしもCEFRのレベルを正確に反映しているわけではないので、修正案のレベルについては例えば日本の学習者に合わせたコーパスなどのデータベースを活用する方が良いのかなというふうに感じています。
 このAIを活用した添削指導について最も大きく感じている課題というのは質的なエラーへの対応です。これは例えば、AIはルールやパターンに基づきやすい領域というのは得意なんですけれども、その一方で学習者の文脈を理解したりですとか論理構成を指摘する領域というのは非常に苦手としています。特に、実際に教室で授業を行っている時に感じることなんですけれども、学習者が本当は何を言いたいのかという学習者のボイスを引き出すこと、これについてはAIだけではなかなか困難です。また、これは先ほどの金丸先生のお話とも重なるところですけれども、学習者の文脈ですとか感情を理解している教師だからこそできる教育的な判断、ここではTeachernessと表記していますが、これはAIにはできないので、人間の教師の存在というのは依然として非常に重要です。したがって今後AIがどのように発達していくのかというのはちょっと分からないですけれども、少なくとも現時点で言えることとしてはAI単体で添削を完結させることというのは難しいというのが実践からの結論です。
 AIが教育現場に入ってくることでAIを使うこと自体が目的化してしまうという現象はおそらくこれから数多く起こってくると思います。これは例えばAIに慣れる段階、AIを使うこと自体に慣れるという初期段階においてはありだと思うんですけれども、そうではなくてやはり大切なのはどのような目的を持って学習を行うのかということです。これまで蓄積してきた色んな効果のある学習方法というのを捨てる必要は全くなくて、その中の1つの有力な手段としてAIがあるという捉え方で良いんではないでしょうかということを感じています。この目的を達成するために全体としてどのような授業デザインを行えばいいのかということを教師が考えて、必要があればそれに合わせたプロンプトを書いて、授業の中にAIを織り込んでいくということが非常に大切になると思います。
 最後に、今後求められる教師の役割についてです。生成AIを活用した自己主導学習を研究しているロウとパーキンスは、教師の役割というのは知識の伝達者からファシリテーター兼ガイドになっていくというふうに述べています。実際に授業で活用してみて僕が感じるところとしては、これから教師はこの3つの役割を果たしていくことが重要なのではないかというふうに考えています。1つ目は、どのような場面でどのようにAIを使うのかということを含む学習全体をデザインする役割。2つ目は、コミュニケーションを通じて言語を学ぶことへの意欲を高めるモチベーターとしての役割。そして最後に、学習者の学習状況を見取って自律に向けて適切に導いていくコーチとしての役割です。AIに依存せずに効果的に活用をしていくためには、教師がこれらの役割を果たすことというのが今後求められていくんではないかなというふうに考えております。引用文献こちらとなります。以上です。ありがとうございました。
【酒井主査】  それでは髙木委員のご発表に関しご質問のある方は挙手ボタンよりお願いいたします。江原委員、お願いします。
【江原委員】  よろしくお願いいたします。2つ質問があるんですけれども、1つ、先生が先ほど「ベーシックな学習者はAIの修正を鵜呑みにする」というふうにおっしゃったんですけれども、これは、意味が分かってないでそのまま修正してしまうっていう意味でしょうか。
【髙木委員】  はい、まさにおっしゃる通りです。出されたものをそのまま写しちゃうっていう子たちが多いですね。
【江原委員】  もう1つだけ、AIが苦手な領域として「本当は学習者が何と言いたいのかを理解する能力が少ない」っていうことなんですけど、例えば私なんかも学生の英文を見ていて、「あ、ここはこういう意味だな」って分かるものと、「何を言ってるのか分からない」っていうのがあると思うんですね。で、そのレベルがその直訳による語彙の選択の問題なのか、あるいはその元々の構文がめちゃくちゃなのか、その辺りは見てみないと分かんないと思うんですけれども、先生の肌感覚ではどうでしょうかね。
【髙木委員】  直訳の表現は比較的AIが結構汲み取って直してくれるんですけれども、むしろですね、いわゆるそのAIが出してくる平均的な文の内容ではなくて、その子固有の経験だったり、その子が本当に言いたいことっていうのを引き出すっていうのはなかなかAIにはできないなっていうふうに感じています。なので英文の修正ということで言えば、割とかなりいいレベルで機能はしてくれるんですけれども、「これって本当にあなたが言いたいことなの?」の部分に関してはかなり弱いなというのが実感です。
【江原委員】  よく分かりました。
【酒井主査】  続けていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 実践に基づいて大変具体的なご意見をいただいたかと思います。また金丸様のご発表とも通じると思いますけれども、授業デザインですね、それから教師の役割、そして子供たちにどういう学びを目指してくのかということがとても大事だというような話だったかなと思います。大変示唆に富む話を、ご発表ありがとうございました。
 それでは続きまして、株式会社ジェネシスAIの今井様よりご発表をお願いしたいと思います。これまでの議論においてAI時代に外国語を学ぶ本質的意義について、AI研究に関する最新の知見を踏まえた上で検討を行うべきではないかとのご意見をいただいたことも踏まえ、本日は今井様にご参加いただきました。今井様からはAI研究の最前線と展望、そして外国語教育への影響についてご発表いただく予定です。今井様、どうぞよろしくお願いいたします。
【株式会社GenesisAI(今井)】  よろしくお願いします。それでは発表を始めさせていただきます。本日は「人工知能研究の最前線と展望、外国語教育への影響」と題しまして、元々純粋に人工知能を研究している身からの話題提供になります。よろしくお願いします。
 本日はおそらく普通の教育関係者の方たちがあの集まってることかと思いますけども、僕自身は純粋に人工知能を研究してきた身になります。元々東京大学の松尾研究室というところで人工知能を研究しておりまして、一旦現在独立という形で自身の会社を創業して、また北陸先端大の方で大学教員というのも続けております。そして昨今非常に話題になっている、性能発展している生成AIについてはベストセラーの書籍も発表させていただいているという身になります。
 本日の発表内容になりますけれども、まず非常に全体的なところとして、現状人工知能研究者というのがこの人工知能技術というものについてどう考えてるのか、これがどういう影響を及ぼすのか、どこまで行ってしまうのか、そういうことについてどういうふうに捉えているのかというところ。また人工知能というのは昔から技術自体あったんですけども、これが最近なぜこんな発展してるのか、そして子供たちの教育というのは非常に長いスパン、10数年とかかけて作られるものですけども、そこよりもさらに短い加速的な成長によってどこまで行ってしまうのかというところなどについて、まず全体的な考えをお話ししたいと思います。そしてその後、人工知能技術もそうですし、研究が今後進むと最終的にどういうとこ影響を及ぶのかということについてお話しします。そして最後、これは僕自身が教育関連の研究してるわけではありませんので、シンプルに人工知能研究の視点からの意見提供ということになりますけども、このような人工知能の性能を踏まえた上でどういう影響あるのか、またどうしたらいいのかということについてお話ししたいと思います。
