令和8年5月11日(月曜日)18時00分~20時00分
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【島田主査】 定刻となりましたので、ただいまから第9回国語ワーキンググループを開催いたします。先生方、今日は遅い時間ですけれども、ご参集いただきましてありがとうございます。それでは、本日の進行資料をご覧ください。
本日の議題は2つあります。議題(1)「知識及び技能」の整理等について。議題(2)高等学校国語科の科目の在り方について。以上2点です。
まず議題1について事務局からの説明の後、意見交換を行います。その後、議題2について事務局からの説明の後、意見交換を行います。本日の流れは以上となります。それでは、本日もよろしくお願いいたします。
早速議題に移りたいと思います。議題の1、知識及び技能の整理等について、まず事務局より説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 主任教育企画調整官の髙見です。お手元の資料1をご覧ください。
本日の議題ですけれども、議題1として「知識及び技能」の整理について、議題2として高等学校国語科の科目の在り方についてです。2ページ目をご覧ください。まず議題1、「知識及び技能」の整理等についてご説明します。3ページ目をご覧ください。
本日ご議論いただく内容は、第1回国語ワーキンググループの資料1でお示しした検討事項論点のうち、赤枠で示した「中核的な概念等に基づく内容の一層の構造化や、その過程における必要に応じた精選」に関わるものです。
第7回ワーキンググループでは、思考力、判断力、表現力等について、高次の資質・能力に基づき、内容の一層の構造化を図るための考え方をご検討いただきました。今回は知識及び技能に関する構造化についてご検討いただきたいと存じます。
4ページ目をご覧ください。まず左側の議論の前提です。第5回ワーキンググループでは、高次の資質・能力のうち、「知識及び技能の統合的な理解」について、2つの側面に即して整理しました。参考資料の1、こちら15ページになりますけれども、この中では中学校の案を示しております。この下の部分でございますが、側面の丸1は、社会生活に必要となる言葉の様々な意味や働き、使い方を身に付け、相手や状況、目的に応じて使うことにより、理解や思考・表現の質が高まることと理解しているというものです。また、側面の丸2につきましては、一番下のところでございますけれども、幅広く多様な言葉に触れ、蓄えながら、我が国の言語文化の持つ意義や価値を捉えることが自己の形成、社会生活の向上、文化の創造と継承に繋がることを理解しているというものです。
知識及び技能の各側面に位置づける内容は、これらの知識及び技能の統合的な理解に繋がる性質のものとして整理する必要があります。そのため、現行の知識及び技能の事項として示している内容を踏まえつつ、その性質や必要性を検討し、どちらの側面に位置づけるかを整理することが求められます。
また、側面丸1の「知識及び技能の統合的な理解」に繋がる知識・技能と考えられる内容であっても、現行では知識及び技能の事項としては示されず、複数の領域の思考・判断・表現の事項の中に共通する要素として含まれているものもあります。これらは話す・聞く・書く・読むといった思考・判断・表現の活動の中で繰り返し運用し、深い理解と定着につなげる性質を持つものですので、側面丸1の事項として位置づけて整理することを検討する必要があると考えられます。
さらに、第7回ワーキンググループでは、形成的評価と総括的評価を工夫し、学習改善や指導改善につなげる考え方を示しました。この考え方を実際の授業に生かすためにも、どの知識・技能をどのような場面で、何のために働かせるのかを見やすくする必要があります。その意味でも、知識及び技能を2つの側面との関係から再整理することが重要になります。
これらを前提といたしまして、右側の具体的論点をご覧ください。まずご議論いただきたいのは、「知識及び技能の統合的な理解」で目指す高次の資質・能力を着実に身に付けられるようにするため、現行の知識及び技能の内容を下の点線囲みに示しております、側面丸1、側面丸2のうち、いずれの性質に主に重点を置くかによって再整理したらどうかという点です。
この側面丸1、側面丸2の性質は、それぞれ「知識及び技能の統合的な理解」の趣旨を表したものです。その上で、側面丸1の内容を各領域の学習の過程で生かし深める事項、側面丸2の内容を各領域の学習を支え、文化的な知識や態度、教養として深める事項(仮称)でございますが、このように位置づけてはどうかということについてもご意見をいただきたいと存じます。ただし、この整理につきましては、相互に排他的な分類を行うものではなくて、各事項の主たる性質や指導・評価の重点を明確にするための整理であることに、ご留意いただければと存じます。
この考え方を具体化しているのが、5ページの補足イメージ1の1、これは小中学校段階でございます。また、6ページの補足イメージ1の2、高等学校段階です。どちらも左側に現行の事項、右側に2つの側面の性質に即して整理した改善のイメージを示しております。
5ページでは、例えば文脈の中での語句の意味理解や文脈に応じた語句の選択、話や文章の構成や展開、話や文章の種類とその特徴、情報と情報との関係、情報の信頼性の確かめ方などは、各領域の学習過程で繰り返し働かせながら生かし深める知識・技能として、側面丸1に位置づけて整理しています。一方、漢字の読みと書き、漢字の構成、語句同士の関係を理解して語彙を豊かにする、ことわざや慣用句、古事・成語など、古典に現れたものの見方・考え方、姿勢、筆記具の持ち方など書写に関することなどは、言葉や文化に関する基盤を形成する側面丸2との関係が強いものとして整理しております。
なお、補足イメージの1の1および1の2は、第5回ワーキンググループで既にご検討いただきました語彙ですとか、読書、情報の扱い方、高等学校の言語文化の、我が国の言語文化に関する事項についての考え方を踏まえて作成しておりまして、その内容については下線を付しているところでございます。
4ページにお戻りください。このような整理を基本といたしましながら、次にご検討いただきたいのは、学習の効果が高まる場合には、右下の枠囲みの中に示している「分割・統合」、「系統化」、「明確化」という考え方で整理をすることについてです。
まず「分割・統合」についてです。これは現行の知識及び技能の事項について、その性質に応じて分割または統合することが有効なものは、複数の事項に分けて示したり、1つの事項としてまとめたりするという考え方です。7ページの補足イメージの2-1でございますけれども、こちらでは現行では文や文章の事項として、ひとまとまりに示している内容を例にしています。この中では単語の類別、活用や助詞・助動詞の働きのように、言語の体系性の理解に関わるものと、文の構成や話や文章の構成・展開のように、理解や表現の過程で働かせるものが含まれています。そこで性質の異なる要素を分け、改善イメージの例のように側面丸1、側面丸2に位置づけ直すことが考えられます。
一方で、補足イメージ2の2でございますが、こちらでは漢字の読み書きと漢字の構成を例に、現行では別々に示している内容を一体的に学ぶことで効果が高まる場合には、統合して整理する考え方を示しております。ここでは改善のイメージと例といたしまして、新たに学習する漢字を機械的に暗記するだけでなく、漢字の構成や由来、特質と関連付けながら理解し、正しく書いたり読んだりすることを支える知識・技能としてまとめ、側面丸2のほうに位置づけることを示しております。なお、この整理につきましては、学年や科目ごとに学習対象とする漢字を変更するものではありません。また、個別の内容の具体的な位置づけや示し方については、今後告示文も検討する中で検討してまいりますので、ここではこのような「分割・統合」の考え方についてご議論いただければと存じます。
また、4ページの右下に戻りますが、続いて「系統化」についてです。これは現行では特定の種目、校種、科目にのみ示している知識及び技能の事項であっても、発達段階に応じて複数の領域の学習過程で繰り返し活用することが有効なものについては、小学校、中学校、高等学校を通じた系統性を整理して位置づけ直すという考え方です。9ページの補足イメージの3でございますが、こちらでは「段落の構造」を例にしています。段落の構造は、20ページの参考資料3、何度も飛んで恐縮でございますが、この中の赤枠で示した「事実や知識の整理と理解」や「考えや主張、考えや主張の理由付けと吟味」に関わる思考・判断・表現の過程で働かせる重要な知識・技能と考えられます。しかし現行におきましては、小学校では「段落の役割」、高等学校では「段落の構造」として示される一方、必ずしも小・中・高の系統性が分かりやすく整理されているとは言えません。そこで、例えば改善のイメージ、下の部分でございますが、ここの例のように、発達段階に応じて系統的に位置づけ直すことを検討するというのが「系統化」の考え方です。なお、ここではやや具体的なイメージを示しておりますが、あくまで知識及び技能の内容の整理に関する考え方を補足するための現時点での例です。本日はこの文言そのものというよりは、こうした整理の考え方についてご議論いただければと存じます。これはこの後の補足イメージも同様でございます。
さらに4ページの右下に戻りますけれども、最後に「明確化」についてです。これは現行では知識及び技能の事項としてイメージしていないものの、複数の領域の思考・判断・表現の事項に共通して含まれる内容のうち、それらの思考・判断・表現の前提となり、繰り返し活用することが有効な知識及び技能を明確化し、知識及び技能の事項として系統的に位置づけるという考え方です。10ページ以降の補足イメージの4-1から4-3では、場面の設定、情景や心情、行動などの描写の仕方、図表などの用い方や効果を例にしています。これらは現行では主に思考・判断・表現の事項の中に含まれている内容でございますけれども、実際には話す・聞く、読む活動の前提として繰り返し働かせる知識・技能と考えられます。例えば、場面を捉えて物語を読む、場面を設定して物語を書く、描写を元に人物や心情を読む、描写を工夫して書く、図表を用いて説明する、図表を含む文章を理解するといった学習では、それぞれ改善イメージとして示しているような知識及び技能が必要になります。そこで、これらを知識・技能として明確化し、発達段階に応じて系統的に位置づけることを検討したらどうかというのが「明確化」の考え方です。
また、4ページの右側の一番下の黒丸をご覧ください。「事項のまとまり(仮称)」でございますがこれについてです。児童生徒の学びを深める授業づくりに役立てるためには、知識及び技能の内容を互いに独立した個別のものとして示すのではなく、その性質に応じた関係性や小・中・高の系統性が分かるように示すことが重要です。そこで、これまでご説明した考え方による整理を経て、位置づける内容については、事項のまとまりを設けて分類し、構造的に示したらどうかと考えております。
13ページ、14ページの補足イメージの5と6でございますけれども、こちらでは再整理した内容を性質に応じたまとまりとして構造的に示すイメージを示しております。13ページの上に2点に分けて事項のまとまりの役割を示しております。1点目、側面の丸1では、各領域の思考・判断・表現の過程でどの知識・技能を何のために働かせるのかを見やすくすること。2点目、側面の丸2は言葉や言語文化に関する基盤的な知識及び技能をどのような意義や価値と結びつけて身につけ、深めていくのかを見やすくすること。このような事項のまとまりを位置づけることで、教師にとってはどの知識・技能をどの学習活動で働かせ、どのように評価すればよいかが明確になると考えられます。その考え方を表で整理したものが補足イメージの5となります。そして概略ではありますけれども、知識及び技能の内容をそれぞれの事項のまとまりに位置づけた場合、どのようなイメージになるかという例を示したものが、その次のページ、補足イメージ6となります。
以上、この議題1で提案している考え方につきましては、現行の知識及び技能を単に並び替えることではなく、それぞれの内容の主な性質が思考・判断・表現の過程で働く過程に重点があるのか、言語や言語文化に関する基盤として深まる点に重点があるかを検討し、その性質に応じて分割・統合、系統化・明確化を行い、さらに事項のまとまりとして論理的に示すことを目指すものです。この考え方は、これまでの説明でもご理解いただけるように、何か新しい要素を付け加えるというものではなく、現行の内容に含まれている要素を構造的に整理し直すというものでございます。このように整理し直すことで、児童生徒にとっても知識及び技能を単に覚えるものとしてではなく、話す・聞く・読む活動の中で使いながら理解を深めるものとして、また我が国の言語文化を自分の生活や社会、文化の継承と結びつけて学ぶものとして、学習の意義や価値を実感しやすくなるものと考えております。
