令和8年2月6日(金曜日)9時30分~12時00分
WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式
【酒井主査】 皆さま、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第8回外国語ワーキンググループを開催いたします。
本日は「活動を通した指導のあり方」を主な議題として審議を行います。審議を行うにあたり、早稲田大学准教授の鈴木様、上智大学教授の和泉様、文教大学教授の阿野様にご発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは議題に移ります。本議題に関する論点資料について、まずは事務局より説明をお願いしたいと思います。続けてお三方にご発表いただき、それぞれ終了後に質疑応答の時間を設けたいと思います。そのあと休憩を挟みまして、意見交換の時間に移りたいと思います。本日も皆さま全員にご発言をいただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。それでは事務局よりご説明をお願いします。
【田井外国語教育推進室長】 外国語教育推進室長の田井です。資料について説明いたします。
本日は「活動を通した指導のあり方」について議論いただく予定です。全体の中のこちらの部分でございます。
まず現状と課題、言語活用に必要な要素についてです。前回改訂で「言語活動を通した指導」が位置づけられたことにより、5領域の活動を通した指導の推進に一定の進捗が見られたこと。一方で、告示本文に必要な要素が必ずしも明確に位置づけられておらず、言語活動の解釈にばらつきがあること、多様な活動をどこまで言語活動に含めるか、様々な受け止めがあることを挙げております。それを踏まえた方向性として、分かりやすく使いやすい指導要領という方針に基づき、言語活動に必要な要素を具体的に書き下して示すべきではないかとしています。
続いて左側に戻ります。言語活動を通した効果的な指導として、目標柱書きの「言語活動を通して育成する」という規定ぶりが、これ以外の活動は行ってはならないなどの誤解を生じさせているとの指摘があること。内容の「知識及び技能」においては、言語活動を通して言語材料を理解するとともに、技能を身につけることができるよう指導するとしているが、効果的な指導方法が分かりにくいとの声があることを挙げています。それを踏まえた方向性として、知識・技能と思考・判断・表現を育成するための活動を通した指導のあり方を整理し、内容の取り扱いや解説で示すべきではないか。その際、現行は「言語材料について理解したり練習したりするための指導を必要に応じて行う」としているが、「練習」という言葉から想起されるイメージが様々であることから、適切に伝わるよう記載を工夫すべきではないか。あわせて、教師の指導や自己調整学習において参考となる動画等を提供するべきではないかとしています。
続いて左側、英語使用と日本語、母語使用の関係として、中高では授業は英語で行うことを基本としつつ、補助的に日本語を用いることも可能としているが、日本語使用を禁止しているとの誤解を生んだり、生徒の理解の程度に応じた英語となっていない事例もあることを挙げています。それを踏まえた方向性として、授業を生徒の理解に応じた英語で行うことを堅持しつつ、指導に活用できる動画等を提供するべきではないか。あわせて、指導要領の解説で、教師による補助的な日本語使用や児童生徒の母語使用について参考となる考え方を示すべきではないかとしています。
続いて、指導すべき文法事項のあり方として、中学生が英語が好きではない理由として、文法や単語の難しさが上位であること。特に中学校の教科書で難易度が高い語彙や文法の用法等が含まれるなど、内容が高度化し、負荷が上がっているとの指摘があること。これらが相まって意欲向上や発信力強化の課題となっている可能性を挙げています。例えば、中学校指導要領では受け身が位置づけられていますが、CEFR-J Grammar Profileによれば、CEFR B1.2、B2レベルの用法が多くの教科書に掲載されている状況があります。これを踏まえた方向性として、生徒が重要な文法等を理解し使えるよう、中学校指導要領において使用頻度の高い用法を具体的に明示することにより、指導対象を焦点化、難易度を適正化してはどうか。指導対象から外すもののうち、必要なものは高校で扱うことを明確化してはどうかとしています。例えば、受け身であれば、中学校では現在・過去・未来などを扱う旨明示することが考えられますが、具体的な記載にあたっては専門的な検討が必要であると考えます。
こちらは先ほどの課題1、2を踏まえ、外国語によるコミュニケーションを図る資質・能力を育成する単元の指導イメージを整理したものです。「言語活動」「練習」の解釈が多様であることを踏まえて、これらの言葉を使わずに整理を行っております。必要な指導を育成しようとする資質・能力に着目し、丸1の「主に思・判・表を育成する活動」と、丸2の「主に知・技を育成する活動」の大きく二つを位置づけています。
1の「主に思・判・表を育成する活動」は、コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、外国語で理解したり表現したり伝え合ったりする活動としています。ポイントは、コミュニケーションを行う目的、場面、状況を設定することです。これに応じて、児童生徒が聞き取るべき・読み取るべき内容や、表現すべき内容を検討し、その過程で思考力、判断力、表現力が育成されると考えます。右側の具体例の上から二つ目では、「クラスメイトとお勧めしたい地域の食べ物を紹介し合う」という場面や状況と、「興味を持ってもらえるよう相手の好みに合わせて紹介する」という目的が設定されています。生徒がこの目的を達成するため、相手に何をどのように伝えたらよいかを思考・判断し、表現することを目指しています。なお、このような活動を行う中で、語彙や文法等の理解が深まったり、流暢性が高まったりすることも期待され、思・判・表を育成する活動においては同時に知識・技能も深まると考えます。
次に、2の「主に知・技を育成する活動」は、音声、語彙、文法等をコミュニケーションを行う場面や状況、使われる文脈などに応じて理解・活用する活動等としています。一つ目のポイントは、音声、語彙、文法といった特定の言語材料に焦点を当てる点です。例えば、右側の例の下から二つ目、「接続詞becauseを使って好きな地域の食べ物とその理由を伝える活動」のように、特定の言語材料を理解・活用することを目的としています。この点は、コミュニケーションを行う目的に応じて、相手に何をどのように伝えたらよいかを児童生徒が判断する1の活動とは異なる部分です。二つ目のポイントは、場面や状況、使われる前後関係といった文脈に応じて理解・活用する点です。コミュニケーションの中で使えるようになるためには、文脈の中で理解したり活用したりすることが重要であると考えられるためです。
一方で、下の米印に記載のように、指導の過程では文法を解説したり、語彙を一定程度文脈と切り離して覚えたりすることもあると考えますが、それらが単元や授業の中心となることは想定されないと考えます。なお、実際の指導においては、右の例の上から3つめのように、知・技と思・判・表の両方に焦点を当てて活動を行うこともあると考えられ、個々の活動は必ずしも1、2に分けられない場合もあると考えます。
現行指導要領における「言語活動」「練習」との関係で考えますと、1は誰もが言語活動と捉えている活動だと考えます。一方、2については言語活動として捉えられている場合、言語活動ではなく練習だと捉えられている場合など、様々な捉え方が生じているのではないかと考えます。なお、そのような解釈のばらつきが生じている要因の一つが、現行指導要領の規定の仕方にあるのではないかと考えます。
こちらは中学校現行指導要領の抜粋です。内容の「言語活動に関する事項」において、思・判・表は知・技を活用して次のような言語活動を通して指導するとされており、この規定により言語活動は主として思・判・表を育成する活動であると捉えられていると思われます。一方、内容の「知識及び技能」においては、言語活動を通して言語材料を理解するとともに、言語材料と言語活動を効果的に関連付けて技能を身につけるよう指導するとされています。また、小中の「指導計画の策定と内容の取り扱い」においては、言語活動を行う際は言語材料について理解したり練習したりするための指導を必要に応じて行うこととされています。一方で、高校の本文にはこのような練習に関する言及はありません。
このように、知・技も言語活動を通して育成することとしている一方、言語活動が主に思・判・表の育成を目的とするような規定ぶりとなっていること、また、言語材料を理解したり練習したりする指導は「必要に応じて行う」と限定的な位置づけとなっていることから、現行指導要領においては知・技を育成する活動の位置づけが必ずしも明確ではなく、このことにより知・技に焦点を当てた活動を言語活動と捉えるか、練習と捉えるかについて様々な解釈が生じているのではないかと考えます。
スライド4に戻ります。このため、今回の整理においては、知・技を育成する活動を丸2として明確に位置づけて整理をしております。その上で、上の重要なポイントに記載のように、1と2を相互に関連づけながら、2においては1に繋がるよう指導していくことが重要であるとしています。1が重要であり、2のみにとどまってはいけない一方、1を効果的に行うためにも2が必要であり、1と2の順番は一様ではなく、往還が重要であるとしています。このような考え方は現行指導要領においても大切にされてきた点であり、今回の整理によって基本的な方向性が変わるものではないと考えます。個々の活動の外見に着目するのではなく、単元全体や個々の授業の中でどのような資質・能力の育成を目指しているかに着目し、活動内容を判断することが重要と考えています。
本日はご発表者の皆様に、言語活動を通した指導のあり方や言語活動と練習の関係等についてご発表をお願いしております。本資料ではこれらの言葉を用いておらず恐縮でございますが、それぞれのご発表における言語活動や練習が本資料のどの部分に位置づくのかを酒井主査に整理いただきながら議論いただく予定でございます。その上で、これまでの改革の趣旨をしっかりと生かしつつ、さらなる授業改善に資するためにどのような整理を行うことが適当かという観点で、忌憚のないご意見をいただけますと幸いでございます。
先ほどの整理をもとに、指導要領の本文及び解説に盛り込む要素のイメージをお示ししております。現行の目標柱書きの「言語活動を通して」と規定している部分を、「コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、外国語で理解したり表現したり伝え合ったりする活動」及び「外国語による理解と表現の質を高める活動」などを通して、具体的に書き下しています。前者は前スライド1の思考・判断・表現を育成する活動、後者は2の知識・技能を育成する活動を示しています。右側の解説で、2の具体的な内容を「音声や語彙、表現、文構造、文法、言語の働き等、場面や状況、使われる文脈などに応じて理解し活用する活動」としています。
次に左側の「指導計画の作成と内容の取り扱い」で、1の活動については聞くこと、読むこと、話すこと、書くことについて行う旨を規定しています。次に1を効果的に行うための活動として2を位置づけ、留意事項として1と2を相互に関連づけながら知識・技能と思考・判断・表現を一体的に育成することや、導入した語彙や文法等を受容から発信に段階的に発展させる必要性を挙げています。
また、右側の解説部分で、1の活動では既習事項等を最大限駆使して行うことの重要性、1の活動の中で知・技も同時に育成されること、学習状況等に応じて1と2のバランスを考慮する必要性、2の活動は場面や状況、使われる文脈などと関連させて扱うことを中心とする必要性、2の活動の適切なタイミングを考慮する必要性、具体的な指導例を記載することとしています。
次に左側の一番下の部分で英語使用の原則について記載しています。授業全体を英語を使用した実際のコミュニケーションの場面とするという目的を踏まえた授業展開を行う中で、積極的に英語を使用して生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、生徒の英語使用を促すとしており、生徒が英語に触れる機会の充実と生徒の英語使用の促進が主眼である旨を明確化しています。また、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにする旨を記載しています。
右側の解説部分で、生徒が理解の程度に応じた英語に触れ、英語を使用する機会を充実することの重要性、上記の授業展開の中であれば必要に応じて補助的な日本語使用も考えられることを記載するとともに、教師の補助的な日本語使用及び児童生徒の母語使用が考えられる場面と留意事項を記載することとしています。具体的には、教師が日本語で説明することで概念理解などが進む場合、児童生徒が母語を使用することで英語の理解やコミュニケーションの質が深まる場合を挙げ、それぞれ具体例を挙げていますが、具体的な記載にあたっては専門的な検討が必要と考えます。
参考資料・データにつきましては、時間の関係でご説明は省略させていただきますが、新規資料として自己調整学習に関する資料をお示しさせていただいておりますので、適宜ご覧をいただければと思います。資料の説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【酒井主査】 事務局からの説明にご質問やご意見がございましたら、後ほどの意見交換の際にご発言いただければと思います。
続きまして、早稲田大学准教授の鈴木様よりご発表をお願いしたいと思います。鈴木様からは活動を通した指導のあり方について、第二言語習得研究の観点からご発表いただく予定です。なお、鈴木様は次のご予定の関係で10時5分にご退出されるため、質問を限らせていただく場合がありますので、ご協力をお願いいたします。
それでは、鈴木様、どうぞよろしくお願いいたします。
【早稲田大学(鈴木)】 それでは、よろしくお願いいたします。早稲田大学の鈴木祐一と申します。
本日のタイトルは「活動を通した指導のあり方について-第二言語習得SLA研究の観点から-」発表させていただきます。キーワードは言語活動の充実のための「練習」、「文法指導」、「適切な母語使用」になります。
ちょっと簡単に自己紹介の方をさせていただきます。現在、早稲田大学国際学術院国際教養学部で教えております。教育歴としましては、メリーランド大学で第二言語習得研究でPhDを取りまして、現在、研究活動の一環としましては、第二言語習得研究のジャーナルであります「ランゲージ・ラーニング」で副編集長を務めております。専門分野は第二言語習得研究と英語教育研究です。こちらに挙げております主要著書ですが、本日の発表の方で言及させていただきますので、こちらご紹介させていただきます。特に練習に関しましては、右側の「Practice and Automatization(練習と自動化)」という書籍を参照しております。
本日のテーマになりますが、事務局の方からいただきましたお題としましては3点ございます。1点目、外国語の知識・技能の目標達成のため、言語活動と練習をどう位置づけるか。2点目、言語活動の中でどのような文法指導を行うべきか。3点目、英語使用と母語使用の関係です。
まず1点目から説明していきます。現行の学習指導要領における「言語活動」と「練習」の位置づけですが、言語活動は実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動を基本とします。一方、練習に関しましては小中の方で記載がありまして、練習が目的にならないように、単に繰り返し活動にならないようにというような説明がありますが、高校では一切記載がありません。そこで、本日は小中高の校種ごとに練習をどう位置づけて言語活動への接続を明確に提示すべきだということをご提案いたします。
まず、第二言語習得研究における練習に関しまして少し言及をさせていただきます。2010年以降におけるSLA研究の発展により、練習(プラクティス)が再定義、再評価されてきております。1970年代に流行しましたオーディオリンガル・メソッド時代では、この練習というのは機械的なドリルというふうなイメージがついておりまして、練習は単なる丸暗記で英語が使えるようにならないというようなことが通説となっておりました。一方で、近年認知心理学に依拠したSLA研究に基づき、練習のイメージが刷新されてきております。その中で、日本の英語教育にも適用可能な練習の方法や最適化に関する新しいSLA研究の知見が蓄積されてきております。
その中で、日本の英語教育に練習をどう位置づけるかということですけども、近年のSLA研究や関連領域の知見に基づき、「練習を言語活動を充実させるもの」として明確に定義することを提案いたします。具体的にはこちらに挙げております3点をお話しさせていただきます。1点目が「言語活動と練習を区別する」、2点目が「練習を言語活動と有機的に組み合わせる」、3点目は「練習そのものの質を高める」ということになります。
まず提案1から見ていきます。現状、言語活動、練習のイメージは教員の間でバラバラになっているということが先ほどの事務局の説明でもありました。例えば、音読やリテリングは言語活動と見なされてしまっている可能性が高いかと思います。そこで、暫定的ではありますが、練習の定義をこちらに挙げさせていただきますと、「言語活動を充実させるために言語材料の定着(自動化)を促す活動」と。より詳細に案を示しますと、あくまで案ではありますが、「言語活動において伝えたい内容、意味に集中できるよう、言語材料を流暢に使える状態(自動化)へ導くための活動。意味を理解した言語材料を繰り返し使用することで定着を図り、生徒が「使える」という自己効力感を得ることで、主体的なコミュニケーションへの橋渡しとする。ただし、単なる機械的な反復に終始せず、言語活動を充実させる目的のもと、計画的に行われるべきである。」
2点目の提案に参ります。練習を言語活動と有機的に組み合わせる。いくつかの案があると思いますが、こちらでは2点に絞りましてご説明をさせていただきます。1、「言語活動を行ってできない部分を練習で補う」。2、「言語活動から逆算して練習を系統的に積み上げていく」。
具体的に見ていきますと、丸1の「言語活動を行ってできない部分を練習で補う」という実践例としましては、例えば、誕生日について話し合う言語活動を行い、うまく発音できなかった表現を取り出して発音練習するなどが考えられます。特に小学校や中学校の初期段階ではトピックや言語材料が比較的シンプルな場合が多いですので、その時に言語活動の最中などに練習を一時的に取りやすいかと思います。