 まず最初ですけれども、僕は所詮やはり日本の一研究者ですので、人工知能研究の親玉ですね、1番頂点の人の意見まずご紹介したいと思います。この人、ジェフリー・ヒントン教授ですけれども、元々現状のディープラーニング、生成AIのそもそも基盤技術になっている、人間脳みその仕様をコンピューター上で再現したニューラルネットワークというものを理論作った人です。この人がそもそも何を言ってるのか。この人本人がそもそもニューラルネットワークを作ったわけですけれども、その本人が「どうもこれは人間脳みそよりすごいだろう」ということを言ってます。多分人間超えてしまうと、そして人間を支配するかもしれないと、ちょっと怖いことですけども言ってます。そしてこれは外国語教育とも関連してくることかもしれませんけれども、「人間持ってる能力というのはおそらく人工知能で全て再現できてしまうはずだ」ということを言ってます。これはもう人工知能第一人者の意見です。
 そしてまさに今年、我々の研究分野70周年迎えるわけですけれども、その70年間の間我々は何を目指してきたのかというところになると、これは「汎用人工知能」というものを作ることです。最近はArtificial General Intelligence、略してAGIと呼ばれていますけれども、これは要するに知能を研究してるわけですので、今この我々が知ってる限り1番賢い知能である人間と同じことをできる機械の知能を作ろうと、これが我々の1番のモチベーションになります。ただ、これ基本的にはドラえもんのような扱いをずっと長年に渡って受けてまして、70年間の研究のうちの60数年間ぐらいはそれを自分が生きている間に実現できると考えていた研究者ほぼいなかったと思います。これ実際2001年ぐらいの学会で我々がやり取りをしている時に「AGIいつできる?」ということを話すと、やはりもうこれは我々生きてる間無理だと、どれだけ早くても2050、70年ぐらいだという意見が見られました。
 ただこれChatGPTが出てきて生成AI出てきてから、やはりトップの研究者もまた人工知能の皆さんが使うChatGPTですか、Geminiとかを使っている本人たちもですね、もうこれは5年とか数年、ま遅くても20年、10数年ぐらいで汎用人工知能できてしまうということを言ってます。汎用人工知能というのは繰り返しますけども、人間ができることを全てできるというものですので、もちろん外国語は全て喋れますと。で教育で身につける能力もおそらくできてしまうだろうということで、そういうものがおそらく今後数年ぐらいできてしまうというのはかなり大きな事象として、特に教育について大きな事象として捉えるべきかと思います。
 では現状2026年の人工知能、AI・生成AIですとかAIエージェントと言われてるもの、何ができるのかというところですけども、まず知識量・推論能力については少なくとも我々人工知能研究者のベンチマークで測れるとこについて言うと、もうどう考えても人間の博士号取得したレベルになってると。2023年時点で司法試験合格できますし、医師国家試験合格可能だったと。30ぐらいの言語使用可能で、去年ぐらいからは大学入試の共通テストは9割後半得点取ってるというところで、普通に考えると最低限日本の教育水準で言っても1番最上位の教育受けてる人たちとほぼ同じ、超えているという状況になります。数学オリンピック金メダルも取ることできますし、ここまで能力が上がってくると逆に人工知能能力を測るのは難しいという事態が実は昨今起きてるんですけども、その中でもとにかく1番難しい問題だと「人類最後の試験」という名前がついたものがあるんですけども、これ古代文字の読解とかも含んでいる、ちょっと人間が見たらこんなもの解けるのかというものについても、最近のものは50%は解けてしまうということで、これはもう確かにそのまま発展していくと人類全ての能力を超えてしまうんじゃないかという状況になってます。
 そして動画生成AIもそうです。現実世界見分けがつかないもの生成可能だと。昨今さらにフィジカルAIという物理空間で作業するもの、今日英語教育ということになるとやはり生身の人間であるとか実体を持ってる存在と対話するというのは重要な経験になるかと思いますけども、それについても、人間の形をしたロボットというのが本格的に出てきてます。これ本来ちょっと難しいんですけども、先ほど出てきた動画生成AIというものを使うと事実上仮想空間の中でロボットを学習することができます。本当にロボットを学習しようとすると人間の経験全てを物理空間の時間経過に何十年とか学習する必要あるところが、今仮想空間の中で学習すると、我々「世界モデル」と言ってますけれども、人間の形をしたロボットであるとかもできてるという状況になります。
 そして生成AIというのは所詮何かポンと生成して終わりでしたけれども、最近はやはり複雑な作業できるAIというところで、AIエージェントという名前ついたものがどんどん発展してきてます。これはまさに2月今月ですね、もうSaaSのソフトウェア作ってる企業がまずいんじゃないかと言われるレベルでソフトウェア作ることできます。できますし、また事務作業とかも自動化できるということで、少なくともデジタル空間で完結する作業に関して言いますと、かなり直近でほとんどができるようになってしまうと言ってもいいかと思います。そして最後、これはまさに文部科学省と僕自身が一緒にやっているところでもあるんですけども、AI for Scienceというところで科学発見を人工知能がしてしまうという事態にもなってます。
 そして、人工知能確かにすごい性能ではあるんですけども、それが今後も本当に発展続くかというと、普通に考えるとこれは疑問なわけです。冷静に考えると科学発展というのは、物理学で言うとニュートン力学が必ずしも万物を記述する法則ではなかったように、その後アインシュタインが出てきて量子力学が出てきてというふうに発展したように、どこかで穴がある、どこかですごいちょっと画期的な理論出てくるということは普通必要とされるわけですけども、実は現状の人工知能というのは、相当道筋が明らかになってる、根本原理みたいに明らかになってるという状況です。これが2020年提案されたスケーリング則というものです。これスケーリングと名前がついてる通り、とにかく規模を大きくするということを人工知能やってます。これが言うところはデータの量と計算量と、あと人工知能の我々パラメーター数と言ってますけども、ニューラルネットワークの大きさです。この3つの要素を増やしていくだけで人工知能の性能は予測可能な形で無限に向上するということを言ってる説です。普通人工知能というか理工系研究というと、難しい計算式を書いて何か特別な理論を作ってということが想像されるわけですけども、ことこの現状の人工知能に関してはもうリソース投下という割とシンプルなことで、性能発展することがある程度約束されているという状況になります。
 それが、我々の目的は人間の知能を目的としてるわけですけども、そういうものがあとは単純にリソースを投下する、極論言うとお金の問題です。計算量というのは要するにGPUです。コンピューターGPUをあとはどれだけ投下できるかという問題に還元されてるというとこは、これはもう相当発展の道筋がついてるという状況です。