本日はこうした授業づくりと評価の改善に繋がる知識及び技能の構造化の在り方についてご議論いただければ幸いです。事務局からの説明は以上となります。
【島田主査】 知識及び技能の整理についてということでご説明をいただきました。それではこのあと意見交換に移ってまいります。およそ19時までの46分ぐらいを予定しております。ご意見、ご質問のある方は挙手ボタンにてお知らせください。私から指名させていただきます。ご発言はお一人2分以内でおまとめいただければと思います。なお、ご発言の際は資料のどの部分に該当する発言であるか、ページ数等をお示しいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
それではご意見ございます方は挙手ボタンにてお知らせください。児玉委員お願いいたします。
【児玉委員】 いよいよ今回の再整理も山場を迎えていらっしゃることがよく分かります。感想と意見を1つずつ申し上げたいと思います。
まず感想からです。4ページをご覧ください。ただいま、髙見さんもここに戻って説明されていたと思いますけれども、これまでのワーキングで各領域の学習過程とそれに結びつく思考力、判断力、表現力等を再整理するということで、この方法によって次期の学習指導要領、かなりすっきりと分かりやすいものになってきたんじゃないかと私は思っています。現行版の知識及び技能の課題は、思考力、判断力、表現力と具体的にうまく結びついたものになっていないというところにあったように私は感じています。その点で感想としましては、今回のご提案はそうした課題を、知識・技能を側面1と側面2に分けることによって改善できるというふうなものになっているんではないかなと思いました。
とりわけ、分割・統合、系統化、明確化のこの3点で示された整理の仕方によりまして、これまで曖昧になっていた3領域の段落のこと、場面のこと、描写のこと、図表のこと、これが非常に整理されたと思います。これによって授業づくりにおいて思考力、判断力、表現力を具体的にしっかり支える知識・技能になるということが期待されるように思いました。
その一方で気になるところがありました。13ページを見てください。13ページには「知識・技能を事項のまとまり(仮称)」の整理イメージ丸1という形で提案されています。この表の左の軸のところに、「(1)各領域の学修の過程で生かし深める事項(仮称)」とありますが、その4つ目に「情報と情報の関係」という項目が示されています。これは現行版においても同じ内容で示されているものだと思います。新規のものではないと。むしろこれまでどおりのものがそこに入っているということだろうと思います。
例えばこの中身については、現行版だと比較・分類・順序とか因果・根拠・主張などが引き続き多分想定されているんじゃないかと私は考えているんですが、ただこうした内容は実は現行版の思考力、判断力、表現力等における各領域において、場面とか描写とかと同様に、指導事項を構成する要素としてあちこちに散らばって示されているものでもあるんですね。それを今回は情報の問題としてのみ整理することになってしまうのではないかというのが私の危惧です。もともと言葉イコール情報ではありませんので、また今回の学習指導要領では思考力、判断力、表現力は学習過程の大括り化をすることによって、そこに示される指導事項もシンプルに整理されて、現行版のように細かく詳細に記載されないことが見込まれます。
そういった点で私としましては、国語科としてはこの事項として具体的に中身になるであろう比較・分類・順序・因果・根拠と主張など、こういった内容を持つ事項については、これまでどおりまずは言葉の問題、叙述の問題として捉えて、言葉や叙述についての知識や技能として再整理するということが適切ではないかと考えています。
そこで代案としましては、「情報と情報の関係」という名称を「言葉による思考と論理」などと改めてはどうかと思いました。ただこれまで国語ワーキングで検討されてきた「話や文章」といった教材テキストは、言葉の力を育成する面から見ますと言葉による叙述なんですが、情報活用能力の面から見ると情報を内包する媒体だという面もあります。いわば両義性を持っています。その点から言いますと、もう1つの代案としては「情報と情報の関係」を「叙述や情報の関係」としてもいいかもしれないと思っています。ご検討いただけたらと思います。
【島田主査】 児玉委員どうもありがとうございました。「情報と情報との関係」という事項のまとまりの名称、仮称でありますけれども、これについてご意見をいただきました。言葉による思考と論理等、代案も頂戴いたしました。続きまして、犬塚委員お願いいたします。
【犬塚委員】 まず先ほど児玉先生がおっしゃったこととも重なるかと思いますが、分割・統合、系統化、明確化という方針で、非常に明確になって、どのように思考や判断・表現といったところと繋がるのかということが見えやすくなるというのは大変良い方針ではないかと考えていて、その点については事務局のご提案に非常に賛成しているところです。
私自身がこうしてはどうかなと思うところが1つあるので、そこを挙げさせていただくと、資料では5ページ目のところですね。5ページ目の改善イメージというところで、知識・技能の内容ということでバーッと並べてきていますけれども、非常に並列でたくさん並んでいるという感じになっているかと思います。これもう少し構造化ができるのではないかと思っておりまして、示し方として例えば今ここに出ている範囲で言いますと、学習者自身の方略に関するもの、話し方とか信頼性の確かめ方、図表の用い方、何々の仕方というふうに書いてあるところのように、児童生徒がこういうふうにやるんだよというスキルにあたる部分、特に技能的な部分に注目をした内容と、それからその前提となるような知識についてですね、文章の構成であるとか、図表とはどういうふうに構成されているかという図表に関する知識のようなところかと思います。そういった知識による部分と、それをどのように使うかという技能の部分というのが少し整理できるのではないかなという印象を持ちました。並列して並べるというよりは、いくらかの整理というのがあると、より指導の場面でも使いやすいのではないかと思いましたので、アイデアとしてご検討いただければと思います。
例えば8ページ目の漢字の読み書きという例について言えば、構成とか由来、特質について理解しながらということが記述されていますが、これは知識としてそういうことがあると非常に良いということだけではなくて、それを使うことでより覚えられるようになる。繰り返しやるだけじゃなくて理解するというのは、それ自体が知識として重要なだけではなくて、その知識を使ってよりよく学ぶことができるということですね。漢字の練習がより良いものになるというような側面を含んでいるかと思います。そういったイメージを持ってもらえると良いのではないかと考えました。
それからあと1点、少し気になっているところとしましては、13ページのところ、音読について流暢性という観点から取り上げていただいたというのは、とても良かったかと思います。意義としては、なんとなくとにかく読ませるというところから、流暢性という観点に沿ってより良い音読指導がされるということが期待できるかと思っています。一方で、音読というのが流暢性において非常に重要であるということだけが伝わっていきますと、例えば読むことが困難な児童生徒にも機械的に音読を課したりとか、一定の水準での流暢な読みというのがノルマのように子供たちに課されるというようなことがあってはならないと思っています。流暢性を高めるためのより充実した音読指導がなされるということと、一方で読むことに対してつまずきの大きい児童に対して適切な配慮をするとか、適切な関わりをするということがうまく伝わるといいなと思いました。私からはひとまず以上です。よろしくお願いします。
【島田主査】 犬塚委員ありがとうございました。知識・技能の内容の示し方ですね、もう少し構造化することでより分かりやすくなるのではないかというご意見いただきました。また音読の流暢性ですね、こちらを示すにあたっての配慮というものについてもご言及いただきました。続いて竹内委員お願いいたします。
【竹内委員】 今回、知識・技能を、それ自体を目的とするのではなくて、思・判・表の中で働かせるものとして整理をされたという点が大変意義のある取組だと思いました。特に系統性のところは、高校へのハードルを下げるという意味からも重要だと思いました。それから今後デジタル化をされるかと思うんですが、「場面」とか「描写」という言葉で引くと、先ほどのように横断的に出てくるのかなと思いますと。それもワクワクいたしました。
その上で1点コメントを申し上げたいんですが、先ほど犬塚委員のお話にもありました、音読の扱いです。5ページの次の内容、それから13、14の事項のまとまり、あと一部17の読書にも少し関連するかなと思うんですが、これは「仮称」ということなんですが、この音読というのは文章理解を支える基盤としては重要だと思う一方で、ここだけ他のものと違って活動名が独立して示されることで、現場において意図せず大きな意味を持つように受け止められないかという点が気になりました。実際、学校現場で宿題として出しやすい、あるいは確認しやすいのか、高学年になっても高い頻度で宿題として出される傾向があります。
以前の犬塚委員のご発表で、高学年以降は流暢性だけでは十分ではなくて、要約する、問いを立てる、あと既有知識と結びつけるといった読解・方略が重要になると示されていたと理解するんですが、そのように学年が上がるにつれて正確な読みから構造を捉えたり、問いを立てたりという学びへ重点を移していく、ここで言うとこの下の表現の仕方に下がっていくということなのかなと思うんですね。
ここをなぜ力点を置いてコメント申し上げるかと申しますと、話すことの位置づけとも大変大きく関わっておりまして、話すことは読み書きに支えられはするんですけれども、書いた文章を音声化することではないと。読めても書けても話せないという子はたくさんいるということを考えますと、この用意された文章を正確に読む活動のウェイトが学年を追っても高いままですと、自分の考えを即座に構成して相手に応じて言葉を調整する力につながりにくくなるリスクがあるのではないかと思うんですね。これは後半で示されている高校国語の課題にも直結している点だと思います。
したがって、ここでは例えば「読解の基盤と方略」とか、そのような言葉にしていただいて、音読は読みの習得期を中心として基盤的な活動ではあるけれども、学年が上がるにつれて考えの形成などに重心を移していくものだという発達段階の道筋が見えるようにしていただくのはどうかなと思いました。
【島田主査】 竹内委員ありがとうございました。音読ということについて、話すこととの関係からご意見を頂戴いたしました。引き続き考えてまいりたいと思います。大切なご意見だったと思います。続きまして中村委員お願いいたします。
【中村委員】 今、竹内先生もおっしゃっていましたけれども、やはり声とか音声に関わる事項について、もう少しどこかきちんと位置づいていくということが確かに必要かと思います。ところで、全体としてそれぞれの事項の系統性を小中高と示していて、例えば段落のことを示しておりました9ページですが、現行では中学の部分がないところを今回は小中高で示していくとなっています。それは情景等の描写の部分である11ページもそうですけれども、改めてこうやって知識・技能として系統化されることで、どのように段落という知識・技能の理解を深めながら読んだり書いたりすればいいか、あるいは、どう描写という知識・技能を生かして読んだり書いたりすればいいかということが、校種が上がるにつれて着実に身についていき、それが高次の資質・能力につながっていくという、設計として私はうまくいっていると思います。
それに伴って2点申し上げます。1点目は、その小中高の系統性というか段階差を実質的に告示文でしていくときに、きちんと整合的に、また系統的に作っていくことができるかという点です。小学校と中学校に同じような事項が並ぶわけにはいきませんので、そうした系統性、段階差の吟味が今後重要になってくるだろうというのが1点目です。