2点目の「言語活動から逆算して練習を系統的に積み上げていく」実践例としましては、例えば、教科書本文の単語熟語ワークシートをペアで練習したり、音読、シャドーイング、ディクテーション、リプロダクションなどが挙げられるかと思います。このように中学校や高校に関しましては、内容や言語材料の高度化に即して、正確さにも配慮した流暢さを高める練習を独立して行うことで、言語活動へのスムーズな接続及び充実化を図ることができるかと思います。
このように小中高という校種の違いにおける練習の例をお示ししましたが、これをどういうふうに位置づけていくということですが、発達段階に応じた内容、言語材料の高度化に伴い、カリキュラムにおける練習の比重を調整したり、言語活動との接続方法の選択肢を明示的に示すということが重要かと思います。
3点目に参ります。練習そのものの質を高めることです。総則・評価特別部会資料の「個に応じた学習過程の充実」によりますと、認知心理学の知見に基づく効果的な学習方略の例が示されております。例えば、分散学習、検索練習、交互配置などがありますが、このような知見をどこまで、どのように外国語教育に応用できるのかということを考える必要があると思います。その中で、外国語練習の質を高めるために注意しなくてはいけない点というのは、認知心理学の知見を外国語学習にそのまま応用するのではなく、外国語学習特有の認知的な負荷の高さを考慮する必要があると考えます。
例えば、検索練習、交互配置、分散学習等を取り入れる際には、言語材料の難易度や習熟度に合わせた最適な困難度の練習を計画し、必要最低限行うことが重要になります。例えば、認知的な負荷の高いスピーキング技能の場合は、集中学習で少しできるようになってから、徐々に分散学習や交互配置を取り入れることが効果的だということが研究で示されてきております。さらに、学習者が学びを自己調整できるように、教師が学習方略を教えることで知識・技能の獲得を助けることができるということも、第二言語習得研究の知見で最近明らかになってきております。
まとめますと、なぜ練習が重要か。理論的根拠としましては、練習で知識・技能が定着し、生徒の自信に繋がると。また、そこから言語活動を充実させることができるということが挙げられると思います。さらに、現場の現状に即した意義としましては、検定教科書に含まれる言語材料が多いことへの対応。練習は時間的にもコンパクトで、帯活動などとの親和性が高い。その中で分散学習を取り入れやすいというような利点もあります。また、最後に、教員が長年培ってきた指導スタイルを生かしつつ、授業また教員の意識の変容を促しやすいということもあります。それによって現状との乖離を防ぐという役目もあるかと思います。
本日のテーマの2点目、言語活動の中でどのような文法指導を行うべきかに移ります。まずは実践面から検討したいと思います。現場における文法指導のグッドプラクティスとしましては、私が関わっている共同研究において、活動中心の英語授業を行っている教師のインタビュー調査の報告をさせていただきます。具体的には、中学校で、例えば十分に英語表現を聞いたり読んだりした後に、文法規則を発見・整理させるような実践が行われていたり、高校においては、書き手の主張や意図をより正確に理解するために必要な事項や、発信活動に必要な文法事項に絞って解説やフィードバックをするということが行われております。これらの実践例に共通する点としましては、限られた授業時間の中で解説を必要最低限に絞り、練習及び言語活動を最大化し、適切なタイミングで繰り返し文法指導を行うというものになります。
まとめますと、理論的根拠としましては、明示的な文法指導はインプットやアウトプットと統合することで使える文法指導が身につきます。その中で、学習者の発達段階に合わせて解説のタイミングと方法を調整していくことが重要だということが研究からは示唆されております。その上で、現場の現状を考慮した提案としましては、文法指導の原則をより明確に示すことが挙げられます。どのように文法指導を行うのかに関しましては、題材の内容を常に考えている中で形式に気づかせることが重要です。また、いつ文法指導を行うかに関しましては、言語活動の前、中、後に教える、またさらには「教えない」という選択肢を取捨選択して使い分けていくということが重要だと思います。さらに、どのくらい行うかに関しましては、教師の解説は短く簡潔に、また必要な場面で何度も繰り返し教えるということが重要になってきます。
英語使用と母語使用の関係についてご説明いたします。現行の学習指導要領における母語の位置づけとしましては、まず授業は英語で行うことを基本とすると。その狙いとしましては、英語に触れる機会と実際のコミュニケーション場面の充実を図るものでありますが、母語に関しましては必要に応じて補助的に日本語を用いることも考えられるというふうに明記されております。その上で、英語で教える授業と母語使用の関係についてより詳しく明示すべきだということをご提案いたします。
前提としましては、まず英語オンリーではなぜいけないのかということになります。それは英語学習のための最大のリソースを奪うことになるからです。まず母語は内容、題材を理解・発信するための思考の整理のツールです。そのため、適切な語彙、文法表現を検討する生徒同士の対話にも活用することができます。母語を適切に活用した授業の方が、英語オンリーの授業よりもスピーキングとライティングの能力が有意に向上したというような実証研究も最近では出てきております。その上で、母語使用の原則としましては、教室の規律維持、信頼関係を築く、複雑な活動の指示を伝える、言語的特徴の説明、このような原則などが挙げられるかと思います。
最後のまとめに入りますが、なぜ母語が重要か。理論的な根拠としましては、外国語学習間の転換がポイントになるかと思います。すなわち、英語学習者を「ネイティブになれない欠陥のあるモノリンガル」ではなく、「日英を使いこなす複言語使用者」と捉え直すということになります。また、この捉え方というのは生成AI時代にもマッチする部分があると考えておりまして、日本語、つまり思考とプロンプトと英語、出力やその評価ですね、自由自在に行き来する能力の獲得を助けることにも母語活用が一役買うんではないのかなというふうに考えます。その上で、現場の現状を考慮した提案としましては、母語使用の原則を明示することで、英語で教えるイメージをより明確に持ってもらい、英語使用をより効果的なものにするということになります。
まとめに入りますが、従来、文法訳読式やオーディオリンガル・メソッドから英語教育を改革しようということで、コミュニカティブ・アプローチを志向し、目的、場面、状況を設定した言語活動や英語使用の最大化というものを図ってきたということになるかと理解しております。このように言語教育を大きく方向転換する改革の方向性には大いに賛同することでございます。ただし、本日の発表の趣旨というものは、まず現実、つまり現場と理想、また政策の乖離はないのか、また重要なものまで振り落とされていなかったのかということを振り返ることにありました。ある格言で“Don't throw the baby out with the bathwater.”というものがありますが、ここの意味するところは、熱意ある改革の中で不要なものを取り除こうとするあまり、大切なものまで一緒に捨ててしまうべきではないというようなことを示しております。ここで捨てたかったものというものは、教師の解説のみの授業、無目的、機械的な反復練習、日本語中心の授業ということがあったかと思います。その中で残すべきものとして、本日提案させていただいたものは、言語活動を充実させるための繰り返し練習、言語活動に編み込んだ明示的指導、効果的な母語使用になります。
このように結論としましては、言語活動一辺倒ではなく、言語活動を充実させるための工夫、具体的には練習、指導、母語使用を盛り込んだ学習指導要領へということでお話をさせていただきました。参考資料につきましては、最後のページの方に載せております。ご清聴ありがとうございました。
【酒井主査】 鈴木様、ありがとうございました。とてもクリアに、今回の議論すべき提案に関して、理論的な点から説明いただいたかなと思います。それでは、鈴木様のご発表に関してご質問のある方は挙手ボタンよりお願いします。
よろしいでしょうか。とても明快にご説明いただいたので、わからないところがなかったという、そういうご発表だったかなと思います。今回、事務局の提案で2つの資質・能力の指導を狙った活動に分けると、そしてその中2つの活動も関連すべきであるというようなところが、なぜそれが必要なのかということを、鈴木様の発表で理論的にも裏付けられているというようなことが示唆されているかなと思いました。
細田委員、お願いします。
【細田委員】 はい、質問ではありません。実は、ずっとこの議論が自分の中で落ちなくて、言語活動について言うと、その言語活動の捉え方は多岐にわたっているんですが、優れた授業実践もしている先生方から、一生懸命やろうとしている先生方まで、この言語活動について言うと、外国語教育の中の活動の最も重要なものとして捉えている、そういう表現であったので、言語活動というこの表現の仕方が学習指導要領の中から消えていくというか、重みが少なくなっていってしまうのではないか。そうすると、現場がかなり混乱するのではないかという、そういう心配が先に立っておりまして、なかなか自分の中でうまく落ちなかったんですが、本日の鈴木先生のお話でもうすっきりしました。
これをどうやってその次の学習指導要領の中で、きちんと多くの先生方に私のような思いを払拭するような、そういうわかりやすい学習指導要領に到達させるために、やはりこれからの議論がすごく大切なんだなというふうに思ったという感想で大変恐縮ですが、すごくすっきりわかったので、なんか嬉しくなって発言してしまいました。よろしくお願いします。
【酒井主査】 亘理委員、鈴木様が10時5分退室ということですので、端的にお願いできればと思います。
【亘理委員】 細かいところではいろいろあるのですが、本日の事務局の資料4ページで丸1と丸2が「一体的育成」ということになってて、その横に「家庭学習との連携」とあります。鈴木先生の今日のご発表の中では、家庭学習に回すべきものと教室でやるべきものということの話はそんなになかったと思うので、もし短い時間で、ここの練習は家庭学習に回してもいいんではないかとか、家庭学習でやるべきではないか、むしろ教室でやるべきはこういう練習ではないかというご意見あれば伺っておきたいなと思った次第です。
【早稲田大学(鈴木)】 亘理先生、ご質問ありがとうございます。この家庭学習との連携に関しまして、自己調整学習の点と少し関連いたしますので、時間の関係上、なかなか言及はできなかったんですけども、例えば、単語とか文法のドリル的な練習に関しましては、現在生成AIなどを活用して、授業外でもこの練習の量を最適化するというようなプログラムも研究されてきておりますので、そういう練習の中でも特にどちらかというと、言語活動のもっと前段階の土台を作る部分というのは、家庭学習でも積極的に活用していくということが重要かなというふうに思います。
【酒井主査】 武藤課長、お願いします。
【武藤教育課程課長】 鈴木先生、本当にクリアなご説明ありがとうございました。大変よくわかりました。その上で、さらに議論を深めていくという観点で、今日の先生のプレゼンテーションに対する主たる反論というのがもしあれば、その反論と、それに対する先生のリアクションというのがもしあれば、お伺いしたいと思いました。よろしくお願いします。
【早稲田大学(鈴木)】 はい、ご質問ありがとうございます。私のプレゼンテーションに対して自分で批判するという形ですね。そうするとやはり、こうやって今こう練習的な活動を少し寄り戻そうということになって、今までのせっかく培ってきた言語活動の充実化というものが逆行してしまうのではないのかと。
ですので、振り子がやはりこうなんとかして動かそうという形で今の現行学習指導要領が進んできた中で、戻そうとする時に、もう戻しすぎてはしまってはいけないのかということで、現在お示しいただいている、この活動、コミュニケーションを行う活動丸1と丸2の活動っていうのは、そこら辺かなり気をつけて明記されておりますので、やはりここら辺、振り子が1回頑張ってこっちまで行ったのに、逆に戻らない、戻りすぎないようにということで、やはりこれは歴史は繰り返されると言いますか、この振り子のバランスをどうやって保っていくかということを、かなり慎重に検討していくということがポイントになるかなというふうに考えております。
【酒井主査】 それではここで区切らせていただきたいと思います。鈴木様、本日は貴重なご意見ありがとうございました。
【早稲田大学(鈴木)】 ありがとうございました。それでは退室させていただきます。
【酒井主査】 先ほど述べ忘れましたが、鈴木様から母語使用に関しても大変貴重なご意見をいただいたと思います。
それでは続きまして、上智大学教授の和泉様よりご発表をお願いしたいと思います。和泉様からはフォーカスオンフォームを志向した英語指導のあり方についてご発表いただく予定です。なお、和泉様は次のご予定の関係で10時45分頃には退出されると伺っております。
それでは和泉様、どうぞよろしくお願いいたします。
【上智大学(和泉)】 鈴木先生が15分で見事にうまく終わらせたんで、僕の方も15分で終わるかなと思いつつ、SLA研究の方をすごくうまくまとめていただいたんで、僕の方から少し観点を変えた形で、ただかなりの部分結構オーバーラップするのかなという気持ちもします。「フォーカスオンフォームを志向した英語指導のあり方」ということで話したいと思います。
これいろんなところでもういっぱい話してるんですけども、でも何度話してもやっぱり重要だなと思うんで、ここでも言わせていただきたいと思います。言語習得、母語習得でも第二言語習得でも同じですけれども、やはり3つの要素というのが非常に重要です。
1つが形式(how)ということで、文法の問題もいろいろ言われてきましたけども、文法だとか語彙だとか発音だとか、やはり我々言語教師として教えなきゃいけないことがいっぱいあるということですよね。ただ重要なのはこれだけではなくて、それが意味と結びついてなかったら何の意味もないということで、本当にmeaninglessになってしまう。howに対してwhatいうことで、そこにトピックがあって話題があってテーマがあってメッセージがあってということで、現行の教科書、指導要領でもそうですけども、必ずそういうふうな内容というふうなのがそこに含まれていて、その上で形式が使われているということです。
現行の指導要領になると、これにもう一つ重要な部分が加わったということで、それが機能ですね。“When do you use this structure, this form?”ということで、whenというのとwhere、どういう状況ですね。いわゆる目的、場面、状況ということで非常に重要なことが現行の指導要領の中には入れられているということになります。
これを3つ全部重要ということですよね。3つを結びつけてこそ、初めてそこにコミュニケーション能力が養われる。逆に言うと、形式だけずっとやってても、なかなか使えるようにならない。なぜか。意味と結びついていない、どういう文脈で使うのか分かっていない。だから、「結びつき」ということが非常に重要になってきます。これ意味だけ見ても意味はわかるんだけど、フォームの部分がちょっといい加減だということにもなりやすかったりするんで、やはりこれどういうフォームをこの意味のために使うんだということも考えていかなきゃいけないということです。
話すときは、そこに必ず場面や状況があって、何らかの内容を伝える目的があります。SLA研究では、「エクササイズ」と「タスク」というのは別の用語として使っています。エクササイズというのは形式がわかったら、その形式操作をすればとりあえずできてしまう。意味に注目する必要は必ずしもない。タスクというのは別の用語として、形式は使うけれども、意味が中心で、タスクを何かやって相手に何か伝えなきゃいけない、これを理解しなきゃいけないというふうなことがある中で形式を使わなきゃいけない。エクササイズとタスク、両方とも同じように使われたりすることも時々教育現場ではあるんだけども、実はかなり違った意味での言葉になります。
聞く際も同じです。文脈や聞く目的があるのが普通のこういうふうな場面でのリスニングですけれども、そういう意味でisolated listeningとcontextualized listeningは全然違う。isolated listeningというのは基本的に、機能の部分が、目的、場面、状況というふうなのが最初から全然わからない。どういう状況で聞いているのかわからない。いわゆる言ってみればテスト状況で、「はい、いいですか、聞いてください」「何が話されるかわかんないですよ、誰が話すかわかんないですよ」って言って、テストで聞いてそれで答えるみたいな。テスト場面ではそういう部分で言語能力、言語がどれくらい聞き取れるかというふうなことを判断する上では重要なんだけれども、実際の世の中のリスニングというのは必ずそこに場面があって状況があって、誰が話しているかというのもなんとなくわかっているという中で、かなりの部分で予測が効くのがcontextualized listeningになる。実際にテストでやるときisolated listeningでも、それは目的によってそういうのもありでしょう。ただ、それイコール必ずしも授業でやるときにいつもじゃあこのように聞いて、それ何もわかんない状況で聞いてやらなきゃいけないかというと、普段はコンテクストのある中で聞いていって、そういう中でだんだん言語能力が培われていって、最終的にテストでisolated listeningというのをやるというのは納得できるかなと思います。
読む、書くということもコミュニケーション、Written Communicationということなんで、日常生活では欠かせない重要なコミュニケーションです。特に最近は若者の間では口語のコミュニケーションも重要だけども、SNSとかを通じて非常にWritten Communicationというので重要視されている時代になっているとも言われます。そういう意味でもmechanical translation、いわゆる機械的なという話が先ほどもありましたけども、機械的に何かやったり操作したりとか、またこれを訳したりするというのと、実際はcommunication between writer and reader、基本的にこれが読むというのと書くというののコミュニケーションのあり方であるかなと思います。僕自身も何か書いたりするときに必ず誰に伝えてあげなきゃいけないのかな、この人どこまでわかってくれるのかな、どういう背景知識があるのかなというAudience Awarenessというのは非常に重要になってくるので、そういうつもりで書くし、読むときも誰が書いているのか、どういう意図で書いているのかな、どういう人なのかなってやっぱり気になるわけですね。そういうことを考えながら、コミュニケーションしています。最終的にこれら3要素の技能の結びつきは、やり取りの中でとりわけ際立つのではないかと思います。これもSLA研究でインタラクションの重要性として、現行の指導要領でも目的、場面、状況と同時にやり取りの重要性というのも入ってますので、非常にそれは画期的で重要なことであると考えます。