 それ実例をちょっと示してるんですけども、言語に関するところ、おそらく外国語も関連してくると思いますけども、2017年に提案されたTransformerというニューラルネットワーク、実は9年経った現在でも生成AIとして使われてるものの1番根っこにある技術はこれから変わってないです。2017年トランスフォーマーずっと使ってます。しかもこのChatGPTですとかの言語というものも実は本来穴埋め問題がすごいうまいだけです。文章を入力すると続きの単語を予測するということを連続的にやると文章できてしまうと。画像であればノイズを除去するということで、綺麗になるという非常に原理としてはシンプルなものを使ってますし、技術的にも実は古典的であると。ただそれがここまで進んできたというのを技術的に進んで性能進んでいるというのは、これやはりスケーリングの威力です。元々2017年トランスフォーマー提案された、これ最初は単なる翻訳がうまいニューラルネットワークです。Googleが言った「翻訳に強いネットワーク」というものがスケーリング、スケーリング、スケーリング、とにかく規模を拡大するということをやると、それが現状も人間の研究より賢いと、なんならノーベル賞を取ってしまったということが起きたわけです。
 ですのでおそらくこれは今後も続きます。とにかくリソースを投下すると発展すると。で昨今出てきたAIエージェントというのは7ヶ月経つと作業可能時間2倍になるのがある程度報告されてますので、28年、31年頃にはおそらく人間がやってる1ヶ月の作業、全て代替してしまえるだろうということも言われております。
 ただそれだけですとやはり外国語学習というのは、どこかのデータセンターにあるAIに対して、先ほどの話からも出てきたそのブラウザであったりとかチャットのUIとかで、何かクッションを置いてアクセスしてるわけです。コミュニケーションとはやはり密なものですので、人間というものをいて即座にやり取りできるとか、何か小型デバイスがあってということは本来必要なはずです。ですのでスケーリングということだけがあるのであれば、それが我々の持ってるデバイスに入ってくるとはちょっと考えにくいので、それはちょっと英語教育とは分けて考える必要あるんですけども、一方でスケーリングしながらとある一定の性能についてはどんどんサイズが下がってます。これ具体例を出すと2023年3月にGPT-4というもの出ました。これ1.8兆パラメーターというとてつもなくでっかいデータセンターでようやく動くものです。というものが、現状は40億パラメーターで大体できてしまいます。これ3ヶ月経つと大体AIの大きさ1/2になってます。というところを踏まえると、1年すると2年するとスマホにおそらく入ります。でもしかしたらその新型デバイスというものが出てきてそれに入ると思います。あるいは人間の形をしたロボットに入るかもしれないということで、これはおそらくコミュニケーションの外国語教育というところに大きい影響を及ぼすと思います。
 そして教育というのはやはり長期的に見ると議論もあります。でこれはまず今答え合わせが始まってる状況になります。ChatGPT出てきて仕事奪われるかもしれないって分析ありました。でこれはやはりクリエイティブな仕事であるとかホワイトカラーの仕事は相当影響あると当時言われてました。これは実際去年ぐらいから答え合わせが始まって、レイオフとか報道で言われてますし、論文とかのデータを見ると新しいことも明らかになってまして、確かにその2023年時点で奪われやすいとされていた職業というのは仕事は減ってるというのは確認されてますけども、どちらかというと影響があったような職種というよりは年齢によって違っていたというものあります。シニア層は仕事は残ってたんですけども、ジュニア層、これから仕事に入ってくる新人とかの仕事は減っていたというのは明らかになってます。ですので教育というものをやって本当に今後その仕事というものに直結するのかというのはかなり考える必要あるところかと思います。
 ここまでまとめるとですね、おそらく汎用人工知能、人間と同じこと全部できる知能というのが数年から2030年頃に出現する可能性高いです。そしてホワイトカラー、クリエイティブな仕事という方が仕事減少している、またそれはジュニア層特に顕著だということになります。そしてコミュニケーション、コミュニケーションを受ける言語という点について言うと、おそらくそこを密なことができるデバイス、あるいは人型ロボットというのが進出してくるだろうと、この辺までが現状人工知能研究の最先端の知見と展望になります。
 この辺を踏まえた上で、これはもう人工知能研究者から意見ですので、そこまで本質をついたものかはちょっと分かりませんけども、外国語教育にAIというのがどう使われるべきか、どう影響を及ぼすかということを最後にお話ししたいと思います。
 これはもう僕が言うまでもなく、もう今日の先生方の発表で色々とありましたけれども、非常に大きく変えようとしてます。コスト下がりますと質が上がる、おそらく自分の好きな人をその任意AIを任意の人格にして自分の好きなような人と外国語を対話すると新しいやり方もあると思いますし、また外国語を学んだとしても本当に自分の学んだことで通じるのかという不安というのはやはり生徒があるわけですけども、生成AIというのはやはり対話してると別に文法の細かいミスがあってもちゃんと会話が成立してくれるので、その辺の「ちゃんとこれぐらい英語でいいとは伝わるんだ」というのを理解させるという点については非常に良いところかと思います。
 ただここまで来るとですね、そもそも外国語教育必要なのかということに向き合う必要あると思います。先ほどまでの研究の議論を踏まえると、どう考えてもドラえもんにおける翻訳こんにゃくのようなものというのが数年、2030年ぐらいには出てくると思います。情報を伝えるだけということに関しては、今はさすがに生成AI使ってもちょっとワンクッションが置かれるわけですけども、何か体につけるウェアラブルデバイスになるかもしれないですし、それがもう同時起動型のスマホのアプリケーションになるかもしれないですけども、多分言語の壁というのはそれで超えられると、AIで超えられるという事態になると思います。
 ただこれ技術というよりは根本的な限界というのもやはりAIあります。これ先ほどの金丸先生、髙木先生の発表にもありましたけれども、そもそも文脈、非常に文脈依存な特定の生徒とかの事情に沿った教育をするというのはかなり難しい。教育もそうですし、シンプルにそのAIを使って外国語を使うという段階でも、そもそも人間本人がしか知らないようなことというのはAI使ってもどうしようもないですので、この辺はやはりAI代替できないかと思います。人間が取得できる一次情報というのもやはりこれ全部AI任せたということできないと思います。
 そしてAIを使わずに外国語のコミュニケーションできるということがちょっとこれ本質はずれるかもしれないですけども、与える印象として全然違うと。つい最近の政治の総裁選とかでは突然その総裁選の候補者が外国英語で喋れるのかっていうのは問われた場面ありましたけども、やはり社会的に非常に大きい責任を背負った人ですとかはかなりその自身の力で英語を喋れるというのが大きい効果を及ぼす場面があります。ですのでこの辺はやはりAIでも代替できないところかと思います。
 そして外国語を使うだけじゃなくて学ぶ過程で得るもの、これも文部科学省から頂いた資料の中に外国文化への理解というのもありましたけども、まさにその辺というのも必要かと思います。