2点目は13ページを見ていただきまして、今回「事項のまとまり」ということも合わせて提案されていることです。ここまでのご発言にあったように、そのまとまりのネーミングでありますとか、括りについては今後また検討が必要かと思いますが、その横にあります「主な性質(概略)」の部分が私は極めて重要かと思います。その知識・技能を何のために学ぶのかということを、教える先生方も学ぶ子供たちもやはりしっかりわかっていくことが、1ここまで議論してきた知識・技能を高次の資質・能力として身に付けていくということにつながっていくかと思います。改めて13ページにあります事項のまとまりやその性質といった部分を告示文の中にどう位置づけていくのか、あるいは告示文の中が難しければ解説の部分でどう明示的に表していくのかということが、今回示された方向を実質化していくときのポイントになるかと思って伺っておりました。
【島田主査】 中村委員ありがとうございました。系統化は非常にわかりやすいいい工夫であるように思われるけれども、実際に告示文でその段階差をどのように表していくのかというのは非常に大切なところかなと思います。また知識・技能の主な性質、概略についても、中身をしっかりと伝わるように告示文あるいは解説の中で明示していくことが必要かといったご意見いただきました。続きまして井上委員お願いいたします。
【井上委員】 井上です。私からも主にスライド9ページでしょうか、系統化に関して感想・コメントを述べさせていただきます。他の先生方もおっしゃっていたとおり、分割・統合、系統化、明確化によって知識・技能を整理することによって、小中高の必履修科目のつながりや発展が捉えやすくなりました。また小中高の先生方にとっても、知識・技能と思・判・表との関連を認識しやすくなって、学習の深まりを把握しやすくなると思います。
一方、実際の学校現場に落とし込まれた際に、どういったことが起こるのかという視点で考えますと、本改訂の柱の1つでありますところの多様性の包摂との折り合いがネックになるだろうと感じています。先ほどの中村委員のご指摘にも通じますけれど、小中高という連続した教育課程の中で知識・技能を整然と体系立てられたとしましても、実際の学校にいる個々の生徒の理解度・習得度はやはり千差万別であって、小学生段階で中高レベルの知識を統合的に理解できる生徒もいれば、その逆もまたあり得ます。学校現場で個々の生徒の知識・技能の習得やその深まりをどのように形成的、あるいは総括的に見取っていくのか。知識・技能の議論にあたっては、学習評価の在り方がますます重要になってくると感じました。
また、今回は主に高校の特定の科目までを念頭に置いた整理でしたけれども、では高校各学年での国語科の科目での知識・技能をどのように位置づけていくのかという点も考えていく必要があろうかと思います。高校の高学年になりますと、例えば伝統的な知識や技能といったものが、例えば社会的、歴史的に作り上げられているという視点も大切になってくるでしょうし、あるいは知識は思考力の土台にするばかりではなく、学習者自身が他者と協働しながら作り上げていくものであるという考え方も大切になってくるかもしれません。
よって、小中高という枠組みのみならず、高校各学年での知識・技能の発展の余地やゴールといったものもご検討いただければ幸いでございます。私からは以上です。
【島田主査】 井上委員ありがとうございました。系統化はうまくいくようにも思われるけれども、実際に落とし込んでいくときに、多様性の包摂をはじめとした種々の課題をどのようにクリアできていくのかといった点、ご指摘いただきました。これも大切なこととして考えていかなければならないと考えます。続きまして小松委員お願いいたします。
【小松委員】 大きく分けまして2点考えたことを申し上げたく思います。1点は、これまでも何度か言及したことがございますが、幼小の接続ということに関してでございます。知識・技能ということについて整理していただいているわけですけれども、4枚目のスライドに分割・統合、明確化ということがございまして、その具体的なイメージが小中学校ですと5枚目のスライドにあるわけですけれども、これを何年生を踏まえて捉えるかにもよると思いますけれども、改善イメージというふうになされているものを見ますと、現行よりもさらに要素化されていて、チェックリスト的にマルバツでみたいな風に見えなくもないものになっていると考えました。そういう要素化といいますか、分割というのも必要なのかもしれないと思いますけれども、一方で幼児期の保育・教育で重視しているある種の総合性、あるいは個々の子供に即した理解という観点からすると、だいぶイメージが異なってくるところがございます。
例えば現行の幼稚園教育要領の言葉の領域などを考えますと、まず言葉にすることとか伝え合うこと、ちょっと情緒的かもしれませんが、心を通わせるといったことが狙いとして出てくるわけです。これはもう個々の子供によって本当にいろいろな在り方とか姿があります。そうした考え方から、ここにある要素化された事柄の世界に入学した途端に入っていくというのは、接続という点ではやはりちょっと難しさがあるのではないかと思いました。小中としてまとめて書かれていますので、具体的にどこなのかとかどうなるのか、細部はこれからということかもしれませんが、そうした接続の重要性、在り方ということをぜひ積極的に考慮していただけるといいかなと思ったところです。
もう1点は言葉のことなんですけど、4枚目のスライドにあります側面を分けている、側面丸1、丸2の、特に丸2の教養というまとめについて、これは自己の形成、社会生活の向上、文化の創造と継承というここに書かれていることに関わってきていて、それが一言で言いますと教養ということになるのかもしれませんけれども、現在教養という語が持つニュアンスから、こうしたことを即イメージして理解が得られるかといいますと、個人的には難しいのかもしれないと感じまして、この3つのことというのがもう少し明確に現れたほうがいいかなと思ったところです。
【島田主査】 小松委員ありがとうございました。幼小の接続の観点から要素化と総合性といったようなところでご指摘をいただきました。また、側面丸2の教養という言葉が出てきますけれども、こちらについてもじっくり考えたいというご意見いただきました。中川委員お願いいたします。
【中川委員】 私からは第8回の私の発表の最後に触れました、マルチモーダルな理解と表現について申し上げます。12ページの関連のところでは、改善イメージの小学校に表やグラフ、写真や模式図などと話や文章の対応関係の捉え方、示し方となっています。写真も入ったことに大いに賛同するところです。一方、中学校、高等学校には「写真」という言葉は入っておりません。ここにもぜひ入れていただきたく思います。また、6ページに図表などの用い方や効果と入っています。少し表現が違いますが、7ページ、9ページなどにも入っていますが、これらにも写真あるいは画像は少なくとも入れていただきたく思います。
図表などの「など」に入っているという考え方もできますが、明確に表記されない限り、「写真を使って作るだけ」「映像を見るだけ」で良いという理解をされてしまいます。だからこそ、言葉と写真、言葉と音声などの関係をしっかりと教員に理解していただくよう明記すべきかと思います。ご存知のように、全国学力テストの国語の学習場面として小学校は、動画の構成メモの作成についても扱われております。また、映像メディアの一部を教科書内のコンテンツとして認める等の教育基本法の一部改正も国会審議等で進められていることもあり、今後避けられないことであろうと考えています。12ページだけの小学校だけではなく、該当のすべての箇所で、あるいは中学校、高等学校でも図表などとしないで、「図表や映像など」あるいは「図表や写真など」とすべきかと思います。ご検討どうぞよろしくお願いいたします。
【島田主査】 中川委員どうもありがとうございました。マルチモーダルの観点から、小学校だけでなく各校種に、写真、画像、映像と、そういった語句も明記すべきではないかというご意見いただきました。西委員お願いいたします。
【西委員】 よろしくお願いいたします。今回、統合・分割、系統化、明確化という形で思・判・表との関係性をはっきりさせて、より良くしていこうという方向性については、私もよろしいと思っておりました。いくつか気になる点だけ申し上げたいと思います。
資料5枚目の改善イメージとして小・中学校段階という形で出されているこの2つ、両括弧1、両括弧2のところ、先ほどからも意見が出ているように、若干項目の羅列のように見える点をどのように構造化するか、やはり学校現場に下ろすときにはわかりやすさが大切になるということと、もう1つはこの2つが相互に交渉するということを何らかの形で明示的にしておくようなメッセージを打ち出して、明確にしておいたほうがよいとと感じております。
それでなければ、それぞれが切り離されたものとして受け取られかねないのではないかという危惧がありましたので、ご検討いただけると有り難いです。これまで指導事項として1つだったものを分割したり、あるいは組み替えたりという形に今回なりますので、その点が分割だけではなくて、それが相互に交渉しながら1つの学びの形になる点を明確にしたほうが良いと思います。
次に13ページの資料ですけれども、これ先ほど犬塚委員からもご発言あったかと思いますが、両括弧1の音読のところです。やはり私も流暢性というこの部分が少し気になります。どうしても知識・技能の中ですと、この点が評価の観点にされがちではないかなという危惧を持ちました。それと、やはり仮称として上がっている音読という出し方、代案に関しては思いつかなかったのですが、項目立てについても気になったところです。
また、同じ13ページの両括弧2の3項目、読書ですけれども、これは現行の指導要領でも趣味の読書と調べる読書と、情報を様々な書物等、デジタル媒体も使いながら集めた調べ学習、探究的な学習につなげていくという形での読書の位置づけがあるかと思います。いわゆる一般的な文学作品を読むというニュアンスに若干偏っているのではないか、調べる読書のニュアンスが削ぎ落とされているというイメージを持って私は読んでおりました。今一度検討いただけるといいかなと思います。そういう意味でも読書はすべての校種に入るわけですので、その系統性についても、どのように示しことで系統的な示し方ができるのかという点は、これからの検討になると思って伺っておりました。
【島田主査】 知識・技能の内容ですね、括弧1と括弧2と両者の交渉、あるいは関連、結びつきといったものが見えるような示し方に工夫が必要ではないかといったようなご意見。また、音読、あるいは読書という項目立てについて、調べる読書という側面もしっかり出るようにと、さらに工夫が必要というご意見いただきました。藤森委員お願いいたします。
【藤森委員】 いろいろあるんですけど、1つに絞って感想とそれから意見を申し上げます。13ページ出してもらってよろしいでしょうか。今回の〈知識及び技能〉の重要な提案は、2つの大きな柱立ての事項に分けているということだと思うんです。現行の〈知識及び技能〉も非常によく検討はされて構築されているんですけど、〈思考力、判断力、表現力等〉のどういう方向性、局面と〈知識及び技能〉のどれがタイアップするのかということについて、より今回は明確になったんじゃないかなという印象を持っています。
例えば左側の括弧1ですけれども、ここにいろいろ改善する余地はあるにせよ、基本的にはこれは思考力、判断力、表現力の中で拡張の方向、すなわちいろんな人と関わったりコミュニケーションを豊かにしたり、そういう社会性の面で必要な言葉の力というのが中心的に示されているように思います。一方、括弧2のほうは文化という言葉がありますように、思考力、判断力、表現力をより進化させていく、深めていくという意味で、子供たちが一人の言語人格者として内的に充実していく、そういった2つのベクトルがあります。大きく言うと広がっていく方向性とそれから深まっていく方向性です。この2つの方向性をもって思考力、判断力、表現力が働くとき、どういう知識及び技能がそれらと連動することになるのかと、あるいは選択することになるのかという対応関係が明確になったという意味で、非常に画期的なアイデアではないかと思いました。
特に高等学校の必履修科目である「現代の国語」と「言語文化」との一貫性を考えると、先ほど井上委員から子供たちの個性差や個人差というものについての配慮についてのご指摘ありましたけれども、そのことを十分配慮した上で、国語の学びの基本哲学として、こういう二つの軸で幼小中高の一貫性を考えていくという意味合いを持っています。