機能が重要ということで、じゃあどういうふうに重要なのか一つの例を出したいと思います。次の場面でふさわしい答え方は何でしょうかといったときに、例えば大都市の中の暗い夜道で、これ東京ではあんまりないかなと思うんですけど、海外に行くと結構あるわけですね。こう男の人が急に現れて、暗い中で現れて、こうちょっと間違った道に行って暗いとこ入っちゃう。“Do you have any money?”って言ったときに何と言いますかと言ったときに、従来型だったら“Yes, I do.” “No, I don't.”ですけども、そういう答え方ではなくて、多分“No, I don't.”って言うとちょっと危険かもしれないんで、“Sure, take it.”って言って、お金をいきなり財布を差し出したりする。つまりここでは“Do you have any money?”の意味というのは“Give me money.”っていう、その音色からとか状況からとか誰が言ってるとかから判断するわけですよね。
これ別の場面として、例えば家庭でティーンエイジャーの子供が出かける際に、お母さんが“Do you have any money?”っていうふうに言ったときに、娘さんは何て言うか。これも“Yes, I do.”“No, I don't.”ってそのまま答えることはあんまりないのかな。これ僕だったら“Actually, I need a little more, Mom”みたいな形ね、「ちょっと足りないんだけどもう少しくれる」みたいな。つまりここで“Are you okay?” “Do you want me to give you more money?”っていうような形で、“Do you have any money?”、「お金ある?大丈夫?」っていうことを聞いているわけですよね。
考えてみると、じゃあ一番最初のシナリオと2番目のシナリオ、意味が全く逆になっているんですね。“Do you have any money?”って言ったときに、最初は“Give me money.”だけど、2番目の場合は“I want to give you money.” “Do you want me to give you any money?”っていうことなので、状況によって意味が全然変わってくる。つまり、文の意味はコンテクストによって異なる。意味と機能というのは密接に結びついているということですよね。言い方も変わるというのは非常に重要ですね。最初は“Do you have any money?”って言っているかもしれないけど、2番目の場合は同じように言わないで、“Do you have any money?”って言って優しい言い方に変わっている。音読させる部分でもコンテクストが分からないとどう言っていいか本当は分からないはずなんですよ。コンテクストは後付けではなくて、最初から実際はそこにあるべきはずと、それが言葉の本来のあるべき姿であると。そうなれば教えるときにも、またアウトプット練習するときにも、それというのはやっぱり考えた方がいいんじゃないでしょうか。だから形式、意味、機能の学びは結びつけ、一つ一つを順番に教えていくとかではなくて、結びつけようというのは最終的な目標としてしっかり考えるのは重要であると思います。
もう別の観点としてね、異なる英文法の学び方、教え方ということですけど、いろんな教え方があるんですけども、大きく2つに分けて2通り考えられます。一つが従来型の説明主体の学び方と教え方ということで、説明主体だと不定詞の名詞的用法って言ったらね、この主語だとか目的語だとかね、こういうのいろんな言葉を使いながら教えたりするというね。これだいたい、いろいろYouTubeでいろんな名人講師とかいろんな方が説明してたりするけども、基本的に似たような感じになっているかなと。で、そこでじゃあ例文としてはどうなるかって、例文の具体例。“I like to listen to music.”「あ、このtoっていうね、だからことっていうふうな言い方なんだな」みたいな形で具体例が与えられると。ここで当然問題になってきてしまうのは、この説明の方がなんか主役になってしまって大きくなってきて、具体例っていうのがなんかちょっとしょぼくなってきて、「なんだ、最初からそれちゃんと言ってくれればいいのに」っていう感じにもちょっと思われる。
これ考えたときに、これインプット主体の学び方、これがSLAの研究に沿った考え方かなと思うんですけども、こっちの方に変えていかなきゃいけないでしょう。つまり例文は豊富でなければいけない。この場合、例えば“I want to play soccer after school. ” ジュニアハイスクールの生徒ですね。“But I need to finish my homework first. I want to practice with my friend. So I need to go home quickly and study.” みたいな形で、いろんな例文ね、先生の別の例文があるかもしれないけども、こういう中でいろんな例文に触れさせてあげた上で、その中で「実際あれパターンってここなんか気づいたことない」っていう中で、ちょっと板書してこういうふうに示してあげたりすると、自然と例文が豊富な中でパターンが並べてあげたりするとかなり明らかになってくるんで、そうすると日本語の説明がさらっとでき、すっと落とすという形で言われてましたけども、「何々することの意味だよね」「これ不定詞って言うんだよ」っていうような形で、簡単な日本語の説明ですっと入ってくる。
つまり例文、インプットですね。インプットはいつの世の中でも、いつのどこの場所でも、アメリカでも日本でも同じですけども、例文、インプットは主役じゃなきゃいけないんだよ。だから説明の方はじゃあいらないのか。いや、説明の方は非常に役立つんで、それはぜひとも入れたいけども、ただあくまでも脇役であって、これ逆にしてしまうと、説明が多くって、授業が英語の授業というよりも、なんか言語学の授業でうんちくはわかったと。理由が分からないといけない、なぜかって分からないといけない、それを前面に押し出しすぎてしまうと、ドラマで考えると、おかしな話になってしまう。脇役がどんどんどんどん前に来てね、なんか言い張ってるぞみたいな。ただどうしてもこれ英語の学習なんで、英語のインプット非常に重要になってきます。
ここでもう一度やっぱり重要なのは、インプットっていうふうなのはSLAの言い方で言うと、やはり英語のサンプルであって、それが意味を運ぶ英語のこの言葉の姿でなきゃいけない。文脈がある中でと。それがインプットであって、時々よくあったりするのは、説明を先生がいっぱいしてますよ。「はい、これインプット与えてますよ」いや、それはインプットとちょっと違いますよと。先生が特に日本語でやってる説明っていうのはあくまでも説明であって、その文法とか何か教えたいときにそれ示してるのがインプットであって、インプットが主役ですよということになります。
重要ポイントは言葉は文脈の中で初めて本当に意味を持つ。文脈がないと意味っていうのは定まらないんです。文脈がないと語彙や文法をいくら知ってたとしても、文の意味を本当に理解することは難しい。“Do you have any money?”に関してもそうですけどもね。本当にそれが何を意味しているのかは、語彙や文法だけでは本当はわからないはずなんです。逆に言うと、文脈があると知らない単語はそこにあった文法がまだやってなかったとしても、多くの場合は意味を推測できるということになります。これホームステイとか、生徒が海外に行ってたりすると、なぜか知らないけど、なんかああいうふうにやってもらって話してもらってわかったりする。なぜわかるか。そこに状況があるから、そこに話してる人が見えるからって、文脈があると実は結構わからないことっていうのもわかってきたりする。ないとわからない。また文脈がないと、学んだことをいつどのように使うのかというのもわからないということです。
日本では、今までずっと言われてきたのは、「だから日本人はなかなか英語は使えない」と。なんで使えないか。アウトプット練習が足りないから。アウトプット、だから言語活動重要なんだ。それはそうなんですよ。アウトプットは非常に重要です。でも本来はまず考えなきゃいけないのは、何よりもインプット、どのようなインプットを与えているかです。そのインプットが充実して文脈のある中でわかって興味のあるものでなかったら、それからアウトプットに繋がるということはなかなかできない。言語活動って言ったときに、インプット活動からアウトプット活動、すべてつながっているべきです。アウトプットさせるためだけに一生懸命やってるだけではなくて、インプットの時点から文脈を非常に重要視しながらやっていかなきゃいけないかなと考えております。
これまで理論的なことが多かったんでね、ちょっと具体例として非常に面白い例があったんで、ご紹介したいと思います。実は、僕が上智大学でフォーカスオンフォームというクラスをTESOLの英語教授法の大学院のプログラムで教えている中で、去年発表してくれた鈴木康介君という子が、非常に面白いフォーカスオンフォームのレッスンを作ってくれたので、簡単に紹介したいと思います。
中学校の受け身形を教えていることで、いかに内容を豊かにできるのかということで、いろいろ話をして、こんなものを作ってくれました。
“What do you find beautiful?” “Do you think it’s beautiful?” “So nature is beautiful.” “Some people say music is beautiful.” “Or universe is beautiful.” “Or yeah, love is beautiful.” “So there are many beautiful things.”こういう形で始まるわけですね。
“Then let's go back to the second half of the 19th century in Paris.” こういうアートのユニットが仮にあったとしたときに、“Do you know these artists?” “Do you know these people?” “Okay?” “One Claude Monet.” “Okay?” モネって聞いたことありますか? “And then second Pierre-Auguste Renoir.” “Okay?” ルノワールですよね。
“For him, for Monet, beauty lies in nature. So he tried to paint his impressions of beautiful nature. For Renoir, for him, beauty lies in humans. So he tried to express his impressions of human happiness. Human happiness in his paintings.”これ違いがあるということですね。
僕これ知らなかったんですけどね。“And they're called impressionist painters.” 日本語で言うと印象派とか聞いたことありますよね。
“Do you want to see their works? Let me show them.” こんな感じで、“This painting is Morin de la Galle.” 有名ですね。“It was painted by Renoir in 1876.”
こんな風に、これちょっと見てみて。これ何?ズームアップしてみて。これサンシャインっていうことですよね。“Sunlight expressed in this way and this is a typical feature of impressionist paintings.” 印象派って印象を描くわけで、丁寧に写真のようにじゃなくて印象を描く。
“One summer in 1869, Monet and Renoir went to Grenouillère.” Grenouillèreはフレンチで難しいんです。グルヌイエールですね。“It was a popular leisure spot and was loved by many people at that time. People went there to feel nature. They swim, read, eat, and just relax. Monet and Renoir painted in this place.” 同時じゃないけど、同じ時代に生きてる人たちなんで。“What kind of impression did Monet and Renoir get in this place? How did they express them in their paintings?”こんな感じですよね。
“This work was painted by Monet. And this was painted by Renoir. Why did they look similar? Well, simple. This is because they were painted from the same location.” 同じところで描いていてるんですよね。
比べると “They look similar, but can you find any differences between the two paintings?” と言って、生徒に比べてみてもらう。「どこが違う?」とヒントを出してもいいかな。こんなヒントですね。「ここら辺見てみて、どこが違う?」
これ見てみると、例えばここですよね。“What are the differences? Which group of people are painted more clearly?” ズームアップするとこんな感じですよね。明らかに違いがある。“So in Monet's painting, people are not painted clearly. And Renoir's painting, people are painted clearly. How about the water? Water is painted clearly and beautifully in Monet's painting.”
別のはここら辺見るとどうですかね。“What is reflected on the surface of the water?” ズームアップして、生徒に話し合ってもらってもいいかな。これ中、何が反映されているのかなと。“The tree is reflected on the surface of the water in Monet's painting. In Renoir's painting, people are reflected on the surface of the water.”
他にも、“What is the biggest difference?” “Beauty of nature expressed in this painting.” “In Monet's painting.” “In Renoir's painting, human happiness and everyday lives are expressed in this painting.” 同じところから描いているんだけども、印象、見方が違うわけですよね。“They find different things as beautiful.”
ここら辺で、Language Focusとして、「こんなこと今言ってましたよね」と示した上で、“Can you find any patterns?” とヒント的に示してあげてもいいかなと。上で “Check your understanding in pairs.” 最終的にはこんな形で示して、意味は何ですか?「された、されてるっていう意味ですよね」というような形で、日本語でのサポートがここで入っても全然いいのかなと思います。受動態って言うんですよ、受け身形って言うんですよと。
で、“Now imagine that you work as a staff at a museum. You're going to exhibit one wall label for this painting. Which wall label is better?” これはキャプション、解説ですけども、解説書くときにこんな書き方もありますよ、これと比べてどうでしょうかと比べさせる。
“This work is painted by Claude Monet. Water is painted beautifully.” “The tree is reflected on the surface of water. Beauty of nature is expressed.” 今度は場所、こっちの方はどうですか?と Claude Monet を主語にしてるわけですよね。“Claude Monet painted” という形でこういう形になってると。これどこが違いますかと言った時に、話題の中心がモネなんですね、最初の場合。後の方はモネが中心になってる。実際はモネの人生ということで書いた時には、このようになるのが自然になってくるのかな。これ受動態の使い方としてどこが焦点に当たってるのかなという部分が描かれてるのかなと思います。重要な気づきのポイントですよね。
その上で “Let's practice” として、もう一回ちょっとこんな形で、口語でもできるかもしれないけど、ワークシートかなんかで、今までのこれをもう少し形式にフォーカスした形で内容もしっかりわかった上でやってみる。これをもう少し応用して練習してみるとこんな感じになる。
モネによって描かれた、この藁の、今度別のペインティングですけれども、ここでもいろいろ同じような形で受け身形が自然に使われている。“When do you think they were painted?” これ比べてもらった時に、“The left one, this was painted in the morning.” “Around noon and then in the evening.” これも同じように絵画を中心にしてるから受け身形が自然に使われてるということになります。連作と呼ばれている。“This type of work is called series.” “Different colors are used to express different times of the day.”