 この辺を踏まえるとですね、やはり外国語教育・学習というのは今後も必要であり続けるとはAI研究者の視点でも思います。そもそもその他人数に外国の教育をしておかないとですね、上であげたようなその職種につく人というのがそもそもそんなものあるのかという機会を得るところ自体失われますので、そのためにも広く初等教育段階で外国語学習教育というのは必要かと思います。ただ非常にコストが高い分野ではありますので、常識的に考えると人を選抜した方がいいんじゃないかという議論もあるわけですけども、そこはやはりそもそもその人工知能自体非常にコスト下がってるところですので、それについては下がったコストで全体的に教育するという形でいいかと思います。そして教育の教師が行う重点というのをどんどんシフトさせていって、かなり具体的なその文法ですとかスピーキングの反復練習ですとかはAI任せると役割分担が長期的に起きていくというふうに考えております。こちらからの発表以上になります。ご清聴ありがとうございました。
【酒井主査】  それでは今の今井様のご発表に関してご質問のある方は挙手ボタンよりお願いいたします。はい、内田委員、お願いします。
【内田委員】  非常に刺激的な発表ありがとうございました。AIの大きな進歩の方向性とか、今後の外国語を学ぶ意義とか、いろんなことを考えさせる素晴らしい発表だなと思いました。
 個人的に色々と実は聞きたいことはあるんですけど、このワーキングに絡むところでちょっと質問をさせていただきます。この先ですね色々とAIは進化してくと思うんですけど、その進化のスパンをどのくらいで考えればいいか、今我々学習指導要領を検討してますけど、これが来年度からとかではなくて結構長いスパンで見てるんですよね。なかなかその先を見ながら考えていくっていうのは難しくて、例えばイーロン・マスクなんかはこないだTwitterで言語自体がボトルネックになると、ネットワーク、ニューラリンクみたいな形で直接神経に語りかけるみたいな方が早いんじゃないかっていうような意見も出てて、すごく衝撃的な話だなと思ってました。それが実現するかどうかちょっと別なんですけど、どのくらいのスパンで外国語とか教育の方向性っていうのを考えればいいかっていうことに関して、AIの研究者として時間感覚的なところを共有いただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
【株式会社GenesisAI(今井)】  はい、ありがとうございます。
 これはやや余談から入りますが、一昨年僕この初等教育関連の文科省の会議に参加した時に「5年後にこうなる」と予測をそこでしました。結局それどうだったのかと言うと、僕は5年後と言ったことが実はその会議の1ヶ月後、数週間後に達成されてしまったんですね。これは僕自身人工知能の研究者ですので、もちろんある程度読めると思って発言したことが実は5年後ではなくて、数ヶ月後だったというぐらいですので、実は人工知能研究者でもあまり正確なそのスパンの予測ができないという状況に現状入ってるかと思います。とにかく早いということしか分からない。リソース投下の問題であるというところが分かってるだけで、具体的にここまで何ができるぐらいのことはかなり予想難しいということをお伝えしておきます。
 外国語教育に影響を及ぼす範囲で言うと、僕自身そもそもこの本日の会議で発表するお話を文科省の方から頂いた時にも多分言ったんですけども、こういう形で指導に関することを決定してるスパンだと相当なことが変わってしまって、これが出た頃にはちょっと時代遅れだということになりかねないということを申し上げました。ですので、かなり正直なことを言うと、おそらくこの会議ですとかあるいは中央教育審議会にいろんなところでされてる議論というのは、これが出るところには時代遅れになってるぐらいに早いというのが普通の感覚かと思います。
【内田委員】  わかりました。ありがとうございます。
【酒井主査】  続けていかがでしょうか。よろしいでしょうか。あ、はい、臼倉委員、お願いします。
【臼倉委員】  今井様どうもありがとうございました。私は人工知能とかについて全然詳しくない人間なので、お話を聞きながらとても分かりやすかったので驚きながらずっと聞いてたんですけども、その超素人目線からのちょっと聞きたいなと思うことは1つあって、人工知能が人間を超えるっていうようなことっていろんなとこで言われてるんですけど、人間の何を超えるのかっていうのをもし今井さんが問われたとしたらどんなふうにお答えになるか、スライドではいろんなものが出てたんですけど、人間を超えるって実際にどうかってところ、ちょっとコメントいただけたらと思います。
【株式会社GenesisAI(今井)】  はい、ありがとうございます。これについては「分かりやすい指標で測られる知能というものは多分超えてしまうだろう」という話をしてます。やはり人工知能というのは知能ですので、我々生命とか意識であるとか感情とかとこれ一緒にしてはないんですね。あくまで知能という、我々研究レベルで言うと何か分かりやすいテストのような指標で測られるものをやってるわけですので、例えば人間であれば人間の肉体を持って、かなりある意味不完全な、あるいは不本意な経験をしながら育ってきている、でその中で醸成される価値観というものがありますので、そこについて超えるということは、超えるというのはそもそも変ですけども、これは同質になること僕はないと思ってます。ですので人間全部超えてしまうというのはあくまで分かりやすい指標で測られる人間知能の一部の側面だと。特に企業レベルだと経済、例えばOpenAIとかAGIの定義を「経済的に意味のある知的活動を全部人間超えた」というふうに定義してますので、そういう実は知能とか人間とか全部というよりは、分かりやすい経済的に価値があるというとこについては明確に超えられるということを普段言っております。
【臼倉委員】  ありがとうございました。よく分かりました。
【酒井主査】  細田委員、お願いします。
【細田委員】  本当に刺激的なお話をいただきまして、ありがとうございますということしかちょっと言えないんですけども、まずですね、最後のところで、例えばその政治家の例を出して、自分の力でコミュニケーションができるというその力ってのは大きいんだというようなお話をいただいて、そしてその上で、先ほどのご質問の中で加速度的にAIの進化はもう止まらない、とにかく早いということで、ご自身が5年後というふうに考えてご発表なさったことが数ヶ月というような現状もある中で、それでも外国語を学ぶことにおいて意義があると最終的におっしゃってくださったことは大変嬉しく思っているんですが、身体性も凌駕してしまう、コミュニケーションにおける身体性も凌駕してしまうほどのAIがもう出現してしまうんだろうなってなんとなく思ってるんですが、そことの関係でそれでも外国語を学ぶ価値はあるんだとおっしゃってくださっている根っこのところにはどんなお考えがあるのかということをちょっと伺いたいと思います。
【株式会社GenesisAI(今井)】  はい、ありがとうございます。これについては一応条件が、その外国語教育が必要とされる条件があるとすると、「人間社会が人間の主導権を保ったまま続いていけば必要とされる」という条件はあるかと思います。結局人類が主導権握ってる間において人を評価する主体というのはやはり人間ですので、その人間の評価というものは続いている限りはどうしてもその人間が英語を喋ってるとかというもの価値は持ち続けられると思います。
 これは僕はよく「無人島に行った時にとても役に立つ職業というのは逆に危なくて、無人島役立たずの職業は大丈夫だ」というよく分からないことを言ってるんですけども、例えば将棋をするであれば無人島で役に立たないわけです。でウサイン・ボルトというのは人類で1番早いわけですけれども、彼も別にその辺走ってる車に負けるわけですので、彼らに将棋ができること、将棋の強さ、早く移動、人間が早く移動することということについて役に立つかどうかという点ではあまり価値がないはずです。これはシンプルに人間という存在が人間がやってることを評価してるということで価値が生まれてると思います。というふうに人間の評価というのはやはり生産性であるとか具体的に役に立つかとはかなり違う価値基準を持って行われてるものですので、それが人類社会というものでその人間の評価主導権を握り続ける限りは外国語教育というのは非常に重要になってくると思います。