そういう目で見ると、例えばこの13ページ左下のところに「古典を読むための言葉の決まり」が、古典作品を読解するためという意味合いで書かれているんですけど、古典の言葉の決まりと現代の言葉の決まりとの間には相通ずるところがありますし、言葉の変化の中でいろいろ豊かに展開しているところもたくさんありますので、そういう目で見た場合、果たしてこのような記述でよいのかという細部の検討をこれからしていくことになると思いました。
【島田主査】 藤森委員ありがとうございました。13ページの左下、古典を読むための言葉の決まりといったところをはじめとして、細部についてはさらに位置づけ等検討が必要だというご意見いただきました。松本委員お願いいたします。
【松本委員】 お願いします。指導要領解説での示し方に関することになるかもしれませんが、少し述べさせていただきます。2つの側面による整理、これにつきましてはこれまで委員の皆様が述べられていましたとおり、適切、と思っております。ただ2の側面については、各領域の学習をいかに「支える」ことになるのかという各領域との関係性について、何らかの形で、おそらく解説になると思うのですが、示す、説明する必要があると思います。
書写のことで言いますと、実際重点を置くとしたら側面2に分類される、整理されるというのは、それはそれで妥当なのですが、実際、「書くこと」や「読むこと」の領域との関係を強く意識して実践してきましたので、やはりそれらをいかに支えるのかという点の解説がなければならないだろうと思っております。また、犬塚委員や西委員の構造化のご発言にも関わるかもしれませんが、同じ知識・技能の事項であっても、書写の場合、ひらがな、カタカナ、ローマ字、漢字に関する学習、それから伝統的な言語文化の素材などとも関係性が強いですので、事項の統合とまではいかないにしても、その関係性が何らかの形で説明できればよいと考えています。
それと議論とは少し外れるかもしれませんが、もう1点。前回ローマ字入力の件がありましたが、実際に書いて覚える学習における手書きの意義など、そういった国語における学び方の意義についての記述もどこかに示せればよいのではないかと考えております。
【島田主査】 松本委員ありがとうございました。2つの側面と各領域との関係というところで、知識・技能が各領域の学習をいかに支えるのかというあたり、これは解説の文章にどのように書き込むのかというところで、工夫をしていかなければいけないというご意見いただきました。続きまして渡邉委員お願いいたします。
【渡邉委員】 よろしくお願いいたします。今回の構造化と整理の方向性には賛同いたします。思考力、判断力、表現力と絡めて育成すべき技術、そしてその目的が明確になることで、暗記や羅列を超えて言語教育の内容の高度化が期待できるものになっていると思われます。また、音読と書写が含まれるのも、体を使って言語文化と繋がるという意味でも入れ込むと良いと思います。これが本当に先ほども出ましたけれども、国語科としての重要な側面であると思います。
その上で1点コメントですけれども、スライド9の下の改善のイメージ、同じ段落の作り方というのを学ぶにも、小中高と重点が移動していくということが分かって系統化する意味というのが非常に見えやすくなって良かったと思います。ただ、スライド9の段落の説明でちょっと気になったのは、従来の日本語あるいは国語教育において使われてきた段落の意味よりも、これ例ではありますけれども、パラグラフに近い考え方のように読めます。つまり、段落というのは日本語の文章観を反映させて、文章を読みやすくするために分割するものであるのに対して、パラグラフは文章全体の論理構造を示す論理的な機能がありますけれども、この違いを意識しながら両方学ぶ必要があるので、こうした違いも系統化するときに意識して、例えば日本語の文章観からパラグラフの論理的機能へというような形での構造化ということも可能ではないかと思います。パラグラフとは異なる日本語の段落の機能については、石黒委員のご専門でありますが、この二つの違いを意識した上での構造化ということも考えられると思います。
【島田主査】 渡邉委員ありがとうございました。9ページの段落に関する記述を例にお話していただきました。確かに今、小学校では段落の役割について理解することとありますけれども、段落とはどういうものなのかという点については、これまで明確な説明なしに来ておりますので、そのあたりのことも含めて系統化を考えていければと思います。石井委員、お願いいたします。
【石井委員】 今回の提案に関しては非常に興味深く拝見したところであります。基本的にやっぱ国語科の課題としては、日本は言葉を味わうという良さもあるとは思うのですけども、やっぱ言語技術面での弱点と言いますか、やはり結局何を学んだのかが明確ではないということからしますと、今回かなりこの知識・技能ということで、何を学ぶのかというか、その指導する上のポイントみたいなものがかなり明確に示されている点が重要かなと思います。
かつそのとき、思考・判断・表現とこの知識・技能との関係というのは、前にもバスケットで言うとドリブルとシュートみたいな、そういったドリルと、それから試合をするというのはゲームということで言いますと、そのゲーム的なこのdoと言いますか、それは思考・判断・表現に相当する。それは先ほどの幼児教育との関係ということで言いますと、読む、書く、話す、聞くとはどういうことかというこのトータルな言語活動のこのイメージですよね。だからその総合性というかこの全体性というものをそこで表現しつつ、それとドリル的なdoということで言うと、そのまさに読むということを読み深める上ではどういったところがポイントになってくるのかと、そこを端的に指し示していくと。
ですからそこが要素的ということはあるわけですけども、最終的にこの先おそらくこの単元の設計の流れみたいなものを提示していくときに、まさにこの大きく読み、書く、話す、聞くということのこの総合的な言語活動をデザインしながら、その中でどういうふうに今回明確にするような個別の知識・技能であるとか、そういったものの統合的な理解みたいなものが位置づけられていくのかという、そこの骨組みの構想に関わってくるのかなと思って聞いていました。ですからそういう形で、幼児期からの全体性というものを思考・判断・表現でちゃんと吸収しつつ、やはり初等・中等教育においては言語技術として明確化していくと。
そのとき、今回示されている、犬塚委員のほうからもありました、やはりこの知識・技能の内容については、中核的な概念云々みたいな形で、その高次の資質・能力を明確化・構造化するときに、ある種この知識の類型というんですかね、やっぱそれを想定しながらということはあったかと思いますけれども、それと同様に考えていくこともできるのかなと思います。
ですから、例えば括弧1のほうで言うと、私は目標分類学タキソノミーなんてやっているものですから、ついついそういうふうに分類してしまうところがあるわけですけども、大きく言えばここに上がっている知識・技能というのは、読み、書く、話す、聞くという技というものをある種メタ認知的に知識として明確化したときに、例えば額縁構造とかもそうですけども、無意識にそういうふうなこの構造を使っていますよねということで、ある種読み、書く、話す、聞くということに関するある種この概念的知識が生まれてくると。だからそれが例えば話や文章の構成とか展開とか、その種類とかになってくると思いますし、それでさらにそれが技能どころか技術化していくと、読解・方略とか、そういった方略みたいなものになってくるんだろうなと思います。さらにその方略ということも、言葉についての方略もありますし、さらに言うとよりジェネリックなところも含めた因果であるとか、そういった一般特殊関係とかというのは、これはかなりロジックですね、論理ですね。だから汎用性があると。だからその知識の、少しそれを直接出すわけではないけども、分類するときにその知識の類型みたいなものを意識していくといいのかなと。
それで言うと、もう一つの言語文化みたいなことで言うと、文化としての言葉についての語彙というのは事実的知識であるし、さらに古事・成語とはなんぞや、あるいは漢字とはなんぞやという成り立ちも含めて学んでいくということで言うと、これ概念的知識になるわけですよね。だからこの知識・技能ということに関しても、そういった知識の類型の様々なカテゴリーがあるわけですから、そういうことを踏まえて少し整理していくと分かりやすくなるかなと。だからそれが思考・判断・表現とかにも関係しますけども、学習過程の中でどこで機能するのかということで、それで全体のこの構造化を成していくということが大事なのかなと思いました。以上です。
【島田主査】 石井委員、ありがとうございました。知識・技能の類型化、分類、構造化の話も先ほどからありましたけれども、そういったことについて改めてご説明、ご意見を頂戴いたしました。続きまして吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 今回のご提案は、現場の先生方にとってもとても分かりやすいものとして整理されたのではないかなと率直に思いました。これまでは思考・判断・表現の中にそういった場面等の知識・技能に関わるところもちょっと入れ込んでいたりとか、また解説をやっぱり読んで初めてよく理解できるという部分がちょっと多かったように思います。なかなかそこまで現場の先生が毎度解説を開くことができるかと言いますと、やっぱりそれはとても難しいことですので、こういった指導要領の文言の中に具体に知識・技能が整理されてより示されたということは、授業作りの際にも先ほどもおっしゃったような思考・判断・表現の過程でどんな知識・技能を身につけていけばいいのかとか、逆にどんな知識・技能がないと今回思考・判断・表現することが難しいのかということを授業作りの段階で先生方がイメージできるようによりなるのかなと思いました。
もう1点は13ページに関わりますけれども、小学校のところだけ音読のことが示されたということですけれども、やはり小学校においてはかなり国語の学習においての音読というのはとても重要な位置を占めていると感覚的ですけれども思います。本当に1年生は文字を習うところから始まりますので、やっぱその拾い読みと言いますか、その目で見る文字と耳で聞く音と、それがだんだんと単語になっていくと言いますか、拾い読みから言葉のまとまりになっていって、それが文で読めるようになっていくということを、やはりたった1年間でもまざまざと成長を見るところにつけ、日本の国語教育の中で音読というものは言葉にするのは難しいんですけれども、文や文章の内容を確かに理解していく上で非常に重要な役割を果たしていると思いますので、小学校段階に設置されているということは引き続き重要かと思います。
その上でやはり低学年、中学年、高学年の示し方ということについては、今後さらに具体の内容を整理していって、やはり高学年の5、6年生がそんな流暢に音読するためだけに音読を学習でしているかというと、それはちょっと疑問ですし、じゃあ5、6年生が声高に何かみんなで声を揃えて読みましょうみたいな国語授業が展開されているかというと、そうでもないです。ですので、やはり低学年、中学年、高学年において、じゃあ何のために音読をしているのかというこの後ろのほうですね、何々するための基盤として働かせる知識・技能というところがしっかり現場の先生方に伝わるように、今後具体化されていくと分かるのかなと感じました。
【島田主査】 分かりやすいご指摘ありがとうございました。続きまして中嶋委員、お願いいたします。
【中嶋委員】 私も他の委員の皆様と同じように、今回知識・技能を構造的に整理し直したということは、学校現場にとって大変ありがたいことだと感じています。やはり知識・技能と思考力、判断力、表現力の関係が明確になっているということが、指導者が指導する上でその理解をはっきりするという点でとても大事だと思いますので、そういう部分では非常に良かったかと方向性に大きく賛同しております。
その中で、意見ということで3点申し上げさせていただきます。まず具体的には5ページ、この改善イメージの特に各領域の学習過程と一体となってやるのか、個別で指導するのかという事項を明確に分けたという点は非常に大事だと思います。ただ、考え方はとても良いのですが、 (1)「各領域の学習の過程で生かし深める事項」という名称はちょっと長く理解しにくくなってしまうところがあるので、せっかく考え方が非常に良い方向ですので、例えば「個別に深める事項」など、趣旨については解説や告示文に明確に書いていただき、最終的な名称としては現場にとって分かりやすいものにしていただけるとさらに良いと思うことが1点目です。