ちょっともう時間がなくなってきたんで、別の絵画で同じようにできます。ルノワールに描かれたけども、実は有名な絵画だけどストーリーがいっぱい入ってますよっていうふうに。他の部分でもこれ誰でしょうね?これレストランのオーナーですよみたいなね。で、“Can you find a girl with a puppy?” と言った時に、これは “In fact a woman with a puppy was loved by Renoir.” “Two years later Renoir and the woman got married.” 全然僕は知らなかったです。はい、でもこういう絵の中で実は、ルノワールはpeopleをフォーカスしてるわけですね。彼らがどのように交わってるかっていうことを。ここ見た時に、“The facial expression and clothes are painted in great detail.” “And can you find the river Seine?” セーヌ川がどこにあるのわかりますか?セーヌ川ここにあったわけですよね、実は全然描かれてないということで、彼にとってはネイチャーはさほど重要じゃない。Peopleにフォーカスしたいんですよね。
最終的に “Which painting do you like?” “Decide your favorite painting.” “Describe it to your partner.” “Explain why you like it.” いうような形で、もう少し自由度の広いような活動を上げて、サポートしてあげるっていうような形の流れになってます。
非常によく考えられたユニットになってるかなと思うんですけども、先ほどいかに文脈の中で使われてるか、その中で何度も何度も例に触れながら、その中で日本語の説明があった上で、それがだんだん言語活動とアウトプットとして使われていくというような流れになるという感じになっています。参考になればいいかなと思いました。
ついでに、もう一つ僕英語教育の雑誌の中でこういう論稿を出してて、簡単な説明となってますけれども、サマリーとしてご活用いただければと思います。以上で終わりにします。
【酒井主査】 和泉様、ありがとうございました。それでは和泉様のご発表に関して、お一方お二方、簡単なご質問を受けたいと思いますが、いかがでしょう。内田委員、お願いします。
【内田委員】 ご発表ありがとうございました。非常に参考になるお話と、学習者がイメージしやすいような活動のご紹介をいただきありがとうございました。
一つ、インプットは大事だということと、文脈が大事だということ、まさにその通りだと思うんですけど、教科書を作るとか、教科書を落とし込む段階で、結構その文脈を取り入れようと思うと紙面を食ってしまうというか、そういう問題もあるのかなと思います。文脈を示す、例えばインプットたくさん示そうと思った時にも、いろんな文脈、いい文脈を示そうと思うと、だいぶ英語を書かなければいけないっていうところがあると思うんですけど、その紙面との整合性と言いますか、どのように解決すればいいのかっていうところで、もし先生のアイデア等あればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
【上智大学(和泉)】 教科書作成の方になってくるとなかなか大変な、僕も高校と中学教科書に携わってますけども、確かに紙面の制約という部分がかなり難しい部分があります。ただ同時に、現行の教科書っていうと、そういう意味でダイアログがあったりリーディングがあったりした時に、昔の教科書と違って、こういうふうな文法項目、これを入れましょうと言った時に、非常に自然な形で、無理のない形で入れられてます。多くの場合、例えば受け身形だったならば、それが必ずしもその短いダイアログの中でも一つではなくて、ひょっとしたら二つ三つ入ってたりするってこともあったりするんで、非常にうまく工夫して、無理なく、かなり工夫して一生懸命やってるかなということはあります。
ただ同時に、練習問題とかになった時に、なんか急に機械的になったりしたりすると、結構ギャップがあったりするってこともあったりするかなというふうに思って、練習問題の場合は文脈がなかったりするわけですね。それは紙面の関係っていうのも関係してるんですけども、そうすると授業の中で、もしかしたら教科書には入らないけども、指導書の方に少しそういうものを入れた上で、先生がいずれにしてもちょっとした解説を加えてあげたりとか、またもう少し補足的な情報とかをオーラルインタラクションの中で入れてたりするんでね。そういう部分でもう少し豊富にすることはできるのかなと思います。だから教科書の中では入れられなかったとしても、やはりそれをそのまま提示してそのまま読んでではなくて、やはりそれをどうしても先生が膨らます部分があるんですね。それが膨らましにくいと自分で考えられないっていう部分も結構あったりするんで、指導書等で、そこら辺をもう少しサポートしてあげれればいいのかなというふうに思っております。
【酒井主査】 藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 和泉先生、ありがとうございました。今の質問の中にもちょっと関係してくることかと思うんですけれども、今の先ほどのルノワールとモネの例みたいなものっていうのは非常にわかりやすくていい一方で、ひょっとすると多くの先生が実際の授業、毎回授業をやる中で、結構職人芸的な発想みたいなものが求められるみたいなことになると、なかなかそれが浸透していかないと思います。だからああいうふうな形で非常に自然な形でインプットフラッドみたいな形でインプットがたくさん与えられるというふうな形に持っていくのは非常に理想なんですが、その一方で本当に教科書からそういう形で発展させていくっていうところのヒントみたいなのもしございましたら、教えていただければありがたいと思っております。
【上智大学(和泉)】 これ確かに、こういうふうなレッスンを先生一人一人が全て考えてくださいっていうと、本当に職人芸で、これなかなか我々にとって難しいわけですよね。僕もいくつかサンプルどんどん貯めてますけれども、受け身形ではこんな感じがありますよ、関係代名詞ではこんな感じがありますよみたいな形で、やはり教科書作成したり研究者とかの方々が、いろいろそういうふうなアイデアをストックしていくことが大事でしょう。アイデアをストックしていくためには、先ほど一番最初に言ったように、そのフォーム、ミーニング、ファンクションを常に気にしながら、日頃の日常生活の中で、日本語でもそうだけども、関係代名詞とか仮定法的な使い方っていうのはしょっちゅうしてるわけですよ。どういう場面にどういうふうに使ってるのかなみたいな部分をアンテナを張りながら、そういうふうな材料をどんどんストックしていくっていうのは重要なのかなと思います。
教科書会社っていうのは基本的にそういうことをやってたりするんで、教科書の方で今日言ったような部分ではどんどんどんどん取り入れて、いろんなものを考えてもっと豊かな、生徒が食いつきそうな内容がちゃんとあるような、その中で言語項目がうまく使われてるようなのをどんどんどんどんストックしていくのは重要になってくるかなと思います。
それと同時に、今度は先生方がじゃあそれを少し広げてやっていきたいっていった時、先ほど言ったような話を職人芸にしないためにも、指導書等に含めたり、また教員研修といった場面で先生方こんな風に使えますよねっていうような形で支援していくっていうふうなのは重要かなと思います。その上で先生方がどんどんどんどん慣れていくと、もっと多くの先生方が工夫がされるようになってきて、こんなのもありますよ、あんなのもありますよってどんどん出てきた時に、それが本当に全国的にどんどんどんどん広まっていくのかなと思うんで。最初は今ちょっとこじんまりと始まるかもしれないけれども、勢いが広がってくると思うんで、最初のうちにいい例を示してあげていって、そこから学んで自分なりに考えてくださいっていうのをやっていくのが重要なのかなというふうに思っております。
【藤田委員】 ある種のデータベース的な形のものがどっかで集めていくみたいな、そういうふうな仕組みみたいなものが出来上がれば、共有が進むみたいな感じということですかね。
【上智大学(和泉)】 そういうふうに思ってます。
【酒井主査】 和泉様からは、コミュニケーション能力を身につけるためには、やはり文脈であるとか目的場面、それから状況ですね、こういうところで言語使用していくということがとても大事だというお話がありました。もう一つお示しいただいたのは、今まで練習のような、あるいは理解するための指導と呼ばれてきてる部分です。鈴木様の方は自動化をするというところが目的であった今回事務局の提案では2にあたる部分ですけども、その手前に英語のサンプルを見ながら気づいていく、そして使い方を学んでいく、そこは意味と形式だけではなくて、いつ使えるのか、どのように使うのかということも含めて、今回の事務局提案の丸2の活動ですけれども、位置づけることが重要だというご主張であるというように理解しました。結構丸2にどういう要素が入ってくるかっていうことはとても重要な観点だと思いますので、鈴木様に加えて和泉様からもとても貴重なご意見いただいたかなと思っております。和泉様、どうもありがとうございました。
それでは続きまして文教大学教授の阿野様よりご発表をお願いしたいと思います。阿野様からは知識及び技能を育成するための指導のあり方を中心にご発表いただく予定です。阿野様、どうぞよろしくお願いします。
【文教大学(阿野)】 よろしくお願いします。文教大学の阿野です。貴重な機会をいただきありがとうございます。鈴木先生、それから和泉先生から、SLA、フォーカスオンフォームということで、理論的枠組みでいろいろとこうお話がありました。私の方ですけれども、最近は小中が多くて、あと高校ですね、授業を割と多く拝見しているということと、あと教員研修で先生方とお話しする機会が結構ありますので、できる限り現場での問題点だとか、先生方が考えてることだとかっていうのを中心にお話をさせていただきたいかなと思っております。
教室を訪問していて、もうこれ間違いなく、こういう仕事を私始めてから30年ぐらいですかね、「言語活動」っていうのが本当に定着してきているだとか、特に現行の学習指導要領になって、この言葉自体を意識しながら授業を作られてるっていう先生がいっぱいいらっしゃるのは確かです。ただ一方で、まあ子供たちが、これはある意味今の学習指導要領の成果だと思うんですけれども、多くを話したり、多くを書いたりしている子たちが増えてきているので、そうすると当然ながらその量に比例して間違いですね、文法語彙の間違いだとかっていうのは当然これ増えていくというのはまあ当たり前だと思うんですけれども、ただ先生方の判断としましては、よく話すけれども非常に間違いが多い子たちが増えているというような、あるいは正確さが足りないというような、そういう指摘をされる先生がすごくたくさんいらっしゃいます。
でも、ある意味で量が多いということは、できてることも増えているということを見なければいけないと思うんですけど、これ、先生方に研修で時々やっていただくんですが、例えば、ある子供のライティングの添削をしてくださいと、これをどういうふうにフィードバックをしますかというと、非常に多くの先生はとにかく間違いを多く見つけるというような、そういう見方をされているのが多いと思います。これができるようになったというように、できてる部分にフォーカスをするというよりも、割と間違いのところばっかりなので、書けば書くほど真っ赤になって返ってくるというような、まあこういう現状もあると。まあそういう見方をしている限りは、非常にとにかく正確さがなくなってきているというような判断をされている先生も多いと思います。
それで、正確さが足りないということで言語活動はやってるんですけれども、これが先ほどから話が出てるように、言語活動が関連した練習と行けばいいんですけれども、別メニューとして副教材を多く買う、つまり文法の問題集やワークブックの使用をする、それから単語力がないということで文脈を切り離した単語帳等を用いた、そういう指導なり小テストをしているという現状がかなり見られていると思います。まあこの典型的なのが高等学校の論理・表現の現状かなというふうに思います。論理・表現ももちろん指導要領に書かれているような表現力ということ、発信力ということでやられている先生もいらっしゃるんですけども、教え子たちが教育実習にいろんなところに行くんですけど、帰ってきてみんなそれぞれレポートをさせるんですが、その時にもう論理・表現は完全に切り離した文法指導というのをいまだにやっているという現状、これ相当あるということはわかっております。
で、この指導をしていると結果的にそれが言語活動において正確さに反映できてないというこの大きな課題がある、まあ知識で終わってしまっているということです。例えば典型的な例であれば、このI my me mineというようなこの表を埋めるような小テストなりテストをやると、でこれ暗記しているのでパーフェクトで取れるんですけれども、実際に教室の中で見てみると I love she. と言っているようなこういう子供たちがたくさんいるという現状です。これがあの本当に、いわゆる知識を溜め込んでも、それが表現力として結びついてないという例としてあると思います。
それとよく先生方から、まあ単語を子供たちが覚えない、文法の基礎力がないという話が出てくるんですけど、そこでじゃあ何をするんですかってお話をすると、なので解説や問題演習、単語帳の暗記だとかこちらに向かっていくと。で、この副教材を増やした結果、結果的に時間が足りないだとか教科書が終わらないというようなそういうふうな議論にこう発展していきます。もちろん教科書が終わるというその終わるの判断はいろいろと解釈があるんで今これは述べませんけれども、まあそういう意見が出てきています。で、本来であればこの単語力、文法力ということが足りないということであれば、場面や状況を踏まえたような練習だとか、あるいは言語活動っていうのが実は足りていないからというなんかその悪循環に行くような気がするんですね。その問題演習とかで時間を使うので言語活動の時間が足りない。で、その結果やはり子供たちの英語力が伸びていかないというようなこういう問題があると思います。
それで、言語活動でこの知識・技能の力をどう上げていくかという時に、やはりこれはもう、鈴木先生の発表からもずっと出てましたけれども、考えや気持ちを伝え合うような言語活動を行うのと同時に、その言語活動を支える正確さを高める練習っていう、これをやはり、指導要領でも明示していかなければいけないのかなというのは考えているところです。
言語活動というのはそれぞれのクラス内の子供たちによって異なる内容を伝えたり、異なる表現を使ったりというようなもの。それに対して、教科書本文と共通して学習している教材を活用しながら正確さを向上させるような練習。これは子供によって違うことを表現するというよりも、ある一つのものを表現できるようになる、一つの文法事項等を使って表現できるようになるということであると思います。もちろん、練習に偏りすぎるというのは問題、もちろんあると思います。あくまでも言語活動が中心にあると。で、言語活動をやってみると、これアウトプット仮説に通じるところだと思いますが、言えることと言えないことのギャップに気づいたり、書けること書けないことのギャップに気づく。で、そのギャップを埋めていくために教科書に戻ったりしながらの練習というのを行う必要性というのを考えなければいけないのではないかなというようなことです。
一番最初の事務局からの発表でもありましたけれども、まあ文法が難しい、単語が難しいと。これアンケート調査でも出ていますが、これをやはり子供たちにもう一歩聞いてみると、文法を活用することが難しいのではなくて、文法用語だとか、その解説が難しいと。これは、今大学生、教職の大学生と話したりしていても、まあここでつまずいてしまったという学生たちもたくさんいます。で、これもやはり言語活動と切り離した文法指導の弊害があるんではないかなと。先ほど和泉先生の発表の中でも、あの三角形出てきましたけど、そのform、meaning、それからuse。これ言語活動をやることによって、このuseの場面、場面を考えたり、相手を考えたりというようなこういうことが意識をされているんですけれども、やはり、活動あるいは意味のある練習と切り離した時にはformとmeaningで、meaningにも行かないかもしれないというような、そういう状況があると思います。