 ただこの条件が外れてしまった場合はもう全ての分野が人工知能あるいはもう機械的にプログラムによって判定されると事態が起きた場合は、さすがにこれは僕の話は変わってくるということについては申し上げたいと思います。
【細田委員】  ありがとうございます。なんか怖くなりました。
【株式会社GenesisAI(今井)】  すいません、ありがとうございます。
【酒井主査】  ありがとうございました。今井様からはとても刺激的なお話を伺って、人工知能に対する、そもそもの原理から、それから限界ですね、それから代替できないものというような視点でもご意見を伺って、我々が当初から議論してきたAI時代における外国語教育の意義にもとても沿う形で色々な提案情報をいただけたかというように思います。また今日のお話を伺って、時間が経過した時にですね、今の判断でいいわけではなくて、やっぱ随時考えていく、見直していく、そして外国語教育の意義、それからAIとの関係っていうのを常に問い直してくるということはとても重要だなということを改めて気づかされたご発表だったと思います。今日はとても貴重なご発表ありがとうございました。
 それではですね、ここから意見交換に移りたいと思います。事務局よりご提示いただいた案につきまして、ご意見等がございましたらお願いいたします。なお先ほどの事務局の説明にもありましたが、AIには外国語教育に特化したAIや汎用型のAIがございますので、どちらを念頭に置いてるのか可能な限り明確にしていただきますようお願いいたします。また意見交換の時間が限られてますので、端的にご発言いただけるよう、よろしくご協力のほどお願いいたします。それではいかがでしょうか。
 工藤委員、お願いします。
【工藤委員】  ありがとうございます。ちょっと生成AIそれ自体というよりももうちょっと大枠の話になりますが、先日の生成AI事業の報告会、私も出させていただいてオンラインで見ていて、いくつかAI使用の課題が上がっていたんですけど、1つは教科書の扱いですね。生成AIが組み込まれた特化型のアプリとかをある程度たくさん使うと、その使用に時間が使われてしまうので、教科書自体を扱う時間がなくなるみたいなことが研究指定校同士で結構議論されていて、どういうふうに教科書使う時間捻出してますかみたいなことが出ていました。
 教科書は使わなくても生成AIアプリで、教科書で育成することになってる力が育成できればそれでいいかなと思う一方で、今日金丸先生や髙木先生のご発表の中でも児童生徒に応じた教材作成みたいなことがあって、それをやってくと教科書それ自体は使わなくなりますよね。教科書と似たようなものは使うにせよ、教科書それ自体は使わないんですけど、現在一字一句細かく検定しているっていう教科書制度をちょっと考え直さなきゃいけない時代になってきたのかなとちょっと思いました。これ英語だけじゃなくて全体かなと思いますけど、英語についてはやっぱこう新しい教材を作るってことは内容も変わってきたりとか例文も変わってきたりする、検定は一字一句しっかり見ているってところがそれが使われなくなるっていうことは指導要領からちょっとずつ逸脱してく可能性もあるっていうことを考えると、何かガイドラインみたいなのが必要なのかどうかっていうことは思いました。
 もう1つ、ごめんなさい、時間がないとこでもう1つ家庭学習の件です。これも今日初めて出たものではないんですけど、これまでも出ていたと思います。金丸先生のご発表の中でも生成AIを使って家庭学習をするということで、生成AIの活用の事例として取り上げられていたかなと思いますし、個別でできる部分はみんながいる教室内ではなくて家庭でやるっていうのは分かるんだけども、学習指導要領で家庭学習、学校外の学習までどこまで責任持つかっていうのはちょっとこれもまた考えなきゃいけないかなと思います。大学の授業は1つの授業単位で授業の前後での学習が含まれての単位ですけど、小中高は多分指定時数の中にそれは含まれて当然いないですし、学習指導要領で達成するべき目標は指定された時数以上のことを家庭学習でやらなきゃいけないような目標設定にするのかっていうとこは結構大きなポイントかなと思いますので、ちょっとそこ共通認識我々持ってないと、これは家庭学習でできるよねってどんどん入れて、それも踏まえた目標設定とかになってしまうとちょっとやや危険だなと思うんですけど、ちょっと今回の議論だけではないんですけど全体としてちょっと必要なことかなと思ったので、教科書の活用と家庭学習の件はお伝えしました。
【酒井主査】  ありがとうございます。亘理委員、お願いします。
【亘理委員】  教育は連続的なもので、担い手やその受益者の考え方が大きく変わらない限り言語の教育がなくなるということは私はないと思っているのですが、一方ここに集まってるメンバーは英語教育の関係者が多いと思います。今井さんの話を聞くと英語以外の外国語の教育可能性が公教育にもっと開かれるという気もしました。つまり現状としてはロジスティクスの問題として英語以外の言語を日本全国で教えるということは人的に難しいんですよね。ただそれ以外の言語についてもこういったテクノロジーが進んでいけば開かれるかもしれないと思った次第です。
 私が言いたいのは別のことで、今日はAIを中心に議論していますが、デジタル学習基盤ということを考えると、クラウドとかもっといろんなことが関わってくると思うんですね。現状学校ではクラウドを活用して、そのことを金丸先生に聞きたかったのですが、AIを使いながら教室を超えたり学校を超えたり、つまりこのAIとかデジタルテクノロジーの利点というのは時間や空間を超えることにあると思うので、そういうふうに考えるとクラウドを活用してみんなで作品を作るとか、学校を超えたプロジェクトに取り組むとか、そういうことの可能性が開かれると思うんです。
 そういう協働的な活用の仕方についてもう少し踏み込んで我々で議論する必要があるだろうと。その時に、そうなると当然教室の中だけではとどまらないので、授業以外の時間に一緒にプロジェクトを学校を超えて取り組むとか教室を超えて取り組むとなったら、やはり使ってる端末のスペックがもっと高いものが必要になるとか、学校だけにネットワークを整備しておけばそれで十分ということにはならなくて、そのネットワークの使用量みたいなものも込みで、地域で子供たちが常にそうした環境を使えるというインフラの条件を整えてあげる必要がある。そうすると、我々は外国語教育について議論していますが、そういった学びを保障する時に各家庭でネットワークがないからそのプロジェクト的な学びには参加できないなんてことにならないように、やはりこの汎用型のAIで行くとしても、現在の実証事業がどうしてもハイブリッド的なもので有償のものを利用してることが多い現状を考えると、予算措置まで含めて、いま我々が望む学びの姿を実現するためには一定のお金が必要なんですよということは強めに言っておく必要があると思った次第です。
【酒井主査】  内田委員、お願いします。
【内田委員】  3点あります。1つは、今の資料にもあるんですけど3ページ目にございますけど、資料を「今後の変動を踏まえて適宜更新を図ってはどうか」というふうにあるんですが、これはまさにその通りだと思いまして、おそらくこの先ずっと変わっていくと思うので、この資料を常に更新していくような体制、常設の委員会かもしれませんけど、そういうものがあってもいいのかなというふうに思いました。