続いて2点目12ページになります。これはできたらお願いしたいところですけれども、下の改善イメージのところで図表等のことを書かれている整理の仕方なのですが、中学校の2点目のところだけ、「話や文章と」という言葉が他の小学校や高等学校にはあるのですが、ないです。国語を学ぶということは言葉との関係が切っても切り離せないと思いますので、ぜひ2点目のところも例えば最初に「話や文章の目的に応じた」という文言を入れていただけるとよいと考えます。
あわせて2点目の意見と重なるのですけれども、先ほど中川委員からマルチモーダルの部分で画像や写真というようなご意見をいただきました。その点については本当にこれからの社会生活ということを考えても切っても切り離せない内容だと思います。ただ、例えば中学校で1週間の授業時数がそんなに多いわけではない中で、映像や図表、写真等と言葉を結びつける指導がどれだけできるだろうかという現実的なことを考えたときに、それに関しては慎重に検討すべきではないかと思う部分もあります。国語という特質を考えたときに、他の教科で補えないのかなと感じているところがあります。以上でございます。
【島田主査】 括弧1、括弧2のですね、今仮称になっておりますけれども、確かにこのままでは分かりにくい表現かなと思います。こちら引き続き考えてまいりたいと思います。またマルチモーダルに関するところ、どのように盛り込んでいくかということについても引き続き考えてまいりたいと思います。最後に庭井委員お願いいたします。
【庭井委員】 西委員が後半におっしゃってくださっていた読書に関することにつなげてということになります。13ページにありますように、読書に関する項目は今のところ事項のまとまりとして提示するという案がこちらに示されていて、読書という項目があるのはもちろんいいんですけれども、読むことに関する指導項目と関連付けるとするならば、分割・統合とか系統化とか明確化とか、今回お示ししていただいた整理の仕方もあるのではないか。つまり読書に関することもやはり分割・統合とか系統化とか明確化しなければいけない要素があるんじゃないかなと思いました。
具体的には、読むことの中に「どう読むか」という要素がたくさんあると思うんですけれども、さらには何を読むかとか、それをどう選ぶかというような内容については、必要に応じて系統的に示したり明確化して示したりすればですね、読書というまとまりのある行為にうまくつながっていくんではないかと思いました。そうすることで西委員がおっしゃった物語を読むだけではなくて、幅広い様々なものを読むという力を身につける方略というのが示せるんじゃないかなと感じました。
【島田主査】 庭井委員ありがとうございました。今、「事項のまとまり」として挙がっている読書ですけれども、その中身についてもう少し細分化して考えることもできるのではないかというご意見だったかと思います。それでは議題1についてのご議論はここまでとさせていただきます。
続いて議題の2に移りたいと思います。事務局よりご説明をお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 お手元の資料をご覧ください。ページ数で申し上げますと、22ページからになります。議題2は高等学校国語科の科目の在り方についてです。前回のワーキンググループでは現状と課題を中心にご議論いただきました。本日は前回ワーキンググループを踏まえて現状と課題を改めて整理するとともに、見直しの方向性と具体の改善イメージについてご議論いただければと存じます。
23ページをご覧ください。平成30年の改訂では教材の読み取りが指導の中心となることが多く、主体的な表現等を重視した授業が十分に行われていないこと、話し合いや論述などの「話すこと・聞くこと」、「書くこと」の領域の学習が十分に行われていないことなどを踏まえまして、現代の国語と言語文化が必履修の2単位科目として、論理国語、文学国語、古典探究、国語表現が選択の4単位科目として設けられました。
24ページをご覧ください。まず「1.現状と課題」といたしまして、「(1)履修の実態」については前回の改訂の狙いに基づく改善はある程度進捗する一方で、選択科目の単位数がすべて4単位と大きく、時間割編成上の制約も大きい中、実社会におけるコミュニケーション能力の育成を図る国語表現が大学入試につながらないなどの理由で進学希望者が多い高校で選択されにくいこと、国公立理系を志望する生徒は論理国語と古典探究のみの履修、私立理系を志望する生徒は論理国語のみの履修にとどまる例が多いことなどが履修の実態として挙げられます。
また、右側になりますけれども、「(2)顕在化している課題」といたしまして、前回改訂で掲げた課題の改善を継続していく必要がある一方で、前回の改訂以降に急速に発展した生成AIなどがもたらす変化などを踏まえますと、丸1にございますように、人間同士のリアルなコミュニケーションの重要性が高まる中、自らの考えを言葉にし、論理的かつ説得的に表現、対話する力の育成が不十分であること。また丸2にございますように、人間ならではの感性を育み、それらを的確に表現することの重要性が高まる中、理系希望者を中心に文学を題材とした学びが相対的に不足していることなどの課題が挙げられます。
また小中高等学校の共通の課題といたしまして、丸1にございますように、読書離れが進む中、読書を通して出会った語句や表現、ものの見方や考え方を自分の中に蓄え、次の学びにつなげていく力を育成すること。丸2にあるように、SNSなどの短文のやり取りが日常的になる一方で、まとまった文章を読む機会が不足している中で、文章を的確に理解し、自分の考えを深めたり表現を工夫したりする力を育成すること。丸3にあるとおり、日々の情報収集もSNSが中心となり、報道を含む多面的多角的な情報収集が行われなくなっていることを踏まえ、メディアリテラシーを高めること。また丸4にあるとおり、中学校と高等学校の学びの段差の解消を行う必要があることなどが挙げられます。
25ページをご覧ください。これらの課題を踏まえまして、「2.見直しの方向性」をここでは掲げております。まず1つ目の黒丸にあるとおり、これからの社会では自らの考えを言葉にし、論理的かつ説得的に表現し、対話する力や豊かな感性、情緒により自らの思いや経験を効果的に表現する力、他者と協働して考えを深める力など、人間ならではの言語能力の育成の充実が必要であることとした上で、2つ目の黒丸にあるとおり、現行の学習指導の趣旨は維持しつつ、論理的思考力と感性、情緒の両面について二項対立に陥らず、バランスよく統合的かつ効果的に育成する方向で検討してはどうかと考えております。
その上で3つ目の黒丸にあるとおり、必履修科目の科目構成は維持しつつ、必要な改善を図るとともに、選択科目については、まず丸1にあるとおり、現行の選択科目の中から標準的な内容項目を抽出し、主として論理的に考える力を育成し、3領域を偏りなく学ぶ4単位科目としての現代の国語Ⅱ、仮称でございますが、それから主として感性や情緒を豊かに育み、古典と近代以降の文章を我が国の言語文化として学ぶ4単位科目として言語文化Ⅱ、こちらも仮称でございますが、これらを大多数の生徒の履修を想定した選択科目として新設することで、領域の学びの偏りを解消し、多様な文章を読む機会を確保した上で、丸2にございますように、これらの科目の履修を前提により発展的な内容に焦点化して学ぶ選択科目群を設定し、生徒の興味関心に応じた選択を可能とする科目構成としてはどうかと考えております。
その上で4つ目の黒丸にございますけれども、小中学校の接続を明確にする観点から、第7回ワーキンググループでご議論いただいた話や文章の機能で思考力・判断力・表現力等の各資質・能力を整理することとしてはどうかと考えております。なお、米印の1つ目にあるとおり、現行では現代の国語と論理国語の読むことの教材は論説文や説明文に限定されているところでございますが、論理的思考力の育成を重視する科目で扱う教材については、論説文や批評文などを中心とすることを明確としつつ、科目の趣旨に合致しているかどうかという観点で判断する方法で検討すること。また2つ目の米印にあるとおり、実用文の取り扱いについては報道文や広告文などを中心として扱うこととしつつ、それらを俯瞰的に論じた論説文や批評文を含めて検討すること。また3つ目の米印にあるとおり、今後の教育課程の柔軟化の仕組みの下での諸科目の取り扱いについては、多様性の包摂の観点も含めて引き続き検討することとしてはどうかと考えております。
26ページをご覧ください。「3.具体的な改善のイメージ」でございますが、まず「(1)必履修科目」についてです。こちらについては現行の枠組みを維持しつつ、科目の目標に即し学習内容を明確化することで指導のさらなる充実を図ることとしてはどうかと考えておりまして、第1に目標の見直しとしてでございますが、まず37ページ少しご覧いただけると存じますが、こちら現行の目標でございます。ここに書かれるとおり、特に思考・判断・表現の部分でですね、この現代の国語と言語文化についてはですね、その違いがない形になっておりますが、26ページに戻っていただきまして、現代の国語については実社会で必要なコミュニケーション能力や論理的な思考力を中心に育成すること、言語文化においては豊かな情意や感性、我が国の言語文化を継承発展させる態度を中心に育成することを目標で明確に示すこと。さらに第2でございますけども、各科目で育成する資質・能力の焦点化として、話や文章の機能によって各領域の資質・能力を焦点化して整理することで、教材とする文章の種類と育成する資質・能力の関係を明確にし、各科目の趣旨に沿った学びを維持してはどうかと考えております。
この必履修科目の具体のイメージにつきましては、32ページを合わせてご覧いただければと存じますけれども、この現代の国語Ⅰと言語文化Ⅰ、これはいずれも仮称でございますが、それぞれの目標と話や文章の機能に応じた思考・判断・表現のイメージを領域ごとに整理しておりますので、合わせてご確認いただけると存じます。
27ページをご覧ください。続いて「(2)選択科目」でございますが、選択科目といたしましては、ここに掲げる6つの科目に再編してはどうかと考えております。新旧のイメージにつきましては、29ページをご覧いただければ存じますけれども、現代の国語と言語文化は必履修科目として存置した上で、論理国語と国語表現の標準的な内容を現代の国語Ⅱとして、文学国語と古典探究の標準的な内容を言語文化Ⅱとして、それぞれ再編するとともに、論理国語、国語表現、文学国語、古典探究の発展的な内容を扱う科目として、これも仮称でございますけども、論説と批評、対話と表現、文学と叙述、古典と文化という形に再編してはどうかと考えております。
30ページにおきましては系統性のイメージ、31ページにおきましては各科目の内容の趣旨を記載しておりますので、合わせてご確認いただければ存じますけれども、27ページに戻りたいと思いますが、各科目の考え方につきましては、ここに記載のとおりの形で整理してはどうかと考えているところでございます。なお、発展的な科目の名称の考え方につきましても、この下の点線枠内に記載しておりますので、こちらについても合わせて後ほどご議論いただければ存じます。
28ページをご覧ください。続いて「(3)教材の扱い」としてでございますけれども、多様な他者との協働が重要となる社会を念頭に置き、豊かな論理的思考力を育成するためには、多様な教材を活用して論理的に読み解き、根拠を持って説明・批評する学習をより一層充実させる必要があると考えております。その際に論理的思考力と感性、情緒の両面をバランスよく統合的かつ効果的に育成するため、例えば文学作品を読むことを通して生まれる感情や想像を他者に伝わるように言語化したり、充実した言語生活につなげたりすることも重要であると考えております。
このような観点を踏まえつつ、論理的思考力の育成を重視する科目で扱う教材については、論説文や批評文などを中心としつつ、文学作品とは科目の趣旨に合致するかどうかで判断することとしてはどうかと考えております。感性や情緒を育成する科目においてもですね、これと同様な形で整理してはどうかと考えているところでございます。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。
【島田主査】 それでは20時までを目途といたしまして、意見交換に移りたいと思います。同様にお1人2分以内でまとめいただければと思います。早速ですけれども、はい、では児玉委員お願いいたします。
【児玉委員】 高等学校、現行でいろいろな問題等が指摘されているのをなんとか改善しようというご苦心の跡が見える科目再編であったという感想を持ちました。それを前提に意見を2つ、感想1つ申し上げたいと思います。