なので、場面や状況にある練習、言語活動に繋がる練習というのを考えなければならないと。その時にやはり教科書に戻るということもすごく大切だと思います。教科書は例えば小学校も中学校も登場人物がいて、その登場人物と一緒にまあ1年間なりこう勉強していくということなんですけれども、そのなぜ教科書に戻るかというと、例えば教科書の本文というのは、誰に対して、例えば、2人、3人登場人物いた時にこの人に対してだとか、あるいはALTの先生に対してだとか、そういう登場人物誰に対して何を伝えようとしているのかという言葉をどう使っているかという目的がそこにあると思います。それからどんな場面での会話なのかというのも、これイラスト等も含めて明確にわかるように提示をされていますし、その登場人物はどんな状況にいるのかというその状況もあるということですね。なので、ある意味で、そのキャラクターの追体験をするような形で、ここには音読だとかリテリングだとかロールプレイだとかが入ってくると思うんですけれども、こういうものに戻りながら練習というのも必要ではないかなと。この練習をまた言語活動とつなげたいということでも、教科書と切り離して行うというよりも教科書を軸にしながら、多分言語活動も教科書の題材、それから言語材料を活用しながら組んでいる先生方が多いと思うので、この辺りの教科書活用というのも大切な面だと思います。
例えばということでいくつか出させていただきましたけれども、まあ最初は内容理解をするための音読ということで、これは理解したことを表現するという、これ学習指導要領にも示されているようなことだと思いますが、こういう活動を通して場面の中でどういうふうに表現が使われているかということがわかる。もっと単語だとか文法使用フォーカスをさせたような音読、これは今指導要領で示されているような音読というのとはちょっと外れてくると思います。ある意味で国語の授業で音読を活用して、その日本語の使い方とかを理解していくというようなのと同じようなことで、これ後ほどちょっとお示ししますけれども、例えば音読の時にその文法のところ、単語のところをフォーカスするような穴にしてみるだとか、そういう使い方です。
それから正確な英語を再構成するということで、まずリプロダクションやリテリングがあると思いますが、リプロダクションというのはおそらく教科書で使われている表現とかをそのまま再生をしていく、つまりかなり正確さにフォーカスをしたもの。それからリテリングというのは、これは生徒自身が言葉を選びながら再構成をしていくようなもの。それからロールプレイというのは先ほどちょっとお話をさせていただきましたけども、教科書の登場人物になったつもりでその追体験をしていくもの。ある意味でスポーツにおけるイメージトレーニングなどと共通するものもあるかなというふうに思います。
日本の現状を踏まえてということで、インプット・アウトプットというのはこれSLAでかなり重要視されているところですけれども、やはりその豊富なインプット、このインプットというのはこれ先ほども話に出てましたけれども、先生方の解釈によっては一生懸命説明をしているだとか問題集をやってるからインプットは豊富ですという先生いらっしゃるんですけれども、それは本来的にはインプットではないですよね。やはり英語を聞いたり読んだりとするようなインプットで、このインプットしたものをすぐにアウトプットになかなか行かないというのは、これ例えばよく先生方にもお話しするんですが、例えば小さな子供たちが大谷翔平選手の試合をまあテレビで見たりすると、そうすると、「わぁかっこいいな、あんなホームランを打ちたいな」ということで、今度はどっかに公園とかに出て行って野球の試合をやってみると、そうすると空振りをして全然打てないという、これアウトプットのところだと思います。
それであれ、大谷翔平をしっかり見て何回も見てるんだけど自分は打てないなと、その時に「じゃあどうしよう」っていうことで練習をしていく、そのゲームをイメージしたような練習をするということで、その練習を繰り返していくと、まあもちろんホームランは打てないかもしれないですけれども、ヒットを初めて打てただとか、その練習をまたもう少し、練習自体を改良していくと今度は二塁打が打てるというようになっていく、これあのこういう形で、いわゆるインテイク、言語に意識を向けるだとか、言語を体得していくというような、そこに繋がるそのきっかけとなるような練習ということをやはり考えていかなければならないかなということです。インプットしたものをインテイクするために練習、教室内での練習を考えていかなければいけない、まあ英語を蓄積するということです。言語形式に意識を向けたり取り込むためのということです。
ここで一つ、ある学校の例、中学校の実践例をお話しさせていただきたいと思います。これ公立の普通の中学校なんですけれども、神奈川の川崎に有馬中学校というところがあって、ここほぼ2年間ほどちょっと関わらせていただきました。2ヶ月に1回ぐらい訪問をしながら先生方と授業改善ということをやらせていただいたんですけど、これ昨年度ELEC英語教育賞で文科大臣賞をいただいた、その学校です。
ここの学校ですが、その改革に取り組もうという前は、いわゆる一般的と言えるかどうかわからないんですけど、割と教科書本文を丁寧に解説をしたり、本文をノートに移したり、それからワークシートをやったり、ワークをやったりというような、そういう指導を実は先生方がやられてきていました。で、なかなか力が伸びないということで、大幅に指導を見直そうということで、一つ大きなことは、言語活動は先に見据えながら練習の時間を多く取るということを改善しています。
ここの学校なんですけれども、1年から3年まで、それから割と大きな学校なんですが、1組、2組、3組とどこに行っても本当に驚くほどに英語を使っている、まあ普通の公立中学校です。1分30秒ぐらいはどの子たちも本当に英語を途中で話すことをやめませんし、書きましょうって言った時にA4ぐらいバーッと本当に一気に書いてしまうような、そういう子供たちなんですね。
これがまあこういうふうに変化したっていうことですけど、なぜこう変化していたかっていうのをちょっと追ってみたいと思うんですが、先生方が話し合いの結果、変更した例をいくつかここに出させていただきました。
まず、ノートを持つことをやめようということですね。ノートに書かせることをやめようと。で、これまでは結構板書を写したりしてたんですけれども、その板書を写している、まあ知識を写している時間に、例えば音読だとか、リテリングだとか、あるいはペアワークだとか使う時間に変えていこうということで、まあ基本的にノートは開かないという、ちょっと思い切ったことをやっています。これ振り返ってみると、ノートに書いてることというのは実は教科書にもまとめて書いてあったり、場合によっては簡潔に、練習をしっかりやっていれば、活動をしっかりやっていれば、簡潔にプリントで渡すことだけで済むというようなことから、こういう判断をしています。
それから、これまではワークブックを購入していたんですけれども、この購入もやめて、教科書本文を徹底的にやろうということ、教科書本文を定着させるためにワークとかを使っていたのかもしれないけど、現状はあまり定着していないので、であればその時間を教科書本文の方を使うことにしようということです。
それから、板書をして説明する文法の導入等をこれまではしてたのをやめるということです。これは先ほど和泉先生の例でも出ていましたけれども、その説明するのであれば先に、たくさんインプットをして使う活動をやって、最後にちょっと整理すればいいと、そこで板書で説明をするような時間を取る必要はないということです。
それから最後なんですけれども、ライティングでとにかく話したことをたくさん書かせるということをこの学校でやってますけれども、そのライティングの間違いの訂正というのはしないということを先生方が共通理解で持つことになりました。で、何もしないのではなくて、例えば1年生で過去形を使っているライティングであれば、まあ過去形がこう10個ぐらい出てるとした時に、まあ1個、2個できてるところがあったらそちらを評価をして、あ、よくできたねということで、じゃあ他も同じようにできるところはないかな探してみようということです。これを8箇所間違えてるところ全部赤でこう先生が直して、あ、こんなにできなかったということではなくて、少しずつできるようになっていることを評価しようということで、こういうことをやられているということです。
それから例えば、単語の小テストというのも全てやめました。やめて代わりに何やるかというと、ちょっとこう例文を出してみたんですけれども、あのこういう形です。音読をする時に単語にフォーカスをするんであれば、えっと真ん中それから一番最後のような形で、ちょっと時間の関係で説明はしませんけれども、こういう形で音読をしながら文脈の中で使い方を覚えていくということです。これが動詞であれば、例えば現在完了だとか過去形だとかいっぱい入っているような本文の中で、それを全部原形して活用させるというような練習です。
それからリテリングテストというのをやってるんですけども、このリテリングはちょっと違いまして、ただ教科書本文を伝えるというよりも、例えばですね、登場人物で “He plays soccer.”というのが出てきたとしたら、その言った後に他の子供たちに “Do you play soccer?” というのを聞いてみて、必ずやり取りをしてから戻るというようなことだとか、それから登場人物で何々ちゃんは何々ちゃんをきっと好きなんじゃないかとか、そういうことを考えるわけですね。そういうことを途中に感想で入れてみるというようなこと、そういうリテリングテストをやったりしてるんですけれども、この時に知識・技能は評価項目に入れないということです。その場で果敢にいろんなことを質問したり、思いついたことを言ってみられるかという、そういうテストをやっているので、知識・技能を問わないんですけれども、でもある学年で1回入れたことがあるんですね。ちょっと知識・技能もやはり大切だろうというので、でも知識・技能というのをこう評価項目に入れた時には、間違えないように気にしすぎる子が増えて、即興でトライをしないで、結果的に発話量がすごい減ってしまったということで、これ発話量が減るということは間違える機会が減るので、そうすると、そこであの学ぶ機会がなくなるというようなことです。この辺を考えながら、結局外したんですけれども、で、もう一度外したんですね。それ外したら今度はまた自由に話すようになったと。でも話してみるとうまく話せないので、教科書に戻って音読練習をする。この繰り返しによって正確さが向上してきたということです。この正確さというのはもちろん細かいミスはたくさんあるんですけれども、いわゆる語順だとかそういうところの間違いというのはかなり減ってきていると思います。
それで、その後の教員会でこういう質問も出ました。正確さの指導じゃどうするんですかと。そうすると教科書の英文本文というのは正確な英語でこれインプットになりますので、教科書の音読とかを繰り返す中で、いわゆる練習として正確さをキープする。それからどんどん自分たちが発話するというところで、そのいわゆる流暢さの方をということで、穴あき音読とかの工夫をしながら正確さを上げているということです。
で、これが実はある業者テストなので、ちょっと具体的にはお話は控えさせていただきますけれども、ある業者がやっている全国規模の学力調査です。これ市も全体でやったりとしていることなんですけれども、全国平均をこのぐらい項目別に見て上回っているということで、かなり変えたことで成果が出てきているかなということです。
時間が迫ってきたのでちょっとまとめの方に入っていきたいと思いますけれども、知識だけを与えても正確さはなかなか伸びてないという現状、それから学習した時と使えるようになる時の間にかなりの時差があるというのを私たち考えていかないと、これこないだ教えたでしょというような指導になってしまうので、この長い時差の間に言語活動と練習というのを、繰り返していくということが必要かなということです。
それからもう一つですけれども、教科書の構成ですが、やはりすごい気になるのは新出文法事項だけすごくフォーカスを置いていて、既習事項の学習という発想があまりないというのが一つ問題かなというふうなことで、これも繰り返し学習ということで、今後提示していく必要があるかなと思います。中学校の教科書とかは本当に新出文法が1回出たらその後は繰り返し出るように本文を作っていますので、これが長い時間の時差の間に既習事項を学習できるというような、まあそういうことも出していかなければいけないかなと思います。
最後です。言語活動で間違えます。これ部活動の公式戦でうまくいかなかったというのと同じだと思います。それを練習で修正をする。公式戦でうまくいかなかったので、結局戻ってきてあの基本練習とかをやる。そしてまた次の公式戦でその前がうまくいかなかったところは少しずつうまくいっていくようになるというような、こういう練習と言語活動を繰り返していく、部活動と同じように繰り返していくということも必要だということは、次の学習指導要領でも強調していただけたらなというふうに考えているところです。以上です。ご清聴ありがとうございました。
【酒井主査】 あの実際に基づいたご発表ありがとうございました。それでは阿野様のご発表に関してご質問のある方は挙手ボタンよりお願いします。かなり時間が押しているため質問がある場合には端的にご発言いただけるようお願いいたします。いかがでしょうか。川﨑委員、お願いします。
【川﨑委員】 すごくわかりやすいご説明でとても学びになりました。1点質問です。お話しいただい事例を全国の中学校、高校にも適用する場合、おそらく研修や、先生の質、理解差などの問題があると思うのですが、浮かび上がってくるような課題がもしあれば教えていただくことは可能でしょうか。
【文教大学(阿野)】 ここの学校の実践は、まず全員の先生6人いらっしゃるんですけれども、全員の先生が週に1回集まるということと、それから公開授業等を順番にやっていくと。つまりは2ヶ月に1回ずつで、全員の先生で一番やられた先生は2年間で7回、それから一番やられてない先生が3回ということで、みんなで見て、それで共通の課題を出して、それを次に改善しようということで、これ非常にまあ難しい、いわゆるチームワークになってくるので難しいと思うんですけれども、一人の教員がこう一人でリーダーというかご自分でやっていくということではなくて、みんなで共通の課題で同じことを試してうまくいかなかったらじゃあそれはやめよう、うまくいったらみんなでやろうというこういうチームワークだったので、ちょっとこれは全国に持っていけるかは難しいかと思うんですが、先生方の研修の中で時々これご紹介してるんですけれども、こういう風に少しずつ変わっていく、学校全体として変わることが3年間子供たちを育てるということでという、まずそこのところから入っていかなければならないかなということは思います。
【酒井主査】 阿野様よりは事務局提案の活動でいくと1と2のバランスですね、これを両方に取り組まれたということ、そしてまた2のあり方ですね、知識及び技能に関する指導についての中学校の事例ですね、この指導だけではなくて評価の側面も含めて話をしていただいたと思います。具体を考えていく上でとても貴重なご発表であったかなと思います。
それでは一旦ここで休憩を挟み、11時10分に再開をしたいと思います。休憩後は本議題に関する全体での意見交換となります。それでは休憩に入ります。
( 休 憩 )
【酒井主査】 それでは時間となりましたので、これより意見交換の時間といたします。事務局よりご提示いただいた案につきましてご意見等がございましたらお願いします。なお、かなり時間をしてますので、ご発言の際には端的にお願いしたいと思います。全員の方にご意見いただきたいという趣旨です。それではお願いします。藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 まず資料の4ページ目でしたっけ、今回の部分ですね。で、先ほどの3名の先生方の発表もおそらくここで言う本当に丸1と丸2この両方が大事だというところ、そしてそれのバランスをどう取っていくのかっていうところが今回の話でも中心だったと思いますし、おそらくそこに関してはどなたも異論はないところであろうというふうに思っております。
で、このワーキンググループではスタート時点の最初の段階で外国語を学ぶ本質的な意義みたいなところの議論を1回目2回目あたりにしてきたというふうに思うんですけれども、基本的にただ単なる知識技能を身につけるだけっていうことであれば、場合によってはAIに代替されてしまうこともあるのかもしれない。だからこそ、逆に人と人っていうものがお互いにこうやり取りをするようなコミュニケーションを実際学ぶということが、実際に教室という場で外国語を学ぶことの大切な要素なんだというようなところからスタートしたというふうなことを記憶しております。
ということになってくると、やはりこういう形で実際に使えるような力をつけてあげるための文法知識とは何かということ。そうなってきますと、おそらくいわゆる文法知識をつけると言っても宣言的な知識を身につけるのではなくて、あくまで手続き的な知識を身につけるっていうことを第一に考えていくっていうことだということをまず最初に確認しておく必要があるかなというふうに思っています。