 あと2つは、これはいつもの話かもしれませんけどお金と人ということになります。お金の面ではやっぱりこう生成AIを使うためにはお金が必要になります。なので事業でいくつか先行して走ってたのもあると思いますけど、それをいかに恒常的な資金として提供できるかっていうところが1つ。それからもう1つは教科書会社が今各社工夫を色々としています。教科書とAIということを色々とやってますけども、ここもやはりなかなかお金が足りないっていうか、教科書の値段がやっぱりどうしても安すぎるというのがあると思います。現状物価も上がってきてますので、教科書の値段徐々に上がってきてはいますけども、AIっていうところを見越した上でより教科書会社が工夫しやすいように値段をもう少し上げてもいいのかなっていうのが私は思います。
 最後、人の部分ですけども、これは現場の先生方が学習する時間を設けるべきだと思っています。現状やることが多すぎてもう本当に勉強ができないということですので、例えばですけどこういうICT・AI用のサバティカルみたいな研究休暇ですね、というのを取るような制度を作って、1ヶ月3ヶ月半年とかで学べるような期間があるといいのかなと思いました。
【酒井主査】  藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  ありがとうございます。この辺の話をしてると本当にどこまでもいろんな話題に広がっていってしまうので、本当に根本的な部分にちょっと引き戻すような形で発言させていただきたいと思います。まずデジタル学習基盤の部分なんですけれども、基本的にやはりオンラインを活用して外国語の学習目的っていったことを考えた時に、例えば本当にまだこれが課題としても上げられていますけれども、例えば学外あるいは海外あたりとの実際のリアルタイムでのコミュニケーションみたいなものをどれだけきちんと普及させていけるかという辺り、この辺についてはある程度しっかりと打ち出していくっていうことが必要なんじゃないか。特にリアルタイム、先ほど亘理委員の方から協働のところで時間を超えてってところありましたけれども、もちろんそれも当然あるんですけど、一方で本当にリアルで話すとすると、多分1番海外との問題で出てくるのが時差の問題なので、そういうとこに考えた時に例えばアジア圏との交流みたいなこと、その中で大事になってくるのがおそらく非英語圏、ノンネイティブ同士で話をするという、要するにリンガフランカとして英語を活用するという体験を積み重ねていくみたいなことがおそらく学習者にとっても自信につながっていくのかなと、そういうところについてもう少し目を向けていく必要があるであろうと思います。
 AIの使用に関しても皆さんが言ってる通りだと思うんですけれども、先ほど工藤委員もおっしゃってたこの家庭学習と教室内での学習っていうここの部分をでももうちょっと踏み込んでちゃんと明記していってもいいのではないでしょうか。要するに結局はこのAIが得意なものっていうのはこれもうすでに発表にあったように繰り返し学習であったりとか個別的な学習であったりというそこの部分っていうものをしっかりと個別にやりつつ、教室の中は先ほどと同じように人と人が集まった場で行う教育って言った時に考えた時に、人同士が一緒にコミュニケーションを取り合うというそっちの方に時間をできる限り使っていくというそういうふうな形の線引き、ここのところをきちんと考えた上で設定していくっていうところが大事なのかなと。すいません、以上です。
【酒井主査】  日向端委員、お願いします。
【日向端委員】  今、藤田先生おっしゃったようにその人と人との繋がりのところっていうのも大事にするっていうような考え方と似てるところなんですけども、まずこのデジタル学習基盤の活用を進めてくっていうのは当然の流れであって、例えば本校でもですね、オンライン交流とかビデオメッセージ等で他の自治体の小学校と交流するっていう、英語で交流するっていうそういう授業も結構盛んに行われていて、結構こう教室を超えた学びってこれはもうデジタルがあるからこそできているというふうに感じております。
 ただ一方でですね、AIとかそのデジタルの活用に対する拒否感を持つやはり現場の先生方っていうものも一定数いるっていうのも、その方々がこう懸念してるものとしてはやっぱりこうデジタルが進むと人間同士のこの直接的なコミュニケーションがなくなるんじゃないかとか、社会性とか人間性の育成がどうも欠けてしまうんじゃないかと、そういうようなところ、あるいは真の学びにならないんじゃないかっていうようなところでそういう懸念があるのかなと。
 ですのでこの資料2ページ3ページのところですかね、そういうところでこう示す時にどうしてもこうデジタルっていうものは全面出てしまうんですけども、やっぱりこの資料で言うとこの4ページの方にあるようなこのやっぱり外国語を学ぶ本質的意義ですね、我々が最初に議論したとこですね、この本質的意義を目指す中で、つまりコミュニケーションの深い理解だとかこう思考を深め人間関係豊かにするとか、そこが1番大事であって、それをこう達成するためのツールの1つがこのデジタル学習基盤なんだよみたいなそういうメッセージを出せないかなというふうに思ってます。
 そういう点踏まえると資料2ページの方には例のところですね、下の細かい字のところにこの自律的学習者を育てるための活用方法みたいなところの文字も書いてますけど、私やっぱりここは結構大事なポイントかなと思ってまして、デジタルを使うためにはやっぱり子供たちが自律的な学習者となってこう自分の学習をこう見通しを持って進めたりとか振り返れる、そういうような力を高めることがこのデジタルを進めてく上で必要な大事なことなんじゃないかなというふうに考えておりました。はい、以上です。
【酒井主査】  鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  3ページの資料で書かれてる通り、AI活用によって発話量が増えたり、フィードバックの充実が図られたり、動機付けの向上が期待できるっていうようなことを整理されていて、こちらはとても重要な方向性だと思っています。
 一方で、さらにと言ったらあれなんですけども、第2言語習得研究の観点から少しだけ申し上げると、やはり意味を本気で伝えようとするやり取りがきちんと保証されていること、誤解とかずれとかに気づいて自分で言い直すこと、フィードバックを受けてもう1度やってみる機会があること、そういうような学習のプロセスとセットで記載して欲しいなというふうに思っております。以上です。
【酒井主査】  細田委員、お願いします。
【細田委員】  はい、この分野なんですけれども、自治体と学校間の格差がとっても大きな分野だというふうに思います。例えばあの先ほどの生成AI、AIかける英語の授業に採択されているところは最先端を行っている学校を自治体だと思いますけれども、私もあの色々な自治体回って実感しているのは、教師によってはご自身が生成AIにほとんど触った経験もないという人たちもやっぱりいらっしゃるわけです。ですからそういう意味ではまず学習指導要領に明示することというのは大変重要だというふうに思いまして、それでこうこの国の外国語教育全体のムードを変えていくという意味で大変意義があるというふうに思います。