まず27ページご覧ください。ここに高等学校の科目編成、とりわけ選択科目が丁寧に記されているんですが、ここで現代の国語Ⅰ、それから言語文化Ⅰのあと何を学ぶのかがまとめて示されています。それが今回選択科目は標準科目と発展科目の2つに分けられたというところも1つご苦心の跡が見えるなと思いました。
ただこの発展科目の中の丸5の「文学と叙述(仮称)」、僕もさっきから名称ばっかりこだわって申し訳ないんですが、この名称がやっぱり違和感があります。この中身を見ますと、そこに書いてあるとおり、現行の文学国語の発展的な内容を再整理して云々と、文学的な文章について評価したり、その解釈の多様性について考察したり、独創的な表現を工夫したりするなどと書いてあります。つまりこれ、文学を読むだけではなくて書くことも含まれている。読むことと書くことを文学にもっと即して言うと、文学を鑑賞したり批評したり、あるいは文学を創作したりということがこの科目の中に入っているんだろうと思います。
だとしたらそれを「文学と叙述」というこの叙述がやっぱりちょっと引っかかりますね。これ、全然文学を表す言葉になってないように私には見えます。代案としましては、例えば「文学と創作」など、あるいは「文学と創造」、クリエーションの創造ですね、などとしてはどうかなと思いました。創作というと何か難しいことのように思われる方いらっしゃるかもしれませんけれども、小中ではその言語活動例の書くことでずっと系統的にやってきているものでもありますので、それを進化発展させるという意味からも創作とか創造という言葉をここに入れていただくといいのではないかなと思いました。文学は決してプロの作家だけが作るものではもちろんなくてですね、ですから文学を創作されたものとしても捉えるし、学習者が創作するものとしても捉えるという意味からも、この叙述という言葉を別の言葉に変えることを提案したいと思います。
2つ目の意見はこれと関連するんですが、32ページご覧ください。32ページにはこの概略イメージが書かれているんですが、これ前のワーキングでも検討されたことなんですけれども、「話や文章の機能(仮称)」という観点が新たに設定されて、これを軸に資質・能力の再整理が図られています。この32ページにはこの「話や文章の種類(仮称)」と高等学校の新しい科目の関連が示されています。ここでやっぱり私が目に留まったのは、「話や文章の機能(仮称)」の下位項目に分類されているその名称です。
特に「思いや経験の表出や創造」という名称にはやっぱり引き続き違和感を覚えます。これ仮称なので今後検討いただくと思いますけれども、先の意見で申し上げたとおり、文学テキスト、物語、小説、詩歌などが想定されていると思いますが、そうした文学テキストの名称の名前が「思いや経験の表出や創造」だと想定される文学テキストとの機能とうまく噛み合わないんではないかと。例えばこれだと随筆とかルポルタージュみたいになってしまうので、やはりここも代案としましては、「思いや想像世界の創作と鑑賞」、あるいは「思いや想像世界の創造と受容」とか、こんな名前に変えてはどうかなと思いました。これが意見の2つ目です。
あとは感想です。30ページご覧ください。30ページにここにそれらを図示したものがあるんですけれども、ここの中の下のほうにちっちゃい字で書いてありますところがちょっと気になったんですが、履修に対する考え方です。2年以上で分割履修もOKですよというのが書いてあるその下にですね、選択科目の発展科目というのは原則として同系統の標準科目を履修したあとだというふうに示しているんですね。この縛りがちょっと気になりました。
3年間で高等学校を終えるとすると、2年生の段階で現代の国語Ⅱに4単位、言語文化Ⅱにこの都合8単位をやった子が初めてこの発展科目を学ぶというふうな作りに今しようとなさっていると思うんですけれども、そのことが持っているなんていうかな、縛りの強さというのが現場にどの程度かかるのかということについて、ぜひまたご検討いただけたらと思います。これは感想です。
【島田主査】 児玉委員ありがとうございました。科目名としての「文学と叙述」について代案をいただきました。また「話や文章の機能(仮称)」の下位項目としての思いや経験の表出と創造といったところについても代案をいただきました。さらに履修の在り方ですね、原則として発展科目は同系統の標準科目を履修した後に履修させることにするという縛りについても少し再考が必要ではないかというご感想をいただきました。井上委員、お願いいたします。
【井上委員】 井上です。今回事務局による新科目編成案に対しまして、主にスライド30を中心にコメントいたします。まず国語表現が計6単位の現代の国語ⅠⅡに取り込まれている点が目を引きます。話す・聞くの領域が高校2年間あるいは3年間の授業でより一層丁寧に扱いやすくなったという点は特筆すべき点です。
また現場にとっては最大の懸案事項でありました教材の扱いにつきましても、論理や文学といった言葉で区別するのではなく、あくまでも科目の趣旨や話や文章が社会の中でどんな役割を果たすのかという言葉の機能に則って判別するということで、より柔軟な授業が展開しやすくなったと思います。現代の国語で文学を扱って意見や主張を論理的に書くといった活動もできるでしょうし、あるいは言語文化においては作品内の人物の心情・言動と、学習者自身の体験や経験を重ねながらエッセイを書くこともできます。現代の国語Ⅰ、Ⅱと言語文化Ⅰ、Ⅱであえて同じ時期に同じ文学作品を取り上げることによって学びを深めていくような可能性もあるという点が良いと思いました。
次に今回発展科目として定義された選択科目群について感想を申し上げます。各科目の内容については今後審議されるものと思いますけれども、新科目の論説と批評には、特定の主張を鵜呑みにせず吟味するというようなクリティカルな側面が垣間見えますし、文学や叙述には先ほど児玉委員も指摘なさっていましたが、作品創作といったクリエイティブな側面も含意されているように感じます。現行の論理国語の発展が論説と批評、文学国語の発展が文学と叙述と考えるならば、大学進学を目指す学校はこの2つを選択する可能性が高いのかなと思いましたけれども、ここで私は対話と表現という科目に着目したいと思います。
この科目は現行の国語表現の発展として位置づけられる科目のように見受けましたけれども、この科目ではおそらく2単位の論説と批評では扱いきれないような様々な話や文章、例えばレポートや小論文、報告書、志望理由書や自己推薦書などを丁寧に扱えるのではないかと思います。またあくまで現時点では仮称ではありますけれども、対話という用語の解釈をあえて広げるならば、例えばフィールドワークに出て学校外の人々を相手にした対話も入ってくるでしょうし、昨今でしたら生成AIとの対話であったりプロンプトの作成なども内容に入ってくるかもしれません。現行の国語表現自体の選択率は低いですが、この対話と表現が単なる実用性とか実利性を超えた内容を含み、様々な実社会と学校・授業とを架橋するような科目になるんじゃないかと期待するところです。私からは以上です。
【島田主査】 井上委員ありがとうございました。選択各科目の内容についてご感想いただきました。また素材の扱いにも柔軟性が出て良いというご意見もいただきました。植木委員、お願いいたします。
【植木委員】 今までの高校国語の様々な課題を解決するためにいろいろな苦心の跡が見られて、前回から大変いい方向に向かっているなと感じていますが、今映していただいている30ページについて質問を1つと、それから意見を1つ申し上げたいと思います。
質問は、今までにも話題になっていて私の理解が不十分であることをあらかじめお詫びしたいとは思うのですが、必履修科目で水色系統のものとオレンジ系統のものを取る、そのあと選択科目では標準科目の水色とオレンジは一般的な選択として両方が取られるだろうという予想をされているのでしょうか、それともどちらか片方、とすると結局その選択科目は水色かオレンジに偏ってしまって、そして今までの流れからするとなんとなく水色が多く選択されてしまうのかなと危惧したのですが、その標準科目の扱いについてご教授いただければと思います。先ほどの柔軟な取り方、履修の仕方というところと児玉委員、井上委員がおっしゃったこととつながってくるので、その前提のご質問でした。
そしてもう1つは発展科目の名称なのですが、これも児玉委員からもご意見がありましたけれども、私の理解ですとこれらの科目は「と」の前半が文章の種類やあるいは言語活動の領域を示すようなもので、後半が生徒の活動と言いますか、動詞にすることができる―批評するとか表現するとか叙述するとか―、でも文化だけがそうならないというところで少し位相が違う組み立てになっているのかなという気がいたしました。その理解が正しいかどうかわからないんですけれども、もしそういうふうな方向性で考えるとすると、「古典と文化」は「文化」を動詞になるような、「継承」とか「鑑賞」、「鑑賞」という言葉だと「文学と鑑賞」というふうにも言いたいので難しいのですが、「古典と享受」「古典と玩味」―「玩味」もあまり使わないでしょうか―よく味わうとか、あるいは理解するということで、「文化理解」「玩味」「鑑賞」、なにかそういう活動的な言葉が後ろに来るほうがいいのかなという気がいたしました。
「文学と叙述」は先ほど「文学と創作」とか「文学と創造」というご意見があったのですが、なるほどそういう考えもあり得るなと思いつつ、「創作」というのが非常に特別なことのような認識というかイメージがまだつきまとうのかなという気もして、そうすると「文学と鑑賞」というあたりがいいのかなと思いました。すみません、うまくまとまっていないんですけれども、「古典と文化」については特に、その後半に「継承」とか「文化理解」とか「玩味」とか「享受」とか、何か動詞として使えるような言葉が来ると全体の整合性が取れるのではないかと感じました。
【島田主査】 まずご質問いただいておりました標準科目ですね、何々Ⅱというものの履修の在り方ですけれども、これはお答えいただけますか。髙見さんお願いします。
【髙見主任教育企画調整官】 この標準科目で今回の案では現代の国語Ⅱに4単位というのと言語文化Ⅱに4単位というのを標準として設定しようということを考えているところでございますが、今現行の学校での取られ方というのは、これ高等学校かなり多様でございますので、その扱いは千差万別ではございますが、大きく申し上げるとですね、その必履修科目2単位ずつを取った後にですね、そのあと例えば論理国語と古典探究を取るということで、それを足し合わせても8単位になりますけども、そういったもの、あるいはさらにそれに上乗せする形で文学国語を取ると、そういった学校が全体的に見れば多いんではないかと捉えております。こちら今数字を示しておりますが、これは教科書の需要冊数から参照したものでございますけども、こちらのパーセンテージをご覧いただきます通り、大体論理国語で約8割、古典探究で約9割ということでございますので、これらの学校の形態が多いんではないかと考えています。
そういった中で先ほどのページ30ページに戻りますが、そうしますと、現在大体この選択科目で国語については8単位ないしは12単位取られているという実態を考えますと、現在8単位取っている学校については、この現代の国語Ⅱあるいは言語文化Ⅱ、これらをまずしっかり押さえた上で、さらに今12単位取っている学校についてはですね、当然またいろんな科目の、また他の教科も含めて見直しはあるわけでございますけども、仮にその12単位をそのまま存置するんであれば、さらにこの発展科目を取っていくという形態が考えられますし、また8単位を取っている学校はそのまま8単位を継続するということであればですね、現代の国語Ⅱと言語文化Ⅱを取るというのが標準的な履修パターンになっていくんではないかと思います。ただ現在でもですね、例えば選択科目で1つの科目しか取っていないという学校もありますので、そのあたりについては場合によってはこのいずれかを取るという形態も中には出てくる可能性があるということではないかと捉えているところでございます。以上でございます。
【島田主査】 植木委員よろしいでしょうか。そのほか委員からは2つの選択科目の名称についてもさらにもう少し考えたいというご意見をいただきました。続きまして中村委員お願いいたします。
【中村委員】 今の映っている30ページに関して、今回必履修科目、標準科目、発展科目という3ステップにすることで、様々な現行の課題についてアプローチできていると感じますし、また文種の扱いについてもより柔軟性を増していくという今回の方向性について賛同します。一方でこうした形にすることで、新たに検討しなくてはいけない点もあろうかと思います。