そして、先ほどの発表の中にもあったように、とにかくたくさんそういうものを身につけるためにはサンプルにすごく何度も触れて、そして実際に使ってみるみたいなことが大前提になっていくわけなんですけれども、その学び方として要するに覚えてから使うのか、それとも使いながら覚えていくのか、言い換えれば演繹的な学習をするのか、帰納的な学習をするのかっていうそのアプローチの仕方っていうところが多分この1と2の関係ってことを考えた時のポイントになってくるのかなというふうに思っていますけれども、もちろんね、個々人の学習スタイルの違いみたいなことがあって、これが全員に適用するっていうことではないのかもしれないんですけれども、やはりそこの中でやはりその帰納的なアプローチをすることによって、これも先ほどの発表の中にあったと思いますけれども、ある程度わかったところで最後にちょっと整理をするといったような、そういうふうな形でっていうふうな持っていき方をしていかないと、どうしても2の方に放っておくと偏ってしまいがちになってしまうというその現状っていうところも認識をしておく必要があるのかなと。
で、その時にここの表の一体的な育成って書いてある、横のところ家庭学習、先ほど鈴木先生に対する亘理委員からの質問の中でも言及がありましたけど、例えばそこの横にある家庭学習って言ったような部分、ここら辺についての大切さっていうこともやっぱり強調していく必要があるのかなというふうに思っていて、結局教室内で言語、今までの言葉で言えば言語活動を行ってきていても、それだけでは足りないからどうしても知技を身につけるための反復練習みたいなのが必要だというのはどうしても議論として出てくるとは思うんですけれども、その中でも実際に授業内で行うべき学習項目と、そして授業外でもいいっていうふうなそこのところをしっかりと線引きをするっていうことで、特に先ほどの阿野先生が発表の中であったというふうに思いますけど、例えば文法知識として身につけたとしても必ずしも使えるわけではないと、あの I like she みたいなそういうふうなやつですよね。穴埋めはできてもそれができないみたいな。で、でもそういうふうなところで文脈を伴う練習はひょっとすると教室内でやるべきなのかもしれないけれども、例えばスペリングを覚えるために何回も繰り返して書くとかっていうような本当に機械的な練習みたいなものはひょっとすると教室外に持っていくっていうふうなことをしっかりと線引きをする。
で、実際問題今AIなんかが登場することで家庭学習というものの質とかあり方そのものがずいぶん変化してきてると思うんですね。発音指導から文法の解説、あるいは自分が書いた文章の添削っていうものをみんなAIでやってもらえるような時代になってきたってなると、これまで先生が全部教室の中でやらなければいけないとひょっとすると思い込んでいたものをどれだけ手放すことができるのかっていうそこら辺のところも含めた議論っていうところがひょっとするとその自己調整をしていくためにも個々の差があるっていうことを考えると大切になってくるんじゃないかなと。とりあえず以上です。
【酒井主査】 内田委員、お願いします。
【内田委員】 示されている方針に関して私は賛成と言いますか、いい方向性だなとは思っています。振り子の話もございましたけど、鈴木先生からまあ少し戻すというか、でよりやりやすくなるのかなと個人的には思っています。特に教科書を作る側からすると、何を入れるべきかっていうところのメリハリができて整理されるかなと思ってますので、方向性としては賛成です。
で、その上でいくつか検討するべき事項があるかなと思っていて、1つは丸2の部分で何がこの2に当たるのか、ま、何が練習になるかっていうところは少し検討しておく必要があるのかなと思います。先ほど藤田先生からも宣言的知識ではないというような話もあったかと思いますけど、例えば単語の意味を答える活動とか和文英訳みたいな伝統的なものというのは丸2に入るのかどうかというところですね。それが入るんであれば、例えば教科書にもそういう練習問題が入ってくる可能性もあるので、その辺りの線引きっていうのはもう少し議論を詰めていく必要があるのかなと思っています。
でもう1つ、丸1に関してなんですけど、こちらはオーセンティシティをどこまでリアリティを求めていくかなっていうところかなと思います。和泉先生のご発表でもあったと思うんですけども、よりオーセンティックなリアリティのあるものにしようと思うと、やっぱりこう文脈がいると言いますか、かなりの情報量が必要になってくるので、特にやっぱり紙幅、教科書の紙幅の制限とか考えた時にどうしてもその辺りは検討しなければいけないので、リアリティをどこまで持たせるっていうのも1つの観点かなと思っています。
それからここにはありませんけども、丸3になるかどうかわからないんですけども、説明をどこでどれだけいつするのかっていうところも検討の余地があるのかなと思っています。理解というのは私は学習の上ではとても大事だと思ってるので、文法なり単語の意味なりっていうところの理解っていうところの説明ですね。そこをどのタイミングでどのくらいするのかっていうところも議論していく必要があるのかなと思いました。
【酒井主査】 亘理委員、お願いします。
【亘理委員】 2つあります。4ページの資料で、「丸1が重要であり、丸2にとどまってはいけない」という書き方が、やや順序性を思わせるところがあって、丸2が積み上がって初めて丸1に行くというわけではないということは強調しておきたいと思います。
和泉先生や、阿野先生の例もそうだったのですが、コミュニケーションを行う活動をやることで、むしろ必要な知識・技能が見えてきて、練習的な性格の強い活動に向かうということがあると思うんですね。例えば、丸1に当たる道案内という行為を考えても、“over there”と身振り付きで言ってしまえば道案内できるということはあって、でもそこで初めて思判表としてはなんとなく達成はできてしまったんだけど、“you can see the building at the second corner.”みたいな言葉も足すと聞いてる人には分かりやすいよね」とか、そこで初めて、知識・技能に触れる先生のフィードバックがより意味を持つと思うんですね。そういう意味で言うと、「発達段階」っていう言葉は時に逃げ口上になってしまうので、私は使わない方がいいと思ってるのですが、小学校段階であれば丸2が中心で丸1が後かというと、むしろそうではなくて、児童なりに達成できる丸1というか、挑戦すべき丸1があって、それが初めて丸2を刺激するということがある。そこのところは明確にしておきたいと思います。両方向あると思うのですが、丸1が丸2を駆動するという流れもあるし、丸2を積み上げていくとできる丸1もある。
その意味では、阿野先生がおっしゃった「既習表現の繰り返し学習」という話、つまり「新出事項を丸2で練習していって丸1に向かう」という筋を復活させたいわけではないということは、やはり何度でも強調しておきたいと思います。むしろ既習事項を知識・技能のレパートリーとして深めていく方向でこの丸1と丸2の一体的育成という関係は考えるべきだということですね。
もう1点は、2ページの英語使用と日本語母語使用の関係についてなんですが、鈴木祐一先生が言われたように、母語の使用は大事だと思うのですが、「英語使用」という言葉をもう少し丁寧に説明した方がいいと思っていて、というのは、これは教科の固有性に関わる部分なのですが、英語は、それ自体が英語科の学習対象であると同時に、指導・学習の媒介・媒体の言語であるというところが、外国語科の最も典型的な特徴であるわけです。ここに「数学使用」とか「社会(科)使用」というのは入らないですよね。
そう考えると、ここで議論してるのが、学習者同士が用いる言語のことを言っているのか、今日、和泉先生や鈴木祐一先生の話であったような、学習者が学ぶリソース、いわゆる「インプット」としての言語のことを言ってるのかということは区別した方がいい。指導の言語というふうに考えた時に、先生が使う教授言語としては、そのインプットの資源としての英語という役割もあるし、生徒の思考を刺激して考え方を深めるためのteacher talkみたいなものもあるので、もう少しその辺を整理した上で、ではどういうところだったら母語を使うことが、むしろ学習者の思考や、旧来の言い方で言えば「言語活動」を活性化させるかというのは丁寧に記述したいなというふうに思いました。
【酒井主査】 今の順番1と2の順序性については、特に外国語ワーキングとしては、平行パターンで構造化を示すということです。その平行パターンの場合には、どちらかというと下に知識技能のところ、知識及び技能が基盤にあって、思考力、判断力、表現力等を支えるという関係に一見見えるので、そこにも順序性も示されてしまいがちですので、特に4ページの1と2の順番は、必ずしも一様ではなく、往還が大事と、阿野先生が示されたような、流れというのも、しっかり我々としては重要に思うことが大事だなというふうに思いました。それでは米野委員、お願いします。
【米野委員】 資質・能力の育成に向け、実効性のある学習指導要領にするための考えをお話しさせていただきたいと思います。阿野先生から学校現場の実態をお話いただいた中で、やはり事務局から提案のあった、参考となる学習動画の提供だったり、活用できる表現集の提供だったり、それから文法事項のあり方、使用頻度による文法事項の精選とか焦点化、こういったところというのは非常に画期的なところで、賛同できると思ったところです。
一つ提案したいと思っているのが、ぜひ言語活動に必要な要素というのをこれから考えていく上で、必要な要素を示したチェックリストなどを示していくというのは考えられるのではないかなというふうに思いました。様々なプロジェクト等で、真にやるべきことを可視化するとか、標準化を実現するためにチェックリストが使われているわけですが、学習指導要領の基準性の趣旨を踏まえると、こういったチェックリストを学校で使えるような仕組みができないかなというふうに考えています。
ただし、そのチェックリストは形骸化することがよくあるので、真に必要なものだけに限定して作るとか、あと定期的に活用する仕組みが必要なのではないかと思います。学校現場は非常に忙しいので、こういったものを活用して言語活動が適切に行われているかどうかということを定期的にチェックできるとよいのではないかと考えたところです。
あとは生徒の実態を踏まえ育成したい資質・能力を反映したCAN-DOリスト形式の到達目標の設定がないと、言語活動が適切に行われないということがあると思います。使用する教科書や教材などを睨みながら、指導計画と評価計画を余裕を持って学校で検討しているかということが非常に大切ではないかなというふうに思います。具体の到達目標があれば、バックワードデザインで、単元の最後にはどんな目標とする活動を設定するか、あるいはそこに向かうためにどんな活動を行うかということを考えることができるわけですので、この辺りは指導主事が学校に一番指導すべき大切なところではないかと改めて思ったところです。
また指導の途上では、鈴木先生の先ほどのご発表に「最適な困難度」といった話もありましたが、実態に合った言語活動になっているか、あと効果があるのかといったこと、これは指導者が観察だったり質問調査だったり、場合によってはカジュアルなインタビューとか、定量的な調査などで学習の進捗をよく見ながら、必要に応じて活動や練習をさらに修正したり、計画そのものを修正したり、といったことが必要となりますが、まず実態をよく把握して計画をしっかり立ててというところが、言語活動を考える前提として非常に大事であるということを改めて訴えたいと考えたところです。忙しい中ですが、もう今の時期には学校では次年度に使う使用教材は決まっているわけなので、そういった計画を余裕をもって事前に検討し、作成することが大事です。忙しい中なのですが、結局はそれが成果やひいては子供たちの、あるいは先生たちのウェルビーイングにも繋がるというふうに考えます。私から以上です。
【酒井主査】 今挙手されている方全員お話しいただきたいので、ぜひ2分程度でおまとめいただけるとありがたいです。日向端委員、お願いします。
【日向端委員】 2点あります。1点目はですね、4ページから5ページにかけてですけども、5ページを見るともう目標からこの「言語活動」という言葉を取り去ってしまって置き換えるようなご提案になっているかと思うんですが、その言語活動って言葉、色々課題はあるものの、それを今先生方が一生懸命頑張って実績を積み上げている中で、それがなくなってしまうことに対してちょっと私は懸念があるなというふうに思っているのが1点です。
もう一つ、2点目なんですけども、それは4ページ目の方です。丸1番と丸2番というところの活動を分けて書いてありますけども、この丸2番のところ、小学校の感覚で言うと、この丸2番で知識・技能にスポットを当てたようなところがなかなか難しいのかなと。特に3・4年生の外国語活動というところで言うと、なかなかちょっとここは無理があるかなというふうに考えています。
むしろ小学校現場で言うと、この実際にコミュニケーションを行う丸1番の活動と、それが終わった後に振り返ってどうだったかという改善を図る活動がすごくやられています。その時に、もちろん知識・技能にスポット当てて、言葉がうまく出てこなかったとか、口慣れしていないというようなことからこの練習に持っていくパターンもあるんですけども、あとはやっぱり目的・場面・場所に応じていたかとか、そういういわゆる思考・判断・表現の部分で振り返って学習改善を図るという、いわゆる内容面の改善を図るような活動もかなり行われているので、それが見えないような状態になってしまうと、ちょっとそれはぜひ入れてほしいなと思ってはいるところです。ですので、この丸2番が知識・技能だけのターゲットなのか、やはり思考・判断・表現をターゲットにした内容もあるのではないかというようなことで思っていました。そう踏まえると、もうちょっと授業の展開として、学習過程でこういうふうなのが組み合わさってやるんだよというような示し方も、もう少し検討が必要じゃないかなということで、ちょっと今回だけではおそらく議論が深まらないのかなとも思っていたので、ちょっと今後の引き続きの議論もお願いしたいなと思ってます。
【酒井主査】 具体的な指導例の提示、それから先生たちがどのように考えながらこの指導要領を見ながら授業を構築できるのか、単元を考えていったら良いのかということを示していくというのは大変重要なことかなと思いました。布村委員、お願いします。
【布村委員】 私も4ページ目ですね、こちらを高校現場でどんな活動が1にあたって、どんな活動が2にあたるのかなということをちょっと考えていたんですけれども、高校の教科書ですと、やっぱり単元であってテーマというものが大きくあるものが多いです。で、1に関しては、ここはその単元の最終ゴールになる部分なのかなというふうに考えていました。
例えば教科書で、バイオマスプラスチックだったりとか、プラスチック代用製品みたいなものを扱っている課があったとしたら、おそらく1にあたる活動というのは、じゃあ文化祭で食品を販売する時に使い捨てのプラスチック製品を禁止するか否か、賛成反対っていうような、そういったディベートとかディスカッションとかをしましょうっていうのが最終ゴールだと。そこのところは、ちょっとブルームのタクソノミーじゃないですけれど、高次的思考力を必要とするような活動というのが、1番の最終ゴールになるのかなというふうに考えました。
じゃあそれをするためには、どういう材料が自分の生徒たちの中に必要なのかってなった時に、いやそもそもその例えばバイオマスプラスチックなんて考えたことないよとか、知らないよっていう内容面での知識を知らないっていうこともあります。そういうことで、教科書のじゃあプラスチック製品ってどんなものがあるのか、そうじゃないもの、他のものはどんなものがあるのか、教科書読んでみようかって言って読む、えっとそういう目的が出てくる。で、そこでこう2番が出てくるのかなというふうに思いました。
そうすると、教科書の本文読んでみましょうとか、内容を理解するっていうのは理解が2番に入ってきたりとか、でもそれを、このプラスチック製品はいいよ悪いよとかっていうような表現をするために、その表現も必要になってくるんで、表現の練習というものも必要になってくるのかなって。なので、2の役割としては、タクソノミーで言ったら低次的思考力じゃないですけど、リメンバー、アンダースタンド、アプライみたいなところが2番に入ってくるのかなというようなところがあります。