 その上で、例えば汎用型のAIの活用について言えばま無料でできるわけですけれども、先ほど申しましたように教師のAIのスキルが極めてこう格差が大きいとなると、やはり汎用型のAIを駆使しながら授業デザインを高めていくということは、ある種ハードル高いと思うんですね。そうするとまず取っ掛かりとしては特化型のアプリケーションが汎用型のAIに比べると授業の中に取り込んで授業デザインの中に質を向上させるためのアプリケーションとしてはとっつきやすいと思うんですね。そうなるとやはりお金の問題が出てくるというふうに思いますので、先ほどもあの何人かの委員の方々もおっしゃっていたように、学習指導要領に明示するということはそのお金、いわゆる財政的な部分についても国として考えていく必要が大変大きいというふうに思います。
 もう1点だけやはり先ほど来あります人、つまり教師のAIのアプリ、あのAIスキルの格差があまりにも大きいので、まずはそのグッドプラクティスみたいなものをみんなで共有できるようなそういう環境作りも大切だと思います。そして最後に、今後の情報技術の変動、今日今井さんのお話を聞いてもう極めてこの部分適宜更新を図っていく部分だということが極めて重要だというふうに実感しています。
【酒井主査】  今手を上げてる川﨑委員までにしたいと思います。布村委員、お願いします。
【布村委員】  はい、ありがとうございます。AI時代だからこそ大切になってくることっていうことでちょっと授業面でお話ししたいなと思うんですけど3点あります。
 1点目はやはり今まで先生方も言ってくださってるようにコミュニケーションができるっていうこと、対人相手のタスクっていうものをゴール設定として授業を作っていかないと間違ったAIの使用の方法になってしまうのかなというふうに思っています。テキストベースの例えば課題とかを提示すると生徒はその課題をすることだけを目的に課題を出してきます。どういうことかって言うと、課題をAIに投げて出てきたものをそのままコピペで提出で終わりっていう、英語を全く使わずにタスク、課題ができてしまうというようなことが往々にしてあるんですね。なので対人ゴールが、例えばスピーチにしても相手オーディエンスを楽しませるような自分のスピーチをしてみようっていうようなことをゴールにして、それを相手に楽しませるためのスピーチどんなふうに書けるかなっていうことでスピーチを書いてみるっていうようなことで、そこでAIをちょっと活用しながらちょっと壁打ちをしながら書いてみるとかっていうようなことをしていくと、生徒はその出てきたAIの回答を読みますし、読んで「あ、でもこれはちょっと自分では言えないな」だったりとか、なんか出てきた答え自分の言いたいこととちょっと違って解釈されちゃったとかっていうふうに、そのAIの特徴のみたいなものにも生徒気づいたりしながら、それでブラッシュアップして自分のスピーチを完成させる。でそこのところで先ほど言ってくださってるように教師の「あなた本当はどういうこと言いたかったの」みたいなこうフィードバックだったりとかでやり取りをしながら完成させるみたいなことができると思いますので、やっぱり授業内でコミュニケーション、対人相手のタスクっていうものがゴールにあった上でのAIの活用っていうものが必要なのかなっていうふうに思います。
 2点目がやっぱり目標の目的の明確化、授業のゴールの明確化ですね。生徒も教師も何ができるようになりたいのかっていうことをしっかりと確認をした上で授業を行うっていうことをしていかないと、AIを用いること自体が目標になってしまって活用ができないんじゃないかなというふうに思います。
 3点目がプリパレーションとプラクティスはAIで本番はピアっていうような形で、やはり練習とかの量とかは今までなかなか授業の中でやってあげられなかったので、そこのところがまAIと一生懸命一緒にやってもらえるといいのかなと思います。だけどもやっぱりゴールとしてはピア相手に、学習者他の教室内の相手に話をするとかっていうところがないと、なかなか1人1人でAIに向かってやってるとそれ自体は動機づけにならないと思います。相手に伝えるっていう、やっぱり教室内にいる仲間が最大の学びの動機づけなんじゃないかなっていうふうに思いますので、そこのところをしっかり活用しながら1人1人が個別化されたAIとのフィードバックとやり取りしながら完成させるっていうようなところが必要なのかなっていうふうに思います。本当に1人1人がパソコンに向かっていて何もゴールがないと、授業内50分1人1人パソコンに向かって先生と「何、今ゲームやってた」とかっていうようなやり取りが本当に始まってしまってる現場たくさんありますので、ここのところやっぱり授業のピアを相手にしたゴール設計っていうものが必要なのかなっていうふうに思いました。
【酒井主査】  米野委員、お願いします。
【米野委員】  ありがとうございます。本県もAIのモデル事業を採択していただいて、今年度はモデル校3校で授業実践を行ったところですが、やはり様々な有用性のある成果が出てきております。またそれとは別に地方では特に英語を使用する機会がなかなかないので、1人1台端末を利用したマンツーマンのオンライン英語を今年度から学校で導入をしているのですが、少なくとも生徒の情意面での肯定的な変容が見られて、やはりデジタル学習基盤の活用は非常に英語学習と親和性が高い、有用であるということを実感してるところでございます。
 大切なところは、適切な指導評価計画のもと教師がデジタル学習基盤を到達目標の実現に資するよう活用することなので、やはり教員のいわゆる養成と研修、ここが非常に大事だと感じます。懸念や課題と感じるところとしましては、やはり何度も話題として出ているように自治体、学校、クラスによって活用の格差が英語力の差になってしまう、自治体のいわゆる経済的な体力差によって育成される資質・能力に差が出るというところです。もう1つは、先月公表されたOECDのレポートでも指摘されてるように、無計画に使用されることによって児童生徒の思考力・判断力・表現力等の資質・能力の育成の妨げとなることが懸念材料で、繰り返しになりますが、やはり教員養成それから研修、これが一層重要になってくるというふうに考えます。以上でございます。
【酒井主査】  すいません、ちょっと順番変わりますけども、あの退席されるということですので髙島委員、ご意見ください。
【髙島委員】  大変申し訳ありません。議会の合間でして。まずAIの専門家を招聘して欲しいというリクエストにお答えいただいたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
 もうとにかくまず使ってみるということと、そして変わることを恐れないってことに尽きるなと思います。教室は失敗する場所だとよく言われますけれども、とにかくみんなで1度使ってみて、先生も含めて最初うまくいかないこともあるかもしれないですけども、みんなでやっぱり使いこなしていく、そういうプロセスを是非大切にしていただければと思いますし、教育委員会は是非そこをサポートしていただきたいなと思います。うちでもそうだったんですが、いろんなセキュリティの基準とかで使えること、使えないこと結構あるんですね。そういう点は是非学校もそうですけれども、教育委員会や都道府県、文科省も是非サポートいただければと思います。
 あとはやっぱりAI時代に外国語を必修とする本質的意義の再整理をせっかくやりましたので、改めてここ是非確認していただいて、AIが入ってきたと、じゃあ教師の役割は何かと、ピアの役割は何かと、意義はと是非考えていただければと思いますし、そういう議論を是非学校の中でやっていただければなというふうに思います。芦屋もいろんな学校を混ざって今英語の先生と議論をしているんですけども、やっぱりそういう議論で生まれている価値ってたくさんあるなと思います。2030年代の教室が変わっていく、そしてその前段階からどんどんもう来年から変わっていくってことを大いに期待したいと思います。今日ありがとうございました。