その1つが今日の前半の課題1とも関わる系統性の問題です。例えば話や文章の機能に着目をして評論文や論説文を読んでいく、そうすると「現代の国語Ⅰ」で読み、「現代の国語Ⅱ」で読み、また「論説と批評」で読むという3ステップになっていくわけですので、その文章の中身を難しくしていくだけではなく、どうこの3つの科目において指導事項レベルで資質・能力としての段階差をつけていくのかという点が問題になると思います。さらに今映っている表の下の灰色の部分にありますように、「現代の国語Ⅰ」の手前では小中学校でもそうした学びが9カ年積み上がっていくわけですので、そうすると小学校が低学年、中学年、高学年の3ステップ、中学校が1年、2年、3年の3ステップあり、全部で9ステップでこの説明文、批評文、評論文を読むことに関する事項ないし知識・技能を積み重ねていくことになります。そのステップ間の系統性と段階差をきちんと作っていくことが今回のこの科目構成がうまくいくポイントの1つにもなるかもしれません。改めて、その辺の具体的な作業が効果的に進む仕組みを事務局ベースで検討していただくのがいいかなと思います。
もう1点、科目の名称について、「文学と叙述」ですが、「叙述」という用語は現行の小学校の学習指導要領で説明文に関する指導事項で、「叙述を基に」という言い方で使われています。そのこともあり、「文学と叙述」というネーミングはいろいろ混乱も招きかねないな、と感じているところです。
【島田主査】 中村委員ありがとうございました。3ステップの中であるいは小中も含めた系統の中でどう段階差をつけていくかといったところ、これがうまくできるように落とし込んでいく仕組みも事務局で考えてほしいというご意見でした。中嶋委員お願いいたします。
【中嶋委員】 小中高の学びの連続性をより明確にするという整理の方向性には非常に賛同しております。その中で2点です。まず1点目は中村委員が今おっしゃられましたけれども、やはり小中高とどういうふうに論説と批評と違いをつけていくかというところのステップを明確にしていただきたい。学びの連続性ですけれども、それをどのように系統的に向上させていくのかということを明確にしてほしいと思います。それが第1点です。
続いて2点目なのですが、28ページの中に改善の方向性の具体的イメージとして「教材の扱い」という内容があります。3点目には文学作品について書いてあるのですけれども、扱う教材について、「文学作品等は科目の趣旨に合致するかどうかで判断することとしてはどうか」と書いてありまして、ちょっとこれに違和感を感じました。合致するかどうかは作品の内容等ではなく、どのように指導上取り扱って学習を行っていくのかというところにあるのではないかと思いました。改めて見て、これは教材の扱いという項目に書いてあるから、3点目のところに詳細に書いていないのかと理解もできるのですけれども、非常にここの部分というのは大事なことと私は解釈しますので、ぜひ教材の取り扱いが合致するかという点については明確にここにも書いてあったほうがよいのではないかと思います。
【島田主査】 教材の扱いについての部分ですけれども、大切なご意見いただいたかと思います。ぜひご指摘の方向で考えていければと思います。中川委員お願いいたします。
【中川委員】 手短に2つ申し上げます。30ページを出しておいていただけるとよいでしょうかね。1つ目は発展科目名の名称については委員の皆さんからご意見があったところですけども、ただ発展科目名がこの平易な2文字、2つずつでご提案されたということ自体は私はとてもよいと思います。教員も生徒もイメージしやすくなるのではないかと思います。だからこそいろいろとご意見があったんじゃないかと理解しています。
2つ目は、一方で現状としてこれまで理解に対して表現の扱われ方が弱い印象がありました。これは両輪なはずです。ですので、特に必履修科目の中でよく読むと現代の国語にかなり表現に関する内容や学習活動が含まれてきたのは良いと思いますけども、ここをしっかりと押さえていることをよりわかるようにさらに今後ご検討いただきたいというふうに思います。
【島田主査】 「何々と何々」という選択科目名、ご賛同いただいたところですけれども、理解と表現の「表現」の部分がもっと表に出てくるようにさらに考えてはどうかというご意見だったかと思います。藤森先生お願いいたします。
【藤森委員】 児玉委員、植木委員、それから中嶋委員のご発言にかなり深く関わる内容なので恐縮なんですけど、ちょっと事務局に確認させてもらっていいですか。現行の改訂版「現代の国語」では、半分ぐらいの教科書で『羅生門』が載ってます。この方向性は新課程の場合容認する方向で考えていいんでしょうか。これまず確認させてください。
【島田主査】 髙見さんよろしいですか。
【髙見主任教育企画調整官】 まず、現行の扱いでございますけれども、現在の扱いについては読むことの教材としては小説を扱わないというふうになっております。今回提示している括弧3の教材の扱いの案でございますが、こちらについては文学作品を扱う場合には科目の趣旨に合致するかどうかで判断するということになりますので、単に羅生門を載せるということではなくてですね、やはりそこはその科目の趣旨に合っているかどうかっていうことをですね、判断していく中で見ていく、そういった方向で検討していくんではないかと考えているところでございます。
【藤森委員】 わかりました。初めに教材ありきでなくて、どういう資質・能力を子供たちに育てたいのかというところから考えましょうというのが、現行もそうだし、これからの学習指導要領を考える上での基本哲学だと思いますので、それをまず大前提として申し上げていきたいと思います。
現行の教育課程の中では、「言語文化」の2単位では小説や古典の学習をやりきれないから、やむを得ず「現代の国語」で小説を扱うというのが、現場の本音じゃないかなと思うんです。前回の会議でご紹介したように、ある高校で講演会をしたときに生徒から「なんで言語文化の教科書に現代の小説が載ってるんだ」と、こういう質問があって、それは何を意味してるかというと、その高校では「言語文化」の授業で古典しかやってないってことなんですね。
そういう現状を考えると、前回の私のご意見として2単位、2単位ではこれ多分今現場の方で困ってるんじゃないかなという思いから、発展科目として現代の国語Ⅱ、それから言語文化Ⅱというのを設けたらどうかというふうなことを申し上げて、今回の30ページの資料を見ますと私が申し上げた趣旨が生かされているように思います。画期的な構成案だと、まずは感動しております。
先ほどなぜ『羅生門』の話を申し上げたかというと、「現代の国語」という名称について、私は非常に違和感があって、上の発展科目の名称はこれからいろいろまた皆さんのご意見も受けて考えるとしても、必履修科目の名称についてはこれかなり大きなインパクトがあるはずなんですよ。私は改めて「現代の国語」じゃなくて「言語生活」という言葉を設けて、四字熟語で「言語生活」「言語文化」という名称変更を今回改訂で実現していただきたいなと思っています。
その上で、これは強い懸念なんですが、標準選択科目の「現代の国語Ⅱ」、「言語文化Ⅱ」のところが両方とも4単位になってますよね。しかし、2年生でこれを受講させるとなると、両方で合計8単位になるわけで、おそらくそのような科目設定をする学校はありえないと思います。現行の「論理国語」と「古典探究」の履修率があれだけの高いパーセンテージなのは、これらを学年分けて履修しているからであって、発展科目のところで両科目を履修させていくためには、やっぱり「現代の国語Ⅱ」と「言語文化Ⅱ」はそれぞれ2単位という発想が妥当なんじゃないかと思います。そうじゃないとこのうちのどちらかしか取らない学校が相当数現れるのではないかなということを懸念していて、そのあたりをさらに検討していくことが必要だと思いますけれども、ご参考までに申し上げました。
先ほど来、中川先生もおっしゃったように、上の発展科目のところをこういう名称にしていくというのは、その名称がいろんなものを語ってきますけど、発展科目四字熟語よりもこういう言い方のほうが多分いいだろうなと私も思いました。児玉先生の文学と創作というご意見については同じ意見を持っていました。よろしくお願いします。
【島田主査】 素材の扱いについては、あくまでも資質・能力ベースで考えるという趣旨を今回も継続して、この科目で育てたい力はこういう力であるということを明確にして、それに合致するような素材を選んでいくべきだというお話と、それからもう1つはご懸念として、選択標準科目の単位数についてもう少し考えたほうがよいのではないかというご意見いただきました。続きまして西委員お願いいたします。
【西委員】 よろしくお願いします。今藤森委員から話題になりました単位数の問題から申し上げます。やはり私も標準科目が4単位設定になるところが、現行の学校のカリキュラム上、非常に厳しいのではないかという印象があります。この両方を履修すると、おそらく選択科目の選択率が非常に落ちてしまうのではないかという危惧を持っておりました。この点については、井上委員からお話があったと思いますが、30ページの米印の上のほうの2つ目の点ですよね、原則としてという、この部分の縛りがどれくらい力を持っているのかと関わるんだろうと思いますので、ここはもう1度検討していただきたいなと思いました。
あと発展科目については、このような形でご検討いただいた結果の提案というふうに受け止めましたので、発展科目に関しては方向性としては良いかと思います。とは言え、名称に関してはもう少し議論が必要になってくるかと思います。丸の3で申しますと左上の「論説と批評」は、「論説」という言葉よりは「論理」という言葉をやはり残してもいいのではないかという思いが私はありました。
また「文学と叙述」は、やはり「創作」という言葉のほうが「叙述」よりは、中村委員からも「叙述」に即したという表現がやはり目立ちますので、そのあたりとの混同が生じないかという点が気がかりでございます。
最後に「古典と文化」ですが、これは植木委員からも指摘が出ましたように、「文化」という言葉が私は気になります。確かに「言語文化」という科目名がすでに「文化」を使用していますが、「言語」としての「文化」ですから、これが「と」を挟むような形になると、異なる概念として捉えられるのではないかと思います。基本的には「古典探究」の発展的な科目として位置づけたいというご提案ですので、もともと「古典探究」は文化としての担い手、いわゆる継承者としての古典の享受というようなことを古典のこの探究の科目としては目指していたと思いますので、一案としては「享受」というような、自分たちでそれを受け取りながら、どうそれを自分たちのものとして次世代につなげていけるのか、そういった古典の関わり方ができるのかみたいな点から考えていくと。今の「古典探究」でも教科書の中では探究的な要素が比べ読み等附帯的に掲載されていますので、そのような部分をさらに発展させられるのではないかと思っての提案です。
【島田主査】 標準科目について単位数と履修の在り方からご意見いただきました。また「古典と文化」の「文化」というところですね、こちらについても代案をいただきました。渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】 私も藤森委員が指摘されたように、現代の国語Ⅱと言語文化Ⅱを2単位にするということに賛成です。何らかのやっぱり縛りがなくてですね、いろいろな形で組み合わせる、取ることができるということが良いのではないかと思いました。ただこの全体の構想は非常に良いものといいますか、小中での学びがそのまま高校の段階にも継続していくという意味で、発展し継続していくという意味で、この構造は非常にいいと思いました。
選択科目の分け方自体も異論がないんですけども、やはり一目見て趣旨がわかるような名前の付け方というのは、植木委員からの指摘があったように非常に大事だと思います。その名称の付け方については一貫性があることがやっぱり望ましいと思いますけれども、例えば言語文化Ⅱでは文学を通して創造する力を養うであるとか、あるいは古典を通して文化を継承し創造するというような形ならば、今の名称でもいいんではないか。言語文化Ⅰに関しては論説と批評という、それから対話と表現という異なるジャンルを通して社会生活に生かすという意味で、論説は論証、批評は例えば評論ということで、そうした意義づけとか定義づけもできるんではないかと思われます。
それから選択科目に関しては、スライド37の現行の指導要領のところには目標とか思考力、判断力、表現力が、かなり科目横断して重なる文言が多かったんですけれども、次の指導要領の案として示されたスライド31ではですね、その点はかなり違いがわかるようになって、その点改善の跡が見えると思います。非常に考え抜かれているということがわかると思います。