教科書じゃあ本文読むってなった時に、読んだ中に出てきている表現が実際に1で使えるかどうかだっていうところを持っていくっていうところの、小さなコミュニケーション活動みたいなものが2番で必要なのかなというふうに思ってます。例えば音読活動にしても、ユニットの中に4セクションぐらいあるんですけど、前時の復習で、じゃあ前時どういう内容だったかレビューしてみましょうっていう時に、隣の人にどういう内容だったか説明してみてっていうような活動をちょっと入れたりすることがあります。そういった時に、音読活動を何回も何回も練習していたら隣の人に説明しやすいし、内容も使えるっていうふうに思うので、生徒たちはたくさんたくさん音読活動をそこの中でやっていきます。でもそれがじゃあ実際に1とすごい繋がってるかって、そうじゃないんですけれども、でも小さな隣の人に伝えるっていう活動を入れた上での音読活動が2に入っていたりとか、あとじゃあバイオプラスチック製品の利点欠点をちょっと隣の人に説明してみようかっていうのが2の中でちょっと少しずつ練習を加えたりすることで、最終的なゴール、単元の最後で1になった時に、その2の積み重ねが1で使えたりっていうこともあるかなと思います。
じゃあ1っていうのは2が絶対ないとできないのかと、そうじゃないんですね。亘理先生も言ってくださっていたと思うんですけど、私が教えてる生徒の中でも、3語でコミュニケーションを取る天才って呼ばれている生徒がいるんですけど、めちゃくちゃ英語はブロークンなんだけども、何かしらでなんとか伝えることができる。で、じゃあ思考がないかっていうと、思考もちゃんとできていて、とにかく聞いたり話したりすることで、自分が伝えたいことを伝えられる生徒っていうのもいます。でもそれをやりながら、ああでもやっぱり語彙が足りないなって思って、また2番の方でちょっと練習をしたりっていうようなこともありますので、そこのところが一体化してちゃんと伸ばしていくっていうここの方向性はいいかなというふうに思います。
で、2点目として、じゃあ2番の中に、帯活動っていうのがどんなふうに入っていくのかなっていうところなんです。多くの学校で帯活動、スモールトークをやったりとかペアワークやったりっていうようなことが行われていると思います。で、そこが2番なのかなというふうに私は思っています。例えばペアでマップを使って、AさんとBさんでいる場所がちょっと違って、“Where are you now?” “I'm in Tokyo. Where were you last time?” “I was in Seoul. How long have you been in Tokyo?” “I have been in Tokyo for three days.”など、こういうやり取りを毎日毎日そのマップ使って、帯活動でやるなんていうような活動をしている中学校なんかもあると思うんですけれども、これっていうのは、既習の習った表現を毎回毎回毎回使っているっていうような、そういった活動なんです。
で、これを活動していると、いや、このユニットのテーマと違うからやっちゃいけないんじゃないかっていうふうに思われる先生も実はいて、そういった時に、でも繰り返しで相槌を打ちながら確認をしながらやり取りをするみたいな、こういうストラテジーは毎回毎回帯活動の中でやってって、それがあるからこそ1になった時に、そのストラテジーを使ったコミュニケーション活動ができたりとかもしますので、テーマとして同一じゃなかったとしても、小さなそういう帯活動の積み重ねっていうものが、でも内容がある文脈があるやり取りですね、っていうものが2番にあった上で1番っていうのが成立する。で、1番も、2番がないと1番がないってわけではないんですけれども、そういう連動っていうのもあるのかなというふうにちょっと思いました。すいません、長くなりました。
【酒井主査】 それでは江原委員お願いします。
【江原委員】 よろしくお願いいたします。私も4ページについてのコメントなんですけれども、やはり生徒ができるだけ楽しくて、ためになるような授業を受けられるようにするには、先生が授業のこういう場面で何をしたらいいか、っていうのが分かりやすくなる学習指導要領がよいと思っておりまして、そうするとやはり1と2でどんなものがあるのかっていうのが明確になった方がいいんですね。で、現状の4ページの場合にやっぱり大きいのは、下の方の丸2の例と、右の方ですね、上の例がかなりこう離れているような気がするんですよね。上の方は、CAN-DO、つまり実際のタスクに近いようなものがあり、下の方は文法用語が入っている。
で、この間のところ、さっき小さなコミュニケーション活動っていうご発言もありましたけども、こういうのがうまくマッピングできるといいなと思っておりまして、でもう1つ、コミュニケーションを行う活動っていうのと外国語によるこの活動っていうのは、どちらかというとこう表面的に出てくるものが表示されているんですね。で、できれば1と2ではどういう学習プロセスを促進するものなのか、というのが分かった方が良いと思っていて、特に2なんですね。表現の質を高めるっていうこの質を高めるっていうのは、僕はどちらかというと1で行うことによって質が高まるんじゃないかと思っているんです。2はどちらかというと文法項目とか言語材料があった時に、瞬時にそれが先ほどのその意味・形式・使用とのマッピングが瞬時にできて、正確にオートマティックにできるというのは2であって、で、1の方はどちらかというとある程度内在化したものを出してきてコミュニケーションをする。
ですからそういう意味では、先ほど帯活動であっても、単なるワンターンの会話ではなく、例えば1分とか2分継続してやり取りをするんであれば、私はコミュニケーション活動って呼んでいいんじゃないかと思います。これは多分どういう生徒をイメージするかによって私たち随分イメージが違ってくるので、これは議論をして、特に右側のところがうまくマッピングできるようにすれば先生は納得すると思うんです。左側のものだけではグレーゾーンあっていいよっていう言い方もしていいと思うんですよね。先生の教育の目的に応じて1なのか2なのかって決めても私いいと思うんですけれども、ここがいつも困ってしまうんですよね。左の記述だけで終わって後は判断してね、だったら困っちゃうんですよ、現場の先生が。なのでこの辺りは継続の議論だと思うんですけれども、ぜひ続けていければなというふうに思っていて、あとはやっぱり言語活動っていうのも非常にインパクトのある言葉じゃないですか。もしこれを使わないとすれば、同じような現場へのインパクトを持ったタイトルが丸1、丸2にあった方がいいなっていうふうに思います。
【酒井主査】 はい、臼倉委員お願いします。
【臼倉委員】 はい、お願いします。そのまま4ページのお話を1つともう1つ、2点目があります。
この4ページ最初拝見した時にちょっと分かりにくいかなと思った点が1つあります。注釈の部分なんですけど、丸1と丸2の太字で書かれてるところの下に書いてあるところを見比べた時に、上の方の「コミュニケーション活動を行う」っていう方では「目的」「場面」「状況」っていう言葉があって、で丸2の方も見てみると、「音声、語彙、文法等コミュニケーションを行う場面や状況、文脈などに応じて理解・活用するための活動」って書いてあるので、なんか同じような言葉が並んでしまっていることがもしかしたら2つのその区別というものを難しくしてしまうかなと思ったので、ちょっとここを解消した方がいいなと思いました。
で、代案があまりうまく今出せないんですけど、1つ思ったのを叩き台として言うと、1番は「コミュニケーションを行う活動」で、すいませんちょっと太字のとこだけでいくと、2番の方例えば、下の注釈を活用して「音声・語彙・文法等をコミュニケーションで使えるようにするための活動」みたいなことを例えば書くとか、で括弧「練習含む」とかかもしれませんっていうのが例えばですね。あとさっき内田委員がおっしゃってた「説明をどうするんだ」ってお話、私はすごく確かになと思ったので、ちょっと中高の目線ばかりで発言してしまって申し訳ないんですけど、丸3みたいな形で例えば「ルールを整理する活動」みたいなものとかを入れたりするといいかなっていうふうに思いました。これが1点目です。
2点目はですね、今江原委員もおっしゃってたんですけど、この私たちが作ったものをどういうふうに普及をさせていくか、現場に受け入れてもらえるかってことを考えた時に、豊富なこう具体例、例えば今日阿野先生がご紹介してくださった有馬中学校の例とか、そういう優れた実践例っていうのは今確実に積み重なってきていると私も思います。ただ具体的なアイデアを示すだけだと先生たちなかなか動けないってとこがあると思ってます。それはつまりその成果という、それを授業をやった結果本当に生徒たちに力が身につくという証拠はどこにあるのかという、そういうものがないとなかなか勇気を持って踏み出せないってとこがあるので、その証拠って言い方が正しいか分かりませんが、先生たちが安心してそのやり方に取り組めるような成果みたいなものを示すべきだと思いました。
で、その成果の示し方については1番手っ取り早いのはその授業を受けてる児童生徒の動画を見せると、様子を見せれば一発でもう「あぁ」って分かるんですけど、なかなかそれが難しいと思うので、今まで積み上がってきてる優れた実践例の成果を、例えばですけど英語力がどういうふうに伸びたかみたいなこととかをそろそろ整理できるだけの例が集まってきてると思ってるので、そういったこともやりながら普及をしていくと、現場の先生たちの不安を少しでも解消できるかなと思いました。以上になります。
【酒井主査】 工藤委員お願いします。
【工藤委員】 はい、聞こえますでしょうか。いくつかあるんですが、ちょっと端的に述べられるものにしたいと思います。
一つは、先ほど日向端委員もおっしゃってた「言語活動」という言葉がなくなるので、それが新しくどうなったかっていうことを見せる必要があるのかどうかっていうところで、今は5ページの最初の目標のとこにちょっと長いんですけど、下線が引いてある「コミュニケーションを行う目的や場面に応じて伝えたりする活動」っていうのに入れ替わったような感じになっていますよね。これでいいんでしょうけど、長いしポイントが何かってちょっと分かりにくく長いとなった時に、現場では多分略して使ったり、我々もいずれはそう略して使ったようになる時に、「思・判・表活動」って言葉になるのか「コミュニケーション活動」って言葉になるのかちょっと分からないですけど、これが言語活動から置き換わったものなのか、あるいはそもそも言語活動ではなくて新しい概念として提供してるんだっていうところはちゃんと見せないと、これイコールこれまでの言語活動ですよっていうふうに、指導主事の方とか、我々教員養成してる側が伝えるのかどうかっていうとこはちょっとポイントになるので、本来新しい指導要領だからそれだけ見て新しいことを伝えればいいとは思う反面、やっぱりこれまでとの経緯がかなりここは大事になってくるかなと思うので、指導要領にあと前指導要領との比較みたいなことを載せるのがいいのかどうかちょっと分からないですけど、でも実態はこんだけやっぱ言語活動を重視ここんところしてきて、国の調査でも言語活動どのぐらいやってますかみたいなことを、その率を高めるようなことをやってきたわけなので、新しい指導要領でそれを使わないとすると、それはどうなったのかっていうところをちゃんと見せてく必要はあるかなと思います。
4ページに戻って、丸1が言語活動に置き換わるものということで、丸1「コミュニケーションを行う活動」っていう言葉になってると思うんですけど、これが1番シンプルでいいかなと思いつつも、コミュニケーションってこれまで学習指導要領で何度も登場してますけど、「コミュニケーションって何だ」っていう定義が、もしかするとちょっと学習指導要領ごとにちょっと違ったりするイメージがあって、コミュニケーションの定義をちゃんとした方が使うならいいかなと思います。
ここのコミュニケーションは丸2には入ってるんですけど、外国語っていう言語を使うコミュニケーションっていう意味だと思うので、もちろんコミュニケーションだから非言語の部分もたくさんあると思うんで、それも外国語の授業の中で培ってことは大事だけど、メインは言語を使ったコミュニケーションっていうことだと思うので、丸2に外国語って入ってるんであれば丸1もそれを入れた方がもしかしたらいいのか、あるいはここは非言語も含めて目的・場面・状況に合わせてコミュニケーションが達成できればいいって考えなら、つけないっていう意図もあるのかなと思うけれども、じゃあそん時にコミュニケーションって何だって定義がちゃんと必要かなと思います。なのでこの言葉の定義を指導要領なんでちゃんとしっかりして、コミュニケーションって多分いろんな人がいろんな考えを持ってるものなので、それで進められてしまうと多分あのせっかく細かいところを色々こっちで提案しても、あまり反応がなくなったりそれは無視されることがあるなと思うので、前面に出てくる表現・コミュニケーションとか思考・判断・表現とか知識・技能はこういうことですってのをしっかり定義した上で、こういう枠組を作ってくのが大事かなと思いました。以上です。
【酒井主査】 髙木委員お願いします。
【髙木委員】 僕も4ページについて発言させていただきます。今回のこの資料でどういう学習が求められるのかということについて定義が明確化されて、どちらも大事と言ってもらえるのは、現場で実際に混乱が生じているので、すごくありがたいと思います。
授業で行う活動について、全てリッチな目的・場面・状況というのを設定することができればそれが良いと思いますし、先ほど和泉先生のご発表もとても魅力的な授業だったと思います。僕自身もこんな授業やりたいなと思いながらお話伺っていたんですけれども、藤田委員がご質問されていたように、現実としてなかなかそういかないというところがやっぱりあると思います。現場の先生方はこう、コミュニケーションを通じて学んだ表現を定着させようと頑張っているんですけれども、言い方はちょっと悪いかもしれないのですが、ふわっとした理解で、なんとなく伝わる状況に陥ってしまっている学習者というのがちょっと増えたように感じています。これはあの、僕自身の英語学習観というのが大きく影響してる部分かもしれないんですけれども、現行の学習指導要領で1の活動に振れすぎてしまってるところから、学んだ表現を定着させて自動化させるためにも2の重要性を強調するというのはとても重要だと感じています。
これは資料のタイトルに単元の指導となっているように、必ずしも1コマの授業の中での話だけではなくて、一連の授業の中で1と2、あるいは江原委員がおっしゃっていたような、その間にあたる活動も含めて全体のバランスを見ながら構成していくというのが必要かなというふうに感じています。
もう一点、様々な先生方が家庭学習について触れられていますけれども、効果的な家庭学習を行うために、その授業で学んだことの再現性というのも観点として述べておきたいと思います。複雑な活動を自学で行うというのは非常にハードルが高いので、どんなことだったら学習者の自学で行うことができるかというのは考えておかなければいけないんじゃないかなと感じます。授業時間だけで全て定着させるというのは正直難しいところがあるので、家庭学習を通じてどうすれば英語力を高められるのかという道筋ですとか、手立てというのを理解できると、例えば、今後AIを使って自分に適切な素材を作って学ぶことが可能になる可能性を考えると、家庭学習との連続性というのを考えながら、授業で行った活動を再現性を持ってできるようにしながら学べるようにするっていうのも大事なのかなというふうに感じました。
【酒井主査】 関谷委員、お願いします。
【関谷委員】 はい、お願いします。私の方も4ページでお願いします。
今回、前回改訂から、やはり言語活動においては、コミュニケーション、目的、場面、状況というところで、かなり先生方に浸透してきていると思います。そこにさらに、整理をされて、2が加わるというのは非常に分かりやすくていいと思うんですが、そこを伝えるために、2と1の関係性をきちんと伝えていきたいなというふうに思っています。
そのためにも、ちょっと先ほども出ていたと思いますけれども、2のそれぞれの活動の意味や目的である、また第二言語習得の視点からもコメントをしていただけると、なぜそれをやるのかという目的を持った上で活動を取り組んでいくことができると思っています。
また前回のワーキングで出ました語彙やリストですね、語彙リスト、そういったものも、ポンと出てしまうと、リストの語句をひたすら覚えるという、前回の議論でもありましたけれども、そういった活用なりがちだと思いますので、それもやはりリストそのものに意味や機能を持たせた上で、今のところこの活動、語彙リスト、そういったものの材料が学習指導要領の構造化と合わせて、揃ってきましたので、江原委員がおっしゃっていたようにどのようにマッピングをしていくのか、先生方に伝えていくのかというのが非常に大きな視点ではないかなというふうに思っています。