【酒井主査】  𫝆井委員、お願いします。
【𫝆井主査代理】  先ほどの髙島委員がおっしゃっていた学校というところの学校の支援という意味で、非常に重要だなと思うのは、今回AIはその自分と学習者、教員と学習者、学習者同士を結ぶツールとしての手段としての役割が今日強調されましたけれども、同時にその対象である話し相手としての二人称的YOUにもなっているというところが、仕事が取られるかもしれないだとか、私の代わりに宿題をとか、そういったそのAIに取って代わられるっていう発想が出てくるのはやっぱりそこだと思うんです。そういうこれまでと違うツールが教科書やその他の今使ってるツールに加えてAIとして入ってくるわけですから、学校教育現場はそこをいかにうまく活用していくかってことで、非常にこう時間も能力も問われるところになってくると思います。
 先ほど内田委員ですとか工藤委員もご指摘されていた点ではありますけれども、教科書との共生の仕方ですとか、学校のサポートの仕方っていうところで言うと、今回の授業もそうですけれども、言葉を選ばずに言うと、トップダウンで指導でやっていただいてることっていうのは非常に重要であるとともに、学校教育現場で色々こう行ってるボトムアップ的なそういったものをいかに支援するのかっていうのは、先ほどから話に出ている時間と、それからお金ですね、経済的な意味でのサポートで、そういうその先生方の主体的な「これ面白そうだ、AI面白そうだ」と思ってやっている活動を広くこう広げていくとか、あるいはそれを認める意味でのインセンティブになるようなものっていうのが表彰という形でもいいと思いますし、公開の場でもいいですし、それが金銭面のサポートっていうような形でもいいと思うので、個人もしくは団体、既存の学校ばっかりでなくって、そういうことを研究してる、勉強してる会なんかに対しての光の当て方ってのが非常に大事になるんじゃないか、それが主体的な教員の生活を支えるんじゃないかなというふうに思いました。
【酒井主査】  関谷委員、お願いします。
【関谷委員】  本日3人の先生方のお話を聞いて改めて思いましたけれども、私このワーキンググループで議論してきた本質的意義の部分をもう1度やはり立ち返る必要があって、そこに向けて様々なツールが入ってくる、AIもそうですし、それから単語リストであったり言語活動であったり、そういったものを目標の達成に向かって、どう学校が活用していくのか、また、そういった取組を支援する行政の役割、そういったことを示すことも大きいんではないかなというふうに思いました。そしてあまねく子供たちが学習の機会を均等に与えられるような仕組み作りであったり、先生方が情報をきちんと取って、そして先生方が主体的に活用していけるような、プラットフォームのような何か仕組みも必要かなというふうに思いました。
【酒井主査】  江原委員、お願いします。
【江原委員】  はい、学習指導要領は全ての児童生徒のためにということを考えると、やはり1番課題になるのは学校間格差だと思うんです。やはり学校や教室で、児童生徒がみんな経験するとよいことは何かっていうことを主体として、インフラ整備や教師教育も含めて、ベーシックなことを焦点化して学習指導要領に示すのが良いかなと思います。学習指導要領に書いてあることは全員の児童生徒が、理想論かもしれないけれども、できるようにする、ということが大事かなと思いました。
【酒井主査】  川﨑委員、お願いします。
【川﨑委員】  指導要領にAIの適切な活用の有用性について明示するのは私も賛成です。また今後の情報技術の変動を踏まえて適宜変更、適宜更新する体制作りというのもまた必要かと思いました。また教師のAIに対する質の差や日々の忙しさがある実情を踏まえて、今後クラウドやAIデジタル基盤を使ってどの分野を効果的・効率的にできるのかを具体的に話し合いをしていく検討の余地があると思います。
【酒井主査】  時間のないところで様々ご意見いただいたかと思います。繰り返しになってしまうかもしれませんけども、AI、またそれを含むデジタル学習基盤を有効に先生たちあるいは子供たちが活用するには、やはり目標、それから目標に向けたどのような学習をしていったらそこにたどり着くのかという学習過程ですね、今我々議論してるところですけども、こういうところを分かりやすく届けて、それを達成するために必要なデジタル学習基盤の活用の仕方は何かというようなことを考えていくことが大事なのかなと思いましたし、また本質的な意義のところですね。今日立ち返りましたけれども、AIの様々な先進的な進み具合と合わせて、AIが関与しない部分って言うんですかね、限界あるいは代替できないものということで、今井様からのご発表もありました。そういうところを大事にした本質的意義っていうところを今一度価値を置いて、それをしっかりと指導要領の中で実現できれば良いかなと思っております。
 時間オーバーしまして大変申し訳ありません。それでは時間も参りましたので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に次回以降の予定について事務局よりお願いいたします。
【田井外国語教育推進室長】  次回は3月23日月曜日16時半から19時を予定しております。正式には後日ご連絡させていただきます。
【酒井主査】  はい、それでは以上を持ちまして閉会といたします。
 
―― 了 ――
 
■会議終了後の追加意見
 
【バトラー委員】
 他の委員のおっしゃっていたことと重複する部分があるかとは思いますが、二点ほど付け加えさせていただきたいと思います。まず、重要なことは、AI を使うこと自体が言語習得につながるのではなく、AI を適切に使うことにより、時代に見合った言語能力を習得する可能性が開けるということです。その際、今までの学習や指導方法の中で、どのような形でAIを使っていけるのかを検討するのではなく、根本的に違うアプローチを模索する必要があると思います。AI にこういう機能があるから、従来人間がやってきたことを代替してもらいましょう、今の授業の中でAIの機能を取り入れてみましょうではなく、そもそもAIと共存する未来はどのようなものかの青写真を描いたうえで、その目標を達成するためのAIの使用方法をみんなで模索していかなくてはいけないと思います。つまり、目指す言語能力自体が、AIを抜きにして考えられない時代を迎えているのだと思います。AI は確かにツールにすぎませんが、同時にそのツールを使うことを前提とした言語能力の習得が必要なのだと思います。
 二点目は、AIの使用格差です。教師のAIリテラシーやAI への態度、使用の違いはもちろんのこと、同じクラスの中で、同じAIを使用した場合でも、言語学習の効果に差があることが最近指摘されています。同じAIシステムでも、生徒の熟達度ややる気、学習方法の嗜好により、異なった質のフィードバックを生徒に与えることなどがわかっています。個別最適は確かにAI の潜在的メリットですが、ひとつ間違えると個別による効果格差につながる可能性があるのです。その点においても、教師による個別の対応、フォローアップが非常に重要だと思います。また、言語学習でAIを使用する際、年齢に応じたAIの使用指導、例えばAIは何であり、その可能性と危険性は何かといった指導は、特に小中学生においては、適宜に繰り返し行うことが重要であるという点もどこかで明記できたらいいのではないかと思います。
 
 

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電話番号:03-5253-4111(代表)