最後1点だけ、ここにおいて論理的に考えたり書いたり話したりということを、現行の指導要領の論理国語の意図は非常に価値あることだったと思いますので、竹内委員が以前の会議で指摘されたように、それができないことによる様々な損失は明らかであると思われます。特に、「論証する」ことというのは今やビジネスやアカデミックな分野で必須の技能ではあるので、そして論証に関しては日本の文章観とか社会におけるコミュニケーションとは馴染まない作法であるので、これを意識的に選択科目で教えるということは非常に意味があると考えられます。
そのときにやはり論説と批評文の読解のみに偏ることというのは避けるべきであって、発展的な選択科目となるからこそですね、論証の構成、あるいは論証の論理とか論駁の方法というのを具体的な読み物と合わせて教える、技能として教える必要があると思います。それは論説を読むときの方法となり道具となる、道しるべとなる技術であるとともに、生徒が書いたり話したり、それから考えたりするときに使える一生の道具ともなると考えられます。それからそれを学ぶことで西洋社会と共通のコミュニケーションの基盤を持つことができる。それから論理に対する苦手意識を取り除くために、論理学の基礎もですね、レトリックの比較から少し触れてもいいんじゃないかと考えます。それから情動による説得の方法も論証と比較することによって、様々な面白い教材が考えられると思います。すみません、長くなりました。
【島田主査】 標準科目の単位数についても改めてご意見いただきました。また論証することの重要性ということで、論証に関する科目では指導が読解に偏ることのないようにということでもご指摘をいただきました。大切なご意見ありがとうございました。竹内委員お願いいたします。
【竹内委員】 多くの議論重ねられて揉み練られて、本当にお疲れ様でした。32ページ、現代の国語Ⅰに話すこと、聞くことというのが示されていて、これは大変重要だと思います。これを必履修の後に現代の国語Ⅱでどのように発展させていくのかという今後の系統性の明らかになる場面を楽しみにしております。
その上で2点ほどコメントございます。少しあとのアペンディクスの42ページ、自分の考えを書くことが苦手という資料についてです。外国語のワーキングでも確かこれが取り上げられていて、さらに人と異なる意見を言うのが苦手だというような資料もそれに続いていたかと理解しています。ですので、母語で言えない意見がやはり外国語でも話せないというメッセージだと思いますので、読む、書く、話す、聞く、すべて横断する力の課題だと受け止めています。今の系統性ですと、高校での負担がやや大きいように思いますので、前半でも申し上げたように、正確に読むことを土台にしながら構造を捉えて問いを立てて、自分の考えを形成するというこの道筋を小中通じてスパイラルで積み上げていくようなことが重要なのではないかなと。あとは国語科で完結するものではなくて、総合探究、情報、算数、数学、外国語と接続して育てられるといいのかなと思いました。
2点目です。生成AIの時代になりましたので、情報を整理したり、論理的な文章を生成したりということを、ある程度AIも担えるようになっていますので、論理か文学かという二項対立ではなくて、人間が何を見て何に違和感を持って、どのような経験から何を考えたのかという、自分の言葉で語る、いわばナラティブの力がますます重要になってくると思っています。先ほど叙述ではなくて創作ではというようなお話もあったのですけれども、作品を創作するほどの話ではなくとも、自分の経験や問題意識を他者に伝わる形で意味づけて語るストーリーの力というのが今後大事になってくるのかなと思います。ですので、これが対話と表現のところになるのか、叙述のところになるのか、このあたり明確に位置づけていただけると良いのかなと思いました。
【島田主査】 意見を述べるということについては、高校だけでなく小中高を通してしっかりスパイラルで学ぶべきであると、もちろん他教科での学びも含めてしっかり学ぶことが重要だということを改めてご指摘いただきました。また語る力、ナラティブの力といったものも明確に位置づけたいということでご意見いただきました。石黒委員、お願いいたします。
【石黒主査代理】 23ページ見せていただいてもよろしいでしょうか。これを見て改めて思ったことなんですけれども、私が誤解があるかもしれませんけれども、平成21年のほうを見るとですね、現代文Bと古典が60%台で、この2つが主軸になっていて、それ以外が10%前後3つ並んでるという状況です。平成30年度のほうは、国語表現が16と少なくて、文学国語も半分を切ってるんですけれども、それでも平成21年のことを考えると、本当にその21年って大変だというか、アラカルト科目が取られなかったんだなという印象を持ちました。
今回、30ページのところに戻っていただきたいんですけれども、先ほどの藤森委員はじめとするご意見と一緒なんですけれども、やっぱり私たちがこれを見たときに、発展科目、科目名は少し異論もあるかもしれませんけれども、非常に魅力的で、ぜひこんな授業を教えたいし、また生徒さんはこんな授業を取ってみたいと思えるような、発展科目、魅力的な科目だと思うんです。ただ、現実にどうなるかというと、やっぱり必履修科目と標準科目12単位取って息切れして終わりで、アラカルト10%前後、4つというのがなんかもう目に浮かぶような気がしていて、できるだけやっぱり多様な、高校3年生で取る科目はアラカルトで本当にそのいろんな将来の学びに繋がることをやってほしいなという意味で、やっぱりその4単位、標準科目の4単位ずつはちょっと重たいのかなという気もします。
もう1つ考えるのは、いわゆる国語表現という科目です。平成21年のほうでは14%、3単位なんですね。それから30年のほうは16%、4単位なんです。この10%台で少ないんじゃないかという見方もあるとは思うんですけれども、実はこれすごく大事な役割を果たしてきたんじゃないのかな。わからないんですけれども、たぶん生徒さん、これ取ったときの満足度、結構高かったんじゃないかなって想像しています。
結局、もちろん大学進学というものを割と意識したような議論が多いというのは理解できるんですけども、私は一方で進路多様校のいろんな教育にちょっと関わる機会があると、やっぱりそのいろんな、別にその進学ということを目的にしなくて、直接社会に出ていったり、あるいは専門学校と幅広い学びをしてから社会に出ていかれる方もいるわけで、そういう生徒さんたちのことを考えると、やっぱり先へ進む科目ではなくて、本当に社会人の基礎力として、きちんとしたやっぱり読む、書く、聞く、話すができるということをきちんと踏まえて社会に出ていく、その力がやっぱりその社会に出ていたときに役に立つのかなと思います。
そうすると、先ほどの30に戻っていただいたときに、今の枠組みで反対するわけでは決してないんですけれども、もし例えば現代の国語Ⅱ、言語文化Ⅱが仮に2単位ずつになったとした場合、この2つしか選択の余地がない、つまり2年生の段階ではこの2つしか取らないというような、そういう形になるのは少し寂しいかなというか、やっぱりそういう進学だけではない子供たちのことを視野に入れて、どんなふうな科目が、この標準科目というものが2年の段階で2つでいいのかなというのは私は少し疑問を持っていて、やっぱり表現するということがもっと高校のカリキュラムの中で重視されてもいいのではないか、それがやっぱり社会に繋がる力ではないかと感じております。
【島田主査】 石黒委員ありがとうございました。多様な進路に向けて多様な科目が選択できるようにということで、標準科目の単位数のことも含めてご意見いただきました。石井委員、お願いいたします。
【石井委員】 基本的にはこの事務局提案に関しては大きな枠組みは賛成というところです。ただ、私も危惧していたのは、これが標準科目ということで、さらに4単位というあたりですよね。高校に関しては一般的に高校カリキュラムにおいては、その選択と共通、この辺はどういうふうに考えるのかと。それで言うと、標準科目というふうにこれを経由しなくてはいけないということ、さらにそれに4単位ということで言うと、高校のカリキュラムで言うと、かなりこの共通性をより重視するというふうな方向性のようにも見えると。
それはそれとして、まさにその共通性ということは、国民的共通教養ではないですけども、市民的教養ではないですが、まさに先ほどの社会人基礎力の根本みたいなところですね。だから言葉の力として、やっぱり高校卒業段階で、これは確実に保障するものなんだというふうな、そういうある種その覚悟の表れというふうに見れなくもないわけですけども。ただ、現実のその選択行動を見たときに、この4単位ということで言うと、そういうふうな形でも機能しない可能性があるということで言えば、先ほどからもこの議論にありますように、2単位ということは考えられるかなと思ったりもします。
しかし、一定ですね、やはりこの4技能統合的ということもそうですけども、やはりその高校段階において、いかなるその言葉の力を身につけて卒業していくのかという視点からも、先ほどの段階の区分もそうですけども、例えば標準科目におけるその言葉の力のレベル感といったものをどう考えるかですよね。最終的に、先ほどの議論とちょっと関係するわけですけども、多様性に応じるということで言うと、英語のCEFRとかもそうですが、言葉の力に関してのその資格基準ではないですけれども、そういう発想で最終的には多分整理されていくということが、実は多様性に応じるということにも多分つながってくるんだろうと。
だから、大きくは教育プログラム、あるいはその修得主義的発想からすると、そういう方向性になってくるかと思うんですね。そうしたときに、やはりこの標準科目ということもそうですけども、このレベル感といったものは、結局その高校卒業段階におけるその資格の中身をどういうふうに考えるのかということとも多分関係するような議論かなと。一足飛びに今回そこまで行くことはないとは思いますけども、そういった展望を持って考えていくことが大事なのかなと思いました。
もう1点は、先ほどの議論ともちょっと関係するわけですけれども、この4技能というかですね、その読み、書く、話す、聞くということは、やっぱり総合的に学ぶからこそ言葉の力が高まっていくという、そこのニュアンスをしっかりとやっぱり打ち出していく。さらに言うと、先ほど井上委員からもあって、私も同感なんですけども、同じテキストを違った観点から扱っていくという、そういう非常にダイナミックなこの言語活動といったものが、もっと展開されていくといいと思いますし、それがまさに教科書においてそういったものが実装されていくといいのかなと思います。
それで言うと、まさに言葉の力というか言語技術に自覚的になるというときには、読むために読むのではわからないけども、書いてみると論説文とかというのも前も申しましたけども、接続詞とかですね、指示語といったものは論文を書く立場になってよくわかるんですよね。やっぱりこれが大事であるということがよくわかってきます。パラグラフの意味もよくわかってきます。ですから、それで言うとですね、その様々な読み、書く、話す、聞く、理解系と発信系と言いますか、表現系といったもの、ここを往還させていくということが、言葉の力というか、そこのメタ認知的なところにもつながっていくと、言葉への気づきにもつながっていくというあたりが重要かなと思いますし、私も先ほどの渡邉委員と同様にですね、この論証ということをやっぱり大事にしていくことがポイントかなと。それはやっぱり自分の意見を組み立てるというところにもつながってくるかと思いますので、そういったところを論証するということは、これは多分総合型選抜とか、そういったものの在り方にも多分関わってくることかと思いますし、そういった視点も含み込んで考えていくことが大事かなと思いました。
【島田主査】 ということで、時間がまいりました。本日の議事は以上とさせていただきたいと思います。本日いただきました様々なご意見につきましては、さらにまた次回以降のワーキンググループの議題において適宜反映する形でお示ししてまいりたいと思います。最後に、次回の予定について事務局よりお願いいたします。
【髙見主任教育企画調整官】 次回の予定ですけども、後日連絡いたします。
【島田主査】 時間が少し過ぎました。以上をもちまして閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。失礼いたします。
―― 了 ――
初等中等教育局教育課程課教育課程第三係
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