また合わせて、こういった活動を年間指導計画あるいは単元計画資料の中で見せていく必要があると思っていますし、今の14ページの資料の右側の各例が、単元の中であるいは年間計画の中で取り入れ、他の活動と組み合わせていくのかというところも、事例として示していただけるとありがたいというふうに思います。
あと最後に、教員のチームワークのお話が出ましたが、先生方のチームワークですとか、それから豊富に出てきている様々な事例や活用データをですね、先生方がアプローチできるような、そういった何かプラットフォームのようなものがあるといいかなというふうに思いました。
【酒井主査】 今挙手されてる鈴木委員、バトラー委員、細田委員、川﨑委員、𫝆井委員、髙島委員のところでご発言を切らせていただきます。鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 まず事務局の皆さんの様々な調整とか分かりやすい資料の作成ありがとうございます。そして鈴木祐一先生、和泉先生、阿野先生、活動や練習に関する研究と実践の知見を資料にまとめていただいて誠にありがとうございます。私自身も大変勉強になりました。
言語使用と母語使用について簡潔に意見述べさせていただきます。まず言語活動についてです。現行の学習指導要領が大切にしてきた言語活動を通して3つの資質・能力を育成するっていう考え方は、これまでの調査官の先生方や今の調査官の先生方、そして推進室の皆様の並々ならぬ努力で、私個人的には現場に徐々に根付いてきたんじゃないかなと思っています。
なので今回の提案だと、私の読解力の不足の原因かもしれませんが、思・判・表のための指導と知・技の指導がこう区別されていていると思います。そして、その区別も分かりやすさはあります。一方で実際の授業を考えますと、単元のゴールに向かって知・技と思・判・表を一体的に育成していくということが重要だと思っています。ですので、こう新しい提案のようにこう分けてしまうことで、何かこう知・技は知・技で育てる活動があって、思・判・表は思・判・表で育てる活動があってっていう、この別々にこう分離してしまわないかなっていう心配があります。
言語習得上大事なことは、2つの資質・能力が一体的に活動、言語活動を通して育成されていくということだと、それが本質だというふうに思っていて、それがちょっと見えづらくなるんじゃないかなというふうに少し思っています。
これが1点目で、2点目は、母語使用については、次期の学習指導要領においては、いわゆる母語使用について、事務局案のようにこう目的を明示すると良いと思います。英語使用は基本としつつも、目的明確な日本語の使用は可能、英語機会を減らしすぎないというようなことを、明文化するといいのではないかなと思います。
【酒井主査】 バトラー委員、お願いします。
【バトラー委員】 今、鈴木委員がおっしゃったことと、まさに同じことを私も考えておりました。4ページに関することですが、この丸1と丸2を分けるということで、確かに分かりやすくなっている面もあるかとは思うんですけれども、その弊害というのもあるのではないかと思います。
今日のお話を伺っていると、丸1が今までの従来の言語活動にあたり、丸2の方が練習のようなものにあたるというような解釈ができてしまうのではないか。そして、その言語活動が、思・判・表に対応するものであり、練習が知・技に対応するものであるといったような短絡的な解釈ができてしまうのではないか。それが1人歩きしてしまうことの弊害を危惧しています。
いわゆる第二言語習得ではタスクとエクササイズを分けて、エクササイズをできるだけ避けようというのが、非常に長い間の考え方でした。それが、今日の鈴木先生のお話にあったように、エクササイズに再評価がなされるようになってきたというのはまさにそうなんですけれども、そもそもこのタスクとエクササイズを2分化すること、2項対立的に考えるということ自体に疑問を投げかけるような、そういう考え方もあります。
特に、私がちょっと今日ご紹介したいのは、ウィリアム・リトルウッドの考え方です。この方はイギリス人ですが、長い間香港で活躍されていた先生で、ご自身の香港での経験を元に、このタスクとエクササイズ、ないしは言語活動と練習といったような2項対立的な考え方は西洋的な考え方で、東アジアの教育現場ではなかなか馴染まないところが多いともう20年以上も前から指摘されているのです。
リトルウッドは、フォーム、いわゆる文法であるとか語彙であるとかに主眼を置いたエクササイズから、意味に主眼を置いた、いわゆるタスクないしは言語活動と言われているものは全部グラデーションであり、全部繋がっているんだという考え方をしています。そしてそのグラデーションの中を行ったり来たりするというのが、指導アプローチとしては適しているのではないかと主張しています。
私もすごくその考え方に賛同していて、例えばロールプレイ1つ取ってみても、最初からスクリプトを全部用意して、それを繰り返すっていうやり方もあるかもしれないし、例えば今日はING形を勉強したのでINGのフォームが入ったようセンテンスを使ってロールプレイしてみましょうというように、少し制約を緩やかにして行うというようなやり方もあります。さらに、意味を重視して、もう完全に自由に自分の言葉でロールプレイしてみましょうというようなやり方もある。つまり同じロールプレイという活動を通しても、それをどんな形で導入していくかによって、グラデーションの中の位置っていうのが変わってくるかと思います。
それを評価という立場から見た時に、知・技はこれ、思・判・表はこれっていうような明解な住み分けができるものではないと思います。おそらくそれがこの米印に出てくる丸1のところで知・技も同時に育成されて深まるといったような表記につながってくるのだと思います。やはり目的と学習者のニーズに応じて、適宜にそのグラデーションの中のどこのアクティビティーでの結果を見ていくかを決めていくというのが、実際の状況に即した形ではないかと思います。ですからここすごく難しいんですけれど、やはりグレーゾーンみたいなもがあって、私の理解が正しければ、阿野先生がおっしゃっていたような文法知識を使えるようにするつなぎの活動っていうのがこのグレーゾーンの中に入ってくるのかなというふうに考えます。
【酒井主査】 細田委員、お願いします。
【細田委員】 よろしくお願いします。まずクイックに3点。私自身がこの「言語活動」という言葉が、この表現が使われなくなることについての学校の動揺が否めないなというふうにずっと思っておりました。しかしながら、今日のこの議論の中でかなりそういったところがこう腹落ちしたというところなんですが、ですので、今日のこの議論のような内容をやはりその学校現場にきちんとこう伝えていくという術が必要だなというふうに思うわけです。
「言語活動」のみはこう1人歩きしていって、実はちょっとブレが生じ始めているけれども、先生方も子供たちも英語のコミュニケーション力については現行の学習指導要領の中でかなり上がってきたということを認めつつ、ただ、外国語教育の本道についてもう1度こうクローズアップするというような、そういった内容についてきちんとこう伝わらないと、そのためにこの今回の改訂があるんだということを伝えていくということがより重要になってくるなというふうに思いました。
2点目ですけれども、これも同様なんですけれども、英語の先生方と多くの英語の先生方とお話をすると、せっかくここまで英語で授業をするということに対して皆が努力をしてきたという現状なので、振り子が戻されないことを是非願いたいというふうにおっしゃっていて、そのために母語指導についての原則をできるだけ明確に示すことが重要だというふうに思います。明確に示すことによって、かえって英語で考える、英語でインプット、英語で教えるとか英語でインプットするという原則を全ての教師たちに意識してもらうということに繋がるような、その母語指導の原則の明確化をしていくと、そのことによってさらに英語使用を効果的にできるようになるのではないかと、逆にそんなふうに思います。
3点目は、和泉先生のご発表にありました、職人芸のような英語の授業なんですけれども、これあの本当にすごく大切で、それはただやはり1人の先生が、毎時間毎時間必死で教材研究してもそうそうたどり着くものではないので、是非そういったグッドプラクティスを研修なのか、もしくはプラットフォームなのか、そういったものでこう蓄積していくシステムみたいなものが必要だなというふうに思ってて、これはま学習指導要領の議論とはちょっとその次になると思いますが、そんなふうに思いました。3点です。
【酒井主査】 川﨑委員、お願いします。
【川﨑委員】 とても分かりやすい資料をありがとうございます。私も鈴木委員とバトラー委員の意見に賛成で、英語習得はグラデーションになっていくっていうところをさらに検討していければとも感じました。
また、2点ございまして、1点目は、現状のスライドが非常に整理されている一方で、現場の先生方から自信のない声や不安などの声もまだありまして、言語活動を進める際の不安の払拭事項を解説に追記できるといいのではないかと感じます。不安からコミュニケーションを行う活動時間そのものを避けてしまう先生がまだいるという話も聞きます。解説に追加する例として、例えば「教えた内容が実際に使えるようになるまでには時間がかかるので、言語活動中、間違えてても大丈夫なこと」ですとか、「全て先生がその場で直す必要はなくて、言語活動をしている中で教師がファシリテーターとして関わってもいいですよ」ということであったり、「教師の発音がネイティブレベルでなくても、学習者は意味理解や使用経験がとっても重要なので、言語活動を言語コミュニケーションとしての活動をしていきましょう」とか、「間違えないことよりも気づきを増やすっていう点が言語活動の目的にも入っています」とか、そういった何かこう先生の不安になるようなことに対して、「大丈夫なんですよ」というようなことが、第二言語習得論の観点からも解説などで追記されるといいのかなというのを感じました。
もう1点、米野委員のご意見に賛成で、指導要領の改訂と合わせてコミュニケーションを行う活動に関しては、レベルチェックのようなリストやCAN-DOリスト、もしくはSLAではオブジェクティブズとも言いますが、そのような整理が進むといいのかなというのを感じました。よく先生から聞くのが、3月に配属が決まって、そこから入学式の準備ですとか指導計画とか指導要領の確認とか、なかなか時間が取れない中で英語教員間でバラバラな動きのまま4月にの授業が始まってしまうということがよく上げられますので、例えばチェックリストやCAN-DOリストのような整理が指導要領と共に進むことで先生方の負担を減らしつつ、全国で共通化できる部分はすごく効率的に進めていき、個別最適化が必要な部分に関しては先生方のエネルギーがさらに使えるようにしていくというのを検討してはいいのではないかと感じました。以上となります。
【酒井主査】 𫝆井委員、お願いします。
【𫝆井主査代理】 はい、よろしくお願いします。今回言語活動の規定が十分ではなかったという現行の反省を踏まえて、言語活動と、そして練習ということについて議論してきたわけですけれども、私自身こう発表を色々伺ったりしていて、2点思ったことをお話したいと思います。
1点目は知識・技能と思考・判断・表現の、一体化とその境い目の話になると思うんです。これを平行パターンで捉えるってことになっていますから、当然そこは一連の、一体化したものであるにも関わらず、一方で評価のこともあって境い目をつけなくてはいけないっていう、そういった2つの課題を抱えてると思うんですが、1つにはやっぱり現在その知識とそれから思・判・表をつなぐものが練習のような捉え方で知識をこう技能化していくっていう、そういう感じだと思うんですが、正直言って言語材料をしっかりやったとて、読んでその概要を掴むとか要点を掴むっていうところに一足飛びにはいかないですよね。その間の知識・技能についてもう少し精査していてっていうか、もう少し考えていって、項目の検討が必要なんじゃないか、そうすることもその先ほどバトラー委員や鈴木委員がおっしゃってたこととまた並行して考えられるんじゃないかなと思いました。項目のもしかしたら追加になるかもしれないけれども、それをより分かりやすくするために具体例をしっかり、右半分をしっかり示していくってことも大事だと思いました。
もう1点は目的なんですけれども、目的、内田委員もおっしゃっていましたけれども、コミュニケーティブなそのオーセンティシティっていうのを今の、今の言語活動の目・場・状の目的というのは非常にこうコミュニケーションのアウトカムを想定して、それに必要な何かこう読んだり書いたりっていうことをしていくってことになると思うんですが、そういう観点で言うと、目的があって広告宣伝をしたいから、それのいろんな事例を読んでポイントを掴むとかいうその読むこと自体が目的じゃなくって、手段として位置づけられるような設計になってると思うんですけれども、じゃあ、あの思・判・表で言ってる概要を掴む、要点を掴むっていうのは、そこに厳密に言うと目的じゃないっていうふうに考えていく、その辺りの目的の幅の広さっていうのは、整理していく必要があるかなというふうに思った次第です。それが定義に関わることであれば非常に重要だなと思いました。
【酒井主査】 髙島委員お願いします。
【髙島委員】 はい、こんにちは。1点短くいきます。
今回、母語の活用の話が出ています。方向性賛成です。ただ、この間の改訂で「授業を外国語で行うことを基本とする」となっていたところから、なんで改めて母語の重要性の議論になってるのかってところは分かりやすく示していただければなと思います。第二言語習得や学習科学の知見が活用されてるよと下に米印で書いてますけれども、例えば10ページの資料とかになるんですかね、そこはアピールするといいかなと思います。
ただあえて言うとこの知識・技能問題とか思考・判断・表現問題の通過率を上げることは別に目的じゃないというか、大事なことは外国の学びの意義って、これまでも話していたように言葉・文化・コミュニケーションの深い理解を育むこととか、自分の考えが磨かれて思考が深まる、人間関係が豊かになるということだと思います。そのための外国語学習であって、何度でもここに立ち返れるように発信を是非していただければと思います。何語を使って授業するかって手段ですし、そもそも外国語学習って手段だと思うんですよね。目的と手段がともすれば混同されがちだからこそ、是非そこの整理と発信、現場の先生、あとはやっぱり子供たちも含めて伝わるように一緒に発信できればなと思います。よろしくお願いします。
【酒井主査】 最後駆け足でご意見、発言をいただきました。大変恐縮です。時間も伸びてしまって申し訳ありません。
今日皆さんと、ある意味2つの活動が提案され、それらの関係性について意見交換しました。また、お三方にご意見をいただいたということになるかと思います。
1つ、この中で私が思ってたのは、児童生徒がどう理解するかなっていう観点も必要だろうということです。自分は英語を身につけたい時に、言語活動を通した指導を受ければ、身につけることができるんだ、じゃあ頑張ろうっていうような気持ちになるかどうかですね。コミュニケーションを行う活動、つまり目的や場面状況の中で、色々考えながら自分で英語を使ってこうっていう活動をすることが必要。それから理解とか表現の質を高めるために、様々な側面の英語の気づきであるとか、今日出たところでいくと自動化ですよね。それを技能面に落とし込んでくことであるとか、でさらにそこが使い方、使われ方、御用論的な側面も含めて学んでくことがやはり大事なんだと。子供が理解しやすいっていうことを考えると、この2分割はちょっと単純なんですけれども、大事なのかなというように思いました。
特に4ページの1番下で、どのような資質・能力を育てたい活動なのかということがポイントで、どの活動がどれに当てはまるかではなくて、多分どのような狙いを持った活動がこれに当てはまるというような言い方になる。それを子供も自分の力をこうつけたいから選べる、先生もこういう力をつけさせたいから選べるっていうような、そういうところにバージョンアップしたのが今回の提案なのかなというように考えました。
言語活動を通した指導ということで一定の改善が見られたため、混乱を含めた懸念点等も色々とご指摘があったかと思います。それも含めてまた引き続き意見交換ということになるかと思います。また母語使用についても皆さんの議論では、英語使用の方にもしっかり目的等も含めて明確にした方がいいだろうということで、今までにない視点もご指摘されました。また検討を続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それではあの本日の議事は以上とさせていただきます。最後に次回以降の予定について事務局よりお願いします。
【田井外国語教育推進室長】 次回は2月20日金曜日13時から15時を予定しております。正式には後日ご連絡させていただきます。
【酒井主査】 はい、それでは以上を持ちまして閉会といたします。
―― 了 ――
電話番号:03-5253-4111(代表)